頚 椎 の 骨 折 と 脱 臼 小 熊 大 士 はじめに 米 国 165 の 外 傷 センターにおける 111,219 人 の 患 者 を 対 象 とした 最 近 の 報 告 では 頚 椎 外 傷 の 発 生 頻 度 は 4.3%を 占 め その 中 の 1.3%に 脊 髄 損 傷 を 伴 っているとしている また 米 国 では 人 口 10 万 人 当 たり 3.2-5.3 人 に 脊 髄 損 傷 が 生 じているとの 報 告 もある 脊 椎 損 傷 の 発 生 には 15-24 歳 と 50 歳 以 上 との 2 つのヒ ークがあり ここ 数 年 では 50 歳 以 上 の 占 める 割 合 が 増 加 している 一 方 外 傷 センターでの 治 療 体 制 改 善 により これらの 損 傷 に 伴 う 死 亡 率 は 減 少 してきている 各 地 域 の 脊 髄 損 傷 センターの 設 立 が 脊 髄 完 全 損 傷 の 割 合 を 65%から 46%に 脊 髄 損 傷 による 死 亡 率 も 20%から 9%に 減 少 させたとの 報 告 もあり こ の 改 善 による 社 会 的 費 用 削 減 も 明 らかである 脊 椎 脊 髄 損 傷 患 者 のほとんどは 若 年 男 性 である 30% 以 上 は 30 代 の 男 性 であり 受 傷 原 因 の 一 位 は 自 動 車 事 故 で 転 落 銃 傷 スポーツ 外 傷 と 続 く 自 動 車 事 故 は 小 児 におい ても 原 因 の 一 位 であるが 高 齢 者 では 転 落 が 一 位 である 銃 傷 による 脊 髄 損 傷 は 増 加 してお り 脊 柱 管 に 弾 が 存 在 している 場 合 の 最 適 な 治 療 法 は 異 論 のあるところである(これはア メリカらしい) 脊 椎 外 傷 に 対 する 内 固 定 は 神 経 の 除 圧 を 可 能 にし さらに 早 期 離 床 早 期 リハヒ リを 可 能 とする 脊 髄 損 傷 の 患 者 に 対 するリハヒ リの 進 歩 も 機 能 改 善 を 最 大 限 にする 臨 床 評 価 頚 椎 損 傷 の 患 者 の 治 療 は 受 傷 現 場 から 始 まる 例 外 なく 全 ての 外 傷 患 者 において 頚 椎 損 傷 の 存 在 が 疑 われるべきである 頚 椎 損 傷 は 重 度 頭 部 外 傷 高 エネルキ ー 損 傷 神 経 脱 落 所 見 と 非 常 に 関 連 がある 初 期 固 定 は 頚 椎 カラー spine board 砂 袋 によって 行 う 患 者 が 外 傷 センターに 搬 入 された 時 最 初 に 頚 椎 損 傷 を 念 頭 におき 気 道 呼 吸 循 環 の 状 態 を 評 価 する 特 に 上 位 頚 椎 の 場 合 後 咽 頭 の 軟 部 組 織 の 腫 脹 があると 上 部 気 道 の 閉 塞 を 来 たす 頚 椎 損 傷 では 横 隔 膜 呼 吸 筋 麻 痺 による 呼 吸 不 全 を 生 じる 神 経 原 性 ショッ クにより 著 明 な 血 圧 低 下 徐 脈 を 生 じることがある 気 道 および 呼 吸 の 管 理 は 挿 管 し 人 工 呼 吸 器 により 行 う 経 鼻 挿 管 が 経 口 挿 管 より 頸 椎 の 動 きが 少 ないので 比 較 的 安 全 であ る 脊 髄 への 血 流 を 最 大 限 にする 為 には 拡 張 期 圧 は 70mm Hg 以 上 に 保 持 されるべきであ る これは 多 発 外 傷 の 場 合 はまず 補 液 により 行 われるが 神 経 原 性 ショックの 診 断 がつ けば 過 負 荷 にならないよう 昇 圧 剤 による 治 療 を 行 う 蘇 生 後 は 致 命 的 な 損 傷 がないか 評 価 する 救 急 隊 員 からの 受 傷 機 転 や 受 傷 現 場 の 情 報 は 治 療 に 当 たる 医 師 に 合 併 症 の 存 在 を 示 唆 させる 次 に 全 脊 椎 の 精 査 触 診 を 施 行 する 軟 部 組 織 の 腫 脹 圧 痛 軋 音 棘 突 起 間 の 隙 間 の 存 在 は 脊 椎 損 傷 の 存 在 を 示 唆 させる 部 位 が 離 れた 脊 椎 損 傷 は 患 者 の 6%に 存 在 する(double injury が 6%に 存 在 するということ) 頚 椎 損 傷 のある 患 者 には 椎 骨 動 脈 損 傷 の 可 能 性 (20-24%)も 考 えなければならない flexion-distraction, flexion-compression 型 の 83%に 生 じていたとの 報 告 がある MR angiography が 診 断 に 有 用 である 解 剖 学 と ASIA の 神 経 学 的 評 価 法 神 経 学 的 所 見 を 注 意 深 く 観 察 し 明 確 な 評 価 をすることが 最 適 な 治 療 計 画 機 能 回 復 の 予 測 に 重 要 である 評 価 方 法 としては American Spinal Injury Association(ASIA)の 評 価 法 が 広 く 受 け 入 れられている ASIA ではまた 横 隔 膜 機 能 (C4 レヘ ル 透 視 で 確 認 ) 腹 筋 (Th10 レベル Beevor s sign 臍 が 上 部 腹 筋 の 収 縮 より 上 に 変 移 する 現 象 で 下 部 腹 筋 の 収 1
