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有 料 老 ホーム ( ) ( 主 として 要 介 護 状 態 にある を 入 居 させるも のに 限 る ) 第 29 条 ( 届 出 等 ) 第 二 十 九 条 有 料 老 ホーム( 老 を 入 居 させ 入 浴 排 せつ 若 しくは 食 事 の 介 護 食 事 の 提 供 又 はその 他 の

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公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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答申第585号

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

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2008 年 度 リサーチペーパー わが 国 における オープンウォータースイミング(OWS)の 成 長 発 展 に 関 する 研 究 Research on growth and development of Open Water Swimming in Japan 早 稲 田 大 学 大 学 院 スポーツ 科 学 研 究 科 スポーツ 科 学 専 攻 トップスポーツマネジメント コース 5008A318-4 鷲 見 全 弘 Sumi, Masahiro 研 究 指 導 教 員 : 平 田 竹 男 教 授

わが 国 におけるオープンウォータースイミング(OWS)の 成 長 発 展 に 関 する 研 究 トップスポーツマネジメントコース 5008A318-4 鷲 見 全 弘 研 究 指 導 教 員 : 平 田 竹 男 教 授 筆 者 は 現 在 日 本 水 泳 連 盟 オープンウ ォータースイミング( 以 下 OWS と 表 記 ) 委 員 長 を 拝 命 し わが 国 における 同 競 技 種 目 の 成 長 発 展 に 関 わる 活 動 に 幅 広 く 取 り 組 んでいる OWS とは 海 川 湖 などの 自 然 環 境 を 舞 台 に 泳 ぐ トライアスロンの 水 泳 の 部 分 が 独 立 したような 水 泳 競 技 のこと である プールで 泳 ぐ 競 泳 種 目 と 異 なり 選 手 同 士 の 身 体 接 触 や 駆 け 引 きが 多 く みられ 潮 の 流 れや 波 の 影 響 を 考 慮 した レース 戦 略 を 練 ることから 泳 ぐマラソ ン とも 言 われている 国 際 水 泳 連 盟 ( 以 下 FINA と 表 記 )が 統 括 している 5 つ の 水 泳 競 技 種 目 のひとつで 1991 年 か ら 世 界 水 泳 選 手 権 の 正 式 種 目 になり 2008 年 からオリンピックの 正 式 種 目 と なった 最 も 新 しい 水 泳 競 技 種 目 である 本 研 究 は 筆 者 自 身 が OWS を 成 長 発 展 させるべく 科 学 的 に 裏 付 けを 持 つ 適 切 な 方 策 を 模 索 したいと 考 えて 取 り 組 ん だものである はじめに OWS の 概 要 とわが 国 におけ る OWS を 取 り 巻 く 環 境 に 触 れ( 第 1 章 ) 次 に 本 研 究 に 用 いる トライアスロン との 比 較 と 競 泳 の 事 例 検 証 の 2 つの 研 究 手 法 について 記 述 した( 第 2 章 ) そのうえで まず トライアスロンとの 比 較 を 行 うことで 選 手 の 強 化 育 成 プロ セスに 欠 かせない 年 代 別 チャンピオン シップの 欠 落 という OWS の 抱 える 問 題 点 を 抽 出 した( 第 3 章 ) 次 に 競 泳 の 事 例 検 証 を 行 い その 強 化 振 興 策 の 成 功 要 因 の 抽 出 を 試 みた ( 第 4 章 ) その 結 果 個 別 のスイミングクラブにお いて 確 立 しつつあったジュニア 選 手 か らトップ 選 手 への 強 化 育 成 プロセスを 競 い 合 う 場 としての 年 代 別 チャンピオ ンシップが 機 能 させていることを 突 き 止 めた これにより 全 国 JOC ジュニ アオリンピックカップ 水 泳 競 技 大 会 を 底 辺 とした 6 重 のピラミッド 構 造 競 泳 の 6 重 構 造 が 完 成 し ジュニアからト ップに 至 る 強 化 育 成 プロセスが 確 立 し たことが 近 年 の 競 泳 の 成 功 要 因 である ことを 明 らかにした このことから OWS においても 欠 落 し ている 年 代 別 チャンピオンシップを 実 施 して OWS の 6 重 構 造 を 構 築 する ことが OWS の 有 効 な 振 興 策 であるこ とを 明 らかにすることができた その 構 築 順 序 については トライアスロンや 競 泳 において 大 学 選 手 権 がトップ 選 手 だ けでなく 競 技 役 員 指 導 者 審 判 など 普 及 に 欠 かせない 人 材 の 輩 出 基 盤 とし ても 機 能 していたことに 着 目 し 大 学 選 手 権 から 実 施 することが 最 も 効 果 的 で あることを 導 き 出 した( 第 5 章 ) しかし OWS の 6 重 構 造 の 構 築 は 長 期 的 な 取 り 組 みが 求 められるため これ とは 別 に ロンドンオリンピックへの OWS 日 本 代 表 選 手 の 派 遣 実 現 に 向 けた 短 期 的 に 効 果 が 望 める 即 効 性 のある 施 策 の 構 築 を 模 索 した まず 北 京 オリンピックの 出 場 選 手 の 分 析 から OWS の 上 位 選 手 に 求 められる レベル 層 を 設 定 して スウィートゾー ン( 要 件 を 満 たす 選 手 のゾーン)を 明 らか にした 次 に スウィートゾーンに 属 す

る 為 には 一 定 レベル 以 上 の 競 泳 選 手 で ある 必 要 が 判 明 したことから 競 泳 選 手 の OWS への 移 行 を 促 進 させるための 具 体 的 な 方 策 として クロストレーニング の 有 効 性 を 説 くことで 競 泳 コーチの 理 解 を 得 ることと 競 艇 場 を 使 用 した OWS の 開 催 が 有 効 であることを 突 き 止 めた さらに 北 京 オリンピックの OWS 出 場 者 の 経 歴 分 析 から 上 位 選 手 が 継 続 的 に FINA 主 催 の OWS へ 参 加 している ことを 突 き 止 めた これにより 競 泳 選 手 の OWS 移 行 後 の 強 化 育 成 方 法 として OWS 大 会 への 継 続 的 な 参 加 を 通 じて 強 化 育 成 を 推 進 する 武 者 修 行 型 の 強 化 育 成 が 必 要 であることを 導 き 出 した このようにして 1)どのような 競 泳 選 手 を 2)どのような 方 策 で OWS へ 移 行 させ 3)どのような 方 法 で 強 化 育 成 を 図 るか という 一 連 の 流 れを 競 泳 選 手 の OWS 移 行 促 進 アクションプラン と して 明 確 にすることができた( 第 6 章 ) 以 上 のことから 長 期 的 な 振 興 策 である OWS の 6 重 構 造 の 構 築 と 即 効 性 の ある 短 期 的 な 施 策 である 競 泳 選 手 の OWS 移 行 促 進 アクションプランの 推 進 を 組 み 合 わせることにより OWS の 成 長 発 展 は 達 成 するものと 結 論 づけ た( 第 7 章 ) 本 研 究 は 学 術 面 実 務 面 社 会 面 にお いて 意 義 があると 考 える 学 術 面 においては その 新 規 性 が 挙 げら れる 現 在 OWS については 医 科 学 分 野 に 属 する 論 文 は 見 られるものの 競 技 の 振 興 に 関 する 先 行 研 究 は 見 られな い よって 他 競 技 種 目 との 比 較 および 事 例 検 証 から 競 技 の 強 化 育 成 に 欠 かせ ない 6 重 構 造 の 構 築 にはどのような 特 長 効 果 があるのかを 明 らかにした 点 および 競 技 の 振 興 に 欠 かせない 有 望 選 手 の 選 定 獲 得 育 成 の 手 順 を 明 示 した 点 に その 意 義 があると 考 える 先 行 研 究 のない 新 興 競 技 が マイナーか らメジャーに 成 長 発 展 するために 必 要 な 方 策 を 具 体 的 に 示 した 点 において 本 研 究 は 他 の 新 興 競 技 やマイナー 競 技 の 効 果 的 な 振 興 策 の 立 案 にも 影 響 を 与 え るものと 考 える 実 務 面 では 筆 者 自 らが 当 該 競 技 種 目 の 責 任 者 であり 本 研 究 が 直 接 その 強 化 普 及 体 制 の 充 実 に 資 する 点 が 挙 げられ る PLAN DO CHECK を 実 践 して いく 当 事 者 として 本 研 究 は 具 体 的 な アクションプランの 構 築 に 有 効 な 示 唆 となる 社 会 面 では その 社 会 的 なメッセージ 性 が 挙 げられる 本 研 究 に 基 づいた 振 興 策 を 通 じて 将 来 OWS が 成 長 発 展 すれば OWS は 主 にプール 水 泳 に 基 づいて 構 築 されてきた 水 泳 ニッポン の 水 泳 文 化 に 加 えて 水 泳 と 自 然 環 境 の 融 合 水 泳 を 通 じた 自 然 との 共 生 という 海 洋 国 家 にふさわしい 新 しい 水 泳 文 化 を わが 国 に 根 付 かせる 端 緒 となると 考 え る 更 に 広 く 国 民 の 心 身 の 健 康 増 進 に 寄 与 するだけでなく 国 民 的 な 自 然 環 境 保 護 の 意 識 啓 発 にも 寄 与 するものと 考 える 以 上 のことから OWS の 振 興 策 を 明 ら かにすることは 学 術 面 実 務 面 社 会 面 において 大 変 有 意 義 なものであると 考 える

目 次 第 1 章 序 論... 1 1.1. 概 要... 1 1.2. 本 研 究 の 背 景 と 所 在... 2 1.2.1. OWS の 歴 史... 2 1.2.2. 現 行 の OWS 国 際 大 会 と 実 施 種 目... 2 1.2.3. これからの OWS の 競 技 形 態... 3 1.2.4. 世 界 の OWS 上 位 国 と 上 位 選 手 の 属 性... 3 1.2.5. わが 国 における OWS を 取 り 巻 く 環 境... 5 1.3. 本 研 究 の 目 的... 7 第 2 章 研 究 方 法... 9 2.1. 調 査 方 法... 9 2.2. 調 査 項 目... 10 第 3 章 トライアスロンとの 比 較 による 現 状 分 析... 12 3.1. 黎 明 期 のトライアスロン... 12 3.2. 競 技 の 変 遷 と 年 代 別 チャンピオンシップ... 13 3.3. 競 技 人 口 と 競 技 の 広 がり... 17 3.4. スポンサーの 獲 得 状 況... 18 第 4 章 競 泳 における 強 化 振 興 策 成 功 の 事 例 検 証 20 4.1. オリンピックにみる 競 泳 の 変 遷... 20 4.2. オリンピックでメダルを 獲 得 した 泳 法 種 目... 21 4.3. オリンピック 世 界 水 泳 選 手 権 のメダリスト 数 入 賞 者 数 の 推 移... 21 4.4. 競 泳 の 選 手 強 化 育 成 システム... 22 4.5. 仮 説 により 近 年 の 成 功 要 因 を 検 証... 22 4.6. 国 内 で 行 われている 競 泳 の 年 代 別 チャンピオンシップ... 23 4.7. 全 国 JOC ジュニアオリンピックカップ 水 泳 競 技 大 会... 24 4.8. JO 参 加 選 手 数 の 推 移 (1978~2007 年 )... 25 4.9. 各 種 新 記 録 の 発 生 状 況... 26 4.10. オリンピック 有 績 者 の JO 優 勝 経 験 の 有 無... 27 4.11. オリンピック 世 界 水 泳 選 手 権 入 賞 者 数 と JO 参 加 者 数 の 関 係... 28 4.12. 仮 説 の 検 証 結 果... 30 第 5 章 OWS の 振 興 策... 31 5.1. トライアスロンとの 比 較 結 果 から 抽 出 した OWS の 問 題 点... 31 5.2. 仮 説 より 導 き 出 した 競 泳 の 成 功 要 因... 31 5.3. OWS の 6 重 構 造... 33

5.4. 6 重 構 造 の 効 果 的 な 構 築 順 序... 35 第 6 章 今 後 の 展 望... 38 6.1. 世 界 とわが 国 の 競 技 レベルの 差 ~なぜ 競 泳 選 手 の 移 行 が 必 要 なのか~... 38 6.2. 対 象 とすべき 競 泳 選 手 の 要 件 ~どのような 競 泳 選 手 を 移 行 させるか~... 40 6.2.1. スウィートゾーンの 設 定... 40 6.2.2. スウィートゾーンに 属 する 競 泳 選 手 のオリンピック 出 場 の 可 能 性... 41 6.3. 移 行 を 促 進 させる 方 策 ~どのように 競 泳 選 手 の 移 行 を 促 進 させるか~... 44 6.3.1. 競 泳 関 係 者 の OWS に 対 する 考 え 方... 44 6.3.2. 競 泳 と OWS のクロストレーニングの 有 効 性... 46 6.3.3. プールに 近 い 水 泳 環 境 の 創 出... 48 6.3.3.1 競 艇 場 の 形 状... 48 6.3.3.2 OWS テストスイミング in 平 和 島 競 艇 の 実 施 概 要... 49 6.3.3.3 競 泳 選 手 の 優 位 性... 50 6.4. 移 行 後 の 育 成 方 法 ~どのように 移 行 後 の 競 泳 選 手 を 育 成 するか~... 52 6.4.1. 北 京 オリンピック 出 場 選 手 の OWS 経 歴... 52 6.4.2. 武 者 修 行 型 の 強 化 育 成... 54 6.5. 競 泳 選 手 の OWS 移 行 促 進 アクションプラン... 54 第 7 章 まとめ... 56 第 8 章 結 論... 57 第 9 章 謝 辞... 59 参 考 文 献... 60

