2008 年 9 月 9 日 発 行 定 額 減 税 : 想 定 されるスケジュールと 効 果
[ 本 誌 に 関 するお 問 い 合 わせ 先 ] みずほ 総 合 研 究 所 株 式 会 社 調 査 本 部 経 済 調 査 部 市 川 雄 介 yusuke.ichikawa@mizuho-ri.co.jp TEL(03)3591-1416 当 レポートは 情 報 提 供 のみを 目 的 として 作 成 されたものであり 商 品 の 勧 誘 を 目 的 としたものではありません 本 資 料 は 当 社 が 信 頼 できると 判 断 した 各 種 データに 基 づき 作 成 されておりますが その 正 確 性 確 実 性 を 保 証 するものではありません また 本 資 料 に 記 載 された 内 容 は 予 告 なしに 変 更 されることもあります
はじめに 8 月 29 日 政 府 与 党 は 資 源 高 などに 対 応 した 総 合 経 済 対 策 ( 安 心 実 現 のための 緊 急 総 合 対 策 )を 決 定 した( 図 表 1) 省 エネ 新 エネの 促 進 策 や 中 小 企 業 の 資 金 繰 り 対 策 などが 中 心 となったが 定 額 減 税 も 年 度 内 実 施 の 方 針 が 盛 り 込 まれた 具 体 的 な 減 税 規 模 や 実 施 方 法 は 財 源 を 勘 案 しつつ 年 末 の 税 制 抜 本 改 革 の 議 論 に 併 せて 引 き 続 き 検 討 する とさ れている 福 田 首 相 の 突 然 の 辞 任 表 明 により 政 局 が 不 安 定 さを 増 しており 景 気 対 策 の 内 容 や 実 施 スケジュールについても 紆 余 曲 折 が 予 想 されるが 実 際 に 定 額 減 税 が 実 施 される となれば 経 済 や 財 政 に 影 響 を 与 えることになる 本 稿 では 過 去 の 定 額 減 税 の 例 を 参 考 にした 上 で 想 定 される 減 税 の 実 施 スケジュールとその 効 果 について 述 べる 図 表 1 今 回 の 経 済 対 策 の 概 要 対 策 規 模 ( 兆 円 ) 目 標 分 野 主 な 具 体 的 施 策 国 費 事 業 費 輸 入 麦 の 政 府 売 渡 価 格 の 引 き 上 げ 幅 圧 縮 高 速 道 路 料 金 の 引 き 下 げ 生 活 雇 用 支 援 対 策 最 低 賃 金 引 き 上 げ 生 活 者 の 特 別 減 税 の 実 施 不 安 の 解 0.4 0.4 非 正 規 労 働 者 の 雇 用 安 定 消 医 療 体 制 の 確 保 医 療 年 金 介 護 強 化 対 策 年 金 記 録 問 題 への 取 り 組 み 定 額 減 税 規 模 は 未 定 子 育 て 教 育 支 援 策 待 機 児 童 ゼロ 作 戦 低 炭 素 社 会 実 現 対 策 省 エネ 新 エネの 開 発 導 入 促 進 持 続 可 能 住 まい 防 災 刷 新 対 策 住 宅 ローン 減 税 の 延 長 拡 充 社 会 への 農 地 の 確 保 有 効 利 用 変 革 加 速 強 い 農 林 水 産 業 創 出 対 策 地 産 地 消 の 推 進 新 たな 保 証 制 度 の 導 入 新 価 格 体 下 請 事 業 者 保 護 の 強 化 系 への 移 中 小 企 業 等 活 力 向 上 対 策 燃 料 サーチャージ 制 の 導 入 促 進 行 と 成 長 力 強 化 地 域 活 性 化 貯 蓄 から 投 資 へ の 流 れの 促 進 0.9 0.4 1.9 9.1 地 方 公 共 団 体 に 対 する 配 慮 地 方 財 政 の 運 営 に 支 障 が 生 じないよう 配 慮 総 計 ( 地 方 財 政 投 融 資 を 含 む) 2.0 11.7 ( 資 料 ) 政 府 与 党 安 