在 タイ 日 系 企 業 の 不 正 防 止 アプローチ 有 我 政 人 1.はじめに 従 業 員 による 在 庫 の 窃 盗 経 費 の 水 増 し 請 求 業 者 からのキックバック 帳 簿 の 改 ざん 不 正 支 出 など 不 正 スキームは 多 岐 にわたるが これら 全 ての 行 為 の 中 核 に 存 在 するのは 信 頼 を 裏 切 る 利 益 相 反 行 為 である 利 益 相 反 とは わかりやすく 言 えば 業 務 依 頼 があっ た 場 合 中 立 の 立 場 で 仕 事 を 行 わなければならない 者 が 自 己 や 第 三 者 の 利 益 を 図 り 依 頼 者 の 利 益 を 損 なう 行 為 のことである 企 業 は 事 業 を 円 滑 に 行 うため リソース( 資 金 人 的 資 源 )と 責 任 を 従 業 員 に 託 さなければならないため 従 業 員 が 雇 用 主 に 対 して 不 正 行 為 を 働 くと 多 くの 場 合 その 被 害 は 深 刻 なものになる 不 正 実 行 の 手 口 は 主 に 3 つのカテゴリーに 分 類 される (1) 資 産 の 不 正 流 用 実 行 者 が 所 属 組 織 の 資 産 を 盗 むまたは 悪 用 するスキーム 例 : 受 領 した 現 金 のスキミ ング 虚 偽 の 請 求 書 の 提 出 材 料 や 製 品 など 棚 卸 資 産 を 着 服 する 等 タイでは 最 も 件 数 の 多 い 不 正 手 口 (2) 汚 職 実 行 者 が 自 分 自 身 もしくは 他 者 の 利 益 を 得 るため 雇 用 主 に 対 する 義 務 に 反 して 商 取 引 における 自 らの 影 響 力 を 悪 用 する 不 正 スキーム 例 : 贈 収 賄 利 益 供 与 の 強 要 利 益 相 反 行 為 など (3) 財 務 諸 表 不 正 組 織 の 財 務 報 告 における 重 要 情 報 の 意 図 的 な 虚 偽 記 載 または 省 略 典 型 的 な 手 口 は 架 空 収 益 の 計 上 負 債 または 費 用 の 隠 蔽 資 産 の 過 大 計 上 など 最 も 多 額 の 損 失 をもた らす 不 正 手 口 アジアの 標 準 的 な 企 業 組 織 では 年 間 収 益 の 5%を 不 正 行 為 により 逸 失 しているという 数 値 がある ( 注 1) 不 正 を 発 見 するための 積 極 的 な 調 査 対 策 は 収 益 向 上 に 直 結 するもの として 在 タイ 日 系 企 業 においては 必 要 不 可 欠 なものとなっている ( 注 1: 出 所 : Report to the nations on occupational fraud and abuse, Asia-Pacifi c Edition 27
[ 職 業 上 の 不 正 と 濫 用 不 正 の 体 系 図 ] 出 所 : 公 認 不 正 検 査 士 協 会 職 業 上 の 不 正 と 濫 用 に 関 する 国 民 への 報 告 書 2.タイ 国 における 企 業 不 正 タイにおいて 不 正 のカテゴリーで 圧 倒 的 に 件 数 が 多 いのは 資 産 の 不 正 流 用 である これを 詳 しく 説 明 するため 不 正 実 行 者 が 用 いる 手 口 をさらに 9 種 類 のサブカテゴリーに 細 分 化 する 1) ~ 8) は 現 金 を 狙 うスキーム 1) ~ 2) は 売 上 や 売 掛 金 回 収 などで 受 領 する 現 金 の 窃 取 または 不 正 流 用 である 3) ~ 7) は 請 求 書 経 費 精 算 小 切 手 改 ざん 給 料 不 正 な レジ 操 作 などの 不 正 支 出 が 含 まれる 8) は 小 口 現 金 や 金 庫 の 現 金 など 組 織 の 手 許 現 金 を 28
