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目 次 (1) 睡 眠 とは (2) 現 代 医 学 からみた 不 眠 のタイプ 1 寝 つきが 悪 い 2 中 途 覚 醒 3 熟 眠 障 害 4 早 朝 覚 醒 5 覚 醒 障 害 6 夢 の 障 害 (3) 不 眠 を 起 こす 主 な 病 気 (4)その 他 の 原 因 による 不 眠 1 加 齢 による 不 眠 2 精 神 生 理 性 不 眠 (5) 中 医 学 の 視 点 からみた 不 眠 のタイプと 治 療 法 1 肝 鬱 化 火 による 不 眠 2 痰 熱 による 不 眠 3 心 脾 両 虚 による 不 眠 4 心 腎 不 交 による 不 眠 5 心 胆 気 虚 による 不 眠 5つのタイプの 不 眠 の 発 生 メカニズムの 図 精 神 的 要 因 が 他 臓 腑 に 与 える 影 響 の 図 (6) 不 眠 と 七 情 五 臓 の 関 係 1/30

不 眠 と 関 係 の 深 い 臓 腑 とその 生 理 の 図 (7) 症 例 症 例 1 女 性 57 歳 主 婦 ( 肝 鬱 化 火 よる 不 眠 ) 症 例 2 女 性 61 歳 主 婦 ( 痰 熱 上 擾 による 不 眠 ) 方 解 の 図 (8) 結 語 2/30

睡 眠 とは 何 か? 睡 眠 は 人 間 が 生 きていくために 不 可 欠 なものである 眠 りたいという 気 持 ちは 少 しでも 長 生 きしたい 食 べたいなどの 気 持 ちと 同 じ 生 理 的 欲 求 の 一 つなのである 然 るに 人 間 にとっては 眠 れるのが 当 然 で 誰 でも 習 わなくても 生 まれたときから 自 然 に 行 う 営 みなのである 中 医 学 の 視 点 から 不 眠 のメカニズムを 分 析 する では なぜ 私 たちは 不 眠 症 になるのであろうか 何 らかの 疾 病 が 原 因 で 眠 れない 原 因 が 明 らかな 不 眠 症 もある しかし 不 眠 の 中 で 60% 以 上 は 心 因 性 のものであると 言 われている 対 処 法 としては 精 神 安 定 剤 および 入 眠 剤 の 使 用 が 多 くを 占 める しかし それだけで 心 因 性 のものに 対 して 根 本 的 な 改 善 がはかれる のであろうか 本 論 では 心 理 的 なもの および 生 活 習 慣 がどのように 身 体 に 影 響 を 与 えるのか 中 医 学 の 視 点 から 分 析 する 最 後 に 症 例 を 通 して 心 因 性 の 不 眠 症 の 根 本 的 な 解 決 のために 何 が 大 切 か 検 証 する さらに 生 活 習 慣 によって 引 き 起 こされる 不 眠 につい ても 考 察 する 3/30

その 前 に 睡 眠 のメカニズムを 簡 単 に 理 解 しましょう 睡 眠 はレム 睡 眠 とノンレム 睡 眠 から 成 り 立 っています ノンレム 睡 眠 とレム 睡 眠 をワンセットにして 睡 眠 の 一 単 位 といい 大 体 90 分 から 100 分 の 周 期 で 繰 り 返 されます 以 下 の 表 のように 1 日 6 時 間 ~8 時 間 眠 るとすれば この 睡 眠 の 一 単 位 が 4 回 ~5 回 繰 り 返 されるわけです 睡 眠 の 深 さ 覚 醒 1 段 階 睡 眠 の 段 階 2 段 階 3 段 階 4 段 階 1 2 3 4 5 6 7 8 睡 眠 時 間 =レム 睡 眠 4/30

不 眠 症 の 人 は この 第 3 第 4 段 階 の 深 い 眠 りが 無 くなり 第 1 第 2 段 階 の 浅 い 眠 りばかりになっていると 考 えられます さて 不 眠 症 の 人 のように 第 1 段 階 第 2 段 階 の 浅 い 眠 りしかと れないと 起 床 時 に 頭 がボーっとするなど 熟 睡 感 が 持 てません しかし このような 不 快 感 の 一 部 は 不 眠 そのものよりも むしろ よく 眠 れたという 満 足 感 がないことや 眠 れなかったことに 対 する 失 望 あるいは 睡 眠 不 足 で 健 康 を 害 したり 大 切 なことに 集 中 でき ないのではないかという 不 安 など 心 理 的 な 影 響 によるものが 大 き いと 考 えられます また 不 眠 症 の 人 は 他 人 にはすやすやと 眠 っているように 見 えて も 深 い 眠 りに 入 っていないため ちょっとした 刺 激 ですぐに 目 が 覚 めてしまいます ノンレム 睡 眠 とは ノンレム 睡 眠 とは 脳 が 眠 り 身 体 が 起 きている 睡 眠 で 精 神 面 で の 休 養 と 身 体 機 能 の 回 復 を 行 う 睡 眠 です 1 体 温 が 下 がり 代 謝 活 動 が 最 低 になってエネルギーを 温 存 し 組 織 の 成 長 や 回 復 を 行 います 体 温 が 下 がると 血 液 の 温 度 も 下 がるの で それによって 脳 のオーバーヒートを 防 いでいます 5/30

