世 界 史 的 内 容 はどう 扱 われてきたのか ~ 中 学 校 社 会 科 歴 史 的 分 野 の 検 討 から~ 鈴 木 久 男 ( 千 曲 市 立 屋 代 中 学 校 ) Ⅰはじめに 内 向 き の 日 本 藤 原 帰 一 氏 と 酒 井 啓 子 氏 の 対 談 から(07/01/03 信 濃 毎 日 新 聞 紙 上 ) 他 者 性 の 欠 如 という 問 題 外 の 世 界 と 自 分 のいる 世 界 を 対 比 しながら 見 たり 考 えたりするこ とを 好 まない 傾 向 にある 関 心 が 日 本 人 のみに 収 斂 される 想 像 力 の 欠 如 共 感 する 力 の 弱 さ 問 題 を 相 対 化 して 考 え る 力 のなさ 二 谷 貞 夫 氏 ( 中 等 社 会 科 の 理 論 と 実 践 2007 年 学 文 社 ) 世 界 的 に 進 む 教 育 改 革 が 国 益 中 心 学 力 重 視 の 内 向 き 改 革 の 傾 向 にある 社 会 科 の 精 神 から 考 えれば 多 文 化 共 生 時 代 にふさわしい 外 向 き の 教 育 = 南 北 格 差 を 真 に 是 正 す る 開 発 教 育 環 境 教 育 国 際 理 解 教 育 を 重 視 した 教 育 改 革 が 求 められる Ⅱ 世 界 史 的 内 容 の 現 状 は 中 学 校 社 会 科 歴 史 的 分 野 高 等 学 校 地 理 歴 史 科 ( 社 会 科 ) 世 界 史 の 教 科 書 から 見 えてくるもの 消 えていくイスラーム 前 近 代 1 記 述 量 の 変 遷 2 用 語 ( 量 )の 比 較 3 中 学 校 と 高 等 学 校 の 世 界 史 教 育 の 接 続 の 問 題 Ⅲ 世 界 史 的 内 容 はどう 扱 われてきたのか( 内 向 きの 歴 史 教 育 ) 昭 和 20 年 代 ~ 現 在 までの 世 界 史 中 学 校 社 会 歴 史 的 分 野 の 相 対 的 独 自 性 1955 年 ( 昭 和 30 年 )に 確 立 世 界 史 的 内 容 の 削 減 前 近 代 史 の 軽 視 無 視 現 代 社 会 の 諸 問 題 を 解 決 するために 歴 史 を 学 ぶ から 自 国 の 歴 史 に 対 する 愛 情 を 深 めるために 歴 史 を 学 ぶ へ その 検 討 ( 歴 史 は 重 要 な 社 会 認 識 の 一 つであるが 教 養 主 義 的 な 歴 史 教 育 に 陥 っていいのか) 前 近 代 世 界 の 相 互 関 連 性 ネットワーク 世 界 に 目 を 向 けさせる Ⅳ 中 学 校 社 会 歴 史 的 分 野 の 相 対 的 独 自 性 の 再 認 識 を そして 実 践 を 1978 年 ( 昭 和 52 年 ) 告 示 1981 年 ( 昭 和 56 年 ) 施 行 高 校 学 習 指 導 要 領 社 会 科 世 界 史 の 内 容 の 取 り 扱 い 従 来 あった 中 学 校 社 会 科 歴 史 的 分 野 の 学 習 の 成 果 を 活 用 する の 文 言 が 消 える 中 高 世 界 史 の 断 絶 世 界 史 的 内 容 と 日 本 史 的 内 容 を 総 合 させた 歴 史 教 育 を ( 選 択 教 科 社 会 も 含 め) 1994 年 ~ 実 施 高 校 世 界 史 A 諸 文 明 の 接 触 と 交 流 の 視 点 を 中 学 校 の 歴 史 教 育 に 中 高 世 界 史 の 接 触 と 交 流 を 国 中 心 の 組 合 せ 世 界 史 から 同 時 代 的 世 界 史 へ( 人 類 の 歩 みを 鳥 瞰 できる 世 界 史 ) 2 世 紀 世 界 (ローマ 漢 列 島 日 本 ) 8 世 紀 世 界 (イスラーム 唐 奈 良 平 安 ) 13 世 紀 世 界 (ヨーロッパ モンゴル 鎌 倉 ) 1 6 世 紀 世 界 ( 大 航 海 時 代 室 町 末 期 ) 1
