実 務 対 応 報 告 第 23 号 信 託 の 会 計 処 理 に 関 する 実 務 上 の 取 扱 い 平 成 19 年 8 月 2 日 企 業 会 計 基 準 委 員 会 本 実 務 対 応 報 告 は 平 成 20 年 12 月 26 日 までに 公 表 された 次 の 会 計 基 準 等 による 修 正 が 反 映 されている (1) 企 業 会 計 基 準 第 16 号 持 分 法 に 関 する 会 計 基 準 ( 平 成 20 年 12 月 26 日 改 正 ) (2) 企 業 会 計 基 準 第 21 号 企 業 結 合 に 関 する 会 計 基 準 ( 平 成 20 年 12 月 26 日 改 正 ) (3) 企 業 会 計 基 準 第 22 号 連 結 財 務 諸 表 に 関 する 会 計 基 準 ( 平 成 20 年 12 月 26 日 公 表 ) 目 的 信 託 の 会 計 処 理 は 金 銭 の 信 託 やその 他 の 金 融 資 産 の 信 託 については 企 業 会 計 基 準 第 10 号 金 融 商 品 に 関 する 会 計 基 準 ( 以 下 金 融 商 品 会 計 基 準 という )や 日 本 公 認 会 計 士 協 会 会 計 制 度 委 員 会 報 告 第 14 号 金 融 商 品 会 計 に 関 する 実 務 指 針 ( 以 下 金 融 商 品 会 計 実 務 指 針 という )などに 基 づいて 行 われており 不 動 産 の 信 託 については 日 本 公 認 会 計 士 協 会 会 計 制 度 委 員 会 報 告 第 15 号 特 別 目 的 会 社 を 活 用 した 不 動 産 の 流 動 化 に 係 る 譲 渡 人 の 会 計 処 理 に 関 する 実 務 指 針 ( 以 下 不 動 産 流 動 化 実 務 指 針 という )など に 基 づいて 行 われている こうした 中 平 成 18 年 12 月 15 日 に 公 布 された 信 託 法 ( 平 成 18 年 法 律 第 108 号 以 下 新 信 託 法 という )では 委 託 者 が 自 ら 受 託 者 となる 信 託 (いわゆる 自 己 信 託 )など の 新 たな 制 度 が 導 入 されている 新 信 託 法 では 信 託 は 財 産 の 管 理 又 は 処 分 の 制 度 である というこれまでの 特 徴 を 残 しつつ 受 託 者 の 義 務 や 受 益 者 の 権 利 行 使 に 関 する 規 定 の 整 備 や 信 託 の 多 様 な 利 用 形 態 に 対 応 するための 整 備 がなされており これらに 対 応 する 会 計 処 理 を 示 す 必 要 があるのではないかという 意 見 が 多 い 企 業 会 計 基 準 委 員 会 では これま での 信 託 の 基 本 的 な 会 計 処 理 を 整 理 するとともに 今 般 公 布 された 新 信 託 法 による 新 たな 類 型 の 信 託 等 について 必 要 と 考 えられる 会 計 処 理 を 明 らかにするために 本 実 務 対 応 報 告 を 公 表 することとした 1 1 ここでの 信 託 は 委 託 者 が 当 初 受 益 者 となるもの(いわゆる 自 益 信 託 )を 前 提 としており 受 益 者 の 金 銭 拠 出 を 伴 う 場 合 を 除 き 委 託 者 以 外 の 第 三 者 が 当 初 受 益 者 となるもの(いわゆる 他 益 信 託 )は 対 象 としていない なお Q6 では 受 益 者 の 定 めのない 信 託 (いわゆる 目 的 信 託 )を 取 り 扱 っている - 1 -
会 計 処 理 委 託 者 及 び 受 益 者 の 会 計 処 理 Q1 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 単 数 である 金 銭 の 信 託 における 委 託 者 及 び 受 益 者 は どのよ うに 会 計 処 理 するか A 信 託 は これまで 委 託 者 が 信 託 行 為 によって 受 託 者 に 財 産 権 の 移 転 を 行 い 当 該 受 託 者 が 一 定 の 目 的 ( 信 託 目 的 )に 従 って 受 益 者 のためにその 財 産 ( 信 託 財 産 )の 管 理 又 は 処 分 の 拘 束 を 加 えるところに 成 立 する 法 律 関 係 とされており これは 新 信 託 法 に おいても 基 本 的 に 変 わるところはない( 第 2 条 第 1 項 なお 新 信 託 法 においては 信 託 行 為 において いわゆる 信 託 宣 言 が 定 められ 委 託 者 が 自 ら 受 託 者 となる 信 託 ( 自 己 信 託 )が 可 能 となった( 第 2 条 第 2 項 第 3 号 及 び 第 3 条 第 3 号 ) この 自 己 信 託 の 会 計 処 理 については Q7 を 参 照 のこと また 信 託 行 為 の 定 めがあり 信 託 前 に 生 じた 委 託 者 に 対 する 債 権 に 係 る 債 務 の 引 受 けがされたときには その 債 務 が 信 託 財 産 責 任 負 担 債 務 の 範 囲 に 含 まれることが 明 示 された( 第 21 条 第 1 項 第 3 号 ) これに 関 連 するいわゆ る 事 業 の 信 託 の 会 計 処 理 については Q5 を 参 照 のこと ) 委 託 者 が 当 初 の 受 益 者 になる 自 益 信 託 においては 実 務 上 委 託 者 が 信 託 行 為 によっ て 信 託 財 産 とする 財 産 の 種 類 により 金 銭 の 信 託 と 金 銭 以 外 の 信 託 ( 金 銭 と 金 銭 以 外 の 財 産 を 信 託 する 包 括 信 託 も 含 む 以 下 同 じ )に 分 類 されることが 多 い さらに これら は それぞれ 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 単 数 である 場 合 ( 合 同 運 用 を 除 く 以 下 同 じ )と 複 数 である 場 合 ( 合 同 運 用 を 含 む 以 下 同 じ )に 分 類 されることが 多 い 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 単 数 である 金 銭 の 信 託 の 会 計 処 理 は 次 のように 取 り 扱 われて いる 1 信 託 設 定 時 の 会 計 処 理 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 単 数 である 金 銭 の 信 託 の 設 定 時 に 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 は 信 託 財 産 となる 金 銭 を 金 銭 の 信 託 であることを 示 す 適 切 な 科 目 に 振 り 替 える 2 期 末 時 の 会 計 処 理 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 単 数 である 金 銭 の 信 託 は 有 価 証 券 と 同 様 に その 保 有 目 的 に より 運 用 目 的 満 期 保 有 目 的 その 他 に 区 分 することができるが 特 定 金 銭 信 託 又 は 指 定 金 外 信 託 等 については 一 般 に 運 用 を 目 的 とするものと 考 えられている( 金 融 商 品 会 計 基 準 第 87 項 及 び 金 融 商 品 会 計 実 務 指 針 第 97 項 ) 運 用 を 目 的 とする 金 銭 の 信 託 の 信 託 財 産 である 金 融 資 産 及 び 金 融 負 債 については 金 融 商 品 会 計 基 準 及 び 金 融 商 品 会 計 実 務 指 針 により 付 すべき 評 価 額 を 合 計 した 額 をもって 貸 借 対 照 表 価 額 とし その 評 価 差 額 は 当 期 の 損 益 として 処 理 することとなる( 金 融 商 品 会 計 基 準 第 24 項 及 び 金 融 商 品 会 計 実 務 - 2 -
