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淡 青 丸 海 中 転 落 事 故 報 告 書 平 成 20 年 6 月 海 洋 研 究 開 発 機 構 海 洋 工 学 センター 東 京 大 学 海 洋 研 究 所 観 測 研 究 企 画 室

目 次 1.はじめに 2 2. 事 故 の 経 緯 2 2.1. 概 要 2.2. 事 故 発 生 直 後 の 対 応 2.3.その 後 の 対 応 2.4. 海 中 転 落 者 の 証 言 2.4.1. 海 中 転 落 時 の 状 況 2.4.2. 海 中 転 落 直 後 の 状 況 2.4.3. 海 中 転 落 から 淡 青 丸 へ 収 容 されるまでの 状 況 2.4.4. 収 容 時 の 状 況 3. 事 故 の 分 析 10 3.1. 事 故 原 因 の 分 析 3.2. 事 故 対 応 の 分 析 3.2.1. 事 故 直 後 の 対 応 3.2.2.その 後 の 対 応 4. 今 後 の 対 策 11 5.おわりに 12 付 表. 海 中 転 落 事 故 の 経 緯 14 資 料 1. 学 術 研 究 船 淡 青 丸 要 目 17 資 料 2. 淡 青 丸 海 中 転 落 事 故 対 策 合 同 会 議 について 18 資 料 3. 事 故 当 日 ( 平 成 20 年 4 月 2 日 21 時 )の 天 気 図 19 資 料 4. 淡 青 丸 海 中 転 落 事 故 における 事 故 対 策 室 等 の 設 置 について 20 資 料 5. 淡 青 丸 乗 組 員 による 捜 索 態 勢 等 21 資 料 6. 下 田 海 上 保 安 部 広 報 洲 崎 沖 海 中 転 落 事 故 情 報 22 資 料 7. 海 洋 研 究 開 発 機 構 プレス 発 表 学 術 研 究 船 淡 青 丸 における 落 水 事 故 について 23 資 料 8. 海 中 転 落 報 告 書 ( 淡 青 丸 船 長 から 関 東 運 輸 局 長 へ 平 成 20 年 4 月 9 日 に 提 出 ) 24 1

1.はじめに 平 成 20 年 4 月 2 日 学 術 研 究 船 淡 青 丸 ( 以 下 淡 青 丸 資 料 1)KT-08-5 次 研 究 航 海 において 乗 船 研 究 員 1 名 が 海 中 に 転 落 する 事 故 が 発 生 した 幸 いにして 海 中 転 落 者 は 約 2 時 間 半 後 に 救 助 されたが 全 国 共 同 利 用 学 術 研 究 船 の 運 用 運 航 の 責 務 を 担 う 海 洋 研 究 開 発 機 構 ( 以 下 機 構 )と 東 京 大 学 海 洋 研 究 所 ( 以 下 海 洋 研 )は 事 故 の 再 発 防 止 と 事 故 発 生 時 の 適 切 な 対 応 に 役 立 てることを 目 的 に 淡 青 丸 海 中 転 落 事 故 対 策 合 同 会 議 ( 資 料 2)を 招 集 し 本 転 落 事 故 の 経 緯 と 事 実 関 係 に ついての 記 録 の 詳 細 を 検 討 総 括 するとともに 事 故 の 原 因 と 事 故 対 応 について 分 析 した 本 報 告 書 は 上 記 合 同 会 議 の 結 果 を 取 りまとめたものであり 淡 青 丸 はもとより 学 術 研 究 船 白 鳳 丸 機 構 が 所 有 する 他 の 船 舶 さらに 広 く 船 舶 における 事 故 の 防 止 と 対 応 改 善 に 役 立 てるものとする 2. 事 故 の 経 緯 2.1. 概 要 ( 関 連 事 項 及 び 時 刻 の 詳 細 については 付 表 を 参 照 ) 淡 青 丸 は 平 成 20 年 4 月 2 日 14 時 KT-08-5 次 研 究 航 海 を 行 うべく 東 京 港 台 場 専 用 桟 橋 を 出 港 し 東 京 湾 口 付 近 の 観 測 点 2 カ 所 (S0, S1)( 図 1)において 海 洋 観 測 作 業 (CTD 観 測 及 び 光 学 計 測 )を 実 施 した その 後 野 島 崎 南 西 約 9.3 km の N1 観 測 点 に 移 動 し 20 時 13 分 から 29 分 までの 間 同 様 の 海 洋 観 測 作 業 を 実 施 した 20 時 36 分 観 測 作 業 終 了 後 淡 青 丸 は 次 の 観 測 点 (N2)に 向 かい 航 走 を 開 始 したが 上 甲 板 後 部 No. 1 ウ インチ 右 舷 側 では 海 中 転 落 者 を 含 む 4 名 の 乗 船 研 究 員 のみ( 淡 青 丸 乗 組 員 は 不 在 ) で 採 水 試 料 の 処 理 を 継 続 しており 海 中 転 落 者 以 外 の 3 名 は 頻 繁 に 研 究 室 と 上 甲 板 後 部 の 間 を 行 き 来 していた また 海 中 転 落 者 は 採 水 試 料 の 処 理 に 引 き 続 き No.1 ウイン チ 船 首 側 の 甲 板 上 で FRRF( 高 速 フラッシュ 励 起 蛍 光 光 度 計 )による 計 測 を 行 っており 研 究 室 から 上 甲 板 へ 通 じる 扉 は 開 いたままであった しばらくして 造 水 機 操 作 のため 上 甲 板 に 出 た 操 機 長 が 上 甲 板 後 部 の 計 測 機 器 に 接 続 されたコンピュータが 作 動 状 態 で 放 置 されているのに 気 がつき その 旨 を 研 究 員 に 知 らせた 21 時 15 分 頃 淡 青 丸 乗 組 員 へ 研 究 員 から 1 名 所 在 不 明 の 連 絡 があり 船 内 捜 索 を 開 始 した 21 時 32 分 船 内 捜 索 を 行 うも 所 在 がつかめないことから 海 中 転 落 の 可 能 性 が 高 い と 判 断 し 船 内 捜 索 を 継 続 するとともに 船 首 針 路 を 反 転 して 探 照 灯 等 の 灯 火 をもちいた 海 面 捜 索 を 開 始 した( 図 2) 同 時 に 海 上 保 安 庁 への 通 報 をするとともに 機 構 へ 連 絡 を 行 った 淡 青 丸 は 元 の N1 観 測 点 まで 戻 りながら 捜 索 を 行 ったが 発 見 できないため 現 場 海 域 の 気 象 及 び 海 象 状 況 ( 図 3 資 料 3 参 照 )を 考 慮 し 南 東 方 向 に 捜 索 範 囲 を 拡 大 した 23 時 25 分 淡 青 丸 は 前 方 に 転 落 者 の 作 業 用 救 命 衣 の 反 射 材 の 光 を 見 つけ 海 中 転 落 者 を 発 見 した 救 命 浮 環 を 投 げたところ これを 掴 んだため 同 32 分 船 上 に 収 容 した( 図 2) 2

