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Transcription:

主 文 1 本 件 控 訴 をいずれも 棄 却 する 2 控 訴 費 用 は, 控 訴 人 らの 負 担 とする 事 実 及 び 理 由 第 1 控 訴 の 趣 旨 1 原 判 決 を 取 り 消 す 2 被 控 訴 人 玉 川 税 務 署 長 が 控 訴 人 P1に 対 して 平 成 14 年 1 月 31 日 付 けでし た, 控 訴 人 P1の 平 成 12 年 分 所 得 税 についての 過 少 申 告 加 算 税 の 賦 課 決 定 (ただ し, 平 成 16 年 3 月 3 日 付 け 決 定 によって 一 部 取 り 消 された 後 のもの)を 取 り 消 す 3 被 控 訴 人 玉 川 税 務 署 長 が 控 訴 人 P1に 対 して 平 成 14 年 5 月 28 日 付 けでし た, 控 訴 人 P1の 平 成 12 年 分 所 得 税 についての 更 正 (ただし, 平 成 14 年 10 月 24 日 付 け 異 議 決 定 によって 一 部 取 り 消 された 後 のもの)のうち, 納 付 すべき 税 額 4001 万 3000 円 を 超 える 部 分 及 び 過 少 申 告 加 算 税 の 賦 課 決 定 (ただし, 平 成 14 年 10 月 24 日 付 け 異 議 決 定 によって 一 部 取 り 消 された 後 のもの)を 取 り 消 す 4 被 控 訴 人 目 黒 税 務 署 長 が 被 控 訴 人 P2に 対 して 平 成 14 年 6 月 26 日 付 けで した, 控 訴 人 P2の 平 成 12 年 分 所 得 税 についての 更 正 のうち, 納 付 すべき 税 額 8 359 万 2300 円 を 超 える 部 分 及 び 過 少 申 告 加 算 税 の 賦 課 決 定 を 取 り 消 す 5 訴 訟 費 用 は, 第 1,2 審 とも 被 控 訴 人 らの 負 担 とする 第 2 事 案 の 概 要 1 控 訴 人 ら 及 びP3は, 昭 和 63 年 12 月 15 日, 父 P4 所 有 の 原 判 決 別 紙 物 件 目 録 記 載 1の 土 地 ( 以 下 本 件 土 地 という )を 代 金 6 億 8198 万 1608 円 で 共 有 取 得 し( 控 訴 人 らは 各 5 分 の2の 持 分 ), 同 日, 安 田 信 託 銀 行 株 式 会 社 ( 現 在 の みずほ 信 託 銀 行 株 式 会 社 以 下 安 田 信 託 という )との 間 で, 本 件 土 地 及 び 本 件 土 地 上 に 建 築 する 建 物 を 信 託 財 産 とする 信 託 契 約 を 締 結 し( 以 下 本 件 信 託 契 約 といい, 本 件 信 託 契 約 に 基 づく 受 益 者 の 権 利 を 本 件 信 託 受 益 権 という ), 平 成 3 年 9 月 20 日 に 同 目 録 記 載 2の 建 物 ( 以 下 本 件 建 物 と いう )が 完 成 した 控 訴 人 ら 及 びP3は, 平 成 12 年 2 月 2 日, 安 田 信 託 との 間 で, 本 件 信 託 契 約 の 変 更 契 約 を 締 結 し, 同 日,ミッションアンダルシアL.L.C に 対 し, 本 件 信 託 受 益 権 を 合 計 32 億 4777 万 3505 円 で 譲 渡 した 控 訴 人 らは, 平 成 12 年 分 所 得 税 の 確 定 申 告 について, 本 件 信 託 受 益 権 の 譲 渡 に 係 る 譲 渡 所 得 の 金 額 の 計 算 に 当 たっ て,1 本 件 土 地 を 取 得 するための 借 入 金 に 係 る 利 子 のうち 本 件 土 地 から 収 益 を 上 げ ることができなかった 期 間 に 係 る 部 分,2 上 記 期 間 に 係 る 本 件 土 地 の 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税, 並 びに3 本 件 土 地 についての 所 有 権 移 転 登 記 に 係 る 登 録 免 許 税 及 び 本 件 信 託 契 約 に 基 づく 信 託 登 記 に 係 る 登 録 免 許 税 ( 以 下 本 件 登 録 免 許 税 2 とい う )が 存 在 し,これらが 譲 渡 所 得 の 金 額 の 計 算 上, 総 収 入 金 額 から 控 除 されるべ き 取 得 費 に 該 当 するとして 申 告 したところ, 控 訴 人 P1の 申 告 については 被 控 訴 人 玉 川 税 務 署 長 から, 控 訴 人 P2の 申 告 については 被 控 訴 人 目 黒 税 務 署 長 から,それ ぞれ 否 認 され, 更 正 及 び 過 少 申 告 加 算 税 の 賦 課 決 定 を 受 けた 本 件 は, 控 訴 人 P1が 被 控 訴 人 玉 川 税 務 署 長 に 対 し(1 審 甲 事 件 ),また, 控 訴 人 P2が 被 控 訴 人 目 黒 税 務 署 長 に 対 し(1 審 乙 事 件 ),それぞれ 譲 渡 所 得 の 金 額 の 計 算 上, 総 収 入 金 額 から 控 除 されるべき 上 記 各 取 得 費 を 控 除 しなかった 各 処 分 は 違 法 である 旨 主 張 して,それらの 取 消 しを 求 める 事 案 である 原 審 は, 上 記 1ないし3は 総 収 入 金 額 から 控 除 されるべき 取 得 費 には 該 当 せ ず, 被 控 訴 人 らがした 上 記 更 正 及 び 過 少 申 告 加 算 税 の 賦 課 決 定 に 違 法 はないとして 控 訴 人 らの 請 求 を 棄 却 したので, 控 訴 人 らが 控 訴 した 2 関 係 法 令 の 定 め, 前 提 事 実, 被 控 訴 人 らが 主 張 する 控 訴 人 らの 所 得 税 額 等, 争 点, 争 点 に 関 する 当 事 者 の 主 張 の 要 旨 は, 次 のとおり, 原 判 決 を 訂 正 し, 当 審 に おける 控 訴 人 らの 主 張 を 付 加 するほか, 原 判 決 の 事 実 及 び 理 由 第 二 の 二 ないし 六 に 摘 示 のとおりであるから,これを 引 用 する ( 原 判 決 の 訂 正 ) (1) 原 判 決 6 頁 18 行 目 の 本 件 信 託 契 約 から 同 20 行 目 の 目 的 とし ま でを 本 件 信 託 契 約 は, 本 件 土 地 の 上 に 建 物 ( 当 初 は, 地 上 9 階, 塔 屋 1 階 建 で, 延 べ 面 積 3787.13m2, 用 途 事 務 所 とされていたが, 平 成 元 年 4 月 からの 法 規 制 の 変 更 により, 本 件 建 物 が 建 築 された )を 建 築 し, 本 件 土 地 と 共 に 信 託 財 産