縮 の 欠 如 による) の 評 価 を 義 務 つけている また 脊 髄 損 傷 患 者 の 日 常 生 活 動 作 機 能 を 評 価 する FIM(Functional Independence Measure)という 評 価 法 がある これは 以 下 の 6 領 域 についての 能 力 を 測 定 するものである 1セルフケア 2 排 泄 3 移 動 4 運 動 5コミ ュニケーション 6 認 知 である 2
脊 髄 ショックは 脊 髄 損 傷 の 初 期 の 段 階 で 生 じる これは 損 傷 脊 髄 における 構 造 的 な 障 害 というよりは 代 謝 障 害 (ATP の 枯 渇 )が 脊 髄 機 能 不 全 すなわち 麻 痺, 反 射 の 低 下 消 失 を 起 こしている 一 旦 脊 髄 ショックが 改 善 すると 運 動 及 び 知 覚 検 査 を 機 能 的 障 害 の 評 価 とし て 行 うことが 出 来 るようになる 脊 髄 損 傷 後 の 機 能 回 復 は 年 齢, 体 型, 健 康 状 態 によっても 左 右 される 完 全 脊 髄 損 傷 患 者 はしばしば 受 傷 後 6 か 月 以 上 かかって 同 側 の 一 神 経 根 上 の 高 位 が 回 復 してくる 個 人 の 多 様 性 もあるが 通 常 ではある 特 定 の 神 経 高 位 の 損 傷 後 に 残 存 する 機 能 はある 程 度 予 想 さ れる(Table 5 脊 髄 機 能 の 一 般 的 なゴールである) 一 般 的 に 完 全 脊 髄 損 傷 になるような 外 傷 によって 同 じ 高 位 に 存 在 する 神 経 根 の 損 傷 が 惹 き 起 こされている これらの 神 経 根 は 損 傷 レベルより 近 位 で 正 常 脊 髄 から 発 しているので, 末 梢 神 経 障 害 に 陥 ることになる 神 経 根 の 機 能 は,6 ヵ 月 以 内 に 回 復 すると 期 待 されているので 患 者 の 66~80%は 完 全 脊 髄 損 傷 によって 生 じる 機 能 の1 神 経 根 上 のレベルが 回 復 すると 期 待 されている このことは はっきりと 脊 髄 機 能 の 回 復 とは 区 別 されるべきである( 損 傷 していた 神 経 根 機 能 が 回 復 し たのである) 神 経 学 的 検 査 の 他 のポイントは 反 射 と 筋 緊 張 の 評 価 である 昏 睡 状 態 か あるいは 検 査 に 応 じてくれない 患 者 では 特 に 有 用 である 通 常 の 反 射 の 評 価 に 加 えて あらゆる 病 的 な 反 射 を 考 慮 すべきである Babinski 反 射 は 外 側 の 足 部 を 鋭 利 なもので 刺 激 すると 母 趾 が 伸 展 し 他 の 趾 間 の 開 大 を 示 す Oppenheim 反 射 は 同 側 の 脛 骨 前 縁 を 刺 激 することで Babinski 反 射 と 動 揺 の 反 応 を 示 す Hoffman 兆 候 は 患 者 の 中 指 の 爪 をはじくとことで 陽 性 のと きは 母 指 が 外 転 し 示 指 の 屈 曲 を 起 こす 球 海 綿 体 反 射 の 再 出 現 は 脊 髄 ショックの 終 わり を 意 味 する ほとんどの 患 者 で 局 所 の 反 射 弓 は 48 時 間 以 内 で 回 復 する 脊 髄 ショックが 終 3
わると 正 確 な 患 者 の 神 経 学 的 所 見 というものがわかる すなわち この 時 点 での 完 全 運 動 知 覚 麻 痺 が Frankel の A である 画 像 診 断 単 純 レントゲンでは 正 面 側 面 開 口 位 正 面 像 を 撮 影 する 頸 椎 損 傷 の 85%は 側 面 像 で 診 断 可 能 と 言 われている しかし C7-T1 レベルは 標 準 的 な 撮 影 方 法 ではなく swimmers view あるいは 斜 位 CT 撮 影 がわかりやすい 急 性 期 に 随 意 的 な 前 後 屈 の 撮 影 は 防 御 作 用 が 働 くため 有 用 ではない 頸 椎 側 面 像 では 椎 体 前 方 の 軟 部 組 織 の 腫 脹 アライメントが 評 価 できる 軟 部 組 織 の 厚 さは C1 では 10mm 以 下 C3 では 4-5mm 以 下 C6 では 15-20mm 以 下 である この 測 定 値 は 特 異 的 なものではないが これが 正 常 範 囲 を 逸 脱 していれば 頸 椎 外 傷 を 疑 う 所 見 となる 側 面 像 でのアライメントは 以 下 の 4 項 目 をチェックすべきであ る (1) 椎 体 前 面 の line(2) 椎 体 後 面 の line(3) 椎 弓 の 前 方 皮 質 の line(4) 棘 突 起 の line 発 達 性 狭 窄 の 評 価 は Pavlov 比 (Torg 比 )で 計 測 する 脊 柱 管 前 後 径 / 椎 体 前 後 径 比 が 0.8 以 下 ならば 発 達 性 狭 窄 を 示 唆 する 脊 柱 管 前 後 径 により 脊 髄 損 傷 程 度 の 予 測 が 可 能 である 頸 椎 ( 脱 臼 ) 骨 折 患 者 288 人 の 後 ろ 向 き 研 究 によると 前 後 径 10.5mm では 完 全 脊 髄 損 傷 13.1mm では 不 全 損 傷 15.9mm では 神 経 根 損 傷 16.7mm では 脱 落 症 状 