直 轄 事 業 負 担 金 の 制 度 史 と 見 直 し 論 議 の 展 開 東 京 財 団 研 究 員 兼 政 策 プロデューサー 三 原 岳 2012 年 5 月 20 日 日 本 地 方 財 政 学 会 今 回 の 発 表 は 個 人 の 意 見 であり 財 団 を 代 表 したものではありません 1
主 な 発 表 の 内 容 直 轄 事 業 負 担 金 とは 何 か? 直 轄 事 業 負 担 金 と 財 政 制 度 との 関 係 は? 直 轄 事 業 負 担 金 の 淵 源 は 何 処 に 遡 るか? 直 轄 事 業 負 担 金 の 見 直 しに 向 けて 地 方 は 何 を 主 張 してきたか? 直 轄 事 業 負 担 金 の 見 直 しは 何 故 進 まなかったのか? 2010 年 度 に 維 持 管 理 費 負 担 金 が 廃 止 されたのは 何 故 か? その 過 程 で 橋 下 徹 大 阪 府 知 事 が 果 たした 役 割 は? その 過 程 で 全 国 知 事 会 が 果 たした 役 割 は? その 過 程 で 民 主 党 への 政 権 交 代 が 与 えた 影 響 は? 今 後 の 課 題 は 何 か? 2
直 轄 事 業 負 担 金 とは 何 か ~ 制 度 の 概 要 と 予 算 額 ~ 道 路 河 川 砂 防 港 湾 空 港 など 国 が 実 施 する 直 轄 公 共 事 業 の 一 部 費 用 を 負 担 させる 仕 組 み 負 担 割 合 は 事 業 によって 異 なるが 都 道 府 県 政 令 市 が 国 に 支 出 2009 年 度 までは 建 設 費 維 持 管 理 費 の2 種 類 があり その 比 率 は 概 ね8 対 2 維 持 管 理 費 負 担 金 は2010 年 度 に 原 則 廃 止 規 模 は2010 年 度 決 算 ベース で 約 8500 億 円 費 用 負 担 の 割 合 (2009 年 度 まで) 3
直 轄 事 業 負 担 金 と 財 政 制 度 ~ 地 方 交 付 税 はルール ル 上 全 額 を 措 置 ~ 地 方 財 政 計 画 の 歳 出 に 直 轄 事 業 負 担 金 を 計 上 しているほか 各 団 体 に 配 分 する 普 通 交 付 税 の 基 準 財 政 需 要 額 ( 道 路 橋 りょう 費 等 )で 措 置 新 直 轄 高 速 道 路 などの 地 方 債 元 利 償 還 費 も 交 付 税 措 置 地 方 団 体 が 支 出 した 負 担 金 は 国 の 社 会 資 本 整 備 事 業 特 別 会 計 ( 一 部 は 一 般 会 計 )に 払 い 込 まれ 国 が 建 設 国 債 を 発 行 して 事 業 を 執 行 4
直 轄 事 業 負 担 金 と 財 政 制 度 (1) ~ 個 別 法 の 規 定 はバラバラ~ 支 出 を 求 める 根 拠 は 地 方 財 政 法 のほか 道 路 法 河 川 法 空 港 法 など 個 別 法 に 規 定 しかし 制 度 が 別 々に 創 設 されて 来 た 歴 史 があり 自 治 体 の 協 議 手 続 き で 個 別 法 にバラツキ 道 路 法 第 50 条 5 国 土 交 通 大 臣 が 著 しく 利 益 を 受 ける 他 の 都 道 府 県 に 国 道 の 所 在 する 都 道 府 県 の 負 担 すべき 負 担 金 の 一 部 を 分 担 させようとする 場 合 においては 関 係 都 道 府 県 の 意 見 を 聞 かなければならない 河 川 法 第 63 条 2 国 土 交 通 大 臣 は 利 益 を 受 ける 都 府 県 に 河 川 の 管 理 に 要 する 費 用 の 一 部 を 負 担 させようとするときは あらかじ め 都 府 県 知 事 の 意 見 をきかなければならない 港 湾 法 第 52 条 国 際 戦 略 港 湾 国 際 拠 点 港 湾 又 は 重 要 港 湾 において 一 般 交 通 の 利 便 の 増 進 公 害 の 発 生 の 防 止 又 は 環 境 の 整 備 を 図 り 避 難 港 において 一 般 交 通 の 利 便 の 増 進 を 図 るため 必 要 がある 場 合 において 国 と 港 湾 管 理 者 の 協 議 が 調 つたときは 国 土 交 通 大 臣 は 予 算 の 範 囲 内 で 港 湾 工 事 を 自 らすることができる 空 港 法 第 6 条 3 国 土 交 通 大 臣 は 工 事 を 施 行 しようとするときは あらかじめ 費 用 を 負 担 すべき 都 道 府 県 と 協 議 しなければならない 5
