ブルガリア クロアチア ルーマニアの 船 員 教 育 海 技 資 格 制 度 掲 載 誌 掲 載 年 月 : 船 長 第 132 号 201503 日 本 海 事 センター 企 画 研 究 部 研 究 員 野 村 摂 雄 1.はじめに ブルガリア クロアチア 及 びルーマニアは バルカン 1 船 員 マーケット の 一 部 として EU/EEA 域 内 ではポーランドとともに 船 員 供 給 国 として 名 高 い BIMCO/ISF の 調 査 によ れば ブルガリアは 33,269 人 クロアチアは 18,658 人 ルーマニアは 24,343 人 の 船 員 を 供 給 していると 見 込 まれ 2 上 位 を 占 めている( 表 1 参 照 ) 外 航 船 員 に 限 ると ブルガ リア 17,500 人 ( 職 員 9,500 人 部 員 8,000 人 ) クロアチア 14,500 人 ( 職 員 9,400 人 部 員 5,100 人 ) ルーマニア 20,000 人 ( 職 員 8,000 人 部 員 12,000 人 )と 推 計 されてお り いずれもそのほとんどは 外 国 船 社 に 雇 用 されているという 表 1:EU/EEA 諸 国 の 船 員 数 ( 上 位 10 か 国 ) 及 び 3 か 国 の 外 航 船 員 数 職 員 ( 人 ) 部 員 ( 人 ) 合 計 ( 人 ) 1 ブルガリア 10,890 22,379 33,269 ( 外 航 船 員 数 ) (9,500) (8,000) (17,500) 2 ルーマニア 18,575 5,768 24,343 ( 外 航 船 員 数 ) (8,000) (12,000) (20,000) 3 ノルウェー 16,082 7,300 23,382 4 英 国 14,657 8,536 23,193 5 ポーランド 17,923 4,746 22,669 6 イタリア 9,560 11,390 20,950 7 クロアチア 11,704 6,954 18,658 ( 外 航 船 員 数 ) (9,400) (5,100) (14,500) 8 フランス 4,568 9,128 13,696 9 ギリシャ 9,993 2,970 12,963 10 スウェーデン 5,958 4,965 10,923 1 バルカン に 含 める 国 については 諸 説 あるが 例 えば ブリタニカ 国 際 大 百 科 事 典 小 項 目 事 典 (1988 年 )では バルカン 半 島 の 地 理 上 の 境 界 を 西 はアドリア 海,イオニア 海, 北 東 は 黒 海, 南 東 はエーゲ 海 に 面 し, 便 宜 上 ドナウ 川 とその 支 流 サバ 川 を 結 ぶ 線 が 北 の 限 界 として ブルガリア クロアチア( 旧 ユーゴスラ ビア) 及 びルーマニアを 含 めて 紹 介 している 2 Drewry Manning 2014 による 2014 年 の 推 計 値 は クロアチア 20,000 人 ( 職 員 12,000 人 部 員 8,000 人 ) ルーマニア 22,100 人 ( 職 員 11,700 人 部 員 10,400 人 )である(ブルガリアは 推 計 されていない ) 1
(BIMCO/ISF Manpower 2010 Update 及 び 各 国 当 局 ヒアリングに 基 づき 作 成 ) 邦 船 社 もこれら 3 か 国 の 船 員 を 船 舶 職 員 として 採 用 している 2015 年 2 月 1 日 時 点 で ブルガリア 人 船 員 355 名 クロアチア 人 船 員 243 人 ルーマニア 人 船 員 210 人 が 日 本 籍 船 に 乗 り 組 むために 必 要 な 承 認 証 を 受 有 しており その 数 はフィリピン 人 船 員 (4,856 人 ) インド 人 船 員 (865 人 )に 次 いで 多 い こうした 実 績 を 背 景 に 当 該 3 か 国 の 商 船 大 学 の 一 部 は 日 本 の 特 定 船 員 教 育 機 関 3 として 近 く 承 認 される 見 込 みである 本 稿 ではこのタイミングを 捉 えて これら 3 か 国 の 船 員 教 育 制 度 及 び 海 技 資 格 制 度 につ いて 紹 介 する なお 本 文 中 の 統 計 数 字 は 明 記 のない 限 り 現 地 調 査 時 点 (2013 年 10 月 ) のものであり 為 替 レートは 2015 年 1 月 末 のものを 用 いている(1 ブルガリア レフ= 68 円 1 クロアチア クーナ=17 円 1 ルーマニア レウ=30 円 1 ユーロ=133 円 ) 2.ブルガリア (1)ブルガリアの 概 況 ブルガリアは バルカン 半 島 にあって 黒 海 に 面 し 北 はドナウ 川 を 境 にルーマニアと 南 はトルコ 及 びギリシャと 接 している 同 国 は 2007 年 に EU の 一 員 となって 以 来 堅 調 な 経 済 成 長 を 遂 げてきており 名 目 GDP は 2007 年 624 億 レフ( 約 4.2 兆 円 )から 2013 年 803 億 レフ(5.5 兆 円 )へと 約 30% 増 加 した ブルガリアの 経 済 成 長 は 西 欧 とアジア 中 東 をつなぐ 立 地 低 い 法 人 税 率 (10% 2013 年 の EU 加 盟 国 平 均 は 約 23%)とともに 低 コストの 労 働 力 ( 最 低 賃 金 は 月 174 ユーロで EU28 か 国 のうち 最 低 賃 金 を 法 定 してい る 21 か 国 で 最 も 低 い 2014 年 7 月 1 日 時 点 )を 要 因 としている 国 内 の 海 運 業 界 について 見 ると いわゆる 海 事 クラスターを 構 成 している 海 運 事 業 者 65 社 ( 海 上 輸 送 業 44 社 河 川 輸 送 業 21 社 )のうち 売 上 高 が 判 明 している 14 社 ( 海 上 輸 送 業 9 社 河 川 輸 送 業 5 社 )の 合 計 売 上 高 は 233,981 千 ユーロ(2011 年 約 311 億 円 ) である(2008 年 まで 国 営 であった 1 社 がその 8 割 強 (194,132 千 ユーロ 約 258 億 円 ) を 占 めている ) ブルガリア 籍 の 商 船 隊 船 腹 量 は 95 隻 357 千 総 トン(2013 年 1 月 1 日 時 点 100 総 トン 以 上 国 連 貿 易 開 発 会 議 統 計 より )であり 海 運 業 の 規 模 は 大 きくない ブルガリアは STCW 条 約 の 下 で 11 の 国 地 域 と 海 技 資 格 を 相 互 承 認 する 取 極 めを また 日 本 を 含 む 19 の 国 地 域 でブルガリアの 海 技 資 格 を 承 認 する 取 極 めを 締 結 してい る( 図 1 参 照 ) 3 特 定 船 員 教 育 機 関 は 外 国 人 船 舶 職 員 承 認 制 度 のひとつである 機 関 承 認 制 度 に 設 けられたもので 外 国 の 船 員 教 育 機 関 が 国 土 交 通 大 臣 の 承 認 を 受 けて 特 定 船 員 教 育 機 関 となることにより その 卒 業 生 は 承 認 試 験 等 を 要 せずに 日 本 籍 船 の 船 舶 職 員 として 乗 り 組 むことが 認 められるものである 2015 年 1 月 末 現 在 フィリピンの 6 校 (Maritime Academy of Asia & the Pacific (MAAP) NYK-TDG Maritime Academy (NTMA) Philippine Merchant Marine Academy (PMMA) Bicol Merchant Marine College Holy Cross of Davao College Crystal e-college) 及 びインドの 3 校 ( TOLANI Maritime Institute, Maharashtra Academy of Naval Education & Training, Vels School of Maritime Studies)が 特 定 船 員 教 育 機 関 として 認 められてい る 2
