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(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

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( 減 免 の 根 拠 等 ) 第 1 条 こ の 要 綱 は, 地 方 税 法 第 条 の 規 定 に 基 づ く 市 税 条 例 第 6 9 条 の 2 の 規 定 を 根 拠 と す る 身 体 障 害 者 等 に 対 す る 軽 自 動 車 税 の 減 免 の 具 体 的 な 対

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17 外 国 人 看 護 師 候 補 者 就 労 研 修 支 援 18 看 護 職 員 の 就 労 環 境 改 善 運 動 推 進 特 別 20 歯 科 医 療 安 全 管 理 体 制 推 進 特 別 21 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 整 備 22 地 域 災 害 拠 点 病

該 介 護 休 業 が 終 了 する 日 までに, 当 該 介 護 休 業 に 係 る 対 象 家 族 が 死 亡 したとき 又 は 離 婚, 婚 姻 の 取 消, 離 縁 等 により 当 該 介 護 休 業 に 係 る 対 象 家 族 との 親 族 関 係 が 消 滅 した とき (3) 配 偶

 

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根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

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1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

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2 条 ) ア 育 児 休 業 の 対 象 とならない 職 員 ( 法 第 2 条 及 び 条 例 第 2 条 関 係 ) (ア) 臨 時 的 に 任 用 される 職 員 (イ) 育 児 休 業 に 係 る 期 間 を 任 期 と 定 めて 採 用 された 職 員 (ウ) 勤 務 延 長 職 員 (

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要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

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接 支 払 制 度 を 活 用 するか 意 思 を 確 認 する 確 認 に 当 たっては 次 の 各 号 に 掲 げる 事 項 について 書 面 により 世 帯 主 の 合 意 を 得 て 代 理 契 約 を 締 結 するものとする (1) 医 療 機 関 等 が 本 市 に 対 し 世 帯 主

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

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国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

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(1) 船 舶 の 堪 航 能 力 が 不 十 分 であるとき (2) 天 候 本 船 の 状 態 積 荷 の 種 類 又 は 水 路 等 の 状 況 に 照 らし 運 航 に 危 険 のおそれがあるとき (3) 水 先 船 の 航 行 に 危 険 のおそれがあるとき (4) 水 先 人 の 乗 下

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

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Q5 育 児 休 業 を 請 求 する 際 の 事 務 手 続 は? A5 育 児 休 業 を 請 求 しようとする 職 員 は, 育 児 休 業 承 認 請 求 書 ( 様 式 第 1 号 )に 子 の 氏 名 や 請 求 する 期 間 等 を 記 入 し, 育 児 休 業 を 始 めようとする1

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

取 り 消 された 後 当 該 産 前 の 休 業 又 は 出 産 に 係 る 子 若 しくは 同 号 に 規 定 する 承 認 に 係 る 子 が 死 亡 し 又 は 養 子 縁 組 等 により 職 員 と 別 居 することとなったこと (2) 育 児 休 業 をしている 職 員 が 休 職 又

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

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内 宿 泊 料 国 外 滞 在 費 及 び 予 防 注 射 諸 手 数 料 とし それぞれ 次 の 各 号 に 定 めるとこ ろにより 支 給 する (1) 交 通 費 は 現 に 利 用 した 経 路 及 び 方 法 により 支 給 する なお 国 外 への 旅 行 の 場 合 の 交 通 費 は

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川越市幼稚園就園奨励費補助金交付要綱

Transcription:

MA2010-4 船 舶 事 故 調 査 報 告 書 ( 東 京 事 案 ) 1 旅 客 船 さかもと3 旅 客 負 傷 2 貨 物 船 しゅり 漁 船 航 平 丸 衝 突 3 遊 漁 船 ユニコーン 衝 突 ( 防 波 堤 ) 平 成 22 年 4 月 23 日 運 輸 安 全 委 員 会

本 報 告 書 の 調 査 は 本 件 船 舶 事 故 に 関 し 運 輸 安 全 委 員 会 設 置 法 に 基 づき 運 輸 安 全 委 員 会 により 船 舶 事 故 及 び 事 故 に 伴 い 発 生 した 被 害 の 原 因 を 究 明 し 事 故 の 防 止 及 び 被 害 の 軽 減 に 寄 与 することを 目 的 として 行 われたものであり 事 故 の 責 任 を 問 うために 行 われたものではない 運 輸 安 全 委 員 会 委 員 長 後 藤 昇 弘

参 考 本 報 告 書 本 文 中 に 用 いる 分 析 の 結 果 を 表 す 用 語 の 取 扱 いについて 本 報 告 書 の 本 文 中 3 分 析 に 用 いる 分 析 の 結 果 を 表 す 用 語 は 次 のとおりと する 1 断 定 できる 場 合 認 められる 2 断 定 できないが ほぼ 間 違 いない 場 合 推 定 される 3 可 能 性 が 高 い 場 合 考 えられる 4 可 能 性 がある 場 合 可 能 性 が 考 えられる 可 能 性 があると 考 えられる

1 旅 客 船 さかもと3 旅 客 負 傷

船 舶 事 故 調 査 報 告 書 船 種 船 名 旅 客 船 さかもと3 船 舶 番 号 291-37889 岡 山 総 トン 数 11トン 事 故 種 類 旅 客 負 傷 発 生 日 時 平 成 21 年 1 月 11 日 10 時 17 分 ごろ 発 生 場 所 岡 山 県 笠 岡 市 真 鍋 島 南 西 沖 六 島 灯 台 から 真 方 位 030 4,530m 付 近 ( 概 位 北 緯 34 20.1 東 経 133 33.6 ) 平 成 22 年 3 月 11 日 運 輸 安 全 委 員 会 ( 海 事 部 会 ) 議 決 委 員 長 後 藤 昇 弘 委 員 横 山 鐵 男 ( 部 会 長 ) 委 員 山 本 哲 也 委 員 根 本 美 奈 1 船 舶 事 故 調 査 の 経 過 1.1 船 舶 事 故 の 概 要 旅 客 船 さかもと3は 船 長 ほか 甲 板 員 1 人 が 乗 り 組 み 旅 客 28 人 が 乗 船 し 岡 山 かさおかし ま なべしま む しま 県 笠 岡 市 真 鍋 島 から 笠 岡 市 六 島 に 向 けて 航 行 中 平 成 21 年 1 月 11 日 ( 日 )10 時 17 分 ごろ 真 鍋 島 南 西 沖 において 船 体 が 縦 に 動 揺 した 際 に 旅 客 2 人 が 重 傷 を 負 った 1.2 船 舶 事 故 調 査 の 概 要 1.2.1 調 査 組 織 運 輸 安 全 委 員 会 は 平 成 21 年 1 月 11 日 本 事 故 の 調 査 を 担 当 する 主 管 調 査 官 ほか1 人 の 船 舶 事 故 調 査 官 を 指 名 した - 1 -

1.2.2 調 査 の 実 施 時 期 平 成 21 年 1 月 13~17 日 現 場 調 査 及 び 口 述 聴 取 平 成 21 年 1 月 28 日 29 日 4 月 17 日 6 月 23 日 7 月 7 日 10 月 20 日 11 月 19 日 口 述 聴 取 1.2.3 原 因 関 係 者 からの 意 見 聴 取 原 因 関 係 者 から 意 見 聴 取 を 行 った 2 事 実 情 報 2.1 事 故 の 経 過 本 事 故 が 発 生 するまでの 経 過 は さかもと3( 以 下 A 船 という )の 船 長 ( 以 下 船 長 A という ) 及 び 甲 板 員 ( 以 下 甲 板 員 A という ) 並 びに 前 部 客 室 の 右 舷 側 最 前 部 に 着 席 して 負 傷 した 旅 客 ( 以 下 旅 客 A という ) 旅 客 Aの 左 隣 に 着 席 し て 負 傷 した 旅 客 ( 以 下 旅 客 B という ) 前 部 客 室 の 左 舷 側 最 前 部 から3 番 目 に 着 席 していた 旅 客 ( 以 下 旅 客 C という ) 前 部 客 席 の 左 舷 側 最 前 部 から4 番 目 に 着 席 していた 旅 客 ( 以 下 旅 客 D という ) 前 部 客 室 の 左 舷 側 最 後 部 に 着 席 していた 旅 客 ( 以 下 旅 客 E という ) 中 央 部 客 室 の 左 舷 側 後 部 に 着 席 していた 旅 客 ( 以 下 旅 客 F という ) 後 部 客 室 の 左 舷 側 最 前 部 に 着 席 していた 旅 客 ( 以 下 旅 客 G とい う ) 及 び 後 部 客 室 の 右 舷 側 最 後 部 から 前 方 2 番 目 に 着 席 していた 旅 客 ( 以 下 旅 客 H という )の 口 述 によれば 次 のとおりであった 2.1.1 A 船 の 事 故 発 生 日 の 運 航 状 況 等 A 船 は 有 限 会 社 さかもと 交 通 ( 以 下 A 社 という )が 所 有 する 旅 客 船 で 通 常 瀬 渡 し 又 は 海 上 タクシーとして 運 航 されているが 平 成 21 年 1 月 11 日 六 島 航 路 有 限 会 社 ( 以 下 B 社 という )に 用 船 され 臨 時 に 六 島 ~ 真 鍋 島 の 定 期 旅 客 航 路 ( 以 下 本 件 航 路 という )に 就 航 することとなった 本 件 航 路 は 日 曜 日 の 場 合 六 島 湛 江 港 ( 以 下 湛 江 港 という )~ 六 島 前 浦 港 ( 以 下 前 浦 港 という )~ 真 鍋 島 真 鍋 港 ( 以 下 真 鍋 港 という )1 往 復 を1 便 と 本 件 航 路 の 概 略 係 船 場 所 - 2 -

して 1 日 2 便 の 就 航 予 定 であった かみじま A 船 が 係 船 場 所 である 笠 岡 市 神 島 船 着 き 場 ( 以 下 係 船 場 所 という )を 出 港 してからの 運 航 状 況 は 次 のとおりであった [ 時 刻 A 船 の 運 航 状 況 及 び 2.1.1 各 項 の 見 出 し] 時 刻 A 船 の 運 航 状 況 2.1.1 各 項 の 見 出 し 06 時 40 分 ~07 時 25 分 ごろ 07 時 25 分 ~08 時 ごろ 10 時 ~10 時 05 分 ごろ 10 時 05 分 ごろ~ 事 故 発 生 まで たた 係 船 場 所 から 六 島 湛 え 江 港 に 回 航 湛 江 港 から 真 鍋 島 真 鍋 港 に 航 行 真 鍋 港 の 桟 橋 に 着 桟 まえうら 真 鍋 港 から 六 島 前 浦 港 に 航 行 (1) 係 船 場 所 ~ 六 島 湛 江 港 (2) 湛 江 港 ~ 真 鍋 港 (3) 真 鍋 港 の 桟 橋 での 状 況 (4) 旅 客 の 着 席 位 置 (5) 真 鍋 港 から 事 故 発 生 まで 事 故 発 生 前 浦 港 に 向 け 航 行 中 (6) 事 故 発 生 時 の 状 況 事 故 発 生 ~10 時 30 同 上 (7) 事 故 発 生 から 前 浦 港 まで 分 ごろ 10 時 30 分 ~10 時 前 浦 港 の 桟 橋 に 着 桟 (8) 前 浦 港 の 桟 橋 での 状 況 35 分 ごろ 10 時 35 分 ごろ 以 降 前 浦 港 から 湛 江 港 に 航 行 (9) 前 浦 港 出 港 後 の 状 況 (1) 係 船 場 所 ~ 六 島 湛 江 港 船 長 Aは 1 月 11 日 起 床 後 すぐに 午 前 5 時 発 表 の 気 象 情 報 から11 日 の 風 と 波 は 西 寄 りで 風 速 7~8m/s 波 高 1mとの 予 報 を 確 認 した 船 長 Aは 06 時 40 分 ごろ 係 船 場 所 を 出 港 して 湛 江 港 に 回 航 する 途 中 風 は 北 西 方 向 から 約 7~8m/s 波 高 は 約 1mであったが 航 行 が 困 難 なほど の 波 高 とは 思 わなかった また 十 分 な 回 航 時 間 があったため 機 関 の 暖 機 運 転 を 兼 ねて 回 転 数 毎 分 (rpm) 約 1,500として 抑 え 気 味 に 航 行 した 通 常 であれば 約 1,700rpm で 航 行 することが 多 く 約 1,500rpm で15 ノット(kn) 前 後 約 1,700rpm で17~18kn 程 度 の 速 力 で 航 行 できて いた (2) 湛 江 港 ~ 真 鍋 港 A 船 は 07 時 25 分 ごろ 湛 江 港 に 到 着 して 甲 板 員 Aを 乗 船 させた 甲 板 員 Aは 通 常 本 件 航 路 に 就 航 しているB 社 の 定 期 旅 客 船 ニューおおとり( 以 下 B 船 という )に 甲 板 員 として 乗 り 組 んでいた 甲 板 員 Aは 乗 船 の 際 - 3 -