図 の 目 次 図 1 FINA が 統 括 する 5 つの 水 泳 競 技 種 目 とオリンピック 種 目 化 の 時 期... 2 図 2 日 本 水 泳 連 盟 の 組 織 図 (2008 年 10 月 末 現 在 )... 5 図 3 トリプルミッションモデル( 平 田 中 村 2005)... 7 図 4 OWS トライアスロン 競 泳 の 振 興 比 較... 9 図 5 OWS 日 本 選 手 権 (2007 年 度 ) 出 場 選 手 の 年 齢 分 布... 17 図 6 OWS 日 本 選 手 権 (2006 年 度 )の 1 位 選 手 と 2 位 以 下 の 選 手 のゴールタイム 差... 17 図 7 参 加 選 手 数 の 推 移 (1978~2007 年 )... 25 図 8 各 種 新 記 録 の 発 生 状 況 (1978~2007 年 )... 26 図 9 各 種 新 記 録 の 発 生 状 況 (1998~2007 年 )... 27 図 10 ソウル 大 会 以 降 のオリンピックメダリスト 入 賞 者 の JO 優 勝 経 験 の 有 無... 28 図 11 オリンピックおよび 世 界 水 泳 選 手 権 の 入 賞 者 数 と JO 参 加 者 数 の 相 関... 29 図 12 オリンピック 世 界 水 泳 選 手 権 の 入 賞 者 (メダリスト 含 む) 数 と JO 参 加 者 の 推 移... 29 図 13 競 泳 の 6 重 構 造... 32 図 14 OWS の 6 重 構 造... 33 図 15 発 育 : 発 達 パターンと 年 齢 別 運 動 強 化 方 針... 34 図 16 逆 台 形 モデル... 36 図 17 第 1 段 階 : 大 学 選 手 権 を 底 辺 とした 5 重 構 造 と 大 学 生 を 底 辺 とした 逆 台 形 モデル... 37 図 18 第 2 段 階 :OWS の 6 重 構 造 と 逆 台 形 モデル... 37 図 19 チャンピオンシップにみる 競 技 レベルの 差 ( 男 子 )... 39 図 20 チャンピオンシップにみる 競 技 レベルの 差 ( 女 子 )... 40 図 21 男 子 選 手 のスウィートゾーン(その 1)... 42 図 22 男 子 選 手 のスウィートゾーン(その 2)... 43 図 23 女 子 選 手 のスウィートゾーン(その 1)... 43 図 24 女 子 選 手 のスウィートゾーン(その 2)... 44 図 25 OWS テストスイミング in 平 和 島 競 艇 のコースレイアウト... 50 図 26 テストスイミングの 順 位 と 1500m 自 由 形 タイムの 相 関... 52 図 27 北 京 オリンピック OWS 出 場 選 手 ( 男 子 )の OWS 出 場 経 歴... 53 図 28 北 京 オリンピック OWS 出 場 選 手 ( 女 子 )の OWS 出 場 経 歴... 53 図 29 競 泳 選 手 の OWS 移 行 促 進 アクションプランのフロー 図... 55 図 30 2 つの 方 策 による OWS の 発 展 成 長 の 構 図... 56

表 の 目 次 表 1 北 京 オリンピック OWS のメダリスト... 4 表 2 北 京 期 (2005 年 度 ~2008 年 度 )の 強 化 予 算... 5 表 3 OWS 日 本 代 表 選 手 の 国 際 大 会 の 戦 績... 6 表 4 JTU 設 立 および JOC 加 盟 までの 変 遷... 12 表 5 競 技 の 変 遷 と 年 代 別 チャンピオンシップの 参 加 状 況 (2007 年 度 )... 15 表 6 2007 年 度 の 競 技 人 口 大 会 数 開 催 地... 18 表 7 JSF JTU とスポンサーの 関 係... 19 表 8 競 泳 のオリンピック 史... 20 表 9 種 目 別 獲 得 メダル... 21 表 10 オリンピック 世 界 水 泳 選 手 権 のメダリスト 数 および 入 賞 者 数 の 推 移.. 22 表 11 競 泳 の 国 内 チャンピオンシップ 大 会... 23 表 12 JO の 概 要... 24 表 13 スポーツによる 内 科 的 障 害 ( 成 長 期 )... 35 表 14 北 京 オリンピック 派 遣 標 準 記 録 と OWS のスウィートゾーンタイム... 42 表 15 2009 ジュニアパンパシフィック 選 手 権 OWS 出 場 選 手 の 一 覧... 45 表 16 クロストレーニングを 実 践 したオリンピックメダリスト... 47 表 17 わが 国 の 24 ヵ 所 の 競 艇 場... 49 表 18 OWS テストスイミング in 平 和 島 競 艇 の 実 施 概 要... 50 表 19 テストスイミングの 結 果... 51

第 1 章 序 論 1.1. 概 要 2008 年 8 月 8 日 から 24 日 までの 17 日 間 世 界 204 の 国 と 地 域 から 約 16,000 名 の 選 手 役 員 が 参 加 して 第 29 回 オリンピック 競 技 大 会 (2008/ 北 京 ) ( 以 下 北 京 オリ ンピックと 表 記 )が 開 催 され 28 競 技 302 種 目 が 行 なわれた わが 国 からは 国 外 開 催 大 会 としては 過 去 最 大 規 模 となる 576 名 ( 選 手 339 名 役 員 237 名 )の 選 手 団 が 編 成 され 26 競 技 171 種 目 に 参 加 メダル 25 個 ( 金 9 個 銀 6 個 銅 10 個 ) 入 賞 52 という 戦 績 を 残 した なかでも 競 泳 北 島 康 介 選 手 のオリンピック 2 大 会 連 続 2 種 目 (100m 平 泳 ぎ 200m 平 泳 ぎ) 制 覇 の 活 躍 は 何 も 言 えねえ! のコメ ントとともに 特 にわれわれの 記 憶 に 新 しいところである ところで 競 泳 と 同 じ 水 泳 競 技 種 目 であるオープンウォータースイミング( 以 下 OWS と 表 記 )が 北 京 オリンピックから 正 式 種 目 として 実 施 されたことはあまり 広 く 知 られ ていない OWS とは 海 川 湖 などの 自 然 環 境 を 舞 台 に 泳 ぐ トライアスロンの 水 泳 の 部 分 が 独 立 したような 水 泳 競 技 のことである プールで 泳 ぐ 競 泳 種 目 と 異 なり 選 手 同 士 の 身 体 接 触 や 駆 け 引 きが 多 くみられ 潮 の 流 れや 波 の 影 響 を 考 慮 したレース 戦 略 を 練 ること から 泳 ぐマラソン とも 言 われている 図 1 のとおり 国 際 水 泳 連 盟 ( 以 下 FINA と 表 記 )が 統 括 している 5 つの 水 泳 競 技 種 目 のひとつで 1991 年 から 世 界 水 泳 選 手 権 の 正 式 種 目 になり 2008 年 からオリンピック の 正 式 種 目 となった 最 も 新 しい 水 泳 競 技 種 目 である 世 界 水 泳 選 手 権 では 男 女 5km 10km 25km が 実 施 種 目 となっており オリンピックでは 男 女 10km が 実 施 種 目 とな っている( 注 1) これまでに 行 われた OWS に 関 する 研 究 を 概 観 してみると アメリカのエリート OWS 選 手 の 形 態 持 久 的 能 力 血 液 生 化 学 的 データ 等 を 測 定 した VanHeest(2004) 心 拍 数 の 変 動 を 通 じて OWS 競 技 中 の 生 理 学 的 特 性 を 明 らかにした 鈴 木 (2006) OWS を 二 重 標 識 水 法, 加 速 度 計 法, 心 拍 数 法 を 用 いたエネルギー 消 費 量 により 評 価 した 綾 部 (2006) など 医 科 学 分 野 に 属 する 研 究 が 多 く OWS の 振 興 普 及 等 に 触 れた 論 文 は 見 られな い 筆 者 は 1996 年 より 2004 年 まで 日 本 水 泳 連 盟 OWS 委 員 として 同 競 技 種 目 の 普 及 と 強 化 に 関 わる 活 動 に 取 り 組 んできた 2005 年 より OWS 委 員 長 を 拝 命 し 現 在 も 責 任 者 として わが 国 における OWS の 成 長 発 展 に 関 わる 活 動 に 幅 広 く 取 り 組 んでいる 本 研 究 は 筆 者 自 身 が OWS を 成 長 発 展 させるべく 科 学 的 に 裏 付 けを 持 つ 適 切 な 方 策 を 模 索 したいと 考 えて 取 り 組 んだものである 考 察 のなかでは OWS 委 員 長 としてのこれまでの 経 験 を 加 味 した 筆 者 自 らが 当 該 競 技 種 目 の 責 任 者 であり オリンピックの 正 式 種 目 化 ともあいまって その 強 化 体 制 の 充 実 にも 資 する 本 研 究 は 時 宜 を 得 たものと 考 えている 1

注 1: 国 際 オリンピック 委 員 会 ( 以 下 IOC と 表 記 )の 方 針 で オリンピックにおいては OWS ではなく マラソンスイミング という 競 技 種 目 名 称 が 用 いられているが 混 同 を 避 けるため 本 論 では 表 現 を OWS に 統 一 する 国 際 水 泳 連 盟 (FINA) 競 泳 水 球 飛 込 シンクロ OWS 1896 年 1900 年 1904 年 1984 年 2008 年 アテネ~ パリ~ セントルイス~ ロサンゼルス~ 北 京 ~ 図 1 FINA が 統 括 する 5 つの 水 泳 競 技 種 目 とオリンピック 種 目 化 の 時 期 1.2. 本 研 究 の 背 景 と 所 在 はじめに 本 研 究 の 背 景 と 所 在 を 整 理 する 1.2.1. OWS の 歴 史 まず OWS の 黎 明 をまとめる 1980 年 代 世 界 中 で 親 しまれている 自 然 環 境 での 水 泳 に 統 一 性 を 持 たせて 競 技 として 確 立 しようという 機 運 が FINA のなかで 高 まり 始 めた その 後 豪 州 で 行 われている 大 会 の 一 つを 基 本 形 にして 種 目 ルール 形 式 などを 定 め る 作 業 が 始 まり 試 行 錯 誤 の 結 果 世 界 共 通 の 競 技 規 則 に 基 づいた 現 在 の OWS の 原 型 が 確 立 した その 後 欧 州 豪 州 米 国 などで 人 気 種 目 となり 1991 年 より 世 界 水 泳 選 手 権 の 正 式 種 目 に 2008 年 よりオリンピックの 正 式 種 目 となった わが 国 では 1996 年 8 月 10 日 に 開 催 された 1996 年 福 岡 国 際 オープンウォータースイ ミング 競 技 大 会 において その 歴 史 が 始 まった 1.2.2. 現 行 の OWS 国 際 大 会 と 実 施 種 目 次 に 現 行 の OWS の 国 際 大 会 と 実 施 種 目 について 整 理 する 前 節 で 先 述 のとおり オ リンピックでは 男 女 10km が 世 界 水 泳 選 手 権 では 男 女 5km 10km 25km が 実 施 種 目 となっている また 欧 州 選 手 権 やパンパシフィック 選 手 権 などの 大 陸 別 地 域 別 の 国 際 大 会 も 世 界 水 泳 選 手 権 と 同 様 男 女 5km 10km 25km が 実 施 種 目 となってい る このほか FINA は FINA OWS グランプリ と FINA 10km マラソンスイミング 2

ワールドカップ という 2 種 類 のサーキットシリーズを 世 界 展 開 しており 2008 年 度 前 者 では 15km~88km が 後 者 では 10km が 実 施 種 目 として 行 われた 1.2.3. これからの OWS の 競 技 形 態 次 に これからの OWS の 競 技 形 態 について 見 通 しをまとめる まず 種 目 についてであるが 10km がオリンピック 種 目 になったことから 今 後 は 10km が 主 流 となっていくことが 予 想 される 2007 年 より 前 述 の FINA 10km マラ ソンスイミングワールドカップ が 新 しいサーキットシリーズとして 立 ち 上 がったこと からも その 兆 しが 伺 える 次 に 競 技 会 場 についてであるが 2006 年 8 月 の 第 1 回 FINA 世 界 OWS セミナー において FINA は 今 後 オリンピックと 世 界 水 泳 選 手 権 に 限 っては 自 然 環 境 を 泳 ぐこ とにこだわらず 集 客 が 見 込 めてスポンサーメリットの 高 い 会 場 での 開 催 を 推 奨 した これを 受 けて 北 京 オリンピックの OWS は ボート カヌー 競 技 と 同 じ 人 工 の 漕 艇 場 で 実 施 された トライアスロンにアイアンマンレース( 水 泳 3.8km 自 転 車 180km ラ ン 42.195km)やオリンピック ディスタンス( 水 泳 1.5km 自 転 車 40km ラン 10km) など 複 数 のスタンダードがあるように これからは OWS も 自 然 環 境 を 泳 ぐ 従 来 型 と 競 技 を 見 せることに 特 化 して 集 客 施 設 で 行 われる 劇 場 型 のダブルスタンダードが 並 立 していくものと 思 われる 1.2.4. 世 界 の OWS 上 位 国 と 上 位 選 手 の 属 性 次 に 現 在 の 世 界 の OWS 上 位 国 と 上 位 選 手 の 属 性 を 整 理 する 表 1 は 2008 年 8 月 20 日 と 21 日 に 行 われた 北 京 オリンピックの OWS の 結 果 である 3

表 1 北 京 オリンピック OWS のメダリスト メダル 金 銀 銅 名 前 ( 年 齢 ) M.ファンデルワイデン (27 歳 ) D.デイビーズ (23 歳 ) T.ルッツ (29 歳 ) 男 子 10km(2008 年 8 月 21 日 実 施 ) 国 時 間 (トップとのタイム 差 ) オランダ 1 時 間 51 分 51 秒 6 イギリス 1 時 間 51 分 53 秒 1 (1.5 秒 ) ドイツ 1 時 間 51 分 53 秒 6 (2.0 秒 ) 選 手 の 属 性 OWS スペシャリスト *かつては 1500m 自 由 形 の 競 泳 選 手 デュアルスイマー *アテネ 五 輪 1500m 自 由 形 銅 メダル * 北 京 五 輪 1500m 自 由 形 6 位 入 賞 OWS スペシャリスト *かつては 1500m 自 由 形 の 競 泳 選 手 *アテネ 五 輪 1500m 自 由 形 出 場 メダル 金 銀 銅 名 前 ( 年 齢 ) L.イルチェンコ (19 歳 ) K.ペイン (20 歳 ) C.バッテン (21 歳 ) 女 子 10km(2008 年 8 月 20 日 実 施 ) 国 時 間 (トップとのタイム 差 ) ロシア 1 時 間 59 分 27 秒 7 イギリス 1 時 間 59 分 29 秒 2 (1.5 秒 ) イギリス 1 時 間 59 分 31 秒 0 (3.3 秒 ) 選 手 の 属 性 OWS スペシャリスト *かつては 200m 自 由 形 の 競 泳 選 手 デュアルスイマー * 北 京 五 輪 200m 400m 個 人 メドレー 出 場 デュアルスイマー * 北 京 五 輪 800m 自 由 形 8 位 入 賞 出 典 北 京 オリンピック マラソンスイミング 視 察 分 析 報 告 書 ( 日 本 水 泳 連 盟 )より 作 成 北 京 オリンピックの OWS では 欧 州 勢 が 男 女 のメダルを 独 占 した 8 位 までの 入 賞 者 も 男 子 7 名 女 子 6 名 を 欧 州 勢 が 占 めた もともと 欧 州 は 水 球 にプロリーグがあるように 身 体 接 触 (バトル)を 伴 う 競 技 の 人 気 が 高 い タフで 屈 強 な 選 手 たちが 激 しく 身 体 をぶつけあう OWS は 欧 州 各 地 で 盛 んに 行 わ れ 1990 年 代 から 各 国 が 強 化 に 取 り 組 んだ その 結 果 欧 州 各 国 が 今 日 世 界 の OWS をリードする 上 位 国 として 名 を 連 ねている 欧 州 勢 を 追 う 形 で 水 泳 大 国 の 豪 州 米 国 も 強 化 に 力 を 注 いでいる 豪 州 はライフセーバ ーの 社 会 的 地 位 が 高 く 海 で 泳 げることが 一 流 スイマーの 証 となっている 米 国 は 競 泳 のトレーニングに OWS を 導 入 する 名 門 スイミングクラブがあるように トレーニング 理 論 に 基 づいて OWS が 認 知 されている これらの 上 位 の 国 々では 競 泳 と OWS の 垣 根 が 低 く 必 然 的 に 競 泳 選 手 の OWS へ の 移 行 が 継 続 している そのため OWS スペシャリスト(かつては 競 泳 選 手 で 現 在 は OWS 専 門 の 選 手 )やデュアルスイマー( 競 泳 と OWS のかけもち 選 手 )が 多 数 存 在 し 競 技 レベルが 高 いのである 4