指 針 第 98 項 ) Q2 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 複 数 である 金 銭 の 信 託 における 委 託 者 及 び 受 益 者 は どのよ うに 会 計 処 理 するか A 合 同 運 用 2 の 金 銭 の 信 託 を 含 む 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 複 数 である 金 銭 の 信 託 のうち 受 益 権 が 有 価 証 券 として 取 り 扱 われている 投 資 信 託 3 については 有 価 証 券 としての 会 計 処 理 を 行 い(この 点 については 金 融 商 品 会 計 実 務 指 針 第 58 項 及 び 第 62 項 を 参 照 のこと ) また これまで 有 価 証 券 として 取 り 扱 われていなかった 合 同 運 用 指 定 金 銭 信 託 で 設 定 さ れている 商 品 ファンドについても 有 価 証 券 に 準 じて 会 計 処 理 を 行 うこととされてきた このため 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 複 数 である 金 銭 の 信 託 の 会 計 処 理 は 次 のように 取 り 扱 われている 4 1 信 託 設 定 時 の 会 計 処 理 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 複 数 である 金 銭 の 信 託 の 設 定 時 に 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 は 信 託 財 産 となる 金 銭 を 有 価 証 券 又 は 合 同 運 用 の 金 銭 の 信 託 であることを 示 す 適 切 な 科 目 に 振 り 替 える 2 受 益 権 の 売 却 時 及 び 期 末 時 の 会 計 処 理 金 銭 の 信 託 の 受 益 者 ( 当 初 受 益 者 のみならず 他 から 受 益 権 を 譲 り 受 けた 受 益 者 も 含 む )は 有 価 証 券 として 又 は 有 価 証 券 に 準 じて 会 計 処 理 を 行 うこととなる ただし 預 金 と 同 様 の 性 格 を 有 する 合 同 運 用 の 金 銭 の 信 託 ( 投 資 信 託 を 含 む )は 取 得 原 価 をもって 貸 借 対 照 表 価 額 とする( 金 融 商 品 会 計 実 務 指 針 第 64 項 ) 3 受 益 者 が 複 数 である 金 銭 の 信 託 と 子 会 社 及 び 関 連 会 社 の 範 囲 ( 考 え 方 ) 1 及 び 2 のように これまで 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 複 数 である 金 銭 の 信 託 について 個 別 財 務 諸 表 上 受 益 者 は 信 託 財 産 を 持 分 に 応 じて 直 接 保 有 する 会 計 処 理 を 行 わず 有 価 証 券 として 又 は 有 価 証 券 に 準 じて 会 計 処 理 を 行 っている 一 方 このような 金 銭 の 信 託 については 一 般 に 多 くの 受 益 者 を 想 定 しているため 連 結 財 務 諸 表 上 子 2 本 実 務 対 応 報 告 では 共 同 しない 多 数 の 委 託 者 の 信 託 財 産 を 合 同 して 運 用 するものを 指 すもの とする(この 点 については 法 人 税 法 第 2 条 第 26 号 や 貸 付 信 託 法 第 2 条 第 1 項 を 参 照 のこと ) 3 投 資 信 託 は 委 託 者 が 単 数 である 他 益 信 託 として 設 定 されるが 当 初 から 受 益 権 を 分 割 して 複 数 の 者 に 取 得 させることを 目 的 とするものであるため 本 実 務 対 応 報 告 では 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 複 数 である 金 銭 の 信 託 に 含 めている 4 当 該 信 託 において 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 形 式 的 には 複 数 であっても 他 の 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 金 融 商 品 会 計 基 準 第 24 項 の 適 用 を 回 避 するための 名 目 的 な 存 在 に 過 ぎない 場 合 には Q1 に よることが 適 当 であると 考 えられる - 3 -
会 社 や 関 連 会 社 に 該 当 するかどうかを 判 定 する 必 然 性 は 乏 しかったものと 考 えられる 信 託 は 財 産 管 理 の 制 度 としての 特 徴 も 有 しており 通 常 会 社 に 準 ずる 事 業 体 に 該 当 するとは 言 えない 5 が 受 益 者 が 複 数 である 金 銭 の 信 託 の 中 には 連 結 財 務 諸 表 上 財 産 管 理 のための 仕 組 みとみるより むしろ 子 会 社 及 び 関 連 会 社 とみる 方 が 適 切 な 会 計 処 理 ができる 場 合 がある 6 また 新 信 託 法 においては 受 益 者 集 会 の 制 度 ( 第 106 条 以 下 )など 受 益 者 が 2 人 以 上 ある 信 託 における 受 益 者 の 意 思 決 定 の 方 法 が 明 示 された このため 受 益 者 が 複 数 である 金 銭 の 信 託 については 当 該 受 益 者 の 連 結 財 務 諸 表 上 子 会 社 及 び 関 連 会 社 に 該 当 する 場 合 があり 得 ると 考 えられる 7 ( 受 益 者 が 複 数 である 金 銭 の 信 託 が 子 会 社 及 び 関 連 会 社 と 判 定 される 場 合 ) 上 記 の 考 え 方 を 踏 まえ 受 益 者 が 2 人 以 上 ある 信 託 における 次 の 受 益 者 ( 当 初 受 益 者 のみならず 他 から 受 益 権 を 譲 り 受 けた 受 益 者 も 含 む )は 連 結 会 計 基 準 に 従 い 原 則 として 当 該 信 託 を 子 会 社 として 取 り 扱 うことが 適 当 である 8 9 (1) すべての 受 益 者 の 一 致 によって 受 益 者 の 意 思 決 定 がされる 信 託 ( 新 信 託 法 第 105 条 第 1 項 )においては 自 己 以 外 のすべての 受 益 者 が 緊 密 な 者 ( 自 己 と 出 資 人 事 資 金 技 術 取 引 等 において 緊 密 な 関 係 があることにより 自 己 の 意 思 と 同 一 の 内 容 の 意 思 決 定 を 行 うと 認 められる 者 ) 又 は 同 意 している 者 ( 自 己 の 意 思 と 同 一 の 内 容 の 意 思 決 定 を 行 うことに 同 意 していると 認 められる 者 )であり かつ 連 結 会 計 5 このため 信 託 は 本 実 務 対 応 報 告 により 子 会 社 及 び 関 連 会 社 に 該 当 する 場 合 を 除 き 連 結 財 務 諸 表 上 会 社 に 準 ずる 事 業 体 としては 取 り 扱 われないこととなる なお 本 実 務 対 応 報 告 では 企 業 会 計 基 準 第 22 号 連 結 財 務 諸 表 に 関 する 会 計 基 準 ( 以 下 連 結 会 計 基 準 という ) 第 5 項 が 示 す 企 業 のうち 会 社 以 外 を 会 社 に 準 ずる 事 業 体 としている 6 今 後 も 従 来 と 同 様 に 多 くの 受 益 者 からなる 合 同 運 用 の 金 銭 の 信 託 については 子 会 社 や 関 連 会 社 に 該 当 するか 否 かについて 判 定 を 必 要 とすることは 少 ないと 考 えられるが 例 えば 合 同 運 用 の 金 銭 の 信 託 において ある 受 益 者 が 中 心 となって 事 業 を 購 入 したり 他 社 の 議 決 権 のある 株 式 の 過 半 数 を 購 入 したりするケース(Q5 のA3 参 照 )では 子 会 社 や 関 連 会 社 に 該 当 するか 否 かについて 判 定 する 意 義 はあり 得 る 7 受 益 者 が 単 数 である 金 銭 の 信 託 については その 信 託 財 産 に 係 るすべての 損 益 が 当 該 受 益 者 に 帰 属 し 改 めて 子 会 社 や 関 連 会 社 に 該 当 するか 否 かについて 判 定 する 必 要 はないものと 考 えられ る 8 当 該 信 託 の 受 益 権 が 売 買 目 的 であって 金 融 商 品 会 計 基 準 や 特 別 の 法 令 の 定 めに 適 切 に 従 っ た 結 果 時 価 をもって 貸 借 対 照 表 価 額 とし 評 価 差 額 を 当 期 の 