税 務 訴 訟 資 料 第 263 号 -200( 順 号 12324) 東 京 地 方 裁 判 所 平 成 年 ( ) 第 号 更 正 すべき 理 由 がない 旨 の 通 知 処 分 取 消 等 請 求 事 件 国 側 当 事 者 国 ( 新 宿 税 務 署 長 事 務 承 継 者 日 本 橋 税 務 署 長 ) 平 成 25 年 10 月 30 日 棄 却 控 訴 判 決 原 告 更 生 会 社 A 株 式 会 社 管 財 人 甲 同 訴 訟 代 理 人 弁 護 士 神 原 浩 植 村 京 子 上 野 尚 文 相 良 朋 紀 髙 山 崇 彦 岩 品 信 明 柳 沢 知 樹 長 田 旬 平 被 告 国 同 代 表 者 法 務 大 臣 谷 垣 禎 一 処 分 行 政 庁 新 宿 税 務 署 長 事 務 承 継 者 日 本 橋 税 務 署 長 折 木 榮 一 被 告 指 定 代 理 人 目 代 真 理 小 柳 誠 北 濱 基 紀 平 田 理 右 田 直 也 森 本 利 佳 古 川 丹 生 清 水 一 夫 中 嶋 明 伸 肥 海 智 紀 横 田 美 代 子 主 文 1 原 告 の 請 求 をいずれも 棄 却 する 2 訴 訟 費 用 は 原 告 の 負 担 とする 事 実 及 び 理 由 1
第 1 請 求 1 主 位 的 請 求 新 宿 税 務 署 長 が 平 成 23 年 11 月 28 日 付 けで 原 告 に 対 してした 別 紙 1の 事 業 年 度 欄 記 載 の 各 事 業 年 度 ( 以 下 総 称 するときは 本 件 各 事 業 年 度 といい 同 別 紙 における 事 業 年 度 に 係 る 略 称 は 以 下 においても 用 いることとする )の 更 生 会 社 A 株 式 会 社 ( 以 下 更 生 手 続 開 始 の 前 後 を 問 わず 本 件 更 生 会 社 という )の 法 人 税 に 係 る 原 告 の 同 年 7 月 12 日 付 け 各 更 正 の 請 求 ( 以 下 本 件 各 更 正 の 請 求 という )に 対 する 更 正 をすべき 理 由 がない 旨 の 各 通 知 の 処 分 ( 以 下 本 件 各 通 知 処 分 という )をいずれも 取 り 消 す 2 予 備 的 請 求 被 告 は 原 告 に 対 し 2374 億 6470 万 6270 円 及 びこれに 対 する 平 成 23 年 7 月 13 日 から 支 払 済 みまで 年 5 分 の 割 合 による 金 員 を 支 払 え 第 2 事 案 の 概 要 等 本 件 更 生 会 社 は 本 件 各 事 業 年 度 において 利 息 制 限 法 1 条 に 規 定 する 利 率 ( 以 下 制 限 利 率 という )を 超 える 利 息 の 定 めを 含 む 金 銭 消 費 貸 借 契 約 に 基 づき 利 息 及 び 遅 延 損 害 金 ( 以 下 約 定 利 息 という )の 支 払 を 受 け これに 係 る 収 益 の 額 を 益 金 の 額 に 算 入 して 法 人 税 の 確 定 申 告 をし ていたところ 本 件 更 生 会 社 についての 更 生 手 続 ( 以 下 本 件 更 生 手 続 という )において 総 額 約 1 兆 3800 億 円 のいわゆる 過 払 金 返 還 請 求 権 に 係 る 債 権 が 更 生 債 権 として 確 定 したことか ら 本 件 更 生 会 社 の 管 財 人 である 原 告 が 本 件 各 事 業 年 度 において 益 金 の 額 に 算 入 された 金 額 のう ち 当 該 更 生 債 権 に 対 応 する 利 息 制 限 法 所 定 の 制 限 を 超 える 利 息 及 び 遅 延 損 害 金 に 係 る 部 分 は 過 大 であるとして 同 部 分 を 益 金 の 額 から 差 し 引 いて 法 人 税 の 額 を 計 算 し 本 件 更 生 会 社 の 本 件 各 事 業 年 度 の 法 人 税 に 係 る 課 税 標 準 等 又 は 税 額 等 につき 各 更 正 をすべき 旨 の 請 求 ( 本 件 各 更 正 の 請 求 )を したことに 対 し 新 宿 税 務 署 長 ( 処 分 行 政 庁 )は 更 正 をすべき 理 由 がないとして 本 件 各 通 知 処 分 をした 本 件 は 原 告 が 本 件 各 通 知 処 分 を 不 服 として 主 位 的 に 本 件 各 通 知 処 分 の 取 消 しを 求 め 予 備 的 に 民 法 703 条 に 基 づき 本 件 各 更 正 の 請 求 に 基 づく 更 正 がされた 場 合 に 原 告 が 還 付 を 受 け るべき 金 額 に 相 当 する 金 額 の 不 当 利 得 の 返 還 を 求 める 事 案 である(なお 本 件 各 通 知 処 分 の 際 にお ける 本 件 更 生 会 社 の 納 税 地 を 所 轄 する 税 務 署 長 は 新 宿 税 務 署 長 であったが その 後 にその 納 税 地 に 異 動 があった ) 1 関 係 法 令 等 の 定 め 別 紙 2 関 係 法 令 等 の 定 め に 記 載 したとおりである(なお 同 別 紙 で 定 める 略 称 等 は 以 下 においても 用 いることとする ) 2 前 提 事 実 ( 証 拠 等 の 掲 記 のない 事 実 は 当 事 者 間 に 争 いがないか 当 事 者 において 争 うことを 明 らかにしない 事 実 である 以 下 前 提 事 実 という ) (1) 原 告 等 本 件 更 生 会 社 は 消 費 者 金 融 業 等 を 目 的 とする 株 式 会 社 Bが 平 成 22 年 10 月 日 に 更 生 手 続 開 始 の 決 定 を 受 けた 後 平 成 24 年 3 月 日 に 吸 収 分 割 をすることにより 消 費 者 金 融 業 に 関 して 有 する 権 利 義 務 を 他 の 株 式 会 社 に 承 継 させるとともに 商 号 の 変 更 をした 株 式 会 社 であ り 原 告 は 平 成 22 年 10 月 日 本 件 更 生 会 社 の 管 財 人 に 選 任 された (2) 本 件 更 生 手 続 の 経 緯 等 ア 本 件 更 生 会 社 は 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てをするまでの 間 借 主 が 制 限 利 率 によるところを 2
超 える 利 息 及 び 遅 延 損 害 金 ( 以 下 制 限 超 過 利 息 という ) 含 む 約 定 利 息 を 本 件 更 生 会 社 に 支 払 うことを 内 容 の 一 部 に 含 む 金 銭 消 費 貸 借 契 約 を 顧 客 との 間 で 締 結 し 顧 客 から 支 払 を 受 けた 約 定 利 息 に 係 る 収 益 の 額 を 益 金 の 額 に 算 入 した 上 で 計 算 した 所 得 の 金 額 を 課 税 標 準 として 本 件 各 事 業 年 度 の 法 人 税 の 確 定 申 告 をしていた 最 高 裁 判 所 は 平 成 18 年 1 月 13 日 同 年 法 律 第 115 号 による 改 正 前 の 貸 金 業 の 規 制 等 に 関 する 法 律 ( 以 下 旧 貸 金 業 法 という )43 条 1 項 の 規 定 の 適 用 を 厳 格 に 解 する 判 断 を 示 す 判 決 ( 最 高 裁 平 成 年 ( ) 第 号 同 18 年 1 月 13 日 第 二 小 法 廷 判 決 民 集 60 巻 1 号 1 頁 以 下 最 高 裁 平 成 18 年 判 決 という )を 言 い 渡 したところ そ れ 以 後 本 件 更 生 会 社 を 含 む 貸 金 業 を 営 む 者 に 対 する 過 払 金 返 還 請 求 権 の 行 使 が 急 増 し 本 件 更 生 会 社 は 資 金 繰 りが 悪 化 したため 平 成 22 年 9 月 28 日 東 京 地 方 裁 判 所 に 対 し 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てをした イ(ア) 東 京 地 方 裁 判 所 は 平 成 22 年 10 月 日 本 件 更 生 会 社 について 更 生 手 続 開 始 の 決 定 をし 原 告 を 管 財 人 に 選 任 するとともに 更 生 債 権 等 の 調 査 についての 一 般 調 査 期 間 を 平 成 23 年 5 月 2 日 から 同 月 13 日 までと 定 めた 本 件 更 生 会 社 は 平 成 22 年 4 月 1 日 から 本 件 更 生 手 続 の 開 始 の 日 ( 同 年 10 月 日 ) までの 事 業 年 度 の 決 算 において 過 年 度 超 過 利 息 等 損 失 2 兆 2469 億 5120 万 261 8 円 超 過 利 息 等 損 失 1761 億 3583 万 2161 円 等 を 含 む 約 2 兆 8000 億 円 を 特 別 損 失 として 計 上 した( 乙 1) (イ) 本 件 更 生 手 続 においては 制 限 利 率 に 基 づくいわゆる 引 直 し 計 算 により 過 払 金 返 還 請 求 権 に 係 る 債 権 を 取 得 した 顧 客 のうち 約 91 万 人 が 更 生 債 権 の 届 出 をし 前 記 (ア)の 一 般 調 査 期 間 の 末 日 ( 平 成 23 年 5 月 13 日 )の 経 過 により 総 額 約 1 兆 3800 億 円 の 過 払 金 返 還 請 求 権 に 係 る 債 権 が 更 生 債 権 として 確 定 した 東 京 地 方 裁 判 所 は 同 年 10 月 日 更 生 計 画 を 認 可 する 旨 の 決 定 をした( 以 下 上 記 認 可 に 係 る 更 生 計 画 を 本 件 更 生 計 画 という ) 本 件 更 生 計 画 においては 1 第 1 回 弁 済 として 元 本 等 更 生 債 権 の3.3%に 相 当 する 金 額 を 更 生 計 画 を 認 可 する 旨 の 決 定 が された 日 から1 年 を 経 過 する 日 の 属 する 月 の 末 日 までに 支 払 い 2 全 ての 更 生 債 権 等 の 額 が 確 定 するとともに 本 件 更 生 会 社 が 保 有 する 全 資 産 の 換 価 回 収 が 完 了 し 弁 済 原 資 を 確 保 することができた 場 合 には 第 2 回 弁 済 をし 当 該 弁 済 時 に 更 生 債 権 等 の 残 額 につい て 免 除 を 受 け 3 本 件 更 生 会 社 は 本 件 更 生 計 画 を 認 可 する 旨 の 決 定 がされた 後 管 財 人 である 原 告 が 裁 判 所 の 許 可 を 得 て 決 定 する 日 に 解 散 する 旨 等 が 定 められていた なお 本 件 更 生 計 画 については 同 年 12 月 日 上 記 1から3まで 以 外 の 事 項 につき 変 更 の 決 定 がされた (3) 本 件 通 知 処 分 の 経 緯 等 ア 原 告 は 前 記 (2)イ(イ)に 述 べたように 過 払 金 返 還 請 求 権 に 係 る 債 権 が 更 生 債 権 として 確 定 したことを 前 提 に 通 則 法 23 条 2 項 1 号 に 基 づき 平 成 23 年 7 月 12 日 本 件 更 生 会 社 の 本 件 各 事 業 年 度 の 各 所 得 の 金 額 及 び 納 付 すべき 法 人 税 の 額 を それぞれ 別 紙 1 請 求 後 の 所 得 金 額 欄 及 び 請 求 後 の 納 付 すべき 税 額 欄 各 記 載 のとおりに 更 正 をすべき 旨 の 請 求 ( 本 件 各 更 正 の 請 求 )をした 新 宿 税 務 署 長 は 同 年 11 月 28 日 本 件 各 更 正 の 請 求 についていずれも 更 正 をすべき 理 由 がない 旨 を 通 知 する 処 分 ( 本 件 各 通 知 処 分 )をした 3
なお 本 件 各 更 正 の 請 求 がされた 後 本 件 更 生 計 画 に 従 って 前 記 (2)イ(イ)の 第 1 回 弁 済 が されている イ 原 告 は 平 成 23 年 12 月 16 日 国 税 不 服 審 判 所 長 に 対 し 本 件 各 通 知 処 分 を 不 服 とし てそれぞれ 審 査 請 求 をしたが 同 所 長 は 平 成 24 年 7 月 30 日 上 記 の 各 審 査 請 求 をいず れも 棄 却 する 裁 決 をした( 当 裁 判 所 に 顕 著 な 事 実 ) (4) 本 件 訴 えの 提 起 原 告 は 平 成 24 年 4 月 10 日 本 件 訴 えを 提 起 した( 当 裁 判 所 に 顕 著 な 事 実 ) 3 本 件 の 争 点 (1) 本 件 各 更 正 の 請 求 が 通 則 法 23 条 所 定 の 要 件 を 満 たすか 否 か (2) 不 当 利 得 返 還 請 求 権 の 有 無 4 争 点 1( 本 件 各 更 正 の 請 求 が 通 則 法 23 条 所 定 の 要 件 を 満 たすか 否 か)について ( 原 告 の 主 張 の 要 点 ) (1) 本 件 においては 過 年 度 所 得 の 是 正 が 必 要 不 可 欠 な 要 請 であること 次 のとおり 本 件 更 生 会 社 は 会 社 更 生 法 による 各 種 の 制 約 を 受 け 通 常 の 継 続 企 業 とは 著 しく 異 なる 特 質 を 有 しており 過 年 度 所 得 の 是 正 が 不 可 欠 の 要 請 であるところ 被 告 の 主 張 は このような 特 質 を 全 く 看 過 しているものであり 相 当 ではない ア 本 件 更 生 会 社 が 過 払 債 権 者 から 収 受 した 制 限 超 過 利 息 は 元 本 に 充 当 すべき 分 は 既 に 充 当 済 みであって 本 件 更 生 会 社 はその 経 済 的 成 果 を 保 持 しておらず 不 当 利 得 として 返 還 すべ き 分 についても 本 件 更 生 計 画 のとおり 債 権 調 査 の 結 果 として 当 該 過 払 債 権 者 への 返 還 義 務 が 法 的 に 確 定 しているのであるから 制 限 超 過 利 息 の 収 受 による 経 済 的 成 果 を 保 持 してい ないといえるのであり 制 限 超 過 利 息 を 収 受 したことによる 経 済 的 成 果 の 喪 失 を 反 映 して 本 件 各 事 業 年 度 の 所 得 を 計 算 した 結 果 当 初 申 告 における 課 税 は 本 件 更 生 会 社 の 実 際 の 担 税 力 に 比 して 著 しく 過 大 になっているから 担 税 力 に 応 じた 課 税 を 実 現 するために 所 得 に 比 して 過 大 となっている 課 税 の 調 整 が 行 われなければならない イ 本 件 更 生 会 社 が 保 有 する 現 預 金 や 将 来 