心 実 現 のための 緊 急 総 合 対 策 よりみずほ 総 合 研 究 所 作 成 1.1998 年 の 特 別 減 税 のケース まず 今 回 の 減 税 を 考 える 上 で 参 考 になると 思 われる 過 去 の 定 額 減 税 の 事 例 を 振 り 返 っ てみよう 定 額 減 税 は 直 近 では 景 気 後 退 が 深 刻 化 していた 98 年 に 実 施 された 例 がある このとき の 減 税 規 模 は 一 年 間 で 合 計 4 兆 円 に 達 したが 2 回 に 分 けて 行 われている 一 回 目 は 97 年 末 に 策 定 され 2 兆 円 規 模 ( 所 得 税 1 兆 4000 億 個 人 住 民 税 6000 億 ) 二 回 目 は 98 年 度 入 りした 直 後 の 総 合 経 済 対 策 の 一 環 としてやはり 2 兆 円 規 模 ( 内 訳 同 じ)であった 1 以 下 当 時 の 実 施 方 法 を 詳 述 する 1 1 回 目 の 減 税 は 97 年 12 月 17 日 政 府 決 定 後 98 年 1 月 30 日 法 案 成 立 2 回 目 の 減 税 は 98 年 4 月 24 日 政 府 決 定 後 5 月 29 日 法 案 成 立 1
(1)98 年 1 回 目 の 減 税 減 税 は 直 接 還 付 するのではなく 源 泉 徴 収 される( 自 営 業 者 の 場 合 は 納 付 する) 税 額 を 減 らす 方 式 で 行 われた 対 象 となったのは 今 回 同 様 所 得 税 と 個 人 住 民 税 である 1 回 目 では 勤 労 者 ( 以 下 本 人 )に 対 して 2 万 6000 円 控 除 対 象 配 偶 者 や 扶 養 家 族 に 対 し てそれぞれ 1 万 3000 円 の 減 税 が 行 われた 夫 婦 ( 夫 のみ 勤 労 者 )と 子 供 二 人 の 4 人 家 族 ( 以 下 標 準 世 帯 )では 計 6 万 5000 円 の 減 税 となる 実 施 時 期 については 一 般 的 なサラ リーマンを 例 にとると 所 得 税 については 98 年 2 月 の 源 泉 徴 収 額 から 減 税 ( 減 税 幅 が 2 月 の 源 泉 徴 収 額 を 上 回 っている 場 合 は 3 月 以 降 に 繰 越 し) 住 民 税 は 6 月 分 をゼロとすること となった 住 民 税 減 税 の 実 施 時 期 が 6 月 に 後 ずれしたのは 住 民 税 は 前 年 の 所 得 を 基 準 に 毎 年 6 月 から 翌 5 月 分 までの 税 額 が 決 まっており 年 度 途 中 の 見 直 しは 混 乱 をきたす 恐 れ があるためだ なお 自 営 業 者 に 対 しては 予 定 申 告 や 確 定 申 告 時 に 調 整 がなされた (2)2 回 目 の 減 税 2 回 目 の 定 額 減 税 も 同 様 の 要 領 で 実 施 された 総 額 規 模 は 2 兆 円 と 同 額 であったが 初 回 の 減 税 により 課 税 最 低 限 が 実 質 的 に 上 昇 し 課 税 対 象 者 が 400-500 万 人 減 少 したため 個 人 世 帯 あたりの 減 税 額 は 初 回 よりも 大 きくなった 家 族 4 人 の 標 準 世 帯 では 7 万 2500 円 の 減 税 となり 2 回 分 を 合 計 すれば 13 万 7500 円 となる 以 上 をまとめたのが 図 表 2 及 び 図 表 3 である 年 収 400 万 円 以 下 の 世 帯 の 納 税 額 がゼロになっていることがわかる 国 税 分 ( 所 得 税 ) 図 表 2 98 年 減 税 の 実 施 要 領 サラリーマン 1 回 目 98 年 2 月 の 源 泉 徴 収 額 から 減 税 減 