: 海 技 資 格 を 相 互 承 認 する 取 極 締 結 国 地 域 (アゼルバイジャン ベルギー ギリシャ 香 港 インドネシア イタリア オランダ シンガポール スロバキア トルコ 英 国 ) :ブルガリアの 海 技 資 格 を 承 認 する 取 極 締 結 国 地 域 (アンティグア&バルブーダ オース トラリア バルバドス ベリーズ キプロス フランス ドイツ アイルランド マン 島 日 本 クウェート リベリア ルクセンブルク マルタ マーシャル 諸 島 パナマ セン トビンセント バヌアツ) 図 1:ブルガリアの 承 認 取 極 め 締 結 国 地 域 (2)ブルガリアの 学 校 教 育 制 度 ( 図 2 参 照 ) ブルガリアでは 7 歳 から 初 等 教 育 が 始 まり 14 歳 までの 8 年 間 ( 基 礎 教 育 期 間 と 呼 ばれる )を 小 学 校 ( 第 1 学 年 から 第 4 学 年 ) 及 び 下 級 中 等 学 校 ( 第 5 学 年 から 第 8 学 年 )で 学 ぶ 中 等 教 育 は 15 歳 から 始 まり 一 般 の 学 校 (3 年 間 )と 職 業 学 校 (4 年 間 又 は 5 年 間 )とに 分 かれている 義 務 教 育 が 7 歳 から 16 歳 までと 定 められているため 義 務 教 育 期 間 を 過 ぎれば 必 要 に 応 じて 中 等 教 育 の 各 学 校 を 退 学 することが 可 能 となってい る 高 等 教 育 は 大 学 を 中 心 に 行 われており 中 等 教 育 を 終 える 時 点 で 全 国 統 一 の 中 等 教 育 修 了 試 験 に 合 格 した 者 が 進 学 する 資 格 を 得 る また この 中 等 教 育 修 了 試 験 は 2010 年 より 大 学 入 学 試 験 に 代 えることが 認 められているため 大 学 が 独 自 の 入 学 試 験 によらず 中 等 教 育 修 了 試 験 の 成 績 を 以 て 入 学 審 査 を 行 うことが 普 及 している 例 えばナバルアカデ ミー( 後 述 )においては 中 等 教 育 修 了 試 験 の 4 科 目 ( 数 学 物 理 国 語 文 学 )の 合 計 得 点 により 入 学 審 査 を 行 うことを 基 本 としている 同 大 学 独 自 の 入 学 試 験 は 中 等 教 育 修 了 試 験 において 不 本 意 な 成 績 で 終 わった 者 や 2010 年 以 前 に 中 等 教 育 を 修 了 した 者 を 主 た る 対 象 としている 3
図 2:ブルガリアの 学 校 教 育 制 度 概 観 (3)ブルガリアの 船 員 教 育 制 度 船 員 教 育 機 関 船 員 教 育 は 中 等 教 育 では 職 業 学 校 高 等 教 育 では 大 学 で 行 われている これらに 対 し て 教 育 科 学 省 は 設 置 認 可 財 政 支 援 運 営 に 対 する 監 督 等 を 運 輸 情 報 技 術 通 信 省 は STCW 条 約 の 規 制 当 局 である 海 事 庁 を 通 して 教 育 内 容 の 監 督 及 び 教 育 水 準 の 点 検 等 を 行 っている また 高 等 教 育 機 関 の 教 育 研 究 の 質 や 運 営 については 評 価 認 証 庁 が 定 期 的 に 認 証 評 価 を 行 っている 外 航 船 員 を 養 成 する 教 育 を 行 う 職 業 学 校 は 2 校 (ヴァルナ 海 事 職 業 学 校 及 び 海 運 水 産 職 業 学 校 )あり 内 航 船 員 を 養 成 する 教 育 を 行 う 職 業 学 校 が 1 校 ある 外 航 船 員 を 養 成 する 教 育 課 程 (5 年 制 2 か 月 の 乗 船 実 習 を 含 む )の 修 了 者 は 甲 板 部 においては 操 舵 手 資 格 を 取 得 後 に 500 総 トン 以 上 の 外 航 船 で 操 舵 手 として 30 か 月 の 乗 船 履 歴 を 積 むことに より 船 舶 職 員 資 格 ( 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 )の 受 験 資 格 を 得 ることが 可 能 である 機 関 部 においては 船 舶 運 転 士 資 格 を 取 得 後 に 36 か 月 の 乗 船 履 歴 (750kW 以 上 の 推 進 出 力 を 備 えた 船 舶 の 船 舶 運 転 士 としての 24 か 月 及 び 当 直 職 員 補 助 員 としての 6 か 月 を 含 む )を 積 むことにより 船 舶 職 員 資 格 ( 750 kw 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 当 直 職 員 )の 受 験 資 格 を 得 ることが 可 能 である 職 業 学 校 出 身 者 は その 後 船 舶 職 員 としてキャリアアップしていくことができるが 船 舶 職 員 資 格 のうち 最 上 位 の 資 格 ( 総 トン 数 3,000 トン 以 上 の 外 航 船 の 船 長 及 び 3,000kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 機 関 長 )を 取 得 するには いず れかの 段 階 で 学 士 号 以 上 の 学 位 を 取 得 しなければならない 外 航 船 員 を 養 成 する 課 程 を 有 する 大 学 は 2 校 ある そのひとつ ナバルアカデミー(1881 年 創 立 )は 学 士 課 程 (4 年 制 ) 及 び 修 士 課 程 (1.5 年 制 )を 設 置 している(その 他 に 通 信 課 程 や 他 分 野 の 学 士 号 保 有 者 のための 修 士 課 程 (2.5 年 制 )もある ) 学 士 課 程 の 定 員 は 航 海 科 が 1 学 年 190 名 程 度 機 関 科 が 同 120 名 程 度 である このほかに 電 気 技 師 養 成 課 程 ( 同 70 名 程 度 )もある 留 年 生 や 退 学 者 がいるため 両 学 科 とも 毎 年 の 卒 業 生 は 定 員 の 4
