ことにより 所 得 分 散 を 図 る 行 為 であって IRS はこれを 指 定 取 引 として 指 定 する 通 牒 を 発 し 種 々の 規 制 を 行 っている 筆 者 は 我 が 国 においても 従 業 員 等 に 対 する 私 募 形 態 による 有 償 の 新 株 予 約 権 いわゆる



Similar documents
は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

弁護士報酬規定(抜粋)

第4回税制調査会 総4-1

6-1 第 6 章 ストック オプション 会 計 設 例 1 基 本 的 処 理 Check! 1. 費 用 の 計 上 ( 1 年 度 ) 2. 費 用 の 計 上 ( 2 年 度 )- 権 利 不 確 定 による 失 効 見 積 数 の 変 動 - 3. 費 用 の 計 上 ( 3 年 度 )-

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ


定 性 的 情 報 財 務 諸 表 等 1. 連 結 経 営 成 績 に 関 する 定 性 的 情 報 当 第 3 四 半 期 連 結 累 計 期 間 の 業 績 は 売 上 高 につきましては 前 年 同 四 半 期 累 計 期 間 比 15.1% 減 少 の 454 億 27 百 万 円 となり

(Microsoft Word - \212\356\226{\225\373\220j _\217C\220\263\201j.doc)

Microsoft Word - 19年度(行個)答申第94号.doc


23信託の会計処理に関する実務上の取扱い

PowerPoint プレゼンテーション

 

< E95FB8CF689638AE98BC689FC90B390A CC8CA992BC82B582C982C282A282C E90E096BE8E9E8E9197BF2E786477>

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について


2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

40 総 論 41 法 人 課 税 01 租 税 法 概 論 ( 4001 ) 02 税 制 の 動 向 ( 4002 ) 91 事 例 研 究 ( 4091 ) 99 その 他 ( 4099 ) 01 法 人 税 ( 4101 ) 3. 税 務 官 庁 の 組 織 4. 不 服 申 立 て 税 務

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

添 付 資 料 の 目 次 1.サマリー 情 報 (その 他 )に 関 する 事 項... 2 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動... 2 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用.

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B38FDA8DD72E747874>

2. 会 計 規 程 の 業 務 (1) 規 程 と 実 際 の 業 務 の 調 査 規 程 や 運 用 方 針 に 規 定 されている 業 務 ( 帳 票 )が 実 際 に 行 われているか( 作 成 されている か)どうかについて 調 べてみた 以 下 の 表 は 規 程 の 条 項 とそこに

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

加 算 税 制 度 の 見 直 し 等 1. 現 行 制 度 の 概 要 関 税 においては 国 税 ( 輸 入 貨 物 に 対 する 内 国 消 費 税 を 含 む 以 下 同 じ ) の 制 度 と 同 様 の 過 少 申 告 加 算 税 無 申 告 加 算 税 及 び 重 加 算 税 の 制

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

ような 厚 生 年 金 基 金 関 係 の 法 改 正 がなされており (2)については 平 成 16 年 10 月 1 日 から (1) 及 び(3)については 平 成 17 年 4 月 1 日 から 施 行 されている (1) 免 除 保 険 料 率 の 凍 結 解 除 ( 母 体 企 業 (

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

平成22年度

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

科 目 予 算 額 決 算 額 差 異 Ⅱ 投 資 活 動 収 支 の 部 1. 投 資 活 動 収 入 特 定 資 産 取 崩 収 入 13,811,848 62,532,864 48,721,016 退 職 給 付 引 当 資 産 取 崩 収 入 2,811,848 54,237,864 51,

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

Q IFRSの特徴について教えてください

募集新株予約権(有償ストック・オプション)の発行に関するお知らせ

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

厚 生 年 金 基 金 制 度 の 概 要 公 的 年 金 たる 厚 生 年 金 の 一 部 を 国 に 代 わって 支 給 ( 代 行 給 付 )しており 当 該 支 給 を 行 うための 費 用 として 事 業 主 から 保 険 料 を 徴 収 している 加 えて 各 基 金 ごとに 上 乗 せ

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の


( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

Microsoft Word - H20中小会計指針新旧対照表 doc

<4D F736F F D F5A91EE8BC F368C8E3393FA8DC48D F C8E323893FA916493C B95AA8D CE3816A>


1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程

<4D F736F F D E718CF68D C768E5A8F9197DE>

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

景品の換金行為と「三店方式」について

資料1:勧告の仕組みとポイント 改【完成】

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

Microsoft PowerPoint - 基金制度

Microsoft Word - 外貨建取引.docx

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

untitled

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

< DE096B1838C837C815B ECA905E93FC2E786C7378>

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

(ⅴ) 平 成 28 年 4 月 1 日 から 平 成 35 年 12 月 31 日 までの 期 間 未 成 年 者 に 係 る 少 額 上 場 株 式 等 の 非 課 税 口 座 制 度 に 基 づき 証 券 会 社 等 の 金 融 商 品 取 引 業 者 等 に 開 設 した 未 成 年 者 口

しかし 主 に 欧 州 の 一 部 の 回 答 者 は 受 託 責 任 について 資 源 配 分 の 意 思 決 定 の 有 用 性 とは 独 立 の 財 務 報 告 の 目 的 とすべきであると 回 答 した 本 ED に 対 する ASBJ のコメント レターにおける 意 見 経 営 者 の 受

