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(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

スライド 1

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし


情 報 通 信 機 器 等 に 係 る 繰 越 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 計 算 上 控 除 される 金 額 に 関 する 明 細 書 ( 付 表 ) 政 党 等 寄 附 金 特 別 控 除 額 の 計 算 明 細 書 国 庫 補 助 金 等 の 総 収 入 金 額 不 算 入 に 関

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社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 級 の 給 料 月 額 最 高 号 級 の 給 料 月 額 1 級 ( 単 位 : ) 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 9 級 1 級 135,6 185,8 222,9 261,

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (5 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 区 類 団 府 分 似 体 平 均 年 齢

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

Microsoft Word - H25年度の概要

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 ( 単 位 : 円 ) 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 413,


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平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

Microsoft PowerPoint a1.ppt

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考

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( 注 )1 ラスパイレス 指 数 とは 全 地 方 公 共 団 体 の 一 般 行 政 職 の 給 料 月 額 を 一 の 基 準 で 比 較 するため の 職 員 数 ( 構 成 )を 用 いて 学 歴 や 経 験 年 数 の 差 による 影 響 を 補 正 し の 行 政 職 俸 給 表 (

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

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平成16年度

1 ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 の 事 業 税 の 課 税 について ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 は 収 入 金 額 を 課 税 標 準 として 収 入 割 の 申 告 となります ( 法 72 条 の2 72 条 の 12 第 2 号 ) ガス 供 給 業 とその 他 の 事

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 最 高 号 給 の 給 料 月 額 243,7 37,8 35

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18 国立高等専門学校機構

Taro-H26改正_溶け込み_中学授業

第一部【証券情報】

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 (H20.4.1) 96.7 (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.4.1), (H25.4.1) 参 考 値 98.3 (H25.7.1) (H20.4.1) (H25.4

公表表紙

別紙3

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

連結計算書

(Microsoft Word - \213\213\227^\201E\222\350\210\365\212\307\227\235\214\366\225\\\201iH \)\201iHP\227p\201j.doc)

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Microsoft PowerPoint - 税制上の特例.pptx

c. 投 資 口 の 譲 渡 に 係 る 税 務 個 人 投 資 主 が 投 資 口 を 譲 渡 した 際 の 譲 渡 益 は 株 式 等 に 係 る 譲 渡 所 得 等 として 原 則 20%( 所 得 税 15% 住 民 税 5%)の 税 率 による 申 告 分 離 課 税 の 対 象 となりま

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41


m07 北見工業大学 様式①

平成24年度 業務概況書

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(Microsoft Word - \220\305\220\247\211\374\220\263.doc)

第316回取締役会議案

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

貸 借 対 照 表 内 訳 表 212 年 3 月 31 日 現 在 公 益 財 団 法 人 神 奈 川 県 公 園 協 会 科 目 公 益 目 的 事 業 会 計 収 益 事 業 等 会 計 法 人 会 計 内 部 取 引 消 去 合 計 Ⅰ 資 産 の 部 1. 流 動 資 産 現 金 預 金


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不 動 産 所 得 の 赤 字 < 土 地 等 の 取 得 の 負 債 利 子 なら 300 万 500 万 不 動 産 所 得 の 赤 字 300 万 のうち 利 子 分 の500 万 は 通 算 できない = 赤 字 分 の300 万 は 全 額 通 算 できないことになる = 損 益 通 算

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

第4回税制調査会 総4-1

<重要な会計方針及び注記>

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 135,6 243,7 2 級 185,8 37,8 3 級 4 級 222,9 354,7 ( 注 )

Microsoft Word - ☆f.doc

は し が き

波佐見町の給与・定員管理等について

Microsoft Word - H24様式(那珂市版).doc

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) (H25.4.1) (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.7.1) (H25.4.1) (H25.7.1)

目 次 貸 借 対 照 表 1 損 益 計 算 書 2 キャッシュ フロー 計 算 書 3 利 益 の 処 分 に 関 する 書 類 4 国 立 大 学 法 人 等 業 務 実 施 コスト 計 算 書 5 注 記 事 項 6 附 属 明 細 書 別 紙

財政再計算結果_色変更.indd

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 25 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 給 与 月 額 平 均 年 齢 平 均 給 料

Microsoft PowerPoint  22日修正最終確定.ppt

(5) 給 与 改 定 の 状 況 事 委 員 会 の 設 置 なし 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 民 間 給 与 公 務 員 給 与 較 差 勧 告 A B A-B ( 改 定 率 ) 給 与 改 定 率 ( 参 考 ) 国 の 改 定 率 24 年 度 円 円 円 円 ( ) 改

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

(2) 支 状 況 保 育 所 ( 定 員 60 人 以 上 ) 支 状 況 は 次 とおりです 1 総 入 構 成 比 は 割 合 が88.1% 活 動 外 入 が2.1% 特 別 入 が9.8%でした 2 構 成 比 は 運 営 費 入 が80.1% 経 常 経 費 補 助 金 入 が17.8%

目 次 1. 社 会 保 障 分 野 でできること 1 1 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 制 度 の 改 善 2 保 険 証 機 能 の 一 元 化 3 自 己 診 療 情 報 の 活 用 4 給 付 可 能 サービスの 行 政 側 からの 通 知 2. 年 金 分 野 でできること 5

Microsoft Word - 公表資料(H22).doc

も く じ 1 税 源 移 譲 1 2 何 が 変 わったのか 改 正 の 3 つ の ポイント ポイント1 国 から 地 方 へ 3 兆 円 規 模 の 税 源 が 移 譲 される 2 ポイント2 個 人 住 民 税 の 税 率 構 造 が 一 律 10%に 変 わる 3 ポイント3 個 々の 納

定 性 的 情 報 財 務 諸 表 等 1. 連 結 経 営 成 績 に 関 する 定 性 的 情 報 当 第 3 四 半 期 連 結 累 計 期 間 の 業 績 は 売 上 高 につきましては 前 年 同 四 半 期 累 計 期 間 比 15.1% 減 少 の 454 億 27 百 万 円 となり

資料2 年金制度等について(山下委員提出資料)

(5) 給 与 改 定 の 状 況 には 事 委 員 会 が 設 置 されていないため 勧 告 はありません 1 月 例 給 民 間 給 与 公 務 員 給 与 A B 24 年 度 事 委 員 会 の 勧 告 ( 参 考 ) 較 差 勧 告 給 与 改 定 率 国 の 改 定 率 AB ( 改 定

科 売 上 原 価 売 上 総 利 益 損 益 計 算 書 ( 自 平 成 26 年 4 月 1 日 至 平 成 27 年 3 月 31 日 ) 目 売 上 高 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 営 業 利 益 営 業 外 収 益 受 取 保 険 金 受 取 支 援 金 補 助 金 収 入 保

課 税 ベ ー ス の 拡 大 等 : - 租 税 特 別 措 置 の 見 直 し ( 後 掲 ) - 減 価 償 却 の 見 直 し ( 建 物 附 属 設 備 構 築 物 の 償 却 方 法 を 定 額 法 に 一 本 化 ) - 欠 損 金 繰 越 控 除 の 更 な る 見 直 し ( 大

16 日本学生支援機構

国税連携ファイル記録項目一覧

定款

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

Transcription:

海 外 における 法 人 税 と 社 会 保 障 制 度 等 の 動 向 調 査 報 告 書 平 成 23 年 3 月 財 団 法 人 委 託 先 企 業 活 力 研 究 所 三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティンク この 事 業 は, 競 輪 の 補 助 金 を 受 けて 実 施 したものです http://ringring-keirin.jp

本 調 査 研 究 の 趣 旨 日 本 の 法 人 税 率 は 先 進 国 の 中 でもトップクラスに 高 く 企 業 に 重 い 負 担 となっている 一 方 現 在 国 際 比 較 の 対 象 となっている 実 効 税 率 は 法 人 所 得 にかかる 税 率 の 単 純 比 較 で あり 企 業 の 租 税 負 担 率 を 正 確 に 示 すものではない また 日 本 の 社 会 保 障 制 度 は 労 使 折 半 で 社 会 保 険 料 を 負 担 する 社 会 保 険 方 式 を 基 本 としており 個 人 だけでなく 企 業 に 対 し ても 重 い 負 担 を 求 めている 企 業 の 経 済 活 動 のグローバル 化 の 進 展 に 伴 い 我 が 国 の 法 人 税 を 始 め 事 業 活 動 に 伴 い 発 生 する 租 税 や 社 会 保 険 料 等 の 企 業 の 公 的 負 担 は 企 業 の 国 際 競 争 力 や 企 業 立 地 選 択 等 に 影 響 があるものと 思 われる 社 会 保 障 に 関 しても 国 民 が 負 担 する 税 保 険 料 の 総 額 は 年 々 増 加 しており 将 来 世 代 への 過 大 な 負 担 とならないためにも 現 行 制 度 の 改 善 が 求 められて いる 税 や 社 会 保 険 料 負 担 分 を 含 めた 企 業 の 公 的 負 担 については 例 えば 経 済 産 業 省 企 業 の 公 的 負 担 に 関 する 国 際 比 較 調 査 1 ( 平 成 21 年 度 )によれば 我 が 国 企 業 の 総 合 的 な 公 的 負 担 の 割 合 は 実 態 ベースで 50.4%とされている 本 調 査 では 企 業 の 公 的 負 担 の 国 際 比 較 に 関 する 先 行 研 究 の 精 査 を 行 うとともに フラ ンスにおける 法 人 税 や 社 会 保 険 料 等 の 公 的 負 担 の 実 態 について 海 外 現 地 調 査 を 実 施 した その 理 由 としては フランスは 法 人 税 負 担 に 比 較 して 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 等 が 高 い ことで 知 られており 税 だけではなく 総 合 的 な 公 的 負 担 の 大 きさと 企 業 の 国 際 競 争 力 との 関 係 を 考 察 する 上 で 示 唆 に 富 む 情 報 が 得 られる また 超 高 齢 化 社 会 が 目 前 に 迫 ってい る 我 が 国 において 今 後 の 法 人 税 制 や 企 業 の 社 会 保 険 料 負 担 の 在 り 方 バランスを 検 討 す る 上 でも 議 論 の 素 材 を 得 られると 考 えた これらの 国 際 比 較 の 調 査 結 果 を 踏 まえ 今 後 我 が 国 企 業 の 国 際 的 な 競 争 力 を 保 ちつつ 法 人 税 制 や 社 会 保 障 制 度 のあり 方 の 検 討 が 行 われることを 期 待 する なお 本 報 告 書 は 財 団 法 人 企 業 活 力 研 究 所 が 財 団 法 人 JKAより 自 転 車 等 機 械 工 業 振 興 事 業 に 関 する 補 助 金 の 交 付 を 受 けて 実 施 した 調 査 研 究 の 成 果 を 取 りまとめたものです 1 米 国 英 国 オランダ インド 南 アフリカについて 調 査 を 行 っている i

本 調 査 研 究 の 概 要 第 Ⅰ 部 においては 企 業 の 公 的 負 担 についての 国 際 比 較 を 実 施 している 先 行 研 究 の 精 査 を 行 った 先 行 研 究 では 企 業 の 公 的 負 担 の 捉 え 方 について 大 きく 分 けて 以 下 の2 通 り のアプローチ 方 法 が 示 されていた すなわち 一 つ 目 はマクロからの 比 較 分 析 として 企 業 の 公 的 負 担 を1 法 人 税 負 担 2 法 人 が 負 担 する 税 額 全 体 3 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 のいずれか または1から3の 組 み 合 わせとして 捉 え それを4 対 国 民 所 得 比 または5 対 GDP 比 の 大 きさで 国 際 比 較 を 実 施 し ているものである これに 対 して 二 つ 目 はミクロからの 比 較 分 析 として 個 々の 企 業 の 上 記 1から3のい ずれか または 組 み 合 わせを 企 業 の 所 得 の 大 きさで 除 し 負 担 率 の 大 きさを 比 較 分 析 す るものである 公 的 負 担 の 大 きさをどのような 指 標 で 見 るべきなのかという 点 に 関 しては 議 論 が 分 かれ る マクロの 比 較 分 析 の 結 果 から 示 されるのは 欧 米 諸 国 に 比 べ 我 が 国 企 業 の 公 的 負 担 は 法 人 税 負 担 だけで 見 ると 高 いが 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 を 加 えて 比 較 すると 必 ずしも 高 いというわけではない ということである とりわけ 今 回 の 調 査 対 象 であるフランス と 比 べると この 傾 向 は 顕 著 になる なお 法 人 税 負 担 で 公 的 負 担 の 大 きさを 捉 える 場 合 でも 実 効 税 率 だけをみて 比 較 するのではなく 課 税 ベースの 広 狭 や 税 額 控 除 等 の 優 遇 措 置 の 扱 いをできるだけ 統 一 的 に 捉 える といった 工 夫 も 併 せて 検 討 しなければならない 一 方 ミクロの 比 較 分 析 については 調 査 対 象 企 業 の 財 務 状 況 にも 大 きく 左 右 されるも のの 特 に 法 人 税 の 実 負 担 率 狭 義 の 公 的 負 担 率 総 合 的 な 公 的 負 担 率 という 以 下 の3つの 概 念 を 用 いた 負 担 比 較 では 総 じて 日 本 の 公 的 負 担 率 が 他 国 に 比 べて 高 いため 立 地 競 争 力 上 の 足 かせになる 懸 念 が 示 されている < 公 的 負 担 の3つの 概 念 > 法 人 税 実 負 担 率 = 法 人 所 得 課 税 / 税 引 前 純 損 益 狭 義 の 公 的 負 担 率 =( 法 人 所 得 課 税 + 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 額 ) /( 税 引 前 純 損 益 + 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 額 ) 総 合 的 な 公 的 負 担 率 =( 企 業 が 負 担 する 税 + 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 額 ) /( 税 引 前 純 損 益 + 企 業 が 負 担 する 税 + 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 額 - 法 人 所 得 課 税 ) 第 Ⅱ 部 においては フランスにおける 企 業 の 公 的 負 担 を 国 税 地 方 税 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 という3つの 側 面 から 捉 え 各 税 制 社 会 保 険 料 の 課 税 標 準 や 税 率 事 業 主 負 担 の 大 きさについて 整 理 した この 結 果 フランスでは 付 加 価 値 税 負 担 等 に 比 べ 法 人 税 負 担 が 相 対 的 に 低 いこと 地 方 ii