約 半 分 とのことである 評 価 認 証 庁 による 評 価 では ナバルアカデミーは 全 高 等 教 育 機 関 52 校 のうち 12 位 にランクしている( 評 価 点 ( 内 訳 未 公 表 10 点 満 点 )は 大 学 全 体 としては 9.16 点 船 員 養 成 を 含 む 運 輸 航 海 航 空 部 門 では 9.60 点 ) もうひとつのヴァルナ 技 術 大 学 (1964 年 創 立 )は 修 士 課 程 ( 学 士 課 程 との 一 貫 課 程 航 海 科 及 び 機 関 科 ともに 5 年 制 ) 及 び 博 士 課 程 ( 航 海 科 のみ 3 年 制 )を 設 置 しており 航 海 科 の 定 員 は 1 学 年 60 名 程 度 機 関 科 は 同 75 名 程 度 である 修 士 課 程 を 修 了 して 修 士 号 を 有 する 者 は 将 来 総 トン 数 3,000 以 上 の 外 航 船 の 船 長 又 は 3,000kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 機 関 長 の 資 格 を 得 る 際 に STCW 条 約 対 応 訓 練 課 程 の 受 講 が 一 部 免 除 される ヴァルナ 技 術 大 学 においてもナバルアカデミーと 同 様 に 留 年 生 や 退 学 者 がいるため 毎 年 の 卒 業 生 は 航 海 科 は 定 員 の 約 6 割 機 関 科 は 約 7 割 とのことである 同 大 学 につい ての 評 価 認 証 庁 の 評 価 は 全 体 として 優 良 とされている( 全 体 としての 評 価 点 は 公 表 されておらず 船 員 養 成 を 含 む 運 輸 航 海 航 空 部 門 では 8.32 点 ) いずれの 船 員 教 育 機 関 も 練 習 船 を 有 していないため 在 学 中 の 航 海 実 習 (6 か 月 )は 船 員 教 育 機 関 が 提 携 している 民 間 商 船 で 行 われる 在 学 中 の 航 海 実 習 は 船 員 養 成 課 程 の 学 位 取 得 の 要 件 である ナバルアカデミーでは 18 社 と 提 携 して 160 名 強 を ヴァルナ 技 術 大 学 では 10 社 と 提 携 して 90 名 強 をそれぞれ 航 海 実 習 に 送 り 込 んでいる(いずれも 2013 年 10 月 時 点 ) どの 学 生 がどの 船 社 の 商 船 で 航 海 実 習 を 行 うかは 各 社 と 各 学 生 との 間 で 決 められ 船 員 教 育 機 関 はそのマッチングの 場 を 提 供 する 学 生 によっては 在 学 中 の 乗 船 実 習 時 にキャデット 枠 さらにはその 後 の 就 職 に 関 して 船 会 社 と 契 約 を 交 わしておく 者 もある (4)ブルガリアの 海 技 資 格 制 度 ブルガリアには 当 局 が 発 給 する 海 技 資 格 が 25 種 類 あり そのうち STCW 条 約 に 対 応 する 船 舶 職 員 の 海 技 資 格 は 15 種 類 ある( 表 2 参 照 ) 海 技 試 験 は 全 国 3 か 所 (ソフィア ヴァルナ ヴァルガス)で 月 2 回 行 われている 表 2:ブルガリアの 船 舶 職 員 資 格 一 覧 甲 板 部 職 員 資 格 名 総 トン 数 3,000 トン 以 上 の 外 航 船 の 船 長 総 トン 数 500 トン 以 上 3,000 トン 未 満 の 外 航 船 の 船 長 総 トン 数 500 トン 未 満 の 沿 岸 航 海 船 の 船 長 総 トン 数 500 トン 未 満 の 内 航 船 の 船 長 総 トン 数 3,000 トン 以 上 の 船 舶 の 一 等 航 海 士 総 トン 数 500 トン 以 上 3,000 トン 未 満 の 船 舶 の 一 等 航 海 士 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 総 トン 数 500 トン 未 満 の 沿 岸 航 海 船 舶 の 当 直 職 員 対 応 する STCW 規 則 II/3 II/3 II/1 II/3 5
機 関 部 3,000kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 機 関 長 750kW 以 上 3,000kW 未 満 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 機 関 長 750kW 以 上 3,000kW 未 満 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 内 航 船 の 機 関 長 3,000kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 一 等 機 関 士 750kW 以 上 3,000kW 未 満 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 一 等 機 関 士 I III/3 III/3 I III/3 750 kw 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 当 直 職 員 III/1 電 気 技 師 III/6 外 航 海 運 の 船 舶 職 員 志 望 者 が 大 学 の 船 舶 職 員 養 成 課 程 を 修 了 して 最 初 に 取 得 するのは 甲 板 部 では 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 であり 機 関 部 では 750 kw 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 当 直 職 員 である( 図 3 参 照 ) 図 3:ブルガリアの 海 技 資 格 を 取 得 するための 基 本 的 経 路 ( 当 局 ヒアリングほかに 基 づき 作 成 点 線 囲 みは 航 海 実 習 4 ) 4 航 海 実 習 における 船 舶 に 関 する 要 件 は 以 下 の 通 り *1: 総 トン 数 500 トン 以 上 の 外 航 船 であること *2: 在 学 中 の 乗 船 実 習 が*1 を 満 たさない 船 舶 等 の 場 合 には 12 か 月 *3: 総 トン 数 3,000 トン 以 上 の 外 航 船 であるこ と *4: 総 トン 数 500 トン 以 上 3,000 トン 未 満 の 外 航 船 であること *5:750kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 であること *6: 在 学 中 の 乗 船 実 習 が*5 を 満 たさない 船 舶 等 の 場 合 には 12 か 月 *7:3,000kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 であること *8:750kW 以 上 3,000KW 未 満 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 であること 6
