目 次 提 言 のポイント 1 Ⅰ. 財 政 の 現 状 2 Ⅱ. 財 政 再 建 の 先 送 りが もはや 許 される 状 況 ではない 8 Ⅲ. 国 民 の 深 い 理 解 をどう 確 保 していくか 12 Ⅳ. 財 政 再 建 先 送 り 論 への 反 論 14 Ⅴ. 財 政 の 将 来 試



Similar documents

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6


平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

スライド 1

39_1

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

16 日本学生支援機構

弁護士報酬規定(抜粋)

スライド 1

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情


定 性 的 情 報 財 務 諸 表 等 1. 連 結 経 営 成 績 に 関 する 定 性 的 情 報 当 第 3 四 半 期 連 結 累 計 期 間 の 業 績 は 売 上 高 につきましては 前 年 同 四 半 期 累 計 期 間 比 15.1% 減 少 の 454 億 27 百 万 円 となり

18 国立高等専門学校機構


定款

 

Microsoft Word - 奨学金相談Q&A.rtf

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

●電力自由化推進法案

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

公表表紙

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

Microsoft Word 第1章 定款.doc

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

m07 北見工業大学 様式①

Taro-01 議案概要.jtd

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

定款  変更

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>

平 成 24 年 4 月 1 日 から 平 成 25 年 3 月 31 日 まで 公 益 目 的 事 業 科 目 公 1 公 2 公 3 公 4 法 人 会 計 合 計 共 通 小 計 苦 情 相 談 解 決 研 修 情 報 提 供 保 証 宅 建 取 引 健 全 育 成 Ⅰ. 一 般 正 味 財

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

Microsoft Word - 結果・異動プレス_ _clean.doc

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

Taro-条文.jtd

社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

Microsoft Word - 目次.doc

( 補 助 金 等 交 付 決 定 通 知 に 加 える 条 件 ) 第 7 条 市 長 は 交 付 規 則 第 11 条 に 規 定 するところにより 補 助 金 の 交 付 決 定 に 際 し 次 に 掲 げる 条 件 を 付 するものとする (1) 事 業 完 了 後 に 消 費 税 及 び

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

<95CA8E86315F8A6D92E8905C8D908F9182C98AD682B782E B8B4C985E8D8096DA2E786C7378>

平 成 22 年 12 月 第 5 回 定 例 会 (11 月 26 日 招 集 ) 会 期 日 程 表

【労働保険事務組合事務処理規約】

連結計算書

就 学 前 教 育 保 育 の 実 施 状 況 ( 平 成 23 年 度 ) 3 歳 以 上 児 の 多 く(4 歳 以 上 児 はほとんど)が 保 育 所 又 は 幼 稚 園 に 入 所 3 歳 未 満 児 (0~2 歳 児 )で 保 育 所 に 入 所 している 割 合 は 約 2 割 就 学

別紙3

第 3 章 会 員 ( 会 員 の 資 格 ) 第 5 条 協 会 の 会 員 は 協 会 の 目 的 に 賛 同 して 入 会 した 次 の 各 号 に 掲 げる 者 とする (1) 軽 種 馬 を 生 産 する 者 (2) 軽 種 馬 を 育 成 する 者 (3) 馬 主 (4) 調 教 師 (

スライド 1

(Microsoft Word - \212\356\226{\225\373\220j _\217C\220\263\201j.doc)

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

Microsoft PowerPoint a1.ppt

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

目 次 1. 社 会 保 障 分 野 でできること 1 1 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 制 度 の 改 善 2 保 険 証 機 能 の 一 元 化 3 自 己 診 療 情 報 の 活 用 4 給 付 可 能 サービスの 行 政 側 からの 通 知 2. 年 金 分 野 でできること 5

PowerPoint プレゼンテーション

財政再計算結果_色変更.indd

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

< EE597768E968BC688EA97972D372E786477>

1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

< DB8CAF97BF97A6955C2E786C73>

財団法人○○会における最初の評議員の選任方法(案)

(Microsoft Word - \220\305\220\247\211\374\220\263.doc)

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

Microsoft PowerPoint - 基金制度

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

<4D F736F F D FA967B8FAC8C5E C9F8DB88B408D5C817A95CA E7793B18AC493C28FF38BB5816A2E646F63>

情 報 通 信 機 器 等 に 係 る 繰 越 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 計 算 上 控 除 される 金 額 に 関 する 明 細 書 ( 付 表 ) 政 党 等 寄 附 金 特 別 控 除 額 の 計 算 明 細 書 国 庫 補 助 金 等 の 総 収 入 金 額 不 算 入 に 関

スライド 1

課 税 ベ ー ス の 拡 大 等 : - 租 税 特 別 措 置 の 見 直 し ( 後 掲 ) - 減 価 償 却 の 見 直 し ( 建 物 附 属 設 備 構 築 物 の 償 却 方 法 を 定 額 法 に 一 本 化 ) - 欠 損 金 繰 越 控 除 の 更 な る 見 直 し ( 大

 

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

類 ( 番 号 を 記 載 ) 施 設 名 事 所 名 所 在 事 開 始 年 月 日 事 規 模 ( 定 員 ) 公 益 事 必 要 な 者 に 対 し 相 談 情 報 提 供 助 言 行 政 や 福 祉 保 健 医 療 サービス 事 者 等 との 連 絡 調 整 を 行 う 等 の 事 必 要

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

減 少 率 ) と 平 均 余 命 の 伸 びを 勘 案 した 一 定 率 (0.3%) の 合 計 である スライド 調 整 率 を 差 し 引 いて 年 金 額 の 改 定 が 行 われる( 図 表 ) ただし マクロ 経 済 スライドが 完 全 に 実 施 されるのは 賃 金 や 物 価 があ

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

個人住民税徴収対策会議

Microsoft PowerPoint - 表紙

< E95FB8CF689638AE98BC689FC90B390A CC8CA992BC82B582C982C282A282C E90E096BE8E9E8E9197BF2E786477>

Transcription:

財 政 再 建 は 待 ったなし ~ 次 世 代 にツケを 残 すな~ 201 5 年 1 月 21 日 公 益 社 団 法 人 経 済 同 友 会

目 次 提 言 のポイント 1 Ⅰ. 財 政 の 現 状 2 Ⅱ. 財 政 再 建 の 先 送 りが もはや 許 される 状 況 ではない 8 Ⅲ. 国 民 の 深 い 理 解 をどう 確 保 していくか 12 Ⅳ. 財 政 再 建 先 送 り 論 への 反 論 14 Ⅴ. 財 政 の 将 来 試 算 20 Ⅵ. 抜 本 的 な 改 革 に 必 要 な 視 点 - 絶 対 に 取 り 組 むべきこと- 22 Ⅶ.おわりに - 財 政 再 建 は 喫 緊 の 課 題 であり 次 世 代 にツケを 残 してはならない- 26 2014 年 度 財 政 税 制 改 革 委 員 会 委 員 名 簿 27

提 言 のポイント (1) 財 政 再 建 のためには 国 民 の 理 解 促 進 と 認 識 のズレを 埋 めることが 必 要 財 政 問 題 に 対 する 国 民 の 理 解 は 不 十 分 しかし 国 民 の 深 い 理 解 こそが 財 政 再 建 を 果 たす 上 での 最 重 要 ポイント (2)このままでは 破 滅 的 な 未 来 を 迎 えることに! 動 態 的 試 算 (2015 年 度 203 0 年 度 )による 考 察 足 下 放 漫 財 政 と 改 革 先 送 りで 1,000 兆 円 超 の 債 務 残 高 と 毎 年 40 兆 円 の 赤 字 財 政 の 信 認 喪 失 は 突 然 の 財 政 破 綻 を 引 き 起 こし 国 民 生 活 に 壊 滅 的 な 影 響 本 提 言 では4つの 前 提 に 基 づき 将 来 試 算 を 実 施 以 下 で 示 す 数 値 は そのうち 現 状 延 長 のシナリオ(C)に 基 づく 結 果 - 生 産 年 齢 人 口 は 減 少 ( 12%) 債 務 残 高 は 増 加 (+ 42%) 一 人 当 たり 負 担 は 更 に 増 加 (+61%) (201 5 年 度 約 1,3 20 万 円 202 0 年 度 約 1,55 0 万 円 203 0 年 度 約 2,130 万 円 ) - 債 務 残 高 対 GDP 比 は 上 昇 し 財 政 発 散 へ ( 201 5 年 度 205% 202 0 年 度 219% 2030 年 度 250%) (3) 中 福 祉 低 負 担 をいかにして 是 正 していくか 世 界 標 準 の 中 で 率 直 に 言 って 日 本 は 中 福 祉 低 負 担 - 一 方 で 国 民 は 税 は 重 く 福 祉 は 大 したことないという 意 識 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 めるためには 福 祉 と 負 担 をバランスさせる 必 要 - 加 えて 社 会 保 障 関 係 費 は 一 般 会 計 予 算 において 政 策 経 費 を 圧 迫 ( 財 政 の 硬 直 化 ) 現 在 の 福 祉 水 準 から 大 きく 低 下 させないのであれば 中 福 祉 中 負 担 が 妥 当 (4) 絶 対 に 取 り 組 むべきこと ツケは 最 終 的 に 将 来 を 担 う 若 者 が 払 うこととなる 現 在 の 国 民 全 体 が 負 担 すべき - これまで 当 会 が 主 張 してきた 国 会 議 員 の 定 数 削 減 を 始 め 政 治 企 業 国 民 は 適 切 な 負 担 を 分 かち 合 う 姿 勢 を 示 すことが 肝 要 財 政 規 律 維 持 に 資 する 法 的 拘 束 力 のある 仕 組 み 並 びに 直 ちに 取 り 組 むべき 施 策 として 消 費 税 率 の 引 き 上 げ 社 会 保 障 分 野 の 給 付 抑 制 利 用 者 負 担 増 を 提 示 1