税 での 企 業 負 担 が 多 数 あること また 固 定 資 産 税 等 は 地 方 ごとに 税 率 が 異 なるので 立 地 する 地 方 により 税 負 担 ( 公 的 負 担 )に 大 きな 差 が 出 る 可 能 性 があること 等 が 示 された さらに 税 負 担 に 比 べ 社 会 保 険 料 事 業 主 の 負 担 が 重 いこと 多 岐 にわたっていること が 制 度 面 からも 示 された なお フランスの 社 会 保 障 制 度 は 伝 統 的 に 職 域 ごとの 団 体 が 基 盤 となっていたため 国 の 干 渉 をできるだけ 排 除 する 制 度 構 築 を 目 指 してきた このため ヨーロッパ 各 国 が 社 会 保 障 制 度 の 財 源 に 租 税 を 導 入 する 中 フランスでは 社 会 保 険 制 度 を 基 本 とする 制 度 が 担 保 されてきた しかし 経 済 環 境 の 悪 化 によって 拡 大 する 社 会 保 険 料 の 確 保 が 困 難 にな ってきたため 80 年 代 以 降 は 租 税 代 替 化 が 進 行 している 資 料 編 では フランス 企 業 を 対 象 とした 公 的 負 担 の 実 態 を 今 回 調 査 でのアンケートの 回 答 が 得 られた5 企 業 について 分 析 している 分 析 の 枠 組 みは 第 Ⅰ 部 のミクロ 的 分 析 に て 紹 介 した3つの 概 念 法 人 税 の 実 負 担 率 狭 義 の 公 的 負 担 率 総 合 的 な 公 的 負 担 率 に 依 っている 個 々の 企 業 の 財 務 状 況 や 業 種 人 員 構 成 報 酬 水 準 等 により 公 的 負 担 の 大 きさは 異 な ってくるため 傾 向 的 なことは 言 えないが 各 社 とも 社 会 保 険 料 負 担 が 多 くなっているこ とが 読 み 取 れる また 業 種 ( 企 業 ) 特 性 によって 負 担 している 税 種 にも 相 違 があるこ とが 示 唆 された なお 資 料 編 には 使 用 した 調 査 票 ( 和 文 仏 文 )も 添 付 した iii

iv

- 目 次 - Ⅰ. 諸 外 国 における 企 業 の 公 的 負 担 先 行 研 究 の 整 理...1 1.マクロの 視 点 からの 分 析...1 1.1 日 本 経 済 団 体 連 合 会 (2010)による 国 際 比 較 調 査...1 1.2 加 藤 慶 一 氏 (2010)による 計 測 手 法 別 国 際 比 較...4 2.ミクロの 視 点 からの 分 析...10 2.1 経 済 産 業 省 (2009) 企 業 の 公 的 負 担 に 関 する 国 際 比 較 調 査...10 2.2 日 本 総 合 研 究 所 (2006) 欧 州 米 国 の 主 要 企 業 の 社 会 保 障 負 担 の 実 態 調 査...12 Ⅱ.フランスにおける 企 業 の 公 的 負 担 制 度 の 概 要...16 1. 国 税...16 1.1 企 業 が 負 担 する 国 税...16 1.2 法 人 税 (Impôts sur les sociétés)...17 1.3 付 加 価 値 税 (Taxe sur la valeur ajoutee)...20 1.4 エネルギー 消 費 課 税...21 1.5 一 般 環 境 汚 染 活 動 税 (Taxe générale sur les activités polluantes)...21 1.6 登 録 免 許 税...21 1.7 営 業 用 自 動 車 登 録 税...22 2. 地 方 税...23 2.1 企 業 が 負 担 する 地 方 税...23 2.2 国 土 経 済 貢 献 税 (CET)...24 2.3 既 建 築 固 定 資 産 税 (Taxe foncière sur les propriétés bâties)...26 2.4 未 建 築 固 定 資 産 税 (Taxe foncière sur les propriétés non bâties)...28 2.5 職 業 税 (Taxe professionnelle)...29 3. 社 会 保 障 費 の 事 業 主 負 担...32 3.1 社 会 保 険 料 負 担 の 推 移...32 3.2 フランスの 社 会 保 障 制 度...32 資 料 編...37 資 料 1 フランスにおける 公 的 負 担 の 実 態...39 資 料 2 調 査 票 ( 和 文 )...46 資 料 3 調 査 票 ( 仏 文 )...54

Ⅰ. 諸 外 国 における 企 業 の 公 的 負 担 先 行 研 究 の 整 理 第 Ⅰ 部 では 企 業 の 公 的 負 担 に 関 する 先 行 研 究 について 整 理 していく ここでは 主 に 国 際 比 較 を 扱 っている 先 行 研 究 のうち 国 全 体 で 捉 えた 企 業 の 公 的 負 担 について 検 証 している 文 献 (マクロの 視 点 からの 分 析 ) また 個 々の 企 業 の 公 的 負 担 について 検 討 している 文 献 (ミ クロの 視 点 からの 分 析 )の 内 容 を 概 説 する 1.マクロの 視 点 からの 分 析 2 1.1 日 本 経 済 団 体 連 合 会 (2010)による 国 際 比 較 調 査 日 本 経 済 団 体 連 合 会 では 政 府 が 2010 年 6 月 に 新 成 長 戦 略 を 公 表 するのに 先 立 ち 企 業 の 国 際 競 争 力 の 強 化 等 を 推 進 する 視 点 から 2009 年 12 月 に 経 済 危 機 脱 却 後 を 見 据 え た 新 たな 成 長 戦 略 2010 年 1 月 に 産 業 構 造 の 将 来 像 をそれぞれ 公 表 している 日 本 経 済 団 体 連 合 会 (2010)は 政 府 の 新 成 長 戦 略 に 対 する 同 団 体 の 意 見 を 改 めてまとめた ものである この 中 で 税 財 政 社 会 保 障 の 一 体 改 革 を 提 言 するに 当 たり 企 業 の 公 的 負 担 に 関 する 国 際 比 較 を 行 っている ここでの 国 際 比 較 の 方 法 は 国 内 総 生 産 ( 以 下 GDP という)や 国 民 所 得 に 基 づいた 分 析 を 採 用 しており 対 象 国 はフランスをはじめ アメリカ イギリス ドイツ スウェーデン など 欧 米 諸 国 と OECD 諸 国 である 日 本 経 済 団 体 連 合 会 (2010)は 最 新 のデータに 基 づいて 国 際 比 較 を 行 っており 対 象 分 野 は 政 府 の 財 政 規 模 や 租 税 収 入 債 務 残 高 など 多 岐 にわた っている この 中 で 公 的 負 担 については 租 税 と 社 会 保 障 費 を 加 えた 概 念 で GDP や 国 民 所 得 で 除 したものを 諸 外 国 と 比 較 分 析 している 公 的 負 担 に 関 する 日 本 経 済 団 体 連 合 会 (2010)の 結 果 を 簡 単 に 整 理 していくと 以 下 に 示 す3つの 図 に 帰 着 する 図 Ⅰ- 1 は 租 税 と 社 会 保 障 費 を 国 民 所 得 で 除 したもので 日 本 は 2010 年 の 推 計 値 を 利 用 し フランスを 始 めとする 欧 米 諸 国 は 2007 年 のデータである フランスはスウェーデン に 次 いで 公 的 負 担 の 比 率 が 高 く 既 に 対 国 民 所 得 比 で 61.2% GDP 比 では 45.5%になっ ている 日 本 は この 中 ではアメリカに 次 いで 公 的 負 担 が 小 さいが 日 本 経 済 団 体 連 合 会 (2010)では 巨 額 な 政 府 債 務 の 実 態 を 踏 まえ 借 金 を 重 ねて 将 来 世 代 に 負 担 を 先 送 りする 低 負 担 の 現 状 を 改 め 持 続 可 能 な 中 福 祉 中 負 担 に 見 合 った 給 付 と 負 担 を 目 指 すため には 全 国 民 で 支 える 消 費 税 を 中 心 に 安 定 財 源 を 確 保 していく 必 要 がある この 結 果 国 民 負 担 率 が 現 行 の40% 弱 から50% 台 へと 上 昇 することもやむを 得 ない と 提 言 を 加 えてい る 2 日 本 経 済 団 体 連 合 会 (2010) 豊 かで 活 力 ある 国 民 生 活 を 目 指 して~ 経 団 連 成 長 戦 略 2010~ 1

(%) 70 60 50 40 社 会 保 障 負 担 率 租 税 負 担 率 39.0 (27.6) 34.9 (28.6) 48.4 (37.7) 52.3 (39.4) 10.6 21.9 61.2 (45.5) 24.2 64.8 (48.6) 17.1 30 20 10 17.5 8.5 21.5 26.4 37.8 30.4 37.0 47.7 0 日 本 (2010 年 度 ) アメリカ(2007 年 ) イギリス(2007 年 ) ドイツ(2007 年 ) フランス(2007 年 ) スウェーデン(2007 年 ) 注 1: 日 本 は 2010 年 度 推 計 値 諸 外 国 は 2007 年 実 績 値 である 注 2:カッコ 内 の 数 字 は 対 GDP 比 率 である 資 料 : 財 務 省 図 Ⅰ- 1 租 税 と 社 会 保 障 費 の 公 的 負 担 の 国 際 比 較 ( 対 国 民 所 得 比 ) 図 Ⅰ- 1 の 租 税 部 分 の 内 訳 を 示 したものが 図 Ⅰ- 2 である 日 本 経 済 団 体 連 合 会 (2010) は 諸 外 国 と 比 較 しながら 日 本 の 税 制 は 本 来 基 幹 税 となるべき 個 人 所 得 課 税 や 消 費 課 税 が 不 十 分 なために 景 気 変 動 の 影 響 が 大 きく 税 収 が 不 安 定 な 法 人 課 税 に 依 存 している と 分 析 している 安 定 した 財 源 を 確 保 するためにはとりわけ 消 費 課 税 を 強 化 すべきと 述 べて いる (%) 60 50 40 0.6 30 20 10 0 個 人 所 得 課 税 社 会 保 険 料 消 費 課 税 法 人 課 税 資 産 課 税 その 他 (35.8) 1.9 3.9 0.1 10.9 9.1 (28.3) (28.3) 2.5 4.8 5.1 10.3 0.0 4.7 (36.1) 0.2 4.5 3.4 3.1 3.1 10.5 6.6 6.6 (36.2) (43.5) 2.8 0.2 0.9 2.2 10.6 10.7 13.2 16.1 9.4 10.8 10.9 9.1 5.5 7.4 (48.3) 2.9 1.2 3.5 3.8 3.0 12.9 12.6 14.9 OECD 日 本 アメリカ イギリス ドイツ フランス スウェーデン 注 :2007 年 のデータ 個 人 所 得 には 給 与 所 得 に 加 え 資 本 所 得 も 含 まれる 出 所 :OECD Revenue Statistics 1965-2008 資 料 : 日 本 経 済 団 体 連 合 会 (2010)にフランス 分 を 加 筆 して 作 成 図 Ⅰ- 2 税 社 会 保 険 料 負 担 の 内 訳 の 国 際 比 較 ( 対 GDP 比 ) 2

公 的 負 担 の 最 後 の 議 論 で 取 り 上 げているのが 社 会 保 険 料 の 事 業 主 負 担 と 法 人 所 得 課 税 である ここではフランスに 加 え アメリカ イギリス ドイツ スウェーデンと 比 較 し ている 日 本 経 済 団 体 連 合 会 (2010)では 日 本 企 業 が 新 規 の 設 備 投 資 を 海 外 で 実 施 するこ とが 常 態 化 していること 本 社 機 能 を 移 す 可 能 性 すらあることを 指 摘 し このまま 現 状 が 放 置 されれば 国 内 において 十 分 な 投 資 や 雇 用 の 水 準 を 維 持 することは 到 底 不 可 能 であり わが 国 経 済 がグローバルな 競 争 から 劣 後 し 衰 退 に 向 かうことは 必 至 である と 述 べてい る そして 図 Ⅰ- 3 を 示 し 日 本 が 今 後 社 会 保 険 料 の 事 業 主 負 担 を 引 き 上 げていくことが 確 実 な 状 況 であるのに 対 して 欧 米 諸 国 では 見 直 しが 進 められ 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 が 低 下 していく 可 能 性 があり 企 業 の 公 的 負 担 で 欧 米 諸 国 を 逆 転 することが 懸 念 される と 分 析 している 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 (%) 6.5 6.4 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 法 人 所 得 課 税 額 4.1 5.1 4.2 4.8 2.8 8.7 4.0 15.0 5.0 13.0 日 本 アメリカ イギリス ドイツ フランス スウェーデン 注 : 各 国 の 2006 年 度 データを 使 用 している 資 料 : 政 府 税 調 図 Ⅰ- 3 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 及 び 法 人 所 得 課 税 の 国 際 比 較 ( 対 国 民 所 得 比 ) 3

3 1.2 加 藤 慶 一 氏 (2010)による 計 測 手 法 別 国 際 比 較 加 藤 慶 一 氏 (2010)は 政 府 の 新 成 長 戦 略 の 策 定 に 向 け 法 人 課 税 に 対 する 議 論 が 活 発 化 することを 踏 まえ 法 人 税 等 の 企 業 の 公 的 負 担 の 計 測 手 法 と 国 際 比 較 に 関 する 様 々な 先 行 研 究 を 整 理 し その 評 価 を 行 うことを 目 的 としている 国 際 比 較 の 手 法 として 加 藤 慶 一 氏 (2010)は5つの 方 法 について 言 及 している ここで の5つの 方 法 とは 1)GDP に 占 める 法 人 税 収 の 比 率 2) 税 務 統 計 上 の 課 税 所 得 に 占 める 法 人 税 等 納 税 額 の 比 率 3)GDP 統 計 上 の 企 業 所 得 に 占 める 法 人 税 等 の 額 の 比 率 4)モデル 企 業 に 各 国 の 法 人 税 制 を 適 用 した 場 合 の 大 きさを 比 較 する 手 法 5) 個 別 企 業 の 財 務 データに 基 づく 計 測 手 法 である 本 稿 では 集 計 値 を 用 いて 検 討 するマクロ 的 視 点 と 個 々の 企 業 の 負 担 を 分 析 するミク ロ 的 視 点 に 分 けて 国 際 比 較 分 析 を 整 理 している こうした 観 点 に 立 てば 4)モデル 企 業 に 各 国 の 法 人 税 制 を 適 用 した 場 合 の 大 きさを 比 較 する 手 法 5) 個 別 企 業 の 財 務 データに 基 づ く 計 測 手 法 は ミクロ 的 視 点 に 基 づく 分 析 と 言 える したがって ここでの 分 類 に 従 えば 4)と 5)については 次 項 で 扱 うべき 内 容 ともい えるが 1つの 先 行 研 究 にまとめられていることから 4)については 本 章 5)について は 次 章 で 整 理 していくこととする 3 加 藤 慶 一 (2010) 企 業 の 法 人 税 等 負 担 の 計 測 手 法 と 国 際 比 較 レファレンス 2010 年 10 月 号 4

