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Transcription:

安 全 保 障 一 括 法 案 を 斬 る! 発 表 にあたって 表 紙 裏 第 1 部 戦 争 法 制 逐 条 批 判 逐 条 批 判 にあたって 2 Ⅰ 自 衛 隊 法 改 正 案 4 Ⅱ 国 際 平 和 協 力 法 (PKO 法 ) 改 正 案 16 Ⅲ 周 辺 事 態 法 等 改 正 案 ( 重 要 影 響 事 態 法 等 ) 24 Ⅳ 事 態 対 処 法 個 別 法 改 正 案 40 Ⅴ 国 際 平 和 支 援 法 案 58 第 2 部 戦 争 法 制 を 告 発 する(PartⅡ 論 稿 集 ) Ⅰ 本 質 背 景 1 ~ 3 69 Ⅱ 戦 争 と 戦 争 法 制 4 ~ 7 78 Ⅲ 戦 争 法 制 と 国 民 8 ~ 10 90 Ⅳ 戦 争 法 制 とアジアの 平 和 11 ~ 14 98 Ⅴ 戦 争 法 制 に 反 対 する 15 ~ 19 109 年 表 裏 表 紙 裏 2015 年 6 月 3 日 自 由 法 曹 団

発 表 に あ た っ て 5 月 15 日 安 倍 晋 三 政 権 は 戦 争 法 制 ( 安 全 保 障 一 括 法 案 )を 国 会 に 提 出 した 1 0 本 の 軍 事 法 を 改 正 する 一 括 法 案 ( 平 和 安 全 法 制 整 備 法 案 )と 国 際 平 和 支 援 法 案 ( 海 外 派 兵 恒 久 法 案 )からなる 法 案 である 5 月 26 日 法 案 は 衆 議 院 本 会 議 に 上 程 され 同 日 から 衆 議 院 の 特 別 委 員 会 で 審 議 が 続 けられている 戦 争 法 制 は 軍 事 法 制 の 全 面 的 な 再 編 をもたらすばかりか 改 定 日 米 ガイドライン や 各 分 野 で 進 行 している 安 全 保 障 戦 略 の 再 編 とあいまって この 国 を 世 界 のどこでで も いついかなる 場 面 でも 米 軍 とともに 軍 事 行 動 を 展 開 する 国 につくり 変 えること になる 全 国 2100 名 の 弁 護 士 で 構 成 する 自 由 法 曹 団 は 3 月 10 日 第 一 意 見 書 ( 緊 急 意 見 書 ) 戦 争 法 制 が 生 み 出 す 道 を 発 表 し 戦 争 法 制 の 全 貌 と 問 題 点 を 明 らかにす るとともに 法 制 化 の 中 止 を 要 求 した また 4 月 29 日 には 第 二 意 見 書 戦 争 法 制 を 批 判 する - いつでもどこでも 切 れ 目 なく 戦 争 へ を 発 表 して 戦 争 法 制 をめぐ る 問 題 点 について 多 方 面 から 検 討 検 証 を 加 えた 本 意 見 書 は これまでの2 冊 の 意 見 書 等 を 踏 まえて 提 出 された 安 全 保 障 一 括 法 案 に 法 案 ごとの 逐 条 検 討 を 加 え( 第 1 部 ) あわせて 戦 争 平 和 国 民 生 活 などと 戦 争 法 制 をめぐる 問 題 について 考 察 を 行 ったものである( 第 2 部 ) 第 1 部 の 逐 条 批 判 は 各 パートの 末 尾 に 記 載 した 担 当 者 の 責 任 で 執 筆 し 第 2 部 の 論 稿 19 本 は 該 当 箇 所 に 記 載 した 執 筆 者 が 執 筆 し 田 中 隆 が 全 体 の 編 集 にあたっている 第 二 意 見 書 に 引 き 続 いて 大 部 なものになったのは 戦 争 法 制 がはらむ 問 題 の 大 きさと 団 員 弁 護 士 の 抱 く 関 心 と 懸 念 の 深 さのゆえとご 理 解 いただきたい 戦 争 法 制 のひとつの 特 徴 は 戦 後 最 大 の 法 案 とまで 言 われる 重 要 法 案 でありな がら ほんの 一 握 りの 政 治 家 と 官 僚 しか 準 備 に 関 与 していないことである 国 民 や 野 党 議 員 はもとより 与 党 議 員 すらスポイルしたこうした 立 法 過 程 が 常 態 化 すれば 国 民 主 権 と 議 会 制 民 主 主 義 の 死 滅 を 招 くだろう それだけに 戦 争 法 制 は 徹 底 的 な 批 判 的 検 討 検 証 にさらされねばならない 戦 争 法 制 の 国 会 内 外 での 批 判 的 検 討 に 本 意 見 書 が 役 立 てば 幸 甚 である

第 1 部 戦 争 法 制 逐 条 批 判 戦 争 法 制 逐 条 批 判 について 2 Ⅰ 自 衛 隊 法 改 正 案 4 1 集 団 的 自 衛 権 行 使 容 認 に 伴 う 存 立 危 機 事 態 にかかわる 改 正 3 条 ( 任 務 ) 76 条 ( 防 衛 出 動 )89 条 ( 武 力 行 使 ) 122 条 の2( 罰 則 ) その 他 の 改 正 2 グレーゾーン 事 態 関 連 の 改 正 84 条 の3 94 条 の5( 在 留 邦 人 ) 95 条 95 条 の2( 武 器 防 護 ) 3 他 の 法 令 の 改 正 等 に 伴 う 改 正 Ⅱ 国 際 平 和 協 力 法 (PKO 法 ) 改 正 案 16 3 条 ( 定 義 ) 6 条 ( 実 施 計 画 ) 8 条 10 条 ( 実 施 要 領 等 ) 25 条 26 条 ( 武 器 の 使 用 ) Ⅲ 周 辺 事 態 法 等 改 正 案 ( 重 要 影 響 事 態 法 等 ) 24 1 周 辺 事 態 法 改 正 案 ( 重 要 影 響 事 態 法 ) 1 条 ( 目 的 ) 2 条 ( 基 本 原 則 ) 3 条 ( 定 義 等 ) 4 条 ( 基 本 計 画 ) 5 条 ( 国 会 の 承 認 ) 6 条 ( 後 方 支 援 活 動 ) 7 条 ( 捜 索 救 援 活 動 ) 8 条 9 条 10 条 ( 対 応 措 置 ) 11 条 ( 武 器 の 使 用 ) 2 周 辺 事 態 船 舶 検 査 法 改 正 案 1 条 ( 目 的 ) その 他 の 規 定 Ⅳ 事 態 対 処 法 個 別 法 改 正 案 40 1 事 態 対 処 法 改 正 案 1 条 ( 目 的 ) 2 条 ( 定 義 ) 3 条 ( 基 本 理 念 ) 4 条 ( 国 の 責 務 ) 5 条 6 条 ( 地 方 公 共 団 体 の 責 務 等 ) 8 条 ( 国 民 の 協 力 ) 2 個 別 法 改 正 案 A 米 軍 支 援 法 改 正 案 B 公 共 施 設 等 利 用 法 改 正 案 C 海 上 輸 送 規 制 法 改 正 案 D 捕 虜 取 扱 法 改 正 案 E 国 際 人 道 法 F 国 民 保 護 法 G 国 家 安 全 保 障 会 議 設 置 法 改 正 案 Ⅴ 国 際 平 和 支 援 法 案 58 1 条 ( 目 的 ) 2 条 ( 基 本 原 則 ) 3 条 ( 定 義 等 ) 4 条 ( 基 本 計 画 ) 5 条 ( 国 会 への 報 告 ) 6 条 ( 国 会 の 承 認 ) 7 条 ( 協 力 支 援 活 動 ) 8 条 ( 捜 索 救 助 活 動 ) など 1

戦 争 法 制 逐 条 批 判 について 戦 争 法 制 の 国 会 提 出 5 月 15 日 戦 争 法 制 ( 安 全 保 障 一 括 法 案 )が 国 会 に 提 出 された この 国 の 安 全 保 障 法 制 ( 軍 事 法 制 )の 全 面 的 な 再 編 を 引 き 起 こし 専 守 防 衛 を 旨 としてきた 戦 後 という 時 代 の 方 向 を 転 じる 重 大 な 法 案 である 安 全 保 障 の 法 的 基 盤 の 再 構 築 に 関 する 懇 談 会 ( 安 保 法 制 懇 )が 報 告 書 を 提 出 し 安 倍 晋 三 首 相 が 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 を 容 認 する 基 本 的 方 向 性 を 打 ち 出 したのは 1 年 前 の 2014 年 5 月 15 日 のことであった あれから1 年 政 府 与 党 協 議 が 続 けられて 閣 議 決 定 国 の 存 立 を 全 うし 国 民 を 守 るための 切 れ 目 のない 安 全 保 障 法 制 の 整 備 について (14 年 7 月 1 日 )や 共 同 文 書 安 全 保 障 法 制 整 備 の 具 体 的 な 方 向 性 について (15 年 3 月 20 日 )などが 発 表 されてきた また 日 米 両 国 政 府 間 では 日 米 防 衛 協 力 の 指 針 (ガイドライン) 改 定 中 間 報 告 (1 4 年 10 月 8 日 )を 経 て ガイドライン 改 定 が 行 われている(15 年 4 月 27 日 ) こうした 経 過 があることが 安 倍 首 相 らの 1 年 間 の 検 討 を 経 たもの との 言 明 を 生 む 原 因 になっている だが その 1 年 間 の 検 討 とは 政 府 与 党 協 議 や 日 米 両 国 政 府 間 協 議 に 出 席 した 者 の 検 討 にすぎず 国 民 はおろか 国 会 や 国 会 議 員 に 開 かれた 論 議 では 決 してなかった 官 邸 主 導 で 準 備 されてきた 戦 争 法 制 についての 本 格 的 な 研 究 検 討 が 続 けられた 形 跡 は 与 党 のなかにも 認 めることはできない 戦 争 法 制 の 準 備 は 国 会 議 員 も 主 権 者 国 民 も 置 き 去 りにしたまま 少 数 の 政 治 家 と 官 僚 の 手 で 進 められてきたのである このような 戦 争 法 制 についての 国 会 審 議 が 慎 重 なうえにも 慎 重 なものでなければなら ないことは 理 の 当 然 である にもかかわらず 安 倍 首 相 は 米 国 議 会 での 演 説 で 戦 争 法 制 を この 夏 までに 成 就 させる と 誓 約 した 委 員 会 審 議 での 政 府 閣 僚 の 答 弁 は 批 判 や 疑 問 には 耳 を 貸 さぬ とばかりの 硬 直 したものであり 審 議 入 りからわずか1 週 間 で 6 月 中 旬 にも 強 行 採 決 との 声 が 聞 こえている そうなれば 国 民 や 国 会 議 員 に 理 解 されない まま 戦 争 法 制 が 数 の 力 で 強 行 されることになりかねない 国 民 主 権 と 議 会 制 民 主 主 義 を 踏 みにじるかかる 暴 挙 は 断 じて 許 されてはならない 戦 争 法 制 の 構 成 と 検 討 批 判 の 必 要 性 戦 争 法 制 は 以 下 の2つの 法 案 からなっている 1 10 本 の 軍 事 法 の 改 正 を 一 本 にまとめた 一 括 法 案 ( 平 和 安 全 法 制 整 備 法 案 ) 2 国 際 平 和 支 援 法 案 ( 海 外 派 兵 恒 久 法 案 新 法 ) 一 括 法 案 は 自 衛 隊 法 (1954 年 ) PKO 法 ( 国 際 平 和 協 力 法 1992 年 ) 周 辺 事 態 法 (1997 年 ) 有 事 法 制 ( 事 態 対 処 法 個 別 法 2003 年 2004 年 ) 国 家 安 全 保 障 会 議 設 置 法 (2013 年 )の 改 正 案 で 構 成 されている 2

これらの 法 制 は それぞれの 時 代 背 景 のもとで 恒 久 平 和 を 宣 言 した 日 本 国 憲 法 と の 緊 張 関 係 や 再 軍 備 や 自 衛 隊 海 外 派 兵 に 反 対 する 国 民 世 論 との 対 抗 関 係 を 通 じて 生 み 出 されてきたもので 性 格 も 内 容 も 大 きく 異 なっている そうした 法 制 の 改 正 案 を 一 括 法 に 括 りこみ それぞれの 法 制 の 背 景 や 成 り 立 ち 意 味 内 容 等 を 捨 象 しての 論 議 に 導 こうとすること 自 体 重 大 な 問 題 と 言 わざるを 得 ない また 提 出 された 戦 争 法 制 は 概 要 法 案 要 綱 対 照 表 参 照 条 文 を 含 めれば 400 頁 に 及 ぶというという 膨 大 なものである これまでの 政 府 与 党 協 議 を 通 じて 主 だった 論 点 をめぐる 検 討 経 過 は 提 出 された 資 料 や 報 道 を 通 じて 明 らかになっていたが 提 出 された 法 案 にはそうした 資 料 や 報 道 からはうかがい 知 れなかった 未 解 明 の 論 点 も 無 数 に 含 まれている 戦 争 法 制 は 法 制 の 背 景 成 り 立 ち 現 行 規 定 の 意 味 内 容 運 用 の 実 態 法 案 のそれ ぞれの 論 点 などに 立 ち 入 った 厳 密 で 慎 重 な 検 討 審 議 が 行 われねばならない 本 意 見 書 の 戦 争 法 制 逐 条 批 判 は そうした 検 討 審 議 に 資 するために 法 律 家 の 立 場 から 法 案 に 条 文 に 即 した 逐 条 的 な 検 討 批 判 を 加 えたものである 法 案 を 入 手 して 2 週 間 という 短 期 間 の 検 討 で 不 完 全 な 部 分 も 多 々 存 在 するが 急 を 要 する 国 会 内 外 での 戦 争 法 案 の 検 討 批 判 の 一 助 となれば 幸 いである なお 先 んじて 改 定 されたガイドラインや 同 時 に 閣 議 決 定 された グレーゾーン 事 態 への 対 応 は 第 二 部 の 論 稿 集 戦 争 法 制 を 告 発 する (PartⅡ)で 検 討 を 加 えている 逐 条 批 判 の 記 述 について 逐 条 批 判 本 文 では 改 正 案 を 一 括 法 案 の 配 列 に 沿 って 配 列 し その 後 に 新 法 の 国 際 平 和 支 援 法 案 をおいている 法 文 は 内 閣 官 房 のホームページに 掲 載 された 提 出 法 案 の 法 文 を 出 典 としているが 横 書 のスタイルで 読 みやすくするために 以 下 の 処 理 を 加 えている 1 条 文 番 号 と 表 題 を 罫 線 の 外 に 出 し 1 項 の 冒 頭 に 1 を 付 す 2 条 文 番 号 を 算 用 数 字 にあらため 法 文 中 も 条 文 番 号 と 項 番 号 は 算 用 数 字 にする( 号 番 号 は 漢 数 字 ) 3 法 文 中 の 法 律 名 の 後 にある 番 号 表 記 ( 〇 〇 年 法 律 号 )は 削 除 する 一 括 法 案 では 改 正 案 の 法 文 を 記 載 して 下 線 を 引 いて 改 正 部 分 を 明 示 し 条 文 全 部 が 新 設 の 場 合 には 下 線 は 引 かずに 新 設 条 文 と 明 記 している 閣 僚 などの 国 会 での 答 弁 には 原 則 として 答 弁 年 月 日 答 弁 者 を 掲 記 している また 重 要 な 意 味 を 持 つ 改 正 案 法 案 の 条 文 は 法 文 を 掲 記 して 注 釈 を 加 えるが さほど 重 要 でない 部 分 や 形 式 的 な 表 現 変 更 による 改 正 は 逐 一 取 り 上 げず 必 要 に 応 じて 要 点 を 記 載 する 方 法 をとっている ( 田 中 隆 ) 3