換 価 回 収 する 現 預 金 に 加 え 法 人 税 の 還 付 金 も 過 払 債 権 者 を 中 心 とする 更 生 債 権 者 に 対 して 弁 済 されることが 本 件 更 生 計 画 及 び 法 令 によっ て 担 保 されており 本 件 更 生 会 社 の 手 元 に 利 得 が 残 ることはないから 過 年 度 所 得 を 是 正 し て 所 得 に 比 して 過 大 となっている 課 税 を 調 整 し 本 件 更 生 会 社 が 法 人 税 の 還 付 を 受 けること は 無 効 な 制 限 超 過 利 息 の 出 えん 者 たる 過 払 債 権 者 に 対 する 弁 済 原 資 を 確 保 してその 救 済 を 図 ることにほかならない ウ 本 件 更 生 会 社 は 平 成 23 年 3 月 期 において 課 税 所 得 は 約 1400 億 円 の 欠 損 を 生 じ 約 4100 億 円 の 繰 越 欠 損 金 を 抱 え それに 続 く 平 成 22 年 4 月 1 日 から 更 生 手 続 開 始 の 決 定 がされた 同 年 10 月 日 までの 事 業 年 度 においては 課 税 所 得 は 約 2800 億 円 の 欠 損 を 生 じ 6900 億 円 超 の 繰 越 欠 損 金 を 抱 えていた 上 本 件 更 生 計 画 において 更 生 計 画 の 認 可 の 決 定 がされた 後 の 原 告 が 裁 判 所 の 許 可 を 得 て 決 定 する 日 に 解 散 するものとされたため 通 常 の 企 業 とは 異 なり 継 続 企 業 の 公 準 が 妥 当 せず また 本 件 更 生 手 続 の 過 程 で 発 生 する 多 額 の 欠 損 金 について 欠 損 金 の 繰 戻 し( 法 人 税 法 80 条 1 項 )や 繰 越 し( 同 法 57 条 )と いう 継 続 企 業 に 認 められている 課 税 調 整 により 救 済 を 受 ける 余 地 がないから 本 件 において 本 件 更 生 会 社 の 過 年 度 所 得 の 是 正 が 否 定 された 場 合 制 限 超 過 利 息 を 原 資 として 支 払 われた 法 人 税 を 国 が 永 久 に 保 持 することになるところ このような 結 論 は 無 効 な 制 限 超 過 利 息 に 4
ついて 本 来 返 還 されるべき 過 払 債 権 者 の 犠 牲 の 下 に 国 が 不 当 な 利 得 を 永 久 に 保 持 すること を 認 めるものであり 正 義 衡 平 の 観 念 に 著 しく 反 する (2) 通 則 法 23 条 2 項 1 号 の 要 件 を 満 たすこと ア 本 件 更 生 会 社 は 本 件 各 事 業 年 度 において 収 受 した 制 限 超 過 利 息 を 有 効 なものとして 益 金 の 額 に 算 入 して 課 税 所 得 の 計 算 を 行 い 当 該 課 税 所 得 に 基 づき 法 人 税 を 納 税 してきたとこ ろ 一 般 調 査 期 間 の 満 了 日 である 平 成 23 年 5 月 13 日 の 経 過 をもって 管 財 人 が 認 否 書 に おいて 認 めた 更 生 債 権 である 過 払 金 返 還 請 求 権 に 係 る 債 権 の 存 在 及 び 金 額 が 確 定 判 決 と 同 一 の 効 力 をもって 確 定 したのであり これによって 本 件 更 生 会 社 が 本 件 各 事 業 年 度 に 顧 客 から 収 受 してきた 無 効 な 制 限 超 過 利 息 が 当 該 顧 客 に 対 する 貸 金 の 元 本 に 充 当 され 当 該 貸 金 の 元 本 が 消 滅 した 後 には 顧 客 に 返 還 すべき 過 払 金 となることが 確 定 したから 申 告 更 正 又 は 決 定 に 係 る 課 税 標 準 等 又 は 税 額 等 の 計 算 の 基 礎 となった 事 実 に 関 する 訴 えについての 判 決 ( 判 決 と 同 一 の 効 力 を 有 する 和 解 その 他 の 行 為 を 含 む )により その 事 実 が 当 該 計 算 の 基 礎 としたところと 異 なることが 確 定 したとき ( 通 則 法 23 条 2 項 1 号 )に 該 当 するこ とは 明 らかである イ 通 則 法 23 条 2 項 1 号 にいう その 事 実 が 当 該 計 算 の 基 礎 としたところと 異 なる とは 事 後 的 な 実 体 法 上 の 権 利 関 係 の 変 動 に 限 られず 納 税 者 が 納 税 申 告 の 際 に 基 礎 とした 事 実 と 判 決 等 で 認 定 された 事 実 との 比 較 において 相 違 があれば 足 りると 解 すべきであり これを 支 持 する 裁 判 例 や 国 税 不 服 審 判 所 における 裁 決 例 ( 甲 10 11)もある 本 件 更 生 会 社 が 本 件 各 事 業 年 度 において 顧 客 から 収 受 した 制 限 超 過 利 息 は 本 件 更 生 会 社 の 当 初 の 申 告 においては 有 効 な 利 息 収 入 ( 収 益 )と 扱 われていたところ 本 件 更 生 手 続 の 過 程 で 無 効 なものとして 元 本 に 充 当 されたか 不 当 利 得 として 過 払 債 権 者 ( 更 生 債 権 者 )に 返 還 すべきこと(すなわち 収 益 とはならないこと)が 確 定 したのであるから 納 税 者 が 納 税 申 告 の 際 に 基 礎 とした 事 実 と 判 決 等 で 認 定 された 事 実 との 比 較 において 相 違 が 生 じた 場 合 に 該 当 することは 明 らかである また 本 件 更 生 会 社 が 本 件 各 事 業 年 度 において 収 受 した 制 限 超 過 利 息 は 元 本 に 充 当 すべき 分 は 既 に 充 当 済 みであってその 経 済 的 成 果 は 本 件 更 生 会 社 に 保 持 されていないし 制 限 超 過 利 息 のうち 不 当 利 得 として 返 還 すべき 分 は 本 件 更 生 手 続 中 の 債 権 調 査 手 続 により 当 該 過 払 債 権 者 への 返 還 義 務 が 法 的 に 確 定 しているから 本 件 更 生 会 社 が 制 限 超 過 利 息 の 収 受 による 経 済 的 成 果 を 保 持 する 余 地 はない ウ(ア) 被 告 は 更 生 手 続 によって 更 生 債 権 である 過 払 金 債 権 の 存 在 及 び 金 額 が 確 定 したとし ても それは 更 生 手 続 の 中 で 法 的 に 確 定 したものにすぎず 過 払 債 権 者 に 対 する 現 実 の 返 還 がない 限 り 経 済 的 効 果 が 喪 失 したとはいえず 更 生 債 権 が 法 的 に 確 定 しても その 経 済 的 成 果 を 保 持 している 事 実 は 変 わることはない 旨 主 張 する しかしながら 通 則 法 23 条 2 項 1 号 においては 被 告 の 主 張 するように 経 済 的 成 果 の 喪 失 が 必 要 であるとの 要 件 を 満 たすことは 求 められておらず 税 法 の 基 本 理 念 である 課 税 要 件 明 確 主 義 に 照 らせば 同 号 の 文 言 上 読 み 取 れないところを 求 める 被 告 の 主 張 は 失 当 で あり 仮 にそれが 必 要 であるとしても 本 件 更 生 会 社 は 本 件 更 生 手 続 の 過 程 で 顧 客 に 対 する 貸 金 債 権 を 法 的 かつ 確 定 的 に 失 っており 過 払 金 部 分 についても 債 権 額 の3.3% に 相 当 する 金 額 は 既 に 弁 済 済 みであり その 余 の 部 分 についても 顧 客 へ 返 還 すべき 義 務 が 確 定 判 決 と 同 一 の 効 力 をもって 法 的 に 確 定 しているから 制 限 超 過 利 息 の 収 受 によって 生 じた 経 済 的 成 果 は 既 に 失 われ 又 はこれと 同 視 できる 状 態 であることは 明 白 であって 被 5
告 の 主 張 は 制 限 超 過 利 息 の 元 本 への 当 然 充 当 により 貸 金 債 権 自 体 が 消 滅 することなどを 誤 って 解 釈 するものであり 失 当 である (イ) 判 例 ( 最 高 裁 昭 和 年 ( ) 第 号 同 46 年 11 月 9 日 第 三 小 法 廷 判 決 民 集 25 巻 8 号 1120 頁 以 下 最 高 裁 昭 和 46 年 判 決 という )は 当 事 者 間 におい て 約 定 の 利 息 損 害 金 として 授 受 され 貸 主 において 当 該 制 限 超 過 部 分 が 元 本 に 充 当 され たものとして 処 理 することなく 依 然 として 従 前 どおりの 元 本 が 残 存 するものとして 取 り 扱 っている 以 上 制 限 超 過 部 分 をも 含 めて 現 実 に 授 受 された 約 定 の 利 息 損 害 金 の 全 部 が 貸 主 の 所 得 として 課 税 の 対 象 となるものというべきである と 判 示 しているところ 本 件 においては 制 限 超 過 利 息 は 元 本 に 当 然 充 当 されるべき 部 分 は 既 に 充 当 されたもの として 処 理 され 依 然 として 従 前 どおりの 元 本 が 残 存 するものとして 取 り 扱 っている 状 態 にはなく 元 本 が 消 滅 した 後 の 過 払 金 部 分 についても5%の 利 息 を 付 して 顧 客 へ 返 還 すべきことが 法 的 に 確 定 し 会 社 更 生 法 上 自 己 に 保 有 し 得 ないから 制 限 超 過 利 息 が 課 税 の 対 象 となるべき 場 合 ではなく 既 に 課 税 の 対 象 とされていた 場 合 は 課 税 の 修 正 が 必 要 となるものといえる (ウ) 更 生 手 続 において 更 生 債 権 たる 過 払 債 権 は 弁 済 禁 止 の 対 象 であり 更 生 債 権 の 確 定 手 続 を 経 た 上 で 更 生 計 画 の 定 めるところによらなければ 弁 済 することができない( 会 社 更 生 法 47 条 1 項 )ところ 本 件 更 生 会 社 は 本 件 更 生 計 画 の 定 めるところに 従 って 更 生 債 権 者 に 対 する 第 2 回 弁 済 を 行 うべく 被 告 に 対 する 法 人 税 の 還 付 請 求 を 含 めて 資 産 の 換 価 回 収 業 務 を 行 っているのであり 確 定 した 過 払 金 返 還 債 務 の 現 実 の 返 還 が 未 了 である ことをもって 法 人 税 の 還 付 を 拒 絶 することは 同 法 の 規 定 に 反 するものであり 本 件 更 生 会 社 が 置 かれた 現 在 の 状 況 をもって 制 限 超 過 利 息 の 利 得 者 である 本 件 更 生 会 社 がそれを 現 実 に 支 配 し 自 己 のために 享 受 している 状 態 にあるともいえない また 更 生 債 権 の 調 査 において 管 財 人 が 認 め かつ 更 生 債 権 者 等 及 び 株 主 が 異 議 を 述 べなかった 更 生 債 権 は 一 般 調 査 期 間 の 満 了 日 の 経 過 をもって 更 生 債 権 として 確 定 し 更 生 債 権 者 等 及 び 株 主 の 全 員 に 対 して 確 定 判 決 と 同 一 の 効 力 を 有 する( 同 法 150 条 )ことになり その 結 果 たと え 更 生 手 続 が 廃 止 されたとしても 更 生 債 権 者 は 更 生 会 社 に 対 し 確 定 した 更 生 債 権 者 表 の 記 載 によって 強 制 執 行 をすることができる( 同 法 235 条 238 条 6 項 )から 観 念 的 に 債 務 が 確 定 したにすぎない 旨 の 被 告 の 主 張 は 失 当 である (エ) 被 告 は 原 告 が 更 生 債 権 額 の3.3%に 相 当 する 額 の 弁 済 をしたことについて 本 件 各 更 正 の 請 求 は 平 成 23 年 5 月 13 日 に 更 生 債 権 が 確 定 したことを 事 由 として 同 年 7 月 12 日 に 行 われたものであり 債 権 額 の3.3% 相 当 額 の 弁 済 は それより 後 の 同 年 10 月 日 の 更 生 計 画 認 可 の 決 定 後 に 行 われたものであるから 当 該 弁 済 の 事 実 が 本 件 各 更 正 の 請 求 の 可 否 について 法 的 に 何 らかの 意 味 を 持 つものではない 旨 主 張 する しかしながら 通 則 法 23 条 2 項 1 号 の 規 定 からおよそ 導 き 出 せない 経 済 的 成 果 の 喪 失 という 要 件 を 大 上 段 に 構 えて 本 件 更 生 手 続 の 過 程 で 更 生 債 権 が 確 定 したことをもってし ても 制 限 超 過 利 息 の 収 受 に 係 る 経 済 的 成 果 は 従 前 どおりに 維 持 されており 現 実 の 弁 済 が ない 限 りは 同 号 による 更 正 の 請 求 は 認 められないと 主 張 しておきながら 現 に 行 われた 弁 済 については 経 済 的 成 果 の 喪 失 を 認 めずに 法 的 に 何 らかの 意 味 を 持 つものではないと 結 論 づけるものであり 被 告 の 上 記 主 張 を 合 理 的 に 理 解 することは 不 可 能 である また 被 告 が 主 張 するように 判 決 等 による 権 利 関 係 の 確 定 をもってしても 同 号 の 要 件 を 満 たさな 6