税 額 が2 月 の 源 泉 徴 収 額 を 上 回 っている 場 合 は3 月 以 降 に 繰 越 し 納 税 者 本 人 1.8 万 円 配 偶 者 扶 養 家 族 0.9 万 円 2 回 目 98 年 8 月 の 源 泉 徴 収 額 から 減 税 減 税 額 が8 月 の 源 泉 徴 収 額 を 上 回 っている 場 合 は9 月 以 降 に 繰 越 し 納 税 者 本 人 2.0 万 円 配 偶 者 扶 養 家 族 1.0 万 円 6 月 の 住 民 税 をゼロに 1 回 目 と2 回 目 の 減 税 分 を 差 し 引 いた 残 りの 減 税 額 を7 月 から 翌 5 月 までで 均 等 に 割 り 振 り 自 営 業 者 98 年 度 第 1 期 の 納 付 を8 月 に 延 期 し 減 税 額 を 控 除 控 除 しきれない 分 は 第 2 期 以 降 に 繰 越 し 予 定 申 告 がない 場 合 は99 年 3 月 の 確 定 申 告 時 納 税 者 本 人 3.8 万 円 配 偶 者 扶 養 家 族 1.9 万 円 98 年 度 の 第 一 期 納 入 分 から 差 し 引 く 控 除 しきれない 分 は 第 二 期 以 降 に 繰 越 し 地 方 税 分 ( 個 人 住 民 税 ) 納 税 者 本 人 1.7 万 円 (1 回 目 :0.8 万 円 +2 回 目 :0.9 万 円 ) 配 偶 者 扶 養 家 族 0.85 万 円 (0.4 万 円 +0.45 万 円 ) ( 資 料 ) 大 蔵 省 主 税 局 税 法 便 覧 よりみずほ 総 合 研 究 所 作 成 2
図 表 3 98 年 の 税 額 軽 減 率 (2 回 計 :サラリーマン) 年 収 減 税 前 減 税 後 ( 注 ) 軽 減 率 納 税 額 納 税 額 夫 婦 子 供 二 人 ( 夫 のみ 勤 労 者 )のケース ( 万 円 ) ( 万 円 ) ( 万 円 ) (%) 300 0.35 0.00 100.0 ( 前 提 ) 400 6.40 0.00 100.0 1. 子 のうちの 一 人 は 特 定 扶 養 親 族 に 該 当 500 17.35 3.60 79.3 2. 所 得 控 除 は 給 与 所 得 控 除 配 偶 者 控 除 配 偶 者 特 別 600 29.85 16.10 46.1 控 除 扶 養 控 除 特 定 扶 養 控 除 基 礎 控 除 社 会 保 険 700 46.25 32.50 29.7 料 控 除 のみ 考 慮 800 65.75 52.00 20.9 また 配 当 控 除 等 の 税 額 控 除 は 考 慮 せず 900 92.15 78.40 14.9 1000 118.55 104.80 11.6 1200 178.15 164.40 7.7 1500 304.25 290.50 4.5 2000 518.00 504.25 2.7 ( 資 料 ) 当 時 の 税 率 等 をもとに みずほ 総 合 研 究 所 試 算 2. 今 回 予 想 される 減 税 既 述 のとおり 今 回 の 減 税 の 実 施 方 法 や 時 期 対 象 者 規 模 などは 未 定 である しかし 上 記 の 98 年 の 事 例 を 参 考 にすれば ある 程 度 の 予 想 は 可 能 だ (1) 実 施 方 法 まず 実 施 方 法 については 減 税 分 を 直 接 還 付 する 方 法 と 徴 収 額 を 減 らす 方 法 がある いずれの 方 法 が 優 れているかは 一 概 には 言 えないが 事 務 手 続 きの 簡 素 さや 過 去 2 回 の 実 施 例 を 踏 まえることが 出 来 るという 点 で おそらく 徴 収 額 を 減 税 する 方 式 になると 考 え られる (2) 実 施 時 期 次 に 実 施 時 期 である 当 時 (1 回 