2 副 交 感 神 経 系 が 優 位 となり 呼 吸 もゆるやかになり 心 拍 数 が 下 がります 2 深 いノンレム 睡 眠 中 は 脳 下 垂 体 前 葉 からの 成 長 ホルモンの 分 泌 が 一 日 のうちで 最 も 盛 んになります 成 長 ホルモンには 身 体 活 動 に 必 要 な 物 質 を 合 成 し 蓄 え 不 要 なも のを 排 泄 させる 働 きがあるのです 成 長 ホルモンによって 新 陳 代 謝 が 活 発 になり 組 織 の 修 復 や 機 能 回 復 が 行 われるのです すなわち 疲 労 の 回 復 です 4 筋 肉 に 送 られる 血 液 の 量 が 多 くなり 体 力 を 回 復 させます レム 睡 眠 とは レム 睡 眠 時 は 眼 球 がまぶたの 下 で 左 右 を 見 るように 激 しく 動 い ています ですから REM(Rapid Eye Movement) 睡 眠 と 名 づけら れました 実 はレム 睡 眠 中 は 目 覚 めているときよりも 交 感 神 経 系 が 活 発 にな っているのです 脳 の 血 流 量 が 増 して 自 律 神 経 機 能 である 血 圧 や 心 拍 数 はあがり 不 規 則 に 変 化 しています 6/30

レム 睡 眠 とは 脳 が 目 覚 めていて 身 体 が 休 んでいる 睡 眠 なのです 眼 球 が 激 しく 動 いているときに 生 活 の 中 で 様 々な 思 考 や 判 断 感 情 の 処 理 記 憶 など 膨 大 な 量 の 情 報 に 触 れていますが 大 脳 はそ れらの 情 報 を 頭 のなかのノートにきれいに 整 理 し 直 しているのです レム 睡 眠 中 に 脳 は 一 日 に 得 た 情 報 を 保 管 し これまでの 情 報 と 組 み 合 わせて 再 編 成 し より 使 いやすいように 必 要 な 情 報 を 優 先 順 位 に 合 わせて 並 び 替 えているのです ですから レム 睡 眠 がとれないと 学 ぶ 考 る 記 憶 するなどの 日 常 の 行 動 に 大 きな 支 障 が 生 じるのです またレム 睡 眠 は 脳 細 胞 を 休 息 させ セロトニンなどの 神 経 伝 達 物 質 の 補 給 を 行 います 神 経 伝 達 物 質 は 正 常 な 精 神 活 動 を 行 うために 欠 かせないものなので すが 激 しいストレスや 感 情 の 刺 激 過 剰 な 精 神 活 動 などによって ひどく 消 耗 してしまうのです さらに レム 睡 眠 時 には 肉 体 疲 労 の 回 復 が 行 われています また レム 睡 眠 は ノンレム 睡 眠 を 繰 り 返 すたびに 段 々 長 くなりま す 夜 の 睡 眠 が 短 いと あけがたに 現 れる 長 いレム 睡 眠 がなくなってし 7/30

まうのです ですから 本 当 に 心 身 を 休 めるためにはある 程 度 の 睡 眠 時 間 が 必 要 であるといえるのです (2) 現 代 医 学 からみた 不 眠 のタイプ 1 睡 眠 の 障 害 睡 眠 の 障 害 には 1 寝 つきが 悪 い( 床 に 入 ってもなかなか 寝 つけな い) 2 中 途 覚 醒 ( 寝 ている 途 中 で 何 度 も 目 が 覚 める) 3 熟 眠 障 害 ( 眠 りが 浅 く ぐっすり 眠 れない) 4 早 朝 覚 醒 ( 朝 早 く 目 が 覚 めて しまって それから 寝 つけない) 5 覚 醒 障 害 ( 寝 覚 めが 極 端 に 悪 い) 6 夢 の 障 害 (よく 夢 を 見 る 悪 夢 にうなされるなど)のタイプがあ ります 2 不 眠 を 起 こす 主 な 病 気 1 神 経 症 心 身 症 による 不 眠 2 睡 眠 時 無 呼 吸 症 候 群 3 高 血 圧 症 動 脈 硬 化 症 4 前 立 腺 疾 患 5 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 8/30

