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を 行 うこと 又 は 必 要 な 機 能 を 追 加 することをいう ( 補 助 対 象 事 業 ) 第 3 条 補 助 金 の 交 付 対 象 となる 事 業 ( 以 下 補 助 対 象 事 業 という )は, 次 条 に 規 定 するこの 補 助 金 の 交 付 の 対 象 となる 者 ( 以

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< 事 実 の 概 要 > 倉 庫 業 等 を 営 む 法 人 Xは 昭 和 54 年 に 建 築 されたY 市 内 の 建 物 ( 以 下 本 件 倉 庫 とい う )を 現 在 まで 所 有 しており Y 市 A 区 長 の 賦 課 決 定 に 従 い 昭 和 55 年 度 以 降 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 ( 以 下 固 定 資 産 税 等 という )を 納 付 してきた 平 成 18 年 度 の 地 方 税 法 416 条 1 項 に 基 づく 家 屋 価 格 等 縦 覧 帳 簿 等 の 縦 覧 期 間 中 である 同 年 4 月 中 旪 頃 Xとは 別 の 納 税 義 務 者 が 法 人 税 における 企 業 会 計 基 準 に 基 づく 固 定 資 産 評 価 額 と 固 定 資 産 課 税 明 細 書 ( 同 法 364 条 3 項 )における 評 価 額 との 違 いについて 疑 義 が 提 起 された A 区 役 所 職 員 が 市 内 一 斉 調 査 の 一 環 として 本 件 倉 庫 に 赴 き 確 認 作 業 を 行 ったところ 冷 凍 倉 庫 であるにもかかわらず 一 般 倉 庫 としての 経 年 減 点 補 正 率 を 適 用 していたことが 判 明 し 同 法 417 条 1 項 に 基 づき 平 成 14 年 度 から 平 成 18 年 度 までの 価 格 を 修 正 し 固 定 資 産 課 税 台 帳 に 登 録 のうえXに 通 知 し 同 法 420 条 に 基 づき 本 件 倉 庫 の 固 定 資 産 税 等 の 減 額 更 正 をした Xは 未 還 付 となっていた 昭 和 62 年 度 分 から 平 成 13 年 度 分 までの 各 賦 課 決 定 の 前 提 となる 価 格 の 決 定 には 本 件 倉 庫 の 評 価 を 誤 った 違 法 があり 上 記 のような 評 価 誤 りについ て 過 失 が 認 められると 主 張 して 所 定 の 不 服 申 立 手 続 を 経 ることなく Y 市 を 相 手 に 国 家 賠 償 法 1 条 1 項 に 基 づき 上 記 各 年 度 に 係 る 固 定 資 産 税 等 の 過 納 金 弁 護 士 費 用 及 び 遅 延 損 害 金 相 当 額 の 損 害 賠 償 等 を 求 めて 訴 訟 を 提 起 した 一 審 原 審 は 固 定 資 産 税 等 の 過 納 金 相 当 額 を 損 害 とする 国 家 賠 償 法 に 基 づく 損 害 賠 償 請 求 を 許 容 することは 実 質 的 に 課 税 処 分 を 取 り 消 すことなく 過 納 金 の 還 付 を 請 求 する ことを 認 めることとなって 課 税 処 分 等 の 不 服 申 立 期 間 を 制 限 した 法 の 趣 旨 を 潜 脱 するこ とになるばかりか 課 税 処 分 の 公 定 力 をも 実 質 的 に 否 定 することになり 妥 当 ではないとし た さらに 行 政 処 分 の 無 効 確 認 の 訴 えは 出 訴 期 間 の 制 限 がなく 許 容 されていることから ( 行 政 事 件 訴 訟 法 36 条 ) 固 定 資 産 の 価 格 決 定 又 はこれを 前 提 とする 固 定 資 産 税 等 の 課 税 処 分 の 違 法 が これらの 処 分 を 当 然 無 効 ならしめるものではない 場 合 には 当 該 処 分 が 適 法 に 取 り 消 されない 限 り 同 処 分 の 違 法 を 理 由 とし 過 納 金 相 当 額 を 損 害 とする 国 家 賠 償 法 に 基 づく 損 害 賠 償 請 求 は 許 されず 本 件 課 税 処 分 等 に 無 効 原 因 があるとは 認 められない 旨 判 示 し 請 求 を 棄 却 した なお 同 様 の 事 件 が 多 数 の 市 町 村 で 判 明 しており その 対 応 は 分 かれている 全 額 ある いは 過 去 20 年 分 を 返 還 した 地 方 公 共 団 体 もあれば 10 年 分 あるいは5 年 分 しか 返 還 し ない 地 方 公 共 団 体 もあり 各 地 で 本 件 のような 国 家 賠 償 請 求 訴 訟 が 提 起 されている 1