1.2.1 GDP に 占 める 法 人 税 収 の 比 率 GDP に 占 める 法 人 税 収 の 比 率 を 用 いる 例 としては OECD 統 計 がその 代 表 である 加 藤 慶 一 氏 (2010)では その 先 行 研 究 として 主 に 井 立 雅 之 氏 (2007) 4 を 取 り 上 げ 検 証 結 果 を 近 年 のデータで 更 新 して 図 Ⅰ- 4 のように 示 している この 結 果 からは 現 在 でも 井 立 雅 之 氏 (2007)の 指 摘 のとおり 社 会 保 険 料 の 事 業 主 負 担 を 含 めると 日 本 企 業 の 公 的 負 担 は 国 際 的 に 見 ても 必 ずしも 大 きなものではない という 結 論 が 導 出 されることになる (%) 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 4.7 1.0 4.8 民 間 医 療 保 険 負 担 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 不 動 産 課 税 法 人 所 得 課 税 3.8 3.3 3.7 1.6 1.5 6.3 3.0 3.4 2.9 日 本 アメリカ イギリス ドイツ フランス イタリア 0.3 11.0 4.4 0.5 8.9 6.4 0.5 注 1: 法 人 所 得 課 税 には 地 方 の 事 業 課 税 等 を 含 む 注 2: 日 本 アメリカ イタリアの 不 動 産 課 税 を 法 人 分 と 個 人 分 に 配 分 するに 当 たっては 井 立 雅 之 (2007)で 用 いられている 比 率 をそのまま 適 用 した 資 料 : 加 藤 慶 一 (2010) 図 Ⅰ- 4 法 人 課 税 の 負 担 に 関 する GDP 対 比 による 国 際 比 較 (2007 年 ) 1.2.2 税 務 統 計 上 の 課 税 所 得 に 占 める 法 人 税 等 納 税 額 の 比 率 税 務 統 計 上 の 課 税 所 得 に 占 める 法 人 税 等 納 税 額 の 比 率 で 検 討 している 先 行 研 究 として 加 藤 慶 一 氏 (2010)はここでは 跡 田 直 澄 氏 ほか(2000) 5 と 吉 田 有 里 氏 (2008) 6 を 取 り 上 げてい る この 方 法 では 税 額 調 整 後 実 効 税 率 7 を 採 用 している 法 人 税 等 が 実 態 に 合 わせて 計 測 されているため 特 に 中 小 企 業 に 軽 減 税 率 が 適 用 されている 場 合 などの 課 題 解 消 には 4 井 立 雅 之 (2007) 法 人 課 税 の 負 担 水 準 に 関 する 国 際 比 較 について 地 方 税 源 の 充 実 と 地 方 法 人 課 税 神 奈 川 県 地 方 税 制 等 研 究 会 ワーキンググループ 報 告 書 5 跡 田 直 澄 ほか(2000) 企 業 税 制 と 法 人 の 税 負 担 の 国 際 比 較 跡 田 直 澄 編 著 企 業 税 制 改 革 実 証 分 析 と 対 策 提 言 日 本 評 論 社 6 吉 田 有 里 (2007) 法 人 課 税 の 実 効 税 率 による 国 際 比 較 税 務 弘 報 56 巻 9 号. 7 税 額 調 整 前 実 効 税 率 と 税 額 調 整 後 実 効 税 率 の 相 違 は 日 本 の 場 合 次 のように 整 理 できる 税 額 調 整 前 実 効 税 率 =( 法 人 税 算 出 額 + 法 人 住 民 税 + 事 業 税 )/( 課 税 所 得 + 前 年 度 事 業 税 ) 税 額 調 整 後 実 効 税 率 =( 法 人 税 算 出 額 + 法 人 住 民 税 + 事 業 税 + 加 算 税 - 税 額 控 除 )/( 課 税 所 得 + 前 年 度 事 業 税 ) 5

有 効 であるとしている その 一 方 で この 方 法 は 分 母 である 課 税 所 得 を 所 与 のものとし ているため 国 ごとの 課 税 ベースの 広 狭 は 勘 案 されていない 法 人 の 負 担 する 資 産 課 税 や 社 会 保 険 料 の 事 業 主 負 担 が 考 慮 されていないので 企 業 の 公 的 負 担 全 体 を 測 るには 十 分 で ないとの 批 判 もありうる と 言 及 している ここでの 結 果 は 図 Ⅰ- 5 に 示 されているように 日 本 の 法 人 税 負 担 率 ( 税 額 調 整 後 実 効 税 率 )は アメリカ イギリスに 比 べて 高 くなって いたが 1998 年 以 降 徐 々に 負 担 率 が 近 づきつつあることを 示 している ( 税 額 調 整 後 実 効 税 率 ) 図 Ⅰ- 5 日 米 英 の 税 額 調 整 後 実 効 税 率 の 推 移 1.2.3 GDP 統 計 上 の 企 業 所 得 に 占 める 法 人 税 等 の 額 の 比 率 次 に 加 藤 慶 一 氏 (2010)は 企 業 の 公 的 負 担 の 国 際 比 較 を 行 っている 先 行 研 究 の 中 で GDP 統 計 上 の 企 業 所 得 に 占 める 法 人 税 等 の 額 の 比 率 を 利 用 している 研 究 例 として 経 済 産 業 省 の 経 済 社 会 の 持 続 的 発 展 のための 企 業 税 制 改 革 に 関 する 研 究 会 が 2006 年 にまと めた 報 告 書 を 取 り 上 げている これは 国 民 経 済 計 算 のデータを 使 用 して 日 本 とアメリカ を 比 較 検 討 したものである 結 果 は 日 本 企 業 の 法 人 税 等 の 比 率 がアメリカに 比 べて 高 く 近 年 日 本 の 比 率 が 上 昇 して その 乖 離 が 拡 大 していることを 示 している( 図 Ⅰ- 6) この 結 果 に 対 しては アメリカに ついては 金 融 業 の 利 子 賃 貸 料 収 支 を 含 む 税 引 前 企 業 収 益 を 分 母 に 用 いる 一 方 日 本 については 利 子 賃 貸 料 収 支 を 含 まない 営 業 余 剰 ( 純 ) を 用 いている 点 に 違 い があるため 同 じ 条 件 で 比 較 していないことがこうした 乖 離 を 生 む 原 因 となっていると 説 明 している こうした 違 いを 調 整 すると 1990 年 代 以 降 日 本 の 負 担 率 は 大 幅 に 低 下 し 6

近 年 は 20% 台 前 半 で 推 移 していると 述 べている 8 この 他 GDP 統 計 上 の 企 業 所 得 は 黒 字 企 業 の 所 得 と 赤 字 企 業 の 欠 損 とを 通 算 した 結 果 であるため 赤 字 企 業 の 欠 損 額 が 多 い 国 ほど 分 母 が 小 さくなり したがって 負 担 率 が 高 く 算 出 される という 点 にも 留 意 が 必 要 である 図 Ⅰ- 6 GDP 統 計 上 の 企 業 所 得 に 占 める 法 人 税 等 の 額 の 比 率 1.2.4 モデル 企 業 に 各 国 の 法 人 税 制 を 適 用 して 比 較 する 手 法 国 際 比 較 分 析 の 手 法 の4 番 目 に 挙 げているのが モデル 企 業 に 各 国 の 法 人 税 制 を 適 用 し て 公 的 負 担 の 大 きさを 比 較 する 手 法 である この 方 法 を 採 用 した 例 として 加 藤 慶 一 氏 (2010)は 財 務 省 が 2009 年 に 公 表 した 国 際 比 較 分 析 の 結 果 を 挙 げている ここでは 自 動 車 製 造 業 エレクトロニクス 製 造 業 情 報 サービス 業 金 融 ( 銀 行 ) 業 を 取 り 上 げ 各 業 種 で 売 上 げ 上 位 の4 5 社 を 対 象 に 2005 年 度 の 財 務 諸 表 を 参 考 に モデ ル 企 業 の 財 務 諸 表 を 作 成 している こうして 構 築 されたモデル 企 業 に 日 本 アメリカ イ ギリス ドイツ フランスの 税 制 ( 国 税 と 地 方 税 ) 社 会 保 障 制 度 を 一 定 の 前 提 の 下 で 適 用 することで 各 国 の 負 担 額 を 計 算 している( 図 Ⅰ- 7) この 結 果 について 加 藤 慶 一 氏 (2010) は 次 のように 述 べている 国 税 連 邦 税 と 地 方 税 を 合 わせた 税 負 担 率 は いずれの 業 種 に おいても 日 本 アメリカ ドイツが 高 く イギリス フランス 韓 国 が 相 対 的 に 低 い 水 準 となっている ただし 研 究 開 発 税 制 や 情 報 基 盤 強 化 税 制 等 の 政 策 税 制 がなければ 日 本 の 法 人 所 得 課 税 の 負 担 率 は すべての 業 種 において 最 も 高 い 水 準 にある と 指 摘 して いる この 方 法 に 関 しては 各 国 の 税 制 を 適 用 する 際 に 設 定 される 仮 定 によって 結 果 が 大 きく 左 右 される 可 能 性 があるため ある 程 度 幅 を 持 った 評 価 を 行 う 必 要 がある と 加 藤 慶 一 氏 (2010)は 述 べている 8 この 問 題 を 指 摘 している 先 行 研 究 として 荒 井 晴 仁 (2008) マクロで 見 た 法 人 税 率 の 日 米 比 較 について レフ ァレンス 684 号 を 挙 げ 加 藤 慶 一 (2010)はこれを 引 用 して 説 明 している 7

( 法 人 所 得 税 及 び 社 会 保 障 負 担 の 税 引 前 当 期 利 益 + 社 会 保 障 負 担 に 対 する 比 率 ) (%) 80 ( 自 動 車 製 造 業 ) 60 37.0 41.6 40 30.4 26.9 11.7 22.3 7.4 4.5 20.6 20 11.8 3.5 6.1 12.2 1 8.9 1 1.2 1 4.5 19.3 1 3. 1 0 日 本 アメリカ イギリス ドイツ フランス 国 税 地 方 税 社 会 保 険 料 80 60 40 20 0 (%) (エレクトロニクス 製 造 業 ) 49.3 33.2 38.1 12.3 28.3 8.3 23.3 18.9 37.0 8.2 2.7 10.3 9.3 12.7 1 7. 3 13.0 9.9 1 2.3 日 本 アメリカ イギリス ドイツ フランス 国 税 地 方 税 社 会 保 険 料 80 60 40 20 0 (%) ( 情 報 サービス 業 ) 70.1 55.8 44.2 46.7 39.3 11.7 29.1 57.8 19.2 7.9 16.3 9.2 12.5 15.8 2 7. 1 2 3 1 4. 2 12.3 日 本 アメリカ イギリス ドイツ フランス 80 60 40 20 0 (%) ( 金 融 ( 銀 行 ) 業 ) 26.2 27.8 31.3 2.0 23.6 23.7 3.2 9.8 7.9 10.7 2.7 5.0 1 5.1 15.1 2 0. 9 10.3 8.4 2 1. 5 日 本 アメリカ イギリス ドイツ フランス 国 税 地 方 税 社 会 保 険 料 国 税 地 方 税 社 会 保 険 料 注 1:アメリカの 企 業 が 負 担 する 民 間 医 療 費 は 自 動 車 製 造 業 15.4% エレクトロニクス 製 造 業 2.1% 情 報 サービス 業 1.8% 金 融 業 0.7% であると 推 計 されている 注 2: 調 査 手 法 は 以 下 の 通 りである 財 務 省 の 委 託 により KPMG 税 理 士 法 人 が 試 算 した 上 記 グラフは 法 人 所 得 課 税 負 担 及 び 社 会 保 障 負 担 の[ 税 引 前 当 期 利 益 + 社 会 保 障 負 担 ]( 総 売 上 か ら 社 会 保 障 負 担 以 外 の 費 用 を 引 いた 額 に 等 しい 値 )に 対 する 比 率 を 国 際 比 較 したもの 法 人 所 得 課 税 負 担 は 法 人 所 得 を 課 税 標 準 とする 諸 税 を 対 象 としており また 外 国 当 局 による 課 税 は 対 象 として いない モデル 企 業 の 立 地 場 所 は 日 本 は 東 京 アメリカはカリフォルニア 州 及 びテネシー 州 ( 自 動 車 製 造 業 ) カリフォルニア 州 及 びニュージャージー 州 (エレクトロニクス 製 造 業 ) カリフォルニア 州 ( 情 報 サー ビス 業 ) カリフォルニア 州 及 びニューヨーク 市 ( 金 融 業 ) イギリスはロンドン ドイツはデュッセ ルドルフ フランスはパリと 仮 定 した 各 業 種 における 我 が 国 の 売 上 げ 上 位 4 ~ 5 社 の 2005 年 度 財 務 諸 表 をベースとして 業 種 毎 のモデ ル 企 業 の 財 務 諸 表 を 作 成 各 国 の 税 制 ( 国 税 地 方 税 ) 社 会 保 険 料 制 度 を 一 定 の 前 提 の 下 で 適 用 し 各 国 における 企 業 の 負 担 額 を 計 算 課 税 ベースの 計 算 においては 恒 久 的 な 影 響 を 与 える 永 久 差 異 項 目 ( 試 験 研 究 費 等 の 税 額 控 除 受 取 配 当 益 金 不 算 入 交 際 費 寄 付 金 等 の 損 金 算 入 外 国 税 額 控 除 地 方 税 額 控 除 等 )のみを 試 算 に 反 映 し 税 負 担 の 前 払 いまたは 先 送 りとみなせる 一 時 差 異 項 目 ( 貸 倒 引 当 金 及 び 減 価 償 却 等 )の 影 響 は 反 映 していない 四 捨 五 入 の 関 係 上 各 項 目 の 計 数 の 和 が 合 計 値 と 一 致 しないことがある * 前 提 条 件 で 負 担 は 変 わるため 試 算 結 果 はこの 点 を 留 意 して 解 釈 する 必 要 がある 資 料 : 平 成 22 年 度 税 制 改 正 大 綱 納 税 者 主 権 の 確 立 に 向 けて 2009.12.22. 図 Ⅰ- 7 法 人 所 得 課 税 及 び 社 会 保 険 料 の 法 人 負 担 の 国 際 比 較 (2006 年 3 月 ) 最 後 に 取 り 上 げたのが 個 別 企 業 の 財 務 データに 基 づく 計 測 手 法 である これらはミクロ の 視 点 からの 分 析 であるため 次 章 で 改 めて 取 り 上 げる 8

1.2.5 結 論 企 業 の 公 的 負 担 に 関 する 国 際 比 較 分 析 の 先 行 研 究 を 検 証 した 上 で 加 藤 慶 一 氏 (2010)で は 以 下 の 表 に 示 す 評 価 を 加 えている さらにこうした 国 際 比 較 分 析 について 企 業 の 公 的 負 担 を 完 全 に 正 確 に 計 測 することは 個 別 企 業 ごとには 可 能 でも 一 国 全 体 について 行 う ことは 困 難 である とし 少 なくとも 実 効 税 率 だけをみて 比 較 するのではなく 課 税 ベ ースの 広 狭 や 税 額 控 除 等 の 優 遇 措 置 をどうするのかといったことも 併 せて 検 討 しなければ ならない と 結 論 付 けている 表 Ⅰ-1 法 人 所 得 課 税 及 び 社 会 保 険 料 の 法 人 負 担 の 国 際 比 較 のまとめ 資 料 : 加 藤 慶 一 (2010) 9

