要 旨 政 府 与 党 社 会 保 障 改 革 検 討 本 部 において 6 月 30 日 に 社 会 保 障 税 一 体 改 革 成 案 ( 以 下 改 革 案 )が 決 定 され 7 月 1 日 に 閣 議 報 告 された 本 稿 では こ のうち 医 療 介 護 分 野 について 取 り 上



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社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

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セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

有 料 老 ホーム ( ) ( 主 として 要 介 護 状 態 にある を 入 居 させるも のに 限 る ) 第 29 条 ( 届 出 等 ) 第 二 十 九 条 有 料 老 ホーム( 老 を 入 居 させ 入 浴 排 せつ 若 しくは 食 事 の 介 護 食 事 の 提 供 又 はその 他 の

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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m07 北見工業大学 様式①

16 日本学生支援機構

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

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頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

申 請 免 除 申 請 免 除 ( 学 生 以 外 ) 学 生 納 付 特 例 制 度 若 年 者 納 付 猶 予 制 度 法 定 免 除 世 帯 構 成 図 表 1 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 の 種 類 と 所 得 基 準 本 人 世 帯 主 配 偶 者 の 所 得 に 応 じて 免

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17 外 国 人 看 護 師 候 補 者 就 労 研 修 支 援 18 看 護 職 員 の 就 労 環 境 改 善 運 動 推 進 特 別 20 歯 科 医 療 安 全 管 理 体 制 推 進 特 別 21 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 整 備 22 地 域 災 害 拠 点 病

公表表紙

●幼児教育振興法案

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

厚 生 年 金 は 退 職 後 の 所 得 保 障 を 行 う 制 度 であり 制 度 発 足 時 は 在 職 中 は 年 金 を 支 給 しないこととされていた しかしながら 高 齢 者 は 低 賃 金 の 場 合 が 多 いと いう 実 態 に 鑑 み 在 職 者 にも 支 給 される 特 別

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

18 国立高等専門学校機構

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

3 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 ( ベース) 43.7 歳 32, , ,321

別紙3


私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 135,600 円 185,800 円 222,900 円 261,900 円

(\202g22\214\366\225\\.xls)

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

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(2) 特 別 障 害 給 付 金 国 民 年 金 に 任 意 加 入 していなかったことにより 障 害 基 礎 年 金 等 を 受 給 していない 障 がい 者 の 方 に 対 し 福 祉 的 措 置 として 給 付 金 の 支 給 を 行 う 制 度 です 支 給 対 象 者 平 成 3 年 3

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3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

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2 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (26 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 静 岡 県 国 類 似 団 体 2 技 能 労 務 職 区 41.8 歳 42.6 歳 43.5

第 7 条 職 員 の 給 与 に 関 する 規 程 ( 以 下 給 与 規 程 という ) 第 21 条 第 1 項 に 規 定 す るそれぞれの 基 準 日 に 育 児 休 業 している 職 員 のうち 基 準 日 以 前 6 月 以 内 の 期 間 にお いて 在 職 した 期 間 がある 職

弁護士報酬規定(抜粋)

も く じ 1 税 源 移 譲 1 2 何 が 変 わったのか 改 正 の 3 つ の ポイント ポイント1 国 から 地 方 へ 3 兆 円 規 模 の 税 源 が 移 譲 される 2 ポイント2 個 人 住 民 税 の 税 率 構 造 が 一 律 10%に 変 わる 3 ポイント3 個 々の 納

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4-3-4共立蒲原総合病院組合職員の育児休業等に関する条例

減 少 率 ) と 平 均 余 命 の 伸 びを 勘 案 した 一 定 率 (0.3%) の 合 計 である スライド 調 整 率 を 差 し 引 いて 年 金 額 の 改 定 が 行 われる( 図 表 ) ただし マクロ 経 済 スライドが 完 全 に 実 施 されるのは 賃 金 や 物 価 があ

育児・介護休業等に関する規則

目 次 1. 社 会 保 障 分 野 でできること 1 1 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 制 度 の 改 善 2 保 険 証 機 能 の 一 元 化 3 自 己 診 療 情 報 の 活 用 4 給 付 可 能 サービスの 行 政 側 からの 通 知 2. 年 金 分 野 でできること 5

母 子 医 療 対 策 費 462 (313,289) 国 4,479 1 不 妊 治 療 助 成 事 業 8,600 不 妊 治 療 費 用 の 一 部 を 助 成 し 経 済 的 負 担 の 軽 減 を 図 る 230, ,608 不 妊 治 療 費 の 増 加 による 増 額 分

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

2 前 項 前 段 の 規 定 にかかわらず 年 俸 制 教 職 員 から 申 し 出 があった 場 合 においては 労 使 協 定 に 基 づき その 者 に 対 する 給 与 の 全 額 又 は 一 部 を 年 俸 制 教 職 員 が 希 望 する 金 融 機 関 等 の 本 人 名 義 の 口

(3) 育 児 休 業 (この 号 の 規 定 に 該 当 したことにより 当 該 育 児 休 業 に 係 る 子 について 既 にし たものを 除 く )の 終 了 後 3 月 以 上 の 期 間 を 経 過 した 場 合 ( 当 該 育 児 休 業 をした 教 職 員 が 当 該 育 児 休 業

年 金 払 い 退 職 給 付 制 度 における 年 金 財 政 のイメージ 積 立 時 給 付 時 給 付 定 基 (1/2) で 年 金 を 基 準 利 率 で 付 利 給 付 定 基 ( 付 与 利 の ) 有 期 年 金 終 身 年 金 退 職 1 年 2 年 1 月 2 月 ( 終 了 )

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接 支 払 制 度 を 活 用 するか 意 思 を 確 認 する 確 認 に 当 たっては 次 の 各 号 に 掲 げる 事 項 について 書 面 により 世 帯 主 の 合 意 を 得 て 代 理 契 約 を 締 結 するものとする (1) 医 療 機 関 等 が 本 市 に 対 し 世 帯 主

資料2 年金制度等について(山下委員提出資料)

Ⅶ 東 海 地 震 に 関 して 注 意 情 報 発 表 時 及 び 警 戒 宣 言 発 令 時 の 対 応 大 規 模 地 震 対 策 特 別 措 置 法 第 6 条 の 規 定 に 基 づき 本 県 の 東 海 地 震 に 係 る 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 において 東 海 地 震

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

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5

就 学 前 教 育 保 育 の 実 施 状 況 ( 平 成 23 年 度 ) 3 歳 以 上 児 の 多 く(4 歳 以 上 児 はほとんど)が 保 育 所 又 は 幼 稚 園 に 入 所 3 歳 未 満 児 (0~2 歳 児 )で 保 育 所 に 入 所 している 割 合 は 約 2 割 就 学

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (5 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 区 類 団 府 分 似 体 平 均 年 齢

003-00個人の健康増進・疾病予防の推進のための所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

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公 営 企 業 職 員 の 状 況 1 水 道 事 業 1 職 員 給 与 費 の 状 況 ア 決 算 区 分 総 費 用 純 利 益 職 員 給 与 費 総 費 用 に 占 める ( 参 考 ) 職 員 給 与 費 比 率 22 年 度 の 総 費 用 に 占 A B B/A める 職 員 給 与

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別紙3

PR版

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った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

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2 前 項 に 定 める 日 に 支 給 する 給 与 は 総 額 給 与 を12 分 割 した 額 ( 以 下 給 与 月 額 という ) 扶 養 手 当 住 居 手 当 通 勤 手 当 単 身 赴 任 手 当 寒 冷 地 手 当 及 び 業 績 手 当 並 びに 前 月 分 の 超 過 勤 務

(2) 国 民 年 金 の 保 険 料 国 民 年 金 の 第 1 号 被 保 険 者 および 任 意 加 入 者 は, 保 険 料 を 納 めなければなりま せん また,より 高 い 老 齢 給 付 を 望 む 第 1 号 被 保 険 者 任 意 加 入 者 は, 希 望 により 付 加 保 険

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 26 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 法 人 の 長 副 理 事 長 A 理 事 16,638 10,332 4,446 1,

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

Transcription:

2011 年 8 月 18 日 発 行 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 シリーズ 4 医 療 介 護 改 革 案 の 評 価 と 課 題 ~ 必 要 な 財 源 確 保 の 見 通 しの 提 示 を~

要 旨 政 府 与 党 社 会 保 障 改 革 検 討 本 部 において 6 月 30 日 に 社 会 保 障 税 一 体 改 革 成 案 ( 以 下 改 革 案 )が 決 定 され 7 月 1 日 に 閣 議 報 告 された 本 稿 では こ のうち 医 療 介 護 分 野 について 取 り 上 げる なお 医 療 介 護 分 野 の 詳 細 な 改 革 案 については 8 月 以 降 に 社 会 保 障 審 議 会 等 で 検 討 され 2012 年 以 降 に 関 連 法 案 が 提 出 される 予 定 となっている 改 革 案 では 医 療 介 護 分 野 に 関 して 1 医 療 介 護 サービス 提 供 体 制 に 関 す る 改 革 案 と 2 医 療 介 護 保 険 制 度 に 関 する 改 革 案 の2つの 側 面 からの 改 革 項 目 が 挙 げられている 1では 医 療 提 供 体 制 の 効 率 化 重 点 化 と 機 能 強 化 外 来 受 診 の 適 正 化 等 の 取 組 み 介 護 サービスの 改 革 等 が 挙 げられており 2では 保 険 制 度 に 関 する 改 革 案 として 保 険 者 機 能 の 強 化 を 通 じた 制 度 のセーフティネ ット 機 能 の 強 化 給 付 の 重 点 化 低 所 得 者 対 策 等 が 挙 げられている 今 後 高 齢 者 数 が 増 加 し 患 者 数 要 介 護 者 数 の 大 幅 な 増 加 が 見 込 まれるなかで 必 要 な 医 療 介 護 サービスを 提 供 できる 体 制 を 整 備 することは 不 可 欠 である ま た 各 医 療 保 険 介 護 保 険 において 将 来 にわたり 必 要 な 給 付 を 行 うことができる 持 続 可 能 な 保 険 制 度 とすることも 必 要 である したがって この 2 つの 視 点 から 必 要 な 給 付 を 行 う ための 改 革 案 が 掲 げられていることは 評 価 できる 一 方 で 少 子 高 齢 化 が 進 行 していることから 医 療 保 険 介 護 保 険 財 政 は 厳 しい 状 況 が 続 いている 改 革 案 で 示 されているとおり 制 度 の 充 実 に 関 する 改 革 を 実 施 する 一 方 で 重 点 化 効 率 化 に 関 する 改 革 を 実 施 し 給 付 増 の 抑 制 を 図 ることはやむを 得 ないと 考 えられる ただし 改 革 案 で 試 算 された 公 費 負 担 額 の 見 通 しをみると 重 点 化 効 率 化 によ る 費 用 抑 制 を 上 回 る 充 実 策 の 実 施 案 が 挙 げられているため 2015 年 には 最 大 で 1.6 兆 円 弱 増 加 2025 年 には 最 大 で 2.3 兆 円 増 加 するとされている 改 革 によ り 医 療 介 護 費 用 が 現 行 制 度 を 継 続 するより 増 加 するのであれば その 財 源 の 確 保 が 不 可 欠 となるが 具 体 的 にどう 財 源 を 確 保 するのかについて 改 革 案 では 記 述 がない また 公 費 負 担 額 の 見 通 しのみが 試 算 されているが 医 療 介 護 保 険 財 政 を 支 える 保 険 料 負 担 増 の 見 通 しについても 国 民 の 関 心 は 高 く 早 急 に 試 算 が 示 されることが 求 められる 少 子 高 齢 化 や 医 療 の 高 度 化 等 が 進 むなかで 現 状 を 放 置 すれば 今 後 の 医 療 介 護 保 険 財 政 が 逼 迫 することは 避 けられず 必 要 なサービスが 受 けられない 事 態 に なることも 懸 念 される 財 源 は 公 費 負 担 保 険 料 負 担 患 者 利 用 者 負 担 しか なく それぞれの 負 担 をどこで 折 り 合 わせれば 世 代 間 加 入 制 度 間 等 で 納 得 で きる 負 担 水 準 とすることができるか 今 後 の 改 革 の 検 討 の 過 程 では 具 体 的 な 負 担 と 給 付 の 将 来 見 通 しを 示 した 上 で より 多 くの 国 民 が 納 得 合 意 できるよう 公 平 性 に 配 慮 した 制 度 設 計 とすることが 求 められる 政 策 調 査 部 堀 江 奈 保 子