Ⅰ 自 衛 隊 法 改 正 案 概 要 自 衛 隊 法 は 自 衛 隊 の 発 足 (1954 年 7 月 1 日 それまでの 保 安 隊 警 備 隊 を 改 組 ) に 伴 い 1954 年 6 月 9 日 に 公 布 され 同 年 7 月 1 日 に 施 行 された 自 衛 隊 の 任 務 自 衛 隊 の 部 隊 の 組 織 及 び 編 成 自 衛 隊 の 行 動 及 び 権 限 隊 員 の 身 分 取 扱 い 等 を 定 めることを 目 的 (1 条 )としている 安 部 晋 三 内 閣 による 閣 議 決 定 国 の 存 立 を 全 うし 国 民 を 守 る ための 切 れ 目 のない 安 全 保 障 法 制 の 整 備 について (2014 年 7 月 1 日 )は 自 衛 隊 発 足 60 周 年 の 日 に 行 われたことになる 閣 議 決 定 の 法 制 化 をはかるための 一 括 法 案 には 以 下 の3つのジャンルで 自 衛 隊 法 改 正 が 組 み 込 まれている 1 集 団 的 自 衛 権 行 使 容 認 に 伴 う 存 立 危 機 事 態 にかかわる 改 正 2 グレーゾーン 事 態 ( 在 外 邦 人 等 の 保 護 措 置 米 軍 等 防 護 の 武 器 使 用 )にかかわる 改 正 3 他 の 分 野 の 法 改 正 等 に 伴 う 改 正 以 下 この3ジャンルに 分 けて 主 要 な 法 文 に 注 釈 を 加 える 1 集 団 的 自 衛 権 行 使 容 認 に 伴 う 存 立 危 機 事 態 にかかわる 改 正 第 3 条 ( 自 衛 隊 の 任 務 ) 自 衛 隊 は 我 が 国 の 平 和 と 独 立 を 守 り 国 の 安 全 を 保 つため 我 が 国 を 防 衛 することを 主 たる 任 務 とし 必 要 に 応 じ 公 共 の 秩 序 の 維 持 に 当 たるものとする 現 行 規 定 は 国 の 安 全 を 保 つため 直 接 侵 略 及 び 間 接 侵 略 に 対 し 我 が 国 を 防 衛 すること を 主 たる 任 務 とし であり 直 接 侵 略 及 び 間 接 侵 略 に 対 し が 削 除 されることになって いる これが 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 を 容 認 するため 事 態 対 処 法 等 に 存 立 危 機 事 態 が 組 み 込 まれたことに 対 応 した 自 衛 隊 法 の 任 務 規 定 の 変 更 である 直 接 侵 略 及 び 間 接 侵 略 に 対 し との 現 行 規 定 は これまで 相 手 から 武 力 攻 撃 を 受 けた ときに 初 めて 防 衛 力 を 行 使 し その 態 様 も 自 衛 のための 必 要 最 小 限 度 にとどめるなど 受 動 的 な 防 衛 戦 略 の 姿 勢 である 専 守 防 衛 について 定 めた 象 徴 的 条 項 であった 自 衛 隊 発 足 以 来 の 二 大 任 務 である 防 衛 出 動 (76 条 我 が 国 に 対 する 外 部 からの 武 力 攻 撃 )が 直 接 侵 略 に 対 応 し 治 安 出 動 (78 条 間 接 侵 略 その 他 の 緊 急 事 態 )が 間 接 侵 略 に 対 応 する 構 造 である 自 衛 隊 法 は これまでこの 専 守 防 衛 の 制 約 の 中 で 徐 々にできる 範 囲 を 追 加 してきた 経 緯 がある 今 回 の 改 正 も 直 接 侵 略 及 び 間 接 侵 略 に 存 立 危 機 事 態 を 追 加 する 方 法 で 実 現 することも 不 可 能 ではなく それで 足 りていたはずである 4

ところが 改 正 案 は 存 立 危 機 事 態 の 追 加 ではなく 直 接 侵 略 及 び 間 接 侵 略 に 対 し を 削 除 しようとする 侵 略 がなければ 防 衛 できないという 受 け 身 の 姿 勢 から 国 益 のために 積 極 的 に 国 外 に 出 て 行 く 姿 勢 に 転 換 し 専 守 防 衛 を 放 棄 して 能 動 的 積 極 的 に 海 外 での 軍 事 行 動 に 出 て 行 くことを 宣 言 しようとしているのである 国 家 安 全 保 障 戦 略 (2014 年 12 月 )や 改 定 ガイドライン( 本 年 4 月 27 日 )では 自 衛 隊 の 世 界 規 模 での 軍 事 行 動 が 宣 言 されている こうした 世 界 展 開 に 対 応 して 新 防 衛 計 画 大 綱 や 中 期 防 衛 力 整 備 計 画 (いずれも2014 年 12 月 )では 統 合 機 動 防 衛 力 の 構 築 が 提 起 され 機 動 師 団 機 動 旅 団 への 改 変 水 陸 両 用 団 の 編 成 敵 基 地 攻 撃 能 力 の 検 討 構 築 などが 推 進 されている 直 接 侵 略 及 び 間 接 侵 略 の 削 除 は 国 土 国 民 を 守 る 兵 力 から 海 外 に 機 動 展 開 し ていく 外 征 軍 遠 征 軍 への 自 衛 隊 の 豹 変 を いっそう 加 速 することになるだろう その ことの 及 ぼす 影 響 は 甚 大 と 言 わねばならない 第 76 条 ( 防 衛 出 動 ) 1 内 閣 総 理 大 臣 は 次 に 掲 げる 事 態 に 際 して 我 が 国 を 防 衛 するため 必 要 があると 認 める 場 合 に は 自 衛 隊 の 全 部 又 は 一 部 の 出 動 を 命 ずることができる この 場 合 においては 武 力 攻 撃 事 態 等 及 び 存 立 危 機 事 態 における 我 が 国 の 平 和 と 独 立 並 びに 国 及 び 国 民 の 安 全 の 確 保 に 関 する 法 律 第 9 条 の 定 めるところにより 国 会 の 承 認 を 得 なければならない 一 我 が 国 に 対 する 外 部 からの 武 力 攻 撃 が 発 生 した 事 態 又 は 武 力 攻 撃 が 発 生 する 明 白 な 危 険 が 切 迫 していると 認 められるに 至 つた 事 態 二 我 が 国 と 密 接 な 関 係 にある 他 国 に 対 する 武 力 攻 撃 が 発 生 し これにより 我 が 国 の 存 立 が 脅 か され 国 民 の 生 命 自 由 及 び 幸 福 追 求 の 権 利 が 根 底 から 覆 される 明 白 な 危 険 がある 事 態 本 条 は 内 閣 総 理 大 臣 が 行 う 自 衛 隊 に 対 する 防 衛 出 動 命 令 について 定 める 防 衛 出 動 を 命 じるための 事 態 について 事 態 対 処 法 における 武 力 攻 撃 事 態 と 存 立 危 機 事 態 の 概 念 整 理 に 伴 い 自 衛 隊 法 でも 本 条 において 同 様 に 整 理 された 2 号 は 事 態 対 処 法 2 条 第 2 号 の 武 力 攻 撃 事 態 の 定 義 と 第 3 号 は 事 態 対 処 法 2 条 第 4 号 の 存 立 危 機 事 態 の 定 義 と 一 致 する 新 たに 追 加 された 存 立 危 機 事 態 につ いては 事 態 対 処 法 2 条 の 注 釈 を 参 照 されたい 防 衛 出 動 命 令 を 受 けた 自 衛 隊 は 武 力 を 行 使 することができる( 自 衛 隊 法 88 条 ) また 国 会 の 事 前 の 承 認 が 原 則 であるが 緊 急 の 場 合 には 事 後 承 認 で 足 りるとされる( 事 態 対 処 法 第 9 条 の 注 釈 参 照 ) 第 88 条 ( 防 衛 出 動 時 の 武 力 行 使 ) 1 第 76 条 第 1 項 の 規 定 により 出 動 を 命 ぜられた 自 衛 隊 は わが 国 を 防 衛 するため 必 要 な 武 力 を 行 使 することができる 2 前 項 の 武 力 行 使 に 際 しては 国 際 の 法 規 及 び 慣 例 によるべき 場 合 にあってはこれを 順 守 し かつ 事 態 に 応 じ 合 理 的 に 必 要 と 判 断 される 限 度 をこえてはならないものとする 76 条 で 防 衛 出 動 命 令 を 受 けた 自 衛 隊 は 本 条 にもとづいて 武 力 を 行 使 することができ る 防 衛 出 動 命 令 の 条 件 に 存 立 危 機 事 態 が 追 加 されたが 本 条 の 改 正 は 予 定 されてお 5

らず 武 力 攻 撃 事 態 と 同 様 の 武 力 行 使 が 可 能 となる 法 文 上 は わが 国 を 防 衛 するため とあるが 存 立 危 機 事 態 では 武 力 行 使 の 目 的 は 他 国 への 武 力 攻 撃 を 排 除 するためであって 他 国 の 敵 との 交 戦 である 他 国 とは 現 状 は 米 国 以 外 に 想 定 しがたいことから 実 際 には 米 国 の 敵 との 交 戦 である 米 国 の 敵 と 交 戦 し 米 国 への 武 力 攻 撃 を 排 除 することがすなわち わが 国 を 防 衛 することになると 言 っているに 等 しい 武 力 行 使 については 事 態 対 処 法 2 条 の 注 釈 ( 新 三 要 件 の 検 討 箇 所 )を 参 照 されたい 第 122 条 の2[ 罰 則 ] 新 設 条 文 1 第 119 条 第 1 項 第 七 号 及 び 第 八 号 並 びに 前 条 第 1 項 の 罪 は 日 本 国 外 においてこれらの 罪 を 犯 した 者 にも 適 用 する 2 第 119 条 第 2 項 の 罪 ( 同 条 第 1 項 第 七 号 又 は 第 八 号 に 規 定 する 行 為 の 遂 行 を 共 謀 し 教 唆 し 又 は 扇 動 した 者 に 係 るものに 限 る ) 及 び 前 条 第 2 項 の 罪 は 刑 法 第 2 条 の 例 に 従 う 自 衛 隊 法 119 条 122 条 は いずれも 罰 則 規 定 である 119 条 1 項 七 号 は 上 官 の 職 務 上 の 命 令 に 対 し 多 数 共 同 して 反 抗 した 者 八 号 は 正 当 な 権 限 がなくて 又 は 上 官 の 職 務 上 の 命 令 に 違 反 して 自 衛 隊 の 部 隊 を 指 揮 した 者 119 条 2 項 はこれらの 行 為 の 共 謀 教 唆 扇 動 で いずれも3 年 以 下 の 懲 役 である また 122 条 ( 法 文 では 前 条 )は 防 衛 出 動 命 令 (76 条 )を 受 けた 自 衛 官 の 争 議 的 行 為 怠 業 的 行 為 ( 一 号 ) 3 日 以 上 の 職 務 場 所 離 脱 ( 二 号 ) 上 官 の 命 令 への 反 抗 不 服 従 ( 三 号 ) 命 令 違 反 の 部 隊 指 揮 ( 四 号 ) 勤 務 場 所 離 脱 睡 眠 酩 酊 による 怠 業 ( 五 号 )で いずれも7 年 以 下 の 懲 役 という 重 罪 である 自 衛 隊 が 専 守 防 衛 のもとで 国 民 や 国 土 の 侵 略 に 対 して 戦 う 軍 隊 であったことから これまでこうした 罰 則 の 適 用 は 日 本 国 内 に 限 られていた 国 外 犯 処 罰 を 追 加 する 本 条 の 改 正 は 日 本 国 外 で 犯 した 行 為 についてもこうした 罰 則 を 適 用 するものであり 自 衛 隊 が 外 征 軍 遠 征 軍 に 変 わっていくことに 対 応 している 刑 法 2 条 は 日 本 国 や 日 本 国 民 の 法 益 を 守 るため 一 定 の 犯 罪 類 型 について 犯 人 の 国 籍 や 犯 罪 地 を 問 わずに 刑 法 を 適 用 することを 宣 言 したものである 従 って 海 外 にいる 外 国 人 が 自 衛 隊 員 の 共 同 反 抗 命 令 違 反 指 揮 を 共 謀 教 唆 扇 動 した 場 合 にも 処 罰 されることになる 自 衛 隊 法 122 条 は 防 衛 出 動 命 令 (76 条 )が 前 提 であるから 存 立 危 機 事 態 での 海 外 出 動 に 限 定 される しかし 119 条 は 防 衛 出 動 命 令 が 要 件 となっていないから 重 要 影 響 事 態 や 国 際 平 和 共 同 対 処 事 態 での 海 外 派 兵 や 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 PKO 活 動 への 派 遣 でも 適 用 される 国 外 犯 処 罰 の 追 加 によって 海 外 に 派 遣 される 自 衛 隊 員 への 管 理 統 制 は 大 幅 に 強 化 されることになる 6

