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睡 眠 障 害 ナルコレプシー の 新 たなモデルマウスを 作 製 し 病 態 の 解 明 と 治 療 薬 開 発 に 応 用 ポイント オレキシン 神 経 だけを 任 意 のタイミングで 除 去 できた オレキシン 神 経 の 除 去 を 任 意 のタイミングで 止 めることができるため ヒトの 様 々なナルコ レプシー 症 状 を 正 確 に 再 現 できた オレキシン 神 経 の 細 胞 数 とナルコレプシー 症 状 発 症 との 関 係 を 初 めて 明 らかにした 筋 痙 縮 の 治 療 薬 がナルコレプシー 治 療 薬 として 有 効 であることを 見 いだした 背 景 睡 眠 障 害 のひとつである ナルコレプシー は 2000 人 に1 人 の 有 病 率 とされています 症 状 には 何 をしていても 眠 ってしまう 日 中 の 強 い 眠 気 寝 続 けることができない 睡 眠 覚 醒 の 分 断 化 寝 入 りばなに 夢 を 見 るために 現 実 世 界 と 区 別 がつかない 夢 を 見 る 入 眠 時 幻 覚 喜 んだ り 笑 ったりなどの 情 動 変 化 により 全 身 の 筋 肉 が 脱 力 して 倒 れる 情 動 脱 力 発 作 などがあります ナルコレプシーは 脳 の 中 のオレキシンという 神 経 ペプチドを 産 生 する 神 経 (オレキシン 神 経 ) だけが 無 くなってしまうことが 原 因 で 発 症 し 思 春 期 または 成 人 期 初 期 に 発 症 しやすいことが 知 られています しかしながら 確 定 診 断 までに 平 均 約 10 年 かかっているために 発 症 初 期 か らの 症 状 変 化 を 調 べることができません そのため ナルコレプシーの 研 究 にはモデル 動 物 が 用 いられてきました しかし 従 来 のモデル 動 物 は 生 後 まもなくオレキシン 神 経 が 消 失 するよう に 遺 伝 子 改 変 されたマウスであり 思 春 期 または 成 人 期 初 期 に 好 発 するヒトのナルコレプシー とは 異 なっていました 研 究 の 内 容 本 研 究 では 任 意 のタイミングで 目 的 遺 伝 子 の 発 現 を 制 御 できる 遺 伝 子 発 現 のスイッチを 用 いて オレキシン 神 経 だけで 細 胞 死 を 起 こさせました 遺 伝 子 発 現 のスイッチをオンにすると オレキシン 神 経 細 胞 だけで 毒 素 (ジフテリア 毒 素 A 断 片 )の 産 生 が 始 まり オレキシン 神 経 だけ が 死 滅 します この 遺 伝 子 発 現 システムでは 遺 伝 子 発 現 のスイッチをエサを 代 えることで 制 御 しました 特 殊 エサを 与 えている 状 態 では スイッチが 入 らずにオレキシン 神 経 は 正 常 に 保 たれますが 普 通 エサにすると 毒 素 の 発 現 が 誘 導 され オレキシン 神 経 が 細 胞 死 を 開 始 しま す そこで この 遺 伝 子 改 変 マウスを 10 週 齢 まで 特 殊 エサで 飼 育 し その 後 普 通 エサに 置 き 換 えて オレキシン 神 経 細 胞 死 を 誘 導 し 残 存 するオレキシン 神 経 細 胞 数 を 観 察 しました そ の 結 果 特 殊 エサを 与 えている 状 態 では オレキシン 神 経 細 胞 数 は 全 く 正 常 でしたが 普 通 エサにエサを 交 換 するだけでオレキシン 神 経 細 胞 数 が 急 速 に 減 少 していきました このときの 睡 眠 覚 醒 パターンを 解 析 しました すると 普 通 エサにして 1 週 間 後 には 85% 以 上 のオレキシ ン 神 経 細 胞 が 死 滅 し 睡 眠 覚 醒 の 分 断 化 が 始 まりました 2 週 間 後 では 95%のオレキシン 神