Ⅰ. 財 政 の 現 状 (1)ここまで 来 た 日 本 の 財 政 わが 国 の 財 政 はわずか 数 十 年 で ここまで 悪 化 をしてしまった バブル 崩 壊 以 降 の 度 重 なる 大 規 模 財 政 政 策 の 実 施 や 急 速 な 少 子 高 齢 化 の 進 展 に 伴 う 社 会 保 障 支 出 の 増 大 によって 赤 字 が 常 態 化 し 解 決 の 糸 口 すら 見 えない 状 況 である 債 務 残 高 は 毎 年 増 加 を 続 け 既 に 1,10 0 兆 円 を 超 えている( 図 表 1) 経 済 規 模 との 比 較 においても 名 目 GDP 比 で 232%と 先 進 国 最 悪 の 水 準 にある( 図 表 2) これは 財 政 破 綻 当 時 (201 0 年 )のギリシャが 同 148%であったことを 考 えると 驚 愕 すべき 数 字 である また 単 年 度 の 収 支 で 見 た 場 合 税 収 50 兆 円 は 歳 出 規 模 95 兆 円 の 約 半 分 に 過 ぎず 不 足 分 については 大 部 分 を 特 例 公 債 ( 赤 字 国 債 )の 発 行 に 依 存 する 状 況 にある つまり は 身 の 丈 にあった 歳 出 入 の 構 造 となっていないといえる( 図 表 3) 現 在 の 歴 史 的 低 金 利 局 面 においても 国 債 利 払 費 は 増 嵩 し また 債 務 償 還 費 等 を 合 わせた 国 債 費 全 体 は 歳 出 の4 分 の1を 占 めており 金 利 上 昇 に 対 して 極 めて 脆 弱 である その 結 果 毎 年 40 兆 円 という 名 目 GDPの8%に 相 当 する 規 模 の 赤 字 が 新 たに 生 み 出 さ れている 海 外 の 事 例 として EUは 加 盟 国 に 債 務 残 高 を 名 目 GDPの 60% 以 下 単 年 度 の 財 政 赤 字 を 同 3% 以 下 とすることを 求 めており これと 比 較 するとわが 国 の 圧 倒 的 な 水 準 は 突 出 している (2) 目 指 す 国 の 形 と そこにおける 税 財 政 の 持 続 性 そもそも 日 本 の 税 と 財 政 の 関 係 はどうなっているのか 世 界 における 位 置 付 けを 俯 瞰 してみると わが 国 の 税 収 が GDPに 占 める 割 合 は 最 低 である 一 方 で 社 会 保 障 支 出 に ついては 中 位 グループに 位 置 しており 社 会 保 障 以 外 の 支 出 が GDPに 占 める 割 合 は 最 下 位 という 歪 な 関 係 となっている( 図 表 4) 率 直 に 言 って 税 の 観 点 からは 中 福 祉 低 負 担 という 分 類 になろうが この 歪 な 状 況 をどう 是 正 するか それは 目 指 す 国 の 形 と そこにおける 税 財 政 をどう 設 計 するかという 問 題 である 中 福 祉 中 負 担 なのか 低 福 祉 低 負 担 なのか それによって 自 ずから 税 や 歳 出 に 対 する 方 向 性 も 見 えてくる 現 在 の 福 祉 水 準 を 大 きく 損 わず 維 持 するということが 最 大 の 目 的 であれば 中 福 祉 中 負 担 (= 増 税 社 会 保 険 料 負 担 増 ) を 目 指 すのが 妥 当 ということになる ただ 国 民 感 情 としては 現 在 の 状 況 について 福 祉 は 不 十 分 で 税 金 と 保 険 料 だけが 高 いとい う 意 識 があるのではないだろうか このような 税 財 政 における 真 の 実 態 と 国 民 の 意 識 の 間 のパーセプションギャップを 埋 めていくことが 財 政 の 抜 本 改 革 に 必 要 であり それには 力 強 い 政 治 のリーダーシッ プが 欠 かせない 2

( 兆 円 ) 1,200 図 表 1: 一 般 政 府 総 債 務 残 高 の 推 移 1,163 図 表 2: 債 務 残 高 の 国 際 比 較 ( 対 GDP 比 ) 1,000 800 600 400 200 19891911931995199719920012003200520720920112013 ( 注 )1989~93 年 度 は2000 年 基 準 194~2012 年 度 は2005 年 基 準 2013 年 度 は 内 閣 府 推 計 値 ( 資 料 ) 内 閣 府 ( 年 度 ) 歳 入 (95.9 兆 円 ) 税 収 50.0 兆 円 図 表 3: 一 般 会 計 歳 入 と 歳 出 の 内 訳 (2014 年 度 当 初 予 算 ベース) 税 外 収 入 4.6 兆 円 国 債 41.3 兆 円 基 礎 的 財 政 収 支 対 象 収 入 (54.6 兆 円 ) プライマリーバランス 赤 字 基 礎 的 財 政 収 支 対 象 経 費 (72.6 兆 円 ). 社 会 保 障 30.5 兆 円 公 共 事 業 5.9 兆 円 文 教 科 学 5.4 兆 円 防 衛 4.9 兆 円 その 他 9.7 兆 円 地 方 交 付 税 交 付 金 16.1 兆 円 国 債 費 23.3 兆 円 歳 出 (95.9 兆 円 ) ( 資 料 : 平 成 26 年 度 一 般 会 計 予 算 ( 平 成 26 年 3 月 20 日 成 立 )の 概 要 より 経 済 同 友 会 事 務 局 作 成 政 府 の 租 税 収 入 ( 対 GDP 比 ) 0 20 40 60 46.7 34.3 33.0 31.9 31.8 31.1 29.9 29.5 28.7 27.8 27.4 27.0 26.6 26.5 26.0 24.3 23.7 23.7 22.7 22.7 22.1 21.6 21.6 20.9 20.4 20.1 20.1 19.9 19.8 19.5 16.9 16.8 16.5 1デンマーク 2スウェーデン 3ノルウェー 4アイスランド 5ニュージーランド 6フィンランド 7ベルギー 8イタリア 9 英 国 10オーストラリア 11フランス 12イスラエル 13ルクセンブルク 14オーストリア 15カナダ 16ハンガリー 17オランダ 18ポルトガル 19アイルランド 20ドイツ 21スロベニア 22スイス 23ギリシャ 24ポーランド 25エストニア 26スペイン 27トルコ 28チリ 29 韓 国 30チェコ 32メキシコ 33 日 本 34スロバキア 図 表 4:OECD 諸 国 の 税 収 支 出 の 比 較 (201 年 ) 政 府 の 社 会 保 障 支 出 ( 対 GDP 比 ) (%) (%) (%) 0 20 40 33.6 1デンマーク 32.0 2フランス 31.7 3フィンランド ( 資 料 )OECD StatExtractsNationalAccounts EU Euro statgovernmentfinancestatistics 17.9 17.9 17.0 16.9 28.9 27.9 27.8 27.4 26.5 26.3 25.8 25.6 25.4 24.9 24.7 24.2 23.6 23.4 22.4 21.5 4オーストリア 5スウェーデン 6イタリア 7ベルギー 8ドイツ 9ギリシャ 10オランダ 11 英 国 12 日 本 13ポルトガル 14ノルウェー 15アイルランド 16スペイン 17ルクセンブルク 18ハンガリー 19チェコ 20エストニア 21スロバキア 22イスラエル 23 米 国 政 府 の 社 会 保 障 以 外 の 支 出 ( 対 GDP 比 ) 利 払 い 費 を 除 く 0 20 40 23.4 22.8 22.6 22.4 22.3 22.2 22.2 21.2 20.4 20.4 19.8 19.6 19.6 19.3 19.1 19.0 18.9 18.8 18.2 18.1 17.2 16.0 14.8 1ハンガリー 2イスラエル 3ベルギー 4スウェーデン 5オランダ 6デンマーク 7フィンランド 8フランス 9ポルトガル 10チェコ 11スペイン 12エストニア 13アイルランド 14オーストリア 15 英 国 16ルクセンブルク 17 米 国 18スロバキア 19ギリシャ 20ノルウェー 21イタリア 22ドイツ 23 日 本 3

なお 当 会 はかねてより 財 政 再 建 における 歳 入 拡 大 と 歳 出 削 減 の 必 要 性 について 強 く 主 張 してきた 現 行 の 福 祉 水 準 の 見 直 しは 当 然 必 要 であるが それも 一 定 限 界 があ る 中 では 制 度 の 持 続 可 能 性 向 上 の 観 点 から 当 面 の 対 応 として 一 定 の 負 担 を 増 やさざ るを 得 ない この 点 を 強 くアピールしていく 必 要 がある 次 に 受 益 と 負 担 の 関 係 を 国 民 が 理 解 するにあたっては 国 際 比 較 の 中 で 訴 えていく ことが 必 要 である 図 表 5は 各 国 の 社 会 保 障 支 出 と 国 民 負 担 率 の 関 係 を 表 した 図 であ るが グラフ 上 の 直 線 に 近 い 程 受 益 と 負 担 がバランスしていると 言 える 今 後 日 本 は フランスやスウェーデンのような 高 福 祉 高 負 担 を 目 指 すのか アメリ カのような 低 福 祉 低 負 担 を 目 指 すのか どのようなポジショニングを 取 るにしても 受 益 と 負 担 は 少 なくともバランスする 必 要 がある なお アメリカについては 医 療 保 険 改 革 法 (オバマケア)の 成 立 によって 中 福 祉 中 負 担 への 動 きも 出 つつあるが 一 律 的 な 負 担 増 や 国 家 財 政 の 悪 化 を 理 由 とした 反 対 意 見 も 根 強 い 受 益 と 負 担 の 関 係 は 正 に どのような 国 の 形 を 目 指 すのかという 話 な のである (3) 苦 い 薬 を 飲 まず 財 政 再 建 は 可 能 なのか? 財 政 再 建 を 果 たすためには 経 済 成 長 歳 出 削 減 歳 入 拡 大 三 位 一 体 全 て の 施 策 を 全 力 で 取 り 組 ん で い く こ と が 求 め ら れ る 歳 入 拡 大 に つ い て 消 費 税 率 を 8 %か ら 10%に 引 き 上 げ た と し て も 増 分 としては せいぜい5 兆 円 程 度 である また 経 済 成 長 によって 所 得 税 や 法 人 税 が 増 収 とな る 場 合 も わが 国 の 潜 在 成 長 率 と 足 下 の 名 目 GDP 水 準 に 鑑 みると 額 としては4~5 兆 円 程 度 と 考 えられ 毎 年 40 兆 円 の 赤 字 をとてもではないが 埋 め 合 わせられるものでは ない 歳 出 削 減 についても 税 収 上 振 れ 分 を 新 たな 歳 出 に 充 てるような 議 論 が 横 行 し 取 り 組 みの 徹 底 がいかに 難 しいかと 痛 感 させられる 財 政 再 建 には これら 三 位 一 体 の 取 り 組 みを 総 動 員 することが 必 要 であり 現 状 では 総 動 員 しても 全 く 追 い 付 かないという 事 実 を 十 分 認 識 しなくてはならない( 図 表 6) なお 国 が 保 有 する 資 産 の 売 却 によって 債 務 返 済 を 行 なえば 良 い という 意 見 も 聞 か れるが 国 のバランスシートを 見 ると 201 2 年 度 末 時 点 で 国 の 負 債 総 額 1,11 7 兆 円 に 対 して 保 有 資 産 640 兆 円 と 47 兆 円 の 負 債 超 となっている 売 却 のみで 債 務 返 済 を 行 う ことはできない( 図 表 7) また その 資 産 についても 内 容 を 個 別 に 見 てみると 国 道 や 河 川 港 湾 などの 公 共 用 財 産 や 負 債 と 両 建 ての 資 産 ( 負 債 の 返 済 は 対 応 する 資 産 を 原 資 とするような 関 係 ) といった そもそも 売 却 による 債 務 返 済 に 適 さない 資 産 が 大 部 分 を 占 めている 加 えて 国 有 財 産 や 出 資 金 等 売 却 可 能 な 資 産 は 存 在 するが 法 律 によって 国 が 一 定 割 合 の 保 有 を 求 められている 等 の 制 約 があり また 実 勢 価 格 で 資 産 計 上 されていると も 言 われており 大 きな 売 却 益 は 見 込 みがたい 4

