高 校 外 国 語 ( 英 語 ) における 暗 示 的 指 導 の 効 果 - 文 法 項 目 の 指 導 を 通 して- 松 井 市 子 1 研 究 の 背 景 平 成 18 年 度 においては 中 学 校 卒 業 者 の 約 98%が 日 本 の 高 等 学 校 に 進 学 しており, 義 務 教 育 的 要 素 が 高 い この 状 況 に 対 応 できるよう 平 成 20 年 度 改 訂 の 学 習 指 導 要 領 で は 高 校 生 に 必 要 最 低 限 な 知 識 技 能 と 教 養 の 幅 を 確 保 するための 教 育 内 容 の 共 通 性 と, 学 校 の 創 意 工 夫 を 生 かすための 裁 量 や 生 徒 の 選 択 の 幅 を 拡 大 する 多 様 性 とのバランス を 図 る 必 要 性 が 中 央 教 育 審 議 会 の 答 申 (2008)で 示 された しかし 重 点 化 すべき 指 導 事 項 は 掲 げられたものの, 共 通 性 と 多 様 性 の 捉 え 方 が 曖 昧 なままである そこで, 教 科 外 国 語 に 的 を 絞 り, 諸 国 の 外 国 語 カリキュラムについて 調 査 比 較 したところ, 日 本 と 共 通 してあげられていた 学 習 項 目 に 文 法 や 語 彙 などの 言 語 構 造 に 関 す るものがあった 学 習 指 導 要 領 8 次 改 訂 では 文 法 を 4 技 能 の 育 成 と 合 わせて 総 合 的 に 扱 う ことが 強 調 されたことから, 文 法 に 注 目 し 最 新 の 第 二 言 語 習 得 理 論 (SLA)の 研 究 成 果 に 基 づいて 効 果 的 な 指 導 法 を 探 ることは 重 要 であると 考 えられる 指 導 法 に 関 しては,SLA で 過 去 数 十 年 議 論 されてきたテーマに 明 示 的 指 導 と 暗 示 的 指 導 の 効 果 に 関 わるものがある このテーマに 関 して Norris & Ortega (2006)はメタ 分 析 の 結 果, 明 示 的 指 導 の 方 が 暗 示 的 指 導 より 効 果 があると 結 論 づけたが, 問 題 点 として 暗 示 的 指 導 に 関 する 研 究 サンプル 数 が 少 ないことと,たとえ 暗 示 的 指 導 を 行 ってもその 測 定 具 が 不 適 切 な 研 究 が 多 いことも 指 摘 している 暗 示 的 指 導 に 関 しては, 生 徒 に 自 ら 考 える 力 を 育 成 し 自 身 の 仮 説 を 検 証 するような 帰 納 的 学 習 が 思 考 力 判 断 力 表 現 力 の 育 成 に 効 果 があり, 仲 間 と 考 えを 比 較 したり, 協 力 したりして 学 習 目 標 を 達 成 するような 協 同 学 習 を 通 して 他 者 と 関 わる 力 を 育 成 するなど, 今 後 の 日 本 の 教 育 に 示 唆 する 点 が 多 い また 授 業 者 の 指 導 信 念 や 学 習 者 の 特 性 が 指 導 効 果 に 与 える 影 響 についても 先 行 研 究 があるものの 今 後 の 研 究 成 果 が 待 たれる 分 野 でもある 2 研 究 の 目 的 本 研 究 の 第 一 の 目 的 は, 適 切 な 測 定 具 を 使 用 することで,より 指 導 効 果 が 適 切 に 反 映 さ れると 仮 定 し 暗 示 的 指 導 の 効 果 を 明 らかにすることである 本 研 究 の 第 二 の 目 的 は, 第 一 の 研 究 結 果 を 受 けて 高 等 学 校 教 育 課 程 の 枠 組 みの 中 での 教 科 外 国 語 における 共 通 性 と 多 様 性 を 明 らかにすることである 3 研 究 の 方 法 3.1 実 施 時 期 : 2008 年 6~ 7 月 3.2 被 験 者 : 公 立 農 業 高 校 3 年 生 152 名, 公 立 工 業 高 校 1 年 生 81 名 既 存 の 6 クラスを 2 クラスずつ 明 示 的 指 導 群, 暗 示 的 指 導 群, 統 制 群 に 割 り 当 てた 3.3 測 定 具 :1 事 前 事 後 アンケート(5 段 階 尺 度 形 式 35 項 目 ),2 事 前 事 後 選 択 解 答 テ スト( 明 示 的 指 導 の 効 果 測 定 用 ),3 事 前 事 後 自 由 解 答 テスト( 暗 示 的 指 導 の 効 果 測