( 以 下, 本 件 土 地 及 び 本 件 建 物 を 本 件 信 託 財 産 という )とし, 建 物 を 第 三 者 へ 賃 貸 することを 目 的 とし に 改 める (2) 同 8 頁 1 行 目 冒 頭 から 同 4 行 目 末 尾 までを 次 のとおり 改 める ( 八 ) 控 訴 人 ら 及 びP3は, 平 成 4 年 2 月 27 日, 安 田 信 託 との 間 で, 土 地 信 託 変 更 契 約 書 の 締 結 をした( 甲 3,8) ( 九 ) 控 訴 人 ら 及 びP3は, 平 成 12 年 2 月 2 日, 安 田 信 託 との 間 で, 土 地 信 託 変 更 契 約 書 ( 不 動 産 管 理 処 分 信 託 契 約 )の 締 結 をし( 以 下 本 件 信 託 変 更 契 約 という ), 本 件 信 託 契 約 につき, 信 託 期 間 を 昭 和 63 年 12 月 15 日 から 平 成 22 年 2 月 2 日 までとした( 甲 6の 別 紙 G) これと 同 時 に, 控 訴 人 ら 及 びP3は, 平 成 12 年 2 月 2 日,ミッショ ンアンダルシアL.L.Cに 対 して, 本 件 信 託 受 益 権 ( 本 件 信 託 変 更 契 約 における 委 託 者 としての 一 切 の 権 利 義 務 も 含 まれる )を 合 計 32 億 4777 万 3505 円 ( 消 費 税 額 9777 万 3505 円 を 含 む )で 譲 渡 し, 同 日, 譲 渡 代 金 の 全 額 を 受 領 した (3) 同 40 頁 18 行 目 の 受 託 者 を 受 益 者 に 改 める ( 当 審 における 控 訴 人 らの 主 張 ) 控 訴 人 らは, 次 の 点 を 理 論 上 の 基 礎 として, 原 判 決 摘 示 の 控 訴 人 らの 主 張 を 敷 衍 する (1) 譲 渡 所 得 の 本 質 は, 資 産 が 譲 渡 によって 所 有 者 の 手 を 離 れるのを 機 会 に, その 所 有 期 間 中 の 増 加 益 を 清 算 して 課 税 しようとするものであるが, 譲 渡 所 得 も 所 得 である 以 上,その 課 税 標 準 は, 人 の 担 税 力 を 増 加 させる 経 済 的 利 益 として 把 握 されなければならないから, 譲 渡 所 得 の 計 算 上, 取 得 費 を 控 除 するのは, 資 産 の 値 上 がり 益 から 担 税 力 を 増 加 させる 経 済 的 利 得 に 該 当 しない 部 分 の 金 額 を 控 除 する 趣 旨 であり, 本 件 土 地 を 使 用 できない 期 間 の 借 入 利 子 及 び 同 期 間 に 応 じた 公 租 公 課 は, 担 税 力 を 減 少 させるものであるから, 本 件 信 託 受 益 権 の 譲 渡 益 から 控 除 さ れるべき 取 得 費 に 該 当 する (2) 本 件 譲 渡 資 産 は, 本 件 信 託 受 益 権 であり, 本 件 土 地 及 び 本 件 建 物 そのもの が 譲 渡 されたわけではないから, 本 件 信 託 受 益 権 の 取 得 費 を 譲 渡 の 収 入 金 額 から 控 除 して 譲 渡 所 得 を 算 定 すべきである したがって, 本 件 建 物 が 平 成 3 年 9 月 に 完 成 し 本 件 信 託 受 益 権 が 発 生 する までの 間 に 支 出 した 本 件 借 入 金 利 子 は 本 件 土 地 をその 取 得 に 係 る 用 途 に 供 する 上 で 必 要 な 準 備 費 用, 本 件 公 租 公 課 は 本 件 信 託 受 益 権 を 取 得 するまでの 準 備 費 用 という ことができ 本 件 信 託 受 益 権 を 取 得 するための 付 随 費 用 として,また, 本 件 登 録 免 許 税 2は 本 件 信 託 受 益 権 の 取 得 に 要 する 費 用 として,いずれも 取 得 費 の 算 入 が 認 められるべきである 第 3 当 裁 判 所 の 判 断 当 裁 判 所 も, 控 訴 人 らの 請 求 はいずれも 理 由 がないものと 判 断 する その 理 由 は, 次 のとおり, 原 判 決 を 訂 正 し, 当 審 における 控 訴 人 らの 主 張 に 対 する 判 断 を 付 加 するほか, 原 判 決 の 事 実 及 び 理 由 第 三 の 一 ないし 五 に 説 示 のとおりであるか ら,これを 引 用 する 1 原 判 決 の 訂 正 (1) 原 判 決 49 頁 11 行 目 冒 頭 から 同 15 行 目 末 尾 までを 次 のとおり 改 める 本 件 信 託 契 約 は, 本 件 土 地 の 上 に 建 物 を 建 築 し, 本 件 土 地 と 共 に 信 託 財 産 とし, 建 物 を 第 三 者 へ 賃 貸 することを 目 的 とし, 受 益 者 を 委 託 者 である 控 訴 人 ら 及 びP3とし, 受 託 者 である 安 田 信 託 が 本 件 信 託 財 産 を 管 理 運 営 するものであ り, 信 託 期 間 は, 契 約 日 から 昭 和 78 年 12 月 31 日 までとされていた 本 件 信 託 契 約 では, 信 託 の 元 本 は,1 本 件 信 託 財 産 及 び 本 件 信 託 財 産 に 関 して 取 得 した 敷 金 入 居 保 証 金 等,2 信 託 された 金 銭,3 本 件 