養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

< 現 在 の 我 が 国 D&O 保 険 の 基 本 的 な 設 計 (イメージ)> < 一 般 的 な 補 償 の 範 囲 の 概 要 > 請 求 の 形 態 会 社 の 役 員 会 社 による 請 求 に 対 する 損 免 責 事 由 の 場 合 に 害 賠 償 請 求 は 補 償 されず(

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

(2) 支 状 況 保 育 所 ( 定 員 60 人 以 上 ) 支 状 況 は 次 とおりです 1 総 入 構 成 比 は 割 合 が88.1% 活 動 外 入 が2.1% 特 別 入 が9.8%でした 2 構 成 比 は 運 営 費 入 が80.1% 経 常 経 費 補 助 金 入 が17.8%


Microsoft Word sozei-sample1.doc

1 ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 の 事 業 税 の 課 税 について ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 は 収 入 金 額 を 課 税 標 準 として 収 入 割 の 申 告 となります ( 法 72 条 の2 72 条 の 12 第 2 号 ) ガス 供 給 業 とその 他 の 事

* 解 雇 の 合 理 性 相 当 性 は 整 理 解 雇 の 場 合 には 1 整 理 解 雇 の 必 要 性 2 人 員 選 択 の 相 当 性 3 解 雇 回 避 努 力 義 務 の 履 行 4 手 続 きの 相 当 性 の 四 要 件 ( 要 素 )で 判 断 され る 部 門 閉 鎖 型

二 資本金の管理

第一部【証券情報】

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

< F2D E633368D86816A89EF8C768E9696B18EE688B5>

【労働保険事務組合事務処理規約】

埼 玉 県 入 間 郡 三 芳 町 大 字 藤 久 保 1100 番 地 1 三 芳 町 役 場 本 庁 舎 4 階 ウ 提 出 方 法 : 持 参 または 郵 送 による 提 出 とする ただし 提 出 期 限 必 着 とし 郵 送 の 場 合 は 必 ず 到 着 を 確 認 するものとする (3

定款

Microsoft Word - 【第17期】有価証券報告書(課税上の取り扱い)

目 次 ( 資 産 の 部 金 融 資 産 ) 1. 資 金 4 1 資 金 明 細 台 帳 ( 資 産 負 債 整 簿 ) 5 2 資 金 の 明 細 台 帳 ( 付 属 明 細 表 ) 5 2. 税 等 未 収 金 6 3 債 権 債 務 整 台 帳 ( 資 産 負 債 整 簿 ) 6 4 当

財政再計算結果_色変更.indd

答申書

はファクシミリ 装 置 を 用 いて 送 信 し 又 は 訪 問 する 方 法 により 当 該 債 務 を 弁 済 す ることを 要 求 し これに 対 し 債 務 者 等 から 直 接 要 求 しないよう 求 められたにもかか わらず 更 にこれらの 方 法 で 当 該 債 務 を 弁 済 するこ

特 定 が 必 要 であり, 法 7 条 の 裁 量 的 開 示 を 求 める 第 3 諮 問 庁 の 説 明 の 要 旨 1 本 件 開 示 請 求 について 本 件 開 示 請 求 は, 処 分 庁 に 対 して, 特 定 法 人 が 大 森 税 務 署 に 提 出 した, 特 定 期 間 の

16 日本学生支援機構

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

<95BD90AC E93788C888E5A82CC8A FEE95F18CF68A4A97702E786C73>

別添資料

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

波佐見町の給与・定員管理等について

建設特別・資産運用の基本方針

平 成 24 年 4 月 1 日 から 平 成 25 年 3 月 31 日 まで 公 益 目 的 事 業 科 目 公 1 公 2 公 3 公 4 法 人 会 計 合 計 共 通 小 計 苦 情 相 談 解 決 研 修 情 報 提 供 保 証 宅 建 取 引 健 全 育 成 Ⅰ. 一 般 正 味 財

Taro-29職員退職手当支給規程

就 業 規 則 ( 福 利 厚 生 ) 第 章 福 利 厚 生 ( 死 亡 弔 慰 金 等 ) 第 条 法 人 が 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 民 間 社 会 福 祉 施 設 等 職 員 共 済 規 程 に 基 づき 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 との 間 において 締 結 す

公表表紙

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

Taro-2220(修正).jtd

Transcription:

氏 名 ( 本 籍 ) 関 本 大 樹 ( 東 京 都 ) 学 位 の 種 類 博 士 ( 法 学 ) 学 位 記 番 号 乙 第 24 号 学 位 授 与 年 月 日 平 成 28 年 1 月 31 日 学 位 授 与 の 要 件 久 留 米 大 学 大 学 院 学 則 第 15 条 による 学 位 論 文 題 目 租 税 法 と 数 理 論 文 審 査 委 員 会 主 査 久 留 米 大 学 教 授 西 嶋 法 友 副 査 久 留 米 大 学 教 授 小 原 清 信 副 査 久 留 米 大 学 教 授 荒 井 功 副 査 久 留 米 大 学 教 授 松 本 博 論 文 内 容 の 要 旨 要 約 筆 者 の 研 究 は 米 国 におけるストック オプションやデリバティブ 取 引 等 の 税 制 について 金 融 工 学 的 観 点 を 踏 まえた 法 的 研 究 を 嚆 矢 とし 金 利 スワップ 取 引 やFX 取 引 などの 金 融 取 引 の 課 税 上 の 取 扱 いに 関 する 分 析 を 経 て 広 く 租 税 法 分 野 の 数 理 学 的 アプローチへと 至 っているが 本 論 文 はこのような 研 究 の 流 れに 沿 ってそれぞれの 研 究 成 果 を 配 置 したもの である 本 論 文 は4 章 からなるが 各 章 の 内 容 を 概 観 すれば 以 下 のごとくになる 第 1 章 税 務 への 金 融 工 学 的 アプローチ 第 1 節 ストック オプションの 付 与 時 評 価 とその 際 の 譲 渡 制 限 の 取 扱 いについて 本 節 は ストック オプションに 関 する 最 高 裁 判 決 ( 最 高 裁 第 三 小 法 廷 平 成 17 年 1 月 25 日 判 決 )が ストック オプション 付 与 時 において 課 税 すべきであるとする 本 事 件 の 納 税 者 側 の 主 張 を 退 け 譲 渡 制 限 のあるストック オプションに 係 る 収 益 を 認 識 すべき 時 期 を 権 利 行 使 時 であると 判 示 した 点 を 検 討 対 象 としたものであって 上 記 最 判 がストック オプションに 係 る 譲 渡 制 限 を 根 拠 としてその 付 与 時 における 課 税 を 不 相 当 とし 権 利 行 使 時 における 課 税 を 相 当 と 判 示 したことに 対 して ストック オプションの 付 与 時 における 経 済 的 評 価 に 及 ぼす 譲 渡 制 限 の 影 響 度 を 検 討 し ストック オプションの 新 株 予 約 権 として の 社 会 的 な 認 知 や 関 連 する 企 業 会 計 制 度 等 の 整 備 の 進 展 とともにストック オプションそ れ 自 体 の 資 産 性 の 認 識 の 広 まりを 展 望 できるようになるとする 見 地 から ストック オプシ ョンに 係 る 譲 渡 制 限 の 有 無 は 課 税 上 の 取 扱 いを 異 にするための 絶 対 的 な 区 分 ではなくなり 単 なる 課 税 標 準 評 価 上 の 一 要 素 として 位 置 づけられることになる 可 能 性 があることを 主 張 する 第 2 節 米 国 におけるストック オプションを 濫 用 した 租 税 回 避 的 行 為 の 規 制 について 本 節 は 米 国 における 従 業 員 ストック オプションの 濫 用 による 租 税 回 避 行 為 に 対 する 米 国 内 国 歳 入 庁 (IRS) 等 による 規 制 その 他 についての 研 究 に 基 づき 我 が 国 における 類 似 の 事 象 の 増 加 に 対 応 した 税 制 見 直 しの 必 要 を 指 摘 するものである すなわち 上 記 の 租 税 回 避 的 行 為 とは 非 適 格 ストック オプションにつき 現 に 確 認 可 能 な 公 正 市 場 価 格 が ない 場 合 の 譲 渡 にかかる 給 与 所 得 額 を 同 オプションの 評 価 額 に 基 づく 譲 渡 価 格 として 確 定 し さらに 譲 渡 の 対 価 として 超 長 期 の 約 束 手 形 を 利 用 することで 所 得 計 上 を 長 期 にわたっ て 繰 り 延 べするとともに 同 オプションの 権 利 行 使 による 所 得 を 譲 渡 関 係 者 に 付 け 替 える

