2012年5月31日 森本紀行 資産運用コラム



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平成16年度

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Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

全設健発第     号

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掛 金 負 担 金 の 給 料 月 額 に 対 する 割 合 ( ) ( 単 位 : ) 短 期 介 護 短 期 介 護 短 期 介 護 一 般 職 特 別 職 市 町 村 長 組 合 員 34


Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

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一般競争入札について

Microsoft Word - y doc

Transcription:

2015 年 2 月 5 日 森 本 紀 行 はこう 見 る 保 険 の 未 来 とバンドリングの 高 度 化 生 存 を 付 保 対 象 の 事 故 とした 生 存 保 険 が 年 金 保 険 です そこでは 早 死 にする 人 が 長 生 き する 人 を 助 ける 死 亡 を 付 保 対 象 の 事 故 とした 死 亡 保 険 が 普 通 の 生 命 保 険 です そこでは 長 生 きする 人 が 早 死 にする 人 を 助 ける 保 険 は ただのこれだけの 相 互 扶 助 です さて こ れからの 保 険 は この 単 純 にして 不 変 の 原 理 の 上 に どのような 付 加 価 値 を 創 造 できるとい うのか 生 命 保 険 にはいっていて 死 ぬことがなければ 保 険 料 は 戻 ってきません それを 無 駄 だと 思 う 人 は 保 険 の 仕 組 みを 理 解 しない 人 ですし 死 んで 保 険 料 を 取 り 戻 そうと 思 う 人 は おかしな 人 です そもそ も 死 亡 保 険 金 を 自 分 で 受 け 取 ることなど 不 可 能 ではないですか さて 同 じ 理 屈 で 生 存 保 険 である 年 金 保 険 にはいっていて 生 きることがなければ つまり 死 んで しまえば 保 険 料 は 戻 ってきません それを 無 駄 だと 思 う 人 は 保 険 の 仕 組 みを 理 解 しない 人 ですが 何 がなんでも 生 き 延 びて 保 険 料 を 取 り 戻 そうと 思 う 人 は まともな 人 です もっとも 死 ねば 悔 しがること もできませんが それは 純 粋 な 保 険 機 能 のこと あるいは 保 険 理 論 の 話 であって 現 実 にある 保 険 には 貯 蓄 等 の 他 の 要 素 を 抱 き 合 わせたものが 多 いのではないですか それは 金 融 商 品 のバンドリングの 問 題 です なぜ 英 語 でいわなければならないのか よくわかりま せんが 日 本 の 弊 風 ですから しかたありません バンドリングとは 束 にすること 要 は 抱 き 合 わせ ることであって 複 合 的 機 能 をもった 金 融 商 品 を 作 ることです もっとも 英 語 にしておくと アンバンドリングということで バンドリングの 逆 向 き 即 ち 複 合 金 融 商 品 の 各 機 能 要 素 への 分 解 を 表 現 できるという 利 点 があります 日 本 では 生 命 保 険 は 保 険 としてよりも 貯 蓄 商 品 として 発 展 してきました しかし 保 険 会 社 は 規 制 によって 保 険 事 業 を 営 む 会 社 として 厳 格 に 定 義 されているので 保 険 要 素 のない 貯 蓄 商 品 を 扱 う ことはできません そこで 貯 蓄 商 品 に 保 険 をバンドリングして 貯 蓄 型 の 保 険 を 作 ったのです それが 養 老 保 険 です 養 老 保 険 の 場 合 満 期 保 険 金 と 死 亡 保 険 金 が 一 致 しています 純 然 たる 保 険 の 場 合 満 期 保 険 金 はありません つまり 養 老 保 険 は 満 期 保 険 金 を 積 み 立 てるという 貯 蓄 要 素 に 死 亡 保 険 の 支 払 いと いう 保 険 要 素 をバンドリングして 作 られているのです 1

