シリーズ 解 説 : 糖 質 素 材 の 機 能 と 利 用 ( 第 28 回 最 終 回 ) 解 説 ヒアルロン 酸 の 機 能 と 利 用 やまざき たろう 明 治 大 学 大 学 院 農 学 研 究 科 農 芸 化 学 専 攻 修 了 キユー ピ ー 株 式 会 社 入 社, 現 在,ファイ ンケミカル 開 発 部 研 究 員 山 﨑 太 朗 1.はじめに ヒアルロン 酸 とは N-アセチルグルコサミンと D-グルクロン 酸 が 交 互 に 結 合 した 分 子 量 数 万 か ら 数 百 万 の 直 鎖 状 の 高 分 子 多 糖 であり( 第 1 図 ), 1934 年 に Meyer らにより 牛 の 硝 子 体 から 分 離 同 定 された 物 質 である 1) 全 ての 脊 椎 動 物 と 一 部 の 微 生 物 体 内 に 存 在 し, 生 体 内 では 皮 膚, 関 節 液, 血 管, 血 清, 脳, 軟 骨 などあらゆる 結 合 組 織, 器 官 に 存 在 している 2) ヒアルロン 酸 の 機 能 性 の 中 で 特 記 すべきはその 高 い 水 分 保 持 能 力 と 粘 性 である ヒアルロン 酸 の 理 論 的 な 水 分 保 持 能 力 は2~6L /g といわれ 3), この 高 い 水 分 保 持 能 力 によって 細 胞 保 持 機 能 を 発 揮 するとともに, 組 織 の 柔 軟 性 を 保 つ 働 きを 果 た している ヒアルロン 酸 はこの 性 質 を 利 用 し, 医 薬 品 や 化 粧 品, 食 品 の 原 料 として 幅 広 く 用 いられ C 第 1 図 ヒアルロン 酸 の 構 造 ている C 2 N C C 3 2.ヒアルロン 酸 の 生 理 学 的 性 質 ヒアルロン 酸 には 生 体 内 において 様 々な 機 能 が 報 告 されている その 一 部 を 紹 介 する 2 1. 生 体 内 の 水 分 保 持 効 果 ヒアルロン 酸 はタンパク 質 と 結 合 して 細 胞 間 隙 に 存 在 するといわれている 4) このヒアルロン 酸 -タンパク 質 複 合 体 は 強 い 親 水 性 を 持 ち, 細 胞 外 液 の 保 持 に 作 用 している 細 胞 間 隙 のヒアルロン 酸 が 減 少 すると 細 胞 外 液 の 保 持 力 が 弱 まり, 細 胞 への 栄 養 成 分 の 輸 送,ならびに 老 廃 物 除 去 が 滞 り, さらに 細 胞 の 老 化 につながると 考 えられる この 細 胞 の 老 化 が 顕 著 に 現 れるのが 皮 膚 である 皮 膚 のヒアルロン 酸 が 失 われると 細 胞 外 液 をとどめる 力 が 弱 まり, 皮 膚 の 水 分 量 の 減 少 や 細 胞 の 新 陳 代 謝 の 衰 えの 原 因 となる 皮 膚 の 水 分 蒸 発 や 老 廃 物 蓄 積 が 進 むと 細 胞 の 柔 軟 性 が 失 わ れ 萎 縮 する また, 加 齢 とともに 皮 膚 が 薄 くなり 弾 性 を 失 うことで 毛 細 血 管 が 傷 つきやすくなり 鬱 血 しわ が 多 くなる これらは 皺 やシミの 原 因 と 考 えられている n 2 2. 創 傷 治 癒 効 果 創 傷 治 癒 の 過 程 においてヒアル 食 品 と 容 器 138
ヒアルロン 酸 の 機 能 と 利 用 ロン 酸 が 関 わっていることが 知 られている ヒア ルロン 酸 は 組 織 修 復 期 に 関 与 しており 肉 芽 組 織 の 形 成 に 欠 かせないものである 皮 膚 の 創 傷 ができ た 時 にヒアルロン 酸 を 塗 布 するとケロイド 状 にな らないことが 知 られており 5),このことからもヒ アルロン 酸 が 創 傷 治 癒 の 一 端 を 担 っていることが うかがえる 2-3. 