信 託 財 産 の 代 償 と して 取 得 した 財 産,4 借 入 金 債 務 及 び 本 件 信 託 財 産 の 賃 貸 に 関 して 受 入 れた 敷 金 入 居 保 証 金 等 の 返 還 債 務,5その 他 これらに 準 ずる 資 産 及 び 債 務 とされ, 信 託 の 収 益 は, 本 件 信 託 財 産 より 生 ずる 賃 貸 料 及 び 信 託 財 産 に 属 する 金 銭 の 運 用 により 生 ず る 利 益 等 とされていた (2) 同 52 頁 9 行 目 末 尾 に 控 訴 人 らは, 上 記 3ないし6については,その1 0%を 本 件 土 地 に 係 る 支 払 利 息 として 土 地 の 取 得 費 とし,また,1については, 平 成 2 年 分 の 不 動 産 所 得 の 必 要 経 費 に138 万 8594 円 を, 本 件 土 地 の 取 得 費 に3 29 万 4123 円 を 振 り 分 けした を 加 える (3) 同 52 頁 10 行 目 冒 頭 から 同 57 頁 9 行 目 末 尾 までを 次 のとおり 改 める 8 本 件 建 物 は, 平 成 3 年 10 月 1 日 からソニーが 賃 借 し,その 期 間 は,

平 成 13 年 9 月 30 日 までの10 年 間 であり, 本 件 信 託 契 約 は 平 成 15 年 12 月 3 1 日 までとされていた 控 訴 人 ら 及 びP3は, 借 入 金 の 返 済 について,バブル 景 気 の 時 代 であ った 計 画 の 当 初 は 心 配 していなかったが,その 後 の 景 気 低 迷 により,ソニーに 撤 退 されると 多 額 の 借 入 金 の 返 済 ができなくなるおそれが 生 じたことから, 本 件 信 託 受 益 権 を 譲 渡 して 借 入 金 の 返 済 をする 方 がよいのではないかと 考 えるようになり, 買 主 を 探 したところ,ミッションアンダルシアL.L.Cが 購 入 することになった そこで, 控 訴 人 ら 及 びP3は, 平 成 12 年 2 月 2 日, 安 田 信 託 との 間 で, 土 地 信 託 変 更 契 約 書 ( 不 動 産 管 理 処 分 信 託 契 約 )の 締 結 をして 本 件 信 託 変 更 契 約 をし, 信 託 期 間 を 昭 和 63 年 12 月 15 日 から 平 成 22 年 2 月 2 日 までとす る 等 の 契 約 内 容 の 変 更 をし, 同 時 に, 平 成 12 年 2 月 2 日,ミッションアンダルシ アL.L.Cに 対 して, 本 件 信 託 受 益 権 ( 本 件 信 託 変 更 契 約 における 委 託 者 として の 一 切 の 権 利 義 務 も 含 まれる )を 合 計 32 億 4777 万 3505 円 ( 消 費 税 額 9 777 万 3505 円 を 含 む )で 譲 渡 し, 同 日, 譲 渡 代 金 の 全 額 を 受 領 した 二 譲 渡 所 得 における 取 得 費 の 解 釈 について 1 所 得 税 法 は, 所 得 の 発 生 原 因 により10 種 類 の 各 種 所 得 を 規 定 し( 所 得 税 法 2 条 1 項 21 号 ),それぞれの 所 得 の 性 質, 担 税 力 の 相 違 に 応 じた 計 算 方 法 を 規 定 する たとえば, 各 種 所 得 における 収 入 金 額 から 控 除 すべき 金 額 について も, 純 所 得 への 課 税 を 目 的 とする 不 動 産 所 得, 事 業 所 得, 雑 所 得 については, 必 要 経 費 として 当 該 所 得 の 総 収 入 金 額 を 得 るため 直 接 に 要 した 費 用 の 額 及 びその 年 に おける 販 売 費, 一 般 管 理 費 その 他 これらの 所 得 を 生 ずべき 業 務 について 生 じた 費 用 の 額 と 規 定 し( 同 法 37 条 1 項 ), 資 産 の 所 有 期 間 中 の 増 加 益 への 課 税 を 目 的 と する 譲 渡 所 得 にあっては, 取 得 費 として その 資 産 の 取 得 に 要 した 金 額 並 びに 設 備 費 及 び 改 良 費 の 額 の 合 計 額 と 規 定 する( 同 法 38 条 ) その 上 で, 退 職 所 得 金 額 及 び 山 林 所 得 金 額 以 外 の 8 種 の 所 得 については 各 所 得 の 金 額 を 合 計 した 総 所 得 金 額 をもって 課 税 所 得 とする ことを 原 則 としている( 同 法 21 条,22 条 ) このような 所 得 税 法 の 仕 組 みに 照 らせば, 譲 渡 所 得 の 取 得 費 についても,まず 法 の 文 言 をその 文 意 及 び 譲 渡 所 得 の 性 質 から 読 み 取 るとともに, 文 理 解 釈 のみでの 調 整 が 困 難 であるときは 納 税 者 に 有 利 な 調 整 を 含 めて, 他 の 各 種 所 得 との 間 で 整 合 性 を 保 つよう 解 釈 する 必 要 がある 2 譲 渡 所 得 の 本 質 は,キャビタル ゲイン,すなわち 所 有 資 産 の 価 値 の 増 加 益 であって, 譲 渡 所 得 に 対 する 課 税 は, 資 産 が 譲 渡 によって 所 有 者 の 手 を 離 れ るのを 機 会 に,その 所 有 期 間 中 の 増 加 益 を 清 算 して 課 税 しようとするものである ( 最 高 裁 判 所 昭 和 43 年 10 月 31 日 第 一 小 法 廷 判 決 裁 判 集 民 事 92 号 797 頁, 最 高 裁 判 所 昭 和 47 年 12 月 26 日 第 三 小 法 廷 判 決 民 集 26 巻 10 号 208 3 頁 参 照 ) このように 譲 渡 所 得 課 税 は 資 産 の 保 有 期 間 中 これを 使 用 する 利 益 を 考 慮 に 入 れるものではない また, 譲 渡 資 産 の 取 得 時 の 交 換 価 値 を 構 成 する 金 額, 譲 渡 資 産 の 価 値 を 増 加 させるのに 要 した 費 用 及 び 資 産 価 値 