第 8 回 モノ モノづくり 応 援 隊 in 大 田 区 経 営 と IT の 両 面 に 精 通 した IT コーディネータが 大 田 区 の 中 小 製 造 業 をサポート 文 奥 山 睦 IT コーディネータの 役 割 とは? IT コーディネータ( 以 下 ITC)とは 経 営 と IT の 両 面 に 精 通 し 企 業 経 営 に 最 適 な IT 投 資 を 支 援 推 進 することができるプロフェッショナル のことだ 1999 年 6 月 通 商 産 業 省 ( 現 経 済 産 業 省 ) 産 業 構 造 審 議 会 情 報 産 業 部 会 情 報 化 人 材 対 策 小 委 員 会 の 中 間 報 告 で 戦 略 的 情 報 化 投 資 による 経 済 再 生 を 支 える 人 材 育 成 が 提 言 されたが その 内 容 は 経 済 再 生 を 目 的 とし た IT 系 の 人 材 育 成 を 推 進 させるというものだった 特 に 日 本 の 産 業 構 造 の 中 核 をなす 中 小 中 堅 企 業 における 情 報 化 対 策 の 遅 れが 課 題 とされた 経 営 者 の IT の 知 識 や 認 識 不 足 だけでなく その 経 営 者 を IT の 視 点 から 支 援 できる 人 材 そのものが 不 足 している つまり 必 要 なのは IT 技 術 だけではなく 経 営 的 な 観 点 も 持 ち 合 わせて 戦 略 的 に IT 化 を 押 し 進 められる 人 材 だ その 実 現 を 図 るための 専 門 家 が 経 営 と IT の 両 面 に 精 通 した ITC という 位 置 づけなのである そして NPO 法 人 IT コーディネータ 協 会 が 経 済 産 業 省 の 推 進 資 格 である ITC の 育 成 認 定 普 及 啓 蒙 活 動 を 行 なっている モノ モノづくり 応 援 隊 in 大 田 区 設 立 経 緯 2005 年 10 月 21 日 22 日 ITC の 全 国 大 会 である ITC カンファレンス 2005 が 大 田 区 産 業 プラザで 開 催 された 入 場 者 は 両 日 で 約 1,600 人 そのカンファレンス 開 催 をきっかけに 2005 年 8 月 に 15 名 の 公 募 による ITC によって 立 ち 上 げたのが モノづくり 応 援 隊 in 大 田 区 だ 大 田 区 の 製 造 業 を IT 活 用 によって 経 営 革 新 を 図 れるようにサポートしていこうという 取 り 組
みであり 昨 年 のカンファレンスでその 活 動 内 容 が 報 告 され 現 在 も 継 続 してサポートを 行 なっ ている 大 田 区 内 のものづくりに 携 わっている 中 小 企 業 の 120~130 社 に 電 話 やメール メールでご 連 絡 をし たと 思 います そのうち 訪 問 させていただいたのが 34 社 です と IT コーディネータ 協 会 事 務 局 の 前 田 幸 穂 氏 は 語 る 実 際 に 訪 問 できたのは 連 絡 した 企 業 のわずか 1/4 である 想 像 以 上 に 大 田 区 の 中 小 企 業 に IT コーディネータの 知 名 度 が 低 いことや IT そのものに 対 する 拒 絶 反 応 が 強 いことも 実 感 したという IT コーディネータ 協 会 前 田 幸 穂 氏 ご 連 絡 させていただいた 経 営 者 の 方 々のほとんどは のほとんどは IT という 言 葉 で ベンダー ベンダーがパソコン を 売 りにくるのではと 警 戒 されたようで まずは 拒 絶 されましたね いきなり 電 話 を 切 られたりし たこともありました IT IT と 騒 がれた 割 には 自 分 たちの 経 営 にはたいして 役 に 立 ってこなかった という 思 いも あるのかもしれません ですから ですから まずは まずは 経 営 をみんなで 見 直 しましょう とご 提 案 させていた だきました 最 初 は 半 信 半 疑 だったようですが 2 回 3 回 と 面 談 させていただくうちに だくうちに それだ ったら 一 緒 にやってみよう というふうになりました というふうになりました IT コーディネータ という 名 前 からくるイメ ージが ひとり 歩 きしているのかもしれませんね IT バブル 期 の 1997 年 前 後 に IT が 必 要 だから 導 入 しましょう とベンダーに 言 われるがまま に 必 要 もない 高 価 な 機 器 を 揃 え 成 果 が 出 ないまま 宝 の 持 ち 腐 れになってしまったという 中 小