KT-08-5 観 測 点 St. Lat. Long. 水 深 (m) S1 35 0.000 N 139 39.000 E 230 グリッド 観 測 点 S0 35 04.000 N 139 42.000 E 230 グリッド 観 測 点 N2 34 51.000 N 139 39.000 E 380 グリッド 観 測 点 N1 34 51.000 N 139 48.500 E 650 グリッド 観 測 点 備 考 図 1. 淡 青 丸 KT-08-5 次 研 究 航 海 ( 第 1 レグ)の 観 測 予 定 海 域 予 定 観 測 点 および 海 中 転 落 事 故 発 生 前 後 の 観 測 点 (S1, S0, N1, N2) 赤 丸 は 転 落 者 収 容 地 点 (34 o 49.8 N, 139 o 49.9 E)を 示 す 3

N1 観 測 点 (34 50.8 N 139 48.7E) 20 時 36 分 N2 観 測 点 向 け 移 動 開 始 23 時 59 分 (34 50.3N 139 50.0E) 海 中 転 落 者 ヘリ 受 渡 し N2 観 測 点 21 時 32 分 (34 51.0 N 139 39.5E) 海 中 転 落 者 捜 索 のため 針 路 を 反 転 21 時 15 分 頃 (34 51 N 139 41E) 船 内 捜 索 開 始 23 時 32 分 (34 49.9 N 139 50.0E) 海 中 転 落 者 収 容 図 2. 海 中 転 落 事 故 前 後 の 淡 青 丸 の 航 跡 黄 緑 矢 印 は 事 故 発 生 確 認 前 赤 矢 印 は 確 認 後 の 航 跡 を 示 す 図 3. 事 故 発 生 時 の 海 流 図 ( 淡 青 丸 装 備 のドップラー 流 速 計 の 測 定 記 録 ) 4

ただちに 船 上 で 応 急 処 置 を 施 した 後 低 体 温 症 の 疑 いがあるため 同 59 分 淡 青 丸 から 海 上 保 安 庁 救 難 ヘリコプターにて 海 中 転 落 者 を 吊 上 げ 羽 田 空 港 に 搬 送 した さらに 救 急 車 で 東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 へ 移 送 し 受 診 後 に 緊 急 入 院 となった 海 中 転 落 者 は 意 識 もはっきりしており 外 傷 もなく 点 滴 により 低 体 温 症 もすぐに 回 復 した しかし 海 水 を 多 量 に 飲 んだため 大 事 をとって 抗 生 剤 を 3 日 間 服 用 したが 異 常 はみら れないため 4 月 6 日 に 退 院 した 淡 青 丸 は 保 安 庁 の 聞 き 取 り 調 査 に 対 応 するため 3 日 10 時 00 分 東 京 港 台 場 専 用 桟 橋 へ 入 港 したが 所 管 である 下 田 保 安 部 から 研 究 船 運 航 部 への 電 話 による 聞 き 取 り 調 査 のみで 海 中 転 落 者 本 人 及 び 淡 青 丸 への 調 査 はなかった なお 事 故 発 生 当 時 の 現 場 付 近 の 気 象 海 象 は 下 記 の 通 りであった( 資 料 3 参 照 ) 風 向 : 西 南 西 ~ 南 西 風 力 :5~6 波 :1.5~2.5m うねり:1~1.5m 流 向 : 南 東 ~ 南 南 東 流 速 :1.0~1.7kt 表 面 海 水 温 度 : 約 16 2.2. 事 故 発 生 直 後 の 対 応 淡 青 丸 乗 船 研 究 者 から 1 名 所 在 不 明 の 報 告 を 受 け 船 内 をくまなく 捜 索 した 船 内 に 不 在 であることを 確 認 後 前 観 測 点 (N1 観 測 点 )に 向 け 針 路 を 反 転 し 対 水 速 度 約 7 kt で 航 走 した N1 観 測 点 まで 捜 索 を 実 施 したが 海 中 転 落 者 を 発 見 できないため 現 場 海 域 の 気 象 及 び 海 象 状 況 を 考 慮 し 南 東 方 向 へ 転 針 して 微 速 ( 対 水 速 度 約 4 kt)で 探 照 灯 を 照 らしながら 約 2km 移 動 後 さらに 転 落 推 測 地 点 の 南 側 捜 索 のため 再 び 転 針 し 海 中 転 落 者 が 着 用 していた 作 業 用 救 命 衣 に 付 いていた 反 射 材 の 光 を 発 見 見 失 わないように 微 速 で 接 近 し 救 命 浮 環 を 投 げたところ 掴 んだため 上 甲 板 右 舷 開 口 部 から 船 上 に 収 容 し た 漂 流 中 の 体 温 低 下 を 考 慮 し ただちに 濡 れた 衣 服 を 脱 衣 させ 毛 布 使 い 捨 てカイ ロ およびお 湯 を 入 れたペットボトルにより 体 温 回 復 ための 応 急 処 置 を 施 した 陸 上 医 療 施 設 へ 搬 送 のため 海 中 転 落 者 を 海 上 保 安 庁 救 難 ヘリコプターへ 引 き 渡 した ( 淡 青 丸 による 捜 索 体 制 等 については 資 料 5 を 参 照 ) 海 洋 研 究 開 発 機 構 淡 青 丸 より 事 故 発 生 の 連 絡 を 受 け 安 全 環 境 管 理 室 の 事 故 トラブル 緊 急 対 処 要 領 にもとづき 機 構 内 に 緊 急 対 策 室 ( 室 長 : 総 務 担 当 理 事 資 料 4)を 設 置 し た 淡 青 丸 関 係 機 関 ( 海 上 保 安 庁 文 部 科 学 省 : 資 料 6, 7) 海 洋 研 及 び 海 中 転 落 者 の 家 族 との 連 絡 を 実 施 した かいれい ( 房 総 沖 において KR08-03 航 海 実 施 中 ) 及 び なつしま ( 横 須 賀 本 部 専 用 岸 壁 着 岸 中 )を 現 場 海 域 に 急 行 させた 横 浜 港 着 岸 中 の かいよう 及 び よこすか には 現 場 海 域 に 向 け 出 港 準 備 を 指 示 した 海 中 転 落 者 搬 送 先 ( 東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 )において 海 洋 研 とともに 入 院 手 続 き 等 対 応 担 当 医 から 容 態 の 説 明 を 受 けた 後 海 中 転 落 者 と 面 会 し 事 故 時 の 様 子 を 聞 いた さらに 第 3 管 区 海 上 保 安 本 部 及 び 下 田 海 上 保 安 部 と 事 故 処 理 のための 連 絡 を 行 5

