国 際 活 動 センターからのお 知 らせ 欧 州 情 報 担 当 : 外 国 情 報 部 鈴 木 康 裕 欧 州 連 合 司 法 裁 判 所 への 予 備 判 決 の 照 会 制 度 真 正 な 使 用 に 関 する ONEL/OMEL 事 件 を 一 例 に 1. はじめに 共 同 体 商 標 (Community trade mark 1 )を 扱 う 実 務 家 の 間 で 話 題 に 上 る 判 決 の 多 くが 欧 州 連 合 司 法 裁 判 所 による 予 備 判 決 である 2 注 目 度 は 影 響 の 大 きさに 概 ね 比 例 するもので あるが それが 導 かれた 照 会 制 度 そのものについては 我 が 国 であまり 知 られていない 本 稿 では 予 備 判 決 の 照 会 制 度 の 概 要 を 紹 介 し 欧 州 共 同 体 規 則 第 15 条 の 共 同 体 における 真 正 な 使 用 の 解 釈 が 争 点 となった ONEL/OMEL 事 件 を 具 体 例 として 検 討 する 2. 予 備 判 決 の 照 会 制 度 の 概 要 欧 州 共 同 体 商 標 意 匠 庁 (Office for Harmonisation in the Internal Market (trade marks and designs) 以 下 OHIM という )の 不 利 な 最 終 的 決 定 に 対 しては 当 事 者 は 次 の 審 級 を 経 て 欧 州 連 合 司 法 裁 判 所 (Court of Justice of the European Union 以 下 CJEU とい う )に 不 服 を 申 し 立 てることができる 審 査 官 異 議 部 取 消 部 審 判 部 一 般 裁 判 所 CJEU ( 第 一 審 裁 判 所 ) 一 方 特 定 の 事 件 を 審 理 する 欧 州 連 合 (EU) 加 盟 国 の 裁 判 所 は 欧 州 共 同 体 設 立 条 約 (Treaty establishing the European Community: TEC) 第 234 条 および 欧 州 連 合 の 機 能 に 関 する 条 約 (Treaty on the Functioning of the European Union: TFEU) 第 267 条 に 基 づき EU の 法 律 や 規 則 の 解 釈 または 有 効 性 について CJEU に 予 備 判 決 (preliminary ruling)を 照 会 請 求 することができる この 照 会 制 度 は 上 記 の 垂 直 的 な 控 訴 制 度 と 対 照 をなす 水 平 的 な 協 力 体 制 であり EU 全 域 にわたって 法 規 則 の 統 一 的 な 適 用 を 促 進 担 保 するものである 3 1 欧 州 委 員 会 は 2013 年 3 月 27 日 付 けで Community trade mark を European trade mark に Office for Harmonisation in the Internal Market (trade marks and designs) を European Union Trade Marks and Designs Agency に 変 更 すべきであると 提 言 して いる 2 最 近 の 例 では SM JEANS/LEVI'S 事 件 (2013)や IP TRANSLATOR 事 件 (2012)し かり L'Oréal/eBay 事 件 (2011)や Easter bunny 事 件 (2009) 等 は いずれも 予 備 判 決 が 照 会 された 事 件 である 3 統 一 特 許 裁 判 所 協 定 第 21 条 および 第 38 条 第 1 項 においても 予 備 判 決 の 照 会 に 関 する
Article 267 (ex Article 234 TEC) The Court of Justice of the European Union shall have jurisdiction to give preliminary rulings concerning: (a) the interpretation of the Treaties; (b) the validity and interpretation of acts of the institutions, bodies, offices or agencies of the Union; Where such a question is raised before any court or tribunal of a Member State, that court or tribunal may, if it considers that a decision on the question is necessary to enable it to give judgment, request the Court to give a ruling thereon. Where any such question is raised in a case pending before a court or tribunal of a Member State against whose decisions there is no judicial remedy under national law, that court or tribunal shall bring the matter before the Court. 