2.1.7 現 地 調 査 結 果 2.1.7.1 現 地 調 査 世 界 観 測 史 上 4 番 目 の 規 模 となる M9.0 の 東 日 本 大 震 災 では 広 域 に 亘 る 津 波 による 被 災 が 発 生 した 高 さ 数 十 メートルの 地 盤 までの 浸 水 海 岸 付 近 の 低 地 部 の 沈 下 海 没 湛 水 津 波 の 河 川 遡 上 津 波 堤 防 の 破 壊 市 街 地 の 破 壊 橋 梁 の 流 出 など 津 波 被 害 を 調 査 する 上 で 象 徴 的 な 被 害 事 象 が 多 数 発 生 した JAXA は 震 災 で 実 施 した 緊 急 観 測 解 析 の 評 価 の ため 2011 年 8 月 ~2012 年 3 月 の 期 間 で 現 地 調 査 を 実 施 する 事 にした 本 調 査 ではこれ らの 被 害 事 象 が 衛 星 画 像 から 判 読 可 能 か 否 かを 意 識 しつつ 現 地 調 査 衛 星 画 像 の 利 用 調 査 を 行 ない 検 証 用 のデータを 整 理 していく 現 地 被 災 状 況 は1 浸 水 湛 水 状 況 2 地 殻 地 盤 変 動 状 況 3 人 工 構 造 物 の 被 災 状 況 の 3 つのカテゴリについて 衛 星 データの 判 読 から a. 明 らかに 確 認 できる 状 況 b. 周 囲 の 状 況 から 判 断 できる 状 況 c. 判 読 が 困 難 の 3 つにレベル 分 け 整 理 を 行 う ただし 災 害 の 発 生 から 時 間 が 経 過 しているため 確 認 できない 被 災 状 況 の 調 査 については 国 被 災 県 及 び 市 町 村 の 一 般 公 表 資 料 本 業 務 分 担 各 社 において 一 般 公 開 可 能 な 調 査 結 果 等 にもとづき 実 施 していく また 調 査 候 補 地 はある 程 度 の 目 処 を 立 てた 上 で 選 別 したが 十 分 な 調 査 が できない 場 合 は 類 似 の 候 補 で 代 替 する 今 回 の 震 災 で 衛 星 画 像 が 実 際 の 災 害 対 策 活 動 等 にどのように 利 用 されたか または 利 用 できなかったのは 何 が 障 害 になったかを 把 握 することが 今 後 の 衛 星 情 報 の 利 用 促 進 に つながると 考 えられる そこで 衛 星 情 報 の 今 後 の 利 用 促 進 を 考 える 上 で 必 要 な 内 容 を 複 数 の 業 態 を 対 象 としてインタビュー 調 査 により 把 握 する 具 体 的 には 各 業 態 や 団 体 等 が 衛 星 情 報 を 利 用 する 目 的 望 ましい 画 像 情 報 の 入 手 のタイミング 実 際 に 利 用 した 上 で の 効 果 課 題 問 題 点 等 を 整 理 していく (1) 浸 水 湛 水 状 況 調 査 浸 水 湛 水 の 状 況 について 津 波 災 害 の 象 徴 的 事 象 を 中 心 に 以 下 に 示 す 条 件 でそれぞれ に 示 す 理 由 により 場 所 を 選 定 した 各 条 件 ごとに 1 箇 所 または 2 箇 所 の 調 査 を 行 い 衛 星 画 像 からどこまで 判 読 が 可 能 か 検 証 を 実 施 する 表 2.1-9 調 査 地 の 選 定 ( 浸 水 湛 水 ) 1 津 波 対 策 としての 堅 固 な 湾 口 防 波 堤 が 設 置 されて いた 地 域 の 浸 水 大 きな 津 波 が 来 ても 大 丈 夫 だと 言 われ ていたが 今 回 の 津 波 で 湾 港 防 波 堤 が 破 壊 された 岩 手 県 釜 石 市 岩 手 県 大 船 渡 市 2 津 波 対 策 として 厳 重 な 防 波 堤 防 潮 堤 が 設 置 されて いた 地 域 の 浸 水 3 通 常 の 港 湾 の 浸 水 三 陸 沿 岸 の 各 地 では 津 波 対 策 として 防 潮 堤 の 建 設 がおこなわれてきた 中 で も 万 全 と 思 われる 防 潮 堤 を 建 設 した 地 区 が 大 きな 被 害 を 被 った 例 がある 消 波 のための 防 波 堤 に 設 置 されて 岸 壁 が 設 置 されていた 港 湾 施 設 岩 手 県 宮 古 市 田 老 地 区 岩 手 県 釜 石 市 宮 城 県 気 仙 沼 市 茨 城 県 北 茨 城 市 50
