財 政 再 建 は 待 ったなし ~ 次 世 代 にツケを 残 すな~ 201 5 年 1 月 21 日 公 益 社 団 法 人 経 済 同 友 会
目 次 提 言 のポイント 1 Ⅰ. 財 政 の 現 状 2 Ⅱ. 財 政 再 建 の 先 送 りが もはや 許 される 状 況 ではない 8 Ⅲ. 国 民 の 深 い 理 解 をどう 確 保 していくか 12 Ⅳ. 財 政 再 建 先 送 り 論 への 反 論 14 Ⅴ. 財 政 の 将 来 試 算 20 Ⅵ. 抜 本 的 な 改 革 に 必 要 な 視 点 - 絶 対 に 取 り 組 むべきこと- 22 Ⅶ.おわりに - 財 政 再 建 は 喫 緊 の 課 題 であり 次 世 代 にツケを 残 してはならない- 26 2014 年 度 財 政 税 制 改 革 委 員 会 委 員 名 簿 27
提 言 のポイント (1) 財 政 再 建 のためには 国 民 の 理 解 促 進 と 認 識 のズレを 埋 めることが 必 要 財 政 問 題 に 対 する 国 民 の 理 解 は 不 十 分 しかし 国 民 の 深 い 理 解 こそが 財 政 再 建 を 果 たす 上 での 最 重 要 ポイント (2)このままでは 破 滅 的 な 未 来 を 迎 えることに! 動 態 的 試 算 (2015 年 度 203 0 年 度 )による 考 察 足 下 放 漫 財 政 と 改 革 先 送 りで 1,000 兆 円 超 の 債 務 残 高 と 毎 年 40 兆 円 の 赤 字 財 政 の 信 認 喪 失 は 突 然 の 財 政 破 綻 を 引 き 起 こし 国 民 生 活 に 壊 滅 的 な 影 響 本 提 言 では4つの 前 提 に 基 づき 将 来 試 算 を 実 施 以 下 で 示 す 数 値 は そのうち 現 状 延 長 のシナリオ(C)に 基 づく 結 果 - 生 産 年 齢 人 口 は 減 少 ( 12%) 債 務 残 高 は 増 加 (+ 42%) 一 人 当 たり 負 担 は 更 に 増 加 (+61%) (201 5 年 度 約 1,3 20 万 円 202 0 年 度 約 1,55 0 万 円 203 0 年 度 約 2,130 万 円 ) - 債 務 残 高 対 GDP 比 は 上 昇 し 財 政 発 散 へ ( 201 5 年 度 205% 202 0 年 度 219% 2030 年 度 250%) (3) 中 福 祉 低 負 担 をいかにして 是 正 していくか 世 界 標 準 の 中 で 率 直 に 言 って 日 本 は 中 福 祉 低 負 担 - 一 方 で 国 民 は 税 は 重 く 福 祉 は 大 したことないという 意 識 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 めるためには 福 祉 と 負 担 をバランスさせる 必 要 - 加 えて 社 会 保 障 関 係 費 は 一 般 会 計 予 算 において 政 策 経 費 を 圧 迫 ( 財 政 の 硬 直 化 ) 現 在 の 福 祉 水 準 から 大 きく 低 下 させないのであれば 中 福 祉 中 負 担 が 妥 当 (4) 絶 対 に 取 り 組 むべきこと ツケは 最 終 的 に 将 来 を 担 う 若 者 が 払 うこととなる 現 在 の 国 民 全 体 が 負 担 すべき - これまで 当 会 が 主 張 してきた 国 会 議 員 の 定 数 削 減 を 始 め 政 治 企 業 国 民 は 適 切 な 負 担 を 分 かち 合 う 姿 勢 を 示 すことが 肝 要 財 政 規 律 維 持 に 資 する 法 的 拘 束 力 のある 仕 組 み 並 びに 直 ちに 取 り 組 むべき 施 策 として 消 費 税 率 の 引 き 上 げ 社 会 保 障 分 野 の 給 付 抑 制 利 用 者 負 担 増 を 提 示 1
Ⅰ. 財 政 の 現 状 (1)ここまで 来 た 日 本 の 財 政 わが 国 の 財 政 はわずか 数 十 年 で ここまで 悪 化 をしてしまった バブル 崩 壊 以 降 の 度 重 なる 大 規 模 財 政 政 策 の 実 施 や 急 速 な 少 子 高 齢 化 の 進 展 に 伴 う 社 会 保 障 支 出 の 増 大 によって 赤 字 が 常 態 化 し 解 決 の 糸 口 すら 見 えない 状 況 である 債 務 残 高 は 毎 年 増 加 を 続 け 既 に 1,10 0 兆 円 を 超 えている( 図 表 1) 経 済 規 模 との 比 較 においても 名 目 GDP 比 で 232%と 先 進 国 最 悪 の 水 準 にある( 図 表 2) これは 財 政 破 綻 当 時 (201 0 年 )のギリシャが 同 148%であったことを 考 えると 驚 愕 すべき 数 字 である また 単 年 度 の 収 支 で 見 た 場 合 税 収 50 兆 円 は 歳 出 規 模 95 兆 円 の 約 半 分 に 過 ぎず 不 足 分 については 大 部 分 を 特 例 公 債 ( 赤 字 国 債 )の 発 行 に 依 存 する 状 況 にある つまり は 身 の 丈 にあった 歳 出 入 の 構 造 となっていないといえる( 図 表 3) 現 在 の 歴 史 的 低 金 利 局 面 においても 国 債 利 払 費 は 増 嵩 し また 債 務 償 還 費 等 を 合 わせた 国 債 費 全 体 は 歳 出 の4 分 の1を 占 めており 金 利 上 昇 に 対 して 極 めて 脆 弱 である その 結 果 毎 年 40 兆 円 という 名 目 GDPの8%に 相 当 する 規 模 の 赤 字 が 新 たに 生 み 出 さ れている 海 外 の 事 例 として EUは 加 盟 国 に 債 務 残 高 を 名 目 GDPの 60% 以 下 単 年 度 の 財 政 赤 字 を 同 3% 以 下 とすることを 求 めており これと 比 較 するとわが 国 の 圧 倒 的 な 水 準 は 突 出 している (2) 目 指 す 国 の 形 と そこにおける 税 財 政 の 持 続 性 そもそも 日 本 の 税 と 財 政 の 関 係 はどうなっているのか 世 界 における 位 置 付 けを 俯 瞰 してみると わが 国 の 税 収 が GDPに 占 める 割 合 は 最 低 である 一 方 で 社 会 保 障 支 出 に ついては 中 位 グループに 位 置 しており 社 会 保 障 以 外 の 支 出 が GDPに 占 める 割 合 は 最 下 位 という 歪 な 関 係 となっている( 図 表 4) 率 直 に 言 って 税 の 観 点 からは 中 福 祉 低 負 担 という 分 類 になろうが この 歪 な 状 況 をどう 是 正 するか それは 目 指 す 国 の 形 と そこにおける 税 財 政 をどう 設 計 するかという 問 題 である 中 福 祉 中 負 担 なのか 低 福 祉 低 負 担 なのか それによって 自 ずから 税 や 歳 出 に 対 する 方 向 性 も 見 えてくる 現 在 の 福 祉 水 準 を 大 きく 損 わず 維 持 するということが 最 大 の 目 的 であれば 中 福 祉 中 負 担 (= 増 税 社 会 保 険 料 負 担 増 ) を 目 指 すのが 妥 当 ということになる ただ 国 民 感 情 としては 現 在 の 状 況 について 福 祉 は 不 十 分 で 税 金 と 保 険 料 だけが 高 いとい う 意 識 があるのではないだろうか このような 税 財 政 における 真 の 実 態 と 国 民 の 意 識 の 間 のパーセプションギャップを 埋 めていくことが 財 政 の 抜 本 改 革 に 必 要 であり それには 力 強 い 政 治 のリーダーシッ プが 欠 かせない 2
( 兆 円 ) 1,200 図 表 1: 一 般 政 府 総 債 務 残 高 の 推 移 1,163 図 表 2: 債 務 残 高 の 国 際 比 較 ( 対 GDP 比 ) 1,000 800 600 400 200 19891911931995199719920012003200520720920112013 ( 注 )1989~93 年 度 は2000 年 基 準 194~2012 年 度 は2005 年 基 準 2013 年 度 は 内 閣 府 推 計 値 ( 資 料 ) 内 閣 府 ( 年 度 ) 歳 入 (95.9 兆 円 ) 税 収 50.0 兆 円 図 表 3: 一 般 会 計 歳 入 と 歳 出 の 内 訳 (2014 年 度 当 初 予 算 ベース) 税 外 収 入 4.6 兆 円 国 債 41.3 兆 円 基 礎 的 財 政 収 支 対 象 収 入 (54.6 兆 円 ) プライマリーバランス 赤 字 基 礎 的 財 政 収 支 対 象 経 費 (72.6 兆 円 ). 