1.2.5. わが 国 における OWS を 取 り 巻 く 環 境 次 に わが 国 における OWS を 取 り 巻 く 環 境 を 整 理 する 図 2 は 日 本 水 泳 連 盟 の 現 在 の 組 織 図 で 表 2 は 北 京 期 (2005 年 度 ~2008 年 度 )の 強 化 予 算 の 内 訳 である 図 2 日 本 水 泳 連 盟 の 組 織 図 (2008 年 10 月 末 現 在 ) 表 2 北 京 期 (2005 年 度 ~2008 年 度 )の 強 化 予 算 2005 年 度 2006 年 度 2007 年 度 2008 年 度 合 計 競 泳 210,470 302,993 246,544 760,008 OWS 0 0 0 0 0 飛 込 23,589 23,895 25,535 73,020 水 球 45,315 45,415 46,391 137,121 シンクロ 79,683 96,124 98,398 274,205 医 科 学 他 11,279 14,620 16,273 42,174 合 計 370,338 483,049 433,143 1,286,531 ( 単 位 : 千 円 ) オリンピック 種 目 である 競 泳 飛 込 水 球 シンクロは 競 技 力 向 上 部 門 の 管 轄 におかれ 4 種 目 で 年 間 に 総 額 3 億 7000 万 円 ~4 億 8000 万 円 強 の 金 額 が 強 化 費 に 充 当 され 国 内 外 の 合 宿 や 遠 征 など 強 化 に 向 けた 様 々な 施 策 が 実 行 されている なかでも 競 泳 の 強 化 費 は 全 体 の 59.0%を 占 め 年 間 2 億 ~3 億 円 強 の 費 用 をかけて 強 化 を 図 っている 一 方 OWS は オリンピック 種 目 でありながら わが 国 における 認 知 度 がまだ 低 いとの 判 断 から 生 涯 スポーツ 普 及 の 部 門 にカテゴライズされ( 図 2) 強 化 予 算 がゼロの 状 5

態 にある( 表 2) そのため 強 化 に 向 けた 施 策 が 実 行 に 移 されず 選 手 の 強 化 が 進 んで いない 表 3 は OWS 日 本 代 表 選 手 の 国 際 大 会 における 戦 績 一 覧 である 国 際 大 会 への 選 手 派 遣 は 2001 年 までは 毎 年 行 なわれていたが 年 を 経 るごとに 順 位 を 落 とし 世 界 水 泳 選 手 権 福 岡 大 会 (2001 年 )の 戦 績 不 振 を 理 由 に 2002 年 以 降 は 選 手 派 遣 が 見 送 られる こととなった OWS のオリンピック 種 目 化 が 決 定 したことを 受 け 2006 年 8 月 5 年 ぶりに 世 界 OWS 選 手 権 ナポリ 大 会 への 選 手 派 遣 が 実 現 したが 戦 績 は 振 るわず 競 泳 選 手 の OWS へ の 移 行 が 進 む 世 界 各 国 との 差 が さらに 広 がりつつある 結 果 を 示 すこととなった このような 経 緯 から 日 本 水 泳 連 盟 は 世 界 と 戦 える 選 手 がまだ 育 成 されていないとの 判 断 を 下 し 北 京 オリンピックへの OWS 日 本 代 表 選 手 の 派 遣 を 見 送 った 表 3 OWS 日 本 代 表 選 手 の 国 際 大 会 の 戦 績 年 ( ) 内 は 競 技 種 目 の 距 離 大 会 名 称 開 催 都 市 男 子 女 子 1997 ハ ンハ シフィック 選 手 権 福 岡 8 位 (25km) 7 位 (25km) 1998 世 界 水 泳 選 手 権 ハ ース 1999 ハ ンハ シフィック 選 手 権 メルホ ルン 2000 世 界 OWS 選 手 権 ホノルル 2001 世 界 水 泳 選 手 権 福 岡 2006 世 界 OWS 選 手 権 ナホ リ 10 位 (25km) 10 位 (25km) 19 位 (25km),22 位 (10km) 15 位 (25km),20 位 (25km) 21 位 (10km),29 位 (5km) 32 位 (10km),33 位 (10km) 11 位 (25km), 21 位 (10km),22 位 (5km) 出 典 オープンウォータースイミング 教 本 ( 大 修 館 書 店 ; 日 本 水 泳 連 盟 ) 第 4 回 世 界 OWS 選 手 権 ナ ポリ 大 会 報 告 書 兼 第 1 回 FINA 世 界 OWS セミナー 報 告 書 ( 日 本 水 泳 連 盟 )より 作 成 先 述 のとおり 北 京 オリンピックでは 競 泳 で 実 績 を 残 しているデュアルスイマーや 競 泳 出 身 の OWS スペシャリストが 活 躍 した( 表 1) しかし わが 国 では 水 泳 = 競 泳 の 色 が 濃 く 波 や 浮 力 のある 海 で 泳 ぐとフォームやバ ランスが 崩 れる などの 理 由 で 海 などの 自 然 環 境 で 泳 ぐことに 対 して 抵 抗 感 を 示 す 競 泳 関 係 者 ( 監 督 コーチ 選 手 )が 少 なくない そのため 欧 州 豪 州 米 国 のように 競 泳 選 手 の OWS への 移 行 が 進 まずに 上 位 国 と 比 べて 競 技 力 の 向 上 が 図 られていない このような 現 状 のままでは 実 績 のある 競 泳 選 手 の OWS への 転 向 やかけもちが 期 待 で 6

きない だからこそ 今 OWS 独 自 の 振 興 策 を 確 立 して 実 行 に 移 すことが 必 要 であ ると 考 える 1.3. 本 研 究 の 目 的 平 田 中 村 は スポーツビジネスにおける 成 功 要 因 として 勝 利 普 及 市 場 において の 好 循 環 が 必 要 であるとし これを トリプルミッションモデル とした( 平 田 中 村 2005)( 図 3) 勝 利 普 及 市 場 図 3 トリプルミッションモデル( 平 田 中 村 2005) この トリプルミッションモデル の 好 循 環 においては トップ 選 手 の 活 躍 ( 勝 利 )により 裾 野 ( 普 及 )の 拡 大 が 喚 起 され 収 益 ( 市 場 )の 開 拓 に 貢 献 する また 裾 野 ( 普 及 )の 拡 大 によ り トップ 選 手 の 活 躍 ( 勝 利 )への 基 盤 づくりが 促 進 され 収 益 ( 市 場 )の 拡 大 が 図 られる さらに 収 益 ( 市 場 )の 開 拓 拡 大 により トップ 選 手 の 活 躍 ( 勝 利 )への 様 々な 貢 献 支 援 裾 野 ( 普 及 )へ 向 けた 様 々な 施 策 が 可 能 となる としている 現 在 OWS では トリプルミッションモデル の 好 循 環 は 見 られない このままでは 強 化 に 注 力 する 世 界 各 国 との 差 がますます 広 がり 将 来 オリンピックや 世 界 水 泳 選 手 権 などで 活 躍 ( 勝 利 )することが 非 常 に 難 しくなることが 予 想 懸 念 される そのため 科 学 的 に 裏 付 けを 持 つ 適 切 な 振 興 策 が 必 要 であると 考 える そこで 本 研 究 では わが 国 における OWS を 成 長 発 展 させるべく 科 学 的 に 裏 付 けを 持 つ 適 切 な 方 策 を 明 らかにすることで トリプルミッションモデル の 好 循 環 を 生 み 出 す 端 緒 を 提 示 することを その 目 的 とする OWS を 成 長 発 展 させる 振 興 策 を 明 らかにすることは OWS の 競 技 振 興 の 具 体 的 なア クションプラン 構 築 に 有 効 な 示 唆 となる OWS の 振 興 が 進 みトリプルミッションモデ ルの 拡 大 好 循 環 を 達 成 できれば OWS は 水 泳 と 自 然 環 境 の 融 合 という 海 洋 国 家 に ふさわしい 新 しい 水 泳 文 化 をわが 国 に 根 付 かせる 端 緒 とになり 広 く 国 民 の 心 身 の 健 康 増 進 に 寄 与 するだけでなく 国 民 的 自 然 環 境 保 護 の 意 識 啓 発 にも 寄 与 することになるで 7

あろう 8

第 2 章 研 究 方 法 続 いて 本 研 究 の 研 究 方 法 について 整 理 する 2.1. 調 査 方 法 本 研 究 では 研 究 目 的 である OWS の 振 興 策 を 提 示 するため 以 下 の 2 つの 手 法 を 用 い て 研 究 を 進 める まず 他 競 技 種 目 であるトライアスロンとの 比 較 を 行 うことで OWS の 抱 える 問 題 点 の 抽 出 および 現 状 分 析 を 行 なう 次 に 強 化 振 興 策 が 成 功 している 競 技 である 競 泳 の 事 例 研 究 を 行 ない 競 泳 が 振 興 に 成 功 してきた 要 因 を 明 らかにする 図 4 は OWS トライアスロン 競 泳 の 振 興 比 較 で 図 内 登 録 者 数 は 2007 年 度 の 数 字 である *114,829 人 は 日 本 水 泳 連 盟 競 技 者 登 録 総 数 ( 競 泳 飛 込 水 球 シンクロ OWS 日 本 泳 法 )であるが その 大 半 が 競 泳 の 登 録 者 であることから そのまま 表 記 した 図 4 OWS トライアスロン 競 泳 の 振 興 比 較 手 法 1.トライアスロンとの 比 較 OWS の 抱 える 問 題 点 の 抽 出 および 現 状 分 析 を 目 的 に OWS と 競 技 特 性 の 近 いトライ アスロンとの 比 較 を 行 なう トライアスロンを 比 較 対 象 として 選 択 した 理 由 は 1) 水 泳 競 技 である(がある) 2) 同 じ 持 久 性 競 技 種 目 である 3) 近 年 オリンピック 競 技 種 目 にな 9

った 4)トリプルミッションモデルにおける 拡 大 好 循 環 が 始 まりつつある ためであ る 手 法 2. 競 泳 における 強 化 振 興 策 成 功 の 事 例 検 証 先 述 の 手 法 1 において OWS の 抱 える 問 題 点 を 明 らかにすることは 可 能 であるが そ れだけでは OWS の 振 興 策 を 考 察 することはできない そこで 手 法 2 では 競 技 の 振 興 策 が 成 功 している 競 泳 の 事 例 検 証 を 行 い 競 泳 の 強 化 振 興 策 の 成 功 要 因 を 明 らかに する 振 興 策 が 成 功 している 競 技 がいくつかある 中 で 競 泳 を 成 功 事 例 として 選 択 した 理 由 は 1) 同 じ 水 泳 競 技 種 目 である 2) 近 年 トリプルミッションモデルにおける 拡 大 好 循 環 が 継 続 している ためである 以 上 のように 競 技 の 特 性 歴 史 変 遷 に 類 似 点 が 多 く OWS にとって 卑 近 な 競 技 で あるトライアスロンとの 比 較 より OWS の 問 題 点 の 抽 出 および 現 状 分 析 を 行 い 更 に そのうえで 近 年 トリプルミッションモデルの 拡 大 好 循 環 がみられる 競 泳 の 成 功 事 例 の 事 例 検 証 により 競 泳 の 強 化 振 興 策 の 成 功 要 因 の 明 確 化 を 行 うことで OWS の 振 興 策 の 考 察 を 行 なう 2.2. 調 査 項 目 トライアスロンとの 比 較 においては わが 国 の OWS とトライアスロンの 競 技 の 変 遷 に 触 れながら トリプルミッションモデルにおける 勝 利 普 及 市 場 の 3 つの 要 素 ごとに それぞれ 調 査 を 行 なう ここでは 日 本 水 泳 連 盟 ( 以 下 JSF と 表 記 ) 日 本 トライアス ロン 連 合 ( 以 下 JTU と 表 記 )のデータ 及 びヒアリング 調 査 をもとに 調 査 を 進 める また 勝 利 普 及 市 場 の 各 要 素 の 具 体 的 な 調 査 項 目 は 以 下 のように 設 定 し 調 査 を 行 うこと とする 勝 利 選 手 の 強 化 育 成 プロセスに 欠 かせない 年 代 別 チャンピオンシップの 開 催 状 況 普 及 競 技 人 口 と 国 内 で 開 催 されている 大 会 の 概 況 市 場 JSF と JTU のスポンサー 契 約 状 況 競 泳 の 事 例 検 証 においては まず 競 泳 の 変 遷 を 整 理 し JSF のデータに 基 づいてオリン ピックおよび 世 界 水 泳 選 手 権 におけるメダリストと 入 賞 者 数 の 推 移 をとりまとめる 続 いて 競 技 の 変 遷 と 競 技 面 の 好 成 績 の 推 移 から 年 代 別 チャンピオンシップが 強 化 振 興 に 果 たしてきた 役 割 についての 仮 説 を 立 て 競 泳 の 年 代 別 チャンピオンシップの 検 証 を 行 なう 特 にソウルオリンピック(1988 年 ) 以 降 に 競 技 面 の 好 成 績 が 顕 著 になってきていること 10