東 日 本 大 震 災 対 応 報 告 書 ~ 地 球 観 測 衛 星 及 び 通 信 衛 星 による 対 応 の 記 録 ~ 4 近 代 技 術 で 大 規 模 に 構 築 された 港 湾 の 浸 水 災 害 対 策 にも 万 全 を 期 して 設 計 された と 思 われる 港 湾 施 設 宮 城 県 仙 台 新 港 宮 城 県 名 取 市 仙 台 空 港 5 防 波 堤 防 潮 堤 が 設 置 さて いなかった 市 街 地 の 浸 水 津 波 に 対 して 特 別 な 防 護 施 設 を 設 置 し ていなかった 地 区 で 甚 大 な 被 害 が 発 生 した 宮 城 県 名 取 市 閖 上 地 区 千 葉 県 旭 市 6 比 較 的 急 峻 な 地 形 を 呈 し ている 地 域 の 遡 上 ( 津 波 の 駆 け 上 りの 大 きかった 集 落 ) 7 勾 配 が 緩 い 平 野 の 遡 上 ( 河 川 遡 上 による 被 害 が 大 き かった 地 域 ) 8 海 岸 林 9 干 拓 地 埋 立 造 成 地 10 干 潟 三 陸 沿 岸 北 部 には 断 崖 の 切 れ 目 に 川 に 沿 って 細 長 い 集 落 が 点 在 している これ らの 地 域 では 押 し 寄 せた 津 波 が 狭 い 地 形 を 駆 け 上 り 浸 水 が 高 い 地 点 にまで 達 した 津 波 が 勾 配 が 緩 く 比 較 的 川 幅 の 広 い 河 川 を 遡 上 し 大 きな 被 害 を 与 えた 江 戸 時 代 から 育 成 してきた 海 岸 林 が 津 波 により 破 壊 されてしまった 海 面 を 埋 め 立 てて 新 しい 土 地 を 造 成 し た 地 域 環 境 保 全 の 為 に 自 然 地 形 を 保 存 してい た 地 域 が 津 波 被 害 を 受 けた 岩 手 県 宮 古 市 摂 待 地 区 岩 手 県 大 船 渡 市 綾 里 地 区 宮 城 県 石 巻 市 ( 北 上 川 ) 宮 城 県 名 取 市 ( 名 取 川 ) 岩 手 県 普 代 村 普 代 地 区 宮 城 県 東 松 島 市 野 蒜 海 岸 宮 城 県 石 巻 市 宮 城 県 仙 台 市 ( 蒲 生 干 潟 ) 図 2.1-67 岩 手 県 宮 古 市 摂 待 地 区 流 された 橋 と 集 落 ( 佐 々 木 宏 氏 撮 影 ) 図 2.1-68 岩 手 県 宮 古 市 田 老 地 区 被 害 を 受 けた 津 波 対 策 済 の 地 域 (2) 地 殻 地 盤 変 動 状 況 調 査 地 殻 地 盤 変 動 状 況 について 今 回 の 大 震 災 により 発 生 した 地 殻 地 盤 変 動 を 典 型 的 事 例 を 中 心 に 以 下 に 示 す 条 件 でそれぞれに 示 す 理 由 により 場 所 を 選 定 した 各 条 件 毎 に 2 箇 所 以 上 の 調 査 を 実 施 し 衛 星 画 像 からどこまで 判 読 が 可 能 か 検 証 を 実 施 する 51