い( 確 定 した 権 利 関 係 に 基 づく 現 実 の 弁 済 等 による 経 済 的 成 果 の 喪 失 が 不 可 欠 である)と の 前 提 に 立 ちながら 判 決 等 の 結 果 に 基 づくその 後 の 弁 済 行 為 が 更 正 の 請 求 の 可 否 に 何 ら 法 的 影 響 を 与 えないというのであれば 判 決 等 の 時 点 において 現 実 の 弁 済 等 が 行 われてい ない 限 りその 適 用 を 認 めないということになりかねず 同 号 に 基 づく 更 正 の 請 求 の 制 度 そ のものを 否 定 するに 等 しいものである (3) 通 則 法 23 条 1 項 1 号 の 要 件 を 満 たすこと ア 制 限 超 過 利 息 は 当 初 から 当 然 に 無 効 なものであり 貸 金 元 本 に 順 次 充 当 され 元 本 が 消 滅 した 後 は 不 当 利 得 として 返 還 すべきものであって 法 律 行 為 の 解 除 や 取 消 し 等 のように 後 発 的 事 由 によって 収 受 の 効 果 が 遡 及 的 に 失 われた 場 合 とは 全 く 異 なり 本 件 更 生 会 社 は 本 件 各 事 業 年 度 において 無 効 な 制 限 超 過 利 息 を 収 益 に 計 上 して 益 金 に 算 入 し 課 税 標 準 等 の 計 算 をしていたのであるから 本 件 各 事 業 年 度 における 課 税 標 準 等 の 計 算 には 当 初 から 誤 りが 含 まれていたといえるのであり 制 限 超 過 利 息 の 弁 済 が 後 日 無 効 とされて 過 払 金 返 還 請 求 権 が 発 生 し 本 件 各 事 業 年 度 において 益 金 として 申 告 した 経 済 的 成 果 が 失 われたことに 伴 う 損 失 が 発 生 したのではなく 当 初 から 更 生 会 社 による 課 税 標 準 等 の 計 算 に 誤 りがあったも のである イ 仮 に 前 記 アの 点 をおくとしても 企 業 会 計 における 前 期 損 益 修 正 ( 過 年 度 の 利 益 計 算 に 修 正 の 必 要 が 生 じた 場 合 に 要 修 正 額 を 後 発 的 事 由 が 生 じた 事 業 年 度 の 損 金 として 算 入 する 扱 い)は 一 度 確 定 した 過 年 度 の 損 益 を 遡 及 して 修 正 することが 困 難 なこと 等 から 便 宜 的 に 採 用 された 方 法 である 基 本 通 達 2-2-16に 示 されているように 税 務 上 も 企 業 は 継 続 的 に 活 動 するという 前 提 ( 継 続 企 業 の 公 準 )に 立 った 上 で 当 期 の 益 金 や 損 金 と 相 殺 するこ とによって 過 去 の 年 度 の 所 得 を 是 正 するのと 基 本 的 に 同 じ 効 果 が 生 じるという 点 に 着 目 し 会 計 上 の 便 宜 的 な 処 理 ( 前 期 損 益 修 正 )を 税 務 計 算 の 場 面 において 変 更 するまでもないとさ れてきたにすぎない( 甲 14) したがって 前 期 損 益 修 正 による 当 期 一 括 の 処 理 では 過 年 度 の 所 得 を 是 正 するのと 同 じ 効 果 が 得 られず 結 果 として 課 税 の 不 公 平 が 生 じる 場 合 や 前 期 損 益 修 正 の 前 提 となる 継 続 企 業 の 公 準 がそもそも 妥 当 しない 場 合 など 会 計 上 の 便 宜 的 方 法 を 税 務 計 算 に 援 用 することがかえって 不 都 合 を 生 じさせる 場 合 には 各 期 間 の 課 税 所 得 を 適 生 に 計 算 して 負 担 能 力 に 応 じた 課 税 を 行 うという 法 人 課 税 の 原 則 に 立 ち 帰 り 過 年 度 の 所 得 を 是 正 することが 求 められる( 甲 12 13) ウ 更 生 手 続 においては 財 産 評 定 手 続 により 資 産 は 全 て 時 価 評 価 され 当 該 時 価 評 価 額 が 正 式 な 帳 簿 価 格 となって 以 後 の 損 益 計 算 の 出 発 点 となる( 会 社 更 生 法 施 行 規 則 1 条 2 項 )など 継 続 企 業 の 公 準 が 妥 当 する 通 常 企 業 とは 全 く 異 なる 会 計 処 理 が 制 度 化 されており 本 件 更 生 手 続 においてもこれが 履 践 されているところ 本 件 更 生 会 社 は 本 件 更 生 計 画 に 基 づいて 消 費 者 金 融 事 業 をスポンサー 企 業 ( 株 式 会 社 C)に 承 継 させ 現 在 は 収 益 事 業 を 行 っておらず また 裁 判 所 の 許 可 を 得 て 管 財 人 である 原 告 が 決 定 した 日 に 解 散 して 資 産 の 換 価 回 収 及 び 更 生 債 権 等 の 弁 済 という 清 算 業 務 を 行 うのみであって 今 後 の 事 業 継 続 によって 課 税 所 得 が 計 上 される 見 込 みはなく 無 効 な 制 限 超 過 利 息 の 収 受 による 影 響 額 が 一 括 して 税 務 上 の 損 金 になったとしても 欠 損 金 の 繰 越 しによる 法 人 税 の 調 整 や 欠 損 金 の 繰 戻 しによる 還 付 を 受 けることができず これらの 制 度 によっては 課 税 関 係 の 調 整 を 受 ける 余 地 がないから 本 件 更 生 会 社 については 前 期 損 益 修 正 の 前 提 概 念 たる 継 続 企 業 の 公 準 が 妥 当 しない 前 期 損 益 修 正 を 定 める 通 達 ( 基 本 通 達 2-2-16)は 欠 損 金 の 繰 越 控 除 又 は 欠 損 金 の 繰 戻 しによ 7
る 法 人 税 額 の 還 付 の 制 度 を 通 じて かつ その 範 囲 内 において 前 後 の 課 税 関 係 が 調 整 される ことを 前 提 としており 事 業 の 継 続 性 が 失 われたため その 契 約 解 除 等 による 損 失 を 他 の 所 得 と 通 算 することにより 救 済 する 機 会 を 永 遠 に 失 っている 場 合 には 課 税 上 もそれなりの 合 理 的 解 決 がなされるべきであるから( 甲 14) 本 件 更 生 会 社 について 過 年 度 所 得 の 是 正 を 否 定 する 合 理 的 理 由 はない エ 法 人 税 法 22 条 4 項 は 法 人 税 法 の 簡 素 化 の 一 環 として 法 人 の 各 事 業 年 度 の 所 得 の 計 算 を 原 則 として 企 業 会 計 の 基 準 に 準 拠 して 行 われるべきとの 趣 旨 で 設 けられた 便 宜 的 な 側 面 を 有 する 規 定 であり ある 特 定 の 会 計 事 実 に 関 してある 特 定 の 会 計 慣 行 が 存 在 することを 理 由 に 納 税 者 の 権 利 救 済 規 定 の 適 用 を 殊 更 に 排 斥 したり 担 税 力 に 応 じた 公 平 な 所 得 課 税 と いう 税 法 の 基 本 原 則 を 否 定 したりすることは 税 法 の 許 容 するところではない 本 件 更 生 会 社 について 過 年 度 所 得 の 是 正 を 否 定 し 無 効 な 制 限 超 過 利 息 の 収 受 による 影 響 額 を 当 期 に 一 括 計 上 しなければならないとすれば 収 受 した 制 限 超 過 利 息 が 本 件 更 生 会 社 の 収 益 を 構 成 しないことが 後 発 的 に 明 らかになった( 後 発 的 に 課 税 物 件 が 存 在 しないことが 明 らかになっ た)にもかかわらず 課 税 関 係 の 調 整 を 受 けられないまま 本 来 無 効 な 制 限 超 過 利 息 が 返 還 されるべき 対 象 である 過 払 債 権 者 の 犠 牲 の 下 に 国 が 実 体 的 に 保 有 する 根 拠 のない 不 当 な 利 得 を 永 久 に 保 持 するという 事 態 が 生 じ 著 しい 課 税 の 不 公 平 が 生 じる これは 担 税 力 に 応 じた 課 税 という 通 則 法 23 条 2 項 の 趣 旨 に 反 することはもちろん 法 人 税 法 22 条 4 項 の 要 請 である 課 税 の 公 平 にも 著 しく 反 するものである オ そもそも 過 年 度 事 項 の 修 正 に 関 して 前 期 損 益 修 正 は 複 数 存 在 する 会 計 処 理 基 準 の 一 つ にすぎず このことは 企 業 会 計 基 準 第 24 号 会 計 上 の 変 更 及 び 誤 謬 の 訂 正 に 関 する 会 計 基 準 により 平 成 23 年 4 月 以 降 に 開 始 する 事 業 年 度 から 所 定 の 場 合 について 財 務 諸 表 の 遡 及 処 理 が 導 入 されたこと( 乙 22)からも 明 らかであり 前 期 損 益 修 正 の 会 計 処 理 方 法 が 存 在 することをもって 税 務 上 もかかる 処 理 が 当 然 に 要 求 されるとはいえない そして 税 務 実 務 においても 売 上 の 過 大 計 上 の 誤 りが 後 に 発 見 された 場 合 や 粉 飾 等 によ る 利 益 の 過 大 計 上 があった 場 合 に 当 該 計 上 があった 事 業 年 度 に 遡 及 して 売 上 を 減 額 する 是 正 がされている また 平 成 22 年 度 税 制 改 正 に 係 る 法 人 税 質 疑 応 答 事 例 ( 甲 18)におい ても 実 在 性 のない 資 産 が 把 握 され かつ その 発 生 原 因 等 が 明 らかである 場 合 には 当 該 発 生 原 因 の 生 じた 事 業 年 度 の 欠 損 金 額 とできるとされ 当 該 処 理 は いわゆる 清 算 型 の 倒 産 手 続 だけではなく 更 生 手 続 という 裁 判 所 が 関 与 する 再 建 型 法 的 倒 産 手 続 についても 妥 当 す る 旨 明 言 されているところ 本 件 更 生 会 社 に 係 る 約 定 貸 付 金 は 制 限 超 過 利 息 が 有 効 である ことを 前 提 に 計 上 されているため 実 在 性 がない 資 産 に 当 たるといえ かつ その 発 生 原 因 発 生 時 期 及 び 各 事 業 年 度 の 発 生 額 等 は 本 件 更 生 手 続 の 過 程 で 明 らかであるから 発 生 原 因 の 生 じた 過 去 の 各 事 業 年 度 の 課 税 所 得 等 を 修 正 する 処 理 は 課 税 庁 の 上 記 見 解 と 整 合 的 である そして 土 地 譲 渡 益 重 課 税 制 度 ( 租 税 特 別 措 置 法 63 条 )が 適 用 された 土 地 等 の 譲 渡 につい て その 後 の 事 業 年 度 において 契 約 が 解 除 された 場 合 には 実 質 的 に 再 売 買 をしたと 認 めら れる 場 合 を 除 き 遡 及 して 課 税 を 訂 正 する 是 正 がされているところ これは 一 般 的 に 法 人 の 過 年 度 所 得 の 是 正 が 認 められる 場 合 があるというにとどまらず 欠 損 金 の 繰 越 控 除 又 は 繰 戻 還 付 という 課 税 調 整 を 受 けられないがゆえに その 救 済 のために 過 年 度 所 得 の 是 正 が 認 め られており しかも 課 税 庁 が 納 税 者 の 救 済 という 税 務 上 の 要 請 を 勘 案 して 通 達 ( 租 税 特 別 措 置 法 関 係 通 達 ( 法 人 税 法 編 )( 昭 和 50 年 2 月 14 日 付 け 直 法 2-2( 例 規 ) 国 税 庁 長 官 8
通 達 以 下 租 税 特 別 措 置 法 通 達 という )63(6)-5 乙 10)で 定 めているもので ある さらに 破 産 手 続 が 開 始 した 法 人 の 破 産 管 財 人 が 行 った 更 正 の 請 求 について 過 年 度 所 得 の 是 正 を 肯 定 する 裁 決 例 ( 甲 20)もあるところ 同 裁 決 例 は 本 件 と 非 常 に 共 通 する 点 が 多 いほか 欠 損 金 の 繰 越 し 又 は 繰 戻 しといった 法 人 税 法 上 の 課 税 調 整 を 受 ける 余 地 がな い 場 合 等 には 過 年 度 の 減 額 更 正 を 肯 定 すべきであるという 基 本 的 な 考 え 方 の 表 れといえる これらの 点 に 照 らせば 法 人 税 法 上 の 課 税 調 整 による 救 済 の 余 地 が 全 くない 本 件 更 生 会 社 については 過 年 度 所 得 の 是 正 は 当 然 に 肯 定 されるべきであり それこそが 同 法 22 条 4 項 の 要 請 するところである カ(ア) 被 告 は 本 件 更 生 会 社 について 過 払 金 返 還 請 求 権 が 発 生 したことに 伴 う 損 失 が 発 生 し たとしても 前 期 損 益 修 正 の 処 理 が 法 人 税 法 22 条 4 項 にいう 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 めら れる 会 計 処 理 の 基 準 ( 以 下 公 正 処 理 基 準 という )に 合 致 し 本 件 更 生 会 社 につい ても 何 ら 異 なるところはないとして 本 件 は 通 則 法 23 条 1 項 1 号 の 要 件 を 満 たさない 旨 主 張 するとともに 更 正 の 請 求 が 認 められるか 否 かは 同 条 の 各 要 件 に 該 当 するか 否 か という 純 粋 に 法 的 観 点 から 判 断 されるべきであり 租 税 法 規 に 別 段 の 定 めがないにもかか わらず 本 件 更 生 会 社 がいわゆる 清 算 型 の 更 生 計 画 を 策 定 した 更 生 会 社 であるという 事 情 や 過 払 債 権 者 の 救 済 を 図 る 必 要 があるという 理 由 だけで 更 正 に 関 する 租 税 法 規 の 解 釈 や その 適 用 を 変 容 することは 法 的 安 定 性 を 害 するだけでなく 他 の 納 税 者 との 間 の 不 平 等 を 招 くこととなり 許 されないなどと 主 張 する しかしながら 前 期 損 益 修 正 の 処 理 の 前 提 となる 継 続 企 業 の 公 準 が 本 件 更 生 会 社 には 妥 当 せず また 本 件 で 過 年 度 所 得 の 是 正 を 否 定 して 更 正 の 請 求 を 認 めない 場 合 保 有 すべ き 理 由 のない 不 当 な 利 得 を 国 が 永 久 に 保 持 することとなり 著 しい 課 税 の 不 公 平 が 生 じる から 後 発 的 に 失 われた 所 得 について 確 定 した 事 実 関 係 に 基 づいて 各 事 業 年 度 の 正 しい 税 額 を 求 めるべく 課 税 所 得 の 是 正 を 認 めることが 法 人 税 法 及 び 通 則 法 の 要 請 するところ であって 法 人 税 法 に 明 文 の 規 定 がない 限 り 過 年 度 所 得 の 是 正 が 認 められないとの 前 提 に 立 ち 原 告 の 主 張 が 法 人 税 法 の 解 釈 を 離 れているとする 被 告 の 主 張 は 失 当 である (イ) 被 告 は 前 期 損 益 修 正 を 定 める 基 本 通 達 2-2-16を 挙 げて 法 人 税 法 上 に 明 文 規 定 のない 限 り 過 年 度 所 得 の 是 正 は 認 められない 旨 主 張 する しかしながら 基 本 通 達 2-2-16の 立 案 当 時 から 前 期 損 益 修 正 が 唯 一 の 是 正 方 法 ではなく 過 年 度 遡 及 修 正 による 是 正 も 予 定 されており( 甲 22) また 現 実 に 近 時 の 国 税 不 服 審 判 所 における 裁 決 ( 甲 20)のように 過 年 度 遡 及 修 正 を 認 めた 実 例 もあるから 被 告 の 主 張 は 法 的 にも また 基 本 通 達 2-2-16の 適 用 をめぐる 実 務 に 照 らしても およそ 是 認 されるべきものではない (ウ) 被 告 は 一 定 の 会 計 期 間 に 区 切 って 利 益 計 算 を 行 うという 点 においては 通 常 の 企 業 と 更 生 会 社 との 間 で 何 ら 違 いはなく 更 生 会 社 においても 一 定 の 会 計 期 間 に 区 切 って 期 間 計 算 が 行 われるのは 当 然 の 事 理 であるとして 会 計 期 間 の 公 準 から 継 続 企 業 の 公 準 を 前 提 とする 税 務 会 計 の 処 理 をするのは 当 然 であるかのごとく 主 張 する しかしながら 本 件 において 継 続 企 業 の 公 準 を 論 ずる 実 質 的 な 意 味 合 いは 事 業 の 継 続 性 を 前 提 として 初 めて 正 当 化 される 会 計 税 務 処 理 の 具 体 的 な 射 程 範 囲 を 画 する 点 にあり 被 告 が 主 張 するような 形 式 論 には 何 ら 積 極 的 な 意 義 は 見 いだせない (エ) 被 告 は 株 主 総 会 での 手 続 を 経 て 確 定 した 財 務 諸 表 に 基 づく 計 算 を 事 後 的 に 修 正 する 9
