読 書 活 動 の 推 進 に 向 けた 取 り 組 み ~ 学 校 図 書 館 支 援 員 の 有 効 活 用 ~ 越 前 市 王 子 保 小 学 校 本 年 度 より 学 校 図 書 館 支 援 事 業 として 本 校 に 毎 週 月 曜 日 と1 3 5 週 の 木 曜 日 に 図 書 支 援 員 を 迎 えることになった 本 校 の 支 援 員 さんは 図 書 ボ ランティアとしての 経 歴 も 長 く 子 育 て 支 援 センタ ーや 老 人 施 設 読 み 聞 かせ 講 座 でも 活 躍 されている 方 である 支 援 員 の 配 置 を 受 け 学 習 活 動 に 使 う 図 書 の 紹 介 授 業 や 休 み 時 間 の 読 み 聞 かせ 活 動 等 を 通 して 読 書 に 親 しむ 環 境 づくりと 文 章 を 読 み 解 く 力 の 育 成 に 繋 げるために 以 下 のような 実 践 に 取 り 組 んだ 実 践 1 授 業 での 計 画 的 な 図 書 支 援 員 の 活 用 図 書 支 援 員 の 配 置 を 受 け 年 度 初 めに1 年 間 にどんな 支 援 が 必 要 であるか 図 書 主 任 から 学 年 ごとにたたき 台 を 出 し 大 まかな 計 画 を 立 てた 国 語 の4 月 の 教 材 で 読 書 を 扱 っている 物 も 多 かったので 各 学 年 で 図 書 支 援 員 による 読 み 聞 かせを 取 り 入 れた 日 本 の 伝 統 産 業 について や 姿 を 変 える 食 べ 物 などの 学 習 の 導 入 に も 読 み 聞 かせで 対 応 した 45 分 の 時 間 の 使 い 方 は はじめのうちはほとんどを 読 み 聞 かせに 使 っていたが そのうち 前 半 を 読 み 聞 かせに 使 い 後 半 はおすすめの 本 を 児 童 たちが 自 分 で 読 む 時 間 へとスタイルが 変 わっていった そうすることで 活 動 場 所 が 図 書 室 となるこ とが 多 く 普 段 なかなか 図 書 室 に 足 が 向 かない 子 も 図 書 室 に 行 く 機 会 を 増 やすこと となった また 調 べ 学 習 の 補 助 として 図 書 支 援 員 に 教 室 に 入 ってもらうこともあ った 年 度 初 めに1 年 間 を 見 通 した 計 画 は 難 しかったので 2ヶ 月 ごとにクラス 単 位 で スケジュールを 確 定 して 設 定 している こうして 活 動 内 容 を 記 録 に 残 し 蓄 積 してい くことで 来 年 度 の 図 書 支 援 員 の 活 動 はもっとスムーズになると 思 われる 図 書 支 援 員 活 用 計 画 表 は 職 員 室 に 掲 示 してあるが 担 任 がつい 忘 れてしまったり 打 ち 合 わせができていなくてサポートできなかったり 勤 務 の 曜 日 と 時 間 の 都 合 で 入 ってもらえないクラスがあったりと 課 題 は 多 いが 児 童 たちは 図 書 支 援 員 を 通 じて 本 とのつながりを 深 めてきている ( 参 考 資 料 : 次 頁 学 校 図 書 支 援 員 活 動 計 画 表 )
( 資 料 )
実 践 2 昼 休 みの 時 間 を 使 っての 読 み 聞 かせ 本 校 は 雨 天 の 日 は 児 童 の 活 動 場 所 が 体 育 館 に 限 られ 使 用 割 り 当 て 以 外 の 児 童 の 収 容 場 所 が 少 なく 廊 下 や 図 書 室 を 走 り 回 る 姿 が 多 かった 図 書 支 援 員 は12 時 45 分 からの 勤 務 なので 昼 休 みの 時 間 に 本 の 読 み 聞 かせをしてもらうことに した 給 食 時 の 放 送 で 今 日 の 本 の 紹 介 