を 実 現 する 譲 渡 に 要 した 費 用 は, 課 税 対 象 利 益 であるキャビタル ゲインを 享 受 するために 不 可 欠 な 支 出 であ り, 総 収 入 金 額 のうちこの 部 分 に 担 税 力 を 見 出 すことはできない そこで, 譲 渡 所 得 の 金 額 は, 譲 渡 所 得 に 係 る 総 収 入 金 額 からその 譲 渡 所 得 の 基 因 となった 資 産 の 取 得 費 及 び 譲 渡 費 用 の 合 計 額 を 控 除 し,その 残 額 の 合 計 額 から 譲 渡 所 得 の 特 別 控 除 額 を 控 除 した 金 額 とされ( 所 得 税 法 33 条 3 項 ),この 資 産 の 取 得 費 とは, 当 該 資 産 が 時 の 経 過 により 減 価 する 資 産 ( 減 価 資 産 )でないときはその 資 産 の 取 得 に 要 した 金 額 並 びに 設 備 費 及 び 改 良 費 の 合 計 額 をいい, 譲 渡 資 産 が 減 価 資 産 であるときは,その 合 計 額 からその 保 有 期 間 中 の 減 価 の 額 を 控 除 した 金 額 とされている( 同 法 38 条 ) なお, その 資 産 の 取 得 に 要 した 金 額 には, 当 該 資 産 の 客 観 的 価 値 を 構 成 すべき 取 得 代 価 のほか, 当 該 資 産 を 取 得 するための 付 随 費 用 も 含 まれると 解 されるが,その 文 理 に 即 して 考 えれば,この 付 随 費 用 も, 当 該 資 産 の 取 得 に 通 常, 必 要 不 可 欠 な 費 用 と 解 すべきであり, 当 該 資 産 の 取 得 に 際 して 支 出 された 費 用 であ っても,それを 利 用 するための 維 持, 管 理 に 必 要 な 費 用 を 含 まないと 解 すべきであ る 三 本 件 借 入 金 利 子 について 1 本 件 借 入 金 利 子 は, 控 訴 人 らが 支 払 った 本 件 土 地 を 取 得 するための 借 入 金 に 係 る 利 子 のうち 平 成 2 年 2 月 1 日 から 平 成 3 年 9 月 30 日 までの 間 に 係 る 部 分 である そこで, 固 定 資 産 を 取 得 するために 借 り 入 れた 資 金 の 利 子 がその 固 定 資 産 を 譲 渡 した 場 合 の 譲 渡 所 得 の 金 額 の 計 算 上 控 除 する 取 得 費 に 算 入 されるか 否 かに

ついて 検 討 する ( 一 ) 固 定 資 産 を 購 入 する 者 が,その 購 入 資 金 を 借 入 れにより 賄 う 場 合 には, 借 入 金 の 利 子 の 支 払 が 必 要 となるが,この 利 子 をもって, 当 該 固 定 資 産 を 取 得 するための 取 得 代 価 又 は 付 随 費 用 ということはできない なぜならば, 購 入 資 金 の 借 入 金 利 子 が 取 得 代 価 を 構 成 しないことは 明 らかであり,また, 購 入 資 金 の 調 達 方 法 を 借 入 金 によるか 自 己 資 金 によるか,いくらまでを 借 入 金 によるかは 購 入 者 の 有 する 資 産 の 全 般 的 運 用 に 関 する 判 断 によるものであり, 固 定 資 産 の 取 得 に 当 然 に 借 入 れが 付 随 する 関 係 にはないから, 一 般 に, 上 記 借 入 金 の 利 子 が 当 該 固 定 資 産 を 取 得 するための 付 随 費 用 ということもできない このことは, 購 入 資 金 に 相 当 する 金 銭 を 別 途 運 用 しながら 購 入 資 金 を 借 り 入 れる 場 合,あるいは, 当 該 土 地 の 購 入 資 金 を 自 己 資 金 で 賄 ったが 故 に, 資 金 需 要 が 逼 迫 し, 購 入 資 金 相 当 額 を 借 り 入 れる 場 合 を 想 定 対 比 してみれば 明 らかである したがって, 上 記 借 入 金 の 利 子 は, 原 則 として 譲 渡 所 得 の 金 額 の 計 算 上, 所 得 税 法 38 条 1 項 にいう 資 産 の 取 得 に 要 した 金 額 に 該 当 しないものと 解 すべきである さらに, 融 資 により 不 動 産 を 取 得 した 場 合 の 借 入 金 の 利 子 などのよ うに, 不 動 産 の 取 得 後 に,その 不 動 産 に 関 連 して 支 出 した 種 々の 金 員 を 無 限 定 に 当 該 不 動 産 の 取 得 費 に 算 入 することを 許 すと,その 支 出 の 原 因 となる 契 約 の 内 容, 締 結 時 期 等, 当 事 者 が 任 意 に 定 め 得 る 事 柄 によって 取 得 費 の 額 が 左 右 されることとな る また, 有 価 証 券 を 売 却 したり, 預 貯 金 を 取 り 崩 して 不 動 産 を 取 得 した 者 も,こ れらによる 将 来 の 見 込 利 益 を 喪 失 しているわけであるが,この 見 込 み 利 益 を 取 得 費 に 算 入 する 余 地 はないことと 対 比 すれば, 借 入 利 子 を 取 得 費 とするときは, 種 々の 立 場 の 者 につき 公 正 な 課 税 を 行 うことが 困 難 になるといわざるを 得 ない ( 二 ) もっとも, 個 人 が 不 動 産 を 取 得 する 場 合 などには, 一 般 的 には, 資 産 運 用 上 の 配 慮 よりも 購 入 資 金 の 不 足 が 借 入 れの 原 因 となっており,その 借 入 れ なくしては 当 該 資 産 を 取 得 することができない 関 係 にある また, 資 産 を 取 得 した としても 即 座 に 当 該 資 産 を 使 用 することができるとは 限 らず, 当 該 資 産 の 使 用 を 開 始 するまでに 多 少 なりとも 時 間 がかかる 場 合 があり 得 る このような 場 合, 資 産 を 使 用 することなく 利 子 の 支 払 を 余 儀 なくされるところ, 即 座 に 利 用 可 能 な 状 態 で 資 産 を 購 入 