資 料 Ⅰ-1 [ 表 1] 中 学 校 社 会 科 歴 史 的 分 野 における 世 界 史 的 内 容 の 割 合 と4 世 紀 ~16 世 紀 のイスラーム 世 界 と 西 ヨーロッパ 世 界 に 関 する 記 述 量 の 変 遷 世 界 史 的 内 容 の 割 合 ( 対 全 ページ 数 比 ) イスラーム 世 界 西 ヨーロッパ 世 界 1966 年 34% 106/309 1.5 16 A 1977 年 31% 97/309 2 14 B 1980 年 33% 101/305 1.5 14 C 1981 年 29% 92/322 2.5 11 D 1981 年 25% 73/287 0.5 9 E 1993 年 29% 89/305 6 8 F 1997 年 25% 76/300 1 9 G 1997 年 23% 68/291 2 8 H 2002 年 16% 31/195 0 2 I 2006 年 17% 37/215 0.5 2 J 備 考 欄 のアルファベットは 教 科 書 出 版 社 を 示 し 以 下 の 通 りである A 日 本 書 籍 中 学 社 会 2 歴 史 的 分 野 B 清 水 書 院 日 本 の 歴 史 と 世 界 中 学 校 社 会 科 歴 史 的 分 野 C 東 京 書 籍 新 編 新 しい 社 会 歴 史 的 分 野 D 東 京 書 籍 新 しい 社 会 歴 史 E 中 教 出 版 中 学 生 の 社 会 科 日 本 の 歩 みと 世 界 F 中 教 出 版 中 学 生 の 社 会 科 日 本 の 歩 みと 世 界 G 東 京 書 籍 新 編 新 しい 社 会 歴 史 H 帝 国 書 院 社 会 科 中 学 生 の 歴 史 日 本 の 歩 みと 世 界 の 動 き I 東 京 書 籍 新 編 新 しい 社 会 歴 史 J 東 京 書 籍 新 編 新 しい 社 会 歴 史 備 考 [ 表 2] 高 等 学 校 社 会 科 ( 地 歴 科 ) 世 界 史 Bにおける4 世 紀 ~16 世 紀 のイスラーム 世 界 と 西 ヨーロッパ 世 界 に 関 する 記 述 量 の 変 遷 [ 表 2] 教 科 書 出 版 社 と 総 ページ 数 イスラーム 世 界 西 ヨーロッパ 世 界 1971 年 三 省 堂 世 界 史 B 361 9 48 1974 年 山 川 出 版 標 準 世 界 史 305 12 46 1985 年 山 川 出 版 詳 説 世 界 史 345 13 46 1986 年 三 省 堂 世 界 史 改 訂 版 357 18 48 1986 年 東 京 書 籍 新 選 世 界 史 273 13 28 1994 年 帝 国 書 院 図 説 世 界 史 B 349 25 31 1996 年 東 京 書 籍 世 界 史 B 365 15 42 1997 年 清 水 書 院 詳 解 世 界 史 B 357 24 37 1998 年 実 教 出 版 世 界 史 B 新 訂 版 359 24 45 1999 年 山 川 出 版 詳 説 世 界 史 351 23 46 2003 年 山 川 出 版 詳 説 世 界 史 B 354 20 46 2
