学 校 における 情 報 化 促 進 のための 教 育 ネットワーク ソリューション 有 効 活 用 に 関 する 研 究 - 土 木 科 の 授 業 に 活 用 できるコンテンツの 作 成 と 活 用 方 法 の 研 究 - 研 究 の 概 要 土 木 科 の 科 目 単 元 の 中 で 必 要 とされるデジタルコンテンツを 作 成 し, 本 センターの ピーチウェ ア のコンテンツ 集 に 加 え,これらを 使 用 することでネットワークを 活 用 した 授 業 の 展 開 方 法 を 探 る キーワード 土 木 設 計 シミュレーション 閉 合 トラバース 計 算 処 理 土 木 教 育 用 コンテンツ Ⅰ 主 題 設 定 の 理 由 1 最 近 の 国 策 から 政 府 は,2006 年 1 月 ポストe-Japan 戦 略 として 新 IT 改 革 戦 略 を 策 定 した 教 育 の 情 報 化 について 今 後 は, 学 校 におけるIT 環 境 の 一 層 の 整 備 を 進 めるとともに,ITを 活 用 した 学 力 向 上 等 のための 効 果 的 な 授 業 の 実 施 や, 学 習 意 欲 を 持 った 子 供 たちがITを 活 用 して 効 果 的 に 学 習 できる 環 境 の 実 現 などが 期 待 されるが,そのためには, 教 員 のIT 活 用 能 力 を 一 層 向 上 させるとともに, 優 良 な 教 育 用 コンテンツの 整 備 を 進 めていくことなどが 必 要 である ( 政 府 IT 戦 略 本 部 ) とし, 教 育 の 情 報 化 を 進 める4つの 柱 として1IT 環 境 のさらなる 整 備 2 教 員 のIT 活 用 能 力 の 一 層 の 向 上 3 IT 教 育 の 充 実 4 校 務 の 情 報 化 が 掲 げられている ( 教 職 研 修 資 料 から 抜 粋 ) 2 土 木 教 育 における 情 報 化 の 現 状 から 土 木 科 の 授 業 に 役 立 つWeb 上 のコンテンツはインターネットで 検 索 してもほとんど 検 出 されない 状 況 であり, 授 業 への 利 活 用 はほとんどなされていないのが 現 状 である 授 業 や 実 験 実 習 等 で 利 用 で きるシミュレーションやデータ 処 理 用 ソフトウェア( 以 下 ソフト)を 少 しでも 多 く 作 成 し, 教 育 現 場 での 活 用 を 試 みる この 研 究 で 土 木 科 教 員 の 授 業 へのIT 活 用 に 一 石 を 投 じることができ 意 識 改 革 が 図 れればと 考 える 3 ピーチウェア の 有 効 活 用 近 年 におけるIT 分 野 の 著 しい 進 展 のなかで 学 校 教 育 においてもIT 活 用 によるメリットを 追 求 していくことは 喫 緊 の 課 題 といえる 作 成 したコンテンツは 誰 でも 自 由 に 手 軽 に 使 用 できるよう 本 セ ンターホームページ 上 の ピーチウェア に 搭 載 し,これを 利 用 して 試 行 を 行 う これらの 方 法 でコ ンテンツの 有 効 活 用 の 方 法 を 研 究 するとともにその 普 及 を 図 り, 教 育 センターとしての 使 命 を 果 たす Ⅱ 研 究 の 目 標 本 県 の 土 木 教 育 においては, 教 科 指 導 におけるITの 活 用 がほとんどなされていない 現 状 がある これは, 教 員 に 活 用 や 開 発 に 対 する 意 識 が 薄 いことに 加 え, 使 用 できるコンテンツがほとんどないこ - 1 -