2.ミクロの 視 点 からの 分 析 以 下 では ミクロの 視 点 として 個 別 企 業 の 公 的 負 担 を 取 り 上 げ これを 分 析 している 先 行 研 究 を 整 理 する 今 回 の 先 行 研 究 のサーベイで 個 別 企 業 を 対 象 としたミクロ 分 析 につ いては 例 えば 経 済 産 業 省 (2009)や 加 藤 慶 一 氏 (2010)が 4)モデル 企 業 に 各 国 の 法 人 税 制 を 適 用 する 手 法 で 取 り 上 げた 財 務 省 等 の 先 行 研 究 日 本 総 合 研 究 所 (2010) 等 があ る 経 済 産 業 省 (2009)では 法 人 税 制 のあり 方 を 議 論 することを 念 頭 に 国 内 外 の 企 業 の 公 的 負 担 について 実 際 の 負 担 状 況 を 把 握 することを 目 的 に アンケート 調 査 を 実 施 してい る 調 査 方 法 としては 大 手 会 計 事 務 所 による 国 際 的 な 企 業 の 総 合 的 な 財 政 貢 献 に 関 す る 調 査 との 統 一 性 が 保 たれた 形 式 によるアンケート 調 査 となっており 化 学 製 薬 鉄 鋼 金 属 機 械 自 動 車 石 油 ガス 小 売 商 社 電 力 ガス 情 報 通 信 に 分 類 される 代 表 的 な 企 業 の3 社 以 上 を 対 象 に 2007 年 と 2008 年 の 公 的 負 担 の 実 態 を 把 握 している 9 一 方 諸 外 国 については 調 査 年 度 は 異 なるが アメリカ イギリス オランダ 南 アフ リカ インドが 対 象 となっている 10 一 方 加 藤 慶 一 氏 (2010)では 実 際 の 企 業 の 財 務 データを 利 用 して それぞれの 業 種 ご とに 抽 象 化 したモデル 企 業 を 構 築 し それぞれの 企 業 ごとに 各 国 の 制 度 を 適 用 して 公 的 負 担 を 比 較 しようとする 財 務 省 の 試 みを 紹 介 しているが これは 前 章 で 紹 介 した そこで 本 章 では 経 済 産 業 省 (2009) 企 業 の 公 的 負 担 に 関 する 国 際 比 較 調 査 と 日 本 総 合 研 究 所 (2006) 欧 州 米 国 の 主 要 企 業 の 社 会 保 障 負 担 の 実 態 調 査 報 告 書 を 取 り 上 げ ることとする 2.1 経 済 産 業 省 (2009) 企 業 の 公 的 負 担 に 関 する 国 際 比 較 調 査 経 済 産 業 省 (2009)では 総 合 的 な 公 的 負 担 率 狭 義 の 公 的 負 担 率 法 人 税 実 負 担 率 とい う3つの 概 念 を 提 示 し この 概 念 に 基 づいて 分 析 をしている 総 合 的 な 公 的 負 担 率 とは 分 母 として 各 企 業 の 税 引 前 利 益 に 企 業 が 負 担 している 税 金 11 を 加 え 法 人 所 得 課 税 を 差 し 引 き 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 を 加 えた 金 額 を 充 て 12 分 子 には 企 業 が 負 担 する 税 と 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 の 額 を 充 てて 求 められる 割 合 のことで ある 狭 義 の 公 的 負 担 率 とは 年 間 の 法 人 所 得 課 税 額 と 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 の 納 付 額 合 計 を 税 引 前 純 利 益 に 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 を 加 えた 金 額 で 除 した 値 である 法 人 税 実 負 9 アンケート 調 査 の 対 象 企 業 は 日 本 経 済 団 体 連 合 会 税 制 委 員 会 企 画 部 会 に 参 加 する 企 業 を 中 心 と する 38 企 業 グループ 総 計 95 社 となっている 10 諸 外 国 の 企 業 データがどのように 作 成 されたのかなどの 詳 細 は 経 済 産 業 省 (2009)では 明 らかに されていない 11 企 業 が 負 担 している 税 としては 法 人 所 得 課 税 に 加 え 固 定 資 産 税 石 油 石 炭 税 揮 発 油 税 関 税 などである 12 分 母 は 税 引 き 後 利 益 + 企 業 が 負 担 する 税 金 + 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 額 と 同 義 である 10

担 率 とは 税 引 前 利 益 に 占 める 法 人 所 得 課 税 額 13 の 割 合 のことである これら3つの 概 念 を 示 した 上 で 企 業 の 公 的 負 担 の 国 際 比 較 を 行 っている <3つの 概 念 > 総 合 的 な 公 的 負 担 率 14 =( 企 業 が 負 担 する 税 + 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 額 ) /( 税 引 前 純 損 益 + 企 業 が 負 担 する 税 + 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 額 - 法 人 所 得 課 税 ) 狭 義 の 公 的 負 担 率 =( 法 人 所 得 課 税 + 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 額 ) /( 税 引 前 純 損 益 + 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 額 ) 法 人 税 実 負 担 率 = 法 人 所 得 課 税 / 税 引 前 純 損 益 国 際 比 較 分 析 の 結 果 は 以 下 のように 整 理 されている まず 総 合 的 な 公 的 負 担 率 を6カ 国 で 比 較 すると 日 本 の 総 合 的 な 公 的 負 担 率 は 50.4%で アメリカやイギリスと 比 べても 10% 近 く 高 くなる しかも 最 も 低 いオランダとは 20%も 差 があることが 分 かる なお 諸 外 国 の 統 計 年 次 はイギリス 2009 年 3 月 期 オランダ 2006 年 12 月 期 アメリカ 2007 年 12 月 期 インド 南 アフリカ 2008 年 3 月 期 となっている (%) 60 50 40 30 20 10 31.0 31.8 35.1 41.6 42.8 50.4 0 オランダ 南 アフリカ インド イギリス アメリカ 日 本 資 料 : 経 済 産 業 省 (2009) 図 Ⅰ- 8 総 合 的 な 公 的 負 担 率 の 国 際 比 較 調 査 対 象 国 のうち アメリカとイギリスを 取 り 出 し 法 人 税 実 負 担 率 と 狭 義 の 公 的 負 担 率 を 比 較 したものが 図 Ⅰ- 9 である 狭 義 の 公 的 負 担 率 でもアメリカやイギリスに 比 べ 日 本 は 10% 程 度 高 くなっている 法 人 実 負 担 率 を 見 ると イギリスが 法 人 税 実 負 担 率 と 狭 義 13 法 人 税 法 人 事 業 税 所 得 割 法 人 住 民 税 など 法 人 所 得 に 課 税 される 負 担 額 の 合 計 を 指 す 14 分 母 は 税 引 き 後 利 益 + 企 業 が 負 担 する 税 金 + 社 会 保 険 料 事 業 主 負 担 額 と 同 義 である 11

の 公 的 負 担 率 の 差 が 最 も 高 くなること 以 外 ほぼ 総 合 的 な 公 的 負 担 率 の 傾 向 が 踏 襲 されて いることが 分 かる 経 済 産 業 省 (2009)でも こうした 分 析 を 踏 まえ 日 本 は 他 国 に 比 べる と 立 地 競 争 力 が 相 対 的 に 弱 くなると 結 論 付 けている 60 50 40 30 20 22.4 41.6 42.8 34.7 35.3 27.8 35.5 44.5 50.4 10 0 イギリス アメリカ 日 本 法 人 実 負 担 率 狭 義 の 公 的 負 担 率 総 合 的 な 公 的 負 担 率 資 料 : 経 済 産 業 省 (2009) 図 Ⅰ- 9 総 合 的 な 公 的 負 担 率 狭 義 の 公 的 負 担 率 法 人 税 実 負 担 率 の 国 際 比 較 2.2 日 本 総 合 研 究 所 (2006) 欧 州 米 国 の 主 要 企 業 の 社 会 保 障 負 担 の 実 態 調 査 2.2.1 調 査 の 目 的 と 対 象 社 会 保 障 費 の 企 業 負 担 が 拡 大 すると 雇 用 コストの 増 大 から 企 業 の 国 際 競 争 力 を 低 下 さ せる 可 能 性 がある このような 認 識 に 立 つ 欧 州 の 各 国 政 府 では 社 会 保 障 費 など 減 免 措 置 を 導 入 する 動 きも 見 られる こうした 政 策 によって 企 業 の 社 会 保 障 負 担 は 軽 減 されるが 従 来 の 国 際 比 較 は 名 目 料 率 で 行 われ 減 免 措 置 を 考 慮 した 検 討 は 限 定 的 であったと 日 本 総 合 研 究 所 (2006)は 述 べている この 問 題 意 識 から 減 免 措 置 を 考 慮 した 企 業 の 実 質 的 な 社 会 保 障 負 担 の 実 態 を 明 らかにすることが 調 査 の 目 的 である としている 調 査 対 象 国 はイ ギリス フランス ドイツ スウェーデンである 2.2.2 調 査 の 方 法 日 本 総 合 研 究 所 (2006)では フランス 企 業 における 実 質 的 な 社 会 保 険 料 負 担 の 実 態 を 把 握 するため 主 にアニュアルレポートの 分 析 を 行 っている まず 調 査 対 象 企 業 を2 段 階 で 絞 り 込 んでいる 第 1 段 階 ではニューヨーク 証 券 取 引 所 に 上 場 しているフランス 企 業 20 社 と フランスパリ 証 券 取 引 所 に 上 場 している 企 業 のう ち 株 価 指 数 の 対 象 となっている 40 社 の 中 から それぞれ 18 社 と6 社 を 抽 出 した その 際 ニューヨーク 証 券 取 引 所 のうち 2 社 は 職 員 数 が 極 めて 少 ないため 除 外 している 12

第 2 段 階 では それぞれのホームページからアニュアルレポートをダウンロードし 調 査 対 象 としてデータが 整 備 されている7 社 を 抽 出 している これらの 企 業 に 関 してはそれぞれの 英 文 アニュアルレポートに 加 え ニューヨーク 証 券 取 引 所 に 提 出 された 会 計 資 料 も 合 わせて 分 析 対 象 としている 企 業 名 業 種 賃 金 A 表 Ⅰ- 2 調 査 対 象 企 業 の 概 要 社 会 保 障 福 利 厚 生 B 従 業 員 数 1 人 当 たり 賃 金 B A 記 載 状 況 Air 航 空 2,639 976 59,788 44,147 37.0% -total payroll costs: 給 与 と 解 釈 -employee welfare contributions and France-KLM similar charges (social security, employee organizations, etc) Euro Disney レジャー 259 101 12,082 21,445 39.0% -total payroll costs: 給 与 と 解 釈 France Telecom L oreal 固 定 電 話 6,695 2,392 204,826 32,686 35.7% 化 粧 品 日 用 品 332 134 5,746 57,745 40.4% Scor 再 保 険 27 21 456 59,211 44.4% Sodexho Alliance 外 食 11.34 4.34 236 48,036 38.3% Technip 石 油 108 30 19,000 5,689 27.8% 資 料 : 日 本 総 合 研 究 所 (2006) -total employee benefit costs wages and salaries + social charges =total personnel expenditure ( 非 常 に 明 快 ) -total salaries -amount paid for welfare benefits (social security, provident schemes etc.) -total payroll expense - social security contributions and other employee benefits -salaries paid -social charges -payroll costs -social security charges 2.2.3 調 査 結 果 日 本 総 合 研 究 所 (2006)では ケーススタディの 結 果 として2 社 のみ 取 り 上 げている そ の 結 果 は 以 下 の 通 りである 1) ユーロディズニーS.C.A.における 社 会 保 障 負 担 日 本 総 合 研 究 所 (2006)では ユーロディズニーS.C.A.の 福 利 厚 生 費 用 を 同 様 のサービ スを 日 本 で 提 供 しているオリエンタルランドの 福 利 厚 生 費 と 比 較 している この 結 果 を 示 したものが 表 Ⅰ-3 である この 比 較 結 果 に 対 して 日 本 総 合 研 究 所 (2006)は 次 のようなコメントを 加 えている ユ ーロディズニーS.C.A.の 福 利 厚 生 費 用 は 年 間 約 1 億 ユーロ 給 与 総 額 は 約 2.6 億 ユーロ であり 福 利 厚 生 費 用 の 雇 用 主 負 担 は 給 与 総 額 の 約 39%に 上 る これに 対 して 日 本 の オリエンタルランドの 給 与 総 額 に 占 める 福 利 厚 生 費 の 雇 用 主 負 担 は 約 13%であるとして いる 13

表 Ⅰ-3 ユーロディズニーS.C.A. 社 における 福 利 厚 生 費 の 雇 用 主 負 担 の 実 態 ユーロディズニーS.C.A. 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 年 間 平 均 職 員 数 ( 人 ) 11,352 11,029 12,389 12,143 12,082 給 与 総 額 ( 百 万 ユーロ):A 220.4 227.4 255.3 265.8 259.1 福 利 厚 生 総 額 ( 百 万 ユーロ):B 72.6 74.5 91.7 94.3 101.0 職 員 一 人 当 たり 給 与 (ユーロ) 19,415 20,620 20,607 21,889 21,445 福 利 厚 生 給 与 (B/A) 32.9% 32.8% 35.9% 35.5% 39.0% オリエンタルランド 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 従 業 員 数 ( 人 ) 3,244 3,514 3,731 3,715 3,695 ほか 平 均 臨 時 被 用 者 数 ( 人 ) 8,783 13,208 14,546 15,480 16,858 上 記 合 計 ( 人 ) 12,027 16,722 18,277 19,195 20,553 給 与 総 額 ( 給 料 手 当 賞 与 )( 百 万 円 ):A 28,005 36,207 40,239 38,973 37,629 その 他 ( 社 会 保 険 福 利 厚 生 など) :B 3,478 5,023 5,575 4,933 4,761 職 員 一 人 当 たり 給 与 ( 臨 時 被 用 者 含 む 平 均 )( 円 ) 2,328,511 2,165,231 2,201,620 2,030,372 1,830,828 福 利 厚 生 等 給 与 等 (B/A) 12.4% 13.9% 13.9% 12.7% 12.7% 資 料 : 日 本 総 合 研 究 所 (2006) 次 に 日 本 総 合 研 究 所 (2006)では 従 業 員 の 平 均 給 与 に 基 づき 理 論 的 な 社 会 保 険 料 と 実 際 の 社 会 保 険 料 を 比 較 している その 結 果 が 図 Ⅰ- 10 である これによると 実 際 の 社 会 保 障 負 担 は 年 額 で1 人 あたり 8,359 ユーロであり 理 論 値 の 8,943 ユーロよりも 584 ユーロ 小 さく これに 職 員 数 12,082 人 を 乗 じると 706 万 ユーロなる このことから ユーロデ ィズニー 社 の 場 合 年 間 706 万 ユーロの 社 会 保 障 負 担 の 減 免 措 置 を 受 けている 可 能 性 があ ることが 分 かる 一 人 当 たり 給 与 年 額 21,445 月 額 1,787 基 礎 年 金 8.2% 部 分 147 1.6% 部 分 29 補 足 年 金 1 賃 金 の3.75%と 仮 定 67 2 賃 金 の3.75%と 仮 定 67 疾 病 出 産 障 害 死 亡 保 険 229 失 業 保 険 71 労 災 保 険 39 家 族 手 当 97 合 計 年 額 8,943 月 額 745 実 際 年 額 8,359 月 額 696 差 分 (584) 職 員 数 (12,082) 706 万 ユーロ 資 料 : 日 本 総 合 研 究 所 (2006) 図 Ⅰ- 10 社 会 保 険 料 の 理 論 値 と 実 態 14