予 備 判 決 の 照 会 は 事 件 の 一 方 の 当 事 者 が 請 求 することができるが 照 会 の 適 否 を 決 定 す るのは 加 盟 国 の 裁 判 所 (court or tribunal of a Member State)である ただし 上 記 TFEU 第 267 条 の 後 段 により 事 件 を 審 理 する 裁 判 所 が 最 終 審 であって その 決 定 に 不 服 を 申 し 立 てることができない 場 合 当 該 裁 判 所 は 一 方 の 当 事 者 の 請 求 により 予 備 判 決 の 照 会 をし なければならない また 法 規 則 の 適 用 について 疑 義 がある 場 合 照 会 は 義 務 づけられ ている 照 会 を 求 めた 裁 判 所 は 予 備 判 決 がなされるまで 審 理 を 中 断 する 当 事 者 各 加 盟 国 欧 州 委 員 会 等 は 利 害 関 係 人 として 書 面 による 意 見 書 (observations)を 提 出 する 機 会 が 与 えられる 審 理 に 当 たっては 照 会 の 内 容 について 専 門 的 知 識 を 有 する 法 務 官 (Advocate-General) 4 が 任 命 され 原 則 として 書 面 により 自 己 の 見 解 (opinion)を 提 出 するが CJEU の 裁 判 官 は 当 該 法 務 官 の 口 頭 による 説 明 のみをもって 判 決 を 下 すことがで きる 予 備 判 決 は 中 間 的 な 決 定 であるから 本 案 判 決 は 照 会 を 求 めた 加 盟 国 裁 判 所 が 行 う が 予 備 判 決 は 具 体 的 な 事 案 に 即 したものであり 本 案 判 決 の 内 容 に 直 結 する 場 合 が 多 い 予 備 判 決 において 示 された 解 釈 は 既 判 力 (force of res judicata)を 有 し 照 会 を 求 めた 裁 判 所 のみならず 加 盟 国 の 全 ての 裁 判 所 を 拘 束 する しかし 当 該 解 釈 が 十 分 に 合 理 的 な(sufficiently enlightened)ものであるか または さらなる 照 会 を 要 するものであるか 規 定 の 適 用 と CJEU の 決 定 の 拘 束 力 について 明 記 されている 4 CJEU は 計 9 名 の 法 務 官 を 6 年 の 任 期 で 任 命 する 裁 判 官 は 各 加 盟 国 につき 1 名 ずつ 6 年 の 任 期 で 任 命 される
を 判 断 するのは 当 該 加 盟 国 裁 判 所 であると 判 示 され 一 事 不 再 理 の 原 則 は 採 用 されていな い 5 3. ONEL/OMEL 事 件 (2012 年 11 月 19 日 CJEU 判 決 C-149/11) 3.1 事 件 の 概 要 2009 年 Hagelkruis Beheer BV ( 以 下 Hagelkruis という )がベネルクス 知 的 財 産 庁 (Benelux Office for Intellectual Property 以 下 BOIP という )に 文 字 商 標 OMEL を 第 35 類 や 第 41 類 のサービスについて 登 録 出 願 したところ 同 じ 区 分 のサー ビスを 指 定 する 共 同 体 商 標 ONEL を 所 有 する Leno Merken BV( 以 下 Leno とい う )が 異 議 申 立 てをした これを 受 け Hagelkruis は 先 行 商 標 である 共 同 体 商 標 ONEL の 使 用 証 明 を 求 め Leno はオランダ 一 国 のみでの 使 用 証 拠 を 提 出 した 両 商 標 が 類 似 する こと 混 同 のおそれが 存 在 すること そして サービスが 同 一 または 類 似 であることにつ いて 当 事 者 間 に 争 いはなかった 6 BOIP は 2010 年 共 同 体 商 標 ONEL は 過 去 5 年 の 間 に 真 正 な 使 用 がされていなかっ たとして Leno の 異 議 申 立 てを 却 下 する 決 定 をした その 根 拠 は 共 同 体 商 標 ONEL が 当 該 5 年 を 通 じて 使 用 されていたとしても オランダ 一 国 に 地 域 的 に 限 られており 共 同 体 における 真 正 な 使 用 として 十 分 でない というものであった Leno はこの 決 定 に 対 し ヘーグ 地 域 控 訴 裁 判 所 (Gerechtshof te s-gravenhage:regional Court of Appeal, The Hague)に 不 服 を 申 し 立 て 同 裁 判 所 は BOIP の 求 めに 応 じ 下 記 の 点 について 予 備 判 決 の 請 求 をした ( 一 ) 一 つの 加 盟 国 内 での 共 同 体 商 標 の( 真 正 な) 使 用 は 共 同 体 商 標 について 定 める 理 事 会 規 則 ( 以 下 CTMR という ) 