ことにより 所 得 分 散 を 図 る 行 為 であって IRS はこれを 指 定 取 引 として 指 定 する 通 牒 を 発 し 種 々の 規 制 を 行 っている 筆 者 は 我 が 国 においても 従 業 員 等 に 対 する 私 募 形 態 による 有 償 の 新 株 予 約 権 いわゆる 有 償 ストック オプションの 付 与 の 増 加 に 伴 い 米 国 の 指 定 取 引 と 同 様 に 有 償 ストック オプションの 譲 渡 を 通 じた 株 式 の 値 上 がり 益 の 付 け 替 え 等 の 操 作 が 可 能 になってきていることに 鑑 み 当 該 ストック オプションの 譲 渡 に 係 る 関 連 税 制 の 見 直 しの 必 要 性 を 指 摘 する 第 3 節 トータル リターン スワップの 課 税 上 の 取 扱 いについて 期 末 時 価 評 価 は 万 能 か? 本 節 においては 筆 者 が 金 融 商 品 取 引 についての 先 進 国 である 米 国 における 税 制 に 注 目 して 調 査 研 究 していく 過 程 で スワップ 取 引 に 係 る 内 国 歳 入 規 則 の 改 正 案 が 提 案 されてい ることを 把 握 し 我 が 国 における 期 末 時 価 評 価 制 度 においても 今 後 の 検 討 の 必 要 性 が 生 ず るのではないかという 問 題 意 識 から 主 に 当 該 改 正 案 を 素 材 として 調 査 研 究 した 結 果 がま とめられている その 内 容 は スワップ 取 引 についての 問 題 点 を 踏 まえたものであり こ の 視 点 は 実 務 的 な 経 験 の 豊 富 な 筆 者 のスタンスからのものであり 筆 者 による 研 究 の 独 自 性 が 窺 われる 具 体 的 な 内 容 としては スワップ 取 引 についての 期 末 時 価 評 価 を 行 う 場 合 には 当 該 スワップ 取 引 において 多 額 な 一 括 支 払 額 が 規 定 されている 取 引 については 単 に 当 該 キャッシュ フローの 割 引 現 在 価 値 に 基 づく 評 価 ではなく 当 該 一 括 支 払 額 につ いては スワップ 取 引 から 分 離 して 消 費 貸 借 契 約 として 課 税 する 必 要 性 が 主 張 されている なお 本 節 において 紹 介 された 改 正 案 では 不 確 定 な 支 払 額 のあるスワップ 取 引 につい て 確 定 スワップ 方 式 という 複 雑 な 損 益 計 算 方 法 も 提 案 されている 第 4 節 米 国 におけるデリバティブ 取 引 を 用 いた 節 税 策 に 対 する 規 制 の 概 要 本 節 は スワップ 取 引 に 係 る 内 国 歳 入 規 則 の 改 正 案 において 不 確 定 な 支 払 額 のあるスワ ップ 取 引 について 確 定 スワップ 方 式 という 損 益 計 算 方 法 が 提 案 されていることを 受 け て 同 提 案 の 背 景 を 理 解 する 上 での 参 考 として 種 々の 規 制 について 概 観 したものであって 具 体 的 には 内 国 歳 入 規 則 に 定 める 確 定 債 権 方 式 それに 平 行 して 制 定 された デリバティブ 取 引 を 用 いた 節 税 策 の 効 果 を 減 殺 するための3 法 制 における 諸 規 制 すなわち 特 定 の 金 融 取 引 からの 収 益 の 所 得 区 分 変 更 値 上 がりした 金 融 ポジションに 対 するみなし 売 却 処 理 及 びみなし 所 有 権 取 引 による 収 益 といった 規 制 に 分 析 を 加 えている そして 筆 者 は 米 国 の 税 制 を 含 む 法 制 度 が 我 が 国 と 大 きく 異 なるため 上 の 諸 規 制 の 背 景 となった 問 題 が 我 が 国 においても 顕 在 化 するとは 限 らないとしつつも 経 済 取 引 や 資 産 運 用 のグローバル 化 の 中 で 国 際 的 な 税 制 の 調 和 が 課 題 となっている 昨 今 米 国 におけるデリバティブ 取 引 を 含 め た 金 融 商 品 取 引 課 税 の 現 状 やその 動 向 について 今 後 も 注 目 していく 必 要 があることを 指 摘 する 第 2 章 金 融 商 品 課 税 面 の 幾 つかの 論 点 第 1 節 米 国 における 金 利 スワップ 取 引 の 税 務 上 の 時 価 評 価 に 関 する 論 点 について 企 業 会 計 と 税 務 会 計 との 調 整 上 の 留 意 点 本 節 では 米 国 における 金 利 スワップ 取 引 の 期 末 時 価 評 価 について 歴 史 的 な 裁 判 である JPMorgan Chase 事 件 を 素 材 として 金 利 スワップ 取 引 の 期 末 時 価 評 価 における 未 実 現 の 信 用 リスク 及 び 末 発 生 の 事 務 管 理 費 用 の 取 扱 いについての 米 国 における 論 点 について Linda M. Beale ウェイン 州 立 大 学 教 授 の 論 文 を 参 照 に 展 開 されている 本 件 では 企 業 会 計 上 は 想 定 される 種 々のリスクに 対 処 するため 引 当 金 ないし 準 備 金 が 計 上 され その 計 上 に 伴 う 費 用 の 認 識 が 行 われるが 課 税 上 は そのような 計 上 が 恣 意 的 に 行 われ 得 ることやいわゆる 債 務 確 定 主 義 に 基 づく 原 則 的 な 費 用 の 認 識 と 整 合 性 がない ことなどから 一 部 の 例 外 を 除 いて 法 人 税 法 上 の 損 金 として 認 められていない 我 が 国 の 状 況 に 触 れた 上 で それは 米 国 においても 同 様 であり 争 点 となった 未 実 現 の 信 用 リスクや