図 表 5: 社 会 保 障 支 出 と 国 民 負 担 率 の 関 係 201 年 図 表 6: 三 位 一 体 取 り 組 みのイメージ 経 済 成 長 ( 所 得 税 法 人 税 の 増 収 ) +4~5 兆 円 程 度 殆 ど 見 込 めず 財 政 赤 字 毎 年 40 兆 円 +5 兆 円 程 度 歳 出 削 減 (むしろ 歳 出 増 の 圧 力 ) 歳 入 拡 大 ( 消 費 税 率 引 き 上 げ8 10%) 図 表 7: 国 のバランスシート 5

(4) 財 政 再 建 の 旗 の 下 何 をどこまでやるのか? 財 政 再 建 を 果 たすためには 国 際 的 な 財 政 コミットメントである 基 礎 的 財 政 収 支 (PB) 目 標 (201 5 年 度 : 赤 字 幅 対 GDP 比 半 減 202 0 年 度 : 黒 字 化 )の 達 成 が 不 可 欠 と いう 点 については 論 を 俟 たない( 図 表 8) PB 目 標 の 達 成 自 体 容 易 ではないが 財 政 再 建 はそれで 終 わりではない その 後 を 論 じる 必 要 がある つまり 何 をどこまで また いつまでにやるのかという 目 標 を 定 め る 必 要 がある そのことが 改 革 の 方 向 性 を 明 確 にし 取 り 組 みを 具 体 化 するからであ る その 場 合 債 務 残 高 の 圧 縮 まで 持 っていくのか 債 務 残 高 は 上 昇 しても 対 GDP 比 で 低 下 すれば 良 しとするのか それとも 国 のバランスシートをあわせていくのか 様 々な 考 えがあり 得 よう いずれにしても 財 政 再 建 の 構 図 を 国 民 に 示 す 必 要 がある (5) 自 然 体 で 行 きつくところは? 税 収 とほぼ 同 規 模 の 新 たな 借 金 を 前 提 とした わが 国 の 財 政 運 営 が 行 きつく 先 は 財 政 の 危 機 破 綻 以 外 にあるまい そして いざ 財 政 破 綻 が 現 実 のものとなった 場 合 韓 国 やギリシャなど 諸 外 国 で 見 られたように 国 民 の 望 む 形 でない 改 革 を 強 いられ 一 人 一 人 が 強 い 痛 みを 負 担 するこ ととなる それは 国 民 にとって 寝 耳 に 水 であり そうなってからでは いわば 敗 戦 状 態 の 国 民 は 何 ら 主 張 を 行 うことはできない( 図 表 9) 韓 国 やギリシャの 例 は IMF 等 の 支 援 があるときの 話 であり 支 援 可 能 な 規 模 を 超 える わが 国 では 何 が 起 こるかイメージできないが これ 以 上 に 悲 惨 な 状 況 を 覚 悟 しなければ ならない しかしながら このような 状 況 においても 国 民 の 間 に 財 政 再 建 の 機 運 は 全 く 盛 り 上 がっておらず それどころか 社 会 保 障 を 中 心 に 財 政 を 顧 みないかのような 更 なる 充 実 策 を 求 める 声 すらある そして 痛 みを 伴 う 施 策 に 対 しての 強 い 拒 絶 反 応 が 蔓 延 し ている (6) 提 言 で 示 すこと ねらい 以 上 の 強 い 危 機 感 に 立 ち 本 提 言 では 現 状 分 析 に 止 まらず いくつかの 前 提 をおい て 将 来 の 姿 を 動 態 的 にシミュレーションした つまり 202 0 年 度 で 取 り 組 みを 終 わらせず 更 に 10 年 間 期 間 を 延 ばし 203 0 年 度 を 視 野 に 入 れて 財 政 再 建 の 議 論 を 深 め 我 々の 抱 く 危 機 感 が 現 実 のものとならないよう 手 立 てを 講 じていきたい 6

図 表 8: 基 礎 的 財 政 収 支 (PB) 財 政 収 支 ( 対 GDP 比 ) 推 移 韓 国 :IMF 融 資 のコンディショナリティー マクロ 経 済 財 政 分 野 (1997 年 12 月 ) マクロ 経 済 目 標 財 政 図 表 9: 財 政 危 機 破 綻 時 の 再 建 策 ( 韓 国 ギリシャ) 経 常 収 支 赤 字 を98~99 年 に 対 GDP 比 1% 以 内 に 維 持 物 価 ( 上 昇 率 )を5% 以 内 に 維 持 成 長 率 を98 年 に3% 内 99 年 には 潜 在 成 長 率 水 準 に 回 復 税 率 上 げ 及 び 付 加 価 値 税 課 税 範 囲 拡 大 財 政 支 出 削 減 及 び 優 先 順 位 の 低 い 資 本 支 出 削 減 ギリシャ: 中 期 財 政 戦 略 (2011 年 6 月 9 日 ) 財 政 再 建 規 模 は 2015 年 までに 総 額 283 億 ユーロ(GDP 比 12%) 内 訳 は 歳 出 削 減 148 億 ユーロ( 同 6.3% ) 歳 入 強 化 134 億 ユーロ( 同 5.7% ) 財 政 再 建 策 の 主 な 内 容 は 以 下 のとおり(%は 全 てGDP 比 ) 歳 出 削 減 公 的 部 門 の 縮 小 (2.4%) 社 会 給 付 の 削 減 合 理 化 (1.9%) 公 務 員 の 人 件 費 削 減 (0.9% ) 医 療 費 の 削 減 (0.7% ) 歳 入 強 化 課 税 ベースの 拡 大 及 び 税 控 除 の 削 減 (2.4% ) 社 会 保 障 基 金 の 歳 入 強 化 (1.3% ) 徴 税 強 化 (1.2% ) ( 資 料 ) 韓 国 については 通 商 白 書 2014 より ギリシャについては 内 閣 府 HP より 経 済 同 友 会 事 務 局 が 作 成 7

Ⅱ. 財 政 再 建 の 先 送 りが もはや 許 される 状 況 ではない 抜 本 的 な 改 革 を 先 送 りしてきたことで 国 民 は 歳 出 削 減 や 負 担 増 といった 痛 みを そ れ 程 感 じることなく 負 担 以 上 の 受 益 を 享 受 してきた しかしながら それは 赤 字 国 債 発 行 という 将 来 世 代 の 負 担 に 基 づくものであり もはや これ 以 上 の 放 置 が 許 される 状 況 にないとの 自 覚 が 必 要 である (1) 今 後 更 に 状 況 を 悪 くする 要 因 が 山 積 経 常 収 支 赤 字 2011 年 の 東 日 本 大 震 災 後 原 子 力 発 電 所 の 稼 働 停 止 に 伴 い 化 石 燃 料 の 輸 入 が 急 増 し 貿 易 収 支 は 赤 字 に 転 じた その 後 も 円 安 に 伴 う 輸 入 額 の 増 加 と 生 産 の 現 地 化 の 進 展 等 に 伴 う 輸 出 の 伸 び 悩 みを 背 景 に 貿 易 収 支 の 赤 字 幅 は 拡 大 経 常 収 支 は 減 少 を 続 け 2013 年 度 には 経 常 収 支 黒 字 額 は1 兆 円 を 下 回 る 水 準 まで 低 下 した( 図 表 10) 今 後 経 常 収 支 が 赤 字 となった 場 合 海 外 からの 資 金 調 達 の 必 要 性 が 意 識 されるため わが 国 のように 巨 額 の 政 府 債 務 残 高 を 抱 えた 状 況 においては 金 利 急 騰 のトリガーとな る 可 能 性 がある こうした 動 きを 市 場 が 一 旦 織 り 込 むと その 動 きは 極 めて 早 い また 経 常 収 支 赤 字 に 限 らず トリガーは 至 るところに 存 在 しうる 金 利 上 昇 リスク = 突 然 死 リスクの 高 まり 国 債 の 利 払 費 は これまで 長 期 に 渡 る 緩 和 的 な 金 融 政 策 によって 金 利 が 低 位 に 推 移 したことから 抑 制 されてきた しかしながら 歴 史 的 な 低 金 利 にも 関 わらず 足 下 では 公 債 残 高 の 増 加 によって 利 払 費 は 増 嵩 している 危 機 的 状 況 にある( 図 表 11) 今 後 ゼロ 金 利 とも 言 える 金 利 が 上 昇 した 場 合 利 払 費 は 不 連 続 な 程 の 急 拡 大 が 起 こ り 財 政 危 機 破 綻 に 直 結 しかねない 金 利 上 昇 に 対 して 極 めて 脆 弱 な 構 造 なのである 現 在 官 民 一 体 となって 取 り 組 みが 進 められている アベノミクスの 結 実 によって デフレ 脱 却 と 潜 在 成 長 率 の 引 き 上 げが 現 実 のものとなった 場 合 金 利 上 昇 の 圧 力 は 高 ま らざるをえない これは 税 収 増 を 伴 う 良 い 金 利 上 昇 であるかもしれないが 利 払 費 と の 関 係 では 注 意 を 要 する 点 である( 詳 細 はⅣ 章 ) 言 うまでもなく 財 政 リスクが 意 識 された 上 での 金 利 上 昇 いわゆる 悪 い 金 利 上 昇 の 場 合 マイナスの 影 響 は 更 に 大 きく 政 府 の 財 政 再 建 に 対 するスタンス 如 何 では 現 実 のものとなりかねない これまでの 所 日 銀 による 大 規 模 な 国 債 買 入 によって 金 利 を 抑 え 込 むことに 成 功 し ているが 今 後 この 規 模 の 買 入 を 継 続 していく 場 合 市 場 から 財 政 規 律 の 緩 みや 実 質 的 財 政 ファイナンスと 目 され 大 規 模 な 売 りに 繋 がる 可 能 性 もある 金 融 機 関 破 綻 金 融 のシステミックリスク 金 融 機 関 が 大 量 に 国 債 を 保 有 している 現 状 において 金 利 急 騰 による 国 債 価 格 の 損 失 は 自 己 資 本 を 毀 損 させ その 水 準 規 模 によっては 金 融 システム 不 安 を 引 き 起 こ し 深 刻 な 景 気 後 退 に 繋 がる 恐 れもある 8