損 益 として 処 理 することとなる 場 合 には 事 業 投 資 である 子 会 社 や 関 連 会 社 への 投 資 には 該 当 しない なお 子 会 社 又 は 関 連 会 社 に 該 当 することとなった 金 銭 の 信 託 において その 構 成 物 である 株 式 等 が 売 買 目 的 であって 金 融 商 品 会 計 基 準 や 特 別 の 法 令 の 定 めに 適 切 に 従 った 結 果 時 価 をもって 貸 借 対 照 表 価 額 とし 評 価 差 額 を 当 期 の 損 益 として 処 理 することとなるときには 当 該 株 式 等 についても 同 様 に 子 会 社 や 関 連 会 社 への 投 資 には 該 当 しない 9 なお 信 託 行 為 における 別 段 の 定 めにより 信 託 に 関 する 財 務 及 び 営 業 又 は 事 業 の 方 針 の 決 定 に 該 当 する 事 項 について 当 該 受 益 者 以 外 の 特 定 の 受 益 者 や 委 託 者 債 権 者 等 の 合 意 を 必 要 とす る 場 合 には 当 該 受 益 者 だけでは 意 思 決 定 を 行 うことができないため 本 文 の 3(1)から(3)に 該 当 していても 当 該 信 託 は 当 該 受 益 者 の 子 会 社 に 該 当 しないものと 考 えられる(ただし 当 該 受 益 者 以 外 の 特 定 の 受 益 者 や 委 託 者 債 権 者 等 が 緊 密 な 者 又 は 同 意 している 者 に 該 当 している 場 合 には この 限 りではない ) - 4 -
基 準 第 7 項 (2)の2から5までのいずれかの 要 件 に 該 当 する 受 益 者 (2) 信 託 行 為 に 受 益 者 集 会 における 多 数 決 による 旨 の 定 めがある 信 託 ( 新 信 託 法 第 105 条 第 2 項 )においては 連 結 会 計 基 準 第 7 項 で 示 す 他 の 企 業 の 議 決 権 を 信 託 における 受 益 者 の 議 決 権 と 読 み 替 えて 連 結 会 計 基 準 第 7 項 の 企 業 に 該 当 10 することとなる 受 益 者 (3) 信 託 行 為 に 別 段 の 定 めがあり その 定 めるところによって 受 益 者 の 意 思 決 定 が 行 われる 信 託 ( 新 信 託 法 第 105 条 第 1 項 ただし 書 き)では その 定 めにより 受 益 者 の 意 思 決 定 を 行 うことができる 11 こととなる 受 益 者 (なお 自 己 だけでは 受 益 者 の 意 思 決 定 を 行 うことができないが 緊 密 な 者 又 は 同 意 している 者 とを 合 わせれば 受 益 者 の 意 思 決 定 を 行 うことができることとなる 場 合 には 連 結 会 計 基 準 第 7 項 (2)の 2から5までのいずれかの 要 件 に 該 当 する 受 益 者 ) また 企 業 会 計 基 準 第 16 号 持 分 法 に 関 する 会 計 基 準 ( 以 下 持 分 法 会 計 基 準 という ) 第 5-2 項 で 示 す 他 の 企 業 の 議 決 権 を 信 託 における 受 益 者 の 議 決 権 と 読 み 替 えて 持 分 法 会 計 基 準 第 5-2 項 の 企 業 に 該 当 することとなる 受 益 者 は 当 該 信 託 を 関 連 会 社 として 取 り 扱 うこととなる Q3 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 単 数 である 金 銭 以 外 の 信 託 における 委 託 者 及 び 受 益 者 は どの ように 会 計 処 理 するか A 有 価 証 券 の 信 託 のように 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 単 数 である 金 銭 以 外 の 信 託 は 基 本 的 に 財 産 を 管 理 するために 用 いられている 場 合 が 多 いが 近 年 流 動 化 などに 用 いられ ることも 多 い 1 信 託 設 定 時 の 会 計 処 理 金 融 資 産 の 信 託 ( 有 価 証 券 の 信 託 を 含 む )や 不 動 産 の 信 託 などにおいて 受 益 者 は 信 託 財 産 を 直 接 保 有 する 場 合 と 同 様 の 会 計 処 理 を 行 うものとされている( 金 融 商 品 会 計 実 務 指 針 第 78 項 及 び 第 100 項 (1) 不 動 産 流 動 化 実 務 指 針 第 44 項 ) このため 信 託 設 定 時 に 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 において 損 益 は 計 上 されない 2 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 による 受 益 権 の 売 却 時 の 会 計 処 理 上 記 のように 受 益 者 は 信 託 財 産 を 直 接 保 有 する 場 合 と 同 様 の 会 計 処 理 を 行 うこと 10 ただし 信 託 行 為 に 別 段 の 定 めがあり( 新 信 託 法 第 105 条 第 2 項 ただし 書 き) その 定 めによ って 財 務 及 び 営 業 又 は 事 業 の 方 針 の 決 定 に 該 当 する 事 項 について 決 議 要 件 が 加 重 されている 場 合 には 当 該 要 件 を 用 いる 11 信 託 行 為 における 別 段 の 定 めにおいて 受 益 者 の 意 思 決 定 の 要 件 が 意 思 決 定 事 項 の 内 容 によ って 異 なる 場 合 財 務 及 び 営 業 又 は 事 業 の 方 針 の 決 定 に 該 当 しない 軽 微 な 事 項 については この 対 象 とはならない - 5 -
から 受 益 権 が 売 却 された 場 合 信 託 財 産 を 直 接 保 有 していたものとみて 消 滅 の 認 識 ( 又 は 売 却 処 理 )( 金 融 商 品 会 計 基 準 第 9 項 及 び 不 動 産 流 動 化 実 務 指 針 第 19 項 から 第 21 項 ) の 要 否 を 判 断 することとなる ( 流 動 化 する 場 合 の 留 意 事 項 ) 会 計 上 上 記 のような 信 託 を 利 用 して 信 託 財 産 となる 資 産 を 流 動 化 するときは 次 の 点 に 留 意 する 必 要 がある 1 金 融 資 産 の 信 託 による 流 動 化 において 優 先 部 分 と 劣 後 部 分 のように 質 的 に 異 なる 受 益 権 に 分 割 されて 優 先 受 益 権 のみを 譲 渡 する 場 合 優 先 受 益 権 を 売 却 処 理 するためには 優 先 受 益 権 が 消 滅 の 認 識 要 件 を 満 たす 必 要 がある( 金 融 商 品 会 計 実 務 指 針 第 291 項 ) また 当 該 金 融 資 産 の 譲 受 人 たる 信 託 が 金 融 商 品 会 計 基 準 ( 注 4)の 要 件 を 満 たす 特 別 目 的 会 社 の 場 合 には 当 該 信 託 の 新 たな 受 益 者 を 当 該 金 融 資 産 の 譲 受 人 とみなして 金 融 商 品 会 計 基 準 第 9 項 (2)の 要 件 を 適 用 することと なる 2 不 動 産 の 信 託 による 流 動 化 において 優 先 部 分 と 劣 後 部 分 のように 質 的 に 異 な る 受 益 権 に 分 割 されて 譲 渡 されている 場 合 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 は 当 該 不 動 産 全 体 に 関 するリスクと 経 済 価 値 のほとんどすべてが 他 の 者 に 移 転 しているときに 売 却 処 理 を 行 う(このような 考 え 方 については 不 動 産 流 動 化 実 務 指 針 第 21 項 を 参 照 のこと ) 3 1 及 び2において 当 該 信 託 が 子 会 社 等 の 範 囲 の 見 直 しに 係 る 具 体 的 な 取 扱 い 三 で 示 す 特 別 目 的 会 社 にあたることから 子 会 社 には 該 当 しないものと 推 定 され ている 場 合 には 企 業 会 計 基 準 適 用 指 針 第 15 号 一 定 の 特 別 目 的 会 社 に 係 る 開 示 に 関 する 適 用 指 針 に 基 づき 開 示 対 