となると 様 々な 企 業 活 動 に 関 わる 利 害 を 調 整 する 基 盤 が 揺 らぐことになると 指 摘 した 上 で 企 業 会 計 上 過 去 の 利 益 計 算 に 修 正 の 必 要 が 生 じても 過 年 度 に 遡 及 させない 処 理 ( 前 期 損 益 修 正 )が 行 われており 法 人 税 務 上 も 同 様 に 過 年 度 の 所 得 の 是 正 が 認 められる 余 地 がない 旨 を 主 張 する しかしながら 前 記 オで 指 摘 した 過 年 度 遡 及 会 計 基 準 の 存 在 や 会 社 計 算 規 則 133 条 3 項 に 過 年 度 の 計 算 書 類 の 修 正 を 前 提 とした 規 定 が 設 けられていることに 照 らすと 過 去 の 利 益 計 算 に 修 正 の 必 要 が 生 じても 過 年 度 に 遡 及 させない 処 理 が 会 計 上 当 然 の 要 請 である かのような 主 張 は 正 当 ではない また 通 常 の 更 正 手 続 の 場 合 も 含 めて 過 年 度 の 課 税 所 得 等 の 更 正 を 行 うに 当 たって 会 計 上 の 過 年 度 遡 及 処 理 が 求 められていない( 会 計 上 は 当 期 損 失 として 処 理 しながら 税 務 上 は 過 年 度 所 得 の 更 正 がされる 場 合 は 税 務 上 の 損 金 の 二 重 計 上 を 防 ぐべく 会 計 上 当 期 の 損 失 とした 金 額 が 税 務 上 の 当 期 の 損 金 とならないよう に 申 告 書 別 表 によって 加 算 留 保 の 調 整 を 行 えば 足 りる )ことに 照 らすと 会 計 上 過 去 の 利 益 計 算 に 関 する 損 失 を 当 期 に 一 括 して 計 上 した 場 合 税 務 上 も 当 然 これに 従 うべ き 旨 の 主 張 は 失 当 である (オ) 被 告 は 法 人 税 法 にいわゆる 清 算 型 の 更 生 計 画 が 定 められた 場 合 についての 別 段 の 定 めがない 以 上 公 正 処 理 基 準 として 定 着 している 前 期 損 益 修 正 の 取 扱 いを 否 定 することは 許 されない 旨 主 張 する しかしながら 法 人 税 法 の 解 釈 ( 要 請 )として 本 件 においては 過 年 度 所 得 の 是 正 が 認 められるべきである 以 上 法 人 税 法 に 特 別 の 定 めがない 限 り 過 年 度 所 得 の 是 正 が 認 められ ないとの 反 論 には 積 極 的 な 意 義 を 見 いだせない また 被 告 の 上 記 の 主 張 は 1 国 税 不 服 審 判 所 における 裁 決 例 ( 甲 20) 2 土 地 譲 渡 益 重 課 税 制 度 が 適 用 された 土 地 の 譲 渡 につ いての 過 年 度 所 得 の 是 正 の 取 扱 い(これは 課 税 庁 自 身 が 通 達 に 基 づいて 過 年 度 所 得 の 是 正 を 肯 定 するものである ) 3 課 税 庁 自 身 が 事 案 の 性 質 に 応 じて 過 年 度 所 得 の 是 正 を 行 っていたこと 等 の 過 去 の 事 例 ( 甲 22の19 頁 以 下 )とも 明 らかに 矛 盾 する さらに 前 期 損 益 修 正 は 法 人 税 法 に 明 文 で 規 定 されている 処 理 ではなく そのようなものについ て 法 に 特 別 の 規 定 がない 限 りその 適 用 を 一 律 に 強 制 されるという 立 論 自 体 が 法 的 根 拠 を 欠 いた 乱 暴 な 議 論 である (カ) 被 告 は 本 件 は 当 初 現 実 に 利 息 収 入 として 収 受 して 収 益 計 上 した 金 額 が 更 生 手 続 において 事 後 的 に 無 効 であるとして 更 生 債 権 として 確 定 したというものであり 現 実 に 経 済 的 成 果 を 得 ているものであるから 実 在 性 のない 資 産 には 当 たらない 旨 主 張 する しかしながら 過 払 金 に 関 する 本 件 更 生 会 社 を 個 々の 顧 客 との 間 の 権 利 関 係 は 顧 客 と の 各 取 引 の 時 点 において 実 体 的 に 発 生 していることからすれば 本 件 更 生 手 続 前 の 約 定 に 基 づく 貸 付 金 は 制 限 超 過 利 息 が 有 効 であることを 前 提 に 計 上 されているから 実 在 性 の ない 資 産 に 当 たり かつ その 発 生 原 因 発 生 時 期 各 事 業 年 度 の 発 生 額 等 は 本 件 更 生 手 続 の 過 程 で 明 らかとなっているから 発 生 原 因 の 生 じた 過 去 の 事 業 年 度 の 課 税 所 得 等 を 修 正 する 処 理 は 課 税 庁 の 見 解 と 整 合 的 であるといえるのであり 被 告 の 主 張 は 過 払 金 に 関 する 法 的 理 解 を 欠 くものである (キ) 被 告 は 土 地 譲 渡 益 重 課 税 制 度 は いわば 個 々の 譲 渡 取 引 に 対 して 非 継 続 的 な 課 税 を 行 うものであり 継 続 的 に 事 業 活 動 を 行 う 場 合 の 各 事 業 年 度 の 課 税 所 得 の 計 算 や 所 得 税 法 上 の 事 業 所 得 の 計 算 とは 異 なるものであるので 法 が 後 発 的 事 由 による 更 正 の 請 求 を 認 め 10
たものである 旨 主 張 する しかしながら 土 地 譲 渡 益 重 課 税 制 度 に 関 する 過 年 度 所 得 の 是 正 が 法 律 の 特 段 の 定 めに よって 認 められている 事 実 はなく 課 税 庁 が 通 達 ( 租 税 特 別 措 置 法 通 達 63(6)-5)を もって 規 定 しているものであって 法 人 税 法 上 の 別 段 の 定 めによらずに 過 年 度 の 課 税 所 得 の 是 正 が 認 められる 例 である また 本 件 更 生 会 社 は 継 続 的 に 事 業 活 動 を 行 うものではな く 法 人 税 法 上 の 課 税 調 整 規 定 による 救 済 を 受 ける 余 地 はない したがって 被 告 の 主 張 は 理 由 がない (ク) 被 告 は 所 得 税 法 51 条 2 項 を 引 用 し これは 明 文 で 法 人 企 業 における 会 計 処 理 と 同 様 の 処 理 を 定 めたものであり この 規 定 からも 法 人 企 業 における 前 期 損 益 修 正 による 会 計 処 理 は 公 正 処 理 基 準 にかなったものということができる 旨 主 張 する しかしながら 過 年 度 所 得 の 是 正 を 否 定 する 所 得 税 法 の 規 定 があるとしても 法 人 税 法 には 同 様 の 規 定 がない 以 上 租 税 の 体 系 及 び 租 税 法 律 主 義 に 照 らし 法 人 たる 本 件 更 生 会 社 について 過 年 度 所 得 の 是 正 を 否 定 する 根 拠 にはなり 得 ないし 所 得 税 法 においても 更 正 の 請 求 の 特 例 として 継 続 企 業 の 公 準 が 当 てはまらない 場 合 において 所 得 の 起 因 とな った 契 約 が 無 効 となってその 成 果 が 失 われた 場 合 には 過 年 度 に 遡 及 して 課 税 済 みの 所 得 金 額 を 是 正 修 正 すべきこととされている( 所 得 税 法 152 条 所 得 税 法 施 行 令 274 条 ) ほか 事 業 廃 止 の 場 合 ( 継 続 企 業 の 公 準 が 当 てはまらない 場 合 )にも 過 年 度 の 課 税 所 得 を 是 正 修 正 して 納 税 者 の 救 済 を 図 っている( 同 法 63 条 )から 同 法 との 対 比 をもって 過 年 度 所 得 の 是 正 を 否 定 する 被 告 の 議 論 は 合 理 性 がない ( 被 告 の 主 張 の 要 点 ) (1) 本 件 各 更 正 の 請 求 は 通 則 法 23 条 2 項 1 号 の 要 件 を 満 たさないこと ア 通 則 法 23 条 2 項 1 号 が 適 用 されるためには 判 決 と 同 一 の 効 力 を 有 する 和 解 その 他 の 行 為 の 結 果 課 税 標 準 等 又 は 税 額 等 の 計 算 の 基 礎 となった 事 実 に 変 動 が 生 ずることが 必 要 であるところ 本 件 においては 過 年 度 の 申 告 において 収 受 した 制 限 超 過 利 息 を 益 金 に 計 上 した 場 合 の 課 税 標 準 等 の 計 算 の 基 礎 となった 事 実 は 本 件 各 事 業 年 度 において 顧 客 に よる 制 限 超 過 利 息 の 弁 済 が 私 法 上 有 効 であるか 否 かにかかわらず 現 実 に 制 限 超 過 利 息 を 含 む 約 定 利 息 の 弁 済 を 受 けてその 経 済 的 成 果 (これは 法 的 評 価 を 捨 象 して 純 粋 に 経 済 的 な 観 点 から 評 価 すべき 概 念 である )を 保 持 しているという 事 実 であり 本 件 更 生 手 続 によっ て 更 生 債 権 たる 過 払 金 債 権 の 存 在 と 金 額 が 確 定 したとしても 現 実 に 収 受 した 経 済 的 成 果 が 原 告 に 保 持 されている 限 り 過 年 度 の 申 告 において 課 税 標 準 等 の 計 算 の 基 礎 としたところ と 異 なることが 確 定 した とはいえないから 本 件 各 更 正 の 請 求 は 同 号 の 要 件 を 満 たさな い イ 所 得 税 法 及 び 法 人 税 法 のいずれにおいても 包 括 的 所 得 概 念 ( 人 の 担 税 力 を 増 加 させる 経 済 的 利 得 は 全 て 所 得 を 構 成 するという 考 え 方 )を 採 用 しており 制 限 超 過 利 息 のような 無 効 な 収 益 であっても それを 現 実 に 収 受 している 以 上 納 税 者 の 担 税 力 が 増 加 していることにな るから 法 人 税 法 においては 益 金 に 含 まれることになり 課 税 の 対 象 となるべき 所 得 を 構 成 するか 否 かは 必 ずしもその 法 律 的 性 質 いかんによって 決 せられるものではなく 制 限 超 過 利 息 の 収 受 も 私 法 上 は 元 本 の 回 収 にほかならないとしても 税 法 上 は 元 本 に 充 当 され たものとして 処 理 しない 限 り 課 税 所 得 となるのであり 判 例 ( 最 高 裁 昭 和 46 年 判 決 )も 同 様 の 見 解 に 立 ち 基 本 通 達 2-1-26も 最 高 裁 昭 和 46 年 判 決 に 従 った 取 扱 いを 定 めてい 11
る したがって 制 限 超 過 利 息 を 収 受 した 場 合 には その 原 因 となった 私 法 上 の 行 為 が 有 効 で あるか 否 かにかかわらず その 私 法 上 の 行 為 によって 経 済 的 成 果 が 生 じてこれを 保 持 してい ること 自 体 に 着 目 して 課 税 を 行 うのであり 制 限 超 過 利 息 の 益 金 の 額 への 算 入 については 私 法 上 有 効 であるか 否 かに 関 わらず 現 実 に 約 定 利 息 に 基 づく 弁 済 を 受 け その 経 済 的 成 果 を 保 持 していること が 課 税 標 準 の 計 算 の 基 礎 となる 事 実 に 該 当 することになる ウ 貸 金 業 者 は 所 得 税 ないし 法 人 税 の 確 定 申 告 において 最 高 裁 平 成 18 年 判 決 によれば 旧 貸 金 業 法 43 条 1 項 の 要 件 を 満 たさない 弁 済 とされるものであっても 同 項 の 適 用 がある 有 効 な 債 務 の 弁 済 であると 考 えて 申 告 していたが 最 高 裁 平 成 18 年 判 決 以 降 の 判 決 等 におい て その 私 法 上 の 効 力 について 申 告 時 の 考 えとは 異 なる 制 限 超 過 利 息 の 弁 済 を 無 効 とする 認 定 判 断 がされる 事 態 が 生 じたところ 制 限 超 過 利 息 を 益 金 の 額 に 算 入 する 場 合 の 課 税 標 準 の 計 算 の 基 礎 となった 事 実 は 私 法 上 有 効 であるか 否 かに 関 わらず 現 実 に 約 定 利 息 に 基 づ く 弁 済 を 受 け その 経 済 的 成 果 を 保 持 していること であり 判 決 等 により 制 限 超 過 利 息 の 弁 済 が 私 法 上 無 効 であったこと という 事 実 が 確 定 したとしても 収 受 した 経 済 的 成 果 を 保 持 している 事 実 に 変 化 はなく 現 実 に 担 税 力 が 失 われていなければ 通 則 法 23 条 2 項 1 号 にいう 当 該 計 算 の 基 礎 としたところと 異 なること が 確 定 したものと 評 価 し 得 ないこ とは 明 らかである 以 上 のとおり 更 生 債 権 の 確 定 ( 会 社 更 生 法 150 