潤 滑 作 用 関 節 を 動 かすための 潤 滑 剤 として 関 節 液 が 存 在 する 関 節 液 にはヒアルロン 酸 が 含 まれており, 関 節 軟 骨 が 滑 りあう 際 にその 摩 擦 を 低 減 している 関 節 液 に 含 まれるヒアルロン 酸 は 分 子 量 800 万 程 度 と 非 常 に 高 分 子 である 3. 利 用 方 法 3-1. 医 薬 品 としてのヒアルロン 酸 ヒアルロン 酸 の 医 療 分 野 での 利 用 方 法 を 紹 介 す る 3 1 1. 整 形 外 科 領 域 加 齢 により, 関 節 軟 骨 の 保 湿 成 分 (ヒアルロン 酸,コンドロイチン 硫 酸,コラーゲン 等 )は 失 わ れていき, 組 織 がすり 減 り 炎 症 を 起 こすことがあ る これを 変 形 性 関 節 症 といい, 進 行 すると 膝 が 変 形 したり, 歩 行 困 難 などの 症 状 を 引 き 起 こす この 治 療 にヒアルロン 酸 が 用 いられており,ヒア ルロン 酸 水 溶 液 を 関 節 に 注 射 する 形 態 で 使 用 され る 変 形 性 関 節 症 に 対 するヒアルロン 酸 の 効 果 と しては 関 節 液 正 常 化 や 軟 骨 表 層 被 覆 保 護, 軟 骨 変 性 抑 制, 関 節 可 動 域 の 改 善 および 疼 痛 抑 制 などが 知 られている 6) 3 1 2. 眼 科 領 域 点 眼 剤 としてのヒアルロン 酸 使 用 例 も 多 い 保 水 作 用, 創 傷 治 癒 促 進 作 用 が 認 められており,ド ライアイの 治 療, 眼 科 手 術 後 はコンタクトレンズ の 装 着 による 外 傷 治 癒 に 使 用 される 創 傷 治 癒 効 果 については,ヒアルロン 酸 がフィブロネクチン と 結 合 し,その 作 用 を 介 して 上 皮 細 胞 の 接 着, 伸 展 を 促 進 すると 考 えられる また, 高 度 に 精 製 さ れたヒアルロン 酸 の 水 溶 液 は 高 い 粘 弾 性 を 持 つこ とう とに 加 え, 透 明 度 も 非 常 に 高 い この 性 質 を 利 用 して, 眼 内 レンズ 移 植, 角 膜 手 術 等 の 際 に 補 助 剤 として 前 房 に 注 入 され 手 術 を 容 易 にするのに 利 用 される 近 年 ではコンタクトレンズの 使 用 やパソコン 等 のモニター 画 面 を 見 る 機 会 の 増 加 により, 涙 の 分 泌 量 が 減 ったり, 涙 の 組 成 が 変 化 したりすること によって 目 の 表 面 を 潤 す 力 が 低 下 している 人 が 増 えてきている ヒアルロン 酸 点 眼 薬 はまだ 一 般 用 医 薬 品 として 認 可 されていないが, 涙 液 を 安 定 化 させ 目 の 渇 きを 防 ぐ 効 果 があるヒアルロン 酸 点 眼 製 剤 が 消 費 者 のセルフメディケーションとして 利 用 されればその 価 値 は 高 いと 考 えられる 7) 3-2. 化 粧 品 としてのヒアルロン 酸 ヒアルロン 酸 は 先 に 述 べた 水 分 保 持 作 用 を 有 し ているため, 化 粧 品 分 野 では 保 湿 効 果 の 目 的 で 化 粧 水, 乳 液,ファンデーション,リップクリーム, フェイスマスク,ヘアケア 用 品 などに 幅 広 く 利 用 されている 皮 膚 のヒアルロン 酸 は 加 齢 とともに 減 少 することが 知 られており, 中 高 年 者 の 皮 膚 が 弾 力 性 を 失 い,ドライスキン 状 態 になるのは 皮 膚 のヒアルロン 酸 含 量 が 低 下 することが 原 因 の1つ と 考 えられている 8) ヒアルロン 酸 を 配 合 した 化 粧 品 は, 皮 膚 表 面 に 水 分 を 含 んだ 膜 を 形 成 し, 皮 膚 の 水 分 蒸 散 を 防 ぐ 効 果 があるため, 肌 の 保 湿 状 態 を 保 つのに 有 用 である 3-3. 