1 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 大 学 で 航 海 科 の 船 舶 職 員 養 成 課 程 を 修 了 した 者 が 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 の 資 格 を 得 るには 通 常 総 トン 数 500 トン 以 上 の 外 航 船 において 当 直 業 務 補 助 員 として 6 か 月 ( 在 学 中 の 乗 船 実 習 がこれと 同 等 の 船 舶 等 で 行 われていない 場 合 には 12 か 月 )の 乗 船 履 歴 を 積 み 船 舶 限 定 GMDSS 無 線 通 信 士 の 資 格 を 得 た 上 で 海 技 試 験 に 合 格 しなければならない 試 験 科 目 は 航 海 術 荷 役 及 び 積 付 け 船 舶 の 運 航 管 理 と 船 内 にある 者 の 保 護 及 び 無 線 通 信 の 4 科 目 についてコンピューターによる 試 験 が 行 われている( 表 3 参 照 ) コンピューターによる 試 験 は 従 来 の 口 述 試 験 に 見 られた 不 正 を 防 止 し 公 正 を 期 する ために 2012 年 に 導 入 されたもので 各 資 格 の 合 格 率 は 従 来 よりも 10% 程 度 下 がったとい う 2012 年 の 平 均 合 格 率 は 60%であった 2750 kw 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 当 直 職 員 大 学 で 機 関 科 の 船 舶 職 員 養 成 課 程 を 修 了 した 者 が 750kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 当 直 職 員 の 資 格 を 得 るには 通 常 750 kw 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 において 当 直 職 員 補 助 員 として 6 か 月 ( 在 学 中 の 乗 船 実 習 がこれと 同 等 の 船 舶 等 で 行 われていない 場 合 には 12 か 月 )の 乗 船 履 歴 を 積 み 海 技 試 験 に 合 格 しなけ ればならない 試 験 にはコンピューターを 用 いており 試 験 科 目 は 船 舶 の 運 航 管 理 と 船 内 にある 者 の 保 護 舶 用 機 関 電 気 電 子 制 御 工 学 及 び 保 守 の 4 科 目 である 2012 年 の 平 均 合 格 率 は 56%であった 表 3:ブルガリアの 海 技 試 験 7
3.クロアチアの 船 員 教 育 海 技 資 格 制 度 (1)クロアチアの 概 況 クロアチア 共 和 国 は バルカン 半 島 の 北 西 部 に 位 置 し アドリア 海 を 挟 んでイタリアに 面 している 同 国 は 1991 年 にユーゴスラビア 連 邦 より 独 立 してから 政 治 行 政 制 度 を 再 構 築 して 民 主 化 を 実 現 し 2013 年 7 月 に EU に 加 盟 国 した 2013 年 の 名 目 GDP は 3,301 億 クーナ(5.6 兆 円 )で 一 人 当 たり 名 目 GDP(132 万 円 )は 中 東 欧 諸 国 の 中 ではスロベ ニア(233 万 円 ) チェコ(190 万 円 ) スロバキア(181 万 円 )に 次 いで 高 く また そ の 法 定 最 低 賃 金 ( 月 398 ユーロ)は ポーランド( 月 404 ユーロ)に 迫 っている 国 土 の 約 3 割 は 帯 状 にアドリア 海 に 面 し マルコポーロの 生 誕 地 とされるコルチュラ 島 ( 当 時 ジェノヴァ 共 和 国 領 )など 1,185 の 島 を 有 する そうした 地 理 的 条 件 からクロアチ アは 古 来 より 海 運 業 造 船 業 が 発 達 したと 言 われる 現 在 のクロアチア 籍 の 商 船 隊 船 腹 量 は 264 隻 1,382 千 総 トン(2013 年 1 月 1 日 時 点 100 総 トン 以 上 国 連 貿 易 開 発 会 議 統 計 より )であり 中 東 欧 諸 国 では 最 大 である 船 種 は バルクキャリア(22 隻 629 千 総 トン)とオイルタンカー(29 隻 591 千 総 トン)が 中 心 である クロアチアではトン 数 標 準 税 制 が 2014 年 に 導 入 されたところであり 外 航 海 運 業 の 発 展 に 向 けて 海 運 関 係 者 の 期 待 が 高 まっている 外 航 海 運 業 界 においては 高 度 に 訓 練 された 船 員 を 供 給 する 国 として 知 られ 特 に タ ンカー 乗 り としてオイルメジャーからも 評 価 が 高 い 2008 年 に 導 入 された 船 員 税 制 ( 年 に 183 日 以 上 外 航 船 に 従 事 する 船 員 は 所 得 税 が 免 除 される )が 外 航 船 員 志 望 者 を 生 み 出 す 要 因 になっているという クロアチアは STCW 条 約 の 下 で EU 加 盟 国 のほか 4 つの 国 地 域 と 海 技 資 格 を 相 互 承 認 する 取 極 めを また 日 本 を 含 む 20 の 国 地 域 でクロアチアの 海 技 資 格 を 承 認 する 取 極 めを 締 結 している( 図 4 参 照 ) 8
: 海 技 資 格 を 相 互 承 認 する 取 極 締 結 国 地 域 (EU 加 盟 国 香 港 インドネシア マレー シア シンガポール) :クロアチアの 海 技 資 格 を 承 認 する 取 極 締 結 国 地 域 (アンティグア&バルブーダ オラン ダ 領 アルバ バハマ バルバドス ベリーズ バミューダ ブルネイ ドミニカ マン 島 日 本 クウェート リベリア マーシャル 諸 島 オランダ 領 アンティル ニュージーランド ノルウェー パナマ セントビンセント スイス バヌアツ) 図 4:クロアチアの 承 認 取 極 め 締 結 国 地 域 (2)クロアチアの 学 校 教 育 制 度 ( 図 5 参 照 ) クロアチアでは 6 歳 から 初 等 教 育 が 始 まり 13 歳 までの 8 年 間 ( 第 1 学 年 から 第 8 学 年 )を 小 学 校 で 学 ぶ(この 8 年 間 は 小 学 校 4 年 間 中 学 校 4 年 間 の 一 貫 課 程 とも 紹 介 され る ) 初 等 教 育 8 年 間 は 義 務 教 育 である 中 等 教 育 は 14 歳 から 4 年 間 ( 第 9 学 年 から 第 12 学 年 )とされ 大 学 進 学 を 念 頭 に 置 く 一 般 高 等 学 校 (4 年 制 )と 労 働 者 としての 技 能 を 身 につける 職 業 学 校 (1 年 制 ~5 年 制 )とがある 職 業 学 校 のうち 4 年 制 又 は 5 年 制 の 学 校 は 高 等 教 育 への 進 学 に 必 要 な 基 礎 教 育 期 間 (12 年 間 )を 経 ていることから その 修 了 者 は 高 等 教 育 への 進 学 経 路 においては 一 般 高 等 学 校 の 修 了 者 と 同 等 に 扱 われる 図 5:クロアチアの 学 校 教 育 制 度 概 観 高 等 教 育 は 大 学 を 中 心 に 行 われており 中 等 教 育 を 終 える 時 点 で 全 国 統 一 の 中 等 教 育 修 了 試 験 に 合 格 した 者 が 進 学 する 資 格 を 得 る 中 等 教 育 修 了 試 験 は 2008 年 度 に 導 入 された ものであり 今 ではほとんどの 大 学 がこの 試 験 結 果 と 中 等 学 校 での 成 績 とで 入 学 審 査 を 行 っているという クロアチアの 高 等 教 育 機 関 は 122 あり その 内 訳 は 総 合 大 学 10 校 (う ち 私 立 3 校 ) 科 学 技 術 大 学 15 校 (うち 私 立 2 校 ) 専 門 単 科 大 学 30 校 (うち 私 立 27 校 ) 学 部 アカデミー67 校 ( 総 合 大 学 が 設 置 する 法 的 に 独 立 した 高 等 教 育 機 関 私 立 はない ) である 9