未 発 生 の 事 務 管 理 費 用 については 課 税 上 の 費 用 として 認 識 されないが 期 末 時 価 評 価 を 通 じて 実 質 的 にそのような 未 実 現 の 信 用 リスクや 未 発 生 の 事 務 管 理 費 用 について 引 当 金 ないし 準 備 金 を 計 上 することと 同 様 の 多 額 の 節 税 効 果 が 発 生 することから 課 税 庁 であ る 内 国 歳 入 庁 が 問 題 視 したことが 紹 介 されている 第 2 節 スワップ 取 引 における 自 己 側 信 用 リスクの 課 税 上 の 取 扱 い( 試 論 ) JPMorgan Chase 事 件 訴 訟 の 終 結 を 踏 まえて 本 節 では 上 記 訴 訟 の 終 結 を 受 けてその 確 定 判 決 の 内 容 及 び 判 示 事 項 を 紹 介 するととも に 併 せて スワップ 取 引 の 期 末 時 価 評 価 において 上 記 訴 訟 で 問 題 とされたような 取 引 相 手 先 の 信 用 リスクではなく 取 引 当 事 者 自 身 の 信 用 リスク( 自 己 側 信 用 リスク)の 課 税 上 の 取 扱 いについての 問 題 提 起 がなされている JPMorgan Chase 事 件 判 決 によって 未 実 現 の 信 用 リスク 及 び 未 発 生 の 事 務 管 理 費 用 に ついても 金 利 スワップ 取 引 の 期 末 時 価 評 価 の 対 象 となることが 確 認 されたことが 紹 介 され 金 融 工 学 的 手 法 に 基 づく 期 末 時 価 評 価 においては 実 質 的 な 将 来 キャッシュ フローに 注 目 することから これまでの 債 務 確 定 主 義 による 費 用 認 定 方 法 が 必 ずしも 有 効 とはされ ないことを 意 味 しているとの 評 価 が 筆 者 によって 下 されている 加 えて スワップ 取 引 の 期 末 時 価 評 価 において 今 後 検 対 していくべき 論 点 として 自 己 側 信 用 リスクを 踏 まえた 期 末 時 価 評 価 を 課 税 上 どのように 行 うべきか という 点 についても 検 討 されている また 課 税 上 も 自 己 側 信 用 リスクの 評 価 を 行 うとすれば どの 類 似 取 引 とのバランスを 重 要 視 す るかによって 評 価 額 が 異 なり 得 ることから 本 節 では その 点 について 具 体 的 に 試 算 し その 影 響 度 合 いについての 検 討 がなされている 第 3 節 FX 取 引 における 損 益 の 確 定 時 期 について FX 取 引 のFXスワップ 取 引 内 包 性 本 節 は 所 得 税 法 上 のFX 取 引 の 損 益 の 確 定 が 日 々 行 われるのか それとも 反 対 売 買 により 最 終 的 な 決 済 が 行 われる 日 に 行 われるのかが 争 点 となった 審 査 請 求 事 案 を 素 材 とし て バイファケーションの 考 え 方 によれば FX 取 引 の 損 益 の 確 定 は 日 々 行 われると 認 識 すべきであり これまでの 課 税 実 務 上 の 取 扱 いについても 一 貫 性 に 乏 しいものであると 考 えられる 点 についての 問 題 提 起 が 行 われている FX 取 引 は スポット 取 引 と 呼 ばれる 外 貨 ポジションを 取 得 ないし 売 却 するための 通 常 の 為 替 取 引 と ロールオーバーと 呼 ばれる 決 済 の 繰 延 べを 実 現 するために 当 該 ポジション の 保 有 期 間 中 毎 日 行 われるFXスワップ 取 引 に 分 解 (バイファケーション)することが 可 能 であると 考 えられ そのように 認 定 することで FXスワップ 取 引 が 毎 日 行 われること により 日 々いわゆる 円 転 が 繰 り 返 されることから 損 益 が 日 々 確 定 すると 考 えられるこ との 妥 当 性 を 明 らかにした 筆 者 の 指 摘 は 評 価 できる 第 3 章 租 税 分 野 への 数 理 学 的 アプローチ 第 1 節 倍 半 基 準 による 推 計 課 税 の 数 理 学 的 構 造 に 関 する 一 考 察 課 税 の 根 拠 となる 所 得 資 料 がない 場 合 に 同 規 模 同 業 者 の 原 価 売 上 利 益 等 の 資 料 から 推 計 対 象 者 の 所 得 を 推 計 する 実 務 的 方 法 として 発 達 してきた 倍 半 基 準 ( 事 業 規 模 等 を 表 す 収 入 等 の 指 標 について その 値 が 推 計 対 象 者 の 値 の2 倍 以 内 半 分 以 上 の 同 業 者 を 比 準 同 業 者 として 同 規 模 とみなす 手 法 )について 推 計 に 使 う 比 率 の 採 り 方 によって 所 得 推 計 値 が 異 なり その 大 小 関 係 が 変 動 しうること 具 体 的 には 例 えば 仕 入 原 価 率 と 売 上 高 利 益 率 から2 段 階 で 推 計 する 間 接 方 式 と 仕 入 金 額 所 得 額 比 率 から 推 計 する 一 括 方 式 では 後 者 によることにより 一 般 的 に 所 得 推 計 値 が 大 きくなることを 数 理 学 的 に 論 証 している また 売 上 高 利 益 率 から 推 計 する 方 式 が 判 例 で 認 められてきたことに 鑑 みれば 間 接 方 式 によることとすべきとしても 特 に 本 節 で 取 り 上 げたような 一 部 の 売 上 原 価 による 推 計 事 案 の 場 合 には 必 ずしも 一 部 の 売 上 原 価 と 全 体 的 な 売 上 原 価 との 間 に 比 例 的 な 関 係 があ