なぜ 貯 蓄 重 視 だったのでしょうか 戦 後 復 興 政 策 の 影 響 が 大 きいと 思 われます 戦 後 復 興 の 原 資 は 零 細 な 国 民 貯 蓄 の 集 積 に 基 づい ていました 零 細 貯 蓄 を 効 率 的 に 吸 収 するためには 大 蔵 省 による 強 力 な 規 制 と 徹 底 した 金 融 機 関 保 護 の 政 策 が 必 要 だったのですが 保 険 会 社 も その 戦 後 復 興 金 融 体 制 の 重 要 な 一 翼 を 担 っていたの です いうまでもなく こうして 銀 行 や 保 険 会 社 に 集 積 された 零 細 貯 蓄 は 巨 大 な 塊 となって 産 業 界 へ 投 融 資 されて 日 本 の 高 度 経 済 成 長 を 実 現 させたのです この 仕 組 み 昭 和 の 50 年 くらいまでは 非 常 に 有 効 に 機 能 していたのです 逆 にいえば 昭 和 50 年 ごろには 貯 蓄 集 積 の 必 要 性 は 低 下 していたのですね 経 済 環 境 の 変 化 により 保 険 の 社 会 的 機 能 は 貯 蓄 から 死 亡 保 障 へ 移 行 していきます 具 体 的 に は 物 価 が 大 幅 に 上 昇 し 実 質 的 な 国 民 所 得 も 上 昇 していたのですから 養 老 保 険 では 死 亡 保 障 の 保 険 金 額 が 少 なすぎるようになったのです そこで 保 険 会 社 は 死 亡 保 険 金 額 を 満 期 保 険 金 額 の 10 倍 にする さらには 20 倍 30 倍 40 倍 に するというふうに 死 亡 保 障 の 比 重 を 急 速 に 引 き 上 げていきます これが 定 期 付 養 老 保 険 です 40 倍 ともなれば 圧 倒 的 に 保 険 の 比 重 が 高 く 貯 蓄 要 素 は 小 さなものになります もはや 主 役 は 保 険 です 貯 蓄 を 主 役 として 保 険 を 付 加 した 養 老 保 険 から 保 険 を 主 役 として 底 辺 に 貯 蓄 を 置 いた 定 期 付 養 老 保 険 への 転 換 です このあたりから 保 険 会 社 は 保 険 会 社 らしくなったのです それでも なぜ 底 辺 の 貯 蓄 要 素 は 残 り 続 けたのでしょうか 一 つには 慣 習 の 問 題 というか 惰 性 というか 養 老 保 険 の 進 化 という 商 品 開 発 の 路 線 が 踏 襲 され たからでしょう しかし より 重 要 なのは 貯 蓄 部 分 から 発 生 する 利 差 益 だったと 思 われます 当 時 の 金 融 環 境 では 保 険 会 社 は 約 束 していた 予 定 利 率 を 上 回 る 投 資 収 益 を 実 現 していて それを 積 極 的 に 顧 客 に 配 当 還 元 していました この 期 待 配 当 の 魅 力 は 保 険 の 営 業 上 重 要 な 役 割 を 演 じていたのです 日 本 人 は 掛 け 捨 てを 嫌 うという 説 もあったようですが 掛 け 捨 て 保 険 というのは 死 亡 せずに 満 期 を 迎 えたときは 既 払 い 保 険 料 が 戻 ってこない 保 険 要 は 純 粋 な 死 亡 保 険 のことをいうのです 保 険 料 が 戻 らないのは 保 険 なのだから 当 たり 前 であるに もかかわらず 捨 て という 否 定 的 な 表 現 を 用 いるところに 貯 蓄 部 分 のない 即 ち 満 期 保 険 金 のな 2