条 )により 過 払 金 債 権 の 存 在 及 び 金 額 が 確 定 しても 収 受 した 制 限 超 過 利 息 に 係 る 経 済 的 成 果 が 保 持 されているという 課 税 標 準 の 計 算 の 基 礎 となる 事 実 に 変 わりはなく 通 則 法 23 条 2 項 1 号 が 規 定 する その 事 実 が 当 該 計 算 の 基 礎 としたところと 異 なることが 確 定 した との 要 件 を 満 たしていないことは 明 らか であるから 更 生 債 権 の 確 定 により 過 払 金 債 権 の 存 在 及 び 金 額 が 確 定 したことを 理 由 として 同 法 23 条 2 項 1 号 に 基 づく 後 発 的 事 由 による 更 正 の 請 求 をすることは 認 められないとい うべきである エ(ア) 原 告 は 更 生 手 続 における 債 権 調 査 期 間 の 末 日 の 経 過 をもって 更 生 債 権 としての 過 払 金 債 権 の 額 が 法 的 に 確 定 すれば 実 際 に 過 払 債 権 者 に 過 払 金 を 返 還 していなくても 過 年 度 に 収 受 していた 経 済 的 成 果 が 喪 失 することを 前 提 とした 主 張 をする しかしながら 本 件 における 制 限 超 過 利 息 のような 無 効 な 収 益 であっても それを 現 実 に 収 受 している 以 上 納 税 者 の 担 税 力 が 増 加 しており 法 人 税 法 では 益 金 ( 同 法 22 条 2 項 )に 含 まれ 収 受 の 原 因 となった 私 法 上 の 行 為 が 有 効 であるか 否 かに 関 わらず そ の 私 法 上 の 行 為 によって 経 済 的 成 果 が 生 じてこれを 保 持 していること 自 体 に 着 目 して 課 税 を 行 うのであるから 更 正 の 請 求 を 認 めるためには その 経 済 的 成 果 を 喪 失 することが 必 要 であるところ 更 生 手 続 によって 更 生 債 権 たる 過 払 金 債 権 の 存 在 及 び 金 額 が 確 定 した としても それは 更 生 手 続 の 中 で 法 的 に 確 定 したものにすぎず 過 払 債 権 者 に 対 する 現 実 の 返 還 がない 限 り 経 済 的 成 果 が 喪 失 したとはいえない 上 本 件 更 生 会 社 が 制 限 超 過 利 息 を 当 初 有 効 な 利 息 収 入 と 認 識 して 扱 っていたかどうかは 課 税 標 準 等 の 基 礎 となった 事 実 ではないから これが 後 に 無 効 であることが 確 定 しても 課 税 標 準 等 の 計 算 の 基 礎 とな った 事 実 に 変 更 をもたらすものではない そして そもそも 現 実 に 制 限 超 過 利 息 を 収 受 したことに 着 目 して 課 税 している 以 上 経 済 的 成 果 が 喪 失 されたか 否 かも 制 限 超 過 利 息 に 係 る 過 払 金 が 現 実 に 返 還 されたかどうかという 事 実 に 着 目 して 判 断 されるべき 事 柄 であ 12
り 原 告 の 主 張 するような 経 済 的 成 果 が 喪 失 したと 評 価 されるべきか 否 かの 問 題 ではない また 経 済 的 成 果 が 失 われたか 否 かは 会 社 更 生 法 の 規 定 や 本 件 更 生 計 画 の 内 容 に 従 って 弁 済 が 制 限 されていることとは 次 元 を 異 にする 問 題 である したがって 納 税 申 告 の 際 に 基 礎 となった 事 実 が 異 なることが 確 定 したということはで きないのであり 原 告 の 主 張 は 失 当 である (イ) 原 告 は 最 高 裁 昭 和 46 年 判 決 が 当 事 者 間 において 約 定 の 利 息 損 害 金 として 授 受 され 貸 主 において 当 該 制 限 超 過 部 分 が 元 本 に 充 当 されたものとして 処 理 することなく 依 然 として 従 前 どおりの 元 本 が 残 存 するものとして 取 り 扱 っている 以 上 制 限 超 過 部 分 を も 含 めて 現 実 に 授 受 された 約 定 の 利 息 損 害 金 の 全 部 が 貸 主 の 所 得 として 課 税 の 対 象 と なるものというべきである と 判 示 しているところ 本 件 においては 制 限 超 過 利 息 は 元 本 に 当 然 充 当 されるべき 部 分 は 既 に 充 当 されたものとして 処 理 され 元 本 が 消 滅 した 後 の 過 払 金 部 分 についても5%の 利 息 を 付 して 顧 客 へ 返 還 すべきことが 法 的 に 確 定 し 会 社 更 生 法 上 自 己 に 保 有 し 得 ないから 制 限 超 過 利 息 が 課 税 の 対 象 となるべき 場 合 ではなく 既 に 課 税 の 対 象 とされていた 場 合 は 課 税 の 修 正 が 必 要 となるものといえる 旨 主 張 する しかしながら 最 高 裁 昭 和 46 年 判 決 は 不 法 な 収 益 であっても 現 実 に 収 受 された 経 済 的 成 果 がある 以 上 は 貸 主 の 所 得 として 課 税 対 象 となる 旨 を 判 示 したものであり その 判 示 内 容 からすれば 現 実 に 収 受 された 経 済 的 成 果 が 失 われない 限 り 課 税 要 件 は 充 足 されるこ とを 示 すものであるから 原 告 の 上 記 理 解 は 誤 っている 上 その 判 示 は いかなる 場 合 に 課 税 関 係 の 修 正 が 必 要 かについて 何 ら 言 及 したものでもなく 更 生 債 権 の 確 定 が 更 生 手 続 において 更 生 会 社 の 資 産 及 び 負 債 を 確 定 させるための 手 続 であり この 手 続 において 無 効 とされる 制 限 超 過 利 息 が 確 認 され 過 払 金 に 係 る 返 還 債 務 が 確 定 しても 法 律 的 観 念 的 に 債 務 が 確 定 したにすぎず 経 済 的 成 果 が 現 実 的 に 失 われたとはいえないから 原 告 の 主 張 は 理 由 がないというべきである (ウ) 原 告 は 元 本 が 消 滅 した 後 の 過 払 金 部 分 についても 債 権 額 の3.3%に 相 当 する 金 額 は 既 に 弁 済 済 みである 旨 主 張 する しかしながら 上 記 の 原 告 の 主 張 は 本 件 各 更 正 の 請 求 の 可 否 との 関 係 でいかなる 意 味 を 持 つのか 不 明 というほかない この 点 をおくとしても 本 件 各 更 正 の 請 求 は 平 成 23 年 5 月 13 日 に 更 生 債 権 が 確 定 したことを 事 由 として 同 年 7 月 12 日 に 行 われたもので あり 債 権 額 の3.3% 相 当 額 の 弁 済 は それより 後 の 同 年 10 月 日 の 更 生 計 画 認 可 の 決 定 後 に 行 われたものであるから 当 該 弁 済 の 事 実 が 本 件 各 更 正 の 請 求 の 可 否 について 法 的 に 何 らかの 意 味 を 持 つものではない 更 正 の 請 求 が 認 められた 場 合 の 還 付 金 が 更 生 債 権 者 への 弁 済 原 資 として 予 定 されていることと 更 正 の 請 求 が 認 められるか 否 かとは 法 的 に 全 く 別 の 問 題 であり 更 正 の 請 求 が 認 められるか 否 かは 租 税 法 の 要 件 を 満 たすか 否 か の 観 点 から 論 ずるべきである (2) 本 件 各 更 正 の 請 求 は 通 則 法 23 条 1 項 1 号 の 要 件 を 満 たさないこと ア 後 発 的 事 由 に 基 づく 更 正 の 請 求 が 認 められるためには 通 則 法 23 条 1 項 各 号 に 定 める 事 由 に 該 当 することが 必 要 である 同 項 各 号 は 更 正 の 請 求 が 認 められるための 要 件 を 定 める ものであるところ 同 項 各 号 に 掲 げる 申 告 に 係 る 税 額 が 過 大 等 であることの 理 由 となる 課 税 標 準 等 の 額 又 は 税 額 等 の 額 の 計 算 については 専 ら 所 得 税 法 法 人 税 法 等 の 各 租 税 実 体 法 が 定 めており 法 人 税 法 における 課 税 所 得 や 法 人 税 額 等 の 計 算 の 仕 組 みについてみると 継 続 13
的 な 企 業 として 永 続 的 な 存 在 である 法 人 の 経 済 的 活 動 を 区 切 り 一 定 の 期 間 を 単 位 として その 期 間 ごとの 損 益 を 計 算 する 期 間 損 益 計 算 を 前 提 とした 上 各 事 業 年 度 ( 法 人 の 定 款 等 で 定 める 営 業 年 度 又 はこれに 準 ずる 期 間 同 法 13 条 等 )に 帰 属 する 所 得 の 金 額 に 対 して 課 税 する 建 前 を 採 り( 同 法 21 条 ) 法 人 は 事 業 年 度 ごとにその 確 定 した 決 算 に 基 づいて 所 得 の 金 額 法 人 税 額 等 を 記 載 した 確 定 申 告 書 を 提 出 すべきとしており( 同 法 74 条 ) 事 業 年 度 に 応 じた 法 人 の 決 算 を 前 提 とし かつ これに 計 上 された 利 益 を 基 礎 として 所 得 の 金 額 等 が 算 出 されることになる 通 則 法 23 条 1 項 各 号 に 定 める 要 件 が 満 たされるか 否 かは 各 租 税 実 体 法 に 基 づいて 判 断 されるものであり 仮 に 同 条 2 項 各 号 に 定 める 後 発 的 事 由 が 発 生 した としても それが 課 税 標 準 等 又 は 税 額 等 の 額 に 変 動 を 来 さないのであれば 更 正 の 請 求 は 認 められない イ 法 人 税 法 22 条 4 項 は 事 業 年 度 の 収 益 の 額 及 び 損 金 である 費 用 等 の 額 について 公 正 処 理 基 準 に 従 って 計 算 すべき 旨 を 規 定 しているから 同 法 上 後 の 事 業 年 度 において 通 則 法 23 条 2 項 1 号 の 後 発 的 更 正 の 事 由 が 生 じたような 場 合 において それによって 所 得 の 金 額 が 遡 って 変 動 することになるかどうかについては これを 公 正 処 理 基 準 に 従 って 判 断 することと なる そして 昭 和 42 年 に 法 人 税 法 の 簡 素 化 の 一 環 として 設 けられた 同 法 22 条 4 項 は 企 業 会 計 準 拠 主 義 ( 法 人 の 事 業 年 度 の 所 得 の 計 算 は 原 則 として 企 業 利 益 の 算 定 の 基 礎 である 企 業 会 計 に 準 拠 して 行 われるべきこと)を 定 めたものであり 公 正 処 理 基 準 を 成 すものには 企 業 会 計 原 則 等 に 加 え 会 社 法 等 の 各 種 法 令 中 の 計 算 規 定 や 確 立 した 会 計 慣 行 も 含 まれると ころ 企 業 会 計 の 背 後 には それを 可 能 にするいくつかの 理 論 的 な 基 礎 構 造 が 存 在 し それ を 構 成 する 命 題 が 会 計 公 準 であって その 中 には 継 続 企 業 の 公 準 ( 会 社 の 計 算 は 期 間 を 区 切 って 行 う)が 含 まれている その 意 味 は 現 代 の 企 業 は 解 散 を 前 提 とせず 永 遠 に 存 続 することを 目 指 して 経 営 され 企 業 の 解 散 時 点 を 待 って 利 益 を 計 算 することが 不 可 能 である から 企 業 の 会 計 は 人 為 的 に 期 間 を 区 切 って 経 営 成 績 や 財 務 状 態 を 測 定 せざるを 得 ないた め 継 続 する 企 業 活 動 を1 年 ごとに 区 切 って 会 社 の 計 算 を 行 うというものである 法 人 の 場 合 には 企 業 会 計 上 継 続 企 業 の 公 準 に 従 い 当 期 において 生 じた 収 益 と 当 期 において 生 じた 費 用 及 び 損 失 とを 対 応 させて 損 益 計 算 をしていることから 既 往 の 事 業 年 度 に 収 益 計 上 した 売 上 高 等 について 当 期 において 契 約 の 解 除 等 がなされた 場 合 には その 解 除 等 がなされた 部 分 に 対 応 する 金 額 について 当 該 売 上 高 を 収 益 計 上 した 事 業 年 度 に 遡 及 して 修 正 するのではなく 解 除 等 がなされた 当 期 の 事 業 年 度 の 益 金 を 減 少 させる 損 失 として 取 り 扱 われることになる 仮 に 解 除 等 がされた 部 分 に 対 応 する 金 額 についての 処 理 が 収 益 計 上 した 事 業 年 度 に 遡 及 するとすれば 過 去 の 財 務 諸 表 を 遡 って 修 正 処 理 することになるが 株 主 総 会 での 承 認 や 報 告 を 経 て 確 定 した 財 務 諸 表 は 配 当 制 限 その 他 の 規 制 や 各 種 の 契 約 条 件 の 遵 守 の 確 認 並 びに 課 税 所 得 の 計 算 にも 利 用 されていることから そこでの 利 益 計 算 を 事 後 的 に 修 正 するとなる と 利 害 調 整 の 基 盤 が 揺 らぐこととなる そこで 過 去 の 利 益 計 算 に 修 正 の 必 要 が 生 じても 過 去 の 財 務 諸 表 を 修 正 することなく 要 修 正 額 を 前 期 損 益 修 正 として 当 期 の 特 別 損 益 項 目 に 計 上 する 方 法 が 用 いられる( 企 業 会 計 原 則 第 二 六 及 び 同 注 解 12) 法 人 税 務 においても 企 業 会 計 における 取 扱 いと 同 様 各 事 業 年 度 に 発 生 した 損 失 は そ の 発 生 事 由 を 問 わず その 事 業 年 度 の 損 金 の 額 に 算 入 することによって 益 金 から 控 除 し そ の 結 果 として 損 失 を 計 上 した 事 業 年 度 が 欠 損 となったような 場 合 には その 欠 損 について 14