はなしとの 報 告 があ る 椎 間 不 安 定 性 は Panjabi/White による 診 断 基 準 で 評 価 される 側 面 像 で 3.5mm の 移 動 と 隣 接 椎 間 と 比 較 して 11 度 以 上 の 存 在 は 不 安 定 性 を 示 唆 する 所 見 である しかし 外 傷 以 前 の 変 性 所 見 も 考 慮 にいれる 必 要 がある CT は 頚 椎 の 骨 折 を 把 握 するには 最 も 有 用 な 手 段 である 多 発 外 傷 患 者 において CT は 頚 椎 の 損 傷 を 特 定 する 手 段 として sensitivity 90%,specificity100%とスクリーニングには 最 も 有 用 な 検 査 法 である また コスト 面 でも 効 率 が 良 い さらに sagittal,coronal,3d などがあ ればなお 複 雑 な 骨 折 型 を 把 握 することができる MRI は 椎 間 板 靭 帯 脊 髄 などの 軟 部 組 織 の 評 価 に 優 れている また 椎 体 周 囲 の 血 腫 の 評 価 にも 有 用 である また cord の 出 血 を 特 定 することができ 神 経 学 的 回 復 の 予 後 を 推 定 できる 急 性 期 の 出 血 は T2WI で 低 信 号 の 輝 度 で 描 出 され 数 日 後 は 高 輝 度 に 変 化 す る 不 全 脊 髄 損 傷 損 傷 高 位 より 遠 位 の 運 動 知 覚 の 回 復 が 見 られる 場 合 や 回 復 が 早 い 場 合 は 機 能 的 予 後 は 良 好 である 不 全 損 傷 の 90%は Brown Sequard synd.か central cord synd.か anterior cord synd.である Brown Sequard syndrome このタイプは 脊 髄 の 半 分 が 損 傷 されることにより 起 こる 例 えば 銃 器 による 損 傷 刺 傷 など 皮 質 脊 髄 路 ( 運 動 )と 後 索 ( 固 有 感 覚 深 部 覚 )が 脳 脊 髄 レベルで 交 差 し 一 方 脊 髄 視 床 路 ( 温 痛 覚 )は 脊 髄 に 入 る2,3レベル 以 内 で 反 体 側 に 入 る そのように 半 分 の 損 傷 であれば 損 傷 部 位 以 下 の 同 側 の 麻 痺 が 生 じる また 痙 性 反 射 亢 進 クローヌ ス 表 在 反 射 の 低 下 Babinski 反 射 の 出 現 が 見 られる 後 索 の 損 傷 は 損 傷 以 下 の 関 節 位 置 覚 振 動 覚 触 覚 の 脱 出 がみられる この B-S パターンの 損 傷 は 予 後 が 良 いと 考 えられ ている(60 症 例 で 90%で 神 経 回 復 が 見 られた?) Central cord syndromes このパターンは しばしば 頚 椎 の 伸 展 損 傷 でみられる 典 型 例 では 高 齢 者 でもともと 狭 窄 がある 場 合 が 多 い 上 肢 の 運 動 知 覚 機 能 が 障 害 され 下 肢 においては 遠 位 筋 より 近 位 筋 が 障 害 されやすい 近 位 筋 の 線 維 は cord のより 中 心 を 通 過 し 遠 位 筋 はより 外 側 を 通 過 するためである 肛 門 周 囲 の 知 覚 は 温 存 される 歩 行 能 力 や 膀 胱 直 腸 障 害 の 回 復 予 後 は 良 好 で 50%で 機 能 改 善 が 見 られている 4
Anterior cord syndrome このタイプは 脊 髄 の 前 2/3 の 損 傷 である 後 索 は 温 存 されている 受 傷 機 転 は 屈 曲 圧 迫 型 である 外 側 皮 質 脊 髄 路 の 損 傷 があるため 遠 位 筋 の 機 能 は 悪 い 損 傷 レベルでは 弛 緩 性 麻 痺 と fasciculation がおこり それ 以 下 では 痙 性 麻 痺 がおこる 外 側 脊 髄 視 床 路 が 両 側 で 損 傷 されているため 温 痛 覚 は 損 失 する 深 部 覚 振 動 覚 は 温 存 される 機 能 回 復 は 16% と 悪 い Posterior cord syndrome 非 常 にまれなタイプである 深 部 覚 振 動 覚 が 消 失 する 脊 髄 損 傷 の 薬 物 治 療 脊 髄 損 傷 は 多 段 階 を 経 る 最 初 は 外 力 により 損 傷 され 血 流 が 損 傷 されることにより 二 次 的 に 細 胞 死 をもたらす 患 者 の 全 身 状 態 を 安 定 化 させ 脊 椎 を 整 復 しアライメントを 修 復 し 神 経 を 損 傷 させている 要 素 を 除 圧 させ 骨 折 部 を 安 定 化 させることが 受 傷 時 の 損 傷 の 増 悪 を 押 さえ 障 害 を 最 小 にするのに 重 要 である ここ 数 年 薬 物 療 法 が 二 次 的 な 損 傷 の 増 悪 を 軽 減 すると 言 われてきている メチルプレド ニゾロンは 唯 一 神 経 回 復 に 影 響 があると 言 われ 臨 床 試 験 が 行 われている 薬 剤 である メチルプレドニゾロンは lipid peroxidation をへらし 細 胞 膜 を 安 定 化 させ 脊 髄 の 血 流 を 増 加 させ 血 管 の 透 過 性 浮 腫 を 減 少 させる National