第 4 部 施 策 の 展 開 1 妊 産 婦 乳 幼 児 への 保 健 対 策 の 充 実 < 現 状 と 課 題 > 地 域 で 母 子 が 安 心 して 生 活 するためには 妊 娠 出 産 産 後 における 地 域 での 切 れ 目 の ない 支 援 が 必 要 となります そのためには 医 療 機 関 行 政 NPO 関 係 団 体 等 が 密 接 に 関 わりながら 産 前 から の 相 談 体 制 を 充 実 させるとともに 経 済 的 な 支 援 を 行 うことなど 総 合 的 な 母 子 保 健 サー ビスを 提 供 することが 求 められています さらに 核 家 族 化 近 隣 における 人 間 関 係 の 希 薄 化 等 により 子 育 て 中 の 親 が 孤 立 し 不 安 を 抱 えていても 身 近 なところに 相 談 相 手 がいないといったこともあります 子 育 て 中 の 親 を 孤 立 させないための 仲 間 づくりや 身 近 な 相 談 場 所 の 確 保 も 必 要 です また 妊 産 婦 や 子 どもと 接 する 機 会 のないまま 妊 娠 出 産 を 経 験 し 親 になっていくこ とも 少 なくありません 親 となる 者 が 子 どもの 成 長 や 発 達 について 知 識 と 経 験 を 持 たな いまま 子 育 てに 直 面 してしまうことが 育 てにくさを 感 じる 原 因 となっている 場 合 もありま す 男 女 を 問 わず 親 になるための 準 備 段 階 を 含 めた 教 育 や 支 援 が 必 要 となります (1) 妊 産 婦 の 健 康 保 持 1 妊 娠 届 及 び 母 子 健 康 手 帳 の 交 付 妊 娠 した 方 は 母 子 保 健 法 第 15 条 により 妊 娠 の 届 出 を することになっており 届 出 をした 方 に 対 して 母 子 健 康 手 帳 が 交 付 されます( 同 法 第 16 条 ) この 届 出 は 妊 娠 を 行 政 的 に 把 握 し 妊 娠 から 乳 幼 児 まで 一 貫 した 母 子 保 健 サービスを 提 供 するための 出 発 点 として 重 要 なもので あることから 健 やかな 妊 娠 と 出 産 のためには 妊 娠 早 期 の 届 出 が 肝 要 です 母 子 健 康 手 帳 は 妊 産 婦 乳 幼 児 の 一 貫 した 健 康 記 録 であり 健 康 診 査 や 保 健 指 導 を 受 けた 際 の 状 況 や 予 防 接 種 の 接 種 状 況 などが 記 録 されます そのため 異 なる 地 域 時 期 機 関 などで 保 健 サービスを 行 っても 継 続 性 一 貫 性 のあるケア 提 供 が 可 能 となります さらに 母 子 健 康 手 帳 は 妊 娠 期 から 乳 幼 児 期 に 関 する 行 政 サービスの 情 報 保 健 育 児 情 報 を 提 供 するための 効 果 的 な 媒 体 となるものですので それぞれの 地 域 に 合 わせた 情 報 や 新 たな 科 学 医 学 的 見 地 や 行 政 施 策 の 動 向 を 踏 まえて 適 宜 見 直 しを 行 っていくことが 求 められ ます - 25 -
2 妊 婦 健 康 診 査 妊 婦 健 康 診 査 は 妊 婦 の 健 康 管 理 に 努 めることにより 妊 産 婦 及 び 乳 児 死 亡 の 低 下 や 流 早 産 の 防 止 心 身 障 害 児 の 発 生 を 予 防 するこ とを 目 的 に 実 施 されています 近 年 高 齢 やストレス 等 を 抱 えている 妊 婦 が 増 加 傾 向 にあるとと もに 就 業 等 の 理 由 により 適 切 な 時 期 に 適 切 な 回 数 の 健 康 診 査 を 受 診 しない 妊 婦 もみられます このため 平 成 19 年 度 に 妊 婦 健 康 診 査 も 含 めた 少 子 化 対 策 について 地 方 財 政 措 置 の 拡 充 がなされ 各 市 町 村 において 妊 婦 健 