6うつ 病 統 合 失 調 症 その 他 の 原 因 による 不 眠 1 精 神 生 理 性 不 眠 2 加 齢 による 不 眠 9/30

一. 中 医 学 の 視 点 からみた 不 眠 タイプと 治 し 方 不 眠 の 病 因 病 理 は 次 の5つのタイプに 分 けて 考 えられる 1 肝 火 による 不 眠 2 痰 熱 による 不 眠 3 心 脾 両 虚 による 不 眠 4 心 腎 不 交 による 不 眠 5 心 胆 気 虚 による 不 眠 1 肝 鬱 化 火 による 不 眠 情 志 抑 鬱 によって 肝 の 条 達 が 失 調 し この 状 態 が 改 善 されないと 化 火 しや すい 火 の 性 質 は 上 炎 であるため 心 神 を 撹 乱 して 心 神 不 安 になり 不 眠 が 引 き 起 こされる 症 状 : 不 眠 情 緒 が 激 しく 変 動 しやすい 食 欲 がない 喉 が 渇 いて 冷 たいものを 飲 みたがる 目 が 赤 い 口 苦 尿 黄 便 秘 舌 質 淡 舌 苔 黄 脈 弦 数 治 法 : 疏 肝 瀉 火 寧 心 安 心 処 方 : 肝 喩 行 間 足 竅 陰 神 門 風 池 10/30

方 義 : 肝 兪 で 泄 火 行 間 で 平 肝 をはかる 足 竅 陰 は 点 刺 出 血 を 施 すことで 降 火 して 除 煩 することができる さらに 神 門 によって 安 神 をはかる 風 池 は 局 所 取 穴 に 属 し 頭 痛 めまいなどの 症 状 に 効 果 がある 2 痰 熱 による 不 眠 痰 熱 の 発 生 はまず 湿 の 発 生 に 始 まる 過 剰 な 飲 食 ( 脂 っこいもの 甘 いも の 味 の 濃 いもの 冷 たいもの 飲 酒 ) 季 節 の 影 響 ( 梅 雨 や 高 湿 度 )な どにより 胃 の 受 納 や 脾 の 運 化 機 能 が 失 調 し 食 物 が 胃 腸 に 停 滞 し 消 化 できなくなると 湿 を 発 生 する 湿 が 凝 集 したものが 痰 であり 湿 も 痰 も 陰 に 属 し 動 きが 鈍 く 一 箇 所 にず っととまって 停 滞 する 停 滞 が 長 引 くと 痰 は 熱 に 変 わりやすく 熱 の 性 質 によって 痰 と 熱 がいっしょになって 上 昇 して 心 神 を 犯 して 不 眠 を 生 じさせる 症 状 : 痰 が 多 い 胸 悶 感 がある 心 煩 呑 酸 吐 き 気 口 苦 口 臭 頭 重 めま い 舌 苔 は 厚 膩 で 黄 脈 は 弦 滑 数 治 法 : 清 熱 化 痰 和 胃 安 神 処 方 : 中 脘 豊 隆 内 関 厲 兌 少 府 陰 白 方 義 : 中 脘 は 胃 の 募 穴 であり 足 陽 明 胃 経 の 経 絡 である 豊 隆 と 配 合 して 和 胃 化 痰 をはかる 内 関 は 手 厥 陰 心 包 経 の 穴 で 陰 維 脈 に 通 じ 和 胃 安 神 をはかる ことができる 陰 白 は 脾 経 の 井 穴 であり 厲 兌 は 胃 経 の 井 穴 で 瀉 熱 安 神 の 作 用 を 持 つ 少 府 は 心 経 の 穴 で 清 心 導 火 の 作 用 を 持 つ 3 心 腎 不 交 による 不 眠 ストレスや 過 剰 な 精 神 活 動 によって 喜 怒 思 悲 恐 の 五 志 が 限 度 を 超 えて 働 くと 心 火 内 熾 の 状 態 となり 心 火 が 亢 逆 し 下 って 腎 と 交 わり をもてなくなる 心 腎 が 交 わりを 失 うと 心 火 は 亢 盛 し その 熱 は 神 明 を 擾 11/30

し 不 眠 を 引 き 起 こす また 身 体 が 虚 弱 慢 性 疾 患 房 事 過 多 などによって 腎 陰 が 損 傷 すると 腎 水 が 不 足 し 上 昇 して 心 陰 を 養 うことができなくなる そのため 心 陰 が 不 足 し 心 陽 が 亢 盛 になる 症 状 : 不 眠 心 煩 心 悸 不 安 めまい 耳 鳴 津 液 が 少 なく 喉 が 渇 く 腰 部 酸 痛 夢 精 忘 れっぽい 舌 質 は 紅 で 少 苔 脈 は 細 数 治 法 : 交 通 心 腎 清 心 安 神 処 方 : 腎 兪 心 兪 太 谿 大 陵 太 衝 神 門 方 義 : 腎 兪 太 谿 で 腎 陰 を 補 う 太 衝 で 虚 熱 を 降 ろし 大 陵 で 心 火 を 降 ろす ま た 心 兪 神 門 で 養 心 安 神 をはかる 太 谿 神 門 には 補 法 大 陵 太 衝 には 瀉 法 心 兪 腎 兪 には 平 補 平 瀉 法 を 施 す 4 心 胆 気 虚 による 不 眠 元 来 精 神 的 刺 激 に 対 して 敏 感 で 些 細 なことにまで 気 に 病 んだりものごと に 驚 いたりしやすい 人 が 極 度 の 精 神 的 刺 激 を 受 けると 胆 の 持 つ 決 断 の 機 能 が 失 調 し 終 日 ものごとにびくびくして 心 神 が 傷 つけられ 感 情 の 緊 張 状 態 が 持 続 することになる それが 長 く 続 くと 心 虚 胆 虚 となり 不 眠 をき たす 症 状 : 多 夢 驚 いて 目 を 覚 ましやすい 普 段 からものごとに 動 じやすい おどお どしている 心 悸 息 切 れや 倦 怠 感 尿 量 が 多 く 尿 の 色 は 清 澄 舌 質 は 淡 脈 は 弦 細 治 法 : 益 気 鎮 驚 安 神 定 志 処 方 : 胆 兪 神 門 合 谷 気 海 丘 墟 安 眠 方 義 : 胆 兪 丘 墟 神 門 にて 安 神 定 志 合 谷 気 海 にて 補 気 をはかる 安 眠 は 経 12/30