Acute Spinal Cord Injury(NASCIS)II では 受 傷 後 8 時 間 以 内 でメチルプレドニゾロンを 使 用 した 脊 髄 損 傷 不 全 麻 痺 には プラ セボ 群 より 有 意 に 神 経 学 的 回 復 が 見 られたとしている 逆 に 8 時 間 以 上 経 過 すると 副 作 用 の 方 が 強 くなり 結 果 が 悪 化 するとしている NASCIS III では 3 から 8 時 間 以 内 に 投 与 開 始 すると 48 時 間 まで 神 経 学 的 回 復 が 望 めるとしている Ganglioside GM-1(phase II 臨 床 試 験 )では 72 時 間 まで 運 動 の 回 復 が 見 られたとしている そのメカニズムは 明 らかではな いが 恐 らくアミノ 酸 の 活 動 性 を 選 択 的 に 中 和 し 中 枢 神 経 への 代 謝 率 を 減 らし 神 経 と fibroblast の growth factor の 神 経 防 御 因 子 の 相 乗 効 果 とも 考 えられている 動 物 実 験 では GM-1はメチルプレドニゾロンと 併 用 したときは 効 果 がなくなるとしている 頸 髄 損 傷 の 初 期 固 定 急 性 の 不 安 定 頸 椎 は 通 常 Rotorest bed にて 頭 蓋 骨 直 達 牽 引 を 行 い 不 安 定 性 を 減 弱 し 安 定 化 させる 必 要 がある Rotorest bed このベッドの 使 用 にて 呼 吸 器 合 併 症 褥 創 深 部 静 脈 血 栓 症 の 発 症 を 最 小 限 にすること ができる ステンレス 製 (MRI 撮 影 可 能 )の 牽 引 は 140 ポンド(63.5kg)まで 牽 引 でき カー ボ ン フ ァ イ バ ー の も の は 65 ポ ン ド (30kg) ま で 安 全 に 牽 引 す る こ と が で き る Gardner-Wells 牽 引 の 引 き 抜 き 強 度 は 使 用 回 数 に 従 い 減 少 する 故 に 頭 蓋 骨 直 達 牽 引 器 5
は使用前後に必ずチェックしなければならず もし 中のスプリングが壊れていれば交換 しておかなければならない 頚椎固定器具 頸椎外固定器具のメジャーなものは頸椎カラーとハローベストである 頸椎カラーによ る骨折の制動効果はどれもほとんど同じである これらの外固定器具には それぞれ固有 の合併症がある 頸椎カラーは圧迫による皮膚潰瘍 頭蓋内圧の亢進が起こることが知ら れている 多発外傷患者 意識喪失患者ではとりわけリスクが高くなる いくつかのカラ ーでは 圧を分散し 皮膚潰瘍予防に配慮したものもある halo ring and vest Philadelphia collar ハローベストは頸椎の外固定器の中で 最も安定した固定力を有している ほとんどの ハローベストは 1.5T 以下であれば MRI 撮影可能である 頭蓋ピンは成人では 8 ポンド (3.6kg) 小児では 4 ポンド(1.8kg)で締め付けるべきとされている 骨粗鬆症や骨形成障 害がある場合 ピンの数を多くする 小児の場合 6-8 本のピンで弱めのトルクで固定す るのが良い ベストをタイトに着用すると頸椎の可動域が減少することが死体を用いた実 験にて証明されている 手術の時期について 神経症状を有する頸椎の脱臼 骨折は可能な限り早期に整復固定すべきである 頸椎の その他の損傷の場合 適切な手術時期はあまりはっきりしたものはない 神経学的症状の 悪化する恐れのないものには早期に手術を行なう必要はないとする見解もある しかし 受傷後 5 日以内での外科的除圧と固定は 早期より患者の自由度が高まり 入院期間の短 縮やコストの削減につながることが知られている この事実はとりわけ多発外傷患者にお いて顕著である 138 例の多発外傷例を含む頸椎外傷患者の retrospective review による と受傷後 72 時間以内に手術を行なった群の方が 術後合併症が少なかったとのことである 結論として 全身状態が許すなら 可能な限り早期に手術をするのが良いであろう 成人頚椎損傷の各論 Atlanto-Occipital Injuries 6
Atlanto-Occipital Injuries は 外 傷 死 の 5-8%に 生 じ 頸 椎 損 傷 による 死 亡 原 因 の 19-35% を 占 めている 実 は Atlanto-Occipital dislocation 患 者 の 80% 以 上 が 1975 年 以 降 に 報 告 されている これは 救 急 蘇 生 法 と 緊 急 輸 送 法 の 改 善 により この 致 死 的 外 傷 患 者 の 多 くが 救 われるようになったためである 146 例 の 交 通 事 故 死 の review によれば 5%の 頻 度 で Atlanto-Occipital dislocation が 生 じていたとのことである 12 歳 以 下 の 小 児 では 成 人 と 比 較 し Atlanto-Occipital angle が 平 行 で 全 身 に 占 める 頭 部 の 割 合 がかなり 高 い ので この 損 傷 はこの 年 代 に 多 い 傾 向 がある C3 レベルの 軟 部 組 織 の 腫 脹 が X 線 で 認 められることがある 多 くの 解 剖 学 的 な 基 準 線 が 後 頭 -C1 間 の 正 常 