るとは 限 らないことから 推 計 の 各 段 階 で 事 業 規 模 の 指 標 を 変 えて 同 規 模 同 業 者 を 再 選 定 するように 間 接 方 式 を 改 めるのが 推 計 対 象 者 と 比 準 同 業 者 の 売 上 金 額 の 類 似 性 を 確 保 す る 上 で 適 切 だと 論 じている 第 2 節 馬 券 裁 判 の 数 理 所 得 税 法 上 の 所 得 区 分 の 判 定 に 数 理 学 的 検 討 が 有 効 と 考 えられる 事 例 馬 券 の 払 戻 金 が 一 時 所 得 か 雑 所 得 かの 裁 判 に 関 連 してその 所 得 源 泉 性 の 有 無 について 統 計 確 率 論 的 知 見 から 分 析 を 試 みたものである 単 勝 式 馬 券 での 得 票 率 が 勝 率 と 比 例 的 な 関 係 が 統 計 的 に 存 在 するという 知 見 をもとに 特 定 事 例 を 題 材 に 馬 単 式 および 三 連 単 式 の 場 合 に 払 戻 倍 率 に 勝 率 確 率 を 乗 じた 馬 券 配 当 期 待 値 が1 倍 以 上 のものが 存 在 すること を 指 摘 し こうした 馬 券 を 集 中 的 かつ 継 続 的 に 購 入 すれば 収 益 が 期 待 できることを 数 理 学 的 に 論 証 している 継 続 的 に 収 益 獲 得 をめざす 馬 券 購 入 が 収 益 追 求 活 動 として 不 合 理 と はいえないこと したがって 所 得 源 泉 性 がありうることを 明 らかにしたものといえよう 本 章 は 長 年 にわたり 固 定 視 されてきた 事 項 について 数 理 学 的 観 点 から 分 析 し これま での 常 識 に 再 検 討 を 加 えた 論 考 である いずれも 特 定 の 事 例 を 題 材 としているが 論 証 は 数 学 的 になされているので 主 張 の 一 般 性 は 損 なわれない 論 説 は 数 理 的 論 理 を 追 いなが らも 実 務 面 に 配 慮 した 穏 当 なものであり 税 務 行 政 において 示 唆 に 富 むものと 評 価 される 第 4 章 裁 決 事 例 等 に 係 る 小 論 文 第 1 節 簡 易 課 税 制 度 における 事 業 認 定 について 本 節 は 消 費 税 法 の 簡 易 課 税 制 度 を 適 用 するに 当 たり いわゆる 擬 制 請 負 (または 偽 装 請 負 )が 消 費 税 法 施 行 令 第 57 条 に 規 定 される 第 四 種 事 業 か 第 五 種 事 業 かが 争 われた 事 案 の 裁 決 を 分 析 するものである 審 判 所 は 主 要 な 請 求 人 の 得 意 先 の 管 理 者 等 の 答 述 から 業 務 遂 行 に 当 たり 指 揮 命 令 等 を 行 っていないという 事 実 を 認 定 し 事 業 は 労 働 者 派 遺 業 に 該 当 し 第 五 種 事 業 に 区 分 されると 裁 決 した 筆 者 は 裁 決 の 結 論 を 支 持 しながらも 裁 決 が 覚 書 から 勤 務 時 間 や 時 間 給 を 基 礎 と して 算 定 していることを 請 負 否 定 理 由 の 一 つとして 挙 げていることにつき 状 況 証 拠 の 一 つにすぎず より 実 質 的 な 理 由 の 必 要 性 を 示 唆 する 規 制 緩 和 による 製 造 業 に 対 する 労 働 者 派 遣 事 業 の 解 禁 に 伴 い 労 働 法 制 面 での 擬 制 請 負 の 必 要 性 が 減 少 しても 消 費 税 法 上 の 節 税 メリットがあるため 業 種 分 類 に 基 づいた 現 行 の 簡 易 課 税 制 度 が 存 続 する 限 り 租 税 回 避 行 為 として 擬 制 請 負 による 労 働 者 派 遣 は 存 続 す る それゆえ 個 別 的 な 事 例 研 究 として このような 研 究 の 有 益 性 が 高 いものということ ができる 第 2 節 セール アンド リースバック 取 引 に 係 る 今 後 の 課 題 について 本 節 は セール アンド リースバック 取 引 (SLB 取 引 )が 融 資 みなしリース 取 引 であ るとして その 売 買 及 び 賃 貸 が 否 認 された 事 例 を 取 り 掛 かりの 素 材 として 取 り 上 げ SLB 取 引 がどのような 場 合 に 金 融 取 引 としてみなされるべきか 我 が 国 や 米 国 における 事 例 に ついて 検 討 を 加 えたうえで 分 析 するものである まず SLB 取 引 が 法 人 税 法 施 行 令 第 136 条 の 3 第 2 項 に 該 当 するとする 裁 決 を 分 析 する 続 いて 米 国 における 判 例 研 究 がなされ る 米 国 においては 特 別 な SLB 取 引 を 除 き 我 が 国 のような 一 般 的 な 税 法 上 の SLB 取 引 の 否 認 ないしみなし 規 定 はなく 判 例 法 に 基 づき 金 融 取 引 としての 該 当 性 が 判 断 される が 基 本 となる 判 例 = 連 邦 最 高 裁 判 決 = Frank Lyon 判 決 が 分 析 検 討 される 租 税 回 避 行 為 の 否 認 すなわち ある 行 為 が 租 税 回 避 行 為 であると 認 定 し 税 法 上 はそ の 効 果 を 否 認 することがいかなる 場 合 に 許 されるのか という 問 題 は 税 法 学 の 主 要 なテ ーマである 我 が 国 の 判 例 は 明 文 の 規 定 に 基 づかない 否 認 には 消 極 的 であるところ 我 が 国 の SLB 取 引 に 係 る 規 定 は 税 制 改 正 で 法 人 税 法 施 行 令 から 法 人 税 法 本 体 への 編 入 がな されることにより 租 税 法 律 主 義 違 反 という 批 判 は 回 避 されるに 至 った しかし 内 容 的