験 穴 である 5 心 脾 両 虚 による 不 眠 過 度 な 労 働 思 慮 過 度 は 心 脾 を 損 傷 しやすい 心 が 傷 つけられると 心 血 虚 を 招 き その 結 果 心 血 が 神 を 養 うことが 出 来 なくなって 神 志 を 司 れなく なる また 脾 が 傷 つけられると 飲 食 不 可 となり 気 血 の 生 成 が 十 分 出 来 なくな る このため 心 血 が 充 足 できなくなり 心 は 神 を 養 えなくなり 神 志 を 司 る 作 用 すなわち 精 神 活 動 に 支 障 を 来 し 心 神 不 安 を 招 いて 不 眠 を 起 こす 症 状 : 多 夢 目 が 覚 めやすい 心 悸 忘 れっぽい 無 力 元 気 がない 精 神 疲 労 しやすい 食 欲 不 振 顔 色 が 青 白 くツヤがない めまい 舌 質 は 淡 舌 苔 は 白 脈 は 細 弱 治 法 : 補 気 生 血 養 心 健 脾 処 方 : 脾 兪 心 兪 三 陰 交 安 眠 ( 奇 穴 ) 神 門 方 義 : 脾 兪 三 陰 交 で 健 脾 益 気 養 血 をはかり 心 兪 神 門 で 養 心 安 神 をはかる 安 眠 は 経 験 穴 である 気 血 が 充 分 に 生 成 され 心 血 が 充 足 すると 心 神 も 安 定 し 正 常 に 入 眠 することができる 13/30

長 期 にわたる 2014/04/29 悩 みや 0:45 5 つのタイプの 不 眠 の 発 生 メカニズム 怒 りにより 感 情 を 抑 肝 気 鬱 結 肝 鬱 化 火 肝 火 が 頭 部 を 上 擾 心 神 を 乱 す 圧 し 続 ける いらいらす る 情 緒 が 激 しく 変 動 しやすい 頭 暈 頭 痛 目 が 赤 い 舌 質 : 紅 舌 苔 : 黄 脈 : 弦 やや 数 治 法 疏 肝 瀉 火 寧 心 安 心 処 方 肝 喩 行 間 足 竅 陰 口 苦 喜 冷 飲 神 門 風 池 過 剰 な 飲 食 に よ る 食 積 な ど に よ り 内 湿 の 発 生 湿 が 凝 集 して 痰 湿 停 滞 が 長 引 くと 熱 化 しやすく 湿 を 助 長 して 生 痰 加 熱 させる 痰 と 熱 が いっしょ になって 痰 熱 が 上 昇 痰 熱 内 擾 痰 熱 心 神 を 犯 す 痰 が 多 い 胸 悶 感 心 煩 呑 酸 吐 き 気 口 苦 口 臭 頭 重 めまい 舌 苔 : 黄 膩 苔 脈 : 弦 滑 数 治 法 清 熱 化 痰 和 胃 安 神 処 方 中 脘 豊 隆 内 関 厲 兌 少 府 陰 白 過 剰 な 精 神 活 動 によって 喜 怒 思 心 火 亢 逆 心 悸 不 安 治 法 悲 恐 の 五 志 が 限 度 を 超 えて 働 く 虚 弱 体 質 心 火 内 熾 下 っ て 腎 と 交 われない 腎 水 が 上 昇 して 心 陰 不 足 心 腎 不 交 心 火 が 神 明 を 犯 す 津 液 が 十 分 上 昇 できず 喉 が 渇 く めまい 耳 鳴 り 忘 れっぽい 舌 質 : 紅 で 少 苔 脈 : 細 数 交 通 心 腎 清 心 安 神 処 方 腎 兪 心 兪 太 谿 不 眠 慢 性 疾 患 腎 陰 損 傷 心 陰 を 養 うこと 腰 部 酸 痛 大 陵 太 衝 神 門 房 事 過 度 が 出 来 ない 心 陽 亢 盛 治 法 思 慮 過 度 過 度 な 労 働 心 血 消 耗 脾 気 損 傷 気 血 を 生 成 できない 心 脾 両 虚 心 血 不 足 心 は 神 を 養 えない 多 夢 心 悸 忘 れっぽい 精 神 疲 労 しやすい 食 欲 不 振 めまい 舌 質 : 淡 舌 苔 : 白 脈 : 細 弱 補 気 生 血 養 心 健 脾 処 方 脾 兪 心 兪 三 陰 交 安 眠 ( 奇 穴 ) 神 門 多 夢 驚 いて 治 法 目 を 覚 ま し 益 気 鎮 驚 些 細 なことで 気 に 病 む 14/30 驚 きやすい 人 極 度 の 精 神 刺 激 心 神 損 耗 胆 の 決 断 機 能 の 失 調 心 虚 胆 虚 心 胆 気 虚 神 志 を 司 る 作 用 の 失 調 やすい おど お ど し て い る 息 切 れ 舌 質 : 淡 脈 : 弦 細 安 神 定 志 処 方 胆 兪 神 門 合 谷 倦 怠 感 気 海 丘 墟 安 眠