これら 高 等 教 育 機 関 のうち 総 合 大 学 は 学 術 的 研 究 を 行 うことが 義 務 づけられており また 学 部 アカデミーを 設 置 する 権 限 を 与 えられている 点 で 他 とは 異 なる 一 般 に 総 合 大 学 の 方 が 他 の 高 等 教 育 機 関 よりも 格 が 高 いと 言 われるが 実 際 に 行 われている 教 育 の 内 容 や 質 に 差 はないとの 見 方 が 同 国 では 定 着 している (3)クロアチアの 船 員 教 育 制 度 船 員 教 育 機 関 船 員 教 育 は 中 等 教 育 では 職 業 学 校 で 高 等 教 育 では 大 学 で 行 われている これらに 対 して 科 学 教 育 スポーツ 省 は 設 置 認 可 運 営 に 対 する 監 督 等 を 海 事 運 輸 インフラ 省 は STCW 条 約 の 規 制 当 局 として 教 育 内 容 の 監 督 及 び 教 育 施 設 等 の 点 検 等 を 行 っている 海 事 運 輸 インフラ 省 による 点 検 は 5 年 ごとの 定 期 点 検 に 加 え 随 時 点 検 も 行 われる 当 局 担 当 者 によれば この 点 検 は 厳 格 であり 基 準 を 満 たさない 教 育 機 関 を 閉 鎖 させた 例 もある という また 科 学 高 等 教 育 品 質 保 証 法 に 基 づいて 科 学 高 等 教 育 庁 が 高 等 教 育 機 関 に 対 し て 監 査 を 行 い 教 育 の 質 を 継 続 的 に 改 善 することを 促 している 中 等 教 育 機 関 で 外 航 船 員 養 成 過 程 を 有 する 海 事 高 校 は 4 年 制 で 10 校 (うち 私 立 2 校 ) ある 海 事 高 校 の 課 程 修 了 者 は 甲 板 部 においては 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 資 格 機 関 部 においては 750kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 当 直 職 員 資 格 の 試 験 を 目 指 すことになるが 受 験 資 格 を 得 るに 必 要 な 訓 練 等 は 海 事 大 学 の 卒 業 生 と 同 一 である( 後 述 ) 海 事 高 校 出 身 者 がさらに 上 位 の 資 格 を 得 るには 学 士 号 を 取 得 するか 又 は 海 事 大 学 卒 業 生 より 長 い 海 上 履 歴 を 満 たすことなどが 求 められる 高 等 教 育 機 関 で 外 航 船 員 養 成 過 程 を 有 する 大 学 は 4 校 ある そのひとつであるスプリト 大 学 ( 国 立 大 学 )を 例 にとると 同 大 学 の 海 事 研 究 学 部 は 学 部 課 程 (3 年 制 )として 6 学 科 ( 航 海 学 科 舶 用 機 関 学 科 海 事 電 子 情 報 技 術 学 科 ヨット マリーナ 海 事 技 術 学 科 海 事 マネジメント 学 科 海 事 システム 処 理 学 科 )を 設 置 しており 船 舶 職 員 を 養 成 するの は 航 海 学 科 と 舶 用 機 関 学 科 である これら 6 学 科 には 修 士 課 程 (2 年 制 )もあり また 海 事 学 専 攻 の 博 士 課 程 (1 年 ~2 年 制 リエカ 大 学 海 事 研 究 学 部 ザダール 大 学 海 事 学 部 及 びドゥブロヴニク 大 学 海 事 学 部 と 共 同 運 営 )もある 航 海 学 科 の 定 員 は 1 学 年 145 名 であり そのうち 3 年 間 で 修 了 する 者 はおよそ 90 名 舶 用 機 関 学 科 においては 定 員 70 名 で 同 じく 3 年 間 で 修 了 する 者 はおよそ 25 名 とのことで ある これら 修 了 者 のほとんどは 外 航 船 員 となり その 9 割 は 外 国 船 社 しかも 日 本 郵 船 CMA-CGM STASCo 社 (シェルグループ)など 大 手 に 採 用 されているという これら 大 手 船 社 は 大 学 と 協 定 を 交 わし 優 秀 な 学 生 に 対 する 奨 学 金 の 付 与 卒 業 後 の 乗 船 実 習 枠 の 提 供 等 を 行 っている 同 大 学 の 教 育 課 程 は すべて IMO のモデルコースを 参 照 しつつ 構 築 され STCW 条 約 が 求 める 教 育 訓 練 内 容 を 網 羅 している 教 育 の 質 の 維 持 向 上 のためには 学 内 委 員 会 が 定 期 的 に 講 師 陣 を 監 督 し 各 講 師 の 実 績 を 審 査 するほか 第 三 者 機 関 (ビューロー ベ リタス 及 びクロアチア 船 級 協 会 )より 教 育 及 び 研 究 等 に 関 する 品 質 管 理 について 認 証 10
(ISO9001:2008)を 受 けている 同 大 学 では リエカ 大 学 など 3 大 学 と 小 さな 機 船 を 共 有 し 乗 船 実 習 (ただし いわゆ る 乗 船 履 歴 としてはカウントされない )を 年 に 3 か 月 間 行 っている (4)クロアチアの 海 技 資 格 制 度 クロアチアには 当 局 が 発 給 する 海 技 資 格 が 41 種 類 あり そのうち STCW 条 約 に 対 応 する 外 航 船 舶 職 員 の 海 技 資 格 は 12 種 類 ある( 表 4 参 照 ) 表 4:クロアチアの 船 舶 職 員 資 格 一 覧 甲 板 部 機 関 部 線 無 職 員 資 格 名 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 総 トン 数 3,000 トン 未 満 の 船 舶 の 一 等 航 海 士 総 トン 数 3,000 トン 未 満 の 船 舶 の 船 長 総 トン 数 3,000 トン 以 上 の 船 舶 の 一 等 航 海 士 総 トン 数 3,000 トン 以 上 の 船 舶 の 船 長 対 応 す る STCW 規 則 750 kw 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 当 直 職 員 III/1 3,000kW 未 満 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 一 等 機 関 士 3,000kW 未 満 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 機 関 長 