には 依 然 未 整 備 のところがあり 審 判 所 が SLB 取 引 についてその 実 体 を 認 定 するための 判 定 基 準 を 明 らかにしていく 必 要 性 が 大 きい そこで 本 論 文 のような 個 別 の 研 究 が 重 要 で あり 学 問 的 に 有 益 と 評 価 できる 第 3 節 所 得 税 法 施 行 令 第 94 条 第 1 項 第 2 号 の 射 程 について 本 節 は 賃 借 人 が 請 求 人 に 預 託 していた 保 証 金 で 返 還 不 要 とされた 金 員 ( 返 還 不 要 保 証 金 )の 性 格 をめぐる 研 究 である 賃 貸 借 契 約 終 了 前 に 賃 借 人 の 都 合 により 賃 貸 借 契 約 が 解 除 され 賃 貸 人 が 敷 金 等 の 返 還 を 免 除 される 場 合 この 経 済 的 利 益 について 臨 時 所 得 の 平 均 課 税 が 適 用 されるか 否 かが 争 われた 裁 決 の 研 究 である 論 点 は 中 途 解 約 の 際 に 授 受 される 金 員 に 損 害 賠 償 金 的 性 格 のものと 解 決 金 的 性 格 のものとが 混 在 する 場 合 のその 性 格 付 けである 原 則 的 には 解 決 金 的 性 格 のものについても 損 害 賠 償 金 であると 推 認 すること が 相 当 であるものの 民 法 上 の 判 例 学 説 が 約 定 額 が 損 害 に 比 して 著 しく 過 大 な 場 合 に 公 序 良 俗 違 反 を 理 由 に 一 部 無 効 とすることによって 事 実 上 減 額 を 認 めている 本 裁 決 では 賃 貸 人 である 請 求 人 に 係 る 事 実 認 定 のみに 基 づいて 裁 決 を 行 っているが 筆 者 は 本 件 のような 違 約 罰 的 な 違 約 金 については その 性 格 が 時 の 経 過 により 変 遷 して いく 事 情 の 有 無 契 約 時 における 当 事 者 の 意 図 当 該 金 員 の 支 出 時 あるいは 清 算 時 の 当 事 者 の 意 図 を 調 査 し 認 定 した 上 で 当 事 者 間 の 合 理 的 な 意 思 を 認 定 し それに 基 づいて 裁 決 を 行 うべきと 結 論 し 特 定 の 取 引 についてその 課 税 上 の 性 格 を 認 定 する 上 で 取 引 当 事 者 双 方 にとっての 当 該 取 引 の 性 格 について 十 分 に 調 査 し バランスのよい 安 定 感 のある 事 実 認 定 を 行 うことが 必 要 と 述 べる 本 論 文 は 個 別 の 税 法 事 例 研 究 として 積 極 的 に 評 価 し うる 第 4 節 生 命 保 険 年 金 二 重 課 税 分 かりやすく 説 得 力 のある 納 得 できる 裁 決 を 目 指 して 本 節 は いわゆる 二 重 課 税 問 題 として 世 間 の 注 目 を 浴 びた 事 案 に 関 する 研 究 である 本 裁 決 は 通 達 の 取 扱 いを 是 として 通 達 の 適 用 が 認 められないから 請 求 理 由 がないと する 論 理 構 造 に 問 題 があり 請 求 人 の 疑 問 に 応 えられていないとする 審 判 所 としては 保 険 金 に 係 る 基 本 権 と 支 分 権 との 相 違 あるいは 保 険 金 に 係 る 移 転 による 所 得 と 年 金 に 係 る 創 出 による 所 得 との 相 違 などを 説 示 した 上 で 本 件 非 課 税 規 定 に 対 する 審 判 所 としての 解 釈 を 明 らかにし その 解 釈 を 基 に 当 該 年 金 が 所 得 税 の 課 税 対 象 となるか 否 かを 積 極 的 に 説 明 すべきとする 本 件 通 達 のように 法 令 面 の 欠 缼 不 整 合 などの 不 都 合 を 課 税 庁 による 行 政 的 な 工 夫 により 回 避 しているような 取 扱 事 例 においては 当 該 取 扱 いの 当 不 当 が 争 点 となっていることを 認 識 し 当 該 取 扱 い 自 体 の 当 否 のみならず 当 該 取 扱 いの 射 程 外 とな る 場 合 の 妥 当 性 についても 裁 決 書 上 に 明 らかにすべきとする 本 件 各 審 級 の 判 決 についてはすでに 評 釈 が 多 数 あり 本 論 文 は 視 点 を 変 えて 裁 決 が 審 判 所 としての 考 え 方 を 分 かりやすく 説 得 力 のある 方 法 で 説 明 したかについて 検 証 す るものである 国 税 不 服 審 判 所 長 の 職 責 にあった 筆 者 によるいわば 同 僚 の 裁 決 の 批 評 は 鋭 く 有 益 である 論 文 審 査 の 要 旨 本 論 文 において 実 務 家 教 員 の 論 文 としてはまず 例 を 見 ない 優 れた 語 学 力 を 駆 使 しての 特 にアメリカの 租 税 法 分 野 の 法 令 や 関 係 論 文 を 渉 猟 しての 比 較 法 的 考 察 に 基 づく 我 が 国 租 税 法 のあり 方 に 関 する 諸 種 の 提 言 がなされているが これらは 大 いに 説 得 力 に 満 ちたも のであり この 意 味 で 本 論 文 は 研 究 者 教 員 のそれに 勝 るとも 劣 らない 高 度 な 学 術 論 文 と しての 豊 かな 内 実 を 有 していると 高 く 評 価 しうる たとえば 税 務 への 金 融 工 学 的 アプローチを 踏 まえた 法 的 分 析 を 試 みた 第 1 章 では 米 国 や 我 が 国 における 譲 渡 制 限 に 係 る 会 計 基 準 の 動 向 についての 数 理 的 検 証 を 含 む 精 緻 な 考 察 に 基 づいて 今 後 の 課 税 のあり 方 について 提 言 がなされているが これは 税 法 学 会 において