ここで 期 間 制 限 や 消 滅 時 効 除 斥 期 間 に 関 する 制 度 を 挙 げると 減 額 更 正 賦 課 決 定 の 期 間 は 法 定 納 期 限 の 翌 日 から 起 算 して5 年 を 経 過 する 日 までに 制 限 され( 地 方 税 法 1 7 条 の5 第 2 項 ) 納 税 者 の 還 付 請 求 権 は 請 求 をすることができる 日 から5 年 を 経 過 した ときに 時 効 消 滅 する( 同 法 18 条 の3) 還 付 金 および 過 誤 納 金 の 還 付 請 求 については 民 法 の 不 当 利 得 に 関 する 規 定 および 法 理 が 適 用 され 1 不 当 利 得 返 還 請 求 権 は10 年 で 時 効 消 滅 する( 民 法 167 条 1 項 ) また 損 害 賠 償 請 求 について 国 家 賠 償 法 は 民 法 の 規 定 によ るとされ 損 害 および 加 害 者 を 知 った 時 から3 年 で 時 効 消 滅 し 違 法 行 為 時 から 起 算 して 除 斥 期 間 である20 年 まで 遡 って 賠 償 請 求 することができる( 国 家 賠 償 法 4 条 民 法 72 4 条 ) なお 市 町 村 には 固 定 資 産 税 等 の 過 納 金 を 地 方 税 法 に 規 定 する5 年 を 超 えて 遡 って 返 還 する 旨 の 要 綱 を 定 めているところがあり 2 地 方 公 共 団 体 によっては 地 方 自 治 法 232 条 の2が 定 める 寄 付 又 は 補 助 の 規 定 を 用 いて 実 質 的 に 過 納 金 を 還 付 する 措 置 をとった 例 がある < 判 決 要 旨 > 1 国 家 賠 償 法 第 1 条 1 項 は 国 又 は 公 共 団 体 の 公 権 力 の 行 使 に 当 たる 公 務 員 が その 職 務 を 行 うについて 故 意 又 は 過 失 によって 違 法 に 他 人 に 損 害 を 加 えたときは 国 又 は 公 共 団 体 が これを 賠 償 する 責 に 任 ずる と 定 めており 地 方 公 共 団 体 の 公 権 力 の 行 使 に 当 た る 公 務 員 が 個 別 の 国 民 に 対 して 負 担 する 職 務 上 の 法 的 義 務 に 違 背 して 当 該 国 民 に 損 害 を 加 えたときは 地 方 公 共 団 体 が 賠 償 責 任 を 負 う 2 地 方 税 法 は 固 定 資 産 評 価 審 査 委 員 会 に 審 査 を 申 し 出 ることができる 事 項 について 不 服 がある 固 定 資 産 税 等 の 納 税 者 は 同 委 員 会 に 対 する 審 査 の 申 出 及 びその 決 定 に 対 する 取 消 の 訴 えによってのみ 争 うことができる 旨 を 規 定 するが 同 法 435 条 1 項 の 規 定 は 固 定 資 産 課 税 台 帳 に 登 録 された 価 格 自 体 の 修 正 を 求 める 手 続 に 関 するものであって その 価 格 の 決 定 が 公 務 員 の 職 務 上 の 法 的 義 務 に 違 背 してされた 場 合 における 国 家 賠 償 責 任 を 否 定 する 根 拠 となるものではない 3 原 審 は 国 家 賠 償 法 に 基 づいて 固 定 資 産 税 等 の 過 納 金 相 当 額 に 係 る 損 害 賠 償 請 求 を 許 容 することは 課 税 処 分 の 公 定 力 を 実 質 的 に 否 定 することになり 妥 当 ではないともいうが 1 金 子 宏 租 税 法 ( 第 14 版 ) 631 頁 2 本 件 の Y 市 においても 固 定 資 産 課 税 台 帳 の 保 存 期 間 (10 年 ) 又 は 領 収 書 等 によって 過 誤 納 金 の 額 が 確 認 で きる 範 囲 で 20 年 を 限 度 として 過 誤 納 金 を 返 還 する 旨 の 要 綱 を 制 定 していた 2

行 政 処 分 が 違 法 であることを 理 由 として 国 家 賠 償 の 請 求 をするについては あらかじめ 当 該 行 政 処 分 について 取 消 又 は 無 効 確 認 の 判 決 を 得 なければならないものではない 最 高 裁 昭 和 35 年 (オ) 第 248 号 同 36 年 4 月 21 日 第 二 小 法 廷 判 決 民 集 15 巻 4 号 850 頁 参 照 このことは 当 該 行 政 処 分 が 金 銭 を 納 付 させることを 直 接 の 目 的 としており そ の 違 法 を 理 由 とする 国 家 賠 償 請 求 を 認 容 したとすれば 結 果 的 にその 行 政 処 分 を 取 り 消 し た 場 合 と 同 様 の 経 済 的 効 果 が 得 られるという 場 合 であっても 異 ならないというべきである そして 他 に 違 法 な 固 定 資 産 の 価 格 の 決 定 等 によって 損 害 を 受 けた 納 税 者 が 国 家 賠 償 請 求 を 行 うことを 否 定 する 根 拠 となる 規 定 等 は 見 出 し 難 い 4 したがって たとい 固 定 資 産 の 価 格 の 決 定 及 びこれに 基 づく 固 定 資 産 税 等 の 賦 課 決 定 に 無 効 事 由 が 認 められない 場 合 であっても 公 務 員 が 納 税 者 に 対 する 職 務 上 の 法 的 義 務 に 違 背 して 当 該 固 定 資 産 の 価 格 ないし 固 定 資 産 税 等 の 税 額 を 過 大 に 決 定 