存 立 危 機 事 態 とその 他 の 自 衛 隊 法 の 改 正 自 衛 隊 法 に 定 める 防 衛 出 動 に 係 る 自 衛 隊 の 主 な 権 限 等 は 以 下 のとおりである No 権 限 規 定 条 文 概 要 1 特 別 の 部 隊 の 編 成 第 22 条 特 別 の 部 隊 の 編 成 等 2 士 長 等 の 任 用 期 間 の 延 第 36 条 任 期 制 隊 員 である 士 長 等 の 任 用 期 間 延 長 長 3 自 衛 官 の 定 年 による 退 第 45 条 定 年 に 達 した 自 衛 官 の 勤 務 延 長 等 職 の 特 例 4 予 備 自 及 び 即 応 予 備 自 第 68 条 防 衛 招 集 されている 予 備 自 衛 官 及 び 即 応 の 任 用 期 間 の 延 長 第 75 条 の8 予 備 自 衛 官 の 任 用 期 間 の 延 長 5 予 備 自 及 び 即 応 予 備 自 第 70 条 予 備 自 衛 官 及 び 即 応 予 備 自 衛 官 に 対 する の 防 衛 招 集 等 第 75 条 の4 防 衛 招 集 6 防 衛 出 動 待 機 命 令 等 第 77 条 出 動 待 機 命 令 7 防 衛 出 動 下 令 前 の 行 動 第 77 条 の3 米 軍 行 動 関 連 措 置 法 に 基 づく 物 品 役 務 の 関 連 措 置 提 供 等 8 関 係 機 関 との 連 絡 及 び 第 86 条 関 係 する 地 方 自 治 体 等 との 相 互 の 緊 密 な 協 力 連 携 協 力 9 防 衛 出 動 時 の 武 力 行 使 第 88 条 三 要 件 を 満 たす 場 合 に 武 力 行 使 可 能 10 防 衛 出 動 時 の 海 上 輸 送 第 94 条 の7 武 力 の 行 使 に 伴 う 相 手 国 の 軍 用 品 等 の 海 の 規 制 上 輸 送 規 制 11 捕 虜 等 の 取 扱 い 第 94 条 の8 武 力 の 行 使 に 伴 う 相 手 国 の 捕 虜 の 取 扱 い 等 12 防 御 施 設 構 築 の 措 置 第 77 条 の2 武 力 攻 撃 に 備 えた 陣 地 等 の 防 御 施 設 の 構 そのための 土 地 の 使 用 第 103 条 の2 築 等 13 海 上 保 安 庁 の 統 制 第 80 条 海 上 保 安 庁 の 全 部 又 は 一 部 の 防 衛 大 臣 に よる 統 制 14 防 衛 出 動 時 の 公 共 の 秩 第 92 条 公 共 の 秩 序 の 維 持 のための 警 察 権 の 行 使 序 の 維 持 のための 権 限 15 防 衛 出 動 時 の 緊 急 通 行 第 92 条 の2 一 般 交 通 の 用 に 供 しない 道 路 空 地 等 の 通 行 16 防 衛 出 動 時 における 物 資 の 収 用 等 第 103 条 施 設 の 管 理 土 地 等 の 使 用 物 資 の 保 管 収 用 業 務 従 事 命 令 等 これらのうち 1~11については 存 立 危 機 事 態 においても 適 用 されるが 12~ 16については 主 として 我 が 国 に 対 する 直 接 攻 撃 や 物 理 的 被 害 を 念 頭 においた 措 置 であ り 武 力 攻 撃 事 態 等 においてのみ 適 用 され 存 立 危 機 事 態 では 適 用 されない しかし 存 立 危 機 事 態 と 武 力 攻 撃 事 態 等 は 併 存 でき 政 府 の 説 明 によれば 現 実 の 安 全 保 障 環 境 を 踏 まえれば 存 立 危 機 事 態 に 該 当 するような 状 況 は 同 時 に 武 力 攻 撃 事 態 等 にも 該 当 することが 多 い とされている( 本 年 4 月 27 日 政 府 与 党 協 議 資 料 ) とすれば 存 立 危 機 事 態 と 武 力 攻 撃 事 態 等 が 同 時 に 認 定 され 防 御 施 設 構 築 の 7

措 置 (77 条 の2)やそのための 施 設 の 管 理 や 土 地 等 の 使 用 土 木 建 設 業 者 への 業 務 従 事 命 令 (103 条 )など 12~16の 措 置 にもつながっていくことが 想 定 される その 他 電 気 通 信 設 備 の 利 用 等 (104 条 ) 墓 地 埋 葬 等 に 関 する 法 律 の 適 用 除 外 (115 条 の4) 医 療 法 の 適 用 除 外 等 (115 条 の5) 漁 港 漁 場 整 備 法 の 特 例 (115 条 の6) 港 湾 法 の 特 例 (115 条 の8) 土 地 収 用 法 の 適 用 除 外 (115 条 の9) 森 林 法 の 特 例 (115 条 の10) 道 路 法 の 特 例 (115 条 の11) 土 地 区 画 整 理 法 の 適 用 除 外 (115 条 の12) 都 市 公 園 法 の 特 例 (115 条 の13) 海 岸 法 の 特 例 (115 条 の14) 自 然 公 園 法 の 特 例 (115 条 の15) 道 路 交 通 法 の 特 例 (115 条 の16) 河 川 法 の 特 例 (115 条 の17) 首 都 圏 近 郊 緑 地 保 全 法 の 適 用 除 外 (115 条 の18) 近 畿 圏 の 保 全 区 域 の 整 備 に 関 する 法 律 の 適 用 除 外 (115 条 の19) 都 市 緑 地 法 の 特 例 (115 条 の21) 排 他 的 経 済 水 域 及 び 大 陸 棚 の 保 全 及 び 利 用 の 促 進 のための 低 潮 線 の 保 全 及 び 拠 点 施 設 の 整 備 等 に 関 する 法 律 の 特 例 (115 条 の23) 津 波 防 災 地 域 づくり に 関 する 法 律 の 特 例 (115 条 の24)については いずれも 武 力 攻 撃 事 態 (76 条 第 1 項 1 号 に 係 る 部 分 ( 武 力 攻 撃 事 態 等 )に 限 って 適 用 されるとし 存 立 危 機 事 態 の 場 合 には 適 用 されないことが 明 示 された 他 方 で 消 防 法 の 適 用 除 外 (115 条 の2) 建 築 基 準 法 の 特 例 (115 条 の7) 景 観 法 の 特 例 (115 条 の22)については このような 区 別 が 明 示 されていないので 存 立 危 機 事 態 に おいても これら 特 例 措 置 が 適 用 される 余 地 がある 2 グレーゾーン 事 態 関 連 の 改 正 第 84 条 の3( 在 外 邦 人 等 の 保 護 措 置 ) 新 設 条 文 1 防 衛 大 臣 は 外 務 大 臣 から 外 国 における 緊 急 事 態 に 際 して 生 命 又 は 身 体 に 危 害 が 加 えられるおそ れがある 邦 人 の 警 護 救 出 その 他 の 当 該 邦 人 の 生 命 又 は 身 体 の 保 護 のための 措 置 ( 輸 送 を 含 む 以 下 保 護 措 置 という )を 行 うことの 依 頼 があった 場 合 において 外 務 大 臣 と 協 議 し 次 の 各 号 のい ずれにも 該 当 すると 認 めるときは 内 閣 総 理 大 臣 の 承 認 を 得 て 部 隊 等 に 当 該 保 護 措 置 を 行 わせる ことができる 一 当 該 外 国 の 領 域 の 当 該 保 護 措 置 を 行 う 場 所 において 当 該 外 国 の 権 限 ある 当 局 が 現 に 公 共 の 安 全 と 秩 序 の 維 持 に 当 たっており かつ 戦 闘 行 為 ( 国 際 的 な 武 力 紛 争 の 一 環 として 行 われる 人 を 殺 傷 し 又 は 物 を 破 壊 する 行 為 をいう 第 95 条 の2 第 1 項 において 同 じ )が 行 われることがないと 認 められること 二 自 衛 隊 が 当 該 保 護 措 置 ( 第 94 条 の5 第 1 項 の 規 定 による 武 器 の 使 用 を 含 む )を 行 うことにつ いて 当 該 外 国 ( 国 際 連 合 の 総 会 又 は 安 全 保 障 理 事 会 の 決 議 に 従 って 当 該 外 国 において 施 政 を 行 う 機 関 がある 場 合 にあっては 当 該 機 関 )の 同 意 があること 三 予 想 される 危 険 に 対 応 して 当 該 保 護 措 置 をできる 限 り 円 滑 かつ 安 全 に 行 うための 部 隊 等 と 第 一 号 に 規 定 する 当 該 外 国 の 権 限 ある 当 局 との 間 の 連 携 及 び 協 力 が 確 保 されると 見 込 まれること 2 内 閣 総 理 大 臣 は 前 項 の 規 定 による 外 務 大 臣 と 防 衛 大 臣 の 協 議 の 結 果 を 踏 まえて 同 項 各 号 のい ずれにも 該 当 すると 認 める 場 合 に 限 り 同 項 の 承 認 をするものとする 3 防 衛 大 臣 は 第 1 項 の 規 定 により 保 護 措 置 を 行 わせる 場 合 において 外 務 大 臣 から 同 項 の 緊 急 事 態 に 際 して 生 命 又 は 身 体 に 危 害 が 加 えられるおそれがある 外 国 人 として 保 護 することを 依 頼 され た 者 その 他 の 当 該 保 護 措 置 と 併 せて 保 護 を 行 うことが 適 当 と 認 められる 者 (94 条 の5 第 1 項 にお 8

いて その 他 の 保 護 対 象 者 という )の 生 命 又 は 身 体 の 保 護 のための 措 置 を 部 隊 等 に 行 わせること ができる (1) 趣 旨 本 条 は 外 国 における 緊 急 事 態 に 際 して 生 命 又 は 身 体 に 危 害 が 加 えられるおそれがある 邦 人 の 保 護 措 置 ( 警 護 救 出 その 他 の 在 外 邦 人 の 生 命 又 は 身 体 の 保 護 のための 措 置 輸 送 も 含 む)を 自 衛 隊 が 実 施 できるようにするとともに いわゆる 任 務 遂 行 型 の 武 器 使 用 権 限 を 自 衛 隊 に 認 めるものである 本 条 は 2013 年 にアルジェリアで 発 生 した 日 本 人 人 質 事 件 等 の 海 外 でテロ 等 に 巻 き 込 まれた 邦 人 の 救 出 活 動 それ 自 体 に 自 衛 隊 の 関 与 を 可 能 とするための 条 文 である そもそも 自 衛 隊 が 関 与 したからといって 現 地 での 邦 人 救 出 可 能 性 が 当 然 に 上 がるもの ではない むしろ 武 器 使 用 を 許 可 された 自 衛 隊 が 現 地 で 活 動 することが 救 出 対 象 とな る 邦 人 の 生 命 を 一 層 危 険 に 曝 す 可 能 性 も 十 分 にある さらに 本 条 によって 自 衛 隊 が 海 外 で 武 器 を 現 実 に 使 用 する 機 会 は 増 大 する なお 本 条 3 項 によって 保 護 の 対 象 は 外 国 人 に 拡 大 されている (2) 手 続 手 続 は 外 務 大 臣 からの 依 頼 を 受 けた 防 衛 大 臣 が 外 務 大 臣 と 協 議 し 内 閣 総 理 大 臣 が 承 認 し 防 衛 大 臣 の 命 令 によるものとされている 海 外 での 武 器 使 用 を 前 提 とする 自 衛 隊 の 出 動 に 関 する 規 定 であるにもかかわらず 行 政 府 の3 大 臣 のみの 手 続 的 関 与 で 自 衛 隊 の 出 動 が 可 能 となっており 主 権 者 たる 国 民 の 代 表 者 で 構 成 される 国 会 が 関 与 することは 前 提 となっていない 点 に 重 大 な 問 題 があると 言 わざ るを 得 ない (3) 実 施 要 件 保 護 措 置 の 実 施 要 件 は 以 下 1ないし3の 全 てを 満 たす 場 合 のみである 1 保 護 措 置 を 行 う 場 所 において 当 該 外 国 の 権 限 ある 当 局 が 現 に 公 共 の 安 全 と 秩 序 の 維 持 に 当 たっており かつ 戦 闘 行 為 が 行 われることがないと 認 められること 2 自 衛 隊 が 当 該 保 護 措 置 を 行 うことについて 当 該 外 国 等 の 同 意 があること 3 予 想 される 危 険 に 対 応 して 当 該 保 護 措 置 をできる 限 り 円 滑 かつ 安 全 に 行 うための 部 隊 等 と 当 該 外 国 の 権 限 ある 当 局 との 間 の 連 携 及 び 協 力 が 確 保 されると 見 込 まれること 本 条 2 項 で 要 件 該 当 性 の 判 断 は 内 閣 総 理 大 臣 の 承 認 によるものとされており 政 府 が 要 件 を 充 たしていると 判 断 すれば 自 衛 隊 の 出 動 が 可 能 となる 要 件 該 当 性 の 判 断 の 正 当 性 を 担 保 する 要 件 が 一 切 定 められておらず 濫 用 の 危 険 性 が 拭 いきれていない また 例 えば 自 衛 隊 が 現 地 に 到 着 した 結 果 当 該 現 地 当 局 によって 公 共 の 安 全 と 秩 序 の 維 持 がはかられているとはいえないことが 判 明 した 場 合 等 現 地 に 自 衛 隊 を 出 動 させた 結 果 いずれかの 実 施 要 件 を 満 たしていないことが 判 明 した 場 合 の 対 処 方 法 が 一 切 定 めら れてない 9