とが 要 因 であるように 思 う 土 木 科 の 教 科 指 導 の 中 で 開 発 すべき 必 要 な 単 元 や 項 目 を 調 査 し,デジタ ルコンテンツの 作 成 を 行 う 完 成 したコンテンツは ピーチウェア のコンテンツ 集 に 公 開 し, 授 業 での 活 用 を 試 行 する これによって 土 木 科 の 教 員 のIT 活 用 に 対 する 関 心 を 深 めるとともに, 意 識 改 革 を 促 し, 授 業 の 情 報 化 推 進 に 一 石 を 投 じることができればと 考 える Ⅲ 研 究 の 基 本 的 な 考 え 方 本 研 究 では,コンテンツ 開 発 に 主 眼 をおき, 試 行 改 善 を 繰 り 返 すことによって, 現 場 で 真 に 役 に 立 つ 完 成 度 の 高 いものを 出 来 るだけ 作 成 し, ピーチウェア のコンテンツ 集 に 登 録 する 作 成 する コンテンツについては, 現 場 の 要 請 と 自 らの 教 育 活 動 の 経 験 から 必 要 と 思 われる 項 目 及 び 単 元 を 上 げ, その 中 から 手 がけるものを 選 択 した 対 象 として 考 えられるものは,シミュレーション,データ 計 算 処 理, 実 習 実 験 の 手 引 き 等 多 岐 にわたり,かなりの 数 にのぼったが, 作 成 期 間 が 制 限 されているた め, 特 に 必 要 と 思 われるもの4 種 類 に 絞 って 作 成 することにした コンテンツ 作 成 に 当 たっては, 生 徒 が 自 力 で 使 うことを 前 提 に,チェック 用 ダイヤログを 多 く 取 り 入 れるなどの 工 夫 を 行 い,ソフト 使 用 自 体 に 負 担 がかからないことや, 操 作 ミスが 起 こらないようなソフトに 仕 上 げるよう 心 がける 計 算 処 理 表 のスタイルや 算 出 値 も 生 徒 が 混 乱 しないよう 極 力 教 科 書 に 近 い 形 になるよう 十 分 配 慮 する Ⅳ 研 究 の 内 容 と 方 法 1 作 成 するコンテンツの 科 目 及 び 項 目 (1) 測 量 及 び 測 量 実 習 ア 測 量 実 習 : 閉 合 トラバース 測 量 の 計 算 処 理 ソフト 精 度 のチェック 及 び 再 測 の 有 無 の 判 断 や 手 作 業 での 計 算 結 果 のチェックなど,コンピュータ 処 理 することによって 計 算 処 理 の 効 率 化 を 図 り,より 発 展 的 できめ 細 かい 指 導 の 実 現 が 図 れることを 目 的 に 開 発 する イ 測 量 : 閉 合 トラバース 測 量 の 演 習 問 題 作 成 ソフト 閉 合 トラバース 測 量 の 計 算 は, 処 理 行 程 が 多 く, 完 全 理 解 と 計 算 能 力 を 養 成 するには 繰 り 返 し 演 習 が 必 要 とされる 生 徒 の 到 達 状 況 に 応 じた 問 題 を 的 確 に 提 供 するには, 問 題 数 のストックを 十 分 しておく 必 要 がある しかし,どの 学 校 でもストック 量 には 限 界 があり, 困 難 をきたすことが 多 い トラバース 測 量 の 演 習 問 題 は 簡 単 に 作 成 できるものではなく,コンピュータを 利 用 できないかとか ねてから 考 えていたこともあって,これに 着 手 することにした このソフトを 用 いることで 演 習 問 題 を 無 限 に 提 供 することができ, 計 算 の 理 解 能 力 を 深 めることに 大 きな 力 を 発 揮 すると 確 信 する (2) 土 木 基 礎 力 学 ア 影 響 線 : 単 純 梁 における 剪 断 力 及 び 曲 げモーメントと 影 響 線 との 関 係 シミュレーション 影 響 線 は 生 徒 にとって, 理 論 的 に 理 解 しにくい 単 元 のひとつである 特 に 荷 重 の 移 動 に 対 する 説 明 においては, 板 書 と 口 頭 の 説 明 では 限 界 があり 困 難 をきたす 荷 重 の 移 動 状 況 に 応 じて 剪 断 力 と 影 響 線 の 縦 距 が 変 化 する 状 況 をシミュレーションし, 視 覚 に 訴 えることで 理 解 度 を 深 めるよう 補 助 教 材 として 開 発 する イ 断 面 の 性 質 : I T H 型 断 面 の 断 面 二 次 モーメント 計 算 処 理 ソフト - 2 -
