大 雨 時 の 農 作 物 被 害 軽 減 対 策 平 成 18 年 (2006 年 )6 月 26 日 農 業 振 興 課 Ⅰ 水 稲 1 大 雨 時 の 対 策 (1) 移 植 後 分 げつ 初 期 の 水 稲 は 深 水 となると 著 しい 分 げつ 抑 制 を 受 けるの で 深 水 状 態 が 長 く 続 かないようにす (2) 大 雨 が 予 想 される 場 合 は 除 草 剤 の 使 用 を 避 け 2 冠 水 した 時 の 対 策 (1) 排 水 できるだけ 排 水 に 努 め 少 しでも 早 く 葉 先 が 水 面 上 に 出 るようにす (2) 水 温 の 上 昇 防 止 高 水 温 濁 水 状 態 が 被 害 を 大 きくするので 水 温 の 低 下 と 濁 水 の 清 水 化 を 図 (3) 濁 水 の 停 滞 したほ 場 排 水 後 清 水 に 入 れ 替 え (4) 冠 水 田 の 水 管 理 冠 水 した 稲 は 体 内 水 分 を 失 いやすいので 急 に 落 水 せず 徐 々に 浅 水 とし 酸 素 供 給 のため できるだけ 新 しい 水 と 入 れ 替 え (5) 付 着 した 泥 の 除 去 冠 水 時 に 泥 等 が 付 着 した 場 合 には 同 化 や 呼 吸 の 妨 げとなるので 清 水 で 洗 い 流 す 3 土 砂 流 入 流 失 田 での 対 策 (1) 土 砂 流 入 田 稲 株 埋 没 田 稲 が 深 植 え 状 態 となり 酸 素 不 足 等 による 生 育 遅 延 が 起 こ 従 って 可 能 な 限 り 土 砂 の 搬 出 を 行 う 2 段 根 の 出 る 恐 れのあるものには 少 量 の 窒 素 追 肥 を 早 めに 行 い 泥 土 が 流 入 しているものは 追 肥 を 控 え (2) 土 砂 流 出 田 稲 株 流 失 田 土 砂 が 流 失 したほ 場 は 肥 料 を 分 施 すリン 酸 カリ 肥 料 を 増 やし 場 合 によってはケイ 酸 肥 料 を 施 用 す 移 植 限 界 内 であれば 植 え 替 えをするが 基 肥 の 量 は 普 通 栽 培 の50% 以 下 で 活 着 を 促 進 する 程 度 にとどめ 裁 植 密 度 は1~2 割 密 植 とす 4 病 害 防 除 (1) 冠 水 した 稲 は 白 葉 枯 病 等 が 発 生 しやすくなるので 減 水 後 薬 剤 散 布 す (2) 長 雨 日 照 不 足 が 続 く 場 合 には いもち 病 が 発 生 しやすくなるので 防 除 す 特 に 早 期 栽 培 では 紋 枯 病 に 注 意 す -1-
Ⅱ 大 豆 1 播 種 前 ほ 場 の 対 策 播 種 前 ほ 場 は 排 水 溝 を 設 置 し できるだけ 早 い 時 期 に 播 種 できるように す 2 播 種 後 出 芽 前 の 冠 水 による 発 芽 障 害 への 対 策 (1) 冠 水 時 間 と 発 芽 率 の 低 下 播 種 直 後 のほ 場 で 冠 水 すると 胚 乳 や 胚 軸 が 腐 敗 し 出 芽 が 著 しく 劣 特 に 土 壌 が 粘 質 な 場 合 は 被 害 が 大 きい (2) 対 策 1 ほ 場 が 冠 水 した 場 合 は 速 やかに 排 水 す 冠 水 しない 場 合 でも 降 雨 により 土 壌 孔 隙 に 水 が 溜 まるので ほ 場 の 排 水 に 努 め 2 半 日 以 内 の 冠 水 であれば 排 水 に 努 めて 土 壌 水 分 の 低 下 を 図 り 出 芽 状 況 を4~5 日 観 察 す 出 芽 が 不 良 であれば 播 き 直 しを 行 う 3 冠 水 が1 日 以 上 になると 発 芽 率 が 著 しく 低 下 し 出 芽 不 良 となるので 播 き 直 しを 行 う 4 播 き 直 しは 土 壌 水 分 が 低 下 して 播 種 が 可 能 になれば 速 やかに 行 う 土 壌 水 分 が 高 い 場 合 は 無 理 して 播 種 しない また 部 分 的 な 出 芽 不 良 の 場 合 は できるだけ 早 く 追 い 播 きす 播 き 直 しは サチユタカは7 月 上 旬 フクユタカは7 月 中 旬 までに 行 う なお 播 き 直 しの 播 種 量 は 苗 立 本 数 20 本 /m2を 確 保 する 量 とす 3 出 芽 後 初 生 葉 展 開 期 の 浸 水 冠 水 への 対 策 (1) 浸 水 冠 水 後 