から 1978 年 から 始 まった 全 国 JOC ジュニアオリンピック 水 泳 競 技 大 会 ( 以 下 JO と 表 記 )についての 調 査 を 進 める JO に 関 する 具 体 的 な 調 査 項 目 としては 以 下 の 4 項 目 と する 1 参 加 選 手 数 の 推 移 (1978~2007 年 ) 2 各 種 新 記 録 の 発 生 件 数 推 移 (1978~2007 年 ) 3 オリンピックメダリスト 入 賞 者 の JO 優 勝 経 験 との 相 関 4 オリンピック 世 界 水 泳 選 手 権 のメダリスト 入 賞 者 の 数 と JO 参 加 選 手 数 との 相 関 11

第 3 章 トライアスロンとの 比 較 による 現 状 分 析 まず 日 本 国 内 におけるトライアスロンと OWS を 比 較 する 比 較 結 果 について 各 調 査 項 目 別 に 以 下 にまとめる 3.1. 黎 明 期 のトライアスロン はじめに 黎 明 期 のトライアスロンについての 整 理 を 行 う 表 4 は 現 在 の 国 内 統 一 組 織 である JTU の 設 立 および 日 本 オリンピック 委 員 会 ( 以 下 JOC と 表 記 ) 加 盟 までの 変 遷 である 表 4 JTU 設 立 および JOC 加 盟 までの 変 遷 年 1981 年 日 本 初 となる 皆 生 温 泉 トライアスロン 81 が 開 催 その 後 愛 好 会 や 組 織 団 体 が 興 隆 事 柄 1984 年 1985 年 1985 年 1986 年 日 本 陸 上 競 技 連 盟 日 本 水 泳 連 盟 日 本 アマチュア 自 転 車 競 技 連 盟 の 関 係 者 らによる 複 合 耐 久 種 目 全 国 連 絡 協 議 会 が 設 立 米 国 との 連 係 を 基 盤 とした 日 本 トライアスロン 連 盟 (JTF)が 設 立 会 長 に 長 嶋 茂 雄 氏 が 就 任 大 会 のスターターを 務 めるなど 抜 群 の 知 名 度 を 生 かし 普 及 に 尽 力 宮 古 島 トライアスロン が 島 おこしイベントとしてNHKで 全 国 にフル 中 継 一 躍 脚 光 を 浴 び 全 国 的 な 認 知 度 知 名 度 向 上 の 端 緒 となる 複 合 耐 久 種 目 全 国 連 絡 協 議 会 の 流 れをくむ 日 本 トライアスロン 協 会 (JTA)が 設 立 会 長 に 清 水 仲 治 氏 が 就 任 1986 年 ジャパントライアスロンシリーズ( 全 3 戦 ) 開 始 1986 年 全 米 選 手 権 へ 選 手 を 派 遣 1989 年 暫 定 国 内 統 一 組 織 として 日 本 トライアスロン 委 員 会 (JTC)が 設 立 1989 年 第 1 回 世 界 選 手 権 へ 選 手 を 派 遣 ( 以 降 継 続 派 遣 ) 1990 年 NTT トライアスロンサーキット( 全 13 戦 ) 開 始 1993 年 大 学 生 による 学 生 組 織 として 日 本 学 生 トライアスロン 連 合 (JUTU)が 設 立 会 長 に 古 橋 廣 之 進 氏 が 就 任 国 内 統 一 組 織 として 日 本 トライアスロン 連 合 (JTU)が 設 立 1994 年 会 長 に 猪 谷 千 春 氏 が 就 任 日 本 オリンピック 委 員 会 (JOC) 日 本 体 育 協 会 に 準 加 盟 1998 年 JTU 日 本 体 育 協 会 に 正 式 加 盟 1999 年 JTU JOC に 正 式 加 盟 出 典 JTU Magazine 2007 vol.1 ( 日 本 トライアスロン 連 合 ) 日 本 トライアスロン 連 合 のホームペー ジ およびヒアリング 調 査 より 作 成 わが 国 のトライアスロンは 1981 年 岡 山 県 皆 生 温 泉 で 開 催 された 皆 生 温 泉 81 で 産 声 を 上 げた この 大 会 は 皆 生 温 泉 旅 館 組 合 青 年 部 のメンバーが 中 心 となって 皆 生 温 泉 開 発 60 周 年 の 記 念 事 業 として 行 なわれた これを 機 に 1980 年 代 の 前 半 国 内 各 地 で 愛 好 会 や 組 織 団 体 が 興 隆 し 各 地 で 大 会 が 開 催 されるようになった 12

1984 年 日 本 陸 上 競 技 連 盟 日 本 水 泳 連 盟 日 本 アマチュア 自 転 車 競 技 連 盟 の 競 技 団 体 関 係 者 医 科 学 関 係 者 ハワイ アイアンマンレースなどに 参 加 経 験 のあるトライア スリートなどが 中 心 となって トライアスロンの 国 内 統 括 団 体 の 原 型 となる 複 合 耐 久 種 目 全 国 連 絡 協 議 会 が 設 立 された 1985 年 沖 縄 県 宮 古 島 で 開 催 された 宮 古 島 トライアスロン が NHK で 全 国 に 中 継 さ れ 一 躍 トライアスロンの 名 前 が 全 国 に 広 まる 端 緒 となった また 同 年 米 国 との 連 係 を 基 盤 とした 日 本 トライアスロン 連 盟 ( 以 下 JTF と 表 記 )が 設 立 され 会 長 に 元 読 売 巨 人 軍 監 督 の 長 嶋 茂 雄 氏 が 就 任 した 長 嶋 氏 は 大 会 でスターターを 務 めるなど まだ 知 名 度 の 低 かったトライアスロンの 普 及 活 動 に 尽 力 した 1986 年 複 合 耐 久 種 目 全 国 連 絡 協 議 会 の 流 れをくむ 日 本 トライアスロン 協 会 ( 以 下 JTA と 表 記 )が 設 立 された これにより トライアスロンは 国 内 に 統 括 団 体 が 複 数 存 在 する 状 況 となった また 同 年 ジャパントライアスロンシリーズが 宮 城 県 仙 台 市 岐 阜 県 海 津 町 熊 本 県 本 渡 市 で 始 まり さらに 全 米 選 手 権 への 選 手 派 遣 も 実 施 された 1989 年 暫 定 国 内 統 一 組 織 として 日 本 トライアスロン 委 員 会 ( 以 下 JTC と 表 記 )が 設 立 された 1993 年 学 生 組 織 として 日 本 学 生 トライアスロン 連 合 ( 以 下 JUTU と 表 記 )が 設 立 され 会 長 に 当 時 の JOC 会 長 兼 JSF 会 長 であった 古 橋 廣 之 進 氏 が 就 任 した 1994 年 国 内 統 一 組 織 として 日 本 トライアスロン 連 合 (JTU)が 設 立 され 遂 に 国 内 統 括 組 織 の 一 本 化 が 実 現 した その 後 JTU は 1998 年 に 日 本 体 育 協 会 に 1999 年 に JOC に 正 式 加 盟 し 今 日 に 至 っている また 学 生 組 織 である JUTU は 現 在 JTU の 加 盟 団 体 となっている トライアスロンの 黎 明 期 における 活 動 の 特 徴 として 1) 団 体 組 織 の 会 長 職 に 長 嶋 茂 雄 氏 (JTF)や 古 橋 廣 之 進 氏 (JUTU)などの 著 名 人 実 力 者 を 選 定 2)NHK による 全 国 放 送 (1985 年 ) 3)サーキット 化 シリーズ 化 を 導 入 した 全 国 各 地 での 大 会 開 催 (1986 年 1990 年 )など 競 技 の 認 知 度 向 上 を 目 的 とした 積 極 的 な 取 り 組 みが 挙 げられる なかでも 絶 大 な 人 気 と 知 名 度 を 誇 った 長 嶋 氏 と 1993 年 当 時 JOC 会 長 兼 JSF 会 長 で 抜 群 の 信 用 力 を 持 った 古 橋 氏 の 会 長 職 就 任 は 競 技 および 競 技 団 体 の 認 知 度 信 頼 度 を 向 上 させ 全 国 的 な 普 及 活 動 に 大 きな 影 響 力 があったと JTU 関 係 者 は 述 懐 する また 国 際 大 会 への 選 手 派 遣 も 実 施 (1986 年 ) 勝 利 に 向 けた 取 り 組 みもいち 早 く 導 入 し ている 3.2. 競 技 の 変 遷 と 年 代 別 チャンピオンシップ 次 に 競 技 の 変 遷 と 強 化 育 成 プロセスの 基 盤 となる 年 代 別 チャンピオンシップの 状 況 に ついての 整 理 を 行 う 表 5 は OWS とトライアスロンの 競 技 の 変 遷 および 2007 年 度 の 年 代 別 チャンピオン シップの 参 加 状 況 をまとめたものである 13

まず 競 技 の 変 遷 であるが 1.2.1 OWS の 歴 史 で 先 述 のとおり わが 国 の OWS は 1996 年 8 月 に 開 催 された 1996 年 福 岡 国 際 オープンウォータースイミング 競 技 大 会 の 開 催 で その 歴 史 が 始 まった 同 大 会 は 2001 年 に 開 催 が 決 定 していた 世 界 水 泳 選 手 権 福 岡 大 会 で 行 われる OWS 種 目 の 競 技 運 営 ノウハウの 構 築 習 得 を 目 的 とした いわばプレ 大 会 の 意 味 合 いで 開 催 された 大 会 であった 同 じ 1996 年 同 大 会 の 開 催 にあわせて JSF 内 に OWS 委 員 会 が 組 織 化 され 以 降 同 委 員 会 がわが 国 の OWS の 強 化 と 普 及 を 担 うこととなった しかし 1.2.5. わが 国 における OWS を 取 り 巻 く 環 境 で 先 述 のとおり その 後 の 競 技 力 の 向 上 は 思 うように 進 まず 北 京 オリンピック(2008 年 )への OWS 日 本 代 表 選 手 の 派 遣 は 見 送 りとなってし まった 一 方 わが 国 のトライアスロンは 3.1 黎 明 期 のトライアスロン で 先 述 した 競 技 の 黎 明 から 競 技 団 体 の 組 織 化 の 時 期 を 経 て シドニーオリンピック(2000 年 ) アテネオリン ピック(2004 年 )などの 国 際 大 会 への 選 手 の 派 遣 を 継 続 して 遂 に 北 京 オリンピック (2008 年 )における 井 出 樹 里 選 手 の 5 位 入 賞 を 果 たすまでに 至 った 競 技 の 変 遷 全 般 を 通 じて 国 内 初 の 大 会 開 催 団 体 の 組 織 化 五 輪 種 目 化 などの 主 要 な 節 目 において トライアスロンが 常 に OWS の 5~15 年 先 を 歩 んでいることが 分 かる 14

表 5 競 技 の 変 遷 と 年 代 別 チャンピオンシップの 参 加 状 況 (2007 年 度 ) 内 は 初 開 催 設 立 の 年 日 本 における 競 技 の 黎 明 JOC 競 技 団 体 としての 組 織 化 五 輪 種 目 化 OWS 福 岡 国 際 OWS 大 会 開 催 1996 年 ~ 日 本 水 泳 連 盟 OWS 委 員 会 設 立 1996 年 ~ 北 京 五 輪 2008 年 ~ トライアスロン 皆 生 トライアスロン 81 開 催 1981 年 ~ 複 合 耐 久 種 目 全 国 連 絡 協 議 会 設 立 1984 年 ~ 日 本 トライアスロン 連 合 設 立 1994 年 ~ シドニー 五 輪 2000 年 ~ 北 京 五 輪 成 績 派 遣 見 送 り 井 出 樹 里 選 手 5 位 初 入 賞 日 本 選 手 権 日 本 学 生 選 手 権 日 本 ジュニア 選 手 権 高 校 生 以 上 20 歳 未 満 日 本 ジュニア 選 手 権 中 学 生 47 名 2000 年 ~ なし なし なし 127 名 1995 年 ~ 214 名 1991 年 ~ 42 名 1996 年 ~ 44 名 1996 年 ~ 出 典 日 本 水 泳 連 盟 日 本 トライアスロン 連 合 のホームページおよびヒアリング 調 査 より 作 成 次 に 年 代 別 チャンピオンシップについて 整 理 する 年 代 別 チャンピオンシップとは 各 年 代 のチャンピオンを 決 する 選 手 権 大 会 のことを 指 し 各 年 代 とは 中 学 生 高 校 生 大 学 生 などの 教 育 機 関 単 位 による 区 別 と 18 歳 未 満 20 歳 未 満 などの 年 齢 による 区 別 とに 大 別 される 大 会 出 場 には 通 常 参 加 標 準 記 録 突 破 者 のみ 強 化 指 定 選 手 のみ 団 体 推 薦 選 手 のみ などの 出 場 基 準 や 条 件 が 設 定 されており 該 当 者 に 限 り 出 場 資 格 が 与 えられる つま り 年 代 別 チャンピオンシップとは その 年 代 で 選 りすぐられたエリート 選 手 だけが 出 場 でき その 年 代 における 最 高 峰 の 競 技 レベルで 競 い 合 い その 年 代 のチャンピオンを 決 する 大 会 のことを 指 している その 年 代 別 のチャンピオンシップを トライアスロンは 順 次 開 催 して 今 日 に 至 っている 大 学 生 のチャンピオンシップは 1991 年 に 学 生 有 志 が 中 心 となり 全 日 本 学 生 選 手 権 が 初 めて 開 催 され 2007 年 度 の 日 本 学 生 トライアスロン 選 手 権 には 49 大 学 214 名 の 選 手 が 参 加 している 高 校 生 と 中 学 生 のチャンピオンシップは 1996 年 に 日 本 ジュニアトライアスロン 選 手 権 が 福 岡 県 玄 界 町 で 初 めて 開 催 され 2007 年 度 は 高 校 生 以 上 20 歳 未 満 の 部 に 42 15