精 神 的 要 因 が 肝 に 影 響 し 肝 一 臓 の 病 がさらに 他 臓 に 影 響 する 肺 に 影 響 咳 嗽 ストレス 肝 鬱 疏 泄 の 失 調 心 に 影 響 神 志 の 失 調 不 眠 など 肝 火 心 火 を 誘 って 心 肝 火 旺 肝 血 虚 肝 陰 虚 長 期 化 肝 陰 損 傷 肝 陽 上 亢 眩 暈 熱 + 湿 湿 熱 腎 に 影 響 肝 腎 陰 虚 陰 陽 両 虚 損 津 液 が 消 耗 陰 虚 目 に 影 響 筋 肉 に 影 響 目 の 痛 み 目 の 充 血 乾 燥 筋 肉 のけいれん 胃 に 影 響 肝 気 犯 胃 げっぷ 嘔 吐 など 脾 に 影 響 肝 脾 不 和 運 化 失 調 下 痢 食 後 膨 張 血 に 影 響 昇 清 失 調 眠 い ボーッと する 疲 れやすい 気 血 両 虚 津 液 に 影 響 痰 湿 15/30

不 眠 と 七 情 五 臓 との 関 係 情 緒 は 喜 怒 憂 思 悲 恐 驚 の7つに 分 けられる 日 常 生 活 の 中 でこれらの 精 神 活 動 が 過 度 に 長 時 間 続 くと 臓 腑 の 生 理 機 能 に 悪 い 影 響 を 及 ぼす 腹 立 たしい 思 いに 駆 られて 眠 れない 心 配 事 があって 眠 れな い 興 奮 して 眠 れないなど 不 眠 と 関 係 の 深 い 情 緒 は 怒 思 悲 喜 それに 恐 である 不 眠 との 関 係 の 深 い 臓 腑 は 心 脾 肝 腎 の 四 臓 で 陰 血 不 足 が 深 く 関 係 しているということが 言 える 脾 は 飲 食 物 から 水 穀 の 精 微 を 吸 収 し 気 血 を 生 成 する 充 分 気 血 が 生 成 されれば 心 血 は 満 たされ 心 血 は 神 を 養 う 心 の 神 志 を 司 る 作 用 が 順 調 にいく 肝 血 が 肝 に 充 分 蔵 されれば 肝 体 は 柔 和 となり 気 機 は 条 達 し 通 暢 する 肝 血 が 精 に 化 して 腎 に 内 蔵 さ れ 腎 精 は 上 って 心 を 養 い 心 気 は 下 って 腎 と 交 わることが 出 来 る この ようにして4 臓 の 生 理 機 能 がバランスよく 働 くことで 精 神 は 安 定 を 得 感 情 は 落 ち 着 くのである もし 過 剰 な 怒 り 思 慮 抑 鬱 労 働 などに 陥 るといずれも 諸 臓 を 傷 つけ 精 血 を 損 傷 する 可 能 性 がある 病 因 と 病 理 は 互 いに 影 響 し 合 い 慢 性 の 不 眠 に 至 るのである 16/30

不 眠 との 関 係 の 深 い 臓 腑 とその 生 理 心 心 陽 心 陰 は 心 陽 の 独 亢 を 抑 えて 陰 陽 のバランスが 保 たれる 心 陰 心 陰 が 充 足 肝 気 血 と 臓 腑 の 機 能 統 制 心 陽 は 下 り 腎 陽 を 暖 める 心 血 を 養 う 肝 血 が 充 足 される 脾 気 血 を 生 成 する 肝 血 が 精 に 化 して 腎 に 内 臓 腎 水 は 蒸 騰 気 化 し 心 陰 を 養 う 腎 腎 陽 腎 水 を 暖 める 腎 陰 四 臓 の 生 理 機 能 がバランスよく 働 くことで 精 神 安 定 感 情 が 落 ち 着 く 17/30