した 場 合 には 利 用 利 益 のための 費 用 と 解 することができ, 不 動 産 所 得 等 に あってはその 金 額 の 計 算 上 は, 必 要 費 用 に 算 入 することができることと 比 べて, 課 税 上 の 均 衡 を 失 することになる さらに, 資 産 を 譲 渡 する 者 が, 取 得 する 者 の 意 向 に 沿 って, 時 間 と 手 間 を かけて 即 座 に 利 用 可 能 な 状 態 で 資 産 を 譲 り 渡 した 場 合,これらの 費 用 を 含 めて 取 得 代 価 の 額 が 形 成 され,これらの 費 用 が 資 産 の 取 得 に 要 した 費 用 を 構 成 すること との 均 衡 を 図 る 必 要 もある このような 関 係 からすると, 譲 受 人 が 使 用 していない 固 定 資 産 を 取 得 する 場 合 には,その 資 産 の 使 用 を 開 始 し 得 るまでの 期 間 に 対 応 する 借 入 金 利 子 は, 通 常 必 要 と 認 められる 範 囲 で, 当 該 資 産 をその 取 得 に 係 る 用 途 に 供 する 上 で 必 要 な 準 備 費 用 と 解 する 余 地 が 生 ずる この 場 合 に, 使 用 を 開 始 し 得 る 時 期 の 認 定 の 不 安 定 さを 避 け, 課 税 の 公 平 を 保 持 するとの 観 点 から,その 資 産 の 使 用 を 開 始 する までの 期 間 に 対 応 する 借 入 金 利 子 を 当 該 資 産 を 取 得 するための 付 随 費 用 に 当 たるも のとして, 所 得 税 法 38 条 1 項 にいう 資 産 の 取 得 に 要 した 費 用 に 含 まれると 解 することも 所 得 税 法 の 趣 旨 に 合 致 するものということができる しかし,この 取 扱 いは, 借 入 金 利 子 負 担 の 費 用 への 配 分 という 観 点 から, 同 項 にいう 資 産 の 取 得 に 要 した 費 用 の 範 囲 を 拡 大 して 処 理 するものであ り, 当 該 資 産 の 使 用 の 有 無 ないし 使 用 開 始 の 日 を 判 断 するに 当 たっては,その 使 用 方 法 が 当 該 資 産 の 価 値 に 見 合 う 収 益 を 生 ずるものであるか 否 か, 取 得 者 が 当 該 資 産 を 取 得 した 目 的 や 資 産 の 利 用 方 法 に 関 する 意 図 等, 取 得 者 の 主 観 的 な 事 情 を 考 慮 す ることなく, 客 観 的 に 使 用 の 有 無 ないし 使 用 開 始 の 日 を 認 定 するのが 相 当 であ る 資 産 をどのように 利 用 するかは, 利 用 者 の 自 由 にまかされていることであるか ら, 譲 渡 所 得 の 算 定 に 当 たり 使 用 方 法 の 内 容 に 立 ち 入 ることは 相 当 ではなく,ま た, 取 得 者 の 主 観 的 事 情 によって, 当 該 資 産 取 得 のための 借 入 金 の 利 子 が 取 得 費 に 算 入 できるか 否 かが 異 な り 得 ることとなれば, 当 該 資 産 の 使 用 開 始 可 能 性 を 判 断 する 場 合 以 上 に, 課 税 をめ ぐる 法 律 関 係 の 安 定 性 や 租 税 負 担 の 公 平 を 損 なう 結 果 となるからである ( 三 ) また, 譲 受 人 が 借 入 金 により 取 得 した 固 定 資 産 を 取 得 した 当 初 か ら 使 用 していた 場 合 や, 取 得 した 当 初 は 未 使 用 であったが,その 後 いったん 使 用 し

始 めた 後 に 譲 渡 した 場 合 には,その 固 定 資 産 について 使 用 開 始 後 譲 渡 の 日 までの 間 に 使 用 しなかった 中 断 期 間 があったとしても,その 使 用 しなかった 期 間 に 対 応 する 借 入 金 の 利 子 とその 資 産 の 取 得 との 間 に 前 記 ( 二 )に 判 示 したような 関 係 があるとは 認 め 難 い また, 使 用 開 始 をした 後 に, 使 用 の 中 断 が 生 じ,その 後, 当 該 固 定 資 産 の 利 用 状 況 が 変 更 されたからといって,その 変 更 後 の 状 態 によって 借 入 金 の 利 子 を 取 得 費 に 算 入 すべきであるとする 合 理 的 な 理 由 も 認 められない したがって, 借 入 金 により 固 定 資 産 を 取 得 した 場 合 であっても, 当 初 から 使 用 中 の 固 定 資 産 であったり,あるいは,いったん 使 用 を 開 始 した 場 合 に は, 使 用 の 中 断 期 間 があったとしても, 使 用 開 始 後 譲 渡 までの 日 の 期 間 に 対 応 する 借 入 金 の 利 子 は, 原 則 どおり,その 固 定 資 産 の 取 得 費 又 は 取 得 価 額 に 算 入 すべきで はない (4) 同 57 頁 10 行 目 の 4 を 2 に, 同 58 頁 3 行 目 の 5 を 3 に, 同 22 行 目 の 6 を 4 に, 同 59 頁 3 行 目 の 三 を 四 に 改 める (5) 同 60 頁 2 行 目 冒 頭 から 同 頁 9 行 目 末 尾 までを 次 のとおり 改 める 4 控 訴 人 らは, 本 件 公 租 公 課 は, 本 件 土 地 を 取 得 し, 本 件 建 物 を 建 て, 譲 渡 に 係 る 資 産 である 本 件 信 託 受 益 権 を 取 得 するための 準 備 費 用 ということがで き, 当 該 不 動 産 を 取 得 するための 付 随 費 用 に 当 たるものとして, 資 産 の 取 得 に 要 した 金 額 に 含 まれる 旨 主 張 する しかし, 控 訴 人 らは, 本 件 土 地 を 取 得 した 結 果 として, 本 件 建 物 の 建 築 期 間 を 含 めて 本 件 公 租 公 課 を 負 担 することになったのであって, 本 件 信 託 受 益 権 を 取 得 するための 準 備 費 用 として 本 件 