康 診 査 の 公 費 負 担 の 拡 充 が 図 られてきました さらに 平 成 20 年 度 からは 妊 婦 健 康 診 査 臨 時 特 例 交 付 金 が 創 設 され 必 要 な 回 数 (1 4 回 程 度 )の 妊 婦 健 康 診 査 が 公 費 負 担 されるようになりました 平 成 25 年 度 以 降 は 地 方 財 源 を 確 保 し 普 通 交 付 税 措 置 を 講 ずることにより 恒 常 的 な 仕 組 みへ 移 行 することとなりました また 子 ども 子 育 て 支 援 法 第 59 条 各 号 では 市 町 が 義 務 として 行 う 地 域 子 ども 子 育 て 支 援 事 業 について 定 めており 同 条 第 13 号 において 母 子 保 健 法 ( 昭 和 40 年 法 律 第 141 号 ) 第 13 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 妊 婦 に 対 して 健 康 診 査 を 実 施 する 事 業 が 定 め られました これに 伴 い 子 ども 子 育 て 支 援 法 及 び 就 学 前 の 子 どもに 関 する 教 育 保 育 等 の 総 合 的 な 提 供 の 推 進 に 関 する 法 律 の 一 部 を 改 正 する 法 律 の 施 行 に 伴 う 関 係 法 律 の 整 備 等 に 関 する 法 律 ( 平 成 24 年 法 律 第 67 号 )において 母 子 保 健 法 を 改 正 し 同 法 第 13 条 第 2 項 として 厚 生 労 働 大 臣 は 前 項 の 規 定 による 妊 婦 に 対 する 健 康 診 査 についての 望 ましい 基 準 を 定 めるものとする という 規 定 が 追 加 されたため 当 該 規 定 に 基 づき 妊 婦 健 康 診 査 についての 望 ましい 基 準 を 定 めました - 26 - ( 参 考 : 妊 婦 健 診 を 受 けましょう 厚 生 労 働 省 )
また 市 町 は 1 妊 婦 健 康 診 査 の 受 診 の 重 要 性 について 妊 婦 等 に 対 する 周 知 広 報 に 努 めること 2 里 帰 り 先 等 において 妊 婦 健 康 診 査 を 受 診 する 妊 婦 の 経 済 的 負 担 の 軽 減 を 図 るため 妊 婦 の 居 住 地 以 外 の 病 院 診 療 所 又 は 助 産 所 と 事 前 に 契 約 等 を 行 う 等 の 配 慮 をすること 3 妊 婦 健 康 診 査 を 実 施 する 医 療 機 関 等 との 連 携 体 制 を 構 築 し 養 育 支 援 を 必 要 とする 妊 婦 に 対 し 適 切 な 支 援 を 提 供 することとされています 医 療 機 関 からフ ォローが 必 要 であると 連 絡 のあった 妊 婦 に 対 しては 診 察 医 の 指 示 に 従 い 適 切 な 指 導 を 行 うことが 求 められます その 際 に 注 意 する 点 は 診 察 医 と 十 分 な 連 絡 をとること 地 域 で 指 導 した 結 果 を 報 告 することなどが 挙 げられます ( 参 考 : 妊 婦 健 診 を 受 けましょう 厚 生 労 働 省 ) 3 相 談 支 援 体 制 の 充 実 妊 娠 出 産 産 後 にかけては 短 期 間 で 母 体 の 心 身 の 状 態 が 大 きく 変 わる 時 期 であり この 時 期 の 母 体 の 健 康 状 態 が その 子 どもに 大 きな 影 響 を 与 えます 妊 娠 出 産 に 関 す る 支 援 の 充 実 は 性 と 生 殖 に 関 する 健 康 権 利 や 安 全 で 安 心 して 出 産 できる 環 境 の 実 現 の 視 点 から 求 められています このため 妊 娠 出 産 期 においては 医 療 機 関 で 健 康 管 理 を 受 けるのはもちろんです が 妊 娠 初 期 から 保 健 相 談 を 受 けられる 体 制 や 夫 をはじめとする 