2) Air France-KLM 社 日 本 総 合 研 究 所 (2006)では 次 に Air France-KLM 社 と 全 日 空 を 比 較 している これに よれば Air France-KLM 社 の 福 利 厚 生 費 は 年 間 約 9.8 億 ユーロ 給 与 総 額 は 約 26.4 億 ユ ーロであり 福 利 厚 生 費 用 の 雇 用 主 負 担 は 給 与 総 額 の 約 37%に 上 る 一 方 日 本 の 全 日 空 では 福 利 厚 生 費 の 職 員 給 与 に 占 める 割 合 は 40.6%( 賞 与 引 当 金 繰 入 額 や 退 職 給 付 引 当 金 繰 入 額 を 含 めると 48.6%)に 上 り 福 利 厚 生 費 の 事 業 主 負 担 割 合 は Air France-KLM 社 よりも 日 本 の 全 日 空 の 方 が 高 くなっている Air France-KLM 表 Ⅰ-4 Air France-KLM 社 における 福 利 厚 生 費 の 雇 用 主 負 担 の 実 態 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 年 間 平 均 職 員 数 ( 人 ) 55,777 59,296 59,731 59,788 給 与 総 額 ( 千 ユーロ) :A 2,301,741 2,443,904 2,528,771 2,639,480 福 利 厚 生 総 額 ( 千 ユーロ) :B 810,047 869,692 903,126 975,878 職 員 一 人 当 たり 給 与 (ユーロ) 41,267 41,215 42,336 44,147 福 利 厚 生 給 与 (B/A) 35.2% 35.6% 35.7% 37.0% 全 日 空 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 従 業 員 数 ( 人 ) 12,978 15,772 12,277 12,091 うち 日 本 人 12,303 12,090 11,611 11,431 うち 外 国 人 675 682 666 660 職 員 給 与 ( 百 万 円 )A 16,464 16,614 15,113 16,138 賞 与 引 当 金 繰 入 額 B 1,278 1,046 1,051 1,609 退 職 給 付 引 当 金 繰 入 額 C 3,872 5,443 3,108 2,063 福 利 厚 生 費 D 6,930 7,015 6,757 6,556 平 均 賃 金 ( 千 円 ) 8,505 8,796 8,625 8,671 うち 日 本 人 8,790 9,112 8,942 8,991 うち 外 国 人 3,312 3,193 3,097 3,116 福 利 厚 生 費 D 職 員 給 与 A 42.1% 42.2% 44.7% 40.6% (C+D) (A+B) 60.9% 70.5% 61.0% 48.6% 資 料 : 日 本 総 合 研 究 所 (2006) 15

Ⅱ.フランスにおける 企 業 の 公 的 負 担 制 度 の 概 要 第 Ⅱ 部 では 企 業 の 公 的 負 担 として 国 税 と 地 方 税 社 会 保 障 費 の 事 業 主 負 担 納 税 事 務 等 の 負 担 を 取 り 上 げ 主 な 制 度 的 枠 組 みを 明 らかにしていく まず フランスの 一 般 的 な 法 人 形 態 を 確 認 しておく フランスでは 株 式 会 社 (société anonyme) 単 純 型 株 式 会 社 (société par action simplifiée) 有 限 会 社 (société à responsabilité limitée)が 一 般 的 であり このうち 単 純 型 株 式 会 社 が 最 も 多 く 設 立 されている 2008 年 時 点 で 株 式 会 社 約 11 万 6 千 社 に 対 し 単 純 型 株 式 会 社 は 12 万 3 千 社 となっている これは 株 式 会 社 の 場 合 出 資 者 が7 名 必 要 なのに 対 し 単 純 型 株 式 会 社 では1 名 で 設 立 できるなど 手 続 きが 簡 素 化 され ていることが 理 由 である この 他 にも 合 名 会 社 (société en nom collectif) 民 事 会 社 (société civile) 経 済 利 益 団 体 (Groupements d'intérêt économique)などがある 以 下 では こう した 企 業 における 公 的 負 担 を まず 国 税 から 把 握 していく 1. 国 税 1.1 企 業 が 負 担 する 国 税 2009 年 のフランス 政 府 の 予 算 規 模 は 2,985 億 ユーロで このうち 2,759 億 ユーロ 率 に して 92.4%が 租 税 によって 確 保 されている 租 税 収 入 のうち 50.1%を 付 加 価 値 税 が 占 め ており 法 人 税 は 520 億 ユーロで 18.9%となっている また 鉱 油 消 費 税 も 156 億 ユー ロ 計 上 されており これは 租 税 収 入 全 体 の 5.7%で かなり 大 きな 割 合 となっていること が 分 かる 5.7% 6.2% 18.9% 50.1% 19.1% 付 加 価 値 税 個 人 所 得 税 法 人 税 鉱 油 消 費 税 その 他 資 料 :THE FRENCH TAX SYSTEM 図 Ⅱ-1 政 府 予 算 における 税 収 内 訳 (2009 年 ) THE FRENCH TAX SYSTEM ではフランスの 租 税 を 所 得 課 税 消 費 課 税 資 産 課 16

税 の3つに 分 類 している この 類 型 に 従 ってフランスの 企 業 が 負 担 している 主 な 国 税 を 整 理 すると 表 Ⅱ-1 のようになる 所 得 課 税 と 資 産 課 税 は 専 ら 企 業 が 支 払 う 租 税 を 取 り 上 げ ている 一 方 消 費 課 税 は 最 終 消 費 者 へ 転 嫁 され 得 るが 一 般 的 な 租 税 負 担 の 帰 着 分 析 の 結 果 を 見 れば 製 造 販 売 する 企 業 にも 部 分 的 に 租 税 負 担 が 存 在 することが 知 られている 例 えば 企 業 は 最 終 消 費 者 として 租 税 負 担 を 担 うとともに 酒 税 タバコ 取 引 税 などでは 製 造 する 企 業 が 実 際 には 消 費 課 税 の 一 部 を 負 担 していることになる このため 消 費 課 税 に 関 してはほとんどの 租 税 で 企 業 負 担 が 存 在 するが こうした 負 担 の 帰 着 の 実 態 はあい まいなことから ここでは 比 較 的 金 額 が 大 きいものと 特 徴 的 な 税 を 取 り 上 げている 表 Ⅱ-1 企 業 が 負 担 する 主 な 国 税 所 得 課 税 消 費 課 税 資 産 課 税 法 人 税 付 加 価 値 税 エネルギー 消 費 課 税 鉱 油 消 費 税 登 録 免 許 税 自 動 車 登 録 税 営 業 用 自 動 車 登 録 税 天 然 ガス 消 費 税 石 炭 消 費 税 一 般 環 境 汚 染 活 動 税 注 : 鉱 油 消 費 税 ならびに 資 産 課 税 は 国 と 地 方 の 共 同 徴 収 税 である 資 料 :THE FRENCH TAX SYSTEM 以 下 では 表 Ⅱ-1 に 掲 げる 租 税 について 制 度 の 概 要 を 整 理 していく 1.2 法 人 税 (Impôts sur les sociétés) 1.2.1 法 人 税 の 税 率 2009 年 の 政 府 予 算 における 法 人 税 収 は 既 に 見 てきたように 付 加 価 値 税 個 人 所 得 税 に 次 ぐ 3 番 目 の 規 模 であった 法 人 税 の 過 去 の 推 移 を 法 定 税 率 と 実 効 税 率 GDP 比 につい て 図 Ⅱ-2 に 示 した フランスの 法 人 税 の 法 定 税 率 は 85 年 以 降 漸 進 的 に 低 下 しており 93 年 以 降 33.33%で 固 定 されている これに 対 して 実 効 税 率 では 主 に 大 企 業 が 対 象 となる 超 過 課 税 が 存 在 し ており これらの 影 響 から 実 効 税 率 は 法 定 税 率 を 上 回 っているが 98 年 以 降 こうした 乖 離 は 徐 々に 是 正 されてきている 15 法 人 税 の 規 模 はデータが 95 年 以 降 に 限 られるが GDP 比 で 1.8%から 3.1%の 幅 で 変 動 している 2002 年 から 2005 年 までの 世 界 的 な 不 況 によって GDP 比 は 低 下 しているが 15 法 人 税 率 のデータはインターネット 上 で 公 開 されている OECD Tax Database を 利 用 した 近 年 のフランス の 法 人 税 の 実 効 税 率 には 法 人 利 益 社 会 税 1.1% 分 を 法 定 税 率 に 上 乗 せして 算 出 しているが 法 人 税 率 に 限 れば 法 定 税 率 を 採 用 すればよい なお GDP 比 は Taxation trends in the European Union を 利 用 しており この 値 は 法 人 税 額 を GDP で 除 したもので 法 人 利 益 社 会 税 は 含 まれない 17

2006 年 以 降 3% 弱 で 安 定 している ( 税 率 :%) (GDP 比 :%) 60 6 50 40 30 20 10 法 定 税 率 実 効 税 率 GDP 比 5 4 3 2 1 0 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 0 出 所 :OECD EUROSTAT 16 図 Ⅱ-2 法 人 税 の 法 定 税 率 実 効 税 率 および 法 人 税 収 の 対 GDP 比 の 推 移 1.2.2 企 業 形 態 と 法 人 税 率 株 式 会 社 や 単 純 型 株 式 会 社 などでは 租 税 一 般 法 典 (CGI)206-1 条 に 従 い 企 業 所 得 に 法 人 税 率 33.33%が 課 される これが 標 準 税 率 である これらの 企 業 に 対 し 地 方 公 共 団 体 等 が 設 立 した 公 的 企 業 や 様 々な 協 会 財 団 法 人 などは 利 潤 追 求 を 目 的 としていない 法 人 で ある これらの 法 人 が 計 上 する 不 動 産 収 入 や 農 業 収 入 などには 同 法 206-5 条 によって 軽 減 税 率 24%が 適 用 され さらに 公 債 からの 収 入 に 対 しては 10%の 税 率 が 課 されている た だし こうした 企 業 でも 通 常 の 企 業 活 動 を 行 っている 場 合 には 軽 減 税 率 は 適 用 されない また 株 式 会 社 等 であっても 中 小 企 業 の 場 合 38,120 ユーロまでの 所 得 に 対 しては 軽 減 税 率 15%が 適 用 され この 金 額 を 超 える 分 については 標 準 税 率 が 適 用 されている つま り 中 小 企 業 では2 段 階 の 累 進 課 税 が 採 用 されていることになる さらに 連 結 納 税 制 度 も 整 備 されており 株 式 の 95% 以 上 を 取 得 している 企 業 であれば これらの 所 得 を 加 算 した 企 業 所 得 に 対 して 課 税 される 17 1.2.3 企 業 所 得 の 算 定 方 法 法 人 税 の 課 税 標 準 は 所 得 であり これは 商 品 販 売 や 役 務 提 供 等 の 事 業 収 入 や 不 動 産 等 を 売 却 して 得 られた 収 入 などを 加 えた 益 金 から 当 該 事 業 に 関 連 する 費 用 となる 損 金 を 差 し 引 いたものである 益 金 では 株 式 の 少 なくとも5%を 持 つフランス 内 外 の 企 業 からの 配 当 金 は 益 金 に 計 上 す 16 EU の Taxation trends in the European Union を 参 考 にしている 17 ここでの 根 拠 は 租 税 一 般 法 典 223A 条 から 223Q 条 である 18

る 必 要 はない また 損 金 に 算 入 できる 経 費 は 有 形 無 形 固 定 資 産 ( 営 業 権 土 地 は 除 く) の 減 価 償 却 費 や 各 種 引 当 金 設 備 等 の 賃 貸 料 給 与 社 会 保 障 負 担 金 材 料 商 品 購 入 費 水 道 光 熱 費 広 告 宣 伝 費 等 が 挙 げられる 損 金 算 入 できる 経 費 については 表 Ⅱ-2 に 示 す 優 遇 措 置 あるいは 限 度 額 等 が 設 けられている 表 Ⅱ-2 損 金 に 対 する 優 遇 措 置 あるいは 限 度 額 等 優 遇 措 置 限 度 額 等 贅 沢 奢 侈 な 支 出 が 経 費 処 理 されることを 抑 制 するため 一 部 の 経 費 に 損 金 算 入 の 限 度 額 がある 例 えば 社 用 車 の 減 価 奢 侈 的 経 費 償 却 費 や 損 金 算 入 可 能 なリース 料 には 上 限 が 設 定 されてい る この 額 は 2006 年 1 月 1 日 以 降 18,300 ユーロとなって おり 高 公 害 車 の 場 合 には 9,900 ユーロまでしか 損 金 算 入 が できない なお これらの 額 には 付 加 価 値 税 を 含 んでいる 関 係 会 社 に 支 払 った 管 理 費 用 支 払 利 息 ロイヤリティも 関 係 会 社 間 取 引 実 際 に 役 務 が 提 供 され これに 照 らして 価 格 が 適 正 であれ ば 損 金 に 算 入 できる 償 却 期 間 3 年 以 上 の 新 設 生 産 設 備 については 通 常 の 有 効 耐 用 年 数 に 応 じて 定 額 法 による 減 価 償 却 率 に 1.25~2.25 の 加 速 償 却 係 数 を 乗 じることができる( 定 率 法 ) 2004 年 1 月 1 日 以 降 に 取 得 または 製 造 した 科 学 研 究 あ 減 価 償 却 費 るいは 技 術 研 究 用 の 機 械 設 備 は 割 増 係 数 による 逓 減 償 却 が 可 能 である なお 適 用 される 加 速 償 却 係 数 は 1.5~2.5 で ある ソフトウェアや 省 エネ 設 備 再 生 可 能 エネルギー 生 産 設 備 騒 音 防 止 設 備 無 公 害 車 低 公 害 車 ( 電 気 自 動 車 天 然 ガス 自 動 車 LPG 自 動 車 )は 期 間 12 ヶ 月 で 償 却 できる 適 切 に 設 定 された 評 価 損 引 当 金 は 損 金 算 入 ができる これ 各 種 引 当 金 は 棚 卸 資 産 有 価 証 券 有 形 無 形 固 定 資 産 を 対 象 とし リスク 価 格 高 騰 有 給 休 暇 等 に 対 する 引 当 金 が 可 能 である 特 許 特 許 を 受 けられる 発 明 製 法 からのロイヤリティ 収 ロイヤリティ 収 入 入 には 軽 減 税 率 15%が 適 用 され また 2 年 以 上 特 許 を 保 有 していた 場 合 の 譲 渡 益 に 対 しても 同 様 の 軽 減 税 率 が 適 用 される 繰 越 欠 損 金 繰 越 欠 損 金 の 繰 越 には 期 間 の 制 限 がなく また 欠 損 を 繰 戻 すことも 可 能 である 資 料 : フランスで 事 業 を 営 む 2010 年 版 19