直 轄 事 業 負 担 金 の 歴 史 ~ 淵 源 は 明 治 6 年 ~ 1873 年 ( 明 治 6 年 )6 月 に 制 定 された 河 港 道 路 修 築 規 則 が 最 初 その 後 1896 年 に 砂 防 法 1897 年 に 河 川 法 制 定 1919 年 に 道 路 法 制 定 港 湾 でも 直 轄 事 業 がスタートし 直 轄 事 業 負 担 金 が 制 度 化 都 道 府 県 知 事 の 公 選 化 に 伴 って1948 年 の 地 方 財 政 法 に 根 拠 を 規 定 1950 年 の 港 湾 法 制 定 1960 年 代 の 道 路 法 や 河 川 法 の 改 正 を 通 じて 制 度 が 定 着 負 担 金 の 規 模 は 年 々 拡 大 1960~2010 年 度 の 負 担 金 額 推 移 縦 軸 は 兆 円 官 選 知 事 時 代 の 名 残 を 残 した 制 度 一 方 的 に 負 担 を 強 いられる 仕 組 みに 対 する 地 方 の 不 満 6
直 轄 事 業 負 担 金 見 直 しの 系 譜 (1) ~ 当 初 は 財 政 論 的 な 観 点 で~ 全 国 知 事 会 は1959 年 9 月 に 初 めて 廃 止 を 提 言 維 持 管 理 費 負 担 金 は1962 年 に 廃 止 を 要 請 事 業 の 計 画 とか 実 施 変 更 に 当 たりまして 地 方 公 共 団 体 との 間 に 十 分 な 事 前 協 議 が 行 われないなどいろいろ 問 題 が ある 国 と 地 方 の 責 任 分 担 と 財 政 秩 序 を 確 立 する 見 地 からも 直 轄 事 業 負 担 金 制 度 はぜひ 廃 止 することにしていただき たい 特 に 維 持 管 理 費 は 管 理 主 体 が 負 担 すべきものであり 早 急 に 廃 止 をしていただかなければならない いまの 補 助 制 度 では 府 県 道 や 市 町 村 道 の 維 持 管 理 費 の 一 部 を 国 が 持 ちやしないですから これは 一 方 通 行 なんですね 我 々の 負 担 金 で 建 設 省 の 出 張 所 職 員 の 月 給 を 養 っておるわけです ここまではちょっとひどいではないか (1977 年 4 月 13 日 衆 院 地 方 行 政 委 員 会 長 野 士 郎 岡 山 県 知 事 の 発 言 ) 北 海 道 ですと5000 億 ぐらいが 直 轄 事 業 ですが 大 体 3 割 ぐらい 1500 億 円 ぐらい これは 明 細 書 なしの 請 求 書 どういう ふうに 使 ったか 関 係 なしにポンと 請 求 書 が 来 て 払 わぬといけないというお 金 直 轄 事 業 に 地 方 はほとんど 発 言 ができま せん 国 がみんな 全 部 内 容 を 決 めてしまって そのかわり 後 始 末 ですね ( 2004 年 4 月 21 日 衆 院 内 閣 委 員 会 横 路 孝 弘 衆 院 議 員 の 発 言 ) < 地 方 の 主 な 主 張 > 大 規 模 事 業 は 国 が 全 額 負 担 すべきであり 建 設 費 を 地 方 が 負 担 するのはおかしい 維 持 管 理 の 水 準 について 地 方 は 内 容 に 関 与 できないのに 費 用 を 負 担 するのは 責 任 明 確 化 の 上 から 問 題 退 職 手 当 など 国 家 公 務 員 の 人 件 費 を 負 担 すべきではない 直 轄 事 業 負 担 金 の 内 訳 明 細 が 不 透 明 直 轄 事 業 負 担 金 の 存 在 が 地 方 の 財 政 自 由 度 を 奪 っている 維 持 管 理 費 負 担 金 の 地 方 負 担 が10 分 の4.5と 高 い 普 通 建 設 事 業 に 占 める 直 轄 事 業 負 担 金 の 割 合 縦 軸 はパーセント 7
