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Transcription:

博 士 論 文 幼 稚 園 の 保 育 者 の 動 物 飼 育 に 対 する 知 識 と 態 度 の 向 上 を 図 る 試 み - 幼 児 と 飼 育 動 物 に 配 慮 した 動 物 介 在 教 育 の 実 現 を 目 指 して ( 要 約 ) 平 成 26 年 3 月 広 島 大 学 大 学 院 生 物 圏 科 学 研 究 科 森 元 真 理

第 Ⅰ 章 緒 論 動 物 との 関 わりが 子 どもの 心 に 及 ぼす 影 響 については これまで 欧 米 が 中 心 となって 様 々な 研 究 がなされてきた その 中 で 生 き 物 を 介 して 子 ども 達 の 心 を 育 む 動 物 介 在 教 育 (Animal Assisted Education:AAE) が 海 外 だけでなくわが 国 においても 注 目 さ れつつある AAE は 子 ども 達 の 知 性 だけでなく 心 と 身 体 精 神 性 の 調 和 を 兼 ね 備 えた 人 格 を 育 む シュタイナー(Steiner) 教 育 の 取 り 組 みとも 共 通 しているところがある Steiner(1861-1925)によると 幼 児 期 は 人 間 的 な 道 徳 性 ( 愛 や 勇 気 等 )に 対 して 好 感 を 発 達 させる 時 期 であるとされている そこで 日 本 の 幼 稚 園 においても 幼 児 教 育 に 動 物 飼 育 を 取 り 入 れる 事 で 幼 児 期 に 人 間 的 な 道 徳 性 に 対 する 好 感 を 発 達 させる 事 が 可 能 になるのではないかと 考 えられる そもそもわが 国 の 幼 稚 園 では 明 治 時 代 から 子 どもの 心 の 発 達 を 主 な 目 的 として 動 物 飼 育 が 行 われてきた 長 い 歴 史 がある しかし 幼 稚 園 における 動 物 飼 育 が 幼 児 の 発 達 に 及 ぼす 効 果 について 客 観 的 に 評 価 した 研 究 報 告 は 未 だ 見 られない その 一 方 で 保 育 者 の 飼 育 管 理 に 対 する 対 応 には 様 々な 問 題 のある 事 が 指 摘 されており( 中 川,2000) 不 適 切 な 飼 育 状 況 が 問 題 となっている 動 物 を 教 育 の 場 に 介 在 させる 際 の 世 界 的 な 基 準 では 適 切 な 飼 育 管 理 が 必 須 条 件 となっているので (IAHAIO, 2001) 教 育 効 果 の 検 証 以 前 に 飼 育 環 境 の 改 善 が 喫 緊 の 課 題 である そこで 本 研 究 は わが 国 の 幼 稚 園 における 適 切 な 動 物 飼 育 管 理 とその 動 物 を 介 在 した 効 果 的 な 教 育 を 実 現 するために 飼 育 動 物 として 最 も 一 般 的 なウサギについて 幼 稚 園 の 抱 える 飼 育 管 理 に 関 する 問 題 の 改 善 を 試 みた 第 Ⅱ 章 幼 稚 園 における 動 物 飼 育 の 実 態 わが 国 の 多 くの 幼 稚 園 では 子 どもの 心 を 育 むための 一 助 として 小 動 物 が 飼 育 されて いるが 管 理 状 況 についての 調 査 はこれまでほとんど 実 施 されてこなかった そこで 本 研 究 は 広 島 県 内 の 47 園 を 対 象 としてウサギの 飼 育 管 理 に 関 する 調 査 を 実 施 するとと もに ウサギを 飼 育 している 特 定 の 園 を 対 象 に その 管 理 状 況 ( 飼 育 管 理 および 健 康 管 理 )を 長 期 間 にわたり 観 察 した 47 園 を 対 象 とした 調 査 では