にB 社 の 安 全 管 理 規 程 を 携 えて 船 長 Aと 今 日 は 風 が 吹 いているな と 会 話 した 後 07 時 35 分 ごろ 湛 江 港 を 出 港 して 前 浦 港 に 向 かった A 船 は 07 時 45 分 ごろ 第 1 便 の 往 路 は 旅 客 3 人 を 乗 せて 前 浦 港 を 出 港 し 風 及 び 波 を 左 舷 斜 め 後 方 から 受 けながら 北 北 東 に 向 けて 航 行 したが 西 寄 りの 風 なので 船 首 が 波 を 叩 くことなく 約 1,600rpm で 真 鍋 港 に 向 かい 08 時 03 分 ごろ 真 鍋 港 に 着 桟 して 旅 客 を 降 ろした 後 第 1 便 の 復 路 の 出 港 時 刻 まで 待 機 することにした (3) 真 鍋 港 の 桟 橋 での 状 況 船 長 Aは 10 時 ごろ 第 1 便 の 復 路 で 六 島 に 向 かう 旅 客 を 乗 船 させようと した 際 ジャージの 上 下 を 着 てリュックサックを 背 負 っている 一 見 してハイ キング 目 的 で 笠 岡 から 来 たと 思 われる 団 体 客 が 真 鍋 港 の 桟 橋 に 集 まっている のに 気 付 いた その 団 体 客 は 六 島 の 大 石 山 登 山 を 目 的 に 08 時 30 分 ごろ 笠 岡 港 から 旅 客 船 ( 総 トン 数 19トン)に 乗 り その 旅 客 船 の 航 行 中 に 波 しぶきがかかり 多 少 揺 れたのを 経 験 した 後 に 真 鍋 港 で 下 船 し 六 島 行 きの 旅 客 船 を 待 ち 合 わせ ていた A 船 は 旅 客 乗 船 の 際 船 尾 のロープのみを 使 用 して 右 舷 着 けで 着 桟 中 船 長 Aが 操 縦 席 に 座 って 機 関 を 前 進 として 桟 橋 から 船 が 離 れないよう 操 船 しな がら 旅 客 を 乗 船 させた 船 長 Aは 旅 客 が 前 部 中 央 部 後 部 のそれぞれの 客 室 に 分 かれて 乗 船 する 様 子 を 見 ていた 甲 板 員 Aは 桟 橋 で 並 んで 乗 船 する 旅 客 に 対 して 今 日 は 波 があるので 後 部 側 の 客 室 に 乗 るようアナウンス( 口 頭 による 呼 びかけ 以 下 アナウンス という )をした しかしながら 旅 客 A 旅 客 B 旅 客 C 旅 客 D 旅 客 E 旅 客 F 旅 客 G 及 び 旅 客 Hは アナウンスがあったことを 記 憶 していなかった また 船 長 Aは 通 常 船 長 が 単 独 で 乗 り 組 んでいて 揺 れが 予 想 される 場 合 は 自 らアナウンスを 行 うが 甲 板 員 Aが 乗 船 していたこと 及 び 旅 客 が 笠 岡 港 か ら 真 鍋 島 までの 乗 船 で 今 日 は 揺 れることがわかっているだろうと 思 ったこと から アナウンスをしなかった (4) 旅 客 の 着 席 位 置 団 体 客 25 人 を 含 む 旅 客 28 人 は 前 部 客 室 に12 人 中 央 部 客 室 に2 人 後 部 客 室 に14 人 が 着 席 した 旅 客 Aは リュックサックを 降 ろして 前 部 客 室 ( 右 舷 側 )の 最 前 席 に 座 り 旅 客 Bは 旅 客 Aの 左 隣 ( 船 尾 側 )にリュックサックを 背 負 ったままで 座 った 旅 客 Eは 前 部 客 室 ( 左 舷 側 )の 最 後 部 席 に 座 った 通 常 本 件 航 路 は 1 航 海 につき5 人 前 後 の 旅 客 数 であることが 多 く その 旅 客 の 多 くは 地 元 の 住 民 - 4 -

であり 28 人 の 旅 客 が 乗 船 するのは まれなことであった 旅 客 室 の 配 置 及 び 着 席 状 況 後 部 客 室 中 央 部 客 室 及 び 操 縦 席 前 部 客 室 : 旅 客 着 席 位 置 旅 客 G 旅 客 F 船 長 A 旅 客 E 旅 客 D 旅 客 C 旅 客 H 甲 板 員 A 旅 客 I 旅 客 B( 負 傷 ) 旅 客 A( 負 傷 ) (5) 真 鍋 港 から 事 故 発 生 まで A 船 は 10 時 05 分 ごろ 真 鍋 港 を 出 港 して 北 西 に 向 かう 針 路 で 航 行 し てんじんばな 真 鍋 島 の 天 神 鼻 を 左 に 見 て 左 転 した 後 動 揺 1 することを 予 測 して 機 関 回 転 数 を 約 100rpm 下 げた 約 1,500rpm として 目 視 で 六 島 の 中 央 に 向 けて 舵 を 切 り 針 路 を 約 210 ( 真 方 位 以 下 同 じ )とした 辺 りから 波 により 船 体 が 縦 に 動 揺 2 を 始 めた このときの 風 及 び 波 は 船 首 を0 時 として2 時 から 3 時 ( 約 60 ~90 )の 方 向 から 来 ており 風 速 は 約 7~8m/s 波 高 は 約 1.0mであった 通 常 船 長 Aは 最 初 の15 分 間 を 六 島 の 中 央 に 向 けて 航 行 した 後 前 浦 港 に 向 けていた 船 長 Aは 10 時 08 分 ごろ 船 首 を 六 島 の 中 央 に 向 けて 定 針 した 後 は 船 体 が 波 の 頂 きを 越 えて 船 首 が 波 間 に 落 ちる 度 に 波 しぶきがかかるので 前 部 窓 ガ ラスのワイパーを 連 続 で 使 用 した このころ 多 少 は 船 体 が 縦 に 動 揺 して 船 首 が 波 を 叩 いていたが 船 体 が 大 きく 縦 に 動 揺 することはないと 思 っていた な お 船 長 A 及 び 甲 板 員 Aは 旅 客 に 対 し 波 により 船 体 が 縦 に 動 揺 することに 1 動 揺 とは 直 線 運 動 ( 前 後 :surging 左 右 :swaying 上 下 :heaving)と 回 転 運 動 ( 縦 揺 れ: pitching 横 揺 れ:rolling 船 首 揺 れ:yawing)より 成 り 一 般 にはこれらが 複 合 して 発 生 する 2 縦 に 動 揺 とは 縦 揺 れ(pitching)に 上 下 動 (heaving) 及 び 前 後 動 (surging)を 加 えた 運 動 をいう - 5 -

ついてのアナウンスは 行 わなかった 前 部 客 室 の 左 舷 側 に 着 席 していた 旅 客 C 及 び 旅 客 Dは 船 体 が 縦 に 動 揺 する とともに 右 舷 側 の 窓 に 波 しぶきがかかるのを 見 ていた 前 部 客 室 の 旅 客 の 雰 囲 気 は 揺 れによる 不 安 を 感 じてキャーキャー 声 を 上 げていたが 恐 怖 を 感 じる ほどではなかった (6) 事 故 発 生 時 の 状 況 船 長 Aは 10 時 08 分 ごろに 定 針 した 後 真 鍋 港 から 前 浦 港 に 至 る 航 海 時 間 の 半 分 より 手 前 ごろ 波 の 頂 きに 乗 った 船 首 が 波 間 に 落 ちた 際 に これは 大 きな 波 だと 感 じた 波 ( 以 下 本 件 大 波 という )に 出 会 った この 時 だけ 六 島 に 向 けていた 視 線 が 船 首 に 向 いた 本 件 大 波 は 真 鍋 港 出 港 後 に 出 会 って いた 波 ( 約 1.0m)の1.5 倍 くらいの 高 さであり また この 日 の 航 行 で もっとも 大 きい 波 であった 旅 客 A 及 び 旅 客 Bは 本 件 大 波 により 船 首 が 波 間 に 落 ちた 際 身 体 が 宙 に 浮 いた 後 臀 部 からいすに 落 ち 腰 部 にそれまで 経 験 したことがない 感 覚 と 痛 み を 感 じた 旅 客 Eは 左 舷 側 に 座 り その 左 側 に 座 っていた 知 人 である 旅 客 と 話 してい たときに 本 件 大 波 を 受 け 右 舷 側 に 座 っていた 旅 客 の 腰 が 浮 き 上 がって 旅 客 の 背 筋 がピンと 伸 びたのを 見 た 後 下 から 突 き 上 げる 衝 撃 を 感 じた 見 た 目 で はあるが 船 首 の 旅 客 ほど 腰 の 浮 き 上 がりが 大 きく 旅 客 Aは 腰 が30cm 程 度 浮 き 上 がったように 見 えた 中 央 部 客 室 の 左 舷 側 後 部 に 座 っていた 旅 客 Fは 3ヶ 月 に1 回 程 度 の 頻 度 で 本 件 航 路 の 定 期 旅 客 船 を 利 用 していたが 本 件 大 波 を 受 けた 際 旅 客 船 では 過 去 に 経 験 したことがない 大 きい 波 だと 感 じた しかし 日 ごろから 漁 船 に 乗 り 慣 れており 漁 船 が 受 ける 波 の 大 きさほどではなく 左 手 で 中 央 部 客 室 内 の へり をつかんでいたため 腰 を 痛 めることはなかった 後 部 客 室 では 旅 客 14 人 が 座 り 右 舷 側 のいすに1 人 座 る 余 地 があった 航 路 の 半 分 を 過 ぎたころにダンダンと 叩 き 付 けるような 船 の 動 きを 感 じたが 船 の 揺 れに 身 構 えることもなく 落 ち 着 いて 雑 談 することができていた (7) 事 故 発 生 から 前 浦 港 まで 本 件 大 波 に 遭 遇 したのち 旅 客 Aは 気 分 が 悪 くなりビニール 袋 に 嘔 吐 し 右 手 を 前 部 客 室 から 甲 板 に 上 がる 階 段 に 置 き 左 手 を 腰 に 当 てていすに 座 って いた 旅 客 Bは 痛 さのために 腰 を 打 った 状 況 を 甲 板 員 Aその 他 の 旅 客 に 知 ら せる 余 裕 がなく 座 ったまま 右 手 を 階 段 に 置 き 顔 を 伏 せた 状 態 でいたため 周 囲 からは 気 分 が 悪 くなったと 思 われているだろうと 思 っていた 甲 板 員 Aは 本 件 大 波 の 後 に1 回 前 部 客 室 を 見 回 って 気 分 が 悪 そうに 下 を - 6 -