直 轄 事 業 負 担 金 見 直 しの 系 譜 (2) ~1990 年 代 以 降 は 分 権 論 的 な 観 点 で~ 1993 年 の 国 会 決 議 以 後 地 方 分 権 の 議 論 が 進 展 自 治 体 の 自 由 度 を 縛 る 制 度 として 国 庫 負 担 金 の 存 在 を 問 題 視 分 権 改 革 の 一 環 として 直 轄 事 業 負 担 金 制 度 の 廃 止 論 が 浮 上 維 持 管 理 費 に 係 る 直 轄 事 業 負 担 金 については 同 種 の 地 方 公 共 団 体 の 行 う 事 業 に 対 する 国 の 負 担 との 均 衡 建 設 事 業 費 と 維 持 管 理 費 の 均 衡 維 持 管 理 の 形 態 等 を 総 合 的 に 勘 案 し 段 階 的 縮 減 を 含 め 見 直 しを 行 うこととする アカウンタビリティの 観 点 から 直 轄 事 業 負 担 金 の 内 容 は 積 極 的 公 開 を 進 める 公 共 事 業 等 の 事 務 費 については 直 轄 事 業 と 補 助 事 業 の 事 業 執 行 のあり 方 等 も 踏 まえつつ 対 象 と なる 経 費 の 内 訳 や 範 囲 等 について 均 衡 のとれたものとする (1997 年 9 月 地 方 分 権 推 進 委 員 会 第 2 次 勧 告 ) 維 持 管 理 に 関 する 直 轄 事 業 負 担 金 は 引 き 続 き 段 階 的 縮 減 を 含 め 見 直 しを 行 う 直 轄 事 業 負 担 金 に 係 る 事 務 費 は 直 轄 事 業 と 補 助 事 業 の 事 業 執 行 の 在 り 方 等 も 踏 まえつつ 対 象 とな る 経 費 の 内 訳 や 範 囲 等 について 均 衡 のとれたものとなるよう 更 に 見 直 しを 行 う (2003 年 6 月 骨 太 方 針 2003) 直 轄 事 業 が 全 国 的 視 野 の 下 に 国 家 的 政 策 として 実 施 されながら 地 方 公 共 団 体 に 対 して 個 別 に 財 政 負 担 を 課 する 直 轄 事 業 負 担 金 は 極 めて 不 合 理 であるため これを 廃 止 すべきである 本 来 管 理 主 体 が 負 担 すべき 維 持 管 理 費 について 直 轄 事 業 負 担 金 として 地 方 公 共 団 体 に 財 政 負 担 させることは 極 めて 不 合 理 であり 早 急 にこれを 廃 止 すべきである (2004 年 8 月 地 方 六 団 体 国 庫 補 助 負 担 金 等 に 関 する 改 革 案 ) 8
直 轄 事 業 負 担 金 見 直 しの 系 譜 ( 参 考 ) ~ 明 治 期 からの 制 度 史 と 見 直 し 論 議 の 展 開 ~ 年 月 出 来 事 出 来 事 の 意 義 1873 年 河 港 道 路 修 築 規 則 の 制 定 1896 年 河 川 法 制 定 1897 年 砂 防 法 制 定 直 轄 事 業 負 担 金 の 1907 年 重 要 港 湾 ノ 選 定 及 ビ 施 設 ノ 方 針 制 度 化 が 進 展 1911 年 河 川 改 修 計 画 ニ 関 スル 件 砂 防 計 画 ニ 関 スル 件 1919 年 道 路 法 制 定 1948 年 地 方 財 政 法 制 定 地 方 自 治 制 度 の 民 主 化 1949 年 地 方 財 政 法 改 正 不 服 申 し 立 て 規 定 を 追 加 1949 年 土 地 改 良 法 制 定 1950 年 港 湾 法 制 定 1952 年 道 路 法 改 正 1 1 級 道 路 などの 区 分 制 定 地 方 自 治 制 度 が 民 1953~1961 年 度 地 方 財 政 の 困 窮 を 受 けて 交 付 