をして 休 み 時 間 に 図 書 室 で 読 み 聞 かせをすることにした 自 由 参 加 なので 聞 きたい 児 童 は 給 食 後 図 書 室 に 駆 けつけ 読 み 聞 かせを 聞 いていた 昼 休 みは 図 書 主 任 が 図 書 室 に 行 けないことが 多 く 図 書 支 援 員 にお 任 せになりがちで 児 童 たちの 聞 く 態 度 もあまりよくないが お 話 を 聞 きに 行 く 子 は 本 当 に 楽 しみにしていた 図 書 当 番 の 児 童 たちは お 話 を 聞 くだけでなく 図 書 支 援 員 の 様 子 を 見 て 走 り 回 る 子 を 静 かにさせたり 大 型 絵 本 のページを めくったりして 手 伝 うようになっていった また 図 書 支 援 員 さんの 読 み 聞 かせの 技 も 知 らず 知 らずに 児 童 の 身 についているようで 下 級 生 や 幼 稚 園 児 への 読 み 聞 か せ 活 動 に 活 かされていった 実 践 3 わかばプロジェクト 特 別 支 援 学 級 わかばの 児 童 は 普 段 の 学 校 生 活 の 中 で 周 囲 の 子 に 助 けてもらうこ とが 多 いが 逆 に 自 分 のできることで 人 の 役 に 立 てるという 体 験 をさせることが 大 切 である そうすることで 自 信 を 持 ったり 達 成 感 や 自 己 有 用 感 を 味 あわせた りすることができる そこで わかばの4 人 とトロンボーンが 得 意 な 担 任 とで 読 み 聞 かせをしていこうという わかばプロジェクト の 計 画 を 立 てた これには 校 長 担 任 図 書 支 援 員 図 書 主 任 教 育 補 助 員 が 入 り 指 導 にあたった 最 初 は 大 型 絵 本 たまごにいちゃん の 作 品 を 選 んだ 自 分 に 甘 い 主 人 公 が 自 立 していくお 話 である 6 月 末 の 特 別 支 援 学 級 合 同 宿 泊 学 習 で 披 露 することを 目 標 に 練 習 をしていった 入 場 からトロンボーンの 音 楽 をふんだんに 入 れ 楽 しい 衣 装 を 身 につけ 大 型 絵 本 を 読 むことにした なかなかうまくならなかった が 本 番 では 大 成 功 し たくさんの 子 たちに 面 白 かったよ と 言 われ 4 人 はたいへん 自 信 をつけた 2 作 目 の 大 型 絵 本 ありとすいか では 短 い 言
葉 の 繰 り 返 しで 話 を 進 めていったが 4 人 全 員 に 言 葉 を 割 り 当 てることにした 1 作 目 では 練 習 が2ヶ 月 半 かかったが 2 作 目 は2 週 間 ほどで 仕 上 げることができた 1 作 目 と 合 わせて 保 育 園 や 幼 稚 園 老 人 福 祉 施 設 や 今 立 図 書 館 などでも 公 演 を 行 った 3 作 目 は 主 人 公 が 未 来 の 自 分 に 向 かってゆっくり 歩 むお 話 あしたのぼくは を 選 んだ 学 習 発 表 会 や 読 書 集 会 で 上 演 することを 想 定 して スライドの 作 品 にし た 発 表 会 では 全 校 児 童 を 前 にしても 臆 することなく 堂 々と 発 表 することができ た 4 作 目 の 大 型 絵 本 まどから おくりもの は クリスマスバージョンの 作 品 に して 思 い 切 り 楽 しく 構 成 した 保 育 園 だけでなく 子 育 て 支 援 センターや 市 役 所 の ホールなどでも 発 表 し みんなを 楽 しませることができた 今 後 は 3 月 に 向 けて 本 格 的 な 読 み 聞 かせに 挑 戦 していく 予 定 である はじめは この 子 たちに 読 み 聞 かせなんて 大 