は 欠 損 金 の 繰 戻 しによる 還 付 ( 法 人 税 法 80 条 ) 又 は 青 色 申 告 書 を 提 出 した 事 業 年 度 の 欠 損 金 の 繰 越 し( 同 法 57 条 )の 制 度 を 通 じて 前 後 の 課 税 関 係 が 調 整 されることとなる また 所 得 税 法 51 条 2 項 は 明 文 で 法 人 企 業 における 上 記 会 計 処 理 と 同 様 の 処 理 を 定 めたもので あり この 規 定 からも 法 人 企 業 における 上 記 会 計 処 理 は 公 正 処 理 基 準 にかなったものとい うことができる 事 業 所 得 に 係 る 所 得 税 や 法 人 税 のように 収 益 と 費 用 とが 期 間 内 に 対 応 することとされて いる 税 にあっては 例 えば 売 買 が 取 り 消 されて 戻 り 品 があったときは それが 前 期 以 前 の 売 上 に 係 るものであっても 当 期 売 上 勘 定 の 借 方 に 記 載 されるか 又 は 戻 り 品 勘 定 によって 処 理 される 会 計 慣 行 があり そのことを 前 提 にして 課 税 標 準 が 算 出 されており 通 則 法 23 条 1 項 の 後 発 的 事 由 に 係 る 更 正 の 請 求 制 度 によってこのような 慣 行 を 変 更 しようとするも のではないのである 前 期 損 益 修 正 は 期 間 損 益 計 算 を 前 提 とした 基 本 的 処 理 であって 企 業 が 清 算 することに なっても 企 業 会 計 上 そのことによって 前 期 損 益 修 正 の 扱 いが 変 わるものではなく 公 正 処 理 基 準 ( 法 人 税 法 22 条 4 項 )を 介 して 法 人 税 法 における 原 則 的 扱 いとなっており 法 の 定 めなくこれと 異 なる 取 扱 いをすることは 許 されない 以 上 のことを 前 提 とすると 本 件 において 制 限 超 過 利 息 の 弁 済 が 後 日 無 効 とされて 過 払 金 返 還 請 求 権 が 発 生 し 本 件 各 事 業 年 度 において 益 金 として 申 告 した 経 済 的 成 果 が 失 われた ことに 伴 う 損 失 が 発 生 したとしても 当 該 損 失 は 後 発 的 事 由 が 生 じた 事 業 年 度 の 損 金 の 額 に 算 入 すべきものであり 約 定 利 息 の 収 受 として 収 益 計 上 した 本 件 各 事 業 年 度 の 経 理 処 理 及 び 納 税 義 務 には 何 ら 影 響 を 及 ぼさないというべきであるから 本 件 各 更 正 の 請 求 は 同 項 1 号 の 要 件 を 欠 くものというべきである ウ 原 告 は 制 限 超 過 利 息 は 当 初 から 当 然 に 無 効 なものであり 貸 金 元 本 に 順 次 充 当 され 元 本 が 消 滅 した 後 は 不 当 利 得 として 返 還 すべきものであって 法 律 行 為 の 解 除 や 取 消 し 等 の ように 後 発 的 事 由 によって 収 受 の 効 果 が 遡 及 的 に 失 われた 場 合 とは 全 く 異 なり 本 件 更 生 会 社 は 本 件 各 事 業 年 度 において 無 効 な 制 限 超 過 利 息 を 収 益 に 計 上 して 益 金 に 算 入 し 課 税 標 準 等 の 計 算 をしていたのであるから 本 件 各 事 業 年 度 における 課 税 標 準 等 の 計 算 には 当 初 から 誤 りが 含 まれていたといえるのであり 本 件 各 更 正 の 請 求 は 通 則 法 23 条 1 項 1 号 に 該 当 する 旨 主 張 する しかしながら 法 人 の 益 金 に 対 する 課 税 は 制 限 超 過 利 息 を 収 受 した 場 合 その 原 因 とな った 私 法 上 の 行 為 が 有 効 であるか 否 かにかかわらず その 経 済 的 成 果 が 生 じ これを 保 持 し ていることに 着 目 して 課 税 が 行 われるのであり 本 件 においても 本 件 更 生 会 社 は 本 件 各 事 業 年 度 において 自 ら 税 務 申 告 し 現 実 に 収 受 した 制 限 超 過 利 息 について 適 法 に 法 人 税 額 が 確 定 されているものである したがって 本 件 各 事 業 年 度 に 係 る 申 告 又 は 更 正 処 分 における 課 税 標 準 等 の 計 算 には 同 号 に 規 定 する 国 税 に 関 する 法 律 の 規 定 に 従 っていなかった こ とも 当 該 計 算 に 誤 りがあった こともなく 後 の 事 業 年 度 で 過 払 金 返 還 請 求 権 が 発 生 し それにより 損 失 が 発 生 したとしても 本 件 各 事 業 年 度 に 遡 って 更 正 の 請 求 の 要 件 該 当 性 が 認 められるものではない エ 原 告 は 本 件 更 生 会 社 は 現 在 裁 判 所 の 監 督 下 で 更 生 計 画 を 遂 行 中 であり 更 生 計 画 に 基 づいて 既 に 消 費 者 金 融 事 業 を 株 式 会 社 Cに 承 継 させ 現 在 は 収 益 事 業 を 行 っておらず ま た 裁 判 所 の 許 可 を 得 て 原 告 が 決 定 した 日 に 解 散 し 清 算 業 務 を 行 うことが 確 定 しているか 15
ら 通 常 の 企 業 とは 異 なり 前 期 損 益 修 正 の 前 提 となる 継 続 企 業 の 公 準 は 妥 当 せず 本 件 更 生 手 続 の 過 程 で 発 生 することが 確 定 した 多 額 の 欠 損 金 について 欠 損 金 の 繰 戻 しや 欠 損 金 の 繰 越 しという 継 続 企 業 に 認 められている 課 税 調 整 により 救 済 を 受 ける 余 地 がない 上 無 効 な 制 限 超 過 利 息 の 出 えん 者 たる 過 払 債 権 者 に 対 する 弁 済 原 資 を 確 保 し その 救 済 を 図 る 必 要 が あるから 過 年 度 所 得 の 是 正 を 認 めるべきである 旨 主 張 する しかしながら 更 正 の 請 求 が 認 められるか 否 かは 通 則 法 23 条 の 各 要 件 に 該 当 するか 否 かという 純 粋 に 法 的 観 点 から 判 断 されるべきであり 租 税 法 規 に 別 段 の 定 め がないにも かかわらず 本 件 更 生 会 社 がいわゆる 清 算 型 の 更 生 計 画 を 策 定 した 更 生 会 社 であるという 事 情 や 過 払 債 権 者 の 救 済 を 図 る 必 要 があるという 理 由 だけで 更 正 に 関 する 租 税 法 規 の 解 釈 や その 適 用 を 変 容 することは 法 的 安 定 性 を 害 するだけでなく 他 の 納 税 者 との 間 の 不 平 等 を 招 くこととなり 許 されない また 会 社 更 生 手 続 において 更 生 会 社 が 再 建 の 道 を 歩 むのか 解 散 して 清 算 の 道 を 歩 む のかは 諸 般 の 事 情 を 考 慮 した 更 生 計 画 の 選 択 の 問 題 であり 更 生 計 画 の 内 容 いかんによって 更 生 会 社 には 継 続 企 業 の 公 準 が 適 用 されない 場 合 が 生 ずるかのごとき 原 告 の 主 張 は 納 税 者 の 選 択 によって 課 税 を 左 右 することができるものとし 課 税 関 係 の 安 定 を 害 することになる 上 他 の 納 税 者 との 間 の 不 平 等 を 招 くことになり 相 当 ではない 本 件 更 生 会 社 については 本 件 更 生 計 画 においていわゆる 清 算 型 の 手 法 が 選 択 された 以 上 本 件 更 生 手 続 の 過 程 で 発 生 することが 確 定 した 多 額 の 欠 損 金 について 法 の 認 める 一 定 の 限 度 の 範 囲 内 における 欠 損 金 の 繰 戻 しや 欠 損 金 の 繰 越 しという 継 続 企 業 に 認 められている 課 税 調 整 により 救 済 を 受 ける 余 地 がなくなることは 更 生 計 画 を 策 定 する 上 で 当 然 織 り 込 むべき 事 柄 であり 清 算 型 の 更 生 計 画 が 選 択 されたからといって 例 外 を 生 じさせたり 租 税 法 規 の 解 釈 を 変 更 することが できたりするということにはならない 継 続 企 業 の 公 準 は 会 計 上 の 評 価 や 処 理 は 全 て 継 続 企 業 の 立 場 から 企 業 の 解 散 を 前 提 としないで 行 うことであり 一 定 の 会 計 期 間 に 区 切 って 利 益 計 算 を 行 うという 点 においては 通 常 の 企 業 と 更 生 会 社 との 間 で 何 ら 違 いはなく 更 生 会 社 においても 一 定 の 会 計 期 間 に 区 切 って 期 間 計 算 が 行 われるのは 当 然 の 事 理 であり 本 件 更 生 会 社 も 平 成 22 年 4 月 1 日 から 本 件 更 生 手 続 の 開 始 時 である 同 年 10 月 日 までの 事 業 年 度 の 決 算 において 過 年 度 超 過 利 息 等 損 失 を 含 む 約 2 兆 8000 億 円 を 特 別 損 失 として 計 上 し( 乙 1) 同 年 11 月 1 日 から 本 件 更 生 計 画 の 認 可 があった 平 成 23 年 10 月 日 まで の 事 業 年 度 の 決 算 において 更 生 債 権 の 届 出 がなかった 金 額 である 約 1 兆 0590 億 円 を 更 生 債 権 処 理 益 として 計 上 するなどしている( 乙 4) そして 法 人 税 法 には 更 生 会 社 の 特 質 を 考 慮 して 一 般 企 業 に 対 するものとは 異 なる 税 制 度 を 定 める 一 定 の 手 当 てをしている( 同 法 33 条 3 項 59 条 ) 一 方 で いわゆる 清 算 型 の 更 生 計 画 が 策 定 された 場 合 について 前 期 損 益 修 正 の 扱 いを 変 更 する 別 段 の 定 めを 置 いていないから 公 正 処 理 基 準 として 定 着 してい る 前 期 損 益 修 正 の 取 扱 いを 否 定 することは 許 されず 昭 和 42 年 税 制 改 正 時 に 採 用 された 企 業 会 計 準 拠 主 義 の 採 用 時 に 前 提 とされていた 前 期 損 益 修 正 の 考 え 方 を 修 正 するには 法 改 正 が 必 要 であるというべきである オ(ア) 原 告 は 前 期 損 益 修 正 による 会 計 処 理 は 便 宜 的 に 採 用 された 会 計 処 理 であって そ れが 唯 一 の 過 年 度 損 益 事 項 の 修 正 方 法 ではなく 企 業 会 計 委 員 会 が 平 成 21 年 12 月 4 日 に 公 表 した 企 業 会 計 基 準 第 24 号 会 計 上 の 変 更 及 び 誤 謬 の 訂 正 に 関 する 会 計 基 準 が 遡 及 処 理 を 認 める 新 たな 会 計 制 度 ( 会 計 上 の 変 更 ( 会 計 方 針 の 変 更 若 しくは 表 示 方 法 の 変 更 ) 16
又 は 過 去 の 誤 びゅうの 訂 正 の 場 合 に 過 年 度 の 財 務 諸 表 の 額 の 訂 正 計 算 処 理 を 行 うことを 認 めるもの)を 導 入 したことなどに 照 らすと 複 数 存 在 する 会 計 処 理 基 準 の 一 つにすぎな いから 本 件 においては 過 年 度 の 遡 及 修 正 を 認 めるべきである 旨 主 張 する しかしながら 既 に 述 べたように 法 人 税 法 上 は 前 期 損 益 修 正 は 便 宜 的 な 処 理 ではな い その 上 で 上 記 の 企 業 会 計 基 準 第 24 号 については 従 来 我 が 国 の 企 業 会 計 原 則 にお いては 過 去 の 期 間 の 損 益 に 含 まれていた 計 算 の 誤 り 又 は 不 適 切 な 判 断 を 訂 正 する 方 法 と して 特 別 損 益 処 理 方 式 ( 一 括 処 理 方 式 前 期 損 益 修 正 項 目 として 当 期 の 損 益 で 修 正 する 方 法 )のみが 示 されていたところ( 同 原 則 第 二 の 六 ) 平 成 23 年 4 月 1 日 以 後 に 開 始 する 事 業 年 度 の 期 首 以 後 に 行 われる 会 計 上 の 変 更 及 び 過 去 の 誤 びゅうの 訂 正 から 適 用 される ものである(したがって 本 件 更 生 会 社 に 係 る 更 生 債 権 の 一 般 調 査 期 間 の 末 日 である 平 成 23 年 5 月 12 日 の 属 する 平 成 22 年 11 月 1 日 から 平 成 23 年 10 月 日 までの 事 業 年 度 については その 適 用 はない )が 訂 正 計 算 処 理 が 行 われた 過 去 の 期 間 における 遡 及 処 理 の 累 積 影 響 額 を 貸 借 対 照 表 上 遡 及 処 理 後 の 当 期 の 期 首 の 残 高 に 反 映 させること を 認 めるものであり 過 年 度 の 決 算 処 理 を 遡 及 的 に 訂 正 等 をすることまで 認 めるものでは ない そして 本 件 更 生 会 社 は 制 限 超 過 利 息 を 収 受 し それを 益 金 として 計 上 して 過 年 度 の 財 務 諸 表 を 作 成 していたところ 制 限 超 過 利 息 の 収 受 が 私 法 上 無 効 であることによる 訂 正 は 上 記 の 企 業 会 計 基 準 第 24 号 にいう 会 計 上 の 変 更 ( 会 計 方 針 の 変 更 又 は 表 示 方 法 の 変 更 )のいずれにも 該 当 しないし 制 限 超 過 利 息 を 益 金 に 計 上 すること 自 体 に 会 計 上 の 処 理 として 特 段 の 誤 りがあるものではない 以 上 同 じく 過 去 の 誤 謬 にも 該 当 しな い また 法 人 税 の 確 定 申 告 は 確 定 した 決 算 に 基 づいて 行 うもの( 法 人 税 法 74 条 1 項 )で あり 上 記 の 遡 及 処 理 が 過 去 の 確 定 した 決 算 を 修 正 するものではないから 上 記 の 遡 及 処 理 が 行 われた 場 合 でも その 過 年 度 の 確 定 申 告 において 誤 った 課 税 所 得 の 計 算 を 行 っ ていたのでなければ 過 年 度 の 法 人 税 の 課 税 所 得 の 金 額 や 税 額 に 対 して 影 響 を 及 ぼすもの ではない( 国 税 庁 が 平 成 23 年 10 月 20 日 付 けで 公 表 した 法 人 が 会 計 上 の 変 更 及 び 誤 謬 の 訂 正 に 関 する 会 計 基 準 を 適 用 した 場 合 の 税 務 処 理 について( 情 報 ) ( 乙 25) 参 照 ) 本 件 においては 仮 に 何 らかの 上 記 の 遡 及 処 理 をすることができる 類 型 に 該 当 し たとしても 過 年 度 の 確 定 申 告 において 制 限 超 過 利 息 の 収 受 が 法 的 に 無 効 であるか 否 か に 関 わらず 現 実 に 生 じた 経 済 的 成 果 として 申 告 するという 正 しい 課 税 所 得 の 計 算 を 行 っ ていたのであるから 誤 った 計 算 を 行 っていた 場 合 に 当 たらず 過 年 度 の 法 人 税 の 課 税 所 得 の 金 額 や 税 額 に 影 響 を 与 えることはない この 点 に 関 連 して 原 告 は 会 社 計 算 規 則 133 条 3 項 に 過 年 度 の 計 算 書 類 の 修 正 を 前 提 とした 規 定 が 設 けられている 旨 の 主 張 をするが 同 規 定 は 株 主 に 対 して 提 供 計 算 書 類 を 提 供 する 際 に 当 該 事 業 年 度 より 前 の 事 業 年 度 に 係 る 貸 借 対 照 表 損 益 計 算 書 又 は 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 に 表 示 すべき 事 項 を 併 せて 提 供 することができ その 際 にこれらの 事 項 が 会 計 方 針 の 変 更 その 他 正 当 な 理 由 により 当 該 事 業 年 度 より 前 の 事 業 年 度 に 係 る 定 時 株 主 総 会 において 承 認 又 は 報 告 をしたものと 異 なっているときは 修 正 後 のものを 提 供 する ことを 妨 げないとするもので 事 業 年 度 間 の 比 較 を 可 能 にする 情 報 を 株 主 に 対 して 提 供 す ることができることを 確 認 的 に 定 めたものであり 修 正 によって 適 法 に 確 定 された 過 年 度 の 計 算 関 係 書 類 が 変 更 されるわけではない 17