な 関 係 の 指 標 として 定 められている 第 一 の 線 は 斜 台 から 歯 突 起 まで 引 いた 接 線 である もう 一 つの 線 は 大 後 頭 孔 後 縁 から C1 の 椎 弓 内 縁 に 引 いた 緩 やかな 曲 線 で ある Power s ratio は 大 後 頭 孔 前 縁 から 環 椎 後 弓 後 縁 までの 距 離 / 大 後 頭 孔 後 縁 から 環 椎 前 弓 後 縁 までの 距 離 で 表 され この 値 が 1 以 下 であれば 後 頭 環 椎 間 の 前 方 脱 臼 なしと 診 断 される(Fig3) Fig 3 Powers ratio による 後 頭 頚 椎 不 安 定 性 の 計 測 1 以 上 は 後 頭 頚 椎 の 前 方 変 位 を 示 す 最 も 一 般 的 な 後 頭 環 椎 間 脱 臼 の 分 類 ではこの 損 傷 は 3 タイプに 分 類 されている タイプ Ⅰは 後 頭 の 環 椎 に 対 する 前 方 脱 臼 である タイプⅡは 長 軸 上 での 脱 臼 である このタイプ の 場 合 いかなる 牽 引 にても 神 経 症 状 の 改 善 は 得 られない タイプⅢは 後 方 への 亜 脱 臼 また は 脱 臼 である タイプⅠとⅢは 牽 引 にて 脱 臼 を 整 復 することにより 神 経 症 状 の 改 善 が 得 ら れることがある 頭 蓋 の 脱 臼 における 致 死 性 は 非 常 に 高 く ごく 少 数 の 生 存 例 では 脳 神 経 脳 幹 延 髄 脊 髄 結 合 部 上 位 頸 髄 損 傷 が 存 在 することが 多 い 椎 骨 動 脈 損 傷 は 脱 臼 に 伴 って 生 じること が 多 い 予 測 される 損 傷 メカニズムは 伸 展 - 回 旋 力 と 思 われる このレベルでの 椎 骨 動 脈 不 全 により 同 側 の 第 5 9 10 11 脳 神 経 麻 痺 Horner s syndrome 対 側 の 知 覚 温 度 覚 喪 失 小 脳 障 害 交 差 部 位 での 損 傷 による 交 叉 性 麻 痺 からなる Wallenberg s syndrome を 生 じる 後 頭 環 椎 間 脱 臼 では 全 例 即 座 にハローベストを 装 着 しなければならない この 損 傷 は 非 常 に 不 安 定 なので 後 頭 頸 椎 間 固 定 は 治 療 法 の 一 つの 選 択 肢 である この 方 法 には 多 数 の 手 技 があり 後 方 固 定 術 (O-C fusion)が 行 われ 術 後 の 外 固 定 は 頸 椎 カラーで 十 分 であ る 7
Ransford loop fixation Fracture of the Atlas 環 椎 骨 折 は 頸 椎 骨 折 中 2-13%を 占 めており 比 較 的 年 齢 層 が 低 く( 平 均 30 歳 ) 大 多 数 は 交 通 事 故 により 受 傷 している これらの 骨 折 は axial loading により 生 じ それ 故 一 般 的 に 頭 部 外 傷 を 伴 う 多 発 外 傷 患 者 に 生 じることが 多 い 加 えて C1-C2 複 合 体 の 骨 折 や 非 連 続 性 頸 椎 骨 折 と 密 接 に 関 係 している X 線 により 後 弓 骨 折 外 側 塊 骨 折 Jefferson 骨 折 に 分 類 される 開 口 位 像 での 外 側 塊 の 6.9mm 以 上 の 転 位 は 横 靭 帯 不 全 を 示 唆 している 単 純 CT は 骨 折 型 を 明 らかにすることがで きる 外 側 塊 の 6.9mm 以 下 の 転 位 を 伴 う 環 椎 骨 折 の 治 療 はハローベスト 固 定 を 3 ヵ 月 施 行 する ハローベスト 除 去 後 に 動 態 撮 影 を 行 い C1-C2 間 の 不 安 定 性 を 評 価 し 明 らかな 不 安 定 性 が 残 存 していれば C1-C2 の 固 定 手 術 を 行 う 外 側 塊 の 転 位 が 6.9mm 以 上 の 場 合 の 治 療 は controversial である 第 一 の 方 法 として 頭 蓋 牽 引 を 6-8 週 間 行 ない その 後 6 週 間 ハ ローベストを 装 着 するという 方 法 がある 第 二 の 方 法 として 即 座 にハローベストを 装 着 す るという 方 法 がある これは 長 期 臥 床 に 伴 う 合 併 症 予 防 の 点 で 優 れており 予 後 が 比 較 的 良 いことがわかっている この 2 つの 方 法 はいずれも acceptable な 方 法 であり 患 者 の 状 態 により 使 い 分 けるのが 良 いであろう ハローベスト 抜 去 後 の 動 態 撮 影 にて C1-C2 間 に 5mm 以 上 の 不 安 定 性 が 存 在 するなら 手 術 治 療 が 推 奨 される もし C1 の 後 弓 が intact なら C1-C2 の 後 方 固 定 が 推 奨 される 後 弓 が 偽 関 節 になっている 場 合 または 後 頭 窩 に 明 らかな 損 傷 がある 場 合 には 後 頭 -C2 間 の 固 定 が 推 奨 される 後 弓 の 単 独 骨 折 は 頚 部 の 過 伸 展 損 傷 により 生 じる これらは 安 定 型 損 傷 であり 頸 椎 カ ラーによる 保 存 治 療 で 十 分 である Atlantoaxial