したときは これに よって 損 害 を 被 った 当 該 納 税 者 は 地 方 税 法 432 条 1 項 本 文 に 基 づく 審 査 の 申 出 及 び 同 法 434 条 1 項 に 基 づく 取 消 訴 訟 等 の 手 続 を 経 るまでもなく 国 家 賠 償 請 求 を 行 い 得 るも のと 解 すべきである 5 最 高 裁 は 原 判 決 を 破 棄 し 評 価 誤 りが 職 務 上 の 法 的 義 務 に 違 背 した 結 果 なのか 違 背 の 場 合 の 損 害 額 等 の 審 理 を 尽 くさせるため 原 審 に 差 し 戻 した < 解 説 > 1 問 題 の 所 在 判 決 要 旨 3にて 引 用 する 最 高 裁 昭 和 36 年 判 決 が 示 した 行 政 処 分 が 違 法 であることを 理 由 として 国 家 賠 償 訴 訟 を 提 起 する 場 合 一 般 的 に 取 消 判 決 や 無 効 確 認 判 決 で 公 定 力 を 排 除 しておく 必 要 がないという 法 理 は 広 く 承 認 されているところである さらに 行 政 処 分 に 対 する 取 消 訴 訟 の 出 訴 期 間 が 徒 過 する 等 して 処 分 の 効 力 が 争 い 得 なくなった 後 において も その 行 政 処 分 の 違 法 を 理 由 とする 国 家 賠 償 請 求 ができなくなるわけではないと 解 され ており 学 説 裁 判 例 ともにこの 方 向 で 固 まっている しかし 本 件 のように 金 銭 納 付 を 直 接 の 目 的 とする 課 税 処 分 が 争 い 得 なくなった 後 に おいても 課 税 処 分 を 取 り 消 したのと 同 様 の 経 済 的 効 果 が 得 られる 国 家 賠 償 請 求 を 認 める べきか 否 かについては 争 いがあり 学 説 は 国 賠 否 定 説 が 多 数 を 占 めているのに 対 し 裁 判 例 は 国 賠 肯 定 説 が 優 勢 であったことから 最 高 裁 の 判 断 が 待 たれている 状 況 にあった そこで 以 下 においては 固 定 資 産 税 等 の 過 納 金 に 係 る 国 家 賠 償 請 求 につき 本 判 決 は 国 3

賠 肯 定 説 一 審 原 審 は 国 賠 否 定 説 の 立 場 であることから 両 者 の 主 な 論 拠 について 確 認 し ていくとともに 本 判 決 が 国 賠 肯 定 説 を 採 用 した 理 由 を 補 足 意 見 も 踏 まえ 検 討 していくこ ととする 3 2 国 賠 肯 定 説 と 国 賠 否 定 説 の 論 拠 (1) 国 賠 肯 定 説 とは 金 銭 納 付 を 直 接 の 目 的 とする 行 政 処 分 で その 効 力 が 争 い 得 なく なったとしても 国 家 賠 償 請 求 を 認 めるべきであるとする 立 場 1 課 税 処 分 の 取 消 訴 訟 と 国 家 賠 償 訴 訟 とでは 訴 訟 の 趣 旨 や 目 的 要 件 効 果 が 異 なってい る 2 不 服 申 立 前 置 が 法 律 によって 要 求 される 例 は 金 銭 にかかわる 行 政 処 分 以 外 にも 多 く 存 在 するのに 金 銭 に 関 する 処 分 のみについて 特 別 な 扱 いをすべき 理 由 はない 3 取 消 訴 訟 の 場 合 対 象 となる 課 税 処 分 が 違 法 であれば 原 則 として 取 消 判 決 がされるが 国 家 賠 償 訴 訟 においては 公 務 員 の 故 意 過 失 といった 要 件 が 加 重 されるから たとえ 課 税 処 分 が 違 法 であったとしても 直 ちに 請 求 が 認 容 されるわけではない 4 課 税 処 分 の 不 可 争 力 発 生 後 においても 納 税 者 救 済 の 必 要 性 がある (2)これに 対 し 国 賠 否 定 説 とは 金 銭 納 付 を 直 接 の 目 的 とする 課 税 処 分 の 効 力 が 争 い 得 なくなったような 場 合 には もはやその 違 法 を 理 由 とする 国 家 賠 償 請 求 を 認 めるべきでは ないとする 立 場 1 国 家 賠 償 訴 訟 と 課 税 処 分 の 取 消 訴 訟 とは 実 質 的 にはその 目 的 効 果 が 同 一 である 2 国 家 賠 償 請 求 を 容 認 すると 不 服 申 立 期 間 出 訴 期 間 の 制 限 により 課 税 処 分 を 早 期 に 確 定 させて 徴 税 行 政 の 安 定 とその 円 滑 な 運 営 を 確 保 しようとした 法 の 趣 旨 を 潜 脱 するこ とを 認 める 結 果 になる 3 納 税 者 間 の 公 平 の 確 保 が 必 要 である 4 3 目 的 効 果 の 考 察 3 浦 和 地 判 平 成 4 年 2 月 24 日 ( 判 時 1429 号 105 頁 ) 広 島 地 判 平 成 6 年 2 月 17 日 ( 判 例 地 方 自 治 128 号 23 頁 ) 神 戸 地 判 平 成 17 年 11 月 26 日 ( 判 例 地 方 自 治 285 号 61 頁 ) その 控 訴 審 大 阪 高 判 平 成 18 年 3 月 24 日 ( 判 例 