家 族 及 び 職 場 の 理 解 が 必 要 です 市 町 は 妊 娠 の 届 出 をした 方 に 対 し 母 子 健 康 手 帳 を 交 付 するとともに 医 療 機 関 委 託 による 妊 婦 健 康 診 査 の 受 診 券 や 妊 産 婦 医 療 費 助 成 のための 受 給 者 証 を 発 行 します また 県 は 父 親 への 子 育 てに 関 する 情 報 提 供 を 目 的 に 市 町 窓 口 を 通 じて 父 子 手 帳 を 配 布 します その 他 にも 県 及 び 市 町 で 実 施 している 各 種 サービスの 説 明 や 妊 娠 出 産 に 関 する 相 談 や 情 報 提 供 を 行 います さらに 妊 娠 の 届 出 時 に 保 健 師 等 による 面 接 相 談 を 行 い 妊 娠 や 子 育 てに 不 安 をもつ 妊 婦 に 対 して 家 庭 訪 問 や 面 接 相 談 等 の 継 続 した 支 援 も 行 っています 妊 産 婦 との 最 初 の 関 わりである 妊 娠 の 届 出 時 は 妊 娠 出 産 に 関 する 情 報 提 供 と 妊 産 婦 の 相 談 を 受 ける 大 変 重 要 な 機 会 です 家 族 や 生 活 の 状 況 妊 娠 への 関 心 や 不 安 などの 問 題 の 早 期 発 見 や 虐 待 の 未 然 防 止 にもつながるため 妊 娠 の 届 出 時 の 相 談 体 制 のより 一 層 の 充 実 が 求 められます 妊 娠 中 は 妊 娠 出 産 の 問 題 をはじめ 様 々な 不 安 や 悩 みの 多 い 時 期 です 市 町 では 妊 娠 中 や 出 産 出 産 後 の 不 安 を 軽 減 するため 電 話 や 来 所 による 相 談 を 行 うほか 妊 産 婦 の 要 望 があれば 家 庭 訪 問 を 実 施 します さらに 妊 産 婦 や 家 族 を 対 象 として 妊 娠 中 の 栄 養 管 理 喫 煙 や 飲 酒 が 胎 児 に 及 ぼす 影 響 妊 娠 出 産 育 児 などに 関 する 情 報 の 提 供 や 体 験 学 習 等 の 機 会 を 設 け 妊 産 婦 や その 家 族 の 不 安 の 軽 減 に 努 めるほか 参 加 者 間 の 仲 間 づくりなども 行 うことで 出 産 後 の 母 子 の 孤 立 化 を 防 止 することが 必 要 です 妊 娠 中 の 栄 養 管 理 については 平 成 18 年 2 月 国 において 妊 産 婦 のための 食 生 活 指 針 が 示 されました これは 妊 娠 期 及 び 授 乳 期 における 望 ましい 食 生 活 の 実 現 のため 何 をどれだけ 食 べたらよいかをわかりやすく 伝 えるとともに 妊 産 婦 個 々の 体 格 に 応 じ た 適 切 な 体 重 増 加 量 の 目 安 を 示 したものです この 指 針 を 踏 まえて 個 別 の 相 談 や 各 種 教 室 等 において 保 健 栄 養 指 導 を 行 います - 27 -
なお 国 においては 平 成 27 年 度 から 市 町 において 妊 娠 期 から 子 育 て 期 にわたる 総 合 的 な 相 談 や 支 援 をワンストップで 行 うこと 全 ての 妊 産 婦 の 状 況 を 継 続 的 に 把 握 し 要 支 援 者 には 支 援 プランを 作 成 するなどとした 妊 娠 出 産 包 括 支 援 事 業 を 展 開 しています 妊 娠 出 産 包 括 支 援 事 業 の 展 開 現 状 様 々な 機 関 が 個 々に 行 っている 妊 娠 期 から 子 育 て 期 にわたるまでの 支 援 について ワンストップ 拠 点 ( 子 育 て 世 代 包 括 支 援 センター)を 立 ち 上 げ 切 れ 目 のない 支 援 を 実 施 ワンストップ 拠 点 には 保 健 師 ソーシャルワーカー 等 を 配 置 して 決 め 細 やかな 支 援 を 行 うことにより 地 域 における 子 育 て 世 帯 の 安 心 感 