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1 この 資 料 は 財 務 省 主 税 局 が 事 業 承 継 税 制 に 係 る 説 明 会 用 に 作 成 した 資 料 を 基 に 国 税 庁 資 産 課 税 課 において 編 集 したものです 2 事 業 承 継 税 制 についての 理 解 を 深 めていただくために ご 活 用 ください

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2009 年 2 月 新 日 本 アーンスト アンド ヤング 税 理 士 法 人 日 本 Newsletter 平 成 21 年 度 税 制 改 正 における 事 業 承 継 税 制 のポイント 新 たな 公 益 法 人 制 度 と 税 制 ( 上 ) Contents 平 成 21 年 度 税 制 改 正 における 事 業 承 継 税 制 のポイント Ⅰ. 非 上 場 株 式 等 に 係 る 相 続 税 の 納 税 猶 予 制 度 Ⅱ. 非 上 場 株 式 等 に 係 る 贈 与 税 の 納 税 猶 予 制 度 Ⅲ. その 他 事 業 承 継 税 制 に 係 る 主 要 項 目 新 たな 公 益 法 人 制 度 と 税 制 ( 上 ) Ⅰ. 公 益 法 人 制 度 の 改 革 の 概 要 Ⅱ. 新 公 益 法 人 制 度 の 概 要 本 号 においては 平 成 21 年 度 税 制 改 正 において 新 たに 制 度 化 される 事 業 承 継 税 制 についてご 紹 介 致 します この 事 業 承 継 税 制 は 株 式 の 相 続 だけでなく 生 前 贈 与 に 伴 う 後 継 者 の 納 税 を 猶 予 することにより 中 小 企 業 の 事 業 承 継 の 円 滑 化 を 通 じた 雇 用 の 確 保 や 地 域 経 済 活 力 の 維 持 を 図 る 観 点 から 導 入 されるものです さらに 本 号 においては 新 たな 公 益 法 人 制 度 についての 概 要 についてご 紹 介 致 します 我 が 国 の 従 来 の 公 益 法 人 制 度 は 民 法 制 定 以 来 110 年 にわたり 制 度 の 基 本 的 な 見 直 しがされず 様 々な 問 題 が 指 摘 されてきました これらの 諸 問 題 を 解 決 す るために 抜 本 的 な 見 直 しが 行 なわれ 平 成 20 年 12 月 1 日 より 公 益 法 人 に 関 す る 新 たな 法 律 が 施 行 されています 本 号 においては 公 益 法 人 制 度 改 革 の 経 緯 と 新 制 度 の 概 要 について 解 説 しています

平 成 21 年 度 税 制 改 正 における 事 業 承 継 税 制 のポイント 事 業 承 継 が 厳 しい 状 況 となっている 中 小 企 業 に 対 し 株 式 の 相 続 のみならず 生 前 贈 与 に 伴 う 後 継 者 の 納 税 を 猶 予 し 事 業 承 継 の 一 層 の 円 滑 化 を 支 援 する 観 点 から 平 成 21 年 度 税 制 改 正 により 事 業 承 継 税 制 が 制 度 化 されることと なります 具 体 的 には 事 業 承 継 税 制 の 創 設 の 柱 として 1 非 上 場 株 式 等 に 係 る 相 続 税 の 納 税 猶 予 制 度 の 創 設 ( 平 成 20 年 10 月 1 日 以 後 の 相 続 から 遡 及 適 用 )に 加 えて 一 定 の 要 件 に 該 当 する 自 社 株 を 親 族 に 対 して 一 括 で 生 前 贈 与 する 場 合 の2 非 上 場 株 式 等 に 係 る 贈 与 税 の 納 税 猶 予 制 度 も 創 設 ( 平 成 21 年 4 月 以 後 の 贈 与 から 適 用 )されることに なります 制 度 のポイントは あくまでも 納 税 の 猶 予 である( 税 額 軽 減 ではない)ことと 後 継 者 は 発 行 会 社 について 1 人 のみで あり 後 継 者 以 外 の 相 続 人 等 に 税 負 担 軽 減 の 効 果 は 及 ばないことです この 事 業 承 継 税 制 は 平 成 20 年 度 税 制 改 正 大 綱 に 平 成 21 年 度 改 正 において 制 度 化 することが 明 記 されていまし た 今 回 の 平 成 21 年 度 改 正 では 当 初 創 設 が 予 定 されていた 相 続 税 に 併 せて 贈 与 税 についても 制 度 化 されたこと から 各 制 度 を 組 み 合 わせることも 可 能 となり 今 後 の 使 い 勝 手 のよさに 期 待 が 持 たれています なお 平 成 20 年 度 税 制 改 正 大 綱 では この 事 業 承 継 税 制 の 創 設 に 併 せて 相 続 税 の 税 額 計 算 方 式 の 抜 本 的 な 見 直 し( 法 定 相 続 分 課 税 方 式 から 遺 産 取 得 課 税 方 式 )についても 記 述 がありましたが 今 回 の 平 成 21 年 度 改 正 ではこち らは 見 送 られ 事 業 承 継 税 制 のみが 租 税 特 別 措 置 法 に 新 たに 創 設 されることになります 以 下 は 国 会 に 提 出 された 税 制 改 正 法 案 が 成 立 することを 前 提 に その 内 容 をご 紹 介 します 2