本 条 は 在 外 邦 人 保 護 という 大 義 名 分 の 下 自 衛 隊 の 海 外 での 武 器 使 用 の 解 禁 に 踏 み 切 る 極 めて 危 険 な 規 定 であるにもかかわらず 実 施 要 件 の 該 当 性 判 断 は 内 閣 総 理 大 臣 の 承 認 で 足 りるとされており 濫 用 の 危 険 性 が 高 い 極 めて 危 険 な 条 文 である 第 94 条 の5( 在 外 邦 人 等 の 保 護 措 置 の 際 の 権 限 ) 新 設 条 文 1 第 84 条 の3 第 1 項 の 規 定 により 外 国 の 領 域 において 保 護 措 置 を 行 う 職 務 に 従 事 する 自 衛 官 は 同 項 第 一 号 及 び 第 二 号 のいずれにも 該 当 する 場 合 であつて その 職 務 を 行 うに 際 し 自 己 若 しくは 当 該 保 護 措 置 の 対 象 である 邦 人 若 しくはその 他 の 保 護 対 象 者 の 生 命 若 しくは 身 体 の 防 護 又 はその 職 務 を 妨 害 する 行 為 の 排 除 のためやむを 得 ない 必 要 があると 認 める 相 当 の 理 由 があるときは その 事 態 に 応 じ 合 理 的 に 必 要 と 判 断 される 限 度 で 武 器 を 使 用 することができる ただし 刑 法 第 36 条 又 は 第 37 条 に 該 当 する 場 合 のほか 人 に 危 害 を 与 えてはならない 2 第 89 条 第 2 項 の 規 定 は 前 項 の 規 定 により 自 衛 官 が 武 器 を 使 用 する 場 合 について 準 用 する 3 第 1 項 に 規 定 する 自 衛 官 は 第 84 条 の3 第 1 項 第 一 号 に 該 当 しない 場 合 であつても その 職 務 を 行 うに 際 し 自 己 若 しくは 自 己 と 共 に 当 該 職 務 に 従 事 する 隊 員 又 はその 職 務 を 行 うに 伴 い 自 己 の 管 理 の 下 に 入 つた 者 の 生 命 又 は 身 体 の 防 護 のためやむを 得 ない 必 要 があると 認 める 相 当 の 理 由 があ る 場 合 には その 事 態 に 応 じ 合 理 的 に 必 要 と 判 断 される 限 度 で 武 器 を 使 用 することができる ただ し 刑 法 第 36 条 又 は 第 37 条 に 該 当 する 場 合 のほか 人 に 危 害 を 与 えてはならない 本 条 は 自 衛 隊 法 84 条 の3によって 在 外 邦 人 等 の 保 護 措 置 のために 外 国 の 領 域 に 派 遣 された 自 衛 隊 の 武 器 の 使 用 についての 規 定 である 警 護 救 出 等 の 保 護 措 置 の 対 象 である 邦 人 の 生 命 若 しくは 身 体 の 防 護 および その 職 務 を 妨 害 する 行 為 を 排 除 を 目 的 とする 武 器 の 使 用 が 認 められている 任 務 遂 行 のための 武 器 の 使 用 である 在 外 邦 人 等 の 保 護 措 置 が 発 動 されるのは 在 外 邦 人 等 に 人 質 になるなどの 危 難 ある いは 危 険 が 生 じ 現 に 公 共 の 安 全 と 秩 序 の 維 持 に 当 たっている 外 国 政 府 が 自 衛 隊 の 行 動 に 同 意 するほどの 緊 迫 した 局 面 であるから 外 国 政 府 に 敵 対 する 武 装 勢 力 などとの 衝 突 が 発 生 する 危 険 がきわめて 大 きい そうした 場 面 で 邦 人 保 護 や 妨 害 排 除 のための 武 器 の 使 用 を 認 めることは 先 制 的 な 発 砲 を 積 極 的 に 容 認 することにならざるを 得 ない このことは 武 装 勢 力 の 側 からすれば 日 本 軍 = 自 衛 隊 が 直 接 的 に 介 入 して 敵 対 的 な 軍 事 行 動 を 展 開 したことを 意 味 している そうした 事 態 が 発 生 したとき その 外 国 に 居 留 す る 日 本 国 民 の 危 険 が 飛 躍 的 に 拡 大 することは 明 らかだろう なお 正 当 防 衛 ( 刑 法 36 条 )または 緊 急 避 難 ( 刑 法 37 条 )の 場 合 を 除 いて 危 害 射 撃 が 禁 止 されているが 歯 止 め になるとは 考 えられない 外 国 での 武 装 勢 力 等 との 衝 突 で どちらが 先 に 発 砲 したか などの 適 正 な 認 定 ができるわけはなく 在 外 邦 人 の 現 在 の 危 難 を 避 けるため と 説 明 すれば 容 易 に 緊 急 避 難 の 要 件 を 満 たすことになるからである 第 95 条 ( 自 衛 隊 の 武 器 等 の 防 護 のための 武 器 の 使 用 ) 10

自 衛 官 は 自 衛 隊 の 武 器 弾 薬 火 薬 船 舶 航 空 機 車 両 有 線 電 気 通 信 設 備 無 線 設 備 又 は 液 体 燃 料 ( 以 下 武 器 等 という )を 職 務 上 警 護 するに 当 たり 人 又 は 武 器 等 を 防 護 するため 必 要 であると 認 める 相 当 の 理 由 がある 場 合 には その 事 態 に 応 じ 合 理 的 に 必 要 と 判 断 される 限 度 で 武 器 を 使 用 することができる ただし 刑 法 第 36 条 又 は 第 37 条 に 該 当 する 場 合 のほか 人 に 危 害 を 加 えてはならない (1) 趣 旨 本 条 は 自 衛 隊 の 武 器 等 防 護 のための 自 衛 官 の 武 器 の 使 用 について 定 める 自 衛 隊 の 武 器 弾 薬 火 薬 船 舶 航 空 機 車 両 有 線 電 機 通 信 設 備 無 線 設 備 液 体 燃 料 ( 以 下 武 器 等 という )という 自 衛 隊 の 物 的 手 段 を 破 壊 又 は 奪 取 しようとする 行 為 から 当 該 武 器 等 を 防 護 するため 武 器 等 の 警 護 を 職 務 上 現 に 担 当 している 自 衛 官 に 対 して 一 定 の 要 件 の 下 で 武 器 の 使 用 を 定 める 規 定 である 憲 法 9 条 の 下 出 動 等 の 行 動 に 伴 う 武 器 の 使 用 を 除 いた 平 時 における 自 衛 隊 の 武 器 の 使 用 は 本 来 許 されない 自 衛 隊 に 出 動 等 が 命 ぜられていない いわば 平 時 において 我 が 国 の 治 安 の 維 持 を 担 当 するのはあくまでも 警 察 機 関 であるという 基 本 的 な 考 え 方 に 基 づくもの である このため 平 時 においては 自 衛 力 を 有 する 軍 事 組 織 である 自 衛 隊 であっても 警 察 機 関 により 安 全 が 確 保 されなければならないのが 原 則 である 他 方 で 自 衛 隊 が 保 有 する 武 器 等 が 都 道 府 県 警 察 海 上 保 安 庁 といった 警 察 機 関 が 保 有 するものよりも 極 めて 強 力 であり 自 衛 隊 が 保 有 する 武 器 等 が 奪 われるようなことがあ れば 警 察 機 関 による 治 安 の 維 持 が 困 難 となる また 自 衛 隊 が 保 有 する 武 器 等 が 破 壊 奪 取 されれば 自 衛 隊 の 防 衛 を 果 たす 能 力 が 低 下 し 自 衛 隊 の 本 来 的 任 務 である 防 衛 を 果 たすことが 困 難 となる そこで 本 条 は 自 衛 隊 が 保 有 する 武 器 等 のこのような 性 質 を 勘 案 し 武 器 等 を 警 護 す る 任 務 を 帯 びている 自 衛 官 による 武 器 の 使 用 を 例 外 的 に 認 めている (2) 武 器 使 用 の 要 件 本 条 は このように 例 外 的 な 武 器 の 使 用 を 定 める 規 定 であることから 実 際 に 武 器 を 使 用 するに 際 しては 後 述 するような 限 定 的 な 要 件 が 課 されており 本 条 による 自 衛 官 の 武 器 使 用 は 以 下 のaないしeの 全 ての 要 件 を 充 たした 場 合 のみに 認 められる a 武 器 を 使 用 できるのは 職 務 上 武 器 等 の 警 護 に 当 たる 自 衛 官 に 限 られる 本 条 の 職 務 上 警 護 するに 当 たり とは 特 定 の 武 器 等 の 物 件 について 警 護 の 任 務 を 命 ぜられ 現 実 にそれを 警 護 している 状 態 をいうと 解 されており 自 衛 官 一 般 について 武 器 等 防 護 のための 武 器 使 用 が 認 められるものではない b 武 器 等 の 退 避 によってもその 防 護 が 不 可 能 である 場 合 等 他 に 手 段 のないやむを 得 ない 場 合 でなければ 武 器 を 使 用 できない 防 護 するため 必 要 であると 認 められる 相 当 の 理 由 がある 場 合 とは 社 会 通 念 上 武 器 を 使 用 する 必 要 性 が 認 められるような 客 観 性 がある 場 合 に 限 って 武 器 の 使 用 を 認 める 趣 11

旨 である したがって 武 器 等 を 退 避 することによってもその 防 護 が 不 可 能 な 場 合 等 他 に 手 段 の ないやむを 得 ない 場 合 に 限 って 武 器 を 使 用 することができる c 武 器 の 使 用 は 警 察 比 例 の 原 則 に 基 づき 事 態 に 応 じて 合 理 的 に 必 要 と 判 断 される 限 度 に 限 られる その 事 態 に 応 じ 合 理 的 に 必 要 と 判 断 される 限 度 とは いわゆる 警 察 比 例 の 原 則 に 基 づき 武 器 等 の 破 壊 等 の 危 険 を 除 去 するために 必 要 最 小 限 度 の 方 法 種 類 であると 社 会 通 念 上 認 められる 限 度 においてのみ 武 器 の 使 用 を 認 める 趣 旨 である d 防 護 対 象 の 武 器 が 破 壊 された 場 合 や 相 手 方 が 襲 撃 を 中 止 し 又 は 逃 走 した 場 合 に は 武 器 の 使 用 ができない 武 器 の 使 用 が 認 められるのはあくまでも 武 器 等 を 防 護 する 目 的 に 限 られる したがって 防 護 の 対 象 である 武 器 等 が 破 壊 された 場 合 など 防 護 対 象 を 失 った 場 合 は もはや 武 器 の 使 用 はできないことになる また 襲 撃 者 を 逮 捕 するため 等 に 武 器 の 使 用 を することも 許 されない e 正 当 防 衛 又 は 緊 急 避 難 の 要 件 を 充 たす 場 合 でなければ 人 に 危 害 を 与 えてはならない 刑 法 36 条 同 37 条 に 該 当 する 場 合 を 除 いて たとえ 襲 撃 者 であっても 武 器 の 使 用 に より 人 に 危 害 を 与 えることは 許 されない (3) 人 の 防 護 本 条 が 上 記 1で 述 べた 趣 旨 に 基 づいて 規 定 されていることから 本 条 の 防 護 対 象 となる 人 とは 警 護 されている 武 器 等 と 不 可 分 の 関 係 を 有 し かつ それらの 破 壊 等 に 伴 っ て 危 険 にさらされる 者 をいう 具 体 的 には 武 器 等 を 警 護 している 自 衛 官 のほか 武 器 等 と 一 体 となってそれらを 操 作 しているものを 指 す したがって 職 務 上 武 器 等 の 警 護 に 当 たる 自 衛 官 の 近 傍 において 警 護 任 務 とは 直 接 に かかわりのない 人 や 物 に 対 する 犯 罪 行 為 が 行 われていたとしても 自 衛 官 は 武 器 を 使 用 す ることはできない (4) 95 条 の 性 格 以 上 のとおり 本 条 は 極 めて 限 定 的 な 場 合 に 例 外 的 に 武 器 等 を 防 護 するための 武 器 使 用 を 認 めた 規 定 である 第 95 条 の2( 合 衆 国 軍 隊 等 の 部 隊 の 武 器 等 の 防 護 のための 武 器 の 使 用 ) 新 設 条 文 1 自 衛 官 は アメリカ 合 衆 国 の 軍 隊 その 他 の 外 国 の 軍 隊 その 他 これに 類 する 組 織 ( 次 項 において 合 衆 国 軍 隊 等 という )の 部 隊 であつて 自 衛 隊 と 連 携 して 我 が 国 の 防 衛 に 資 する 活 動 ( 共 同 訓 練 を 含 み 現 に 戦 闘 行 為 が 行 われている 現 場 で 行 われるものを 除 く )に 現 に 従 事 しているものの 武 器 等 を 職 務 上 警 護 するに 当 たり 人 又 は 武 器 等 を 防 護 するため 必 要 であると 認 める 相 当 の 理 由 がある 場 合 には その 事 態 に 応 じ 合 理 的 に 必 要 と 判 断 される 限 度 で 武 器 を 使 用 することができる ただし 刑 法 第 36 条 又 は 第 37 条 に 該 当 する 場 合 のほか 人 に 危 害 を 加 えてはならない 12

2 前 項 の 警 護 は 合 衆 国 軍 隊 等 から 要 請 があった 場 合 であって 防 衛 大 臣 が 必 要 と 認 めるときに 限 り 自 衛 官 が 行 うものとする (1) 趣 旨 前 述 の95 条 で 規 定 された 武 器 等 を 防 護 するための 武 器 使 用 による 防 護 の 客 体 は 自 衛 隊 の 武 器 等 に 限 定 されており 米 軍 を 含 めた 他 国 軍 隊 の 武 器 等 の 防 護 は 対 象 になっていな い そこで 切 れ 目 のない 安 全 保 障 法 制 の 整 備 を 謳 い 文 句 に 自 衛 隊 と 米 軍 との 切 れ 目 のない 連 携 を 企 図 する 政 府 が 米 軍 を 含 めた 他 国 軍 隊 の 武 器 等 ( 武 器 弾 薬 火 薬 船 舶 航 空 機 車 両 有 線 電 気 通 信 設 備 無 線 設 備 又 は 液 体 燃 料 )も 防 護 対 象 として 自 衛 隊 が 武 器 使 用 をできるようにもくろむのが 本 条 である 本 条 は 共 同 訓 練 活 動 を 含 むと 明 確 に 規 定 していることから 明 らかなとおり 例 えば 南 シナ 海 や 尖 閣 諸 島 周 辺 での 米 軍 等 との 共 同 訓 練 中 に 中 国 の 偽 装 漁 船 等 が 介 入 してきた 場 合 に 武 器 を 使 用 してこれらを 排 除 することを 可 能 とするものである 平 時 の 共 同 訓 練 での 武 器 使 用 をきっかけに なし 崩 し 的 に 有 事 すなわち 戦 争 に 突 入 する 危 険 をもたらす 極 めて 危 険 な 条 文 である (2) 職 務 上 の 警 護 の 要 件 95 条 の2は アメリカ 合 衆 国 の 軍 隊 の 武 器 等 の 防 護 の 外 に その 他 の 外 国 の 軍 隊 そ の 他 これに 類 する 組 織 の 部 隊 の 武 器 等 も 一 定 の 要 件 を 満 たす 場 合 には 自 衛 隊 が 職 務 上 の 警 護 をすることを 認 めている 米 軍 に 加 え 米 国 の 同 盟 軍 等 の 武 器 防 護 のための 武 器 使 用 が 認 められることになり 自 衛 隊 の 武 器 使 用 の 機 会 は 飛 躍 的 に 増 大 する ここで その 他 これに 類 する 組 織 とは 国 際 法 上 の 交 戦 団 体 をさしており 国 家 そのものではないが 国 際 法 の 上 では 国 家 と 同 等 の 取 扱 いを 受 ける 組 織 を 意 味 している(2 014 年 7 月 1 日 付 閣 議 決 定 の 国 家 に 準 ずる 組 織 も 同 義 と 思 われる) 例 えば アフガ ン 戦 争 における 北 部 同 盟 などがこれにあたる 従 って 米 軍 が 他 国 の 内 戦 に 軍 事 介 入 した 場 合 などでは 自 衛 隊 は 米 日 政 府 が 支 持 する 反 政 府 軍 の 武 器 を 防 護 するために 武 器 を 使 用 することもできることになる 法 文 上 で 警 護 の 要 件 とされているのは 我 が 国 の 防 衛 に 資 する 活 動 に 現 に 従 事 してい るもの というだけであり いかなる 例 示 もされていない これでは 自 衛 隊 とともに 共 同 演 習 に 加 わっている 諸 外 国 の 部 隊 はもとより 日 米 軍 事 同 盟 にもとづいて 活 動 している 米 軍 や 日 本 周 辺 で 行 動 している 米 軍 の 同 盟 軍 ( 豪 州 軍 や 韓 国 軍 など) 重 要 影 響 事 態 などで 行 動 している 多 国 籍 軍 の 活 動 は すべて 我 が 国 の 防 衛 に 資 する 活 動 となり 得 るだろう なお 政 府 資 料 によれば 米 軍 以 外 の 武 器 の 防 護 は 我 が 国 の 防 衛 義 務 を 負 う 米 軍 の 武 器 等 と 同 様 な 我 が 国 の 防 衛 力 を 構 成 する 重 要 な 物 的 手 段 に 当 たり 得 る 場 合 としている(4 月 24 日 付 政 府 与 党 協 議 資 料 ) しかし これは 法 律 上 の 要 件 ではなく 重 要 な 物 的 手 段 に 当 たり 得 る かどうかは 主 観 的 な 評 価 にかかわるから 歯 止 め にはならない 13

