平 成 27 年 3 月 9 日 ( 月 ) 中 央 教 育 審 議 会 チーム 学 校 作 業 部 会 ( 第 4 回 ) スクールカウンセラーの 役 割 と 活 動 の 在 り 方 一 般 社 団 法 人 東 京 臨 床 心 理 士 会 副 会 長 学 校 臨 床 心 理 士 専 門 委 員 会 委 員 長 石 川 悦 子
スクールカウンセラー 等 活 用 事 業 の 趣 旨 文 部 科 学 省 平 成 23 年 3 月 31 日 改 正 公 立 の 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 中 等 教 育 学 校 及 び 特 別 支 援 学 校 に 児 童 生 徒 の 臨 床 心 理 に 関 して 高 度 に 専 門 的 な 知 識 経 験 を 有 するスクールカウンセラーや 児 童 生 徒 の 非 行 問 題 行 動 等 の 早 期 発 見 や 緊 急 時 の 対 応 等 を 行 ったり 児 童 生 徒 の 悩 みや 不 安 などの 相 談 を 受 けたりする 生 徒 指 導 推 進 協 力 員 学 校 相 談 員 を 配 置 するとともに 24 時 間 体 制 の 電 話 相 談 を 実 施 し 教 育 相 談 体 制 を 整 備 する
スクールカウンセラー 配 置 校 ( 箇 所 ) 数 の 推 移 ( 平 成 7 年 度 ~ 平 成 26 年 度 ) 文 部 科 学 省 HPより 石 川 加 筆
スクールカウンセラーの 選 考 について (1)スクールカウンセラーの 選 考 次 の 各 号 のいずれかに 該 当 する 者 から 都 道 府 県 又 は 指 定 都 市 が 選 考 し スクールカウンセラーとして 認 めた 者 とする 1. 財 団 法 人 日 本 臨 床 心 理 士 資 格 認 定 協 会 の 認 定 に 係 る 臨 床 心 理 士 2. 精 神 科 医 3. 児 童 生 徒 の 臨 床 心 理 に 関 して 高 度 に 専 門 的 な 知 識 及 び 経 験 を 有 し 学 校 教 育 法 第 1 条 に 規 定 する 大 学 の 学 長 副 学 長 学 部 長 教 授 准 教 授 講 師 ( 常 時 勤 務 をする 者 に 限 る) 又 は 助 教 の 職 にある 者 又 はあった 者 (2)スクールカウンセラーに 準 ずる 者 の 選 考 1. 大 学 院 修 士 課 程 を 修 了 した 者 で 心 理 臨 床 業 務 又 は 児 童 生 徒 を 対 象 とし た 相 談 業 務 について 1 年 以 上 の 経 験 を 有 する 者 2. 大 学 若 しくは 短 期 大 学 を 卒 業 した 者 で 心 理 臨 床 業 務 又 は 児 童 生 徒 を 対 象 とした 相 談 業 務 について 5 年 以 上 の 経 験 を 有 する 者 3. 医 師 で 心 理 臨 床 業 務 又 は 児 童 生 徒 を 対 象 とした 相 談 業 務 について 1 年 以 上 の 経 験 を 有 する 者 ただし 前 各 号 に 掲 げる 者 の 任 用 は 地 域 や 学 校 の 実 情 を 踏 まえ 3(1)に 掲 げる 者 の 任 用 よりも 合 理 的 であると 認 められ る 場 合 に 行 うことができるものとする
スクールカウンセラー(SC) 活 用 事 業 の 流 れ 背 景 不 登 校 やいじめ 自 殺 問 題 の 深 刻 化 阪 神 淡 路 大 震 災 ( 平 成 7 年 ) 児 童 生 徒 の 心 の 在 り 様 と 係 るような 様 々な 問 題 の 発 現 H7 年 度 文 部 省 スクールカウンセラー 活 用 調 査 研 究 委 託 事 業 ( 国 庫 100%)として 発 足 H13 年 度 より 文 部 科 学 省 スクールカウンセラー 等 活 用 事 業 補 助 へ 現 在 の 国 庫 補 助 率 は1/3 各 自 治 体 によってSC 配 置 状 況 は 異 なる 東 京 都 公 立 学 校 スクールカウンセラー( 以 下 SC) 平 成 25 年 度 より 公 立 小 中 高 等 学 校 全 校 配 置 1 校 1 名 配 置 年 間 35 回 1 日 7 時 間 45 分 勤 務