断 面 二 次 モーメントの 計 算 は 複 雑 なため, 表 で 算 出 するのが 通 常 である 断 面 の 計 算 の 中 でこの 値 を 計 算 する 機 会 も 多 く,この 処 理 が 短 縮 されることで 断 面 の 計 算 全 体 の 効 率 化 が 図 れる また, 生 徒 に 使 用 させることによって 興 味 関 心 を 持 たせこの 単 元 の 理 解 を 深 める 手 段 にもなる 2 開 発 上 の 留 意 点 開 発 に 用 いるソフトは, 教 育 現 場 のいかなる 環 境 下 でも 使 用 できるよう, 一 般 的 に 使 われているも のを 用 いることにした シミュレーションソフトには Microsoft Power Point ( 以 下 Power Poi nt )を, 表 計 算 処 理 関 係 ソフトは Microsoft Excel ( 以 下 Excel )を 用 い,2 次 加 工 して 使 用 できるよう 配 慮 した また, 細 部 まで 細 かい 配 慮 が 施 せるよう, 計 算 値 の 表 示 や 入 力 制 御 画 面 及 び 種 々の 確 認 画 面 等 の 作 成 には,VBAの 機 能 を 用 いることにした 完 成 した 作 品 については, 研 究 協 力 員 と 密 接 な 連 絡 を 取 り, 試 行 改 良 を 繰 り 返 し, 少 しでも 使 い やすいコンテンツになるように 心 がけた また, 本 センターホームページ ピーチウェア のコンテ ンツ 集 に 公 開 し, 教 師 生 徒 が 置 かれた 環 境 内 でいつでもダウンロードして 使 用 できるよう 配 慮 した ( 表 1) 作 成 に 使 用 したソフト 作 成 ソフト 閉 合 トラバース 測 量 の 計 算 処 理 ソフト 閉 合 トラバース 測 量 の 演 習 問 題 作 成 ソフト 使 用 したソフト Excel & VBA Excel & VBA 単 純 梁 における 剪 断 力 及 び 曲 げモーメントと 各 影 響 線 の 関 係 シミ Power Point & VBA ュレーションソフト 断 面 二 次 モーメントの 計 算 処 理 ソフト(I T H 型 断 面 ) Excel & VBA 1 閉 合 トラバース 測 量 の 計 算 処 理 ソフト トラバース 測 量 の 計 算 処 理 も Excel の 関 数 で 十 分 対 応 することができるので, 作 表 計 算 機 能 の 部 分 は Excel に 頼 ることにし, Excel 関 数 で 補 えきれない 計 算 処 理 及 び 入 力 画 面 やメッセー ジボックス 等 の 作 成 にはVBAを 用 いることにした 数 値 の 処 理 に 関 しても 生 徒 が 混 乱 しないために, 極 力 手 計 算 と 同 じ 結 果 になるよう 有 効 桁 数 の 処 理 等 も 細 心 の 注 意 を 払 うよう 心 がけた また, 生 徒 が 自 力 でコンピュータ 処 理 し,レポートが 提 出 できるよう 保 存 印 刷 機 能 も 自 動 化 するなど 工 夫 を 行 っ た 用 途 に 応 じ, 生 徒 用 と 教 師 用 を 作 成 したが,ここでは 生 徒 用 のみを 掲 載 する 計 算 方 法 は 反 時 計 回 りとし, 緯 距 経 距 の 調 整 法 はコンパス 法 則 を 採 用 した 2 閉 合 トラバース 測 量 の 演 習 問 題 作 成 ソフト 計 算 内 容 はトラバース 測 量 計 算 であるため,1と 同 様 に Excel を 用 い, 入 力 画 面 等 の 作 成 にVBA を 用 いた 作 成 は 距 離 と 方 位 角 を 入 力 することで 行 なえるよう 設 定 した また,リアルタイムで 測 線 を 図 示 し, 入 力 結 果 を 測 線 ごと 確 認 できるようにした 作 成 した 問 題 は, 自 動 で 印 刷 できるようにし, 問 題 の 計 算 処 理 と 出 力 もできるようにした 3 単 純 梁 における 剪 断 力 及 び 曲 げモーメントと 影 響 線 との 