症 例 1 女 性 57 歳 主 婦 初 診 : 平 成 17 年 12 月 7 日 主 訴 : 不 眠 随 伴 症 状 : 便 秘 胃 下 垂 首 肩 のこり 顎 内 症 現 病 歴 : 27 歳 の 時 妊 娠 中 に 痔 ( 脱 肛 )になった お 産 だけでも 大 変 なのに 痔 が 悪 化 したらどうしようと 思 いつめて いるうちにある 日 突 然 眠 れなくなった 睡 眠 薬 をもらったが 当 時 サリドマイド 奇 形 児 がはやっていたので あれこれ 考 えているうちに 不 安 と 出 産 の 恐 怖 とが 重 なった 以 後 1 日 3 時 間 しか 眠 れず 目 を 閉 じたら 朝 という 感 じだった 夢 を 見 たときは 眠 れたという 感 じがした 眠 れない 状 態 が 続 いて すっかり 自 律 神 経 失 調 気 味 になった その とき 私 は 病 気 だから 寝 なければならない 寝 ることが 責 任 だと 思 い こみ 体 操 する 薬 を 飲 むなどやり 続 けた そしてその 翌 年 パニック 障 害 に 陥 った 以 来 私 は 眠 れないから 眠 ることにこの 30 年 間 ずっと 努 力 し 続 け てきた しかし 毎 日 いろいろ 考 えているうちに 爛 々と 目 が 覚 め 18/30

てしまう この 不 眠 から 抜 け 出 したいと 思 い 知 人 の 紹 介 を 受 け 当 院 に 来 院 した 考 えすぎる リラックスできない 不 安 心 配 悩 む 落 ち 込 む 納 少 足 がとても 冷 たく またのぼせて 顔 がよく 赤 くなる 大 便 秘 結 排 便 時 力 むと 脱 肛 し 出 血 する 人 の 好 き 嫌 いが 多 い 私 は 母 親 との 関 係 でずっと 悩 んでいた 母 親 の 権 威 が 強 く いまだに 常 に 干 渉 されるが 親 の 言 うことに 逆 らえない 母 親 が 怒 るのも 泣 くのも 自 分 のせいで 相 手 の 感 情 の 責 任 を 取 らな ければいけないと 思 っていた 機 嫌 良 くなってもらうために 要 求 を 満 たしてきた 自 分 の 言 葉 と 行 動 と 自 分 が 本 当 にそうしたいと 思 っていることと はいつも 違 っていてフラストレーションがたまっている 嗜 好 : 濃 い 味 のもの( 中 華 油 物 など) 甘 い 物 既 往 歴 : 自 律 神 経 失 調 症 パニック 障 害 舌 診 : 紅 舌 やや 紫 舌 尖 : 茶 紅 19/30

舌 苔 : 薄 白 苔 やや 黄 膩 脈 診 : 弦 滑 72/ 分 実 気 血 津 液 弁 証 : 気 滞 血 瘀 湿 熱 弁 証 : 肝 鬱 化 火 大 便 秘 結 排 便 困 難 脾 気 不 足 心 火 内 熾 による 心 腎 不 交 治 療 方 法 : 疏 肝 瀉 火 寧 心 安 神 交 通 心 腎 寛 腸 通 便 理 気 導 滞 配 穴 : 太 衝 内 関 合 谷 疏 肝 理 気 天 枢 上 巨 虚 足 三 里 曲 池 合 谷 内 庭 寛 腸 通 便 理 気 導 滞 少 府 行 間 太 谿 腎 兪 交 通 心 腎 ( 引 火 帰 原 ) 脾 兪 百 会 健 脾 昇 提 温 灸 : 太 谿 湧 泉 腎 兪 方 解 : 主 な 症 候 は 肝 気 鬱 結 である 感 情 をいつも 抑 えるため 肝 気 の 鬱 結 状 態 が 続 いた 肝 鬱 の 長 期 化 は 肝 鬱 化 火 を 引 き 起 こし 津 液 や 血 を 煮 詰 め 湿 熱 瘀 血 を 生 じさせる 肝 火 が 頭 部 を 上 擾 し 心 神 不 安 を 引 き 起 こし イライラする 不 安 頭 がさえて 眠 れないといった 不 眠 を 引 き 起 こす 肝 火 はよく 心 火 を 誘 って 上 炎 する 心 火 が 神 明 を 20/30

擾 し 不 眠 に 拍 車 をかける 心 火 がこもり 心 火 内 熾 となり 下 っ て 腎 と 交 わりをもてなくなり 上 熱 下 寒 となり 冷 えのぼしを 起 こす 甘 いものや 脂 っこいものの 過 食 により 胃 腸 に 積 熱 を 生 じ 津 液 を 損 傷 し 大 便 秘 結 となる 排 便 時 力 むため 脱 肛 を 起 こしている ま た 思 いすぎるは 脾 気 を 低 下 させる そのため 胃 下 垂 食 欲 はあるが あまり 食 べられないなどの 症 状 が 起 こる 21/30

心 火 亢 逆 して 下 降 できない 方 解 の 図 心 火 を 誘 心 火 内 熾 か 腎 陽 不 足 心 腎 不 交 上 熱 下 寒 って 上 炎 肝 気 鬱 血 肝 鬱 化 火 交 通 心 腎 少 府 行 間 ~せねばならない 相 手 に 合 わせすぎ 肝 気 が 脾 に 横 逆 疏 肝 瀉 火 太 街 内 閣 合 谷 行 間 太 谿 腎 兪 る 肝 脾 不 調 脾 気 不 足 欲 望 を 抑 圧 しすぎて 飲 食 の 不 摂 大 便 秘 結 排 便 困 難 脱 肛 寛 腸 通 便 理 気 導 滞 天 枢 上 巨 虚 足 三 里 曲 池 合 谷 内 庭 力 むため 思 い 過 ぎで 胚 気 低 下 健 脾 昇 提 胃 下 垂 食 欲 あるが あまり 食 べられない れない 脾 兪 百 会 22/30