Subluxation and Dislocation 環 軸 椎 回 旋 不 安 定 性 に 対 しては まず 3 週 間 の 頭 蓋 牽 引 を 行 なう 牽 引 により 変 形 矯 正 されなければ 観 血 的 整 復 +C1-C2 間 固 定 をおこなうべきである C1-C2 間 固 定 には Gallie 法 Brooks 法 C1-C2 transarticular screw+brooks 法 など 多 くの 方 法 が 報 告 されている Transarticular screw 固 定 は 術 後 ハローベスト 固 定 が 必 要 ないくらい 十 分 な 固 定 性 が 得 ら れる Gallie 法 Brooks 法 C1-C2 Transarticular screw+brooks 法 8
Fractures of the Odontoid 歯 突 起 骨 折 は 頚 部 痛 以 外 の 症 状 に 乏 しいことからしばしば 見 逃 される 頭 部 外 傷 合 併 例 中 毒 例 などではさらに 診 断 が 難 しい 屈 曲 伸 展 いずれの 受 傷 機 転 でも 歯 突 起 骨 折 は 起 こ り 過 屈 曲 では 歯 突 起 の 前 方 転 位 過 伸 展 では 後 方 転 位 を 来 たす 診 断 は 開 口 位 撮 影 側 面 の X 線 で 行 われ Anderson-d Alonzo 分 類 に 基 づき 治 療 が 行 われている TypeⅠ: 通 常 カラー 固 定 3 ヶ 月 の 保 存 治 療 を 行 う TypeⅡ: 他 の 2 型 と 比 べ 予 後 予 測 が 困 難 である 歯 突 起 骨 折 の 偽 関 節 は 全 体 で 32%と 言 われるが 1 転 位 が 5mm 以 上 2 角 状 変 形 が 10 以 上 340 歳 以 上 4 後 方 転 位 では 偽 関 節 率 は 高 くなる 転 位 が 6mm 未 満 では 偽 関 節 率 が 10%であるのに 対 し 6mm を 超 え ると 78%と 高 率 である 転 位 のない typeⅡ 骨 折 では halo vest が 好 んで 用 いられる 偽 関 節 のリスクが2つ 以 上 ある 場 合 C1-2 固 定 か odontoid screw による 骨 接 合 が 良 い C1-2 固 定 の 場 合 頚 部 回 旋 の 50%が 失 われることから 回 旋 のことを 考 えると 理 論 的 に は 歯 突 起 の 骨 接 合 の 方 が 有 利 であるが 実 際 には 術 後 の 回 旋 には 大 きな 差 はないようであ る 歯 突 起 骨 接 合 を 行 うためには 横 骨 折 であり 粉 砕 がなく 整 復 可 能 である 必 要 があ る また 椎 体 と 歯 突 起 の 解 剖 が 適 していなければならない 高 齢 者 に 対 する odontoid screw の 使 用 は 高 率 に 合 併 症 を 伴 う TypeⅢ: 患 者 背 景 要 求 により 治 療 は 異 なる Halo vest では 13%の 偽 関 節 15%の 変 形 治 癒 がある これに 対 し C1-2 固 定 では 96%の 癒 合 率 である Anderson-d Alonzo 分 類 A: Type I B: TypeⅡ C: TypeⅢ Traumatic Spondylolisthesis of the Axis 軸 椎 の 外 傷 性 辷 り(Hangman s fracture)は 伸 展 屈 曲 伸 延 を 含 むあらゆる 受 傷 機 転 で 生 じ 骨 折 線 は 椎 弓 に 及 ぶ Effendi 分 類 を 修 正 したものが 用 いられ TypeⅠ: 単 独 の 場 合 3 ヶ 月 の 硬 性 カラーで 治 療 TypeⅡ:3mm 以 上 の 転 位 11 以 上 の 角 状 変 形 C2 椎 体 の 楔 状 圧 迫 骨 折 亜 型 として typeⅡa があり 著 明 な 角 状 変 形 だが 転 位 は 認 めず 椎 間 板 と 後 縦 靱 帯 の 著 明 な 破 綻 を 伴 う わずかな 牽 引 力 で 明 らかな 椎 間 板 腔 の 開 大 を 生 じる 別 の 亜 型 として 骨 折 線 が 椎 体 後 面 に 抜 けるタイプのものもあり この 場 合 33%の 確 率 で 神 経 学 的 異 常 を 認 める ⅡA を 除 く 全 ての typeⅡ 骨 折 で halo vest を 用 いた 保 存 治 療 が 行 われる 11 以 上 の 角 状 変 形 に 伴 う 偽 関 節 の 場 合 後 方 固 定 が 必 要 である TypeⅢ: 片 側 あるいは 両 側 の C2/3 椎 間 関 節 脱 臼 があり 著 明 な 転 位 角 状 変 形 を 伴 う 不 安 定 型 損 傷 である 前 後 縦 靭 帯 C2/3 椎 間 板 の 破 綻 を 生 じる 全 ての typeⅢ 骨 折 は 手 術 的 整 復 と C2/3 後 方 固 定 を 要 する 内 固 定 は 棘 突 起 間 wiring か C2 pedicle screw C3 lateral mass screw を 用 いた 後 方 plating が 行 われる 9