定 用 ) 3.4 教 材 : 明 示 群 と 暗 示 群 にそれぞれの 指 導 に 適 したタスクシート 3.5 処 遇 : 実 験 はクラスごとに 実 施 し,3 群 に 事 前 アンケート 事 前 選 択 解 答 テスト 事 前 自 由 解 答 テスト を 実 施 した その 後 統 制 群 には, 事 後 選 択 解 答 テスト 事 後 自 由 解 答 テスト を 実 施 した 明 示 群 と 暗 示 群 には, 事 前 選 択 解 答 テストに 関 して (そ れぞれ) 明 示 的 指 導 暗 示 的 指 導 事 後 選 択 解 答 テスト 事 前 自 由 解 答 テスト 事 後 アンケート を 実 施 した 3.6 分 析 方 法 : 分 散 分 析 とχ 2 検 定 分 析 にあたって, 選 択 解 答 テスト は 文 法 項 目 別 に 作 成 し, 点 数 化 された 回 答 を2 要 因 混 合 分 散 分 析 した 自 由 解 答 テスト は 文 法 項 目 別 に 記 述 の 有 無 に 関 して, 正 しく 記 述 されているもの, 誤 って 記 述 されているもの, 記 述 のないもの に 分 類 し, 事 前 テストより 事 後 テストにおいて 向 上 したものを 改 善 者 に, 後 退 したものを 後 退 者 として 集 計 し,χ 2 検 定 を 行 った 事 前 事 後 アンケートの 結 果 は 項 目 別 に2 要 因 混 合 分 散 分 析 を 行 った また 処 遇 に 関 する 事 後 ア ンケートは, 明 示 群 暗 示 群 における2 要 因 混 合 分 散 分 析 を 行 った 4 結 果 と 考 察 4.1 研 究 目 的 1の 指 導 効 果 への 影 響 について 測 定 具 の 違 いや 文 法 項 目, 授 業 者 や 被 験 者 の 特 性 が, 被 験 者 の 英 語 力 や 動 機 付 けに 与 え る 影 響 について, 以 下 の 仮 説 に 基 づき 分 析 を 行 った 仮 説 1: 指 導 に 適 した 測 定 具 を 使 用 することで 暗 示 的 指 導 の 効 果 も 望 める 仮 説 1は 概 ね 支 持 された 選 択 解 答 テスト は 明 示 的 指 導 効 果 の 測 定 に 適 していると 考 えられているが,5 つの 文 法 項 目 中 否 定 形 のテストで 明 示 群 と 暗 示 群 に 有 意 差 が 見 られ, 暗 示 群 での 指 導 効 果 が 高 かった 一 方 自 由 解 答 テスト は 暗 示 的 指 導 効 果 の 測 定 に 適 していると 考 えられているが,10 個 の 文 法 項 目 中 名 詞 の 複 数 形 の 記 述 で 明 示 群 と 暗 示 群 に 有 意 差 が 見 られ, 暗 示 群 での 指 導 効 果 が 高 かった また 否 定 形 の 記 述 では 明 示 群 と 暗 示 群 における 有 意 差 は 見 られなかったものの, 暗 示 群 の 指 導 効 果 が 統 制 群 より 有 意 に 高 かった 以 上 の 結 果 から, 測 定 具 が 指 導 効 果 を 反 映 する 一 番 の 要 因 であるとは 考 え にくいが, 測 定 具 の 違 いが 指 導 効 果 に 影 響 を 与 える 可 能 性 があることが 示 唆 された 指 導 に 適 