在 勤 手 当 の 改 定 に 関 する 勧 告 平 成 22 年 8 月 外 務 人 事 審 議 会
平 成 22 年 8 月 在 勤 手 当 の 改 定 に 関 する 勧 告 外 務 人 事 審 議 会 在 外 公 館 で 勤 務 する 我 が 国 の 外 交 官 は, 特 命 全 権 大 使 をはじめとしてあらゆ る 職 位 の 在 外 職 員 全 員 が 我 が 国 外 交 を 効 果 的 に 展 開 していくための 柱 としての 資 産 であり, 彼 らを 適 切 に 処 遇 することは 重 要 である 一 方 で, 日 本 の 外 交 官 は, 海 外 で 贅 沢 な 生 活 をしているのではないか といった 批 判 があったこと も 事 実 である したがって, 現 在 の 在 外 職 員 の 勤 務 生 活 実 態 を 踏 まえてより 一 層 客 観 的 観 点 から 検 証 する 必 要 がある 本 審 議 会 は, 本 年 5 月 に4 名 の 新 たな 委 員 を 迎 えたが, 外 務 公 務 員 の 給 与 そ の 他 勤 務 条 件 を 中 心 に 人 事 管 理 全 般 について, 外 務 大 臣 に 対 しより 積 極 的 に 意 見 勧 告 を 提 示 していきたいと 考 えている 本 審 議 会 の 果 たすべき 主 要 な 役 割 の 一 つが,この 在 外 職 員 の 手 当 に 関 する 勧 告 である 在 外 公 館 の 名 称 及 び 位 置 並 びに 在 外 公 館 に 勤 務 する 外 務 公 務 員 の 給 与 に 関 する 法 律 ( 以 下, 名 称 位 置 給 与 法 )は,その 第 8 条 において, 審 議 会 は, 前 条 の 調 査 報 告 書 その 他 の 資 料 により,たえず 在 勤 手 当 の 額 を 検 討 し,そ の 改 訂 の 必 要 があると 認 める 場 合 には, 適 当 と 認 める 額 を 外 務 大 臣 に 勧 告 する ことができる 旨 規 定 している 本 審 議 会 が 広 く 統 計 や 調 査 結 果 を 用 いて 在 勤 手 当 の 具 体 的 な 額 について 勧 告 を 行 うことは, 同 手 当 の 水 準 の 適 切 性, 透 明 性 や 国 民 に 対 するアカウンタビリティを 向 上 させる 観 点 から 望 ましい 本 審 議 会 はこのような 基 本 的 認 識 に 立 って 作 業 を 進 めてきた 一 方, 現 在 の 我 が 国 予 算 編 成 作 業 の 仕 組 みを 考 えれば, 本 審 議 会 による 在 勤 1
手 当 に 関 する 勧 告 が 外 務 大 臣 によって 有 効 に 活 用 されるためには, 政 令 の 定 め により 外 務 大 臣 が 例 年 8 月 末 に 財 政 当 局 に 提 示 する, 外 務 省 の 翌 年 度 予 算 の 概 算 要 求 前 にこの 勧 告 を 提 出 することが 肝 要 である したがって, 本 審 議 会 の 今 回 の 勧 告 作 成 に 当 たっては, 大 きな 時 間 的 制 約 や 使 用 した 資 料 データの 検 証 に 限 界 がある 中 で 出 来 る 限 り 客 観 的 な 勧 告 の 作 成 に 努 めた 次 第 である また, 案 件 の 性 格 に 応 じ 早 急 な 対 応 が 必 要 であり,かつ, それが 可 能 と 考 えられるものについては 平 成 23 年 度 予 算 で 検 討 すべき 課 題 とし,また,より 時 間 をかけて 制 度 改 善 を 検 討 すべきものについては 中 長 期 的 な 在 勤 手 当 見 直 しの 方 向 性 として 区 分 して 扱 うこととした 本 審 議 会 は, 在 外 職 員 の 適 切 な 処 遇 を 確 保 すべく 勧 告 をとりまとめた 同 時 に, 在 外 職 員 に 対 しては, 職 員 各 位 が 国 民 の 期 待 に 応 えるべく,より 一 層, 職 務 に 精 励 することを 期 待 したい 本 審 議 会 は, 以 上 を 申 し 述 べた 上 で, 本 8 月 2 日, 平 成 23 年 度 の 外 務 省 に よる 予 算 概 算 要 求 に 先 立 ち, 下 記 のとおり 勧 告 する 外 務 大 臣 におかれては, 本 勧 告 も 参 考 とされつつ, 在 勤 手 当 に 関 する 予 算 概 算 要 求 作 業 に 取 り 組 んで 頂 ければ 幸 いである 記 1. 現 行 の 在 勤 手 当 の 水 準 (1) 在 勤 手 当 の 具 体 的 な 額 について 勧 告 を 行 う 前 提 として, 第 一 に, 現 行 の 水 準 について 検 証 を 行 うことが 必 要 となる (2) 在 勤 手 当 の 額 に 関 し 名 称 位 置 給 与 法 は 在 勤 手 当 は, 在 外 職 員 が 在 外 公 館 において 勤 務 するのに 必 要 な 衣 食 住 等 の 経 費 に 充 当 するために 支 給 2