象 特 別 目 的 会 社 の 開 示 が 必 要 となる 12 3 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 による 期 末 時 の 会 計 処 理 (1) 原 則 的 な 取 扱 い 金 銭 以 外 の 信 託 の 受 益 者 は 信 託 財 産 を 直 接 保 有 する 場 合 と 同 様 に 会 計 処 理 する (これには 表 示 及 び 注 記 を 含 む 以 下 同 じ )こととなるため 信 託 財 産 のうち 持 分 割 合 に 相 当 する 部 分 を 受 益 者 の 貸 借 対 照 表 における 資 産 及 び 負 債 として 計 上 し 損 益 計 算 書 についても 同 様 に 持 分 割 合 に 応 じて 処 理 する 方 法 ( 以 下 総 額 法 とい う )によることとなる ただし 重 要 性 が 乏 しい 場 合 には この 限 りではない (2) 受 益 権 が 質 的 に 異 なるものに 分 割 されている 場 合 や 受 益 者 が 多 数 となる 場 合 の 取 扱 い 12 なお 信 託 を 利 用 して 信 託 財 産 となる 資 産 を 流 動 化 する 場 合 でも 連 結 会 計 基 準 第 7 項 (1)か ら(3)( 本 実 務 対 応 報 告 では Q2 のA3(1)から(3)が 該 当 する )のいずれにも 該 当 せず 子 会 社 等 の 範 囲 の 見 直 しに 係 る 具 体 的 な 取 扱 い 三 によらず 子 会 社 に 該 当 しないとされたものは 当 該 開 示 の 対 象 にはならない - 6 -
委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 単 数 である 金 銭 以 外 の 信 託 であっても 次 のような 場 合 に は 各 受 益 者 が 当 該 信 託 財 産 を 直 接 保 有 するものとみなして 会 計 処 理 を 行 うことは 困 難 であることから 受 益 者 の 個 別 財 務 諸 表 上 受 益 権 を 当 該 信 託 に 対 する 有 価 証 券 の 保 有 とみなして 評 価 する 13 1 受 益 権 が 優 先 劣 後 等 のように 質 的 に 異 なるものに 分 割 されており かつ 譲 渡 等 により 受 益 者 が 複 数 となる 場 合 この 場 合 には 金 融 商 品 会 計 実 務 指 針 第 100 項 (2)において 個 別 財 務 諸 表 上 信 託 を 一 種 の 事 業 体 とみなして 当 該 受 益 権 を 信 託 に 対 する 金 銭 債 権 の 取 得 又 は 信 託 からの 有 価 証 券 の 購 入 とみなして 取 り 扱 うとされている これは 信 託 財 産 から 生 ずる 効 果 は 受 益 者 に 帰 属 するものの 受 益 権 が 質 的 に 異 なるものに 分 割 さ れており かつ 受 益 者 が 複 数 となっている 場 合 には 当 該 信 託 財 産 を 受 益 者 が 直 接 保 有 するものとみなして 会 計 処 理 を 行 うことは 困 難 であると 考 えられること による 2 受 益 権 の 譲 渡 等 により 受 益 者 が 多 数 ( 多 数 になると 想 定 されるものも 含 む 以 下 同 じ )となる 場 合 この 場 合 には 金 融 商 品 会 計 実 務 指 針 第 100 項 (1)ただし 書 きにおいて 個 別 財 務 諸 表 上 受 益 者 が 多 数 で 信 託 財 産 を 持 分 に 応 じて 直 接 保 有 するのと 同 様 の 評 価 を 行 うことが 困 難 な 場 合 には 1のように 信 託 を 実 体 のある 事 業 体 とした 評 価 を 行 うことができるとされている なお 受 益 権 の 譲 渡 等 により 受 益 者 が 多 数 となる 場 合 とは 受 益 権 の 分 割 や 譲 渡 が 有 価 証 券 の 募 集 ( 金 融 商 品 取 引 法 第 2 条 第 3 項 ) 又 は 有 価 証 券 の 売 出 し( 金 融 商 品 取 引 法 第 2 条 第 4 項 )にあたるときが 該 当 すると 考 えられる また 受 益 権 の 譲 渡 等 により 受 益 者 が 多 数 になると 想 定 される 場 合 とは 受 益 権 が 私 法 上 の 有 価 証 券 とされている 受 益 証 券 発 行 信 託 の 受 益 証 券 を 発 行 しているとき( 新 信 託 法 第 207 条 )が 該 当 すると 考 えられる また 連 結 財 務 諸 表 上 当 該 信 託 を 子 会 社 又 は 関 連 会 社 として 取 り 扱 うかどうか については Q2 のA3 に 準 じることとなる 14 13 ただし 企 業 が 信 託 財 産 構 成 物 である 金 融 資 産 の 委 託 者 である 場 合 で かつ 信 託 財 産 構 成 物 が 委 託 者 たる 譲 渡 人 にとって 金 融 資 産 の 消 滅 の 認 識 要 件 を 満 たす 場 合 には 譲 渡 人 の 保 有 する 信 託 受 益 権 は 新 たな 金 融 資 産 ではなく 譲 渡 金 融 資 産 の 残 存 部 分 として 評 価 する( 金 融 商 品 会 計 実 務 指 針 第 100 項 (2)ただし 書 き) 14 なお 当 該 信 託 が 子 会 社 等 の 範 囲 の 見 直 しに 係 る 具 体 的 な 取 扱 い 三 で 示 す 特 別 目 的 会 社 にあ たる 場 合 には 出 資 者 及 び 譲 渡 者 の 子 会 社 に 該 当 しないものと 推 定 されることとなる(この 場 合 には 2 における 流 動 化 する 場 合 の 留 意 事 項 3を 参 照 のこと ) また 受 益 者 が 優 先 受 益 権 のみの 保 有 者 である 場 合 には 通 常 信 託 に 対 する 債 権 者 と 同 様 であると 考 えられるため こ のときには 当 該 信 託 は 当 該 受 益 者 の 子 会 社 又 は 関 連 会 社 として 取 り 扱 われない - 7 -
4 他 から 受 益 権 を 譲 り 受 けた 受 益 者 の 会 計 処 理 (1) 原 則 的 な 取 扱 い 受 益 者 は 原 則 として 信 託 財 産 を 直 接 保 有 する 場 合 と 同 様 の 会 計 処 理 を 行 うた め 受 益 権 を 取 得 したときは 信 託 財 産 を 直 接 取 得 したものとみて 会 計 処 理 を 行 い 受 益 権 をさらに 売 却 したときには 信 託 財 産 を 直 接 保 有 していたものとみて 消 滅 の 認 識 ( 又 は 売 却 処 理 )( 金 融 商 品 会 計 基 準 第 9 項 並 びに 不 動 産 流 動 化 実 務 指 針 第 19 項 及 び 第 20 項 )の 要 否 を 判 断 する また 期 末 時 に 金 銭 以 外 の 信 託 の 受 益 者 は 信 託 財 産 を 直 接 保 有 する 場 合 と 同 様 に 会 計 処 理 することとなるため 総 額 法 によることとなる (2) 当 該 信 託 に 係 る 受 益 権 が 質 的 に 異 なるものに 分 割 されている 場 合 や 受 益 者 が 多 数 となる 場 合 の 取 扱 い この 場 合 各 受 益 者 は 信 託 財 産 を 直 接 保 有 するものとみなして 会 計 処 理 を 行 う ことは 困 難 であることから 受 益 権 を 当 該 信 託 に 対 する 有 価 証 券 とみなして 処 理 す ることとなる このため 当 該 受 益 権 を 取 得 したときは 有 価 証 券 の 取 得 とみなし て 処 理 し 受 益 権 をさらに 売 却 したときには 有 価 証 券 の 売 却 とみなして 売 却 処 理 を 行 うかどうか 判 断 することとなる 期 末 時 においては 受 益 権 を 当 該 信 託 に 対 する 有 価 証 券 の 保 有 とみなして 処 理 す ることとなる また 連 結 財 務 諸 表 上 当 該 信 託 を 子 会 社 又 は 関 連 会 社 として 取 り 扱 うかどうかについては Q2 のA3 に 準 じることとなる Q4 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 複 数 である 金 銭 以 外 の 信 託 における 委 託 者 及 び 受 益 者 は どの ように 会 計 処 理 