の 生 育 出 芽 すると 冠 水 への 抵 抗 性 は 比 較 的 強 くなるが 出 芽 直 後 に 長 時 間 滞 水 す ると 胚 軸 の 地 際 部 が 傷 んで 枯 死 する 場 合 があ 初 生 葉 が 展 開 すると 冠 水 による 枯 死 株 の 発 生 は 出 芽 直 後 より 少 なくないずれも 土 壌 の 通 気 性 が 悪 くなるので その 後 の 生 育 が 抑 制 されて 葉 色 の 黄 化 などの 症 状 が 現 れ (2) 対 策 1 浸 水 冠 水 すると 土 壌 の 表 面 が 固 くなって 土 壌 の 通 気 性 が 悪 くなるので 土 壌 水 分 が 低 下 するよう 排 水 に 努 め 2 ほ 場 に 入 れるようになったら できるだけ 早 く 中 耕 を 行 う 大 豆 の 生 育 が 第 1 本 葉 以 降 になったら 培 土 も 併 せて 行 う 培 土 の 高 さは 子 葉 節 程 度 とす 4 第 1 本 葉 期 以 降 の 浸 水 冠 水 への 対 策 (1) 浸 水 冠 水 後 の 生 育 第 1 本 葉 期 以 降 になると 冠 水 による 枯 死 株 の 発 生 は 少 なくな 通 常 第 1 本 葉 が 展 開 する 頃 から 根 粒 菌 が 着 生 してくるが 土 壌 の 通 気 性 が 悪 いと 根 粒 菌 が 着 生 できず 葉 色 が 黄 化 するなど 生 育 が 抑 制 され この 頃 になると 雑 草 もかなり 大 きくなってくるので 除 草 が 必 要 になっ てく -2-
(2) 対 策 1 ほ 場 の 排 水 に 努 め できるだけ 早 く 管 理 作 業 ができるようにす 2 ほ 場 に 入 れるようになったら できるだけ 早 く 中 耕 培 土 を 行 う 培 土 の 高 さは 大 豆 株 元 の 雑 草 を 覆 うために 初 生 葉 節 前 後 とす 3 曇 雨 天 候 が 続 き 中 耕 培 土 ができない 場 合 で イネ 科 雑 草 が 多 発 した 場 合 はイネ 科 雑 草 対 策 の 除 草 剤 を 適 期 散 布 す Ⅲ 野 菜 1 根 群 の 生 育 回 復 (1)ほ 場 の 周 囲 に 明 きょを 掘 って ほ 場 内 の 速 やかな 排 水 に 努 め (2) 畦 間 の 滞 水 によりポリマルチをした 畦 内 が 過 湿 状 態 になった 場 合 は マル チをめくって 土 壌 を 乾 かし 畦 内 の 通 気 性 を 高 め (3) 根 が 洗 われて 露 出 したり 株 元 がぐらつくものは 軽 く 土 寄 せを 行 う (4) 雨 でたたかれて 固 くしまった 苗 床 やほ 場 では ある 程 度 乾 いてから 軽 く 中 耕 を 行 う (5) 一 時 的 な 水 分 過 多 により 根 が 地 表 面 に 多 くなると 水 害 後 の 高 温 乾 燥 害 を 受 けやすくなるので 土 壌 が 適 湿 になり 次 第 通 路 の 土 を 根 元 に 寄 せて 敷 きワラを 行 う (6) 土 砂 が 流 入 し 株 元 が 埋 まった 場 合 には 土 砂 を 除 去 したり 流 入 堆 積 した 表 土 が 乾 いて 固 くならないうちに 中 耕 して 通 気 を 良 くし 乾 燥 を 促 すように す 2 地 上 部 の 生 育 回 復 (1) 葉 や 茎 に 泥 が 付 着 している 場 合 は 光 合 成 作 用 を 阻 害 するので 病 害 防 除 を 兼 ねて できるだけ 早 めに 野 菜 の 種 類 に 応 じて 登 録 のある 殺 菌 剤 を 散 布 し 泥 を 洗 い 落 とす 特 に イチゴやダイコン 等 の 幼 植 物 は 芯 部 の 泥 を 丁 寧 に 洗 い 流 すようにす (2) 果 菜 類 の 場 合 は 特 に 開 花 成 熟 期 に 入 ったものは 被 害 が 大 きい 草 勢 の 衰 弱 した 株 では 果 実 の 若 どりや 摘 果 ( 花 )を 行 い 草 勢 の 回 復 を 図 過 繁 茂 した 茎 葉 は 間 引 きせん 定 を 行 い 下 葉 や 病 葉 を 除 去 して 通 風 をよくするな どして 地 上 部 の 負 担 をできるだけ 軽 減 する 必 要 があ (3) 根 が 衰 弱 し 養 分 吸 収 機 能 が 低 下 すると 肥 切 れ 状 態 や 微 量 要 素 欠 乏 を 起 こ しやすくなるので 