3,000kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 一 等 機 関 士 3,000kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 機 関 長 II/1 III/3 III/3 I I 2 等 無 線 電 子 職 員 IV/2 1 等 無 線 電 子 職 員 IV/2 海 技 資 格 試 験 は 全 国 5 都 市 (ザダール シベニック ドゥブロヴニク スプリト リ エカ)で 年 に 2 回 (ザダール シベニック ドゥブロヴニク) 又 は 3 回 (スプリト リエ カ) 行 われている 外 航 海 運 の 船 舶 職 員 志 望 者 がスプリト 大 学 などの 船 舶 職 員 養 成 課 程 ( 学 士 課 程 )を 修 了 して 最 初 に 取 得 するのは 甲 板 部 では 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 資 格 で あり 機 関 部 では 750 kw 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 当 直 職 員 資 格 である( 図 6 参 照 ) 11
図 6:クロアチアの 海 技 資 格 を 取 得 するための 基 本 的 経 路 1 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 資 格 を 得 るには 海 事 高 校 (4 年 制 ) 又 は 海 事 大 学 (3 年 制 )の 課 程 を 修 了 し 基 本 安 全 訓 練 レーダー 航 法 ( 運 用 水 準 ) 応 急 治 療 等 の 技 能 証 明 を 受 けた 後 補 助 員 ( 実 習 生 )として 少 なくとも 12 か 月 (うち 少 なくとも 6 か 月 は 3,000 総 トン 以 上 の 外 航 船 であることを 要 する )の 乗 船 履 歴 を 積 んだ 上 で 海 技 試 験 に 合 格 しなければならない 試 験 科 目 は 天 文 航 法 地 文 電 子 航 法 海 上 安 全 海 上 衝 突 予 防 規 則 操 縦 規 則 気 象 学 船 体 復 原 船 体 安 全 海 事 法 及 び 英 語 である 試 験 は 記 述 式 の 筆 記 試 験 及 び 口 頭 試 問 で 構 成 され 5 日 間 にわたる( 表 5 参 照 ) 同 資 格 試 験 の 最 近 5 年 間 の 平 均 合 格 率 は 当 局 によれば 77%である 試 験 不 合 格 者 は その 後 3 ヶ 月 間 は 再 受 験 できない ただし 試 験 科 目 のうち 1~2 科 目 が 不 合 格 であった 場 合 には 当 該 科 目 のみを 1 か 月 後 以 降 に 再 受 験 することが 可 能 であり 合 格 すれば 全 科 目 合 格 とみなされる 12
2750 kw 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 当 直 職 員 750 kw 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 当 直 職 員 資 格 を 得 るには 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 資 格 と 同 様 に 海 事 高 校 又 は 海 事 大 学 の 課 程 を 修 了 し 基 本 安 全 訓 練 等 の 技 能 証 明 を 受 け 補 助 員 ( 実 習 生 )として 少 なくとも 12 か 月 (う ち 少 なくとも 6 か 月 は 3,000kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 であることを 要 する )の 乗 船 履 歴 を 積 んだ 上 で 海 技 試 験 に 合 格 しなければならない 試 験 科 目 は 主 機 補 機 当 直 電 気 自 動 制 御 保 守 修 繕 船 体 復 原 船 体 安 全 海 事 法 及 び 英 語 である 試 験 は 記 述 式 の 筆 記 試 験 及 び 口 頭 試 問 で 構 成 され 3 日 間 又 は 4 日 間 にわたる 同 資 格 試 験 の 最 近 5 年 間 の 平 均 合 格 率 は 当 局 によれば 70%であり 試 験 不 合 格 者 の 再 受 験 に 関 する 条 件 は 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 資 格 試 験 と 同 様 である 表 5:クロアチアの 海 技 試 験 4.ルーマニアの 船 員 教 育 海 技 資 格 制 度 (1)ルーマニアの 概 況 ルーマニアは 北 はウクライナ 及 びモルドバ 西 はハンガリー 及 びセルビア 南 はブル ガリアと 国 境 を 接 し 東 は 黒 海 に 面 している ルーマニアの 人 口 (1,996 万 人 )は 東 欧 ではポーランド(3,853 万 人 )に 次 ぐ 規 模 であることから 国 内 市 場 の 大 きさという 点 でも 注 目 されており 2007 年 に EU に 加 盟 後 名 目 GDP は 2007 年 4,183 億 レウ(12.5 兆 円 ) から 2013 年 6,393 億 レウ(19.2 兆 円 )へと 約 50% 増 加 した 黒 海 に 位 置 するコンスタンツァ 港 は ポストパナマックス 級 の 大 型 船 舶 が 停 泊 可 能 な 黒 海 最 大 の 港 である その 取 り 扱 いコンテナの 4 割 はトランシップ 貨 物 であり 黒 海 沿 岸 国 13
(ウクライナ ロシアなど)へのハブ 港 となっているという 5 しかし ルーマニア 籍 の 商 船 隊 はさほど 大 きくなく 152 隻 357 千 総 トンにとどまる(2013 年 1 月 1 日 時 点 100 総 トン 以 上 国 連 貿 易 開 発 会 議 統 計 より ) ルーマニアでは ブルガリアに 次 いで 最 低 賃 金 が 安 く( 月 205 ユーロ) 教 育 及 び 文 化 が 発 達 し 高 い 語 学 力 を 有 する 者 が 多 い( 英 語 のみならず フランス 語 及 びドイツ 語 を 第 二 外 国 語 として 習 得 している 者 が 多 いという )ことから 船 員 として 国 外 で 重 宝 されて いる 実 際 外 航 船 員 に 限 ればブルガリアやクロアチアよりも 数 が 多 い( 表 1 参 照 ) ルーマニアは STCW 条 約 の 下 で 18 の 国 地 域 と 海 技 資 格 を 相 互 承 認 する 取 極 めを また 日 本 を 含 む 23 の 国 地 域 でルーマニアの 海 技 資 格 を 承 認 する 取 極 めを 締 結 してい る( 図 7 参 照 ) : 海 技 資 格 を 相 互 承 認 する 取 極 締 結 国 地 域 (オーストラリア ベルギー キプロス グ ルジア ギリシャ 香 港 インドネシア イタリア マレーシア マルタ フィリピン ポーランド ロシア シンガポール 南 アフリカ トルコ ウクライナ 英 国 ) :ルーマニアの 海 技 資 格 を 承 認 する 取 極 締 結 国 地 域 (アンティグア&バルブーダ バハ マ バルバドス