った 東 京 大 学 海 洋 研 究 所 淡 青 丸 乗 船 中 の 海 洋 研 観 測 研 究 企 画 室 員 より 事 故 発 生 の 第 1 報 に 続 き 機 構 ( 研 究 船 運 航 部 )からの 連 絡 を 受 け 海 洋 研 所 内 に 事 故 対 策 本 部 ( 本 部 長 : 所 長 資 料 4)を 設 置 機 構 及 び 海 中 転 落 者 の 家 族 との 連 絡 を 実 施 した 海 中 転 落 者 搬 送 先 ( 東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 )において 機 構 とともに 入 院 手 続 き 等 対 応 担 当 医 から 容 態 の 説 明 を 受 けた 後 海 中 転 落 者 と 面 会 し 事 故 時 の 様 子 を 聞 いた 2.3.その 後 の 対 応 4 月 3 日 機 構 より 運 航 委 託 会 社 ( 日 本 海 洋 事 業 グローバルオーシャンディベロップメン ト)に 海 中 転 落 事 故 について 説 明 を 行 い 乗 船 者 に 対 する 安 全 教 育 を 徹 底 するよう 指 示 した 下 田 海 上 保 安 部 より 機 構 へ 淡 青 丸 からの 聞 き 取 り 調 査 を 省 略 し 本 件 の 調 査 を 終 了 する 旨 の 連 絡 があり これを 受 けて 淡 青 丸 は 機 構 研 究 船 運 航 部 ( 以 下 運 航 部 ) 海 洋 研 観 測 研 究 企 画 室 ( 以 下 企 画 室 )と 協 議 のうえ 航 海 を 再 開 し 4 月 4 日 10 時 に 台 場 を 出 港 することとした 運 航 部 から 淡 青 丸 に 対 して 安 全 対 策 徹 底 の 指 示 がなされた 4 月 4 日 海 上 保 安 庁 ( 第 三 管 区 海 上 保 安 本 部 長 )を 訪 問 し 事 故 の 経 緯 を 報 告 した 訪 問 者 機 構 : 総 務 担 当 理 事 海 洋 工 学 センター 長 計 画 推 進 グループリーダー 海 洋 研 : 所 長 企 画 室 長 同 室 長 補 佐 海 洋 研 において 淡 青 丸 事 故 対 策 委 員 会 ( 資 料 4)を 設 置 し 第 1 回 委 員 会 を 開 催 ( 事 故 経 緯 と 記 録 状 況 の 確 認 事 故 原 因 の 分 析 及 び 対 応 策 再 発 防 止 策 の 検 討 ) 4 月 8 日 機 構 平 成 20 年 度 第 1 回 理 事 会 において 安 全 環 境 管 理 室 より 事 故 の 経 緯 を 報 告 ( 速 報 ) 4 月 9 日 淡 青 丸 より 関 東 運 輸 局 に 海 中 転 落 報 告 書 を 提 出 ( 資 料 8) 4 月 10 日 淡 青 丸 ( 台 場 専 用 岸 壁 )において 第 1 回 淡 青 丸 海 中 転 落 事 故 対 策 合 同 会 議 開 催 ( 事 故 現 場 確 認 淡 青 丸 乗 組 員 及 び 海 中 転 落 者 からの 聴 取 事 故 報 告 書 作 成 方 針 検 討 等 ) 機 構 平 成 20 年 度 第 1 回 労 働 安 全 衛 生 委 員 会 において 安 全 環 境 管 理 室 より 6

事 故 の 経 緯 を 報 告 ( 速 報 ) 4 月 16 日 海 洋 研 平 成 20 年 度 第 1 回 教 授 会 において 淡 青 丸 事 故 対 策 委 員 会 より 事 故 の 経 緯 を 報 告 ( 速 報 ) 海 洋 研 安 全 衛 生 管 理 室 から 東 京 大 学 環 境 安 全 本 部 に 事 故 の 経 緯 を 報 告 4 月 18 日 海 洋 研 において 第 2 回 淡 青 丸 事 故 対 策 委 員 会 開 催 ( 淡 青 丸 海 中 転 落 事 故 報 告 ( 案 -1)の 検 討 ) 4 月 23 日 機 構 東 京 事 務 所 において 第 2 回 淡 青 丸 海 中 転 落 事 故 対 策 合 同 会 議 開 催 ( 事 故 報 告 書 取 りまとめ 状 況 確 認 報 告 手 順 検 討 等 ) 5 月 1 日 海 洋 研 において 第 3 回 淡 青 丸 事 故 対 策 委 員 会 開 催 ( 淡 青 丸 海 中 転 落 事 故 報 告 ( 案 2)の 検 討 ) 5 月 7 日 機 構 東 京 事 務 所 において 第 3 回 淡 青 丸 海 中 転 落 事 故 対 策 合 同 会 議 開 催 ( 淡 青 丸 海 中 転 落 事 故 報 告 ( 案 3)の 検 討 2.4. 海 中 転 落 者 の 証 言 (4 月 10 日 に 本 人 から 提 出 された 手 記 に 基 づく) 2.4.1. 海 中 転 落 時 の 状 況 N1 観 測 点 離 脱 後 次 の 観 測 点 N2 へ 移 動 中 淡 青 丸 上 甲 板 後 部 において 計 測 作 業 を 実 施 していたが 吐 き 気 を 催 し(S1 観 測 点 から N1 観 測 点 の 回 航 中 にすでに 船 酔 いの 兆 候 あり) N2 観 測 点 での 作 業 前 に 一 度 吐 いておこうと 思 い 上 甲 板 の 左 舷 の 階 段 を 上 り 長 船 首 楼 甲 板 左 舷 作 業 艇 下 の 舷 側 柵 ( 一 部 鎖 )( 写 真 1)に 掴 り 嘔 吐 した 後 に( 写 真 2) 平 衡 を 失 い 船 外 へ 転 落 し た( 図 4) 落 下 時 の 服 装 は 作 業 着 に 上 下 の 合 羽 ヘル メット 安 全 長 靴 作 業 用 救 命 衣 ( 写 真 3)を 着 用 していた 長 船 首 楼 甲 板 左 舷 作 業 艇 下 の 舷 側 柵 で 嘔 吐 したのは その 姿 を 見 られるのは 体 裁 が 悪 いと いう 意 識 からであり 以 前 淡 青 丸 に 乗 船 した 際 にも 同 じ 場 所 で 嘔 吐 した 経 験 がある 写 真 1. 淡 青 丸 長 船 首 楼 甲 板 左 舷 の 作 業 艇 と 舷 側 柵 停 泊 中 の 台 場 専 用 岸 壁 上 から 右 舷 後 方 に 向 け 撮 影 7

淡 青 丸 上 甲 板 長 船 首 楼 甲 板 計 測 作 業 実 施 場 淡 青 丸 長 船 首 楼 甲 板 落 水 場 所 図 4. 海 中 転 落 者 の 移 動 経 路 計 測 作 業 実 施 場 所 から 長 船 首 楼 甲 板 左 舷 への 移 動 経 路 を 赤 の 線 と 矢 印 で 示 す 8