公 債 で 予 算 確 保 主 化 されたが 制 度 は 維 持 地 方 は 財 源 論 的 なスタンスで 見 直 1956 年 海 岸 法 空 港 整 備 法 制 定 1959 年 全 国 知 事 会 が 制 度 廃 止 を 初 めて 提 言 1962 年 全 国 知 事 会 が 維 持 管 理 費 負 担 金 の 廃 止 を 提 言 1963~19641964 年 河 川 法 の 抜 本 改 正 11 級 河 川 は 原 則 国 が 管 理 し 要 請 1965 年 道 路 法 改 正 1 級 道 路 の 区 分 を 廃 止 1975~1976 年 財 政 難 で 負 担 金 を 払 えない 自 治 体 が 続 出 1985~1992 年 国 の 財 政 再 建 で 国 庫 負 担 率 を 暫 定 引 き 下 げ 1993 年 度 ~ 現 在 の 負 担 率 がほぼ 確 定 1997 年 地 方 分 権 推 進 委 員 会 が 直 轄 事 業 の 縮 小 を 提 言 1998 年 地 方 分 権 推 進 委 員 会 が 維 持 管 理 費 負 担 金 の 縮 減 提 言 2003 年 骨 太 方 針 に 維 持 管 理 費 負 担 金 の 縮 減 を 規 定 2004 年 全 国 知 事 会 が 維 持 管 理 費 負 担 金 の 廃 止 を 国 に 提 言 2006 年 全 国 知 事 会 が 政 府 への 意 見 具 申 権 を 使 い 維 持 管 理 費 負 担 金 の 廃 止 を 要 請 地 方 分 権 の 観 点 か ら 見 直 しを 促 す 動 きが 加 速 9
見 直 しが 進 まなかった 理 由 の 考 察 ~ 国 地 方 の 本 音 と 思 惑 ~ 国 の 事 情 受 益 のあるところに 負 担 が 生 ずる これは 近 代 法 律 の 当 然 な 基 本 でございます それから 地 方 の 裏 負 担 の 問 題 でありますが これは 地 方 財 政 計 画 の 上 で 十 分 な 配 意 をいたしておりまして 地 方 交 付 税 地 方 起 債 等 によって 十 分 の 財 政 的 な 確 保 がはかられておるわけであります (1963 年 6 月 7 日 参 院 本 会 議 池 田 勇 人 内 閣 の 田 中 角 栄 蔵 相 答 弁 ) 地 元 の 方 からできる 限 り 直 轄 にしてくださいという 陳 情 が 非 常 に 多 いわけであります それは 直 轄 にするこ とによって 負 担 金 も 少 なく 済 むわけでありますから そういう 面 から 考 えますと 全 国 の 各 県 を 見 ますと 直 轄 の 多 い 県 少 ない 県 といったような 面 もあるわけであり そういう 意 味 から 一 律 に 直 轄 負 担 を 廃 止 する ということになりますと これまた 行 政 上 非 常 に 不 公 平 が 出 てくるわけであります いまのところは 直 ちに 負 担 金 を 廃 止 するというところまでなかなか 踏 み 切 れる 段 階 ではないという 実 態 であります ( 1975 年 12 月 11 日 参 院 建 設 委 員 会 三 木 武 夫 内 閣 の 仮 谷 忠 男 建 設 相 答 弁 ) 地 方 の 事 情 事 業 費 が 減 ることを 恐 れて 受 益 者 負 担 を 理 由 に 難 色 補 助 事 業 でやれば2 分 の1 負 担 をしなければならないのが 直 轄 事 業 でやってもらえれば3 分 の1で 済 むか ら これは 得 ではないか ぜひやってもらおうではないかという 精 神 がなかったと 言 えば 嘘 になります そ ういうことで 私 どもは 大 変 便 利 に 使 ってきたということは 言 える (2009 年 4 月 2 日 地 方 分 権 改 革 推 進 委 員 会 村 井 仁 長 野 県 知 事 の 発 言 ) 財 政 負 担 を 軽 減 するため 補 助 事 業 の 直 轄 化 を 求 めており 廃 止 を 言 いにくい 事 情 10