事 業 承 継 税 制 の 全 体 像 は 以 下 の 通 りです 生 前 贈 与 により 株 式 の 承 継 を 行 っていくケース 経 営 者 1 代 目 1 代 目 の 経 営 者 の 死 亡 経 営 者 2 代 目 一 括 贈 与 大 臣 認 定 贈 与 税 の 課 税 大 臣 認 定 1 贈 与 税 の 猶 予 税 額 の 免 除 + 2 相 続 税 の 課 税 贈 与 税 の 納 税 猶 予 の 適 用 3 相 続 税 の 納 税 猶 予 の 適 用 経 営 者 3 代 目 相 続 税 の 納 税 猶 予 制 度 と 同 様 雇 用 確 保 を 含 む5 年 間 の 事 業 継 続 を 行 い その 後 も 株 式 を 継 続 保 有 1 贈 与 税 の 猶 予 税 額 を 免 除 2 1 代 目 から 2 代 目 に 相 続 があったものとみなして 相 続 税 を 課 税 3 2で 課 税 された 相 続 税 を 納 税 猶 予 ( ) 5 年 間 の 事 業 継 続 は 課 されないが 株 式 の 継 続 保 有 等 の 要 件 を 満 たすことが 必 要 ( ) 生 前 贈 与 され 相 続 時 に 相 続 財 産 に 合 算 される 株 式 は 相 続 前 に 既 に 保 有 していた 議 決 権 株 式 を 含 めて 発 行 済 完 全 議 決 権 株 式 総 数 の 2/3 に 達 するまでの 部 分 に 限 り 相 続 税 の 納 税 猶 予 は 80%に 対 応 する 税 額 の 納 税 を 猶 予 一 括 贈 与 後 継 者 が 贈 与 税 の 納 税 猶 予 の 適 用 を 受 けること 等 相 続 税 の 猶 予 税 額 の 免 除 大 臣 認 定 贈 与 税 の 課 税 贈 与 税 の 納 税 猶 予 の 適 用 (この 資 料 は 中 小 企 業 庁 平 成 21 年 度 税 制 改 正 の 概 要 を 参 照 して 作 成 しています ) Ⅰ. 非 上 場 株 式 等 に 係 る 相 続 税 の 納 税 猶 予 制 度 1. 概 要 経 営 承 継 円 滑 化 法 の 認 定 を 受 けた 中 小 企 業 の 後 継 者 (= 相 続 人 かつ 先 代 経 営 者 の 親 族 )が 相 続 等 により 経 済 産 業 大 臣 の 認 定 を 受 ける 非 上 場 会 社 の 株 式 を 取 得 し その 会 社 の 経 営 をしていく 場 合 には その 後 継 者 が 納 付 する 相 続 税 額 のうち その 株 式 ( 相 続 前 から 後 継 者 が 既 に 保 有 していた 株 式 を 含 め 発 行 済 み 株 式 総 数 の 2/3 に 達 する までの 部 分 )の 課 税 価 格 の 80%に 対 応 する 相 続 税 額 については その 後 継 者 の 死 亡 等 の 日 まで その 納 税 を 猶 予 するという 制 度 です この 適 用 を 受 けた 場 合 は 経 営 承 継 期 間 (= 事 業 継 続 期 間 申 告 期 限 の 翌 日 から 5 年 間 ) 内 は 毎 年 その 後 は 3 年 ごと に 税 務 署 長 に 継 続 届 出 書 を 提 出 して 納 税 猶 予 の 要 件 を 継 続 して 満 たしていることを 明 らかにする 必 要 があります 3

相 続 税 の 納 税 猶 予 制 度 の 概 要 は 以 下 の 通 りです [ 計 画 的 な 承 継 に 係 る 取 組 ] 計 画 的 な 承 継 に 係 る 取 組 ( 後 継 者 の 確 定 株 式 の 計 画 的 承 継 等 )に 関 する 経 済 産 業 大 臣 の 確 認 [ 後 継 者 の 要 件 ] 会 社 の 代 表 者 であること 先 代 経 営 者 の 親 族 であること 親 族 とは 16 親 等 の 血 族 ( 甥 姪 等 ) 2 配 偶 者 33 親 等 以 内 の 姻 族 ( 娘 婿 等 )である 先 代 経 営 者 と 同 族 関 係 者 で 発 行 済 議 決 権 株 式 総 数 の 50% 超 の 株 式 を 保 有 かつ 同 族 内 で 筆 頭 株 主 となる 場 合 (1つの 会 社 で 適 用 される 者 は1 人 ) [ 先 代 経 営 者 の 要 件 ] 会 社 の 代 表 者 であったこと 先 代 経 営 者 と 同 族 関 係 者 で 発 行 済 議 決 権 株 式 総 数 の 