写 真 2. 海 中 転 落 直 前 の 転 落 者 の 姿 勢 ( 本 人 からの 聴 取 により 再 現 ) 2.4.2. 海 中 転 落 直 後 の 状 況 海 中 転 落 直 後 から 意 識 はあり プロペラに 巻 き 込 まれることを 恐 れ 船 体 から 離 れよ うと 船 体 を 蹴 ろうとしたが 伸 びた 足 先 が 船 体 に 触 った 程 度 だと 思 われる 流 血 等 の 外 傷 も 無 く 転 落 時 に 船 体 へ 接 触 した 感 覚 は 無 い 淡 青 丸 船 尾 を 見 上 げてはいたが 転 落 したことへの 動 揺 からか 声 を 上 げること や 作 業 用 救 命 衣 に 装 備 された 笛 を 使 用 すること などの 対 応 はできなかった 2.4.3. 海 中 転 落 から 淡 青 丸 へ 収 容 されるまでの 状 況 体 力 を 温 存 する ことを 念 頭 にさまざまな 姿 勢 ( 直 立 仰 向 け 等 )を 試 みたが 波 を 被 り 海 水 を 飲 んでしまうことから 平 泳 ぎ の 姿 勢 をとった 疲 労 感 は 感 じなかったが 足 は 交 互 に 痙 攣 した 我 慢 できない 痛 みではなかったことか ら 痙 攣 していても 泳 ぎ 続 けた 時 折 休 息 のため 仰 向 け の 姿 勢 をとったが 寒 い 波 を 被 る 方 向 がわからなくなる こ とからできるだけ 泳 ぎ 続 けることに 勤 めた( 泳 ぐ 写 真 3. 作 業 用 救 命 胴 衣 着 用 時 の 状 態 と 速 度 は 早 くなかったがペースを 維 持 しようと 考 反 射 材 ( 矢 印 )を 示 す えていた) 安 全 長 靴 は 保 温 効 果 があるが 重 いので 捨 てるかどうか 悩 んだ しかし 海 水 が 耐 えら れる 温 度 であったことから 捨 てた 海 上 をヘリコプターが 飛 んでいたが ヘリコプターからは 見 つけてもらえないだろう と 思 っていた 淡 青 丸 においては N2 観 測 点 に 到 着 時 に 自 分 が 不 在 であることを 気 づき 捜 索 を 始 めてくれるだろうと 思 っていた 探 照 灯 等 の 灯 火 で 海 面 を 照 射 している 船 舶 を 見 つけ 船 に 向 かって 泳 いだ 探 照 灯 に 照 らされるタイミングで 2 3 度 右 手 をあげた 探 照 灯 の 回 転 が 止 まり こちらだけを 照 らし 始 めた 際 見 つけてくれた と 思 った 9

2.4.4. 収 容 時 の 状 況 淡 青 丸 から 右 舷 から 収 容 する という 放 送 が 聞 こえた 淡 青 丸 から 投 下 された 救 命 浮 環 に 掴 り 収 容 された 船 上 では 手 は 動 いたが 腰 と 足 には 力 が 入 らなかった 研 究 室 において 応 急 処 置 を 施 される( 脱 衣 後 毛 布 使 い 捨 てカイロ お 湯 を 入 れた ペットボトルで 体 を 温 めた) 3. 事 故 の 分 析 3.1. 事 故 原 因 の 分 析 本 転 落 事 故 は N1 観 測 点 での 観 測 作 業 を 終 了 し 次 の N2 観 測 点 に 淡 青 丸 が 移 動 する 途 上 で 発 生 した 観 測 作 業 終 了 後 上 甲 板 後 部 では4 人 の 乗 船 研 究 員 が 観 測 後 の 作 業 を 行 っていた このうち 海 中 転 落 者 は 甲 板 に 設 置 した 装 置 (FRRF: 高 速 フラッシュ 励 起 蛍 光 光 度 計 )による 試 料 計 測 他 の3 人 は CTD 採 水 試 料 の 処 理 を 行 っており 研 究 室 と 上 甲 板 後 部 の 間 を 頻 繁 に 行 き 来 していたが 海 中 転 落 者 が 長 船 首 楼 甲 板 に 移 動 し たことには 気 がつかなかった 一 方 船 酔 いについては 船 室 外 での 嘔 吐 は 行 わないよ う 乗 船 時 の 注 意 事 項 として 全 ての 乗 船 者 に 周 知 されていた これらのことから 海 中 転 落 者 が 船 酔 いで 意 識 がしっかりしていなかったうえに 人 目 につかない 長 船 首 楼 甲 板 へ 移 動 し 安 易 に 舷 外 へ 体 を 乗 り 出 す 態 勢 で 嘔 吐 した 後 に 平 衡 を 失 ったことが 海 中 転 落 の 主 要 な 原 因 と 考 えられる なお 事 故 に 関 連 する 他 の 要 因 として (1) 転 落 者 の 身 長 が 185 cm であり 長 船 首 楼 甲 板 舷 側 柵 の 高 さ(100 cm)に 比 して 長 身 であったこと (2) 事 故 当 時 のうねりが 1 1.5 m であったこと および(3) 観 測 終 了 後 に 転 落 者 が 単 独 で 上 甲 板 後 部 において 作 業 する 状 況 が 生 じていたことが 考 えられる このうち(1)については 当 該 舷 側 柵 は 常 識 的 な 行 動 の 範 囲 内 では 安 全 を 確 保 するには 十 分 の 高 さであると 考 えられる また (2)については 当 時 多 少 のうねりはあったものの 上 甲 板 での 通 常 の 観 測 処 理 作 業 には 支 障 のない 程 度 であり 作 業 に 対 する 特 段 の 注 意 を 喚 起 する 状 況 ではなかった (3)については 乗 船 の 手 引 きおよび 乗 船 時 の 説 明 により 上 甲 板 後 部 での 観 測 処 理 作 業 は 可 能 な 限 り 複 数 名 で 実 施 するよう 指 示 されている 3.2. 事 故 対 応 の 分 析 3.2.1. 事 故 直 後 の 対 応 事 故 発 生 から 救 出 までの 淡 青 丸 の 対 応 およびこれと 並 行 した 機 構 海 洋 研 の 連 携 による 緊 急 活 動 はおおむね 円 滑 に 行 われ これが 海 中 転 落 者 の 早 期 救 出 と 順 調 な 回 復 に 繋 がった 特 に 現 場 海 域 の 気 象 海 象 を 十 分 考 慮 した 漂 流 経 路 の 推 定 が 重 要 な 要 因 で あった 一 方 乗 船 研 究 者 から1 名 所 在 不 明 の 連 絡 を 受 けてから 転 落 事 故 発 生 を 確 認 し 海 面 捜 10