第 15 条 (1)の 共 同 体 における 真 正 な 使 用 とし て 十 分 であると 解 釈 すべきか ( 二 ) 十 分 でない 場 合 一 つの 加 盟 国 内 での 共 同 体 商 標 の 使 用 は 決 して(never) 真 正 な 使 用 と 認 められないのか ( 三 ) 真 正 な 使 用 と 決 して 認 められない 場 合 共 同 体 商 標 の 使 用 の 地 域 的 範 囲 に 加 えて いかなる 要 件 が 適 用 されるのか ( 四 ) 共 同 体 商 標 の 真 正 な 使 用 は 各 加 盟 国 の 境 界 を 参 照 することなく 抽 象 的 に 解 釈 すべ きか 5 Case 29/68, Milch, Fett- und Eierkontor, para. 2-3 6 このような 事 情 や 両 当 事 者 に 関 する 情 報 がきわめて 限 られていることから 本 件 は 重 要 な 論 点 に 関 し CJEU の 判 断 を 仰 ぐため 商 標 弁 護 士 らが 作 為 的 に 設 定 したものであるとの 推 測 もある 例 えば Genuine use' of a trademark - does OMEL/ONEL make it any clearer? ( http://www.dlapiper.com/genuine-use-of-a-trademark-does-omelonel-make-it-any-clea rer-12-21-2012/)
3.2 関 連 する 条 文 と 従 前 の 解 釈 CTMR 第 15 条 (1)(Use of Community trade marks)は 共 同 体 商 標 の 真 正 な 使 用 につ いて 次 のように 規 定 する Article 15 Use of Community trade marks 1. If, within a period of five years following registration, the proprietor has not put the Community trade mark to genuine use in the Community in connection with the goods or services in respect of which it is registered, or if such use has been suspended during an uninterrupted period of five years, the Community trademark shall be subject to the sanctions provided for in this Regulation, unless there are proper reasons for non- use. 第 15 条 共 同 体 商 標 の 使 用 (1) 登 録 後 5 年 の 期 間 内 に, 所 有 者 が 登 録 されている 共 同 体 商 標 の 対 象 である 商 品 又 は サービスについて 共 同 体 において 共 同 体 商 標 の 真 正 な 使 用 をしていなかった 場 合, 又 は 5 年 の 期 間 中 継 続 してその 使 用 を 中 止 していた 場 合 は, 共 同 体 商 標 は, 本 規 則 に 定 める 制 裁 の 対 象 になる ただし, 不 使 用 について 正 当 な 理 由 があるときは,この 限 りでない ここに 規 定 される 継 続 して5 年 以 上 に 亘 る 共 同 体 商 標 の 不 使 用 ( 正 当 な 理 由 によるも のを 除 く 以 下 同 様 )に 対 する 制 裁 として 代 表 的 なものは 異 議 申 立 や 無 効 審 判 におい て 先 行 商 標 として 扱 われないこと(CTMR 第 42 条 および 第 57 条 ) 権 利 取 消 し( 同 第 51 条 ) 国 内 出 願 への 変 更 ができないこと( 同 第 112 条 ) 等 である 真 正 な 使 用 の 地 域 的 範 囲 については 2007 年 11 月 版 の 異 議 申 立 てガイドライン 7 におい て 規 則 第 15 条 に 定 める 真 正 な 使 用 は 同 条 の 要 件 が 一 の 加 盟 国 又 はその 一 部 における ような 共 同 体 の 一 部 のみ(only one part of the Community, such as in a single Member State or in a part thereof)において 満 たされる 場 合 でも 認 められ それ 以 外 のルー ルは あらゆる 種 類 と 大 きさの 事 業 に 開 かれるべき CTM 制 度 が 追 及 する 目 的 に 反 する ものである とされていた 共 同 体 の 一 部 における 使 用 でも 足 りるとするこの 解 釈 は 一 国 における 第 15 条 の 意 味 での 真 正 な 使 用 は 共 同 体 における 真 正 な 使 用 を 構 成 する (use which is genuine within the meaning of Article 15 in one country constitutes genuine use in the Community.) とした 欧 州 理 事 会 と 欧 州 委 員 会 の 共 同 声 明 (1995 年 ) に 従 うものであった 3.3 判 旨 ONEL/OMEL 事 件 における 予 備 判 決 の 判 旨 は 以 下 のとおりである 7 Opposition Guidelines, Part 6, Proof of Use, Final Version: November 2007 (https://oami.europa.eu/ohimportal/en/guidelines-community-trade-mark)