したがって 過 払 金 が 発 生 しても その 会 計 処 理 については 過 年 度 に 遡 及 して 修 正 する ことはせず 企 業 会 計 原 則 のとおり 前 期 損 益 修 正 によって 処 理 することになる (イ)a 原 告 は 平 成 22 年 度 税 制 改 正 に 係 る 法 人 税 質 疑 応 答 事 例 ( 甲 18)において 実 在 性 のない 資 産 が 把 握 され かつ その 発 生 原 因 等 が 明 らかである 場 合 には 当 該 発 生 原 因 の 生 じた 事 業 年 度 の 欠 損 金 額 とできるとされ 当 該 処 理 は いわゆる 清 算 型 の 倒 産 手 続 だけではなく 更 生 手 続 という 裁 判 所 が 関 与 する 再 建 型 法 的 倒 産 処 理 手 続 に ついても 妥 当 すると 明 言 されているところ 本 件 更 生 会 社 に 係 る 約 定 貸 付 金 も 実 在 性 がない 資 産 に 該 当 する 旨 主 張 する しかしながら 上 記 質 疑 応 答 事 例 の 情 報 は 清 算 における 課 税 所 得 の 計 算 において 控 除 される 繰 越 欠 損 の 金 額 の 計 算 に 関 するものであり 実 在 性 のない 資 産 の 発 生 原 因 が 更 正 期 限 内 の 事 業 年 度 中 に 生 じたものである 場 合 には 法 人 税 法 129 条 1 項 の 規 定 により 処 理 する 旨 を 明 らかにしているように そもそも 実 在 しない 資 産 を 計 上 して いる 場 合 にはその 事 業 年 度 においてその 資 産 はないものとして 処 理 すべきであるから 実 在 性 のない 資 産 を 計 上 した 根 拠 がいつの 事 業 年 度 であるかに 応 じた 是 正 方 法 を 示 し たものであるところ 本 件 は 当 初 現 実 に 利 息 収 入 として 収 受 して 収 益 計 上 され 本 件 各 事 業 年 度 においてそのような 前 提 で 貸 付 元 本 についても 正 しいものとして 計 上 さ れていたが 更 生 手 続 において 事 後 的 にその 支 払 が 無 効 であるとされて 更 生 債 権 とし て 確 定 したものであり 現 実 に 経 済 的 成 果 を 得 ているものであるから 上 記 の 実 在 性 がない 資 産 に 当 たらない したがって 上 記 質 疑 応 答 事 例 の 回 答 内 容 は 本 件 に 妥 当 するものではなく 原 告 の 主 張 の 根 拠 ともならない b 原 告 は 土 地 譲 渡 益 重 課 税 制 度 において 契 約 解 除 があった 場 合 は 遡 及 して 課 税 を 訂 正 する 旨 の 通 達 ( 租 税 特 別 措 置 法 通 達 63(6)-5)を 掲 げ 一 般 的 に 法 人 の 過 年 度 所 得 の 是 正 が 認 められる 場 合 があるというにとどまらず 欠 損 金 の 繰 越 控 除 又 は 繰 戻 還 付 という 課 税 調 整 を 受 けられないが 故 に その 救 済 のために 過 年 度 所 得 の 是 正 が 認 め られており しかも 課 税 庁 が 納 税 者 の 救 済 という 税 務 上 の 要 請 を 勘 案 して 通 達 で 規 定 している 旨 主 張 する しかしながら 土 地 譲 渡 益 重 課 税 制 度 は 法 人 税 法 の 特 例 法 に 当 たる 法 律 の 規 定 に 基 づくものであり 所 定 の 所 有 期 間 の 土 地 等 の 譲 渡 等 による 譲 渡 利 益 金 額 に 対 する 課 税 については 各 事 業 年 度 の 所 得 に 対 する 法 人 税 の 額 に 当 該 譲 渡 利 益 金 額 に 所 定 の 税 率 を 乗 じた 金 額 を 加 算 する 旨 の 規 定 であり いわば 個 々の 譲 渡 取 引 に 対 して 非 継 続 的 な 課 税 を 行 う 制 度 であるところ 継 続 的 に 事 業 活 動 を 行 う 場 合 の 各 事 業 年 度 の 課 税 所 得 の 計 算 や 所 得 税 法 上 の 事 業 所 得 の 計 算 とは 異 なるものであり それゆえに 法 が 後 発 的 事 由 による 更 正 の 請 求 を 認 めているのである したがって 本 件 は 土 地 譲 渡 益 重 課 税 制 度 の 取 扱 いとは 事 例 が 異 なるものであり 同 制 度 の 存 在 は 原 告 の 主 張 の 根 拠 とはならない (ウ) 原 告 は 課 税 関 係 を 遡 及 的 に 是 正 すべきとした 国 税 不 服 審 判 所 の 裁 決 ( 甲 20)を 引 用 し 同 裁 決 の 事 案 は 本 件 と 共 通 する 点 が 多 く また 同 裁 決 は 欠 損 金 の 繰 越 し 又 は 繰 戻 しといった 法 人 法 上 の 課 税 調 整 を 受 ける 余 地 がない 場 合 等 には 過 年 度 の 減 額 更 正 を 肯 定 すべきという 基 本 的 考 え 方 の 表 れであって 本 件 更 生 会 社 についても 過 年 度 所 得 の 是 18
正 は 当 然 に 肯 定 されるべきである 旨 主 張 する しかしながら 上 記 の 裁 決 の 事 案 は 法 人 が 破 産 宣 告 を 受 ける 前 にした 不 動 産 の 低 額 譲 渡 について 破 産 管 財 人 がした 否 認 権 の 行 使 を 認 める 判 決 が 確 定 したという 特 殊 な 事 案 で あり 本 件 にその 考 えを 及 ぼすことはできず 更 正 の 請 求 を 認 めた 事 実 関 係 も 本 件 とは 異 なることから 上 記 の 裁 決 の 判 断 をもって 本 件 における 更 正 の 請 求 が 認 められる 根 拠 と することはできない (エ) 原 告 は 所 得 税 法 51 条 2 項 からしても 当 期 に 発 生 した 損 失 は 当 期 の 損 金 として 処 理 することが 法 人 企 業 においても 公 正 処 理 基 準 にかなっている 旨 の 被 告 の 主 張 に 対 し 過 年 度 所 得 の 是 正 を 否 定 する 所 得 税 法 の 規 定 があるとしても 法 人 税 法 には 同 様 の 規 定 が ない 以 上 税 法 の 体 系 及 び 租 税 法 律 主 義 に 照 らし 法 人 たる 本 件 更 生 会 社 について 過 年 度 所 得 の 是 正 を 否 定 する 根 拠 にはなり 得 ない 旨 主 張 する しかしながら 個 人 の 事 業 所 得 と 法 人 の 所 得 とは 事 業 による 所 得 に 課 税 する 点 で 共 通 し 必 要 経 費 及 び 損 金 にも 共 通 する 規 定 があるから 事 業 所 得 及 び 法 人 所 得 は 共 通 してお り 所 得 税 法 51 条 2 項 の 考 え 方 は 法 人 税 法 22 条 4 項 の 公 正 処 理 基 準 として 法 人 税 においても 妥 当 するというべきである 所 得 税 法 においては その 対 象 とする 所 得 に 様 々 な 種 類 のものがあることから その 種 類 に 応 じて 損 失 処 理 の 在 り 方 を 個 別 に 規 定 するもの として 同 法 51 条 2 項 63 条 152 条 所 得 税 法 施 行 令 274 条 等 が 定 められた 一 方 法 人 税 法 においては 所 得 税 のように 所 得 の 種 類 の 区 分 がないことから 上 記 のよう な 定 めはされず 公 正 処 理 基 準 の 内 容 として 税 法 の 内 容 となっている 企 業 会 計 における 前 期 損 益 修 正 の 考 え 方 が 法 人 税 の 税 務 処 理 における 原 則 的 処 理 形 態 となっているものであ る したがって 法 人 税 法 には 所 得 税 法 と 同 様 の 規 定 がない 以 上 過 年 度 所 得 の 是 正 を 否 定 する 根 拠 にはなり 得 ない 旨 の 原 告 の 主 張 は 理 由 がない 5 争 点 2( 不 当 利 得 返 還 請 求 権 の 有 無 ) ( 原 告 の 主 張 の 要 点 ) (1) 課 税 の 前 提 となった 所 得 が 事 後 的 に 喪 失 された 場 合 でも 国 がなお 徴 収 した 税 額 を 保 有 し 続 けることができるとすれば 結 果 として 所 得 なきところに 課 税 することを 是 認 することに 等 しい 所 得 課 税 の 本 質 及 び 正 義 衡 平 の 原 理 に 照 らせば かかる 場 合 において 国 は 既 に 徴 収 した 税 額 を 保 有 し 続 けることなく 是 正 措 置 を 執 ることが 法 律 上 の 要 請 であるというべきであ る 仮 に 本 件 各 更 正 の 請 求 が 否 定 されることとなれば 国 は 別 紙 1の 還 付 金 額 欄 記 載 の 本 件 各 事 業 年 度 の 還 付 金 額 の 合 計 2374 億 6470 万 6270 円 を 所 得 課 税 の 本 質 に 反 し て すなわち 法 律 上 の 原 因 なく 違 法 に 保 有 し 続 けることになるから 民 法 703 条 に 基 づ き 原 告 に 返 還 する 義 務 を 負 うというべきである (2) 判 例 ( 最 高 裁 昭 和 年 ( ) 第 号 同 49 年 3 月 8 日 第 二 小 法 廷 判 決 民 集 28 巻 2 号 186 頁 以 下 最 高 裁 昭 和 49 年 判 決 という )は 貸 倒 れによって 課 税 の 前 提 が 失 わ れ 税 法 上 の 救 済 措 置 が 存 在 せず 貸 倒 れの 発 生 とその 数 額 が 客 観 的 に 明 らかで 課 税 庁 に 所 得 及 び 税 額 の 是 正 に 係 る 認 定 判 断 権 を 留 保 する 合 理 的 必 要 性 がない 場 合 には 課 税 庁 による 是 正 措 置 がなくとも 既 に 徴 収 された 税 額 は 法 律 上 の 原 因 を 欠 く 利 得 であり 不 当 利 得 返 還 請 求 が 可 能 であることを 認 め 結 果 としての 正 義 公 平 を 強 く 求 めるものである 19
本 件 においては 本 件 更 生 会 社 による 制 限 超 過 利 息 の 収 受 は 元 々 無 効 であり 本 件 更 生 手 続 の 過 程 でその 経 済 的 成 果 が 遡 って 喪 失 し 課 税 の 前 提 が 失 われている そして 本 件 更 生 会 社 は 無 効 な 制 限 超 過 利 息 による 影 響 額 が 一 括 して 当 期 の 損 金 となったとしても 法 人 税 法 57 条 80 条 1 項 に 基 づく 課 税 調 整 では 救 済 されないから 通 則 法 23 条 2 項 1 号 に 基 づく 本 件 各 更 正 の 請 求 が 認 められない 場 合 には 税 法 の 規 定 に 基 づく 救 済 を 受 けられず 税 法 上 の 救 済 措 置 が 欠 けることになる また 本 件 更 生 手 続 の 過 程 で 過 払 金 債 権 の 存 在 及 び 額 は 客 観 的 に 明 白 であるから 課 税 庁 に 所 得 及 び 税 額 の 是 正 に 係 る 認 定 判 断 権 を 留 保 する 必 要 もない したがって 本 件 各 更 正 の 請 求 が 認 められない 場 合 には 原 告 が 被 告 に 対 し 制 限 超 過 利 息 に 対 応 する 税 額 について 不 当 利 得 返 還 請 求 権 を 有 することは 明 らかである (3)ア 被 告 は 本 件 更 生 会 社 は 本 件 各 事 業 年 度 において 自 ら 税 務 申 告 し 税 務 署 長 の 更 正 処 分 によって 納 付 すべき 法 人 税 額 が 適 法 に 確 定 され この 確 定 した 額 の 法 人 税 を 被 告 に 納 付 したものであり 納 付 時 及 び 納 付 後 のいずれにおいても 当 該 納 付 を 無 効 とする 原 因 はな い 旨 主 張 する しかしながら 本 件 においては 顧 客 から 本 件 更 生 会 社 に 支 払 われた 無 効 な 制 限 超 過 利 息 に 基 づいて 本 件 更 生 会 社 から 国 にその 一 部 が 法 人 税 として 納 付 されていたのであるから 当 該 法 人 税 は 本 件 更 生 会 社 に 返 還 された 上 顧 客 へと 返 還 されるべきである 本 件 更 生 手 続 における 更 生 債 権 の 調 査 において 制 限 超 過 利 息 のうち 顧 客 の 元 本 に 充 当 されるべき 部 分 が 確 認 され 残 りの 部 分 が 過 払 金 として5%の 利 息 