食 品 としてのヒアルロン 酸 ヒアルロン 酸 の 食 品 への 利 用 は, 現 状 ではサプ リメントなどの 健 康 食 品 分 野 が 最 も 多 い 訴 求 点 は 主 に 女 性 をターゲットとした 美 肌 である ヒア ルロン 酸 の 呈 味 性 は 無 味 無 臭 で, 水 溶 液 では 無 色 透 明 である このことから, 食 品 に 配 合 しても 食 あめ 品 の 風 味 を 損 なうことがなく, 近 年 では 飴,ガム, ジュレ, 清 涼 飲 料 水, 酒 類 など 幅 広 い 食 品 に 配 合 されている ヒアルロン 酸 を 摂 取 することの 安 全 性 について は,1996 年 に 厚 生 省 科 学 研 究 報 告 書 において 食 品 添 加 物 ヒアルロン 酸 の 調 査 が 行 われており 9),そ の 内 容 から 安 全 性 は 確 認 されている さらに, 弊 食 品 と 容 器 139
シリーズ 解 説 : 糖 質 素 材 の 機 能 と 利 用 第 1 表 左 眼 下 の 水 分 含 量 の 変 化 の 顕 微 鏡 的 解 析, 皮 膚 科 的 問 診 を 二 (% 平 均 値 ± 標 準 偏 差 ) 重 盲 検 試 験 法 により 実 施 した 11) そ 観 察 期 間 摂 取 直 前 摂 取 3 週 間 摂 取 6 週 間 の 結 果, 左 眼 下 の 水 分 量 において, ヒアルロン 酸 群 45.7±7.9 45.6± 7.5 51.9±11.2 * 51.9± 9.5 * プラセボ 群 では 摂 取 開 始 後 に 大 きな プラセボ 群 45.7±8.9 45.8±12.0 45.5±13.1 47.9±15.5 変 化 を 認 めなかったのに 対 し,ヒア ;P<0.1 摂 取 直 前 ルロン 酸 群 では 摂 取 前 と 比 較 し, 摂 社 でも 安 全 性 試 験 を 実 施 し,その 安 全 性 を 確 認 し ている ヒアルロン 酸 を 経 口 摂 取 した 場 合 の 効 果 につい て,キユーピー では, 科 学 的 なデータとして 取 得 してきた 以 降 では,このヒアルロン 酸 の 経 口 摂 取 による 効 果 について 述 べたい 取 3 週 間 目 以 降 有 意 な 水 分 量 の 増 加 を 認 めた( 第 1 表 ) 皮 膚 表 面 の 顕 微 鏡 的 解 析 では, 皺 の 深 さの 平 均 から 算 出 した 皮 膚 の 滑 らかさの 指 標 が,プラセボ 群 では 有 意 な 改 善 が 認 められない 一 方,ヒアルロ ン 酸 群 では 摂 取 3 週 間 目 に 左 上 腕 部 で,6 週 間 目 4. 摂 取 による 肌 改 善 効 果 体 内 に 含 まれるヒアルロン 酸 の 約 3 分 の1が 毎 日 ターンオーバーしていること 10) や,その 合 成 量 が 加 齢 とともに 減 少 していくことなどから, 加 齢 に 伴 う 皮 膚 症 状 の 改 善 のために 積 極 的 にヒアルロ ン 酸 を 摂 取 することは 望 ましいと 考 えられる ヒ アルロン 酸 の 経 口 摂 取 時 の 肌 に 対 する 作 用 につい ては,ヒアルロン 酸 単 独 で 試 験 を 行 った 結 果 はこ れまで 報 告 がなかった そこで, 我 々は,この 点 について 明 らかにするためにヒトによるヒアルロ ン 酸 摂 取 試 験 を 実 施 したので,その 効 果 をここで 紹 介 する 1 日 240mg のヒアルロン 酸 とプラセボを 日 頃, 慢 性 的 に 乾 燥 肌 や 肌 荒 れに 悩 む 男 女 22 名 ( 男 性 3 名, 女 性 19 名, 平 均 年 齢 26.7 歳 ±6.6 歳 )に6 週 間 摂 取 させ,その 間, 皮 膚 水 分 量 の 測 定, 皮 膚 表 面 けい には 頸 背 部 で 摂 取 前 に 比 較 して 有 