238 古川智樹 機能を持っていると思われる そして 3のように単独で発話される場合もあ れば 5の あ なるほどね のように あ の後続に他の形式がつく場合も あり あ は様々な位置 形式で会話の中に現れることがわかる では 話し手の発話を受けて聞き手が発する あ はどのような機能を持つ のであろ



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238 古川智樹 機能を持っていると思われる そして 3のように単独で発話される場合もあ れば 5の あ なるほどね のように あ の後続に他の形式がつく場合も あり あ は様々な位置 形式で会話の中に現れることがわかる では 話し手の発話を受けて聞き手が発する あ はどのような機能を持つ のであろうか この あ に関して あいづち研究の中では 主に 理解して いる信号 堀口1 7 として取り上げられているが 理解 という機能の中 に あ があるという位置づけで あ という形式が会話の中でどのような機 能を持つのかについて明らかにした研究は管見の限り見られない また 感動 詞 間投詞などの談話標識の観点から分析を試みた研究もあるが 作例による 独り言 応答の あ の分析であり 文脈や会話参加者の相互行為の要素が欠 けているものが多い 以上の先行研究に関しては次節で述べる そこで本稿では 実際の会話資料を用い あいづちとして使われる あ に 焦点を当て 分析を行った 具体的には 話し手の発話途中 あるいは発話終 了後に 聞き手が話し手の発話を受けて発するあいづちの あ に焦点を当て 会話の中でどのような機能を持つのかを明らかにする 2 あ の機能に関する先行研究 2 1 あいづちの観点から分析された先行研究 あいづちの機能に焦点を当てた先行研究としては 松田 1 8 8 ザトラウス キー 1 3 今石 1 3 藤原 1 3 が挙げられる 松田 1 88 では堀 口 1 8 8 の 理解している信号 を細分化し 話し手が伝えた情報の了解を 伝える ものとして ア ソウデスカ 当初理解できなかったり 思い出さ なかったことを 理解したり思い出したこと 知識の共有 を伝える ものと して アア ア アア ア ソウカソウカ を例に挙げている ザトラウス キー 1 3 では 承認の注目表示 の機能の中で ああ そうなんだ 興 味 確認の注目表示 として あっ ほんと 確認 終了の注目表示 と して あ そっか そっか を例として挙げている また 今石 1 3 では 聞き手が話し手の情報伝達の意図を確定したことを伝える ものとして あー そうですか を挙げ 藤原 1 3 では そう系 のあいづち表現を考察する 中で あ あっ を 気づき 驚き の表示として取り上げている 2 2 感動詞 間投詞 談話標識の観点から分析された先行研究 感動詞 応答詞 談話標識としての あ を取り上げたものとしては 森山

240 古川智樹 まとめると あ の機能として 新規情報の獲得 発見 思い出し 驚 き 変化点の認識 が挙げられ その他の特徴として 話し手の発話の情報 の性質 聞き手にとって新情報であるか既知情報であるか 社会的関係によっ て あ の示す機能や使われ方が変わるとまとめることができる しかし 森 山 1 8 田窪 金水 1 7 冨樫 2 001 2 0 05 の分析は 作例による独 り言の1文や対話であっても話し手の発話と聞き手の応答のみであるため あ が実際の会話の場面で上記で挙げた機能を持ちうるのか その検証はさ れていない 以上の あ に関する先行研究の問題点をまとめると以下の2点が挙げられ る あ が 単独で現れる場合だけでなく 他の形式と同時に現れる場合も一 緒に分析されているため 数多くの機能が認定されており あ の形式が持 つ独自の機能が何であるか曖昧である 作例による分析のため 認定している あ の機能が実際の会話で現れるの か その検証が行われていない 3 調査概要 3 1 被験者 本稿における分析対象は日本語母語話者 以下NS の1対1の対面自由会話 1 0組で 各組3 0分程度 撮影 録音したものを分析した 被験者は初対面であ り 2 0代前半 大学 院 生とした 年齢 身分をあわせた理由としては 黒 崎 1 8 7 で年齢 世代 によって あいづちに差があると報告されており また須藤 2 00 1 では社会的関係によって あー と あっ の使用の違いが あるという報告がされているため それらの違いによるあいづち使用の差異を 避けるためである 3 2 あいづちの定義と分析の範囲 あいづちの定義については 堀口 17 松田 1 88 ザトラウスキー 1 3 メイナード 1 3 を参考に 聞き手が話し手の話を継続させるた めに 話し手の発話権を取ろうとしないで発する新しい情報提供を伴わない短 い表現で 話し手に聞き手の発話に対する応答を求めないもの とし 認定作 業を行った なお あいづちには 聞き手が発話権を取得する際に発するあい づち的な発話も広義のあいづちとして認定している先行研究5もあるが 本稿