関 係 シミュレーション 作 図 に 関 しては, power point の 機 能 をフルに 使 用 し, 図 形 の 移 動 や 変 化, 数 値 の 表 示 及 び 制 御 に 関 してはVBAで 処 理 した 単 位 荷 重 は10cmごと 移 動 させ,その 点 での 剪 断 力 図 曲 げモーメント 図 とその 大 きさ 及 び 影 響 線 の 従 距 を 同 時 に 表 示 し, 両 者 の 関 係 が 一 目 で 理 解 できるよう 工 夫 した 単 位 荷 重 の 移 動 に 関 しては, 途 中 で 停 止 できるようにし, 任 意 の 場 面 で 説 明 や 演 習 ができるようにした - 3 -
4 I T H 型 断 面 の 断 面 二 次 モーメント 計 算 処 理 ソフト 計 算 処 理 は 表 で 行 うことから,1と 同 様 に Excel とVBAを 用 いることにした 教 科 書 の 表 と 一 致 することに 心 がけ,データ 入 力 に 当 たっては, 入 力 ミスが 出 ないよう 図 形 と 寸 法 位 置 を 入 力 画 面 に 表 示 した 数 値 の 処 理 に 関 しても, 教 科 書 の 計 算 結 果 に 符 合 するよう 有 効 数 字 に 配 慮 した Ⅴ 研 究 の 結 果 と 考 察 1 ソフトの 概 要 と 使 用 方 法 (1) 閉 合 トラバース 測 量 の 計 算 処 理 ソフト( 生 徒 用 ) ( 図 1)は,このソフトの 処 理 画 面 で ( 図 1) 処 理 画 面 ある 処 理 メニューは 新 規 データ 入 力 データ 訂 正 計 算 処 理 印 刷 保 存 を 設 けた 1 新 規 データの 入 力 新 規 データ 入 力 機 能 は 作 動 するとデー タがすべて 消 去 されるよう 設 定 してある ( 図 2) 生 徒 の 個 人 データ 入 力 画 面 ( 図 3) 新 規 データ 入 力 画 面 ので, 入 力 済 みのデータを 誤 って 消 去 しないよう ( 図 1) 内 のメッセージボックスを 設 けた ( 図 2) の 画 面 で 最 初 に 個 人 データを 入 力 する これは 提 出 用 計 算 書 に 自 動 で 氏 名 欄 に 入 力 することと 自 動 保 存 のために 設 けた 例 では 319 御 坂 太 郎 のファイ ル 名 で 保 存 される 個 人 データを 入 力 すると( 図 3) の 新 規 入 力 画 面 が 表 示 される 測 点 数 を 入 力 すると, 測 線 番 号 が 自 動 で 打 たれ,それに 従 って 測 線 長 と 観 測 角 を 度 分 秒 で 入 力 していく 測 点 数 は, 県 下 の 実 例 を 調 査 し,20 点 まで 処 理 可 能 にした 1 測 線 ごと に 書 込 を 実 行 し, 表 内 に 各 データを 書 き 込 みを 行 う - 4 -
( 図 4) 訂 正 箇 所 の 選 択 画 面 2 データの 訂 正 ( 図 4)は 入 力 したデータの 訂 正 があ った 場 合 に 起 動 する 画 面 である 訂 正 す る 測 点 ナンバーを 入 力 すると 表 のデータ を 読 み 取 り( 図 5)が 表 示 される 訂 正 箇 所 を 修 正 し, 再 度 書 き 込 む ( 図 5)データ 訂 正 画 面 3 計 算 処 理 計 算 処 理 のためには 第 1 方 位 角 の 入 力 を( 図 6)で 行 う ここでは, 協 力 校 の 実 際 のデータ( 図 7)を 用 い 試 行 した 結 果 を 示 す ( 図 8)が 計 算 処 理 結 果 であ る 計 算 処 理 は,できるだけ Excel 内 の 関 数 を 使 用 するようにした 処 理 のみ を 考 えると 方 位 の 欄 は 省 けるが, 生 徒 の データシート( 高 校 でのトラバース 測 量 ( 図 6) 第 1 測 線 の 方 位 角 入 力 画 面 の 標 準 的 計 算 書 のスタイル)のとおり 作 成 し, 生 徒 自 身 が 容 易 に 計 算 チェックが できるよう 配 慮 した ( 図 7) 実 際 の 生 徒 の 計 算 例 ( 図 8) 計 算 結 果 - 5 -