1 共 同 体 における 真 正 な 使 用 の 成 否 を 評 価 する 際 加 盟 国 の 地 域 的 な 境 界 線 (territorial borders of the Member States)は 無 視 (disregard)しなければならない 2 共 同 体 商 標 は その 本 質 的 な 機 能 に 合 致 して EU における 市 場 シェアを 維 持 ないし 創 造 する 目 的 で 指 定 商 品 について 使 用 されているとき 真 正 な 使 用 がなされている 3 具 体 的 な 条 件 が 満 たされているかについては 関 係 する 市 場 の 性 格 や 指 定 された 商 品 又 はサービスの 性 質 使 用 の 地 域 的 な 範 囲 や 規 模 頻 度 や 定 期 性 などの 関 連 する 一 切 の 事 実 や 状 況 に 鑑 み 加 盟 国 の 裁 判 所 が 評 価 するものである 4 加 盟 国 の 裁 判 所 において 争 いのある 全 ての 個 別 具 体 的 な 状 況 を 評 価 することを 妨 げる de minimis rule ( 法 的 な 検 討 に 値 しない 事 項 について 定 める 低 閾 値 )を 設 定 するこ とはできない 本 判 決 は 共 同 体 における 真 正 な 使 用 を 判 断 するに 際 し 国 境 線 を 考 慮 に 入 れるこ とを 禁 じるものである 真 正 な 使 用 の 成 立 要 件 として 挙 げられたのは 共 同 体 商 標 が その 自 他 商 品 等 識 別 標 識 としての 本 質 的 な 機 能 を 発 揮 するかたちで 使 用 されていること そして 指 定 商 品 について EU における 市 場 シェアを 維 持 ないし 創 造 する 目 的 において 使 用 されていることであった すなわち 真 正 な 使 用 の 成 否 について 客 観 的 に 重 要 なのは 事 業 が 国 境 を 超 えている か 広 い 範 囲 で 行 われているか 市 場 シェアが 何 パーセントか 等 ではなく 商 標 がその 本 来 の 機 能 を 発 揮 するかたちで 使 用 されていることであり 主 観 的 に 重 要 なのは その 商 標 に 係 る 事 業 が 真 正 誠 実 (genuine)な 目 的 をもって 計 画 実 施 されていることである そ して その 二 つの 要 件 が 満 たされているかを 判 断 するにあたっては 一 切 の 関 連 する 事 実 や 状 況 が 考 慮 に 入 れ られる ヘーグ 地 域 控 訴 裁 判 所 が CJEU に 予 備 判 決 を 求 めた 上 記 4 点 に 即 して 言 えば 第 一 点 ( 一 つの 加 盟 国 内 での 共 同 体 商 標 の( 真 正 な) 使 用 は 共 同 体 における 真 正 な 使 用 として 十 分 で あるか)への 答 えは Yes and No である 8 第 二 点 ( 真 正 な 使 用 とは 決 して 認 められない のか)への 答 えが Yes( 決 して 認 められないわけではない= 認 められることがある) で あり 第 三 点 (その 場 合 いかなる 要 件 が 適 用 されるのか)に 呼 応 するのが 上 記 の2つの 要 件 である 第 四 点 ( 各 加 盟 国 の 境 界 を 参 照 することなく 抽 象 的 に 解 釈 すべきか)につ いては 国 境 が 無 視 されるのは 上 述 のとおりであり 真 正 な 使 用 か 否 かを 決 めるための 地 域 的 範 囲 をアプリオリおよび 抽 象 的 に 定 めるのは 不 可 能 であることが 明 示 された 9 3.4 本 件 における 制 度 の 活 用 上 述 の ONEL/OMEL 事 件 において CJEU に 予 備 審 査 を 請 求 したのは Hagelkruis と Leno の 間 で 争 われた 異 議 申 立 ての 決 定 に 対 し 提 起 された 不 服 事 件 を 審 理 していたヘーグ 地 8 括 弧 書 きの 真 正 な の 有 無 により Yes と No が 逆 転 する 国 境 は 無 視 すべしとする 本 判 決 にとって 一 国 における 真 正 な 使 用 が 共 同 体 における 真 正 な 使 用 であることは 同 語 反 復 に 過 ぎない 9 判 決 文 の 第 55 段 落