さらに 本 条 の 警 護 の 要 件 には 地 理 的 限 定 は 一 切 付 されていない 自 衛 隊 が 米 軍 そ や 米 軍 の 同 盟 国 軍 と 地 球 上 の 至 るところで 共 同 行 動 を 行 うことを 前 提 としているからで あり 自 衛 隊 が 武 器 使 用 を 行 う 場 所 は 世 界 中 あらゆるところにまで 際 限 なく 拡 大 する 危 険 があることを 顕 している (3) 職 務 上 の 警 護 の 決 定 職 務 上 の 警 護 は 他 国 軍 隊 からの 要 請 があることを 前 提 に 防 衛 大 臣 が 必 要 と 認 め るとされているだけで(2 項 ) 国 会 の 承 認 はおろか 閣 議 決 定 すら 求 められていない これでは 防 衛 大 臣 が 我 が 国 の 防 衛 に 資 する 活 動 と 判 断 すれば どんな 活 動 でも 職 務 上 の 警 護 の 対 象 にできることになる 米 軍 等 の 活 動 についての 情 報 は 制 服 幹 部 が 把 握 しているから 実 質 的 には 情 報 を 独 占 し 軍 事 に 通 暁 した 制 服 幹 部 の 判 断 が 決 定 的 な 意 味 を 持 つことにならざるを 得 ないだろう 戦 争 に 突 入 しかねない 危 険 な 事 態 に 自 衛 隊 を 派 遣 することが 防 衛 大 臣 単 独 の 判 断 で 可 能 であるというのは 余 りにも 乱 暴 と 言 わざるを 得 ない (4) 武 器 使 用 の 要 件 本 条 の 武 器 使 用 において 前 に 述 べた95 条 の 武 器 使 用 についての 要 件 をみたさなけれ ばならないことは 当 然 である 米 軍 等 の 武 器 等 を 自 衛 隊 の 武 器 等 以 上 に 丁 重 に 警 護 す る 理 由 はないからである 本 条 の 防 護 対 象 となる 人 についても 95 条 と 同 様 に 警 護 されている 武 器 等 と 不 可 分 の 関 係 を 有 し かつ それらの 破 壊 等 に 伴 って 危 険 にさらされる 者 をいうと 解 される 具 体 的 には 武 器 等 を 警 護 している 自 衛 官 のほか 武 器 等 と 一 体 となってそれらを 操 作 して いるものをさす したがって 職 務 上 武 器 等 の 警 護 に 当 たる 自 衛 官 の 近 傍 で 警 護 任 務 と は 直 接 にかかわりのない 人 や 物 に 対 する 犯 罪 行 為 が 行 われていたとしても 自 衛 官 は 武 器 を 使 用 することができない このことは95 条 と 同 様 である (5) 本 条 の 危 険 性 戦 争 の 端 緒 に 本 条 は 自 衛 隊 の 武 器 使 用 の 機 会 を 飛 躍 的 に 拡 大 させるだけでなく 武 力 行 使 戦 争 の 端 緒 となる 条 文 である 戦 争 法 制 で 導 入 されるのは 自 衛 隊 による 米 軍 等 の 武 器 防 護 である が ガイドラインでは 自 衛 隊 と 米 軍 の 相 互 の 武 器 防 護 (アセット 防 護 )が 掲 げられている 従 って 日 本 政 府 は 自 衛 隊 に 対 し 米 軍 の 武 器 を 防 護 する 命 令 を 出 し 他 方 で 米 軍 が 自 衛 隊 の 武 器 を 防 護 する 命 令 を 出 すことで 日 米 共 同 で 武 器 使 用 まで 念 頭 においた 軍 事 行 動 を 展 開 することが 可 能 になる 南 シナ 海 尖 閣 諸 島 あるいは 中 東 近 海 で 日 米 共 同 の 示 威 的 な 軍 事 行 動 を 展 開 し ている 最 中 に 対 立 国 より 攻 撃 が 行 われた 場 合 日 米 は 共 同 で 武 器 を 使 用 し この 攻 撃 に 対 処 することになるのである 日 米 の 武 器 使 用 を 端 緒 として 対 立 国 が 更 なる 反 撃 に 出 た 場 合 日 米 はこれに 反 撃 すべく 更 なる 武 器 使 用 を 行 うことになることは 容 易 に 想 定 できる 14

これら 一 連 の 武 器 使 用 が 積 み 上 がることによって 重 要 影 響 事 態 に 突 入 し そのまま 戦 争 になだれ 込 むという 事 態 が 発 生 することは 想 像 に 難 くない 本 条 は 戦 争 の 端 緒 になる 極 めて 危 険 な 条 文 である 3 他 の 法 令 の 改 正 等 に 伴 う 改 正 存 立 危 機 事 態 の 組 み 込 みおよび グレーゾーン 事 態 への 対 処 以 外 に 概 要 以 下 の 自 衛 隊 法 の 改 正 が 行 われる いずれも 米 軍 などの 外 国 軍 隊 に 対 する 物 品 役 務 の 提 供 の 拡 大 武 器 使 用 の 権 限 の 拡 大 についてのものである a 84 条 の5( 後 方 支 援 活 動 ) 物 品 役 務 の 提 供 の 拡 大 1 重 要 影 響 事 態 法 による 後 方 支 援 活 動 としての 提 供 等 (1 項 一 号 2 項 一 号 ) 2 船 舶 検 査 法 による 後 方 支 援 活 動 協 力 支 援 活 動 としての 提 供 (1 項 二 号 2 項 二 号 ) 3 PKO 法 による 国 際 平 和 協 力 業 務 ( 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 を 含 む) 大 規 模 災 害 等 に 対 処 する 米 軍 豪 軍 への 提 供 (1 項 三 号 2 項 四 号 ) 4 国 際 平 和 支 援 法 による 協 力 支 援 活 動 としての 提 供 (1 項 四 号 2 項 五 号 ) b 94 条 の7( 後 方 支 援 活 動 等 の 際 の 権 限 ) 武 器 の 使 用 の 拡 大 1 重 要 影 響 事 態 法 による 後 方 支 援 活 動 等 における 宿 営 地 防 護 ( 一 号 ) 2 PKO 法 による 国 際 平 和 協 力 業 務 ( 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 を 含 む)における 宿 営 地 防 護 ( 三 号 ) 3 PKO 法 による 安 全 確 保 活 動 における 妨 害 の 排 除 ( 四 号 ) 4 PKO 法 による 駆 けつけ 警 護 における 活 動 関 係 者 防 護 ( 五 号 ) 5 国 際 平 和 支 援 法 による 協 力 支 援 活 動 等 における 宿 営 地 防 護 ( 六 号 ) c 100 条 の6( 合 衆 国 軍 隊 に 対 する 物 品 又 は 役 務 の 提 供 ) 提 供 の 拡 大 1 自 衛 隊 が 米 軍 の 区 域 施 設 を 防 護 する 際 の 提 供 ( 二 号 ) 2 自 衛 隊 が 海 賊 対 処 行 動 を 行 う 際 の 提 供 ( 三 号 ) 3 自 衛 隊 が 弾 道 ミサイル 破 壊 措 置 をとる 際 の 提 供 ( 四 号 ) 4 自 衛 隊 が 機 雷 その 他 の 爆 発 性 の 危 険 物 を 除 去 する 際 の 提 供 ( 六 号 ) 5 自 衛 隊 が 情 報 収 集 活 動 を 行 う 際 の 提 供 ( 九 号 ) 6 自 衛 隊 が 米 軍 施 設 に 一 時 滞 在 する 際 の 提 供 ( 十 一 号 ) これらのうち aとbは 重 要 影 響 事 態 法 改 正 船 舶 検 査 法 改 正 PKO 法 ( 国 際 平 和 協 力 法 ) 改 正 国 際 平 和 支 援 法 の 新 設 に 伴 うものである それぞれの 問 題 点 は それぞれの 活 動 についての 注 釈 を 参 照 されたい これに 対 して cは 他 の 法 令 の 改 正 に 伴 うものではなく 米 軍 に 対 する 物 品 役 務 の 提 供 そのものを 目 的 としたものである 便 乗 型 の 拡 大 の 感 があるが 世 界 規 模 での 日 米 一 体 化 を 眼 目 とする 改 定 日 米 ガイドラインからすれば 必 要 不 可 欠 な 拡 張 ということ 15

になるだろう ( 藤 岡 拓 郎 横 山 雅 田 中 隆 ) Ⅱ 国 際 平 和 協 力 法 (PKO 法 ) 改 正 案 * 国 際 連 合 平 和 維 持 活 動 等 に 対 する 協 力 に 関 する 法 律 改 正 案 概 要 国 際 連 合 平 和 維 持 活 動 等 に 対 する 協 力 に 関 する 法 律 (PKO 法 )は 自 衛 隊 による 国 際 貢 献 の 声 が 高 まるもとで1992 年 に 成 立 した PKO5 原 則 による 厳 重 な 歯 止 め がかかった 法 制 であり 成 立 当 初 は 停 船 監 視 活 動 などの PKF( 平 和 維 持 軍 ) 本 隊 業 務 は 派 遣 を 凍 結 されていた( 後 に 凍 結 を 解 除 ) 国 連 が 統 括 するPKOへの 派 遣 ということから 国 会 の 承 認 が 停 戦 監 視 活 動 などに 限 定 されており 人 道 的 復 興 支 援 活 動 などには 国 会 承 認 なしに 派 遣 できるのが 特 徴 である 1992 年 のカンボジアPKOから 現 在 の 南 スーダンPKOまで PKO 法 による 派 遣 は 継 続 している 安 全 保 障 一 括 法 案 ( 戦 争 法 制 )によって PKO 法 に 国 連 が 管 轄 しない 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 を 組 み 込 み 安 全 確 保 活 動 や 駆 けつけ 警 護 と 任 務 遂 行 のための 武 器 使 用 を 認 め るなどの 抜 本 的 な 改 正 が 行 われようとしている 第 3 条 ( 定 義 ) この 法 律 において 次 の 各 号 に 掲 げる 用 語 の 意 義 は それぞれ 当 該 各 号 に 定 めるところによる 一 国 際 連 合 平 和 維 持 活 動 国 際 連 合 の 総 会 または 安 全 保 障 理 事 会 が 行 う 決 議 に 基 づき 武 力 紛 争 の 当 事 者 ( 以 下 紛 争 当 事 者 という ) 間 の 武 力 紛 争 再 発 の 防 止 に 関 する 合 意 の 順 守 の 確 保 紛 争 による 混 乱 に 伴 う 切 迫 した 暴 力 の 脅 威 からの 住 民 の 保 護 武 力 紛 争 の 終 了 後 に 行 われる 民 主 的 な 手 段 による 統 治 組 織 の 設 立 及 び 再 建 の 援 助 その 他 の 紛 争 に 対 処 して 国 際 の 平 和 及 び 安 全 を 維 持 する ことを 目 的 として 国 際 連 合 の 統 括 の 下 に 行 われる 活 動 であって 国 際 連 合 事 務 総 長 ( 以 下 事 務 総 長 という )の 要 請 に 基 づき 参 加 する 二 以 上 の 国 及 び 国 際 連 合 によって 実 施 されるもののうち 次 に 掲 げるものをいう 以 下 は 新 設 条 文 イ 武 力 紛 争 の 停 止 及 びこれを 維 持 するとの 紛 争 当 事 者 間 の 合 意 があり かつ 当 該 活 動 が 行 わ れる 地 域 の 属 する 国 ( 当 該 国 において 国 際 連 合 の 総 会 又 は 安 全 保 障 理 事 会 が 行 う 決 議 に 従 って 施 政 を 行 う 機 関 がある 場 合 にあっては 当 該 機 関 以 下 同 じ ) 及 び 紛 争 当 事 者 の 当 該 活 動 が 行 わ れることについての 同 意 がある 場 合 に いずれの 紛 争 当 事 者 にも 偏 ることなく 実 施 される 活 動 口 武 力 紛 争 が 終 了 して 紛 争 当 事 者 が 当 該 活 動 が 行 われる 地 域 に 存 在 しなくなった 場 合 において 当 該 活 動 が 行 われる 地 域 の 属 する 国 の 当 該 活 動 が 行 われることについての 同 意 がある 場 合 に 実 施 される 活 動 ハ 武 力 紛 争 がいまだ 発 生 していない 場 合 において 当 該 活 動 が 行 われる 地 域 の 属 する 国 の 当 該 活 動 が 行 われることについての 同 意 がある 場 合 に 武 力 紛 争 の 発 生 を 未 然 に 防 止 することを 主 要 な 目 的 として 特 定 の 立 場 に 偏 ることなく 実 施 される 活 動 二 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 国 際 連 合 の 総 会 安 全 保 障 理 事 会 若 しくは 経 済 社 会 理 事 会 が 行 う 決 議 別 表 第 1に 掲 げる 国 際 機 関 が 行 う 要 請 又 は 当 該 活 動 が 行 われる 地 域 の 属 する 国 の 要 請 ( 国 際 連 合 憲 章 第 7 条 1に 規 定 する 国 際 連 合 の 主 要 機 関 のいずれかの 支 持 を 受 けたものに 限 る )に 基 づき 紛 16