私 見 : 自 分 の 本 当 の 気 持 ちを 抑 えて 親 や 大 人 周 囲 の 期 待 に 沿 おうとす る 過 剰 適 応 の 傾 向 があり 主 体 性 欠 如 のまま 周 囲 に 合 わせていくの で 本 当 の 自 分 がまったく 生 かされないことになる そのため 常 に 不 本 意 な 心 理 状 態 にあり 欲 求 不 満 が 強 くイライラした 気 分 と 焦 燥 感 か らストレスをためやすいのである 反 面 ~すべきだ ~ねばならない という 理 性 すなわち 意 識 が 強 く 真 面 目 で 規 律 をよく 守 り 義 務 感 が 強 く 欲 望 や 感 情 を 抑 え ても 仕 事 をやり 遂 げるが 自 由 な 発 想 や 創 造 性 に 欠 ける 融 通 が 効 かない 人 の 間 違 いが 許 せないなどの 傾 向 があり フラストレーシ ョンを 溜 めやすい また 取 り 越 し 苦 労 の 多 いタイプでいつも 不 安 な 状 態 にある あれはうまくいくだろうか これは 大 丈 夫 だろうかと 心 の 安 まる 暇 がない このような 心 の 構 えが 常 に 肝 鬱 に 結 びつき 30 年 間 もの 不 眠 をもたらしたと 思 科 する 人 生 シナリオの 基 本 的 な 態 度 すなわち 人 生 への 構 え( 自 分 と 他 人 との 関 係 において 終 始 一 貫 して 取 るその 人 の 基 本 的 な 態 度 のあり 方 )は You are OK.I am not OK.である 自 己 否 定 は 母 親 の 愛 情 に 対 する 疑 念 や 不 信 感 喪 失 感 のため 自 分 を 信 頼 し 肯 定 することができなくなったためである 23/30

また 親 や 周 りの 大 人 からの 一 方 的 な 期 待 に 負 けて 本 来 の 自 分 の 姿 が 歪 められているのである 劣 等 感 コンプレックスで 悩 んだり 憂 鬱 になりやく 消 極 的 な 構 えである 人 の 過 去 は 変 えられないし 他 人 を 変 えることもできないが 自 分 の 今 これからの 生 き 方 態 度 は 変 えていくことができるのである この 人 生 シナリオを 建 設 的 なもの に 書 き 換 えることが 彼 女 にとって 本 当 の 意 味 で 不 眠 から 脱 却 するた めに 一 番 必 要 なことであると 考 える 経 過 : 肝 鬱 の 改 善 を 中 心 として 治 療 を 進 めた 回 を 重 ねる 毎 に 気 持 ちが 和 らいで 少 しずつ 眠 れるようになった 五 回 目 の 治 療 で 初 めて 私 は 眠 れるという 自 信 のような 喜 びを 持 った 同 時 にクライエントの 人 生 シナリオについて 問 いかけていった 私 は 人 に NO と 言 っていい のだ ~ねばならないではなくて ~できたらいいなのになぁと 思 えるようになった その 後 眠 れないときがあっても 眠 れなくてい いんだというように 心 にも 変 化 が 表 れて 不 眠 を 気 にしなくなった リラックス 感 をもてるようになり 気 持 ちもずいぶん 明 るくなった 20 回 三 ヶ 月 ほどの 治 療 で30 年 来 の 不 眠 はほぼ 解 消 した 以 後 の 鍼 灸 治 療 はもっと 癒 されたい 自 分 の 心 と 体 を 大 事 にしたい 24/30

というクライエントの 気 持 ちに 添 って 鍼 灸 治 療 を 進 めている 近 い 将 来 I am not OK.から I am OK と 自 信 を 持 って 言 えるよう になるだろう 25/30

症 例 2 女 性 61 歳 初 診 : 平 成 16 年 8 月 13 日 主 訴 : 不 眠 随 伴 症 状 : 首 肩 が 板 のように 張 り 気 分 が 悪 くなるくらいこって 夕 方 がきたら 疲 れが 出 て 何 もできなくなる 身 体 がだるい 現 病 歴 : 平 成 16 年 2 月 より 不 眠 が 続 いている 11 時 過 ぎに 床 につくが 2 時 頃 目 が 覚 めて それから 朝 まで 一 睡 も できない 病 院 より 睡 眠 導 入 剤 やいろいろな 精 神 安 定 剤 が 処 方 され 使 用 した が 効 果 がない 朝 起 きると 身 体 が 重 だるく 眠 ったという 充 実 感 が 全 くない 体 力 は 消 耗 する 一 方 で 7 8 月 には めまいやふらつきが 一 日 に 何 度 も 起 こるようになった また 動 悸 がしたり 汗 が 出 やすくなったりした 夕 方 がきたら 首 肩 が 強 くこって 気 分 が 悪 くなり 何 もできない 状 態 が 続 いている 先 日 は 手 足 が 急 にふるえたので 何 か 大 変 な 病 気 ではないかとび っくりし 脳 外 科 を 受 診 したが 異 常 なしの 診 断 であった 26/30