社 会 保 障 30.5 兆 円 公 共 事 業 5.9 兆 円 文 教 科 学 5.4 兆 円 防 衛 4.9 兆 円 その 他 9.7 兆 円 地 方 交 付 税 交 付 金 16.1 兆 円 国 債 費 23.3 兆 円 歳 出 (95.9 兆 円 ) ( 資 料 : 平 成 26 年 度 一 般 会 計 予 算 ( 平 成 26 年 3 月 20 日 成 立 )の 概 要 より 経 済 同 友 会 事 務 局 作 成 政 府 の 租 税 収 入 ( 対 GDP 比 ) 0 20 40 60 46.7 34.3 33.0 31.9 31.8 31.1 29.9 29.5 28.7 27.8 27.4 27.0 26.6 26.5 26.0 24.3 23.7 23.7 22.7 22.7 22.1 21.6 21.6 20.9 20.4 20.1 20.1 19.9 19.8 19.5 16.9 16.8 16.5 1デンマーク 2スウェーデン 3ノルウェー 4アイスランド 5ニュージーランド 6フィンランド 7ベルギー 8イタリア 9 英 国 10オーストラリア 11フランス 12イスラエル 13ルクセンブルク 14オーストリア 15カナダ 16ハンガリー 17オランダ 18ポルトガル 19アイルランド 20ドイツ 21スロベニア 22スイス 23ギリシャ 24ポーランド 25エストニア 26スペイン 27トルコ 28チリ 29 韓 国 30チェコ 32メキシコ 33 日 本 34スロバキア 図 表 4:OECD 諸 国 の 税 収 支 出 の 比 較 (201 年 ) 政 府 の 社 会 保 障 支 出 ( 対 GDP 比 ) (%) (%) (%) 0 20 40 33.6 1デンマーク 32.0 2フランス 31.7 3フィンランド ( 資 料 )OECD StatExtractsNationalAccounts EU Euro statgovernmentfinancestatistics 17.9 17.9 17.0 16.9 28.9 27.9 27.8 27.4 26.5 26.3 25.8 25.6 25.4 24.9 24.7 24.2 23.6 23.4 22.4 21.5 4オーストリア 5スウェーデン 6イタリア 7ベルギー 8ドイツ 9ギリシャ 10オランダ 11 英 国 12 日 本 13ポルトガル 14ノルウェー 15アイルランド 16スペイン 17ルクセンブルク 18ハンガリー 19チェコ 20エストニア 21スロバキア 22イスラエル 23 米 国 政 府 の 社 会 保 障 以 外 の 支 出 ( 対 GDP 比 ) 利 払 い 費 を 除 く 0 20 40 23.4 22.8 22.6 22.4 22.3 22.2 22.2 21.2 20.4 20.4 19.8 19.6 19.6 19.3 19.1 19.0 18.9 18.8 18.2 18.1 17.2 16.0 14.8 1ハンガリー 2イスラエル 3ベルギー 4スウェーデン 5オランダ 6デンマーク 7フィンランド 8フランス 9ポルトガル 10チェコ 11スペイン 12エストニア 13アイルランド 14オーストリア 15 英 国 16ルクセンブルク 17 米 国 18スロバキア 19ギリシャ 20ノルウェー 21イタリア 22ドイツ 23 日 本 3
なお 当 会 はかねてより 財 政 再 建 における 歳 入 拡 大 と 歳 出 削 減 の 必 要 性 について 強 く 主 張 してきた 現 行 の 福 祉 水 準 の 見 直 しは 当 然 必 要 であるが それも 一 定 限 界 があ る 中 では 制 度 の 持 続 可 能 性 向 上 の 観 点 から 当 面 の 対 応 として 一 定 の 負 担 を 増 やさざ るを 得 ない この 点 を 強 くアピールしていく 必 要 がある 次 に 受 益 と 負 担 の 関 係 を 国 民 が 理 解 するにあたっては 国 際 比 較 の 中 で 訴 えていく ことが 必 要 である 図 表 5は 各 国 の 社 会 保 障 支 出 と 国 民 負 担 率 の 関 係 を 表 した 図 であ るが グラフ 上 の 直 線 に 近 い 程 受 益 と 負 担 がバランスしていると 言 える 今 後 日 本 は フランスやスウェーデンのような 高 福 祉 高 負 担 を 目 指 すのか アメリ カのような 低 福 祉 低 負 担 を 目 指 すのか どのようなポジショニングを 取 るにしても 受 益 と 負 担 は 少 なくともバランスする 必 要 がある なお アメリカについては 医 療 保 険 改 革 法 (オバマケア)の 成 立 によって 中 福 祉 中 負 担 への 動 きも 出 つつあるが 一 律 的 な 負 担 増 や 国 家 財 政 の 悪 化 を 理 由 とした 反 対 意 見 も 根 強 い 受 益 と 負 担 の 関 係 は 正 に どのような 国 の 形 を 目 指 すのかという 話 な のである (3) 苦 い 薬 を 飲 まず 財 政 再 建 は 可 能 なのか? 財 政 再 建 を 果 たすためには 経 済 成 長 歳 出 削 減 歳 入 拡 大 三 位 一 体 全 て の 施 策 を 全 力 で 取 り 組 ん で い く こ と が 求 め ら れ る 歳 入 拡 大 に つ い て 消 費 税 率 を 8 %か ら 10%に 引 き 上 げ た と し て も 増 分 としては せいぜい5 兆 円 程 度 である また 経 済 成 長 によって 所 得 税 や 法 人 税 が 増 収 とな る 場 合 も わが 国 の 潜 在 成 長 率 と 足 下 の 名 目 GDP 水 準 に 鑑 みると 額 としては4~5 兆 円 程 度 と 考 えられ 毎 年 40 兆 円 の 赤 字 をとてもではないが 埋 め 合 わせられるものでは ない 歳 出 削 減 についても 税 収 上 振 れ 分 を 新 たな 歳 出 に 充 てるような 議 論 が 横 行 し 取 り 組 みの 徹 底 がいかに 難 しいかと 痛 感 させられる 財 政 再 建 には これら 三 位 一 体 の 取 り 組 みを 総 動 員 することが 必 要 であり 現 状 では 総 動 員 しても 全 く 追 い 付 かないという 事 実 を 十 分 認 識 しなくてはならない( 図 表 6) なお 国 が 保 有 する 資 産 の 売 却 によって 債 務 返 済 を 行 なえば 良 い という 意 見 も 聞 か れるが 国 のバランスシートを 見 ると 201 2 年 度 末 時 点 で 国 の 負 債 総 額 1,11 7 兆 円 に 対 して 保 有 資 産 640 兆 円 と 47 兆 円 の 負 債 超 となっている 売 却 のみで 債 務 返 済 を 行 う ことはできない( 図 表 7) また その 資 産 についても 内 容 を 個 別 に 見 てみると 国 道 や 河 川 港 湾 などの 公 共 用 財 産 や 負 債 と 両 建 ての 資 産 ( 負 債 の 返 済 は 対 応 する 資 産 を 原 資 とするような 関 係 ) といった そもそも 売 却 による 債 務 返 済 に 適 さない 資 産 が 大 部 分 を 占 めている 加 えて 国 有 財 産 や 出 資 金 等 売 却 可 能 な 資 産 は 存 在 するが 法 律 によって 国 が 一 定 割 合 の 保 有 を 求 められている 等 の 制 約 があり また 実 勢 価 格 で 資 産 計 上 されていると も 言 われており 大 きな 売 却 益 は 見 込 みがたい 4
図 表 5: 社 会 保 障 支 出 と 国 民 負 担 率 の 関 係 201 年 図 表 6: 三 位 一 体 取 り 組 みのイメージ 経 済 成 長 ( 所 得 税 法 人 税 の 増 収 ) +4~5 兆 円 程 度 殆 ど 見 込 めず 財 政 赤 字 毎 年 40 兆 円 +5 兆 円 程 度 歳 出 削 減 (むしろ 歳 出 増 の 圧 力 ) 歳 入 拡 大 ( 消 費 税 率 引 き 上 げ8 10%) 図 表 7: 国 のバランスシート 5
(4) 財 政 再 建 の 旗 の 下 何 をどこまでやるのか? 財 政 再 建 を 果 たすためには 国 際 的 な 財 政 コミットメントである 基 礎 的 財 政 収 支 (PB) 目 標 (201 5 年 度 : 赤 字 幅 対 GDP 比 半 減 202 0 年 度 : 黒 字 化 )の 達 成 が 不 可 欠 と いう 点 については 論 を 俟 たない( 図 表 8) PB 目 標 の 達 成 自 体 容 易 ではないが 財 政 再 建 はそれで 終 わりではない その 後 を 論 じる 必 要 がある つまり 何 をどこまで また いつまでにやるのかという 目 標 を 定 め る 必 要 がある そのことが 改 革 の 方 向 性 を 明 確 にし 取 り 組 みを 具 体 化 するからであ る その 場 合 債 務 残 高 の 圧 縮 まで 持 っていくのか 債 務 残 高 は 上 昇 しても 対 GDP 比 で 低 下 すれば 良 しとするのか それとも 国 のバランスシートをあわせていくのか 様 々な 考 えがあり 得 よう いずれにしても 財 政 再 建 の 構 図 を 国 民 に 示 す 必 要 がある (5) 自 然 体 で 行 きつくところは? 