本 誌 に 関 するお 問 い 合 わせは みずほ 総 合 研 究 所 株 式 会 社 調 査 本 部 電 話 (03)3591-1308 まで 当 レポートは 情 報 提 供 のみを 目 的 として 作 成 されたものであり 商 品 の 勧 誘 を 目 的 としたものではあり ません 本 資 料 は 当 社 が 信 頼 できると 判 断 した 各 種 データに 基 づき 作 成 されておりますが その 正 確 性 確 実 性 を 保 証 するものではありません また 本 資 料 に 記 載 された 内 容 は 予 告 なしに 変 更 されるこ ともあります

目 次 1. はじめに 1 2. 医 療 介 護 サービスの 提 供 体 制 に 関 する 改 革 案 1 (1) 医 療 提 供 体 制 の 効 率 化 重 点 化 と 機 能 強 化 1 (2) 外 来 受 診 の 適 正 化 等 の 取 組 み 3 (3) 介 護 サービスの 改 革 3 3. 医 療 介 護 保 険 制 度 に 関 する 改 革 案 4 (1) 被 用 者 保 険 の 適 用 拡 大 と 国 保 の 財 政 基 盤 の 安 定 化 強 化 広 域 化 5 (2) 介 護 保 険 の 機 能 強 化 等 6 (3) 高 度 長 期 医 療 への 対 応 と 給 付 の 重 点 化 7 (4) 総 合 合 算 制 度 の 導 入 8 (5) 高 齢 者 医 療 制 度 の 見 直 し 9 (6) 後 発 医 薬 品 の 更 なる 使 用 促 進 等 10 (7) 国 保 組 合 の 国 庫 補 助 の 見 直 し 11 4. 改 革 案 が 実 施 された 場 合 の 公 費 負 担 の 変 化 の 見 通 し 12 5. 改 革 案 の 評 価 と 課 題 13 (1) 医 療 介 護 サービスの 提 供 体 制 に 関 する 改 革 案 の 評 価 と 課 題 13 (2) 医 療 介 護 保 険 制 度 に 関 する 改 革 案 の 評 価 と 課 題 13 (3) 財 源 の 確 保 15 (4) 自 助 の 拡 充 17 6. おわりに 18

1. はじめに 政 府 与 党 社 会 保 障 改 革 検 討 本 部 において 6 月 30 日 に 社 会 保 障 税 一 体 改 革 成 案 ( 以 下 改 革 案 )が 決 定 され 7 月 1 日 に 閣 議 報 告 された また 8 月 12 日 には 社 会 保 障 税 一 体 改 革 の 当 面 の 作 業 スケジュール について 関 係 5 大 臣 ( 厚 生 労 働 大 臣 総 務 大 臣 財 務 大 臣 官 房 長 官 社 会 保 障 税 一 体 改 革 担 当 大 臣 )で 確 認 され 8 月 以 降 厚 生 労 働 省 の 社 会 保 障 審 議 会 等 で 検 討 が 進 められる 予 定 である 本 稿 では 改 革 案 のうち 医 療 介 護 分 野 について 取 り 上 げる 改 革 案 参 考 資 料 1によ ると わが 国 の 医 療 介 護 制 度 の 現 状 は 医 療 介 護 を 担 う 人 材 が 不 足 偏 在 し 医 療 介 護 の 提 供 体 制 の 機 能 分 化 が 不 十 分 であり 連 携 も 不 足 していること 近 年 の 状 況 変 化 ( 雇 用 基 盤 の 変 化 高 齢 化 医 療 の 高 度 化 格 差 の 拡 大 等 )に 起 因 する 財 政 状 況 の 悪 化 等 サービスの 提 供 体 制 とそれを 支 える 保 険 制 度 の 両 面 で 大 きな 課 題 を 抱 えているとされ ている そこで 持 続 可 能 な 制 度 を 構 築 するため 改 革 案 では 医 療 介 護 サービス 提 供 体 制 に 関 する 改 革 案 と 医 療 介 護 保 険 制 度 に 関 する 改 革 案 の2つの 側 面 からの 改 革 項 目 が 挙 げられている なお 医 療 介 護 改 革 の 詳 細 な 改 革 案 に 関 する 検 討 は 今 後 の 社 会 保 障 審 議 会 の 医 療 部 会 医 療 保 険 部 会 介 護 保 険 部 会 等 において 行 われる また 改 革 のスケジュールは 基 盤 整 備 のための 一 括 的 な 法 整 備 については 2012 年 を 目 処 に 法 案 を 提 出 し 2025 年 頃 まで に 医 療 介 護 サービスのあるべき 姿 を 実 現 するとされている また 医 療 介 護 保 険 の 見 直 しについては 税 制 抜 本 改 革 とともに 2012 年 以 降 関 係 法 案 を 提 出 し 順 次 実 施 する 方 針 が 明 らかにされている 2 以 下 では 改 革 案 や 改 革 案 参 考 資 料 等 をもとに 医 療 介 護 分 野 の 現 状 と 主 要 な 改 革 案 の 内 容 を 概 説 するとともに 改 革 案 の 評 価 や 課 題 について 検 討 する 2. 医 療 介 護 サービスの 提 供 体 制 に 関 する 改 革 案 まず 医 療 介 護 サービス 提 供 体 制 に 関 する 改 革 案 としては (1) 医 療 提 供 体 制 の 効 率 化 重 点 化 と 機 能 強 化 (2) 外 来 受 診 の 適 正 化 等 の 取 組 み (3) 介 護 サービスの 改 革 等 が 挙 げられている 以 下 では この 3 点 について 現 状 と 改 革 案 についてみていく (1) 医 療 提 供 体 制 の 効 率 化 重 点 化 と 機 能 強 化 a. 現 状 わが 国 の 人 口 当 たり 医 師 数 は 国 際 的 にみても 少 なく 医 師 不 足 偏 在 等 への 対 応 が 急 務 とされている また 国 際 的 にみて 人 口 当 たり 病 床 数 の 多 さに 対 し 病 床 当 たり 医 療 従 事 者 が 少 ない 一 方 で 医 療 技 術 の 高 度 化 等 に 伴 い 医 療 スタッフの 業 務 は 増 大 している こ 1 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 ( 第 10 回 ) 参 考 資 料 2( 内 閣 官 房 社 会 保 障 改 革 担 当 室 2011 年 6 月 2 日 ) 2 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 ( 第 11 回 ) 資 料 6 厚 生 労 働 大 臣 社 会 保 障 税 一 体 改 革 成 案 に おける 改 革 項 目 の 着 実 な 推 進 について による(2011 年 7 月 14 日 ) 1

のため 一 般 病 床 の 役 割 分 担 が 不 明 確 で 病 院 の 人 員 配 置 も 手 薄 となっていることが 指 摘 されている また 疾 病 構 造 が 変 化 する 中 で 急 性 期 治 療 を 経 た 患 者 を 受 け 止 める 亜 急 性 期 リハビリ 等 の 入 院 機 能 や 在 宅 医 療 機 能 などが 不 足 している b. 改 革 案 そこで 改 革 案 では 良 質 な 医 療 を 効 率 的 に 提 供 できるよう 充 実 と 重 点 化 効 率 化 の 両 面 の 改 革 の 具 体 策 が 提 示 されている (a) 充 実 まず 改 革 により 充 実 させる 具 体 策 としては 以 下 の 5 つが 挙 げられており 2015 年 には 総 額 で 公 費 負 担 が 8,700 億 円 程 度 必 要 になると 試 算 されている 1 医 師 の 確 保 偏 在 対 策 ( 地 域 医 療 支 援 センター 等 ) 看 護 職 員 確 保 対 策 の 強 化 多 職 種 の 連 携 協 働 によるチーム 医 療 の 推 進 2 急 性 期 医 療 への 医 療 資 源 の 集 中 投 入 亜 急 性 期 回 復 期 慢 性 期 医 療 3への 資 源 投 入 強 化 を 始 めとする 手 厚 い 体 制 へと 入 院 医 療 の 機 能 強 化 3 診 療 所 等 による 総 合 的 な 診 療 や 在 宅 療 養 支 援 の 強 化 評 価 訪 問 看 護 の 計 画 的 整 備 など 地 域 における 外 来 在 宅 医 療 の 充 実 4 精 神 病 床 の 機 能 に 応 じた 体 制 強 化 やアウトリーチ( 訪 問 支 援 ) 体 制 整 備 など 精 神 保 健 医 療 の 改 革 5 在 宅 連 携 拠 点 機 能 の 整 備 や 連 携 パスの 普 及 など 入 院 から 在 宅 へ の 移 行 時 や 医 療 と 介 護 の 間 での 連 携 強 化 (b) 重 点 化 効 率 化 一 方 改 革 により 重 点 化 効 率 化 を 進 めるための 具 体 策 については 医 療 資 源 の 投 入 強 化 等 による 機 能 強 化 医 療 機 関 間 や 医 療 と 介 護 の 連 携 の 強 化 等 により 平 均 在 院 日 数 を 短 縮 させるとされており 2015 年 には 公 費 負 担 が 4,300 億 円 程 度 減 少 すると 試 算 されて いる なお 平 均 在 院 日 数 は 2011 年 は 19~20 日 程 度 の 見 込 みであるが 改 革 案 では 2025 年 には 一 般 病 棟 のうち 高 度 急 性 期 で 15~16 日 程 度 一 般 急 性 期 で 9 日 程 度 に 短 縮 すること 等 が 明 示 されている 3 急 性 期 医 療 は 病 気 の 発 症 から 回 復 期 や 亜 急 性 期 へ 移 行 するまでの 期 間 における 医 療 亜 急 性 期 医 療 は 病 気 が 発 症 し 急 性 期 の 状 態 を 脱 してから 慢 性 期 に 移 行 するまでの 期 間 の 医 療 回 復 期 医 療 は 健 康 な 状 態 やそれに 準 ずる 程 度 まで 病 気 や 身 体 を 回 復 させるため 一 般 的 には 薬 剤 や 治 療 行 為 は 少 なく リハ ビリテーションが 必 要 な 状 態 の 医 療 慢 性 期 医 療 は 急 性 期 や 亜 急 性 期 を 脱 し 病 気 身 体 は 安 定 して いるものの 完 治 はしていない 常 態 における 医 療 2