図 表 10: 経 常 収 支 の 推 移 図 表 11: 金 利 利 払 費 公 債 残 高 の 推 移 9

少 子 高 齢 化 に 伴 う 社 会 保 障 給 付 の 自 然 増 わが 国 は 世 界 に 類 をみない 規 模 と 猛 スピードの 少 子 高 齢 化 によって 社 会 保 障 給 付 費 は 急 増 ( 図 表 12) 現 状 社 会 保 障 関 係 費 は 一 般 会 計 歳 出 の 約 3 分 の1を 占 め 財 政 悪 化 の 最 も 大 きな 要 因 となっている 加 えて 社 会 保 障 給 付 に 関 する 歳 出 は 殆 ど 全 てが 法 律 で 規 定 されており 歳 出 削 減 の 取 り 組 みをより 困 難 にしている 高 齢 者 の 反 発 や 選 挙 支 持 率 への 影 響 の 大 きさが 意 識 され 現 実 的 には 取 り 組 みが 全 く 進 んでいない 今 後 少 子 高 齢 化 は 一 段 の 加 速 が 予 想 されており 改 革 が 進 まない 状 況 が 続 けば 更 なる 財 政 への 圧 迫 は 確 実 である 歳 出 の 更 なる 膨 張 限 りある 財 源 は 政 策 効 果 の 高 い 領 域 に 厳 選 投 入 する 必 要 があり 日 本 の 競 争 力 強 化 に 対 する 効 果 が 薄 い 短 期 の 経 済 対 策 への 歳 出 増 は 厳 に 慎 まなくてはならない バラマキの 繰 り 返 しが 現 在 の 状 況 を 産 み 出 した 要 因 の 一 つであるにも 関 わらず 消 費 活 性 化 策 や 地 方 創 生 の 名 を 借 りた 形 で 歳 出 膨 張 の 圧 力 は 高 まっている (2) 財 政 再 建 取 り 組 みに 対 する 諸 外 国 からの 評 価 諸 外 国 に 対 する 財 政 のコミットメントとしては まず 基 礎 的 財 政 収 支 目 標 (201 5 年 度 : 赤 字 幅 対 GDP 比 半 減 202 0 年 度 : 黒 字 化 )が 挙 げられる わが 国 財 政 への 信 認 を 維 持 するための 試 金 石 であり 財 政 再 建 に 向 けた 長 い 取 り 組 みの 中 での 重 要 なマイルス トーンと 位 置 付 けられるため 確 実 な 履 行 が 求 められる( 図 表 13) また IMF OECDといった 国 際 機 関 の 年 次 評 価 において 日 本 に 対 しては 財 政 再 建 へ の 取 り 組 みを 強 く 促 す 内 容 となっており 真 摯 に 受 け 止 め 取 り 組 みを 進 めていく 必 要 があろう( 図 表 14) 図 表 12: 社 会 保 障 給 付 費 の 推 移 10

図 表 13: 各 国 の 財 政 健 全 化 に 向 けた 取 り 組 み ( 資 料 ) 財 務 省 図 表 14: 日 本 の 財 政 に 対 する 国 際 機 関 の 見 方 11

(3) 誰 が 日 本 を 救 えるのか 世 界 第 3 位 の 経 済 規 模 である 日 本 が 財 政 危 機 となった 場 合 救 済 者 は 存 在 しない IMFが 支 援 可 能 な 規 模 を 超 えており また 欧 州 債 務 危 機 において EUが 果 たしたよ うな 役 割 を 誰 かに 期 待 することも 難 しい( 図 表 15) 日 本 を 救 えるのは 日 本 だけであり ひいては 一 人 一 人 の 日 本 人 だけという 自 覚 が 必 要 であろう Ⅲ. 国 民 の 深 い 理 解 をどう 確 保 していくか (1) 財 政 悪 化 は 国 だけの 問 題 なのか 国 と 地 方 地 方 には 最 後 は 国 が 面 倒 をみてくれるという 親 方 日 の 丸 の 意 識 が 存 在 するの ではないか 少 なくとも 現 行 の 地 方 交 付 税 交 付 金 制 度 は 財 政 面 において その 意 識 を 助 長 しうるものとなっている 現 行 制 度 の 下 では 地 方 の 歳 出 入 の 差 額 は 交 付 税 によって 調 整 されるため 交 付 税 を 受 領 しない 一 部 の 自 治 体 ( 不 交 付 団 体 )を 除 き 歳 出 削 減 や 歳 入 拡 大 ( 自 主 財 源 確 保 ) に 向 けたインセンティブが 存 在 しない 1 しかしながら 交 付 税 は 国 の 歳 入 を 原 資 としており 国 が 財 政 破 綻 となった 場 合 当 然 現 行 制 度 は 維 持 しえない そういった 意 味 では 一 つの 財 布 とも 言 え 地 方 にとって も 国 の 財 政 悪 化 は 自 身 の 問 題 と 位 置 付 けるべきである 国 と 国 民 財 政 問 題 は 一 般 的 な 国 民 にとって 必 ずしも 馴 染 みのあるテーマはないため 財 政 赤 字 の 状 況 や 債 務 残 高 の 水 準 それによって 生 じ 得 る 問 題 などについて 十 分 理 解 され てきたとは 言 い 難 い 加 えて 財 政 再 建 策 は 増 税 や 歳 出 カットといった 不 人 気 な 施 策 を 伴 いやすく 政 治 家 も 敢 えて 選 挙 の 争 点 としてこなかった そのため 国 民 一 人 一 人 が 意 識 的 に 情 報 を 取 りにいかない 限 り 財 政 再 建 の 必 要 性 を 実 感 する 機 会 を 得 にくく また 政 府 による 楽 観 的 な 経 済 成 長 予 測 が 財 政 再 建 の 必 要 性 を 覆 い 隠 してきた 面 も 否 定 できない( 図 表 16 17) 現 状 と 将 来 像 のイメージを 丁 寧 に 共 有 化 していくことで 国 民 一 人 一 人 が 財 政 再 建 の 必 要 性 を 実 感 しない 限 り 負 担 増 に 対 する 抵 抗 感 は 和 らぎにくい 1 当 会 では 道 州 制 導 入 に 伴 い 現 行 の 地 方 交 付 税 交 付 金 制 度 の 廃 止 道 州 間 の 水 平 的 財 政 調 整 制 度 の 創 設 を 提 言 してきた(201 1 年 1 月 公 表 2020 年 の 日 本 創 生 - 若 者 が 輝 き 世 界 が 期 待 する 国 へ- ) 12

図 表 15:IMF EUによる 欧 州 諸 国 への 支 援 内 容 ( 資 料 ) 財 務 省 図 表 16: 政 府 経 済 見 通 しと 実 績 ( 名 目 GDP 成 長 率 ) 図 表 17: 政 府 経 済 見 通 しと 実 績 ( 実 質 GDP 成 長 率 ) 13