した 測 定 具 の 使 用 の 重 要 性 が 示 された 仮 説 2: 文 法 項 目 によっては 暗 示 的 指 導 の 効 果 も 望 める 仮 説 2は 支 持 された 選 択 解 答 テスト でも 自 由 解 答 テスト でも 否 定 形 のテス トにおいて, 暗 示 群 の 方 が 明 示 群 や 統 制 群 より 有 意 に 高 かった 否 定 形 の 学 習 は 学 習 者 に 自 ら 気 づきを 促 す 暗 示 的 指 導 の 方 が 効 果 的 であることが 示 唆 される 文 法 項 目 の 特 性 によ り,それに 適 した 指 導 法 を 用 いることで, 指 導 効 果 を 高 められる 可 能 性 があることを 示 す 結 果 となった 母 語 や 学 習 言 語 の 特 性 に 応 じた 指 導 を 行 う 重 要 性 が 示 された また,SLA の 処 理 可 能 性 理 論 の 枠 組 みに 則 り 指 導 とテストを 実 施 したわけだが,その 枠 組 みにおける 文 法 項 目 の 分 類 の 妥 当 性 や,それに 基 づいて 作 成 したテストの 信 頼 性 などを 明 らかに することは 今 後 の 研 究 課 題 である
仮 説 3: 授 業 者 の 指 導 信 念 が 指 導 効 果 に 影 響 を 与 える 仮 説 3は 支 持 された 普 段 の 授 業 で 明 示 的 指 導 を 好 む 授 業 者 と 暗 示 的 指 導 を 好 む 授 業 者 がそれぞれの 信 念 に 基 づき 授 業 を 実 施 した 場 合, 明 示 暗 示 別 の 指 導 にこだわりを 持 たな い 授 業 者 が 授 業 をした 場 合 より, 指 導 効 果 の 違 いが 大 きかった 授 業 信 念 が 対 照 的 な 授 業 者 のクラスの 結 果 の 方 が 指 導 効 果 を 対 照 的 に 反 映 したことになる 自 らの 指 導 信 念 を 自 覚 するとともに, 学 習 者 の 特 性 やニーズ 分 析 を 通 して 授 業 者 の 柔 軟 な 対 応 と 指 導 法 に 関 する 研 究 を 積 むことの 重 要 性 が 示 唆 された 仮 説 4: 被 験 者 の 動 機 付 けが 指 導 効 果 に 影 響 を 与 える 仮 説 4は 分 析 対 象 から 除 外 した 明 示 群 暗 示 群 とも, 被 験 者 の 動 機 付 け 特 性 は, 統 計 的 分 析 を 実 施 するために 必 要 最 低 限 のサンプル 数 を 確 保 することができなかったためであ る 被 験 者 の 動 機 付 け 要 因 が 指 導 効 果 にどのように 影 響 を 与 えるのか, 今 回 の 課 題 をもと に 実 験 計 画 を 立 て 直 し, 今 後 の 研 究 で 明 らかにしたい しかし,アンケート 結 果 から 明 らかになったこともある 処 遇 前 は 明 示 群 の 被 験 者 がも っとも 動 機 付 けが 低 かったのに 対 し, 処 遇 後 は 暗 示 群 の 被 験 者 よりも, 英 語 に 対 する 学 習 動 機 が 有 意 に 高 まったことがわかった このことは 活 動 (タスク) 要 因 が 影 響 していると 考 えられる 動 機 付 けの 低 い 被 験 者 には, 普 段 行 うインプット 重 視 の 授 業 展 開 よりも,ア ウトプット 重 視 の 授 業 展 開 のほうが, 動 機 付 けを 高 めるのに 効 果 的 であることが 示 唆 され る また, 文 法 学 習 への 気 づきは 暗 示 群 の 方 が 明 示 群 の 被 験 者 より 有 意 に 意 識 が 高 まった ことがわかった 文 法 規 則 を 教 え 込 む 指 導 より,その 規 則 を 自 ら 確 認 できるようなタスク を 設 定 することで,より 文 法 に 対 する 気 づきが 高 