するか A これまで 金 銭 以 外 の 信 託 において 複 数 の 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 の 財 産 を 合 同 で 運 用 す ることはあまり 見 られなかったため 会 計 基 準 等 において 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 複 数 である 金 銭 以 外 の 信 託 の 会 計 処 理 は 明 示 されていなかったが ここでは 必 要 と 考 えられ る 会 計 処 理 を 明 らかにすることとする なお ここでの 金 銭 以 外 の 財 産 は 会 計 上 事 業 15 とはならない 資 産 を 指 す( 事 業 の 信 託 については Q5 を 参 照 のこと ) 1 信 託 設 定 時 の 会 計 処 理 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 複 数 である 金 銭 以 外 の 信 託 を 設 定 した 場 合 各 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 は 受 託 者 に 対 してそれぞれの 財 産 を 移 転 し 受 益 権 を 受 け 取 ることとなる この 場 合 も 他 の 信 託 の 設 定 時 と 同 様 に 当 該 信 託 の 設 定 により 損 益 は 計 上 されないものと 考 15 会 計 上 事 業 とは 企 業 活 動 を 行 うために 組 織 化 され 有 機 的 一 体 として 機 能 する 経 営 資 源 をいう( 事 業 分 離 等 会 計 基 準 第 3 項 ) - 8 -
えられる ただし 当 該 信 託 の 設 定 は 共 同 で 現 物 出 資 により 会 社 を 設 立 することに 類 似 するも のであるため 現 物 出 資 による 会 社 の 設 立 における 移 転 元 の 企 業 の 会 計 処 理 ( 企 業 会 計 基 準 第 7 号 事 業 分 離 等 に 関 する 会 計 基 準 ( 以 下 事 業 分 離 等 会 計 基 準 という ) 第 31 項 )に 準 じて 当 該 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 当 該 信 託 について 支 配 することも 重 要 な 影 響 を 及 ぼすこともない 場 合 には その 個 別 財 務 諸 表 上 原 則 として 移 転 損 益 を 認 識 す ることが 適 当 であると 考 えられる 16 この 場 合 当 該 受 益 者 が 受 け 取 った 受 益 権 の 取 得 原 価 は 信 託 した 財 産 に 係 る 時 価 又 は 当 該 受 益 権 の 時 価 のうち より 高 い 信 頼 性 をもって 測 定 可 能 な 時 価 に 基 づいて 算 定 される 2 受 益 権 の 売 却 時 及 び 期 末 時 の 会 計 処 理 (1) 受 益 権 が 各 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 からの 財 産 に 対 応 する 経 済 的 効 果 を 実 質 的 に 反 映 し かつ 売 却 後 の 受 益 者 が 多 数 とはならない 場 合 の 取 扱 い 例 えば 各 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 共 有 していた 財 産 を 信 託 し その 財 産 に 対 応 する 受 益 権 を 受 け 取 る 場 合 のように 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 複 数 であっても それ ぞれにおける 経 済 的 効 果 が 信 託 前 と 実 質 的 に 異 ならない 場 合 には 信 託 財 産 から 生 ずる 経 済 的 効 果 を 受 益 者 に 直 接 的 に 帰 属 するように 会 計 処 理 することが 可 能 であ ることから 当 該 受 益 権 を 売 却 するときは 受 益 者 が 信 託 財 産 を 直 接 保 有 するもの とみて 消 滅 の 認 識 ( 又 は 売 却 処 理 )( 金 融 商 品 会 計 基 準 第 9 項 及 び 不 動 産 流 動 化 実 務 指 針 第 20 項 )の 要 否 を 判 断 することとなる また この 場 合 受 益 者 ( 当 初 受 益 者 のみならず ある 受 益 権 を 質 的 に 異 ならな い 受 益 権 に 分 割 し その 譲 渡 等 によっても 新 たな 受 益 者 が 多 数 とならない 場 合 にお ける 当 該 受 益 権 を 譲 り 受 けた 受 益 者 も 含 む )の 個 別 財 務 諸 表 上 総 額 法 によるこ とが 適 当 であると 考 えられる ただし 重 要 性 が 乏 しい 場 合 には 貸 借 対 照 表 及 び 損 益 計 算 書 の 双 方 について 持 分 相 当 額 を 純 額 で 取 り 込 む 方 法 ( 純 額 法 )によること ができる (2) (1) 以 外 の 場 合 この 場 合 には 各 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 当 該 信 託 財 産 を 直 接 保 有 するものとみな して 会 計 処 理 を 行 うことは 困 難 であることから 当 該 受 益 者 ( 当 初 受 益 者 のみなら ず 受 益 権 が 質 的 に 異 なるものに 分 割 されている 場 合 や 受 益 者 が 多 数 となる 場 合 に は 他 から 受 益 権 を 譲 り 受 けた 受 益 者 も 含 む )の 個 別 財 務 諸 表 上 受 益 権 を 信 託 に 対 する 有 価 証 券 の 保 有 とみなして 評 価 する このような 受 益 権 を 売 却 する 場 合 当 該 受 益 者 は 有 価 証 券 の 売 却 とみなして 売 却 処 理 の 要 否 を 判 断 することとなる 16 なお 2(1)で 示 すように 受 益 権 が 各 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 からの 財 産 に 対 応 する 経 済 的 効 果 を 実 質 的 に 反 映 している 場 合 には 受 益 者 が 信 託 財 産 を 直 接 保 有 するものとみて 会 計 処 理 を 行 うた め 信 託 設 定 時 に 損 益 は 計 上 されない - 9 -
また 連 結 財 務 諸 表 上 当 該 信 託 を 子 会 社 又 は 関 連 会 社 として 取 り 扱 うかどうか については Q2 のA3 に 準 じることとなる 当 該 受 益 者 の 連 結 財 務 諸 表 上 当 該 信 託 が 子 会 社 又 は 関 連 会 社 となる 場 合 現 物 出 資 による 会 社 の 設 立 における 移 転 元 の 企 業 の 会 計 処 理 ( 事 業 分 離 等 会 計 基 準 第 31 項 )に 準 じて 当 該 受 益 者 から 移 転 されたとみなされる 額 と 移 転 した 資 産 に 係 る 受 益 者 の 持 分 の 減 少 額 との 間 に 生 ず る 差 額 については 持 分 変 動 差 額 として 取 り 扱 う Q5 事 業 の 信 託 における 委 託 者 及 び 受 益 者 は どのように 会 計 処 理 するか A 新 信 託 法 では 信 託 行 為 の 定 めがあり 信 託 前 に 生 じた 委 託 者 に 対 する 債 権 に 係 る 債 務 の 引 受 けがされたときには その 債 務 が 信 託 財 産 責 任 負 担 債 務 の 範 囲 に 含 まれること が 明 示 され( 第 21 条 第 1 項 第 3 号 ) 金 銭 その 他 の 財 産 の 信 託 ( 金 銭 以 外 の 信 託 )と 同 時 に 債 務 の 引 受 けを 組 み 合 わせることにより これらから 構 成 される 事 業 自 体 の 信 託 を 行 うのと 同 様 の 状 態 を 作 り 出 すことができると 言 われている(いわゆる 事 業 の 信 託 ) そ の 会 計 処 理 については 基 本 的 にこれまでの 信 託 と 相 違 はないと 考 えられる 1 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 単 数 である 