税 収 とほぼ 同 規 模 の 新 たな 借 金 を 前 提 とした わが 国 の 財 政 運 営 が 行 きつく 先 は 財 政 の 危 機 破 綻 以 外 にあるまい そして いざ 財 政 破 綻 が 現 実 のものとなった 場 合 韓 国 やギリシャなど 諸 外 国 で 見 られたように 国 民 の 望 む 形 でない 改 革 を 強 いられ 一 人 一 人 が 強 い 痛 みを 負 担 するこ ととなる それは 国 民 にとって 寝 耳 に 水 であり そうなってからでは いわば 敗 戦 状 態 の 国 民 は 何 ら 主 張 を 行 うことはできない( 図 表 9) 韓 国 やギリシャの 例 は IMF 等 の 支 援 があるときの 話 であり 支 援 可 能 な 規 模 を 超 える わが 国 では 何 が 起 こるかイメージできないが これ 以 上 に 悲 惨 な 状 況 を 覚 悟 しなければ ならない しかしながら このような 状 況 においても 国 民 の 間 に 財 政 再 建 の 機 運 は 全 く 盛 り 上 がっておらず それどころか 社 会 保 障 を 中 心 に 財 政 を 顧 みないかのような 更 なる 充 実 策 を 求 める 声 すらある そして 痛 みを 伴 う 施 策 に 対 しての 強 い 拒 絶 反 応 が 蔓 延 し ている (6) 提 言 で 示 すこと ねらい 以 上 の 強 い 危 機 感 に 立 ち 本 提 言 では 現 状 分 析 に 止 まらず いくつかの 前 提 をおい て 将 来 の 姿 を 動 態 的 にシミュレーションした つまり 202 0 年 度 で 取 り 組 みを 終 わらせず 更 に 10 年 間 期 間 を 延 ばし 203 0 年 度 を 視 野 に 入 れて 財 政 再 建 の 議 論 を 深 め 我 々の 抱 く 危 機 感 が 現 実 のものとならないよう 手 立 てを 講 じていきたい 6
図 表 8: 基 礎 的 財 政 収 支 (PB) 財 政 収 支 ( 対 GDP 比 ) 推 移 韓 国 :IMF 融 資 のコンディショナリティー マクロ 経 済 財 政 分 野 (1997 年 12 月 ) マクロ 経 済 目 標 財 政 図 表 9: 財 政 危 機 破 綻 時 の 再 建 策 ( 韓 国 ギリシャ) 経 常 収 支 赤 字 を98~99 年 に 対 GDP 比 1% 以 内 に 維 持 物 価 ( 上 昇 率 )を5% 以 内 に 維 持 成 長 率 を98 年 に3% 内 99 年 には 潜 在 成 長 率 水 準 に 回 復 税 率 上 げ 及 び 付 加 価 値 税 課 税 範 囲 拡 大 財 政 支 出 削 減 及 び 優 先 順 位 の 低 い 資 本 支 出 削 減 ギリシャ: 中 期 財 政 戦 略 (2011 年 6 月 9 日 ) 財 政 再 建 規 模 は 2015 年 までに 総 額 283 億 ユーロ(GDP 比 12%) 内 訳 は 歳 出 削 減 148 億 ユーロ( 同 6.3% ) 歳 入 強 化 134 億 ユーロ( 同 5.7% ) 財 政 再 建 策 の 主 な 内 容 は 以 下 のとおり(%は 全 てGDP 比 ) 歳 出 削 減 公 的 部 門 の 縮 小 (2.4%) 社 会 給 付 の 削 減 合 理 化 (1.9%) 公 務 員 の 人 件 費 削 減 (0.9% ) 医 療 費 の 削 減 (0.7% ) 歳 入 強 化 課 税 ベースの 拡 大 及 び 税 控 除 の 削 減 (2.4% ) 社 会 保 障 基 金 の 歳 入 強 化 (1.3% ) 徴 税 強 化 (1.2% ) ( 資 料 ) 韓 国 については 通 商 白 書 2014 より ギリシャについては 内 閣 府 HP より 経 済 同 友 会 事 務 局 が 作 成 7
Ⅱ. 財 政 再 建 の 先 送 りが もはや 許 される 状 況 ではない 抜 本 的 な 改 革 を 先 送 りしてきたことで 国 民 は 歳 出 削 減 や 負 担 増 といった 痛 みを そ れ 程 感 じることなく 負 担 以 上 の 受 益 を 享 受 してきた しかしながら それは 赤 字 国 債 発 行 という 将 来 世 代 の 負 担 に 基 づくものであり もはや これ 以 上 の 放 置 が 許 される 状 況 にないとの 自 覚 が 必 要 である (1) 今 後 更 に 状 況 を 悪 くする 要 因 が 山 積 経 常 収 支 赤 字 2011 年 の 東 日 本 大 震 災 後 原 子 力 発 電 所 の 稼 働 停 止 に 伴 い 化 石 燃 料 の 輸 入 が 急 増 し 貿 易 収 支 は 赤 字 に 転 じた その 後 も 円 安 に 伴 う 輸 入 額 の 増 加 と 生 産 の 現 地 化 の 進 展 等 に 伴 う 輸 出 の 伸 び 悩 みを 背 景 に 貿 易 収 支 の 赤 字 幅 は 拡 大 経 常 収 支 は 減 少 を 続 け 2013 年 度 には 経 常 収 支 黒 字 額 は1 兆 円 を 下 回 る 水 準 まで 低 下 した( 図 表 10) 今 後 経 常 収 支 が 赤 字 となった 場 合 海 外 からの 資 金 調 達 の 必 要 性 が 意 識 されるため わが 国 のように 巨 額 の 政 府 債 務 残 高 を 抱 えた 状 況 においては 金 利 急 騰 のトリガーとな る 可 能 性 がある こうした 動 きを 市 場 が 一 旦 織 り 込 むと その 動 きは 極 めて 早 い また 経 常 収 支 赤 字 に 限 らず トリガーは 至 るところに 存 在 しうる 金 利 上 昇 リスク = 突 然 死 リスクの 高 まり 国 債 の 利 払 費 は これまで 長 期 に 渡 る 緩 和 的 な 金 融 政 策 によって 金 利 が 低 位 に 推 移 したことから 抑 制 されてきた しかしながら 歴 史 的 な 低 金 利 にも 関 わらず 足 下 では 公 債 残 高 の 増 加 によって 利 払 費 は 増 嵩 している 危 機 的 状 況 にある( 図 表 11) 今 後 ゼロ 金 利 とも 言 える 金 利 が 上 昇 した 場 合 利 払 費 は 不 連 続 な 程 の 急 拡 大 が 起 こ り 財 政 危 機 破 綻 に 直 結 しかねない 金 利 上 昇 に 対 して 極 めて 脆 弱 な 構 造 なのである 現 在 官 民 一 体 となって 取 り 組 みが 進 められている アベノミクスの 結 実 によって デフレ 脱 却 と 潜 在 成 長 率 の 引 き 上 げが 現 実 のものとなった 場 合 金 利 上 昇 の 圧 力 は 高 ま らざるをえない これは 税 収 増 を 伴 う 良 い 金 利 上 昇 であるかもしれないが 利 払 費 と の 関 係 では 注 意 を 要 する 点 である( 詳 細 はⅣ 章 ) 言 うまでもなく 財 政 リスクが 意 識 された 上 での 金 利 上 昇 いわゆる 悪 い 金 利 上 昇 の 場 合 マイナスの 影 響 は 更 に 大 きく 政 府 の 財 政 再 建 に 対 するスタンス 如 何 では 現 実 のものとなりかねない これまでの 所 日 銀 による 大 規 模 な 国 債 買 入 によって 金 利 を 抑 え 込 むことに 成 功 し ているが 今 後 この 規 模 の 買 入 を 継 続 していく 場 合 市 場 から 財 政 規 律 の 緩 みや 実 質 的 財 政 ファイナンスと 目 され 大 規 模 な 売 りに 繋 がる 可 能 性 もある 金 融 機 関 破 綻 金 融 のシステミックリスク 金 融 機 関 が 大 量 に 国 債 を 保 有 している 現 状 において 金 利 急 騰 による 国 債 価 格 の 損 失 は 自 己 資 本 を 毀 損 させ その 水 準 規 模 によっては 金 融 システム 不 安 を 引 き 起 こ し 深 刻 な 景 気 後 退 に 繋 がる 恐 れもある 8
図 表 10: 経 常 収 支 の 推 移 図 表 11: 金 利 利 払 費 公 債 残 高 の 推 移 9
少 子 高 齢 化 に 伴 う 社 会 保 障 給 付 の 自 然 増 わが 国 は 世 界 に 類 をみない 規 模 と 猛 スピードの 少 子 高 齢 化 によって 社 会 保 障 給 付 費 は 急 増 ( 図 表 12) 現 状 社 会 保 障 関 係 費 は 一 般 会 計 歳 出 の 約 3 分 の1を 占 め 財 政 悪 化 の 最 も 大 きな 要 因 となっている 加 えて 社 会 保 障 給 付 に 関 する 歳 出 は 殆 ど 全 てが 法 律 で 規 定 されており 歳 出 削 減 の 取 り 組 みをより 困 難 にしている 高 齢 者 の 反 発 や 選 挙 支 持 率 への 影 響 の 大 きさが 意 識 され 現 実 的 には 取 り 組 みが 全 く 進 んでいない 今 後 少 子 高 齢 化 は 一 段 の 加 速 が 予 想 されており 改 革 が 進 まない 状 況 が 続 けば 更 なる 財 政 への 圧 迫 は 確 実 である 歳 出 の 更 なる 膨 張 限 りある 財 源 は 政 策 効 果 の 高 い 領 域 に 厳 選 投 入 する 必 要 があり 日 本 の 競 争 力 強 化 に 対 する 効 果 が 薄 い 短 期 の 経 済 対 策 への 歳 出 増 は 厳 に 慎 まなくてはならない バラマキの 繰 り 返 しが 現 在 の 状 況 を 産 み 出 した 要 因 の 一 つであるにも 関 わらず 消 費 活 性 化 策 や 地 方 創 生 の 名 を 借 りた 形 で 歳 出 膨 張 の 圧 力 は 高 まっている (2) 財 政 再 建 取 り 組 みに 対 する 諸 外 国 からの 評 価 諸 外 国 に 対 する 財 政 のコミットメントとしては まず 基 礎 的 財 政 収 支 目 標 (201 5 年 度 : 赤 字 幅 対 GDP 比 半 減 202 0 年 度 : 黒 字 化 )が 挙 げられる わが 国 財 政 への 信 認 を 維 持 するための 試 金 石 であり 財 政 再 建 に 向 けた 長 い 取 り 組 みの 中 での 重 要 なマイルス トーンと 位 置 付 けられるため 確 実 な 履 行 が 求 められる( 図 表 13) また IMF OECDといった 国 際 機 関 の 年 次 評 価 において 日 本 に 対 しては 財 政 再 建 へ の 取 り 組 みを 強 く 促 す 内 容 となっており 真 摯 に 受 け 止 め 取 り 組 みを 進 めていく 必 要 があろう( 図 表 14) 図 表 12: 社 会 保 障 給 付 費 の 推 移 10