公 租 公 課 を 負 担 したのではない 控 訴 人 らの 上 記 主 張 は, 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 の 性 質 を 無 視 した 独 自 の 主 張 をするもので あって, 採 用 することができない (6) 同 60 頁 13 行 目 冒 頭 から 同 63 頁 11 行 目 末 尾 までを 次 のとおり 改 め る 四 本 件 各 登 録 免 許 税 について 1 業 務 の 用 に 供 される 資 産 の 取 得 に 伴 い 支 出 された 登 録 免 許 税 が, 当 該 資 産 を 譲 渡 した 場 合 の 譲 渡 所 得 の 計 算 上, 取 得 費 に 含 まれるか 否 かについて 検 討 す る 2 所 得 税 法 38 条 1 項 に 規 定 する 資 産 の 取 得 費 のうち その 資 産 の 取 得 に 要 した 金 額 には, 当 該 資 産 の 客 観 的 価 値 を 構 成 すべき 取 得 代 価 のほか, 当 該 資 産 を 取 得 するために 通 常, 必 要 不 可 欠 な 付 随 費 用 も 含 まれることは 既 に 説 示 したと おりである 不 動 産 所 有 権 を 取 得 した 場 合 の 所 有 権 の 移 転 登 記 は, 一 般 に, 所 有 権 の 取 得 に 関 する 費 用 ということができるが, 他 方 で, 所 有 者 としての 不 動 産 利 用 の 前 提 となる 手 続 ということもできる その 意 味 で, 所 得 税 法 上, 登 録 免 許 税 を 各 種 所 得 の 必 要 経 費 として 扱 うか, 譲 渡 所 得 における 取 得 費 における 付 随 費 用 として 扱 うかは, 文 言 及 び 課 税 の 公 平 をも 考 慮 した 判 断 を 要 するものといえる 取 得 に 要 した との 文 言 からは, 取 得 費 用 は, 通 常,その 費 用 なし では 当 該 資 産 を 取 得 することができないか, 著 しく 困 難 になるような 費 用 であり, 当 該 資 産 を 取 得 した 後 の 権 利 の 確 保 に 関 する 費 用 を 含 まないと 解 されるから, 対 抗 要 件 としての 登 記, 登 録 に 係 る 登 録 免 許 税 は, 譲 渡 所 得 における 取 得 費 には 含 まれ ず,むしろ, 不 動 産 所 得, 事 業 所 得 等 を 生 ずべき 業 務 について 生 じた 費 用 ( 所 得 税 法 37 条 1 項 )と 解 することが 文 理 に 沿 うものということができる ただし, 当 該 不 動 産 が 業 務 用 資 産 ではなく, 当 該 不 動 産 について 不 動 産 所 得, 事 業 所 得 等 が 生 じ ない 場 合 には,これらの 所 得 における 必 要 経 費 とする 余 地 はないから, 課 税 の 公 平 の 観 点 からも, 当 該 資 産 が 譲 渡 されたときは, 付 随 費 用 として,その 譲 渡 所 得 にお ける 取 得 費 に 含 めるこ とが 合 理 的 である 3 ところで, 所 得 税 基 本 通 達 37-5は, 業 務 の 用 に 供 される 資 産 に 係 る 固 定 資 産 税, 登 録 免 許 税 ( 登 録 に 要 する 費 用 を 含 み,その 資 産 の 取 得 価 額 に 算 入 されるものを 除 く ), 不 動 産 取 得 税, 地 価 税, 特 別 土 地 保 有 税, 事 業 所 税, 自 動 車 取 得 税 等 は, 当 該 業 務 に 係 る 各 種 所 得 の 金 額 の 計 算 上 必 要 経 費 に 算 入 する とし, 同 通 達 38-9は, 固 定 資 産 ( 業 務 の 用 に 供 されるものを 除 く 以 下 この 項 において 同 じ )に 係 る 登 録 免 許 税 ( 登 録 に 要 する 費 用 を 含 む ), 不 動 産 取 得 税 等 固 定 資 産 の 取 得 に 伴 い 納 付 することとなる 租 税 公 課 は, 当 該 固 定 資 産 の 取 得 費 に 算 入 する としている これは, 個 人 の 非 業 務 用 資 産 については,1 取 得 費 に 含 まれない 支 出 は, 家 事 費 として, 各 種 所 得 金 額 の 計 算 上, 控 除 することができな

いこと,2 非 業 務 用 資 産 として 取 得 したとしてもその 後 業 務 用 資 産 に 転 用 されることがあり 得 ること,3 企 業 会 計 上 の 扱 いや 法 人 税 における 取 扱 いに 照 らせば, 非 業 務 用 の 固 定 資 産 の 登 録 免 許 税 を 取 得 費 に 加 えないことについての 不 公 平 感 も 否 定 し 難 いところがあること などから, 通 達 において 譲 渡 所 得 の 計 算 上, 取 得 費 に 算 入 することとし, 取 得 費 の 範 囲 を 政 策 的 に 拡 大 しているものと 考 えられ,これを 違 法 というべきではないが, この 政 策 的 な 取 得 費 の 拡 大 を 原 則 とし, 業 務 の 用 に 供 される 資 産 についても, 上 記 登 録 免 許 税 が 取 得 費 に 含 まれると 解 すべきものではない 4 減 価 償 却 資 産 の 譲 渡 所 得 における 取 得 費 については, 資 産 の 取 得 に 要 した 金 額 並 びに 設 備 費 及 び 改 良 費 の 合 計 額 に 相 当 する 金 額 から 業 務 の 用 に 供 されて いた 期 間 の 償 却 費 の 額 の 累 計 及 びその 余 の 期 間 の 減 価 の 額 の 合 計 額 を 控 除 したもの とされ( 所 得 税 法 38 条 2 項 ), 所 得 税 法 施 行 令 126 条 1 項 の 規 定 は, 不 動 産 所 得, 事 業 所 得 等 の 必 要 経 費 に 算 入 すべき 償 却 費 の 計 算 における 取 得 価 額 につき 当 該 資 産 の 購 入 の 代 価 