索 を 開 始 するまでに 17 分 を 要 し この 間 淡 青 丸 は 次 の 観 測 点 に 向 かい 航 走 を 続 け ていた 船 内 捜 索 は 研 究 室 居 室 倉 庫 をはじめ 船 内 のあらゆる 箇 所 を 対 象 としたが 淡 青 丸 が 比 較 的 小 さい 船 であるため むしろ 17 分 という 短 時 間 のうちに 確 認 がで きたといえる しかし 一 刻 をあらそう 事 故 対 策 のためには できるだけ 迅 速 かつ 効 果 的 な 船 内 捜 索 の 方 法 が 望 ましい 今 後 不 明 者 に 気 付 いた 場 合 直 ちに 停 船 反 転 する 等 捜 索 開 始 のタイミングに 関 する 基 準 船 内 放 送 の 活 用 等 より 大 型 の 船 舶 における 事 故 も 想 定 した 捜 索 の 手 順 を 整 備 する 必 要 がある 本 転 落 事 故 は 年 度 初 めの 平 日 (4 月 2 日 水 曜 ) 夜 半 に 発 生 したが 淡 青 丸 機 構 海 洋 研 を 中 心 とした 事 故 直 後 の 情 報 連 絡 は 電 話 携 帯 電 話 Fax e-mail の 併 用 によ り おおむね 遅 滞 なく 行 われた なお 機 構 から 海 洋 研 への 連 絡 に 多 少 の 時 間 を 要 した が これは 必 要 な 手 配 を 優 先 させた 結 果 であった また 海 洋 研 から 海 中 転 落 者 の 家 族 への 連 絡 に 多 少 の 時 間 を 要 したが これは 受 信 者 の 不 在 等 に 起 因 したものである この 他 本 人 の 不 在 や 携 帯 電 話 の 電 池 の 消 耗 等 に 起 因 する 連 絡 不 通 の 事 例 が 何 件 かみられた 今 後 休 日 深 夜 等 情 報 連 絡 がより 困 難 な 場 合 の 事 故 を 想 定 した 緊 急 連 絡 体 制 の 充 実 が 必 要 である なお 今 回 の 事 故 における 転 落 者 生 還 の 重 要 な 要 因 として 観 測 作 業 時 の 服 装 装 備 があげられる 淡 青 丸 では 甲 板 作 業 時 に 作 業 に 適 した 服 装 ヘルメット 安 全 靴 および 作 業 用 救 命 衣 を 着 用 する 旨 乗 船 の 手 引 きと 乗 船 時 の 注 意 により 指 示 されており 転 落 者 はこれらに 加 え 雨 具 を 着 用 していた このような 装 備 が 水 温 約 16 での 漂 流 時 の 体 温 低 下 を 防 ぐのに 有 効 であったと 考 えられる また 作 業 用 救 命 衣 の 着 用 は 2 時 間 半 におよぶ 漂 流 中 の 体 力 消 耗 を 防 ぐとともに 反 射 材 による 本 船 からの 視 認 に 大 きな 効 果 を 発 揮 した さらに 作 業 用 救 命 衣 が 整 然 と 管 理 され 現 有 数 が 正 確 に 把 握 されて いたため これが 研 究 員 一 名 不 在 の 確 認 に 役 立 った 作 業 時 の 装 備 は 極 めて 基 本 的 な 遵 守 事 項 ではあるが 本 転 落 事 故 はその 重 要 性 を 改 めて 示 すものであり ここに 特 記 する 3.2.2.その 後 の 対 応 4 月 3 日 に 海 上 保 安 庁 から 事 故 は 一 応 収 束 し 事 件 性 が 無 いため 海 中 転 落 者 および 淡 青 丸 に 対 する 面 会 による 事 情 聴 取 は 行 わない 旨 の 連 絡 があり 機 構 運 航 部 はこれに 基 づ き 航 海 が 再 開 可 能 である 旨 淡 青 丸 に 連 絡 した 淡 青 丸 では 乗 船 研 究 員 と 乗 組 員 の 疲 労 および 事 故 直 後 の 精 神 状 態 を 考 慮 して 運 航 部 企 画 室 と 電 話 による 協 議 の 上 翌 日 の 出 港 を 決 定 した 本 海 中 転 落 事 故 においては 転 落 者 が 短 時 間 の 内 に 救 出 され その 原 因 が 早 期 に 特 定 されたため これに 基 づく 安 全 対 策 の 指 示 が 可 能 であった 今 後 捜 索 が より 長 時 間 に 及 び かつ 早 期 に 原 因 を 特 定 することが 困 難 な 事 態 を 想 定 した 対 応 策 の 検 討 が 必 要 である 4. 今 後 の 対 策 今 後 事 故 の 再 発 防 止 と 事 故 発 生 時 の 対 応 改 善 のためには 既 に 実 行 されている 事 項 を 11

含 め 以 下 に 示 す 項 目 に 特 段 の 注 意 を 払 い かつこれらを 遵 守 する 必 要 がある また これらの 項 目 のうち 指 針 の 大 要 を 示 したものについては 淡 青 丸 運 航 部 企 画 室 において 各 々 関 連 する 事 項 の 具 体 的 内 容 について 早 急 に 検 討 を 進 めるものとする 観 測 作 業 体 制 乗 船 研 究 員 において 甲 板 作 業 を 実 施 の 際 には 作 業 開 始 時 及 び 終 了 時 に 船 橋 へその 旨 を 連 絡 する ( 船 側 からも 運 航 に 支 障 がない 範 囲 において 作 業 立 ち 会 いを 行 う)ま た たとえ 複 数 の 者 が 頻 繁 に 甲 板 に 出 入 りしている 状 況 であっても 甲 板 作 業 者 が 船 内 に 入 る 際 には 残 る 作 業 者 が 一 人 の 状 態 にならないようにする 乗 船 届 の 保 管 海 洋 研 企 画 室 に 乗 船 届 の 写 しを 保 管 する なお これについては 既 に 措 置 が 完 了 している 作 業 責 任 者 の 心 構 え 主 席 研 究 員 もしくはそれに 代 わる 者 は 甲 板 作 業 者 が 実 質 的 に 単 独 作 業 とならない よう 十 分 な 注 意 を 払 う 安 全 教 育 の 徹 底 船 内 で 実 施 する 乗 船 研 究 員 に 対 する 安 全 教 育 を 徹 底 する マニュアルの 改 訂 乗 船 の 手 引 主 席 研 究 員 の 役 割 等 関 連 するマニュアルに 安 全 に 関 する 記 述 を 追 記 する 船 酔 い 対 策 船 酔 いで 嘔 吐 する 際 には 必 ず 船 内 において 行 う また 船 酔 いが 心 配 な 者 は 袋 を 携 帯 する 航 海 の 再 開 今 後 同 様 の 事 故 が 発 生 した 場 合 には 機 構 海 洋 研 及 び 当 該 船 舶 において 事 故 の 状 況 および 当 該 船 舶 の 安 全 性 等 を 考 慮 し 航 海 再 開 に 関 する 検 討 を 行 うこととする 5.おわりに 平 成 20 年 度 船 員 災 害 防 止 実 施 計 画 ( 国 土 交 通 省 )によると 平 成 18 年 度 における 海 中 転 落 による 死 亡 率 は 83 パーセントと 極 めて 高 い 状 況 にある 本 海 中 転 落 事 故 では 淡 青 丸 乗 組 員 の 的 確 な 対 応 と 訓 練 の 行 き 届 いたチームワークにより 幸 いにして 転 落 者 が 救 出 された 豊 富 な 乗 船 経 験 と 高 い 技 術 水 準 を 持 った 乗 組 員 の 維 持 拡 充 は 安 12