閑 話 休 題 ~ 見 直 しが 進 まなかった 本 音 の 考 察 ~ 自 治 体 は 高 度 成 長 期 地 方 道 の 直 轄 化 を 促 す 国 道 昇 格 運 動 を 展 開 松 村 謙 三 銅 像 in 富 山 県 南 砺 市 地 方 的 幹 線 道 路 網 を 構 築 する2 級 国 道 は1 級 国 道 と 同 様 に 整 備 の 必 要 を 痛 感 しているが 補 助 工 事 として 県 が 実 施 し たのでは 遅 々として 進 まず 産 業 経 済 の 発 展 に 多 大 の 支 障 をきたしている 政 府 は2 級 国 道 を1 級 国 道 と 同 様 に 国 の 直 轄 として 施 工 されたい (1959 年 8 月 全 国 知 事 会 提 言 ) 仮 に40 号 線 以 下 を 都 道 府 県 道 にすると 仕 事 がどっと 都 道 府 県 に 下 り 建 設 省 地 方 建 設 局 の 仕 事 が 減 る 1 級 河 川 の 中 には1つの 都 道 府 県 内 で 水 源 から 河 口 まで 水 系 が 完 結 し ているものが 結 構 ある これを2 級 河 川 に 格 下 げし 都 道 府 県 が 責 任 を 負 う 河 川 にしてもよいのではないか という 考 え 方 がある ところが そうした 要 望 は 地 方 公 共 団 体 から 出 な かった 実 際 に 起 きたことはまったく 逆 だった 戦 後 の 長 い 間 国 道 への 格 上 げ 運 動 が 全 国 各 地 で 行 われ 格 上 げが 決 まると 祝 賀 パーティーが 開 かれ 知 事 がテープを 切 って 祝 った 全 国 知 事 会 も 国 道 河 川 を 格 下 げてしてくれなん ていえない それが 今 までの 実 態 なのだ ( 分 権 社 会 のデ ザイン から 西 尾 勝 の 発 言 を 引 用 ) < 碑 文 > 松 村 謙 三 先 生 は 明 治 十 六 年 福 光 町 に 生 まれ 昭 和 三 年 衆 議 院 初 当 選 以 降 十 三 回 当 選 こ の 間 国 政 の 枢 機 に 参 画 国 道 三 〇 四 号 昇 格 の ため 尽 力 されました 11
橋 下 氏 の 発 言 と 見 直 し 論 議 の 展 開 ~ ぼったくりバー 奴 隷 制 度 ~ 2008 年 末 から 請 求 方 法 や 情 報 開 示 の 在 り 方 について 国 を 厳 しく 批 判 し メディアが 大 々 的 に 報 道 国 と 地 方 の 優 先 順 位 が 違 う 時 どうすり 合 わせするべき か 国 と 地 方 で 矛 盾 が 生 じ ている (2008 年 6 月 近 畿 地 方 整 備 局 長 との 懇 談 後 ) 一 方 的 に 負 担 を 求 められた ら 支 払 い 拒 否 も 辞 さない (2008 年 7 月 大 阪 府 議 会 答 弁 ) 国 は 暴 力 団 以 上 の 組 織 負 担 金 を 上 納 させられるので やろうと 思 っていることがで きない (2008 年 11 月 28 日 府 内 市 長 との 懇 談 会 ) 府 職 員 の 人 件 費 をカットしなが ら 道 路 だけピカピカなのはおか しい 今 後 払 う 必 要 のないもの は 支 払 わない (2008 年 12 月 3 日 府 の 部 長 会 議 での 発 言 ) 国 と 地 方 の 関 係 は 奴 隷 制 度 政 権 与 党 に 奴 隷 解 放 しても らわないと (2009 年 2 月 金 子 一 義 国 交 相 との 面 談 ) 国 交 省 は 詐 欺 集 団 内 訳 を 書 かないなんて 言 語 道 断 自 滅 してくれた (2009 年 3 月 記 者 団 に) 大 阪 の 新 地 の 請 求 書 でもこんなひどいものはないです こんな ぼったくりバー みたいな 請 求 書 で 普 通 だったら 店 は 廃 業 になる これほ どひどい 行 政 慣 行 なのに 誰 もこれに 対 して 文 句 を 言 わないできた 地 方 の 職 員 も 完 全 に 催 眠 術 にかけられているのです 