(2) 外 来 受 診 の 適 正 化 等 の 取 組 み a. 現 状 外 来 受 診 に 関 する 現 状 の 問 題 点 としては 1 日 本 人 の 死 亡 原 因 の 約 6 割 が 生 活 習 慣 病 で あること 2 在 宅 医 療 で 医 療 関 係 者 と 介 護 の 関 係 者 間 で 必 要 な 情 報 を 十 分 に 共 有 できて いないこと 3 一 度 に 多 くの 医 療 機 関 で 診 察 を 受 けたり 短 い 期 間 で 何 度 も 医 療 機 関 にか かったりするなど 日 本 の 一 人 当 たり 外 来 診 察 回 数 は 諸 外 国 と 比 べて 多 いこと が 挙 げ られている b. 改 革 案 改 革 案 では 充 実 策 については 挙 げられていないが 重 点 化 効 率 化 に 関 する 項 目 として 以 下 の 5 つが 挙 げられている これらを 実 施 することにより 2015 年 には 公 費 負 担 が 1,200 億 円 程 度 減 少 すると 試 算 されている 1 特 定 健 診 4を 推 進 して 生 活 習 慣 病 を 予 防 する 2 医 療 機 関 などの 連 携 を 強 化 し 必 要 な 時 に 迅 速 にサービスを 受 け られるようにする 3 電 子 化 の 推 進 で 利 便 性 の 向 上 ( 医 療 健 康 情 報 を 電 子 化 し 自 分 の 健 康 管 理 をより 簡 単 にする 診 療 報 酬 の 請 求 を 電 子 化 し 事 務 を 簡 素 効 率 化 する) 4 電 子 化 したデータを 用 いて 市 町 村 などの 保 険 者 が 適 正 な 受 診 の 指 導 などを 実 施 する 5 番 号 制 度 を 導 入 し 医 療 介 護 サービスの 手 続 きをより 簡 単 にす る( 保 険 証 は 一 枚 とし 医 療 介 護 で 重 複 した 手 続 きを1 回 にす る 等 ) (3) 介 護 サービスの 改 革 a. 現 状 高 齢 化 の 進 展 に 伴 い 介 護 保 険 制 度 の 給 付 費 は 2000 年 度 の 3.6 兆 円 から 2010 年 度 は 7.9 兆 円 へと 急 増 している また サービス 間 や 医 療 住 宅 等 の 他 の 施 策 との 連 携 が 不 十 分 であることが 指 摘 されている その 他 都 市 部 での 高 齢 化 等 により 単 身 夫 婦 のみの 高 齢 者 世 帯 が 一 層 増 加 しているほか 今 後 更 なる 増 加 が 見 込 まれる 認 知 症 高 齢 者 に 対 する サービスの 質 量 が 不 十 分 であるといった 問 題 点 もある さらに ケアマネジメント( 居 宅 介 護 支 援 事 業 )も 含 め サービスが 必 ずしも 利 用 者 の 自 立 につながっていないとの 指 摘 もある 4 メタボリックシンドローム( 内 臓 脂 肪 症 候 群 )に 着 目 した 健 診 3

b. 改 革 案 そこで 改 革 案 では 自 立 支 援 を 進 める 介 護 サービス 提 供 体 制 の 実 現 に 取 り 組 むため 在 宅 サービス 等 の 充 実 と 高 齢 者 の 自 立 に 資 する 給 付 への 重 点 化 等 が 挙 げられている (a) 充 実 まず 改 革 により 充 実 させる 具 体 策 としては 以 下 の 4 つが 挙 げられており 2015 年 には 総 額 で 公 費 負 担 が 4,900 億 円 程 度 必 要 になると 試 算 されている 1 地 域 包 括 ケアシステム 5 の 確 立 を 図 るため 24 時 間 対 応 の 定 期 巡 回 随 時 対 応 サービス 等 の 在 宅 サービスの 充 実 ケアマネジメン トの 機 能 強 化 医 療 との 連 携 強 化 を 推 進 2 小 規 模 多 機 能 型 居 宅 介 護 6やグループホーム 7 の 拡 充 により 認 知 症 への 対 応 を 強 化 3 施 設 について ユニット 化 8 等 の 個 別 ケアを 推 進 4 サービスの 充 実 を 支 える 介 護 職 員 の 処 遇 の 改 善 (b) 重 点 化 効 率 化 一 方 重 点 化 効 率 化 を 進 めるための 改 革 の 具 体 策 としては 以 下 の 2 つが 掲 げられて おり 2015 年 には 総 額 で 公 費 負 担 が 1,800 億 円 程 度 削 減 できると 試 算 されている 1 介 護 予 防 の 推 進 機 能 訓 練 等 の 重 度 化 予 防 に 資 する 給 付 への 重 点 化 等 により 要 介 護 者 数 の 減 少 を 図 る 2 地 域 包 括 ケアシステムの 実 現 により 重 度 者 を 含 む 要 介 護 高 齢 者 が 住 み 慣 れた 地 域 で 暮 らし 続 けることを 可 能 とし 在 宅 への 移 行 を 図 る 3. 医 療 介 護 保 険 制 度 に 関 する 改 革 案 次 に 医 療 介 護 保 険 制 度 に 関 する 改 革 案 についてみていく 保 険 制 度 に 関 する 改 革 案 は 保 険 者 機 能 の 強 化 を 通 じた 制 度 のセーフティネット 機 能 の 強 化 給 付 の 重 点 化 5 日 常 生 活 圏 域 内 において 医 療 介 護 福 祉 生 活 サービス 等 について 一 体 的 かつ 継 続 的 に 相 談 利 用 できる 提 供 体 制 6 地 域 密 着 型 サービスのひとつであり 通 い を 中 心 として 要 介 護 者 の 様 態 や 希 望 に 応 じて 随 時 訪 問 や 泊 まり を 組 み 合 わせてサービスを 提 供 することで 中 重 度 となっても 在 宅 で 生 活 が 継 続 でき るよう 支 援 する 介 護 サービス 7 地 域 密 着 型 サービスのひとつであり 認 知 症 対 応 型 共 同 生 活 介 護 事 業 8 小 規 模 生 活 単 位 型 化 原 則 個 室 の 居 室 と 居 室 に 隣 接 した 共 同 生 活 室 (リビング)で 構 成 された 施 設 で 施 設 の 居 室 をいくつかのグループに 分 けて それぞれをひとつの 生 活 単 位 としてケアを 行 う 4

逆 進 性 対 策 が 挙 げられている 具 体 的 な 項 目 として 以 下 では (1) 被 用 者 保 険 の 適 用 拡 大 と 国 保 の 財 政 基 盤 の 安 定 化 強 化 広 域 化 (2) 介 護 保 険 の 機 能 強 化 等 (3) 高 度 長 期 医 療 への 対 応 と 給 付 の 重 点 化 (4) 総 合 合 算 制 度 の 導 入 (5) 高 齢 者 医 療 制 度 の 見 直 し (6) 後 発 医 薬 品 の 更 なる 使 用 促 進 等 (7) 国 保 組 合 の 国 庫 補 助 の 見 直 し のそれぞれについて 現 状 と 改 革 案 をみていく (1) 被 用 者 保 険 の 適 用 拡 大 と 国 保 の 財 政 基 盤 の 安 定 化 強 化 広 域 化 a. 現 状 雇 用 者 に 占 める 非 正 規 労 働 者 の 割 合 は 1990 年 の 20.2%から 2010 年 の 34.4%へ 拡 大 している これに 伴 い 同 じ 仕 事 でも 労 働 時 間 等 により 被 用 者 保 険 ( 協 会 健 保 健 保 組 合 等 )が 適 用 されない 非 正 規 労 働 者 が 増 加 していることから 医 療 保 険 制 度 における 非 正 規 労 働 者 対 策 が 必 要 となっている 一 方 市 町 村 国 保 については 財 政 規 模 の 小 さな 市 町 村 の 国 保 の 運 営 が 不 安 定 となって いるほか 低 所 得 者 や 無 収 入 者 の 増 大 により 保 険 料 軽 減 措 置 を 受 けている 世 帯 割 合 が 増 加 しており 財 政 基 盤 が 弱 体 化 している b. 改 革 案 そこで 改 革 案 は 非 正 規 労 働 者 や 低 所 得 者 無 収 入 者 の 増 大 に 対 応 するため 医 療 保 険 制 度 のセーフティネット 機 能 の 強 化 策 として 次 の 2 つを 掲 げている 1 短 時 間 労 働 者 への 被 用 者 保 険 の 適 用 を 拡 大 する 2 市 町 村 国 保 の 財 政 運 営 の 都 道 府 県 単 位 化 と 併 せ 財 政 基 盤 の 強 化 を 行 う 1の 被 用 者 保 険 の 適 用 範 囲 を 拡 大 して 短 時 間 労 働 者 のセーフティネット 機 能 を 強 化 す る 改 革 案 は 例 えば 雇 用 保 険 と 同 じ 適 用 条 件 とすれば 加 入 者 が 約 400 万 人 増 加 し( 図 表 1) 2015 年 時 点 の 公 費 負 担 額 は 1,600 億 円 程 度 抑 制 できると 試 算 されている 9 図 表 1: 非 正 規 労 働 者 への 健 康 保 険 適 用 拡 大 のイメージ 週 所 定 労 働 時 間 20 時 間 30 時 間 40 時 間 以 上 約 300~400 万 人 適 用 拡 大 対 象 案 ( 雇 用 保 険 と 同 じ 条 件 とする 場 合 ) 約 400 万 人 非 正 規 労 働 者 ( 約 1700~1800 万 人 ) 約 900~1000 万 人 ( 既 に 健 康 保 険 適 用 ) ( 資 料 ) 内 閣 官 房 社 会 保 障 改 革 担 当 室 社 会 保 障 税 一 体 改 革 成 案 における 改 革 項 目 ( 参 考 資 料 ) 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 ( 第 11 回 ) 資 料 (2011 年 7 月 14 日 ) 9 健 康 保 険 は 概 ね 週 労 働 時 間 が 30 時 間 以 上 等 雇 用 保 険 は 同 20 時 間 以 上 等 の 適 用 条 件 がある 5