資 料 Ⅰ-2 [ 表 3] 教 科 書 の 用 語 比 較 7,8 世 紀 のイスラーム 世 界 イスラーム 文 化 A1966 年 ( 昭 和 41 年 ) 日 本 書 籍 中 学 社 会 2 歴 史 的 分 野 イスラム 帝 国 アラビア 商 業 都 市 メッカ マホメット キリスト 教 ユダヤ 教 アラー イスラム 教 アラビア 半 島 征 服 西 アジア 中 央 アジア 北 アフリカ イベリア 半 島 サラセン 帝 国 バクダッド ヘレニズム 文 化 の 遺 産 地 理 学 数 学 天 文 学 化 学 インドの 数 字 アラビア 数 字 千 夜 一 夜 物 語 B1971 年 ( 昭 和 46 年 ) 三 省 堂 世 界 史 B アラビア 半 島 セム 語 族 ビザンチン 帝 国 ササン 朝 ペルシア 東 西 交 通 路 中 継 貿 易 メッカ メジナ カーバ( 聖 殿 ) キリスト 教 ユダヤ 教 マホメット アラー ヘジラ イスラム 暦 アラビア 半 島 イスラム 教 コーラン 絶 対 帰 依 偶 像 崇 拝 禁 止 サラセン 帝 国 大 食 カリフ 異 教 徒 人 頭 税 (ジズヤ) イスラム 教 徒 (モスレム) アリー ムアーウィア ダマスカス ウマイヤ 朝 世 襲 制 シーア 派 スンニー 派 エジプト 北 アフリカ イベリア 半 島 西 ゴート 王 国 フランク 王 国 ツール ポアチエ アラビア 人 中 心 主 義 アッバース 朝 バクダッド タラス 川 唐 製 紙 法 後 ウマイヤ 朝 コルドバ イスラム 文 化 商 業 算 術 代 数 学 アラビア 数 字 零 の 概 念 天 文 学 物 理 学 錬 金 術 アルカリ アルコール イブン ハルドゥーン イブン バツータ 三 大 陸 周 遊 記 千 夜 一 夜 物 語 モスク アラベスク アルハンブラ 宮 殿 ギリシア 文 化 の 保 存 a2002 年 ( 平 成 14 年 ) 東 京 書 籍 新 編 新 しい 社 会 歴 史 記 述 なし b2003 年 ( 平 成 15 年 ) 山 川 出 版 詳 説 世 界 史 B アラビア 半 島 遊 牧 隊 商 ササン 朝 ビザンツ 帝 国 絹 の 道 海 の 道 アラビア 半 島 西 南 部 メッカ 中 継 貿 易 クライシュ 族 ムハンマド 唯 一 神 アッラー 預 言 者 イスラーム 教 メディナ ムスリム 共 同 体 ヒジュラ( 聖 遷 ) ヒジュラ 暦 太 陰 暦 カーバ コーラン アラビア 語 絶 対 的 服 従 (イスラーム) ユダヤ 教 キリスト 教 啓 典 の 民 カリフ ジハード シリア エジプト アリー ムアーウィヤ ダマスクス ウマイヤ 朝 正 統 カリフ シーア 派 スンナ 派 インド 西 部 ソグディアナ 北 アフリカ イベリア 半 島 西 ゴート 王 国 トゥール ポワティエ 間 の 戦 い ジズヤ ハラージュ イスラーム 帝 国 新 改 宗 者 (マワーリー) アッバース 朝 マンスール バクダード 官 僚 制 度 イスラーム 法 (シャーリア) コルドバ 後 ウマイヤ 朝 ハールーン アッラシ ード サーマン 朝 トゥールーン 朝 イスラーム 文 明 都 市 文 化 普 遍 的 文 明 イラン イスラーム 文 化 トルコ イスラーム 文 化 インド イスラーム 文 化 スペインのトレド ラテン 語 訳 ギリシア 文 明 の 橋 渡 し ウラマー モスク 学 院 (マドラサ) 市 場 羊 皮 紙 タラス 河 畔 の 戦 い 製 紙 法 サマルカンド カイロ 神 秘 主 義 歴 史 家 タバリー イブン ハルドゥーン 世 界 史 序 説 ギリシア 語 文 献 医 学 天 文 学 幾 何 学 光 学 地 理 アラビア 数 字 十 進 法 ゼロの 観 念 フワリズミー 代 数 学 三 角 法 錬 金 術 オマル ハイヤーム アリストテレス 哲 学 イブン シーナー イブン ルシュド 千 夜 一 夜 物 語 イブン バツータ 三 大 陸 周 遊 記 ミナレット 細 密 画 アラベスク [ 表 4] 教 科 書 用 語 の 比 較 