図 表 13: 各 国 の 財 政 健 全 化 に 向 けた 取 り 組 み ( 資 料 ) 財 務 省 図 表 14: 日 本 の 財 政 に 対 する 国 際 機 関 の 見 方 11
(3) 誰 が 日 本 を 救 えるのか 世 界 第 3 位 の 経 済 規 模 である 日 本 が 財 政 危 機 となった 場 合 救 済 者 は 存 在 しない IMFが 支 援 可 能 な 規 模 を 超 えており また 欧 州 債 務 危 機 において EUが 果 たしたよ うな 役 割 を 誰 かに 期 待 することも 難 しい( 図 表 15) 日 本 を 救 えるのは 日 本 だけであり ひいては 一 人 一 人 の 日 本 人 だけという 自 覚 が 必 要 であろう Ⅲ. 国 民 の 深 い 理 解 をどう 確 保 していくか (1) 財 政 悪 化 は 国 だけの 問 題 なのか 国 と 地 方 地 方 には 最 後 は 国 が 面 倒 をみてくれるという 親 方 日 の 丸 の 意 識 が 存 在 するの ではないか 少 なくとも 現 行 の 地 方 交 付 税 交 付 金 制 度 は 財 政 面 において その 意 識 を 助 長 しうるものとなっている 現 行 制 度 の 下 では 地 方 の 歳 出 入 の 差 額 は 交 付 税 によって 調 整 されるため 交 付 税 を 受 領 しない 一 部 の 自 治 体 ( 不 交 付 団 体 )を 除 き 歳 出 削 減 や 歳 入 拡 大 ( 自 主 財 源 確 保 ) に 向 けたインセンティブが 存 在 しない 1 しかしながら 交 付 税 は 国 の 歳 入 を 原 資 としており 国 が 財 政 破 綻 となった 場 合 当 然 現 行 制 度 は 維 持 しえない そういった 意 味 では 一 つの 財 布 とも 言 え 地 方 にとって も 国 の 財 政 悪 化 は 自 身 の 問 題 と 位 置 付 けるべきである 国 と 国 民 財 政 問 題 は 一 般 的 な 国 民 にとって 必 ずしも 馴 染 みのあるテーマはないため 財 政 赤 字 の 状 況 や 債 務 残 高 の 水 準 それによって 生 じ 得 る 問 題 などについて 十 分 理 解 され てきたとは 言 い 難 い 加 えて 財 政 再 建 策 は 増 税 や 歳 出 カットといった 不 人 気 な 施 策 を 伴 いやすく 政 治 家 も 敢 えて 選 挙 の 争 点 としてこなかった そのため 国 民 一 人 一 人 が 意 識 的 に 情 報 を 取 りにいかない 限 り 財 政 再 建 の 必 要 性 を 実 感 する 機 会 を 得 にくく また 政 府 による 楽 観 的 な 経 済 成 長 予 測 が 財 政 再 建 の 必 要 性 を 覆 い 隠 してきた 面 も 否 定 できない( 図 表 16 17) 現 状 と 将 来 像 のイメージを 丁 寧 に 共 有 化 していくことで 国 民 一 人 一 人 が 財 政 再 建 の 必 要 性 を 実 感 しない 限 り 負 担 増 に 対 する 抵 抗 感 は 和 らぎにくい 1 当 会 では 道 州 制 導 入 に 伴 い 現 行 の 地 方 交 付 税 交 付 金 制 度 の 廃 止 道 州 間 の 水 平 的 財 政 調 整 制 度 の 創 設 を 提 言 してきた(201 1 年 1 月 公 表 2020 年 の 日 本 創 生 - 若 者 が 輝 き 世 界 が 期 待 する 国 へ- ) 12
図 表 15:IMF EUによる 欧 州 諸 国 への 支 援 内 容 ( 資 料 ) 財 務 省 図 表 16: 政 府 経 済 見 通 しと 実 績 ( 名 目 GDP 成 長 率 ) 図 表 17: 政 府 経 済 見 通 しと 実 績 ( 実 質 GDP 成 長 率 ) 13
(2)ツケは 全 て 先 送 りの 発 想 国 の 放 漫 財 政 は 国 民 にとって 生 活 水 準 の 向 上 に 繋 がっている 面 があり 自 身 の 負 担 以 上 の 便 益 を 受 けることを 心 地 良 く 感 じる 意 識 があるかもしれない 度 重 なる 改 革 の 先 送 りにより その 間 財 政 は 確 実 に 悪 化 した 改 革 の 先 送 りを 声 高 に 叫 ぶことで 自 身 の 存 命 中 には 最 終 的 な 負 担 を 免 れられる との 計 算 もあるかもしれない しかしながら こういったツケを 全 て 先 送 りする 発 想 の 下 では 子 や 孫 の 世 代 に 負 担 が 際 限 なく 蓄 積 してしまう 2 現 役 世 代 一 人 で 高 齢 者 一 人 を 支 える 将 来 の 到 来 は もう すぐであり 支 え 手 の 負 担 は 限 界 に 達 するであろう 将 来 の 世 代 は 現 在 選 挙 権 も 有 さず まだ 生 まれてすらいない 可 能 性 もある 次 世 代 の 日 本 を 担 う 層 に きちんとした 形 でバトンを 渡 すのは 今 を 生 きているものの 責 任 で ある (3) 総 論 賛 成 各 論 反 対 の 構 造 をどう 断 ち 切 るか 中 福 祉 中 負 担 について 十 分 理 解 し 便 益 の 裏 側 には 対 応 する 負 担 が 必 要 であり 現 状 は 福 祉 水 準 に 見 合 った 負 担 となっていないことを 認 識 しなくてはならない また 財 政 再 建 は 突 然 の 外 科 手 術 で 解 決 できるような 問 題 ではなく 相 応 に 時 間 を 要 する 中 長 期 の 取 り 組 みとならざるを 得 ない そのため 将 来 を 見 据 えた 中 長 期 の 目 標 を 明 示 することが 肝 要 である Ⅳ. 財 政 再 建 先 送 り 論 への 反 論 (1) 大 部 分 を 日 本 人 が 保 有 しているから 日 本 国 債 は 安 全? 日 本 国 債 は 201 3 年 度 末 の 残 高 ベースでは 92%が 日 本 人 による 保 有 (うち 日 銀 20%) であり 外 国 人 の 保 有 占 率 は8%に 過 ぎず( 図 表 18) 47%のアメリカ(201 4 年 3 月 )や 61%のドイツ(201 3 年 12 月 )と 比 較 すると 確 かに 少 ない しかしながら 安 定 的 保 有 と 見 られることが 多 い 日 本 人 の 保 有 のうち 37%を 保 有 している 銀 行 は 見 通 しに 基 づ いて 機 動 的 に 売 買 を 行 う 傾 向 があり 必 ずしも 安 定 的 とは 言 えない 加 えて 価 格 形 成 において 大 きな 影 響 力 を 持 つのは 実 際 に 取 引 された 価 格 がいく らかということであり 国 債 の 売 買 に 占 める 外 国 人 の 割 合 は 約 50%と 高 い( 図 表 19) また 日 本 人 による 日 本 国 債 の 買 入 余 力 や 増 税 余 力 を 図 る 指 標 として 家 計 金 融 資 産 残 高 (ネット)が 用 いられることが 多 い これまでは 同 指 標 は 一 般 政 府 債 務 残 高 の 水 準 を 上 回 って 推 移 し 国 債 の 増 発 を 吸 収 することが 可 能 であったが 高 齢 化 の 進 展 に 伴 い 家 計 が 貯 蓄 取 り 崩 しの 段 階 に 入 っており 早 晩 家 計 金 融 資 産 残 高 (ネット)を 上 回 ると 考 えられる( 図 表 20) 更 に 個 人 がアクセス 可 能 な 海 外 の 資 本 市 場 が 拡 大 する 中 海 外 投 資 へのハードルが 低 下 してきており 従 来 以 上 にキャピタルフライトの 危 険 性 は 高 まっている 2 建 設 国 債 についてはインフラ 等 の 整 備 に 使 用 されるため 将 来 の 世 代 が 受 ける 便 益 が 無 いわけではないが 赤 字 国 債 については いわば 生 活 費 として 都 度 費 消 され 将 来 世 代 に 残 されるのは 負 担 のみとなる 14