されるものとし,その 額 は, 在 外 職 員 がその 体 面 を 維 持 し, 且 つ,その 職 務 と 責 任 に 応 じて 能 率 を 充 分 発 揮 することができるように 在 外 公 館 の 所 在 地 における 物 価, 為 替 相 場 及 び 生 活 水 準 を 勘 案 して 定 めなければな らない とし, 在 勤 手 当 が 在 外 職 員 の 生 活 経 費 として 支 給 されるものと して 規 定 している (3) 在 勤 手 当 のうち, 主 たる 生 活 経 費 として 定 額 支 給 されている 在 勤 基 本 手 当 については, 従 来, 一 般 的 生 活 経 費 と 途 上 国 勤 務 の 際 の 勤 務 生 活 環 境 の 厳 しさに 応 じた 加 算 ( 外 務 省 ではこの 加 算 を 特 定 勤 務 地 加 算 と 定 めている )により 構 成 されている このうち, 一 般 的 生 活 経 費 につ いては, 海 外 勤 務 中 の 日 常 的 生 計 費 及 び 海 外 赴 任 に 伴 う 特 有 の 経 費 を, 国 家 公 務 員 として 支 給 される 給 与 ( 基 本 給 )と 在 勤 基 本 手 当 とで 賄 うと の 考 え 方 により 算 定 してきた この 考 え 方 は, 本 邦 勤 務 の 際 の 生 活 水 準 を 維 持 することを 目 的 とする 点 で 日 本 の 海 外 進 出 民 間 企 業 の 約 76%が 用 いている 所 謂 購 買 力 補 償 方 式 と 同 様 の 考 え 方 であると 見 ることが でき, 基 本 的 に 妥 当 なものだと 考 えられる (4) 一 方, 特 定 勤 務 地 加 算 については, 勤 務 生 活 環 境 の 厳 しい 途 上 国 公 館 に 勤 務 する 際 には, 治 安 対 策 費 用 や 物 資 調 達 等 の 追 加 的 経 費 がかか ることから, 一 般 的 生 活 経 費 に 一 定 程 度 の 割 合 を 乗 じた 額 を 定 めている (5)また, 従 来, 上 記 (3)の 一 般 的 生 活 経 費 の 具 体 的 な 金 額 の 算 定 に 当 たっては, 我 が 国 の 在 外 公 館 中, 最 大 規 模 であり, 最 も 多 様 な 職 種 の 在 外 職 員 を 有 する 在 米 国 日 本 国 大 使 館 の 所 在 するワシントンにおいて, 現 地 での 日 常 的 生 計 費 及 び 赴 任 時 の 設 営 等 海 外 赴 任 に 伴 う 特 有 の 経 費 を 調 査 し, 在 外 職 員 の 平 均 値 たる 一 等 書 記 官 の 手 当 の 額 を 算 定 し,それを 基 に 職 位 毎, 任 地 毎 の 手 当 の 額 を 算 定 する 方 法 をとってきた 3
( 本 邦 勤 務 ) ( 在 外 勤 務 ) 同 水 準 (1) 海 外 赴 任 に 伴 う 特 有 の 経 費 ( 例 えば, 赴 任 時 設 営 に 伴 う 経 費 など)( 注 1) (2) 勤 務 生 活 環 境 の 厳 しさに 応 じた 追 加 的 経 費 (ただし, 途 上 国 勤 務 時 のみに 加 算 ) ( 例 えば, 治 安 対 策 費 用 など) 在 勤 手 当 基 本 給 ( 税 引 き 後 ) 1 本 国 生 計 費 日 常 的 生 計 費 基 本 給 ( 税 引 き 後 ) 2 その 他 その 他 ( 注 1) 海 外 赴 任 は, 例 えば, 家 電 では 日 本 の 仕 様 規 格 が 海 外 では 適 合 しないこと が 多 いため 赴 任 時 に 購 入 せざるを 得 ないため, 国 内 赴 任 とは 異 なる 経 費 が 発 生 する ( 注 2)2の 基 本 給 では1で 支 給 される 地 域 手 当, 管 理 職 手 当 や 超 過 勤 務 手 当 等 は 支 給 されず 減 額 となる (6)しかしながら, 在 勤 基 本 手 当 の 水 準 の 適 切 性 を 一 層 高 めるという 観 点 からは, 日 常 的 生 計 費 については, 在 米 国 日 本 国 大 使 館 以 外 の 公 館 につ いても, 任 地 毎 の 必 要 生 計 費 を 直 接 調 査 することが 望 ましい かかる 観 点 から, 外 務 省 は, 広 く 在 外 公 館 所 在 地 における 一 般 的 生 活 経 費 につい て, 民 間 調 査 機 関 による 調 査 を 行 った この 調 査 は, 本 年 4 月 ~6 月 に かけて 実 施 され,1 本 邦 における 標 準 的 生 計 費 支 出 を 基 にした 世 界 14 5カ 所 における 海 外 駐 在 員 の 日 常 的 生 計 費 調 査 及 び2 海 外 赴 任 に 伴 う 特 有 の 経 費 に 関 する 民 間 企 業 との 比 較 調 査 の 結 果 が 本 審 議 会 に 提 出 された 本 審 議 会 は,この 調 査 結 果 を 名 称 位 置 給 与 法 第 8 条 に 規 定 する その 他 の 資 料 として 活 用 し, 在 勤 手 当 の 額 の 検 討 を 行 った 今 回 の 調 査 の 結 果, 在 勤 基 本 手 当 の 水 準 については, 次 のような 結 論 4