表 2.1-10 調 査 地 の 選 定 ( 地 殻 地 盤 変 動 ) 1 地 盤 沈 下 した 住 宅 地 地 震 により 地 盤 が 沈 下 した 住 宅 地 岩 手 県 陸 前 高 田 市 気 仙 地 区 宮 城 県 石 巻 市 渡 波 地 区 2 地 盤 沈 下 した 港 湾 施 設 ( 工 業 港 漁 港 ) 3 消 失 した 海 浜 4 消 失 した 景 勝 地 史 跡 5 地 震 動 による 地 盤 変 動 ( 新 興 住 宅 地 ) 6 土 砂 災 害 ( 地 すべり がけ 崩 れ 等 ) 7 液 状 化 ( 住 宅 地 ) 8 液 状 化 ( 公 共 用 地 ) 9 地 表 の 変 動 ( 水 平 垂 直 ) 地 震 により 地 盤 が 沈 下 した 港 湾 施 設 青 森 県 八 戸 市 ( 工 業 港 漁 港 ) 岩 手 県 釜 石 市 ( 工 業 港 漁 港 ) 宮 城 県 気 仙 沼 市 ( 工 業 港 漁 港 ) 海 水 浴 場 として 親 しまれてきた 海 浜 根 浜 海 岸 ( 岩 手 県 釜 石 市 ) が 流 出 した 閖 上 海 岸 ( 宮 城 県 名 取 市 ) 名 勝 地 史 跡 として 親 しまれてきた 場 高 田 松 原 ( 岩 手 県 陸 前 高 田 市 ) 所 が 流 出 した 野 蒜 築 港 跡 ( 宮 城 県 東 松 島 市 ) 地 震 により 丘 陵 地 に 開 発 された 新 興 住 宅 地 において 地 盤 の 変 動 が 生 じ 被 害 が 多 発 した 地 震 により 地 すべりやがけ 崩 れが 発 生 した 地 震 による 液 状 化 により 住 宅 地 に 被 害 が 発 生 した 地 震 による 液 状 化 により 公 共 用 地 に 被 害 が 発 生 した 地 震 による 地 表 が 移 動 ( 水 平 移 動 隆 起 沈 降 )した 宮 城 県 仙 台 市 青 葉 区 ( 緑 ヶ 丘 地 区 ) 宮 城 県 山 元 町 ( 太 陽 ニュータウン) 宮 城 県 丸 森 町 福 島 県 白 河 市 茨 城 県 潮 来 市 千 葉 県 浦 安 市 千 葉 県 千 葉 市 美 浜 区 ( 稲 毛 海 浜 公 園 ) 文 献 調 査 図 2.1-69 宮 城 県 気 仙 沼 港 市 地 盤 沈 下 した 港 湾 (3) 人 工 構 造 物 の 被 災 状 況 調 査 人 工 構 造 物 の 被 災 状 況 について 震 災 津 波 被 害 で 典 型 的 な 事 象 を 中 心 に 以 下 に 示 す 条 件 でそれぞれに 示 す 理 由 により 場 所 を 選 定 した 各 条 件 ごとに 2 箇 所 以 上 の 調 査 を 実 施 し 衛 星 画 像 からどこまで 判 読 が 可 能 か 検 証 を 実 施 する 52
東 日 本 大 震 災 対 応 報 告 書 ~ 地 球 観 測 衛 星 及 び 通 信 衛 星 による 対 応 の 記 録 ~ 表 2.1-11 調 査 地 の 選 定 ( 人 工 構 造 物 の 被 災 ) 1 湾 口 防 波 堤 津 波 対 策 の 象 徴 として 長 い 期 間 と 莫 大 な 費 用 をかけて 構 築 されてきたが 今 回 の 津 波 であえなく 破 壊 されてし まった 岩 手 県 釜 石 湾 口 防 波 堤 岩 手 県 大 船 渡 湾 口 防 波 堤 2 防 潮 堤 3 防 潮 水 門 4 工 業 港 の 防 波 堤 岸 壁 5 漁 港 の 防 波 堤 岸 壁 6 河 川 堤 防 7 道 路 8 橋 梁 9 鉄 道 10 養 殖 漁 業 施 設 11 市 町 村 庁 舎 12その 他 公 共 施 設 市 街 地 を 津 波 から 守 る 為 に 構 築 され てきたが 今 回 の 津 波 により 多 くが 破 壊 され 越 流 されて 甚 大 な 被 害 に つながった 市 街 地 を 津 波 から 守 る 為 に 構 築 され てきたが 今 回 の 津 波 により 多 くが 破 壊 され 越 流 されて 甚 大 な 被 害 に つながった 地 域 産 業 の 中 枢 施 設 の 多 くが 流 出 し た 地 域 の 主 要 産 業 の 漁 業 生 産 施 設 が 破 壊 流 出 した 津 波 が 河 川 をたどって 遡 上 した 際 に 堤 防 が 決 壊 したもの 津 波 による 浸 水 土 砂 崩 れにより 多 くの 道 路 が 閉 鎖 された 津 波 により 河 口 付 近 の 多 く 橋 梁 が 流 出 した 津 波 により 鉄 道 の 線 路 及 び 駅 舎 