争 当 事 者 間 の 武 力 紛 争 の 再 発 の 防 止 に 関 する 合 意 の 遵 守 の 確 保 紛 争 による 混 乱 に 伴 う 切 迫 した 暴 力 の 脅 威 からの 住 民 の 保 護 武 力 紛 争 の 終 了 後 に 行 われる 民 主 的 な 手 段 による 統 治 組 織 の 設 立 及 び 再 建 の 援 助 その 他 紛 争 に 対 処 して 国 際 の 平 和 及 び 安 全 を 維 持 することを 目 的 として 行 われる 活 動 であって 二 以 上 の 国 の 連 携 により 実 施 されるもののうち 次 に 掲 げるもの( 国 際 連 合 平 和 維 持 活 動 として 実 施 される 活 動 を 除 く )をいう イ 武 力 紛 争 の 停 止 及 びこれを 維 持 するとの 紛 争 当 事 者 間 の 合 意 があり かつ 当 該 活 動 が 行 われ る 地 域 の 属 する 国 及 び 紛 争 当 事 者 の 当 該 活 動 が 行 われることについての 同 意 がある 場 合 に いず れの 紛 争 当 事 者 にも 偏 ることなく 実 施 される 活 動 口 武 力 紛 争 が 終 了 して 紛 争 当 事 者 が 当 該 活 動 が 行 われる 地 域 に 存 在 しなくなった 場 合 において 当 該 活 動 が 行 われる 地 域 の 属 する 国 の 当 該 活 動 が 行 われることについての 同 意 がある 場 合 に 実 施 される 活 動 ハ 武 力 紛 争 がいまだ 発 生 していない 場 合 において 当 該 活 動 が 行 われる 地 域 の 属 する 国 の 当 該 活 動 が 行 われることについての 同 意 がある 場 合 に 武 力 紛 争 の 発 生 を 未 然 に 防 止 することを 主 要 な 目 的 として 特 定 の 立 場 に 偏 ることなく 実 施 される 活 動 別 表 第 1( 第 3 条 第 三 十 二 条 関 係 ) 一 国 際 連 合 二 国 際 連 合 の 総 会 によって 設 立 された 機 関 又 は 国 際 連 合 の 専 門 機 関 で 国 際 連 合 難 民 高 等 弁 務 官 事 務 所 その 他 政 令 で 定 めるもの 三 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 に 係 る 実 績 若 しくは 専 門 的 能 力 を 有 する 国 際 連 合 憲 章 第 五 十 二 条 に 規 定 する 地 域 的 機 関 又 は 多 国 間 の 条 約 により 設 立 された 機 関 で 欧 州 連 合 その 他 政 令 で 定 めるもの (1) 国 連 平 和 維 持 活 動 への 参 加 の 拡 大 国 連 平 和 維 持 活 動 (PKO)は いずれも 国 連 総 会 や 安 保 理 の 決 議 に 基 づく 活 動 であるが 今 回 のPKO 法 改 正 案 ( 以 下 単 に 法 案 という)3 条 では これまでのPKO 法 で 定 められていた 武 力 紛 争 の 再 発 防 止 や 統 治 組 織 の 設 立 等 に 加 えて 新 たに 紛 争 による 混 乱 に 伴 う 切 迫 した 暴 力 の 脅 威 からの 住 民 保 護 を 目 的 とする 活 動 等 にも 参 加 することして いる さらには 法 案 3 条 1 号 において これまで 認 められてきた 停 戦 合 意 及 び 受 け 入 れ 同 意 における 中 立 的 な 立 場 での 活 動 (イ)に 加 えて 新 たに 当 該 国 の 同 意 にもとに 地 域 紛 争 後 に 紛 争 当 事 者 がいなくなった 場 合 の 活 動 (ロ)や 武 力 紛 争 発 生 前 における 未 然 防 止 のため の 中 立 的 な 活 動 (ハ)についても 参 加 するとしている これら 新 たな 活 動 は 後 述 のように いわゆるPKO 五 原 則 と 異 なる 条 件 のもとでの 活 動 となる このように 自 衛 隊 がPKOに 幅 広 く 参 加 しようとする 法 改 正 の 理 由 については い わゆる 停 戦 監 視 など 伝 統 的 なPKO 活 動 の 範 囲 を 超 えて PKO 活 動 が 多 様 化 しているこ とがかかげられている けれども 治 安 維 持 などの 活 動 は 武 力 紛 争 の 危 険 と 隣 り 合 わせ であったり 武 装 集 団 からの 攻 撃 や 抵 抗 を 受 け 海 外 での 組 織 的 な 武 器 使 用 ~ 武 力 行 使 に 至 るおそれのある 活 動 である このような 海 外 での 自 衛 隊 の 活 動 を 広 げることは 戦 争 を 放 棄 し 武 力 行 使 や 武 力 による 威 嚇 を 禁 じている 日 本 国 憲 法 の 下 で 許 されるものではない (2) 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 の 追 加 a PKOとは 全 く 異 なる 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 法 案 3 条 2 号 は PKO 活 動 とは 別 に 新 たに 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 を 定 める この 活 動 は 法 案 1 条 ( 目 的 ) 及 び2 条 ( 基 本 原 則 )においても 追 加 されているが この 活 動 を 追 加 し たことが PKO 法 改 正 の 最 大 の 問 題 の 一 つでもある 17

国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 とは 国 連 の 決 議 などなくても 紛 争 に 対 処 して 国 際 の 平 和 と 安 全 を 維 持 することを 目 的 とする 活 動 であって 2 以 上 の 国 の 連 携 による 実 施 される 活 動 とされ ている この 活 動 は 前 述 1 号 イないしハ 記 載 のPKO 活 動 と 同 様 のものとされているが 国 連 以 外 の 国 際 機 関 の 決 議 や 当 該 国 の 要 請 でも 海 外 派 兵 することとなり 国 連 が 統 括 しない 多 国 籍 軍 の 活 動 であって 国 連 の 統 括 下 にあることを 本 質 とするPKO 活 動 とはまったく 性 格 が 異 なるものである 国 連 による 正 当 性 すら 担 保 されていないのである b アフガニスタンにおける 国 際 治 安 支 援 部 隊 (ISAF)の 活 動 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 として 想 定 されるのは アフガニスタンにおける 国 際 治 安 支 援 部 隊 (ISAF)の 活 動 である ISAFは アメリカが 攻 撃 してタリバン 政 権 を 追 放 した 後 に 成 立 したアフガニスタン 新 政 権 のもとで 治 安 維 持 の 活 動 を 支 援 する 多 国 籍 軍 の 活 動 で ある NATO 軍 の 指 揮 の 下 に 活 動 する 多 国 籍 軍 であって 国 連 の 統 括 する 活 動 ではない ISAFのような 活 動 は アフガニスタンにおいてタリバン 政 権 との 間 の 武 力 紛 争 が 終 了 し 紛 争 当 事 者 が 当 該 活 動 の 行 われる 地 域 に 存 在 しなくなった 場 合 ( 二 ロ)における 国 連 の 統 括 によらない 多 国 籍 軍 の 活 動 として 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 にあたる とされ 自 衛 隊 が 参 加 できることになる アフガニスタンにおけるISAFの 活 動 は 本 来 的 には 治 安 維 持 活 動 であるが 反 政 府 武 装 組 織 の 掃 討 作 戦 に 拡 大 し 戦 闘 行 為 が 続 けられた 米 軍 を 含 む 戦 死 者 は 約 3,500 人 米 軍 以 外 の 戦 死 者 は 約 1150 人 に 及 んでいる また 統 計 を 開 始 した2007 年 以 降 だけ でも 民 間 人 の 死 者 は 約 2 万 1400 人 を 数 えている c イラクにおける 多 国 籍 軍 の 活 動 イラクにおいてイラク 暫 定 政 府 の 要 請 を 受 けた 多 国 籍 軍 の 活 動 も 想 定 される イラクに 武 力 侵 攻 した 多 国 籍 軍 が 旧 政 権 打 倒 後 に 樹 立 した 新 政 権 ( 実 質 的 には 多 国 籍 軍 の 傀 儡 政 権 )の 要 請 を 理 由 に 占 領 政 策 として 展 開 した 活 動 である こうした 多 国 籍 軍 も フセイン 政 権 が 打 倒 されて 武 力 紛 争 が 終 了 し 紛 争 当 事 者 が 当 該 活 動 の 行 われる 地 域 に 存 在 しなくなった 場 合 ( 二 ロ)における 活 動 とされ 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 にあたるとして 自 衛 隊 が 参 加 できることになる PKO 活 動 とは 似 ても 似 つか ない 活 動 である イラクにおける 米 軍 以 外 の 多 国 籍 軍 の 戦 死 者 数 は 約 300 人 民 間 人 の 死 者 数 11 万 60 00 人 にのぼっている d 戦 闘 行 為 や 武 力 行 使 に 及 ぶ 危 険 このような 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 に 対 する 自 衛 隊 の 参 加 を 認 めることになれば 海 外 での 活 動 領 域 は 飛 躍 的 に 拡 大 することとなり 自 衛 隊 が 海 外 での 戦 闘 行 為 や 武 力 行 使 に 及 ぶこと になる 自 衛 隊 の 武 器 による 死 傷 者 はもとより 自 衛 隊 員 自 身 にも 多 数 の 死 傷 が 出 ることに なるのである (3) なし 崩 し となる 参 加 要 件 18

a 前 提 とされている 要 件 政 府 は 国 連 が 統 括 しない 人 道 復 興 支 援 活 動 や 安 全 確 保 活 動 等 の 国 際 的 な 平 和 協 力 活 動 への 自 衛 隊 の 参 加 については 以 下 の4つの 要 件 を 前 提 として 法 整 備 を 検 討 すると 述 べる 1 従 来 のPKO 参 加 5 原 則 と 同 様 の 厳 格 な 参 加 原 則 があること 2 国 連 決 議 に 基 づくものであること 又 は 関 連 する 国 連 決 議 等 があること 3 国 会 の 関 与 については その 実 施 につき 国 会 の 事 前 承 認 を 基 本 とすること 4 参 加 する 隊 員 の 安 全 の 確 保 のために 必 要 な 措 置 を 定 めること しかしながら 4つの 要 件 は 派 遣 要 件 として 機 能 しない 3については 後 記 法 案 6 条 で 4については 後 記 法 案 8 条 及 び10 条 でそれぞれ 述 べる 問 題 点 がある 1 及 び2の 参 加 要 件 については 以 下 に 問 題 点 を 指 摘 する b 崩 されるPKO 参 加 5 原 則 ( 参 加 要 件 1について) そもそも 従 来 のPKO 参 加 5 原 則 と 同 様 の 厳 格 な 参 加 原 則 があるなどというけれども その5 原 則 は 崩 されている PKO 参 加 5 原 則 は 次 のとおりである 1 紛 争 当 事 者 の 間 で 停 戦 合 意 が 成 立 していること 2 当 該 平 和 維 持 隊 が 活 動 する 地 域 の 属 する 国 を 含 む 紛 争 当 事 者 が 当 該 平 和 維 持 隊 の 活 動 及 び 当 該 平 和 維 持 隊 への 我 が 国 の 参 加 に 同 意 していること 3 当 該 平 和 維 持 隊 が 特 定 の 紛 争 当 事 者 に 偏 ることなく 中 立 的 立 場 を 厳 守 すること 4 上 記 の 基 本 方 針 のいずれかが 満 たされない 状 況 が 生 じた 場 合 には 我 が 国 から 参 加 した 部 隊 は 撤 収 することができること 5 武 器 の 使 用 は 要 員 の 生 命 等 の 防 護 のために 必 要 な 最 小 限 のものに 限 られること しかし 前 述 したような 法 案 3 条 1 号 のロやハの 場 合 のように 5 原 則 とは 異 なる 条 件 のもとでの 活 動 に 参 加 するのである しかも 今 回 の 改 正 では これまでのいわゆる 自 己 保 存 型 の 武 器 の 使 用 だけでなく 宿 営 地 での 外 国 軍 部 隊 の 防 護 のための 武 器 使 用 (25 条 7 項 )や 安 全 確 保 活 動 と 駆 けつ け 警 護 活 動 での 任 務 遂 行 のための 武 器 の 使 用 ( 妨 害 排 除 のための 武 器 使 用 など)を 認 めて いる(26 条 ) これらは 先 制 的 な 発 砲 を 許 容 するものであり PKO 五 原 則 の 第 5 原 則 とは 明 らかに 異 質 である 旧 来 の5 原 則 は 大 幅 に 緩 和 されており 政 府 が 説 明 する 同 様 の 厳 格 な 参 加 原 則 とはとうてい 言 えない c 国 連 決 議 等 についても 大 きな 抜 け 道 ( 参 加 要 件 2について) 国 連 連 携 平 和 安 全 活 動 は 紛 争 に 対 処 して 国 際 の 平 和 と 安 全 を 維 持 することを 目 的 とす る 国 連 が 統 括 しない 活 動 であって 2 以 上 の 国 の 連 携 による 実 施 される 活 動 であるところ 法 案 3 条 2 号 別 表 1は 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 を 実 施 に 当 たり 次 の 条 件 を 満 すことを 定 める 1 国 連 総 会 安 全 保 障 理 事 会 経 済 社 会 理 事 会 の 決 議 19