まる 可 能 性 が 示 唆 された 4.2 研 究 目 的 2の 教 育 課 程 上 の 共 通 性 と 多 様 性 について 日 本 の 外 国 語 教 育 では 文 法 規 則 を 覚 えることが 第 一 の 目 的 のように 扱 われ, 実 際 に 学 習 言 語 を 使 用 できる 能 力 を 育 成 できていないと 非 難 されて 久 しいが, 文 法 規 則 を 学 習 する 必 要 がないという 結 論 には 至 っていない むしろ, 諸 外 国 の 動 向 からも 分 かる 通 り,どのよ うに 文 法 規 則 を 学 習 させるかという 方 法 論 に 注 目 が 向 けられている 本 研 究 では, 最 近 の 世 論 の 影 響 により 外 国 語 教 育 では 周 辺 的 に 取 り 扱 われるようになった 文 化 理 解 に 焦 点 を 当 て,その 過 程 で 文 法 学 習 を 取 り 入 れたシラバスを 作 成 した 佐 野 ほか(1995)で 指 摘 さ れる 異 文 化 間 コミュニケーションの 体 験 を 与 える 指 導 を 通 して, 異 文 化 理 解 の 知 識 や 態 度 を 育 成 するために 以 下 のことをねらった 1. 文 化 交 流 を 通 して 自 己 の 世 界 観 や 価 値 観 に 気 づき 異 文 化 のそれらを 尊 重 する 態 度 を 養 う 2. 文 化 交 流 を 通 して 同 世 代 で 異 文 化 の 生 活 実 態 を 概 観 し, 自 文 化 のそれと 比 較 することで 幅 広 い 知 識 を 得 る 3. 文 化 交 流 を 通 して 相 互 の 学 習 の 成 果 や 疑 問 を 共 有 し 合 い, 双 方 の 言 語 習 得 と 文 化 理 解 を 相 補 完 的 に 促 進 する また, 日 本 の 場 合 学 ぶべき 共 通 項 は 検 定 教 科 書 で 確 保 されているとみなし, 教 科 書
を 使 用 してどのような 文 化 交 流 体 験 が 可 能 かということを 念 頭 に 置 いてシラバスを 作 成 し た 文 化 交 流 体 験 を 実 施 するにあたり,オーストラリアの 日 本 語 を 学 ぶ 中 高 生 を 交 流 相 手 に 選 んだ 双 方 6 回 の 文 通 を 通 して, 被 験 者 の 英 語 に 対 する 学 習 態 度 や 意 識 がどのように 変 化 したのかを 1 学 期 と 2 学 期 の 授 業 アンケートをもとに 分 析 した なお 分 析 の 対 象 とな った 被 験 者 は 著 者 の 担 当 したクラス(3-3)39 名 である 4 技 能 に 関 する 意 識 の 変 容 を 1 学 期 と 2 学 期 の 授 業 アンケートをもとに 2 要 因 被 験 者 内 分 散 分 析 した 結 果, 英 語 を 読 めるようになったと 感 じた 生 徒 が 増 加 した 傾 向 がみられた また 授 業 で 力 がついたと 思 う 活 動 について 回 答 数 をχ 2 検 定 した 結 果,1 学 期 ではリスニン グ 力 がついたと 回 答 した 生 徒 が 有 意 に 多 く, 英 作 文 力 がついたと 回 答 した 生 徒 は 有 意 に 少 なかった また 2 学 期 ではグループ 活 動 で 力 がついたと 回 答 した 生 徒 が 有 意 に 多 く, 音 読 や 英 作 文 で 力 がついたと 回 答 した 生 徒 が 増 加 した 傾 向 が 示 された これは,1 学 期 に 行 っ た 英 作 文 のタスクが 生 徒 には 難 しく, 教 師 のねらいと 生 徒 の 実 力 を 埋 め 合 わせるタスクに なっていなかったことが 原 因 であると 考 えられる また,1 学 期 にリスニング 力 がついた と 感 じた 生 徒 が 多 かったのは, 定 期 考 査 にリスニングが 入 ることを 予 