が 出 された (イ)まず, 本 邦 勤 務 の 際 の 生 活 水 準 を 維 持 するための 経 費 を 給 与 と 在 勤 手 当 で 賄 うとの 前 提 ( 購 買 力 補 償, No Loss.No Gain の 原 則 )に 立 ち, 各 地 の 日 常 的 生 計 費 と 海 外 赴 任 に 伴 う 特 有 の 経 費 に 関 する 調 査 結 果 のデータを 使 用 して,あるべき 手 当 額 を 試 算 した( 注 1) この 額 に 各 公 館 毎 に 各 職 種 の 定 員 数 を 乗 じていく 形 で 在 勤 基 本 手 当 の 年 間 予 算 適 正 額 を 算 出 し, 本 年 度 の 予 算 額 との 比 較 を 行 った この 結 果, 現 行 の 在 勤 基 本 手 当 の 水 準 は 公 館 毎 にみれば 調 整 を 要 するものの, 同 手 当 の 年 間 予 算 総 額 としてみれば, 現 行 の 予 算 額 は 概 ね 適 正 であるとの 結 論 となった( 注 2) ( 注 1) 一 般 的 生 活 経 費 調 査 に 基 づく 手 当 の 額 の 算 出 方 法 在 勤 基 本 手 当 の 額 =( 本 邦 勤 務 における 生 計 費 ) ( 在 勤 地 の 生 計 費 指 数 )+( 海 外 赴 任 に 伴 う 特 有 の 経 費 )+ 特 定 勤 務 地 加 算 ( 注 2) 在 勤 基 本 手 当 の 年 間 予 算 適 正 額 試 算 ( 一 般 的 生 活 経 費 調 査 の 結 果 を 反 映 した 試 算 ) 22 年 4-6 月 の 為 替 物 価 水 準 で 調 整 した 予 算 額 民 間 調 査 結 果 データで 試 算 した 適 正 額 (22 年 4-6 月 の 為 替 レート 使 用 ) 2-1 1 2 比 率 在 勤 基 本 手 当 約 171.4 億 円 約 171.1 億 円 約 0.4 億 円 -0.2% ( 注 )1は 22 年 度 予 算 額 を 22 年 4-6 月 の 平 均 為 替 レートで 調 整 したもの 2は 一 般 的 生 活 経 費 調 査 の 結 果 を 踏 まえて 算 定 しなおした 適 正 額 (22 年 4 月 -6 月 の 平 均 為 替 レートを 使 用 これにそろえるために,1の 為 替 レート 調 整 を 行 った 調 査 結 果 のデータを 使 用 して 算 出 した 各 公 館 毎 の あるべき 手 当 額 に 各 公 館 の 各 職 種 の 定 員 数 を 乗 じて 各 公 館 毎 に 手 当 の 適 正 額 の 年 間 総 額 を 算 出 さ らに 全 公 館 分 を 合 算 して2の 数 値 を 得 た ) (ロ)さらに, 上 述 の 試 算 結 果 からは 概 ね2つのことが 明 らかになった 5
第 一 に, 個 別 の 公 館 毎 の 手 当 額 については, 総 じて 先 進 国 公 館 の 手 当 が 低 額 に 抑 えられており, 本 邦 勤 務 の 際 の 生 活 水 準 の 維 持 が 困 難 とな っている (ハ) 第 二 に, 途 上 国 公 館 においては, 現 在, 先 進 国 と 同 様 の 一 般 的 生 活 経 費 と 勤 務 生 活 環 境 の 厳 しさから 必 要 となる 経 費 としての 特 定 勤 務 地 加 算 により 手 当 額 が 算 定 されているが,このうち, 一 般 的 生 活 経 費 部 分 については, 一 部 公 館 において 引 下 げが 可 能 である (7) 一 方 で, 本 審 議 会 は, 以 上 のような 民 間 調 査 機 関 による 調 査 結 果 を 利 用 するに 当 たり, 次 の 点 も 十 分 踏 まえる 必 要 があると 考 えている (イ) 調 査 結 果 のデータ 中 には, 統 計 上 の 孤 立 値 (サンプル 中 の 通 常 の 分 布 から 大 きく 外 れた 値 )も 含 まれていると 想 定 することが 適 当 であ る よって 調 査 結 果 の 信 頼 性 を 得 るためには, 一 回 の 調 査 結 果 のみで 手 当 算 出 の 根 拠 とすることは 危 険 であり,3 年 間 (3 回 ) 程 度 のデー タの 平 均 値 を 取 り,その 上 で 実 際 の 手 当 額 に 反 映 させていくべきであ る (ロ) 在 外 に 勤 務 する 外 務 公 務 員 の6 割 は 開 発 途 上 国 で 勤 務 している こ うした 任 地 では, 戦 乱, 治 安 の 悪 化, 感 染 症, 厳 しい 気 候 条 件, 生 活 必 需 物 資 の 欠 乏 等, 国 内 の 物 差 し では 想 像 し 難 い 勤 務 生 活 上 の 困 難 が 存 在 する 場 合 が 多 い こうした 環 境 下 では, 金 銭 的 には 算 出 し 難 い 身 体 及 び 精 神 上 の 大 きな 負 担 があるが, 一 般 的 生 活 経 費 調 査 は 身 体 精 神 的 負 担 は 一 切 計 測 しない,あくまでも 日 常 生 活 上 の 支 出 に 関 する 調 査 に 過 ぎない 民 間 企 業 においては, 海 外 勤 務 による 精 神 的 物 質 的 負 担 に 対 する 補 償 として, 上 記 のような No Loss.No Gain の 原 則 による 購 買 力 6