向 いている 旅 客 Bに 声 を 掛 けたが 返 事 はなかった 船 長 Aは 本 件 大 波 に 遭 遇 した 後 も 機 関 回 転 数 を 約 1,500rpm のままで 前 浦 港 に 向 かい 新 たな 大 きな 波 を 受 けることはなかった (8) 前 浦 港 の 桟 橋 での 状 況 A 船 は 10 時 30 分 少 し 前 ごろ 前 浦 港 の 桟 橋 に 着 桟 し 団 体 客 25 人 を 含 む27 人 が 下 船 した 旅 客 A 及 び 旅 客 Bは 腰 が 痛 く 歩 いて 下 船 できなかっ たため まず 旅 客 Bが 前 部 客 室 右 舷 側 最 後 部 に 座 っていた 旅 客 ( 以 下 旅 客 I という )に 背 負 われて 桟 橋 に 降 りた 後 桟 橋 近 くの 無 人 の 診 療 所 に 運 び 込 ま れた 次 に 旅 客 Aが 同 様 に 旅 客 Gに 背 負 われて 桟 橋 に 降 りた 船 長 Aは 下 船 する 際 に ひどい 船 酔 いだな と 言 っていた 旅 客 の 言 葉 を 聞 き 背 負 われた 旅 客 がビニール 袋 を 持 っていたことから 揺 れた 船 に 酔 ったの だと 思 ったが 負 傷 したとは 思 わなかった 甲 板 員 Aは 着 桟 時 に 船 尾 側 から 桟 橋 に 降 り 係 船 作 業 の 後 で 船 内 を 見 回 る ために 中 央 部 客 室 に 入 ったとき 背 負 われている 旅 客 を 見 かけたが その 前 に 降 りた 旅 客 が 1 人 船 酔 いしたようだ と 言 った 言 葉 を 聞 き 背 負 われて 下 船 する 旅 客 が 船 酔 いしたのだと 思 ったが 負 傷 したとは 思 わなかった その 後 旅 客 Eは 診 療 所 から 運 んできた 車 いすに 旅 客 Aを 乗 せ 桟 橋 近 く の 公 民 館 に 運 び 込 んだ (9) 前 浦 港 出 港 後 の 状 況 A 船 は 湛 江 港 の 自 宅 に 向 かう 旅 客 Fを 乗 せて 10 時 35 分 ごろに 出 港 し た 船 長 Aは 前 浦 港 に 着 桟 後 午 後 の 第 2 便 の 出 港 時 間 までに 待 機 時 間 が4 時 間 あることから 休 息 のため 係 船 場 所 ( 笠 岡 市 神 島 )に 戻 っていたところ 11 時 26 分 ごろ 笠 岡 市 の 消 防 から 六 島 で 負 傷 者 が2 人 発 生 しているとの 連 絡 を 受 け A 船 の 旅 客 2 人 が 負 傷 していたことを 知 った 本 事 故 発 生 日 時 は 平 成 21 年 1 月 11 日 10 時 17 分 ごろで 事 故 発 生 場 所 は 六 島 灯 台 から030 4,530m 付 近 であった ( 付 図 1 笠 岡 諸 島 の 周 辺 海 域 付 図 2 推 定 航 行 経 路 図 写 真 1 真 鍋 港 桟 橋 写 真 2 前 浦 港 桟 橋 参 照 ) 2.2 人 の 死 亡 行 方 不 明 及 び 負 傷 に 関 する 情 報 旅 客 A 及 び 旅 客 Bの 口 述 によれば 両 人 とも 腰 椎 に 圧 迫 骨 折 を 負 った - 7 -

2.2.1 負 傷 した 旅 客 及 びその 他 の 旅 客 に 関 する 情 報 旅 客 A 旅 客 B 旅 客 C 及 び 旅 客 Dの 口 述 によれば 次 のとおりであった (1) 旅 客 A 女 性 68 歳 六 島 の 大 石 山 に 日 帰 り 登 山 する 目 的 で 笠 岡 港 から 真 鍋 島 に 渡 り 真 鍋 島 から 六 島 に 渡 る 予 定 であった 登 山 靴 を 履 き リュックサックを 背 負 って 乗 船 して 前 部 客 室 ( 右 舷 側 )の 最 前 席 に 座 り リュックサックを 足 もとの 床 に 置 いた 旅 客 A 及 び 旅 客 Bは 真 鍋 島 の 桟 橋 で 最 初 に 乗 船 したが 団 体 の 人 数 とA 船 の 大 きさを 考 えると 全 員 が 座 るためには 奥 の 方 になる 船 首 側 から 詰 めて 座 ろうと 考 えた 乗 り 物 酔 いをしやすい 体 質 で 船 に 乗 る 頻 度 は 年 1 回 程 度 であった また 週 末 には 7~8km 程 度 の 距 離 を 歩 いていた (2) 旅 客 B 女 性 60 歳 旅 客 Aと 同 一 の 目 的 行 程 で スニーカーを 履 き リュックサックを 背 負 って 乗 船 して 前 部 客 室 ( 右 舷 側 )の 最 前 席 に 座 った 旅 客 Aの 左 隣 ( 船 尾 側 ) にリュックサックを 背 負 ったままで 座 っていた 仕 事 の 関 係 で 船 に 乗 ること が 多 く 山 登 りが 趣 味 であった (3) 旅 客 C 女 性 57 歳 旅 客 Aと 同 一 の 目 的 行 程 で 片 手 で 持 ち 上 げられる 程 度 のリュックサッ クを 持 参 し 足 もとの 床 に 置 いていた 船 に 酔 いやすいため あらかじめ 酔 い 止 めの 薬 を 服 用 していた 山 には 頻 繁 に 登 っていた (4) 旅 客 D 女 性 53 歳 旅 客 Aと 同 一 の 目 的 行 程 であった 船 に 酔 いやすいため あらかじめ 酔 い 止 め 薬 を 服 用 していた 年 間 5~10 回 の 頻 度 で 登 山 しており 通 勤 のた めに 往 復 7km 程 度 の 距 離 を 毎 日 歩 いていた 2.2.2 腰 椎 圧 迫 骨 折 に 関 する 情 報 文 献 3 によれば 次 のとおりである ( 要 約 ) 腰 椎 の 圧 迫 骨 折 は 腰 椎 が 圧 迫 されてつぶれ いわゆる へしゃげたような 形 になる 骨 折 をいい 胴 体 にギプス 又 は 硬 性 コルセットを 用 いて 腰 を 固 定 して 安 静 に する 保 存 的 治 療 を 行 う 2.3 船 舶 の 損 傷 に 関 する 情 報 船 長 Aの 口 述 によれば A 船 に 損 傷 はなかった 3 文 献 : 川 西 昌 浩 ( 著 ) 腰 痛 治 療 の 最 前 線 : 圧 迫 骨 折 はセメントでなおせ 最 新 医 学 社 2007 年 9 月 発 行 - 8 -

2.4 救 助 及 び 被 害 の 軽 減 に 関 する 情 報 (1) 笠 岡 地 区 消 防 組 合 の 対 応 状 況 笠 岡 地 区 消 防 組 合 ( 以 下 消 防 という )によれば 救 助 要 請 とその 対 応 に 関 する 状 況 は 次 のとおりであった 1 月 11 日 10 時 45 分 旅 客 Eより 六 島 に 向 けて 航 行 中 のA 船 の 船 内 で 女 性 2 人 が 負 傷 し 2 人 とも 意 識 はあるが 腰 の 痛 みで 歩 くことができず うち 1 人 は 座 ることもできないため 横 になった 患 者 を 運 べる 装 備 がある 救 急 船 による 搬 送 を 要 請 するとの 電 話 があった 消 防 は 委 託 契 約 している 複 数 の 事 業 者 に 搬 送 を 要 請 する 連 絡 を 順 次 行 った が いずれの 事 業 者 も 運 航 予 定 があって 対 応 できなかったため 11 時 30 分 川 崎 医 科 大 学 付 属 病 院 高 度 救 命 救 急 センター( 以 下 川 崎 医 大 という )ド クターヘリ 4 の 出 動 を 要 請 した (2) セントラルヘリコプターサービス 株 式 会 社 の 対 応 状 況 川 崎 医 大 のドクターヘリの 運 航 管 理 を 行 っているセントラルヘリコプター サービス 株 式 会 社 によれば 出 動 要 請 とその 対 応 に 関 する 状 況 は 次 のとおり であった 11 時 34 分 消 防 から 波 で 船 が 揺 れて 甲 板 にたたきつけられ 腰 部 を 打 った 女 性 が2 人 あり 六 島 離 着 陸 場 に 向 かうよう 要 請 があった 11 時 36 分 ヘリコプターは 機 長 整 備 士 医 師 及 び 看 護 士 の4 人 を 乗 せて 川 崎 医 大 場 外 離 着 陸 場 を 離 陸 し 11 時 51 分 に 六 島 港 前 浦 場 外 離 着 陸 場 に 着 陸 した 着 陸 後 医 師 及 び 看 護 士 は 旅 客 A 及 び 旅 客 Bを 診 察 した その 後 旅 客 A を 機 内 のシートに 座 らせ 旅 客 Bをストレッチャーに 移 して 機 内 に 収 容 した 12 時 13 分 六 島 港 前 浦 場 外 離 着 陸 場 を 離 陸 し 12 時 26 分 に 川 崎 医 大 場 外 離 着 陸 場 に 着 陸 した 後 川 崎 医 大 に 旅 客 A 及 び 旅 客 Bを 搬 送 した ( 写 真 3 ドクターヘリ 参 照 ) 2.5 乗 組 員 に 関 する 情 報 (1) 性 別 年 齢 操 縦 免 許 証 船 長 A 男 性 46 歳 一 級 小 型 船 舶 操 縦 士 特 殊 小 型 船 舶 操 縦 士 特 定 免 許 登 録 日 昭 和 59 年 10 月 2 日 4 ドクターヘリ とは 救 急 医 療 用 の 医 療 機 器 等 を 装 備 したヘリコプターであって 救 急 医 療 の 専 門 医 及 び 看 護 師 等 が 同 乗 し 救 急 現 場 等 に 向 かい 現 場 等 から 医 療 機 関 に 患 者 を 搬 送 する 間 救 命 医 療 を 行 うことのできる 専 用 のヘリコプターのことをいう - 9 -