西 ヨーロッパ 中 世 都 市 A1966 年 ( 昭 和 41 年 ) 日 本 書 籍 中 学 社 会 2 歴 史 的 分 野 十 字 軍 西 アジアとの 交 通 東 西 貿 易 イタリア ドイツ 都 市 同 盟 領 主 支 配 有 力 な 商 人 手 工 業 者 自 治 ベネチア ジェノバ フィレンツェ 共 和 国 組 合 ギルド 規 約 羊 毛 商 人 親 方 職 人 徒 弟 活 動 のさまたげ B1971 年 ( 昭 和 46 年 ) 三 省 堂 世 界 史 B ローマ 都 市 荘 園 交 換 経 済 市 商 人 手 工 業 者 の 定 住 封 建 領 主 封 建 的 束 縛 貨 幣 経 済 ベネチア ジェノバ フィレンツェ ピサ 自 由 都 市 遠 隔 地 商 業 共 和 制 国 家 リューベック ミュンヘン ギルド 同 職 ギルド(クラフトギルド ツンフト) 市 政 参 加 親 方 職 人 徒 弟 市 場 独 占 閉 鎖 的 性 格 a2002 年 ( 平 成 14 年 ) 東 京 書 籍 新 編 新 しい 社 会 歴 史 記 述 なし b2003 年 ( 平 成 15 年 ) 山 川 出 版 詳 説 世 界 史 B 余 剰 生 産 物 交 換 ムスリム 商 人 ノルマン 人 貨 幣 経 済 遠 隔 地 貿 易 商 業 の 復 活 ( 商 業 ルネサンス) 地 中 海 商 業 圏 ヴェネツィア ジェノヴァ ピサ 香 辛 料 ミラノ フィレンツェ 毛 織 物 工 業 北 ヨーロッパ 商 業 圏 北 ドイツ 諸 都 市 ハンブルク リューベ ック ブレーメン 生 活 必 需 品 フランドル 地 方 ガン ブリュージュ ロンドン シャンパーニュ 地 方 ニュルンベルク アウク スブルク 司 教 座 都 市 特 許 状 自 治 権 自 治 都 市 北 イタリア コムーネ 都 市 国 家 ドイツ 自 由 都 市 ロンバルディア 同 盟 ハンザ 同 盟 城 壁 ギルド 商 人 ギルド 同 職 ギルド(ツンフト) ツンフト 闘 争 親 方 職 人 徒 弟 自 由 競 争 禁 止 規 約 アウグスブルクのフッガー 家 フィレンツェのメディチ 家 教 皇 3
[ 表 5] 中 学 校 社 会 科 教 科 書 歴 的 分 野 における 世 界 史 的 内 容 の 割 合 中 学 校 社 会 科 歴 史 的 分 野 における 世 界 史 的 内 容 の 割 合 と4 世 紀 ~16 世 紀 のイスラム 世 界 と 西 ヨーロッパ 世 界 に 関 する 記 述 量 2007 年 発 刊 教 科 書 世 界 史 的 内 容 の 割 合 イスラーム 世 界 ( 対 全 ページ 数 比 ) 西 ヨーロッパ 世 界 出 版 社 18% 42/233 1 3 帝 国 書 院 18% 40/220 1 2 東 京 書 籍 18% 39/217 2 2 日 本 文 教 出 版 21% 49/237 1 3 日 本 書 籍 新 社 23% 47/204 0.5 4 教 育 出 版 13% 30/227 0.5 1.5 扶 桑 社 21% 50/235 2 2 大 阪 書 籍 21% 49/229 2 6 清 水 書 院 帝 国 書 院 社 会 科 中 学 生 の 歴 史 日 本 の 歩 みと 世 界 の 動 き 東 京 書 籍 新 編 新 しい 社 会 歴 史 日 本 文 教 出 版 中 学 生 の 社 会 科 歴 史 日 本 の 歩 みと 世 界 日 本 書 籍 新 社 わたしたちの 中 学 社 会 歴 史 的 分 野 教 育 出 版 中 学 社 会 歴 史 未 来 をみつめて 扶 桑 社 中 学 社 会 新 しい 歴 史 教 科 書 大 阪 書 籍 中 学 社 会 歴 史 的 分 野 清 水 書 院 新 中 学 校 歴 史 改 訂 版 日 本 の 歴 史 と 世 界 資 料 Ⅰ-3 4