補 償 を 行 った 上 で, 更 に, 海 外 勤 務 手 当, 開 発 途 上 国 の 厳 しい 生 活 環 境 に 対 する 補 償 としてハードシップ 手 当 を 定 額 支 給 するのが 一 般 的 と なっている 先 述 の 外 務 省 が 加 算 している 特 定 勤 務 地 加 算 部 分 は, こうした 厳 しい 環 境 を 緩 和 する 具 体 的 経 費 に 応 じたものであるが, 民 間 企 業 では,そうした 具 体 的 なコストは 別 途, 実 費 支 給 した 上 で, 精 神 的 負 担 に 対 する 補 償 としてハードシップ 手 当 を 支 給 している (8) 本 年 3 月 の 名 称 位 置 給 与 法 改 正 案 の 国 会 における 採 決 時 に 同 時 に 決 議 された 附 帯 決 議 は, 在 勤 手 当 の 適 切 な 額 を 算 出 するに 当 たって 考 慮 すべ き 要 素 の 一 つとして, 為 替 物 価 変 動 などとともに, 諸 外 国 の 外 交 官 や 民 間 企 業 の 海 外 駐 在 員 の 手 当 給 与 水 準 を 例 示 している (9)ただし,こうした 日 本 の 民 間 企 業 との 比 較 は 次 の 点 に 留 意 する 必 要 が ある (イ) 海 外 駐 在 員 の 処 遇 については, 手 当 給 与 として 現 金 支 給 されるも の 以 外 に, 自 動 車 住 居 家 具 の 貸 与, 移 転 料 や 休 暇 の 際 の 旅 費 支 給, 留 守 宅 管 理, 生 活 物 資 の 購 送 等, 様 々なサポートが 行 われる 場 合 が 多 く, 手 当 給 与 で 賄 うべき 経 費 の 範 囲 が 異 なる (ロ) 民 間 企 業 といっても, 製 造 業, 商 社, 金 融 機 関 等 の 業 種 や 海 外 駐 在 員 の 派 遣 状 況 等 により 企 業 毎 にその 給 与 形 態 は 極 めて 多 様 であって, 一 律 に 民 間 企 業 として 比 較 することには 無 理 がある (10) 諸 外 国 外 交 官 の 給 与 手 当 の 比 較 については, 外 務 省 においては, 上 述 のとおり 在 米 国 大 使 館 一 等 書 記 官 が 全 在 外 公 館 の 基 準 値 となってい ることから,ワシントンにおける 各 国 一 等 書 記 官 と 年 収 総 額 ベースで 比 較 を 行 っている 平 成 21 年 の 最 新 調 査 によれば,ワシントンに 在 勤 す る 各 国 ( 米 国 は 除 くOECD 加 盟 国 ) 外 交 官 との 比 較 では, 我 が 国 は2 7
9か 国 中 18 番 目 の 水 準 である ( 注 1: 比 較 にあたっては, 我 が 国 在 外 職 員 に 支 給 されている 本 俸, 在 勤 基 本 手 当, 配 偶 者 手 当, 扶 養 手 当, 子 女 教 育 手 当 に 相 当 する 各 国 の 手 当 の 額 を 対 象 としている ) ( 注 2:OECD 加 盟 国 中, 我 が 国 国 民 1 人 当 たりのGDP( 国 民 総 生 産 ) は, 最 新 調 査 では,30か 国 中 19 番 目 ) なお,ワシントンのような 先 進 国 勤 務 のケース 以 外 に, 途 上 国 勤 務 に ついて, 勤 務 生 活 環 境 の 厳 しさについて 主 要 国 が 如 何 なる 手 当 を 行 っ ているかについても 今 後 調 査 を 行 う 必 要 があると 思 われる (11)さらに, 最 近 の 厳 しい 財 政 状 況 を 反 映 し, 本 年 度 予 算 において 在 勤 手 当 予 算 額 は 総 額 で 対 前 年 7.8%(このうち 為 替 物 価 変 動 による 影 響 は5.0%)の 減 額 となった これは 基 準 公 館 である 在 米 国 大 使 館 で みると, 平 成 10 年 度 と 比 較 し, 予 算 上 の 総 額 抑 制 措 置 の 結 果, 為 替 物 価 の 変 動 分 が 実 質 反 映 されていない 年 度 が8 回 あることに 伴 って, 一 等 書 記 官 で33.2%, 大 使 で45.8%の 実 質 減 額 となっている (12) 以 上 みてきた 状 況 にかんがみれば, 現 時 点 においては,これ 以 上 の 在 勤 手 当 の 水 準 引 き 下 げには 限 界 があろう しかしながら, 我 が 国 がか つてなく 厳 しい 財 政 状 況 に 置 かれていることを 考 えれば, 今 後, 在 勤 手 当 の 水 準 を 引 き 上 げていくことにもまた 限 界 がある そういった 中 で, 昭 和 27 年 の 名 称 位 置 給 与 法 施 行 後, 我 が 国 の 外 交 的 地 位 の 向 上 に 伴 い, 在 外 公 館 の 増 加, 特 に 勤 務 環 境 の 厳 しい 途 上 国 公 館 の 増 加, 我 が 国 国 内 の 生 活 水 準 の 向 上, 職 員 と 家 族 をとりまく 社 会 の 変 化 等 により, 従 来 の 制 度 では 十 分 対 応 できず, 在 外 職 員 に 個 人 的 負 担 を 強 いらざるを 得 ない ような 事 案 も 生 じてきている 8