名 中 学 生 の 部 に 44 名 の 選 手 が 出 場 している トライアスロンには この 他 に 全 国 高 校 生 トライアスロン 大 会 オールキッズト ライアスロン という 強 化 指 定 選 手 や 団 体 推 薦 選 手 に 出 場 が 限 定 されない 普 及 を 目 的 とした チャンピオンシップとは 異 なる 年 代 別 の 大 会 も 存 在 している 2007 年 度 の 全 国 高 校 生 トライアスロン 大 会 には 61 名 の 高 校 生 が 参 加 し 2007 年 度 の オールキ ッズトライアスロン には 81 名 の 中 学 生 と 323 名 の 小 学 生 が 参 加 している 一 方 OWS のチャンピオンシップは 年 齢 不 問 の OWS 日 本 選 手 権 (**)だけで その 他 のすべての 年 代 別 チャンピオンシップが 欠 落 している また OWS 日 本 選 手 権 はチャ ンピオンシップであるにも 関 わらず 普 及 段 階 の 種 目 であるとの JSF の 判 断 から 出 場 基 準 や 条 件 が 設 定 されていない そのため 出 場 選 手 の 年 齢 差 および 実 力 差 に 大 きな 幅 がある 図 5 は 2007 年 度 の OWS 日 本 選 手 権 の 出 場 47 選 手 の 年 齢 構 成 である 16 歳 ~52 歳 の 範 囲 で 分 布 しており 中 学 生 以 下 の 選 手 の 出 場 はない 図 6 は OWS 日 本 選 手 権 における 1 位 でゴールした 選 手 と 他 選 手 のタイム 差 を 示 したものである 出 場 選 手 中 42%の 選 手 がタイムオーバーで 失 格 (FINA ルールで 1 位 選 手 のゴール 後 30 分 以 内 にゴールしない 選 手 は 失 格 となる)するなど チャンピオンシップであるにも 関 わらず 選 手 間 のレベル 差 が 大 きい なお 図 6 は 2007 年 度 の OWS 日 本 選 手 権 が 台 風 で 中 止 となったため 2006 年 度 の 大 会 データを 引 用 した **わが 国 における OWSのチャンピオンシップは 大 会 名 称 が OWS ジャパンオープン となっているが 本 論 では OWS 日 本 選 手 権 とする 16

図 5 OWS 日 本 選 手 権 (2007 年 度 ) 出 場 選 手 の 年 齢 分 布 図 6 OWS 日 本 選 手 権 (2006 年 度 )の 1 位 選 手 と 2 位 以 下 の 選 手 のゴールタイム 差 3.3. 競 技 人 口 と 競 技 の 広 がり 次 に 国 内 の 競 技 人 口 と 競 技 の 広 がりを 大 会 数 と 開 催 地 の 分 布 を 通 じて 整 理 した 表 6 は 2007 年 度 の 競 技 人 口 ( 競 技 者 愛 好 者 ) 大 会 数 開 催 地 の 状 況 の 一 覧 である 本 節 では 競 技 者 とは JSF または JTU に 競 技 者 登 録 を 行 った 者 愛 好 者 とは JSF ま たは JTU に 競 技 者 登 録 を 行 わずに 大 会 に 参 加 している 者 と 定 義 した また 民 間 の 大 会 17

とは 統 括 団 体 である JSF および JTU が 管 轄 ( 主 催 共 催 後 援 )していない 大 会 と 定 義 した 表 6 2007 年 度 の 競 技 人 口 大 会 数 開 催 地 競 技 人 口 (2007 年 度 ) JSF JTU および 加 盟 団 体 管 轄 の 大 会 (2007 年 度 ) 民 間 の 大 会 (2007 年 度 ) 開 催 都 道 府 県 (2007 年 度 ) OWS 競 技 者 47 名 愛 好 者 10,000 名 6 大 会 (5 県 ) 47 大 会 (20 都 道 府 県 ) 22 都 道 府 県 トライアスロン 競 技 者 20,000 名 愛 好 者 300,000 名 202 大 会 (45 都 道 府 県 ) 50 大 会 以 上 (47 都 道 府 県 ) 47 都 道 府 県 出 典 日 本 水 泳 連 盟 日 本 トライアスロン 連 合 のホームページおよびヒアリング 調 査 より 作 成 トライアスロンは 2007 年 度 現 在 JTU および JTU 加 盟 団 体 管 轄 の 大 会 だけで 202 大 会 (45 都 道 府 県 ) 民 間 大 会 を 加 えると 全 国 47 都 道 府 県 で 250 大 会 以 上 の 大 会 が 開 催 され 競 技 人 口 は 競 技 者 20,000 名 (100 名 あまりの 強 化 指 定 選 手 を 含 む) 愛 好 者 300,000 名 を 数 えるまでになっている(JTU のデータおよびヒアリング 調 査 より) 一 方 OWS は 大 会 数 大 会 開 催 地 分 布 競 技 者 数 のいずれにおいても トライアスロ ンに 比 べると 限 定 的 である JSF および JSF 加 盟 団 体 が 管 轄 する 大 会 は 2007 年 度 千 葉 県 (2 大 会 ) 神 奈 川 県 兵 庫 県 岡 山 県 熊 本 県 で 開 催 された 6 大 会 で 民 間 の 大 会 を 加 えても 全 国 で 年 間 50 大 会 強 に 過 ぎない 開 催 地 の 分 布 は 22 都 道 府 県 ( 沖 縄 県, 鹿 児 島 県, 熊 本 県, 宮 崎 県, 佐 賀 県, 高 知 県, 徳 島 県, 岡 山 県, 兵 庫 県, 大 阪 府, 和 歌 山 県, 滋 賀 県, 愛 知 県, 長 野 県, 静 岡 県, 神 奈 川 県, 東 京 都, 千 葉 県, 山 形 県, 岩 手 県, 青 森 県, 北 海 道 )であり 全 47 都 道 府 県 の 半 分 弱 である また 競 技 者 数 は 2007 年 度 の JSF の 競 技 者 登 録 総 数 ( 競 泳 飛 込 水 球 シンクロ OWS 日 本 泳 法 )114,828 名 のうち OWS は 47 名 とその 少 なさが 際 立 っている 3.4. スポンサーの 獲 得 状 況 続 いて OWS を 統 括 する JSF とトライアスロンを 統 括 する JTU のスポンサー 契 約 状 況 (2008 年 10 月 1 日 現 在 )を 調 査 した 表 7 は その 一 覧 である 18

表 7 JSF JTU とスポンサーの 関 係 オフィシャル スポンサー ( 財 ) 日 本 水 泳 連 盟 ( 社 ) 日 本 トライアスロン 連 合 OWS 東 京 海 上 日 動 火 災 ミズノ デサント アシックス SEIKO 競 泳 日 本 代 表 VISA 全 日 空 レオパレス21 ニチレイ シンクロ 日 本 代 表 ヤクルト レオパレス21 ポケットバンク コーセー 化 粧 品 日 本 航 空 計 14 社 NTT 東 日 本 NTT 西 日 本 サムスン 杏 林 製 薬 日 本 航 空 arena Amino-Value アシックス 太 平 エンジニアリング( 空 調 ) リゾートトラスト エクトス Fiera 日 本 サブウェイ 日 刊 スポーツ 学 研 文 化 総 合 研 究 所 B&G 財 団 Now Loading コナミスポーツクラブ シマノ 日 本 バナナ 輸 入 組 合 Canadian Crystal 計 22 社 なし 出 典 日 本 水 泳 連 盟 日 本 トライアスロン 連 合 のホームページより 作 成 JSF は 現 在 14 社 とスポンサー 契 約 を 結 んでいる 東 京 海 上 日 動 火 災 ミズノ デ サント アシックス SEIKO の 5 社 は 広 告 代 理 店 を 仲 介 しない 直 接 契 約 となってい る なかでも ミズノ デサント アシックスと 締 結 した 2005 年 4 月 1 日 から 2017 年 3 月 31 日 までの 12 年 間 に 渡 る オフィシャルサプライヤー 契 約 は オリンピック や 世 界 水 泳 選 手 権 などの 所 定 の 国 際 大 会 に 競 泳 飛 込 水 球 シンクロ OWS の 日 本 代 表 選 手 が 出 場 する 場 合 当 該 3 社 以 外 の 水 着 スイムキャップなどを 使 用 すること ができない 旨 の 内 容 となっており その 契 約 期 間 の 長 さが 2008 年 春 の レーザーレ ーサー 問 題 の 際 に 物 議 を 呼 んだ その 他 の 9 社 との 契 約 は 広 告 代 理 店 を 仲 介 したも ので 競 泳 とシンクロの 日 本 代 表 チームへのサポートに 限 定 した 契 約 内 容 となっている また 競 泳 やシンクロの 日 本 選 手 権 など 大 会 ごとにスポットで 上 記 14 社 のほかに 協 賛 がつく 場 合 もある なお OWS に 対 する 独 自 のスポンサーはなく 現 在 OWS は JSF からの 大 会 運 営 費 のみで 活 動 している JTU は 現 在 22 社 のスポンサー 契 約 を 交 わしており トライアスロンの 強 化 と 普 及 に その 資 金 を 配 分 している なお オフィシャルスポンサー オフィシャルパートナー オフィシャルサプライヤー などの 名 称 は 競 技 団 体 ごとに その 定 義 使 用 方 法 が 異 なるため 表 7 では オフィ シャルスポンサーに 統 一 して 表 記 した 19

第 4 章 競 泳 における 強 化 振 興 策 成 功 の 事 例 検 証 次 に 競 泳 の 強 化 振 興 策 の 成 功 事 例 を 検 証 する 検 証 結 果 について 各 項 目 別 に 以 下 にまとめる 4.1. オリンピックにみる 競 泳 の 変 遷 まず 競 泳 の 変 遷 を 整 理 する 表 8 は 競 泳 のオリンピック 史 である 表 8 競 泳 のオリンピック 史 開 催 年 開 催 都 市 金 銀 銅 備 考 年 代 1920 アントワープ 0 0 0 日 本 泳 法 の 猛 者 2 名 が 出 場 黎 明 期 1924 パリ 0 0 0 6 名 出 場 4 種 目 で 入 賞 1928 アムステルダム 1 1 1 1932 ロサンゼルス 5 5 2 1 次 全 盛 期 1936 ベルリン 4 2 5 前 畑 ガンバレ! 1952 ヘルシンキ 0 3 0 フジヤマのトビウオ( 古 橋 廣 之 進 氏 ) 復 興 期 1956 メルボルン 1 4 0 1960 ローマ 0 3 2 1964 東 京 0 0 1 低 迷 期 1968 メキシコ 0 0 0 1972 ミュンヘン 2 0 1 1976 モントリオール 0 0 0 1980 モスクワ 不 参 加 1984 ロサンゼルス 0 0 0 1988 ソウル 1 0 0 バサロキック( 鈴 木 大 地 氏 ) 台 頭 期 1992 バルセロナ 1 0 0 今 まで 生 きてきて 一 番 幸 せです 1996 アトランタ 0 0 0 2000 シドニー 0 2 2 めっちゃ 悔 しい! 2004 アテネ 3 1 4 北 島 選 手 2 冠 チョー 気 持 ちいい! 2 次 全 盛 期 2008 北 京 2 0 3 北 島 選 手 連 続 2 冠 何 も 言 えねぇ! 20 21 21 計 62 個 出 典 日 本 水 泳 連 盟 のホームページ およびヒアリング 調 査 より 作 成 アントワープ 大 会 (1920 年 )から 北 京 大 会 (2008 年 )までに 競 泳 はオリンピックで 金 20 個 銀 21 個 銅 21 個 の 計 62 個 のメダルを 獲 得 しており わが 国 にとってお 家 芸 の 競 技 種 目 のひとつとなっている 20

特 にソウル 大 会 (1988 年 ) 以 降 は アトランタ 大 会 (1996 年 )を 除 いて 安 定 してメダルを 獲 得 しており この 間 に 獲 得 したメダルは 19 個 にのぼり 日 本 競 泳 陣 が 獲 得 したメダ ル 総 数 62 個 の 30.6%を 占 めている 4.2. オリンピックでメダルを 獲 得 した 泳 法 種 目 表 9 は オリンピックでメダルを 獲 得 した 泳 法 種 目 をまとめたものである 表 9 種 目 別 獲 得 メダル ( ) 内 は 1988 年 以 降 に 獲 得 した 数 自 平 背 バタ 個 メ Fリレー Mリレー 合 計 男 子 金 3 9(4) 2(1) 0 0 2 0 16(5) 銀 9 3 1 2(1) 0 3 0 18(1) 銅 5 2 3(1) 1(1) 0 1 3(2) 15(4) 男 子 合 計 17 14(4) 6(2) 3(2) 0 6 3(2) 49(10) 女 子 金 1(1) 2(1) 0 1 0 0 0 4(2) 銀 0 1 1(1) 0 1(1) 0 0 3(2) 銅 0 0 4(3) 1(1) 0 0 1(1) 6(5) 女 子 合 計 1(1) 3(1) 5(4) 2(1) 1(1) 0 1(1) 13(9) 男 女 合 計 18(1) 17(5) 11(6) 5(3) 1(1) 6 4(3) 62(19) 出 典 日 本 水 泳 連 盟 のホームページより 作 成 種 目 別 にメダルの 獲 得 数 にばらつきはあるものの ソウル 大 会 (1988 年 ) 以 降 フリーリ レーを 除 いて すべての 種 目 でメダルを 獲 得 している また その 国 の 総 合 的 な 実 力 が 問 われるメドレーリレーにおいて シドニー 大 会 (2000 年 )で 女 子 が アテネ 大 会 (2004 年 )と 北 京 大 会 (2008 年 )で 男 子 がメダルを 獲 得 している 4.3. オリンピック 世 界 水 泳 選 手 権 のメダリスト 数 入 賞 者 数 の 推 移 表 10 は 第 1 回 世 界 水 泳 選 手 権 (1973 年 ) 以 降 に 開 催 された オリンピックと 世 界 水 泳 選 手 権 のメダリスト 数 と 入 賞 者 数 の 推 移 である 入 賞 者 数 は メダリスト 数 を 含 んだ 数 字 となっている 21