地 方 自 治 285 号 56 頁 )などは 国 家 賠 償 請 求 による 回 復 を 認 める 裁 判 例 であり 大 阪 地 判 平 成 15 年 4 月 25 日 ( 判 例 地 方 自 治 260 号 85 頁 ) 横 浜 地 判 平 成 18 年 7 月 19 日 (LEX/DB28130836) その 控 訴 審 東 京 高 判 平 成 18 年 11 月 15 日 (LEX/DB28131810)は 国 家 賠 償 請 求 による 回 復 を 認 めない 裁 判 例 である 4 判 例 時 報 2083 号 73 頁 小 澤 道 一 判 例 時 報 2061 号 ( 課 税 処 分 に 係 る 取 消 争 訟 制 度 の 排 他 的 管 轄 と 国 家 賠 償 請 求 との 関 係 ( 上 ))6 頁 佐 藤 竜 一 TKC ローライブラリー 2 頁 4

国 賠 肯 定 説 に 立 つ 学 説 裁 判 例 は 上 記 (1)1の 趣 旨 や 目 的 要 件 効 果 が 異 なる 点 に ついて 触 れるものが 多 いが 本 判 決 においては 明 確 に 述 べられていない この 点 宮 川 裁 判 官 補 足 意 見 によると 行 政 救 済 制 度 としては 違 法 な 行 政 行 為 の 効 力 を 争 いその 取 消 し 等 を 求 めるものとして 行 政 上 の 不 服 申 立 手 続 及 び 抗 告 訴 訟 があり 違 法 な 公 権 力 の 行 使 の 結 果 生 じた 損 害 をてん 補 するものとして 国 家 賠 償 法 1 条 1 項 による 国 家 賠 償 請 求 がある 両 者 はその 目 的 要 件 効 果 を 異 にしており 別 箇 独 立 の 手 段 として あいまって 行 政 救 済 を 完 全 なものとしていると 理 解 することができる 旨 述 べている つまり 取 消 訴 訟 は 行 政 処 分 の 効 力 の 否 定 を 目 的 としているのに 対 し 国 家 賠 償 訴 訟 は 民 法 上 の 不 法 行 為 責 任 制 度 の 特 則 として 違 法 な 国 公 共 団 体 の 活 動 により 生 じた 損 害 の 賠 償 を 目 的 とする ま た 効 果 について 取 消 訴 訟 は 処 分 の 可 及 的 取 消 しであるのに 対 し 国 家 賠 償 訴 訟 は 事 後 的 な 金 銭 による 補 填 である ( 要 件 については 解 説 6) 判 決 要 旨 3において 国 賠 否 定 説 (2)1のいう 金 銭 納 付 に 係 る 行 政 処 分 の 違 法 を 理 由 とする 国 家 賠 償 請 求 により 結 果 的 に 当 該 行 政 処 分 を 取 り 消 した 場 合 と 同 様 の 経 済 的 効 果 が 得 られる という 問 題 を 取 り 上 げている 確 かに 経 済 的 効 果 は 同 様 であるかもしれ ないが これは 法 律 効 果 については 異 なると 暗 示 していると 言 えよう 法 律 効 果 の 違 いに ついて 判 決 要 旨 2は 審 査 の 申 出 や 取 消 訴 訟 は 固 定 資 産 課 税 台 帳 に 登 録 された 価 格 自 体 の 修 正 を 求 める 手 続 とし 国 家 賠 償 訴 訟 とは 異 なる 旨 述 べている しかし 国 賠 否 定 説 の 立 場 からは 形 式 的 な 論 理 という 印 象 を 拭 えないであろう むしろ 登 録 価 格 の 修 正 の 法 律 効 果 として 租 税 債 務 が 消 滅 し 納 付 済 みの 税 額 に 対 し 地 方 公 共 団 体 が 減 額 更 正 賦 課 決 定 処 分 を 行 う 義 務 を 負 い それに 応 じて 納 税 者 に 還 付 請 求 権 が 発 生 することまで 視 野 に 入 れる 必 要 がある このように 法 律 効 果 の 範 囲 を 広 く 考 えたうえで 金 銭 納 付 に 係 る 行 政 処 分 一 般 についていえば 行 政 処 分 を 取 り 消 す 裁 決 や 判 決 が 規 律 する 行 政 上 の 金 銭 債 務 及 び 行 政 処 分 の 取 消 しにより 行 政 主 体 が 原 状 回 復 義 務 を 負 うために 生 じる 不 当 利 得 返 還 請 求 権 は 損 害 賠 償 請 求 権 ないし 義 務 とは 法 的 性 質 が 明 らかに 異 なる これらの 債 務 や 請 求 権 に 係 る 時 効 や 除 斥 期 間 遅 延 損 害 金 や 還 付 加 算 金 さらに 対 象 として 損 害 賠 償 の 範 囲 ( 慰 謝 料 や 弁 護 士 費 用 が 含 まれる)の 違 いは 債 務 や 請 求 権 の 法 的 性 質 の 違 いに 由 来 する したがって 本 判 決 も 両 者 が 趣 旨 目 的 要 件 効 果 を 異 にする 別 個 独 立 の 手 段 であ ることを 前 提 にしていると 解 され 課 税 処 分 の 取 消 訴 訟 と 国 家 賠 償 訴 訟 は 異 なる 制 度 であ る 以 上 公 定 力 との 関 係 で 取 消 判 決 を 得 なければならないわけではなく 特 別 の 規 定 がな ければ 両 制 度 は 両 立 するのが 原 則 である つまり 法 律 上 特 別 の 規 定 がない 限 り 行 政 上 の 金 銭 納 付 について 定 める 法 律 の 解 釈 として 賦 課 課 税 方 式 に 係 る 課 税 処 分 のみならず 申 告 5