2 国 連 国 連 の 専 門 機 関 欧 州 連 合 (EU)など 一 定 の 国 際 機 関 の 要 請 3 国 連 の 主 要 機 関 のいずれかの 支 持 を 受 けた 当 事 国 の 要 請 しかしながら 国 際 の 平 和 と 安 全 にかかわる 事 態 であれば ほとんどすべての 場 合 こ のいずれかの 要 件 は 満 たすことになる これらの 条 件 が 歯 止 めとなるものではなく 意 味 をなすものとは 言 えない 第 3 条 ( 定 義 続 き) この 法 律 において 次 の 各 号 に 掲 げる 用 語 の 意 義 は それぞれ 当 該 各 号 に 定 めるところによる 五 国 際 平 和 協 力 業 務 国 際 連 合 平 和 維 持 活 動 のために 実 施 される 業 務 で 次 に 掲 げるもの 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 のために 実 施 される 業 務 で 次 に 掲 げるもの 人 道 的 な 国 際 救 援 活 動 のために 実 施 される 業 務 で 次 のワからツまで ナ 及 びラに 掲 げるもの 並 びに 国 際 的 な 選 挙 監 視 活 動 のために 実 施 される 業 務 で 次 のチ 及 びナに 掲 げるもの(これらの 業 務 にそれぞれ 附 帯 する 業 務 を 含 む 以 下 同 じ )であって 海 外 で 行 われるものをいう イ 口 ( 略 ) ハ 車 両 その 他 の 運 搬 手 段 又 は 通 行 人 による 武 器 ( 武 器 の 部 品 及 び 弾 薬 を 含 む 二 において 同 じ ) の 搬 入 又 は 搬 出 の 有 無 の 検 査 又 は 確 認 二 ~へ ( 略 ) 卜 防 護 を 必 要 とする 住 民 被 災 民 その 他 の 者 の 生 命 身 体 及 び 財 産 に 対 す る 危 害 の 防 止 及 び 抑 止 その 他 特 定 の 区 域 の 保 安 のための 監 視 駐 留 巡 回 検 問 及 び 警 護 チ リ ( 略 ) ヌ 矯 正 行 政 事 務 に 関 する 助 言 若 しくは 指 導 又 は 矯 正 行 政 事 務 の 監 視 ル リ 及 びヌに 掲 げるもののほか 立 法 行 政 (フに 規 定 する 組 織 に 係 るも のを 除 く ) 又 は 司 法 に 関 する 事 務 に 関 する 助 言 又 は 指 導 ヲ 国 の 防 衛 に 関 する 組 織 その 他 のイから 卜 まで 又 はフからネまでに 掲 げるものと 同 種 の 業 務 を 行 う 組 織 の 設 立 又 は 再 建 を 援 助 するための 次 に 掲 げる 業 務 (1)イから 卜 まで 又 はワからネまでに 掲 げるものと 同 種 の 業 務 に 関 する 助 言 又 は 指 導 (2)(1)に 規 定 する 業 務 の 実 施 に 必 要 な 基 礎 的 な 知 識 及 び 技 能 を 修 得 させるための 教 育 訓 練 ワ ソ ( 略 ) ツ イからソまでに 掲 げるもののほか 輸 送 保 管 ( 備 蓄 を 含 む ) 通 信 建 設 機 械 器 具 の 据 付 け 検 査 若 しくは 修 理 又 は 補 給 ( 武 器 の 提 供 を 行 う 補 給 を 除 く ) ネ 国 際 連 合 平 和 維 持 活 動 又 は 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 を 統 括 し 又 は 調 整 す る 組 織 において 行 うイ からツまでに 掲 げる 業 務 の 実 施 に 必 要 な 企 画 及 び 立 案 並 びに 調 整 又 は 情 報 の 収 集 整 理 ナ イからネまでに 掲 げる 業 務 に 類 するものとして 政 令 で 定 める 業 務 ラ ヲからネまでに 掲 げる 業 務 又 はこれらの 業 務 に 類 するものとしてナの 政 令 で 定 める 業 務 を 行 う 場 合 であって 国 際 連 合 平 和 維 持 活 動 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 若 しくは 人 道 的 な 国 際 救 援 活 動 に 従 事 する 者 又 はこれらの 活 動 を 支 援 する 者 ( 以 下 このラ 及 び 第 二 十 六 条 第 2 項 において 活 動 関 係 者 という )の 生 命 又 は 身 体 に 対 する 不 測 の 侵 害 又 は 危 難 が 生 じ 又 は 生 ずるおそれがある 場 合 に 緊 急 の 要 請 に 対 応 して 行 う 該 活 動 関 係 者 の 生 命 及 び 身 体 の 保 護 (1) 治 安 維 持 活 動 駆 けつけ 警 護 等 の 追 加 現 行 法 下 での 自 衛 隊 の 業 務 は 停 戦 監 視 業 務 統 治 組 織 の 設 立 再 建 援 助 業 務 被 災 民 救 援 業 務 が 主 であった こうした 業 務 に 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 として 1 法 案 3 条 5 号 のト 治 安 維 持 活 動 ( 保 安 のための 監 視 駐 留 巡 回 検 問 警 護 ) 2 同 条 5 号 のラ 駆 けつけ 警 20

護 ( 緊 急 の 要 請 による 不 測 の 侵 害 危 難 に 瀕 した 活 動 関 係 者 の 保 護 )が 追 加 される 前 述 のとおり アフガニスタンでは 国 際 治 安 支 援 部 隊 (ISAF)の 活 動 は 本 来 の 治 安 確 保 から 逸 脱 し 米 軍 と 同 様 に 反 政 府 武 装 組 織 の 掃 討 作 戦 に 関 与 していた 今 後 自 衛 隊 が 治 安 確 保 の 任 務 から 逸 脱 して 反 政 府 武 装 組 織 の 掃 討 作 戦 に 関 与 する 危 険 は 大 である 駆 けつけ 警 護 については イラク 派 遣 で 元 陸 上 自 衛 隊 イラク 先 遣 隊 長 だった 佐 藤 正 久 参 議 院 議 員 ( 自 民 )は ( 陸 上 自 衛 隊 の 警 護 にあたっていた)オランダ 軍 が 攻 撃 を 受 ければ 情 報 収 集 の 名 目 で 現 場 に 駆 けつけ あえて 巻 き 込 まれ 応 戦 するつもりだった と 発 言 した 自 衛 隊 内 の 教 育 資 料 武 器 使 用 権 限 の 要 点 では 自 衛 隊 が 組 織 的 に 駆 けつけ 警 護 を 考 えていたことまで 明 らかになっている 駆 けつけ 警 護 問 題 は 中 国 侵 略 戦 争 の 嚆 矢 と なった 柳 条 湖 事 件 などの 軍 隊 の 暴 走 を 想 起 させる 駆 けつけ 警 護 が 認 められ 現 場 判 断 での 武 器 の 使 用 ができるようになれば シビリアンコントロールは 及 ばなくなる (2) 司 令 部 業 務 の 追 加 法 案 3 条 5 号 のネでは 司 令 部 業 務 も 加 えられ 組 織 設 立 業 務 に 軍 事 組 織 の 設 立 再 建 が 加 えられるなど 業 務 の 軍 事 的 性 格 が 著 しく 強 められる 第 6 条 ( 実 施 計 画 ) 1~6( 略 ) 7 自 衛 隊 の 部 隊 等 が 行 う 国 際 連 合 平 和 維 持 活 動 又 は 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 のために 実 施 される 国 際 平 和 協 力 業 務 であって 第 3 条 第 五 号 イから 卜 までに 掲 げるもの 又 はこれらの 業 務 に 類 するものとして 同 号 ナの 政 令 で 定 めるものについては 内 閣 総 理 大 臣 は 当 該 国 際 平 和 協 力 業 務 に 従 事 する 自 衛 隊 の 部 隊 等 の 海 外 への 派 遣 の 開 始 前 に 我 が 国 として 国 際 連 合 平 和 維 持 隊 に 参 加 し 又 は 他 国 と 連 携 して 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 を 実 施 するに 際 しての 基 本 的 な 五 つの 原 則 ( 第 3 条 第 一 号 及 び 第 二 号 本 条 第 1 項 ( 第 二 号 及 び 第 四 号 を 除 く ) 及 び 第 12 項 ( 第 一 号 から 第 六 号 まで 第 九 号 及 び 第 十 号 に 係 る 部 分 に 限 る ) 第 8 条 第 1 項 第 六 号 及 び 第 七 号 第 25 条 並 びに 第 26 条 の 規 定 の 趣 旨 をいう ) 及 びこの 法 律 の 目 的 に 照 らし 当 該 国 際 平 和 協 力 業 務 を 実 施 することにつき 実 施 計 画 を 添 えて 国 会 の 承 認 を 得 なければならない ただし 国 会 が 閉 会 中 の 場 合 又 は 衆 議 院 が 解 散 されている 場 合 には 当 該 国 際 平 和 協 力 業 務 に 従 事 する 自 衛 隊 の 部 隊 等 の 海 外 への 派 遣 の 開 始 後 最 初 に 召 集 される 国 会 において 遅 滞 なく その 承 認 を 求 めなければならない 8 前 項 本 文 の 規 定 により 内 閣 総 理 大 臣 から 国 会 の 承 認 を 求 められた 場 合 には 先 議 の 議 院 にあっては 内 閣 総 理 大 臣 が 国 会 の 承 認 を 求 めたのち 国 会 の 休 会 中 の 期 間 を 除 いて7 日 以 内 に 後 議 の 議 院 にあっ ては 先 議 の 議 院 から 議 案 の 送 付 があった 後 国 会 の 休 会 の 期 間 を 除 いて7 日 以 内 に それぞれ 議 決 する よう 努 めなければならない 9 政 府 は 第 7 項 ただし 書 きの 場 合 において 不 承 認 の 議 決 があったときは 遅 滞 なく 同 項 の 国 際 平 和 協 力 業 務 を 終 了 させなければならない 10 第 7 項 の 国 際 平 和 協 力 業 務 については 同 項 の 規 定 による 国 会 の 承 認 を 得 た 日 から2 年 を 経 過 する 日 を 超 えて 引 き 続 きこれを 行 おうとするときは 内 閣 総 理 大 臣 は 当 該 日 の30 日 前 の 日 から 当 該 日 までの 間 に 当 該 国 際 平 和 協 力 業 務 を 引 き 続 き 行 うことにつき 実 施 計 画 を 添 えて 国 会 に 付 議 して その 承 認 を 求 めなければならない ただし 国 会 が 閉 会 中 の 場 合 又 は 衆 議 院 が 解 散 されている 場 合 に は その 後 最 初 に 召 集 される 国 会 においてその 承 認 を 求 めなければならない 11 政 府 は 前 項 の 場 合 において 不 承 認 の 議 決 があったときは 遅 滞 なく 第 7 項 の 国 際 平 和 協 力 業 務 を 終 了 させなければならない 12 前 2 項 の 規 定 は 国 会 の 承 認 を 得 て 第 7 項 の 国 際 平 和 協 力 業 務 を 継 続 した 後 更 に2 年 を 超 えて 当 21

該 国 際 平 和 協 力 業 務 を 引 き 続 き 行 おうとする 場 合 について 準 用 する 13.14( 略 ) 本 条 は 平 和 協 力 活 動 の 実 施 する 際 の 国 会 の 関 与 ( 参 加 要 件 3)を 定 める 法 案 6 条 7 項 によって 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 のうち 国 会 の 承 認 ( 原 則 事 前 )が 要 求 さ れるのは 自 衛 隊 の 部 隊 が 行 う 停 戦 監 視 活 動 と 安 全 確 保 活 動 にすぎない しかも 国 会 の 承 認 も 先 議 の 議 院 後 議 の 議 院 合 わせて14 日 以 内 に 承 認 が 行 われることが 努 力 目 標 とさ れ 拙 速 な 議 論 の 下 で 国 会 の 形 だけの 承 認 が 行 われるおそれがある 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 による 駆 け 付 け 警 護 は これまでのPKO 活 動 と 比 べて 武 装 勢 力 等 との 衝 突 に 陥 る 危 険 が 質 的 に 高 まるにもかかわらず 国 会 の 事 前 承 認 が 必 要 とされないため 文 民 統 制 が 及 び 得 ない 現 場 の 指 揮 官 の 判 断 による 武 器 使 用 が 行 われ 交 戦 状 態 武 力 紛 争 へ と 発 展 していく 危 険 が 極 めて 大 きい 第 8 条 ( 実 施 要 領 ) 第 10 条 ( 隊 員 の 安 全 の 確 保 等 ) 第 8 条 本 部 長 は 実 施 計 画 に 従 い 国 際 平 和 協 力 業 務 を 実 施 するため 次 の 第 一 号 から 第 五 号 までに 掲 げ る 事 項 についての 具 体 的 内 容 及 び 第 六 号 から 第 九 号 までに 掲 げる 事 項 を 定 める 実 施 要 領 を 作 成 し 及 び 必 要 に 応 じこれを 変 更 するものとする 一 五 ( 略 ) 六 第 6 条 第 13 項 第 一 号 から 第 八 号 までに 掲 げる 場 合 において 国 際 平 和 協 力 業 務 に 従 事 する 者 が 行 うべき 国 際 平 和 協 力 業 務 の 中 断 に 関 する 事 項 七 第 6 条 第 13 項 第 九 号 から 第 十 一 号 までに 掲 げる 場 合 において 第 3 条 第 五 号 卜 に 掲 げる 業 務 若 しくはこれに 類 するものとして 同 号 ナの 政 令 で 定 める 業 務 又 は 同 号 ラに 掲 げる 業 務 に 従 事 する 者 が 行 うべき 当 該 業 務 の 中 断 に 関 する 事 項 八 危 険 を 回 避 するための 国 際 平 和 協 力 業 務 の 一 時 体 止 その 他 の 協 力 隊 の 隊 員 の 安 全 を 確 保 するた めの 措 置 に 関 する 事 項 九 ( 略 ) 第 10 条 新 設 条 文 本 部 長 は 国 際 平 和 協 力 業 務 の 実 施 に 当 たっては その 円 滑 かつ 効 果 的 な 推 進 に 努 めるとともに 協 力 隊 の 隊 員 ( 以 下 隊 員 という )の 安 全 の 確 保 に 配 慮 しなければならない 8 条 10 条 では 平 和 協 力 活 動 に 参 加 する 隊 員 の 安 全 確 保 のための 措 置 を 定 める しかしながら 自 衛 隊 が 治 安 維 持 や 駆 けつけ 警 護 等 の 任 務 遂 行 のために 現 地 の 武 装 勢 力 等 に 対 して 武 器 を 使 用 した 場 合 攻 撃 を 受 けた 武 装 勢 力 等 は 当 然 にこれに 応 戦 することとなる こうした 武 器 使 用 の 応 酬 から いくら 自 衛 隊 員 の 安 全 の 確 保 を 定 めても 自 衛 隊 員 に 戦 闘 に よる 死 傷 者 がでることは 避 けられない 第 25 条 26 条 ( 武 器 の 使 用 ) 第 25 条 1~6( 略 ) 7 新 設 条 文 第 9 条 5 項 の 規 定 により 派 遣 先 国 において 国 際 平 和 協 力 業 務 に 従 事 する 自 衛 官 は その 宿 営 地 ( 宿 営 のために 使 用 する 区 域 であって 囲 障 が 設 置 されることにより 他 と 区 別 されるものをいう 以 下 こ の 項 において 同 じ )であって 当 該 国 際 平 和 協 力 業 務 に 係 る 国 際 連 合 平 和 維 持 活 動 国 際 連 携 平 和 安 全 活 動 又 は 人 道 的 な 国 際 救 援 活 動 に 従 事 する 外 国 の 軍 隊 の 部 隊 の 要 員 が 共 に 宿 営 するものに 対 する 22