(13)このような 状 況 下, 今 日 求 められていることは, 外 交 官 の 海 外 勤 務 生 活 に 伴 う 購 買 力 補 償 のために 在 勤 手 当 があるという 制 度 本 来 の 趣 旨 を 踏 えつつ, 在 外 職 員 個 々 人 の 家 庭 事 情 や 家 族 構 成 社 会 の 変 化 ( 女 性 の 進 出 を 含 む)といった 様 々な 実 態 に 適 合 できるよう, 制 度 を 改 善 してい くことである 但 し,そのためには, 先 述 したように 様 々な 実 態 調 査 や データの 蓄 積 と 分 析 が 必 要 であり, 大 幅 な 制 度 の 改 変 を 直 ちに 実 施 でき るわけではない その 一 方 で, 後 述 するように, 現 在, 赴 任 時 の 設 営 に 係 る 経 費 の 支 給 が 不 十 分 であることから, 例 えば 借 金 をせざるを 得 ない 職 員 が 多 数 おり, 共 済 組 合 等 外 務 省 の 借 入 れ 制 度 を 利 用 する 者 のみで 年 間 約 280 名, 借 入 額 の 平 均 が 約 200 万 円 という 状 況 もある こうし た 状 況 は 早 急 に 是 正 する 必 要 がある (14) 以 上 を 踏 まえ, 本 審 議 会 としては, 在 外 職 員 が 国 内 におけるのと 同 水 準 の 勤 務 生 活 環 境 を 確 保 し,かつ,その 職 務 と 責 任 に 応 じた 役 割 を 十 分 果 たすための 環 境 を 整 える 観 点 から, 在 外 職 員 が 直 面 する 困 難 につ いての 緊 急 性 に 応 じて, 以 下 のように, 平 成 23 年 度 予 算 の 中 で 実 施 し ていくべき 短 期 的 課 題 と, 在 外 公 館 に 求 められる 役 割 に 関 する 議 論 等 も 踏 まえて 一 定 の 時 間 と 労 力 を 投 じて 検 討 していくべき 中 長 期 的 課 題 に 区 分 した 上 で 具 体 的 勧 告 を 提 示 することとする 2. 平 成 23 年 度 予 算 で 検 討 すべき 課 題 (1) 一 般 的 生 活 経 費 調 査 結 果 を 受 けた 在 勤 基 本 手 当 及 び 住 居 手 当 の 支 給 水 準 の 改 定 一 般 的 生 活 経 費 調 査 の 結 果 を 基 に, 日 本 での 生 活 水 準 を 任 地 でも 維 持 し,さらに 海 外 勤 務 に 伴 う 負 担 増 に 対 応 するよう, 支 給 水 準 の 改 定 を 行 9
うべきである ただし, 勤 務 生 活 環 境 の 厳 しい 在 勤 地 については, 先 述 したとおり, 肉 体 的 精 神 的 負 担 も 大 きいことから,まずは, 現 行 の 加 算 制 度 の 範 囲 内 で, 厳 しさの 度 合 いに 応 じた 手 当 とし,できるだけの 配 慮 を 検 討 すべきである 住 居 手 当 の 限 度 額 については, 一 般 的 生 活 経 費 調 査 と 同 時 に 行 った 住 居 事 情 調 査 に 基 づき, 緊 急 時 の 出 勤 体 制 や 治 安 状 況, 在 勤 地 の 社 会 環 境 等 を 総 合 的 に 勘 案 して 必 要 な 改 定 を 行 うべきである (2) 赴 任 時 設 営 費 のための 在 勤 基 本 手 当 の 前 倒 し 支 給 在 勤 基 本 手 当 には, 海 外 赴 任 に 伴 う 特 有 の 経 費 増 として 赴 任 時 の 設 営 費 が 平 均 的 在 勤 月 数 で 分 割 され, 毎 月 支 給 されている 在 外 公 館 に 赴 任 する 際 は, 引 越 代 や 家 電 製 品 の 買 替 え, 赴 任 後 の 家 具, 自 動 車 購 入, 家 賃 数 ヶ 月 分 の 前 払 い 等 国 内 転 勤 時 に 比 して,より 大 きな 額 の 一 時 的 経 費 が 発 生 する これら 経 費 は, 現 在 の 旅 費 法 で 定 められた 移 転 料 や 支 度 料 では 賄 いきれないことから, 赴 任 期 間 中 の 在 勤 基 本 手 当 により 払 い 戻 す 形 となっている このため, 赴 任 時 において, 在 外 職 員 は,これ ら 一 時 的 経 費 を 自 己 資 金 や 借 り 入 