免 許 証 交 付 日 平 成 16 年 2 月 6 日 ( 平 成 21 年 10 月 1 日 まで 有 効 ) 甲 板 員 A 男 性 57 歳 一 級 小 型 船 舶 操 縦 士 特 殊 小 型 船 舶 操 縦 士 特 定 免 許 登 録 日 平 成 19 年 8 月 17 日 免 許 証 交 付 日 平 成 19 年 8 月 17 日 ( 平 成 24 年 8 月 16 日 まで 有 効 ) (2) 健 康 状 態 及 び 乗 船 履 歴 等 船 長 A 船 長 Aの 口 述 によれば 事 故 発 生 時 の 健 康 状 態 は 良 好 で 視 力 聴 力 とも 正 常 でアルコール 類 は 摂 取 していなかった A 社 の 船 長 として 24 年 間 の 経 験 があり 平 成 3 年 からA 社 の 取 締 役 に 就 任 していた 甲 板 員 A 甲 板 員 Aの 口 述 によれば 事 故 発 生 時 の 健 康 状 態 は 良 好 で 視 力 聴 力 とも 正 常 でアルコール 類 は 摂 取 していなかった B 社 の 甲 板 員 として 27 年 間 の 経 験 があった 2.6 船 舶 等 に 関 する 情 報 2.6.1 船 舶 の 主 要 目 船 舶 番 号 291-37889 岡 山 船 籍 港 岡 山 県 笠 岡 市 船 舶 所 有 者 A 社 総 ト ン 数 11トン L B D 14.50m 3.44m 1.43m 船 質 FRP 機 関 ディーゼル 機 関 1 基 出 力 356.72kW( 連 続 最 大 ) 推 進 器 固 定 ピッチプロペラ1 個 進 水 年 月 平 成 10 年 3 月 最 大 搭 載 人 員 旅 客 44 人 船 員 2 人 計 46 人 2.6.2 視 界 眼 高 及 び 操 船 に 関 する 状 況 A 船 の 操 縦 席 の 前 方 に3 枚 の 窓 両 舷 側 方 に3 枚 の 窓 及 び 後 方 に1 枚 の 窓 が 装 備 されており 前 方 視 界 は 良 好 であった 船 体 中 央 部 付 近 における 右 舷 側 海 面 から 上 - 10 -

甲 板 までの 垂 直 距 離 が0.88m 上 甲 板 から 操 舵 室 床 まで0.25m 操 舵 室 床 か ら 目 の 位 置 まで1.45mであることから 船 長 Aが 操 縦 席 に 座 って 操 船 する 際 の 眼 高 は 海 面 から 約 2.58mであった 船 長 Aの 口 述 によれば 通 常 中 央 部 客 室 の 前 部 左 舷 側 の 操 縦 席 に 座 って 操 船 し ており 事 故 時 も 座 って 操 船 していた ( 付 図 3 A 船 一 般 配 置 図 ( 概 略 図 ) 写 真 4-1 A 船 の 外 観 ( 船 首 側 ) 写 真 4-2 A 船 の 外 観 ( 船 尾 側 ) 参 照 ) 2.6.3 旅 客 室 の 配 置 いすの 形 状 及 び 手 すりに 関 する 情 報 A 船 は 前 部 客 室 中 央 部 客 室 及 び 後 部 客 室 があり 前 部 客 室 のいすは 船 首 尾 方 向 に 配 置 され 旅 客 が 向 かい 合 って 座 る 造 り 付 けの 長 いすで シートベルトは 装 備 されておらず 座 面 は 化 粧 合 板 に 薄 いクッション 材 が 張 られていた 左 舷 側 の 長 いすは 長 さ3.59m 奥 行 き0.48m 床 から 座 面 までの 高 さ0.45mで あった 右 舷 側 の 長 いすは 長 さ2.99m 奥 行 き0.48m 床 から 座 面 までの 高 さ0.45m 旅 客 Aの 座 っていたいす 付 近 における 床 から 天 井 までの 高 さは 1.73mであった 旅 客 Aとほぼ 同 じ 身 長 の 女 性 を 旅 客 Aの 座 っていた 付 近 に 座 らせた 場 合 頭 と 天 井 との 間 隔 は 約 0.46mであった なお 前 部 客 室 を 含 む 全 ての 客 室 には 手 すりは 設 置 されていなかった ( 写 真 5-1 前 部 客 室 ( 船 首 側 入 り 口 ) 写 真 5-2 前 部 客 室 ( 右 舷 側 ) 写 真 5-3 前 部 客 室 ( 左 舷 側 ) 参 照 ) 2.6.4 速 力 等 に 関 する 情 報 こじま きたぎしま 船 長 Aの 口 述 によれば A 船 は 岡 山 県 倉 敷 市 児 島 ~ 岡 山 県 笠 岡 市 北 木 島 間 を 頻 繁 に 航 行 しており 機 関 回 転 数 約 1,700rpm の 場 合 所 要 時 間 は 約 13 分 であっ た また 海 図 によれば 児 島 ~ 北 木 島 間 は 約 3.6 海 里 (M)であった 2.6.5 A 船 とB 船 の 波 に 対 する 挙 動 に 関 する 情 報 甲 板 員 Aによれば 日 ごろから 乗 船 しているB 船 ( 総 トン 数 19トン 全 長 16.00m 旅 客 定 員 60 人 )とA 船 を 比 較 すると 波 を 乗 り 越 えて 海 面 を 叩 く 際 の 衝 撃 に 違 いがあり A 船 は 堅 い 感 じであるが B 船 は 海 水 にいったん 沈 み 込 んだ のちに 浮 き 上 がるという いわゆる スプリングが 効 いた 感 じ との 印 象 を 抱 いて いた また A 船 は 頻 繁 に 波 を 叩 くことが 多 い 船 だと 感 じていた - 11 -

2.7 気 象 及 び 海 象 に 関 する 情 報 2.7.1 気 象 観 測 値 (1) 本 事 故 発 生 場 所 の 南 南 西 約 4.5km に 位 置 する 海 上 保 安 庁 六 島 灯 台 の 気 象 観 測 結 果 ( 以 下 六 島 灯 台 の 気 象 観 測 結 果 という )によれば 1 月 10 日 05 時 15 分 から1 月 11 日 17 時 15 分 までの 風 向 及 び 風 速 は 次 のとお りであった 観 測 時 刻 1 月 10 日 の 風 向 及 び 風 速 (m/s) 1 月 11 日 の 風 向 及 び 風 速 (m/s) 00 時 15 分 西 南 西 6 01 時 15 分 西 南 西 8 02 時 15 分 西 南 西 8 03 時 15 分 西 南 西 8 04 時 15 分 西 南 西 10 05 時 15 分 西 南 西 3 西 5 06 時 15 分 南 2 西 9 07 時 15 分 西 南 西 5 西 8 08 時 15 分 西 南 西 3 西 南 西 10 09 時 15 分 西 南 西 5 西 11 10 時 15 分 西 3 西 10 11 時 15 分 西 南 西 3 西 南 西 9 12 時 15 分 西 南 西 9 西 10 13 時 15 分 西 南 西 11 西 南 西 7 14 時 15 分 西 南 西 8 西 南 西 8 15 時 15 分 西 6 西 8 16 時 15 分 西 7 西 南 西 10 17 時 15 分 西 7 西 南 西 11 18 時 15 分 西 5 19 時 15 分 西 4 20 時 15 分 西 4 21 時 15 分 西 南 西 5 22 時 15 分 西 南 西 7 23 時 15 分 西 南 西 9-12 -

2.7.2 乗 組 員 等 の 観 測 (1) 船 長 Aの 口 述 によれば 06 時 40 分 ごろの 風 向 北 西 風 速 約 7~8m/s 波 高 約 1mであった 六 島 に 向 けて 定 針 した10 時 08 分 ごろの 風 は 右 舷 船 首 約 45 から 風 速 約 7~8m/s 波 高 約 1.0mであった 甲 板 員 Aの 口 述 によれば 湛 江 港 を 出 港 した07 時 35 分 ごろは 風 向 西 風 速 約 6m/s であった (2) 事 故 発 生 場 所 の 北 側 を 航 行 していた 別 の 旅 客 船 の 船 長 による 観 測 事 故 発 生 時 刻 ごろに 事 故 発 生 場 所 の 北 側 ( 約 4km)を 航 行 していた 別 の 旅 客 船 ( 総 トン 数 19トン)( 以 下 C 船 という )の 船 長 ( 以 下 船 長 C という )の 口 述 によれば 次 のとおりであった C 船 は 平 成 21 年 1 月 11 日 09 時 10 分 ごろ 笠 岡 港 を 出 港 し 北 木 島 を 経 由 して 真 鍋 港 に09 時 54 分 ごろ 入 港 して10 時 ごろに 真 鍋 港 を 出 港 し た 真 鍋 港 を 出 港 して 北 木 島 までの 航 行 中 進 行 方 向 の 左 側 である 事 故 発 生 場 所 付 近 の 海 域 は 西 風 が 風 速 約 9~10m/s 西 からの 波 が 波 高 約 1mであっ た 日 ごろから 運 航 が 難 しい 時 には 海 上 保 安 庁 に 電 話 で 風 速 を 尋 ねること があり 海 上 保 安 庁 の 観 測 値 と 実 際 の 波 の 状 況 を 照 らし 合 わせて カン を 養 っている また この 航 路 において27 年 の 運 航 経 験 もある 事 故 当 日 は C 船 が 減 速 航 行 するほどの 風 及 び 波 ではないと 判 断 して 減 速 しなかったが もう 少 し 風 が 強 くなれば 減 速 する 必 要 があると 思 っていた 左 舷 側 の 波 は やや 高 いな との 印 象 であった この 航 路 が 風 及 び 波 の 影 響 を 受 けて 運 航 を 中 止 するのは 年 に1 回 程 度 で 主 として1 月 から2 月 中 旬 の 時 期 である (3) ヘリコプターの 機 長 による 飛 行 中 の 観 測 負 傷 した 旅 客 を 救 助 したヘリコプターの 機 長 の 口 述 によれば 風 向 は 西 で 風 速 約 7~10m/s 視 程 は 約 10km 空 から 見 た 海 上 は うねりはないが 波 があり 波 頭 が 崩 れて 白 波 となっていた 2.7.3 波 についての 情 報 文 献 5 によれば 次 のとおりである 船 舶 や 灯 台 などでは 古 くから 目 視 による 波 浪 観 測 が 行 われてきました この 観 測 では 高 めで 比 較 的 はっきりした 数 個 の 波 を 選 んで 平 均 的 な 波 高 と 周 期 を 定 めて いますが 比 較 研 究 の 結 果 によると 有 義 波 高 と 有 義 波 周 期 は 目 視 観 測 の 値 に 近 い ことが 確 かめられています 5 文 献 : 磯 崎 一 郎 ( 著 ) 波 浪 学 のABC 株 式 会 社 成 山 堂 書 店 ( 平 成 18 年 8 月 発 行 ) - 13 -

有 義 波 高 と 同 様 な 操 作 で 波 高 の 高 いほうから 全 体 の10 分 の1 個 を 取 り 出 して 平 均 したものを10 分 の1 最 大 波 全 体 の100 分 の1 個 を 取 り 出 して 平 均 したも のを100 分 の1 最 大 波 などと 定 義 しています 統 計 理 論 によって 1/10 最 大 波 の 波 高 =1.27 有 義 波 高 1/100 最 大 波 の 波 高 =1.61 有 義 波 高 などの 関 係 が 得 られています 実 際 の 観 測 結 果 の 統 計 でもこれに 近 い 値 が 得 られて います この 関 係 によると 例 えば 有 義 波 周 期 が10 秒 の 波 の 場 合 約 17 分 に1 回 は 有 義 波 高 の1.6 倍 の 波 に 遭 遇 する 可 能 性 があります 2.7.4 欠 航 日 及 び 欠 航 日 前 日 の 風 向 風 速 に 関 する 情 報 B 社 の 平 成 19 年 12 月 1 日 ~ 平 成 21 年 1 月 31 日 の 間 における 荒 天 による 欠 航 日 及 び 欠 航 日 前 日 の 六 島 灯 台 の 気 象 観 測 結 果 による 風 向 風 速 は 次 のとおりで あった B 社 の 運 航 状 況 欠 航 日 の 風 向 風 速 ( 観 測 時 刻 ) 欠 航 前 日 の 風 向 風 速 ( 最 大 風 速 の 観 測 時 刻 ) 平 成 19 年 12 月 13 日 ( 木 ) 六 島 ~ 真 鍋 島 第 1 便 運 航 第 2 便 南 南 西 12m/s (06 時 15 分 ) 西 北 西 6m/s (20 時 15 分 ) 欠 航 12 月 30 日 ( 日 ) 六 島 ~ 真 鍋 島 第 1 便 欠 航 第 2 便 西 15m/s (06 時 15 分 ) 西 12m/s (23 時 15 分 ) 欠 航 平 成 20 年 12 月 5 日 ( 金 ) 六 島 ~ 真 鍋 ~ 笠 岡 便 欠 航 西 12m/s (05 時 15 分 ) 西 北 西 5m/s (20 時 15 分 ) 12 月 6 日 ( 土 ) 六 島 ~ 真 鍋 島 第 1 便 欠 航 第 2 便 西 2m/s (06 時 15 分 ) 西 13m/s (17 時 15 分 ) 欠 航 12 月 25 日 ( 木 ) 六 島 ~ 真 鍋 島 第 1 便 運 航 第 2 便 西 14m/s (11 時 5 分 ) 南 西 6m/s (19 時 15 分 ) 欠 航 平 成 21 年 1 月 12 日 ( 月 ) 六 島 ~ 真 鍋 島 第 1 便 欠 航 第 2 便 南 南 西 14m/s (06 時 15 分 ) 南 南 西 11m/s (22 時 15 分 ) 欠 航 1 月 24 日 ( 土 ) 六 島 ~ 真 鍋 島 第 1 便 欠 航 第 2 便 運 航 西 4m/s (06 時 15 分 ) 西 17m/s (18 時 15 分 ) - 14 -