図 表 18: 国 債 保 有 主 体 内 訳 の 推 移 10% その 他 家 計 75% 50% 海 外 年 金 基 金 生 損 保 等 銀 行 等 日 本 銀 行 25% 財 政 融 資 資 金 公 的 年 金 0% 平 成 16 年 平 成 18 年 平 成 20 年 平 成 22 年 平 成 24 年 ( 資 料 ) 国 債 管 理 レポート ( 年 度 末 ) 一 般 政 府 ( 除 く 公 的 年 金 ) 図 表 19: 主 な 国 債 売 買 主 体 の 内 訳 推 移 (ネット) 図 表 20: 一 般 政 府 債 務 残 高 家 計 の 金 融 資 産 残 高 の 推 移 15
(2) 経 済 成 長 無 くして 財 政 再 建 無 し? 経 済 成 長 に 伴 う 税 収 増 により 財 政 収 支 の 改 善 という 財 政 再 建 の 道 筋 が 考 えられる 一 方 で 経 済 成 長 は 必 要 であるが それだけで 財 政 再 建 が 出 来 る 状 況 でないのは 既 に 述 べてきた 通 りである 財 政 再 建 策 は 歳 出 削 減 策 や 増 税 を 伴 い 個 人 や 企 業 の 負 担 が 増 し 短 期 的 には 景 気 に 対 してマイナスの 影 響 を 与 えることが 多 い その 結 果 税 率 は 上 がっても 肝 心 の 税 収 増 には 繋 がらないとの 意 見 は 根 強 い しかしながら 財 政 の 健 全 化 は 義 務 的 経 費 の 圧 縮 による 財 政 の 柔 軟 性 確 保 や 将 来 不 安 の 軽 減 による 個 人 消 費 の 拡 大 など 安 定 的 な 経 済 成 長 の 基 盤 となるという 基 本 的 考 えが 重 要 である つまり 財 政 再 建 と 経 済 成 長 どちらか 一 方 の 施 策 のみで 持 続 的 な 繁 栄 は 困 難 であ り 両 者 を 並 び 立 たせる 他 ないと 考 えられる よく 二 兎 を 追 うものは 一 兎 をも 得 ずと 言 われるが 経 済 成 長 か 財 政 再 建 の どちらか 一 つを 達 成 するだけでも 大 変 なのに 今 の 日 本 は 経 済 成 長 も 財 政 再 建 も 達 成 しなければならない 状 況 に 陥 っているということなのだ (3) 国 の 資 産 を 売 却 すれば 債 務 返 済 は 可 能? Ⅰ 章 (3)で 記 載 の 通 り 国 のバランスシートは 47 兆 円 の 負 債 超 となっている 上 公 共 用 財 産 等 売 却 による 債 務 返 済 に 適 さない 資 産 が 大 部 分 である( 図 表 21として 図 表 7を 再 掲 ) しかしながら 国 有 財 産 と 出 資 金 には 売 却 自 体 は 可 能 な 資 産 も 含 まれ ており それだけで 債 務 返 済 に 十 分 な 額 を 捻 出 出 来 るものではないが 少 なくとも 対 応 可 能 なものには 対 応 する という 姿 勢 は 国 民 の 納 得 感 を 高 める 上 で 重 要 である また 保 有 資 産 を 民 間 に 売 却 し 民 間 の 知 見 を 活 用 することで 将 来 の 更 なる 負 担 増 の 抑 制 が 見 込 まれ 国 としても 最 大 限 の 対 応 が 必 要 である なお 国 と 地 方 トータルで 見 た 場 合 も 地 方 の 積 立 金 残 高 の 増 加 は 国 のバランスシ ートのマイナス 拡 大 ペースには 及 ばず 債 務 の 超 過 幅 は 拡 大 を 続 けている( 図 表 22) (4) 経 済 成 長 による 税 収 増 で 金 利 上 昇 を 吸 収? 債 務 残 高 は GDPの 倍 以 上 の 規 模 であるため 成 長 率 と 名 目 金 利 が 同 率 の 上 昇 となった 場 合 税 収 の 増 加 は 利 払 費 の 増 加 を 下 回 る 見 通 しである( 図 表 23) 図 表 21: 国 のバランスシート 16
図 表 22: 地 方 積 立 金 及 び 国 の 資 産 負 債 差 額 の 推 移 図 表 23: 成 長 率 と 長 期 金 利 の 関 係 ( 財 務 省 試 算 ) 平 成 26 年 度 予 算 の 後 年 度 歳 出 歳 入 への 影 響 試 算 歳 出 自 然 体 経 済 成 長 率 3.0%ケース 成 長 率 金 利 ともに 1% 上 昇 した 場 合 平 成 29 年 度 見 通 し 税 収 +2.0 兆 円 増 利 払 い +4.1 兆 円 増 ( 税 収 増 < 利 払 い 増 ) ( 資 料 ) 財 務 省 17
(5) 将 来 的 には 高 齢 者 の 減 少 によって 財 政 再 建 が 進 む? わが 国 の 財 政 を 悪 化 させた 主 要 因 の 一 つである 社 会 保 障 給 付 費 に 関 して 204 0 年 以 降 は 主 たる 受 給 者 である 高 齢 者 の 人 口 減 少 によって 社 会 保 障 財 政 の 収 支 が 改 善 する との 主 張 が 聞 かれる しかしながら ここまで 財 政 が 悪 化 したわが 国 が 改 革 を 先 送 りし 続 ければ 204 0 年 ま でに 破 綻 する 方 が 現 実 的 であり そもそもの 想 定 が 間 違 っている 既 に 人 口 減 少 が 始 ま っており 経 済 の 活 力 を 高 め 安 定 的 な 成 長 を 持 続 することが 困 難 を 極 める 状 況 下 改 革 の 先 送 りと 税 収 減 によって 財 政 が 急 速 に 悪 化 することは 確 実 である 仮 に こういった 方 針 の 下 で 204 0 年 を 迎 えられることがあったとしても それまで 高 齢 者 人 口 が 増 え 続 ける 一 方 生 産 年 齢 人 口 の 減 少 が 進 んでおり( 図 表 24) 支 え 手 の 人 口 動 態 を 勘 案 すると 高 齢 者 の 減 少 に 頼 った 財 政 再 建 など 到 底 不 可 能 である 2040 年 以 降 高 齢 化 率 の 上 昇 と 生 産 年 齢 人 口 比 率 の 低 下 は 一 段 の 進 展 が 予 想 されて おり 当 該 主 張 が 妥 当 でないのは 明 らかである 一 人 当 たりの 負 担 額 について Ⅴ 章 にて 試 算 した 将 来 の 債 務 残 高 をもとにお 示 しする ( 図 表 25) 総 人 口 が 減 少 する 一 方 で( 8%) 債 務 残 高 は 増 加 の 見 通 しであるため(+42%) 一 人 当 たりの 負 担 額 は 債 務 残 高 の 増 加 を 上 回 る (+54% ) 支 え 手 である 生 産 年 齢 人 口 (15~64 歳 )をベースとした 場 合 人 口 の 減 少 は 更 に 大 きく( 12%) 一 人 当 たりの 負 担 増 は 一 段 と 顕 著 であった(+61%) 実 額 では 201 5 年 度 の 約 1,32 0 万 円 から 203 0 年 度 は 80 万 円 増 の 約 2,13 0 万 円 となった 18
図 表 24: 日 本 の 人 口 推 移 ( 万 人 ) 200 2010 2020 2030 2040 2050 2060 総 人 口 12,693 12,806 12,410 11,662 10,728 9,708 8,674 若 年 人 口 (14 歳 以 下 ) 1,847 1,680 1,457 1,204 1,073 939 791 生 産 年 齢 人 口 (15~64 歳 ) 8,62 8,103 7,341 6,773 5,787 5,001 4,418 高 齢 者 人 口 (65 歳 以 上 ) 2,201 2,925 3,612 3,685 3,868 3,768 3,464 図 表 25: 公 債 等 残 高 と 一 人 当 たり 負 担 額 の 将 来 推 計 年 度 公 債 等 残 高 総 人 口 一 人 当 生 産 年 齢 人 口 一 人 当 (*1) 増 減 率 増 減 率 負 担 額 増 減 率 増 減 率 負 担 額 増 減 率 ( 兆 円 ) (*2) ( 万 人 ) ( 万 円 ) ( 万 人 ) ( 万 円 ) 2015 1,016-12,660-803 - 7,682-1,323-2020 1,141 12.3% 12,410-2.0% 919 14.4% 7,341-4.4% 1,554 17.5% 2025 1,280 26.0% 12,06-4.7% 1,061 32.1% 7,085-7.8% 1,807 36.6% 2030 1,440 41.7% 11,662-7.9% 1,235 53.8% 6,773-11.8% 2,126 60.7% (*1) 公 債 等 残 高 は 試 算 のCケース( 現 状 延 長 )の 数 値 (*2) 増 減 率 は 全 項 目 とも2015 年 度 対 比 での 数 値 ( 資 料 ) 公 債 等 残 高 については 経 済 同 友 会 試 算 値 人 口 関 連 については 図 表 24と 同 様 19