標 的 にする 手 口 9) は 棚 卸 資 産 消 耗 品 固 定 資 産 知 的 財 産 など あらゆる 非 現 金 資 産 の 窃 取 不 正 利 用 が 含 まれる タイで 最 も 発 生 率 が 高 く 多 くの 日 系 企 業 を 悩 ませているのは 9) 現 金 以 外 の 資 産 ( 棚 卸 資 産 その 他 の 資 産 )の 不 正 流 用 スキームである [ 資 産 の 不 正 流 用 の 種 類 ] 現 金 の 受 領 に 係 る スキーム 現 金 の 支 出 に 係 る スキーム その 他 の 資 産 不 正 流 用 スキーム 手 口 の 種 類 解 説 例 1) スキミング 2) ラーセニー 3) 請 求 書 不 正 4) 経 費 精 算 5) 小 切 手 改 ざん 6) 給 与 不 正 7) レジ 8) 手 許 現 金 の 不 正 流 用 9) 現 金 以 外 の 資 産 ( 棚 卸 資 産 そ の 他 の 資 産 ) の 不 正 流 用 勤 務 先 の 帳 簿 および 記 録 に 計 上 される 前 の 現 金 を 着 服 する 勤 務 先 の 帳 簿 および 記 録 に 計 上 された 後 の 現 金 を 着 服 する 架 空 の 請 求 書 金 額 を 水 増 し した 請 求 書 私 的 な 購 入 に 関 する 請 求 書 などを 提 出 するこ とにより 勤 務 先 に 不 要 な 支 出 をさせる 勤 務 先 に 対 して 架 空 経 費 また は 水 増 し 経 費 を 請 求 する 勤 務 先 の 銀 行 口 座 の 小 切 手 の 偽 造 または 改 ざん 勤 務 先 が 正 規 の 受 取 人 に 対 して 振 り 出 した 小 切 手 の 窃 取 により 勤 務 先 の 資 金 を 着 服 する 報 酬 に 関 する 虚 偽 の 申 告 によ り 勤 務 先 から 支 払 を 受 ける レジへの 不 正 な 入 力 によりレ ジ 内 の 現 金 着 服 を 隠 ぺいする 勤 務 先 内 に 保 管 されている 現 金 を 不 正 流 用 する 勤 務 先 の 非 現 金 資 産 を 着 服 ま たは 誤 用 する 従 業 員 が 顧 客 から 支 払 を 受 領 するが 売 上 として 計 上 しない 従 業 員 が 当 日 入 金 分 とし 処 理 した 現 金 を 銀 行 預 金 口 座 に 入 金 する 前 に 着 服 する 従 業 員 が 架 空 会 社 を 設 立 し 提 供 していないサービスの 請 求 書 を 勤 務 先 に 支 払 わせる 従 業 員 が 私 用 目 的 で 購 入 した 物 品 の 請 求 書 を 勤 務 先 に 支 払 わせる 従 業 員 が 私 的 な 旅 行 架 空 の 食 事 代 などの 経 費 報 告 書 を 提 出 し 精 算 金 を 受 け 取 る 従 業 員 が 勤 務 先 の 白 地 小 切 手 を 盗 み 自 分 または 共 犯 者 宛 てに 振 り 出 す 従 業 員 が 納 入 業 者 宛 ての 小 切 手 を 盗 み 自 分 の 口 座 に 入 金 する 従 業 員 が 時 間 外 勤 務 を 虚 偽 申 告 する 従 業 員 がレジに 売 上 取 消 を 不 正 に 入 力 し その 分 の 現 金 を レジ 内 から 着 服 する 従 業 員 が 会 社 の 金 庫 から 現 金 を 着 服 する 従 業 員 が 倉 庫 から 棚 卸 資 産 を 着 服 する 従 業 員 が 顧 客 の 財 務 情 報 ( 機 密 情 報 )を 盗 むまたは 不 正 利 用 する 3. 企 業 不 正 スキームの 発 見 不 正 発 覚 のきっかけの 第 一 位 は 内 部 通 報 ( 全 体 の 43%)によるケースであり 他 の 手 段 を 抑 えて 最 も 多 くなっている 次 いで 内 部 監 査 ( 同 14%) 経 営 者 レビュー( 同 12%) 偶 然 ( 同 9%) 外 部 監 査 ( 同 5%) 勘 定 の 照 合 ( 同 5%) 書 類 の 精 査 ( 同 4%) その 他 の 手 段 となっている ここで 分 かることは 日 頃 から 行 なっている 勘 定 の 照 合 や 書 類 の 精 査 は 不 正 発 見 のきっかけの 有 効 な 手 段 にならないということである 通 報 者 の 内 訳 は 従 業 員 (48%) 顧 客 (20%) 匿 名 (17%) 納 入 業 者 (14%) 株 主 オーナー(5%) 29