資 料 Ⅱ-1 戦 前 戦 後 の 世 界 史 ( 外 国 史 )の 扱 われ 方 戦 前 中 学 校 教 授 要 目 中 学 校 社 会 科 歴 史 的 分 野 高 校 地 理 歴 史 科 ( 社 会 科 ) 世 界 史 の 学 習 指 導 要 領 比 較 中 学 校 歴 史 教 育 では 戦 前 戦 後 を 一 貫 して 世 界 の 歴 史 ( 外 国 史 )は 日 本 史 に 関 係 のある 事 項 を 教 えること ( 近 現 代 史 の 重 視 と 前 近 代 史 の 軽 視 ) 世 界 の 歴 史 については 我 が 国 の 歴 史 と 直 接 かかわる 事 柄 を 取 り 扱 うにとどめること ( 前 近 代 史 の 無 視 ) A 1901 年 ( 明 治 34 年 ) 中 学 校 令 施 行 規 則 で 新 たに 学 科 とその 程 度 が 定 められた 第 五 条 歴 史 ハ 日 本 歴 史 及 外 国 歴 史 トシ 日 本 歴 史 ニ 於 テハ 国 初 ヨリ 現 時 ニ 至 ルマテノ 重 要 ナル 事 歴 ヲ 授 ケ 外 国 歴 史 ニ 於 テハ 世 界 大 勢 ノ 変 遷 ニ 関 スル 事 ヲ 主 トシ 著 名 ナル 諸 国 ノ 興 亡 人 文 ノ 発 達 及 我 国 ノ 文 化 ニ 関 係 アル 事 蹟 ノ 大 要 ヲ 知 ラシムヘシ B 1902 年 ( 明 治 35 年 ) 中 学 校 教 授 要 目 により 各 学 年 の 各 学 科 や 授 業 時 数 の 要 領 を 示 した 各 中 学 校 はこの 要 目 を 基 準 として 授 業 内 容 を 定 めることとなり この 結 果 中 学 校 の 教 育 内 容 の 全 国 画 一 化 が 進 むこととなった 教 授 上 ノ 注 意 五 外 国 歴 史 ハ 特 ニ 我 国 ト 関 係 アル 事 項 ニ 留 意 シテ 之 ヲ 授 クヘシ C 1918 年 ( 大 正 7 年 ) 大 正 期 の 中 学 校 歴 史 教 授 上 の 目 的 ( 長 野 県 立 松 本 中 学 校 ) 歴 史 科 2 外 国 史 ( 東 洋 史 西 洋 史 )ノ 教 授 ヲ 簡 約 ニシ 一 層 国 史 ノ 教 育 ヲ 重 ンズ 4 国 史 外 国 史 ニ 於 テハ 最 近 世 史 ニ 最 モ 重 キヲ 置 ク 特 ニ 最 上 級 生 ニ 対 シテハ 最 近 三 十 年 間 ノ 国 際 関 係 ノ 推 移 変 遷 ヲ 叙 セル 別 冊 ヲ 印 刷 シ 配 布 ス 5 最 上 級 ニ 於 テハ 政 治 的 思 想 ノ 養 成 国 民 的 自 覚 心 ノ 喚 起 ノ 目 的 ヲ 以 テ 教 材 ヲ 外 国 史 ニ 採 リ 出 来 ルダケ 日 本 史 ニ 於 テ 既 ニ 習 得 セル 智 識 ト 比 較 セシメ 歴 史 的 考 察 ヲ 養 成 スルコト D 1921 年 ( 大 正 10 年 ) 千 葉 県 が 県 下 教 育 機 関 に 発 した 通 牒 歴 史 教 育 の 留 意 点 一 歴 史 科 ニ 於 テハ 古 代 ヨリモ 近 世 ニ 重 ヲ 置 キ 社 会 ノ 変 遷 邦 国 ノ 盛 衰 ニ 関 スル 明 晰 ナル 概 念 ヲ 与 ヘ 特 ニ 我 カ 国 体 ノ 特 異 ナル 所 以 及 大 義 名 分 ヲ 明 ナラシムルコトニ 主 力 ヲ 注 クヘキハ 勿 論 ナル 1945 年 ( 昭 和 20 年 ) E 1955 年 ( 昭 和 30 年 ) 中 学 校 学 習 指 導 要 領 社 会 科 新 たに 登 場 した 歴 史 的 分 野 は その 具 体 目 標 2で 日 本 の 歴 史 を 世 界 史 との 関 連 や 比 較 において 考 える 態 度 を 養 い 日 本 の 歴 史 の 独 特 の 発 展 の 姿 を 理 解 させると 同 時 に 広 く 世 界 各 地 の 人 類 の 歴 史 的 活 動 の 底 には 共 通 な 発 展 の 姿 や 人 間 的 感 情 や 意 欲 があることを 理 解 させ 今 日 の 社 会 生 活 上 の 諸 問 題 を 世 界 史 的 な 広 い 視 野 から 理 解 していく 態 度 を 養 う 5