( 図 9) 印 刷 メニューと 印 刷 結 果 計 算 結 果 はトラバースの 形 状 確 認 の 意 味 も 含 め 図 示 できるようにした 図 の 描 写 範 囲 は 測 量 現 場 ごとに 任 意 で 設 定 でき るようにしたかったが, 設 定 が 困 難 であ ることから200mとした 4 印 刷 計 算 書 の 出 力 に 関 しては,( 図 9)が 印 刷 される 生 徒 が 自 力 でできるように, 自 動 でフォーマットと 印 刷 ができるよう にマクロを 組 んだ また,このまま 正 式 な 計 算 書 に 添 付 してレポート 提 出 ができ るよう 生 徒 氏 名 を 付 け, 計 算 処 理 表 と 図 面 を 載 せるようにした 5 ファイルの 保 存 ( 図 10) 保 存 メニューの 起 動 画 面 と 保 存 されたファイル ファイルは, 自 動 でファイル 名 学 年 + 出 席 番 号 + 氏 名 が 付 けられ,カレン トドライブに 保 存 されるようにした 生 徒 の 計 算 処 理 が 終 わったところで 保 存 を 実 行 させれば, 細 かい 指 導 なしで 所 定 の 箇 所 に( 図 10)のようにファイル 保 存 され, 簡 単 に 電 子 データの 提 出 が 可 能 になる (2) 閉 合 トラバース 測 量 の 演 習 問 題 作 成 ソフト ( 図 11) 処 理 画 面, 処 理 メニュー このソフトは, 測 線 長 方 位 角 及 び 内 角 の 誤 差 目 安 の 緯 距 経 距 の 誤 差 から 各 測 線 長 及 び 観 測 角 を 算 出 し, 任 意 の 測 点 数 の 閉 合 トラバースの 演 習 問 題 を 作 成 するものである 処 理 できる 測 点 数 の 範 囲 は, 生 徒 の 演 習 ということを 考 え9 測 点 までとした 処 理 操 作 が 比 較 的 わかり にくいと 言 う 指 摘 があったので( 図 14) の 操 作 マニュアルを 作 成 した 1 データ 入 力 ( 図 12)はデータ 入 力 画 面 である 作 成 条 件 の 測 点 数 閉 合 誤 差 内 角 誤 差 を 入 力 後 測 線 長 と 方 位 角 の 入 力 - 6 -
( 図 12)データ 入 力 画 面 で 測 線 長 方 位 角 を 入 力 し, 測 線 ごとに ( 図 13) 作 成 処 理 後 の 画 面 ( 図 14) 操 作 マニュアル 表 へ 書 込 を 行 う 同 時 に 測 線 をリアルタ イムで 図 に 表 示 するようにした これに よって 次 の 測 点 の 決 定 がしやすくなる 入 力 例 は 測 点 数 5で,( 図 12)の 作 図 例 は 第 3 測 線 のデータを 入 力 した 直 後 の 状 態 である 指 定 した 測 点 数 の1つ 前 の 入 力 が 終 わると, 最 終 測 線 は 自 動 的 に 図 示 されるようにした 2 作 成 処 理 ( 図 13)は 作 表 処 理 後 の 状 態 である 入 力 したデータから, 第 5 測 線 長 を 算 出 し, 各 測 点 の 内 角 を 方 位 角 より 求 め 演 習 問 題 の 表 を 完 成 させる 3 演 習 問 題 の 印 刷 別 シートにトラバース 計 算 表 を 作 成 しておき( 図 15)のようにマクロで 問 題 の 部 分 だけを 抽 出 し て 印 刷 できるようにした これによって 簡 単 に 演 習 問 題 が 作 成 でき, 作 成 処 理 後 そのまま 印 刷 できる ので, 演 習 中 でも 進 度 に 応 じた 問 題 が 即 座 に 提 供 できるようになった - 7 -