飲 みに 行 った ときにこんな 請 求 書 がきたらみんな 大 騒 ぎするはずなのに これが 当 たり 前 となっている こんなのはおかしいから 払 えるのかと 言 ってい るのです (2009 年 3 月 地 方 分 権 改 革 推 進 委 員 会 での 発 言 ) 言 われたままの 請 求 書 を 何 のチェックもせずに 払 っていた あんな 請 求 書 で 何 百 億 というお 金 を 払 うなんということは 信 じられない 国 の 直 轄 事 業 負 担 金 という 形 で 取 られる 内 訳 の 中 には 国 家 公 務 員 の 職 員 の 退 職 金 が 入 っていたり 逆 に 地 方 が 国 からもらう 補 助 金 の 中 には 地 方 公 務 員 の 退 職 金 は 当 然 含 まれておりません やはりこれは 地 方 と 今 の 国 の 関 係 というものが 端 的 にあらわれている 事 例 なのかなと いうように 思 っております (2009 年 4 月 衆 院 総 務 委 員 会 での 発 言 ) 12
知 事 会 の 攻 勢 (1) ~ 負 担 金 の 支 払 い 基 準 作 成 ~ 橋 下 氏 の 発 言 を 契 機 に 世 間 の 関 心 が 高 まり 出 先 機 関 の 庁 舎 建 設 費 人 件 費 退 職 金 などを 負 担 させていたことが 各 地 で 次 々と 顕 在 化 知 事 会 は2009 年 3 月 PT 設 置 5 月 の 提 言 では 内 訳 明 細 の 公 表 維 持 管 理 費 負 担 金 の 廃 止 を 要 請 国 は5 月 に 内 訳 明 細 を 公 表 これに 対 し 知 事 会 は 負 担 金 を 支 払 うべき 範 囲 を 定 めた 基 準 を 作 成 し 見 直 しが 実 施 されるまで 不 払 いを 宣 言 < 支 払 い 基 準 の 概 要 > 直 轄 事 業 の 実 施 に 関 わる 事 業 に 限 定 複 数 の 自 治 体 にまたがっている 場 合 業 務 量 を 算 定 して 経 費 を 案 分 事 務 費 (= 業 務 取 扱 費 )は 国 庫 補 助 事 業 との 均 衡 を 取 って 設 定 人 件 費 退 職 手 当 は 負 担 金 の 対 象 外 庁 舎 建 設 費 は 直 轄 事 業 の 推 進 に 必 要 な 現 場 事 務 所 に 限 定 事 務 費 は 国 庫 補 助 事 業 を 参 考 に 地 方 の 支 払 う 水 準 に 制 限 率 を 設 定 13
知 事 会 の 攻 勢 (2) ~マニフェスト 採 点 ~ 分 権 改 革 を 進 めるため 知 事 会 は2009 年 7 月 衆 院 選 マニ フェストの 採 点 を 決 定 100 点 満 点 の 採 点 基 準 直 轄 事 業 負 担 金 改 革 には10 点 自 民 公 明 民 主 のマニフェスト < 自 民 党 > 直 轄 事 業 の 維 持 管 理 費 負 担 金 を2010 年 度 から 廃 止 するとともに 直 轄 事 業 を 基 礎 的 広 域 的 な 事 業 に 限 定 し 制 度 を 抜 本 的 に 見 直 す < 公 明 党 > 当 面 維 持 管 理 にかかる 直 轄 事 業 負 担 金 を 廃 止 し ます その 上 で 国 と 地 方 の 役 割 分 担 を 明 確 化 し 最 終 的 に 廃 止 します < 民 主 党 > 直 轄 事 業 における 負 担 金 制 度 を 廃 止 し 地 方 の 約 1 兆 円 の 負 担 をなくす それに 伴 う 地 方 交 付 税 の 減 額 は 行 わない 政 権 の 枠 組 みに 関 わらず 制 度 見 直 しが 進 むことは 確 定 的 に 14