を 醸 成 する 地 域 ごとの 工 夫 をこらして 子 育 て 世 代 包 括 支 援 センターを 立 ち 上 げ コーディネーターが 各 機 関 との 連 携 情 報 の 共 有 を 図 り 妊 娠 期 から 子 育 て 期 にわたる 総 合 的 相 談 や 支 援 をワンストップで 行 うとともに 全 ての 妊 産 婦 の 状 況 を 継 続 的 に 把 握 し 要 支 援 者 には 支 援 プランを 作 成 地 域 の 実 情 に 応 じて 産 前 産 後 サポート 事 業 産 後 ケア 事 業 等 を 実 施 妊 産 婦 等 を 支 える 地 域 の 包 括 支 援 体 制 の 構 築 4 周 産 期 医 療 体 制 の 充 実 早 産 児 や 出 生 時 の 体 重 が 2,500 グラム 未 満 の 低 出 生 体 重 児 は 正 常 体 重 児 に 比 較 して 新 生 児 死 亡 などにつながりやすいことが 指 摘 されています そこで 周 産 期 死 亡 率 や 新 生 児 死 亡 率 の 改 善 を 目 的 として 平 成 8 年 度 に 自 治 医 科 大 学 附 属 病 院 と 獨 協 医 科 大 学 病 院 に 新 生 児 集 中 治 療 管 理 室 や 未 熟 児 ベッド 母 体 胎 児 集 中 治 療 管 理 室 など 高 度 で 専 門 的 な 設 備 を 備 えた 総 合 周 産 期 母 子 医 療 センターを 整 備 しました さらに 平 成 9 年 10 月 から 総 合 周 産 期 母 子 医 療 センターを 中 心 として 地 域 ごとに 二 次 医 療 を 担 う 地 域 周 産 期 医 療 機 関 や 地 域 に 密 着 して 初 期 医 療 を 担 う 一 般 周 産 期 医 療 機 関 を 含 めた 栃 木 県 周 産 期 医 療 システム の 運 用 を 開 始 し 患 者 の 状 態 に 応 じた 適 切 な 周 産 期 医 療 が 提 供 できるよう 機 能 分 化 を 図 るとともに 平 成 20 年 に 設 置 した 周 産 期 医 療 連 携 センターを 中 心 に 各 医 療 機 関 の 連 携 強 化 に 取 組 み 県 内 における 周 産 期 医 療 体 制 の 整 備 充 実 を 図 りました また 周 産 期 医 療 に 携 わる 医 師 看 護 師 等 関 係 者 に 対 する 研 修 も 行 い 資 質 向 上 を 図 っています - 28 -
しかし 近 年 産 科 医 師 不 足 等 を 背 景 に 分 娩 可 能 施 設 が 減 少 傾 向 にあることから 今 後 は 長 期 的 展 望 に 立 ち 関 係 機 関 と 密 接 に 協 議 しながら より 安 心 して 妊 娠 出 産 が できるよう 体 制 整 備 を 図 る 必 要 があります 5 妊 娠 中 の 医 療 費 に 対 する 支 援 本 県 では 妊 産 婦 の 疾 病 の 早 期 発 見 と 治 療 を 促 進 するため 市 町 との 共 同 事 業 として 昭 和 48 年 度 から 保 険 診 療 の 自 己 負 担 分 を 助 成 する 妊 産 婦 医 療 費 助 成 事 業 を 実 施 し ています 助 成 の 対 象 となる 期 間 は 妊 娠 の 届 出 をした 月 の 初 日 から 出 産 した 月 の 翌 月 末 日 までとなります こ の 期 間 であれば 妊 娠 に 起 因 する 疾 病 だけでなく 医 療 保 険 が 適 用 されるすべ ての 疾 病 が 対 象 となりま す この 妊 産 婦 医 療 費 助 成 事 業 は 全 国 でも4 県 し か 実 施 していない 事 業 で あり こども 医 療 費 助 成 112,000 助 成 110,000 件 108,000 数 件 106,000 104,000 ( ) 妊 産 婦 医 療 費 助 成 状 況 116,000 114,000 102,000 100,000 助 成 件 数 ( 件 ) 登 録 者 数 ( 人 ) H20 H21 H22 H23 H24 H25 資 料 :こども 政 策 課 調 べ 32,000 31,000 30,000 29,000 28,000 27,000 26,000 事 業 と 合 わせて 本 県 の 子 育 て 家 庭 に 対 する 経 済 的 支 援 として 実 施 しているものです 登 録 者 数 ( 人 ) - 29 -