草 勢 の 回 復 を 図 るため 必 要 に 応 じて 尿 素 (0.5% 液 )や 葉 面 散 布 剤 を 散 布 す トマトやピーマンのように 石 灰 欠 乏 ( 尻 腐 れ)を 起 こしやすいものでは 塩 化 カルシウムの200~300 倍 を 梅 雨 明 けから 定 期 的 に 散 布 すまた ナス トマトなどで 発 生 しやすい 苦 土 欠 乏 症 には 硫 酸 マグネシウムの60~100 倍 液 を 定 期 的 に 葉 面 散 布 したり 硫 酸 マグネシウムを10a 当 たり20~30kg 土 壌 施 用 して 防 止 に 努 め (4) 病 害 の 多 発 が 予 想 されるので 病 害 の 早 期 防 除 に 努 め 施 設 野 菜 では ハウス 内 が 過 湿 にならないよう 換 気 に 努 め -3-
3 作 付 けのやり 直 し 強 度 の 浸 水 冠 水 により 立 ち 直 りが 期 待 できない 場 合 には できるだけ 早 く 播 き 直 しを 行 うか 他 の 作 目 に 作 付 け 転 換 することも 必 要 であ この 場 合 適 応 作 目 及 び 品 種 の 選 択 と 生 育 促 進 のための 管 理 技 術 を 適 切 に 行 う ことが 大 切 であ 特 に 品 種 選 択 に 当 たっては 適 地 性 と 市 場 動 向 を 十 分 考 慮 す る 必 要 があ Ⅳ 花 き 1 排 水 対 策 (1) 露 地 花 きでは 畦 間 に 滞 水 しないように 明 きょの 溝 上 げを 徹 底 し 速 やか にほ 場 外 に 排 水 できるようにす (2) 施 設 花 きでは ハウス 内 に 浸 水 しないようにハウス 周 囲 に 明 きょを 設 置 す 2 病 害 対 策 (1) 降 雨 が 続 くとキクでは 黒 斑 病 ユリ 類 リンドウでは 葉 枯 病 が 発 生 しやす くなるので 雨 上 がりには 防 除 を 徹 底 す 降 雨 が 続 き 病 害 が 蔓 延 を 始 め るようであれば 雨 の 止 み 間 に 防 除 を 行 う( 雨 間 雨 中 散 布 ) (2) 施 設 栽 培 では 灰 色 かび 病 などの 発 生 が 多 くなるので 防 除 を 徹 底 す 水 和 剤 等 はハウス 内 の 湿 度 を 上 げるので 登 録 のある 燻 煙 剤 を 利 用 す 3 湿 度 低 下 対 策 (1) 施 設 花 きでは 湿 度 が 高 くなると 病 害 の 発 生 軟 弱 な 生 育 が 多 くなるの で 換 気 の 徹 底 や 循 環 扇 加 温 機 を 利 用 して 湿 度 低 下 に 務 め (2) 不 要 な 枝 梢 や 下 葉 を 取 り 除 き 通 風 を 図 Ⅴ 果 樹 1 排 水 対 策 長 雨 による 酸 素 不 足 で 根 痛 みが 懸 念 されることから 排 水 溝 により 雨 水 を 効 率 よく 園 外 に 排 出 する 等 排 水 対 策 を 徹 底 す 特 に 幼 木 では 梅 雨 明 け 後 の 急 激 な 乾 燥 にも 対 応 できるよう 根 痛 みを 起 こさ ないように 注 意 す 2 新 梢 管 理 による 日 照 改 善 日 照 不 足 による 果 実 肥 大 不 良 品 質 低 下 が 懸 念 されるため 新 梢 の 誘 引 やシル バーマルチ 等 による 樹 冠 内 の 日 照 改 善 を 図 3 適 正 結 果 量 の 確 保 果 実 肥 大 不 良 や 生 理 落 果 過 多 が 懸 念 されるので 生 理 落 果 等 の 推 移 を 見 ながら 適 正 結 果 量 の 確 保 に 努 め 4 病 害 虫 防 除 カンキツの 黒 点 病 ナシの 黒 斑 病 ブドウの 黒 痘 病 等 病 害 虫 防 除 を 的 確 に 行 う -4-
5 生 理 障 害 への 対 応 ナシの 水 浸 状 果 や 受 粉 樹 の 花 芽 着 生 不 良 ブドウの 縮 果 病 等 の 生 理 障 害 の 発 生 が 懸 念 されるので 的 確 な 対 応 が 出 来 るよう 注 意 す 6 水 害 への 対 応 (1) 浸 水 園 では 早 めに 排 水 に 努 めるとともに 堆 積 土 のある 場 合 は 早 期 に 除 去 す (2) 根 が 露 出 している 場 合 は 早 急 に 覆 土 す (3) 樹 体 に 付 着 した 泥 は 速 やかに 洗 い 落 とす -5-