場 合 (1) 原 則 的 な 取 扱 い 事 業 の 信 託 は 金 銭 以 外 の 信 託 にあたることから 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 単 数 であ る 場 合 には Q3 のAに 準 じて 処 理 することとなる このため 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 において 信 託 設 定 時 に 損 益 は 計 上 されない また この 場 合 の 受 益 者 は 信 託 財 産 を 直 接 保 有 する 場 合 と 同 様 の 会 計 処 理 を 行 うこととなるため 受 益 権 を 売 却 した 場 合 当 該 事 業 を 直 接 移 転 したものとみて 売 却 処 理 の 要 否 を 判 断 することとなり(この 点 については 事 業 分 離 等 会 計 基 準 第 14 項 から 第 16 項 企 業 会 計 基 準 適 用 指 針 第 10 号 企 業 結 合 会 計 基 準 及 び 事 業 分 離 等 会 計 基 準 に 関 する 適 用 指 針 第 95 項 及 び 第 96 項 を 参 照 のこと ) 期 末 時 には 総 額 法 によることとなる(Q3 のA3(1) 及 びA4(1) 参 照 ) (2) 受 益 権 が 質 的 に 異 なるものに 分 割 されている 場 合 や 受 益 者 が 多 数 となる 場 合 の 取 扱 い 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 は 単 数 であるが 質 的 に 異 なる 受 益 権 に 分 割 されており そ の 一 部 の 譲 渡 等 により 受 益 者 が 複 数 となる 場 合 又 は 受 益 権 の 譲 渡 等 により 受 益 者 が 多 数 となる 場 合 (Q3 のA3(2) 参 照 ) 受 益 者 ( 当 初 受 益 者 のみならず 他 か ら 受 益 権 を 譲 り 受 けた 受 益 者 も 含 む )は 受 益 権 を 当 該 信 託 に 対 する 有 価 証 券 と みなして 処 理 することとなる(Q3 のA3(2) 及 びA4(2) 参 照 ) ただし 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 受 益 権 を 売 却 するときは (1)と 同 様 に 当 該 事 業 を 直 接 移 転 したも のとみて 売 却 処 理 の 要 否 を 判 断 する - 10 -
連 結 財 務 諸 表 上 当 該 信 託 を 子 会 社 又 は 関 連 会 社 として 取 り 扱 うかどうかについ ては Q2 のA3 に 準 じることとなる 2 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 複 数 である 場 合 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 複 数 である 場 合 には Q4 のAに 準 じて 処 理 することとなる このため 当 該 事 業 の 信 託 を 設 定 した 場 合 各 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 は 受 託 者 に 対 しそ れぞれの 事 業 を 移 転 し 受 益 権 を 受 け 取 ることとなり 共 同 新 設 分 割 における 分 離 元 企 業 の 会 計 処 理 ( 事 業 分 離 等 会 計 基 準 第 17 項 第 20 項 及 び 第 23 項 企 業 会 計 基 準 第 21 号 企 業 結 合 に 関 する 会 計 基 準 第 39 項 )に 準 じることが 適 当 である また 受 益 権 の 売 却 時 及 び 期 末 時 の 会 計 処 理 については Q4 のA2 に 準 じることとな る 3 その 他 事 業 の 信 託 ( 事 業 を 直 接 金 銭 以 外 の 信 託 の 対 象 とする )に 関 連 して 金 銭 の 信 託 に おいて 事 業 を 譲 り 受 ける 場 合 や 事 業 の 信 託 の 受 益 権 を 他 の 受 益 者 から 譲 り 受 ける 場 合 が 考 えられる このような 場 合 であっても 事 業 の 信 託 が 設 定 された 場 合 と 整 合 的 になる ように 個 別 財 務 諸 表 上 総 額 法 によることが 適 当 であると 考 えられる 17 なお 事 業 の 信 託 であるかどうかにかかわらず 受 益 者 が 信 託 財 産 を 直 接 保 有 する 場 合 と 同 様 の 会 計 処 理 を 行 うとき( 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 単 数 である 金 銭 の 信 託 として 会 計 処 理 を 行 うときを 含 む )には 当 該 受 益 者 と 当 該 信 託 との 取 引 は 内 部 取 引 として 消 去 される Q6 受 益 者 の 定 めのない 信 託 (いわゆる 目 的 信 託 )における 委 託 者 は どのように 会 計 処 理 するか A これまで 公 益 信 託 を 除 き 受 益 者 の 定 めのない 信 託 は 認 められていなかったが 新 信 託 法 では 信 託 契 約 による 方 法 又 は 遺 言 による 方 法 によって 受 益 者 の 定 めのない 信 託 ( 受 益 者 を 定 める 方 法 の 定 めのない 信 託 を 含 む 以 下 同 じ )をすることができるもの とされた( 第 258 条 ) 受 益 者 の 定 めのない 信 託 は 目 的 信 託 と 呼 ばれることが 多 い 信 託 契 約 によってなされた 受 益 者 の 定 めのない 信 託 については 委 託 者 がいつでも 信 託 を 終 了 できるなど 通 常 の 信 託 とは 異 なるため 原 則 として 委 託 者 の 財 産 として 処 理 することが 適 当 であると 考 えられる ただし 信 託 契 約 の 内 容 等 からみて 委 託 者 に 信 託 財 産 の 経 済 的 効 果 が 帰 属 しないことが 明 らかであると 認 められる 場 合 には もはや 委 託 者 の 財 産 ではないものとして 処 理 する 17 同 様 に 金 銭 の 信 託 の 信 託 財 産 構 成 物 として 事 業 投 資 である 子 会 社 株 式 を 保 有 している 場 合 も 個 別 財 務 諸 表 上 は 総 額 法 によることが 適 当 であり 連 結 財 務 諸 表 上 は 原 則 として その 子 会 社 を 連 結 の 範 囲 に 含 めることになる - 11 -
Q7 自 己 信 託 における 委 託 者 及 び 受 益 者 は どのように 会 計 処 理 するか A 新 信 託 法 においては 信 託 契 約 を 締 結 する 方 法 による 信 託 や 遺 言 をする 方 法 による 信 託 に 加 え 自 ら 信 託 財 産 の 管 理 等 をすべき 旨 の 意 思 表 示 を 書 面 等 によってする 方 法 によ る 自 己 信 託 が 定 められた 自 己 信 託 においては 委 託 者 が 受 託 者 となるという 点 に 特 徴 があるが その 会 計 処 理 は 基 本 的 には 他 者 に 信 託 した 通 常 の 信 託 と 相 違 はないと 考 え られる 18 なお 受 託 者 が 受 益 権 の 全 部 を 固 有 財 産 で 有 する 状 態 が 1 年 間 継 続 した 場 合 信 託 は 終 了 する( 新 信 託 法 第 163 条 第 2 号 )ため 委 託 者 が 自 己 信 託 をし かつ その 受 益 権 の 全 部 につき 自 らが 当 初 受 益 者 となるときには 通 常 受 益 権 の 一 部 又 は 全 部 を 信 託 設 定 後 に 売 却 することとなると 考 えられる 信 託 が 終 了 した 場 合 信 託 財 産 構 成 物 は 受 入 時 点 において 当 該 信 託 財 産 構 成 物 に 付 されている 帳 簿 価 額 によって 受 け 入 れられるこ ととなる 1 信 託 設 定 時 の 会 計 処 理 委 託 者 兼 受 託 者 である 自 らのみが 当 初 受 益 者 となる 自 己 信 託 においては 金 銭 の 信 託 として 行 われる 場 合 はQ1 のAに 準 じて 金 銭 以 外 の 信 託 として 