1.3 付 加 価 値 税 (Taxe sur la valeur ajoutee) 1.3.1 付 加 価 値 税 の 税 率 フランスの 付 加 価 値 税 は 1968 年 に 標 準 税 率 20%で 導 入 され 既 に 40 年 以 上 経 過 して いる 導 入 直 後 に 過 去 最 高 の 税 率 23.46%となるが その 後 は 段 階 的 に 引 き 下 げられてい る しかし 95 年 以 降 再 び 税 率 は 20%を 超 え 95 年 から 2000 年 では 20.6%になった 2001 年 以 降 は 19.6%に 低 下 し 現 在 に 至 っている 付 加 価 値 税 収 は 1995 年 から 2008 年 まで GDP 比 7% 超 で 安 定 しており 7.0%から 7.8% の 間 で 推 移 している これは 法 人 税 収 の2 倍 を 超 えているが 法 人 税 収 が GDP 比 で 1.8% から 3.1%の 幅 を 変 動 しているのに 比 べると 付 加 価 値 税 収 は 極 めて 安 定 的 であることが 分 かる (%) 25 20 15 10 5 税 率 GDP 比 0 1976 1980 1984 1988 1990 1992 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 資 料 :OECD EUROSTAT 図 Ⅱ-3 付 加 価 値 税 の 長 期 的 動 向 1.3.2 課 税 対 象 と 付 加 価 値 税 率 EU 内 における 企 業 買 収 なども 含 め あらゆる 財 サービスの 消 費 に 対 して 課 税 される 税 負 担 は 最 終 消 費 者 であり 企 業 は 付 加 価 値 税 の 徴 収 義 務 を 負 っている EU 域 外 への 物 品 の 輸 出 には 付 加 価 値 税 は 課 税 されない 物 品 サービスの 売 上 に 対 する 標 準 税 率 は 19.6% であるが 特 定 品 目 に 対 しては 軽 減 税 率 がある 例 えば 食 品 一 部 の 農 産 物 医 薬 品 で は 5.5%または 2.1%が 課 税 され 書 籍 ホテル 公 共 交 通 機 関 新 聞 雑 誌 一 部 のレジャ ー 活 動 などは 税 率 5.5%となっている 20

1.4 エネルギー 消 費 課 税 エネルギー 消 費 課 税 には 鉱 油 消 費 税 (Taxe intérieure sur les produits pétroliers) 天 然 ガス 消 費 税 (Taxe intérieure de consommation sur le Gaz Naturel) 石 炭 消 費 税 (Taxe intérieure de consommation sur le Charbon)がある それぞれ 無 鉛 ガソリンやディーゼル のような 燃 料 天 然 ガス 石 炭 の 消 費 に 対 して 課 税 されるが 同 時 に 付 加 価 値 税 も 課 され ている 燃 料 消 費 に 対 する 課 税 のため 多 くの 企 業 が 最 終 消 費 者 となりうる 特 に 製 造 業 や 運 輸 業 などの 企 業 が 負 担 する 税 目 といえる 鉱 油 消 費 税 は 課 税 される 鉱 油 製 品 の 物 理 的 状 態 に 従 って 決 定 され 関 税 法 による 関 税 の 計 算 法 に 準 じて 計 算 される 鉱 油 消 費 税 の 一 部 は 州 県 の 税 収 となっており 国 とこれら の 地 方 政 府 との 共 同 徴 収 税 となっている 州 は 鉱 油 消 費 税 の 税 率 を 変 更 できるが 無 鉛 ガ ソリンに 関 しては 1.77 ユーロ/ 百 リットル ディーゼルに 関 しては 1.15 ユーロ/ 百 リットル が 上 限 となっている 1.5 一 般 環 境 汚 染 活 動 税 (Taxe générale sur les activités polluantes) 一 般 環 境 汚 染 活 動 税 は 1999 年 の 財 政 法 によって 導 入 されたもので 環 境 エネルギー 管 理 局 (ADEME)が 所 管 していた 既 存 の 税 と 課 徴 金 を 利 用 して 制 度 化 された この 税 は 汚 染 者 負 担 の 原 則 に 基 づいて 環 境 汚 染 者 に 課 税 することで 環 境 保 全 行 動 を 誘 導 することを 目 的 としている 一 般 環 境 汚 染 活 動 税 は 家 庭 ごみや 特 定 産 業 廃 棄 物 の 保 管 処 分 大 気 汚 染 特 定 の 環 境 リスクを 伴 う 設 備 の 運 用 潤 滑 剤 や 洗 剤 鉱 山 廃 棄 物 の 排 出 石 油 燃 料 に 課 税 される これらを 行 う 企 業 も 課 税 対 象 であり 特 定 の 課 税 標 準 と 税 率 が 適 用 される この 税 収 は 2007 年 時 点 で 7.0 億 ユーロであり 2009 年 には 6.75 億 ユーロが 見 込 まれている 1.6 登 録 免 許 税 企 業 に 係 る 登 録 免 許 税 は 不 動 産 の 売 却 事 業 譲 渡 (transfers of businesses) 事 業 登 記 の 変 更 等 に 伴 って 発 生 する これらは 国 税 と 地 方 税 の 両 方 を 含 んでおり その 概 要 は 以 下 の 通 りである 1.6.1 不 動 産 登 録 税 不 動 産 の 売 却 に 伴 って 発 生 する 不 動 産 登 録 税 は 国 税 と 地 方 税 の 共 同 徴 収 税 となっている 国 税 分 は 不 動 産 売 却 額 の 0.2%であり 評 価 登 録 費 として 国 が 徴 収 して 県 に 支 払 われる 租 税 分 が 税 率 2.5%となっている さらに 3.6% 分 は 県 の 地 方 税 であり 県 は 税 率 を1%か ら 3.6%の 間 で 設 定 できる 加 えて 1.2% 分 が 県 の 財 政 調 整 基 金 に 充 てられ さらにこの うちの 一 部 はコミューンの 税 収 にもなっている 21

1.6.2 事 業 譲 渡 税 事 業 譲 渡 税 の 課 税 主 体 ならびに 税 率 は 以 下 の 表 の 通 りである なお 地 域 開 発 の 指 定 地 域 での 事 業 譲 渡 に 関 してはこれとは 異 なる 税 率 が 適 用 される 表 Ⅱ-3 事 業 譲 渡 税 の 政 府 別 税 率 区 分 国 県 コミューン 合 計 と 広 域 行 政 組 織 23,000 まで 0% 0% 0% 0% 23,000-107,000 2% 0.6% 0.4% 3% 107,000-200,000 0.6% 1.4% 1% 3% 200,000 超 2.6% 1.4% 1% 5% 資 料 :THE FRENCH TAX SYSTEM 1.6.3 法 人 登 記 税 企 業 が 支 払 う 登 録 免 許 税 は 法 人 登 記 や 資 本 金 の 増 資 企 業 の 清 算 株 式 の 売 却 に 伴 っ て 発 生 する 企 業 を 設 立 する 際 リスクの 伴 う 株 式 と 交 換 に 行 われる 出 資 には 原 則 的 に 登 録 免 許 税 が 課 されることはない しかし 出 資 が 不 動 産 やその 権 利 と 関 係 する 場 合 特 別 譲 渡 税 がそ の 額 の5%で 課 される 出 資 が 事 業 や 営 業 権 リース 権 など 関 係 する 場 合 にも 特 別 譲 渡 税 が 同 様 に 課 される 資 本 増 資 や 減 資 の 場 合 も 課 税 されるが 資 本 金 が25.5 万 ユーロ 未 満 であれば375ユーロ これ 以 上 で 500 ユーロの 定 額 の 課 税 が 存 在 する この 課 税 額 は 企 業 が 清 算 される 場 合 の 証 書 作 成 に 対 しても 同 様 の 条 件 で 375 ユーロあるいは 500 ユーロの 課 税 がなされる また 株 式 の 移 動 に 対 しても 原 則 的 にその 価 格 の3% 分 の 課 税 が 行 われる 1.7 営 業 用 自 動 車 登 録 税 営 業 用 自 動 車 登 録 税 は 企 業 が 使 用 している 自 動 車 に 課 税 するもので 個 人 所 有 の 車 両 で あっても 運 行 経 費 を 企 業 が 支 払 っている 場 合 には 課 税 対 象 となる 2004 年 6 月 1 日 以 降 に 使 用 され 2006 年 1 月 1 日 までに 使 われなくなった EC で 承 認 された 自 動 車 に 対 して は1キロ 単 位 で 排 出 される 二 酸 化 炭 素 量 に 対 して 課 税 される 年 間 の 税 額 は 自 動 車 を7 類 型 に 分 け それぞれの 類 型 ごとに 算 出 される 個 々の 自 動 車 が 属 する 類 型 ごとにグラム 当 たりの 税 率 が 決 まっており これをキロ 単 位 の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 に 乗 じることで 税 額 は 求 められる これ 以 外 の 自 動 車 に 対 する 税 額 は 自 動 車 の 馬 力 に 合 わせて 税 率 が 決 まっており これ を 利 用 して 税 額 が 決 定 される 電 気 や 天 然 ガスを 利 用 する 自 動 車 に 対 しては 税 率 の 軽 減 等 もある 22

2. 地 方 税 2.1 企 業 が 負 担 する 地 方 税 2008 年 における 地 方 税 収 の 内 訳 を 団 体 ごとに 整 理 したものが 表 Ⅱ-4 である フランスの 地 方 税 ではシェアが 大 きい4つの 税 目 を 主 要 4 税 と 呼 んでおり 職 業 税 既 建 築 固 定 資 産 税 未 建 築 固 定 資 産 税 住 居 税 がこれに 相 当 する 2008 年 の 主 要 4 税 の 地 方 税 収 全 体 に 占 める 割 合 は 62.5%で 基 礎 的 自 治 体 であるコミューンと 広 域 行 政 組 織 では 72.0%に 達 する 企 業 に 対 する 課 税 は 職 業 税 職 業 訓 練 支 援 税 採 鉱 税 などがあるが 地 方 政 府 の 税 収 全 体 の 27.7%を 占 める 職 業 税 が 極 めて 大 きい 職 業 税 は 主 要 4 税 の 中 の 中 心 的 な 税 であり 主 要 4 税 収 の 44.3%を 占 める しかし 職 業 税 はサルコジ 政 権 によって 廃 止 され 2010 年 1 月 1 日 から 新 たに 国 土 経 済 貢 献 税 (Contribution économique territoriale)が 導 入 され ている これら 以 外 にも 企 業 がサービスを 需 要 したり 資 産 を 購 入 したりすれば 地 方 税 負 担 が 発 生 する これらは 受 益 者 負 担 原 則 に 従 っているといえる 以 下 では 企 業 が 負 担 する 地 方 税 として 新 たに 制 度 化 された 国 土 経 済 貢 献 税 と 主 要 4 税 の 中 から 既 建 築 固 定 資 産 税 未 建 築 固 定 資 産 税 を 取 り 上 げる また 職 業 税 についても 最 後 に 整 理 する ただし 住 居 税 についてはここでは 取 り 上 げない これは 住 居 税 が 住 居 の 所 有 者 賃 借 者 に 係 わらず 当 該 施 設 に 居 住 している 者 ( 居 住 者 )が 納 税 義 務 を 負 ってお り 従 って 企 業 に 対 する 税 負 担 が 発 生 しない 可 能 性 が 高 いからである 表 Ⅱ-4 地 方 税 収 入 の 内 訳 (2008 年 ) 単 位 :10 億 ユーロ コミューン 州 県 と 広 域 行 政 合 計 組 織 主 要 4 税 の 合 計 4.86 19.93 40.94 65.73 住 居 税 - 4.98 10.28 15.27 既 建 物 固 定 資 産 税 1.76 6.04 12.67 20.47 非 建 築 固 定 資 産 税 0.01 0.05 0.79 0.85 職 業 税 3.09 8.86 17.19 29.13 その 他 の 税 7.07 16.33 15.96 39.36 家 庭 ごみ 収 集 税 - - 5.03 5.03 不 動 産 譲 渡 税 (DMTO) - 7.19 2.15 9.34 鉱 油 消 費 税 (TIPP) 3.64 5.15-8.79 公 共 交 通 税 - - 5.76 5.76 自 動 車 登 録 税 1.96 - - 1.96 職 業 訓 練 支 援 税 0.70 - - 0.70 採 鉱 税 - 0.01 0.01 0.02 運 転 免 許 税 0.005 - - 0.005 その 他 0.765 3.98 3.01 7.755 合 計 ( 都 市 計 画 関 連 を 除 く) 11.94 36.26 56.90 105.09 注 1:2008 年 決 算 の 値 である 注 2: 職 業 税 は 2010 年 に 廃 止 されている なお ここでの 職 業 税 には 職 業 税 県 均 衡 化 基 金 が 含 まれている 資 料 :Les collectivités locales en chiffres 2010 23