告 し, 授 業 でも 重 点 的 に 英 語 を 聞 く 活 動 を 増 やしたためであると 思 われる 2 学 期 にグループ 活 動 で 力 が 付 い たと 感 じた 生 徒 が 増 加 したのは,タスクをグループ 活 動 が 主 流 なものに 変 えていったため であると 考 えられる 1 学 期 は 2 学 期 に 行 う 文 化 交 流 に 必 要 な 英 語 の 下 地 を 身 に 付 けられ るタスクを 設 定 し, 本 格 的 に 文 通 交 流 を 始 めたのは 2 学 期 からであった オーストラリア の 学 生 とグループごとに 交 流 できるように 設 定 し,グループで 達 成 できるタスクにしたこ とが 生 徒 の 意 識 の 変 化 の 原 因 であると 考 えられる また,2 学 期 に 音 読 や 英 作 文 で 力 が 付 いたと 感 じた 生 徒 が 増 えたことは,ビデオレターや 手 紙 を 交 換 し 合 う 過 程 で,オーストラ リアの 学 生 が 話 したり 書 いたりする 日 本 語 を 聞 いて, 通 じる 英 語 とはどういうものなのか を 生 徒 が 考 える 機 会 を 持 つことが 出 来 たためであると 考 えられる シラバスに 掲 げた 3 つのねらいに 関 して, 授 業 アンケートの 自 由 記 述 から 分 析 を 行 った 結 果, 交 流 活 動 については 有 意 義 に 感 じている 生 徒 がほとんどであった 文 化 学 習 か ら 学 んだこと についてはオーストラリアの 学 生 の 生 活 や 学 校 文 化, 自 文 化 などへの 理 解 は 促 せたが, 表 面 的 な 記 述 に 留 まった 気 づいた 内 容 を 相 対 化 し,さらに 深 い 理 解 を 促 す タスクの 設 定 が 今 後 の 課 題 である( 以 下, 生 徒 の 記 述 内 容 の 一 部 を 掲 載 ) 交 流 活 動 を 有 意 義 に 感 じていたもの 実 際 に 海 外 の 学 生 と 交 流 ができたので 楽 しく 出 来 た 交 流 活 動 の 継 続 を 願 うもの 文 通 と 言 うのは 今 までにしたことがない 体 験 だったので, 本 当 にありがたく, 勉 強 になりました 今 後 も 続 けたいです 日 本 や 日 本 文 化 に 関 心 を 寄 せることへの 期 待 日 本 をもっと 好 きになってもらいたい 日 本 の 文 化 をもっと 知 ってほしい 外 国 や 外 国 人 との 交 流 に 対 する 関 心 の 高 まり 実 際 に 文 通 をして 相 手 の 国 のことや 英 語 について 触 れることができるのでとてもよいと 思 う 今 後 も 個 人 的 に 文 通 がしたいです 他 人 との 交 流 を 広 める グループ 活 動 は 楽 しい 違 う 人 とペアになってみたい 文 通 相 手 は 変 わるが,いろいろな
人 と 接 するのも 必 要 だと 思 う 伝 えることの 意 義 うまく 内 容 が 伝 わっていれば 良 いです 1. 文 化 交 流 を 通 して 自 己 の 世 界 観 や 価 値 観 に 気 づき 異 文 化 のそれらを 尊 重 する 態 度 を 養 う 日 本 文 化 はすごいんだと 改 めて 実 感 しました 世 界 中 の 人 が 注 目 している 素 晴 らしい 国 だと 思 いまし た 特 に 昔 の 伝 統 的 なものについて また 世 界 に 日 本 語 学 校 があることは 前 から 知 っていたんです が, 大 学 生 ばかりだと 思 っていました でも 私 たちより 年 下 のオーストラリアの 高 校 生 が 日 本 語 を 勉 強 していると 聞 いてとてもびっくりしました そのくらい 今, 日 本 は 注 目 されている 国 だと 学 び ました 日 本 は 季 節 や 月 によってさまざまな 行 事 