( 図 15) 印 刷 された 演 習 問 題 4 トラバース 計 算 処 理 3でのシートに(1)で 用 いたものと 同 様 の 計 算 処 理 表 を 作 成 しておき 同 様 の 処 理 を 行 う これは, 生 徒 が 行 った 演 習 問 題 のチェッ クをおこなうためのものである この 部 分 の 計 算 処 理 は(1)での 処 理 と 同 様 であるので 説 明 は 省 く 計 算 書 と 作 図 の 印 刷 も 自 動 で 行 えるようにした (3) 単 純 梁 における 剪 断 力 及 び 曲 げモーメントと 影 響 線 の 関 係 シミュレーション ( 図 16) 剪 断 力 図 と 影 響 線 との 関 係 タイトル 画 面 教 科 書 を 元 にした 説 明 の 補 助 に 利 用 するこ とを 考 え, 設 定 条 件 はスパン10mの 単 純 梁 とし, 左 端 Aから6mの 点 での 変 化 を 考 えることした 荷 重 移 動 やそれ 応 じた 図 形 の 変 化 を 表 す 必 要 から,その 部 分 についてはVBAを 用 いて 対 応 す ることにした ( 図 17)がスタート 画 面 である 初 期 値 を 左 端 Aから1.3mにとった このコンテンツ のポイントは, 単 位 荷 重 を 梁 に 沿 って 等 速 度 で 右 端 Bまで 移 動 させること,それに 従 って 剪 断 力 図 の 変 化 を 表 し,その 値 を 表 示 するこ ( 図 17) 剪 断 力 図 と 影 響 線 との 関 係 (スタート 初 期 値 ) とである 移 動 量 については10cm 単 位 で 移 動 量 を 表 示 した i 点 の 剪 断 力 がそのまま 影 響 線 の 縦 距 になるので, 剪 断 力 図 上 の 値 と, 影 響 線 上 の 値 を 矢 印 で 示 し, 同 量 であることを 理 解 しやすくした 授 業 実 践 においては,このシミュレーショ ンを 稼 働 しながら, 途 中 で 停 止 させ 状 況 を 把 握 させながら,その 時 点 での 諸 量 を 計 算 させ, チェックに 利 用 できるよう 配 慮 した ( 図 18)( 図 19)が,その 状 態 の 図 であ る - 8 -
( 図 18) 剪 断 力 図 の 影 響 線 ( 一 時 停 止 画 面 ) ( 図 19) 曲 げモーメントの 影 響 線 ( 一 時 停 止 時 ) (4) 断 面 二 次 モーメントの 計 算 ソフト ( 図 20)メインメニュー 画 面 ( 図 20)がこのソフトのメインメニュー である ここでは 定 形 断 面 の 断 面 二 次 モーメ ントを 求 めることを 目 的 に 作 成 した I 型 断 面 とH 型 断 面 は 共 通 画 面 で 処 理 することにし, T 型 断 面 と 区 別 した ( 図 21)が I H 型 断 面 の 処 理 画 面 である サイズの 入 力 と 訂 正 印 刷 保 存 のメニューを 設 け, 寸 法 入 力 に 当 たって は 対 象 箇 所 が 明 確 になるよう 図 を 組 み 込 んだ この 入 力 画 面 は 訂 正 も 兼 ねており, 読 み 取 り したものが 初 期 値 で 表 示 される 入 力 及 び 訂 正 計 算 作 図 を 押 すと, 入 力 した 寸 法 を 表 に 書 き 込 むと 同 時 に, 計 算 と 作 図 を 行 う ( 図 21) 寸 法 入 力 及 び 訂 正 画 面 [I H 型 断 面 ] ( 図 22)はI 型 断 面 の 処 理 結 果 である 生 徒 が 使 用 することを 配 慮 し, 計 算 表 の 作 成 に 当 たっては, 極 力 教 科 書 に 近 いものになるよ うに 努 力 した また, 計 算 結 果 についても 教 科 書 の 結 果 と 一 致 するよう 有 効 数 字 の 桁 数 な ど 数 値 の 処 理 も 注 意 を 払 った 計 算 に 当 たっ ては, 断 面 の 最 下 部 をx 軸 として 処 理 した 結 果 の 表 示 は 計 算 表 だけではなく, 断 面 形 状 と 寸 法 及 び 中 立 軸 の 位 置 も 表 示 するように した 印 刷 についてもマクロを 使 用 して 自 動 でフォーマットし 出 力 できるようにした ( 図 24)が 印 刷 結 果 で,( 図 25)が 保 存 時 のダイヤログである - 9 -