SCの 主 な 職 務 1 児 童 生 徒 への 相 談 助 言 2 教 職 員 へのコンサルテーション( 助 言 協 議 相 談 ) 3 教 育 相 談 や 児 童 生 徒 理 解 に 関 する 研 修 4 相 談 者 への 心 理 的 見 立 て(アセスメント)と 対 応 5 保 護 者 や 関 係 機 関 との 連 携 コミュニティワーク 6ストレスマネジメント 等 の 予 防 的 対 応 7 学 校 危 機 対 応 における 心 のケア 子 供 たちの 悩 みを 受 け 止 め 学 校 におけるカウンセリング 機 能 や 教 育 相 談 体 制 の 充 実 を 図 るために 心 理 臨 床 の 専 門 的 知 識 や 経 験 を 有 する 学 校 外 の 人 材 をSCとして 積 極 的 に 活 用 する
私 のSC 勤 務 のある 一 日 ( 中 学 校 ) 8:15~ 職 員 朝 会 参 加 相 談 室 に 暖 房 を 入 れる 管 理 職 や 学 年 主 任 養 護 教 諭 等 と 情 報 共 有 9:00 保 護 者 ( 主 訴 : 登 校 渋 り)から 電 話 相 談 9:45~10:35 2 校 時 授 業 観 察 (1 年 組 ) 11:00~ 保 護 者 面 談 ( 主 訴 : 子 育 て 生 活 習 慣 ) 11:40~14:00 不 登 校 傾 向 の 生 徒 ( 中 3)が 相 談 室 に 登 校 談 話 編 み 物 学 習 ( 漢 字 英 語 の 問 題 集 等 ) 給 食 昼 休 み 中 1 生 徒 ( 主 訴 : 対 人 関 係 他 )へ 個 別 SST( 学 習 支 援 室 にて) 13:30~ 保 護 者 面 談 ( 主 訴 : 発 達 障 害 傾 向 ) 15:00 記 録 整 理 登 校 渋 りの 生 徒 へ 手 紙 16:00 校 内 委 員 会 出 席 18:00 過 ぎ 退 勤
年 度 ( 平 成 ) 東 京 都 公 立 学 校 スクール カウンセラー(SC)の 人 数 と 配 置 学 校 数 SC 数 ( 人 ) スクールカウンセラー 配 置 学 校 数 ( 校 ) 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 都 立 学 校 学 校 数 計 7 年 度 4 1 2 1 4 13 年 度 243 300 7 307 15 年 度 504 653 30 683 23 年 度 744 327 622 100 10 1059 24 年 度 749 327 621 100 10 1058 25 年 度 1277 1299 620 188 10 2117 26 年 度 1236 1295 619 188 10 2112
スクールカウンセラーの 職 務 東 京 都 公 立 学 校 スクールカウンセラー 設 置 要 綱 H13.3.30 H25.3.31 改 正 (1) 児 童 及 び 生 徒 へのカウンセリング (2)カウンセリング 等 に 関 する 教 職 員 及 び 保 護 者 に 対 する 助 言 及 び 援 助 (3) 児 童 及 び 生 徒 のカウンセリング 等 に 関 する 情 報 収 集 (4) 児 童 及 び 生 徒 のカウンセリング 等 に 関 し 配 置 校 の 校 長 及 び 配 置 校 を 所 管 する 教 育 委 員 会 が 必 要 と 認 める 事 項 SCは 地 方 公 務 員 法 に 規 定 する 特 別 職 の 非 常 勤 職 員 である 公 務 員 としてルールに 従 う
学 校 が 望 むSC(ある 中 学 校 長 より) 教 員 の 考 え 方 ( 生 徒 指 導 方 針 )を 理 解 し 教 員 への 適 切 な 助 言 ができる 適 切 な 校 内 研 修 の 講 師 になれる 管 理 職 への 報 告 連 絡 相 談 ができる 学 校 理 解 に 努 めている 専 門 的 知 識 をわかりやすく 説 明 できる 背 景 に 保 護 者 の 存 在 をみることができる 教 職 員 と 好 ましい 人 間 関 係 を 図 る 専 門 機 関 の 情 報 をよく 知 っている
全 国 のSC 活 動 を 支 える3 団 体 財 団 法 人 日 本 臨 床 心 理 士 資 格 認 定 協 会 日 本 臨 床 心 理 士 会 ( 有 資 格 者 の 専 門 職 能 団 体 ) 日 本 心 理 臨 床 学 会 ( 学 術 的 専 門 性 の 根 拠 ) 学 校 臨 床 心 理 士 ワーキンググループ(WG)は この3 団 体 のメンバーより 構 成 各 都 道 府 県 に 学 校 臨 床 心 理 士 担 当 理 事 コーディネーター を 設 置 し 全 国 会 議 を 組 織 する スクールカウンセラー(SC)= 学 校 臨 床 心 理 士 (3 団 体 WGが 命 名 )