資 料 Ⅱ-2 a 1956 年 ( 昭 和 31 年 ) 告 示 施 行 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 社 会 科 世 界 史 目 標 中 学 社 会 科 の 歴 史 的 内 容 を 主 とするものの 学 習 は 日 本 の 歴 史 に 関 するものをおもに 取 り 扱 って いるが これとの 関 連 と 比 較 において 世 界 史 に 関 する 内 容 を 取 り 入 れ 結 果 として 世 界 史 の 流 れのあらましをもつかむことを 目 標 としている 高 等 学 校 の 世 界 史 は 中 学 校 におけるこれらの 学 習 の 成 果 をじゅうぶん 生 かしながら 世 界 史 を より 深 く 科 学 的 系 統 的 に 理 解 させ また 世 界 の 諸 民 族 諸 国 家 が 孤 立 してでなく 互 いに 交 渉 をもちながら 発 展 してきたことを 認 識 させる F 1958 年 ( 昭 和 33 年 ) 告 示 1962 年 ( 昭 和 37 年 ) 施 行 中 学 校 学 習 指 導 要 領 社 会 科 第 2 学 年 目 標 (4) 近 代 史 の 学 習 に 重 点 をおき 内 容 (5) 近 代 世 界 の 成 立 近 代 ヨーロッパへの 歩 み 指 導 にあたっては ヨーロッパの 中 世 社 会 に 簡 単 に 触 れてルネサンスや 宗 教 改 革 にいたった 事 情 を 考 えさせ また 宗 教 改 革 とキリスト 教 のアジアへの 伝 道 との 関 係 に 気 づ かせるとともに ヨーロッパ 人 のいわゆる 地 理 上 の 発 見 によって 世 界 の 各 地 がしだいに 結 びついていったことに 着 目 させることがたいせつである 指 導 上 の 留 意 事 項 (4) 日 本 に 特 に 関 係 の 深 いことがら 以 外 は 適 当 に 大 きくまとめて 学 習 させることが 望 ましい また 世 界 史 の 中 では 特 に 近 代 世 界 の 成 立 とその 発 展 に 重 点 をおき 日 本 の 近 代 化 を 考 察 する 上 に 役 だたせるように 配 慮 することが 重 要 である 高 校 世 界 史 に 文 化 圏 という 概 念 が 登 場 文 化 圏 については 1989 年 学 習 指 導 要 領 の 解 説 で 地 域 性 及 び 歴 史 性 によって 培 われ た 共 通 文 化 要 素 をもつ 空 間 領 域 と 規 定 されている b 1960 年 ( 昭 和 35 年 ) 告 示 1963 年 ( 昭 和 38 年 ) 施 行 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 社 会 科 世 界 史 A B 計 画 作 成 および 指 導 上 の 留 意 事 項 (1) 中 学 校 社 会 科 特 に 歴 史 的 分 野 の 学 習 の 成 果 を 活 用 するとともに (3) 地 理 上 の 発 見 以 前 で 世 界 の 諸 地 域 が 密 接 な 関 連 を 持 たない 時 期 たとえばヨーロッパの 古 代 