企 業 の 例 も 少 なくない だからこそ この 地 域 に 根 付 いてしまった 悪 しき IT のイメージを 払 拭 す るところからスタートしたのである まさに 草 の 根 活 動 である 大 田 区 は 日 本 の 中 小 企 業 のモデ モデルケース なぜ ITC が 大 田 区 の 中 小 企 業 をターゲットにしたのだろうか 当 初 からカンファレンス カンファレンスに 向 けた 一 時 的 なプロジェクト プロジェクトではなく ではなく 1 年 後 2 年 後 を 見 据 えた 経 営 計 画 の 提 案 を 目 指 していました 日 本 のものづくりの 拠 点 である 大 田 区 中 小 企 業 の 経 営 者 の 皆 様 に 信 頼 され その 経 営 改 善 に 向 けてさまざまな 区 内 の 団 体 と 一 緒 になって 息 の 長 い 活 動 にしていきたいと 思 っています 中 小 企 業 が 集 積 する 代 表 的 な 町 である 大 田 区 優 れた 技 術 や 独 自 の 経 営 ポリシーを 持 ち とても 魅 力 的 な 経 営 者 が 多 い 一 方 閉 鎖 的 で 昔 ながらの 職 人 気 質 の 経 営 者 も 多 い 2 代 目 3 代 目 は そこをどう 破 って 事 業 継 承 し 発 展 させるか という 新 たな 課 題 も 抱 えている そういう 課 題 が 山 積 しているからこそ 大 田 区 でのプロジェクトに 意 味 があるのだろう 今 年 のカンファレンス カンファレンスでは では 大 田 区 の 中 小 企 業 を 支 援 している 方 たちに 広 く 声 をかけ 後 継 者 問 題 など 若 い 方 たちが 興 味 を 持 つテーマ テーマでワークショップ ワークショップをやろうと 思 っています 2 代 目 が 継 いだ 中 小 企 業 の 多 くは 技 術 者 が 高 齢 化 していて その 後 継 問 題 に 頭 を 悩 ませています 日 本 中 のどこの 中 小 企 業 にとっても 同 じ 問 題 なんです カンファレンスは 今 年 も 大 田 区 産 業 プラザで 10 月 13 日 14 日 の 両 日 開 催 される 14 日 に は 昨 年 の モノづくり 応 援 隊 in 大 田 区 に 参 加 した 企 業 が より 発 展 していくためにはどうしたら よいかを 深 耕 するワークショップも 企 画 しているという 今 大 田 区 で 重 要 な 課 題 のひとつとなっているのが 後 継 者 問 題 だ 今 まで 核 となっていた 経 営 者 の 高 齢 化 そして 将 来 性 という 理 由 から 2 代 目 がいても 後 を 継 がないというケースが 表 面 化 しつつある そこに 少 子 化 問 題 も 拍 車 をかける 売 り 手 市 場 のために 地 元 の 都 立 工 業 高
等 専 門 学 校 の 生 徒 が 地 元 の 中 小 企 業 に 就 職 をせず 大 企 業 に 流 れていくというのが 現 実 だ だからこそ 中 小 企 業 とさまざまな 区 内 の 支 援 団 体 が 連 携 しながら 若 年 層 のキャリア 教 育 に も 力 を 入 れていかなければならない ITC としてもそういうことを 認 識 した 上 でやっていかなければいけないし ワークショップ ワークショップで 関 係 者 が 一 同 に 集 まって 真 剣 にこの 地 域 のものづくりをどうしていくのかという 議 論 をし ひとつで もヒント ヒントを 得 られる 機 会 になれば と 思 っています ITC には*ファシリテータ ファシリテータという 能 力 も 必 要 で す 今 回 は ITC がそのファシリテータ 能 力 を 試 されるワークショップ ワークショップにもなるでしょう にもなるでしょう *ファシ ファシリテータ リテータ(facilitatr) 直 訳 すると 簡 単 にすること 困 難 でなくすること 一 般 的 にはプロジェクトなどにおいて 会 議 運 営 をサポートする 専 門 家 のことをいう ファシリテータには 話 す 聞 く( 聴 く) 解 説 ( 説 明 )する 質 問 する 要 約 する など のコミュニケーションスキルが 基 本 的 なスキルとして 必 要 とされる また 議 事 をうまく 進 行 するためには 相 手 に 上 手 く 話 をさせるためのうなづきなどのノンバーバル( 非 言 語 )コミュニケーション 能 力 や 合 意 形 成 などを 促 進 させる コーディネーション( 調 整 ) 能 力 も 必 要 とされる IT 推 進 アドバイザー 派 遣 制 度 とは? では 実 際 に 中 小 企 業 が ITC にサポートをしてもらいたいという 場 合 は どういう 制 度 があり どこに 申 し 込 めばよいのだろうか IT 推 進 アドバイザー 派 遣 事 業 というものがあります というものがあります 1つの 企 業 につき 45,000 円 の 約 2/3 の 補 助 金 がつくので 受 益 者 は 1 回 7 時 間 目 安 でアドバイザー アドバイザーひとりにつき ひとりにつき 15,000 円 の 負 担 になります この 7 時 間 は 分 割 ではなく 丸 1 日 通 しで 1 回 としてカウント カウントします します 希 望 により 複 数 回 の 派 遣 も 可 能 です 中 小 企 業 基 盤 整 備 機 構 と 連 携 して 行 なっている 事 業 なので そちらに 申 し 込 んでいただくか 直 接 IT コーディネータ 協 会 に 申 し 込 んでいただいても 構 いません 全 国 には 6,500 人 の ITC がいます そのうちこの 制 度 の 実 働 部 隊 が1,000 人 以 上 いて 1 人 が 年 間 10 件 行 なえば 1 万 件 になるし 100 件 やれば 10 万 件 になる そういう そういうダイナミック な 運 動 にしていく 必 要 がありますね
忙 しくて 経 営 改 善 を 考 える 余 裕 がない 自 分 の 会 社 の 中 身 を 話 したくない そんな 中 小 企 業 が 多 いという それによって どこかでチャンスをなくしていたり 問 題 を 起 こしていたりする 場 合 もある そんな 状 況 を 見 ていると たまらなく 歯 がゆいと 前 田 氏 はいう ITC は そんな 経 営 者 に 対 して 経 営 改 善 の 必 要 性 に 気 づいて 頂 くことが 必 要 です だから だから いわゆるIT ITありき ありき という 話 ではなく 経 営 者 の 声 に 耳 を 傾 け 人 間 的 なものまで 理 解 した 上 で 一 緒 に 経 営 課 題 を 解 決 していきましょうと 提 示 する 必 要 があるんです どんなにツールが 発 達 しても 人 を 動 かすのは やはり 人 なのである モノ モノづくり 応 援 隊 in 大 田 区 における におけるサポート 事 例 大 洋 機 械 株 式 会 社 当 初 は 社 内 業 務 の 仕 組 みをどう 構 築 するべきかを 試 行 錯 誤 している 段 階 だった ITC の 継 続 したサポートによって 受 発 注 工 程 外 注 などの 管 理 システムを 構 築 した 有 限 会 社 安 久 工 機
ホームページのリニューアルを 考 えていたときに アクセサビリティーと 検 索 キーワードについてアドバイスをした その 結 果 ヒット 率 も 高 くなり 新 規 の 受 注 にもつながった その 後 検 索 連 動 型 広 告 やSEO 対 策 を 実 行 して 毎 月 新 規 の 発 注 がくるようになった 有 限 会 社 大 森 精 工 2 代 目 社 長 として 意 欲 にあふれていたため 経 営 戦 略 の 策 定 から 新 規 製 品 の 販 売 戦 略 既 製 品 の 生 産 管 理 プロセスの 改 革 までサポートし た 現 在 は 新 規 製 品 の 新 規 販 路 の 販 売 準 備 とASP 型 受 発 注 システ ムの 導 入 段 階 に 入 っている フィーサ 株 式 会 社 新 しい 製 品 を 製 造 販 売 する 会 社 を 前 社 長 斎 藤 敏 男 氏 が 設 立 したとき に ITC が 全 面 的 に IT 導 入 と 経 営 面 をサポートし 現 在 も 継 続 して 行 な っている