全 対 策 の 要 であり 今 後 とも 強 く 望 まれる 一 方 今 回 の 救 出 は 上 記 淡 青 丸 の 的 確 な 対 応 に 加 え 海 況 観 測 点 間 の 距 離 転 落 者 の 体 力 等 他 の 多 くの 諸 条 件 がプラスに 働 いた 結 果 でもあり むしろ 希 な 事 態 と 考 えられる したがって 今 後 の 事 故 対 応 策 に おいては 荒 天 捜 索 開 始 点 と 転 落 地 点 の 長 大 な 距 離 捜 索 の 長 期 化 等 より 困 難 な 状 況 を 想 定 し 緊 急 連 絡 方 法 の 充 実 捜 索 協 力 体 制 の 整 備 救 命 装 備 の 改 善 漂 流 状 況 の 予 測 技 術 等 の 項 目 について 技 術 的 側 面 も 含 めた 具 体 的 検 討 を 進 めていく 必 要 がある 13

付 表 : 海 中 転 落 事 故 の 経 緯 月 日 時 刻 淡 青 丸 海 洋 研 究 開 発 機 構 東 京 大 学 海 洋 研 究 所 4 月 2 日 20:36 N1 観 測 点 離 脱 21:15 頃 ( 事 故 発 生 ) 乗 船 研 究 員 から 研 究 員 1 名 不 在 の 連 絡 船 内 捜 索 開 始 21:31 機 構 運 航 部 に 電 話 連 絡 (1 名 不 在 ) 21:32 反 転 して 海 面 捜 索 開 始 第 3 管 区 本 部 へ 通 報 (118 番 ) 21:37 船 長 から 第 3 管 区 本 部 に 連 絡 淡 青 丸 から 電 話 連 絡 ( 事 故 の 第 1 報 ) かいれい なつしま かいよう よこすか に 出 港 準 備 を 指 示 21:58 海 洋 研 企 画 室 に 電 話 連 絡 淡 青 丸 から 電 話 受 信 ( 第 1 報 ) 22:06 企 画 室 に 電 話 連 絡 運 航 部 から 電 話 連 絡 22:15 運 航 部 から 安 全 環 境 管 理 室 に 連 絡 22:21 計 画 推 進 GL 到 着 安 環 室 から 一 斉 携 帯 メール 送 信 22:26 {かいれい 現 場 海 域 に 向 け 針 路 変 更 22:50 (VHF16ch にて 事 故 通 報 ) 緊 急 対 策 室 設 置 企 画 室 に 事 故 連 絡 窓 口 設 置 室 員 に 連 絡 23:00 所 長 到 着 事 故 対 策 本 部 設 置 23:01 N1 観 測 点 着 東 南 東 へ 転 針 23:13 主 席 研 究 員 に 連 絡 23:14 頃 転 落 推 測 地 点 の 南 側 捜 索 のた め 再 び 転 針 23:20 なつしま 機 構 岸 壁 出 港 23:25 海 中 転 落 者 発 見 転 落 者 自 宅 に 事 故 発 生 を 連 絡 ( 留 守 電 ) 23:30 接 近 し 事 故 点 火 灯 付 き 救 命 浮 環 を 灯 火 保 安 庁 ヘリ 現 場 着 23:32 転 落 者 を 船 上 に 収 容 第 3 管 区 本 部 に 通 報 医 療 施 設 への 搬 送 を 依 頼 船 上 にて 保 温 措 置 23:38 機 構 海 洋 研 に 救 出 の 連 絡 淡 青 丸 から 救 出 の 連 絡 淡 青 丸 から 救 出 の 連 絡 23:47 転 落 者 家 族 から 打 診 救 出 を 通 知 23:54 転 落 者 自 宅 より 打 診 救 出 を 通 知 23:55 かいよう なつしま か いれい よこすか 緊 急 体 制 解 除 23:59 転 落 者 下 田 海 上 保 安 部 救 難 ヘリに 移 乗 ( 研 究 員 1 名 付 添 ) 14

付 表 : 海 中 転 落 事 故 の 経 緯 ( 続 き) 月 日 時 刻 淡 青 丸 海 洋 研 究 開 発 機 構 東 京 大 学 海 洋 研 究 所 4 月 3 日 00:09 救 難 ヘリ 本 船 を 離 脱 機 構 海 洋 研 に 連 絡 ( 以 下 転 落 者 の 状 況 ) 淡 青 丸 からヘリ 離 脱 の 連 絡 淡 青 丸 からヘリ 離 脱 の 連 絡 00:38 ヘリ 羽 田 空 港 着 付 添 人 から 羽 田 着 の 連 絡 機 構 より 羽 田 着 の 連 絡 東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 に 到 着 診 察 の 結 果 命 に 別 状 なし 入 院 決 定 01:27 対 策 室 員 1 名 病 院 着 02:30 対 策 本 部 員 2 名 病 院 着 03:00 機 構 海 洋 研 担 当 者 と 面 会 対 策 室 員 転 落 者 に 面 会 緊 急 対 策 室 招 集 人 員 適 宜 帰 宅 対 策 本 部 員 転 落 者 に 面 会 10:00 ( 淡 青 丸 台 場 専 用 岸 壁 着 ) 対 策 室 員 淡 青 丸 乗 船 対 策 本 部 員 淡 青 丸 乗 船 対 策 本 部 より 海 洋 研 主 幹 者 関 係 者 にメール 報 告 10:30 第 3 管 区 保 安 本 部 に 連 絡 直 接 の 聞 き 取 り 調 査 省 略 質 問 への 回 答 のみ 下 田 保 安 部 に 顚 末 書 を 送 付 転 落 者 所 属 先 と 名 古 屋 大 学 へ 連 絡 11:00 下 田 保 安 部 から 事 故 の 補 足 情 報 の 問 い 合 わせあり 回 答 13:00 企 画 室 長 病 院 へ 向 かう 13:55 保 安 庁 の 事 後 処 理 終 了 を 淡 青 丸 海 洋 研 に 連 絡 14:15 転 落 者 企 画 室 長 主 席 研 究 員 と 面 会 事 故 の 詳 細 を 話 す 15:00 淡 青 丸 機 構 海 洋 研 電 話 連 絡 にて 協 議 航 海 再 開 当 面 の 安 全 対 策 4 日 10 時 の 航 海 再 開 を 決 定 企 画 室 長 病 院 着 転 落 者 と 面 会 事 故 の 詳 細 を 聴 取 15