域 控 訴 裁 判 所 である 真 正 な 使 用 は CTMR において 独 自 の 意 味 を 有 する 概 念 であって その 解 釈 は 法 規 則 の 統 一 的 な 適 用 に 影 響 するため 同 控 訴 裁 判 所 が BOIP の 求 めに 応 じ て 2011 年 2 月 11 日 付 けで 予 備 判 決 の 照 会 を 求 めたものである BOIP は 上 記 の 異 議 申 立 ての 決 定 を 行 った 行 政 機 関 であり 不 服 事 件 の 被 告 であった 照 会 を 受 けた CJEU は 利 害 関 係 人 としての EU 加 盟 国 政 府 等 に 通 知 し オランダ ベ ルギー デンマーク ドイツ フランス ハンガリー イギリスの 政 府 代 表 と 欧 州 委 員 会 がそれぞれ 意 見 書 を 提 出 した CJEU 第 二 部 においては 同 部 部 長 を 含 む5 人 の 裁 判 官 に よる 合 議 体 が 構 成 され 照 会 内 容 について 専 門 的 知 識 を 有 する 法 務 官 が 任 命 された 第 一 回 の 口 頭 審 理 が 2012 年 4 月 19 日 に 行 われ 同 7 月 5 日 には 法 務 官 の 提 出 した 見 解 書 に ついての 聴 聞 を 経 て 同 12 月 19 日 に 予 備 判 決 を 発 した その 実 体 的 な 内 容 は 上 述 のとお りであり 法 務 官 の 示 した 見 解 に 合 致 するものであった 一 方 予 備 判 決 の 本 文 においては 利 害 関 係 人 として 参 加 した 加 盟 国 政 府 の 意 見 書 にも 言 及 され 国 境 線 は 無 視 すべきとしても 商 標 は 共 同 体 の substantial part(すなわち 一 加 盟 国 の 範 囲 に 相 当 する 部 分 )で 使 用 されていることが 必 要 である との 意 見 も 明 確 に 否 定 された 10 予 備 判 決 で 示 された 法 律 の 解 釈 は 欧 州 連 合 全 域 において 既 判 力 を 有 するため 本 判 決 を 受 けて 改 訂 作 業 を 行 っていた OHIM は 2014 年 1 月 2 日 付 けで 異 議 申 立 てに 関 するガイ ドラインを 公 表 した 該 当 部 分 においては 真 正 な 使 用 か 否 かの 判 断 に 関 し 以 下 の 点 が 明 記 された 11 共 同 体 商 標 の 単 一 的 な 性 格 に 鑑 み 政 治 的 な 境 界 ではなく 市 場 の 境 界 の 観 点 からア プローチすべきこと 同 制 度 の 目 的 の 一 つが あらゆる 種 類 や 規 模 の 事 業 に 開 かれたものであることに 鑑 み 事 業 の 大 小 を 関 与 的 な 要 因 としないこと 適 用 すべき 地 域 的 範 囲 を 事 前 に 抽 象 的 に 定 めることはできないこと 関 係 する 市 場 の 性 格 や 指 定 された 商 品 又 はサービスの 性 質 使 用 の 地 域 的 な 範 囲 や 規 模 頻 度 や 定 期 性 など 関 連 する 一 切 の 事 実 や 状 況 に 鑑 みて 評 価 すること そして 種 々の 兆 候 や 証 拠 を 採 用 して 関 連 付 けられるかは 個 別 の 事 案 ごとに 判 断 しなければな らず 地 域 的 範 囲 は 考 慮 すべき 諸 側 面 の 一 つに 過 ぎないこと 以 上 のとおり ONEL/OMEL 事 件 の 判 示 内 容 は OHIM ガイドラインに 反 映 されること になったが 当 該 判 決 において 確 認 されるように ガイドラインは 欧 州 連 合 の 法 律 の 規 定 を 解 釈 するために 拘 束 力 を 有 する 法 的 文 書 でない 12 点 に 留 意 が 必 要 である 10 同 第 49 および 52 段 落 11 Guidelines for Examination in the Office, Part C, Opposition 18~19 ページ 12 同 第 48 段 落
参 考 資 料 : - Guide to preliminary ruling proceedings before the European Court of Justice (http://www.aca-europe.eu/index.php/en/jurisprudence-en/9-uncategorised/384-guid e-to-preliminary-ruling-proceedings-before-the-european-court-of-justice) - Judgments of the Court of Justice of the European Union (http://oami.europa.eu/ows/rw/pages/ctm/caselaw/judgementsecj.en.do) - The reference for a preliminary ruling (http://europa.eu/legislation_summaries/institutional_affairs/decisionmaking_proce ss/l14552_en.htm) - 欧 州 連 合 司 法 裁 判 所, 共 同 体 商 標 の 真 正 な 使 用 とは 一 加 盟 国 における 使 用 で 十 分 か 否 かとの 付 託 質 問 について 判 示 (2012 年 12 月 25 日 JETRO テ ュッセルト ルフ 事 務 所 ) 以 上