競 合 他 社 (4%)となっており 従 業 員 顧 客 納 入 業 者 などが 企 業 にとって 不 正 発 見 のための 最 も 価 値 ある 情 報 源 となっていることがわかる ( 注 1) 在 タイ 日 系 企 業 では 目 安 箱 を 設 置 して 会 社 への 通 報 を 奨 励 しているものの 実 際 のところ 上 手 く 機 能 している 会 社 は 少 ない その 理 由 は 次 の 通 りである タイ 人 同 士 の 間 では 何 かを 会 社 に 通 報 しようとする 場 合 通 報 したことがバレて 執 拗 な 嫌 がらせ 脅 迫 等 を 受 けることが 多 く タイ 人 従 業 員 は 社 内 に 設 置 されている 目 安 箱 に 安 心 して 投 書 できない この 背 景 には 目 安 箱 を 管 理 する 側 が 社 内 のタイ 人 であり 投 書 内 容 が 容 易 に 漏 らされることのほか 都 合 の 悪 いことは 日 本 人 経 営 サイドに 報 告 せず 情 報 を 隠 匿 する 心 理 が 働 くこともあげられる また 目 安 箱 の 投 書 内 容 に 対 する 会 社 の 返 答 過 去 の 対 応 実 績 を 見 直 す 必 要 もある せっかく 投 書 しても 会 社 が 真 面 目 に 取 り 合 ってくれ ないなら 前 向 きな 投 書 行 為 は 陳 腐 化 していくからである 匿 名 内 部 通 報 制 度 の 構 築 を 考 える 場 合 は 社 内 のほか 信 頼 のおける 社 外 にも 窓 口 を 設 置 することで 通 報 が 上 がりにくい 社 内 通 報 スタイルを 補 完 していく 方 法 が 望 ましい 4. 不 正 実 行 者 について (1) 不 正 実 行 者 の 学 歴 と 在 職 期 間 職 業 上 の 不 正 は 複 数 名 による 犯 行 であり 主 犯 格 となるのは 概 ね 管 理 職 である 不 正 実 行 者 のキャラクターとしては 84%は 男 性 71%は 大 学 卒 以 上 の 学 歴 50%は 管 理 職 60% は 31 歳 から 45 歳 50%は 在 職 5 年 以 内 で 不 正 発 覚 在 職 5 年 超 の 不 正 実 行 者 の 場 合 は 5 年 未 満 の 者 の 犯 行 に 比 べてはるかに 高 額 の 損 失 をもたらす 不 正 実 行 者 の 85%は 過 去 に 刑 事 告 発 も 有 罪 判 決 も 受 けていない ( 注 1) 一 般 的 に 不 正 実 行 者 の 学 歴 と 在 職 期 間 は その 者 が 犯 す 不 正 の 規 模 と 一 定 の 相 関 があ ると 考 えられる タイでは 学 歴 が 高 い 者 ほど 組 織 内 でより 高 い 権 限 を 有 しており 巧 みな 不 正 スキームを 考 え 出 す 能 力 も 備 える 傾 向 がある 一 組 織 で 長 く 働 けば 働 くほど 組 織 内 の 管 理 手 続 に 詳 しくなるため 在 職 期 間 は 職 業 上 の 不 正 のレベルに 影 響 を 及 ぼす 管 理 手 続 に 精 通 した 者 は その 裏 をかくような 不 正 スキームを 考 えつきやすい さらに 在 職 期 間 の 長 い 者 は 同 僚 や 上 司 からの 信 頼 も 高 まる 傾 向 が 高 い このような 信 頼 感 はその 者 の 業 務 に 対 するチェックの 不 徹 底 につながりやすい またタイには 年 長 者 を 尊 敬 して 面 子 を 立 て 遠 慮 や 気 配 りをする 文 化 がある 場 合 に よっては 自 分 の 本 意 に 反 してでも これを 優 先 するため タイ 人 従 業 員 の 間 では 会 社 組 織 に 関 係 ないインフォーマル グループ( 非 公 式 集 団 社 内 で 自 然 発 生 的 に 生 まれる 人 間 関 係 派 閥 )の 中 での 意 思 決 定 が 優 先 される 傾 向 が 強 い この 結 果 職 位 職 責 に 関 係 の 無 い 縁 故 派 閥 主 義 の 中 で 不 正 行 為 やルール 違 反 の 情 報 が 隠 匿 されることがある (2) 人 はなぜ 悪 いと 知 りながら 不 正 をするのか 人 が 不 正 行 為 を 行 なう 仕 組 みについては 不 正 のトライアングル 理 論 が 一 般 的 である 30