2.7.5 事 故 発 生 日 及 び 事 故 発 生 日 前 日 の 風 向 風 速 に 関 する 情 報 事 故 発 生 日 及 び 事 故 前 日 の 六 島 灯 台 の 気 象 観 測 結 果 による 風 向 風 速 は 次 のと おりであった 事 故 発 生 日 の 風 向 風 速 ( 観 測 時 間 ) 事 故 前 日 の 風 向 風 速 ( 最 大 風 速 の 観 測 時 刻 ) 平 成 21 年 1 月 11 日 ( 日 ) 第 1 便 復 路 にて 事 故 発 生 西 9m/s (06 時 15 分 ) 西 南 西 11m/s (13 時 15 分 ) 2.8 団 体 の 旅 客 に 関 する 情 報 団 体 の 世 話 役 であった 旅 客 の 口 述 によれば 団 体 は 笠 岡 市 の 山 々を 登 山 すること を 目 的 とした 親 睦 会 で 年 1 回 の 頻 度 で 登 山 していた 平 成 21 年 は 親 睦 会 発 足 10 年 目 にあたり 六 島 の 大 石 山 に 登 山 (2 時 間 40 分 の 行 程 )する 予 定 で 前 浦 港 に 到 着 した 後 旅 客 A 及 び 旅 客 Bを 除 く23 人 が 大 石 山 への 登 山 を 継 続 した 参 加 者 25 人 のうち 日 帰 り 予 定 者 は16 人 宿 泊 予 定 者 は9 人 で 日 帰 り 予 定 者 の16 人 は 六 島 から 海 上 タクシーで 笠 岡 港 に 帰 る 予 定 であったが 2 人 がヘリコプターで 搬 送 されたため 残 り14 人 が 海 上 タクシーで 笠 岡 港 に 帰 った 2.9 A 社 に 関 する 情 報 船 長 Aの 口 述 によれば 次 のとおりであった (1) 概 要 A 社 は 平 成 3 年 に 法 人 化 し 船 長 Aが 代 表 取 締 役 を 務 めていた A 船 のほ かに 旅 客 船 を1 隻 所 有 しており 過 去 24 年 間 旅 客 の 負 傷 事 故 は 起 こしてい なかった 主 な 業 務 は 渡 船 と 海 上 タクシーであり 朝 に 釣 り 客 を 笠 岡 諸 島 内 の 島 々に 送 って 行 き 昼 過 ぎに 迎 えに 行 くという 形 態 の 渡 船 が 業 務 全 体 の6 割 を 占 めて いた 送 迎 先 は 近 いところで5 分 程 度 の 航 程 であり 20 分 程 度 の 本 件 航 路 は 中 間 的 な 航 程 の 業 務 であった (2) 定 期 航 路 への 用 船 に 関 する 情 報 B 社 からは 通 常 春 2 日 秋 2 日 の2 回 ドックの 時 に 用 船 を 依 頼 される ことがあり 20 年 以 上 用 船 を 依 頼 されている 今 回 の 用 船 は 1 月 11 日 の みで 六 島 ~ 真 鍋 ~ 六 島 を1 便 として 午 前 1 便 午 後 1 便 の 計 2 便 であった (3) 安 全 管 理 規 程 に 関 する 情 報 今 回 の 用 船 に 関 し B 社 から 安 全 運 航 に 関 する 注 意 事 項 及 びアドバイスは 受 けておらず B 社 の 安 全 管 理 規 程 を 読 んでいなかった 安 全 管 理 規 程 は 甲 板 員 Aが11 日 07 時 25 分 ごろ 乗 船 した 際 に 持 参 し 下 船 の 際 に 持 ち 帰 った - 15 -

2.10 B 社 に 関 する 情 報 2.10.1 概 要 用 船 事 業 の 許 可 申 請 及 び 安 全 管 理 規 程 B 社 の 代 表 取 締 役 ( 以 下 B 社 取 締 役 という )によれば 次 のとおりであった (1) 概 要 B 社 は 昭 和 44 年 から 六 島 ~ 真 鍋 島 の 旅 客 定 期 運 航 事 業 を 開 始 し 昭 和 57 年 に 有 限 会 社 とした その 後 平 成 12 年 10 月 から 現 在 まで 同 航 路 に 就 航 しているB 船 を 建 造 した B 船 は 月 水 木 土 及 び 日 曜 日 に 真 鍋 島 ~ 六 島 間 を1 日 3 往 復 ( 土 日 は2 往 復 )し 火 及 び 金 曜 日 が 笠 岡 港 ~ 真 鍋 島 間 を1 日 1 往 復 していた B 社 は 旅 客 船 運 航 に40 年 以 上 の 実 績 があるが 今 回 が 初 めての 事 故 であった (2) 定 期 航 路 への 用 船 に 関 する 情 報 本 件 航 路 では 通 常 年 2 回 3 月 と9 月 に 実 施 する 入 渠 整 備 の 時 期 にA 船 を 用 船 していた 1 月 11 日 は B 船 の 船 長 ( 以 下 船 長 B という )が 休 暇 を 予 定 していたが 船 長 Bが 休 暇 取 得 の 際 に 臨 時 にB 船 の 船 長 になるこ とを 依 頼 している 者 にも 所 用 があったため 同 日 のみA 船 を 用 船 することに した 入 渠 整 備 の 時 期 以 外 の 時 期 にA 船 を 用 船 したのは 初 めてのことで あった (3) 事 業 の 認 可 申 請 B 社 は 平 成 21 年 1 月 5 日 離 島 航 路 整 備 法 第 7 条 により 平 成 21 年 1 月 11 日 のみ 使 用 する 旅 客 船 をB 船 からA 船 とする 離 島 航 路 事 業 運 航 計 画 変 更 認 可 申 請 書 ( 以 下 変 更 認 可 申 請 書 という )を 中 国 運 輸 局 岡 山 運 輸 支 局 水 島 海 事 事 務 所 に 提 出 していた (4) 安 全 管 理 規 程 安 全 管 理 規 程 は 事 務 所 とB 船 に 備 え 置 いてあり A 船 を 用 船 する 際 は 事 務 所 に 備 え 置 いてある 安 全 管 理 規 程 を 甲 板 員 Aが 持 参 し 下 船 の 際 に 持 ち 帰 った 2.10.2 安 全 管 理 に 関 する 情 報 B 社 には 海 上 運 送 法 第 10 条 の3の 規 定 により 安 全 管 理 規 程 の 届 け 出 が 義 務 付 けられていた B 社 は 平 成 18 年 12 月 15 日 中 国 運 輸 局 岡 山 運 輸 支 局 水 島 海 事 事 務 所 に 安 全 管 理 規 程 設 定 届 出 書 を 提 出 しており 安 全 統 括 管 理 者 には B 社 取 締 役 を 選 任 し 運 航 管 理 者 には 船 長 Bを 選 任 していた また 変 更 認 可 申 請 書 には A 船 をB 船 の 運 航 基 準 に 従 って 運 航 するので 運 航 基 準 に 変 更 がない 旨 記 載 されていた 安 全 管 理 規 程 の 運 航 基 準 は 船 長 が 行 う 運 航 の 可 否 判 断 について 次 のとおり 定 められていた - 16 -

(1) 発 航 の 可 否 判 断 船 長 は 発 航 前 に 運 航 の 可 否 判 断 を 行 い 発 航 地 港 内 の 気 象 海 象 が 次 に 掲 げる 条 件 の 一 に 達 していると 認 めるときは 発 航 を 中 止 しなければならな い 港 名 気 象 海 象 風 速 波 高 視 程 六 島 ( 湛 江 前 浦 ) 10m/s 以 上 1.0m 以 上 500m 以 下 真 鍋 島 笠 岡 船 長 は 発 航 前 において 航 行 中 に 遭 遇 する 気 象 海 象 ( 視 程 を 除 く )に 関 する 情 報 を 確 認 し 次 に 掲 げる 条 件 の 一 に 達 するおそれがあると 認 めると きは 発 航 を 中 止 しなければならない 風 速 12m/s 以 上 波 高 1.2m 以 上 (2) 基 準 航 行 の 可 否 判 断 等 船 長 は 基 準 航 行 を 継 続 した 場 合 船 体 の 動 揺 等 により 旅 客 の 船 内 におけ る 歩 行 が 著 しく 困 難 となるおそれがあり 又 は 搭 載 貨 物 の 移 動 転 倒 等 の 事 故 が 発 生 するおそれがあると 認 めるときは 基 準 航 行 を 中 止 し 減 速 適 宜 の 変 針 基 準 経 路 の 変 更 等 の 適 切 な 措 置 をとらなければならない 前 項 に 掲 げる 事 態 が 発 生 するおそれのあるおおよその 海 上 模 様 は 次 のとお りである 風 速 10m/s 以 上 波 高 1.0m 以 上 又 はうねり 船 長 は 航 行 中 周 囲 の 気 象 海 象 ( 視 程 を 除 く )に 関 する 情 報 を 確 認 し 次 に 掲 げる 一 に 達 するおそれがあると 認 めるときは 目 的 港 への 航 行 の 継 続 を 中 止 し 反 転 避 航 又 は 臨 時 寄 港 の 措 置 をとらなければならない ただし 基 準 経 路 の 変 更 により 目 的 地 への 安 全 な 航 行 の 継 続 が 可 能 と 判 断 されると きは この 限 りでない 風 速 12m/s 以 上 波 高 1.2m 以 上 2.10.3 運 航 基 準 の 運 用 に 関 する 情 報 船 長 Bの 口 述 によれば 次 のとおりである (1) 運 航 又 は 欠 航 の 判 断 運 航 又 は 欠 航 の 判 断 は 運 航 の 前 夜 19 時 ごろの 天 気 予 報 による 気 圧 配 置 及 び 運 航 当 日 06 時 ごろの 天 気 予 報 を 確 認 した 上 で 湛 江 港 の 係 船 場 に 赴 - 17 -