い 純 粋 な 死 亡 保 険 への 評 価 が 表 れています 通 説 では 掛 け 捨 てを 嫌 うのは 日 本 人 の 文 化 的 選 好 なので 保 険 商 品 の 開 発 に 際 しては どうし ても 貯 蓄 要 素 をバンドリングする 必 要 があったのだとされているようです しかし 保 険 会 社 の 営 業 政 策 として 養 老 保 険 が 重 視 されていたことから 純 粋 な 生 命 保 険 は 事 実 として 販 売 すらされておらず 顧 客 には 選 択 の 余 地 がなかったのです 故 に 掛 け 捨 て 保 険 が 顧 客 の 支 持 を 得 ていなかったとまでは いい 切 れないと 思 われます もしかすると 掛 け 捨 てという 用 語 自 体 当 時 の 保 険 会 社 の 否 定 的 営 業 話 法 から 生 まれたのかもしれません 確 かに 現 在 では 貯 蓄 要 素 をもたない 純 粋 な 生 命 保 険 つまり 古 い 言 葉 でいえば 掛 け 捨 て 保 険 も 広 く 受 け 入 れられているようですね その 大 きな 理 由 は 貯 蓄 部 分 がなくなる 分 だけ 保 険 料 が 安 くなるからでしょう バンドリングという のは あからさまにいって 抱 き 合 わせ 販 売 なのですから 自 分 のいらないものまで 抱 き 合 わされて いる 場 合 があります 消 費 者 として 自 分 にとって 不 要 な 機 能 にまで お 金 を 払 う 必 要 はないのです しかも ここには 抱 き 合 わせ 商 法 通 有 の 悪 弊 が 入 り 込 む 余 地 があります つまり 抱 き 合 わせるこ とで 単 品 の 価 格 が 不 透 明 となり 全 体 が 割 高 に 価 格 設 定 される 可 能 性 です 故 に 消 費 者 が 賢 くなれば 自 分 の 望 む 死 亡 保 障 だけに 対 して 一 番 安 い 保 険 料 を 支 払 い 貯 蓄 は 別 途 広 い 選 択 肢 のなかから 自 由 に 選 ぶ そのような 消 費 行 動 になっていくわけです 消 費 者 が 変 わ れば 保 険 会 社 も 変 わらなくてはならない まさに 今 そのような 本 質 的 な 変 革 がはじまりつつあるので す 故 に 死 亡 保 険 の 流 れは バンドリングからアンバンドリングへ ということです バンドリングのあり 方 は 生 存 保 険 である 年 金 保 険 についても 同 じでしょうか 例 えば 純 粋 な 死 亡 保 険 では 生 命 表 から 推 計 される 死 亡 率 に 基 づいて 保 険 金 の 支 払 額 を 予 測 し その 予 測 金 額 と 等 しくなるように 収 入 保 険 料 額 を 算 定 してあります これを 保 険 理 論 では 収 支 相 等 の 原 則 といっています 当 然 ですが 収 支 相 等 は 被 保 険 者 集 団 の 全 体 について 成 り 立 ちます 故 に 個 々の 被 保 険 者 に ついていうと 自 分 の 保 険 料 は 必 ず 他 者 の 死 亡 保 険 金 に 充 当 されていくので 満 期 がきても 何 も 残 らないのです この 純 粋 な 生 命 保 険 の 上 に 貯 蓄 要 素 を 抱 き 合 わせることは 自 由 自 在 です バンドリングが 容 易 で 自 由 なら 逆 に アンバンドリングも 容 易 で 自 由 です ところが 年 金 保 険 の 場 合 は かなり 難 しいのです なぜなら 年 金 保 険 の 場 合 は それが 年 金 であ る 以 上 保 険 料 を 支 払 う 期 間 と 年 金 を 受 けとる 期 間 とが 不 一 致 になるからです 保 険 料 を 払 いながら 3

年 金 を 受 け 取 るということは 商 品 の 性 格 上 あり 得 ないのです そうしますと 年 金 支 払 い 開 始 時 点 までに 保 険 料 は 前 納 されていなければなりません ここでも 収 支 相 等 の 原 則 が 働 きますから 前 納 されている 保 険 料 の 総 額 は 生 命 表 から 推 計 される 年 金 支 払 額 の 現 在 価 値 と 一 致 しています さて これが 純 粋 な 年 金 保 険 であれば 年 金 支 給 開 始 直 後 に 死 亡 しても 遺 族 には 一 円 も 前 払 い 保 険 料 は 返 還 されません これは 保 険 なので 理 の 当 然 なのですが さて それで 一 般 人 の 感 覚 に 適 合 するでしょうか これが 第 一 の 問 題 です また 年 金 支 払 い 開 始 時 までの 保 険 料 積 立 期 間 中 に 死 亡 した 場 合 は どのような 商 品 設 計 にしてお いたらいいでしょうか 少 なくとも 既 払 いの 保 険 料 だけは 遺 族 に 返 還 できるようにしておかないと 顧 客 の 理 解 を 得 にくいのではないか これが 第 二 の 問 題 です 生 存 保 険 の 保 険 料 を 死 亡 時 に 返 すためには 死 亡 保 険 や 貯 蓄 をバンドリングしないといけな いですね 純 粋 な 生 存 保 険 としての 年 金 保 険 ならば 理 論 的 に 死 亡 すれば 保 険 料 は 戻 りません 付 保 対 象 の 事 故 は 生 存 なのであって 死 亡 ではないのですから これは 理 の 当 然 です しかし この 保 険 理 論 を 合 理 的 に 理 解 できる 人 は 決 して 多 くはない 普 通 の 人 には 簡 単 には 受 け 入 れられないでしょう そこで 保 険 会 社 の 営 業 政 策 としては 死 亡 保 険 や 貯 蓄 をバンドリングして 商 品 設 計 することにならざるを 得 ないのです 故 に 年 金 保 険 の 場 合 は むしろ バンドリングの 工 夫 にこそ 保 険 会 社 の 付 加 価 値 源 泉 があるとい わざるを 得 ず 流 れは アンバンドリングへ ではなく バンドリングの 高 度 化 へ です 人 口 動 態 の 変 動 は 死 亡 保 障 から 生 存 保 障 への 重 点 の 移 行 を 不 可 避 にしているはずです から 年 金 保 険 は 成 長 分 野 ですね 戦 後 貯 蓄 が 重 要 であったときには 貯 蓄 を 主 役 として 死 亡 保 障 を 付 加 した 養 老 保 険 が 保 険 会 社 の 主 力 だったのです その 後 経 済 成 長 とともに 主 役 は 貯 蓄 から 死 亡 保 障 へ 移 行 します そして 高 齢 化 社 会 の 到 来 とともに 主 役 は 死 亡 保 障 から 生 存 保 障 へ 移 行 する 今 まさに その 大 きな 転 換 が 本 格 化 しているのです 生 きるということが 死 ぬことよりも 事 故 として 重 大 な 意 味 をもつ それが 高 度 に 成 熟 化 した 現 代 社 会 の 病 理 的 真 実 なのですね 生 きることの 危 険 は 第 一 に 老 後 生 活 資 金 の 枯 渇 ですが 第 二 には 医 療 費 負 担 です 故 に 安 4