行 われる 場 合 はQ3 のA に 準 じて 会 計 処 理 を 行 うこととなる このため 単 独 で 信 託 設 定 するだけで 損 益 が 計 上 されることはない なお 前 述 したように 委 託 者 が 自 己 信 託 した 場 合 には 通 常 受 益 権 の 一 部 又 は 全 部 を 信 託 設 定 後 に 売 却 することになると 考 えられる このため 受 益 権 を 売 却 していな いときでも 通 常 売 却 を 前 提 とした 会 計 処 理 を 行 うことが 適 当 である この 例 として は 次 のような 場 合 が 考 えられる 1 満 期 保 有 目 的 の 債 券 を 自 己 信 託 した 場 合 (この 場 合 には 保 有 目 的 の 変 更 があ ったものとして 取 り 扱 う( 金 融 商 品 会 計 実 務 指 針 第 83 項 ) ) 2 固 定 資 産 を 自 己 信 託 した 場 合 (この 場 合 には 固 定 資 産 の 減 損 に 係 る 会 計 基 準 を 適 用 するにあたり 他 の 資 産 又 は 資 産 グループのキャッシュ フローから 概 ね 独 立 したキャッシュ フローを 生 み 出 す 最 小 の 単 位 として 取 り 扱 う( 企 業 会 計 基 準 適 用 指 針 第 6 号 固 定 資 産 の 減 損 に 係 る 会 計 基 準 の 適 用 指 針 第 8 項 ) ) 2 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 による 受 益 権 の 売 却 時 及 び 期 末 時 の 会 計 処 理 (1) 原 則 的 な 取 扱 い 18 自 己 信 託 についても 委 託 者 兼 受 託 者 が 自 ら 当 初 受 益 者 となるもの(いわゆる 自 益 信 託 )と 委 託 者 兼 受 託 者 以 外 の 第 三 者 が 当 初 受 益 者 となるもの(いわゆる 他 益 信 託 )とがあるが ここでは 前 者 のみを 取 り 上 げている - 12 -
受 益 権 が 売 却 された 場 合 金 銭 以 外 の 信 託 の 受 益 者 は 信 託 財 産 を 直 接 保 有 して いたものとみて 消 滅 の 認 識 ( 又 は 売 却 処 理 )( 金 融 商 品 会 計 基 準 第 9 項 並 びに 不 動 産 流 動 化 実 務 指 針 第 19 項 及 び 第 20 項 )の 要 否 を 判 断 する(Q3 のA2 参 照 ) また 期 末 時 に 金 銭 以 外 の 信 託 の 受 益 者 は 信 託 財 産 を 直 接 保 有 する 場 合 と 同 様 に 会 計 処 理 することとなるため 総 額 法 によることとなり(Q3 のA3(1) 参 照 ) 金 銭 の 信 託 の 受 益 者 は 他 者 に 信 託 した 通 常 の 信 託 と 同 様 に 会 計 処 理 することとな る(Q1 のA2 及 びQ5 のA3 参 照 ) (2) 受 益 権 が 質 的 に 異 なるものに 分 割 されている 場 合 や 受 益 者 が 多 数 となる 場 合 の 取 扱 い 自 己 信 託 が 質 的 に 異 なる 受 益 権 の 一 部 の 譲 渡 等 により 受 益 者 が 複 数 となる 場 合 又 は 受 益 権 の 譲 渡 等 により 受 益 者 が 多 数 となる 場 合 において 受 益 権 が 売 却 された ときは 信 託 財 産 を 直 接 保 有 していたものとみて 消 滅 の 認 識 ( 又 は 売 却 処 理 )( 金 融 商 品 会 計 基 準 第 9 項 及 び 不 動 産 流 動 化 実 務 指 針 第 19 項 から 第 21 項 )の 要 否 を 判 断 する(Q3 のA2 参 照 ) また 期 末 時 に 受 益 権 は 原 則 として 当 該 信 託 に 対 する 有 価 証 券 の 保 有 とみな して 処 理 されることとなる(Q3 のA3(2) 参 照 ) 連 結 財 務 諸 表 上 当 該 信 託 を 子 会 社 又 は 関 連 会 社 として 取 り 扱 うかどうかについては Q2 のA3 に 準 じることと なる (3) 自 己 信 託 の 信 託 財 産 及 び 受 益 権 の 注 記 自 己 信 託 においては 委 託 者 兼 受 託 者 が 自 己 の 固 有 財 産 として 受 益 権 の 一 部 又 は 全 部 を 保 有 していることから 自 己 の 貸 借 対 照 表 に 計 上 されることとなる 自 己 信 託 の 信 託 財 産 に 属 する 財 産 について 追 加 情 報 として その 貸 借 対 照 表 計 上 額 及 び 自 らが 委 託 者 兼 受 託 者 である 自 己 信 託 の 信 託 財 産 に 属 する 旨 の 注 記 を 行 うことが 適 当 である また 受 益 権 が 質 的 に 異 なるものに 分 割 されている 場 合 や 受 益 者 が 多 数 となる 場 合 において 委 託 者 兼 受 託 者 が 受 益 権 の 一 部 を 保 有 している 受 益 権 についても 追 加 情 報 として その 貸 借 対 照 表 計 上 額 及 び 自 らが 委 託 者 兼 受 託 者 である 自 己 信 託 の 受 益 権 である 旨 の 注 記 を 行 うことが 適 当 である 3 他 から 受 益 権 を 譲 り 受 けた 受 益 者 の 会 計 処 理 (1) 原 則 的 な 取 扱 い 受 益 者 は 信 託 財 産 を 直 接 保 有 する 場 合 と 同 様 の 会 計 処 理 を 行 う(Q3 のA1 参 照 ) このため 受 益 権 を 取 得 したときは 信 託 財 産 を 直 接 取 得 したものとみて 会 計 処 理 を 行 い 受 益 権 をさらに 売 却 したときには 信 託 財 産 を 直 接 保 有 していたも - 13 -
のとみて 消 滅 の 認 識 ( 又 は 売 却 処 理 )( 金 融 商 品 会 計 基 準 第 9 項 並 びに 不 動 産 流 動 化 実 務 指 針 第 19 項 及 び 第 20 項 )の 要 否 を 判 断 する また 期 末 時 に 金 銭 以 外 の 信 託 の 受 益 者 は 信 託 財 産 を 直 接 保 有 する 場 合 と 同 様 に 会 計 処 理 することとなるため 総 額 法 によることとなり(Q3 のA4(1) 参 照 ) 金 銭 の 信 託 の 受 益 者 は 他 者 に 信 託 した 通 常 の 信 託 と 同 様 に 会 計 処 理 することとな る(Q1 のA2 及 びQ5 のA3 参 照 ) (2) 当 該 信 託 に 係 る 受 益 権 が 質 的 に 異 なるものに 分 割 されている 場 合 や 受 益 者 が 多 数 となる 場 合 の 取 扱 い この 場 合 各 受 益 者 は 信 託 財 産 を 直 接 保 有 するものとみなして 会 計 処 理 を 行 う ことは 困 難 であることから 受 益 権 を 当 該 信 託 に 対 する 有 価 証 券 とみなして 処 理 す ることとなる このため 当 該 受 益 権 を 取 得 したときは 有 価 証 券 の 取 得 とみなし て 処 理 し 受 益 権 をさらに 売 却 したときには 有 価 証 券 の 売 却 とみなして 売 却 処 理 を 行 うかどうか 判 断 することとなる(Q3 のA4(2) 参 照 ) 期 末 時 においては 受 益 権 を 当 該 信 託 に 対 する 有 価 証 券 の 保 有 とみなして 処 理 す ることとなる また 連 結 財 務 諸 表 上 当 該 信 託 を 子 会 社 又 は 関 連 会 社 として 取 り 扱 うかどうかについては Q2 のA3 に 準 じることとなる(Q3 のA4(2) 参 照 ) 受 託 者 の 会 計 処 理 Q8 受 託 者 は どのように 会 計 処 理 するか A 新 信 託 法 において 信 託 の 会 計 は 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 会 計 の 慣 行 に 従 うも のとする( 第 13 条 )とされている これまで 信 託 は 財 産 の 管 理 又 は 処 分 のための 法 制 度 であり これを 適 切 に 反 映 するために その 会 計 は 主 に 信 託 契 約 など 信 託 行 為 の 定 19 め 等 に 基 づいて 行 われてきたと 考 えられる むろん 信 託 の 会 計 を 