がある 健 康 を 願 って 何 かを 食 べたり, 悪 いものを 追 い 払 う 意 味 で 何 かをしたりと, 日 本 ならではの 昔 からの 文 化 がある 日 本 の 茶 道 や 華 道 を 紹 介 することで 日 本 の 文 化 は 奥 が 深 いことがわかった 日 本 では 春 に 花 見 をする 花 見 のときは 屋 台 がたくさん 並 ぶ 高 田 は 三 大 夜 桜 の 一 つに 数 えられてい る 夜 に 見 る 桜 は 昼 の 桜 とは 違 う 美 しさがある 昔 話 をオーストラリアの 学 生 に 紹 介 するため, 私 たちは カチカチ 山 などの 本 を 読 みました 私 が 知 っていた カチカチ 山 とは 少 し 違 いましたが, 日 本 にはこういった 昔 話 がたくさんあるのだな ぁと 思 いました 日 本 にはすばらしいマンガがたくさんあることも 分 かりそのことをオーストラリアの 人 に 紹 介 したか ったです 私 たちの 班 はビデオ 撮 影 のとき 部 活 動 をテーマにしました 茶 道 や 華 道, 生 活 文 化 部 の 活 動 は 日 本 な らではの 部 だと 改 めて 思 った それに 比 べ, 世 界 でも 有 名 なバスケットボールや 陸 上 も 日 本 にある ので, 他 国 にも 国 ならではの 部 があるのではないかと 考 えた 2. 文 化 交 流 を 通 して 同 世 代 で 異 文 化 の 生 活 実 態 を 概 観 し, 自 文 化 のそれと 比 較 することで 幅 広 い 知 識 を 得 る オーストラリアの 文 化 をビデオで 見 て, 日 本 にはないようなものもあって 新 鮮 に 感 じた オーストラリアの 学 校 もこの 学 校 と 同 じように 動 物 を 飼 っていたのでそこの 所 は 同 じだなあと 思 った オーストラリアでは 湖 が 干 上 がっていることが 書 かれていました 水 がなくなってしまうことは 大 変 だと 書 いてありましたが, 学 校 は 毎 日 楽 しいと 書 いていて, 私 もその 元 気 のよさを 見 習 おうと 思 い ました あと, 魚 のフライ 屋 さんなど 日 本 にはないお 店 などの 紹 介 や 伝 統 スポーツのクリケットな どの 話 がありました 中 学 の 英 語 の 時 間 でオーストラリアのクリケットの 勉 強 をしたのを 思 い 出 し て,とてもなつかしい 気 分 になりました オーストラリアの 学 校 には 食 堂 があることを 知 りびっくりしました 私 たちの 学 校 では 各 クラスでお 弁 当 を 食 べているので 食 堂 がとてもうらやましいです 日 本 のゲーム 機 がオーストラリアにも 人 気 なようで 驚 いた 任 天 堂 とか X Box とかいう 言 葉 が 届 いた 手 紙 の 中 で 何 回 も 見 たので, 子 供 の 家 でも 過 ごし 方 は 日 本 とあまり 変 わらなそうだと 思 った 外 国 人 は 日 本 人 に 比 べてコミュニケーションの 取 り 方 が 上 手 だと 思 います ビデオレターは 少 し 聞 き 取 りづらかったが 教 室 は 日 本 と 同 じでたくさん 分 かれていて, 専 門 的 な 学 習 もやっているみたいだった オーストラリアの 家 庭 はだいたいどこも 事 情 のある 家 庭 が 多 いと 思 う 3. 文 化 交 流 を 通 して 相 互 の 学 習 の 成 果 や 疑 問 を 共 有 し 合 い, 双 方 の 言 語 習 得 と 文 化 理 解 を 相 補 完 的 に