目 )は 減 税 実 施 の 要 領 が 97 年 末 に 決 まり 年 明 けの 通 常 国 会 において 成 立 させたのち 2 月 から(サラリーマンの 所 得 税 の) 減 税 が 開 始 された 今 回 の 減 税 は 本 年 の 税 制 全 般 にわたる 抜 本 的 改 革 の 検 討 と 併 せて 結 論 を 得 るものとする とされている これを 踏 まえると 98 年 当 時 と 同 様 の 段 取 りとなることが 想 定 される そ の 場 合 所 得 税 は 2009 年 2 月 住 民 税 は 09 年 6 月 に 減 税 が 実 施 される 可 能 性 が 高 い た だし 08 年 末 ~09 年 初 頭 の 政 治 情 勢 は 不 安 定 であることが 予 想 される インド 洋 給 油 特 別 措 置 法 などの 法 案 をめぐり 衆 参 ねじれ 国 会 のもとで 審 議 が 停 滞 する 懸 念 があるほか 衆 議 院 の 解 散 総 選 挙 が 行 われる 可 能 性 もある 国 会 運 営 次 第 では 減 税 の 実 施 時 期 が 遅 れる 可 能 性 もあり 現 時 点 では 流 動 的 な 面 が 強 い 3
3. 減 税 規 模 と 想 定 される 効 果 2 減 税 規 模 については 現 時 点 では 最 大 でも 2 兆 円 程 度 と 言 われているが 財 政 を 大 幅 に 悪 化 させることなく 家 計 にある 程 度 の 恩 恵 が 行 き 渡 るようにするとなれば 選 択 肢 はあ まりない ここでは 減 税 の 規 模 について1 兆 円 と2 兆 円 の 二 つのケースを 想 定 し その 効 果 の 試 算 を 行 う (1) 世 帯 当 たりの 減 税 額 の 試 算 11 兆 円 規 模 のケース まず 減 税 規 模 が 1 兆 円 の 場 合 家 計 当 たりの 減 税 額 はどの 程 度 になるだろうか 98 年 の 減 税 に 倣 い 本 人 と 扶 養 家 族 の 減 税 比 率 を2:1として 試 算 した 結 果 本 人 は 10000 円 扶 養 家 族 は 各 5000 円 の 減 税 となった 一 般 的 な 世 帯 として 夫 婦 と 子 供 二 人 の 4 人 家 族 ( 夫 のみ 勤 労 者 )を 想 定 すると 世 帯 合 計 では 25000 円 の 減 税 となる サラ リーマン 世 帯 を 例 にとると 減 税 後 の 税 負 担 は 年 収 300 万 円 の 世 帯 ではゼロとなる 税 負 担 の 軽 減 率 は 500 万 円 世 帯 では 12.6% 700 万 円 世 帯 では 5.4% 1000 万 円 世 帯 では 2.2%と 試 算 される( 図 表 4) 22 兆 円 規 模 のケース 次 に 減 税 規 模 が 2 兆 円 となった 場 合 に1と 同 様 の 試 算 をすると 標 準 世 帯 で 合 計 5 万 円 の 減 税 となる 税 額 の 軽 減 率 は 年 収 300 万 円 世 帯 では1と 同 じく 100% 500 万 円 世 帯 で 25.1% 700 万 円 世 帯 で 10.8% 1000 万 円 世 帯 で 4.4%と 計 算 される( 図 表 5) 図 表 4:サラリーマン 世 帯 の 税 額 軽 減 率 試 算 (1 兆 円 の 場 合 ) 年 収 減 税 前 減 税 後 ( 注 ) 夫 婦 子 供 二 人 ( 夫 のみ 勤 労 者 )のケース 軽 減 率 納 税 額 納 税 額 夫 1 万 円 扶 養 家 族 各 5 千 円 世 帯 計 で2 万 5 千 円 の 減 額 ( 万 円 ) ( 万 円 ) ( 万 円 ) (%) ( 前 提 ) 300 1.30 0.00 100.0 1. 