いて 海 の 様 子 を 見 て 決 定 している (2) 減 速 航 行 六 島 への 航 行 中 に 天 気 が 予 報 に 反 して 急 速 に 風 が 吹 き 始 めて 波 高 が 1.7m 程 度 に 達 するような 場 合 は 大 きな 波 が 来 たら 減 速 して 波 を 通 過 さ せてから 航 行 することがある 通 常 は 機 関 回 転 数 2,200~2,300rpm 速 力 19~19.5kn で 航 行 しており 波 をやり 過 ごすときは 半 速 程 度 まで 減 速 し 波 を 越 えてから 増 速 を 繰 り 返 すという 運 航 を 行 うが このような 運 航 は 頻 繁 にあることではない (3) 欠 航 の 多 い 時 期 と 航 路 変 更 本 件 航 路 では 冬 場 に 欠 航 が 多 く 台 風 時 期 に 欠 航 することもある 1 月 には 西 から 南 寄 りの 強 い 風 が 吹 いた 場 合 真 鍋 港 を 出 て 真 鍋 島 西 端 を 通 過 して 六 島 に 向 けて 定 針 した 辺 りから 向 かい 波 のため 船 体 が 縦 に 動 揺 するこ とが 多 い 本 件 航 路 の 特 定 の 場 所 に 波 が 立 つわけではないが 北 西 からの 風 で 波 が 高 おびしま こびしま くなる 場 合 は 船 体 の 動 揺 を 軽 減 するために 大 飛 島 小 飛 島 方 向 に 針 路 を 向 けた 航 路 に 変 更 することもある 今 回 の 事 故 については 船 体 が 縦 に 動 揺 す ることによって 旅 客 が 負 傷 することが 起 きるのだと 認 識 を 新 たにした 2.10.4 運 航 基 準 図 に 関 する 情 報 安 全 管 理 規 程 の 運 航 基 準 図 には 真 鍋 島 から 六 島 に 至 る 針 路 と 航 程 ( 航 程 の 合 計 8,600m)が 次 のとおり 定 められていた 真 鍋 島 桟 橋 ~ 天 神 鼻 沖 ( 真 鍋 島 ) 318 800m 天 神 鼻 ~ 丸 の 鼻 沖 ( 真 鍋 島 ) 237 900m 丸 の 鼻 沖 ~ 大 鳥 鼻 沖 ( 六 島 ) 200 6,000m 大 鳥 鼻 沖 ~ 前 浦 沖 225 500m 前 浦 沖 ~ 前 浦 桟 橋 400m 2.11 シートベルト いす 及 び 手 すりに 関 する 情 報 2.11.1 シートベルト 及 びいすに 関 する 情 報 船 体 が 鉛 直 落 下 する 際 に 乗 客 の 負 傷 リスクを 低 減 するための 対 策 について 平 成 20 年 5 月 国 土 交 通 省 海 事 局 により 設 置 された 超 高 速 船 に 関 する 安 全 対 策 検 討 委 員 会 ワーキンググループは 次 のとおり 公 表 している ( 要 約 ) (1) シートベルト 鉛 直 落 下 については 鉛 直 落 下 時 に 乗 客 が 座 席 から 浮 いて 大 きく 離 れない ことが 腰 椎 骨 折 等 による 乗 客 の 負 傷 リスクを 低 減 するために 有 効 である - 18 -

このため 以 下 の 要 件 を 満 たすシートベルトを 速 やかに 導 入 することが 適 切 と 考 えられる 自 動 車 用 のシートベルトの 強 度 耐 久 性 等 の 要 件 緊 急 時 ロック 式 巻 取 装 置 の 付 与 又 は 航 空 機 用 のシートベルトのように 簡 易 な 動 作 で 迅 速 にベルト 締 め 付 けができるものであること (2) 座 席 衝 撃 実 験 の 結 果 から 座 席 クッションを 改 善 すれば 一 定 以 下 の 衝 撃 荷 重 と 座 席 クッション 間 の 空 間 距 離 の 条 件 下 では 更 なる 改 善 が 見 込 めることから 適 切 なシートベルトの 装 着 を 前 提 とした 上 で 更 なる 安 全 性 の 向 上 策 として 座 席 クッションの 改 善 も 一 定 の 効 果 があるものと 考 えられる 2.11.2 いす 及 び 手 すり 等 に 関 する 情 報 旅 客 船 を 建 造 する 造 船 所 の 設 計 担 当 者 の 口 述 によれば 次 のとおりであった 手 すりに 関 する 構 造 基 準 はないが 旅 客 船 を 建 造 する 場 合 乗 下 船 等 で 客 室 内 を 移 動 する 旅 客 が 揺 れる 船 内 で 身 体 を 支 える 手 助 けのため 背 もたれにグリップを 装 備 したいす 又 は 通 路 に 床 から 天 井 まで 届 く 垂 直 の 手 すりを3m 程 度 の 間 隔 で 配 置 す る 設 計 を 検 討 する また 向 かい 合 わせで 座 るいすを 配 置 する 旅 客 船 を 設 計 する 場 合 は 2 座 席 分 又 は3 座 席 分 の 幅 の 位 置 ごとに 電 車 のロングシートの 座 面 前 部 に 適 当 な 間 隔 で 装 備 されているような 座 席 から 天 井 まで 届 く 縦 方 向 の 手 すりを 配 置 する 設 計 を 検 討 す る なお 向 かい 合 わせで 座 るいす 配 置 の 旅 客 船 の 場 合 設 計 段 階 からシートベルト を 装 備 することを 前 提 とすれば 工 事 は 容 易 であるが 建 造 後 にシートベルトを 装 備 するのは 大 きな 規 模 の 工 事 になる 2.11.3 いすの 構 造 基 準 に 関 する 情 報 小 型 船 舶 安 全 規 則 には 次 のとおり 規 定 されている 3 椅 子 席 は 幅 奥 行 きそれぞれ 四 十 センチメートル 以 上 の 腰 掛 及 び 適 当 な 背 当 てよりなるものであって 船 の 傾 斜 により 移 動 しないものであり かつ 腰 掛 の 前 面 には 距 離 三 十 センチメートル 以 上 の 空 間 を 設 けなければならない - 19 -

3 分 析 3.1 事 故 発 生 の 状 況 3.1.1 事 故 発 生 に 至 る 経 過 (1) 本 件 大 波 に 遭 遇 するまでの 状 況 2.1.1 及 び 2.10.4 から A 船 は 10 時 05 分 ごろ 旅 客 28 人 を 乗 せ 真 鍋 港 を 出 港 して 北 西 に 向 けて 航 行 し 真 鍋 島 の 天 神 鼻 を 左 に 見 て 左 転 した 後 目 視 で 六 島 の 中 央 に 向 け 針 路 約 210 機 関 回 転 数 約 1,500rpm で 前 浦 港 に 向 け 航 行 を 続 けたものと 考 えられる (2) 本 件 大 波 に 遭 遇 した 際 の 状 況 2.1.1 から A 船 は 真 鍋 港 から 前 浦 港 に 至 る 航 海 時 間 ( 約 25 分 間 )の 半 分 より 手 前 ごろ 針 路 約 210 機 関 回 転 数 約 1,500rpm として 航 行 中 西 南 西 からの 本 件 大 波 の 頂 きを 越 えて 船 首 が 波 間 に 落 ちた 際 に それまで 縦 に 動 揺 していたのに 比 べて さらに 大 きく 縦 に 動 揺 し 前 部 客 室 の 前 方 に 座 っていた 旅 客 が 慣 性 によりいすから 浮 いて 離 れた 後 いすに 自 由 落 下 した ことにより 旅 客 A 及 び 旅 客 Bが 負 傷 したものと 考 えられる また 2.1.1 及 び 2.6.3 から 負 傷 した 旅 客 A 及 び 旅 客 Bの 腰 が 宙 に 浮 いたものの 天 井 に 頭 を 打 ち 付 けるほどは 浮 かなかったものと 考 えられる (3) 本 件 大 波 に 遭 遇 した 後 の 状 況 2.1.1 から A 船 は 本 件 大 波 に 遭 遇 した 後 も 針 路 約 210 機 関 回 転 数 約 1,500rpm で 前 浦 港 に 向 けて 航 行 を 続 け 10 時 30 分 少 し 前 ごろに 前 浦 港 に 入 港 したものと 考 えられる 3.1.2 事 故 発 生 時 刻 及 び 場 所 2.1.1 から 事 故 発 生 時 刻 は10 時 17 分 ごろで 事 故 発 生 場 所 は 六 島 灯 台 から 030 4,530m 付 近 であったものと 考 えられる 3.1.3 速 力 に 関 する 解 析 2.6.4 から 児 島 ~ 北 木 島 間 の 距 離 は 約 3.6Mであり A 船 が 機 関 回 転 数 1,700rpm として その 距 離 を 約 13 分 間 で 航 行 していたことから 平 均 速 力 は 約 17kn であったものと 考 えられる 2.1.1 及 び 3.1.1 から 第 1 便 の 往 路 の 前 浦 港 から 真 鍋 港 までの 航 程 約 8,600 mに 要 した 航 海 時 間 は 機 関 回 転 数 1,600rpm で 約 18 分 間 であったことから 平 均 速 力 が 約 15.5kn であったと 考 えられる また 第 1 便 の 復 路 の 真 鍋 港 から 前 浦 港 までの 航 海 時 間 は 機 関 回 転 数 1,500rpm で 約 25 分 間 であったことから - 20 -

平 均 速 力 が 約 11.1kn であったと 考 えられる 往 路 と 復 路 の 平 均 速 力 の 違 いは 往 路 が 追 い 風 であったのに 対 して 復 路 が 向 かい 風 であったこと 及 び 往 路 が 復 路 に 比 較 して100rpm 多 く 機 関 を 運 転 したことに よるものと 考 えられる 3.2 事 故 要 因 の 解 析 3.2.1 乗 組 員 及 び 船 舶 の 状 況 (1) 乗 組 員 2.5から 船 長 A 及 び 甲 板 員 Aは 適 法 で 有 効 な 操 縦 免 許 証 を 有 していた (2) 船 舶 2.6から 本 事 故 発 生 時 A 船 の 船 体 機 関 及 び 機 器 類 に 不 具 合 及 び 故 障 はなかったものと 考 えられる (3) 視 界 2.6.2 から 操 縦 席 前 面 に3 枚 の 窓 両 舷 側 に 各 3 枚 の 窓 が 装 備 され 前 方 及 び 側 方 の 視 界 は 良 好 であったものと 考 えられる 3.2.2 気 象 及 び 海 象 に 関 する 解 析 (1) 気 象 及 び 海 象 の 状 況 2.7から 事 故 当 時 事 故 発 生 場 所 付 近 では 風 向 西 風 速 約 10m/s 波 の 周 期 は 明 らかでないものの 波 高 約 1mの 西 南 西 からの 波 が 連 続 して 発 生 していたものと 考 えられる また 2.1.1 及 び 2.10.4 から 船 長 Aは 真 鍋 港 を 出 港 した 後 目 視 で 六 島 の 中 央 に 向 けて 航 行 したことから 6,000 m 以 上 の 視 程 があったものと 考 えられる (2) 本 件 大 波 の 発 生 に 関 する 解 析 2.1.1 2.7.2 2.7.3 及 び 上 記 (1)から 事 故 発 生 場 所 付 近 では 波 高 約 1 mの 西 南 西 からの 波 が 連 続 して 発 生 しており 波 高 約 1.0m 以 上 の 本 件 大 波 を 含 む 波 が 一 定 の 割 合 で 発 生 していた 可 能 性 があると 考 えられる 3.2.3 欠 航 と 気 象 及 び 海 象 の 関 係 に 関 する 解 析 (1) 欠 航 日 及 び 欠 航 日 前 日 における 気 象 海 象 の 傾 向 2.7.4 及 び 2.10.2 から 本 件 航 路 では 運 航 基 準 に 定 める 風 速 10m/s( 以 下 基 準 風 速 という ) 以 上 の 風 が 発 生 して 欠 航 する 場 合 の 風 向 は 西 寄 り であることが 多 いものと 考 えられる また 運 航 予 定 日 に 基 準 風 速 未 満 の 風 であっても 欠 航 している 場 合 ( 平 成 20 年 12 月 6 日 平 成 21 年 1 月 24 日 )は その 欠 航 日 前 日 の 夕 方 以 降 - 21 -