促 進 する 日 本 人 もオーストラリアの 人 も 外 国 語 はお 互 い 苦 手 なんだということを 文 通 やビデオを 通 して 分 かった 手 紙 やビデオ 撮 影 をして 少 しは 英 語 力 が 身 に 付 いたと 思 いました あの 歳 から 日 本 語 を 学 んでいるとは 驚 きました 自 分 も 勉 強 がんばろうと 思 いました 今 回 の 研 究 では 教 科 書 で 学 んだ 内 容 をいかに 文 化 理 解 につなげるか,また 文 化 理 解 を 通 して 生 徒 の 学 習 意 欲 がどのように 高 められるかについて 考 察 を 行 った 今 回 は 1 年 間 の 実 践 であったが,これを 3 年 間 のシラバスに 組 み 入 れることで, 文 化 理 解 学 習 をより 有 意 義 なものにすることが 可 能 であろう 5 結 論 5.1 教 育 的 示 唆 日 本 と 比 較 したとき, 諸 外 国 の 外 国 語 カリキュラムには 言 語 構 造 知 識 や 学 習 方 略 の 獲 得 や 言 語 運 用 能 力 の 育 成 だけでなく 文 化 理 解 に 関 する 到 達 目 標 や 学 習 内 容 が 詳 細 に 明 記 されて いる それらを 念 頭 に 置 き, 共 通 性 のある 小 学 校 から 一 貫 した 到 達 目 標 の 設 定 が 必 要 であろ う また 外 国 語 カリキュラムにおいて 文 法 項 目 は 指 導 項 目 に 必 ず 含 まれている 指 導 方 法 はさ まざまであるが,その 効 果 を 測 るには 適 切 な 測 定 具 を 用 い, 文 法 項 目 によって 柔 軟 に 指 導 法 を 変 えることなどが 教 育 現 場 に 求 められるであろう またアウトプットを 重 視 した 活 動 を 取 り 入 れることで 動 機 づけの 低 い 学 習 者 の 英 語 学 習 への 意 欲 が 高 まることや, 学 習 者 に 気 づき を 促 す 活 動 が 文 法 学 習 への 意 欲 を 高 めることなども 明 らかになった 今 回 の 実 験 では 明 示 群 と 暗 示 群 で 処 遇 時 間 を 揃 えた 上 で 暗 示 群 の 指 導 効 果 も 認 められたことから, 暗 示 的 指 導 のカ リキュラム 上 への 応 用 の 可 能 性 がさらに 大 きくなると 考 えられる また 授 業 者 の 信 念 が 指 導 効 果 に 影 響 を 与 えたことから, 授 業 者 が 確 たる 指 導 信 念 を 持 つと 同 時 に 絶 えず 指 導 法 に 関 する 研 究 と 研 鑽 を 積 み, 学 習 者 や 社 会 のニーズに 柔 軟 に 対 応 する 必 要 性 が 示 唆 された 5.2 今 後 の 課 題 今 回 の 研 究 では 実 業 高 校 の 学 習 者 を 対 象 に 実 験 を 行 ったが, 学 習 者 の 特 性 や 進 路 希 望, 授 業 時 数 なども 普 通 高 校 とは 異 なるため, 今 後 普 通 高 校 においても, 暗 示 的 指 導 の 効 果 につい て 本 研 究 と 同 じ 結 果 が 得 られるかどうか 確 認 する 必 要 があろう さらに, 今 回 の 実 験 では SLA の 処 理 可 能 性 理 論 の 枠 組 みに 則 り 書 くこと の 活 動 において 文 法 指 導 を 行 った 他 の 文 法 項 目 の 学 習 や 他 の 3 技 能 の 育 成 をねらった 時 の 応 用 性 を 探 ることが 今 後 の 課 題 であろう 最 後 に, 暗 示 的 指 導 においてはその 効 果 を 上 げるためのペアの 組 み 方 をさら に 探 っていく 必 要 があると 考 えられる Norris,J.M., & Ortega,L. (2006). Synthesizing Research on Language Learning and Teaching. Amsterdam : J. Benjamins. 佐 野 正 之 水 落 一 朗 鈴 木 龍 一. (1995). 異 文 化 理 解 のストラテジー: 50 の 文 化 的 トピック を 視 点 にして 大 修 館 書 店.