50% 超 の 株 式 を 保 有 かつ 同 族 内 で 筆 頭 株 主 であった 場 合 先 代 経 営 者 株 式 の 相 続 後 継 者 [ 事 業 継 続 要 件 ] 5 年 間 の 事 業 継 続 具 体 的 には 代 表 者 であること 雇 用 の8 割 以 上 を 維 持 相 続 した 対 象 株 式 の 継 続 保 有 [ 認 定 対 象 会 社 の 要 件 ] 中 小 企 業 基 本 法 の 中 小 企 業 であること ( 特 例 有 限 会 社 持 分 会 社 も 対 象 ) 非 上 場 会 社 であること 資 産 管 理 会 社 に 該 当 しないこと 等 会 社 認 定 経 済 産 業 大 臣 事 業 継 続 期 間 は 毎 年 1 回 その 後 は 3 年 毎 に 税 務 署 長 への 届 出 も 必 要 事 業 継 続 期 間 (5 年 間 ) [ 認 定 基 準 ] 先 代 経 営 者 後 継 者 及 び 会 社 に 係 る 要 件 等 に 該 当 して いるか 否 か チ事 ェ業 ッ継 ク続 の その 後 は 対 象 株 式 を 継 続 保 有 していれば 猶 予 が 継 続 され 次 の 場 合 に 相 続 税 の 猶 予 税 額 を 免 除 する 経 営 者 が 死 亡 した 場 合 会 社 が 破 産 又 は 特 別 清 算 した 場 合 対 象 株 式 の 時 価 が 猶 予 税 額 を 下 回 る 中 当 該 株 式 の 譲 渡 を 行 った 場 合 (ただし 時 価 を 超 え る 猶 予 税 額 のみ 免 除 ) 次 の 後 継 者 に 対 象 株 式 を 一 括 贈 与 した 場 合 この 資 料 は 中 小 企 業 庁 平 成 21 年 度 税 制 改 正 の 概 要 を 参 照 して 作 成 しています 2. 納 税 猶 予 税 額 の 算 出 方 法 納 税 猶 予 される 税 額 は 納 税 猶 予 の 対 象 となる 株 式 のみを 相 続 するとした 場 合 の 相 続 税 額 から その 株 式 の 20% のみを 相 続 するとした 場 合 の 相 続 税 額 を 控 除 した 差 額 の 税 額 となります なお 後 継 者 以 外 の 相 続 人 は 通 常 の 計 算 方 法 で 相 続 税 額 の 計 算 をするため この 特 例 適 用 の 影 響 はありません 3. 納 税 猶 予 税 額 の 免 除 後 継 者 が 対 象 株 式 を 死 亡 のときまで 保 有 し 続 けた 場 合 は その 全 額 の 納 付 が 免 除 されます また 事 業 継 続 期 間 である 5 年 経 過 後 は 対 象 株 式 を 継 続 保 有 していれば 原 則 として 納 税 猶 予 は 継 続 されますが 次 の 場 合 にはその 納 税 猶 予 税 額 が 免 除 されることが 具 体 化 されました 4

イ. 会 社 が 破 産 又 は 特 別 清 算 した 場 合 納 税 猶 予 税 額 は 免 除 されます ロ. 対 象 株 式 の 時 価 が 納 税 猶 予 税 額 を 下 回 る 中 事 業 を 継 続 するためその 株 式 を 譲 渡 した 場 合 納 税 猶 予 税 額 を 下 回 るほど 対 象 株 式 の 時 価 が 下 落 している 状 況 で その 株 式 を 譲 渡 した 場 合 におけ る 救 済 措 置 として 1 同 族 関 係 者 以 外 の 者 に 対 し2 保 有 株 式 の 全 部 を 譲 渡 した 場 合 には 納 税 猶 予 税 額 のうち 時 価 を 超 える 部 分 の 税 額 は 免 除 されます ハ. 次 の 後 継 者 に 対 象 株 式 を 贈 与 して 事 業 承 継 を 図 る 場 合 後 継 者 が 次 の 後 継 者 ( 経 営 者 の 親 族 )へ 対 象 株 式 を 一 括 贈 与 する 場 合 には 納 税 猶 予 税 額 は 免 除 されます ただし イ ロの 場 合 には 過 去 5 年 間 に 後 継 者 生 計 同 一 者 に 対 して 支 払 われた 配 当 過 大 役 員 給 与 等 に 相 当 する 額 は 免 除 されません 4. 納 税 猶 予 の 取 消 しと 納 税 猶 予 税 額 の 納 付 (1) 事 業 継 続 期 間 (5 年 間 ) 内 この 期 間 内 にその 後 継 者 が 経 営 者 でなくなる 等 認 定 の 取 消 事 由 となる 事 実 が 生 じた 場 合 には 納 税 猶 予 税 額 の 全 額 を 相 続 税 の 法 定 申 告 期 限 からの 利 子 税 とともに 納 付 しなければなりません (2) 上 記 期 間 経 過 後 対 象 株 式 を 譲 渡 等 した 場 合 には 譲 渡 等 した 株 式 数 の 割 合 に 応 じた 納 税 猶 予 税 額 を 相 続 税 の 法 定 申 告 期 限 からの 利 子 税 とともに 納 付 することとなります 5. 