Ⅴ. 財 政 の 将 来 試 算 財 政 の 将 来 の 姿 を 動 態 的 に 捉 えるため 以 下 の 前 提 に 基 づき 202 0 年 度 の PB 黒 字 化 目 標 達 成 を 意 識 した 上 で 203 0 年 度 までの 財 政 関 連 の 諸 数 値 について 試 算 を 実 施 した A 202 0 年 度 PB 黒 字 化 を 達 成 高 成 長 デフレ 脱 却 歳 出 歳 入 改 革 が 進 展 B 成 長 戦 略 改 革 とも 一 定 程 度 進 展 財 政 発 散 を 免 れるギリギリの 水 準 ( 対 GDP 比 一 定 ) C 成 長 を 一 定 見 込 みつつも 財 政 面 で 特 段 の 改 革 見 られず 成 長 率 物 価 等 横 這 い( 現 状 延 長 ) D 人 口 減 少 を 背 景 にゼロ 成 長 財 政 リスクを 意 識 した 金 利 上 昇 発 生 改 革 は 停 滞 ( 一 部 後 退 ) 2020 年 度 の PB 黒 字 化 については Aで 達 成 する これは 内 閣 府 試 算 3 と 同 様 の 高 い 成 長 率 に 加 え 社 会 保 障 関 係 費 の 年 間 5,000 億 円 削 減 10% 超 への 消 費 税 率 の 引 き 上 げ(202 0 年 度 時 点 では 税 率 13%)といった 抜 本 改 革 をしたケースである ( 図 表 27) B~Dはいず れも 未 達 であるが 203 0 年 度 にかけ その 乖 離 は 更 に 拡 大 していく 次 に PBに 国 債 利 払 いを 加 味 した 財 政 収 支 については 全 ての 想 定 で 203 0 年 度 までに 黒 字 化 を 果 たすことが 出 来 ず Aであっても 20 兆 円 以 上 の 赤 字 となる( 図 表 29) その 結 果 公 債 等 残 高 は 全 ての 想 定 で 増 加 することとなる( 図 表 30) 公 債 等 残 高 の 対 GDP 比 は 理 想 的 な 想 定 のAで 初 めて 明 確 な 低 下 トレンドを 辿 ることが 3 内 閣 府 中 長 期 の 経 済 財 政 に 関 する 試 算 ( 平 成 26 年 7 月 25 日 ) の 経 済 再 生 ケースは 本 提 言 の 試 算 Aと 同 様 平 均 的 に 名 目 3% 実 質 2%の 成 長 率 と 中 期 的 に2% 近 傍 の CPI 対 前 年 上 昇 率 を 前 提 としているが 202 0 年 度 の PB 黒 字 化 は 未 達 (11 兆 円 の 赤 字 対 名 目 GDP 比 1.8 %) ( 長 期 金 利 の 想 定 ) A 2014~2023 年 は 中 長 期 の 経 済 財 政 に 関 する 試 算 ( 平 成 26 年 7 月 25 日 内 閣 府 ) の 経 済 再 生 ケースを 使 用 以 降 緩 やかに 上 昇 し 2025 年 に 5.0%に 達 した 以 降 横 這 いと 想 定 B 足 下 1.0%から 緩 やかに 金 利 上 昇 202 3 年 に 2.5%に 達 した 以 降 横 這 いと 想 定 C 期 間 中 1.0%で 一 定 D 201 6 年 度 まで 1.0% 横 這 い その 後 202 0 年 度 にかけ 5.0%まで 上 昇 以 降 横 這 いと 想 定 ( 試 算 に 関 する 留 意 点 ) 経 済 同 友 会 事 務 局 にて 試 算 を 実 施 各 項 目 は 本 来 相 互 に 影 響 を 与 え 合 う 可 能 性 が 高 いが 試 算 においては 影 響 を 加 味 せず 20
可能となり Bでかろうじて横這い C Dでは発散経路に乗ることになる 図表 31 図表 26 名目 GDP 図表 27 基礎的財政収支 PB 国 地方 図表 28 基礎的財政収支 PB 対名目 GDP 比 図表 29 財政収支 国 地方 図表 31 公債等残高対名目 GDP 比 図表 30 公債等残高 21
巨 額 の 債 務 残 高 は 金 利 上 昇 に 伴 う 急 激 な 利 払 費 増 加 によって 突 然 死 リスクを 高 め ることとなる 改 革 の 先 送 りは 許 されない Ⅵ. 抜 本 的 な 改 革 に 必 要 な 視 点 - 絶 対 に 取 り 組 むべきこと- (1) 税 負 担 の 適 正 性 現 行 の 中 福 祉 低 負 担 の 構 造 を 中 福 祉 中 負 担 に 移 行 するにおいては 税 の 観 点 からは 現 役 世 代 に 過 度 な 負 担 をかけず 幅 広 い 世 代 が 支 える 税 制 とすることが 必 要 1 制 度 としての 強 化 広 く 薄 く 幅 広 い 層 で 財 政 を 支 えるという 観 点 からは 例 えば 以 下 のような 取 り 組 みが 考 えられる 消 費 税 率 の 引 き 上 げ 現 役 世 代 以 外 に 担 い 手 を 拡 大 するとともに 直 間 比 率 の 是 正 にも 効 果 免 税 点 の 引 き 下 げ 消 費 税 率 引 き 上 げに 伴 う 益 税 の 増 加 に 対 応 外 形 標 準 課 税 の 強 化 応 益 課 税 強 化 の 観 点 から 課 税 対 象 範 囲 を 拡 大 給 与 所 得 控 除 の 見 直 し 課 税 ベースの 拡 大 とともに 低 所 得 者 対 策 として 給 付 付 き 税 額 控 除 の 実 施 2 捕 捉 漏 れへの 対 応 今 後 消 費 税 率 の 引 き 上 げ 等 の 負 担 増 を 国 民 が 受 け 入 れるにあたり 公 正 の 観 点 か ら 捕 捉 をきちんと 行 うことが 納 税 に 対 する 納 得 感 を 高 める 上 で 不 可 欠 である 徴 税 体 制 の 強 化 人 員 増 システム 増 強 を 通 じて 体 制 を 強 化 徴 税 を 逃 れるイ ンセンティブを 減 じる( 体 制 強 化 に 伴 う 費 用 負 担 と 効 果 の 見 極 めが 必 要 ) マイナンバー 制 度 早 期 完 全 実 施 充 実 を 求 める( 資 産 からの 収 益 についての 捕 捉 範 囲 を 拡 大 ) (2) 中 長 期 的 な 取 り 組 みとするための 制 度 改 革 法 的 拘 束 力 のある 仕 組 みを 整 えることは 政 治 のコミットメント 強 化 に 繋 がり 財 政 規 律 維 持 に 資 する 財 政 再 建 に 成 功 した 海 外 の 事 例 等 を 通 じて 検 討 したい( 図 表 32) 1 財 政 健 全 化 法 の 制 定 財 政 再 建 は 国 家 の 重 大 事 であり 与 野 党 問 わず その 重 要 性 は 変 わらないはずである にもかかわらず 政 争 の 具 とされ 改 革 を 滞 らせる 原 因 となることが 余 りに 多 い 法 の 制 定 主 旨 として 財 政 再 建 は 国 家 として 取 り 組 むべき 課 題 である 点 を 明 示 した 上 で 以 下 の 内 容 を 含 む 財 政 健 全 化 法 の 制 定 を 求 める 財 政 運 営 の 基 本 原 則 財 政 目 標 ルールを 内 閣 発 足 の 都 度 定 める 財 政 再 建 取 り 組 みの 先 送 りを 牽 制 するとともに 財 政 再 建 が 選 挙 の 争 点 として 目 に 留 まりやすく なる 中 期 財 政 フレームの 策 定 単 なる 中 期 の 見 通 しに 過 ぎない 現 在 の 仕 組 みを 改 め 将 来 の 歳 出 について 拘 束 する 内 容 とする 22
図 表 32: 法 的 拘 束 力 を 持 つ 財 政 ルールの 事 例 オーストラリアやカナダ スウェーデン ニュージーランドのように 90 年 代 に 財 政 再 建 を 成 功 させた 国 では 法 的 拘 束 力 を 持 つ 財 政 ルールや 効 率 的 な 予 算 編 成 プロセスなどの 財 政 再 建 の 実 効 性 持 続 性 を 高 める 制 度 仕 組 みを 早 い 段 階 から 確 立 し 取 り 組 んでいる 財 政 再 建 に 対 する 国 民 の 支 持 理 解 を 得 るため 財 政 状 況 等 の 透 明 性 を 高 め 説 明 責 任 を 高 める 取 り 組 みも 取 られている 法 的 拘 束 力 を 持 つ 財 政 ルールの 事 例 導 入 国 施 策 主 な 内 容 オーストラリア 予 算 公 正 憲 章 法 (98 年 ) 中 長 期 的 な 財 政 戦 略 予 算 編 成 の 基 本 方 針 等 財 政 運 営 全 般 に 関 する 基 本 的 な 枠 組 みを 規 定 財 政 戦 略 レポート 等 においてルールの 遵 守 状 況 を 検 証 法 律 に 基 づく 閣 議 決 定 によって 主 目 標 及 び 副 目 標 を 具 体 的 に 設 定 将 来 見 通 し(93 年 ) 次 年 度 予 算 とその 後 3 年 間 を 対 象 とし 省 庁 別 歳 出 額 等 を ベースラインとして 固 定 厳 格 に 歳 出 を 拘 束 しないが 政 策 の 変 更 等 がなければ 改 定 されない 省 庁 が 歳 出 増 を 伴 う 新 規 施 策 を 提 案 する 場 合 には 既 存 施 策 の スクラップが 求 