納 税 方 式 においても 国 家 賠 償 請 求 を 制 限 することはできないものと 考 える 4 憲 法 による 国 家 賠 償 請 求 権 の 保 障 宮 川 裁 判 官 補 足 意 見 は 憲 法 17 条 により 公 務 員 の 不 法 行 為 について 国 又 は 公 共 団 体 が 損 害 賠 償 責 任 を 負 うという 憲 法 上 の 原 則 により 国 賠 肯 定 説 を 補 強 しており 国 家 賠 償 法 が 被 害 者 を 実 効 的 に 救 済 する 機 能 のみならず 制 裁 的 機 能 及 び 将 来 の 違 法 行 為 を 抑 止 す る 機 能 を 有 している と 指 摘 している 5 6 さらに 原 審 において 損 害 賠 償 請 求 を 許 容 する ことは 不 可 争 力 発 生 後 であっても 実 質 的 に 課 税 処 分 の 取 消 により 不 当 利 得 として 返 還 さ せるのと 同 一 であり 不 服 申 立 前 置 や 出 訴 期 間 の 趣 旨 を 潜 脱 するだけでなく 公 定 力 をも 実 質 的 に 否 定 することになるとして 国 賠 肯 定 説 を 否 定 しているが 同 補 足 意 見 において 金 銭 の 徴 収 を 目 的 とする 行 政 処 分 についてのみ 法 律 関 係 を 早 期 に 安 定 させる 利 益 を 優 先 させ る 理 由 はないのであるから 同 一 の 経 済 的 効 果 が 生 じるからと 言 って 公 定 力 と 整 合 させる ために 法 律 上 の 根 拠 なく 異 なった 扱 いをすべきではない とした つまり 国 家 賠 償 請 求 の 意 義 にもとるとして 国 賠 否 定 説 が 唱 える 取 消 訴 訟 の 趣 旨 潜 脱 論 を 排 斥 したのであり このことから 申 告 納 税 方 式 の 場 合 であっても 憲 法 により 国 家 賠 償 請 求 権 が 保 障 されるものと 思 われる 5 国 家 賠 償 請 求 と 不 服 申 立 との 関 係 国 家 賠 償 請 求 を 認 めた 場 合 の 不 服 申 立 前 置 との 関 係 について 金 築 裁 判 官 補 足 意 見 は 取 消 訴 訟 に 前 置 きされる 他 の 不 服 申 立 てに 係 る 審 査 機 関 にも 多 かれ 少 なかれ 共 通 するもので あり 同 委 員 会 を 特 に 他 の 不 服 申 立 てに 係 る 審 査 機 関 と 区 別 するだけの 理 由 はない と 述 べられている つまり 判 決 要 旨 2の 判 断 の 背 景 には 固 定 資 産 評 価 審 査 委 員 会 と 他 の 審 査 機 関 との 間 には 区 別 するほどの 理 由 がないとの 判 断 があるものと 解 され このことは 地 方 税 の 不 服 申 し 立 てに 限 定 せず 一 般 の 行 政 処 分 に 係 る 不 服 申 立 制 度 にも 当 てはまるこ とから 申 告 納 税 方 式 における 税 務 署 長 に 対 する 異 議 申 立 てや 国 税 不 服 審 判 所 長 に 対 する 審 査 請 求 ( 税 通 77 条 )をも 包 含 するものと 考 えられる 5 碓 井 光 明 違 法 な 課 税 処 分 による 納 付 税 額 の 回 復 方 法 ( 金 子 宏 編 租 税 法 の 発 展 554 頁 ) 国 賠 否 定 説 の 立 場 からは 取 消 訴 訟 により 回 復 または 回 避 できる 損 害 について 国 家 賠 償 請 求 を 否 定 しても 取 消 訴 訟 が 憲 法 32 条 に 照 らして 権 利 保 護 手 続 として 十 分 であれば 憲 法 違 反 の 問 題 は 生 じないと 考 えているようである 6 山 本 隆 司 法 学 教 室 Jan.2001 No.364 113 頁 国 家 賠 償 制 度 の 制 裁 機 能 及 び 違 法 行 為 抑 止 機 能 は むしろ 学 説 が 国 家 賠 償 制 度 と 行 政 上 の 不 服 申 立 て 及 び 行 政 訴 訟 の 制 度 との 関 連 性 を 示 すために 挙 げた 要 素 であり 行 政 争 訟 手 続 にかかわらず 国 家 賠 償 請 求 を 認 める 論 拠 にはならないと 述 べている 6