(2)ツケは 全 て 先 送 りの 発 想 国 の 放 漫 財 政 は 国 民 にとって 生 活 水 準 の 向 上 に 繋 がっている 面 があり 自 身 の 負 担 以 上 の 便 益 を 受 けることを 心 地 良 く 感 じる 意 識 があるかもしれない 度 重 なる 改 革 の 先 送 りにより その 間 財 政 は 確 実 に 悪 化 した 改 革 の 先 送 りを 声 高 に 叫 ぶことで 自 身 の 存 命 中 には 最 終 的 な 負 担 を 免 れられる との 計 算 もあるかもしれない しかしながら こういったツケを 全 て 先 送 りする 発 想 の 下 では 子 や 孫 の 世 代 に 負 担 が 際 限 なく 蓄 積 してしまう 2 現 役 世 代 一 人 で 高 齢 者 一 人 を 支 える 将 来 の 到 来 は もう すぐであり 支 え 手 の 負 担 は 限 界 に 達 するであろう 将 来 の 世 代 は 現 在 選 挙 権 も 有 さず まだ 生 まれてすらいない 可 能 性 もある 次 世 代 の 日 本 を 担 う 層 に きちんとした 形 でバトンを 渡 すのは 今 を 生 きているものの 責 任 で ある (3) 総 論 賛 成 各 論 反 対 の 構 造 をどう 断 ち 切 るか 中 福 祉 中 負 担 について 十 分 理 解 し 便 益 の 裏 側 には 対 応 する 負 担 が 必 要 であり 現 状 は 福 祉 水 準 に 見 合 った 負 担 となっていないことを 認 識 しなくてはならない また 財 政 再 建 は 突 然 の 外 科 手 術 で 解 決 できるような 問 題 ではなく 相 応 に 時 間 を 要 する 中 長 期 の 取 り 組 みとならざるを 得 ない そのため 将 来 を 見 据 えた 中 長 期 の 目 標 を 明 示 することが 肝 要 である Ⅳ. 財 政 再 建 先 送 り 論 への 反 論 (1) 大 部 分 を 日 本 人 が 保 有 しているから 日 本 国 債 は 安 全? 日 本 国 債 は 201 3 年 度 末 の 残 高 ベースでは 92%が 日 本 人 による 保 有 (うち 日 銀 20%) であり 外 国 人 の 保 有 占 率 は8%に 過 ぎず( 図 表 18) 47%のアメリカ(201 4 年 3 月 )や 61%のドイツ(201 3 年 12 月 )と 比 較 すると 確 かに 少 ない しかしながら 安 定 的 保 有 と 見 られることが 多 い 日 本 人 の 保 有 のうち 37%を 保 有 している 銀 行 は 見 通 しに 基 づ いて 機 動 的 に 売 買 を 行 う 傾 向 があり 必 ずしも 安 定 的 とは 言 えない 加 えて 価 格 形 成 において 大 きな 影 響 力 を 持 つのは 実 際 に 取 引 された 価 格 がいく らかということであり 国 債 の 売 買 に 占 める 外 国 人 の 割 合 は 約 50%と 高 い( 図 表 19) また 日 本 人 による 日 本 国 債 の 買 入 余 力 や 増 税 余 力 を 図 る 指 標 として 家 計 金 融 資 産 残 高 (ネット)が 用 いられることが 多 い これまでは 同 指 標 は 一 般 政 府 債 務 残 高 の 水 準 を 上 回 って 推 移 し 国 債 の 増 発 を 吸 収 することが 可 能 であったが 高 齢 化 の 進 展 に 伴 い 家 計 が 貯 蓄 取 り 崩 しの 段 階 に 入 っており 早 晩 家 計 金 融 資 産 残 高 (ネット)を 上 回 ると 考 えられる( 図 表 20) 更 に 個 人 がアクセス 可 能 な 海 外 の 資 本 市 場 が 拡 大 する 中 海 外 投 資 へのハードルが 低 下 してきており 従 来 以 上 にキャピタルフライトの 危 険 性 は 高 まっている 2 建 設 国 債 についてはインフラ 等 の 整 備 に 使 用 されるため 将 来 の 世 代 が 受 ける 便 益 が 無 いわけではないが 赤 字 国 債 については いわば 生 活 費 として 都 度 費 消 され 将 来 世 代 に 残 されるのは 負 担 のみとなる 14

図 表 18: 国 債 保 有 主 体 内 訳 の 推 移 10% その 他 家 計 75% 50% 海 外 年 金 基 金 生 損 保 等 銀 行 等 日 本 銀 行 25% 財 政 融 資 資 金 公 的 年 金 0% 平 成 16 年 平 成 18 年 平 成 20 年 平 成 22 年 平 成 24 年 ( 資 料 ) 国 債 管 理 レポート ( 年 度 末 ) 一 般 政 府 ( 除 く 公 的 年 金 ) 図 表 19: 主 な 国 債 売 買 主 体 の 内 訳 推 移 (ネット) 図 表 20: 一 般 政 府 債 務 残 高 家 計 の 金 融 資 産 残 高 の 推 移 15

(2) 経 済 成 長 無 くして 財 政 再 建 無 し? 経 済 成 長 に 伴 う 税 収 増 により 財 政 収 支 の 改 善 という 財 政 再 建 の 道 筋 が 考 えられる 一 方 で 経 済 成 長 は 必 要 であるが それだけで 財 政 再 建 が 出 来 る 状 況 でないのは 既 に 述 べてきた 通 りである 財 政 再 建 策 は 歳 出 削 減 策 や 増 税 を 伴 い 個 人 や 企 業 の 負 担 が 増 し 短 期 的 には 景 気 に 対 してマイナスの 影 響 を 与 えることが 多 い その 結 果 税 率 は 上 がっても 肝 心 の 税 収 増 には 繋 がらないとの 意 見 は 根 強 い しかしながら 財 政 の 健 全 化 は 義 務 的 経 費 の 圧 縮 による 財 政 の 柔 軟 性 確 保 や 将 来 不 安 の 軽 減 による 個 人 消 費 の 拡 大 など 安 定 的 な 経 済 成 長 の 基 盤 となるという 基 本 的 考 えが 重 要 である つまり 財 政 再 建 と 経 済 成 長 どちらか 一 方 の 施 策 のみで 持 続 的 な 繁 栄 は 困 難 であ り 両 者 を 並 び 立 たせる 他 ないと 考 えられる よく 二 兎 を 追 うものは 一 兎 をも 得 ずと 言 われるが 経 済 成 長 か 財 政 再 建 の どちらか 一 つを 達 成 するだけでも 大 変 なのに 今 の 日 本 は 経 済 成 長 も 財 政 再 建 も 達 成 しなければならない 状 況 に 陥 っているということなのだ (3) 国 の 資 産 を 売 却 すれば 債 務 返 済 は 可 能? Ⅰ 章 (3)で 記 載 の 通 り 国 のバランスシートは 47 兆 円 の 負 債 超 となっている 上 公 共 用 財 産 等 売 却 による 債 務 返 済 に 適 さない 資 産 が 大 部 分 である( 図 表 21として 図 表 7を 再 掲 ) しかしながら 国 有 財 産 と 出 資 金 には 売 却 自 体 は 可 能 な 資 産 も 含 まれ ており それだけで 債 務 返 済 に 十 分 な 額 を 捻 出 出 来 るものではないが 少 なくとも 対 応 可 能 なものには 対 応 する という 姿 勢 は 国 民 の 納 得 感 を 高 める 上 で 重 要 である また 保 有 資 産 を 民 間 に 売 却 し 民 間 の 知 見 を 活 用 することで 将 来 の 更 なる 負 担 増 の 抑 制 が 見 込 まれ 国 としても 最 大 限 の 対 応 が 必 要 である なお 国 と 地 方 トータルで 見 た 場 合 も 地 方 の 積 立 金 残 高 の 増 加 は 国 のバランスシ ートのマイナス 拡 大 ペースには 及 ばず 債 務 の 超 過 幅 は 拡 大 を 続 けている( 図 表 22) (4) 経 済 成 長 による 税 収 増 で 金 利 上 昇 を 吸 収? 債 務 残 高 は GDPの 倍 以 上 の 規 模 であるため 成 長 率 と 名 目 金 利 が 同 率 の 上 昇 となった 場 合 税 収 の 増 加 は 利 払 費 の 増 加 を 下 回 る 見 通 しである( 図 表 23) 図 表 21: 国 のバランスシート 16

図 表 22: 地 方 積 立 金 及 び 国 の 資 産 負 債 差 額 の 推 移 図 表 23: 成 長 率 と 長 期 金 利 の 関 係 ( 財 務 省 試 算 ) 平 成 26 年 度 予 算 の 後 年 度 歳 出 歳 入 への 影 響 試 算 歳 出 自 然 体 経 済 成 長 率 3.0%ケース 成 長 率 金 利 ともに 1% 上 昇 した 場 合 平 成 29 年 度 見 通 し 税 収 +2.0 兆 円 増 利 払 い +4.1 兆 円 増 ( 税 収 増 < 利 払 い 増 ) ( 資 料 ) 財 務 省 17

(5) 将 来 的 には 高 齢 者 の 減 少 によって 財 政 再 建 が 進 む? わが 国 の 財 政 を 悪 化 させた 主 要 因 の 一 つである 社 会 保 障 給 付 費 に 関 して 204 0 年 以 降 は 主 たる 受 給 者 である 高 齢 者 の 人 口 減 少 によって 社 会 保 障 財 政 の 収 支 が 改 善 する との 主 張 が 聞 かれる しかしながら ここまで 財 政 が 悪 化 したわが 国 が 改 革 を 先 送 りし 続 ければ 204 0 年 ま でに 破 綻 する 方 が 現 実 的 であり そもそもの 想 定 が 間 違 っている 既 に 人 口 減 少 が 始 ま っており 経 済 の 活 力 を 高 め 安 定 的 な 成 長 を 持 続 することが 困 難 を 極 める 状 況 下 改 革 の 先 送 りと 税 収 減 によって 財 政 が 急 速 に 悪 化 することは 確 実 である 仮 に こういった 方 針 の 下 で 204 0 年 を 迎 えられることがあったとしても それまで 高 齢 者 人 口 が 増 え 続 ける 一 方 生 産 年 齢 人 口 の 減 少 が 進 んでおり( 図 表 24) 支 え 手 の 人 口 動 態 を 勘 案 すると 高 齢 者 の 減 少 に 頼 った 財 政 再 建 など 到 底 不 可 能 である 2040 年 以 降 高 齢 化 率 の 上 昇 と 生 産 年 齢 人 口 比 率 の 低 下 は 一 段 の 進 展 が 予 想 されて おり 当 該 主 張 が 妥 当 でないのは 明 らかである 一 人 当 たりの 負 担 額 について Ⅴ 章 にて 試 算 した 将 来 の 債 務 残 高 をもとにお 示 しする ( 図 表 25) 総 人 口 が 減 少 する 一 方 で( 8%) 債 務 残 高 は 増 加 の 見 通 しであるため(+42%) 一 人 当 たりの 負 担 額 は 債 務 残 高 の 増 加 を 上 回 る (+54% ) 支 え 手 である 生 産 年 齢 人 口 (15~64 歳 )をベースとした 場 合 人 口 の 減 少 は 更 に 大 きく( 12%) 一 人 当 たりの 負 担 増 は 一 段 と 顕 著 であった(+61%) 実 額 では 201 5 年 度 の 約 1,32 0 万 円 から 203 0 年 度 は 80 万 円 増 の 約 2,13 0 万 円 となった 18