ウサギの 飼 育 管 理 状 況 を 主 成 分 分 析 で また ウサ ギの 状 態 を 100 点 満 点 で 評 価 した その 結 果 飼 育 管 理 の 指 標 として ウサギの QOL の 向 上 に 不 可 欠 な 管 理 項 目 と ウサギの 生 存 にとって 不 可 欠 な 管 理 項 目 の 2 つの 主 成 分 が 抽 出 され 各 主 成 分 得 点 の 散 布 図 からは 多 くの 幼 稚 園 がウサギの QOL と 生 存 に 関 する 管 理 項 目 において 不 適 切 な 状 況 にある 事 が 明 らかとなった また 両 管 理 項 目 が 適 切 な 園 ではウサギの 状 態 評 価 得 点 が 90 点 以 上 となる 傾 向 にあった 1 園 においてウサギの 管 理 状 況 を 一 年 に 渡 り 観 察 した 調 査 からは ウサギの QOL に 必 須 である 掃 除 や 給 餌 などの 基 本 的 な 飼 育 管 理 すら 十 分 に 行 われていない 現 状 が 明 らかになった 本 園 は 保 育 に 関 する 様 々な 取 り 組 みにおいて 他 の 幼 稚 園 の 手 本 となる 模 範 園 であり 保 育 者 数 も 他 園 と 比 べてゆとりがあるにもかかわらず 不 適 切 な 飼 育 管 理 が 常 態 化 していた 事 から 保 育 者 数 が 少 なく 余 裕 のない 他 園 では 動 物 の 飼 育 環 境 はさ

らに 厳 しいものと 考 えられた 以 上 の 事 から 幼 稚 園 において 飼 育 動 物 を 介 した 教 育 を 実 現 するには まず 不 適 切 な 飼 育 管 理 状 況 の 改 善 が 大 前 提 であり そのためには 飼 育 管 理 についての 保 育 者 の 知 識 と 意 識 を 向 上 させる 事 で 保 育 現 場 における 保 育 者 の 飼 育 動 物 に 対 する 態 度 を 改 善 させる 必 要 があると 考 えられた 第 Ⅲ 章 幼 稚 園 における 幼 児 と 保 育 者 の 飼 育 動 物 (ウサギとモルモット)との 関 わり の 実 態 多 くの 保 育 者 が 飼 育 の 教 育 効 果 に 満 足 しているとの 研 究 報 告 も 見 られるが 不 適 切 な 飼 育 管 理 がなされている 園 ではむしろ 負 の 教 育 効 果 しかないと 指 摘 する 声 もある そこ で 本 研 究 は 幼 稚 園 の 保 育 者 と 年 中 児 の 飼 育 動 物 との 関 わりを 約 1 年 間 にわたり 継 続 的 に 観 察 する 事 でその 実 態 を 明 らかにするとともに 飼 育 動 物 に 関 わっていた 幼 児 に 対 し て 卒 園 直 前 に 面 接 調 査 を 実 施 し 1 年 間 の 飼 育 が 幼 児 の 心 に 及 ぼす 影 響 を 調 べた とこ ろが 調 査 期 間 中 に 半 数 以 上 の 飼 育 動 物 が 怪 我 や 病 気 になり 死 亡 した 個 体 も 認 められ た また 幼 児 の 飼 育 動 物 との 関 わりには 不 適 切 な 場 面 が 多 く 確 認 された 参 与 観 察 に よる 調 査 からは 幼 児 が 飼 育 動 物 と 関 わる 際 に 保 育 者 が 不 在 のケースが 多 く 幼 児 が 不 適 切 な 発 話 や 行 動 をしていても 教 育 的 指 導 ( 注 意 等 の 声 かけ)を 受 ける 機 会 はほとんど 見 られなかった また 卒 園 前 の 面 接 調 査 では 飼 育 動 物 との 関 わりが 日 常 的 に 多 く 見 られた 幼 児 でも 動 物 の 病 状 ( 外 観 の 異 常 )やその 死 について 自 発 的 に 話 す 事 はほとん どなく 幼 児 と 動 物 との 関 