が 流 出 した 沿 岸 の 湾 内 に 設 置 されていた 養 殖 施 設 ( 生 簀 筏 延 縄 など)の 多 くが 破 壊 流 出 した 地 域 行 政 の 中 心 となっている 市 町 村 庁 舎 に 被 害 が 発 生 した 公 立 病 院 や 消 防 署 等 の 公 共 施 設 にお いて 被 害 が 発 生 した 岩 手 県 大 槌 町 岩 手 県 大 船 渡 市 岩 手 県 岩 泉 町 ( 小 本 川 河 口 水 門 ) 岩 手 県 宮 古 市 ( 津 軽 石 川 河 口 水 門 ) 岩 手 県 久 慈 市 久 慈 港 宮 城 県 仙 台 市 仙 台 新 港 岩 手 県 宮 古 市 鍬 ヶ 崎 漁 港 宮 城 県 気 仙 沼 市 気 仙 沼 漁 港 岩 手 県 陸 前 高 田 市 ( 気 仙 川 ) 宮 城 県 石 巻 市 ( 北 上 川 ) 宮 城 県 亘 理 町 ( 阿 武 隈 川 ) 国 道 45 号 ( 仙 台 市 宮 城 野 区 ~ 多 賀 城 市 ) 常 磐 自 動 車 道 ( 水 戸 IC~ 那 珂 IC) 気 仙 大 橋 ( 岩 手 県 陸 前 高 田 市 ) 鹿 行 大 橋 ( 茨 城 県 行 方 市 ~ 鉾 田 市 ) 陸 前 高 田 駅 (JR 大 船 渡 線 ) 東 松 島 市 (JR 仙 石 線 ) 岩 手 県 山 田 湾 岩 手 県 大 船 渡 湾 宮 城 県 気 仙 沼 湾 岩 手 県 大 槌 町 役 場 岩 手 県 陸 前 高 田 市 役 所 宮 城 県 南 三 陸 町 役 場 岩 手 県 立 高 田 病 院 岩 手 県 大 槌 消 防 署 13 大 規 模 集 客 施 設 不 特 定 対 数 が 利 用 する 大 規 模 集 客 施 設 において 被 害 が 発 生 した 仙 台 空 港 ( 宮 城 県 名 取 市 ) 14 災 害 時 要 援 護 者 施 設 災 害 時 の 避 難 が 困 難 である 要 援 護 者 施 設 が 被 災 した 15 市 街 地 等 の 火 災 による 被 地 震 に 伴 う 火 災 によって 市 街 地 等 に 害 被 害 が 発 生 した 16その 他 土 木 構 造 物 地 震 により 老 朽 化 したダムが 決 壊 し 下 流 の 集 落 に 被 害 が 生 じた 特 別 養 護 老 人 ホームさんりくの 園 ( 岩 手 県 大 船 渡 市 ) 宮 城 県 気 仙 沼 市 ( 市 街 地 ) 千 葉 県 市 原 市 (コンヒ ナート) 福 島 県 須 賀 川 市 ( 藤 沼 ダム) 53
図 2.1-70 宮 城 県 南 三 陸 町 被 災 した 町 役 場 図 2.1-71 宮 城 県 名 取 市 浸 水 した 仙 台 空 港 全 景 (4) 衛 星 画 像 の 利 用 調 査 今 回 の 震 災 において 衛 星 画 像 をどのように 利 用 しどのようなメリットがあったのか 実 際 に 利 用 した 団 体 にアプローチしインタビューを 行 ない 利 用 方 法 だけでなく 画 像 提 供 のルート タイミング 継 続 性 判 読 サポート 等 についてもどうあるべきか 等 実 ユーザの 意 見 も 整 理 する インタビュー 対 象 団 体 は 自 治 体 大 学 等 研 究 機 関 漁 協 農 協 等 の 各 種 団 体 のほか 民 間 企 業 NPO 等 を 予 定 している (5) 課 題 の 整 理 前 項 までの 調 査 結 果 から どのような 対 象 物 状 況 であれば 判 読 し 易 く またはし 難 い のか また 衛 星 画 像 をどのような 形 で 提 供 されると 利 用 者 にとってメリットがあるかを 整 理 する その 上 で 現 状 の 課 題 と 対 応 策 について 整 理 する 2.1.7.2 画 像 解 析 結 果 の 評 価 (1) PALSAR データを 用 いた 湛 水 域 解 析 PALSAR はその 全 天 候 性 を 期 待 され 発 災 直 後 から 精 力 的 な 観 測 が 行 われた これらのデ ータを 用 い 湛 水 域 の 解 析 を 継 続 的 に 実 施 した 湛 水 域 解 析 に 用 いたデータは 表 2.1-12 の とおりである 表 2.1-12 湛 水 域 解 析 に 用 いた PALSAR データ 一 覧 No. 