担 保 の 提 供 納 税 猶 予 の 適 用 を 受 けるためには 原 則 として 対 象 株 式 のすべてを 担 保 として 提 供 しなければなりません 6. 租 税 回 避 行 為 への 対 応 (1) 本 制 度 の 対 象 とならない 資 産 保 有 型 会 社 (= 有 価 証 券 不 動 産 現 預 金 等 の 合 計 額 (= 特 定 資 産 の 額 )が 総 資 産 の 額 の 70%を 占 める 会 社 )の 判 定 において 過 去 5 年 間 に 後 継 者 その 同 族 関 係 者 に 対 して 支 払 われた 配 当 過 大 役 員 給 与 等 に 相 当 する 額 が 特 定 資 産 の 額 総 資 産 の 額 に 加 算 されます (2) 相 続 開 始 前 3 年 以 内 に 後 継 者 やその 同 族 関 係 者 からの 現 物 出 資 又 は 贈 与 により 取 得 した 資 産 の 額 の 総 資 産 の 額 に 占 める 割 合 が 70% 以 上 である 会 社 の 株 式 については 納 税 猶 予 制 度 の 適 用 はないものとされます (3)その 他 後 継 者 等 の 相 続 税 等 の 負 担 を 不 当 に 減 少 させる 結 果 となると 認 められる 行 為 に 対 応 するための 措 置 が 講 じられます 5

7. 小 規 模 宅 地 の 減 額 特 例 との 併 用 併 用 の 範 囲 が 拡 大 され この 納 税 猶 予 制 度 の 適 用 を 受 けた 場 合 でも 小 規 模 宅 地 の 減 額 特 例 との 完 全 併 用 が 認 められることとなりました 8. 適 用 時 期 平 成 20 年 10 月 1 日 以 後 に 開 始 した 相 続 等 について 適 用 可 能 となります また 平 成 20 年 10 月 1 日 から 平 成 21 年 3 月 31 日 までに 開 始 した 相 続 で 被 相 続 人 の 遺 産 の 中 に 非 上 場 株 式 等 があり かつ その 被 相 続 人 がその 非 上 場 会 社 の 代 表 者 であった 場 合 には 相 続 税 の 申 告 期 限 が 平 成 22 年 2 月 1 日 まで 延 長 されます これは 納 税 猶 予 制 度 の 適 用 を 受 けるかどうかにかかわりなく 延 長 されます Ⅱ. 非 上 場 株 式 等 に 係 る 贈 与 税 の 納 税 猶 予 制 度 1. 概 要 先 代 経 営 者 だった 者 の 後 継 者 (= 受 贈 者 かつ 先 代 経 営 者 の 親 族 )が その 先 代 経 営 者 であった 者 から 贈 与 により 経 済 産 業 大 臣 の 認 定 を 受 ける 非 上 場 会 社 の 保 有 株 式 の 全 部 ( 贈 与 前 から 既 にその 後 継 者 が 保 有 していたものを 含 め 発 行 済 み 株 式 総 数 の 2/3 に 達 するまでの 部 分 )を 取 得 し その 会 社 を 経 営 していく 場 合 には その 贈 与 税 の 全 額 の 納 税 を 猶 予 するという 制 度 です 2. 適 用 要 件 等 相 続 税 の 納 税 猶 予 の 場 合 とほぼ 同 様 ですが 相 違 する 部 分 があります ( 主 な 相 違 部 分 ) 後 継 者 : 後 継 者 が 20 歳 以 上 であり 役 員 就 任 から 3 年 以 上 経 過 していることが 追 加 贈 与 する 対 象 株 式 : 一 括 で 贈 与 することが 必 要 となり 先 代 経 営 者 は 役 員 を 退 任 することも 要 件 なお これらの 要 件 は 現 在 の 経 営 承 継 円 滑 化 法 の 省 令 には 規 定 されていないため 改 正 して 規 定 される 見 込 みです 3. 先 代 経 営 者 だった 者 ( 贈 与 者 )の 死 亡 時 贈 与 者 が 死 亡 した 場 合 贈 与 税 の 納 税 猶 予 額 は 免 除 され 贈 与 により 取 得 した 対 象 株 式 は その 相 続 等 により 取 得 し たものとみなし 贈 与 時 の 時 価 による 評 価 額 と 他 の 相 続 財 産 とを 合 算 して 相 続 税 を 計 算 します このとき 納 付 すべき 相 続 税 につき 経 済 産 業 大 臣 の 確 認 を 受 けた 場 合 等 においては 相 続 税 の 納 税 猶 予 制 度 を 適 用 することが 出 来 ます 6