一 方 国 保 財 政 の 強 化 については 各 都 道 府 県 が 策 定 する 広 域 化 等 支 援 方 針 に 基 づ き 広 域 化 の 環 境 を 整 備 し 市 町 村 国 保 の 財 政 運 営 の 都 道 府 県 単 位 化 を 目 指 すことや 低 所 得 者 の 保 険 料 軽 減 措 置 の 拡 充 等 により 市 町 村 国 保 の 財 政 基 盤 を 強 化 させることが 挙 げら れている なお 低 所 得 者 保 険 料 軽 減 の 拡 充 等 により 2015 年 時 点 の 公 費 負 担 額 は 最 大 2,200 億 円 程 度 増 加 すると 試 算 されている (2) 介 護 保 険 の 機 能 強 化 等 a. 現 状 介 護 サービスの 利 用 増 加 に 伴 い 第 1 号 被 保 険 者 (65 歳 以 上 )の 保 険 料 は 大 きく 上 昇 している 2000 年 の 制 度 導 入 時 には 全 国 平 均 で 2,911 円 であったが 2009~2011 年 度 時 点 では 4,160 円 となっており 今 後 も 更 なる 増 加 が 見 込 まれている 一 方 第 2 号 被 保 険 者 (40~64 歳 )については 現 在 各 医 療 保 険 者 が 被 保 険 者 の 数 に 応 じて 保 険 料 を 負 担 していることから 相 対 的 に 財 政 力 の 弱 い 保 険 者 の 負 担 が 重 くなっていることが 指 摘 され ている また 給 付 については 必 ずしも 利 用 者 の 自 立 につながっていないという 指 摘 がある b. 改 革 案 そこで 改 革 案 では 第 1 号 被 保 険 者 の 保 険 料 負 担 軽 減 策 や 第 2 号 被 保 険 者 の 負 担 の 見 直 し 給 付 の 重 点 化 が 挙 げられている (a) 充 実 まず 改 革 により 充 実 させる 具 体 策 としては 第 1 号 被 保 険 者 の 保 険 料 について 公 費 を 導 入 し 低 所 得 者 の 負 担 軽 減 策 の 強 化 を 図 るとされている これにより 2015 年 時 点 の 公 費 負 担 は 最 大 で 1,300 億 円 程 度 増 加 すると 試 算 されている (b) 重 点 化 効 率 化 また 重 点 化 効 率 化 を 進 めるための 改 革 の 具 体 策 としては 以 下 の 2 つが 挙 げられて いる 1 第 2 号 被 保 険 者 (40~64 歳 )の 保 険 料 について 被 用 者 保 険 の 各 保 険 者 の 財 政 力 に 応 じて 負 担 する 仕 組 みとし 応 能 負 担 の 要 素 を 強 化 する 2 軽 度 者 について 機 能 訓 練 等 の 重 度 化 予 防 に 効 果 があり 自 立 に 資 するものに 給 付 の 重 点 化 を 図 る なお 1の 各 保 険 者 の 財 政 力 に 応 じた 負 担 とは 総 報 酬 割 の 導 入 を 意 味 している 現 在 の 第 2 号 被 保 険 者 の 介 護 保 険 料 ( 介 護 給 付 費 納 付 金 )は 被 保 険 者 数 に 応 じた 負 担 と なっている したがって 第 2 号 被 保 険 者 数 が 同 じ 場 合 保 険 者 の 負 担 総 額 が 等 しくなる ため 被 保 険 者 の 総 報 酬 額 が 低 い(= 被 保 険 者 の 平 均 賃 金 が 低 い) 保 険 者 の 保 険 料 率 が 高 6

くなる 健 保 組 合 平 均 と 協 会 健 保 平 均 の 平 均 賃 金 10を 比 較 すると 健 保 組 合 は 約 36.0 万 円 協 会 健 保 は 約 27.9 万 円 と 健 保 組 合 の 方 が 平 均 賃 金 が 高 い このため 介 護 保 険 料 率 は 健 保 組 合 平 均 が 1.16%であるのに 対 し 協 会 健 保 平 均 は 1.50%となっている(2010 年 時 点 ) 総 報 酬 割 が 完 全 に 実 施 されると 約 1,600 億 円 程 度 の 公 費 負 担 削 減 につながると 試 算 されている 11 (3) 高 度 長 期 医 療 への 対 応 と 給 付 の 重 点 化 a. 現 状 長 期 に 高 額 な 治 療 薬 を 服 用 するなどにより 医 療 費 の 自 己 負 担 の 重 い 患 者 が 生 じている 1カ 月 の 医 療 費 の 患 者 の 自 己 負 担 額 に 上 限 を 設 ける 高 額 療 養 費 制 度 が 導 入 されている ものの 自 己 負 担 限 度 額 が 月 単 位 のため 年 間 医 療 費 が 同 じでも 高 額 療 養 費 が 支 給 されな い 場 合 がある また 高 額 療 養 費 の 所 得 区 分 (70 歳 未 満 )の 一 般 所 得 者 の 年 収 の 幅 が 大 きく 一 般 所 得 者 の 年 収 の 下 限 に 近 い 中 低 所 得 者 の 負 担 が 重 いという 課 題 がある( 図 表 2) 図 表 2: 高 額 療 養 費 の 所 得 区 分 と 自 己 負 担 限 度 額 (70 歳 未 満 ) 上 位 所 得 者 一 般 所 得 者 低 所 得 者 年 収 の 目 安 ( 夫 婦 子 1 人 の 給 与 所 得 者 世 帯 の 場 合 ) 約 790 万 円 以 上 約 210 万 円 ~ 約 790 万 円 約 210 万 円 以 下 自 己 負 担 限 度 額 (1 カ 月 当 たり) 約 150,000 円 < 多 数 該 当 83,400 円 > 約 80,100 円 < 多 数 該 当 44,400 円 > 約 35,400 円 < 多 数 該 当 24,600 円 > ( 注 ) 多 数 該 当 は 1 年 間 ( 直 近 12 カ 月 )に 3 回 以 上 高 額 療 養 費 の 支 給 を 受 けている 場 合 の 4 回 目 以 降 の 自 己 負 担 限 度 額 ( 資 料 ) 内 閣 官 房 社 会 保 障 改 革 担 当 室 社 会 保 障 税 一 体 改 革 成 案 における 改 革 項 目 ( 参 考 資 料 ) 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 ( 第 11 回 ) 資 料 (2011 年 7 月 14 日 ) b. 改 革 案 以 上 の 現 状 の 問 題 に 対 応 するため 改 革 案 では 高 額 療 養 費 の 負 担 軽 減 とそのための 財 源 確 保 の 具 体 策 が 提 案 されている (a) 充 実 高 額 療 養 費 の 負 担 軽 減 については 以 下 の 2 つの 改 革 案 が 挙 げられている また こう した 改 革 を 実 施 し 患 者 の 自 己 負 担 総 額 の 抑 制 を 行 うと 2015 年 時 点 で 公 費 負 担 が 最 大 1,300 億 円 増 加 すると 試 算 されている 10 2009 年 10 月 時 点 の 平 均 標 準 報 酬 月 額 11 医 療 保 険 では 被 用 者 保 険 の 各 保 険 者 からの 高 齢 者 支 援 金 の 負 担 按 分 について 加 入 者 割 3 分 の 2 総 報 酬 割 3 分 の 1 となっている(2010~2012 年 度 まで) なお 2010 年 12 月 に 発 表 された 高 齢 者 医 療 制 度 改 革 会 議 最 終 とりまとめ では 被 用 者 保 険 者 間 の 按 分 方 法 を 全 て 総 報 酬 割 とすることが 提 案 さ れている 7

1 非 課 税 世 帯 ではない 中 低 所 得 者 の 自 己 負 担 を 軽 減 させるため 現 在 の 年 収 区 分 を 細 分 化 して きめ 細 かく 対 応 する 2 長 期 高 額 医 療 への 対 応 のため 自 己 負 担 額 に 年 間 上 限 額 を 設 ける (b) 重 点 化 効 率 化 高 額 療 養 費 の 負 担 軽 減 を 実 施 すれば 相 当 規 模 の 財 源 の 確 保 が 必 要 になる そこで 改 革 案 では 高 額 療 養 費 の 見 直 しに 必 要 な 財 源 を 確 保 するため 受 診 時 に 定 額 の 自 己 負 担 を 求 めることなどを 検 討 するとされている 12 ただし 受 診 時 定 額 負 担 については 低 所 得 者 に 配 慮 するとされている 仮 に 初 診 再 診 時 に 100 円 の 定 額 負 担 を 導 入 すると 2015 年 時 点 の 公 費 負 担 は 1,300 億 円 軽 減 されると 試 算 されている (4) 総 合 合 算 制 度 の 導 入 a. 現 状 今 後 の 高 齢 化 や 社 会 保 障 の 機 能 強 化 に 伴 い 負 担 の 増 加 が 見 込 まれるなかで 低 所 得 層 の 負 担 能 力 へのきめ 細 かな 配 慮 が 必 要 とされている また 貯 蓄 も 少 ない 低 所 得 者 が 失 業 し たり 病 気 にかかったりすると 生 活 保 護 に 至 る 手 前 で 受 け 止 められるセーフティネットが 不 十 分 である こうした 状 況 に 対 し 各 社 会 保 障 制 度 で 個 別 に 低 所 得 者 対 策 が 講 じられて いるが 13 累 次 の 改 正 により 制 度 が 複 雑 化 しており 国 民 には 全 体 像 が 分 かりにくいとい う 問 題 が 指 摘 されている b. 改 革 案 そこで 改 革 案 では 制 度 の 充 実 策 として 低 所 得 者 の 家 計 に 過 重 な 負 担 をかけない 観 点 から 制 度 単 位 ではなく 家 計 全 体 をトータルに 捉 えて 医 療 介 護 保 育 障 害 に 関 する 自 己 負 担 の 合 計 額 に 上 限 を 設 定 する 総 合 合 算 制 度 を 導 入 するとされている( 図 表 3) 同 制 度 は 基 礎 的 な 消 費 支 出 等 を 踏 まえ 負 担 上 限 を 年 収 の 一 定 割 合 とするなど 低 所 得 者 に 対 してきめ 細 かく 設 定 するとされている なお 制 度 横 断 的 な 自 己 負 担 軽 減 策 となる 総 合 合 算 制 度 の 導 入 を 実 現 するには 2015 年 以 降 の 社 会 保 障 税 に 関 わる 番 号 制 度 等 の 情 報 連 携 基 盤 の 整 備 が 前 提 である 総 合 合 算 制 度 が 導 入 されると 将 来 の 公 費 負 担 は 4,000 億 円 程 度 増 加 すると 試 算 されて いる 12 受 診 時 の 患 者 の 自 己 負 担 は 年 齢 等 により 原 則 として 医 療 費 の 1 割 から 3 割 負 担 とされているが 定 額 の 自 己 負 担 とはこれに 上 乗 せして 一 定 額 を 負 担 することをいう 13 ただし 医 療 と 介 護 については 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 療 養 費 制 度 により 同 じ 世 帯 で 医 療 と 介 護 両 方 を 利 用 した 場 合 に 年 単 位 で 更 に 自 己 負 担 が 軽 減 される 8