政 権 交 代 の 影 響 と 議 論 の 決 着 ~ 知 事 会 の 主 張 がほぼ 全 部 実 現 ~ 知 事 会 の 不 払 い 宣 言 を 受 け 国 は2009 年 8 月 2009 年 度 分 の 負 担 金 請 求 を 見 送 り 政 権 交 代 後 出 し 直 しとなった2010 年 度 予 算 概 算 要 求 で 国 交 省 は 維 持 管 理 費 負 担 金 を 除 外 して 要 求 関 係 閣 僚 と 知 事 会 による 意 見 交 換 会 を2009 年 11 月 に 開 催 原 口 一 博 総 務 相 が 工 程 表 の 作 成 を 明 言 その 後 関 係 省 の 政 務 官 と 知 事 会 代 表 で 構 成 するWT 設 置 国 交 省 が 維 持 管 理 費 に 含 まれる 修 繕 費 の 存 続 を 主 張 し 調 整 が 難 航 最 終 的 に 小 沢 一 郎 幹 事 長 の 要 望 書 で 維 持 管 理 費 負 担 金 の 廃 止 が 決 定 2010 年 3 月 に 維 持 管 理 費 を 原 則 廃 止 する 法 律 が 殆 ど 全 ての 会 派 の 賛 成 で 成 立 2009 年 度 負 担 金 についても 知 事 会 の 要 請 通 りに 請 求 内 容 が 見 直 された 15
今 回 の 制 度 改 革 の 意 義 ~ 一 連 の 見 直 し 論 議 を 振 り 返 る~ 直 轄 事 業 負 担 金 の 見 直 し 問 題 は1950 年 代 から 提 起 されており 維 持 管 理 費 の 問 題 に 加 えて 人 件 費 や 庁 舎 建 設 費 の 転 嫁 内 訳 明 細 の 非 開 示 は 以 前 から 懸 案 に その 一 方 国 は 事 業 費 減 少 を 恐 れて 見 直 しに 否 定 的 地 方 も 直 轄 事 業 拡 大 を 求 めて 来 た 経 緯 があるため 見 直 し 論 議 は 進 まず しかし 橋 下 氏 の 問 題 提 起 が 突 破 口 となり 見 直 し 論 議 が 浮 上 過 去 の 議 論 を 見 れば 論 点 自 体 に 目 新 しさないが メディアが 報 道 全 国 知 事 会 も 総 選 挙 を 控 えたタイミングを 利 用 し 支 払 い 基 準 づくりやマニフェスト 採 点 で 攻 勢 政 権 交 代 による 公 共 事 業 費 の 大 幅 減 とともに 維 持 管 理 費 負 担 金 を 廃 止 する 制 度 改 革 その 一 方 事 業 費 や 交 付 税 の 減 少 を 恐 れる 声 が 一 部 自 治 体 で 聞 かれ 財 源 論 を 重 視 する 意 見 も 国 地 方 の 役 割 分 担 を 明 確 にする 分 権 論 的 な 観 点 に 立 てば 制 度 改 革 は 前 進 だが 16
まとめに 代 わる 政 策 提 言 ~ 国 地 方 協 議 の 法 制 化 を~ 建 設 費 負 担 金 の 廃 止 には 補 助 金 出 先 機 関 の 見 直 しなど 様 々な 制 度 改 革 が 影 響 地 方 側 に 財 源 論 的 な 主 張 が 強 い 中 では 直 轄 事 業 化 を 求 める 逆 効 果 の 懸 念 も その 一 方 で 建 設 費 負 担 金 が 存 続 していると 国 地 方 の 対 立 が 表 面 化 したり 円 滑 な 事 業 推 進 が 妨 げられたりする 可 能 性 ( 例 ) 負 担 金 不 払 いを 取 引 材 料 にしつつ 八 ツ 場 ダム 中 止 方 針 を 掲 げる 民 主 党 政 権 に 対 し 流 域 関 係 都 県 が 建 設 継 続 を 要 請 その 後 馬 淵 澄 夫 国 交 相 が 関 係 自 治 体 の 意 見 を 聴 く 方 針 に 転 換 政 策 提 言 (1)プロジェクトごとに 事 業 計 画 決 定 計 画 変 更 ( 例 : 事 業 費 の 見 直 し) 完 成 負 担 金 支 払 い など 段 階 に 応 じて 国 と 自 治 体 が 協 議 する 場 の 法 制 化 (2) 道 路 法 河 川 法 港 湾 法 の 個 別 法 について 自 治 体 との 同 意 手 続 きにバラツキあるため 統 一 規 定 を (3) 国 が 一 方 的 に 説 明 する 場 ではなく 地 方 側 に 会 議 開 催 請 求 権 を 与 えて 対 等 な 立 場 で 協 議 を 17