4. 適 用 時 期 平 成 21 年 4 月 1 日 以 後 に 贈 与 により 取 得 をする 非 上 場 株 式 等 にかかる 贈 与 税 について 適 用 されます Ⅲ.その 他 事 業 承 継 税 制 に 係 る 主 要 項 目 1. 利 子 税 の 取 り 扱 い 納 税 猶 予 が 取 消 された 場 合 に 納 税 猶 予 税 額 と 併 せて 納 付 すべき 利 子 税 の 税 率 は 次 のとおりです ( 平 成 21 年 税 制 改 正 ) 本 則 税 率 3.6% 特 例 税 率 2.2% ( 日 銀 基 準 割 引 率 0.5%の 場 合 ) 2. 贈 与 税 の 納 税 猶 予 制 度 と 相 続 時 精 算 課 税 制 度 との 併 用 後 継 者 が 贈 与 税 の 納 税 猶 予 制 度 の 適 用 を 受 けている 場 合 であっても 後 継 者 を 含 む 推 定 相 続 人 は 相 続 時 精 算 課 税 制 度 を 利 用 することが 可 能 です 例 えば 先 代 経 営 者 が 発 行 済 み 株 式 総 数 の2/3 を 超 える 株 式 を 保 有 している 場 合 贈 与 税 の 納 税 猶 予 の 対 象 外 とな る 株 式 を 相 続 時 精 算 課 税 により 贈 与 を 受 けることが 可 能 となります Ⅳ. 経 過 措 置 1. 現 行 の 自 社 株 式 に 係 る 相 続 税 の 10% 減 額 特 例 の 廃 止 現 行 の 自 社 株 式 に 係 る 相 続 税 の 10% 減 額 特 例 は 平 成 21 年 3 月 31 日 で 廃 止 されます ただし 既 に 現 行 の 減 額 特 例 の 適 用 を 受 けるために 相 続 時 精 算 課 税 を 選 択 して 贈 与 を 受 けた 株 式 については 次 の 経 過 措 置 が 講 じられます (イ) 相 続 時 に 10% 減 額 特 例 の 適 用 要 件 を 満 たしている 場 合 には 相 続 時 にその 10% 減 額 特 例 を 適 用 することになります (ロ) 平 成 22 年 3 月 31 日 までに 相 続 税 の 納 税 猶 予 制 度 の 適 用 を 届 け 出 た 後 継 者 が 適 用 要 件 を 満 たしている 場 合 には 相 続 税 の 納 税 猶 予 制 度 を 適 用 することになります 2. 現 行 の 中 小 オーナー 経 営 者 に 対 する 相 続 時 精 算 課 税 制 度 の 特 例 の 廃 止 現 行 の 中 小 オーナー 経 営 者 に 対 する 相 続 時 精 算 課 税 の 特 例 ( 非 上 場 株 式 の 贈 与 の 場 合 に 贈 与 者 の 年 齢 制 限 を 60 歳 以 上 に 緩 和 し 非 課 税 枠 を 3,000 万 円 に 拡 大 するという 特 例 )は 廃 止 されます ただし この 適 用 により 贈 与 を 受 けた 後 継 者 が 適 用 要 件 を 満 たしている 場 合 には 相 続 税 の 納 税 猶 予 制 度 を 適 用 することになります 7

新 たな 公 益 法 人 制 度 と 税 制 ( 上 ) Ⅰ. 公 益 法 人 制 度 改 革 の 概 要 従 来 の 公 益 法 人 制 度 は 明 治 29 年 の 民 法 制 定 以 来 110 年 にわたり 制 度 の 基 本 的 な 見 直 しはされておらず 主 務 官 庁 による 許 可 制 度 の 下 公 益 性 の 判 断 基 準 が 不 明 確 である 公 益 法 人 が 天 下 りの 受 け 皿 となっている 営 利 法 人 と 類 似 の 事 業 を 行 っている 公 益 法 人 が 存 在 する など 各 種 の 批 判 がありました そこで この 公 益 法 人 制 度 の 改 革 を 行 うため 平 成 14 年 3 月 に 同 じく 非 営 利 の 法 人 である 特 定 非 営 利 活 動 法 人 ( 以 下 NPO 法 人 )や 中 間 法 人 も 含 めて 抜 本 的 な 見 直 しに 取 り 組 む 旨 の 閣 議 決 定 がなされました その 後 平 成 15 年 6 月 の 閣 議 決 定 において 一 般 的 な 非 営 利 法 人 制 度 を 創 設 する 旨 を 織 り 込 んだ 基 本 方 針 が 決 定 され 平 成 16 年 12 月 に 主 務 官 庁 による 許 可 制 度 を 廃 止 し 法 人 格 の 取 得 と 公 益 性 の 判 断 を 分 離 することなどを 内 容 とした 基 本 的 な 枠 組 みが 決 定 されました その 基 本 的 な 枠 組 みを 基 に 民 間 による 公 益 の 増 進 を 目 的 とした 下 記 の 公 益 法 人 関 連 三 法 及 び 政 省 令 が 制 定 され 平 成 20 年 12 月 1 日 より 施 行 されています (1) 一 般 社 団 法 人 及 び 一 般 財 団 法 人 に 関 する 法 律 ( 以 下 一 般 法 ) (2) 公 益 社 団 法 人 及 び 公 益 財 団 法 人 の 認 定 等 に 関 する 法 律 ( 以 下 公 益 認 定 法 ) (3) 一 般 社 団 法 人 及 び 一 般 財 団 法 人 に 関 