図 表 3: 総 合 合 算 制 度 のイメージ ( 単 位 : 万 円 ) 年 医 療 介 護 障 害 保 育 負 担 計 年 収 負 担 限 度 年 収 10% ( 仮 ) 総 合 合 算 給 付 費 ( 仮 称 ) 夫 10 10 0 0 20 200 妻 10 0 5 0 15 100 世 帯 20 10 5 0 35 300 30 5 ( 資 料 ) 内 閣 官 房 社 会 保 障 改 革 担 当 室 社 会 保 障 税 一 体 改 革 成 案 における 改 革 項 目 ( 参 考 資 料 ) ( 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 ( 第 11 回 ) 資 料 (2011 年 7 月 14 日 ) (5) 高 齢 者 医 療 制 度 の 見 直 し a. 現 状 高 齢 者 医 療 制 度 については 2008 年 4 月 に 75 歳 以 上 を 対 象 とした 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 が 導 入 された 同 制 度 は 高 齢 化 に 伴 う 医 療 費 の 増 大 が 見 込 まれるなかで 高 齢 者 の 医 療 費 を 安 定 的 に 支 えることや 高 齢 者 と 現 役 世 代 の 負 担 の 明 確 化 を 図 ること 等 を 目 的 として 約 10 年 に 及 ぶ 議 論 を 経 て 導 入 された しかし 制 度 開 始 前 後 になり 急 速 に 批 判 が 高 ま った 批 判 された 理 由 は 75 歳 以 上 の 高 齢 者 が 加 入 する 制 度 を 別 建 ての 制 度 としたこと が 差 別 的 であること これまで 保 険 料 負 担 がなかった 高 齢 者 に 負 担 が 発 生 したこと 年 金 から 保 険 料 が 天 引 きされたこと 等 である このため 新 たな 高 齢 者 医 療 制 度 のあり 方 につ いて 2009 年 11 月 より 厚 生 労 働 大 臣 主 宰 の 高 齢 者 医 療 制 度 改 革 会 議 において 検 討 が 進 められ 2010 年 12 月 に 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 を 廃 止 するという 内 容 を 含 む 最 終 とりまと め が 公 表 された( 図 表 4) b. 改 革 案 改 革 案 では 高 齢 者 医 療 制 度 について 高 齢 者 医 療 制 度 改 革 会 議 のとりまとめ 等 を 踏 ま えて 見 直 しを 行 うとされている 改 革 の 具 体 策 としては 高 齢 世 代 若 年 世 代 にとって 公 平 で 納 得 のいく 負 担 の 仕 組 みの 創 設 75 歳 以 上 の 高 齢 者 への 支 援 金 について 総 報 酬 割 導 入 自 己 負 担 割 合 の 見 直 しなどが 挙 げられている 9

図 表 4: 高 齢 者 医 療 制 度 改 革 会 議 最 終 とりまとめ の 概 要 < 制 度 の 基 本 的 枠 組 み> 1 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 を 廃 止 し 75 歳 以 上 も 現 役 世 代 と 同 様 に 国 保 か 被 用 者 保 険 に 加 入 することとする < 国 保 の 運 営 のあり 方 > 2 国 保 については 第 一 段 階 (2013 年 度 )で 75 歳 以 上 について 都 道 府 県 単 位 の 財 政 運 営 とし 第 二 段 階 (2018 年 度 )で 全 年 齢 について 都 道 府 県 単 位 化 する < 公 費 > 3 75 歳 以 上 の 医 療 給 付 費 に 対 する 公 費 負 担 割 合 について 実 質 47%から 50%に 引 き 上 げる ( 現 在 は 現 役 並 み 所 得 を 有 する 高 齢 者 の 医 療 給 付 費 には 公 費 負 担 が なく その 分 は 現 役 世 代 の 支 援 金 による 負 担 となっている ) < 高 齢 者 の 保 険 料 > 4 国 保 に 加 入 する 75 歳 以 上 の 保 険 料 は 同 じ 都 道 府 県 であれば 原 則 として 同 じ 保 険 料 とし その 水 準 は 医 療 給 付 費 の 1 割 程 度 とする 5 高 齢 者 の 保 険 料 の 伸 びが 現 役 世 代 の 保 険 料 の 伸 びを 上 回 る 構 造 を 改 める < 現 役 世 代 の 保 険 料 による 支 援 金 > 6 75 歳 以 上 の 高 齢 者 への 支 援 金 については 被 用 者 保 険 者 間 での 按 分 方 法 を 各 保 険 者 の 総 報 酬 に 応 じた 負 担 とする < 患 者 の 自 己 負 担 > 7 70 歳 から 74 歳 までの 高 齢 者 の 患 者 の 自 己 負 担 は 個 々 人 の 負 担 が 増 加 しないよ う 70 歳 に 到 達 する 人 から 段 階 的 に 1 割 負 担 から 本 来 の 2 割 負 担 とする 前 期 高 齢 者 の 医 療 給 付 費 への 公 費 投 入 も 検 討 課 題 ( 資 料 ) 高 齢 者 医 療 制 度 会 議 最 終 とりまとめ 2010 年 12 月 20 日 により 作 成 (6) 後 発 医 薬 品 の 更 なる 使 用 促 進 等 a. 現 状 先 発 品 と 比 べて 低 価 格 の 後 発 医 薬 品 (ジェネリック 医 薬 品 )は 患 者 負 担 の 軽 減 や 医 療 保 険 財 政 の 改 善 のために 重 要 であるとされている そこで 現 在 後 発 医 薬 品 の 数 量 シェ アを 30%に 引 き 上 げることを 目 標 とされており 徐 々にシェアが 上 昇 しているが( 図 表 5) 更 なる 使 用 促 進 を 図 る 必 要 があると 指 摘 されている なお 諸 外 国 の 後 発 医 薬 品 の 数 量 シェアについてみると 出 典 や 定 義 に 差 異 があるため 単 純 に 比 較 はできないものの 米 国 69% 英 国 61% ドイツ 64%と 日 本 よりかなり 高 い 水 準 になっている 14 14 内 閣 官 房 社 会 保 障 改 革 担 当 室 社 会 保 障 税 一 体 改 革 成 案 における 改 革 項 目 ( 参 考 資 料 ) 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 ( 第 11 回 ) 資 料 (2011 年 7 月 14 日 )による 10

図 表 5: 後 発 医 薬 品 の 数 量 シェアの 推 移 2005 年 9 月 2007 年 9 月 2009 年 9 月 2010 年 12 月 16.8% 18.7% 20.2% 22.8% ( 注 ) 厚 生 労 働 省 の 薬 価 調 査 に 基 づく ただし 2010 年 12 月 のみ レセプト 電 算 処 理 シ ステムで 処 理 された 薬 局 における 調 剤 レセプトのデータをもとに 分 析 したもの 調 査 方 法 が 異 なるので 単 純 に 比 較 はできない ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 b. 改 革 案 そこで 改 革 の 具 体 策 としては 以 下 の 3 つが 挙 げられている 1 診 療 報 酬 の 見 直 し 等 により 後 発 医 薬 品 の 使 用 促 進 を 図 っている が こうした 取 組 みを 更 に 進 める 2 都 道 府 県 に 協 議 会 を 設 置 し 国 民 や 医 療 関 係 者 が 安 心 して 後 発 医 薬 品 を 使 用 できるよう 環 境 整 備 を 図 る また モデル 保 険 者 によ る 差 額 通 知 サービスの 実 施 により 保 険 者 における 使 用 促 進 の 取 組 みを 推 進 する 3 医 薬 品 に 対 する 患 者 負 担 を 市 販 医 薬 品 の 価 格 水 準 も 考 慮 して 見 直 す (7) 国 保 組 合 の 国 庫 補 助 の 見 直 し a. 現 状 国 保 組 合 ( 国 民 健 康 保 険 組 合 )は 同 種 の 事 業 または 業 務 に 従 事 する 者 で 当 該 組 合 の 地 区 内 に 住 所 を 有 するものを 組 合 員 として 組 織 される 例 えば 医 師 歯 科 医 師 弁 護 士 美 容 師 等 の 自 営 業 者 が 業 種 別 母 体 組 織 を 軸 として 国 保 組 合 を 設 立 している 国 保 組 合 の 国 庫 補 助 に 関 する 現 状 の 問 題 点 としては 1 所 得 水 準 にかかわらず 医 療 給 付 費 等 の 32%という 定 率 の 国 庫 補 助 を 受 けていること 2 本 来 健 康 保 険 の 適 用 を 受 け るべき 者 が 年 金 事 務 所 から 適 用 除 外 承 認 を 受 けて 国 保 組 合 に 加 入 している 場 合 の 定 率 補 助 は 協 会 健 保 (16.4%)の 水 準 であるが 97 年 8 月 以 前 に 適 用 除 外 承 認 を 受 けて 加 入 した 者 については 32%となっていること 等 が 挙 げられている b. 改 革 案 そこで 改 革 案 では 1 国 保 組 合 の 所 得 水 準 に 応 じた 5 段 階 の 国 庫 補 助 に 見 直 すことや 297 年 8 月 以 前 に 適 用 除 外 承 認 を 受 けて 加 入 した 者 も 含 めて 定 率 補 助 を 協 会 健 保 の 水 準 (16.4%)に 統 一 すること 等 が 掲 げられている 11