められる スウェーデン フレーム 予 算 歳 出 見 通 しに 基 づき 将 来 3か 年 の 歳 出 総 額 に 対 するシーリングを 設 定 支 出 シーリング(96 年 ) 設 定 されたシーリングは 議 会 の 議 決 が 見 直 されない 限 り 改 定 されない ニュージーランド 財 政 責 任 法 (94 年 ) 中 長 期 的 な 財 政 戦 略 予 算 編 成 の 基 本 方 針 等 財 政 運 営 全 般 に 関 する 基 本 的 な 枠 組 みを 規 定 ベースライン(89 年 ) ( 資 料 ) 内 閣 府 世 界 経 済 の 潮 流 2010 年 Ⅱ より 経 済 同 友 会 事 務 局 作 成 財 政 戦 略 レポート 等 においてルールの 遵 守 状 況 を 検 証 法 律 に 基 づく 閣 議 決 定 によって 長 期 及 び 短 期 目 標 を 具 体 的 に 設 定 ベースラインに 基 づいて 予 算 編 成 を 実 施 厳 格 に 歳 出 を 拘 束 しないが 政 策 の 変 更 等 がなければ 改 定 されない 省 庁 が 歳 出 増 を 伴 う 新 規 施 策 を 提 案 する 場 合 には 既 存 施 策 の スクラップが 求 められる 財 政 運 営 の 透 明 性 確 保 説 明 責 任 強 化 のための 施 策 の 事 例 導 入 国 施 策 主 な 内 容 オーストラリア 予 算 公 正 憲 章 法 に 年 内 に 複 数 回 及 び 総 選 挙 時 に 財 政 戦 略 報 告 書 等 の 公 表 を 義 務 付 け おける 規 定 (98 年 ) カナダ 事 前 意 見 聴 取 (94 年 ) 議 会 での 事 前 予 算 相 談 プロセスとして 全 国 各 地 でフォーラムを 開 催 し 予 算 に 対 する 意 見 陳 述 の 機 会 を 一 般 国 民 に 提 供 ( 資 料 ) 内 閣 府 世 界 経 済 の 潮 流 2010 年 Ⅱ より 経 済 同 友 会 事 務 局 作 成 23
定 期 的 な 検 証 財 政 目 標 の 達 成 状 況 についての 検 証 を 義 務 付 け また 景 気 の 後 退 や 財 政 政 策 の 実 施 等 によって 財 政 目 標 から 乖 離 した 場 合 について その 復 帰 策 についても 公 表 を 義 務 付 け 2 予 算 制 度 の 改 革 複 数 年 度 予 算 の 導 入 1に 基 づき 定 められた 中 期 財 政 フレームの 枠 内 で 作 成 補 正 予 算 の 管 理 中 期 財 政 フレームで 想 定 する 歳 出 上 限 は 補 正 予 算 を 含 む Pay-as-you-go 原 則 の 徹 底 各 省 庁 は 決 められた 複 数 年 度 予 算 の 枠 内 で 資 源 配 分 の 最 適 化 を 行 う( 新 たな 歳 出 増 は 他 の 歳 出 削 減 を 前 提 ) 3 独 立 財 政 機 関 の 設 置 ( 日 本 版 GAO) 年 度 予 算 策 定 の 前 提 となる 経 済 成 長 率 金 利 等 の 見 通 しや 財 政 政 策 に 係 る 政 治 的 バイアスの 除 去 国 民 への 正 確 な 情 報 提 供 を 目 的 として 独 立 財 政 機 関 の 設 置 を 求 める 経 済 成 長 率 や 金 利 等 の 見 通 しを 策 定 政 府 の 財 政 政 策 の 分 析 評 価 財 政 の 状 況 を 公 表 (3) 直 ちに 取 り 組 むべきこと わが 国 財 政 の 状 況 に 鑑 みると 本 提 言 でも 申 し 上 げてきた 通 り 財 政 再 建 のためには 経 済 成 長 歳 出 削 減 歳 入 拡 大 の そ れ ぞ れ で 全 力 を 尽 く す こ と が 必 要 条 件 で あ る そ の 中 で 直 ち に 取 り 組 む べ き こ と と し て 以 下 既 に 当 会 に て 提 言 を 行 っ て い る 項 目 を 中 心 に お 示 し す る 踏 み 込 ん だ 内 容 の 提 言 も あ り 遂 行 は 容 易 で な い 部 分 も あ ろ う し か し な が ら 前 章 の 試 算 と の 関 係 で は こ れ ら を 仮 に 全 て や り 遂 げ た と し て も 必 要 十 分 と 言 い き れ な い の が わ が 国 財 政 の 現 状 で あ る こ こ ま で 出 来 て よ う や く 全 体 の 何 合 目 と い う 数 量 感 を 持 つ こ と は 中 長 期 の 取 り 組 み で あ る だ け に 意 義 は 大 き い 1 消 費 税 率 の 引 き 上 げ 税 率 17%ま で の 引 き 上 げ と 少 な く と も 税 率 10%ま で の 単 一 税 率 を 主 張 低 所 得 者 対 策 と し て は 給 付 付 き 税 額 控 除 を 採 用 確 実 な 給 付 拡 大 が 見 込 ま れ る 社 会 保 障 制 度 を 安 定 さ せ る 観 点 と 前 章 の 試 算 Aに おける 結 果 より 引 き 続 き 税 率 17%は 最 低 限 必 要 との 立 場 を 維 持 24
2 社 会 保 障 分 野 全 体 の 見 直 し ⅰ) 医 療 介 護 分 野 の 給 付 抑 制 利 用 者 負 担 増 2013 年 3 月 に 社 会 保 障 改 革 委 員 会 の 提 言 にて 示 した 下 記 施 策 について 着 実 な 実 現 を 求 める 後 発 医 薬 品 の 利 用 促 進 (ほぼ 全 て 浸 透 ) 受 診 時 定 額 負 担 ( 初 診 時 再 診 時 10 円 ) 平 均 在 院 日 数 の 減 少 外 来 受 診 の 適 正 化 70~74 歳 の 医 療 費 自 己 負 担 の3 割 化 75 歳 以 上 の 医 療 費 自 己 負 担 の3 割 化 要 支 援 要 介 護 1 2の 給 付 抑 制 介 護 サービスの 自 己 負 担 の2 割 化 これらの 施 策 が 全 て 実 現 した 場 合 毎 年 約 8 兆 円 ( )の 公 費 削 減 効 果 が 見 込 まれる これらを 201 5~203 0 年 度 にかけ 毎 年 等 額 改 善 するとの 前 提 に 立 つと 前 章 の 試 算 Aと 同 規 模 の 年 5,000 億 円 の 削 減 に 相 当 する(5,000 億 円 16 年 =8 兆 円 ) ( ) 上 記 提 言 で 試 算 された 効 果 をもとに 経 済 同 友 会 事 務 局 にて 推 計 ⅱ) 医 療 介 護 サービスの 生 産 性 改 革 2014 年 6 月 に 医 療 福 祉 改 革 委 員 会 の 提 言 にて 示 した 下 記 施 策 について 着 実 な 実 現 を 求 める 補 助 金 が 交 付 されている 公 設 公 的 病 院 の 経 営 情 報 と 医 療 情 報 の 開 示 社 会 福 祉 法 人 への 優 遇 制 度 の 縮 小 廃 止 地 域 医 療 圏 における 病 院 間 の 棲 み 分 け/ 役 割 分 担 のインセンティブ 付 与 に 向 け 診 療 報 酬 体 系 補 助 金 等 のメリハリ 付 け 地 域 医 療 圏 における 大 規 模 事 業 体 の 連 携 強 化 に 資 する 経 営 形 態 の 枠 組 み 構 築 大 規 模 事 業 体 に 対 し 保 険 者 ガバナンスを 活 用 できる 仕 組 みを 構 築 廃 業 事 業 者 の 受 け 皿 構 築 医 療 の 品 質 評 価 指 標 の 構 築 と 医 療 機 関 毎 の 品 質 評 価 指 標 の 利 用 者 への 開 示 介 護 の 品 質 指 標 体 系 の 構 築 と 事 業 者 のサービス 品 質 を 公 開 介 護 報 酬 体 系 へ 反 映 25
ⅲ) 年 金 分 野 の 抜 本 改 革 2011 年 1 月 に 提 言 202 0 年 の 日 本 創 生 にて 示 した 下 記 施 策 について 抜 本 改 革 をした 上 で 実 現 を 求 める 新 基 礎 年 金 制 度 を 創 設 し 65 歳 以 上 の 全 国 民 に 一 人 月 額 7 万 円 ( 物 価 スライド を 適 用 )を 給 付 財 源 は 全 額 目 的 消 費 税 とし 基 礎 年 金 部 分 における 個 人 の 保 険 料 負 担 は 廃 止 高 所 得 者 への 公 的 年 金 等 控 除 の 縮 小 民 間 金 融 機 関 等 が 運 営 する 新 拠 出 建 年 金 制 度 の 創 設 前 章 の 将 来 試 算 においては 社 会 保 障 に 係 る 費 用 の 将 来 推 計 ( 平 成 24 年 3 月 厚 生 労 働 省 発 表 ) に 基 づき 年 金 制 度 は 賦 課 方 式 での 試 算 としている Ⅶ.