する 法 律 及 び 公 益 社 団 法 人 及 び 公 益 財 団 法 人 の 認 定 等 に 関 する 法 律 の 施 行 に 伴 う 関 係 法 律 の 整 備 等 に 関 する 法 律 ( 以 下 整 備 法 ) 新 公 益 法 人 制 度 は 一 般 社 団 法 人 一 般 財 団 法 人 ( 以 下 一 般 法 人 )と 公 益 社 団 法 人 公 益 財 団 法 人 ( 以 下 公 益 法 人 )の 法 人 類 型 からなっています 従 来 の 民 法 法 人 ( 社 団 法 人 財 団 法 人 )は 法 施 行 日 以 後 は 特 例 民 法 法 人 として 存 続 しますが 法 施 行 日 以 後 5 年 以 内 ( 平 成 25 年 11 月 30 日 まで)に 一 般 法 人 又 は 公 益 法 人 への 移 行 認 可 認 定 が 必 要 となり そのいずれの 手 続 きも 行 わなかった 場 合 には 解 散 したものとみなされます 中 間 法 人 については 有 限 責 任 中 間 法 人 は 法 施 行 日 以 後 においては 新 制 度 上 の 一 般 社 団 法 人 として 存 続 し 無 限 責 任 中 間 法 人 は 法 施 行 日 以 後 特 例 無 限 責 任 中 間 法 人 として 原 則 的 に 従 前 の 中 間 法 人 法 の 規 定 が 適 用 され ます 特 例 無 限 責 任 中 間 法 人 は 法 施 行 日 から 1 年 を 経 過 する 日 までの 間 に 債 権 者 保 護 手 続 き 等 を 行 って 新 制 度 上 の 一 般 社 団 法 人 に 移 行 することができ その 手 続 きを 行 わなかった 場 合 には 解 散 したものとみなされます 当 初 は NPO 法 人 も 含 めての 制 度 見 直 しが 議 論 されていましたが 最 終 的 に NPO 法 人 は 制 度 改 革 の 対 象 法 人 から 除 かれることとなり その 他 の 学 校 法 人 宗 教 法 人 社 会 福 祉 法 人 といった 非 営 利 の 法 人 も 今 回 の 制 度 改 革 の 対 象 とはなっていません 8

新 制 度 の 対 象 法 人 根 拠 法 旧 制 度 新 制 度 民 法 公 益 法 人 ( 民 法 法 人 ) 社 団 法 人 財 団 法 人 一 般 社 団 法 人 公 益 社 団 法 人 一 般 財 団 法 人 公 益 財 団 法 人 中 間 法 人 法 中 間 法 人 無 限 責 任 中 間 法 人 有 限 責 任 中 間 法 人 一 般 社 団 法 人 特 定 非 営 利 特 定 非 営 利 活 動 法 人 活 動 促 進 法 (NPO 法 人 ) 私 立 学 校 法 学 校 法 人 制 度 改 革 の 対 象 外 宗 教 法 人 法 宗 教 法 人 社 会 福 祉 法 社 会 福 祉 法 人 Ⅱ. 新 公 益 法 人 制 度 の 概 要 新 公 益 法 人 制 度 のポイントとしては 1 主 務 官 庁 制 度 が 廃 止 されたこと 2 法 人 格 の 設 立 と 公 益 性 の 判 断 とが 分 離 されたことが 挙 げられます 旧 公 益 法 人 ( 民 法 法 人 )は 主 務 官 庁 の 許 可 により 設 立 され 設 立 後 も 常 に 主 務 官 庁 の 監 督 の 下 事 業 活 動 を 行 って きました そのため 公 益 法 人 の 運 営 に 主 務 官 庁 の 裁 量 が 介 入 する 公 益 法 人 が 天 下 りの 受 け 皿 として 利 用 される などの 問 題 があったことから 今 回 の 公 益 法 人 制 度 改 革 において 主 務 官 庁 制 度 は 廃 止 されました 新 制 度 の 法 人 は 一 般 法 人 公 益 法 人 のいずれの 法 人 も 主 務 官 庁 の 監 督 を 受 けることはありません 新 公 益 法 人 制 度 は 準 則 主 義 により 登 記 手 続 きのみで 設 立 することが 可 能 である 一 般 法 人 と その 一 般 法 人 の 中 から より 公 益 性 の 高 い 法 人 として 公 益 認 定 を 受 けた 法 人 である 公 益 法 人 とのいわゆる2 階 建 ての 制 度 設 計 にな っています 一 般 法 人 の 設 立 を 簡 易 なものにし 共 益 的 な 活 動 を 含 め 自 由 な 事 業 活 動 が 可 能 な 非 営 利 の 法 人 格 を 設 ける 一 方 一 定 の 基 準 をクリアして 公 益 性 の 高 い 法 人 として 認 められた 公 益 法 人 には 行 政 庁 の 監 督 下 で 事 業 活 動 を 行 うととも に 課 税 上 の 優 遇 措 置 が 与 えられています 9