6 不 妊 や 遺 伝 に 関 する 相 談 体 制 の 充 実 日 本 では カップルの6 組 に1 組 は 何 らかの 不 妊 治 療 をしたことがあり *1 体 外 受 精 な どの 高 度 な 生 殖 補 助 医 療 によって 生 まれる 子 どもは 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 の2010 年 統 計 によると28,945 人 と 全 出 生 の 約 37 人 に1 人 に 当 たります *1 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 第 14 回 出 生 動 向 基 本 調 査 結 婚 と 出 産 に 関 する 全 国 調 査 夫 婦 調 査 の 結 果 概 要 本 県 でも 不 妊 相 談 件 数 が 年 々 増 加 して おり 平 成 15 年 259 件 だったものが 平 成 25 年 では907 件 と3.5 倍 になっています 不 妊 の 原 因 として 晩 婚 化 に 伴 う 出 産 の 高 齢 化 が 考 えられます 女 性 の 妊 孕 性 ( 妊 娠 する 力 )は 卵 子 の 老 化 に 伴 い 低 下 して きます 卵 子 の 老 化 が 進 むと 不 妊 治 療 を しても 妊 娠 できる 確 率 は 高 くありません もともと 体 外 受 精 などの 高 度 な 生 殖 補 助 医 療 で 出 産 できる 可 能 性 は 若 い 人 でも 高 いわけではなく 1 回 につき2 割 ほどで それが32 歳 頃 から 微 妙 に 下 がり 始 め 40 歳 では1 割 を 45 歳 で1パーセントを 切 ると 言 われています ( 日 本 産 科 婦 人 科 学 会 2010 年 生 殖 補 助 医 療 データブック ) 不 妊 に 関 わる 問 題 は 身 体 的 苦 痛 や 経 済 的 負 担 精 神 的 ストレスのほか 不 妊 に 関 す る 情 報 不 足 など 多 種 多 様 なものがあります また 不 妊 の 問 題 は 治 療 を 受 けて 妊 娠 出 産 をすれば 解 決 するというものではなく 長 期 間 にわたる 精 神 的 サポートが 必 要 となります さらに 遺 伝 に 関 しても 遺 伝 性 疾 患 の 研 究 は 大 きく 前 進 し 様 々な 情 報 が 明 らかにさ れており 遺 伝 に 関 する 相 談 を 受 けたい 方 や 遺 伝 性 疾 患 等 に 関 する 情 報 を 必 要 とする 方 への 対 応 が 求 められていました そこで 県 では 栃 木 県 母 子 保 健 運 営 協 議 会 のもとに 医 療 保 健 などの 関 係 者 を 構 成 員 とする 不 妊 対 策 専 門 部 会 を 設 置 し 不 妊 対 策 のあり 方 について 検 討 を 行 いま した その 結 果 を 踏 まえ 不 妊 に 関 する 適 切 な 情 報 提 供 や 悩 み 相 談 への 対 応 また 不 妊 治 療 の 断 念 や 治 療 効 果 が 上 がらないことなどの 精 神 的 ケアを 行 うことを 目 的 として 平 成 15 年 10 月 に 不 妊 専 門 相 談 センター を 開 設 し 専 門 的 な 相 談 体 制 の 充 実 を 図 り ました 今 後 は 不 妊 相 談 体 制 の 強 化 とともに 結 婚 妊 娠 前 の 若 者 に 対 し 妊 娠 出 産 や 不 妊 に 関 する 情 報 の 提 供 を 行 うなど 各 人 