図 表 24: 日 本 の 人 口 推 移 ( 万 人 ) 200 2010 2020 2030 2040 2050 2060 総 人 口 12,693 12,806 12,410 11,662 10,728 9,708 8,674 若 年 人 口 (14 歳 以 下 ) 1,847 1,680 1,457 1,204 1,073 939 791 生 産 年 齢 人 口 (15~64 歳 ) 8,62 8,103 7,341 6,773 5,787 5,001 4,418 高 齢 者 人 口 (65 歳 以 上 ) 2,201 2,925 3,612 3,685 3,868 3,768 3,464 図 表 25: 公 債 等 残 高 と 一 人 当 たり 負 担 額 の 将 来 推 計 年 度 公 債 等 残 高 総 人 口 一 人 当 生 産 年 齢 人 口 一 人 当 (*1) 増 減 率 増 減 率 負 担 額 増 減 率 増 減 率 負 担 額 増 減 率 ( 兆 円 ) (*2) ( 万 人 ) ( 万 円 ) ( 万 人 ) ( 万 円 ) 2015 1,016-12,660-803 - 7,682-1,323-2020 1,141 12.3% 12,410-2.0% 919 14.4% 7,341-4.4% 1,554 17.5% 2025 1,280 26.0% 12,06-4.7% 1,061 32.1% 7,085-7.8% 1,807 36.6% 2030 1,440 41.7% 11,662-7.9% 1,235 53.8% 6,773-11.8% 2,126 60.7% (*1) 公 債 等 残 高 は 試 算 のCケース( 現 状 延 長 )の 数 値 (*2) 増 減 率 は 全 項 目 とも2015 年 度 対 比 での 数 値 ( 資 料 ) 公 債 等 残 高 については 経 済 同 友 会 試 算 値 人 口 関 連 については 図 表 24と 同 様 19

Ⅴ. 財 政 の 将 来 試 算 財 政 の 将 来 の 姿 を 動 態 的 に 捉 えるため 以 下 の 前 提 に 基 づき 202 0 年 度 の PB 黒 字 化 目 標 達 成 を 意 識 した 上 で 203 0 年 度 までの 財 政 関 連 の 諸 数 値 について 試 算 を 実 施 した A 202 0 年 度 PB 黒 字 化 を 達 成 高 成 長 デフレ 脱 却 歳 出 歳 入 改 革 が 進 展 B 成 長 戦 略 改 革 とも 一 定 程 度 進 展 財 政 発 散 を 免 れるギリギリの 水 準 ( 対 GDP 比 一 定 ) C 成 長 を 一 定 見 込 みつつも 財 政 面 で 特 段 の 改 革 見 られず 成 長 率 物 価 等 横 這 い( 現 状 延 長 ) D 人 口 減 少 を 背 景 にゼロ 成 長 財 政 リスクを 意 識 した 金 利 上 昇 発 生 改 革 は 停 滞 ( 一 部 後 退 ) 2020 年 度 の PB 黒 字 化 については Aで 達 成 する これは 内 閣 府 試 算 3 と 同 様 の 高 い 成 長 率 に 加 え 社 会 保 障 関 係 費 の 年 間 5,000 億 円 削 減 10% 超 への 消 費 税 率 の 引 き 上 げ(202 0 年 度 時 点 では 税 率 13%)といった 抜 本 改 革 をしたケースである ( 図 表 27) B~Dはいず れも 未 達 であるが 203 0 年 度 にかけ その 乖 離 は 更 に 拡 大 していく 次 に PBに 国 債 利 払 いを 加 味 した 財 政 収 支 については 全 ての 想 定 で 203 0 年 度 までに 黒 字 化 を 果 たすことが 出 来 ず Aであっても 20 兆 円 以 上 の 赤 字 となる( 図 表 29) その 結 果 公 債 等 残 高 は 全 ての 想 定 で 増 加 することとなる( 図 表 30) 公 債 等 残 高 の 対 GDP 比 は 理 想 的 な 想 定 のAで 初 めて 明 確 な 低 下 トレンドを 辿 ることが 3 内 閣 府 中 長 期 の 経 済 財 政 に 関 する 試 算 ( 平 成 26 年 7 月 25 日 ) の 経 済 再 生 ケースは 本 提 言 の 試 算 Aと 同 様 平 均 的 に 名 目 3% 実 質 2%の 成 長 率 と 中 期 的 に2% 近 傍 の CPI 対 前 年 上 昇 率 を 前 提 としているが 202 0 年 度 の PB 黒 字 化 は 未 達 (11 兆 円 の 赤 字 対 名 目 GDP 比 1.8 %) ( 長 期 金 利 の 想 定 ) A 2014~2023 年 は 中 長 期 の 経 済 財 政 に 関 する 試 算 ( 平 成 26 年 7 月 25 日 内 閣 府 ) の 経 済 再 生 ケースを 使 用 以 降 緩 やかに 上 昇 し 2025 年 に 5.0%に 達 した 以 降 横 這 いと 想 定 B 足 下 1.0%から 緩 やかに 金 利 上 昇 202 3 年 に 2.5%に 達 した 以 降 横 這 いと 想 定 C 期 間 中 1.0%で 一 定 D 201 6 年 度 まで 1.0% 横 這 い その 後 202 0 年 度 にかけ 5.0%まで 上 昇 以 降 横 這 いと 想 定 ( 試 算 に 関 する 留 意 点 ) 経 済 同 友 会 事 務 局 にて 試 算 を 実 施 各 項 目 は 本 来 相 互 に 影 響 を 与 え 合 う 可 能 性 が 高 いが 試 算 においては 影 響 を 加 味 せず 20

可能となり Bでかろうじて横這い C Dでは発散経路に乗ることになる 図表 31 図表 26 名目 GDP 図表 27 基礎的財政収支 PB 国 地方 図表 28 基礎的財政収支 PB 対名目 GDP 比 図表 29 財政収支 国 地方 図表 31 公債等残高対名目 GDP 比 図表 30 公債等残高 21

巨 額 の 債 務 残 高 は 金 利 上 昇 に 伴 う 急 激 な 利 払 費 増 加 によって 突 然 死 リスクを 高 め ることとなる 改 革 の 先 送 りは 許 されない Ⅵ. 抜 本 的 な 改 革 に 必 要 な 視 点 - 絶 対 に 取 り 組 むべきこと- (1) 税 負 担 の 適 正 性 現 行 の 中 福 祉 低 負 担 の 構 造 を 中 福 祉 中 負 担 に 移 行 するにおいては 税 の 観 点 からは 現 役 世 代 に 過 度 な 負 担 をかけず 幅 広 い 世 代 が 支 える 税 制 とすることが 必 要 1 制 度 としての 強 化 広 く 薄 く 幅 広 い 層 で 財 政 を 支 えるという 観 点 からは 例 えば 以 下 のような 取 り 組 みが 考 えられる 消 費 税 率 の 引 き 上 げ 現 役 世 代 以 外 に 担 い 手 を 拡 大 するとともに 直 間 比 率 の 是 正 にも 効 果 免 税 点 の 引 き 下 げ 消 費 税 率 引 き 上 げに 伴 う 益 税 の 増 加 に 対 応 外 形 標 準 課 税 の 強 化 応 益 課 税 強 化 の 観 点 から 課 税 対 象 範 囲 を 拡 大 給 与 所 得 控 除 の 見 直 し 課 税 ベースの 拡 大 とともに 低 所 得 者 対 策 として 給 付 付 き 税 額 控 除 の 実 施 2 捕 捉 漏 れへの 対 応 今 後 消 費 税 率 の 引 き 上 げ 等 の 負 担 増 を 国 民 が 受 け 入 れるにあたり 公 正 の 観 点 か ら 捕 捉 をきちんと 行 うことが 納 税 に 対 する 納 得 感 を 高 める 上 で 不 可 欠 である 徴 税 体 制 の 強 化 人 員 増 システム 増 強 を 通 じて 体 制 を 強 化 徴 税 を 逃 れるイ ンセンティブを 減 じる( 体 制 強 化 に 伴 う 費 用 負 担 と 効 果 の 見 極 めが 必 要 ) マイナンバー 制 度 早 期 完 全 実 施 充 実 を 求 める( 資 産 からの 収 益 についての 捕 捉 範 囲 を 拡 大 ) (2) 中 長 期 的 な 取 り 組 みとするための 制 度 改 革 法 的 拘 束 力 のある 仕 組 みを 整 えることは 政 治 のコミットメント 強 化 に 繋 がり 財 政 規 律 維 持 に 資 する 財 政 再 建 に 成 功 した 海 外 の 事 例 等 を 通 じて 検 討 したい( 図 表 32) 1 財 政 健 全 化 法 の 制 定 財 政 再 建 は 国 家 の 重 大 事 であり 与 野 党 問 わず その 重 要 性 は 変 わらないはずである にもかかわらず 政 争 の 具 とされ 改 革 を 滞 らせる 原 因 となることが 余 りに 多 い 法 の 制 定 主 旨 として 財 政 再 建 は 国 家 として 取 り 組 むべき 課 題 である 点 を 明 示 した 上 で 以 下 の 内 容 を 含 む 財 政 健 全 化 法 の 制 定 を 求 める 財 政 運 営 の 基 本 原 則 財 政 目 標 ルールを 内 閣 発 足 の 都 度 定 める 財 政 再 建 取 り 組 みの 先 送 りを 牽 制 するとともに 財 政 再 建 が 選 挙 の 争 点 として 目 に 留 まりやすく なる 中 期 財 政 フレームの 策 定 単 なる 中 期 の 見 通 しに 過 ぎない 現 在 の 仕 組 みを 改 め 将 来 の 歳 出 について 拘 束 する 内 容 とする 22