この 理 論 では 不 正 行 為 は 動 機 機 会 正 当 化 という 不 正 リスクの 3 要 素 がすべてそ ろった 時 に 発 生 すると 考 えられている ( 注 2) 他 人 に 打 ち 明 けられない 金 銭 問 題 の 発 生 1 金 銭 問 題 を 引 き 起 こす 要 因 仕 事 上 のミスによる 損 失 の 発 生 動 機 私 生 活 での 失 敗 (プレシャー) 分 不 相 応 な( 華 美 な) 生 活 への 依 存 雇 用 主 の 自 分 に 対 する 処 遇 への 不 満 2 他 人 に 打 ち 明 けられない と 思 い 込 む 原 因 プライド 体 面 恥 孤 立 不 利 益 の 恐 れ 1 見 つからずに 不 正 行 為 ができる という 認 識 をもつ 誰 にもチェックされることなく 処 理 できる 自 分 1 人 に 任 されている 上 司 のチェックが 甘 く 見 つからない 他 の 人 が 見 つからずにやっているのを 目 撃 する 機 会 の 認 識 2 不 正 行 為 に 必 要 な 業 務 知 識 スキル 経 験 がある 同 一 部 署 への 所 属 期 間 が 長 い 担 当 業 務 の 知 識 経 験 が 豊 富 で 仕 事 ができる 権 限 をもっている 自 分 を 納 得 させ 不 正 行 為 に 踏 み 切 る ( 盗 むのではなく) 一 時 的 に 借 りるだけだ 今 回 限 りだから 正 当 化 会 社 には 貸 しがある このくらいの 金 額 は 会 社 にとってははした 金 だ チェックをしない 上 司 が 悪 い 動 機 (プレッシャー)が 高 まると 不 正 行 為 を 正 当 化 しやすくなる (3) 不 正 実 行 者 が 示 した 行 動 面 の 兆 候 職 業 上 の 不 正 犯 行 者 の 大 半 は 何 らかの 財 政 的 プレッシャーが 理 由 で 犯 行 に 至 る さらに 不 正 をする 者 は 犯 行 中 に 捕 まる 恐 怖 やストレスから 特 定 の 言 動 を 見 せることが 多 い 特 徴 的 な 不 正 の 兆 候 は 不 正 が 発 生 していることを 告 げる 危 険 信 号 であり 犯 行 者 が 示 す 特 徴 的 な 不 正 の 兆 候 を 分 析 することは 有 効 な 不 正 対 策 となる 下 表 は 典 型 的 な 16 の 不 正 の 兆 候 であり 該 当 者 の 行 動 や 取 引 への 監 視 を 強 化 することの 理 由 付 けとなる 分 不 相 応 な 生 活 をしている ( 全 体 の 38%) 仕 入 れ 業 者 や 顧 客 と 異 常 に 親 密 な 関 係 にある (34%) 経 済 的 に 困 窮 している (23%)は 不 正 の 兆 候 の 上 位 である ( 注 1) [ 不 正 実 行 者 の 行 動 面 の 兆 候 ] 1. 分 不 相 応 な 生 活 をしている 9. アルコール 薬 物 等 の 依 存 症 である 2. 仕 入 れ 業 者 や 顧 客 と 異 常 に 親 密 な 関 係 にある 10. 処 遇 に 対 する 不 満 を 抱 いている 3. 経 済 的 に 困 窮 している 11. 離 婚 などの 家 庭 内 の 問 題 を 抱 えている 4. 統 制 が 効 いていない 職 務 分 離 をしたがらない 12. 過 去 に 雇 用 上 の 問 題 があった 5. やり 手 だが 不 誠 実 な 言 動 が 目 立 つ 13. 権 限 のなさに 不 満 を 抱 いている 6. 組 織 内 での 過 度 なプレッシャー 14. 家 族 仲 間 から 過 度 の 出 世 へのプレッシャー 7. 休 暇 取 得 を 拒 否 する 15. 生 活 が 不 安 定 である 8. 怒 りっぽい 疑 り 深 い 身 構 えている 16. 過 去 に 法 律 問 題 を 抱 えていた 注 2: 出 所 :ドナルド R クレッシー Other People s Money: A Study in the Social Psychology of Embezzlement 31