さらに 固 定 資 産 課 税 台 帳 に 登 録 された 価 格 の 修 正 を 求 める 手 続 限 りの 不 服 申 立 前 置 で あっても 制 度 的 意 義 を 失 うものではないから 不 服 申 立 てを 経 ない 国 家 賠 償 請 求 を 否 定 す る 十 分 な 理 由 になるとはいえない と 判 示 していることから 金 銭 納 付 を 目 的 とする 課 税 処 分 について 国 家 賠 償 請 求 をしたとしても 不 服 申 立 前 置 の 意 義 が 失 われるわけではない ものと 解 される しかし 同 補 足 意 見 において 賦 課 課 税 方 式 を 採 用 する 固 定 資 産 税 等 の 場 合 申 告 納 税 方 式 と 異 なり 納 税 者 にとってその 税 額 計 算 の 基 礎 となる 登 録 価 格 の 評 価 が 過 大 であるか 否 かは 直 ちには 判 明 しない 場 合 も 多 いと 考 えられるところ と 賦 課 課 税 方 式 の 特 殊 性 に 言 及 しており 申 告 納 税 方 式 と 異 なる 点 を 挙 げている そして 審 査 の 申 出 は 比 較 的 短 期 間 の 間 に 行 わなければならないものとされているため 上 記 期 間 の 経 過 後 は 国 家 賠 償 訴 訟 によ る 損 害 の 回 復 も 求 め 得 ないというのでは 納 税 者 にとっていささか 酷 と 述 べられ この 点 につき 小 早 川 光 郎 教 授 も 行 政 行 為 の 告 知 を 受 けたもの 以 外 に 限 定 しているが 不 服 申 立 前 置 き 出 訴 期 間 制 限 との 関 係 から 解 釈 上 考 慮 すべきと 考 えられているようである 7 そ して 本 件 各 決 定 のように 市 町 村 内 の 他 の 家 屋 の 登 録 価 格 等 を 参 照 することができるよ うな 手 続 ( 地 方 税 法 416 条 1 項 )が 設 けられていなかった 時 期 に 賦 課 されたものに 関 し てはなおさらである 8 と 説 示 しているように 本 件 に 関 しては 当 時 の 状 況 として 納 税 者 が 登 録 価 格 についての 不 服 申 立 期 間 内 にその 誤 りに 気 付 くことは 困 難 な 状 況 にあったといえ る 9 現 在 はこの 点 につき 法 改 正 がなされていることから 納 税 者 が 課 税 処 分 の 誤 りに 気 付 くことが 可 能 であったような 場 合 やこれに 気 付 きながらもあえて 不 服 申 立 を 行 わなかった ような 場 合 についてまで 国 家 賠 償 請 求 が 認 められるかが 別 途 問 題 になりうると 思 われる 6 国 家 賠 償 請 求 と 取 消 訴 訟 の 関 係 金 築 裁 判 官 補 足 意 見 では 国 賠 否 定 説 (2)2の 主 張 する 国 賠 肯 定 説 の 問 題 点 を 指 摘 し たうえで 問 題 は 取 消 しと 国 家 賠 償 との 間 で 認 容 される 要 件 に 実 質 的 な 差 異 があるかど 7 小 早 川 光 郎 先 決 問 題 と 行 政 行 為 -いわゆる 公 定 力 の 範 囲 をめぐる- 考 察 田 中 次 郎 先 生 古 稀 記 念 公 法 の 理 論 ( 上 ) 397 頁 8 塚 田 功 三 訂 版 固 定 資 産 税 の 審 査 申 出 とその 対 応 のすべて 平 成 14 年 改 正 までは 課 税 台 帳 の 縦 覧 が 納 税 者 本 人 とその 委 任 を 受 けた 代 理 人 等 に 限 定 されており 他 人 の 所 有 している 土 地 家 屋 の 分 を 縦 覧 して そ の 価 格 を 比 較 のうえ 評 価 の 適 否 を 判 断 することができなかった 9 神 戸 地 判 平 17 年 11 月 16( 判 例 地 方 自 治 285 号 61 頁 )においては 違 法 な 課 税 処 分 が 是 正 されなかったこ とにつき 納 税 者 側 に 過 失 又 は 落 ち 度 がないのに なお 違 法 な 処 分 をし 放 置 して 是 正 を 不 可 能 にして 出 訴 期 間 制 限 等 により 納 税 者 救 済 を 否 定 するのは 極 めて 不 当 であり 正 義 公 平 の 原 則 にもとると 判 示 した 7

うか にあるとしている つまり 国 家 賠 償 請 求 においては 取 消 しと 異 なり 故 意 過 失 が 要 求 され 違 法 性 判 断 について 平 成 5 年 判 決 の 職 務 行 為 基 準 説 10 を 引 用 し 要 件 に 差 異 が あるとしている 11 職 務 上 の 法 的 義 務 に 違 背 して について 不 服 申 立 てや 取 消 訴 訟 における 課 税 処 分 の 違 法 性 は 処 分 の 法 的 効 果 発 生 の 前 提 である 法 的 要 件 充 足 性 の 有 無 を 問 題 としているのに 対 し 国 家 賠 償 請 求 における 違 法 性 は 損 害 補 てんの 責 任 を 誰 に 負 わせるのが 公 平 かとい う 見 地 に 立 って 行 政 処 分 の 法 的 要 件 充 足 性 の 有 無 だけではなく 被 侵 害 利 益 の 種 類 性 質 侵 害 行 為 の 態 様 原 因 損 害 の 程 度 等 の 諸 般 の 事 情 を 総 合 的 に 考 慮 して 当 該 公 権 力 の 行 使 が 職 務 上 の 注 意 義 務 に 違 反 していたかどうかを 問 題 としている 12 つまり 瑕 疵 ある 行 政 処 分 によって 損 害 を 受 けた 納 税 者 に 対 する 国 家 賠 償 責 任 が 肯 定 さ れるのは 課 税 処 分 が 職 務 上 の 注 