本 人 と 扶 養 家 族 の 減 額 比 率 は98 年 の 例 に 400 9.40 6.90 26.6 倣 い2:1 500 19.90 17.40 12.6 2. 本 人 は 労 働 力 調 査 (2008 年 7 月 )の 就 業 者 数 600 31.50 29.00 7.9 3. 扶 養 家 族 は 全 人 口 から 就 業 者 と 完 全 失 業 者 数 700 46.30 43.80 5.4 を 除 いたもの( 年 金 生 活 者 等 も 含 まれる) 800 63.60 61.10 3.9 4. 子 のうちの 一 人 は 特 定 扶 養 親 族 に 該 当 900 87.60 85.10 2.9 5. 所 得 控 除 は 給 与 所 得 控 除 配 偶 者 控 除 扶 養 控 除 1000 113.40 110.90 2.2 特 定 扶 養 控 除 基 礎 控 除 社 会 保 険 料 控 除 のみ 考 慮 1200 167.88 165.38 1.5 また 配 当 控 除 等 の 税 額 控 除 は 考 慮 せず 1500 264.37 261.87 0.9 2000 468.62 466.12 0.5 ( 資 料 ) 総 務 省 労 働 力 調 査 等 よりみずほ 総 合 研 究 所 試 算 2 現 段 階 では 減 税 の 対 象 者 が 未 定 のため 所 得 に 関 わりなく 一 律 に 減 税 が 行 われるとの 前 提 で 行 った 4
図 表 5:サラリーマン 世 帯 の 税 額 軽 減 率 試 算 (2 兆 円 の 場 合 ) 年 収 減 税 前 減 税 後 納 税 額 納 税 額 軽 減 率 ( 万 円 ) ( 万 円 ) ( 万 円 ) (%) 300 1.30 0.00 100.0 400 9.40 4.40 53.2 500 19.90 14.90 25.1 600 31.50 26.50 15.9 700 46.30 41.30 10.8 800 63.60 58.60 7.9 900 87.60 82.60 5.7 1000 113.40 108.40 4.4 1200 167.88 162.88 3.0 1500 264.37 259.37 1.9 2000 468.62 463.62 1.1 ( 注 ) 夫 婦 子 供 二 人 ( 夫 のみ 勤 労 者 )のケース 夫 2 万 円 扶 養 家 族 各 1 万 円 世 帯 計 で5 万 円 の 減 額 試 算 の 前 提 は 図 表 4と 同 じ ( 資 料 ) みずほ 総 合 研 究 所 試 算 (2) 個 人 消 費 への 影 響 以 上 が 世 帯 当 たりの 減 税 額 の 試 算 であるが 最 後 に 定 額 減 税 が 経 済 全 体 に 与 える 影 響 を 見 てみたい 減 税 によって 家 計 の 可 処 分 所 得 が 1 兆 円 あるいは 2 兆 円 分 増 加 しても その 全 額 が 消 費 に 回 るわけではない 1980 年 以 降 のデータをもとに 試 算 したところ 限 界 消 費 性 向 ( 可 処 分 所 得 が 1 単 位 増 加 した 時 に 消 費 が 増 加 する 割 合 )は 0.64 となった 3 これをも とにすると 個 人 消 費 は 減 税 が 1 兆 円 規 模 の 場 合 は 6500 億 円 2 兆 円 規 模 の 場 合 は 1 兆 3000 億 円 増 加 する 計 算 になる 所 得 税 と 住 民 税 の 比 率 は 現 時 点 では 不 明 だが 98 年 の 減 税 時 には 所 得 税 1 兆 4000 億 円 住 民 税 6000 億 円 であった 今 回 もこの 比 率 が 同 じであると 仮 定 した 場 合 減 税 規 模 1 兆 円 のケースでは 所 得 税 7000 億 円 住 民 税 3000 億 円 となる 2 兆 円 