意 な 改 善 を 認 め た また,ヒアルロン 酸 群 の 皮 膚 科 的 問 診 におい ては, 顔 の 皮 膚 症 状 で 乾 燥 および 潮 紅 の 項 目 に 有 意 な 改 善 を 認 め, 全 身 の 所 見 では 摂 取 3 そうよう 週 目 以 降 に 搔 痒, 乾 燥 の 項 目 で,6 週 間 目 りんせつ では 潮 紅 と びらん, 鱗 屑 の 項 目 で 有 意 な 改 善 が 認 められた 一 方 プラセボ 群 では, 摂 取 6 週 間 目 に 乾 燥 が 改 善 した 以 外 には 有 意 な 変 化 は 認 められなかった また,1 日 120 mg のヒアルロン 酸 を 摂 取 するヒト 試 験 ( 男 性 13 名, 女 性 22 名, 平 均 年 齢 31.5±13.3 歳 )も 実 施 しており 12),その 結 果,2 週 間 目 には 左 眼 下 においてプラセボ 群 と 比 較 して 有 意 な 差 を 認 め, 皮 膚 表 面 の 顕 微 鏡 的 解 析 では,ヒアルロン 酸 群 で 摂 取 前 と 比 較 し, 摂 取 2 週 間 目 に 左 眼 下 で 皮 膚 の 滑 らかさを 示 す 指 標 に, 頸 背 部 で 皺 の 数 と 幅 を 示 す 指 標 に 有 意 な 改 善 が 認 められた( 第 2 図 ) 以 上 の 結 果 より,ヒトにおいて 120mg 以 上 のヒアルロン 酸 を 経 口 摂 取 することにより, 皮 膚 の 症 状 の 改 善 ( 乾 燥 肌 かさつきの 改 善, 弾 力 性 柔 軟 性 の 向 上,しわの 改 善 ) が 図 られることが 示 唆 された ( 摂 取 直 前 ) ( 摂 取 開 始 4 週 間 後 ) 第 2 図 ヒアルロン 酸 120mg 摂 取 群 の 頸 背 部 における 変 化 (Sa-5 23 歳 女 性 ) 5. 経 口 摂 取 時 のヒアル ロン 酸 の 吸 収 について 腸 管 吸 収 後 の 体 内 動 態 を 調 べるた 食 品 と 容 器 140
ヒアルロン 酸 の 機 能 と 利 用 第 2 表 経 口 摂 取 後 の 血 漿 ヒアルロン 酸 濃 度 時 間 (h) 放 射 能 濃 度 (µg eq. ヒアルロン 酸 ) 0.08 N. D 0.25 N. D 0.50 N. D 1 N. D 2 N. D 4 1.1±0.8 8 7.6±0.6 24 3.5±0.3 48 2.0±0.1 72 1.3±0.1 96 0.9±0.0 120 0.7±0.1 144 0.5±0.0 168 0.4±0.1 め, 鶏 の 鶏 冠 を 用 いた 組 織 培 養 法 により, 平 均 分 子 量 92 万 の 14 C-ヒアルロン 酸 を 合 成 した この 14 C-ヒアルロン 酸 を 雄 性 ラットに 単 回 経 口 投 与 しょう せつ し, 血 漿 中 放 射 能 濃 度, 排 泄 動 態, 全 身 オート ラジオグラフィーの 測 定 を 行 った 13) 経 口 投 与 後 の 血 漿 中 放 射 能 濃 度 を 第 2 表 に 示 した 投 与 後 4 時 間 目 から 放 射 能 が 検 出 され,8 時 間 後 に 最 高 濃 度 を 示 し, 以 降 緩 やかに 消 失 した 放 ふん 射 能 の 経 時 的 な 尿, 糞, 呼 気 中 排 泄 率 および168 時 間 目 での 体 内 残 存 率 を 第 3 表 に 示 した 最 終 的 に 尿 中 から3.0%, 糞 中 から11.9%, 呼 気 中 からは76.5%の 放 射 能 が 検 出 され, 屍 体 からは 8.8%の 放 射 能 が 検 出 された これらのことから, 経 口 摂 取 したヒアルロン 酸 は 摂 取 後 4 時 間 目 まで に 代 謝 がはじまり, 糞 中 排 泄 率 が11.9%であった ことから, 約 90%が 腸 管 から 吸 収 されていると 