中 世 にあた る 時 期 において 一 つの 例 として ヨーロッパ インド 西 アジア 東 アジアなどの 文 化 圏 別 に ある 程 度 の 大 きなまとまりをもたせて 学 習 させることも 考 えられる G 1969 年 ( 昭 和 44 年 ) 告 示 1972 年 ( 昭 和 47 年 ) 施 行 中 学 校 学 習 指 導 要 領 社 会 科 [ 歴 史 的 分 野 ] 1 目 標 (1) 世 界 の 歴 史 を 背 景 に 広 い 視 野 に 立 って 日 本 の 歴 史 を 理 解 させ それを 通 してわが 国 の 伝 統 と 文 化 の 特 色 を 考 えさせるとともに 国 民 としての 心 情 と 現 在 および 未 来 に 生 きる 日 本 人 としての 自 覚 を 育 てる c 1970 年 ( 昭 和 45 年 ) 告 示 1973 年 ( 昭 和 48 年 ) 施 行 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 社 会 科 世 界 史 内 容 の 取 り 扱 い (4) 内 容 の 指 導 ア 中 学 校 の 社 会 特 に 歴 史 的 分 野 の 学 習 の 成 果 を 活 用 するとともに ウ 世 界 史 の 指 導 に 当 たっては 必 要 に 応 じて 世 界 の 歴 史 上 の 事 象 と 日 本 の 歴 史 上 の 事 象 とを 比 較 させたり 関 連 させたりするなどして 世 界 の 歴 史 におけるわが 国 の 地 位 を 明 らかにすること 6
資 料 Ⅱ-3 H 1977 年 ( 昭 和 52 年 ) 告 示 1981 年 ( 昭 和 56 年 ) 施 行 中 学 校 学 習 指 導 要 領 社 会 科 [ 歴 史 的 分 野 ] 1 目 標 (1) 我 が 国 の 歴 史 を 世 界 の 歴 史 を 背 景 に 理 解 させ それを 通 してわが 国 の 伝 統 と 文 化 の 特 色 を 考 えさせるとともに 国 民 としての 自 覚 を 育 てる d 1978 年 ( 昭 和 53 年 ) 告 示 1982 年 ( 昭 和 57 年 ) 施 行 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 社 会 科 世 界 史 内 容 の 取 り 扱 い 中 学 校 社 会 科 歴 史 的 分 野 の 学 習 の 成 果 を 活 用 する の 文 言 が 消 える 資 料 Ⅱ-3 主 題 学 習 の 観 点 として d 世 界 の 歴 史 上 の 事 象 と 日 本 の 歴 史 上 の 事 象 とを 比 較 させたり 関 連 させたりするなどして 世 界 の 歴 史 におけるわが 國 の 位 置 について 学 習 できるもの I 1989 年 ( 平 成 元 年 ) 告 示 1993 年 ( 平 成 5 年 ) 施 行 中 学 校 学 習 指 導 要 領 社 会 科 [ 歴 史 的 分 野 ] 1 目 標 (1) 我 が 国 の 歴 史 を 世 界 の 歴 史 を 背 景 に 理 解 させ それを 通 してわが 国 の 文 化 と 伝 統 の 特 色 を 広 い 視 野 に 立 って 考 えさせるとともに 国 民 としての 自 覚 を 育 てる 地 理 歴 史 科 世 界 史 へ 世 界 史 A 前 近 代 の 内 容 構 成 として 諸 文 明 の 接 触 と 交 流 が 登 場 世 界 史 B 交 流 圏 という 新 たな 視 点 が 提 起 された e 1989 年 ( 平 成 元 年 ) 告 示 1994 年 ( 平 成 6 年 ) 施 行 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 地 理 歴 史 科 世 界 史 B 内 容 の 取 り 扱 い 内 容 の(2) 東 アジア 文 化 圏 の 形 成 と 発 展 (3) 西 アジア 南 アジアの 文 化 圏 と 東 西 交 流 (4)ヨーロッパ 文 化 圏 の 形 成 と 発 展 について (ウ) 隣 接 する 文 化 圏 相 互 の 接 触 や 交 流 をとらえ 文 化 の 多 様 性 や 複 合 性 も 理 解 させる その 際 地 中 海 地 域 インド 洋 地 域 中 央 アジアを 文 化 の 交 流 圏 として 設 定 するなど 接 触 や 交 流 を 時 間 的 空 間 的 に とらえさせる 工 夫 をすること (オ) 比 較 文 化 的 視 点 から 世 界 の 歴 史 の 中 の 日 本 の 位 置 付 けについても 着 目 させること J 1998 年 ( 平 成 10 年 ) 告 示 2002 年 ( 平 成 14 年 ) 施 行 中 学 校 学 習 指 導 要 領 社 会 科 [ 歴 史 的 分 野 ] 1 目 標 (1) 歴 史 的 事 象 に 対 する 関 心 を 高 め 我 が 国 の 歴 史 の 大 きな 流 れと 各 時 代 の 特 色 を 世 界 の 歴 史 を 背 景 に 理 解 させ それを 通 してわが 国 の 文 化 と 伝 統 の 特 色 を 広 い 視 野 に 立 って 考 えさせるとともに 我 が 国 の 歴 史 に 対 する 愛 情 を 深 め 国 民 としての 自 覚 を 育 てる 3 内 容 の 取 り 扱 い (1) 内 容 の 取 り 扱 いについては 次 の 事 項 に 配 慮 するものとする ア 生 徒 の 発 達 段 階 を 考 慮 し 抽 象 的 で 高 度 な 内 容 や 複 雑 な 社 会 構 造 などに 深 入 り することは 避 けるとともに 各 時 代 の 特 色 を 表 す 歴 史 的 事 象 を 重 点 的 に 選 んで 指 導 内 容 を 構 成 することにより 細 かな 知 識 を 記 憶 するだけの 学 習 に 陥 らないよう にすること 7
資 料 Ⅱ-4 イ 世 界 の 歴 史 については 我 が 国 に 歴 史 を 理 解 する 際 の 背 景 として 我 が 国 の 歴 史 と 直 接 かかわる 事 柄 を 取 り 扱 うにとどめること (5) 内 容 (4)については 次 のとおり 取 り 扱 うものとする ア アの ヨーロッパ 人 の 来 航 の 背 景 については 新 航 路 の 開 拓 を 中 心 に 取 り 扱 い 宗 教 改 革 については 深 入 りしないようにすること f 1999 年 ( 平 成 11 年 ) 告 示 2003( 平 成 15 年 ) 施 行 高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 地 理 歴 史 科 世 界 史 A B 内 容 世 界 史 A 前 近 代 史 ユーラシアを 中 心 に 形 成 された 交 流 圏 とそれを 支 えた 都 市 や 港 のネットワークを 学 ぶ 世 界 史 B 世 界 史 学 習 の 導 入 部 に 世 界 史 の 扉 を 設 定 し 世 界 史 と 日 本 史 とのつながりについて 適 切 な 事 例 をあ げ 接 触 交 流 の 具 体 的 様 相 を 追 究 させ 日 本 列 島 の 歴 史 と 世 界 史 との 密 接 なつながりに 気 付 かせる 内 容 の 取 り 扱 い (イ) 比 較 文 化 的 視 点 から 世 界 の 歴 史 の 中 の 日 本 の 位 置 付 けについても 着 目 させること 8