れにより 賄 わざるを 得 ないこととなる こうした 職 務 による 異 動 に 伴 う 相 当 額 の 金 銭 的 負 担 を 一 時 的 にせよ 職 員 個 人 に 負 担 させ, 場 合 によっては, 数 百 万 円 に 及 ぶ 借 金 を 強 いるような 現 在 の 仕 組 みは 妥 当 ではない 将 来 的 には, 赴 任 時 の 経 費 を 月 払 いの 手 当 か ら 切 り 離 して, 赴 任 時 に 一 括 支 給 する 制 度 を 設 けるべきである 平 成 23 年 度 については, 将 来, 一 括 支 給 の 制 度 が 出 来 上 がるまでの 過 渡 的 措 置 ( 緊 急 的 な 措 置 )として, 在 外 職 員 の 負 担 を 軽 減 するため, 一 部 なりとも 赴 任 移 転 した 月 に 在 勤 基 本 手 当 のうち 赴 任 時 設 営 費 に 当 たる 部 分 を 前 倒 しで 支 給 できる 方 法 を 検 討 すべきである 10
初 期 経 費 の 一 部 赴 任 2 月 目 3 月 目 28 月 29 月 離 任 (3) 子 女 教 育 手 当 の 制 度 改 正 (イ) 支 給 制 度 の 見 直 しについて 現 行 制 度 では, 日 本 人 子 女 が 就 学 可 能 な 学 校 で, 日 本 語 英 語 仏 語 の 言 語 別 に 最 も 低 廉 な 学 校 を 基 準 として 支 給 限 度 額 を 決 めている この 一 方 で, 全 体 として 月 額 14 万 4 千 円 が 最 高 限 度 額 として 定 めら れているため, 基 準 校 の 学 費 がこれを 上 回 る 場 合 は 職 員 の 自 己 負 担 と なっている 在 勤 地 によっては, 就 学 可 能 な 学 校 として 高 額 なインタ ーナショナルスクールしかないケースもあり, 年 間 200~300 万 円 の 自 己 負 担 を 余 儀 なくされている 職 員 もある こうした 一 部 の 職 員 に 多 大 な 自 己 負 担 を 強 いる 現 行 の 制 度 を 改 め, 支 給 額 の 上 限 を 設 定 す る 方 法 ではなく, 該 当 職 員 全 てに 一 定 の 自 己 負 担 をさせた 上 で,それ 以 上 の 学 費 を 要 する 場 合 は 公 費 で 負 担 する 制 度 とすることが 適 当 であ る 自 己 負 担 額 は, 日 本 の 家 計 における 教 育 に 対 する 平 均 的 支 出 実 態 を 考 慮 して 決 定 すべきである (ロ) 幼 稚 園 経 費 の 支 給 現 行 制 度 では, 手 当 の 対 象 は, 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 であり, 幼 稚 園 は 対 象 となっていない 一 方 多 くの 民 間 企 業 では 幼 稚 園 を 含 めて 手 当 の 支 給 を 行 っている 実 態 がある また, 幼 稚 園 への 補 助 については, 11
本 年 5 月, 外 務 大 臣 に 提 出 された 女 性 職 員 の 勤 務 環 境 改 善 のためのタ スクフォース 提 言 においても, 経 費 補 助 が 改 善 策 として 言 及 されてい る 民 間 企 業 での 支 給 実 態 や 在 外 職 員 の 自 己 負 担 の 状 況 から, 子 女 教 育 手 当 の 対 象 に 幼 稚 園 を 含 めることにより, 職 員 の 負 担 を 軽 減 すべきであ る (ハ) 定 額 支 給 額 の 改 定 上 記 を 踏 まえ, 現 行 の 帰 国 後 に 子 女 を 本 邦 学 校 へ 円 滑 に 編 入 学 させる ための 経 費 として, 全 同 伴 子 女 につき 一 律 行 っている 定 額 (18,00 0 円 ) 支 給 は 減 額 する 現 行 制 度 改 正 案 在 勤 地 別 基 準 校 以 外 の 学 校 に 通 学 自 己 負 担 額 自 己 負 担 額 在 勤 地 別 基 準 校 ( 注 ) 1/2 支 給 支 給 額 全 額 全 員 支 給 部 分 全 額 定 額 自 己 負 担 額 18,000 円 定 額 ( 注 ) 基 準 校 : 日 本 人 子 女 が 就 学 可 能 な 学 校 中, 最 も 低 廉 な 授 業 料 等 の 学 校 (4) 住 居 手 当 の 号 の 適 用 の 柔 軟 化 現 行 制 度 上, 住 居 手 当 の 限 度 額 改 定 は, 前 年 5 月 時 点 の 住 居 実 態 調 査 に 基 づき 予 算 要 求 を 行 い, 新 年 度 予 算 成 立 後,4 月 1 日 付 の 政 令 改 正 に より 行 われ,その 後, 年 度 中 の 改 定 は 行 われていない こうした 制 度 の 下 で, 前 年 夏 以 降, 新 年 度 途 中 の 間 に 住 居 の 賃 貸 相 場 が 上 昇 しても, 住 居 手 当 の 限 度 額 を 適 時 に 引 き 上 げることが 困 難 になっている 住 居 事 情 の 劣 悪 ( 特 に 治 安 及 び 水 道 電 気 等 基 礎 インフラ)な 在 勤 地 では,もと 12