A: TypeⅡ 骨 折 B:C2 椎 体 axial 像 では 椎 体 後 面 に 抜 け る 骨 折 線 が 見 られる Injuries to the Subaxial Spine Allen 分 類 を 用 いる 圧 迫 屈 曲 損 傷 から 側 方 屈 曲 損 傷 まで 受 傷 機 転 によって 大 きく 6 つの class に 分 けられ 各 class は 更 に 複 数 の stage に 細 分 されている Anterior Wedge Compression Fractures 屈 曲 位 での 軸 圧 によって 生 じ 典 型 的 には C4/5 C5/6 レベルである 神 経 学 的 異 常 を 来 たすことは 稀 であるが 骨 折 が 重 度 の 場 合 には 後 弯 変 形 の 残 存 という 結 果 をもたらす 多 くは 保 存 的 に 治 療 されるが 11 以 上 の 角 状 変 形 や 25% 以 上 の 椎 体 高 損 失 がある 場 合 に は 後 弯 変 形 を 防 ぐために 固 定 術 を 考 慮 しても 良 い Cervical Burst Fractures 重 度 の 軸 圧 負 荷 によって 生 じ 一 般 的 には C4 から C7 まで 広 く 起 こり 得 る 骨 片 の 脊 柱 管 内 転 位 による 完 全 あるいは 不 完 全 脊 髄 損 傷 を 伴 う 頚 椎 破 裂 骨 折 の 治 療 法 は 神 経 学 的 所 見 によって 決 定 される 神 経 学 的 異 常 がある 場 合 前 方 からの 椎 体 切 除 と 骨 移 植 プレートによる 前 方 固 定 が 最 も 良 い 前 方 プレートのデ ザインは 後 方 要 素 の 損 傷 がある 場 合 でも 単 独 で 使 用 出 来 るように 改 善 されているが 後 方 要 素 の 破 綻 が 重 度 の 場 合 には 前 方 後 方 固 定 instrumentation の 併 用 が 必 要 かも 知 れない Allen-Ferguson 分 類 A: 圧 迫 屈 曲 損 傷 B: 軸 圧 損 傷 C: 伸 延 屈 曲 損 傷 D: 圧 迫 伸 展 損 傷 E: 伸 延 伸 展 損 傷 F: 側 方 屈 曲 損 傷 10
C5 破 裂 骨 折 A: 側 面 X 線 B:T2 強 調 MRI 像 C: 骨 折 椎 体 の CT 像 D: 椎 体 切 除 と 前 方 から の 腸 骨 移 植 プレート 固 定 による 治 療 椎 間 関 節 損 傷 椎 間 関 節 損 傷 は 頚 椎 外 傷 の 中 では 最 も 一 般 的 である 片 側 あるいは 両 側 純 粋 な 骨 折 から 純 粋 な 脱 臼 まで 見 られる Facet Fractures 片 側 の facet fracture は 上 下 の 椎 間 関 節 を 含 むことがあり 頚 椎 の 軽 度 屈 曲 による 回 旋 力 により 生 じる 上 関 節 突 起 骨 折 はよくある 損 傷 で 全 体 の80%を 占 める 軽 度 から 中 等 度 の 棘 間 靭 帯 断 裂 や 椎 間 板 の 部 分 損 傷 に 伴 って 関 節 包 断 裂 が 生 じる 側 面 X-P では 椎 体 が 軽 度 傾 いて(5-7 度 )Translation して(4-4.5mm) 見 える 下 関 節 突 起 骨 折 は 普 通 椎 弓 の 基 部 から 始 まることが 多 く 椎 弓 骨 折 と 合 併 しやすい 骨 折 の 不 安 定 性 により 片 側 椎 間 関 節 骨 折 の 治 療 は 変 わってくる 転 位 がなく 小 骨 片 であ れば 装 具 で 十 分 である 回 旋 転 位 が 著 明 であれば 整 復 関 節 固 定 が 必 要 である 前 方 後 方 アプローチの 両 方 がある 前 方 法 は 安 定 化 するために 必 要 な 固 定 のレベルが 最 小 で 済 む 内 固 定 は 回 旋 したコンポーネントを 中 和 するものでなければならない 椎 弓 根 の 骨 折 が 椎 弓 から 関 節 突 起 に 平 行 に 広 がる 外 側 塊 が 分 離 する 骨 折 は 伸 展 回 旋 損 傷 である これらはもっぱら 片 側 の 骨 折 で2 椎 間 の 不 安 定 性 を 生 じる 神 経 根 症 (48%) 脊 髄 症 状 (16%)が 発 生 する 側 面 X-P では 古 典 的 には 外 側 塊 の 水 平 化 が 見 られるとさ れている この 損 傷 は 極 めて 不 安 定 なため 不 安 定 部 位 の 整 復 関 節 固 定 が 必 要 である これらも 前 方 後 方 法 がある 両 側 の 椎 間 関 節 骨 折 は Translation Shear force( 剪 断 力 )の 両 方 で 生 じる 著 明 な 椎 間 板 の 損 傷 と 合 併 しやすい Translation の 程 度 は 重 傷 度 を 表 す Translation が 著 明 な(3.5mm 以 上 ) 両 側 椎 間 関 節 骨 折 は 直 接 間 接 的 に 整 復 してインストルメントで 固 定 するのが 良 い ( 前 方 または 後 方 ) Facet Subluxations and Dislocations 片 側 両 側 の 椎 間 関 節 の 亜 脱 臼 は 屈 曲 伸 延 損 傷 で 後 方 の 靭 帯 関 節 包 は 断 裂 しているが 椎 間 板 は 損 傷 されない 軽 度 の 後 弯 (10 度 以 下 )が 側 面 像 でわかることがある これらの 亜 脱 臼 は 頚 椎 伸 展 により 自 然 に 整 復 された 重 度 の 屈 曲 伸 延 損 傷 とは 異 なる 両 側 の 椎 間 関 節 が 脱 臼 した 状 態 は より 重 度 な 屈 曲 伸 延 損 傷 である 下 関 節 突 起 は 上 関 節 突 起 を 前 上 方 に 乗 り 越 える 椎 間 関 節 が 脱 臼 すると 著 明 な 後 弯 をきたす 黄 色 靭 帯 椎 間 板 の 後 方 髄 核 の 破 綻 が 生 じる 整 復 後 方 固 定 インストルメントの 使 用 が 必 要 である 片 側 の 椎 間 関 節 脱 臼 は 屈 曲 伸 延 に 加 えて 回 旋 力 が 加 わり 発 生 し 棘 間 靭 帯 関 節 包 椎 11