に 購 入 のために 要 した 費 用 を 加 算 した 金 額 と 規 定 する したがっ て, 減 価 償 却 資 産 については, 譲 渡 所 得 において 控 除 される 取 得 費 と 不 動 産 所 得, 事 業 所 得 等 の 必 要 経 費 に 算 入 すべき 償 却 費 の 計 算 における 取 得 価 額 との 間 に 解 釈 の 不 一 致 を 生 じないような 解 釈 をとるべきである この 点 につき, 資 産 の 取 得 価 額 に 算 入 される 登 録 免 許 税 に 関 する 所 得 税 基 本 通 達 49-3は, 減 価 償 却 資 産 に 係 る 登 録 免 許 税 ( 登 録 を 要 する 費 用 を 含 む )をその 資 産 の 取 得 価 額 に 算 入 するかどうかについては, 次 による (1) 特 許 権, 鉱 業 権 のように 登 録 により 権 利 が 発 生 する 資 産 に 係 るものは, 取 得 価 額 に 算 入 する (2) 船 舶, 航 空 機, 自 動 車 のように 業 務 の 用 に 供 するについて 登 録 を 要 する 資 産 に 係 るものは, 取 得 価 額 に 算 入 しないことができる (3) (1) 及 び(2) 以 外 の 資 産 に 係 るものは, 取 得 価 額 に 算 入 しない としている すなわち, 登 録 が 単 に 対 抗 要 件 に 止 まらず 権 利 の 取 得 要 件 とされる(1)の 資 産 については, 取 得 価 額 に 算 入 し た 上, 償 却 費 として 経 費 化 され, 上 記 (2)の 業 務 の 用 に 供 するについて 登 録 を 要 する 資 産 について 支 出 した 登 録 免 許 税 も, 単 なる 対 抗 要 件 に 止 まらず,その 支 出 が 資 産 取 得 のためにされ, 業 務 の 用 に 供 されるためのものであるから, 本 来 取 得 価 額 に 算 入 すべきであるが,その 支 出 が 資 産 の 取 得 後 にされることを 考 慮 し, 取 得 価 額 に 算 入 するか 否 かを 納 税 者 の 選 択 に 任 せることとし, 事 務 所 店 舗 等 の 不 動 産 の 所 有 権 保 存 登 記 等 の 登 録 免 許 税 のように(3)に 属 するものは, 業 務 上 の 維 持 管 理 上 の 費 用 に 属 するものであり, 取 得 価 額 に 算 入 する 性 質 のものではないから, 全 額 必 要 経 費 に 算 入 することとされてお り, 上 記 説 示 とも 一 致 する 5 なお, 法 人 税 法 における 減 価 償 却 資 産 の 取 得 価 額 についての 法 人 税 法 施 行 令 54 条 の 規 定 は, 上 記 の 所 得 税 法 施 行 令 126 条 1 項 の 規 定 と 同 様 の 規 定 ぶ りでありながら, 減 価 償 却 費 の 計 算 における 取 得 価 額 に 登 録 免 許 税 を 含 めることが できると 解 されている これは, 法 人 税 においては, 所 得 税 のように 各 種 所 得 ごと に 収 入, 必 要 経 費 等 を 規 定 し, 各 種 所 得 間 の 課 税 の 矛 盾 を 回 避 するという 方 式 では なく, 所 得 の 性 質 や 発 生 原 因 による 区 別 を 設 けることなく, 各 事 業 年 度 の 益 金 の 額 から 損 金 の 額 を 控 除 した 所 得 を 課 税 標 準 としていること( 法 人 税 法 21 条,22 条 1 項 ), 並 びに 収 益 及 び 損 金 に 算 入 すべき 金 額 は 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 会 計 処 理 の 基 準 により 計 算 することとするところ( 同 条 4 項 ), 企 業 会 計 上, 減 価 償 却 資 産 の 取 得 価 額 には, 付 随 費 用 を 含 むとされていることから, 付 随 費 用 に 含 まれるものとして, 登 録 免 許 税 等 を 資 産 の 取 得 価 額 に 含 めることも 認 められているのである このような 法 人 税 法 と 所 得 税 法 との 違 いを 考 慮 すれば, 法 人 税 法 上 費 用 とすることができるからとい って, 所 得 税 法 上 も 取 得 費 とすることができるという 根 拠 にはならない 6 平 成 4 年 最 高 裁 判 決 は 資 産 の 取 得 に 要 した 金 額 につき, 当 該 資 産 の 客 観 的 価 格 を 構 成 すべき 取 得 代 金 の 額 のほか, 登 録 免 許 税, 仲 介 手 数 料 等 当 該 資 産 を 取 得 するための 付 随 費 用 の 額 も 含 まれる と 判 示 するが, 同 判 決 は, 個 人 の 居 住 の 用 に 供 される 不 動 産 を 取 得 するための 借 入 金 の 利 子 が, 当 該 不 動 産 の 譲 渡 に よる 譲 渡 所 得 の 金 額 の 計 算 上, 総 収 入 金 額 から 控 除 されるべき 取 得 費 に 該 当 するか 否 かが 争 点 となった 事 件 に 関 するものであって, 業 務 の 用 に 供 される 不 動 産 を 取 得 した 際 に 支 出 された 登 録 免 許 税 についての 判 断 を 示 すものではなく, 上 記 判 断 に 影 響 を 与 えるものではない (7) 同 63 頁 12 行 目 の 5 を 7 に 改 める (8) 同 64 頁 13 行 目 の 本 件 土 地 の 次 に ないし 本 件 信 託 受 益 権 を 加