4. 改 革 案 が 実 施 された 場 合 の 公 費 負 担 の 変 化 の 見 通 し 以 上 みてきたとおり 改 革 案 では 医 療 介 護 改 革 の 充 実 に 関 する 具 体 策 の 実 施 に 要 する 公 費 負 担 額 と 重 点 化 効 率 化 に 関 する 具 体 策 の 実 施 により 軽 減 される 公 費 負 担 額 を 試 算 しているが それをまとめたものが 図 表 6 である 改 革 の 実 施 による 公 費 負 担 額 への 影 響 は 改 革 の 詳 細 が 決 まらないなか 幅 を 持 ってみ る 必 要 があるが 2015 年 時 点 で 充 実 により 最 大 2.4 兆 円 程 度 の 負 担 増 重 点 化 効 率 化 により 最 大 1.2 兆 円 程 度 の 負 担 減 となり 合 わせて 最 大 で 1.6 兆 円 程 度 の 負 担 増 となるとの 試 算 が 示 されている( 図 表 6) 図 表 6: 医 療 介 護 改 革 の 具 体 策 と 費 用 試 算 ( 公 費 負 担 ) 充 実 ( 金 額 は 公 費 2015 年 ) 重 点 化 効 率 化 所 要 額 ( 公 費 ) ( 金 額 は 公 費 2015 年 ) 2015 年 2025 年 地 域 の 実 情 に 応 じた 医 療 介 護 サービスの 提 供 体 制 の 効 率 化 重 点 化 と 機 能 強 化 病 院 病 床 機 能 の 分 化 強 化 と 連 携 在 宅 医 療 の 充 実 等 +8,700 億 円 程 度 平 均 在 院 日 数 の 減 少 等 4,300 億 円 程 度 0.4 兆 円 程 度 1.3 兆 円 程 度 介 護 施 設 のユニット 化 等 +2,500 億 円 程 度 外 来 受 診 の 適 正 化 等 1,200 億 円 程 度 介 護 予 防 重 度 化 予 防 介 護 施 設 の 重 点 化 ( 在 宅 への 移 行 ) 1,800 億 円 程 度 0.1 兆 円 程 度 0.6 兆 円 程 度 0.1 兆 円 程 度 1.2 兆 円 程 度 上 記 の 重 点 化 に 伴 うマンパワ ー 増 強 0.2 兆 円 程 度 0.4 兆 円 程 度 +2,400 億 円 程 度 保 険 者 機 能 の 強 化 を 通 じた 医 療 介 護 保 険 制 度 のセーフティネット 機 能 の 強 化 給 付 の 重 点 化 逆 進 性 対 策 国 保 の 財 政 基 盤 強 化 ( 低 所 得 者 保 険 料 軽 減 の 拡 充 等 ) ~+2,200 億 円 程 度 65 歳 以 上 の 低 所 得 者 の 介 護 保 険 料 軽 減 強 化 ~+1,300 億 円 被 用 者 保 険 の 適 用 拡 大 1,600 億 円 介 護 納 付 金 の 総 報 酬 割 導 入 1,600 億 円 ~0.3 兆 円 程 度 長 期 高 額 医 療 の 負 担 軽 減 ~+1,300 億 円 程 度 受 診 時 定 額 負 担 等 ( 初 診 再 診 時 100 円 で) 1,300 億 円 ~0.1 兆 円 程 度 総 合 合 算 制 度 の 導 入 後 発 医 薬 品 の 使 用 促 進 等 ( 総 合 合 算 制 度 ~0.4 兆 円 程 度 ) 合 計 ~2.4 兆 円 程 度 ( 改 革 の 内 容 により 変 動 ) ~ 1.2 兆 円 程 度 ( 改 革 の 内 容 により 変 動 ) ~1.6 兆 円 弱 程 度 ~2.3 兆 円 程 度 ( 資 料 ) 政 府 与 党 社 会 保 障 改 革 検 討 本 部 決 定 社 会 保 障 税 一 体 改 革 成 案 (2011 年 6 月 30 日 ) 12

5. 改 革 案 の 評 価 と 課 題 今 後 高 齢 者 数 が 増 加 し 患 者 数 要 介 護 者 数 の 大 幅 な 増 加 が 見 込 まれるなかで 必 要 な 医 療 介 護 サービスを 提 供 できる 体 制 を 整 備 することは 不 可 欠 である また 各 医 療 保 険 介 護 保 険 において 将 来 にわたり 必 要 な 給 付 を 行 うことができる 持 続 可 能 な 保 険 制 度 と することも 必 要 である したがって この 2 つの 視 点 から 必 要 な 給 付 を 行 う ための 改 革 案 が 掲 げられていることは 評 価 できる 一 方 で 少 子 高 齢 化 が 進 行 していることから 医 療 保 険 介 護 保 険 財 政 は 厳 しさが 続 い ている 改 革 案 で 示 されているとおり 制 度 の 充 実 に 関 する 改 革 を 実 施 する 一 方 で 重 点 化 効 率 化 に 関 する 改 革 を 実 施 し 給 付 の 抑 制 を 図 ることもやむを 得 ない ただし 改 革 案 で 試 算 された 公 費 負 担 額 の 見 通 しをみると 重 点 化 効 率 化 による 費 用 抑 制 を 上 回 る 充 実 の 実 施 案 が 挙 げられているため 前 述 のとおり 2015 年 には 最 大 で 1.6 兆 円 弱 増 加 し 2025 年 には 最 大 で 2.3 兆 円 増 加 するとされている 改 革 により 医 療 介 護 費 用 が 現 行 制 度 を 継 続 するより 増 加 するのであれば その 財 源 の 確 保 が 不 可 欠 となるが 具 体 的 にどう 財 源 を 確 保 するのかについて 改 革 案 では 記 述 がない また 公 費 負 担 額 の 試 算 のみが 記 されているが 医 療 介 護 保 険 財 政 を 支 える 保 険 料 負 担 増 の 見 通 しも 国 民 の 関 心 が 高 く 早 急 に 試 算 が 示 されることが 求 められる 以 下 では (1) 医 療 介 護 サービス 提 供 体 制 (2) 医 療 介 護 保 険 制 度 のそれぞれ の 改 革 案 の 評 価 と 課 題 を 明 らかにするとともに 今 後 検 討 が 求 められる(3) 財 源 の 確 保 (4) 自 助 の 拡 充 について 考 察 を 加 えたい (1) 医 療 介 護 サービスの 提 供 体 制 に 関 する 改 革 案 の 評 価 と 課 題 医 療 介 護 人 材 資 源 の 確 保 と 資 質 の 向 上 や 在 宅 介 護 サービスの 充 実 といった 医 療 介 護 サービスの 提 供 体 制 の 充 実 策 の 実 施 は 費 用 負 担 が 増 加 することになっても 実 施 すべき 改 革 である 一 方 で 費 用 負 担 を 抑 制 するための 重 点 化 効 率 化 策 の 案 としては 平 均 在 院 日 数 を 短 縮 させるための 取 組 みの 実 施 や 医 療 介 護 予 防 の 推 進 等 が 挙 げられているが これらに ついてもその 取 組 み 自 体 に 異 議 はない ただし 例 えば 平 均 在 院 日 数 の 短 縮 は 医 療 資 源 の 投 入 強 化 等 による 機 能 強 化 医 療 機 関 間 や 医 療 と 介 護 の 連 携 の 強 化 等 により 実 施 する とされており 具 体 的 な 平 均 在 院 日 数 の 将 来 目 標 水 準 も 示 されているが 実 際 の 医 療 の 現 場 で 実 現 は 容 易 ではないとみられる また 医 療 介 護 予 防 の 実 施 についても 予 防 の 効 果 についてはこれまでの 研 究 により 明 らかにされているものの 予 防 の 取 組 みは 本 人 の 意 思 なしでは 実 施 できない 予 防 施 策 を 推 進 しても 国 民 の 理 解 と 取 組 みに 対 する 意 思 がな ければ 十 分 な 効 果 を 期 待 することはできず 結 果 としてどの 程 度 の 効 果 をもたらすのか を 見 通 すことは 非 常 に 困 難 であると 考 えられる 今 後 より 具 体 的 な 改 革 案 の 検 討 が 進 め られる 過 程 で 実 現 可 能 で 効 果 的 な 取 組 み 施 策 が 提 示 されることが 期 待 される (2) 医 療 介 護 保 険 制 度 に 関 する 改 革 案 の 評 価 と 課 題 以 下 では 医 療 介 護 保 険 制 度 の 個 別 の 改 革 案 のうち 影 響 が 大 きいものについてのみ 13

みていくこととする 個 別 の 改 革 案 のうち 最 も 大 きな 改 革 は 本 稿 の 3(5) 高 齢 者 医 療 制 度 の 見 直 しである 高 齢 者 医 療 制 度 改 革 に 関 しては 前 述 のとおり 2010 年 12 月 に 高 齢 者 医 療 制 度 改 革 会 議 の 最 終 とりまとめ ( 以 下 最 終 とりまとめ)が 公 表 されたが その 後 高 齢 者 医 療 制 度 改 革 関 連 法 案 の 国 会 提 出 には 至 っていない 最 終 とりまとめ で 示 された 改 革 案 項 目 のうち 175 歳 以 上 が 加 入 する 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 を 廃 止 し 75 歳 以 上 も 国 保 か 被 用 者 保 険 に 加 入 することと 2 高 齢 者 の 将 来 の 保 険 料 を 抑 制 することが 現 行 制 度 との 大 きな 相 違 点 である 1により 高 齢 者 の 給 付 や 負 担 が 大 きく 変 わることはないものの 高 齢 者 が 別 建 ての 制 度 に 加 入 することについて 差 別 的 と 批 判 される 現 行 制 度 の 問 題 点 は 解 消 する また 2により 高 齢 者 と 現 役 世 代 の 保 険 料 負 担 の 伸 び 率 がほぼ 均 衡 になる 点 も 改 革 による 改 善 点 といえよう しかし 高 齢 者 医 療 制 度 改 革 の 最 大 の 課 題 は 医 療 の 高 度 化 や 高 齢 者 数 の 増 加 とともに 増 加 を 続 ける 高 齢 者 医 療 費 を 国 民 がどう 負 担 するかであり 高 齢 者 の 加 入 する 制 度 の 変 更 や 若 干 の 保 険 料 の 伸 びを 変 更 した 程 度 で 解 決 する 問 題 ではない 高 齢 者 医 療 給 付 費 に 対 す る 現 役 世 代 からの 支 援 金 は 高 齢 化 の 進 展 に 伴 い 増 え 続 けており 現 役 世 代 の 医 療 保 険 財 政 を 圧 迫 させる 要 因 になっている 15 今 後 の 改 革 案 の 検 討 においては 増 大 する 高 齢 者 医 療 費 を 誰 がどう 負 担 していくのか 具 体 的 な 水 準 で 議 論 することが 必 要 である また 高 齢 者 医 療 制 度 の 見 直 しに 関 して 70 歳 から 74 歳 までの 患 者 の 自 己 負 担 割 合 を 1 割 負 担 から 本 来 の 2 割 負 担 とすることについて 16 改 革 案 の 原 案 (2011 年 6 月 2 日 )で は 70~74 歳 の 2 割 負 担 と 明 記 されていたが 改 革 案 の 成 案 ( 同 6 月 30 日 )では 自 己 負 担 割 合 の 見 直 し と 曖 昧 な 表 現 になった なお 2010 年 12 月 の 最 終 とりまとめ では 70 歳 から 74 歳 までの 自 己 負 担 割 合 に ついて 新 制 度 の 施 行 日 以 後 70 歳 に 到 達 する 者 から 段 階 的 に 2 割 負 担 にするとされて いた すなわち 個 々の 患 者 や 各 保 険 者 の 負 担 増 とならないよう 既 に 70 歳 になり 1 割 負 担 となった 者 は 引 き 続 き 1 割 負 担 とし 改 革 後 に 70 歳 に 到 達 した 人 から 2 割 負 担 とす ることが 適 当 であると 指 摘 されていた 17 このスケジュールでの 自 己 負 担 割 合 の 引 上 げが 実 施 されるのであれば 個 々 人 の 患 者 にとって 改 革 前 後 で 自 己 負 担 割 合 が 1 割 から 2 割 増 加 することはないうえ 75 歳 以 上 は 1 割 負 担 であることなどから 懸 念 されるような 受 診 抑 制 につながることもなく 国 民 に 受 け 入 れられやすいと 考 えられる その 他 の 医 療 介 護 保 険 制 度 の 改 革 案 で 影 響 の 大 きい 項 目 としては 本 稿 3(1) 被 用 者 保 険 の 適 用 拡 大 である 短 時 間 労 働 者 に 対 する 被 用 者 保 険 ( 健 康 保 険 等 )への 適 用 拡 大 15 例 えば 健 保 組 合 が 高 齢 者 医 療 のために 拠 出 している 費 用 は 長 期 にわたり 上 昇 しており 現 在 支 出 の 50% 弱 を 占 める 今 後 更 なる 上 昇 が 見 込 まれており 2020 年 には 50%を 超 えるとみられている 16 70 歳 から 74 歳 までの 患 者 の 自 己 負 担 割 合 については 現 在 法 定 では 2 割 負 担 とされているが 毎 年 度 約 2,000 億 円 の 予 算 措 置 により 1 割 負 担 に 凍 結 されている 17 その 他 の 年 齢 の 自 己 負 担 割 合 は 0 歳 から 小 学 校 就 学 前 まで 2 割 小 学 生 から 69 歳 まで 3 割 75 歳 以 上 は 原 則 1 割 70 歳 以 上 の 現 役 世 代 並 み 所 得 者 は 3 割 負 担 である 14