2.2 国 土 経 済 貢 献 税 (CET) 国 土 経 済 貢 献 税 は 職 業 税 に 代 わり 2010 年 から 導 入 された 地 方 法 人 税 で この 税 は 企 業 不 動 産 負 担 金 (Cotisation foncière des entreprises: CFE) と 企 業 付 加 価 値 負 担 金 (Cotisation sur la valeur ajoutée des entreprises:cvae)によって 構 成 されている 国 土 経 済 貢 献 税 の 導 入 により 職 業 税 で 課 税 対 象 となっていた 生 産 的 投 資 ( 償 却 資 産 )が 除 外 され 企 業 負 担 の 軽 減 が 図 られている なお 生 産 的 投 資 とは 機 械 器 具 動 産 その 他 オフィス 設 備 などのことである 以 下 2つの 負 担 金 を 具 体 的 に 見 ることとする 2.2.1 企 業 不 動 産 負 担 金 (CFE) 企 業 不 動 産 負 担 金 (CFE)は 企 業 が 所 有 する 不 動 産 に 対 する 負 担 金 で 課 税 年 度 の 前 暦 年 年 末 時 点 で 企 業 が 所 有 する 課 税 対 象 の 固 定 資 産 をもとに 算 出 される 当 該 負 担 金 の 課 税 標 準 は 業 務 に 供 する 土 地 建 物 の 土 地 台 帳 上 の 賃 貸 価 格 評 価 額 から 30%を 控 除 した 額 であ る 賃 貸 価 格 評 価 額 は 当 該 固 定 資 産 の 市 場 価 格 に8%を 乗 じて 算 出 される こうした 資 産 評 価 は 課 税 する 地 方 政 府 が 毎 年 1 回 評 価 するものである なお 企 業 不 動 産 負 担 金 (CFE) の 税 率 はそれぞれ 課 税 する 地 方 政 府 が 決 定 する 2.2.2 企 業 付 加 価 値 負 担 金 (CVAE) 企 業 付 加 価 値 負 担 金 (CVAE)は 前 暦 年 に 実 現 した 年 間 売 上 高 あるいは 会 計 年 度 が 暦 年 と 一 致 しない 場 合 には 直 近 会 計 年 度 の 年 間 売 上 高 の いずれかに 基 づいて 計 算 される 企 業 付 加 価 値 負 担 金 (CVAE)は 企 業 不 動 産 負 担 金 (CFE)の 課 税 対 象 企 業 で 年 間 売 上 額 が 15 万 2,500 ユーロを 上 回 る 企 業 にのみに 適 用 される 企 業 不 動 産 負 担 金 (CFE)の 税 率 は 地 方 政 府 によって 異 なっているが 企 業 付 加 価 値 負 担 金 (CVAE)の 税 率 は 全 国 一 律 で 売 上 高 の 1.5%である ただし これには 以 下 の 表 に 示 す 減 税 措 置 が 設 けられているた め 実 際 には 税 率 1.5%が 適 用 されるのは 売 上 高 5,000 万 ユーロを 超 える 企 業 に 限 定 され る 売 上 高 50 万 ユーロを 下 回 る 企 業 は 免 税 される 表 Ⅱ-5 企 業 付 加 価 値 負 担 金 (CVAE)の 税 率 売 上 高 税 率 ( 減 税 後 )=α 50 万 未 満 0% 50 万 以 上 300 万 未 満 0.5% ( 売 上 高 -50 万 )/250 万 300 万 以 上 1,000 万 未 満 0.5%+0.9% ( 売 上 高 -300 万 )/700 万 1,000 万 以 上 5,000 万 未 満 1.4%+0.1% ( 売 上 高 -1,000 万 )/4,000 万 5,000 万 以 上 1.5% 注 : 減 税 額 は 上 記 関 係 式 によって 求 めた 額 を 次 の 式 に 代 入 することで 算 出 できる 減 税 額 = 売 上 高 (1.5%-α) 資 料 : 日 本 貿 易 振 興 会 HP 24

2.2.3 算 定 方 法 ここでは 国 土 経 済 貢 献 税 (CET)の 具 体 的 な 算 出 方 法 を 見 ることとする 例 えば 以 下 の 資 産 を 保 有 している 企 業 において ある 年 の 付 加 価 値 額 が 5000 万 ユーロであったと 仮 定 する この 企 業 が 立 地 している 地 域 の 企 業 不 動 産 負 担 金 (CFE)は 全 地 方 政 府 を 合 わ せ 27.26%であったとする この 場 合 の 国 土 経 済 貢 献 税 (CET)を 実 際 に 算 出 する 土 地 建 物 ( 不 動 産 税 の 課 税 対 象 ):3000 万 ユーロ 生 産 機 器 ( 不 動 産 税 の 課 税 対 象 外 ):7000 万 ユーロ 付 加 価 値 額 :5000 万 ユーロ 企 業 不 動 産 負 担 金 (CFE)は 次 のように 算 出 できる a) 課 税 対 象 から 生 産 的 投 資 は 除 外 されるため 企 業 不 動 産 負 担 金 (CFE)の 課 税 対 象 は 土 地 建 物 のみとなる b) 上 記 資 産 価 格 は 土 地 台 帳 の 市 場 価 格 とすれば これに 8%を 乗 じて 固 定 資 産 の 賃 貸 価 格 評 価 額 を 求 める この 額 は 240 万 ユーロ(=3000 万 8%)になる c) 産 業 投 資 の 場 合 賃 貸 価 格 評 価 額 からその 30%を 控 除 できるので 控 除 後 の 賃 貸 価 格 評 価 額 は 168 万 ユーロ(=240 万 70%)となる d) 従 って 企 業 不 動 産 負 担 金 (CFE)は 45 万 8000 ユーロ(=168 万 27.26%)である 同 様 に 企 業 付 加 価 値 負 担 金 (CVAE)を 算 出 すると 以 下 のようになる a) 売 上 高 5000 万 ユーロの 場 合 減 税 額 = 売 上 高 (1.5%- 税 率 α)となるため 減 税 額 はゼロである b) 従 って 企 業 付 加 価 値 負 担 金 (CVAE)は 5000 万 ユーロ 1.5%=75 万 ユーロとなる 国 土 経 済 貢 献 税 (CET)は 企 業 不 動 産 負 担 金 (CFE)と 企 業 付 加 価 値 負 担 金 (CVAE) を 加 算 すればよいから この 企 業 が 支 払 う 国 土 経 済 貢 献 税 (CET)は 120 万 8000 ユーロ となる 一 方 従 来 の 職 業 税 を 算 出 18 すると 175 万 ユーロとなるので 国 土 経 済 貢 献 税 18 職 業 税 の 算 定 については 職 業 税 の 項 目 でも 行 っており 詳 細 は 後 述 するので ここでは 簡 単 に 説 25

(CET)の 導 入 によって この 企 業 の 納 税 額 は 約 31% 減 額 されたことになる 2.2.4 免 税 措 置 等 国 土 経 済 貢 献 税 (CET)では 職 業 税 で 存 在 していた 減 税 措 置 の 多 くは 引 き 続 き 適 用 さ れる このため 次 のような 場 合 には 免 税 が 行 われる 特 定 地 域 19 で 事 業 を 行 う 新 規 設 立 企 業 新 設 革 新 的 企 業 (jeunes entreprises innovantes) 20 の 税 区 分 が 適 用 される 企 業 正 社 員 の 最 低 人 数 投 資 最 低 額 などの 条 件 を 満 たした 企 業 の 科 学 技 術 研 究 に 対 す る 資 産 太 陽 光 発 電 (ソーラーパネル)を 伴 う 固 定 資 産 企 業 の 開 業 初 年 度 ( 設 立 2 年 目 も 課 税 対 象 の 50%が 控 除 される 優 遇 措 置 がある) 2.3 既 建 築 固 定 資 産 税 (Taxe foncière sur les propriétés bâties) 企 業 が 所 有 している 土 地 建 物 に 対 しては 固 定 資 産 税 が 課 される フランスの 固 定 資 産 税 は 建 物 の 有 無 によって 既 建 築 固 定 資 産 税 と 未 建 築 固 定 資 産 税 (Taxe foncière sur les propriétés non bâties)に 分 けられる 2.3.1 概 要 既 建 築 固 定 資 産 税 は 州 県 コミューンと 広 域 行 政 組 織 がそれぞれ 課 税 しており 毎 年 1 月 1 日 時 点 の 既 建 築 固 定 資 産 の 所 有 者 が 納 税 義 務 者 となる 課 税 客 体 は 土 地 建 物 であ るが 例 えば 工 場 の 道 具 およびその 他 の 機 器 ならびにオペレーションに 使 用 する 資 材 は 既 建 築 固 定 資 産 税 の 課 税 対 象 にはならない 既 建 築 固 定 資 産 税 の 税 率 は 一 定 の 条 件 の 範 囲 内 で 地 方 政 府 が 決 定 できる 例 えば コミューンの 場 合 県 内 コミューンの 前 年 度 平 均 税 率 と 全 国 平 均 税 率 の 高 い 方 の 税 率 の 2.5 倍 を 超 えることはできない 課 税 標 準 は 土 地 台 帳 上 の 賃 貸 価 格 評 価 額 から 50%を 控 除 した 額 である これは 固 定 資 産 の 維 持 費 等 の 経 費 を 考 慮 した 措 置 である 評 価 額 は 基 準 物 件 を 基 にして 一 定 の 係 数 明 しておく 課 税 対 象 は( 3000 万 8%)+( 7000 万 16%)= 1360 万 となり 16%を 控 除 すると 1142 万 4000 になる 2009 年 の 職 業 税 の 平 均 税 率 は 27.26%であり これを 適 用 すると 職 業 税 は 1142 万 4000 27.26%= 311 万 4000 である 一 方 職 業 税 の 上 限 ( 付 加 価 値 の 3.5%) を 算 出 すると 5000 万 3.5%= 175 万 となる 従 って 職 業 税 は 175 万 となる 19 特 定 地 域 とは 地 域 開 発 のために 指 定 された 近 郊 再 生 地 域 郊 外 再 生 地 域 近 郊 自 由 地 域 のうち の 近 郊 再 生 地 域 のことである この 地 域 の 新 規 設 立 企 業 では 一 定 条 件 を 満 たせば 様 々な 優 遇 措 置 が 用 意 されている 20 2004 年 の 財 政 法 の 改 正 によって 導 入 された 制 度 で 設 立 して8 年 未 満 で 経 費 の 15%が 研 究 開 発 費 に 当 てられているなどの 条 件 を 満 たす 中 小 企 業 を 対 象 に 新 たな 法 人 格 を 設 けている この 法 人 格 の 指 定 を 受 けると 租 税 や 社 会 保 険 料 で 優 遇 措 置 が 受 けられる 26

を 乗 じるか 通 常 の 賃 貸 価 額 で 賃 貸 されている 場 合 に 1970 年 1 月 1 日 現 在 の 賃 貸 料 を 基 に 計 算 されるか あるいは 課 税 機 関 により 直 接 評 価 されるかの 方 法 で 算 定 される 例 えば 工 場 施 設 の 場 合 賃 貸 価 格 評 価 額 はこれらの 固 定 資 産 価 格 の8%が 適 用 される 2.3.2 算 定 方 法 既 建 築 固 定 資 産 税 について 具 体 例 を 挙 げて 算 出 してみる ある 製 造 業 者 が 2008 年 中 に 下 記 の 投 資 を 実 施 したと 仮 定 する 土 地 :10 万 ユーロ 建 物 :60 万 ユーロ 生 産 設 備 :150 万 ユーロ 既 建 築 固 定 資 産 税 は 次 のように 算 出 できる a) 課 税 対 象 から 生 産 設 備 は 除 外 され 土 地 と 建 物 に 課 税 される b) これを 工 場 とすれば 資 産 価 格 に 8%を 乗 じることで 賃 貸 価 格 評 価 額 を 算 定 できる 土 地 :100,000 8% = 8,000 ユーロ 建 物 :600,000 8% = 48,000 ユーロ c) 土 地 建 物 の 賃 貸 価 格 評 価 額 の 合 計 は 56 千 ユーロで 既 建 築 固 定 資 産 税 の 場 合 賃 貸 価 格 評 価 額 からその 50%を 控 除 できるので 控 除 後 の 賃 貸 価 格 評 価 額 は 28 千 ユ ーロとなる d) 地 方 自 治 体 が 定 めた 既 建 築 固 定 資 産 税 の 税 率 を 以 下 のように 仮 定 する 州 :2% 県 :6.5% コミューン:12% e) この 場 合 の 既 建 築 固 定 資 産 税 額 は 以 下 の 表 のとおりとなる なお この 結 果 は 2.3.3 で 述 べる 免 税 と 優 遇 措 置 等 の 優 遇 措 置 に 基 づいている 27

表 Ⅱ-6 年 度 別 既 建 築 固 定 資 産 税 額 州 県 2009 年 2010 年 28 千 2% 2011 年 以 = 560 降 資 料 : フランスで 事 業 を 営 む 2009 年 版 28 千 6.5% = 1,820 コミューン と 広 域 行 政 組 織 28 千 12% = 3,360 28 千 12% = 3,360 28 千 12% = 3,360 合 計 3,360 3,360 5,740 2.3.3 免 税 と 優 遇 措 置 等 免 税 措 置 等 には 恒 久 的 なものと 時 限 的 なものがある 高 齢 者 や 障 害 者 に 対 する 免 税 措 置 も 整 備 されており 以 下 に 示 す 施 設 も 免 税 の 対 象 となっている 公 的 法 人 が 所 有 する 利 潤 目 的 でない 公 的 固 定 資 産 農 業 用 の 建 築 物 宗 教 施 設 コミューンと 広 域 行 政 組 織 が 所 有 する 飲 料 用 給 水 施 設 大 使 館 太 陽 光 発 電 (ソーラーパネル)を 伴 う 固 定 資 産 等 この 他 以 下 のような 優 遇 措 置 も 整 備 されている 新 築 の 場 合 最 初 の 2 年 間 は 州 と 県 の 既 建 築 固 定 資 産 税 のみ 免 除 される 特 定 地 域 における 新 規 設 立 や 事 業 拡 大 経 営 困 難 な 企 業 の 買 収 を 行 う 企 業 に 対 し 地 方 政 府 の 承 認 があれば 2 年 から 5 年 分 の 既 建 築 固 定 資 産 税 が 免 除 される 新 設 革 新 的 企 業 の 税 務 区 分 が 適 用 される 企 業 の 固 定 資 産 は 地 方 政 府 の 承 認 があ れば 7 年 間 の 既 建 築 固 定 資 産 税 が 免 除 される 2009 年 1 月 1 日 時 点 で 完 成 している 個 人 の 新 築 家 屋 で 法 律 に 定 められたエネル ギー 効 率 を 上 回 る 場 合 には 既 建 築 固 定 資 産 税 (5 年 以 上 )を 免 除 される 2.4 未 建 築 固 定 資 産 税 (Taxe foncière sur les propriétés non bâties) 2.4.1 概 要 未 建 築 固 定 資 産 税 は 州 県 コミューンと 広 域 行 政 組 織 によって 課 税 され 対 象 は 農 地 や 空 地 など 建 物 が 建 設 されていない 土 地 である 毎 年 1 月 1 日 時 点 の 所 有 者 に 課 税 され 28