え, 同 14 行 目 の 6 を 8 に 改 める 2 当 審 における 控 訴 人 らの 主 張 に 対 する 判 断 (1) 譲 渡 所 得 の 計 算 上, 取 得 費 を 控 除 するのは, 資 産 の 譲 渡 に 係 る 増 加 益 を 含 む 総 収 入 金 額 から 担 税 力 を 増 加 させる 経 済 的 利 得 に 該 当 しない 部 分 の 金 額 を 控 除 する 趣 旨 であることは 控 訴 人 らの 指 摘 するとおりであるが, 資 産 の 増 加 益 を 離 れ て, 納 税 者 の 担 税 力 あるいは 純 資 産 を 減 少 させる 支 出 が 控 除 されるべき 取 得 費 に 含 まれるものではない 論 旨 は, 担 税 力 あるいは 純 資 産 の 減 少 という 一 般 的 概 念 をも って, 資 産 の 取 得 に 要 する 費 用 を 論 ずるものであり, 文 理 に 沿 わないばかりか, 各 種 所 得 の 性 質 及 びそれに 基 づく 計 算 方 法 の 区 分,ひいては, 取 得 費 と 必 要 経 費 との 区 別 をあいまいにするものであって, 採 用 することができない (2) 信 託 は, 信 託 譲 渡 により 受 託 者 の 所 有 名 義 とされた 財 産 を 信 託 目 的 に 従 い, 受 託 者 が 管 理, 処 分 し, 信 託 期 間 中 は 信 託 収 益 を 生 ずべき 財 産 として 管 理 し, 信 託 終 了 時 には 信 託 契 約 に 定 める 者 又 は 委 託 者 に 返 還 することを 趣 旨 とする 契 約 で あり, 信 託 財 産 については, 受 託 者 への 信 託 財 産 の 譲 渡, 信 託 財 産 の 受 託 者 財 産 か らの 独 立 性 といった 信 託 契 約 に 特 有 の 性 質 を 有 するが, 信 託 財 産 からの 収 益 という 点 では, 信 託 収 益 は 信 託 財 産 に 関 する 管 理 委 託 契 約 から 生 ずる 資 産 収 入 としての 実 質 を 有 し,また, 信 託 受 益 権 は 信 託 契 約 上 から 生 ずる 債 権 であるが, 信 託 財 産 の 返 還 請 求 権 者 が 受 益 者 である 場 合 の 信 託 受 益 権 の 譲 渡 は, 実 質 的 には, 収 益 管 理 契 約 上 の 債 権 債 務 が 付 随 した 信 託 財 産 の 譲 渡 ということができる 所 得 税 法 は,このよ うな 信 託 の 基 本 的 な 性 格 を 踏 まえ, 同 法 13 条 1 項 ただし 書 に 定 める 信 託 を 除 き, 信 託 財 産 に 帰 せられる 収 入 支 出 につき, 受 益 者 が 特 定 している 場 合 には 受 益 者 が 信 託 財 産 を 有 するもの とみなして 所 得 税 法 の 規 定 を 適 用 する 旨 規 定 する すなわち, 受 益 者 が 特 定 してい る 場 合 には, 受 益 者 が 信 託 財 産 を 有 して, 信 託 財 産 からの 収 入 を 得, 信 託 財 産 への 支 出 をしたものとして, 所 得 税 法 の 規 定 が 適 用 される したがって, 信 託 財 産 の 譲 渡 による 譲 渡 所 得 については, 譲 渡 に 係 る 所 得 も 譲 渡 にかかる 取 得 費, 譲 渡 費 用 も 受 益 者 に 帰 属 するものとして 譲 渡 所 得 の 計 算 がされることになるし, 信 託 受 益 権 の 譲 渡 も, 所 得 課 税 の 原 因 は, 原 則 として, 信 託 財 産 の 譲 渡 と 解 すべきことになる 既 に 認 定 したとおり, 控 訴 人 ら 及 びP3は, 控 訴 人 らが 所 有 していた 本 件 土 地 上 に 本 件 建 物 を 建 築 し,これを 賃 貸 管 理 することを 趣 旨 として, 安 田 信 託 との 間 において, 控 訴 人 ら 及 びP3を 委 託 者, 安 田 信 託 を 受 託 者 として, 本 件 信 託 契 約 を 締 結 し,さらに, 控 訴 人 ら 及 びP3を 受 益 者 として,1 本 件 信 託 財 産 及 び 本 件 信 託 財 産 に 関 して 取 得 した 敷 金 入 居 保 証 金 等,2 信 託 された 金 銭,3 本 件 信 託 財 産 の 代 償 として 取 得 した 財 産,4 借 入 金 債 務 及 び 本 件 信 託 財 産 の 賃 貸 に 関 して 受 入 れ た 敷 金 入 居 保 証 金 等 の 返 還 債 務,5その 他 これらに 準 ずる 資 産 及 び 債 務 を 信 託 元 本 とし, 本 件 信 託 財 産 より 生 ずる 賃 貸 料 及 び 信 託 財 産 に 属 する 金 銭 の 運 用 により 生 ずる 利 益 等 を 信 託 の 収 益 とする 本 件 信 託 受 益 権 を 設 定 し, 本 件 信 託 財 産 は 受 託 者 で ある 安 田 信 託 が 引 き 続 き 有 していたところ, 控 訴 人 ら 及 びP3が 本 件 信 託 受 益 権 を 譲 渡 したものであ る そうすると, 控 訴 人 らによる 本 件 信 託 受 益 権 の 譲 渡 に 係 る 取 得 費 の 計 算 に ついては, 信 託 の 設 定 により 委 託 者 から 受 託 者 へ 移 転 し,その 受 託 者 が 引 き 続 き 有 しているものである 本 件 土 地 に 関 しては, 控 訴 人 らが 本 件 土 地 を 引 き 続 き 有 してい るものとして, 所 得 税 法 38 条 の 規 定 を 適 用 して 計 算 することとなるから, 譲 渡 所 得 に 係 る 取 得 費 も, 本 件 信 託 受 益 権 を 取 得 するまでの 準 備 費 用 等 としてではなく, 本 件 土 地 の 取 得 費 として 検 討 すべきものである したがって, 本 件 信 託 受 益 権 を 固 有 の 譲 渡 資 産 とし,これを 取 得 するための 付 随 費 用 として 取 得 費 の 算 入 を 検 討 すべ き 旨 の 控 訴 人 らの 主 張 は 採 用 できない 3 よって, 原 判 決 は 相 当 であり, 控 訴 人 らの 本 件 控 訴 は 理 由 がないのでいずれ も 棄 却 することとして, 主 文 のとおり 判 決 する 東 京 高 等 裁 判 所 第 11 民 事 部 裁 判 長 裁 判 官 富 越 和 厚 裁 判 官 桐 ヶ 谷 敬 三

裁 判 官 佐 藤 道 明