表 10 オリンピック 世 界 水 泳 選 手 権 のメダリスト 数 および 入 賞 者 数 の 推 移 年 オリンピック 世 界 水 泳 選 手 権 メダル/ 入 賞 者 1973 ベオグラード 3/3 1975 カリ 1/2 1976 モントリオール 0/0 1978 西 ベルリン 0/1 1980 モスクワ 不 参 加 1982 グアヤキル 0/7 1984 ロサンゼルス 0/3 1986 マドリード 0/2 1988 ソウル 1/3 1991 パース 2/9 1992 バルセロナ 1/17 1994 ローマ 0/13 1996 アトランタ 0/12 1998 パース 5/14 2000 シドニー 4/18 2001 福 岡 4/25 2003 バルセロナ 6/16 2004 アテネ 8/20 2005 モントリオール 9/30 2007 メルボルン 7/21 2008 北 京 5/20 出 典 創 立 60 周 年 記 念 誌 創 立 70 周 年 記 念 誌 創 立 80 周 年 記 念 誌 (いずれも 日 本 水 泳 連 盟 ) より 作 成 オリンピック 世 界 水 泳 選 手 権 の 入 賞 者 数 は ソウルオリンピック(1988 年 ) 以 降 増 加 に 転 じ バルセロナオリンピック(1992 年 ) 以 降 は 常 に 2 桁 の 人 数 となっている メダ リストも 第 8 回 世 界 水 泳 選 手 権 パース 大 会 (1998 年 ) 以 降 連 続 して 誕 生 している 4.4. 競 泳 の 選 手 強 化 育 成 システム ここで 競 泳 の 選 手 強 化 育 成 システムについて 触 れておく 競 泳 の 場 合 ジュニア 選 手 が トップ 選 手 に 上 り 詰 めるまで 同 一 のスイミングクラブ 同 一 のコーチの 指 導 のもとで 強 化 育 成 が 図 られることが 一 般 的 で 一 貫 指 導 システムが 構 築 されている そのため 選 手 の 年 齢 に 合 わせて 中 長 期 的 な 視 点 にたった 指 導 が 行 われている 現 在 スイミングクラブの 数 は 社 団 法 人 日 本 スイミングクラブ 協 会 に 関 わるものだけ でも 国 内 で 1,000 ヶ 所 を 超 えている 4.5. 仮 説 により 近 年 の 成 功 要 因 を 検 証 表 8 表 9 表 10 より 下 記 の 傾 向 が 顕 著 に 表 れた 1)1988 年 以 降 6 度 のオリンピックで 19 個 のメダルを 獲 得 している 2)1992 年 以 降 オリンピック 世 界 水 泳 選 手 権 の 入 賞 者 数 が 倍 増 している 22

3)メドレーリレーでメダルを 獲 得 するなど 総 合 力 でアメリカ オーストラリアに 次 ぐ 世 界 3 位 の 水 泳 大 国 になっている このことから 厚 い 選 手 層 で 第 2 次 全 盛 期 を 迎 えているとも 言 える 競 泳 が どのような 要 因 に 基 づいて 今 日 に 至 ったかを 仮 説 を 立 てて 検 証 した ここでは 近 年 長 期 間 にわ たり 安 定 した 高 い 競 技 成 績 を 継 続 していることに 着 目 し 何 らかの 選 手 強 化 プロセスが 確 立 されたのではないか という 仮 説 を 立 てた 仮 説 ; 個 別 のスイミングクラブにおいて 確 立 しつつあったジュニア 選 手 からトップ 選 手 への 強 化 育 成 プロセスを 競 い 合 う 場 としての 年 代 別 大 会 が 機 能 させたのではないか 4.6. 国 内 で 行 われている 競 泳 の 年 代 別 チャンピオンシップ この 仮 説 に 基 づき 競 泳 の 成 功 要 因 を 検 証 する 目 的 で 現 在 国 内 で 行 なわれている 競 泳 の 年 代 別 チャンピオンシップを 検 証 した 表 11 は 現 在 国 内 で 開 催 されている 競 泳 のチャンピオンシップの 一 覧 である 表 11 競 泳 の 国 内 チャンピオンシップ 大 会 大 会 名 称 主 催 者 対 象 所 属 名 開 始 時 期 日 本 選 手 権 水 泳 競 技 大 会 ( 財 ) 日 本 水 泳 連 盟 1914 年 ~ 日 本 学 生 選 手 権 水 泳 競 技 大 会 (インカレ) ( 財 ) 日 本 水 泳 連 盟 大 学 生 学 校 1921 年 ~ 日 本 高 等 学 校 選 手 権 水 泳 競 技 大 会 (インターハイ) ( 財 ) 日 本 水 泳 連 盟 ( 財 ) 全 国 高 等 学 校 体 育 連 盟 高 校 生 学 校 1924 年 ~ 全 国 中 学 校 水 泳 競 技 大 会 ( 全 中 ) ( 財 ) 日 本 水 泳 連 盟 ( 財 ) 日 本 中 学 校 体 育 連 盟 中 学 生 学 校 1960 年 ~ 全 国 JOCジュニアオリンピッ クカップ 水 泳 競 技 大 会 (JO) ( 財 ) 日 本 水 泳 連 盟 小 学 生 中 学 生 高 校 生 スイミン グクラブ 1978 年 ~ 出 典 水 泳 コーチ 教 本 第 2 版 ( 大 修 館 書 店 ; 日 本 水 泳 連 盟 ) および 日 本 水 泳 連 盟 のホームページより 作 成 表 11 のとおり 競 泳 の 場 合 トップ 選 手 による 年 齢 不 問 の 日 本 選 手 権 のほか 1) 大 学 生 による 日 本 学 生 選 手 権 2) 高 校 生 による 日 本 高 等 学 校 選 手 権 3) 中 学 生 による 全 国 中 学 校 水 泳 競 技 大 会 4) 高 校 生 中 学 生 小 学 生 による 全 国 JOC ジュニアオリンピック カップ 水 泳 競 技 大 会 の 4 つの 年 代 別 チャンピオンシップが 行 われている 長 期 間 にわたり 種 目 に 偏 りなく 高 い 競 技 成 績 を 継 続 するためには 特 定 の 少 数 の 選 手 23

に 頼 るのではなく 継 続 的 に 優 秀 な 選 手 を 次 々と 数 多 く 輩 出 させる 必 要 がある そこで 本 節 では 選 手 育 成 プロセスの 根 底 を 支 える 最 も 若 い 年 代 のチャンピオンシッ プである 全 国 JOC ジュニアオリンピックカップ 水 泳 競 技 大 会 について 調 査 した 4.7. 全 国 JOC ジュニアオリンピックカップ 水 泳 競 技 大 会 表 12 は 全 国 JOC ジュニアオリンピックカップ 水 泳 競 技 大 会 ( 以 下 JO と 表 記 )の 概 要 である 表 12 JO の 概 要 正 式 名 称 キャッチコピー 第 1 回 大 会 開 催 時 期 全 国 JOC ジュニアオリンピックカップ 水 泳 競 技 大 会 ジュニア 日 本 一 からシニアへ そして 世 界 一 へ 1978 年 8 月 毎 年 8 月 ( 夏 季 大 会 :50m プールを 使 用 ) 毎 年 3 月 ( 春 季 大 会 :25m プールを 使 用 ) 開 催 プール 代 々 木 オリンピックプール( 現 在 は 辰 巳 国 際 水 泳 場 ) 年 齢 区 分 10 歳 以 下 11~12 歳 13~14 歳 18 歳 以 下 ( 大 学 生 は 不 可 ) 特 徴 標 準 記 録 1 小 学 生 にとって 初 めて 経 験 する 全 国 大 会 2 中 学 生 にとって 実 質 唯 一 の 全 国 大 会 前 年 記 録 をベースに 毎 年 更 新 ( 毎 年 バーが 上 がる) 幼 少 期 の 選 手 にオリンピックを 意 識 させた 工 夫 1 大 会 名 称 に オリンピック を 使 用 2 憧 れの 代 々 木 オリンピックプール を 使 用 3 国 歌 斉 唱 を 実 施 ( 国 内 で 開 催 されている 水 泳 大 会 で 唯 一 ) 出 典 JO20 周 年 記 念 誌 JO30 周 年 記 念 誌 (いずれも 日 本 水 泳 連 盟 )より 作 成 JO は 1978 年 8 月 に 始 まり 2008 年 に 30 周 年 を 迎 えた 表 8 競 泳 のオリンピック 史 に 記 載 のとおり 1978 年 当 時 わが 国 の 競 泳 は 直 近 の モントリオールオリンピック(1976 年 )で 獲 得 メダルがゼロに 終 わるなど 低 迷 期 にあっ た そこで 中 長 期 的 な 強 化 策 の 一 環 として ジュニア 選 手 に 早 くからオリンピックを 意 識 させる 必 要 があるとの 判 断 から アメリカで 行 われていたジュニアの 大 会 に 倣 って 創 設 された 大 会 が JO である 大 会 名 称 に オリンピック の 文 言 を 入 れ 大 会 会 場 を 東 京 オリンピック(1964 年 )で 使 用 された 代 々 木 オリンピックプール を 使 用 するなど 当 初 よりオリンピックを 意 識 した 演 出 工 夫 がみられ その 特 徴 は 現 在 も 継 承 されている 毎 年 夏 季 大 会 (8 月 )と 春 季 大 会 (3 月 )が 行 われ 前 者 は 50m プールを 後 者 は 25m プ ールを 使 用 して 行 われる 年 齢 区 分 は 10 歳 以 下 11~12 歳 13~14 歳 18 歳 以 下 の 4 区 分 であり 大 学 生 の 24

出 場 は 認 められていない ジュニア 選 手 の 強 化 育 成 が 主 眼 の 大 会 であるため 特 に 中 学 生 以 下 の 年 齢 区 分 が 細 分 化 されている 参 加 標 準 記 録 は 前 年 度 の 春 季 大 会 で 24 位 (10 歳 以 下 区 分 は 40 位 11~12 歳 区 分 は 32 位 )となった 選 手 のエントリータイムで 設 定 され 毎 年 更 新 される JO の 大 きな 特 徴 に エリート 小 学 生 選 手 にとって 初 めて 経 験 するエリート 選 手 同 士 が 競 い 合 う 全 国 大 会 である 点 が 挙 げられる 同 年 代 のライバル 選 手 と 初 めて 競 い 合 い その 関 係 は トップ 選 手 に 至 るまで 続 く また エリート 中 学 生 選 手 にとっては 実 質 唯 一 の 全 国 大 会 である 点 が 挙 げられる 中 学 生 の 全 国 大 会 としては 他 に JSF と 全 国 中 学 校 体 育 連 盟 の 主 催 による 全 国 中 学 校 水 泳 競 技 大 会 ( 以 下 全 中 と 表 記 )が 存 在 するが 全 中 は 大 会 への 出 場 が 学 校 単 位 で あるため 通 う 中 学 校 に 水 泳 部 がない 場 合 は どんなにレベルの 高 いエリート 中 学 生 選 手 であっても 出 場 することができない このことから 実 質 的 に JO が 中 学 生 チャン ピオンを 決 する 大 会 と 位 置 付 けられ 今 日 に 至 っている 4.8. JO 参 加 選 手 数 の 推 移 (1978~2007 年 ) 本 節 では オリンピックや 世 界 水 泳 選 手 権 と 同 じ 50m プールで 競 技 が 実 施 される 夏 季 大 会 のみを 調 査 した 図 7 は JO 参 加 選 手 数 の 推 移 である 図 7 参 加 選 手 数 の 推 移 (1978~2007 年 ) 出 典 全 国 JOC ジュニアオリンピックカップ 水 泳 競 技 大 会 20 周 年 記 念 誌 ( 日 本 水 泳 連 盟 ) およびヒ アリング 調 査 より 作 成 第 1 回 大 会 (1978 年 )が 1070 名 だった 参 加 者 が 第 30 回 大 会 (2007 年 )では 3958 名 と 25

なっている 少 子 化 かつ 参 加 標 準 記 録 が 毎 年 上 がるなか 参 加 選 手 は 増 加 傾 向 にある 4.9. 各 種 新 記 録 の 発 生 状 況 図 8 図 9 は JO における 各 種 新 記 録 の 発 生 状 況 の 推 移 である 第 7 回 大 会 (1984 年 )から 第 20 回 大 会 (1997 年 )までと 第 24 回 大 会 (2001 年 )と 第 25 回 大 会 (2002 年 )については 記 録 に 関 する 資 料 がないため 図 表 上 は 発 生 記 録 件 数 がゼ ロとなっている 図 8 各 種 新 記 録 の 発 生 状 況 (1978~2007 年 ) 出 典 全 国 JOC ジュニアオリンピックカップ 水 泳 競 技 大 会 20 周 年 記 念 誌 ( 日 本 水 泳 連 盟 ) およびヒ アリング 調 査 より 作 成 26

図 9 各 種 新 記 録 の 発 生 状 況 (1998~2007 年 ) 出 典 全 国 JOC ジュニアオリンピックカップ 水 泳 競 技 大 会 20 周 年 記 念 誌 ( 日 本 水 泳 連 盟 ) およびヒ アリング 調 査 より 作 成 図 9 のとおり 直 近 10 年 をとってみると 継 続 的 に 各 種 新 記 録 が 発 生 している( 各 種 記 録 のデータがない 時 期 を 除 く) また 第 21 回 大 会 (1998 年 )から 第 30 回 大 会 (2007 年 ) までの 10 年 間 で 大 会 新 が 397 件 学 童 新 が 10 件 中 学 新 が 16 件 高 校 新 が 18 件 計 441 件 の 新 記 録 が 発 生 している 4.10. オリンピック 有 績 者 の JO 優 勝 経 験 の 有 無 図 10 は ソウル 大 会 (1988 年 ) 以 降 のオリンピックメダリストおよび 入 賞 者 の JO で の 優 勝 経 験 の 有 無 を 調 査 した 結 果 である 27

図 10 ソウル 大 会 以 降 のオリンピックメダリスト 入 賞 者 の JO 優 勝 経 験 の 有 無 ソウル 大 会 (1988 年 ) 以 降 のオリンピックメダリスト(リレー 種 目 を 含 む)19 名 のうち 18 名 が 種 目 を 問 わず JO での 優 勝 経 験 を 持 っている ソウル 大 会 (1988 年 ) 以 降 のオリンピック 入 賞 者 (リレー 種 目 を 含 む)76 名 のうち 68 名 が 種 目 を 問 わず JO での 優 勝 経 験 を 持 っている 4.11. オリンピック 世 界 水 泳 選 手 権 入 賞 者 数 と JO 参 加 者 数 の 関 係 図 11 は オリンピックおよび 世 界 水 泳 選 手 権 の 入 賞 者 (メダリストを 含 む) 数 と JO 参 加 者 数 の 相 関 分 析 の 結 果 である 相 関 分 析 を 行 ったところ JO 参 加 者 が 1000 名 増 えるとオリンピックおよび 世 界 水 泳 選 手 権 の 入 賞 者 (メダリストを 含 む)が 8.6 名 増 えるという 相 関 がみられた 図 12 は オリンピックおよび 世 界 水 泳 選 手 権 の 入 賞 者 (メダリストを 含 む) 数 と JO 参 加 者 数 の 推 移 である 相 関 を 裏 付 けるように JO 参 加 選 手 数 の 増 加 に 比 例 して オリン ピックおよび 世 界 水 泳 選 手 権 の 入 賞 者 (メダリスト 含 む) 数 が 増 加 している 28