ベリーズ カンボジア ドミニカ フランス ドイツ マン 島 日 本 リベリア ルクセンブルク マーシャル 諸 島 オランダ ニュージーランド ノルウェ ー パナマ ポルトガル セントキッツ ネーヴィス セントビンセント セルビア バヌアツ ベトナム) 図 7:ルーマニアの 承 認 取 極 め 締 結 国 地 域 一 覧 (2)ルーマニアの 学 校 教 育 制 度 ( 図 8 参 照 ) ルーマニアでは 7 歳 から 初 等 教 育 が 始 まり 10 歳 までの 4 年 間 を 小 学 校 ( 第 1 学 年 か ら 第 4 学 年 )で 学 ぶ 中 等 教 育 は 11 歳 から 始 まり 中 学 校 における 前 期 中 等 教 育 ( 第 5 学 年 から 第 9 学 年 )と 高 校 における 後 期 中 等 教 育 ( 第 10 学 年 から 第 12 学 年 又 は 13 学 年 ) 5 JETRO ルーマニアのビジネス 環 境 基 礎 情 報 2011 年 (http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000703/romania_business.pdf にて 閲 覧 可 ) 14
とがある 後 期 中 等 教 育 に 進 学 するには 前 期 中 等 教 育 の 終 わりに 受 験 する 全 国 統 一 試 験 ( 能 力 試 験 )に 合 格 しなければならない 当 該 試 験 の 不 合 格 者 等 は 中 学 校 を 卒 業 してい ることを 条 件 に 職 業 学 校 (1 年 制 ~3 年 制 )に 入 学 することができる なお 義 務 教 育 は 2003 年 以 降 10 年 間 とされ(それ 以 前 は 9 年 間 ) 予 備 学 年 ( 第 1 学 年 の 前 年 1 年 間 )か ら 第 9 学 年 までである 高 等 教 育 は 大 学 を 中 心 に 行 われており 後 期 中 等 教 育 を 終 える 時 点 で 全 国 統 一 の 修 了 試 験 に 合 格 した 者 が 進 学 する 資 格 を 得 る 大 学 学 部 によっては この 中 等 教 育 修 了 試 験 の 成 績 のみによって 入 学 審 査 を 行 っている コンスタンツァ 海 事 大 学 ( 後 述 )では 中 等 教 育 修 了 試 験 及 び 大 学 独 自 の 入 学 試 験 の 両 方 の 成 績 を 加 味 して 入 学 審 査 を 行 っている 図 8:ルーマニアの 学 校 教 育 制 度 概 観 (3)ルーマニアの 船 員 教 育 制 度 船 員 教 育 機 関 船 員 教 育 は 中 等 教 育 では 職 業 学 校 高 等 教 育 は 大 学 で 行 われている これらに 対 して 国 民 教 育 省 は 設 置 認 可 財 政 支 援 運 営 に 対 する 監 督 等 を 交 通 省 の 外 局 である 海 事 庁 は STCW 条 約 の 規 制 当 局 として 船 員 教 育 訓 練 の 内 容 の 監 督 及 び 教 育 水 準 の 点 検 等 を 行 っている また 2005 年 に 設 置 された 高 等 教 育 品 質 保 証 庁 は 政 治 的 な 関 与 を 受 けない 独 立 行 政 機 関 として 高 等 教 育 機 関 に 対 して 認 証 評 価 を 行 い 教 育 の 質 の 向 上 に 向 け 必 要 に 応 じて 改 善 を 促 している 外 航 船 員 を 養 成 する 課 程 を 有 する 大 学 として 総 合 大 学 2 校 (コンスタンツァ 海 事 大 学 ナバルアカデミー) 及 び 専 門 単 科 大 学 2 校 ( 黒 海 大 学 航 海 大 学 )がある 総 合 大 学 と 専 門 単 科 大 学 との 主 な 違 いは 前 者 は 基 本 的 に 4 年 制 であり 課 程 修 了 者 は 学 位 を 取 得 でき るが 後 者 は 2 年 制 で 学 位 を 取 得 できない 船 員 のキャリアパスの 上 では 専 門 単 科 大 学 15
の 卒 業 生 はいわゆる 管 理 水 準 (Management Level)の 船 舶 職 員 になることができず 運 用 水 準 (Operational Level)にとどまらざるを 得 ないのが 現 行 制 度 であるが その 課 程 を 1 年 間 延 長 し 管 理 水 準 への 昇 進 を 可 能 とすることが 目 下 議 論 されている 総 合 大 学 の1つであるコンスタンツァ 海 事 大 学 (1990 年 創 立 )は 学 士 課 程 修 士 課 程 及 び 博 士 課 程 を 設 置 している 学 士 課 程 (4 年 制 )には 航 海 海 上 輸 送 学 部 と 舶 用 機 関 学 部 とがあり 定 員 はそれぞれ 200 名 程 度 である 同 大 学 は 高 等 教 育 品 質 保 証 庁 の 監 査 報 告 書 において 高 く 評 価 されており 特 に 海 事 産 業 界 と 協 議 を 行 って 労 働 市 場 の 需 要 を 把 握 した 上 で 定 期 的 に 教 育 内 容 を 見 直 していることなどが 長 所 として 特 筆 されている いずれの 大 学 も 練 習 船 を 有 しないため 乗 船 実 習 の 機 会 は 学 生 が 自 ら 見 つけてこなけれ ばならない 当 局 によれば 全 学 生 の 40% 程 度 が 乗 船 実 習 を 実 践 できるという なお 乗 船 実 習 は 学 位 取 得 の 要 件 ではない 乗 船 実 習 についてコンスタンツァ 海 事 大 学 では 22 社 のマンニング 会 社 の 協 力 を 得 て 乗 船 実 習 枠 を 確 保 している 同 大 学 で 乗 船 実 習 を 行 う 学 生 は 通 常 3 年 次 に 航 海 海 上 輸 送 学 部 の 学 生 は 12 か 月 舶 用 機 関 学 部 の 学 生 は 6 か 月 の 乗 船 実 習 を 行 っている (4)ルーマニアの 海 技 資 格 制 度 ルーマニアには STCW 条 約 に 対 応 する 船 舶 職 員 の 海 技 資 格 として 当 局 が 発 給 する 資 格 が 12 種 類 ある( 表 6 参 照 ) 海 技 試 験 は 毎 週 コンスタンツァで 行 われており 一 部 に 英 語 が 用 いられている 表 6:ルーマニアの 船 舶 職 員 資 格 一 覧 甲 板 部 機 関 部 職 員 資 格 名 沿 岸 航 海 に 従 事 する 船 舶 の 当 直 職 員 沿 岸 航 海 に 従 事 する 船 舶 の 船 長 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 航 海 士 当 直 職 員 総 トン 数 3,000 トン 以 上 の 船 舶 の 一 等 航 海 士 総 トン 数 500 トン 以 上 3,000 トン 未 満 の 船 舶 の 一 等 航 海 士 総 トン 数 3,000 トン 以 上 の 船 舶 の 船 長 総 トン 数 500 トン 以 上 3,000 トン 未 満 の 船 舶 の 船 長 750kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 当 直 職 員 3,000kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 一 等 機 関 士 750kW 以 上 3,000kW 未 満 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 一 等 機 関 士 3,000kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 機 関 長 750kW 以 上 3,000kW 未 満 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 機 関 長 対 応 す る STCW 規 則 II/3 II/3 II/1 III/1 I III/3 I III/3 16