もと 賃 貸 物 件 が 少 ない 状 況 の 中 で, 自 然 災 害 や 経 済 状 況 の 変 化 等 により 急 激 に 賃 貸 価 格 が 高 騰 し, 月 額 10~30 万 円 の 自 己 負 担 なしには 安 全 な 住 居 を 確 保 できない 事 態 が 発 生 している このような 事 態 にも 対 応 で きるよう, 現 在 政 令 で 規 定 している 限 度 額 について, 外 務 大 臣 の 判 断 に より 一 時 的 に 政 令 の 限 度 額 を 超 える 額 を 緊 急 措 置 として 適 用 したり, 住 居 手 当 の 号 の 適 用 を 柔 軟 化 し,より 高 額 な 上 位 の 号 も 適 用 できるように する 措 置 を 講 ずるべきである 3. 中 長 期 的 な 在 勤 手 当 見 直 しの 方 向 性 上 記 2.の 平 成 23 年 度 予 算 における 措 置 に 加 え, 今 後 以 下 の 点 について も 制 度 改 善 を 検 討 すべきである 当 面 本 審 議 会 において 平 成 24 年 度 以 降 の 予 算 に 反 映 すべく, 検 討 を 継 続 する (1) 基 本 的 考 え 方 全 体 として,これまでの 在 勤 手 当 制 度 は, 国 内 法 令 や 予 算 制 度 上 の 制 約 から, 非 常 に 複 雑 な 仕 組 みとなってしまっている したがって, 今 後 の 課 題 として, 現 在 の 複 雑 な 制 度 を 出 来 る 限 り 簡 素 化 し, 国 民 一 般 にと ってわかりやすく,また, 運 用 しやすい 制 度 に 改 善 していく 必 要 がある (2) 勤 務 生 活 環 境 の 厳 しい 在 勤 地 におけるハードシップ 手 当 の 導 入 勤 務 生 活 環 境 は 厳 しいが, 物 価 水 準 が 低 い 在 勤 地 は, 日 常 的 な 生 活 経 費 のみをみれば, 手 当 の 減 額 が 適 当 との 結 論 になる こうした 在 勤 地 での 困 難 さについては, 外 務 省 が 現 在 行 っている 在 勤 基 本 手 当 の 特 定 勤 務 地 加 算 により, 追 加 的 生 活 コストとして 手 当 により 補 償 できる 部 分 も あるが, 治 安 や 健 康 上 のリスク 要 因 精 神 的 負 担 等, 一 般 的 生 活 経 費 支 出 に 現 れない 要 素 も 勘 案 した 何 らかの 対 応 策 も 講 ずる 必 要 がある 先 述 13
のとおり 民 間 企 業 においては, 広 く 一 般 的 生 活 経 費 と 別 に, 任 地 毎 に 一 定 額 のハードシップ 手 当 が 支 給 されている また, 国 内 に 勤 務 する 国 家 公 務 員 が 離 島 等 に 勤 務 する 場 合 には, 職 員 の 精 神 的 負 担 や 生 活 の 不 便 度 に 給 与 上 対 処 するものとして 特 地 勤 務 手 当 が 支 給 されている これらを 踏 まえ, 在 外 職 員 についても 何 らかの 措 置 を 講 ずることを 検 討 する 必 要 がある (3) 単 身 赴 任 に 対 する 措 置 の 検 討 最 近, 在 外 職 員 においても, 子 女 の 教 育 や 親 の 介 護, 配 偶 者 の 就 業 によ り 単 身 赴 任 する 職 員 が 増 加 しており, 在 外 勤 務 を 定 期 的 に 繰 り 返 す 在 外 職 員 にとり 大 きな 負 担 となっている 民 間 企 業 では 一 般 的 に 海 外 勤 務 に 際 し 単 身 赴 任 となる 場 合 には, 本 人 と 家 族 が 二 重 生 活 となることによる 生 活 費 増 大 に 対 し, 給 与 上 の 措 置 がとら れている また, 国 内 公 務 員 も 国 内 転 勤 の 際, 距 離 に 応 じて 単 身 赴 任 手 当 が 支 給 されている 在 外 職 員 もやむを 得 ず 単 身 赴 任 をしている 場 合 につい ては, 同 様 に 手 当 上 の 措 置 を 講 ずる 必 要 があるか 検 討 する 必 要 がある また, 例 えば, 家 族 と 過 ごす 時 間 を 設 けるため, 在 外 職 員 が 帰 国 するか, 家 族 を 呼 び 寄 せるための 旅 費 の 支 給 等, 手 当 制 度 以 外 の 措 置 について 検 討 する 必 要 がある ただし, 在 外 職 員 の 精 神 面 の 安 定 や 人 事 管 理 の 面 からは, 配 偶 者 の 同 伴 が 望 ましいことはいうまでもなく, 同 伴 を 奨 励 するような 方 策 もあわせて 検 討 する 必 要 がある (4) 配 偶 者 手 当 の 見 直 し 配 偶 者 手 当 については, 単 純 に 配 偶 者 の 同 伴 に 伴 う 生 計 費 の 増 加 という 14