JO 参 加 者 と 五 輪 入 賞 者 の 関 係 相 関 係 数 入 賞 者 参 加 人 数 入 賞 者 Pearson の 相 関 係 数 有 意 確 率 ( 両 側 ) 1.866**.000 N 15 15 参 加 人 数 Pearson の 相 関 係 数.866** 1 有 意 確 率 ( 両 側 ) N.000 15 15 **. 相 関 係 数 は 1% 水 準 で 有 意 ( 両 側 ) です 図 11 オリンピックおよび 世 界 水 泳 選 手 権 の 入 賞 者 数 と JO 参 加 者 数 の 相 関 出 典 創 立 60 周 年 記 念 誌 創 立 70 周 年 記 念 誌 創 立 80 周 年 記 念 誌 全 国 JOC ジュニアオリ ンピックカップ 水 泳 競 技 大 会 20 周 年 記 念 誌 (いずれも 日 本 水 泳 連 盟 ) およびヒアリング 調 査 より 作 成 図 12 オリンピック 世 界 水 泳 選 手 権 の 入 賞 者 (メダリスト 含 む) 数 と JO 参 加 者 の 推 移 出 典 創 立 60 周 年 記 念 誌 創 立 70 周 年 記 念 誌 創 立 80 周 年 記 念 誌 全 国 JOC ジュニアオリ ンピックカップ 水 泳 競 技 大 会 20 周 年 記 念 誌 (いずれも 日 本 水 泳 連 盟 ) およびヒアリング 調 査 より 作 成 29

4.12. 仮 説 の 検 証 結 果 仮 説 に 基 づき JO を 検 証 した 結 果 下 記 の 傾 向 を 導 き 出 した 少 子 化 の 中 JO の 出 場 選 手 数 が 拡 大 している JO において 近 年 各 種 新 記 録 が 継 続 的 に 発 生 している オリンピック 世 界 水 泳 選 手 権 の 入 賞 者 数 (メダリスト 含 む)と JO 出 場 者 数 に 相 関 あり 30

第 5 章 OWS の 振 興 策 トライアスロンとの 比 較 により OWS の 問 題 点 を 抽 出 することができた そして 競 泳 の 事 例 検 証 および JO を 用 いた 仮 説 の 検 証 から 競 泳 の 強 化 振 興 策 の 成 功 要 因 に 結 びつく いくつかの 傾 向 を 導 き 出 すことができた そこで 2 つの 研 究 手 法 によって 得 られた 結 果 から OWS の 振 興 策 を 考 察 する 5.1. トライアスロンとの 比 較 結 果 から 抽 出 した OWS の 問 題 点 トライアスロンとの 比 較 の 結 果 勝 利 については トライアスロンには 大 学 生 高 校 生 中 学 生 など 年 代 別 にチャンピオンシップが 存 在 するが OWS には 年 代 別 チャン ピオンシップの 欠 落 がみられ 選 手 の 強 化 育 成 プロセスが 未 整 備 な 状 態 であることが 明 らかになった このことから トライアスロンでは オリンピックを 目 指 す 各 年 代 のエ リート 選 手 が 順 調 に 育 成 強 化 されているのに 対 して OWS では 各 年 代 における 選 手 の 強 化 育 成 がなされず 現 状 各 年 代 のエリート 選 手 の 不 在 が 考 えられる 普 及 については トライアスロンは 全 国 各 地 で 数 多 くの 大 会 が 行 われ 多 くの 競 技 人 口 が 存 在 するが OWS は 大 会 数 大 会 開 催 地 の 分 布 競 技 人 口 のいずれも 非 常 に 限 定 的 であり 特 に 競 技 者 数 ( 競 技 者 登 録 数 )が 極 めて 少 ないことが 判 明 した これは 年 代 別 チャンピオンシップの 欠 落 に 加 え JSF および JSF 加 盟 団 体 管 轄 の OWS 大 会 が 少 ないことが OWS の 競 技 者 登 録 数 の 少 なさに 影 響 しているものと 考 えられる 市 場 については JTU には 22 社 のオフィシャルスポンサーが 存 在 し トライアスロ ンの 強 化 普 及 の 両 面 に 資 金 が 配 分 されているが OWS には 独 自 のスポンサーがなく JSF からの 大 会 運 営 費 のみで 活 動 しており JSF 依 存 の 実 態 が 明 らかとなった JTU が JSF に 比 べて 数 多 くの 企 業 とスポンサー 契 約 を 結 んでいる 背 景 には 水 泳 自 転 車 ランという 3 つの 異 なる 要 素 により 各 々でスポンサーメリットを 提 供 できるというト ライアスロン 特 有 の 競 技 特 性 が 影 響 しているものと 思 われる 競 技 の 変 遷 については 総 じて トライアスロンが 黎 明 期 より 積 極 的 に 様 々な 取 り 組 み を 実 施 しているのに 対 して OWS はあらゆる 面 で 活 発 な 展 開 が 図 られていない 傾 向 が みられる これは トライアスロンが 純 然 たる 新 規 競 技 であったため 既 存 の 方 針 や 制 約 をうけることなく より 積 極 的 に 自 由 に 活 動 ができたのに 対 して OWS は 水 泳 競 技 の 一 つの 種 目 としての 新 規 立 ち 上 げであり 統 括 団 体 である JSF の 方 針 規 則 により 独 自 の 活 動 が 制 限 されたことによる 影 響 がうかがえる 5.2. 仮 説 より 導 き 出 した 競 泳 の 成 功 要 因 次 に 4.12 仮 説 の 検 証 結 果 より 競 泳 の 強 化 振 興 策 の 成 功 要 因 を 探 る まず 少 子 化 と 参 加 標 準 記 録 のレベルアップが 進 むなか JO の 出 場 選 手 が 増 加 してい ることから 1) 小 中 学 生 の 競 泳 への 囲 い 込 みがうまくいっていることが 考 えられる 続 いて 近 年 JO で 各 種 新 記 録 が 継 続 的 に 発 生 していることから 2)JO が 若 きエリー 31

ト 選 手 達 の 競 い 合 う 場 として 機 能 していることが 考 えられる さらに JO 出 場 者 数 と オリンピック 世 界 水 泳 選 手 権 入 賞 者 数 (メダリスト 含 む)とに 相 関 がみられることから 3)JO がトップ 選 手 への 登 竜 門 として 機 能 していることが 考 えられる 図 13 競 泳 の 6 重 構 造 JO がトップ 選 手 の 登 竜 門 と 考 えられることから 同 様 に 日 本 高 等 学 校 選 手 権 や 日 本 学 生 選 手 権 などの 年 代 別 チャンピオンシップも やはりトップ 選 手 への 第 2 第 3 の 登 竜 門 となっていると 考 えられる このことから 幼 少 期 より 個 別 のスイミングクラブで 水 泳 を 始 めたジュニア 選 手 が 競 泳 特 有 のスイミングクラブにおける 一 貫 指 導 のもと 競 泳 を 続 け( 囲 い 込 みの 成 功 ) JO を 始 めとした 年 代 別 のチャンピオンシップにおいて 全 国 のライバル 選 手 と 競 いあって 記 録 を 伸 ばし( 競 い 合 う 場 として 機 能 ) やがてトップ 選 手 となり オリンピックや 世 界 水 泳 選 手 権 でのメダル 獲 得 に 至 る( 登 竜 門 として 機 能 ) という 構 図 が 出 来 上 がる この 構 図 は JO を 底 辺 とした 6 重 のピラミッド 構 造 競 泳 の 6 重 構 造 ( 図 13)によって 表 すことができる この 競 泳 の 6 重 構 造 が 完 成 し ジュニアからトップに 至 る 強 化 育 成 システムが 確 立 したことが 近 年 の 安 定 した 好 成 績 に 結 びついているものと 考 えられ る 以 上 のことから 個 別 のスイミングクラブにおいて 確 立 しつつあったジュニア 選 手 か らトップ 選 手 への 強 化 育 成 プロセスを 競 い 合 う 場 としての 年 代 別 大 会 が 機 能 させてい るのではないか という 仮 説 が 実 証 され その 構 図 を 表 した 競 泳 の 6 重 構 造 の 確 立 32

が 近 年 好 成 績 を 継 続 する 競 泳 の 強 化 振 興 策 の 成 功 要 因 と 考 えられる 5.3. OWS の 6 重 構 造 ところで 先 述 の 5.1 トライアスロンとの 比 較 結 果 から 抽 出 した OWSの 問 題 点 より OWS では 年 代 別 チャンピオンシップが 欠 落 し そのため 年 代 別 にエリート 選 手 が 育 成 されていないことが 問 題 点 として 指 摘 されている このことから OWS においても 大 学 生 高 校 生 小 中 学 生 などによる 年 代 別 チャンピオンシップを 実 施 して 6 重 構 造 ( 図 14)を 構 築 し 選 手 の 強 化 育 成 基 盤 を 整 備 することが OWS の 有 効 な 振 興 策 と 考 え られる 欠 落 している 年 代 別 チャンピオンシップ 図 14 OWS の 6 重 構 造 但 し 実 際 に 年 代 別 チャンピオンシップを 開 催 して OWS の 6 重 構 造 を 構 築 する 際 には OWS が 長 距 離 持 久 性 種 目 であることから 発 育 発 達 パターンと 運 動 強 化 方 針 ( 図 15)を 考 慮 したうえで 対 象 選 手 の 年 齢 に 応 じた 大 会 種 目 や 距 離 を 設 定 する 必 要 がある と 考 える また OWS が 海 川 湖 などの 自 然 環 境 下 で 実 施 される 競 技 種 目 であることから 対 象 選 手 のスポーツによる 内 科 的 障 害 の 発 生 にも 対 応 し 得 る 開 催 場 所 や 安 全 対 策 でなけ ればならないと 考 える 表 13 は 成 長 期 におけるスポーツによる 内 科 的 障 害 の 一 覧 で ある 33

19 歳 以 下 15~16 歳 以 下 スポーツに 関 わる 身 12~14 歳 以 下 負 荷 を 増 大 させ ス 体 動 作 を 十 分 に 発 達 11 歳 以 下 軽 い 負 荷 で 持 続 的 な マートな 動 作 を 長 続 させた 上 に 試 合 の いろいろな 動 作 に 挑 運 動 を 実 践 し スマ きさせるとともに 駆 引 きを 身 につけ 戦 し スマートな 身 ートな 動 作 を 長 続 き 力 強 さを 身 につける 最 高 の 能 力 を 発 揮 で のこなしを 獲 得 する させる 能 力 を 身 につ ( 筋 骨 格 系 ) きるようにする ( 脳 神 経 系 ) ける ( 呼 吸 循 環 系 ) 動 作 の 習 得 年 間 発 達 量 身 長 ねばり 強 さ 力 強 さ 6 歳 7 歳 8 歳 9 歳 10 歳 11 歳 12 歳 13 歳 14 歳 15 歳 16 歳 17 歳 18 歳 発 育 発 達 のパターン 図 15 発 育 : 発 達 パターンと 年 齢 別 運 動 強 化 方 針 出 典 スポーツ 指 導 者 のためのスポーツ 医 学 ( 南 江 堂 : 小 出 清 一 福 林 徹 河 野 一 郎 )より 抜 粋 34

表 13 スポーツによる 内 科 的 障 害 ( 成 長 期 ) A. 急 性 障 害 B. 慢 性 障 害 1. 心 停 止 ( 突 然 死 ) 1. 貧 血 2. 動 脈 瘤 破 裂 ( 突 然 死 ) 2. 不 整 脈 スポーツ 心 臓 3. 熱 中 症 3. 蚤 白 尿 血 尿 4. rhabdomyolysis 4. 慢 性 疲 労 (オーバートレーニング) 5. side stich 5. 不 眠 症 6. 低 血 糖 症 候 群 6. 消 化 性 漬 傷 7. 高 山 病 7. 慢 性 疾 患 ( 循 環 器 系 肝 腎 など)の 増 悪 8. 潜 水 病 8. 生 理 不 順 ( 障 害 ) 9. 過 呼 吸 症 候 群 10. 運 動 誘 発 性 気 管 支 喘 息 11. 運 動 誘 発 性 アナフィラキシー 出 典 スポーツ 指 導 者 のためのスポーツ 医 学 ( 南 江 堂 : 小 出 清 一 福 林 徹 河 野 一 郎 )より 抜 粋 5.4. 6 重 構 造 の 効 果 的 な 構 築 順 序 前 節 において OWS の 振 興 策 として 年 代 別 チャンピオンシップの 開 催 による OWS の 6 重 構 造 の 構 築 について 触 れた しかし 現 在 の OWS には 大 学 生 向 け 高 校 生 向 け 小 中 学 生 向 けのいずれのチャンピオンシップも 存 在 しない そのため 効 率 的 に OWS の 振 興 を 促 進 するには どの 年 代 のチャンピオンシップから 構 築 していくのが 最 善 の 方 策 なのか という 6 重 構 造 の 効 果 的 な 構 築 順 序 を 検 証 する 必 要 がある 平 田 (2005)は 子 供 の 頃 のスポーツ 体 験 やその 後 の 新 たなスポーツとの 出 会 い 様 々な きっかけを 通 じて スポーツに 親 しみ 人 々の 人 生 におけるスポーツの 関 わりを 形 作 る として 逆 台 形 モデル を 提 唱 している( 図 16) 35

図 16 逆 台 形 モデル 従 来 のスポーツ 競 技 の 概 念 は 図 16 の 中 心 に 位 置 するトップ 選 手 を 頂 点 としたピラミ ッド 構 造 と 考 えられている 先 述 の 競 泳 や OWS の 6 重 構 造 は このピラミッド 構 造 を 細 分 化 したものである ところが スポーツとのかかわりとは トップ 選 手 に 上 り 詰 めるだけが 道 ではなく ある 年 代 から 会 社 に 入 ってスポンサーになる メディアに 勤 め る 競 技 役 員 になる 指 導 者 になる 審 判 になる など その 道 は 幾 つも 存 在 している のである スポーツを 支 えていく 担 い 手 は 子 供 の 頃 のスポーツの 体 験 やその 後 のきっ かけを 通 じて 様 々な 形 で 社 会 での 活 躍 をし スポーツへ 親 しみ スポーツを 支 えてい くことになるのである ところで 3.2. 競 技 の 変 遷 と 年 代 別 チャンピオンシップ および 4.6. 国 内 で 行 われてい る 競 泳 の 年 代 別 チャンピオンシップ より トライアスロンも 競 泳 も 年 代 別 チャンピ オンシップの 構 築 順 序 が 大 学 生 のチャンピオンシップ( 以 下 大 学 選 手 権 と 表 記 )を 皮 切 りに 順 次 構 築 されて 今 日 に 至 っていることが 明 らかになっている また 3.1. 黎 明 期 のトライアスロン および 図 2 日 本 水 泳 連 盟 の 組 織 図 のとおり 大 学 生 による 学 生 組 織 として トライアスロンには 日 本 学 生 トライアスロン 連 合 (JUTU) が 競 泳 には JSF 学 生 委 員 会 が 存 在 し 大 学 選 手 権 (インカレ)の 運 営 を 主 体 的 に 行 なう などの 活 動 を 行 なっている JUTU や JSF 学 生 委 員 会 で 活 動 していた 学 生 の 中 には 大 学 卒 業 後 も 競 技 役 員 指 導 者 審 判 などになり 競 技 に 関 わる 者 も 少 なくない このことから 競 技 の 黎 明 期 より 大 学 選 手 権 は 競 技 の 強 化 に 欠 かせないトップ 選 手 の 登 竜 門 として 機 能 していただけでなく 大 会 の 運 営 や 競 技 の 普 及 に 欠 かせない 競 技 役 員 指 導 者 審 判 らの 人 材 育 成 輩 出 基 盤 としても 機 能 していたことが 考 えられる また 5.1.トライアスロンとの 比 較 結 果 から 抽 出 した OWS の 問 題 点 の 指 摘 のとおり 現 在 OWS には 大 学 生 高 校 生 小 中 学 生 などの 各 年 代 におけるエリート 選 手 が 不 在 であると 考 えられている そのため OWS においても 年 代 別 チャンピオンシップの 36