課 税 標 準 は 土 地 台 帳 上 の 賃 貸 価 格 評 価 額 から 20%を 控 除 した 額 である この 控 除 は 土 地 が 賃 貸 されない 場 合 に 所 有 者 が 負 担 するリスクコストを 軽 減 する 措 置 と 説 明 されている 土 地 台 帳 上 の 評 価 額 は 土 地 の 時 価 や 周 辺 の 賃 貸 価 格 課 税 機 関 による 直 接 の 評 価 等 に 基 づ き 算 定 される 未 建 築 固 定 資 産 税 の 税 率 は 地 方 政 府 が 決 定 する 21 が 未 建 築 固 定 資 産 税 の 税 率 の 変 動 は 住 居 税 の 変 動 を 超 えることができない また コミューンの 場 合 県 内 コミューンの 前 年 度 平 均 税 率 と 全 国 平 均 税 率 の 高 い 方 の 税 率 の 2.5 倍 を 超 えることはできない 2.4.2 免 税 と 優 遇 措 置 等 未 建 築 固 定 資 産 税 は 既 建 築 固 定 資 産 税 と 同 様 に 特 定 地 域 における 新 規 設 立 や 事 業 拡 大 経 営 困 難 な 企 業 の 買 収 を 行 う 企 業 に 対 して 地 方 政 府 の 承 認 があれば 2 年 から 5 年 の 免 税 措 置 を 受 けることができる また 以 下 のような 土 地 では 未 建 築 固 定 資 産 税 は 免 除 さ れる 公 的 法 人 が 所 有 する 利 潤 目 的 でない 公 的 固 定 資 産 公 道 及 び 河 川 既 建 築 固 定 資 産 税 が 課 税 されている 土 地 等 2.5 職 業 税 (Taxe professionnelle) 職 業 税 は 既 に 廃 止 され 2010 年 から 国 土 経 済 貢 献 税 が 導 入 されている しかしながら 決 算 データなどでは 依 然 職 業 税 が 中 心 であり フランス 地 方 税 の 法 人 課 税 で 重 要 な 役 割 を 担 ってきた このため 職 業 税 についても 簡 単 に 整 理 しておくこととする 2.5.1 概 要 かつての 職 業 税 は 従 業 者 の 給 与 など 複 数 の 課 税 標 準 が 設 定 されており 外 形 標 準 課 税 の 特 性 を 持 っていた しかし こうした 特 性 は 失 われ その 課 税 標 準 は 事 業 用 の 固 定 資 産 の 賃 貸 価 格 となっていた 職 業 税 の 税 額 は 納 税 年 度 の2 年 前 の 期 末 において 企 業 が 保 有 して いた 固 定 資 産 に 基 づいて 算 定 されてきた 以 下 の2つの 計 数 を 合 算 し その 84%(=16% の 一 律 控 除 )を 課 税 標 準 として 地 方 政 府 が 毎 年 定 める 税 率 を 乗 じて 決 定 される 当 該 企 業 の 事 業 に 使 用 されている 不 動 産 の 賃 貸 価 値 当 該 企 業 が 保 有 し 事 業 に 必 要 とする 固 定 資 産 ( 償 却 資 産 ) 価 額 の 16% 21 やや 古 いが 2006 年 の 場 合 州 平 均 6.37% 県 平 均 23.57%であったが 最 大 税 率 と 最 小 税 率 の 格 差 は 州 で 6.35 倍 県 で 23.34 倍 に 及 んでいた なお 2010 年 予 算 法 により 本 税 は 州 県 からすべてコミューンお よび 広 域 行 政 組 織 への 税 源 移 譲 が 決 定 した 29

職 業 税 の 税 額 は 当 該 企 業 が 産 み 出 した 付 加 価 値 の 3.5% 相 当 額 が 上 限 となっている この 上 限 の 規 定 によって 多 額 の 固 定 資 産 を 使 用 しているが 実 現 する 付 加 価 値 が 少 ない 企 業 で は 最 終 的 な 納 税 額 を 大 幅 に 抑 制 できる 2.5.2 算 定 方 法 職 業 税 の 課 税 標 準 が 下 記 のような 製 造 業 を 想 定 し この 企 業 の 職 業 税 を 算 出 する 土 地 :12 万 ユーロ 建 物 :100 万 ユーロ 生 産 設 備 :250 万 ユーロ 付 加 価 値 :100 万 ユーロ a) 職 業 税 では 土 地 と 建 物 生 産 設 備 すべてに 課 税 される b) これらの 賃 貸 価 格 評 価 額 は 土 地 建 物 では 資 産 価 格 に 8%を 乗 じることで 生 産 設 備 では 16%を 乗 じることで 算 定 できる 土 地 :120,000 8% = 9,600 ユーロ 建 物 :1,000,000 8% = 80,000 ユーロ 生 産 設 備 :2,500,000 16% = 400,000 ユーロ c) これらを 合 算 すると 489,600 ユーロとなり さらに 16%を 控 除 すると 課 税 標 準 は 411,264 ユーロとなる e) 商 工 会 議 所 関 係 の 費 用 を 除 いた 地 方 政 府 の 職 業 税 率 を 23%とすれば 職 業 税 額 は 411,264 23%= 94,590 ユーロとなる f) この 企 業 の 付 加 価 値 額 から 職 業 税 の 上 限 は 100 万 ユーロ 3,5%=35,000 ユーロとな る 従 って この 企 業 は 94,590 ユーロではなく 職 業 税 の 納 税 額 は 35,000 ユーロ になり 59,590 ユーロの 減 税 となる 2.5.3 免 税 と 優 遇 措 置 等 職 業 税 で 設 定 されていた 免 税 措 置 あるいは 優 遇 措 置 は 以 下 の 通 りである 企 業 の 設 立 初 年 度 は 免 税 され 2 年 目 は 課 税 基 礎 額 の 半 分 に 課 税 される 科 学 研 究 技 術 研 究 事 業 に 使 用 される 資 産 は 免 税 される 30

新 設 生 産 設 備 は 取 得 年 度 には 免 税 され 2 年 目 3 年 目 にはその3 分 の1 3 分 の2に 対 して 課 税 される 職 業 税 は 法 人 税 から 控 除 できる 特 定 地 域 における 新 規 設 立 事 業 拡 大 経 営 困 難 な 企 業 の 買 収 を 行 った 企 業 に 対 して 職 業 税 の 免 税 措 置 (2 年 から5 年 間 )を 受 けることができる 31

3. 社 会 保 障 費 の 事 業 主 負 担 3.1 社 会 保 険 料 負 担 の 推 移 フランスの 社 会 保 障 制 度 は 医 療 死 亡 保 険 労 働 災 害 保 険 家 族 手 当 老 齢 保 険 寡 婦 ( 夫 ) 保 険 失 業 保 険 で 構 成 されている 22 いずれにも 企 業 の 社 会 保 障 負 担 は 存 在 している こ うした 負 担 の 推 移 を 社 会 保 険 料 の 対 GDP 比 で 捉 えたものが 図 Ⅱ-4 である 1995 年 に 18.6%であった 対 GDP 比 は 2008 年 には 16.1%に 低 下 している これは 97 年 と 98 年 に 被 用 者 負 担 が 低 下 したことに 起 因 している 事 業 主 負 担 は 95 年 の 11.4%が 2008 年 には 11.0%で ほとんど 変 化 はない こうした 中 でも 若 干 の 比 率 の 低 下 が 見 られる この 負 担 比 率 は 法 人 税 と 付 加 価 値 税 を 合 わせた 比 率 よ り 大 きくなっており 事 業 主 負 担 が 大 きいことが 分 かる (%) 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 1995 18.6 5.8 5.4 3.9 11.4 11.1 自 営 業 被 用 者 事 業 主 1996 1997 1998 16.16 1999 2000 4.0 11.0 2001 2002 2003 16.4 4.0 11.0 2004 2005 4.1 11.1 2006 16.16 4.0 11.0 2007 2008 資 料 :EUROSTAT 図 Ⅱ-4 社 会 保 険 料 の 対 GDP 比 の 推 移 3.2 フランスの 社 会 保 障 制 度 3.2.1 制 度 の 経 緯 ここではフランスの 社 会 保 障 制 度 の 経 緯 を 概 観 し その 特 徴 を 簡 単 に 整 理 していく フ ランスの 社 会 保 障 制 度 は 中 世 に 端 を 発 する 職 域 ごとに 確 立 された 制 度 が 基 盤 になっている 業 種 ごとに 制 度 が 乱 立 していたため 1945 年 の 社 会 保 障 計 画 の 中 で 社 会 保 険 制 度 を 基 本 としながらも 複 雑 な 制 度 を 統 合 して 簡 素 化 する 方 向 などが 示 された その 後 政 府 による 政 策 が 暫 時 推 進 され 社 会 保 障 サービス 受 給 者 が 全 国 民 に 拡 大 する 一 方 で 医 療 保 険 家 族 22 失 業 保 険 は 労 働 法 を 根 拠 とし 他 の 制 度 は 社 会 保 障 法 を 根 拠 としている 32

手 当 老 齢 保 険 などで 制 度 の 簡 略 化 が 進 められていった この 結 果 家 族 手 当 などはほぼ 一 本 化 されるなど 成 果 を 挙 げてきたが 依 然 その 社 会 保 障 制 度 はモザイク 状 の 特 徴 が 維 持 されたものとなっている フランスの 社 会 保 障 制 度 は 職 域 ごとの 団 体 が 基 盤 となっていたため 国 の 干 渉 をできる だけ 排 除 する 制 度 構 築 を 目 指 してきた このため ヨーロッパ 各 国 が 社 会 保 障 制 度 の 財 源 に 租 税 を 導 入 する 中 フランスでは 社 会 保 険 制 度 を 基 本 とする 制 度 が 担 保 されてきた し かし 経 済 環 境 の 悪 化 によって 拡 大 する 社 会 保 険 料 の 確 保 が 困 難 になってくると 80 年 代 に は 租 税 代 替 化 の 検 討 が 始 ま る 1991 年 に 家 族 手 当 の 財 源 とし て 一 般 社 会 税 (Contribution Social Généralisé)が 導 入 されると 当 初 1.1%であった 税 率 は 現 在 7.5%に まで 拡 大 されてきている 一 般 社 会 税 は 被 用 者 を 対 象 とした 租 税 であったが 2000 年 1 月 1 日 以 降 法 人 社 会 連 帯 税 が 導 入 されるなど 企 業 に 対 する 課 税 も 強 化 されてきている 3.2.2 社 会 保 障 制 度 の 概 要 現 在 の 社 会 保 障 制 度 は 商 工 業 分 野 の 従 業 者 それに 準 ずる 者 非 営 利 団 体 職 員 などを 対 象 とした 一 般 制 度 と 国 家 公 務 員 地 方 公 務 員 国 営 企 業 の 職 員 等 を 対 象 とした 特 別 制 度 その 他 農 業 従 事 者 を 対 象 とした 制 度 に 分 かれている ただし 医 療 保 険 労 働 災 害 保 険 老 齢 保 険 寡 婦 ( 夫 ) 保 険 失 業 保 険 についてはそれぞれ 職 域 ごとに 整 備 され ているが 家 族 手 当 の 制 度 はほぼ 共 通 化 されている 以 下 では 簡 単 に 老 齢 保 険 医 療 保 険 失 業 保 険 について 概 説 していく 1) 老 齢 保 険 年 金 制 度 である 老 齢 保 険 制 度 は3 段 階 の 構 造 となっており 基 礎 部 分 (régime de base) 補 足 部 分 (régime complémentaire) 付 加 部 分 (régime supplémentaire) で 構 成 されて いる 基 礎 部 分 と 補 足 部 分 はいずれも 賦 課 方 式 で 強 制 加 入 であり 制 度 的 には 一 体 化 していると 考 えられる 一 方 付 加 部 分 は 積 立 方 式 で 任 意 加 入 である しかし 積 立 金 の 拠 出 に 際 しては 被 用 者 のみが 負 担 するのではなく 多 くの 場 合 被 用 者 と 事 業 主 の 双 方 が 負 担 している 商 工 業 等 の 被 用 者 が 加 入 する 一 般 制 度 に 限 っても 補 足 部 分 と 付 加 部 分 の 老 齢 保 険 制 度 の 運 用 主 体 は 複 数 あり さらに 管 理 職 と 非 管 理 職 で 分 かれている など 仕 組 みは 複 雑 になっている ただし 国 家 公 務 員 などが 加 入 する 特 別 制 度 では 基 礎 部 分 と 補 足 部 分 が 一 体 化 している 23 2) 医 療 保 険 公 的 医 療 保 険 制 度 も 職 域 ごとの 一 般 制 度 特 別 制 度 農 業 従 事 者 を 対 象 とする 制 度 な 23 健 保 連 HP の 欧 州 の 医 療 保 険 制 度 に 関 する 国 際 比 較 研 究 ( 要 旨 ) を 参 考 にした 33

どに 大 別 されていた しかし 2004 年 の 医 療 保 険 改 革 によって 一 般 制 度 の 運 営 組 織 で あった 被 用 者 医 療 保 険 全 国 金 庫 (CNAMTS)は 非 農 業 非 被 用 者 全 国 医 療 保 険 金 庫 (CANAM) 中 央 農 業 共 済 金 庫 (CCMSA)と 統 合 されて 全 国 医 療 保 険 金 庫 連 合 (UNCAM)と なっている 従 って 従 来 の 職 域 ごとの 制 度 はやや 崩 れ 政 府 による 介 入 が 強 化 される 中 制 度 としては 統 合 簡 素 化 に 向 かっている 医 療 保 険 の 財 源 は 従 来 保 険 料 のみで 運 営 されていたが 高 齢 化 の 進 展 とともに 財 政 赤 字 が 深 刻 化 していった このため 1997 年 に 一 般 社 会 税 の 一 部 が 医 療 保 険 に 投 入 されるよ うになる さらに 2005 年 には 一 般 社 会 税 の 税 率 が 改 定 されるとともに 法 人 社 会 連 帯 税 (C3S)で 0.03%の 付 加 税 が 導 入 され これらが 医 療 保 険 の 財 源 に 充 てられるなど 租 税 代 替 化 が 進 んできている 3) 失 業 保 険 失 業 保 険 制 度 は 被 用 者 や 事 業 主 が 支 払 う 保 険 料 によって 運 営 される 失 業 保 険 制 度 (Régime d assurance chômage)と 政 府 が 租 税 によって 担 保 する 連 帯 制 度 (Régime de solidarité)がある 失 業 保 険 制 度 は 一 定 期 間 就 労 し 保 険 料 を 拠 出 した 元 被 用 者 に 対 して 支 給 される 保 険 料 は 上 限 が 設 定 されている 報 酬 月 額 に 基 づいて 算 出 され 源 泉 徴 収 に より 強 制 的 に 徴 収 されている この 保 険 料 は 労 使 交 渉 によって 保 険 料 率 が 決 められ 状 況 に 応 じて 変 更 されている また 連 帯 制 度 は 政 府 の 扶 助 制 度 の 一 つで 失 業 保 険 制 度 を 補 足 する 機 能 を 果 たしてい る 連 帯 制 度 は 失 業 保 険 給 付 の 受 給 権 を 満 了 した 長 期 失 業 者 や 困 難 な 状 況 にいる 求 職 者 を 対 象 に 一 定 額 が 支 給 される 仕 組 みである これらはいずれも 全 国 商 工 業 雇 用 連 合 (UNEDIC:Union nationale pour l emploi dans l industrie et le commerce )によって 運 営 されている 3.2.3 企 業 負 担 の 詳 細 企 業 が 負 担 する 租 税 と 社 会 保 険 料 の 詳 細 を 以 下 に 記 す 1) 法 人 利 益 社 会 税 (Contribution sociale sur les benefices:csb) 2000 年 1 月 1 日 以 降 法 人 税 を 納 税 している 企 業 に 対 して 法 人 利 益 社 会 税 が 課 税 されて いる 法 人 税 額 が 76 万 3,000 ユーロを 超 える 企 業 は 法 人 税 額 と 76 万 3,000 ユーロの 差 額 に 対 し 3.3%が 課 税 される ただし 15%の 軽 減 税 率 が 適 用 されている 中 小 企 業 では 免 除 される また 法 人 税 の 算 定 の 際 に 法 人 利 益 社 会 税 は 控 除 できない 2) 法 人 社 会 連 帯 税 (C3S) 76 万 ユーロを 超 える 付 加 価 値 税 を 支 払 っている 場 合 には 自 営 業 者 に 対 する 社 会 保 護 の 34