経 細 胞 が 死 滅 し このときに 初 めて 情 動 脱 力 発 作 が 現 れることが 明 らかになりました さらにオ レキシン 神 経 が 95% 以 上 減 少 していくと 睡 眠 覚 醒 の 分 断 化 が 著 しくなり 情 動 脱 力 発 作 の 頻 度 が 上 昇 しました 今 回 用 いた 遺 伝 子 発 現 スイッチは オンとオフが 制 御 できます つまり オレキシン 神 経 細 胞 死 を 任 意 のタイミングで 止 めることも 可 能 です 本 研 究 で 作 製 した 新 たな 遺 伝 子 改 変 マウスは これまでのモデル 動 物 と 異 なり 生 後 成 長 してからオレキシン 神 経 の 除 去 を 開 始 できるため 思 春 期 または 成 人 期 初 期 に 好 発 するナル コレプシーを 正 確 に 再 現 していると 言 えます また ナルコレプシーでは 日 中 の 強 い 眠 気 の みを 呈 す 患 者 から 脱 力 発 作 を 起 こす 患 者 まで 症 状 にばらつきがあります 今 回 作 製 した 遺 伝 子 改 変 マウスでは 任 意 のタイミングでオレキシン 神 経 除 去 を 開 始 停 止 できるため 各 患 者 の 症 状 に 近 いマウスを 作 製 することも 可 能 となります 本 研 究 により これまで 不 可 能 であった オレキシン 神 経 細 胞 数 と 症 状 発 現 との 関 係 を 初 めて 明 らかにすることができました この 新 た な 遺 伝 子 改 変 マウスは 現 段 階 では 最 も 優 れたナルコレプシーモデルマウスであると 言 えま す この 新 たなナルコレプシーモデルマウスを 用 いて ナルコレプシー 治 療 薬 となりうる 薬 の 治 療 効 果 を 検 討 しました 現 在 筋 痙 縮 の 治 療 薬 として 用 いられている R-バクロフェンと 既 にナ ルコレプシーの 治 療 薬 として 使 われている GHB(γ ヒドロキシブチレート)を 投 与 しました そ の 結 果 R-バクロフェンにより 睡 眠 覚 醒 の 分 断 化 が 改 善 され 情 動 脱 力 発 作 の 回 数 が 減 少 し ました R-バクロフェンは GHB よりも 治 療 効 果 が 高 いことがわかりました 成 果 の 意 義 ナルコレプシー 発 症 の 原 因 が オレキシン 神 経 の 脱 落 であることは 知 られていました しかし オレキシン 神 経 細 胞 数 と 発 症 との 関 係 は 不 明 でした 本 研 究 により 任 意 のタイミングでオレキ シン 神 経 除 去 を 制 御 できる 新 たなナルコレプシーモデルマウスを 作 製 することに 成 功 しました これにより オレキシン 神 経 細 胞 数 とナルコレプシー 症 状 発 症 との 関 係 を 初 めて 明 らかにする ことができました このナルコレプシーモデルマウスを 用 いて 筋 痙 縮 の 治 療 薬 である R-バクロ フェンがこれまでの 治 療 薬 よりも 優 れていることを 見 出 しました 今 後 は さまざまな 症 状 を 呈 すマウスを 作 製 し 治 療 薬 の 開 発 をすることで 症 状 に 個 人 差 があるヒトのナルコレプシー 治 療 に 大 いに 貢 献 できると 考 えています 本 研 究 では オレキシン 神 経 の 睡 眠 覚 醒 における 役 割 に 着 目 しましたが オレキシン 神 経 は 不 安 行 動 や 依 存 などにも 深 く 関 わっている 神 経 です 今 回 作 製 したマウスを 用 いることで オ レキシン 神 経 のさまざまな 生 理 的 役 割 を 明 らかにできると 考 えています 用 語 説 明 オレキシン: 神 経 ペプチドのひとつ 視 床 下 部 に 存 在 する 数 少 ない 神 経 細 胞 において 産 生 さ れる オレキシンを 産 生 するオレキシン 神 経 細 胞 は 脳 全 体 に 軸 索 を 投 射 し オレキシンを

遊 離 する オレキシンは 覚 醒 の 維 持 に 重 要 な 役 割 を 担 っている ナルコレプシー: 睡 眠 障 害 の 病 名 のひとつ 日 中 の 耐 えがたい 眠 気 入 眠 時 幻 覚 情 動 脱 力 発 作 などが 主 な 症 状 オレキシン 神 経 細 胞 がなんらかの 原 因 によって 脱 落 することによっ て 発 症 する ジフテリア 毒 素 A 断 片 :ジフテリア 毒 素 の 一 部 A 断 片 はタンパク 質 合 成 を 阻 害 して 細 胞 死 を 誘 導 する B 断 片 が 細 胞 内 に 侵 入 するのを 手 助 けする A 断 片 だけでは 発 現 細 胞 だけで 細 胞 死 を 誘 導 し 周 りの 細 胞 に 影 響 を 与 えることが 無 い 論 文 名 Conditional ablation of orexin/hypocretin neurons: A new mouse model for the study of narcolepsy and orexin system function Sawako Tabuchi, Tomomi Tsunematsu, Sarah Wurts Black, Makoto Tominaga, Megumi Maruyama, Kazuyo Takagi, Yasuhiko Minokoshi, Takeshi Sakurai, Thomas Kilduff, and Akihiro Yamanaka Journal of Neuroscience GABAB Agonism Promotes Sleep and Reduces Cataplexy in Murine Narcolepsy Sarah Wurts Black, Stephen R. Morairty, Tsui-Ming Chen, Andrew K. Leung, Jonathan P. Wisor, Akihiro Yamanaka, and Thomas S. Kilduff Journal of Neuroscience

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