攻 撃 があったときは 当 該 宿 営 地 に 所 在 する 者 の 生 命 又 は 身 体 を 防 護 するための 措 置 をとる 当 該 要 員 と 共 同 して 第 3 項 の 規 定 による 武 器 の 使 用 をすることができる ( 以 下 略 ) 8~9( 略 ) 第 26 条 新 設 条 文 1 前 条 第 3 項 ( 同 条 第 七 項 の 規 定 により 読 み 替 えて 適 用 する 場 合 を 含 む )に 規 定 するもののほか 第 9 条 第 5 項 の 規 定 により 派 遣 先 国 において 国 際 平 和 協 力 業 務 であって 第 3 条 第 五 号 卜 に 掲 げるもの 又 はこれに 類 するものとして 同 号 ナの 政 令 で 定 めるものに 従 事 する 自 衛 官 は その 業 務 を 行 うに 際 し 自 己 若 しくは 他 人 の 生 命 身 体 若 しくは 財 産 を 防 護 し 又 はその 業 務 を 妨 害 する 行 為 を 排 除 す るためやむを 得 ない 必 要 があると 認 める 相 当 の 理 由 がある 場 合 には その 事 態 に 応 じ 合 理 的 に 必 要 と 判 断 される 限 度 で 第 6 条 第 2 項 第 二 号 ホ(2) 及 び 第 4 項 の 規 定 により 実 施 計 画 に 定 める 装 備 であ る 武 器 を 使 用 することができる 2 前 条 第 3 項 ( 同 条 第 7 項 の 規 定 により 読 み 替 えて 適 用 する 場 合 を 含 む )に 規 定 するもののほか 第 9 条 第 5 項 の 規 定 により 派 遣 先 国 において 国 際 平 和 協 力 業 務 であって 第 3 条 第 五 号 ラに 掲 げるもの に 従 事 する 自 衛 官 は その 業 務 を 行 うに 際 し 自 己 又 はその 保 護 しようとする 活 動 関 係 者 の 生 命 ヌは 身 体 を 防 護 するため やむを 得 ない 必 要 があると 認 める 相 当 の 理 由 がある 場 合 には その 事 態 に 応 じ 合 理 的 に 必 要 と 判 断 される 限 度 で 第 6 条 第 2 項 第 二 号 ホ(2) 及 び 第 4 項 の 規 定 により 実 施 計 画 に 定 める 装 備 である 武 器 を 使 用 することができる 3 前 2 項 の 規 定 による 武 器 の 使 用 に 際 しては 刑 法 第 36 条 又 は 第 37 条 の 規 定 に 該 当 する 場 合 を 除 いては 人 に 危 害 を 与 えてはならない 4 ( 略 ) 25 条 7 項 は 共 同 の 宿 営 地 に 所 在 する 外 国 軍 部 隊 の 防 護 のための 武 器 使 用 を 認 める ものであり 自 己 保 存 型 の 武 器 使 用 を 外 国 軍 部 隊 にまで 拡 張 するものである 共 同 の 宿 営 地 にいるだけでどんな 部 隊 にも 認 められるから 安 全 確 保 活 動 や 駆 けつけ 警 護 活 動 にお ける 任 務 遂 行 のための 武 器 の 使 用 (26 条 )より 範 囲 は 広 くなる 共 同 の 宿 営 地 にいる からと 言 って 自 衛 隊 と 共 同 の 活 動 あるいは 同 質 の 活 動 をしているとは 限 らず 強 暴 な 行 動 と ったことによって 攻 撃 を 受 けることになる 部 隊 も 存 在 する そうした 部 隊 の 防 護 に 武 器 使 用 を 認 めることは 自 衛 隊 が 積 極 的 な 戦 闘 行 為 に 踏 み 出 す 危 険 を 拡 大 することになる 26 条 1 項 は 治 安 維 持 活 動 等 の 任 務 遂 行 のための 武 器 使 用 同 条 2 項 は 駆 けつけ 警 護 のた めの 武 器 使 用 を 定 める 追 加 された 治 安 維 持 活 動 と 駆 けつけ 警 護 活 動 では 自 己 保 存 型 武 器 防 護 型 に 加 えて 任 務 遂 行 のための 武 器 使 用 が 認 められる 治 安 維 持 活 動 では 業 務 を 妨 害 する 行 為 を 排 除 す るための 武 器 使 用 駆 けつけ 警 護 では 保 護 する 活 動 関 係 者 を 防 護 するための 武 器 使 用 が 認 められる 特 に 駆 けつけ 警 護 ではNGOに 従 事 する 者 を 防 護 するための 武 器 使 用 まで 認 められる いずれも 妨 害 を 排 除 するために 先 制 的 な 発 砲 を 認 めるものである 正 当 防 衛 と 緊 急 避 難 以 外 では 人 に 危 害 を 与 えてはならない との 規 定 (26 条 3 項 )は 残 されるが 武 装 勢 力 や 民 衆 が 殺 到 する 場 面 で 正 当 防 衛 か 緊 急 避 難 の 要 件 を 満 たしてい たか を 検 証 することなどできるわけがない しかも 多 国 籍 軍 を 構 成 する 他 国 軍 にはこん な 制 約 はないから 発 砲 を 逡 巡 していれば 足 手 まとい 利 敵 行 為 にもなる 治 安 維 持 活 動 や 駆 けつけ 警 護 は 領 域 国 の 同 意 を 得 た 警 察 的 な 活 動 であって 治 安 掃 討 作 戦 と 本 質 は 変 わらない 派 兵 された 自 衛 隊 はイラクにおける ファルージャの 虐 殺 や1 5 年 戦 争 における 粛 清 掃 討 作 戦 ( 中 国 名 三 光 作 戦 )と 同 質 の 活 動 を 行 うことにならざる 23

を 得 ない ( 本 田 伊 孝 吉 田 健 一 ) Ⅲ 周 辺 事 態 法 等 改 正 案 ( 重 要 影 響 事 態 法 等 ) * 周 辺 事 態 に 際 して 我 が 国 の 平 和 及 び 安 全 を 確 保 するための 措 置 に 関 する 法 律 改 正 案 ( 重 要 影 響 事 態 に 際 して 我 が 国 の 平 和 及 び 安 全 を 確 保 するための 措 置 に 関 する 法 律 ) * 周 辺 事 態 に 際 して 実 施 する 船 舶 検 査 活 動 に 関 する 法 律 改 正 案 ( 重 要 影 響 事 態 等 に 際 して 実 施 する 船 舶 検 査 活 動 に 関 する 法 律 ) 概 要 重 要 影 響 事 態 に 際 して 我 が 国 の 平 和 及 び 安 全 を 確 保 するための 措 置 に 関 する 法 律 ( 重 要 影 響 事 態 法 )は 1999 年 に 制 定 された 周 辺 事 態 に 際 して 我 が 国 の 平 和 及 び 安 全 を 確 保 するための 措 置 に 関 する 法 律 ( 周 辺 事 態 法 )の 抜 本 的 な 改 正 法 である 周 辺 事 態 法 は 制 定 当 時 新 ガイドライン 法 ともよばれた 1997 年 改 訂 のガイドラ イン( 以 下 旧 ガイドライン という )は 朝 鮮 有 事 ないし 台 湾 有 事 を 想 定 した 日 本 の 周 辺 地 域 における 事 態 で 日 本 の 平 和 と 安 全 に 重 要 な 影 響 を 与 える 場 合 ( 周 辺 事 態 ) におけ る 自 衛 隊 の 米 軍 への 協 力 が 約 束 され この 旧 ガイドラインに 対 応 し 制 定 されたのが 周 辺 事 態 法 であった 2015 年 4 月 ガイドラインは 再 度 改 定 され( 以 下 今 回 再 度 改 訂 されたガイドラ インを 新 ガイドライン という ) 日 米 の 軍 事 協 力 の 範 囲 は 日 本 国 内 周 辺 地 域 から 全 世 界 へと 拡 大 することとなった 重 要 影 響 事 態 法 は このような 新 ガイドラインにおけ る 軍 事 協 力 の 範 囲 の 拡 大 に 対 応 した 法 案 である なお 周 辺 事 態 法 の 下 位 法 の 周 辺 事 態 船 舶 検 査 法 も 重 要 影 響 事 態 船 舶 検 査 法 ( 船 舶 検 査 法 )に 改 正 され 重 要 影 響 事 態 のみならず 国 際 平 和 支 援 法 による 国 際 平 和 共 同 対 処 事 態 にも 対 応 することになる 以 下 本 法 と 船 舶 検 査 法 に 分 けて 注 釈 する 1 周 辺 事 態 法 改 正 案 ( 重 要 影 響 事 態 法 ) 第 1 条 ( 目 的 ) この 法 律 は そのまま 放 置 すれば 我 が 国 に 対 する 直 接 の 武 力 攻 撃 に 至 るおそれのある 事 態 等 我 が 国 の 平 和 及 び 安 全 に 重 要 な 影 響 を 与 える 事 態 ( 以 下 重 要 影 響 事 態 という )に 際 し 合 衆 国 軍 隊 等 に 対 する 後 方 支 援 活 動 等 を 行 うことにより 日 本 国 とアメリカ 合 衆 国 との 間 の 相 互 協 力 及 び 安 全 保 障 条 約 ( 以 下 日 米 安 保 条 約 という )の 効 果 的 な 運 用 に 寄 与 することを 中 核 とする 重 要 影 響 事 態 に 対 処 する 外 国 との 連 携 を 強 化 し 我 が 国 の 平 和 及 び 安 全 の 確 保 に 資 することを 目 的 とする (1) 周 辺 事 態 から 重 要 影 響 事 態 へ 本 条 は そのまま 放 置 すれば 我 が 国 に 対 する 直 接 の 武 力 攻 撃 に 至 るおそれのある 事 態 等 我 が 国 の 平 和 及 び 安 全 に 重 要 な 影 響 を 与 える 事 態 ( 重 要 影 響 事 態 )において 合 衆 国 24

軍 隊 等 に 対 する 後 方 支 援 活 動 を 中 心 とする 諸 活 動 を 行 うことにより 日 米 安 保 条 約 の 効 果 的 な 運 用 に 寄 与 することを 中 核 とする 外 国 との 連 携 を 強 化 し 我 が 国 の 平 和 及 び 安 全 の 確 保 に 資 すること を 本 法 の 目 的 とするとしている 現 行 法 の 周 辺 事 態 法 では 周 辺 事 態 すなわち 我 が 国 の 周 辺 の 地 域 における 我 が 国 の 平 和 及 び 安 全 に 重 要 な 影 響 を 与 える 事 態 に 対 応 する 諸 活 動 が 定 められていたが 周 辺 事 態 と 重 要 影 響 事 態 にはどのような 違 いがあるか まず 周 辺 事 態 において 定 められていた 我 が 国 の 周 辺 の 地 域 における という ( 一 応 の) 地 理 的 限 定 が 完 全 に 削 除 されることとなった 周 辺 事 態 法 の 周 辺 事 態 についても 旧 ガイドラインにおいて 地 理 的 な 概 念 ではな く 事 態 の 性 質 に 着 目 したものである とされ 地 理 的 な 限 定 がなされない 懸 念 があった が 周 辺 事 態 法 の 国 会 審 議 において 周 辺 事 態 は 極 東 及 び 極 東 の 周 辺 を 越 えることは ない 等 と 答 弁 されており(1998 年 5 月 22 日 衆 議 院 外 務 委 員 会 高 野 北 米 局 長 ) 日 本 及 びその 周 辺 に 自 ずと 限 定 されると 解 釈 できた しかし 本 法 案 の 重 要 影 響 事 態 に 地 理 的 な 限 定 が 全 くないのは 条 文 上 明 らかであり 世 界 中 のいかなる 地 域 におけるものであっても 我 が 国 の 平 和 及 び 安 全 に 重 要 な 影 響 を 与 える 事 態 と 判 断 されれば アメリカ 軍 等 に 対 する 後 方 支 援 活 動 等 の 戦 争 協 力 が 開 始 されるのである なお 一 見 そのまま 放 置 すれば 我 が 国 に 対 する 直 接 の 武 力 攻 撃 に 至 るおそれのある 事 態 等 という 限 定 がなされているかにみえるが そのまま 放 置 すれば 我 が 国 に 対 する 直 接 の 武 力 攻 撃 に 至 るおそれのある 事 態 は 例 示 に 過 ぎず 何 ら 限 定 の 役 割 を 果 たさない す なわち 我 が 国 の 平 和 及 び 安 全 に 重 要 な 影 響 を 与 える 事 態 という 極 めて 抽 象 的 かつ 広 汎 な 要 件 で アメリカ 軍 等 に 対 する 戦 争 協 力 が 開 始 されることになるのである このような 重 要 影 響 事 態 における 戦 争 協 力 は 日 本 国 憲 法 に 反 するものである ことはもちろん 日 米 安 保 条 約 の 条 項 をも 明 白 に 逸 脱 するものである 日 米 安 保 条 約 は 日 本 の 領 海 領 空 への 武 力 攻 撃 ( 日 本 有 事 )に 対 して 日 米 共 同 で 対 処 するように 行 動 す ること(5 条 ) 日 本 の 安 全 と 極 東 における 国 際 の 平 和 及 び 維 持 に 寄 与 するため 日 本 が 米 軍 施 設 区 域 を 提 供 すること(6 条 )を 定 めているだけである 本 来 は 憲 法 を 改 正 したうえで なおかつ 日 米 安 保 条 約 を 改 定 し 国 会 での 承 認 を 得 てからでなければできな いはずの 法 改 正 を これらに 関 するなんの 手 続 も 踏 まずに 行 おうとする 暴 挙 が 今 回 の 重 要 影 響 事 態 法 の 制 定 といえよう (2) アメリカ 軍 以 外 の 軍 隊 への 戦 争 協 力 へ 踏 み 出 すことに 本 条 では 重 要 影 響 事 態 に 対 応 するため 合 衆 国 軍 隊 等 に 対 する 後 方 支 援 活 動 等 をお こなう と 定 めている 合 衆 国 軍 隊 等 の 定 義 は 第 3 条 ( 定 義 )が 定 め( 詳 細 は 後 述 ) 米 軍 以 外 の 外 国 の 軍 隊 や 軍 隊 に 類 する 組 織 へも 後 方 支 援 活 動 等 の 戦 争 協 力 を 行 うことが 定 められた 25