資 料 16

資 料 1: 学 術 研 究 船 淡 青 丸 要 目 全 長 : 51.0m 航 海 速 力 : 約 12 ノット 型 幅 : 9.2m 航 続 距 離 : 6,200 マイル 型 深 : 4.2m 最 大 搭 載 人 員 : 38 名 ( 内 研 究 者 12 名 ) 総 トン 数 : 479.54 トン 主 機 関 : 750ps 720rpm 2 基 信 号 符 字 : JIQY プロペラ: 可 変 ピッチ 漁 船 登 録 番 号 : TK1-1110 船 首 スラスタ: 1 基 17

資 料 2: 淡 青 丸 海 中 転 落 事 故 対 策 合 同 会 議 について 1. 出 席 者 東 京 大 学 海 洋 研 究 所 観 測 研 究 企 画 室 室 長 ( 教 授 ): 西 田 周 平 ( 合 同 会 議 議 長 ) 室 長 補 佐 ( 助 教 ): 稲 垣 正 技 術 班 長 ( 技 術 職 員 ): 今 井 圭 理 経 理 課 安 全 衛 生 管 理 担 当 専 門 職 員 : 髙 野 哲 郎 総 務 課 研 究 協 力 係 長 : 平 松 学 海 洋 研 究 開 発 機 構 海 洋 工 学 センター 研 究 船 運 航 部 計 画 推 進 グループ グループリーダー: 内 田 徹 夫 海 洋 工 学 センター 研 究 船 運 航 部 運 航 グループ グループリーダー: 赤 澤 克 文 技 術 主 任 : 中 村 太 成 技 術 主 任 : 三 森 靖 彦 技 術 主 任 : 野 村 陽 安 全 環 境 管 理 室 長 : 西 村 一 経 営 企 画 室 報 道 室 職 員 : 野 口 剛 学 術 研 究 船 淡 青 丸 船 長 : 清 野 能 稔 機 関 長 : 笹 井 雄 二 一 等 航 海 士 : 大 久 保 卓 2. 会 議 の 開 催 記 録 と 議 事 の 概 略 第 1 回 : 平 成 20 年 4 月 10 日 ( 木 )10:00 13:00 於 : 淡 青 丸 ( 台 場 停 泊 中 ) 事 故 経 緯 の 記 録 確 認 海 中 転 落 者 からの 事 情 聴 取 と 現 場 検 証 報 告 書 作 成 手 順 の 検 討 第 2 回 : 平 成 20 年 4 月 23 日 ( 水 )14:00 16:00 17:00 21:00 於 : 機 構 東 京 事 務 所 事 故 原 因 の 分 析 事 故 対 応 の 分 析 再 発 防 止 策 対 応 改 善 策 の 検 討 報 告 書 案 の 作 成 検 討 ( 構 成 記 述 と 事 実 の 整 合 性 文 章 推 敲 など) 第 3 回 : 平 成 20 年 5 月 7 日 ( 水 )10:00 13:00 於 : 機 構 東 京 事 務 所 報 告 書 案 の 検 討 報 告 書 の 体 裁 と 公 表 方 法 の 検 討 18

資 料 3: 事 故 当 日 ( 平 成 20 年 4 月 2 日 21 時 )の 天 気 図 19

資 料 4: 淡 青 丸 海 中 事 故 における 事 故 対 策 室 等 の 設 置 について 1. 緊 急 対 策 室 ( 海 洋 研 究 開 発 機 構 ) 設 置 の 経 緯 : 研 究 船 運 航 部 から 安 全 環 境 管 理 室 への 連 絡 を 受 け 4 月 2 日 22 時 50 分 に 横 須 賀 本 部 内 に 設 置 目 的 : 後 方 支 援 部 署 ( 今 回 は 研 究 船 運 航 部 )が 行 う 現 場 対 応 を 支 援 するとともに 文 科 省 プレスほか 外 部 に 対 する 対 応 ほか 危 機 管 理 を 担 当 するため 事 故 トラブ ル 対 処 要 領 に 従 って 設 置 するもの 影 響 度 ランク4の 場 合 は 理 事 長 をヘッドとす る 緊 急 対 策 本 部 を 設 置 し ランク3 又 は 影 響 度 ランクが 未 確 定 の 場 合 は 総 務 担 当 理 事 をヘッドとする 緊 急 対 策 室 を 設 置 する 設 置 の 期 間 : 今 回 は 4 月 2 日 3 日 ( 海 中 転 落 者 が 入 院 して 容 態 を 確 認 後 研 究 船 運 航 部 と 合 同 会 議 を 開 き 事 故 の 総 括 情 報 を 文 科 省 に 報 告 するまで) 構 成 室 長 : 今 村 務 ( 総 務 担 当 理 事 ) 室 員 : 磯 谷 實 ( 特 任 参 事 / 安 全 審 議 役 ) 西 村 一 ( 安 全 環 境 管 理 室 長 ) 奈 良 人 司 ( 経 営 企 画 室 長 ) 大 嶋 真 司 ( 企 画 課 長 ) 村 田 範 之 ( 報 道 室 長 ) 山 田 泰 ( 総 務 部 長 ) 山 田 康 夫 ( 総 務 課 長 ) 長 田 敬 志 ( 東 京 事 務 所 長 ) 2. 事 故 対 策 本 部 ( 海 洋 研 究 所 ) 設 置 の 経 緯 : 事 故 発 生 の 連 絡 を 受 け 所 長 が 海 洋 研 に 到 着 後 4 月 2 日 23 時 00 分 に 観 測 研 究 企 画 室 内 に 設 置 目 的 : 共 同 利 用 乗 船 研 究 者 の 家 族 所 属 機 関 等 との 連 絡 救 出 のための 後 方 支 援 救 出 後 の 海 中 転 落 者 の 入 院 治 療 支 援 および 事 情 聴 取 設 置 の 期 間 :4 月 2 日 3 日 ( 海 中 転 落 者 の 救 出 入 院 事 情 聴 取 まで) 構 成 本 部 長 : 西 田 睦 ( 所 長 ) 本 部 員 : 西 田 周 平 ( 観 測 研 究 企 画 室 長 ) 稲 垣 正 ( 同 室 長 補 佐 ) 小 熊 健 治 ( 同 室 員 ) 木 暮 一 啓 ( 研 究 船 観 測 部 会 長 ) 徳 山 英 一 ( 研 究 船 運 航 部 会 長 ) 3. 淡 青 丸 海 中 転 落 事 故 対 策 委 員 会 ( 海 洋 研 究 所 ) 設 置 の 経 緯 : 海 中 転 落 者 の 救 出 入 院 を 確 認 後 所 長 により 委 員 を 招 集 観 測 研 究 企 画 室 長 を 委 員 長 として 任 命 目 的 : 事 故 の 経 緯 の 精 確 な 記 録 作 成 事 故 再 発 防 止 策 の 検 討 および 事 故 対 応 の 妥 当 性 と 今 後 の 安 全 対 策 の 検 討 上 記 検 討 に 基 づく 報 告 書 の 作 成 設 置 の 期 間 : 平 成 20 年 4 月 4 日 6 月 30 日 構 成 委 員 長 : 西 田 周 平 ( 観 測 研 究 企 画 室 長 ) 委 員 : 西 田 睦 ( 所 長 ) 稲 垣 正 ( 企 画 室 長 補 佐 ) 木 暮 一 啓 ( 研 究 船 観 測 部 会 長 ) 徳 山 英 一 ( 研 究 船 運 航 部 会 長 ) 蒲 生 俊 敬 ( 前 企 画 室 長 ) 小 島 茂 明 ( 安 全 衛 生 管 理 室 長 ) 20