構 築 を 大 学 選 手 権 から 開 始 することで 第 1 段 階 として 大 学 選 手 権 を 底 辺 とした 5 重 構 造 と 大 学 生 を 底 辺 とした 逆 台 形 モデル が 構 築 されると 考 えられる( 図 17) 図 17 第 1 段 階 : 大 学 選 手 権 を 底 辺 とした 5 重 構 造 と 大 学 生 を 底 辺 とした 逆 台 形 モデル その 後 大 学 選 手 権 を 通 じて 大 学 生 たちがトップ 選 手 指 導 者 審 判 らとして 育 成 輩 出 され その 人 材 が やがて 次 世 代 を 担 う 小 中 高 校 生 の 指 導 育 成 の 担 い 手 とな り 強 化 普 及 が 促 進 され 第 2 段 階 として OWS の 6 重 構 造 と 逆 台 形 モデル ( 図 18)が 構 築 確 立 されると 考 えられる このことから 初 めに 大 学 選 手 権 から 実 施 して OWS の 6 重 構 造 を 構 築 していくことが 最 も 効 果 的 な 構 築 順 序 であると 考 えられる 図 18 第 2 段 階 :OWS の 6 重 構 造 と 逆 台 形 モデル 37

第 6 章 今 後 の 展 望 前 章 において OWS の 振 興 策 として OWS の 6 重 構 造 の 構 築 が 有 効 であることを 明 らかにし 大 学 選 手 権 から 順 次 構 築 していくことが 効 果 的 であることを 導 き 出 した しかしながら この 振 興 策 は 長 期 的 な 取 り 組 みが 求 められ 即 効 性 のある 短 期 的 な 効 果 が 望 みにくい そのため OWS の 成 長 発 展 のためには 即 効 性 のある 振 興 策 もあわせ て 構 築 する 必 要 がある わが 国 において 認 知 度 の 低 い OWS にとって 最 も 即 効 性 があ る 振 興 策 は オリンピックに 代 表 選 手 を 派 遣 させることと 考 える オリンピックへの 選 手 派 遣 が 実 現 できれば OWS の 認 知 度 が 劇 的 に 高 まることは 言 うまでもない そこで 本 章 では ロンドンオリンピック(2012 年 )に OWS 日 本 代 表 選 手 を 派 遣 させるた めの 施 策 として 1)どのような 競 泳 選 手 を 2)どのような 方 策 で OWS へ 移 行 させ 3) どのような 方 法 で 強 化 育 成 を 図 るか の 一 連 の 流 れをアクションプランとして 明 確 化 し 今 後 の 展 望 として 以 下 にまとめる 6.1. 世 界 とわが 国 の 競 技 レベルの 差 ~なぜ 競 泳 選 手 の 移 行 が 必 要 なのか~ まず わが 国 の OWS の 競 技 レベルを OWS 日 本 選 手 権 と 世 界 トップレベルのチャン ピオンシップの 競 技 結 果 を 比 較 して 検 証 した 図 19 図 20 は その 比 較 図 である( 図 19 は 男 子 図 20 は 女 子 ) チャンピオンシップの 完 泳 率 を 縦 軸 第 一 集 団 (***)の 中 で 競 泳 男 子 1500m 自 由 形 およ び 競 泳 女 子 800m 自 由 形 最 速 選 手 のタイムを 横 軸 第 一 集 団 を 構 成 する 選 手 数 を 円 の 大 きさで 表 した サンプルは OWS 日 本 選 手 権 (2008 年 ) 北 京 オリンピック(2008 年 ) 世 界 水 泳 選 手 権 バルセロナ 大 会 (2007 年 ) 欧 州 選 手 権 (2008 年 ) 全 豪 選 手 権 (2008 年 ) 全 米 選 手 権 (2006 年 )とした 図 19 に 競 泳 男 子 1500m 自 由 形 の 世 界 記 録 14 分 34 秒 56 を 青 線 で 日 本 記 録 15 分 06 秒 28 を 赤 線 で 表 示 した( 記 録 はいずれも 2009 年 1 月 1 日 現 在 ) 図 20 に 競 泳 女 子 800m 自 由 形 の 世 界 記 録 8 分 14 秒 10 を 青 線 で 日 本 記 録 8 分 23 秒 68 を 赤 線 で 表 示 した( 記 録 はいずれも 2009 年 1 月 1 日 現 在 ) 図 19 のとおり OWS 男 子 の 世 界 トップレベルのチャンピオンシップでは 競 泳 男 子 1500m 自 由 形 の 日 本 記 録 を 上 回 るベストタイムを 持 つ 選 手 を 含 む 11~16 人 が 第 一 集 団 を 形 成 し レース 終 盤 まで 激 しく 順 位 を 競 っている 図 20 のとおり OWS 女 子 の 世 界 トップレベルのチャンピオンシップでは 競 泳 女 子 800m 自 由 形 の 日 本 記 録 と 同 等 レベルのベストタイムを 持 つ 選 手 を 含 む 10~12 人 が 第 一 集 団 を 形 成 しながらレース 終 盤 まで 激 しくしのぎを 削 っている 図 19 図 20 のとおり 世 界 トップレベルのチャンピオンシップでは FINA ルールに よる 失 格 者 (1 位 選 手 のゴール 後 30 分 以 内 にゴールできない 選 手 )が 少 なく 出 場 選 手 の 完 泳 率 が 高 い 38

これらのデータから 1.2.4. 世 界 の OWS 上 位 国 と 上 位 選 手 の 属 性 で 先 述 のとおり 世 界 トップレベルの OWS 選 手 を 輩 出 する 上 位 国 では 競 泳 選 手 の OWS への 移 行 が 進 み 競 泳 でもオリンピック 出 場 を 果 たせるレベルのデュアルスイマーや OWS スペシャ リストが 多 く 存 在 し 競 技 レベルが 高 く 選 手 層 が 厚 いことが 伺 える 一 方 OWS 日 本 選 手 権 の 場 合 第 一 集 団 を 構 成 する 選 手 数 が 少 なく 競 泳 男 子 1500m 自 由 形 ( 競 泳 女 子 800m 自 由 形 )の 日 本 記 録 と 同 等 レベルのベストタイムを 持 つ 選 手 が 存 在 せず 出 場 選 手 の 完 泳 率 が 低 い( 女 子 の 完 泳 率 は 85.7%であるが 全 出 場 者 7 名 完 泳 者 6 名 の 大 会 規 模 のため 競 技 レベルの 判 断 材 料 にはならないと 判 断 した) このことから 集 団 による 激 しい 競 り 合 いがなく 競 泳 でオリンピック 出 場 が 果 たせる レベルの 選 手 が 不 在 で 選 手 間 の 競 技 レベル 差 が 大 きく 選 手 層 が 薄 いことが 伺 える 以 上 から わが 国 では OWS 上 位 国 に 比 べて 競 泳 選 手 の OWS への 移 行 が 進 まず その 結 果 競 技 レベル 選 手 層 ともに 上 位 国 に 大 きく 水 をあけられていると 推 察 する そのため 即 効 性 のある OWS の 振 興 には 競 泳 選 手 の OWS への 移 行 を 促 進 させる 具 体 的 な 方 策 の 構 築 が 必 要 と 考 える *** 本 節 では 1 位 選 手 のゴール 後 30 秒 以 内 にゴールした 選 手 までを 第 一 集 団 と 定 義 し た 図 19 チャンピオンシップにみる 競 技 レベルの 差 ( 男 子 ) 39

図 20 チャンピオンシップにみる 競 技 レベルの 差 ( 女 子 ) 6.2. 対 象 とすべき 競 泳 選 手 の 要 件 ~どのような 競 泳 選 手 を 移 行 させるか~ 前 節 において 即 効 性 のある OWS 振 興 の 施 策 として 競 泳 選 手 の OWS への 移 行 を 促 す 方 策 構 築 の 必 要 性 に 触 れた そこで 本 節 では どのレベル 層 の 競 泳 選 手 の 移 行 が 必 要 なのかを 海 外 で 活 躍 する OWS 選 手 のゾーンで 示 し 対 象 とすべき 競 泳 選 手 のスウィートゾーンを 設 定 する 6.2.1. スウィートゾーンの 設 定 図 21 図 22 図 23 図 24 は どのレベル 層 の 競 泳 選 手 を 移 行 させるのが 望 ましい かを 図 示 したものである 体 格 指 標 ( 体 重 kg 身 長 cm)を 縦 軸 競 泳 男 子 1500m 自 由 形 ( 競 泳 女 子 800m 自 由 形 )の タイムを 横 軸 北 京 オリンピック OWS 出 場 者 を 青 点 OWS 日 本 代 表 選 手 日 本 代 表 経 験 者 ( 男 子 4 名 女 子 3 名 )を 赤 点 競 泳 男 子 1500m 自 由 形 と 競 泳 女 子 800m 自 由 形 の 日 本 代 表 選 手 日 本 代 表 経 験 者 ( 男 子 5 名 女 子 4 名 )を 緑 点 で 表 した 図 21 図 22 に 競 泳 男 子 1500m 自 由 形 の 世 界 記 録 14 分 34 秒 56 を 青 線 で 日 本 記 録 15 分 06 秒 28 を 赤 線 で 表 示 した( 記 録 はいずれも 2009 年 1 月 1 日 現 在 ) 図 23 図 24 に 競 泳 女 子 800m 自 由 形 の 世 界 記 録 8 分 14 秒 10 を 青 線 で 日 本 記 録 8 分 23 秒 68 を 赤 線 で 表 示 した( 記 録 はいずれも 2009 年 1 月 1 日 現 在 ) 図 21 の 分 布 状 況 より 体 格 指 標 13000 以 上 18000 未 満 かつ 1500m 自 由 形 15 分 40

45 秒 00 をきるベストタイムをもつ 範 囲 は オリンピックの OWS 種 目 で 十 分 に 戦 う ことができるレベル いわゆるスウィートゾーンと 考 えられ 図 21 図 22 に 黒 線 で 囲 んで 表 記 した 図 23 の 分 布 状 況 より 体 格 指 標 9000 以 上 13000 未 満 かつ 800m 自 由 形 8 分 50 秒 00 をきるベストタイムをもつ 範 囲 に 属 する 選 手 は オリンピックの OWS 種 目 で 十 分 に 戦 うことができるレベル いわゆるスウィートゾーンと 考 えられ 図 23 図 24 に 黒 線 で 囲 んで 表 記 した 図 21 より OWS 男 子 日 本 代 表 選 手 日 本 代 表 経 験 者 の 4 選 手 は 北 京 オリンピック 出 場 者 と 比 べて 体 格 指 標 タイムとも 劣 っており スウィートゾーンから 外 れている 図 23 より OWS 女 子 日 本 代 表 選 手 日 本 代 表 経 験 者 の 3 選 手 のうち 2 選 手 は 北 京 オリンピック 出 場 者 と 比 べて 体 格 指 標 タイムとも 劣 っており スウィートゾーンか ら 外 れている 一 方 図 22 より 競 泳 男 子 1500m 自 由 形 日 本 代 表 選 手 日 本 代 表 経 験 者 の 5 選 手 の うち 2 選 手 はスウィートゾーンに 属 し 残 る 3 選 手 も 1500m 自 由 形 のタイムでは 十 分 なレベルを 示 している また 図 24 より 競 泳 女 子 800m 自 由 形 日 本 代 表 選 手 日 本 代 表 経 験 者 の 4 選 手 のう ち 3 選 手 はスウィートゾーンに 属 し 残 る 1 選 手 も 800m 自 由 形 のタイムでは 十 分 な レベルを 示 している このことから 競 泳 の 長 距 離 種 目 ( 男 子 1500m 自 由 形 女 子 800m 自 由 形 )の 日 本 代 表 クラスの 選 手 のなかには OWS の 経 験 を 積 めば オリンピックの OWS で 十 分 戦 える レベルの 選 手 が 存 在 することが 明 らかになった 以 上 の 結 果 から スウィートゾーンに 属 する 競 泳 選 手 に 的 を 絞 って OWS への 移 行 を 促 すことが 効 果 的 かつ 確 実 であると 考 える 6.2.2. スウィートゾーンに 属 する 競 泳 選 手 のオリンピック 出 場 の 可 能 性 ところで わが 国 の 競 泳 でオリンピック 出 場 を 果 たすためには オリンピック 開 催 年 に 行 われる 競 泳 日 本 選 手 権 における 当 該 種 目 の 決 勝 レースにおいて 2 位 以 内 に 入 り かつ JSF が 設 定 する オリンピック 派 遣 標 準 記 録 を 突 破 しなければならない JSF が 設 定 するオリンピック 派 遣 標 準 記 録 は 前 年 度 の FINA ランキングの 各 種 目 上 位 16 番 目 のタイムが 基 準 となっている そのため わが 国 に 比 べて 世 界 のレベルが 高 い 種 目 の 場 合 選 手 にとって 極 めてハードルの 高 い 標 準 記 録 の 設 定 となっている 表 14 は 男 子 1500m 自 由 形 と 女 子 800m 自 由 形 の 北 京 オリンピック 派 遣 標 準 記 録 であ る 男 子 1500m 自 由 形 の 場 合 派 遣 標 準 記 録 は 日 本 記 録 よりも 2 秒 以 上 速 い 設 定 とな っており スウィートゾーンに 属 する 大 半 の 選 手 にとって そのハードルは 極 めて 高 い ものとなっている 41