図 表 32: 法 的 拘 束 力 を 持 つ 財 政 ルールの 事 例 オーストラリアやカナダ スウェーデン ニュージーランドのように 90 年 代 に 財 政 再 建 を 成 功 させた 国 では 法 的 拘 束 力 を 持 つ 財 政 ルールや 効 率 的 な 予 算 編 成 プロセスなどの 財 政 再 建 の 実 効 性 持 続 性 を 高 める 制 度 仕 組 みを 早 い 段 階 から 確 立 し 取 り 組 んでいる 財 政 再 建 に 対 する 国 民 の 支 持 理 解 を 得 るため 財 政 状 況 等 の 透 明 性 を 高 め 説 明 責 任 を 高 める 取 り 組 みも 取 られている 法 的 拘 束 力 を 持 つ 財 政 ルールの 事 例 導 入 国 施 策 主 な 内 容 オーストラリア 予 算 公 正 憲 章 法 (98 年 ) 中 長 期 的 な 財 政 戦 略 予 算 編 成 の 基 本 方 針 等 財 政 運 営 全 般 に 関 する 基 本 的 な 枠 組 みを 規 定 財 政 戦 略 レポート 等 においてルールの 遵 守 状 況 を 検 証 法 律 に 基 づく 閣 議 決 定 によって 主 目 標 及 び 副 目 標 を 具 体 的 に 設 定 将 来 見 通 し(93 年 ) 次 年 度 予 算 とその 後 3 年 間 を 対 象 とし 省 庁 別 歳 出 額 等 を ベースラインとして 固 定 厳 格 に 歳 出 を 拘 束 しないが 政 策 の 変 更 等 がなければ 改 定 されない 省 庁 が 歳 出 増 を 伴 う 新 規 施 策 を 提 案 する 場 合 には 既 存 施 策 の スクラップが 求 められる スウェーデン フレーム 予 算 歳 出 見 通 しに 基 づき 将 来 3か 年 の 歳 出 総 額 に 対 するシーリングを 設 定 支 出 シーリング(96 年 ) 設 定 されたシーリングは 議 会 の 議 決 が 見 直 されない 限 り 改 定 されない ニュージーランド 財 政 責 任 法 (94 年 ) 中 長 期 的 な 財 政 戦 略 予 算 編 成 の 基 本 方 針 等 財 政 運 営 全 般 に 関 する 基 本 的 な 枠 組 みを 規 定 ベースライン(89 年 ) ( 資 料 ) 内 閣 府 世 界 経 済 の 潮 流 2010 年 Ⅱ より 経 済 同 友 会 事 務 局 作 成 財 政 戦 略 レポート 等 においてルールの 遵 守 状 況 を 検 証 法 律 に 基 づく 閣 議 決 定 によって 長 期 及 び 短 期 目 標 を 具 体 的 に 設 定 ベースラインに 基 づいて 予 算 編 成 を 実 施 厳 格 に 歳 出 を 拘 束 しないが 政 策 の 変 更 等 がなければ 改 定 されない 省 庁 が 歳 出 増 を 伴 う 新 規 施 策 を 提 案 する 場 合 には 既 存 施 策 の スクラップが 求 められる 財 政 運 営 の 透 明 性 確 保 説 明 責 任 強 化 のための 施 策 の 事 例 導 入 国 施 策 主 な 内 容 オーストラリア 予 算 公 正 憲 章 法 に 年 内 に 複 数 回 及 び 総 選 挙 時 に 財 政 戦 略 報 告 書 等 の 公 表 を 義 務 付 け おける 規 定 (98 年 ) カナダ 事 前 意 見 聴 取 (94 年 ) 議 会 での 事 前 予 算 相 談 プロセスとして 全 国 各 地 でフォーラムを 開 催 し 予 算 に 対 する 意 見 陳 述 の 機 会 を 一 般 国 民 に 提 供 ( 資 料 ) 内 閣 府 世 界 経 済 の 潮 流 2010 年 Ⅱ より 経 済 同 友 会 事 務 局 作 成 23

定 期 的 な 検 証 財 政 目 標 の 達 成 状 況 についての 検 証 を 義 務 付 け また 景 気 の 後 退 や 財 政 政 策 の 実 施 等 によって 財 政 目 標 から 乖 離 した 場 合 について その 復 帰 策 についても 公 表 を 義 務 付 け 2 予 算 制 度 の 改 革 複 数 年 度 予 算 の 導 入 1に 基 づき 定 められた 中 期 財 政 フレームの 枠 内 で 作 成 補 正 予 算 の 管 理 中 期 財 政 フレームで 想 定 する 歳 出 上 限 は 補 正 予 算 を 含 む Pay-as-you-go 原 則 の 徹 底 各 省 庁 は 決 められた 複 数 年 度 予 算 の 枠 内 で 資 源 配 分 の 最 適 化 を 行 う( 新 たな 歳 出 増 は 他 の 歳 出 削 減 を 前 提 ) 3 独 立 財 政 機 関 の 設 置 ( 日 本 版 GAO) 年 度 予 算 策 定 の 前 提 となる 経 済 成 長 率 金 利 等 の 見 通 しや 財 政 政 策 に 係 る 政 治 的 バイアスの 除 去 国 民 への 正 確 な 情 報 提 供 を 目 的 として 独 立 財 政 機 関 の 設 置 を 求 める 経 済 成 長 率 や 金 利 等 の 見 通 しを 策 定 政 府 の 財 政 政 策 の 分 析 評 価 財 政 の 状 況 を 公 表 (3) 直 ちに 取 り 組 むべきこと わが 国 財 政 の 状 況 に 鑑 みると 本 提 言 でも 申 し 上 げてきた 通 り 財 政 再 建 のためには 経 済 成 長 歳 出 削 減 歳 入 拡 大 の そ れ ぞ れ で 全 力 を 尽 く す こ と が 必 要 条 件 で あ る そ の 中 で 直 ち に 取 り 組 む べ き こ と と し て 以 下 既 に 当 会 に て 提 言 を 行 っ て い る 項 目 を 中 心 に お 示 し す る 踏 み 込 ん だ 内 容 の 提 言 も あ り 遂 行 は 容 易 で な い 部 分 も あ ろ う し か し な が ら 前 章 の 試 算 と の 関 係 で は こ れ ら を 仮 に 全 て や り 遂 げ た と し て も 必 要 十 分 と 言 い き れ な い の が わ が 国 財 政 の 現 状 で あ る こ こ ま で 出 来 て よ う や く 全 体 の 何 合 目 と い う 数 量 感 を 持 つ こ と は 中 長 期 の 取 り 組 み で あ る だ け に 意 義 は 大 き い 1 消 費 税 率 の 引 き 上 げ 税 率 17%ま で の 引 き 上 げ と 少 な く と も 税 率 10%ま で の 単 一 税 率 を 主 張 低 所 得 者 対 策 と し て は 給 付 付 き 税 額 控 除 を 採 用 確 実 な 給 付 拡 大 が 見 込 ま れ る 社 会 保 障 制 度 を 安 定 さ せ る 観 点 と 前 章 の 試 算 Aに おける 結 果 より 引 き 続 き 税 率 17%は 最 低 限 必 要 との 立 場 を 維 持 24

2 社 会 保 障 分 野 全 体 の 見 直 し ⅰ) 医 療 介 護 分 野 の 給 付 抑 制 利 用 者 負 担 増 2013 年 3 月 に 社 会 保 障 改 革 委 員 会 の 提 言 にて 示 した 下 記 施 策 について 着 実 な 実 現 を 求 める 後 発 医 薬 品 の 利 用 促 進 (ほぼ 全 て 浸 透 ) 受 診 時 定 額 負 担 ( 初 診 時 再 診 時 10 円 ) 平 均 在 院 日 数 の 減 少 外 来 受 診 の 適 正 化 70~74 歳 の 医 療 費 自 己 負 担 の3 割 化 75 歳 以 上 の 医 療 費 自 己 負 担 の3 割 化 要 支 援 要 介 護 1 2の 給 付 抑 制 介 護 サービスの 自 己 負 担 の2 割 化 これらの 施 策 が 全 て 実 現 した 場 合 毎 年 約 8 兆 円 ( )の 公 費 削 減 効 果 が 見 込 まれる これらを 201 5~203 0 年 度 にかけ 毎 年 等 額 改 善 するとの 前 提 に 立 つと 前 章 の 試 算 Aと 同 規 模 の 年 5,000 億 円 の 削 減 に 相 当 する(5,000 億 円 16 年 =8 兆 円 ) ( ) 上 記 提 言 で 試 算 された 効 果 をもとに 経 済 同 友 会 事 務 局 にて 推 計 ⅱ) 医 療 介 護 サービスの 生 産 性 改 革 2014 年 6 月 に 医 療 福 祉 改 革 委 員 会 の 提 言 にて 示 した 下 記 施 策 について 着 実 な 実 現 を 求 める 補 助 金 が 交 付 されている 公 設 公 的 病 院 の 経 営 情 報 と 医 療 情 報 の 開 示 社 会 福 祉 法 人 への 優 遇 制 度 の 縮 小 廃 止 地 域 医 療 圏 における 病 院 間 の 棲 み 分 け/ 役 割 分 担 のインセンティブ 付 与 に 向 け 診 療 報 酬 体 系 補 助 金 等 のメリハリ 付 け 地 域 医 療 圏 における 大 規 模 事 業 体 の 連 携 強 化 に 資 する 経 営 形 態 の 枠 組 み 構 築 大 規 模 事 業 体 に 対 し 保 険 者 ガバナンスを 活 用 できる 仕 組 みを 構 築 廃 業 事 業 者 の 受 け 皿 構 築 医 療 の 品 質 評 価 指 標 の 構 築 と 医 療 機 関 毎 の 品 質 評 価 指 標 の 利 用 者 への 開 示 介 護 の 品 質 指 標 体 系 の 構 築 と 事 業 者 のサービス 品 質 を 公 開 介 護 報 酬 体 系 へ 反 映 25

ⅲ) 年 金 分 野 の 抜 本 改 革 2011 年 1 月 に 提 言 202 0 年 の 日 本 創 生 にて 示 した 下 記 施 策 について 抜 本 改 革 をした 上 で 実 現 を 求 める 新 基 礎 年 金 制 度 を 創 設 し 65 歳 以 上 の 全 国 民 に 一 人 月 額 7 万 円 ( 物 価 スライド を 適 用 )を 給 付 財 源 は 全 額 目 的 消 費 税 とし 基 礎 年 金 部 分 における 個 人 の 保 険 料 負 担 は 廃 止 高 所 得 者 への 公 的 年 金 等 控 除 の 縮 小 民 間 金 融 機 関 等 が 運 営 する 新 拠 出 建 年 金 制 度 の 創 設 前 章 の 将 来 試 算 においては 社 会 保 障 に 係 る 費 用 の 将 来 推 計 ( 平 成 24 年 3 月 厚 生 労 働 省 発 表 ) に 基 づき 年 金 制 度 は 賦 課 方 式 での 試 算 としている Ⅶ.おわりに - 財 政 再 建 は 喫 緊 の 課 題 であり 次 世 代 にツケを 残 してはならない- 1,00 兆 円 を 超 える 規 模 の 債 務 を 抱 えるわが 国 においては 一 朝 一 夕 で 財 政 の 健 全 化 を 果 たすことは 出 来 ない 財 政 再 建 の 取 り 組 みは 10 年 や 20 年 といった 長 期 間 の 取 り 組 みが 必 要 な 課 題 である それがゆえに 喫 緊 の 課 題 であるとの 意 識 が 生 まれにくく 今 何 かをしなくてはとい う 意 識 を 希 薄 にさせてしまう 点 が 問 題 を 難 しくしてきた 2015 年 10 月 に 予 定 されていた 10%への 消 費 増 税 について 我 々はかねてより 基 礎 的 財 政 収 支 目 標 達 成 のために 不 可 欠 であり 社 会 保 障 の 安 定 財 源 として 欠 かせない と 主 張 してきた しかしながら 足 下 の 景 気 への 配 慮 が 重 視 され 先 送 りされることと なったが 財 政 再 建 は 喫 緊 の 課 題 であり 更 なる 改 革 の 先 延 ばしによって 次 世 代 にこ れ 以 上 のツケを 残 すようなことがあってはならない そこで 本 提 言 では わが 国 財 政 の 現 状 と 将 来 像 痛 みを 伴 う 改 革 の 必 要 性 を 述 べて きた これらの 点 について 国 民 一 人 一 人 が 認 識 を 深 め 自 身 の 問 題 として 取 り 組 んで いく 他 ないと 考 える いつか ではなく 動 くのは 今 なのである 財 政 再 建 の 必 要 性 を 喧 伝 すると とかく 狼 少 年 と 非 難 されがちだが 言 い 続 ける 他 ない 何 の 備 えも 出 来 ていない 状 況 で 実 際 に 狼 が 来 てしまったら 何 の 対 応 も 打 て ず なす 術 なく 破 綻 に 突 き 進 むことになりかねない 以 上 26