のライフプランが 実 現 できるよう 教 育 機 関 や 助 産 師 会 等 の 関 係 団 体 等 と 協 力 した 取 組 を 行 っていく 必 要 があります 不 妊 治 療 に 対 する 経 済 的 支 援 としては 平 成 16 年 度 から 不 妊 治 療 にかかる 費 用 の 一 部 を 助 成 する 特 定 不 妊 治 療 費 助 成 事 業 を 開 始 しました これは 体 外 受 精 や 顕 微 授 精 については 1 回 の 治 療 費 が 30~40 万 円 程 度 と 高 額 であり また 医 療 保 険 の 適 用 と ならないため 利 用 者 にとって 経 済 的 な 負 担 が 大 きいことから 導 入 されたものです 事 業 開 始 から 10 年 が 経 過 した 平 成 25 年 度 には 不 妊 治 療 をより 安 心 安 全 に 行 う ため 不 妊 に 悩 む 方 への 特 定 治 療 支 援 事 業 等 のあり 方 に 関 する 検 討 会 が 開 かれました 1200 1000 800 件 600 400 200 0 栃 木 県 における 不 妊 相 談 件 数 972 841 887 907 756 747 727 634 649 493 259 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 年 度 - 30 -
ここでは 厚 生 労 働 科 学 研 究 事 業 において 治 療 成 績 の 検 証 を 行 い 40 歳 以 上 では 不 妊 治 療 による 治 療 や 分 娩 に 至 る 割 合 が 低 く 一 方 で 流 産 や 妊 娠 に 伴 う 合 併 症 の 頻 度 も 高 くな ることなどが 報 告 されました この 報 告 を 受 け 年 齢 制 限 や 通 算 助 成 期 間 の 見 直 し 等 が 行 われました なお 市 町 においては 独 自 で 助 成 制 度 を 開 始 するところもあるため 相 談 者 に 対 して は 適 宜 情 報 提 供 していくことも 必 要 です 今 後 は 家 庭 における 経 済 的 負 担 の 軽 減 と 併 せて 不 妊 治 療 に 関 する 医 学 的 な 情 報 提 供 や 精 神 的 ケアを 図 るなどの 総 合 的 な 支 援 を 実 施 していきます 特 定 不 妊 治 療 費 助 成 状 況 年 度 H21 H22 H23 H24 H25 栃 木 県 助 成 分 700 776 954 1,276 1,163 宇 都 宮 市 助 成 分 435 471 529 608 803 合 計 1,135 1,247 1,483 1,884 1,966 7 マタニティマークの 普 及 妊 娠 初 期 は 赤 ちゃんの 成 長 はもちろん お 母 さん の 健 康 を 維 持 するためにもとても 大 切 な 時 期 です し かし 外 見 からは 見 分 けがつかないため 電 車 で 席 に 座 れない たばこの 煙 が 気 になる など 妊 婦 さ んにはさまざまな 苦 労 があります 健 やか 親 子 21 の 取 組 の 一 環 として 妊 娠 出 産 に 関 する 安 全 性 と 快 適 さの 確 保 を 目 指 し マタニ ティマーク を 発 表 しました このマークは 妊 婦 さ んが 交 通 機 関 等 を 利 用 する 際 に 身 につけ 周 囲 に 妊 婦 であることを 示 しやすくするものです 母 子 健 康 手 帳 の 交 付 と 合 わせてマタニティマークの 配 布 をしたり ポスターの 掲 示 を するなど 交 通 機 関 職 場 飲 食 店 等 の 協 力 のもと 妊 産 婦 にやさしい 環 境 づくりを 推 進 していきます 平 成 25 年 度 栃 木 県 におけるマタニティマーク 啓 発 状 況 マタニティマー ク 啓 発 のため の 取 組 を 実 施 している 市 町 数 啓 発 用 ポス ターの 掲 示 啓 発 用 リーフ レット 配 布 実 施 内 容 内 訳 ( 重 複 あり) 啓 発 用 シー ル ステッ カー マグネッ ト 配 布 ホームページ への 掲 載 その 他 の 取 り 組 み 25 21 8 22 3 5-31 -