わりの 希 薄 さがうかがえた 以 上 の 事 から 不 適 切 な 飼 育 管 理 に 陥 っている 幼 稚 園 では 保 育 者 が 期 待 するような 思 いやりの 心 を 育 む 結 果 にはつながっていない 事 が 示 唆 された 第 Ⅳ 章 ウサギの 飼 育 管 理 に 関 する 保 育 者 の 知 識 の 向 上 を 目 指 して-ニュースレタ ーの 配 布 を 通 した 保 育 者 への 教 育 - 第 Ⅱ 章 および 第 Ⅲ 章 から 幼 稚 園 における 不 適 切 な 飼 育 管 理 と 関 わりの 実 態 が 明 らか となったので 本 研 究 では 幼 稚 園 に 対 する 飼 育 動 物 ニュースレターの 配 布 を 通 して 飼 育 に 対 する 保 育 者 の 知 識 と 意 識 の 向 上 を 図 る 事 を 試 みた 広 島 県 下 の 私 立 幼 稚 園 31 園 を 対 象 に7ヶ 月 間 に 渡 って 飼 育 動 物 ニュースレター を 毎 月 郵 送 するとと もに アンケートを 同 封 する 事 で 動 物 飼 育 に 対 する 教 員 の 知 識 と 意 識 の 変 化 を 調 べた その 結 果 ニュースレター 配 布 後 6 ヵ 月 の 間 に 飼 育 改 善 案 を 実 践 した 保 育 者 の 数 は 安 定 し 実 践 しなかった 保 育 者 の 数 は 徐 々に 減 少 が 見 られ 期 間 の 後 半 では 両 者 の 割 合 には 有 意 な 差 が 認 められた 事 から(P <0.05) ニュースレターは 一 部 の 保 育 者 の 飼 育 に 対 する 知 識 と 意 識 の 向 上 に 一 定 の 効 果 のある 事 が 示 唆 された 今 後 さらに 保 育 者 の 知 識 と 意 識 の 向 上 を 図 るためには ニュースレターの 内 容 の 改 善 と 共 に 保 育 者 と 意 見 交 換 が 行 える 動 物 飼 育 と 動 物 介 在 教 育 に 関 する 訪 問 活 動 や 講 習 会 を 並 行 して 実 践 する 事 が 必 要 である

第 Ⅴ 章 ウサギの 飼 育 管 理 に 関 する 保 育 者 の 態 度 の 向 上 を 目 指 して- 飼 育 ウサギへ の 名 づけが 保 育 者 の 態 度 に 及 ぼす 影 響 - 第 Ⅱ 章 および 第 Ⅲ 章 から 多 くの 幼 稚 園 で 不 適 切 な 飼 育 管 理 の 実 態 が 明 らかとなった その 原 因 として 保 育 者 の 飼 育 に 対 する 態 度 にも 問 題 のある 事 が 示 唆 された 保 育 者 の 態 度 に 影 響 する 要 因 として 知 識 と 意 識 の 低 さ 以 外 にも 飼 育 動 物 に 対 す る 愛 情 や 関 心 の 低 さ 等 が 関 係 していると 考 えられる そこで 本 研 究 では 愛 情 と 関 心 の 指 標 として 飼 育 ウサギの 名 づけ に 着 目 し 県 内 47 園 の 名 づけ の 状 況 と 飼 育 管 理 状 況 との 関 連 性 を 調 べた その 結 果 ウサギに 名 前 をつけている 園 の 方 がつけていない 園 よりも 季 節 の 変 化 に 伴 う 管 理 ( 暑 さ 寒 さ 対 策 等 )を 有 意 に 多 く 実 践 していた 事 から(p<0.05) 名 づけ 行 為 と 適 切 な 飼 育 管 理 との 間 には 関 連 性 のある 事 が 示 唆 された さらに 名 づけの 由 来 について 分 析 した 結 果 管 理 が 適 切 な 園 では 外 見 に 基 づいた 単 純 な 名 づけ よりも 動 物 への 思 い 入 れを 示 す 名 づけ の 方 が 多 く 認 め られた 以 上 の 結 果 から 幼 児 の 心 を 育 むための 動 物 