に 基 準 風 速 以 上 の 西 寄 りの 風 が 吹 いていることから 欠 航 日 には 運 航 基 準 に 定 める 波 高 以 上 の 西 からの 波 が 発 生 していた 可 能 性 があると 考 えられる (2) 事 故 発 生 日 及 びその 前 日 の 気 象 海 象 2.7.1 2.7.4 2.7.5 及 び 上 記 (1)から 事 故 前 日 における 最 大 風 速 は 13 時 15 分 に 観 測 された 西 南 西 の 風 風 速 11m/s であり 翌 日 の08 時 15 分 まで 風 速 が10m/s を 超 えることはなかったことから 事 故 発 生 日 の 運 航 を 判 断 する 際 には 波 高 が1.0mを 超 えていなかった 可 能 性 があると 考 えられる (3) 欠 航 の 時 期 2.7.4 及 び 2.10.3 から 本 件 航 路 においては 12 月 ~1 月 の 時 期 に 荒 天 による 欠 航 が 発 生 する 傾 向 があったものと 考 えられる 3.2.4 B 社 の 安 全 管 理 体 制 に 関 する 解 析 (1) 運 航 基 準 の 見 直 し 2.6.1 及 び 2.10.2 から B 社 は A 船 がB 船 より 総 トン 数 で8トン 小 さく 全 長 が1.5m 短 い 船 舶 であったが 大 きさの 異 なるA 船 を 用 船 する 際 に 安 全 管 理 規 程 の 運 航 基 準 を 変 更 しなかったものと 考 えられる B 社 は A 社 の 旅 客 船 を20 年 以 上 用 船 しており A 社 が 本 件 航 路 の 航 行 経 験 が 豊 富 で その 間 に 事 故 がなかったことから 今 回 の 用 船 に 際 しても これまでと 同 様 に 運 航 基 準 を 変 更 しなかった しかしながら A 船 を 欠 航 が 発 生 する 傾 向 のある 1 月 に 用 船 したのは 初 めてのことであったものと 考 えられる なお 2.6.5 から 甲 板 員 Aは A 船 とB 船 の 波 に 対 する 挙 動 の 違 いを 感 じており 具 体 的 には 波 を 乗 り 越 えて 海 面 を 叩 く 際 の 衝 撃 に 違 いがあり A 船 はB 船 に 比 較 して 堅 い 感 じであるとの 印 象 を 抱 いていたものと 考 えられる (2) 安 全 管 理 規 程 の 周 知 2.1.1 2.9 及 び2.10から B 社 は 船 長 Aに 対 して 安 全 運 航 に 関 する 注 意 アドバイスを 行 わず 甲 板 員 Aが 安 全 管 理 規 程 を 携 えて 乗 船 していた が 船 長 Aが 安 全 管 理 規 程 を 読 んでいなかったことから 用 船 した 船 長 に 安 全 管 理 規 程 を 周 知 し 理 解 したことを 確 認 する 手 順 がなかったものと 考 えら れる (3) B 社 の 船 長 Bの 運 航 判 断 2.10.2 及 び 2.10.3 から 船 長 Bは 基 準 航 行 に 依 り 難 い 場 合 は 運 航 基 準 に 従 って 減 速 基 準 経 路 の 変 更 等 を 行 って 運 航 していたものと 考 えられる - 22 -

3.2.5 荒 天 に 対 する 対 応 の 解 析 (1) 船 長 Aは 2.1.1 の 次 のことから 波 を 船 首 方 向 に 受 けることになる 第 1 便 復 路 では A 船 が 縦 に 動 揺 することを 予 測 していたものと 考 えられる 1 気 象 情 報 から 風 と 波 が 西 寄 りで 波 高 1mとの 予 報 を 確 認 していた 2 係 船 場 所 から 湛 江 港 への 回 航 中 の 波 高 は 約 1mであった 3 湛 江 港 において 甲 板 員 Aと 今 日 は 風 が 吹 いているな との 会 話 を 交 わしていた (2) 2.1.1 から 船 長 Aは 第 1 便 復 路 において 真 鍋 島 の 天 神 鼻 を 左 に 見 て 左 転 した 後 縦 に 動 揺 するのを 予 測 して 往 路 より 機 関 回 転 数 を100rpm 下 げ た 約 1,500rpm とし 針 路 を 約 210 に 定 めたところ 波 高 約 1.0m の 西 南 西 の 波 を 右 舷 前 方 から 受 けるようになり 船 体 が 波 に 乗 って 船 首 が 波 間 に 落 ちるたびに 波 しぶきがあがるので 前 部 窓 ガラスのワイパーを 連 続 使 用 していたものと 考 えられる また 船 長 Aは 船 体 が 縦 に 動 揺 して 船 首 が 波 を 叩 いていたが 大 きく 縦 に 動 揺 することはないと 思 い 込 み 針 路 及 び 機 関 の 回 転 数 を 保 持 して 航 行 を 継 続 したものと 考 えられる 3.2.6 旅 客 への 安 全 情 報 の 提 供 に 関 する 解 析 (1) 乗 船 前 のアナウンス 2.1.1 から 甲 板 員 Aは 桟 橋 で 並 んで 乗 船 する 旅 客 に 対 して 波 がある ので 後 部 側 の 客 室 に 乗 るようアナウンスをしたと 口 述 しているが 旅 客 A 旅 客 B 旅 客 C 旅 客 D 旅 客 E 旅 客 F 旅 客 G 及 び 旅 客 Hは アナウン スがあったことを 記 憶 していなかったことから アナウンスを 行 わなかった 又 はアナウンスを 行 ったが 声 が 届 かなかった 可 能 性 があると 考 えられる ま た 乗 り 物 酔 いしやすい 旅 客 A 旅 客 C 及 び 旅 客 Dが 甲 板 員 Aのアナウンス を 聞 いていれば 後 部 側 の 客 室 を 選 択 した 可 能 性 があると 考 えられる なお 船 長 Aは 旅 客 が 笠 岡 港 から 真 鍋 島 までの 乗 船 で 今 日 は 揺 れることがわかっ ているだろうと 思 い 込 んでいたことから アナウンスをしなかったものと 考 えられる (2) 乗 船 中 のアナウンス 2.1.1 から 船 長 A 及 び 甲 板 員 Aは 船 体 が 大 きく 縦 に 動 揺 することはな いと 思 い 乗 船 後 の 旅 客 に 対 して 波 により 船 体 が 縦 に 動 揺 することについて アナウンスをしなかったものと 考 えられる 3.2.7 客 室 装 備 と 負 傷 リスクの 低 減 に 関 する 解 析 (1) シートベルト - 23 -

2.6.3 及 び2.11から A 船 のいすにはシートベルトが 装 備 されていな かったが 装 備 されていれば 旅 客 がいすから 浮 いて 大 きく 離 れないことに より 旅 客 の 負 傷 リスクを 低 減 することができた 可 能 性 があると 考 えられる しかし 前 部 客 室 のいすは 船 首 尾 方 向 に 配 置 され 旅 客 が 向 かい 合 って 座 る 造 り 付 けの 長 いすであることから シートベルトを 装 備 するには 大 き な 規 模 の 工 事 が 必 要 であったものと 考 えられる (2) 手 すり 2.2.2 2.6.3 及 び 2.11.2 から 前 部 客 室 には 手 すりが 装 備 されていな かったが 座 席 から 天 井 まで 届 く 縦 方 向 の 手 すりが 装 備 されていれば 旅 客 が 手 すりにつかまることにより 身 体 を 支 え 負 傷 のリスクを 低 減 することが できた 可 能 性 があると 考 えられる 3.2.8 負 傷 した 旅 客 A 及 び 旅 客 Bに 関 する 解 析 2.1.1 2.2.1 及 び2.8から 負 傷 した 旅 客 2 人 は 60 歳 代 の 女 性 で 前 部 客 室 の 右 舷 側 最 前 部 に 着 席 し 両 人 とも 腰 椎 に 圧 迫 骨 折 を 負 った 共 通 点 があるが 登 山 を 趣 味 とし 日 ごろから 身 体 を 動 かしており 事 故 当 日 には 六 島 の 大 石 山 に 登 山 (2 時 間 40 分 の 行 程 )する 予 定 であったことから 健 康 状 態 は 良 好 であったと 考 えられる このことから 両 人 ともいすから 腰 が 宙 に 浮 き 臀 部 からいすに 落 ちた 際 の 衝 撃 により 圧 迫 骨 折 が 生 じたものと 考 えられる なお 旅 客 Bは リュック サックを 背 負 ったままいすに 落 ちていることから 体 重 にリュックサックの 重 さを 加 えた 衝 撃 があったものと 考 えられる 3.2.9 負 傷 した 旅 客 への 対 応 に 関 する 解 析 2.1.1 から A 船 は 前 浦 港 に 到 着 した 約 5 分 後 には 湛 江 港 に 向 かって 出 港 し たものと 考 えられる 船 長 Aは 背 負 われて 下 船 する 旅 客 の1 人 が 嘔 吐 したビニー ル 袋 を 持 っており 他 の 旅 客 が ひどい 船 酔 いだな と 言 った 言 葉 を 聞 き 旅 客 が 船 酔 いしたと 判 断 したため 身 体 の 状 況 を 確 認 しなかったものと 考 えられる また 甲 板 員 Aは 背 負 われている 旅 客 を 見 かけたが その 前 に 降 りた 旅 客 が 1 人 船 酔 いしたようだ と 言 った 言 葉 を 聞 き 旅 客 が 船 酔 いしたと 思 ったため 身 体 の 状 況 を 確 認 しなかったものと 考 えられる 3.3 救 助 の 状 況 に 関 する 解 析 2.2.2 及 び2.4から 消 防 に 負 傷 した 旅 客 の 搬 送 を 要 請 する 電 話 があったのは 10 時 45 分 ( 前 浦 港 への 入 港 時 刻 から 約 15 分 後 )で 負 傷 者 がドクターヘリによ り 川 崎 医 大 場 外 離 着 陸 場 に 着 陸 したのは12 時 26 分 ( 前 浦 港 への 入 港 時 刻 から 約 1-24 -