しかし 泣 きたいくらい 首 肩 のこりがひどくなり 気 分 が 落 ち 込 んで 体 調 も 日 増 しに 悪 くなる 一 方 で どうしようもなくなり 来 院 した 嗜 好 : 油 ものや 甘 いものを 好 んでよく 食 べる 舌 診 : 紫 暗 舌 舌 尖 やや 紅 舌 苔 : 黄 膩 苔 脈 診 :72 回 / 分 脈 状 : 滑 既 往 歴 : 過 換 気 症 候 群 ( 更 年 期 外 来 にて 診 断 ) 動 悸 汗 手 足 が 震 える 弁 証 : 痰 熱 上 擾 肝 気 鬱 結 方 解 : 食 事 ( 油 もの)と 間 食 ( 甘 いもの)のとりすぎにより 胃 の 受 納 や 脾 の 運 化 機 能 が 失 調 し 食 物 が 胃 腸 に 停 滞 し 痰 湿 が 産 出 さ れた 停 滞 が 長 引 くと 痰 は 熱 化 しやすい 痰 熱 となり 上 擾 し 神 明 を 犯 し 不 眠 を 引 き 起 こす 肝 鬱 による 疏 泄 の 失 調 は 痰 湿 気 滞 血 瘀 を 慢 性 化 させている 体 が 重 くだるいのは 痰 湿 によるものであ り 頑 固 な 肩 こりは 気 滞 血 瘀 によるものであると 考 えられる 治 療 方 法 : 清 肝 解 鬱 清 熱 化 痰 和 中 安 神 27/30

経 穴 : 中 脘 豊 隆 内 関 少 府 厲 兌 清 熱 化 痰 和 中 安 神 風 池 合 谷 太 衝 行 間 清 肝 解 鬱 治 療 経 過 : 初 回 の 治 療 で 目 覚 めが 少 し 改 善 5 回 の 治 療 で 身 体 の だるさがとれた 週 2 回 2 ヶ 月 約 15 回 の 治 療 で ほぼ 不 眠 が 改 善 した めまいもふらつき 感 もすっかり 改 善 したので 以 後 本 人 の 希 望 によ り 体 質 改 善 の 治 療 に 切 り 替 えた 6ヶ 月 後 痰 湿 が 取 り 除 かれ 体 が 軽 く 元 気 になった 患 者 談 9 月 の 初 旬 になって 身 体 がしっかりしてきたと 感 じるようになり ました わずか 2 週 間 で まだこりは 残 っていましたが 身 体 がしっかり しだしたので 当 院 に 任 せようと 思 いました 10 月 半 ばには 5 時 頃 まで 眠 れるようになりました また めまい もふらつき 感 もすっかり 改 善 しました 舌 を 自 分 で 見 てみると 苔 が 段 々 薄 くなるのが 自 分 でもハッキリ と 分 かりました このまま 治 療 を 続 けて 根 本 的 な 体 質 改 善 が 出 来 れ ばと 思 いました 28/30

痰 湿 をとりのぞき 体 質 を 改 善 するためには 半 年 かかると 最 初 に いわれました が 治 療 を 受 けて 6 ヵ 月 になりますが まさにその とおりで 現 在 は 朝 まですっかり 眠 れるようになりました 身 体 も 軽 く 病 気 になる 前 よりも 元 気 になり 水 泳 に 週 2 回 通 っていま す 29/30

結 語 精 神 的 なものが 不 眠 に 与 える 影 響 は 大 きい 同 じ 事 象 や 現 象 を 受 けたとしても その 人 の 受 け 取 り 方 や 心 の 幅 によって 体 に 与 える 影 響 もずいぶんと 異 なる そのため 疾 病 の 発 生 や 発 展 変 化 の 仕 方 はそれぞれ 異 なり 同 じ 不 眠 という 症 状 でも 病 理 の 発 生 や 変 化 の 仕 方 によって 証 候 というものは 一 人 一 人 異 なる 七 情 が 五 臓 の 生 理 機 能 を 傷 害 するかどうかは( 心 動 ぜば 五 臓 六 腑 みな 揺 らぐ) 心 により 決 定 される すなわち 精 神 的 刺 激 をどのように(プラスかマイナスか) 受 け 止 めるかによ って 決 まると 言 える 不 眠 症 の 人 を 不 眠 から 脱 却 させるには 自 分 でその 状 態 を 直 視 できるよう にならなければならないが そこまで 導 く 前 に まず 眠 れないことの 苦 し みに 対 する 深 い 共 感 と 親 身 な 同 情 をもち お 互 いの 心 を 開 いて 信 頼 関 係 を 築 くことが 大 切 である 30/30