東 京 学 校 臨 床 心 理 研 究 会 (SCのスキルアップとフォローアップ 体 制 ) 研 究 研 修 交 流 等 を 通 して 会 員 相 互 の 支 援 ならびに 研 鑽 を 行 い SC としての 資 質 向 上 を 目 的 として 平 成 8 年 に 発 足 一 般 社 団 法 人 東 京 臨 床 心 理 士 会 学 校 臨 床 心 理 士 専 門 委 員 会 が 企 画 運 営 を 担 当 している 会 員 数 : 平 成 8 年 度 20 名 程 度 平 成 26 年 度 は1,034 名 学 校 臨 床 という 未 踏 の 地 に 於 いて 個 人 の 経 験 知 のみでな く 全 体 で 共 有 できる 知 見 を 体 系 立 てていく 必 要 があった 研 修 の 目 的 : 学 校 を 理 解 し 学 校 コミュニティへの 組 織 支 援 力 及 び 児 童 生 徒 への 的 確 なアセスメントとコンサルテーシ ョン 力 の 醸 成 等 全 体 会, 初 任 者 研 修 会, 地 域 会 (56),ベーシック 研 修 会, アドバンスト 研 修 会, 事 例 検 討 会,コーディネーター 設 置 等
校 内 にいる 利 点 を 活 かしたSC 活 動 教 職 員 が 校 内 で 継 続 的 に 相 談 できる PDCAサイクル 教 師 とは 異 なる 見 方 や 専 門 性 を 発 揮 する 相 談 者 の 味 方 理 解 者 として 存 在 する 事 例 紹 介 問 題 を 整 理 しそれを 本 人 教 職 員 保 護 者 等 に 示 す 校 内 だけでは 対 応 に 限 界 がある 事 例 に 対 して 方 向 性 を 示 す 関 係 機 関 との 連 携 へ 必 要 に 応 じて 校 内 研 修 の 講 師 を 務 める 要 配 慮 の 児 童 生 徒 のみを 対 象 とせず 学 校 全 体 へ 係 わることができる 教 育 相 談 体 制 の 充 実 予 防 教 育 SST 等
三 次 支 援 から 一 次 支 援 へ 他 機 関 との 連 携 専 門 的 治 療 危 機 介 入 レベル ( 三 次 支 援 ) SCによる カウンセリング 教 室 内 の 配 慮 保 護 者 との 連 携 要 配 慮 レベル ( 二 次 支 援 ) 日 頃 の 健 全 育 成 教 育 相 談 体 制 の 充 実 学 校 全 体 の 環 境 調 整 日 常 レベル ( 一 次 支 援 ) 校 内 研 修 全 員 面 接
SCによる 校 内 研 修 の 実 施 ( 例 ) 教 職 員 向 け いじめ 問 題 への 理 解 と 対 応 発 達 障 害 の 理 解 と 対 応 事 例 研 究 ストレス(アンガー)マネージメント 認 知 行 動 療 法 構 成 的 エンカウンターグループ 等 児 童 生 徒 向 け 自 己 理 解 と 他 者 との 交 流 (エゴグラム) ストレスマネージメント ピアサポート 構 成 的 エンカウンターグループ 冊 子 いじめ 防 止 教 育 プログラム から 等 保 護 者 地 域 向 け 思 春 期 理 解 親 子 のコミュニケーション アサーショントレーニング 等
生 徒 対 象 の こころの 授 業 例 身 につけたい14のソーシャルスキル 1. さわやかにあいさつをする 2. 自 己 紹 介 をする 3. 仲 間 にさそう 4. 仲 間 に 加 わる 5. しっかり 話 を 聞 く 6. じょうずに 質 問 をする 7. 相 手 の 気 持 ちに 共 感 する 8. あたたかい 言 葉 をかける 9. はっきり 伝 える 10. きちんとことわる 11. やさしくたのむ 12. きちんとあやまる 13. 怒 りをコントロールする 14. トラブル 解 決 策 を 考 える