( 図 22) 処 理 後 の 画 面 [I H 型 ] ( 図 23) 処 理 後 の 画 面 [T 型 ] ( 図 24) 印 刷 結 果 [I H 型 ] ( 図 25)ファイルの 保 存 画 面 (5) ピーチウェア のコンテンツ 集 への 登 録 とダウンロード ( 図 26) ピーチウェア のコンテンツ 集 本 研 究 で 作 成 したコンテンツは, 研 究 協 力 員 の 試 行 と 指 摘 を 受 ける 中 で, 改 良 を 重 ね 完 成 したものを, 当 初 の 目 的 である ピーチウ ェア のコンテンツ 集 に 載 せた ( 図 26) はそのファイルダウンロード 画 面 である そ れぞれソフトの 試 行 場 面 においてここからダ ウンロードして 使 用 してもらうことも, 教 師 及 び 生 徒 に 試 行 してもらった 2 研 究 協 力 員 によるコンテンツの 試 行 と 改 善 作 成 中 のコンテンツは, 研 究 協 力 員 にメールへ 添 付 して 送 信 し, 試 行 をお 願 いした あわせて 感 想 や 改 善 点 についての 意 見 をいただき, 繰 り 返 し 改 善 を 行 った また, 他 の 工 業 高 校 の 先 生 方 にも 協 力 を 得 て 試 行 を 行 っていただいた 試 行 を 通 しての 意 見 指 摘 感 想 は 次 のとおりである 1 閉 合 トラバース 測 量 の 計 算 処 理 ソフト に 関 して - 10 -
データ 入 力 を 間 違 えた 場 合 などにデータ 入 力 ボタンをもう 一 度 押 してしまい, 以 前 のデータが すべて 消 去 されてしまうので, 何 かコメントが 表 示 されるとか, 消 えないで 表 示 されていると 良 いかなと 思 いました 生 徒 は 入 力 間 違 いをしてあせってもう 一 度 データ 入 力 ボタンを 押 してしま い, 全 データが 消 えて,かなり 嘆 いていました こちらもしっかりと 入 力 について 指 導 したつも りだったのですが 最 初 の 方 位 角 を 88 20 10 と 入 力 しても 計 算 処 理 させると 88 20 9 となって しまいます 方 位 角 の 計 算 が 合 いません よって その 後 の 計 算 が 疑 問 です そのため 緯 距 経 距 の 誤 差 も 大 変 大 きい 値 となっています? 調 整 量 の 計 算 結 果 で, 本 校 では 小 数 点 以 下 3 桁 までで 計 算 していますが,ツール 上 ではそれ 以 上 の 計 算 がされているようですので,そのズレから 後 の 合 緯 距 合 経 距 の 計 算 等 に 影 響 があり, 生 徒 本 人 との 計 算 結 果 との 誤 差 が 気 になるようです 調 整 量 等 の 桁 が 簡 単 に 設 定 できると 良 いか なと 感 じました 最 初 にファイル 名 等 を 入 力 することによって, 自 動 保 存 できれば 良 いなと 感 じました 生 徒 は,このツールを 操 作 し, 自 動 計 算 できることにかなり 感 動 していました 正 直, 工 業 高 校 でありながらPCに 触 れることが 少 ない 生 徒 にとって, 今 回 操 作 させるにあたり, かなり 基 本 的 なことからもう 一 度 教 えなければなりませんでした しかし, 実 習 の 途 中 でPCを 操 作 させるなどすることによって, 少 しはそういった 情 けない 状 況 も 修 正 できるかなと 感 じました 実 際 の 実 習 の 進 度 と 合 わず, 昨 年 のデータでの 試 行 に 終 わったが, 来 年 度 は 実 践 で 使 用 してい きたい 2 閉 合 トラバース 測 量 の 演 習 問 題 作 成 ソフト に 関 して 入 力 方 法 がわかりづらいのでマニュアルがあればよいと 