は 短 時 間 労 働 者 が 増 加 しているなかで 社 会 保 障 のセーフティネットを 拡 充 する 視 点 から 重 要 な 改 革 である 健 康 保 険 と 厚 生 年 金 の 適 用 基 準 は ほぼ 同 じであるが 年 金 制 度 にお いても 同 様 の 改 革 案 が 示 されている 現 行 制 度 で 健 康 保 険 の 適 用 対 象 とならない 短 時 間 労 働 者 は 年 収 が 130 万 円 未 満 であ り 配 偶 者 が 健 康 保 険 等 に 加 入 していればその 被 扶 養 者 となるが その 他 の 場 合 には 国 民 健 康 保 険 ( 国 保 )に 加 入 することになる 健 康 保 険 の 保 険 料 は 労 使 折 半 であるため 健 康 保 険 の 適 用 拡 大 については 短 時 間 労 働 者 が 多 い 企 業 を 中 心 に 慎 重 論 が 根 強 い 健 康 保 険 と 国 保 の 給 付 における 最 大 の 違 いは 傷 病 手 当 金 と 出 産 手 当 金 である 傷 病 手 当 金 は 傷 病 により 会 社 を 休 み 事 業 主 から 報 酬 が 受 けられない 場 合 に 出 産 手 当 金 は 被 保 険 者 が 出 産 のため 会 社 を 休 み 事 業 主 から 報 酬 が 受 けられない 場 合 に いずれも 標 準 報 酬 日 額 の 3 分 の 2 相 当 額 が 支 給 される なお 会 社 を 休 んだ 期 間 について 事 業 主 から 報 酬 を 受 けら れる 場 合 には その 報 酬 の 額 を 控 除 した 額 が 傷 病 手 当 金 出 産 手 当 金 として 支 給 される 一 方 国 保 では 傷 病 手 当 金 や 出 産 手 当 金 の 給 付 は 任 意 給 付 となっており 給 付 されない 場 合 が 多 い 家 計 の 主 たる 生 計 維 持 者 が 非 正 規 労 働 者 である 世 帯 が 増 加 している 現 状 を 踏 まえれば 非 正 規 労 働 者 のセーフティネットの 拡 充 させるためには 加 入 対 象 はできる 限 り 広 範 囲 にすることが 望 ましいと 考 えられる その 他 の 改 革 案 では 本 稿 3(2) 介 護 保 険 の 機 能 強 化 等 の 項 目 において 給 付 の 重 点 化 効 率 化 で 重 度 化 予 防 に 効 果 のある 給 付 への 重 点 化 が 挙 げられているが 原 則 1 割 となっている 利 用 者 負 担 の 見 直 しも 必 要 であろう 医 療 と 介 護 の 自 己 負 担 額 については 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 療 養 費 制 度 により 上 限 が 設 けられているほか 今 回 の 改 革 案 では 新 たに 医 療 介 護 に 加 え 保 育 障 害 に 関 する 自 己 負 担 の 合 計 額 に 上 限 を 設 定 する 総 合 合 算 制 度 の 導 入 も 含 まれていることを 踏 まえれば 所 得 や 利 用 額 に 応 じて 2 割 負 担 3 割 負 担 を 導 入 することも 検 討 に 値 する また 本 稿 3(3) 高 度 長 期 医 療 への 対 応 と 給 付 の 重 点 化 において 中 低 所 得 者 の 高 額 療 養 費 の 見 直 しによる 患 者 の 自 己 負 担 の 軽 減 策 は 所 得 水 準 に 応 じたきめ 細 かい 対 応 と いう 点 で 評 価 できる 改 革 案 では このための 財 源 として 受 診 時 定 額 負 担 が 提 案 されて おり その 例 として 初 診 再 診 時 100 円 が 挙 げられている 一 回 100 円 程 度 の 負 担 増 であれば それほど 大 きな 患 者 負 担 とはならないものの これが 高 額 療 養 費 の 財 源 に 相 応 しいかどうかは 疑 問 が 残 る (3) 財 源 の 確 保 現 役 世 代 の 減 少 が 見 込 まれる 中 1 人 当 たり 平 均 医 療 費 が 高 い 高 齢 者 人 口 が 増 加 するた め 高 齢 者 医 療 費 を 支 える 財 源 をどう 確 保 するかが 医 療 介 護 保 険 制 度 を 持 続 可 能 な 制 度 とするための 最 大 の 鍵 となる 改 革 案 では 本 稿 4. 改 革 案 が 実 施 された 場 合 の 公 費 負 担 の 変 化 の 見 通 しで 示 したとお り 改 革 による 公 費 負 担 増 の 見 通 しが 明 らかにされているが 保 険 料 負 担 増 の 見 込 みや 公 費 負 担 の 財 源 構 成 等 については 明 らかにされていない 現 在 医 療 費 の 財 源 構 成 は 公 15

費 負 担 が 37% 保 険 料 負 担 が 49% 患 者 負 担 等 が 14%となっている 18 一 方 介 護 保 険 サービスの 利 用 に 関 する 費 用 負 担 は 自 己 負 担 が 原 則 1 割 残 り 9 割 が 保 険 給 付 であり 保 険 給 付 の 内 訳 は 公 費 負 担 が 50% 保 険 料 負 担 が 50%である したがって 公 費 負 担 と 保 険 料 負 担 の 割 合 が 大 きく 変 わらないとすれば 保 険 料 負 担 も 公 費 負 担 と 同 程 度 以 上 の 負 担 増 になることが 見 込 まれる また 改 革 案 では 社 会 保 障 給 付 の 規 模 に 見 合 った 安 定 財 源 の 確 保 に 向 け 消 費 税 率 を 2010 年 代 半 ばまでに 段 階 的 に 10%まで 引 き 上 げるとしているが 将 来 にわたり 消 費 税 率 10%で 社 会 保 障 の 財 源 を 確 保 することはできず 2010 年 代 半 ば 以 降 の 安 定 財 源 の 確 保 の 見 通 しを 示 す 必 要 がある また 経 済 界 や 健 保 組 合 等 から 医 療 介 護 給 付 費 の 公 費 負 担 の 割 合 を 増 やすことに 対 する 要 望 が 高 いなか どこまで 公 費 負 担 割 合 を 増 やすことが 可 能 か 今 後 はその 具 体 的 な 水 準 を 検 討 することが 必 要 であろう 医 療 費 については 全 体 の 57.8%(2010 年 度 ) 19 介 護 費 については 全 体 の 97.4%(2009 年 度 ) 20 が 65 歳 以 上 に 対 する 給 付 となっており 両 者 とも 高 齢 者 に 対 する 給 付 に 偏 って いるといえる 改 革 案 では 高 齢 者 医 療 制 度 の 見 直 しについて 高 齢 世 代 若 年 世 代 に とって 公 平 で 納 得 のいく 負 担 の 仕 組 み とすることが 明 記 されているが 前 述 のとおり 改 革 による 効 率 化 重 点 化 の 効 果 より 充 実 の 効 果 の 方 が 大 きいため 改 革 後 は 現 行 制 度 より 負 担 が 増 加 する 見 通 しである( 図 表 7) ( 兆 円 ) 50 40 30 20 10 0 図 表 7: 医 療 給 付 費 ( 医 療 保 険 分 )の 将 来 見 通 し 75 歳 以 上 65~74 歳 0~64 歳 29.4 11.7 31.8 33.5 13.5 14.7 37.7 18.0 42.0 22.0 5.3 5.9 6.5 7.1 6.5 12.4 12.5 12.3 12.7 13.5 2010 2013 2015 2020 2025 年 度 ( 資 料 ) 内 閣 官 房 社 会 保 障 改 革 担 当 室 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 ( 第 10 回 ) 参 考 資 料 (2011 年 6 月 2 日 ) 18 厚 生 労 働 省 国 民 医 療 費 の 概 況 2008 年 度 による その 他 原 因 者 負 担 ( 公 害 健 康 被 害 の 補 償 給 付 や 健 康 被 害 者 救 済 制 度 による 救 済 給 付 )を 除 いた 保 険 給 付 費 の 財 源 内 訳 19 内 閣 官 房 社 会 保 障 改 革 担 当 室 社 会 保 障 改 革 に 関 する 集 中 検 討 会 議 ( 第 10 回 ) 参 考 資 料 (2011 年 6 月 2 日 )による 20 厚 生 労 働 省 平 成 21 年 度 介 護 保 険 事 業 状 況 報 告 ( 年 報 ) による 16