5. 対 策 の 有 効 性 タイにおいて 最 も 効 果 の 高 い 不 正 対 策 は 抜 き 打 ち 監 査 および 内 部 通 報 制 度 の 構 築 であ る 両 対 策 とも 不 正 から 生 じる 損 失 を 40% 以 上 削 減 するという 調 査 結 果 がある 抜 き 打 ち 監 査 は 定 例 監 査 と 異 なり 不 正 実 行 者 の 隠 ぺい 工 作 を 混 乱 させることから 効 果 的 な 不 正 発 見 方 法 として 認 知 されている 内 部 通 報 制 度 が 有 効 なことは その 目 的 は 不 正 行 為 の 通 報 を 奨 励 することであり 事 実 不 正 発 覚 のきっかけの 第 一 位 は 内 部 通 報 となっ ていることから 予 測 できることである 会 社 が 不 正 発 見 能 力 を 最 大 限 に 高 めるには 匿 名 内 部 通 報 制 度 従 業 員 や 第 三 者 向 けの 不 正 対 策 認 識 向 上 プログラム 違 法 行 為 や 非 倫 理 的 行 為 に 関 する 通 報 を 促 すための 従 業 員 研 修 などの 対 策 と 不 定 期 に 抜 き 打 ち 監 査 を 行 なうことが 有 効 である ( 注 1) 企 業 の 不 正 対 策 の 実 施 状 況 と 不 正 から 生 じる 損 失 の 削 減 率 統 制 手 続 き 企 業 での 実 施 度 損 失 額 の 削 減 率 抜 き 打 ち 監 査 36% 48% 内 部 通 報 制 度 41% 44% 経 営 者 による 財 務 諸 表 への 宣 誓 63% 37% 人 事 異 動 / 休 暇 取 得 義 務 付 け 20% 37% 従 業 員 向 け 不 正 対 策 教 育 訓 練 36% 33% 経 営 者 によるレビュー 59% 31% 経 営 者 / 役 員 向 け 不 正 対 策 教 育 訓 練 39% 30% 財 務 報 告 に 係 る 内 部 統 制 の 外 部 監 査 63% 28% 行 動 規 範 69% 22% 内 部 通 報 者 への 報 奨 金 9% 21% 不 正 対 策 方 針 36% 4% 独 立 した 監 査 委 員 会 55% 2% 内 部 監 査 / 不 正 検 査 部 門 70% -% 従 業 員 支 援 プログラム 25% -% 外 部 監 査 人 による 財 務 諸 表 監 査 82% -% 6.おわりに タイでは 企 業 経 営 に 不 正 対 策 は 必 須 である この 中 においては 不 正 は 必 ず 起 きる と いう 前 提 のもと 不 正 リスク 管 理 をすることが 大 切 である 万 全 な 不 正 対 策 というものは 存 在 しないが 先 ず 大 切 なことは 不 正 の 兆 候 に 気 づく そして 伝 える ことであり 気 づきはリスク 管 理 伝 えるは 倫 理 ととらえる 気 づきを 学 習 することは 比 較 的 容 易 である が 気 づきを 人 に 伝 えることは 難 しい なぜならば 誰 もが 不 正 発 覚 の 引 き 金 を 引 くのは 嫌 と 思 っているし 会 社 のことよりも 自 分 家 族 同 僚 との 関 係 が 大 事 ストレスを 抱 え たくない 不 正 の 気 づきを 口 にしたら 職 場 で 孤 立 してしまうのではないかと 考 え 自 分 の 勇 気 のなさを 正 当 化 する 理 由 を 作 って 心 にバイアスを 掛 けてしまうからである 従 って 32
不 正 の 気 づきを 伝 えることを 簡 単 にすることは 不 正 リスク 管 理 の 最 も 効 果 的 な 取 り 組 み であり これが 匿 名 内 部 通 報 制 度 が 推 奨 される 理 由 である 一 方 内 部 監 査 または 不 正 検 査 部 門 の 設 置 など 内 部 統 制 環 境 の 整 備 には 相 当 な 予 算 投 入 が 必 要 となり 予 算 が 限 られた 企 業 においては 適 切 な 費 用 対 効 果 のバランスを 保 つこ とは 困 難 となる このような 企 業 組 織 においては 行 動 規 範 不 正 対 策 トレーニング 統 制 や 手 順 にかかるマネジメントレビューといった 統 制 方 法 が 推 奨 される これらは 僅 かな 費 用 で 実 施 できる 対 策 であり 不 正 防 止 摘 発 能 力 を 大 幅 に 高 めることができる 33