外 航 海 運 の 船 舶 職 員 志 望 者 が 大 学 の 船 舶 職 員 養 成 課 程 を 修 了 して 最 初 に 取 得 するのは 甲 板 部 では 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 であり 機 関 部 では 750 kw 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 当 直 職 員 である( 図 9 参 照 ) 図 9:ルーマニアの 海 技 資 格 を 取 得 するための 基 本 的 経 路 1 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 大 学 で 航 海 系 の 船 舶 職 員 養 成 課 程 を 修 了 した 者 が 総 トン 数 500 トン 以 上 の 船 舶 の 当 直 職 員 の 資 格 を 得 るには 少 なくとも 12 か 月 の 乗 船 履 歴 を 積 み( 船 長 又 は 有 資 格 者 の 監 督 下 で 6 か 月 の 航 海 当 直 に 就 いていること) 海 技 試 験 に 合 格 しなければならない 海 技 試 験 は 国 際 海 上 衝 突 予 防 規 則 航 法 気 象 学 及 び 海 洋 学 航 海 術 及 び 捜 索 救 助 海 事 法 令 海 上 輸 送 技 術 船 舶 の 構 造 と 理 論 の 6 科 目 についてコンピュー ターによる 試 験 が 行 われている コンピューターを 用 いる 方 式 は 2002 年 に 導 入 され 合 格 率 は 近 年 およそ 70%という( 表 7 参 照 ) 2750kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 当 直 職 員 大 学 で 機 関 系 の 船 舶 職 員 養 成 課 程 を 修 了 した 者 が 750kW 以 上 の 推 進 出 力 の 主 推 進 機 関 を 備 えた 船 舶 の 当 直 職 員 の 資 格 を 得 るには 少 なくとも 6 か 月 の 乗 船 履 歴 を 積 み( 機 関 長 又 は 有 資 格 職 員 の 監 督 下 で 6 か 月 の 機 関 当 直 に 就 いていること) 海 技 試 験 に 合 格 し なければならない 17
海 技 試 験 は 内 燃 機 関 発 電 機 ( 蒸 気 タービン) 機 械 設 備 自 動 制 御 機 器 及 び 主 機 制 御 装 置 海 事 法 令 船 舶 の 構 造 と 理 論 の 5 科 目 についてコンピューターによる 試 験 が 行 われている コンピューターの 導 入 により 合 格 率 ( 近 年 およそ 60%)は 若 干 低 下 したという 表 7:ルーマニアの 海 技 試 験 5.むすびに 代 えて ブルガリア クロアチア 及 びルーマニアに 関 する 現 地 調 査 においては 3 か 国 における 船 員 教 育 制 度 及 び 海 技 資 格 制 度 を 把 握 することが 目 的 であったが 各 当 局 教 育 機 関 及 び マンニング 会 社 との 意 見 交 換 を 通 して 感 じられた 船 員 供 給 国 としての 強 み 弱 みについて 最 後 に 簡 単 に 言 及 しておきたい これら 3 か 国 に 共 通 した 船 員 供 給 国 としての 強 みは 既 に 広 く 知 られているところであ るが 長 い 歴 史 に 裏 付 けられた 船 員 適 性 技 量 その 自 負 及 び 定 評 国 際 標 準 (IMO 条 約 や 業 界 自 主 基 準 )を 踏 まえた 教 育 水 準 そして 高 い 語 学 力 である 失 業 率 の 高 さ( 表 8 参 照 ) 及 び 国 内 における 船 員 職 給 与 の 相 対 的 高 さ( 図 10 参 照 )と 相 まって 船 員 供 給 国 と しての 地 位 は 当 面 続 くものと 見 込 まれる 18
表 8:ブルガリア クロアチア ルーマニアの 失 業 率 (2013 年 ) 失 業 率 (15 歳 ~74 歳 ) 若 年 失 業 率 (15 歳 ~24 歳 ) ブルガリア 13.0% 28.4% クロアチア 17.3% 50.0% ルーマニア 7.3% 23.6% (ILO 統 計 より) ( 単 位 : 米 ドル) 図 10:1 人 あたり 国 民 総 所 得 と 船 長 平 均 年 収 との 比 較 (The World Bank, World Development Indicators 2014 及 び Drewry, Manning 2014 ( 平 均 月 額 賃 金 を 6 倍 して 算 出 )より 作 成 ) 対 するに 中 長 期 的 な 視 点 に 立 ったときにうかがえる 弱 みとしては 商 船 大 学 が 学 生 に 対 して 乗 船 実 習 の 機 会 を 主 体 的 に 提 供 することができず マンニング 会 社 など 外 部 に 依 存 している 点 である マンニング 会 社 は 主 として 外 国 船 社 のニーズに 基 づき 乗 船 実 習 の 機 会 を 提 供 しているため マンニング 会 社 が 船 員 教 育 機 関 に 提 供 する 乗 船 実 習 枠 はその 時 々 の 船 員 需 要 を 反 映 して 変 動 する 実 際 こうした 商 船 大 学 の 中 には 乗 船 実 習 枠 の 提 供 や 奨 学 金 の 付 与 を 目 的 として 提 携 しているマンニング 会 社 の 数 が 1 年 で 10 社 以 上 減 少 した 例 もある 海 技 資 格 の 取 得 に 必 須 である 乗 船 実 習 の 機 会 が 十 分 かつ 安 定 的 に 確 保 されていな いことは 船 員 供 給 の 上 ではボトルネックであり 船 員 志 望 者 が 船 員 職 を 目 指 す 上 ではリ スクである さらに いずれ 3 か 国 が EU 加 盟 国 として 経 済 成 長 を 軌 道 に 乗 せ 他 の 陸 上 職 種 が 充 実 するに 至 った 場 合 には 船 員 職 の 魅 力 は 相 対 的 に 低 下 せざるを 得 ない このような 状 況 においてもブルガリア クロアチア 及 びルーマニアがなお 優 秀 な 船 員 志 望 者 を 惹 きつけ 世 界 有 数 の 船 員 供 給 国 として 存 在 し 続 けるためには 国 内 にお いて 船 員 のキャリアパスを 魅 力 あるものとして 構 築 しておくことが 求 められよう ( 了 ) 19