少 子 高 齢 化 が 進 むことが 見 込 まれ 今 後 大 幅 な 経 済 成 長 を 続 けることが 期 待 できない なかで 更 なる 負 担 増 となる 改 革 案 は 持 続 可 能 性 の 点 で 疑 念 が 残 るとともに 将 来 の 高 負 担 に 対 する 国 民 の 理 解 を 得 るのは 困 難 であるとみられる 今 後 の 制 度 改 正 の 議 論 においては 一 層 の 給 付 の 効 率 化 重 点 化 への 取 組 みの 強 化 を 検 討 しつつ 医 療 介 護 保 険 の 財 源 となる 公 費 負 担 保 険 料 負 担 の 具 体 的 な 水 準 の 選 択 肢 を 示 し 改 革 を 実 施 するにあたっての 世 論 の 合 意 形 成 を 図 ることが 求 められる (4) 自 助 の 拡 充 改 革 案 では より 公 平 公 正 で 自 助 共 助 公 助 の 最 適 なバランスによって 支 えられ る 社 会 保 障 制 度 に 改 革 をしていく と 明 記 されている このうち 自 助 について 具 体 的 な 記 述 はないが 将 来 の 医 療 介 護 給 付 費 の 著 しい 増 加 が 見 込 まれることを 考 えれば 医 療 介 護 についても 特 に 将 来 世 代 は 自 助 を 考 えざるを 得 ない すなわち 将 来 の 高 齢 者 の 医 療 介 護 費 用 の 自 己 負 担 は 原 則 1 割 負 担 では 制 度 の 維 持 が 困 難 になる 可 能 性 が ある したがって 若 年 世 代 は 将 来 の 医 療 介 護 費 用 の 自 己 負 担 に 備 えて 自 助 の 部 分 を 計 画 的 に 準 備 することを 考 える 必 要 があろう この 点 は 年 金 についても 同 様 であり 将 来 の 支 給 開 始 年 齢 の 引 上 げや 給 付 水 準 の 抑 制 が 予 想 されるなかで 自 助 努 力 が 必 要 である 政 府 には 自 助 を 支 援 するための 税 制 優 遇 措 置 の 実 施 や 制 度 の 整 備 等 が 求 められ る なお 2012 年 1 月 1 日 以 後 に 締 結 した 保 険 契 約 等 に 係 る 生 命 保 険 料 控 除 については 介 護 医 療 保 障 を 内 容 とする 主 契 約 または 特 約 について 国 税 4 万 円 地 方 税 2.8 万 円 の 所 得 控 除 ( 介 護 医 療 保 険 料 控 除 )が 設 けられる これに 伴 い 一 般 生 命 保 険 料 控 除 及 び 個 人 年 金 保 険 料 控 除 の 所 得 控 除 適 用 限 度 額 がそれぞれ 国 税 4 万 円 地 方 税 2.8 万 円 となり 制 度 全 体 の 所 得 控 除 限 度 額 は 国 税 12 万 円 地 方 税 7 万 円 となる 21 改 正 により 介 護 医 療 保 障 に 対 する 保 険 料 控 除 額 が 一 般 生 命 保 険 料 とは 別 に 認 められ ることから 将 来 の 医 療 介 護 の 自 己 負 担 の 増 加 を 見 据 えた 改 正 とみることができる た だし 合 計 の 控 除 額 が 国 税 は 2 万 円 増 地 方 税 は 同 額 となること また 対 象 となるのは 2012 年 1 月 1 日 以 降 に 締 結 した 保 険 契 約 等 となることから 当 面 は 改 正 の 影 響 は 限 定 的 である 今 後 の 動 向 を 注 視 しながら 更 なる 拡 充 を 検 討 することも 必 要 であろう 一 方 制 度 面 の 工 夫 としては 例 えば 確 定 拠 出 年 金 の 受 給 に 関 して 医 療 介 護 費 用 が 必 要 になったときは 必 要 な 額 を 引 き 出 せるよう 柔 軟 な 制 度 設 計 にすることや 若 年 世 代 に 将 来 の 医 療 介 護 費 用 を 自 助 で 準 備 を 促 すような 分 かりやすく 加 入 しやすい 制 度 の 創 設 等 が 考 えられる また 若 年 世 代 に 計 画 的 な 自 助 を 促 すには 将 来 の 医 療 介 護 費 用 の 自 己 負 担 の 見 21 現 行 制 度 は 一 般 生 命 保 険 料 控 除 ( 遺 族 介 護 医 療 保 障 が 対 象 )の 控 除 限 度 額 は 国 税 5 万 円 地 方 税 3.5 万 円 である また 個 人 年 金 保 険 料 控 除 ( 老 後 保 障 が 対 象 )の 控 除 額 上 限 は 国 税 5 万 円 地 方 税 3.5 万 円 であり 両 者 の 合 計 で 国 税 10 万 円 地 方 税 7 万 円 が 控 除 額 上 限 となっている 改 正 後 は 一 般 生 命 保 険 料 控 除 の 対 象 を 遺 族 保 障 のみとし 介 護 医 療 保 障 が 新 設 の 介 護 医 療 保 険 料 控 除 の 対 象 となる 17

通 しを 早 期 に 示 すことも 必 要 であり 医 療 介 護 保 険 財 政 が 逼 迫 してから 自 己 負 担 の 見 直 しに 着 手 することは 避 けなければならない 6. おわりに 社 会 保 障 税 一 体 改 革 案 の 成 案 が 示 され 今 後 の 改 革 スケジュールも 明 らかになる なかで 関 係 団 体 等 は 医 療 介 護 分 野 の 改 革 案 に 対 する 評 価 や 意 見 等 を 表 明 している 各 団 体 とも 医 療 介 護 を 含 めた 社 会 保 障 給 付 に 要 する 公 費 負 担 の 費 用 は 消 費 税 を 主 要 な 財 源 として 確 保 することや 2010 年 代 半 ばまでに 段 階 的 に 消 費 税 率 を 10%まで 引 き 上 げることが 改 革 案 に 明 記 されたことについては 概 ね 評 価 している しかし 医 療 介 護 改 革 に 関 する 個 別 の 改 革 案 については 異 論 を 唱 えている 例 えば 日 本 経 団 連 は 前 期 高 齢 者 を 含 む 高 齢 者 医 療 制 度 への 税 投 入 の 割 合 や 介 護 給 付 費 への 税 投 入 割 合 の 拡 大 を 求 めているほか 短 時 間 労 働 者 への 社 会 保 険 の 適 用 範 囲 拡 大 については 保 険 料 が 大 幅 に 負 担 増 となる 流 通 業 飲 食 業 等 に 配 慮 した 制 度 とするよう 求 めている また 連 合 は 医 療 費 の 受 診 時 定 額 負 担 は 低 所 得 層 に 配 慮 した 慎 重 な 検 討 を 求 めている 健 康 保 険 組 合 連 合 会 は 高 齢 者 医 療 への 公 費 拡 充 が 限 定 的 であり 依 然 として 若 年 世 代 の 負 担 が 重 いことや 介 護 保 険 給 付 の 重 点 化 や 効 率 化 の 具 体 策 が 盛 り 込 まれないまま 高 齢 者 の 負 担 軽 減 措 置 が 提 案 されていること 介 護 納 付 金 の 総 報 酬 割 の 導 入 は 協 会 健 保 へ の 国 庫 補 助 を 健 保 組 合 等 に 負 担 転 嫁 する 肩 代 わりの 構 図 であることなどを 批 判 している 一 方 日 本 医 師 会 は 受 診 時 定 額 負 担 や 70 歳 から 74 歳 の 患 者 の 自 己 負 担 割 合 の 引 上 げ 等 更 なる 患 者 負 担 を 求 めていることを 問 題 視 しているほか 平 均 在 院 日 数 の 短 縮 は 限 界 であること 等 を 指 摘 している また 被 用 者 保 険 の 保 険 料 率 を 最 も 保 険 料 の 高 い 協 会 健 保 の 水 準 に 引 き 上 げること 等 を 提 案 している 各 団 体 等 の 意 見 は 概 ね それぞれの 立 場 から 自 己 の 大 幅 な 負 担 増 を 敬 遠 する 主 張 とな っていると 言 えよう 少 子 高 齢 化 や 医 療 の 高 度 化 等 が 進 むなかで 現 状 を 放 置 すれば 今 後 の 医 療 介 護 保 険 財 政 が 逼 迫 することは 避 けられず 必 要 なサービスが 受 けられない 事 態 になることも 懸 念 される 財 源 は 公 費 負 担 保 険 料 負 担 患 者 利 用 者 負 担 しかなく それぞれの 負 担 をどこで 折 り 合 わせれば 世 代 間 加 入 制 度 間 等 で 納 得 できる 負 担 水 準 と することができるか 今 後 の 審 議 会 等 の 検 討 の 過 程 では より 具 体 的 な 将 来 見 通 しを 示 し た 上 で より 多 くの 国 民 が 納 得 合 意 できるようにするとともに 公 平 性 に 配 慮 した 制 度 設 計 とすることが 求 められる 18

参 考 文 献 大 嶋 寧 子 (2011) 就 労 支 援 貧 困 格 差 対 策 案 の 評 価 と 課 題 ~ 現 役 世 代 の 働 くリスク 拡 大 への 対 応 は 不 十 分 ~ みずほ 総 合 研 究 所 みずほ 政 策 インサイト 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 シリーズ3 (2011 年 7 月 29 日 ) 鈴 木 将 覚 (2011) 消 費 税 増 税 案 の 評 価 と 課 題 ~ 長 期 の 消 費 税 率 引 き 上 げ 計 画 と 税 の 累 進 度 の 提 示 を~ みずほ 総 合 研 究 所 みずほ 政 策 インサイト 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 シリーズ1 (2011 年 7 月 19 日 ) 堀 江 奈 保 子 (2010a) 少 子 高 齢 化 社 会 の 社 会 保 障 改 革 ~ 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 とする には~ みずほ 総 合 研 究 所 みずほ 施 策 インサイト (2010 年 10 月 8 日 ) (2010b) 高 齢 者 医 療 制 度 改 革 の 行 方 ~ 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 の 廃 止 で 医 療 制 度 はどうなるか~ みずほ 総 合 研 究 所 みずほリサーチ (2010 年 12 月 号 ) (2011a) 高 齢 者 医 療 制 度 の 現 状 と 行 方 ~ 安 定 的 財 源 の 確 保 が 課 題 ~ みず ほ 総 合 研 究 所 みずほ 政 策 インサイト (2011 年 1 月 27 日 ) (2011b) 期 待 される 介 護 分 野 の 雇 用 創 出 ~ 必 要 な 介 護 労 働 者 数 を 確 保 する には~ みずほ 総 合 研 究 所 みずほ 政 策 インサイト (2011 年 3 月 28 日 ) (2011c) 年 金 改 革 案 の 評 価 と 課 題 ~ 少 子 高 齢 化 社 会 で 持 続 可 能 性 な 制 度 の 構 築 を~ みずほ 総 合 研 究 所 みずほ 政 策 インサイト 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 シリーズ2 (2011 年 7 月 22 日 ) みずほ 総 合 研 究 所 (2011) 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 案 の 評 価 と 課 題 ~ 高 齢 者 給 付 の 効 率 化 と 現 役 世 代 への 支 援 拡 充 を~ みずほ 総 合 研 究 所 緊 急 リポート (2011 年 6 月 10 日 ) 19