2014 年 度 財 政 税 制 改 革 委 員 会 名 簿 2015 年 1 月 現 在 ( 敬 称 略 ) 委 員 長 岡 本 圀 衞 ( 日 本 生 命 保 険 取 締 役 会 長 ) 副 委 員 長 梶 川 融 ( 太 陽 有 限 責 任 監 査 法 人 代 表 社 員 会 長 ) 児 玉 正 之 (あいおいニッセイ 同 和 損 害 保 険 特 別 顧 問 ) 平 田 正 之 ( 情 報 通 信 総 合 研 究 所 顧 問 ) 藤 重 貞 慶 (ライオン 取 締 役 会 長 ) 降 洋 平 ( 日 本 信 号 取 締 役 社 長 ) 村 田 隆 一 ( 三 菱 UFJリース 取 締 役 会 長 ) 守 田 道 明 ( 上 田 八 木 短 資 取 締 役 相 談 役 ) 若 林 勝 三 ( 日 本 地 震 再 保 険 取 締 役 会 長 ) 委 員 青 木 宏 道 ( 新 日 鐵 住 金 常 任 顧 問 ) 朝 倉 陽 保 ( 産 業 革 新 機 構 専 務 取 締 役 COO ) 我 妻 文 男 ( 共 栄 セキュリティーサービス 取 締 役 会 長 ) 稲 田 和 房 (セゾンファンデックス 取 締 役 社 長 ) 稲 葉 俊 人 ( 横 浜 駅 前 ビルディング 常 務 取 締 役 ) 稲 葉 延 雄 (リコー 取 締 役 専 務 執 行 役 員 ) 乾 民 治 ( 乾 汽 船 相 談 役 ) 上 野 守 生 (プロネクサス 取 締 役 会 長 ) 宇 佐 美 耕 次 (CS Cジャパン 代 表 執 行 役 社 長 ) 江 利 川 毅 ( 医 療 科 学 研 究 所 理 事 長 ) 大 江 匡 (プランテックアソシエイツ 取 締 役 会 長 兼 社 長 ) 大 久 保 秀 夫 (フォーバル 取 締 役 会 長 ) 大 塚 紀 男 ( 日 本 精 工 執 行 役 社 長 ) 岡 部 敬 一 郎 (コスモ 石 油 相 談 役 ) 27

小 野 俊 彦 小 幡 尚 孝 ( 三 菱 UFJリース 相 談 役 ) 柿 本 寿 明 門 脇 英 晴 叶 谷 彰 宏 ( 日 本 総 合 研 究 所 シニアフェロー) ( 日 本 総 合 研 究 所 特 別 顧 問 シニアフェロー) (バークレイズ 証 券 マネージングディレクター) 鎌 田 英 治 (グロービス 執 行 役 員 ) 蒲 野 宏 之 ( 蒲 野 綜 合 法 律 事 務 所 代 表 弁 護 士 ) 木 下 信 行 (アフラック(アメリカンファミリー 生 命 保 険 ) シニアアドバイザー) 木 下 満 (エリオット アドバイザーズ アジア リミテッド マネージング ディレクター) スコット キャロン (いちごグループホールディングス 執 行 役 会 長 ) 清 田 瞭 ( 東 京 証 券 取 引 所 取 締 役 社 長 ) 古 賀 信 行 ( 野 村 證 券 取 締 役 会 長 ) 小 崎 哲 資 ( 常 和 ホールディングス 取 締 役 社 長 ) 菰 田 正 信 ( 三 井 不 動 産 取 締 役 社 長 ) 斉 藤 惇 ( 日 本 取 引 所 グループ 取 締 役 兼 代 表 執 行 役 グループCEO ) 酒 井 重 人 (グッゲンハイム パートナーズ 在 日 代 表 ) 境 米 夫 ( 香 港 上 海 銀 行 在 日 支 店 副 会 長 ) 櫻 井 祐 記 ( 富 国 生 命 保 険 取 締 役 常 務 執 行 役 員 ) 佐 藤 和 男 ( 三 井 不 動 産 社 友 ) 篠 崎 雅 美 ( 日 本 航 空 電 子 工 業 相 談 役 ) 正 田 修 ( 日 清 製 粉 グループ 本 社 名 誉 会 長 相 談 役 ) 陳 野 浩 司 (ナティクシス 日 本 証 券 マネージング ディレクター) 菅 野 健 一 (リスクモンスター 取 締 役 会 長 ) 高 橋 衛 (HAUT PONT 研 究 所 代 表 ) 橘 憲 正 (タチバナエステート 取 締 役 会 長 ) 田 中 実 ( 投 資 経 済 社 取 締 役 社 長 ) 田 沼 千 秋 (グリーンハウス 取 締 役 社 長 ) 田 幡 直 樹 (ヴァレックス パートナーズ 上 級 顧 問 ) 團 宏 明 ( 通 信 文 化 協 会 理 事 長 ) 塚 本 隆 史 (みずほフィナンシャルグループ 常 任 顧 問 ) 28

月 原 紘 一 ( 三 井 住 友 カード 特 別 顧 問 ) 富 樫 直 記 (オリバーワイマングループ 日 本 代 表 パートナー) 富 田 純 明 ( 日 進 レンタカー 取 締 役 会 長 ) 長 門 正 貢 (シティバンク 銀 行 取 締 役 会 長 ) 中 野 祥 三 郎 (キッコーマン 常 務 執 行 役 員 CFO ) 中 村 明 雄 ( 損 保 ジャパン 日 本 興 亜 総 合 研 究 所 理 事 長 ) 中 本 祥 一 ( 電 通 取 締 役 副 社 長 執 行 役 員 ) 西 浦 三 郎 (ヒューリック 取 締 役 社 長 ) 西 浦 天 宣 ( 天 宣 会 理 事 長 ) 西 山 茂 樹 (スカパーJSA Tホールディングス 取 締 役 会 長 ) 根 岸 修 史 ( 積 水 化 学 工 業 取 締 役 社 長 ) 野 呂 順 一 (ニッセイ 基 礎 研 究 所 取 締 役 社 長 ) 芳 賀 日 登 美 (ストラテジック コミュニケーション RI 取 締 役 社 長 ) 早 川 洋 ( 浜 銀 総 合 研 究 所 取 締 役 会 長 ) 早 﨑 博 ( 三 井 住 友 信 託 銀 行 特 別 顧 問 ) 林 由 紀 夫 (ダイキン 工 業 専 務 執 行 役 員 ) 樋 口 智 一 (ヤマダイ 食 品 取 締 役 社 長 ) 平 井 幹 久 (イデラキャピタルマネジメント 取 締 役 会 長 ) 平 野 圭 一 (ロンハ ー オテ ィエ 信 託 取 締 役 シニアマネージングディレクター) 廣 澤 孝 夫 ( 企 業 活 力 研 究 所 理 事 長 ) 藤 岡 誠 ( 日 本 軽 金 属 取 締 役 副 社 長 執 行 役 員 ) 堀 井 昭 成 (キヤノングローバル 戦 略 研 究 所 理 事 特 別 顧 問 ) 増 渕 稔 ( 日 本 証 券 金 融 取 締 役 会 長 ) 松 居 克 彦 ( 松 居 アソシエイツ 代 表 ) 松 岡 芳 孝 (ステート ストリート 信 託 銀 行 取 締 役 特 別 顧 問 ) 丸 山 明 ( 野 村 総 合 研 究 所 取 締 役 副 会 長 ) 三 宅 伊 智 朗 (スタンダード&プアーズ レーティング ジャパン 取 締 役 社 長 ) 茂 木 七 左 衞 門 (キッコーマン 特 別 顧 問 ) 森 公 高 ( 日 本 公 認 会 計 士 協 会 会 長 ) 森 正 勝 ( 国 際 大 学 副 理 事 長 ) 森 田 清 ( 第 一 三 共 相 談 役 ) 29

八 杉 茂 樹 ( 大 和 不 動 産 鑑 定 取 締 役 社 長 ) 安 田 育 生 (ピナクル 取 締 役 会 長 兼 社 長 兼 CEO ) 矢 野 龍 ( 住 友 林 業 取 締 役 会 長 ) 山 中 一 郎 ( 朝 日 税 理 士 法 人 代 表 社 員 ) 米 田 隆 ( 西 村 あさひ 法 律 事 務 所 代 表 パートナー) チャールズD.レイクⅡ (アフラック(アメリカンファミリー 生 命 保 険 ) 日 本 における 代 表 者 会 長 ) 湧 永 寛 仁 ( 湧 永 製 薬 取 締 役 社 長 ) 以 上 91 名 事 務 局 藤 巻 正 志 ( 経 済 同 友 会 執 行 役 ) 河 口 大 輔 松 本 岳 明 ( 経 済 同 友 会 政 策 調 査 第 1 部 マネジャー) ( 経 済 同 友 会 政 策 調 査 第 1 部 マネジャー) 30