考 こう えられる なお,ヒアルロン 酸 を 静 脈 内 や 腹 腔 内 に 投 与 した 試 験 から,ヒアルロン 酸 の 主 な 代 謝 臓 器 は 肝 臓 であることが 報 告 されている 14,15) 経 口 摂 取 後 8,24,96 時 間 目 の 全 身 オートラジ オグラムを 画 像 解 析 し, 肝 臓, 血 液, 皮 膚 の 単 位 面 積 当 たりの 発 光 強 度 の 比 較 を 行 った( 第 3 図 ) その 結 果, 肝 臓 や 血 液 の 発 光 強 度 は8 時 間 目 か ら96 時 間 目 まで 漸 次 減 少 していくが, 皮 膚 では8 第 3 表 経 口 摂 取 したヒアルロン 酸 の 排 泄 率 および 体 内 残 存 率 時 間 (h) 時 間 目 から24 時 間 目 に 上 昇 しており,96 時 間 目 に は 肝 臓 や 血 液 より 高 い 値 となっていた これらの ことから, 吸 収 されたヒアルロン 酸 は 肝 臓 で 代 謝 され, 呼 気 や 尿 中 に 排 泄 される 一 方,ヒアルロン 酸 の 分 解 物 またはその 代 謝 物 が 皮 膚 に 移 行 し, 利 用 されていることが 示 唆 された 6.ヒアルロン 酸 の 製 造 方 法 ヒアルロン 酸 の 工 業 的 製 造 方 法 を 紹 介 する 工 業 的 製 造 方 法 は 生 体 組 織 から 抽 出 する 方 法 と,ヒ アルロン 酸 産 生 菌 を 用 いた 微 生 物 発 酵 法 との2つ に 大 別 される 6 1. 生 体 組 織 からの 抽 出 法 生 体 組 織 から 抽 出 する 方 法 では,ヒアルロン 酸 含 量 が 約 1% 含 まれている 鶏 冠 が 主 な 原 料 として 利 用 されている 鶏 冠 中 に 含 まれるヒアルロン 酸 は 平 均 分 子 量 約 1,000 万 程 度 であるといわれてい 蛍 光 強 度 (PSL-BG)/A 10 8 6 4 2 放 射 能 の 排 泄 率 ( 投 与 量 に 対 する%) 尿 糞 呼 気 合 計 0-4 0.0±0.0-1.5±1.2-8 1.0±0.3-45.9±1.9-24 2.5±0.3 7.8±1.6 70.7±1.2 81.1±1.5 48 2.7±0.2 11.0±1.0 73.4±1.3 87.0±0.9 72 2.8±0.2 11.4±1.0 74.7±1.5 88.8±0.9 96 2.9±0.2 11.6±1.0 75.4±1.5 89.9±1.0 120 2.9±0.2 11.7±1.0 75.8±1.5 90.4±1.0 144 2.9±0.3 11.8±1.0 76.2±1.5 90.9±1.0 168 3.0±0.2 11.9±1.0 76.5±1.6 91.3±1.0 屍 体 (168h) 8.8±0.6 0 8 16 24 32 40 48 56 64 72 80 88 96 時 間 (h) 第 3 図 発 光 強 度 の 比 較 皮 膚 血 液 肝 臓 食 品 と 容 器 141
シリーズ 解 説 : 糖 質 素 材 の 機 能 と 利 用 第 4 表 鶏 冠 抽 出 法 鶏 冠 前 処 理 ( 加 熱 処 理, 脱 脂 処 理,ホモジナイズなど) 夾 雑 物 分 解 ( 酵 素 処 理,アルカリ 処 理, 酸 処 理 など) 夾 雑 物 除 去 ( 活 性 炭 処 理, 樹 脂 処 理, 有 機 溶 媒 による 沈 殿 形 成 など) 精 製 ( 有 機 溶 媒 による 沈 殿 形 成, 限 外 ろ 過 など) 乾 燥 Streptococcus epui である これらの 菌 株 から 得 られたヒアルロン 酸 は 生 体 組 織 のヒアルロン 酸 と 構 造 や 基 本 的 性 質 がほぼ 同 じである 微 生 物 発 酵 法 で はヒアルロン 酸 の 大 量 生 産 が 可 能 であ り, 近 年 のヒアルロン 