8 妊 婦 の 就 労 環 境 に 関 する 啓 発 近 年 女 性 の 目 覚 ましい 社 会 進 出 が 進 み 妊 娠 中 又 は 出 産 後 も 働 き 続 ける 女 性 が 増 加 しています 妊 娠 出 産 は 病 気 ではなく 生 理 的 な 現 象 と 捉 えることができますが 女 性 にとって 極 めて 重 大 なイベントであり 母 体 にとって 大 きな 負 担 であることは 明 らかで す また 妊 娠 出 産 を 機 会 に 仕 事 を 辞 める 女 性 がまだまだ 多 いのが 現 状 です このような 中 以 前 にも 増 して 労 働 者 が 性 別 により 差 別 されることなく かつ 母 性 を 尊 重 されつつ その 能 力 を 十 分 発 揮 できる 職 場 環 境 の 整 備 を 図 ることを 目 的 として 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 が 平 成 19 年 4 月 に 改 正 されました 改 正 法 では 従 来 の 妊 娠 出 産 等 を 理 由 とする 解 雇 の 禁 止 に 加 え 退 職 や 不 利 な 身 分 変 更 の 強 要 など 不 利 益 取 扱 いも 禁 止 されています また 事 業 主 は 妊 産 婦 が 保 健 指 導 又 は 健 康 診 査 を 受 けるために 必 要 な 時 間 を 確 保 す るとともに 妊 娠 中 及 び 出 産 後 の 健 康 管 理 に 関 する 措 置 ( 時 差 出 勤 勤 務 時 間 の 短 縮 等 ) を 講 ずることとされています しかしながら 企 業 における 妊 娠 出 産 に 関 する 社 内 制 度 の 規 定 状 況 をみると 母 性 健 康 管 理 の 措 置 について 通 院 休 暇 等 を 規 定 している 割 合 は 半 数 にも 満 たず 制 度 が 充 分 整 っていないといえます 母 性 健 康 管 理 の 取 り 組 み は 女 性 労 働 者 が 妊 娠 中 又 は 出 産 後 も 安 心 して 働 き 続 け るために 事 業 主 総 務 人 事 担 当 者 および 産 業 保 健 スタッフ 等 が 協 働 し 事 業 所 内 で 妊 娠 中 及 び 出 産 後 の 女 性 労 働 者 の 状 態 に 応 じて 業 務 負 荷 を 調 整 したり 労 働 環 境 を 整 備 したりすることが 活 動 の 中 心 となります また 母 性 健 康 管 理 指 導 事 項 連 絡 カード ( 参 考 資 料 )を 企 業 が 費 用 負 担 するな どして 積 極 的 に 活 用 すれば 医 師 企 業 と 女 性 労 働 者 の 間 で 妊 娠 中 の 健 康 管 理 の 意 識 を 高 め 切 迫 流 早 産 や 妊 娠 高 血 圧 症 候 群 等 の 症 状 を 予 防 する 効 果 が 期 待 されます 県 は 事 業 主 に 対 して 各 関 係 機 関 と 連 携 を 図 りながら 本 制 度 の 周 知 に 努 めるととも に 市 町 と 連 携 し 両 親 学 級 や 各 種 行 政 サービスのなかで 健 康 管 理 指 導 事 項 連 絡 カード のより 一 層 の 普 及 啓 発 を 図 る 必 要 があります 母 性 健 康 管 理 措 置 の 規 定 状 況 措 置 内 容 規 定 している 規 定 していない 通 院 休 暇 44.2% 55.6% 通 勤 緩 和 36.7% 63.1% 休 憩 37.9% 61.9% 症 状 等 に 対 応 する 措 置 46.5% 53.4% 資 料 : 厚 生 労 働 省 女 性 雇 用 管 理 基 本 調 査 ( 平 成 25 年 度 ) - 32 -