感 じました 簡 単 にトラバース 計 算 の 問 題 が 作 成 できるので 非 常 に 役 に 立 ちます これからも 大 いに 使 わし てもらいます 問 題 印 刷 をした 場 合 8 点 までしか 印 刷 されません 3 単 純 梁 における 剪 断 力 及 び 曲 げモーメントと 影 響 線 との 関 係 シミュレーション に 関 して ダウンロードはできるが, スタート を 押 しても 荷 重 が 移 動 しない 4 I T H 型 断 面 の 断 面 二 次 モーメント 計 算 処 理 ソフト に 関 して 有 効 数 字 の 処 理 の 関 係 で, 教 科 書 の 計 算 値 と 微 妙 に 違 っていて 生 徒 が 気 になる 様 子 なので, 何 とか 同 じ 結 果 となるように 改 善 できないでしょうか Ⅵ 研 究 のまとめと 今 後 の 課 題 本 研 究 は 授 業 に 役 立 つコンテンツを 作 成 し, ピーチウェア のコンテンツ 集 に 公 開 し,その 活 用 方 法 を 探 ることであったが, 研 究 協 力 員 の 熱 心 な 試 行 と 改 善 の 積 み 重 ねにより,ほぼ 本 来 の 目 標 を 達 成 できたと 思 う 授 業 での 使 用 効 果 においても 上 々の 評 価 を 受 け, 次 年 度 から 授 業 へ 本 格 的 に 導 入 す る 目 途 がついたとの 報 告 もいただいている 教 育 現 場 のあらゆる 状 況 下 でネットワークを 使 い 簡 単 に ソフトが 起 動 でき 使 用 できることは, 非 常 に 重 要 な 要 素 である ピーチウェア を 使 うことによっ - 11 -
て,この 環 境 が 実 現 したことは 大 きな 成 果 である 本 研 究 で 開 発 したコンテンツもまだまだ 改 善 の 余 地 があるものもあり, 今 後 も 継 続 して 改 善 を 図 っていきたいと 考 えている 教 育 用 コンテンツを 活 用 することは,わかりやすくやきめ 細 かい 授 業 を 実 現 し, 学 力 向 上 を 図 るた めに, 大 きな 効 果 があることは 各 方 面 で 実 証 されていて, 疑 いもない 事 実 である コンテンツ 作 成 す るに 当 り 対 象 となるべき 題 材 は 多 数 あったが, 開 発 時 間 に 制 限 があり 本 研 究 では4 点 だけに 止 まって しまった 今 後 も 継 続 して 作 成 して 行 くことはもちろんであるが, 個 人 の 力 には 限 界 がある 本 研 究 が 土 木 科 教 員 のみならず 工 業 教 育 界 全 般 の 意 識 改 革 に 繋 がり, 自 力 でコンテンツ 作 成 に 取 り 組 む 方 向 に 向 うきっかけになれば 幸 いである 特 に 若 い 教 員 には 是 非 頑 張 ってこの 取 り 組 みを 引 き 継 いでいっ てもらいたいと 切 に 願 うものである 最 後 になりましたが, 校 務 多 忙 にもかかわらず 試 行 を 繰 り 返 していただいた 研 究 協 力 員 の 先 生 と 県 内 土 木 科 の 先 生 方 に 心 からお 礼 申 し 上 げます 参 考 文 献 Visual Basic パーフェクトマスター6.0 見 有 鉄 久 著 青 空 研 究 会 Power Point パーフェクトマスター WindowsXP 完 全 対 応 2003 滝 栄 子 著 チーム エムツー 編 著 秀 和 システム 平 成 17 年 度 成 績 処 理 を 効 率 化 するVBA 入 門 研 修 会 テキスト 山 梨 県 総 合 教 育 センター 新 IT 改 革 戦 略 政 府 IT 戦 略 本 部 研 究 協 力 校 谷 村 工 業 高 等 学 校 校 長 輿 水 又 幸 研 究 協 力 員 水 越 哲 也 谷 村 工 業 高 等 学 校 教 諭 平 成 18 年 度 山 梨 県 総 合 教 育 センター 執 筆 者 主 幹 研 修 主 事 金 井 光 宣 - 12 -