丈 夫 だろうか と 思 っていたが 4 人 はぐんぐん 力 をつけていった 失 敗 して 泣 いてばかりいた 子 も 大 きな 声 を 出 そうともしなかった 子 も お 話 で 人 を 喜 ばせることによって 強 くなり 生 き 生 きと 自 分 を 表 現 することができるようになっていった そしてその 子 供 たちの 変 化 や 表 現 の 豊 かさを 学 校 中 の 職 員 や 児 童 が 見 て 応 援 してくれるだけでなく 刺 激 も 受 け た わかばの 子 に 負 けないように 自 分 達 も 頑 張 りたいという 気 持 ちが 芽 生 え 学 校 全 体 の 読 み 聞 かせの 質 の 向 上 につながった 読 み 聞 かせでは 本 の 選 択 は 大 きなポイントである 多 くの 図 書 を 知 っている 図 書 支 援 員 には その 都 度 わかば 学 級 の 子 たちにぴったりの 本 を 選 択 してもらえた また 放 課 後 には 担 任 図 書 主 任 図 書 支 援 員 教 育 補 助 員 それぞれがマンツーマ ンで 指 導 にあたれた 事 も 成 功 の 要 因 だと 考 える 実 践 4 夏 休 みの 図 書 室 開 放 とお 話 会 本 校 の 児 童 は 夏 休 み 中 も 学 童 保 育 に 多 く 通 っている また 家 にいる 子 も 日 中 は1 人 で 留 守 番 をしている 子 が 多 い そこで 図 書 支 援 員 の 勤 務 日 に 合 わせて 月 曜 日 の 午 後 1 時 から4 時 までの 図 書 室 開 放 を 行 った 同 時 に 図 書 支 援 員 によるお
話 会 も 実 施 した この 時 は 児 童 管 理 として 図 書 主 任 も 一 緒 にいるようにした 児 童 センターとも 打 合 せをして 学 童 児 はお 話 会 のあとプール 開 放 に 向 かうことにした 学 童 の 子 だけしか 来 ないかと 思 ったが 4 時 までにはいろいろな 子 が 来 て 来 室 者 数 は 平 均 40 人 ほどになった お 話 会 で 読 んだザリガニの 本 を 参 考 に プール 開 放 が 終 了 してからはザリガニ 釣 りをするなどのイベントも 行 い みんな 楽 しんで 参 加 できた 始 業 式 直 前 のお 話 会 の 後 には 自 分 の 教 室 に 行 ってみて 2 学 期 に 備 える 気 持 ちを 高 めることもできた 学 校 側 からも 図 書 室 に 来 る 子 の 観 察 をしたり 声 をかけたりして 児 童 理 解 を 深 めることができた 学 童 保 育 の 先 生 方 には 有 効 に 時 間 を 過 ごすことができたと たいへん 喜 ばれた 次 年 度 以 降 も 継 続 的 に 実 施 することで 来 室 者 数 も 多 くなるこ とが 予 想 される また 気 がかりな 子 との 接 点 としても 有 効 であると 考 える 実 践 5 読 書 集 会 の 開 催 11 月 の 読 書 月 間 には 読 書 をテーマにした 児 童 集 会 を 行 った 図 書 支 援 員 さん の 勤 務 時 間 の 関 係 で5 校 時 に 行 った 1 図 書 支 援 員 の 読 み 聞 かせ 注 文 の 多 い 料 理 店 宮 沢 賢 治 作 支 援 員 さんの 語 りにスライドを 合 わせ 吉 田 兄 弟 の 津 軽 三 味 線 の 音 楽 をコラボ させた 内 容 は6 年 生 の 教 材 で 少 し 難 しい 話 だったが 途 中 の 文 字 のスライドだ けが 出 る 部 分 では 児 童 たちが 声 に 出 して 料 理 店 からの 指 令 を 読 む 姿 も 見 られた 2わかば 学 級 の 読 み 聞 かせ あしたのぼくは みやにしたつや 作 学 習 発 表 会 でも 一 部 の 学 年 に 披 露 した 作 品 で 当 日 は4 年 生 の 男 児 が 欠 席 して いたが 3 人 で 全 校 児 童 の 前 で 大 きな 声 で 堂 々と 演 じることができた 低 学 年 の 子 たちは 読 みのパフォーマンスよりスライドの 方 に 反 応 しているのが 面 白 かっ た 3 図 書 委 員 による 絵 本 作 家 佐 々 木 まきの 紹 介 対 話 形 式 にして スライドを 見 ながら 図 書 委 員 会 の 児 童 が 一 文 ずつ 読 んでいき 本 の 紹 介 をした 児 童 に 感 想 を 聞 く 時 間 がなかったのが 残 念 だったが 次 の 日 朝 一 番 に 本 を 借 り に 来 た 児 童 達 は 注 文 の 多 い 料 理 店 の 本 や 佐 々 木 まきの 本 を 手 にしていた 読 書 集 会 に 向 けて 夏 休 みの 図 書 室 開 館 を 利 用 して 図 書 支 援 員 と 相 談 する 時 間 があっ たので 原 稿 やスライドの 準 備 などを 計 画 的 に 行 うことができた 集 会 の 内 容 が 膨 らんで 時 間 が 長 くなってしまい 事 前 に 集 会 担 当 者 と 相 談 してお
かなかったので 他 の 委 員 会 に 迷 惑 をかけてしまった 実 践 6 先 生 による 読 み 聞 かせのお 店 読 書 月 間 に 合 わせ 朝 活 動 の 時 間 を 使 って 先 生 による 読 み 聞 かせのお 店 を 実 施 した 各 先 生 が 読 む 本 を 持 って 写 真 を 撮 り それを 先 生 の 読 み 聞 かせのお 店 として 掲 示 した 児 童 に 聞 きたいお 店 の 希 望 調 査 をして 図 書 主 任 が 割 り 振 りをし た 先 生 も 真 剣 に 本 を 選 んだり 演 じ 方 を 工 夫 したりしていた 事 務 職 員 も 職 員 室 で 読 み 聞 かせに 参 加 してくれた 子 供 達 には おしりたんてい 給 食 番 長 わたしはあかねこ などが 人 気 だった 好 評 だったので2 回 ぐらい 実 施 したかったが 希 望 調 整 だけでかなり 時 間 がかか ってしまったので 実 施 できなかった せめて 読 み 聞 かせで 使 った 本 のコーナーを 設 置 できるとよかった また 今 回 職 員 が 選 択 した 本 は 低 学 年 向 きの 本 ばかりに なってしまったので 来 年 はもっと 読 み 物 に 変 化 を 出 していろんな 種 類 の 本 に 親 し んでもらえるようにすることが 必 要 だと 感 じた まとめ 今 年 度 から 図 書 支 援 員 の 配 置 があり 昨 年 度 と 比 べて 格 段 に 読 書 活 動 が 活 性 化 し た 授 業 での 学 習 支 援 や 多 様 な 読 書 活 動 の 展 開 が 可 能 になり 子 ども 達 が 本 に 触 れ る 時 間 が 非 常 に 長 くなった 豊 かな 読 書 活 動 のための 環 境 づくりには 図 書 支 援 員 さんの 役 割 は 大 きいと 感 じた 今 後 は 本 校 の 地 域 ボランティアである お 話 ボラ ンティア のスタッフとの 連 携 のあり 方 についても 検 討 し 双 方 が 協 働 して 取 り 組 める 実 践 について 考 えていきたい また 本 校 配 置 の 図 書 支 援 員 は 図 書 支 援 員 の 中 でもリーダー 的 な 存 在 の 方 であ る 本 校 での 読 書 推 進 活 動 の 取 り 組 みが 少 しでも 他 の 図 書 支 援 員 の 活 動 の 参 考 に なればと 思 う