側 面 だけではなく, 配 偶 者 も 外 交 活 動 の 一 部 を 担 っているという 側 面 から, 配 偶 者 手 当 が 設 けられてきた しかし, 最 近 は, 様 々な 事 情 から 配 偶 者 の 外 交 活 動 への 参 画 が 困 難 な 者 もいると 聞 く 今 後, 外 交 官 配 偶 者 の 外 交 活 動 への 参 画 の 在 り 方 を 検 討 し,これを 踏 まえ, 配 偶 者 手 当 の 在 り 方 を 検 討 する 必 要 がある また, 生 計 費 増 については, 現 行 制 度 では, 配 偶 者 は 在 勤 手 当 の 中 の 配 偶 者 手 当 で, 子 女 については 国 内 給 の 扶 養 手 当 ( 配 偶 者 分 は 在 外 勤 務 者 には 支 給 されない )で 対 応 することとなっている このた め 子 女 分 について 在 外 生 活 勤 務 による 経 費 増 に 対 応 できていないとも 考 えられ, 検 討 する 必 要 がある( 注 ) ( 注 ) 国 内 で 支 給 されている 子 ども 手 当 は 在 外 職 員 に 支 給 されていない (5) 生 活 基 盤 確 保 のための 継 続 的 措 置 ( 在 外 公 館 による 住 居 の 確 保 等 ) 多 くの 民 間 企 業 海 外 駐 在 員 やアメリカ 合 衆 国 等 の 諸 外 国 外 交 官 では, 会 社 や 国 が 住 居 の 一 括 借 上 げを 行 っている 実 態 があることから, 外 務 省 においても 個 々の 職 員 に 住 居 の 手 配 をさせ 住 居 手 当 を 支 給 する 制 度 では なく, 民 間 企 業 へのアウトソーシング 等 により 借 上 げ 等 を 行 うことも 検 討 する 必 要 がある また, 現 在, 在 勤 手 当 の 定 額 支 給 により 賄 うものとしている 支 出 項 目 についても, 透 明 性 公 平 性 の 観 点 で 実 費 支 給 とする 等, 在 勤 手 当 とし て 支 給 する 方 法 以 外 の 方 法 ( 例 えば, 赴 任 時 設 営 費 のうちの 家 具 のレン タルサービス 等 による 供 与 の 可 能 性 など)も 検 討 する 必 要 がある ただ し, 厳 格 な 公 私 の 峻 別 が 求 められている 現 行 の 会 計 法 の 下 では, 職 員 の 私 的 生 活 にまたがざるを 得 ない 種 々の 経 費 について, 個 々に 妥 当 性 をチ ェックし 支 給 を 行 うために 行 政 コストが 大 幅 に 増 加 する 可 能 性 がある この 点 については 民 間 企 業 における 社 用 私 用 の 区 別 のコスト 管 理 の 実 15
態 も 踏 まえて 検 討 する 必 要 がある (6) 在 外 職 員 の 赴 任 期 間 多 くの 民 間 企 業 や 国 際 機 関 においては,3~5 年 以 内 を 海 外 における 一 任 地 の 派 遣 期 間 の 目 安 としている これに 比 し, 在 外 職 員 の 平 均 赴 任 期 間 は 約 2 年 10ヶ 月 となっており, 在 外 職 員 は 相 対 的 に 短 期 間 での 異 動 となっている この 結 果, 先 述 のとおり, 赴 任 時 の 設 営 に 係 る 経 費 が 職 員 に 大 きな 負 担 となり, 相 当 の 手 当 が 必 要 となっていることから, 今 後, 外 交 活 動 や 人 事 バランス, 勤 務 生 活 環 境 の 特 に 厳 しい 公 館 への 赴 任 期 間 には 配 慮 しつつ も,(イ) 在 外 職 員 の 一 任 地 における 赴 任 期 間 をより 長 期 とすること, 及 び(ロ) 前 もって 在 勤 期 間 を 定 めることも 検 討 していく 必 要 がある 赴 任 期 間 の 長 期 化 は, 人 間 関 係 が 基 本 となる 外 交 活 動 に 資 する 面 があり, 赴 任 旅 費 等 の 予 算 削 減 効 果 も 生 じる また, 在 勤 期 間 を 予 め 明 確 化 してお けば, 赴 任 者 やその 同 伴 家 族 が 子 供 の 学 校 等, 赴 任 後 の 生 活 設 計 や 将 来 計 画 を 立 てやすくなり,ひいては 単 身 赴 任 の 減 少 にもつながると 考 えられる (7) 為 替 物 価 変 動 の 自 動 的 反 映 在 勤 基 本 手 当 の 為 替 物 価 変 動 について,ここ 数 年 は 円 高 基 調 というこ ともあり, 為 替 物 価 変 動 は 完 全 反 映 されているが, 過 去 においては 年 度 予 算 の 制 約 から, 為 替 物 価 変 動 が 完 全 に 反 映 されなかった 事 例 がある 為 替 物 価 変 動 という 外 的 要 因 について,その 負 担 を 職 員 個 人 に 負 わせる ことは 不 合 理 であるので, 自 動 的 に 反 映 されるような 仕 組 みを 検 討 する 必 要 がある ( 了 ) 16