観 測 年 月 日 入 射 角 / 軌 道 過 去 データ 年 月 日 入 射 角 / 軌 道 1 2011.3.13 46.6 / Asc 2008.6.21 47.8 / Asc 2 2011.3.23 50.0 / Dsc 2009.11.12 41.5 / Dsc 3 2011.3.26 28.8 / Asc 2010.11.20 34.3 / Asc 4 2011.4.1 34.3 / Asc 2010.9.20 34.3 / Asc 5 2011.4.7 34.3 / Asc 2010.11.20 34.3 / Asc 6 2011.4.18 34.3 / Dsc 2011.3.3 34.3 / Dsc 54
東 日 本 大 震 災 対 応 報 告 書 ~ 地 球 観 測 衛 星 及 び 通 信 衛 星 による 対 応 の 記 録 ~ 結 論 として 適 切 な 観 測 条 件 を 整 えることにより PALSAR においても 湛 水 域 解 析 が 可 能 であった 以 下 詳 細 をしるすと 湛 水 域 の 抽 出 にあたっては SAR 強 度 画 像 (オルソ 勾 配 補 正 画 像 ) 規 格 化 差 分 画 像 及 び 発 災 前 の GoogleEarth 画 像 を 利 用 した ここで 規 格 化 差 分 画 像 とは 以 下 の 式 で 計 算 される; NDIF=(DN 1 -DN 2 )/(DN 1 +DN 2 ) ここで NDIF とは 規 格 化 差 分 画 像 DN 2 は 災 害 前 PALSAR 画 像 の DN 値 DN 1 は 災 害 後 の DN 値 である 規 格 化 差 分 により 湛 水 域 を 強 調 して 表 現 することができ SAR 強 度 画 像 のみでは 判 断 が 難 しい 部 分 の 判 読 に 役 立 った また 発 災 前 の GoogleEarth 画 像 から 土 地 被 覆 の 状 況 を 確 認 し 合 わせて 湛 水 域 判 読 の 補 助 として 用 いた また 判 読 を 通 していくつかの 知 見 が 得 られた 具 体 的 にはまず 災 害 前 画 像 として 水 稲 作 付 生 育 期 の 画 像 ( 概 ね 5 月 ~7 月 )の 使 用 を 避 ける 必 要 がある その 理 由 は 今 回 の 津 波 被 害 域 の 多 くは 平 野 部 にあり 多 くの 場 合 において 水 田 が 広 がっている その 場 合 水 稲 の 田 植 期 から 生 育 期 にあたる 時 期 の PALSAR 画 像 を 災 害 前 画 像 として 選 択 すると 水 田 が 湛 水 しているため 抽 出 判 読 が 難 しくなるからである また 発 災 後 画 像 の 観 測 中 ある いはその 直 前 に 降 雨 があった 場 合 津 波 の 水 が 引 いた 冠 水 跡 に 水 たまりができてしまい それを 湛 水 と 誤 判 読 したケースもみられた PALSAR データの 観 測 条 件 についても 入 射 角 が 大 きいとレンジアンビギュイティの 影 響 で 判 読 性 が 落 ちること 入 射 角 が 小 さいと 空 間 分 解 能 の 悪 化 に 伴 う 判 読 性 の 低 下 が 起 こることが 明 らかになった 以 下 図 2.1-72 に 湛 水 域 抽 出 画 像 及 び 規 格 化 差 分 画 像 PALSAR 画 像 の 例 を 記 す cjaxa/meti cjaxa/meti 図 2.1-72 PALSAR による 湛 水 解 析 結 果 の 例 ( 左 : 抽 出 結 果 右 : 規 格 化 差 分 画 像 ) 55