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 基 準 に 準 じて 行 うことも 妨 げられないものの 新 信 託 法 においても 信 託 は 財 産 の 管 理 又 は 処 分 の 制 度 であるというこれまでの 特 徴 を 有 しているため 今 後 も これまでと 同 様 に 明 らかに 不 合 理 であると 認 められる 場 合 を 除 き 信 託 の 会 計 は 信 託 行 為 の 定 め 等 に 基 づいて 行 うことが 考 えられる 20 ただし 次 のような 信 託 については 債 権 者 が 存 在 したり 現 在 の 受 益 者 以 外 の 者 が 受 益 者 になることが 想 定 されたりするなど 多 様 に 利 用 される 信 託 の 中 で 利 害 関 係 者 に 対 する 財 務 報 告 をより 重 視 する 必 要 性 があると 考 えられるため 当 該 信 託 の 会 計 について 19 これには 信 託 行 為 の 定 めにはないものの これまで 定 着 している 信 託 会 計 の 慣 行 も 含 まれる このような 取 扱 いは 信 託 は 財 産 の 管 理 又 は 処 分 のための 法 制 度 であるため その 会 計 は 分 配 可 能 な 財 産 を 明 らかにする 必 要 があるという 考 え 方 を 踏 まえたものと 考 えられる 20 なお 信 託 の 会 計 は 信 託 財 産 に 係 る 帳 簿 等 の 作 成 義 務 を 負 う 受 託 者 によって 行 われるが 信 託 財 産 は 受 託 者 の 分 別 管 理 義 務 などにより 法 的 に 独 立 性 が 認 められるため 受 託 者 の 固 有 財 産 に 係 る 会 計 とは 区 別 されている - 14 -
は 株 式 会 社 の 会 計 ( 会 社 法 第 431 条 )や 持 分 会 社 の 会 計 ( 会 社 法 第 614 条 )に 準 じて 行 うことが 考 えられる この 場 合 には 原 則 として 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 基 準 21 に 準 じて 行 うこととなる (1) 新 信 託 法 第 216 条 に 基 づく 限 定 責 任 信 託 (2) 受 益 者 が 多 数 となる 信 託 (この 点 については Q3 のA3(2)2を 参 照 のこと ) 22 なお 受 託 者 が 信 託 行 為 の 定 めに 基 づくなど 財 産 管 理 のための 信 託 の 会 計 を 行 ってい ても 受 益 者 の 会 計 処 理 は 原 則 として 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 基 準 に 基 づいて 行 うことに 留 意 する 必 要 がある 23 適 用 時 期 等 24 本 実 務 対 応 報 告 は 新 信 託 法 の 施 行 日 以 後 にその 効 力 が 生 じた 信 託 及 びそれより 前 に 効 力 が 生 じた 信 託 であって 信 託 の 変 更 により 新 信 託 法 の 規 定 の 適 用 を 受 ける 信 託 ( 信 託 法 の 施 行 に 伴 う 関 係 法 律 の 整 備 等 に 関 する 法 律 第 3 条 )について 適 用 する ただし 受 益 者 は 新 信 託 法 の 施 行 日 前 に 効 力 が 生 じ なお 従 前 の 例 によるとされてい る 信 託 ( 旧 法 信 託 )( 信 託 法 の 施 行 に 伴 う 関 係 法 律 の 整 備 等 に 関 する 法 律 第 2 条 第 30 条 第 1 項 及 び 第 56 条 第 1 項 )についても 本 実 務 対 応 報 告 を 適 用 することができる この 場 合 には すべての 旧 法 信 託 について 本 実 務 対 応 報 告 を 適 用 し 本 実 務 対 応 報 告 によ 21 ただし 特 定 信 託 財 産 について 作 成 すべき 財 務 諸 表 の 用 語 様 式 及 び 作 成 方 法 については 特 定 目 的 信 託 財 産 の 計 算 に 関 する 規 則 又 は 投 資 信 託 財 産 の 計 算 に 関 する 規 則 によることとな る( 財 務 諸 表 等 の 用 語 様 式 及 び 作 成 方 法 に 関 する 規 則 第 2 条 の 2) 同 様 に ある 信 託 に 関 して 法 令 等 により 作 成 すべき 財 務 諸 表 の 用 語 様 式 及 び 作 成 方 法 についての 定 めが 設 けられ る 場 合 には 当 該 法 令 等 の 定 めによることとなると 考 えられる 22 この 信 託 には 受 益 権 の 分 割 や 譲 渡 が 有 価 証 券 の 募 集 ( 金 融 商 品 取 引 法 第 2 条 第 3 項 ) 又 は 売 出 し( 金 融 商 品 取 引 法 第 2 条 第 4 項 )にあたる 場 合 の 信 託 や 受 益 証 券 発 行 信 託 ( 新 信 託 法 第 185 条 )が 該 当 する(ただし 当 初 から 譲 渡 の 制 限 がある 場 合 には 現 在 の 受 益 者 以 外 の 者 が 受 益 者 になることは 想 定 され 難 いため 受 益 者 が 多 数 となる 信 託 には 含 まれないものと 考 えられる ) なお 会 計 監 査 人 設 置 信 託 ( 新 信 託 法 第 248 条 )の 会 計 については 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められ る 企 業 会 計 の 基 準 に 準 じて 行 うこととなる 23 自 己 信 託 においても 基 本 的 には 他 者 に 信 託 した 通 常 の 信 託 と 相 違 はなく したがって 受 託 者 が 信 託 行 為 の 定 めに 基 づくなど 財 産 管 理 のための 信 託 の 会 計 を 行 っていても 受 益 者 の 会 計 処 理 は 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 基 準 に 基 づいて 行 うこととなる なお 委 託 者 兼 当 初 受 益 者 が 受 託 者 になる 自 己 信 託 においては 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 基 準 に 基 づいて 行 った 当 該 信 託 の 会 計 を 当 初 受 益 者 の 会 計 処 理 として 取 り 込 む 場 合 実 務 上 自 己 信 託 の 受 託 者 として 行 う 信 託 の 会 計 についても 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 基 準 に 基 づいて 行 うことが 考 えられる 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 基 準 に 基 づいて 行 った 当 該 信 託 の 会 計 を 当 初 受 益 者 の 会 計 処 理 として 取 り 込 む 場 合 としては 自 己 信 託 の 当 初 受 益 者 が 1 信 託 財 産 を 直 接 保 有 するのと 同 様 の 評 価 を 行 うときや 2 信 託 を 連 結 財 務 諸 表 上 子 会 社 又 は 関 連 会 社 として 取 り 扱 うときが 該 当 する 24 新 信 託 法 は 公 布 日 から 起 算 して 1 年 6 ヶ 月 を 超 えない 範 囲 内 において 政 令 で 定 める 日 から 施 行 され( 附 則 第 1 項 ) 自 己 信 託 については 新 信 託 法 の 施 行 日 から 起 算 して 1 年 を 経 過 する 日 までの 間 は 適 用 しない( 附 則 第 2 項 )とされている - 15 -
る 取 扱 いを 適 用 することとなる 最 初 の 事 業 年 度 において これまで 行 ってきた 会 計 処 理 と 異 なることとなるときには これまでの 会 計 処 理 が 明 らかに 不 合 理 であると 認 められる 場 合 を 除 き 会 計 基 準 の 変 更 に 伴 う 会 計 方 針 の 変 更 として 取 り 扱 うことに 留 意 する 必 要 があ る 議 決 本 実 務 対 応 報 告 は 第 133 回 企 業 会 計 基 準 委 員 会 に 出 席 した 委 員 9 名 全 員 の 賛 成 により 承 認 された 以 上 - 16 -