酸 の 需 要 が 拡 大 しており, 微 生 物 発 酵 由 来 のヒアルロ ン 酸 の 生 産 が 年 々 増 加 している 弊 社 では 鶏 冠 抽 出 法 ( 第 4 表 )と 微 生 物 発 酵 法 ( 第 5 表 )の2 種 類 の 製 品 を 取 り 扱 い,その 精 製 度 は95% 以 上 と 高 度 に 精 製 されている 第 5 表 微 生 物 発 酵 法 培 養 (Streptococcus 属 の 培 養 ) 菌 体, 培 養 成 分 除 去 ( 活 性 炭 処 理, 遠 心 分 離,ろ 過 など) 精 製 ( 有 機 溶 媒 による 沈 殿 形 成, 限 外 ろ 過 など) 乾 燥 る 抽 出, 精 製 工 程 において 徐 々に 低 分 子 化 する が, 最 大 で 平 均 分 子 量 約 500 万 程 度 の 精 製 ヒアル ロン 酸 を 得 ることができる 6 2 微 生 物 発 酵 法 微 生 物 発 酵 法 でよく 用 いられるヒアルロン 酸 産 生 菌 は Streptococcus zooepidemicus と 7.ヒアルロン 酸 の 今 後 の 展 開 先 に 述 べたように,ヒアルロン 酸 は 様 々な 機 能 性 があり, 医 薬, 化 粧, 食 品 の 分 野 で 幅 広 く 活 用 され, 使 用 量 も 伸 びている 素 材 である 近 年 ではこれまでのヒアルロン 酸 に さらに 機 能 を 付 加 した, 修 飾 ヒアルロ ン 酸, 低 分 子 ヒアルロン 酸 などの 高 機 能 ヒアルロ ン 酸 が 上 市 されており, 今 後 もヒアルロン 酸 の 市 場 は 成 長 していくことが 予 想 される 高 齢 化 が 進 む 日 本 において, 痛 みを 和 らげ, 美 容 に 貢 献 し, QL を 向 上 させるヒアルロン 酸 の 活 用 がさらに 求 められていくことを 期 待 する 参 考 文 献 1) K. Meyer, J. W. Palmer, J. Biol. Chem, 107, 629 634 (1943). 2) 阿 武 喜 美 子, 長 谷 川 栄 一 ムコ 多 糖 実 験 法 [1] 南 江 堂, p. 6 7. (1972) 3) T. C. Laurent, J. R. Fraser, FASEB J, 6, 2397 2402 (1992) 4) 内 海 耕 造 細 胞 表 面 の 糖 鎖 と 機 能 学 会 出 版 センター, p99 100 5) L. Sundblad, The Amino Suger A,Academic Press, New York, p. 229. 6) 宗 田 大 膝 痛 知 る 診 る 治 す 加 藤 文 社 明,p.132 135 (2007) 7) 厚 生 労 働 省 医 療 用 医 薬 品 の 有 効 成 分 のうち 一 般 用 医 薬 品 としての 利 用 も 可 能 と 考 えられる 候 補 成 分 検 討 調 査 報 告 書 4, p. 89 95 (2011) 8) 境 鶴 雄 和 地 陽 二 機 能 性 化 粧 品 株 式 会 社 シーエム シー, p. 226 229 (1990) 9) 林 裕 造, 平 成 8 年 度 厚 生 科 学 研 究 報 告 書,p. 82 83 (1996) 10) R. Stern, Eur. J. Cell Res., 83 (2004) 11) 梶 本 修 身 新 薬 と 臨 床 50, p. 109 201 (2001) 12) 佐 藤 稔 秀,Aesthetic Dermatology, 12, 109 120 (2001) 13) 佐 藤 稔 秀, メディカル コア,2, 323 328 (2005) 14) 坂 本 崇 応 用 薬 理 28, 421 431 (1984) 15) 水 野 祥 二 応 用 薬 理 33, 849 857 (1987) 食 品 と 容 器 142