有 限 会 社 松 浦 製 作 所 2 代 目 として 事 業 継 承 したばかりの 時 期 に 出 会 った これから 何 から 手 を 付 けようか と 思 案 していた 矢 先 だったので 経 営 課 題 の 整 理 を 行 ない 今 後 の 経 営 戦 略 などをアドバイスした ティヴィバルブ 株 式 会 社 経 営 課 題 をヒアリングし アドバイスをした 結 果 社 内 に 経 営 改 革 チー ムができあがり 1 年 間 取 り 組 んでみて 成 果 を 出 すように 試 行 中 であ る 著 者 奥 山 睦 プロフィール 出 版 物 Web サイトの 企 画 制 作 を 主 とする 株 式 会 社 ウイル 代 表 取 締 役 大 田 女 性 企 業 家 ネットワーク TES の 有 志 で 作 った IT コンサルタント 会 社 株 式 会 社 イーテスの 設 立 メ ンバー
( 独 ) 中 小 企 業 基 盤 整 備 機 構 経 営 支 援 アドバイザー ( 財 ) 社 会 経 済 生 産 性 本 部 認 定 キャリア コンサル タント 2004 年 長 年 の 区 政 発 展 の 寄 与 により 大 田 区 から 特 別 功 労 者 として 表 彰 された 著 書 に メイド イン 大 田 区 (サイビズ) 在 宅 ワークハンドブック (21 世 紀 職 業 財 団 ) SOHO 受 発 注 トラブル 事 例 集 ( 社 会 経 済 生 産 性 本 部 ) 等 大 田 区 スタイル 記 事 一 覧 第 1 回 第 3 セクターの 失 敗 から 民 連 携 の IT 化 支 援 ビジネスへ 第 2 回 出 前 型 IT 講 習 とは? 第 3 回 大 田 区 製 造 業 者 の 横 顔 (1) 事 例 1 株 式 会 社 サヤカ~IT 導 入 で 情 報 の 共 有 化 を 図 り 風 通 しのよい 組 織 を 作 る 事 例 2 日 進 精 機 株 式 会 社 ~ 大 田 区 の DNA を 世 界 に 広 げる 超 精 密 金 型 加 工 企 業 第 4 回 タイに 日 本 初 の 自 治 体 支 援 による 海 外 集 合 工 場 オオタ テクノ パーク 完 成! 第 5 回 大 田 区 製 造 業 者 の 横 顔 (2) 二 代 目 経 営 者 たちが 語 る 次 世 代 経 営 手 法 第 6 回 優 れた 機 械 工 業 の 技 術 の 集 積 を 象 徴 する 大 田 ブランド がスタート! 第 7 回 大 田 区 製 造 業 所 の 横 顔 (3) 事 例 1 株 式 会 社 大 橋 製 作 所 ~ 情 報 を 整 理 し 精 査 することによって 目 標 を 達 成 し 人 を 育 てる 事 例 2 株 式 会 社 アイオイ システム~コンピュータシステムを 駆 使 して 発 想 し 続 けるメーカー 第 8 回 モノづくり 応 援 隊 in 大 田 区 経 営 と IT の 両 面 に 精 通 した IT コーディネータが 大 田 区 の 中 小 製 造 業 をサポート 第 9 回 大 田 区 製 造 業 者 の 横 顔 (4) 事 例 1 情 報 漏 洩 防 止 プライバシー 保 護 のための 最 先 端 製 品 を 開 発 株 式 会 社 SKR テクノロ ジー 事 例 2 製 造 業 のイメージを 変 える ものづくりニューウェーブ の 旗 手 株 式 会 社 マテリアル 第 10 回 中 小 企 業 の 連 携 をキーワードにした 施 策 活 用 オオタコレクションネットワーク 第 11 回 空 に 夢 を 馳 せる 産 官 学 連 携 を 担 う NPO 大 田 ビジネス 創 造 協 議 会 第 12 回 中 学 生 の 職 場 体 験 を 地 域 ぐるみでサポート 大 田 区 の 中 学 生 職 場 体 験 を 支 援 する 会