心 して 長 く 生 きられるためには 両 方 の 危 険 が 上 手 に 付 保 されていなければいけない これに 対 して バンドリングで 対 応 するのか アンバンドリングで 別 々の 保 険 で 対 応 するのかは 保 険 会 社 の 高 度 な 商 品 政 策 の 問 題 であり 消 費 者 の 選 択 の 問 題 です しかし 流 れとしては 生 存 保 障 を 中 核 にして 死 亡 保 障 貯 蓄 医 療 費 保 障 をバンドリングする 方 向 へ 向 かうのではないかと 思 われます 生 存 保 障 の 年 金 保 険 自 体 が バンドリングに 馴 染 むものだから です ただし もちろんのこと 各 要 素 についての 保 険 料 の 公 正 妥 当 性 が 保 証 されたうえで バンドリングさ れなくてはいけませんし 消 費 者 の 個 別 の 需 要 に 対 して 適 切 に 対 応 できるように 設 計 の 自 由 な 選 択 肢 も 必 要 です 死 亡 保 障 で 起 きているのと 同 じように 今 や 賢 い 消 費 者 の 選 択 を 前 提 にせざるを 得 な いからです わかりにくい 商 品 設 計 になりそうですね 金 融 庁 は 重 点 施 策 の 第 一 番 として 金 融 機 関 に 対 して 顧 客 ニーズに 応 える 経 営 を 求 めていま すが その 背 景 の 一 つが ここにあります 従 来 の 金 融 規 制 の 考 え 方 では 真 の 顧 客 ニーズ に 適 合 していなくとも 十 分 に 説 明 がなされ 顧 客 が 説 明 を 確 かに 受 けたという 事 実 の 確 認 があれば 販 売 された 金 融 商 品 は 形 式 的 に 顧 客 ニー ズ に 適 合 していたことになったのです つまり 既 定 の 商 品 先 にありきでも ルール 遵 守 により それ と 顧 客 ニーズ との 適 合 を 擬 制 できたのです しかし 金 融 庁 の 新 しい 金 融 モニタリング 基 本 方 針 では 顧 客 ニーズに 応 える 経 営 は ルール ではなく プリンシプルとして 機 能 します 金 融 庁 もまた 英 語 を 使 う 悪 弊 に 染 まっているのですが プリ ンシプルとは 原 理 原 則 であり 行 動 指 針 です ここでは 真 の 顧 客 ニーズ 先 にありきで それに 適 合 するように 商 品 が 選 択 され 設 計 されたかという 実 質 の 検 証 が 求 められるのです ルールのもとでは 説 明 で 済 みました プリンシプルのもとでは 説 明 ではなくて 顧 客 の 視 点 に 立 っ た 選 択 と 設 計 が 求 められるのです わかりにくい 商 品 設 計 という 表 現 自 体 が 説 明 を 前 提 にしたルー ル 主 義 の 考 え 方 です プリンシプルのもとでは 結 果 的 に いかに 複 雑 な 設 計 の 商 品 になろうとも 顧 客 との 対 話 のなかから 一 つ 一 つの 要 素 を 足 し 上 げていくわけですから わかりにくいはずはないので す 仕 上 がりは バンドリングでも 顧 客 との 対 話 は アンバンドリングです プリンシプルのもとでのバン ドリング あるいはアンバンドリングされたものの 再 バンドリング この 英 語 濫 用 の 悪 弊 の 極 みこそ こ れからの 保 険 のあり 方 です 次 回 更 新 は 2 月 12 日 ( 木 )になります 以 上 5