飼 育 では ウサギ といった 概 念 的 な 名 称 で 呼 ぶのではなく 各 個 体 を 認 識 した 上 で 名 前 を 付 ける 事 が 望 ましいと 考 えられた 今 後 は 名 づけ と 飼 育 管 理 状 況 との 因 果 関 係 についても 検 証 するとともに 飼 育 動 物 に 対 する 名 づけ のプロセスを 動 物 介 在 教 育 プログラムに 導 入 することも 検 討 する 余 地 がある 第 Ⅵ 章 総 括 的 考 察 および 結 論 先 行 研 究 ( 谷 田,2001; 石 田,2005)から 多 くの 幼 稚 園 が 子 どもの 心 が 育 つ 事 を 動 物 飼 育 を 介 した 教 育 目 的 として 挙 げていた しかし 本 研 究 の ウサギの 飼 育 管 理 に 関 するフィールド 調 査 ( 第 Ⅱ 章 2 節 ) からは 教 育 目 的 を 達 成 するための 積 極 的 な 取 り 組 みはほとんど 見 られず 保 育 者 の 飼 育 動 物 に 対 する 知 識 と 意 識 の 低 さが 結 果 的 に 飼 育 動 物 に 対 する 不 適 切 な 態 度 となって 表 れ 不 適 切 な 飼 育 管 理 に 結 びつい ている 事 が 明 らかとなった 動 物 に 関 するネガティブな 情 報 ( 保 育 者 の 不 適 切 な 態 度 が 招 いた 飼 育 動 物 の 汚 れ 疾 病 への 罹 患 死 亡 等 )は 子 ども 達 の 動 物 に 対 する 嫌 悪 感 や 恐 怖 心 を 増 幅 させるとの 報 告 もあり(Peter ら,2008) そのような 環 境 下 では 飼 育 動 物 との 日 常 的 な 関 わりが 教 育 的 に 逆 効 果 になるものと 考 えられた また 幼 児 は 自 分 にとって 重 要 な 人 養 育 にあたる 人 等 の 行 動 を 模 倣 すると 言 われている 事 から 保 育 者 の 動 物 への 接 し 方 ( 態 度 )が 幼 児 と 動 物 との 関 わり 方 ( 態 度 ) に 大 きく 影 響 を 及 ぼすと 考 えられるので 保 育 者 の 知 識 と 意 識 を 高 めて 適 切 な 態 度 に 改 善 させる 事 はわが 国 の 幼 稚 園 の 喫 緊 の 課 題 である 本 研 究 では 保 育 者 の 知 識 と 意 識 の 向 上 を 図 る 方 法 としてニュースレターの 配 布 効 果 を 検 証 し( 第 Ⅳ 章 ) 飼 育 ウサギに 対 する 名 づけと 保 育 者 の 態 度 との 関 連 性 に 着 目 した 研 究 を 実 施 する 事 で( 第 Ⅴ 章 ) 保 育 者 の 知 識 意 識 態 度 の 向 上 が 可 能 である 事 が 示 唆 され た 今 後 は 保 育 者 の 知 識 と 意 識 の 向 上 を 図 るとともに 適 切 な 態 度 へと 導 く

ための 様 々な 新 しい 試 みを 幼 児 教 育 学 や 動 物 行 動 学 の 専 門 家 と 連 携 して 検 討 する 事 で 幼 児 と 飼 育 動 物 の 双 方 に 配 慮 した 動 物 介 在 教 育 プログラムの 開 発 が 可 能 になると 考 え られる また 改 善 が 困 難 な 幼 稚 園 については 飼 育 を 一 旦 中 断 して 飼 育 以 外 で 動 物 介 在 教 育 を 実 践 できる 方 法 を 検 討 することが 推 奨 される 一 方 で 飼 育 動 物 を 通 した 教 育 を 積 極 的 に 実 践 したいと 考 えている 幼 稚 園 に 対 しては 保 育 者 の 知 識 と 意 識 を 高 めながら 態 度 の 向 上 を 図 るための 飼 育 動 物 の 福 祉 に 配 慮 した 教 育 プログラム を 提 案 していく 事 が 望 まれる