を 付 して 顧 客 に 返 還 されるべきこと が 法 的 に 確 定 したから 制 限 超 過 利 息 の 収 受 による 経 済 的 成 果 は 同 収 受 が 無 効 であること に 基 因 して 遡 って 失 われたのである したがって 制 限 超 過 利 息 を 収 益 として 計 算 された 分 の 法 人 税 は 本 件 更 生 会 社 に 返 還 され 顧 客 の 過 払 金 返 還 請 求 債 権 の 弁 済 に 充 てるべきものであり 被 告 には 当 該 法 人 税 を 保 有 すべき 法 律 上 の 原 因 がないというべきである イ 被 告 は 納 税 確 定 行 為 の 公 定 力 はいまだ 排 除 されておらず 本 件 更 生 会 社 が 納 付 した 本 件 各 事 業 年 度 に 係 る 法 人 税 を 被 告 が 保 有 することには 法 律 上 の 原 因 がある 旨 主 張 する しかしながら 原 告 は 通 則 法 23 条 2 項 1 号 の 規 定 に 基 づき 制 限 超 過 利 息 が 収 受 さ れた 事 業 年 度 の 法 人 税 課 税 の 更 正 を 主 位 的 に 請 求 しているが この 更 正 の 請 求 が 不 適 法 で あると 判 断 されれば 租 税 法 には 上 記 課 税 処 分 の 修 正 を 求 めるべき 排 他 的 な 法 定 手 続 が 存 在 しないことになるから 行 政 行 為 の 公 定 力 によって 本 件 につき 法 律 上 の 原 因 があると の 結 論 を 導 くことは 私 法 的 な 救 済 の 道 を 閉 ざすものであって 公 定 力 は 私 法 の 規 定 を 排 除 するだけの 法 的 理 論 とはなり 得 ないものである ( 被 告 の 主 張 の 要 点 ) (1)ア 本 件 更 生 会 社 は 本 件 各 事 業 年 度 において 自 ら 税 務 申 告 し 税 務 署 長 の 更 正 処 分 によっ て 納 付 すべき 法 人 税 額 が 適 法 に 確 定 され この 確 定 した 額 の 法 人 税 を 被 告 に 納 付 したもので あり 納 付 時 及 び 納 付 後 のいずれにおいても 当 該 納 付 を 無 効 とする 原 因 はなく また 税 額 確 定 行 為 の 公 定 力 はいまだ 排 除 されていないから 本 件 更 生 会 社 が 納 付 した 本 件 各 事 業 年 度 に 係 る 法 人 税 を 被 告 が 保 有 することには 法 律 上 の 原 因 があるのであり 原 告 の 予 備 的 請 求 は 理 由 がない イ(ア) 通 則 法 が 更 正 の 請 求 の 手 続 を 設 けた 趣 旨 に 鑑 みると 申 告 に 係 る 税 額 が 当 初 から 過 大 であった 場 合 にも また 後 発 的 事 由 により 申 告 に 係 る 税 額 が 過 大 であることになった 場 20
合 にも その 過 大 部 分 の 修 正 は 原 則 として 更 正 の 請 求 によらなければならず 他 の 救 済 手 続 によることは 許 されないと 解 すべきであり 本 件 各 更 正 の 請 求 について 例 外 を 認 めな ければならないような 事 情 はない また 税 務 が 大 量 かつ 回 帰 的 な 処 理 を 要 するため 更 正 の 請 求 を 認 容 するための 一 定 の 要 件 を 定 めることには 合 理 性 があるというべきであり 本 件 各 更 正 の 請 求 が 法 定 の 要 件 を 満 たしていないために 認 められないとしても そのこと をもって 制 定 法 上 の 納 税 者 救 済 手 続 に 実 効 性 が 欠 けていることにはならない (イ) 本 件 更 生 会 社 は 制 限 超 過 利 息 のような 無 効 な 収 益 であっても それを 現 実 に 収 受 し て 経 済 的 成 果 を 得 ている 以 上 は 担 税 力 を 増 加 させており それを 益 金 の 額 に 算 入 するこ とが 所 得 課 税 の 本 質 に 反 し 不 合 理 であるなどといった 評 価 は 当 たらない そして 現 実 に 経 済 的 成 果 が 失 われた 場 合 には 税 務 上 その 経 済 的 成 果 の 喪 失 が 発 生 した 事 業 年 度 にお いて その 損 失 を 前 期 損 益 修 正 損 として 損 金 の 額 に 算 入 する 取 扱 いをすることになるが この 取 扱 いには 合 理 性 があるから 仮 に その 経 済 的 成 果 の 喪 失 が 発 生 した 事 業 年 度 に 所 得 の 金 額 が 発 生 しておらず その 損 失 を 損 金 の 額 に 算 入 しても 税 額 を 取 り 戻 すことが 困 難 であるといった 事 情 があったとしても 法 定 された 救 済 の 方 策 を 超 えて すべからく 税 額 を 還 付 することは 法 の 予 定 するところではない (2) 原 告 は 本 件 更 生 手 続 の 過 程 で 過 払 金 債 権 の 存 在 及 び 額 が 確 定 したことにより 課 税 の 前 提 となった 制 限 超 過 利 息 の 収 受 に 係 る 本 件 更 生 会 社 の 所 得 が 事 後 的 に 喪 失 されていることを 強 調 し 最 高 裁 昭 和 49 年 判 決 に 照 らして 原 告 が 被 告 に 対 して 制 限 超 過 利 息 に 対 応 する 税 額 について 不 当 利 得 返 還 請 求 権 を 有 することは 明 らかである 旨 主 張 する しかしながら 本 件 更 生 会 社 は 本 件 各 事 業 年 度 において 自 ら 税 務 申 告 し 税 務 署 長 の 更 正 処 分 によって 納 付 すべき 法 人 税 額 が 適 法 に 確 定 され この 確 定 した 額 の 法 人 税 を 被 告 に 納 付 し たものであり 納 付 時 及 び 納 付 後 のいずれにおいても 当 該 納 付 を 無 効 とする 原 因 はなく ま た 税 額 確 定 行 為 の 公 定 力 はいまだ 排 除 されていない したがって 本 件 更 生 会 社 が 納 付 した 本 件 各 事 業 年 度 に 係 る 法 人 税 を 被 告 が 保 有 することには 法 律 上 の 原 因 がある また 最 高 裁 昭 和 49 年 判 決 は 昭 和 37 年 法 律 第 49 号 により 所 得 税 法 152 条 の 規 定 が 創 設 される 前 については 雑 所 得 となる 金 銭 債 権 に 申 告 等 の 後 に 貸 倒 れが 生 じた 場 合 の 救 済 規 定 としての 後 発 的 事 由 による 更 正 の 請 求 制 度 が 設 けられていなかったことに 基 づくものであ り 後 発 的 貸 倒 れとこれに 対 する 救 済 規 定 の 不 備 という 特 殊 な 場 合 に 関 するものであって 所 得 の 性 質 に 応 じた 納 税 者 救 済 方 法 が 制 定 法 に 規 定 されている 現 在 においては 権 利 の 救 済 もそ の 法 律 の 手 続 によるべきであって その 手 続 によらずして 納 付 した 税 金 を 不 当 利 得 として 返 還 請 求 することは 認 められないと 解 するのが 相 当 である したがって 原 告 の 予 備 的 請 求 は 理 由 がない 第 3 当 裁 判 所 の 判 断 1 争 点 1( 本 件 各 更 正 の 請 求 が 通 則 法 23 条 所 定 の 要 件 を 満 たすか 否 か)について (1) 通 則 法 23 条 2 項 は 前 記 第 2の1( 関 係 法 令 等 の 定 め)に 述 べたように 納 税 申 告 書 を 提 出 した 者 は 同 項 各 号 のいずれかに 該 当 する 場 合 には 同 条 1 項 の 定 めにかかわらず 当 該 各 号 の 定 める 期 間 において その 該 当 することを 理 由 として 同 項 の 規 定 による 更 正 の 請 求 をす ることができる 旨 を 定 めているから 同 条 2 項 に 基 づく 更 正 の 請 求 をする 場 合 においても そ の 理 由 については 同 条 1 項 各 号 に 掲 げるもののいずれかに 該 当 することが 必 要 であるところ 同 項 1 号 は 1 納 税 申 告 書 に 記 載 した 課 税 標 準 等 若 しくは 税 額 等 の 計 算 が 国 税 に 関 する 法 律 の 21
規 定 に 従 っていなかったこと 又 は2 当 該 計 算 に 誤 りがあったことにより 当 該 申 告 書 の 提 出 に より 納 付 すべき 税 額 が 過 大 であるときを 掲 げている そして 上 記 1については 通 則 法 が 国 税 についての 基 本 的 な 事 項 及 び 共 通 的 な 事 項 を 定 め たもの( 同 法 1 条 )であり 課 税 の 実 体 的 要 件 ( 課 税 標 準 税 率 等 )は 所 得 税 法 法 人 税 法 等 の 各 租 税 実 体 法 が 定 めていることに 照 ら し 本 件 においても 本 件 更 生 会 社 の 本 件 各 事 業 年 度 の 法 人 税 に 係 る 課 税 標 準 等 若 しくは 税 額 等 の 計 算 が 法 人 税 法 の 規 定 に 従 っていなかったか 否 か 又 は 当 該 計 算 に 誤 りがあったか 否 かが 問 題 となる (2) 法 人 税 法 は 法 人 の 財 産 及 び 損 益 の 計 算 の 単 位 となる 期 間 で 法 令 で 定 めるもの 若 しくは 法 人 の 定 款 等 に 定 めるもの 又 はこれらに 準 ずるもの( 事 業 年 度 同 法 13 条 1 項 参 照 )の 所 得 の 金 額 を 課 税 標 準 として 課 税 するものとし( 同 法 21 条 ) 法 人 に 対 し 確 定 した 決 算 に 基 づ き 各 事 業 年 度 の 課 税 標 準 である 所 得 の 金 額 これにつき 計 算 した 法 人 税 の 額 等 を 記 載 した 申 告 書 を 提 出 すべきものとした 上 で( 同 法 74 条 1 項 これにより 当 該 事 業 年 度 の 終 了 時 に 成 立 した 当 該 事 業 年 度 の 法 人 税 の 納 税 義 務 につき 納 付 すべき 税 額 が 確 定 される( 通 則 法 15 条 2 項 3 号 16 条 1 項 1 号 及 び2 項 1 号 ) ) 法 人 の 各 事 業 年 度 の 所 得 の 金 額 は 当 該 事 業 年 度 の 益 金 の 額 から 当 該 事 業 年 度 の 損 金 の 額 を 控 除 した 金 額 とし( 法 人 税 法 22 条 1 項 ) 益 金 の 額 に 算 入 すべき 金 額 を 同 条 5 項 所 定 の 資 本 等 取 引 以 外 の 取 引 に 係 る 当 該 事 業 年 度 の 収 益 の 額 とする 一 方 ( 同 条 2 項 ) 損 金 の 額 に 算 入 すべき 金 額 を 同 条 3 項 各 号 に 掲 げる 費 用 又 は 損 失 の 額 とし 上 記 の 収 益 の 額 及 び 損 金 の 額 は 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 会 計 処 理 の 基 準 ( 公 正 処 理 基 準 )に 従 って 計 算 されるものとする 旨 を 定 めている( 同 条 4 項 ) また 同 項 は 同 法 における 所 得 の 金 額 の 計 算 に 係 る 規 定 及 び 制 度 を 簡 素 なものとすることを 旨 として 設 けられ た 規 定 であると 解 されるところ 企 業 会 計 の 基 準 等 の 文 言 を 用 いず 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 会 計 処 理 の 基 準 と 規 定 していることにも 照 らすと 現 に 法 人 のした 収 益 等 の 額 の 計 算 が 法 人 税 の 適 正 な 課 税 及 び 納 税 義 務 の 履 行 の 確 保 を 目 的 ( 同 法 1 条 参 照 )とする 同 法 の 公 平 な 所 得 計 算 という 要 請 に 反 するものでない 限 りにおいては 法 人 税 の 課 税 標 準 である 所 得 の 金 額 の 計 算 上 もこれを 是 認 するのが 相 当 であるとの 見 地 から 定 められたものと 解 され( 最 高 裁 平 成 年 ( ) 第 号 同 5 年 11 月 25 日 第 一 小 法 廷 判 決 民 集 47 巻 9 号 527 8 頁 参 照 ) 法 人 が 収 益 等 の 額 の 計 算 に 当 たって 採 った 会 計 処 理 の 基 準 がそこにいう 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 会 計 処 理 の 基 準 ( 公 正 処 理 基 準 )に 該 当 するといえるか 否 かにつ いては 上 記 に 述 べたところを 目 的 とする 同 法 の 独 自 の 観 点 から 判 断 されるものと 解 するの が 相 当 である また このような 法 人 税 法 の 定 め 等 を 前 提 とすると 同 法 は 法 人 が 存 続 し 成 長 することを 目 指 して 経 営 されるものであることに 照 らし 人 為 的 に 期 間 を 区 切 って 会 計 の 計 算 をする 必 要 があることを 前 提 (いわゆる 継 続 企 業 の 前 提 )とした 上 このようにして 区 切 った 期 間 である 事 業 年 度 に 帰 属 する 収 益 と 当 該 事 業 年 度 に 帰 属 する 費 用 又 は 損 失 とを 対 応 させ その 差 額 をも って 法 人 税 の 課 税 標 準 である 所 得 の 金 額 とするものとし 当 該 事 業 年 度 の 収 益 又 は 費 用 若 しく は 損 失 については 当 該 事 業 年 度 に 係 る 確 定 した 決 算 に 基 づき その 発 生 の 原 因 の 実 際 の 有 効 性 等 のいかんを 問 わず これを 認 識 するものとして 当 該 決 算 に 基 づき 上 記 のように 計 算 した 所 得 の 金 額 及 びこれにつき 計 算 した 法 人 税 の 額 が 記 載 された 確 定 申 告 書 の 提 出 により 当 該 事 業 年 度 の 法 人 税 の 額 が 確 定 されるとしているものと 解 するのが 相 当 である このことは 1 企 業 会 計 原 則 においては 過 去 の 利 益 計 算 に 修 正 の 必 要 が 生 じた 場 合 に 過 去 の 財 務 諸 表 を 修 正 22