おわりに - 財 政 再 建 は 喫 緊 の 課 題 であり 次 世 代 にツケを 残 してはならない- 1,00 兆 円 を 超 える 規 模 の 債 務 を 抱 えるわが 国 においては 一 朝 一 夕 で 財 政 の 健 全 化 を 果 たすことは 出 来 ない 財 政 再 建 の 取 り 組 みは 10 年 や 20 年 といった 長 期 間 の 取 り 組 みが 必 要 な 課 題 である それがゆえに 喫 緊 の 課 題 であるとの 意 識 が 生 まれにくく 今 何 かをしなくてはとい う 意 識 を 希 薄 にさせてしまう 点 が 問 題 を 難 しくしてきた 2015 年 10 月 に 予 定 されていた 10%への 消 費 増 税 について 我 々はかねてより 基 礎 的 財 政 収 支 目 標 達 成 のために 不 可 欠 であり 社 会 保 障 の 安 定 財 源 として 欠 かせない と 主 張 してきた しかしながら 足 下 の 景 気 への 配 慮 が 重 視 され 先 送 りされることと なったが 財 政 再 建 は 喫 緊 の 課 題 であり 更 なる 改 革 の 先 延 ばしによって 次 世 代 にこ れ 以 上 のツケを 残 すようなことがあってはならない そこで 本 提 言 では わが 国 財 政 の 現 状 と 将 来 像 痛 みを 伴 う 改 革 の 必 要 性 を 述 べて きた これらの 点 について 国 民 一 人 一 人 が 認 識 を 深 め 自 身 の 問 題 として 取 り 組 んで いく 他 ないと 考 える いつか ではなく 動 くのは 今 なのである 財 政 再 建 の 必 要 性 を 喧 伝 すると とかく 狼 少 年 と 非 難 されがちだが 言 い 続 ける 他 ない 何 の 備 えも 出 来 ていない 状 況 で 実 際 に 狼 が 来 てしまったら 何 の 対 応 も 打 て ず なす 術 なく 破 綻 に 突 き 進 むことになりかねない 以 上 26
2014 年 度 財 政 税 制 改 革 委 員 会 名 簿 2015 年 1 月 現 在 ( 敬 称 略 ) 委 員 長 岡 本 圀 衞 ( 日 本 生 命 保 険 取 締 役 会 長 ) 副 委 員 長 梶 川 融 ( 太 陽 有 限 責 任 監 査 法 人 代 表 社 員 会 長 ) 児 玉 正 之 (あいおいニッセイ 同 和 損 害 保 険 特 別 顧 問 ) 平 田 正 之 ( 情 報 通 信 総 合 研 究 所 顧 問 ) 藤 重 貞 慶 (ライオン 取 締 役 会 長 ) 降 洋 平 ( 日 本 信 号 取 締 役 社 長 ) 村 田 隆 一 ( 三 菱 UFJリース 取 締 役 会 長 ) 守 田 道 明 ( 上 田 八 木 短 資 取 締 役 相 談 役 ) 若 林 勝 三 ( 日 本 地 震 再 保 険 取 締 役 会 長 ) 委 員 青 木 宏 道 ( 新 日 鐵 住 金 常 任 顧 問 ) 朝 倉 陽 保 ( 産 業 革 新 機 構 専 務 取 締 役 COO ) 我 妻 文 男 ( 共 栄 セキュリティーサービス 取 締 役 会 長 ) 稲 田 和 房 (セゾンファンデックス 取 締 役 社 長 ) 稲 葉 俊 人 ( 横 浜 駅 前 ビルディング 常 務 取 締 役 ) 稲 葉 延 雄 (リコー 取 締 役 専 務 執 行 役 員 ) 乾 民 治 ( 乾 汽 船 相 談 役 ) 上 野 守 生 (プロネクサス 取 締 役 会 長 ) 宇 佐 美 耕 次 (CS Cジャパン 代 表 執 行 役 社 長 ) 江 利 川 毅 ( 医 療 科 学 研 究 所 理 事 長 ) 大 江 匡 (プランテックアソシエイツ 取 締 役 会 長 兼 社 長 ) 大 久 保 秀 夫 (フォーバル 取 締 役 会 長 ) 大 塚 紀 男 ( 日 本 精 工 執 行 役 社 長 ) 岡 部 敬 一 郎 (コスモ 石 油 相 談 役 ) 27
小 野 俊 彦 小 幡 尚 孝 ( 三 菱 UFJリース 相 談 役 ) 柿 本 寿 明 門 脇 英 晴 叶 谷 彰 宏 ( 日 本 総 合 研 究 所 シニアフェロー) ( 日 本 総 合 研 究 所 特 別 顧 問 シニアフェロー) (バークレイズ 証 券 マネージングディレクター) 鎌 田 英 治 (グロービス 執 行 役 員 ) 蒲 野 宏 之 ( 蒲 野 綜 合 法 律 事 務 所 代 表 弁 護 士 ) 木 下 信 行 (アフラック(アメリカンファミリー 生 命 保 険 ) シニアアドバイザー) 木 下 満 (エリオット アドバイザーズ アジア リミテッド マネージング ディレクター) スコット キャロン (いちごグループホールディングス 執 行 役 会 長 ) 清 田 瞭 ( 東 京 証 券 取 引 所 取 締 役 社 長 ) 古 賀 信 行 ( 野 村 證 券 取 締 役 会 長 ) 小 崎 哲 資 ( 常 和 ホールディングス 取 締 役 社 長 ) 菰 田 正 信 ( 三 井 不 動 産 取 締 役 社 長 ) 斉 藤 惇 ( 日 本 取 引 所 グループ 取 締 役 兼 代 表 執 行 役 グループCEO ) 酒 井 重 人 (グッゲンハイム パートナーズ 在 日 代 表 ) 境 米 夫 ( 香 港 上 海 銀 行 在 日 支 店 副 会 長 ) 櫻 井 祐 記 ( 富 国 生 命 保 険 取 締 役 常 務 執 行 役 員 ) 佐 藤 和 男 ( 三 井 不 動 産 社 友 ) 篠 崎 雅 美 ( 日 本 航 空 電 子 工 業 相 談 役 ) 正 田 修 ( 日 清 製 粉 グループ 本 社 名 誉 会 長 相 談 役 ) 陳 野 浩 司 (ナティクシス 日 本 証 券 マネージング ディレクター) 菅 野 健 一 (リスクモンスター 取 締 役 会 長 ) 高 橋 衛 (HAUT PONT 研 究 所 代 表 ) 橘 憲 正 (タチバナエステート 取 締 役 会 長 ) 田 中 実 ( 投 資 経 済 社 取 締 役 社 長 ) 田 沼 千 秋 (グリーンハウス 取 締 役 社 長 ) 田 幡 直 樹 (ヴァレックス パートナーズ 上 級 顧 問 ) 團 宏 明 ( 通 信 文 化 協 会 理 事 長 ) 塚 本 隆 史 (みずほフィナンシャルグループ 常 任 顧 問 ) 28
月 原 紘 一 ( 三 井 住 友 カード 特 別 顧 問 ) 富 樫 直 記 (オリバーワイマングループ 日 本 代 表 パートナー) 富 田 純 明 ( 日 進 レンタカー 取 締 役 会 長 ) 長 門 正 貢 (シティバンク 銀 行 取 締 役 会 長 ) 中 野 祥 三 郎 (キッコーマン 常 務 執 行 役 員 CFO ) 中 村 明 雄 ( 損 保 ジャパン 日 本 興 亜 総 合 研 究 所 理 事 長 ) 中 本 祥 一 ( 電 通 取 締 役 副 社 長 執 行 役 員 ) 西 浦 三 郎 (ヒューリック 取 締 役 社 長 ) 西 浦 天 宣 ( 天 宣 会 理 事 長 ) 西 山 茂 樹 (スカパーJSA Tホールディングス 取 締 役 会 長 ) 根 岸 修 史 ( 積 水 化 学 工 業 取 締 役 社 長 ) 野 呂 順 一 (ニッセイ 基 礎 研 究 所 取 締 役 社 長 ) 芳 賀 日 登 美 (ストラテジック コミュニケーション RI 取 締 役 社 長 ) 早 川 洋 ( 浜 銀 総 合 研 究 所 取 締 役 会 長 ) 早 﨑 博 ( 三 井 住 友 信 託 銀 行 特 別 顧 問 ) 林 由 紀 夫 (ダイキン 工 業 専 務 執 行 役 員 ) 樋 口 智 一 (ヤマダイ 食 品 取 締 役 社 長 ) 平 井 幹 久 (イデラキャピタルマネジメント 取 締 役 会 長 ) 平 野 圭 一 (ロンハ ー オテ ィエ 信 託 取 締 役 シニアマネージングディレクター) 廣 澤 孝 夫 ( 企 業 活 力 研 究 所 理 事 長 ) 藤 岡 誠 ( 日 本 軽 金 属 取 締 役 副 社 長 執 行 役 員 ) 堀 井 昭 成 (キヤノングローバル 戦 略 研 究 所 理 事 特 別 顧 問 ) 増 渕 稔 ( 日 本 証 券 金 融 取 締 役 会 長 ) 松 居 克 彦 ( 松 居 アソシエイツ 代 表 ) 松 岡 芳 孝 (ステート ストリート 信 託 銀 行 取 締 役 特 別 顧 問 ) 丸 山 明 ( 野 村 総 合 研 究 所 取 締 役 副 会 長 ) 三 宅 伊 智 朗 (スタンダード&プアーズ レーティング ジャパン 取 締 役 社 長 ) 茂 木 七 左 衞 門 (キッコーマン 特 別 顧 問 ) 森 公 高 ( 日 本 公 認 会 計 士 協 会 会 長 ) 森 正 勝 ( 国 際 大 学 副 理 事 長 ) 森 田 清 ( 第 一 三 共 相 談 役 ) 29
八 杉 茂 樹 ( 大 和 不 動 産 鑑 定 取 締 役 社 長 ) 安 田 育 生 (ピナクル 取 締 役 会 長 兼 社 長 兼 CEO ) 矢 野 龍 ( 住 友 林 業 取 締 役 会 長 ) 山 中 一 郎 ( 朝 日 税 理 士 法 人 代 表 社 員 ) 米 田 隆 ( 西 村 あさひ 法 律 事 務 所 代 表 パートナー) チャールズD.レイクⅡ (アフラック(アメリカンファミリー 生 命 保 険 ) 日 本 における 代 表 者 会 長 ) 湧 永 寛 仁 ( 湧 永 製 薬 取 締 役 社 長 ) 以 上 91 名 事 務 局 藤 巻 正 志 ( 経 済 同 友 会 執 行 役 ) 河 口 大 輔 松 本 岳 明 ( 経 済 同 友 会 政 策 調 査 第 1 部 マネジャー) ( 経 済 同 友 会 政 策 調 査 第 1 部 マネジャー) 30