意 義 務 違 反 の 結 果 であり かつ これを 行 った 公 務 員 の 故 意 又 は 過 失 が 認 められる 場 合 といえる このような 要 件 を 満 たしているにもかかわらず 課 税 処 分 についてのみ 公 定 力 により 当 該 処 分 が 無 効 であるといえない 限 り 国 家 賠 償 責 任 を 一 律 に 否 定 することは 妥 当 性 を 欠 くものと 考 える 13 したがって 申 告 納 税 方 式 に 係 る 課 税 処 分 の 違 法 に 無 効 原 因 がある 場 合 には その 違 法 を 理 由 とする 国 家 賠 償 請 求 に 公 定 力 は 及 ばないことから 当 然 に 国 家 賠 償 請 求 が 可 能 であるものと 考 えられ 判 決 要 旨 4に おいて 無 効 事 由 が 認 められない 場 合 であっても として 取 消 原 因 たる 瑕 疵 の 場 合 でもよ いことが 明 示 されていることから 取 消 原 因 である 場 合 にも 国 家 賠 償 請 求 は 可 能 であると 考 えられる 本 件 課 税 処 分 に 対 する 国 家 賠 償 請 求 で 職 務 上 の 法 的 義 務 の 認 定 基 準 として 固 定 資 産 評 価 基 準 が 適 用 されるが 原 審 は 冷 凍 倉 庫 の 定 めが 一 義 的 なものでなかったことから 瑕 疵 はないものとした 14 10 最 判 平 5 年 3 月 11 日 ( 民 集 47 巻 4 号 2863 頁 ) 職 務 上 通 常 尽 くすべき 注 意 義 務 を 尽 くすことなく 漫 然 と 課 税 をしたと 認 め 得 るような 事 情 のある 場 合 に 限 り 違 法 の 評 価 をする 11 碓 井 前 掲 5 551 頁 職 務 行 為 基 準 説 を 無 視 したのか それとも その 延 長 線 上 にある 考 え 方 なのか 明 ら かではないと 述 べている 12 判 例 時 報 2083 号 74 頁 13 最 判 昭 48 年 4 月 26 日 ( 民 集 27 巻 3 号 629 頁 )では 課 税 処 分 は 処 分 の 存 在 を 信 頼 する 第 三 者 を 保 護 する 必 要 がないとしているから 課 税 処 分 を 早 期 に 確 定 させる 要 請 は 課 税 庁 の 都 合 であり 第 三 者 に 利 害 関 係 があ る 行 政 処 分 よりも 早 期 確 定 の 要 請 は 高 くないといえると 判 示 した( 神 戸 地 判 平 17 年 11 月 16 日 ) 14 冷 蔵 倉 庫 の 定 義 を 保 管 温 度 が 摂 氏 10 度 以 下 に 保 たれる 倉 庫 とする 告 示 が 出 され 平 成 24 年 度 分 から 適 用 される 予 定 8

課 税 処 分 の 瑕 疵 が 重 大 又 は 明 白 でないことにつき 15 被 告 は 冷 凍 倉 庫 の 定 義 規 定 が 存 在 しないこと 地 方 税 法 408 条 の 実 地 調 査 の 程 度 は 16 すべての 固 定 資 産 について 細 部 まで 行 う 必 要 はなく 特 段 の 事 情 のない 限 り 外 観 上 固 定 資 産 の 利 用 状 況 等 を 確 認 し 変 化 があった 場 合 にこれを 認 識 する 程 度 で 足 りると 主 張 していたが 本 件 倉 庫 の 設 計 図 に 冷 蔵 室 (-30 ) との 記 載 があることや 外 観 からもクーリングタワー 等 の 特 徴 的 な 設 備 の 存 在 が 容 易 に 確 認 し 得 ることがうかがわれるとして 実 地 調 査 の 不 備 から 一 般 倉 庫 と して 評 価 し 価 格 決 定 したことについて 過 失 が 認 められないこともないとした 7 立 証 責 任 要 件 の 実 質 的 差 異 として 立 証 責 任 の 問 題 にも 言 及 している 取 消 訴 訟 においては 課 税 主 体 である 行 政 側 に 立 証 責 任 があるのに 対 し 国 家 賠 償 訴 訟 においては 違 法 性 を 積 極 的 に 根 拠 付 ける 事 実 については 請 求 者 たる 納 税 者 側 に 立 証 責 任 があるという 相 違 点 を 挙 げ 課 税 主 体 側 が 立 証 困 難 な 立 場 に 置 かれる 事 態 は 生 じないとしている これは 取 消 訴 訟 の 出 訴 期 間 を 延 長 したのと 同 様 の 結 果 になるわけではないということを 論 証 するために 援 用 してい るが 不 服 申 立 前 置 きとも 関 係 してくる 国 家 賠 償 訴 訟 は 課 税 庁 側 の 違 法 性 のみならず 故 意 過 失 責 任 まで 立 証 しなければならな い 点 を 考 慮 すると 納 税 者 側 にとって 立 証 責 任 のハードルは 高 いものと 思 われるが 反 証 する 課 税 庁 側 にとっても 証 拠 資 料 の 保 存 をどこまでしておくかという 問 題 が 出 てくるもの と 思 われる 8 賦 課 課 税 方 式 と 申 告 納 税 方 式 清 水 敬 次 教 授 は 納 税 義 務 とは その 成 立 のために 必 要 な 要 件 である 課 税 要 件 が 充 足 さ れたときに 法 律 上 当 然 に 成 立 し 納 税 義 務 が 成 立 するためには 納 税 義 務 者 または 税 務 官 庁 による 特 別 の 行 為 を 要 しないと 定 義 されている さらに このように 成 立 した 納 税 義 務 の 履 行 もしくはその 請 求 のために 納 税 義 務 の 確 定 が 必 要 とされ 賦 課 課 税 方 式 において 15 金 子 前 掲 1 633 頁 課 税 処 分 の 無 効 要 件 としては 重 大 性 のみでよく 明 白 性 は 不 要 とする 瑕 疵 の 明 白 性 を 要 求 しない 例 として 最 判 昭 48 年 4 月 26 日 ( 民 集 27 巻 3 号 629 頁 ) 16 石 島 弘 税 理 2010.10 217 頁 実 地 調 査 規 定 について 行 政 実 務 は 訓 示 規 定 と 解 しているが( 昭 和 28 年 9 月 15 日 自 税 市 第 228 号 ) 判 例 学 説 に 対 立 する 見 解 がある 中 で 昭 和 57 年 6 月 4 日 の 千 葉 地 裁 判 決 ( 行 集 33 巻 6 号 1172 頁 )は この 規 定 は 単 なる 訓 示 規 定 と 解 することはできない 市 長 が 本 来 遵 守 しなければなら ない 強 行 法 規 である としている また 平 成 6 年 6 月 28 日 の 山 口 地 裁 判 決 ( 判 例 地 方 自 治 137 号 28 頁 )は この 規 定 を 単 なる 訓 示 規 定 と 解 するのは 相 当 ではない としている 9

は 課 税 庁 の 賦 課 処 分 がこの 確 定 を 行 う 行 為 であり 申 告 納 税 方 式 においては 納 税 義 務 者 に 納 税 義 務 の 確 定 について 第 一 次 的 判 断 権 が 認 められ 納 税 義 務 は 納 税 義 務 者 の 申 告 行 為 により 確 定 され 課 税 庁 の 更 正 決 定 についても 既 に 成 立 している 納 税 義 務 を 確 定 す るにとどまるとされる 17 現 行 税 法 は 申 告 納 税 制 度 においては 納 税 義 務 の 確 定 をなす 権 限 を 第 一 次 的 には 納 税 義 務 者 に 認 め 第 二 次 的 に 課 税 庁 に 認 めると 同 時 に 納 税 義 務 者 及 び 課 税 庁 に 納 税 義 務 の 確 定 権 限 を 適 正 に 行 使 する 義 務 を 一 般 に 課 していると 解 される ( 税 通 16 条 1 項 1 号 17 条 19 条 24 条 26 条 ) 18 つまり 申 告 納 税 方 式 においても 課 税 庁 は 納 税 義 務 の 確 定 権 限 を 適 正 に 行 使 し 課 税 要 件 事 実 を 正 しく 認 識 する 義 務 を 負 っているものと 考 えられる したがって 申 告 納 税 方 式 を 採 る 場 合 であっても 租 税 の 確 定 手 続 において 課 税 庁 も 第 二 次 的 に 判 断 権 を 有 するから この 第 二 次 的 判 断 権 の 遂 行 に 当 たり 職 務 上 の 法 的 義 務 に 違 反 し 故 意 過 失 責 任 が 認 めら れるのであれば 国 家 賠 償 請 求 は 可 能 であるものと 考 える 9 立 法 論 国 家 賠 償 請 求 は 訴 訟 の 手 間 や 公 務 員 の 故 意 過 失 の 立 証 の 困 難 性 過 失 相 殺 の 可 否 や その 割 合 面 における 曖 昧 さ 公 共 団 体 内 部 における 諸 手 続 きの 煩 雑 さなど 救 済 手 段 とし ては 様 々な 問 題 を 抱 えている この 問 題 の 解 決 にあたり 小 澤 道 一 教 授 は 国 税 通 則 法 と 地 方 税 法 に 定 められた 不 服 申 立 期 間 更 正 決 定 の 期 間 制 限 還 付 金 請 求 権 の 消 滅 時 効 期 間 に 関 する 諸 規 定 等 は 納 税 者 保 護 の 見 地 から 緩 和 することが 検 討 されるべき 19 と 述 べ られ 国 家 賠 償 請 求 というルートではなく 還 付 請 求 など 税 法 上 の 救 済 制 度 を 拡 充 するこ とで 対 応 すべきと 唱 えられている 国 家 賠 償 請 求 は 納 税 者 間 の 公 平 性 確 保 の 観 点 から 問 題 の 多 い 救 済 方 法 であるため 立 法 による 解 決 を 図 ることも 必 要 なのではないかと 考 える 17 清 永 敬 次 新 版 税 法 ( 全 訂 ) 181 頁 -182 頁 芝 池 義 一 税 法 と 行 政 法 租 税 行 政 と 権 利 保 護 2 頁 18 谷 口 勢 津 夫 納 税 義 務 の 確 定 の 法 理 租 税 行 政 と 権 利 保 護 68 頁 19 小 澤 道 一 課 税 処 分 に 係 る 取 消 争 訟 制 度 の 排 他 的 管 轄 と 国 家 賠 償 請 求 との 関 係 ( 下 ) 判 例 時 報 2062 号 23 頁 10