間 板 後 外 側 の 損 傷 が 生 じる 24%に 脊 髄 症 状 68%に 神 経 根 症 状 が 発 生 する 両 側 椎 間 関 節 脱 臼 は 屈 曲 伸 延 損 傷 の 最 終 段 階 である 側 面 像 では 椎 体 が 50% 程 度 まで 前 方 に 変 移 する 両 側 脱 臼 の 60% 位 は 椎 間 板 の 破 裂 があり 55% 程 度 は 整 復 前 にヘルニアが ある 椎 間 板 の 断 片 が 変 移 した 上 方 の 椎 体 についていれば 整 復 によって 脊 柱 管 に 押 し 込 むことになる 覚 醒 していて 神 経 学 的 に 異 常 のない 患 者 の 椎 間 板 の 画 像 診 断 について 実 用 性 があるかど うかは 議 論 がある これらの 損 傷 でヘルニアの 合 併 が 高 いことは 知 られているが これら ヘルニアの 大 部 分 は 無 症 状 で ほとんどの 神 経 学 的 損 傷 は 全 身 麻 酔 下 の 手 術 的 整 復 時 に 発 生 する いくつかの 報 告 では 事 前 に MRI を 撮 影 することなしに ただちに 椎 間 関 節 脱 臼 を 安 全 に 牽 引 整 復 できている また ただちに 整 復 するほうが 後 で 整 復 するより 神 経 症 状 の 回 復 が 良 いことも 示 されている 整 復 時 に 牽 引 を 増 やしていくときには 詳 細 な 神 経 所 見 を 評 価 することが この 方 法 では 非 常 に 重 要 である 神 経 所 見 が 悪 化 しないか 注 意 深 く 見 守 る 必 要 がある また Frankel A,B のような 重 度 の 脊 髄 損 傷 はただちに 非 手 術 的 に 整 復 しなければならない 頚 椎 の 穿 通 性 損 傷 ( 銃 器 損 傷 ) アメリカでは 年 間 50 万 人 の 銃 外 傷 が 発 生 する 1973 年 から 1981 年 では 脊 損 の 発 生 原 因 は 1 位 転 落 (38%) 2 位 交 通 外 傷 (16%) 3 位 小 火 器 による 銃 外 傷 (13%)である 銃 による 場 合 は 脊 髄 の 直 接 外 傷 椎 体 に 弾 丸 が 当 たった 衝 撃 による 震 盪 毒 性 ( 鉛 銅 ) が 原 因 である 脊 柱 管 から 弾 丸 を 摘 出 するかは 議 論 がある 1991 年 の 研 究 では 弾 丸 を 摘 出 しても 知 覚 や 疼 痛 の 改 善 には 効 果 がなかった 弾 丸 を 摘 出 して 運 動 が 回 復 するという 報 告 もない スポーツ 外 傷 フットボール 選 手 の 頚 椎 損 傷 は 10-15%と 言 われている ラインマン ラインバック(デ ィフェンス)はタックルをするプレイが 多 いため 頚 椎 損 傷 の 危 険 性 が 高 い 防 具 やタック ルの 技 術 が 進 歩 したためコンタクトスポーツの 重 度 な 頚 椎 損 傷 は 減 少 している 発 生 のメ カニズムは 頚 椎 の 屈 曲 と 軸 圧 である 救 急 室 に 運 び 込 まれるまで 頚 椎 のアライメントを 変 えないようパッドやヘルメットは 取 らないでおく 近 年 フットボール 選 手 の 一 過 性 四 肢 麻 痺 の 治 療 は 進 歩 してきた およそ 1 万 人 の 大 学 生 フットボール 選 手 に 7.3 人 の 割 合 で 発 生 する タックルを 行 うような 選 手 の 頚 椎 椎 間 板 ヘルニアは 放 置 すると 悲 惨 な 結 果 を 招 く 明 ら かなヘルニアが 無 く bulging のみで 神 経 根 症 が 改 善 して 頚 部 の 痛 みや ROM 制 限 が 無 く なればスポーツに 復 帰 できる 保 存 治 療 が 上 手 くいかなければ 頚 椎 椎 間 板 ヘルニアは 前 方 固 定 という 選 択 肢 がある 1 2 椎 間 の 前 方 固 定 後 症 状 が 消 失 して 運 動 も 改 善 頚 部 運 動 痛 も 無 く 骨 癒 合 すればスポーツ 復 帰 できる 不 安 定 な 脱 臼 骨 折 は 損 傷 の 種 類 不 安 定 性 の 方 向 によって 前 方 後 方 法 あるいは 両 方 を 組 み 合 わせて 治 療 する 競 技 レベルと 一 般 人 との 間 で 手 術 法 に 差 はない しかし 競 技 レベ ルで 不 安 定 な 損 傷 を 受 傷 した 場 合 は 競 技 を 中 止 しなければならない 特 に 手 術 を 要 するよ うな 頚 椎 の 骨 折 不 安 定 な 靭 帯 損 傷 を 受 傷 したのであればスポーツは 絶 対 に 禁 止 である 12