のケースでは 所 得 税 1 兆 4000 億 円 住 民 税 6000 億 円 で 98 年 と 同 額 である 減 税 が 行 われる 時 期 の 関 係 で 所 得 税 分 は 2008 年 度 住 民 税 は 2009 年 度 の 可 処 分 所 得 の 増 加 要 因 となる 4 これによる 個 人 消 費 押 し 上 げ 効 果 は 減 税 規 模 1 兆 円 のケースでは 08 年 度 +0.15% 09 年 度 +0.06% GDP 押 し 上 げ 効 果 は 08 年 度 +0.07 % 09 年 度 +0.03%と 計 算 される 2 兆 円 の 場 合 は 個 人 消 費 押 上 3 家 計 最 終 消 費 支 出 ( 前 年 差 )=2519.51+0.64 家 計 可 処 分 所 得 ( 前 年 差 ) (4.93) (11.11) 推 計 期 間 :1980~2006 adj.r 2 =0.83 D.W.=2.12 ( ) 内 は t 値 上 記 推 計 により 得 られた 限 界 消 費 性 向 については 幅 を 持 ってみる 必 要 がある しかし 例 えば 内 閣 府 経 済 社 会 総 合 研 究 所 90 年 代 の 経 済 政 策 と 消 費 行 動 の 研 究 (2002 年 9 月 )では 98 年 減 税 時 の 限 界 消 費 性 向 は 0.6 程 度 とされている こうした 先 行 研 究 結 果 を 踏 まえると 上 記 推 計 式 で 得 られた 0.64 という 値 は 概 ね 妥 当 なものと 考 えられる 4 より 厳 密 には 98 年 時 と 同 様 に 実 施 された 場 合 自 営 業 者 は 09 年 度 入 りしてから 減 税 の 恩 恵 を 受 ける ことになる しかし 就 業 者 に 占 める 自 営 業 者 の 割 合 は 小 さいため ここでは 減 税 対 象 者 を 全 てサラリー マンと 仮 定 した 5
効 果 が 08 年 度 +0.30% 09 年 度 +0.13% GDP 押 し 上 げ 効 果 は 08 年 度 +0.15% 09 年 度 +0.06%という 計 算 になる( 図 表 6) 図 表 6: 定 額 減 税 の 想 定 される 押 し 上 げ 効 果 GDP 個 人 消 費 2008 年 度 0.07% 0.15% 1 兆 円 2009 年 度 0.03% 0.06% 2008 年 度 0.15% 0.30% 2 兆 円 2009 年 度 0.06% 0.13% ( 注 )1. 98 年 時 に 倣 い 減 税 総 額 を7:3の 割 合 で 所 得 税 と 住 民 税 に 按 分 2. 限 界 消 費 性 向 は0.64とした 3. 減 税 対 象 者 を 全 てサラリーマンと 仮 定 4. GDPの 値 は 当 社 予 測 値 を 使 用 ( 資 料 ) みずほ 総 合 研 究 所 試 算 おわりに 以 上 98 年 の 事 例 を 参 考 に 今 回 想 定 される 減 税 策 の 大 まかな 姿 を 探 った 経 済 効 果 の 試 算 については 幅 をもって 見 る 必 要 があるが 定 額 減 税 策 が 景 気 後 退 を 脱 出 する 決 め 手 に まではなるまい 定 額 減 税 は 低 所 得 者 の 負 担 軽 減 率 が 高 くなることから 景 気 刺 激 策 とし てよりも むしろ 景 気 後 退 の 痛 みを 和 らげる 趣 旨 の 施 策 として 位 置 づけられよう 政 局 が 流 動 化 する 中 で 減 税 規 模 などについての 議 論 も 今 後 紆 余 曲 折 が 予 想 される 減 税 規 模 を 圧 縮 するのであれば 対 象 者 を 低 所 得 層 に 限 定 することなどが 検 討 される 可 能 性 もあ ろう 6