東 京 都 教 育 委 員 会 いじめ 総 合 対 策 による SCによる 全 員 面 接 実 施 の 目 的 と 流 れカウン セラーによる 全 員 面 接 の 実 施 について 1. 実 施 の 目 的 いじめ 問 題 をはじめとする 問 題 行 動 の 未 然 防 止 及 び 早 期 発 見 を 図 る 1 相 談 すること へのハードルを 下 げ 安 心 して 相 談 できる 環 境 づくりをする 2 SCと 児 童 生 徒 のつながりを 作 る 3 児 童 生 徒 等 についての 情 報 を 把 握 する 2. 実 施 の 流 れ 1 事 前 アンケート 等 の 実 施 2 全 員 面 接 の 実 施 対 象 小 学 校 第 5 学 年 中 学 校 第 1 学 年 中 等 教 育 学 校 第 4 学 年 高 等 学 校 第 1 学 年 3 教 職 員 との 情 報 共 有 18
事 前 の 準 備 学 校 状 況 : 校 種 人 数 規 模 教 員 側 の 態 勢 学 年 規 模 により 全 員 面 接 支 援 スタッフの 要 請 事 前 打 ち 合 わせ: 管 理 職 及 び 学 年 教 員 との 充 分 な 意 思 疎 通 全 員 面 接 事 前 アンケート : 実 施 方 法 ( 誰 がどのよう な 形 で 行 うか) 健 康 診 断 や 入 学 前 からの 申 し 送 り 情 報 も 考 慮 周 知 方 法 : 対 児 童 生 徒 対 教 職 員 対 保 護 者 実 施 方 法 : 時 間 場 所 個 別 orグループ 他 の 相 談 員 との 役 割 分 担 記 録 について
SCが 感 じる 全 員 面 接 の 効 果 (N=1279 校 ) 順 位 小 学 校 中 学 校 高 校 中 高 一 貫 校 1 ハードルを 下 げる ハードルを 下 げる ハードルを 下 げる ハードルを 下 げる 2 PR 活 動 PR 活 動 PR 活 動 PR 活 動 3 児 童 生 徒 理 解 児 童 生 徒 理 解 相 談 の 発 掘 相 談 の 発 掘 4 情 報 把 握 情 報 把 握 情 報 把 握 情 報 把 握 5 相 談 の 発 掘 教 員 との 交 流 児 童 生 徒 理 解 教 員 との 交 流 6 教 員 との 交 流 相 談 の 発 掘 教 員 との 交 流 児 童 生 徒 理 解 7 いじめ 発 見 いじめ 未 然 防 止 いじめ 未 然 防 止 いじめ 未 然 防 止 8 いじめ 未 然 防 止 いじめ 発 見 いじめ 発 見 いじめ 発 見 9 学 級 経 営 学 級 経 営 学 級 経 営 学 級 経 営 10 その 他 その 他 その 他 その 他 11 いじめ 解 決 いじめ 解 決 いじめ 解 決 いじめ 解 決
全 員 面 接 の 有 効 性 ( SCからの 感 想 ) 数 分 でも 個 別 に 会 うことで 児 童 生 徒 との 関 わりのきっかけ になった 隠 れていた 相 談 ニーズを 見 つけた 児 童 生 徒 の 日 頃 とは 違 う 面 を 知 ることができた 部 活 動 や 課 外 活 動 など 生 徒 の 生 活 を 知 った 先 生 方 から 生 徒 理 解 に 役 立 てられる と 言 われた 先 生 方 と 内 容 の 濃 い 情 報 交 換 ができた 相 談 室 及 びSCの 紹 介 ( 案 内 )ができた 担 任 に 話 してほしい という 内 容 を 聞 くことができた 他 の 児 童 生 徒 に 関 する 情 報 も 聞 かれた 実 施 時 間 のやりくりに 工 夫 を 要 する
SC 活 用 事 業 の 今 後 の 課 題 安 定 した 勤 務 条 件 勤 務 時 間 の 拡 大 地 域 によっては 拠 点 校 方 式 や 巡 回 方 式 ( 一 人 のSCが 年 間 35 回 を 等 分 し 複 数 校 を 巡 回 する)もある 週 1 日 勤 務 週 2 日 ~ 常 勤 化 へ 管 理 職 による 明 確 なSC 活 用 方 針 の 提 示 小 中 高 の 情 報 連 携 の 充 実 児 童 生 徒 が 相 談 がしやすい 環 境 整 備 ( 部 屋 時 間 ) 校 内 会 議 の 定 例 化 とSCが 参 加 できる 体 制 作 り SC 養 成 の 問 題 SCに 対 する 期 待 と 要 求 の 高 まり 学 校 組 織 の 一 員 として 各 学 校 のニーズに 応 じた 的 確 なカウンセリング ア セスメント コンサルテーション コミュニティワーク( 他 職 種 との 連 携 )を 実 行 SC 活 動 の 広 がり SC 活 動 に 係 わる 調 査 研 究 の 充 実 例 ) 学 力 不 振 による 不 登 校 への 対 応 等
ご 清 聴 ありがとうございました (いしかわ)