公 益 認 定 はその 法 人 の 活 動 範 囲 に 応 じて 内 閣 総 理 大 臣 又 は 都 道 府 県 の 知 事 が 行 政 庁 となり その 認 定 を 受 ける 必 要 があります 具 体 的 には 内 閣 府 に 設 置 された 民 間 の 有 識 者 からなる 公 益 認 定 等 委 員 会 などが 諮 問 機 関 として 審 査 にあたることになります 公 益 認 定 を 受 けるためには 公 益 認 定 法 第 5 条 に 掲 げる 各 種 の 公 益 認 定 基 準 をすべてクリアする 必 要 があります 公 益 認 定 基 準 には 公 益 目 的 事 業 比 率 が 50% 以 上 公 益 目 的 事 業 に 係 る 収 入 額 が 適 正 な 費 用 額 を 超 えないこと(い わゆる 収 支 相 償 ) 遊 休 財 産 額 が 一 定 額 を 超 えないこと など 18 項 目 もの 基 準 があります また 公 益 認 定 を 取 得 した 後 においても 公 益 認 定 基 準 に 抵 触 する 事 由 が 生 じた 場 合 には 公 益 認 定 を 取 り 消 されることがあります 公 益 認 定 を 取 り 消 された 場 合 には その 取 消 しの 日 から 1 ヶ 月 以 内 に 公 益 目 的 に 使 用 してきた 財 産 を 他 の 公 益 法 人 や 国 等 に 贈 与 しなければならないため 留 意 が 必 要 です なお 特 例 民 法 法 人 ( 従 来 の 社 団 法 人 財 団 法 人 )が 公 益 法 人 への 移 行 認 定 を 受 ける 際 にも 新 制 度 上 の 公 益 認 定 基 準 を 満 たし 公 益 認 定 等 委 員 会 の 審 査 を 受 ける 必 要 があります 一 般 法 人 へ 移 行 する 際 においても これまで 税 優 遇 等 を 受 けて 蓄 積 してきた 財 産 については 確 実 に 公 益 目 的 に 使 用 するという 意 味 合 いから 公 益 目 的 支 出 計 画 を 作 成 する 必 要 があり その 計 画 の 履 行 が 終 了 するまでは 行 政 庁 の 監 督 下 におかれます 今 回 の 抜 本 的 な 公 益 法 人 制 度 改 革 により これまで 主 務 官 庁 制 度 の 影 響 で 敷 居 が 高 いという 印 象 のあった 旧 民 法 の 公 益 法 人 制 度 が 様 変 わりしていくことが 予 想 されます 一 般 法 人 は これまで 任 意 団 体 としての 活 動 を 余 儀 なくされていた 団 体 や 新 たに 公 益 事 業 を 含 め 様 々な 事 業 活 動 を 展 開 していこうとする 団 体 等 の 受 け 皿 として 活 用 されることが 考 えられます また 公 益 法 人 は 公 益 認 定 を 受 け より 高 い 公 益 性 を 持 った 法 人 としてその 社 会 的 な 地 位 も 向 上 していくものと 考 えられます これら 新 制 度 により 民 間 によ る 公 益 活 動 の 一 層 の 発 展 が 期 待 されています 3 月 号 予 告 平 成 21 年 3 月 決 算 法 人 の 法 人 税 申 告 に 係 る 留 意 点 新 たな 公 益 法 人 制 度 と 税 制 ( 下 ) 10

CONTACT 事 業 承 継 税 制 ビジネス タックス アドバイザリー サービス( 事 業 承 継 コンサルティング) 部 藤 枝 昌 雄 パートナー 03-3506-2450 masao.fujieda@jp.ey.com 清 水 智 恵 子 ディレクター 03-3506-2633 chieko.shimizu@jp.ey.com 村 本 政 彦 シニアマネージャー 03-3506-2466 masahiko.muramoto@jp.ey.com ビジネス タックス アドバイザリー サ-ビス( 事 業 承 継 コンサルティング) 部 は オーナーの 方 々が 経 営 される 事 業 を 次 世 代 に 限 りなく 現 状 に 近 いかたちで 承 継 していただけるよう 財 産 管 理 の 観 点 からお 手 伝 いしております 主 なサービスの 内 容 は 以 下 のとおりで オーナーの 方 々 及 び 会 社 の 状 況 に 応 じ 最 適 かつ 効 果 的 な 対 策 をご 提 案 し 実 行 しています 現 状 の 問 題 点 の 把 握 相 続 税 額 試 算 事 業 承 継 策 の 立 案 実 行 支 援 遺 産 分 割 コンサルティング 納 税 資 金 手 当 コンサルティング アフターフォロー 公 益 法 人 税 制 公 益 法 人 コンサルティング 部 塩 井 勝 パートナー 03-3506-2366 masaru.shioi@jp.ey.com 穂 積 康 一 シニアマネージャー 03-3506-2398 koichi.hozumi@jp.ey.com 菊 地 亮 マネージャー 03-3506-2369 ryo.kikuchi@jp.ey.com 