前 例 のない 独 創 的 なものと 高 く 評 価 しうるし また 我 が 国 におけるストック オプション の 濫 用 による 租 税 回 避 行 為 に 対 する 税 制 見 直 しの 必 要 性 の 指 摘 は 米 国 の 関 連 法 令 や 行 政 通 牒 法 改 正 の 動 向 等 についての 該 博 な 知 識 に 基 づく 我 が 国 の 税 制 のあり 方 への 貴 重 な 提 言 であり 高 い 評 価 に 値 しよう また 本 論 文 に 収 録 されている 諸 論 文 は すでに 学 会 において 高 く 評 価 されており 特 に 第 1 章 第 3 節 に 収 められているトータル リターン スワップの 課 税 上 の 取 り 扱 いに 関 する 論 文 および 第 2 章 第 3 節 のFX 取 引 における 損 益 の 確 定 時 期 についての 論 究 は それぞれ 現 在 の 租 税 法 の 体 系 書 の 最 高 峰 と 評 価 される 東 京 大 学 名 誉 教 授 金 子 宏 著 租 税 法 第 2 0 版 (2015 年 弘 文 堂 )に 引 用 されている 本 論 文 では その 題 名 租 税 法 と 数 理 が 示 すように その 際 だった 特 質 として 従 来 の 租 税 法 分 野 の 論 文 におそらく 前 例 のない 数 理 的 アプローチにより 租 税 法 のあり 方 に 対 す る 独 創 的 な 提 言 がなされていることを 挙 げうるが このような 提 言 が 当 審 査 委 員 会 もその 正 確 さを 検 証 した 実 証 的 推 論 によって 支 えられていることは 本 論 文 の 価 値 を 揺 るぎない ものとしていると 言 いうる このような 実 務 家 としての 知 識 を 駆 使 した 税 法 のあり 方 への 問 題 提 起 は 今 後 学 会 においてこれまでなかった 角 度 からの 新 たな 議 論 を 大 いに 喚 起 し 学 問 の 水 準 を 高 めることに 大 きな 貢 献 をなすものであると 評 しうる こうした 数 理 的 アプ ローチを 踏 まえた 提 言 は 各 章 に 見 られるが とりわけ 第 3 章 に 集 中 的 に 示 されていると 言 えよう 第 4 章 は 同 僚 審 判 官 による 各 種 裁 決 についての 事 例 研 究 であるが 各 裁 決 につき たと えば 裁 決 の 基 礎 にはより 実 質 的 な 理 由 が 必 要 であったことや バランスのよい 安 定 感 のあ る 事 実 認 定 が 必 要 であることを 指 摘 し あるいは 裁 決 が 審 判 所 としての 考 え 方 を わかり やすく 説 得 力 のある 方 法 で 説 明 したかを 検 証 するなど 本 研 究 には 同 僚 審 判 官 を 啓 発 するための 提 言 がちりばめられている このことは 裁 判 官 に 劣 らぬ 高 度 の 税 法 上 の 専 門 知 識 が 求 められる 審 判 官 の 中 にあって 筆 者 が 際 だった 指 導 的 な 立 場 を 大 いに 発 揮 していた という 事 実 の 証 左 となるものである 以 上 述 べたところから 明 らかなように 本 論 文 は 税 法 学 の 従 来 の 水 準 を 確 実 に 引 き 上 げるものであると 思 われ したがって 本 論 文 は 筆 者 に 博 士 ( 法 学 )の 学 位 を 授 与 する に 十 分 な 価 値 を 有 するものと 認 められる 審 査 結 果 の 要 旨 平 成 27(2015) 年 12 月 2 日 ( 水 )17 時 より19 時 まで 久 留 米 大 学 御 井 学 舎 法 学 部 長 室 において 開 催 された 口 頭 試 問 および 審 査 委 員 会 により 関 本 大 樹 氏 の 論 文 が 博 士 ( 法 学 )の 学 位 に 値 する 研 究 であることを 審 査 委 員 会 は 全 員 一 致 により 確 認 した