資 料 5: 淡 青 丸 乗 組 員 による 捜 索 態 勢 等 21:15 頃 からの 船 内 捜 索 を 開 始 当 初 狭 い 船 内 のために 騒 々しさを 聞 きつけた 非 勤 務 者 が 自 発 的 に 集 まり 始 め 捜 索 を 始 めたため 人 数 と 時 刻 は 正 確 ではないが 概 略 下 記 のよ うな 状 態 で 捜 索 を 実 施 した 人 員 操 舵 室 内 : 双 眼 鏡 または 目 視 による 前 方 及 び 側 方 の 注 視 探 照 灯 操 作 等 21:30~23:00 頃 甲 板 部 20-24 時 当 直 者 3 名 ( 航 海 士 1 甲 板 部 員 2)の 他 に 甲 板 部 前 直 者 (16-20 時 当 直 者 )2 名 ( 航 海 士 1 甲 板 部 員 1) 船 長 機 関 長 電 子 長 及 び 一 部 研 究 者 が 状 況 確 認 等 のために 出 入 り 23:00 頃 ~ 甲 板 部 00-04 時 当 直 者 3 名 ( 航 海 士 1 甲 板 部 員 2)を 追 加 甲 板 部 前 直 者 (16-20 時 当 直 者 )2 名 は 交 代 して 休 憩 を 取 ることにしていたが 実 際 には 休 まず 捜 索 に 参 加 していた 暴 露 甲 板 ( 主 に 長 船 首 楼 甲 板 ): 目 視 による 側 方 至 近 海 面 の 注 視 等 22:00~23:20 頃 機 関 部 20-24 時 当 直 者 1 名 ( 機 関 部 員 1) 機 関 部 前 直 者 (16-20 時 当 直 者 )2 名 ( 機 関 士 1 機 関 部 員 1) 機 関 部 次 直 者 (00-04 時 当 直 者 )2 名 ( 機 関 士 1 機 関 部 員 1) 研 究 者 は 研 究 室 及 び 居 室 で 待 機 したが 一 部 の 研 究 者 は 操 舵 室 での 捜 索 作 業 に 参 加 した 灯 火 及 び 照 明 探 照 灯 ( 船 橋 右 舷 上 部 ): 正 船 首 付 近 から 右 舷 側 40~50 度 方 向 への 照 射 ( 手 動 旋 回 ) 救 命 筏 乗 筏 灯 ( 船 橋 両 舷 直 下 付 近 の 照 射 )( 固 定 式 ) その 他 : 暴 露 部 に 取 付 けられた 照 明 のうち 海 面 照 射 に 有 効 な 照 明 のみをいくつ か 点 灯 ( 固 定 式 ) 21

資 料 6: 下 田 海 上 保 安 部 広 報 洲 崎 沖 海 中 転 落 事 故 情 報 ( 平 成 20 年 4 月 2 日 23 時 50 分 発 表 ) 22

資 料 7: 海 洋 研 究 開 発 機 構 プレス 発 表 学 術 研 究 船 淡 青 丸 における 落 水 事 故 について ( 平 成 20 年 4 月 3 日 10 時 10 分 発 表 ) 4/3( 木 ) 10 時 10 分 文 部 科 学 記 者 会 科 学 記 者 会 平 成 20 年 4 月 3 日 独 立 行 政 法 人 海 洋 研 究 開 発 機 構 学 術 研 究 船 淡 青 丸 における 落 水 事 故 について 4 月 2 日 21 時 頃 千 葉 県 房 総 半 島 沖 で 海 洋 研 究 開 発 機 構 ( 理 事 長 加 藤 康 宏 )の 所 有 する 学 術 研 究 船 淡 青 丸 の 乗 船 研 究 者 1 名 の 落 水 事 故 が 発 生 しました 直 ちに 海 上 保 安 庁 へ 事 故 を 通 報 するとともに 落 水 したと 思 われる 海 域 を 探 索 した 結 果 同 日 淡 青 丸 は 転 落 者 を 発 見 引 き 揚 げし 海 上 保 安 庁 のヘリにより 病 院 に 搬 送 されましたのでお 知 らせいたします 1. 場 所 千 葉 県 房 総 半 島 沖 ( 北 緯 34 度 50 分 東 経 139 度 50 分 付 近 )( 図 1) 2. 海 中 転 落 者 保 坂 拓 志 (ほさか たくじ) 34 才 男 性 独 立 行 政 法 人 科 学 技 術 振 興 機 構 所 属 ( 名 古 屋 大 学 地 球 水 循 環 研 究 センター 勤 務 ) 3. 容 態 意 識 あり 容 態 は 良 好 4. 原 因 現 在 調 査 中 ( 参 考 ) 事 故 の 経 緯 21:00 頃 観 測 中 の 研 究 者 が 行 方 不 明 になり 淡 青 丸 船 内 の 捜 索 開 始 21:45 船 内 で 発 見 できなかったため 海 中 落 下 と 判 断 し 淡 青 丸 から 海 上 保 安 庁 へ 捜 索 依 頼 の 通 報 直 ちに 落 水 したと 思 われる 海 域 の 捜 索 開 始 23:32 淡 青 丸 によりライフジャケットを 着 用 した 落 水 者 を 発 見 引 き 揚 げ 海 上 保 安 庁 のヘリにより 都 内 の 病 院 に 搬 送 お 問 い 合 わせ 先 : 海 洋 研 究 開 発 機 構 経 営 企 画 室 報 道 室 長 村 田 範 之 TEL:046-867-9193 23

資 料 8: 海 中 転 落 報 告 書 ( 淡 青 丸 船 長 から 関 東 運 輸 局 長 へ 平 成 20 年 4 月 9 日 に 提 出 24