人 見 貴 行 マネージャー 03-3506-2377 takayuki.hitomi@jp.ey.com 公 益 法 人 コンサルティング 部 では 公 益 法 人 や 医 療 法 人 等 に 対 する 以 下 のサービスを 提 供 しており ます 社 団 法 人 財 団 法 人 に 対 するコンサルティング 業 務 一 般 社 団 ( 財 団 ) 法 人 の 設 立 運 営 サポート( 決 算 税 務 申 告 業 務 を 含 む) 特 例 民 法 法 人 の 一 般 社 団 ( 財 団 ) 法 人 公 益 社 団 ( 財 団 ) 法 人 への 移 行 コンサルティング 公 益 法 人 等 の 合 併 解 散 事 業 譲 渡 等 の 組 織 再 編 に 関 する 各 種 コンサルティング アーンスト アンド ヤングについて アーンスト アンド ヤングは 監 査 税 務 トラン ザクション アドバイザリー サービスなどの 分 野 におけるリーダーとして 全 世 界 の13 万 5 千 人 の 構 成 員 が 共 通 のバリュー( 価 値 観 )に 基 づい て 品 質 の 高 いサービス 提 供 を 行 っています 私 どもは クライアント 構 成 員 そして 社 会 を 支 援 し 各 サービス 分 野 において 皆 様 の 可 能 性 の 実 現 を 追 求 し プラスの 変 化 をもたらすよう 支 援 します 詳 しくは www.ey.com にて 紹 介 しています アーンスト アンド ヤング とは アーンスト ア ンド ヤング グローバル リミテッド(EYG)のメン バーファームを 指 します EYG は 英 国 の 有 限 責 任 保 証 会 社 であり グローバルにおいてアー ンスト アンド ヤングの 組 織 を 統 括 しており 顧 客 サービスは 提 供 していません 新 日 本 アーンスト アンド ヤング 税 理 士 法 人 に ついて 新 日 本 アーンスト アンド ヤング 税 理 士 法 人 は 長 年 にわたり 培 ってきた 経 験 と 国 際 ネットワ ークを 駆 使 し 常 にクライアントのベストパート ナーとして 質 の 高 いグローバルなサービスを 提 供 しております 企 業 のニーズに 即 応 すべ く 税 務 コンサルティングの 分 野 をはじめ M&A コンサルティング コンプライアンスや 移 転 価 格 など 税 務 のスペシャリスト 集 団 として 質 の 高 い サービスを 提 供 しております 詳 しくは www.eytax.jp にて 紹 介 しています 2009 EYGM Limited. All Rights Reserved. 医 療 法 人 に 対 するコンサルティング 業 務 医 療 法 人 の 設 立 運 営 サポート( 決 算 税 務 申 告 業 務 を 含 む) 社 会 医 療 法 人 特 定 医 療 法 人 への 移 行 コンサルティング 医 療 法 人 に 対 する 相 続 対 策 の 立 案 実 行 サポート 特 殊 法 人 に 対 するコンサルティング 業 務 公 社 公 団 事 業 団 等 の 特 殊 法 人 の 民 営 化 に 伴 う 各 種 税 務 コンサルティング 特 殊 法 人 の 関 連 会 社 関 連 公 益 法 人 に 対 するグループ 再 編 等 の 税 務 コンサルティング 独 立 行 政 法 人 等 に 対 する 税 務 コンサルティング( 税 務 申 告 業 務 を 含 む) ニュースレター 全 般 に 関 するご 質 問 ご 意 見 等 がございましたら 下 記 までお 問 い 合 わせ 下 さい 新 日 本 アーンスト アンド ヤング 税 理 士 法 人 コーポレート コミュニケーション 部 Tax.Marketing@jp.ey.com 本 書 又 は 本 書 に 含 まれる 資 料 は 一 定 の 編 集 を 経 た 要 約 形 式 の 情 報 を 掲 載 するものです したが って 本 書 又 は 本 書 に 含 まれる 資 料 のご 利 用 は 一 般 的 な 参 考 目 的 の 利 用 に 限 られるものとし 特 定 の 目 的 を 前 提 とした 利 用 詳 細 な 調 査 への 代 用 専 門 的 な 判 断 の 材 料 としてのご 利 用 等 はしな いでください 本 書 又 は 本 書 に 含 まれる 資 料 につ いて 新 日 本 アーンスト アンド ヤング 税 理 士 法 人 を 含 むアーンスト アンド ヤングの 他 のいかな るグローバル ネットワークのメンバーも その 内 容 の 正 確 性 完 全 性 目 的 適 合 性 その 他 いかな る 点 についてもこれを 保 証 するものではなく 本 書 又 は 本 書 に 含 まれる 資 料 に 基 づいた 行 動 又 は 行 動 をしないことにより 発 生 したいかなる 損 害 に ついても 一 切 の 責 任 を 負 いません