時 間 54 分 後 )であったと 考 えられる 救 急 船 で 負 傷 者 を 搬 送 した 場 合 船 体 の 動 揺 により 負 傷 者 の 安 静 を 維 持 するのが 難 しく ドクターヘリに 比 較 して 搬 送 に 時 間 を 要 することから ドクターヘリによる 搬 送 が 有 効 であったものと 考 えられる 3.4 事 故 発 生 に 関 する 解 析 3.2.2~3.2.7 から 次 のとおりであった (1) 船 長 Aは 第 1 便 復 路 において 真 鍋 島 の 天 神 鼻 を 左 に 見 て 左 転 した 後 A 船 が 縦 に 動 揺 することを 予 測 して 往 路 より 機 関 回 転 数 を100rpm 下 げた 約 1,500rpm とし 針 路 を 約 210 に 定 めたところ 波 高 約 1.0mの 西 南 西 からの 波 が 連 続 して 発 生 している 海 域 に 入 り 波 を 右 舷 前 方 から 受 けるよう になって 縦 に 動 揺 し 始 めた しかし 大 きく 縦 に 動 揺 することはないと 思 い 込 み 針 路 機 関 回 転 数 を 保 持 して 航 行 を 続 けたものと 考 えられる なお 本 件 航 路 では 毎 年 12 月 から1 月 にかけて 運 航 基 準 を 超 える 西 寄 りの 風 及 び 波 が 発 生 する 傾 向 があるものと 考 えられる (2) A 船 は 真 鍋 島 南 西 沖 を 前 浦 港 に 向 けて 航 行 中 本 件 大 波 に 遭 遇 して 船 首 が 波 の 頂 きを 越 えて 波 間 に 落 ち それまで 縦 に 動 揺 していたのに 比 べて さら に 大 きく 縦 に 動 揺 した 際 前 部 客 室 の 右 舷 最 前 部 のいすに 座 っていた 旅 客 A 及 び 旅 客 Bが 慣 性 により いすから 浮 いて 離 れた 後 いすに 自 由 落 下 した 衝 撃 で 腰 椎 を 圧 迫 骨 折 したものと 考 えられる (3) A 船 は 波 高 約 1.0mの 波 が 連 続 して 発 生 している 海 域 を 航 行 していたが この 海 域 では 波 高 約 1.0m 以 上 の 本 件 大 波 を 含 む 波 が 一 定 の 割 合 で 発 生 し ていた 可 能 性 があると 考 えられる (4) 船 長 Aは A 船 が 縦 に 動 揺 し 始 めた 際 動 揺 を 低 減 することができる 機 関 回 転 数 又 は 針 路 を 選 択 していれば 本 事 故 の 発 生 を 防 止 できた 可 能 性 があると 考 えられる (5) 船 長 A 及 び 甲 板 員 は 船 体 が 大 きく 縦 に 動 揺 することはないと 思 い 乗 船 後 の 旅 客 に 対 して 波 により 船 体 が 縦 に 動 揺 することについてアナウンスをしな かったものと 考 えられる (6) 船 長 A 及 び 甲 板 員 Aは 旅 客 に 対 し 縦 に 動 揺 する 度 合 いが 少 ない 前 部 客 室 の 後 方 又 は 中 央 部 客 室 及 び 後 部 客 室 への 移 動 を 促 すアナウンスを 行 うことに より 旅 客 の 負 傷 リスクを 低 減 することができた 可 能 性 があると 考 えられる (7) 甲 板 員 Aは 乗 船 前 桟 橋 で 並 んで 乗 船 する 旅 客 に 対 して 波 があるので 後 部 側 の 客 室 に 乗 るようアナウンスをしたと 口 述 しているが 旅 客 は アナウン スがあったことを 記 憶 していなかったことから アナウンスを 行 わなかった 又 はアナウンスを 行 ったが 声 が 届 かなかった 可 能 性 があると 考 えられる - 25 -

(8) A 船 の 前 部 客 室 には 手 すりが 装 備 されていなかったが 座 席 から 天 井 まで 届 く 縦 方 向 の 手 すりが 装 備 されていれば 旅 客 が 手 すりにつかまることにより 身 体 を 支 え 負 傷 リスクを 低 減 することができた 可 能 性 があると 考 えられる (9) B 社 は A 社 の 旅 客 船 を20 年 以 上 用 船 しており A 社 が 本 件 航 路 の 航 行 経 験 が 豊 富 でその 間 に 事 故 もないことから 今 回 の 用 船 に 際 しても これまでと 同 様 に 運 航 基 準 を 変 更 しなかったものと 考 えられる A 船 を 荒 天 による 欠 航 が 発 生 する 傾 向 がある1 月 に 用 船 したのは 初 めての ことであったが 大 きさの 異 なるA 船 を1 月 に 用 船 する 際 に 安 全 管 理 規 程 の 運 航 基 準 を 見 直 さなかったことは 本 事 故 の 発 生 に 関 与 した 可 能 性 があると 考 えら れる (10) B 社 が 船 長 Aに 対 して 安 全 運 航 に 関 する 注 意 又 はアドバイスを 行 わず 甲 板 員 Aが 安 全 管 理 規 程 を 携 えて 乗 船 していたものの 船 長 Aは 安 全 管 理 規 程 を 読 んでいなかった このことから B 社 が 用 船 した 船 長 に 安 全 管 理 規 程 を 周 知 し 理 解 したことを 確 認 する 手 順 がなかったことが 本 事 故 の 発 生 に 関 与 した 可 能 性 があると 考 えられる ( 付 図 4 旅 客 の 負 傷 に 至 る 要 因 (まとめ) 参 照 ) 4 原 因 本 事 故 は A 船 が 波 高 約 1mの 西 南 西 からの 波 が 連 続 して 発 生 している 真 鍋 島 南 西 沖 を 前 浦 港 に 向 けて 航 行 中 右 舷 前 方 から 波 を 受 けながら 針 路 約 210 機 関 回 転 数 約 1,500rpm を 保 持 していたため 本 件 大 波 に 遭 遇 して 船 首 が 波 の 頂 きを 越 え て 波 間 に 落 ち それまでの 縦 の 動 揺 に 比 べて 船 体 が さらに 大 きく 縦 に 動 揺 した 際 前 部 客 室 の 右 舷 側 最 前 部 に 座 っていた 旅 客 2 人 が 慣 性 によりいすから 浮 いて 離 れた 後 いすに 自 由 落 下 した 衝 撃 で 腰 椎 を 圧 迫 骨 折 したことにより 発 生 したものと 考 えられる A 船 が 右 舷 前 方 からの 波 を 受 けながら 針 路 約 210 機 関 回 転 数 約 1,500rpm を 保 持 していたのは 船 長 Aが この 針 路 及 び 機 関 回 転 数 に 定 めた 際 に 波 高 約 1.0m の 西 南 西 からの 波 を 右 舷 前 方 に 受 けるようになり 船 体 が 縦 に 動 揺 し 始 めたが 大 き く 縦 に 動 揺 することはないと 思 い 込 んだことによるものと 考 えられる A 船 が 本 件 大 波 に 遭 遇 したのは 波 高 約 1.0mの 波 が 連 続 して 発 生 している 海 域 を 航 行 していたが この 海 域 では 波 高 約 1.0m 以 上 の 本 件 大 波 を 含 む 波 が 一 定 の 割 合 で 発 生 していたことによる 可 能 性 があると 考 えられる 船 長 Aは 復 路 は 往 路 に 比 較 して 機 関 回 転 数 を100rpm 下 げて 航 行 したが 船 体 が 縦 に 動 揺 し 始 めた 際 動 揺 を 低 減 することができる 機 関 回 転 数 又 は 針 路 を 選 択 して - 26 -

いれば 本 事 故 の 発 生 を 防 止 できた 可 能 性 があると 考 えられる 船 長 A 及 び 甲 板 員 Aは 旅 客 に 対 し 縦 に 動 揺 する 度 合 いが 少 ない 前 部 客 室 の 後 方 又 は 中 央 部 客 室 及 び 後 部 客 室 への 移 動 を 促 すアナウンスを 行 うことにより 旅 客 の 負 傷 リスクを 低 減 することができた 可 能 性 があると 考 えられる また 前 部 客 室 に 座 席 から 天 井 まで 届 く 手 すりが 装 備 されていれば 旅 客 がいす から 浮 いた 際 に 手 すりにつかまることにより 身 体 を 支 え 負 傷 リスクを 低 減 するこ とができた 可 能 性 があると 考 えられる B 社 は A 社 の 旅 客 船 を20 年 以 上 用 船 しており A 社 が 本 件 航 路 の 航 行 経 験 が 豊 富 でその 間 に 事 故 がなかったことから 今 回 の 用 船 に 際 しても これまでと 同 様 に 運 航 基 準 を 変 更 しなかった しかしながら A 船 を 荒 天 による 欠 航 が 発 生 する 傾 向 があ る1 月 に 用 船 したのは 初 めてのことであり 大 きさの 異 なるA 船 を1 月 に 用 船 する 際 に 安 全 管 理 規 程 を 見 直 さなかったことが 事 故 の 発 生 に 関 与 した 可 能 性 があると 考 えられる 5 参 考 事 項 5.1 中 国 運 輸 局 の 事 故 後 の 対 応 中 国 運 輸 局 は 平 成 21 年 1 月 20 日 にA 社 及 びB 社 に 対 して 突 発 的 に 起 こる 気 象 海 象 の 変 化 による 船 体 の 動 揺 に 対 する 心 構 えについて 旅 客 に 対 して 口 頭 で 説 明 するとともに 掲 示 を 行 うこと 及 び 運 航 中 止 基 準 を 厳 密 に 取 り 扱 うよう 行 政 指 導 を 行 っ た - 27 -

付 図 1 笠 岡 諸 島 の 周 辺 海 域 笠 岡 港 岡 山 県 広 島 県 笠 岡 諸 島 真 鍋 島 - 28 - 六 島 - 28 - 香 川 県

付 図 2 推 定 航 行 経 路 図 天 神 鼻 真 鍋 島 真 鍋 港 大 飛 島 小 飛 島 事 故 発 生 場 所 [ 平 成 21 年 1 月 11 日 10 時 17 分 ごろ 発 生 ] 湛 江 港 真 鍋 島 六 島 六 島 灯 台 広 島 県 岡 山 県 風 向 西 ( 事 故 発 生 時 ) 風 速 約 10m/s 前 浦 港 備 後 灘 香 川 県 波 西 南 西 波 高 約 1m 注 付 図 2の 航 跡 は A 船 と 同 様 の 航 路 を 航 行 しているB 船 の 航 跡 を 参 考 に 作 成 した - 29 -

付 図 3 A 船 一 般 配 置 図 ( 概 略 図 ) 中 央 部 客 室 及 び 操 縦 席 - 30 - 後 部 客 室 前 部 客 室 後 部 客 室 中 央 部 客 室 及 び 操 縦 席 前 部 客 室 - 30 -

付 図 4 旅 客 の 負 傷 に 至 る 要 因 (まとめ) B 社 は A 船 を 本 件 航 路 に 用 船 し たが 運 航 基 準 は 見 直 さなかった A 社 の 旅 客 船 を 20 年 以 上 用 船 し ていたが 無 事 故 であった しか し 1 月 の 用 船 は 初 めてだった 事 故 発 生 場 所 付 近 では 西 風 ( 風 速 約 10m/s)が 吹 き 西 南 西 の 波 ( 波 高 約 1.0m)が 連 続 して 発 生 していた 本 件 航 路 は 12 月 から 1 月 にか けて 西 寄 りの 風 及 び 波 で 欠 航 す る 傾 向 があった 乗 船 前 旅 客 に 船 が 揺 れることを アナウンスしなかった 又 はアナウ ンスを 行 ったが 声 が 届 かなかっ た 船 長 Aは 復 路 で 船 が 揺 れると 予 測 していた 船 長 Aは 気 象 情 報 及 び 回 航 時 の 波 高 を 把 握 していた 乗 船 後 船 が 揺 れることをアナウ ンスしなかった 船 体 が 大 きく 縦 に 動 揺 すること はないと 思 った 機 関 回 転 数 を 100rpm 下 げたが 更 なる 減 速 航 行 航 路 変 更 せずに 航 行 を 続 けた 一 定 の 割 合 で 発 生 するとされる 波 高 約 1.0m 以 上 の 大 きな 波 が 発 生 した 本 件 大 波 に 遭 遇 し て 旅 客 2 人 が 負 傷 客 室 に 手 すりが 装 備 されていな かった - 31 -

写 真 1 真 鍋 港 桟 橋 写 真 2 前 浦 港 桟 橋 - 32 -

写 真 3 ドクターヘリ 写 真 4-1 A 船 の 概 観 ( 船 首 側 ) - 33 -

写 真 4-2 A 船 の 概 観 ( 船 尾 側 ) 写 真 5-1 前 部 客 室 ( 船 首 側 入 り 口 ) - 34 -

写 真 5-2 前 部 客 室 ( 右 舷 側 ) 写 真 5-3 前 部 客 室 ( 左 舷 側 ) - 35 -