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Legal and Tax Report 2010 年 9 月 27 日 全 9 頁 IFRS 適 用 後 も 出 荷 基 準 は 適 用 できるのか 資 本 市 場 調 査 部 制 度 調 査 課 鳥 毛 拓 馬 IFRS 業 種 別 レポート1 収 益 認 識 ( 現 行 IFRS)の 業 種 別 影 響 [ 要 約 ] 現 在 わが 国 の 会 計 基 準 設 定 主 体 である 企 業 会 計 基 準 委 員 会 (ASBJ)は 収 益 認 識 に 関 して 新 しい 会 計 基 準 を 開 発 するための 議 論 を 行 っている 2011 年 上 期 に 新 しい 基 準 の 公 開 草 案 が 公 表 される 予 定 となっている その 内 容 は 現 行 の 国 際 会 計 基 準 および 現 在 国 際 会 計 基 準 審 議 会 (IASB)と 米 国 財 務 会 計 基 準 審 議 会 (FASB)が 議 論 を 行 っている 新 しい 収 益 認 識 に 関 する 基 準 (2011 年 4 月 ~6 月 に 完 成 予 定 )がも とになるものと 思 われる 本 稿 では 現 行 の 国 際 会 計 基 準 の 収 益 認 識 基 準 がわが 国 で 採 用 された 場 合 にどのような 影 響 があ るのかについて 業 種 別 に 概 観 した 1.はじめに 現 在 わが 国 の 会 計 基 準 設 定 主 体 である 企 業 会 計 基 準 委 員 会 (ASBJ)は 収 益 認 識 に 関 して 新 しい 会 計 基 準 を 開 発 するための 議 論 を 行 っている 2011 年 上 期 に 新 しい 基 準 の 公 開 草 案 が 公 表 される 予 定 となって いる その 内 容 は 現 行 の 国 際 会 計 基 準 および 現 在 国 際 会 計 基 準 審 議 会 (IASB)と 米 国 財 務 会 計 基 準 審 議 会 (FASB)が 議 論 を 行 っている 新 しい 収 益 認 識 に 関 する 基 準 (2011 年 4 月 ~6 月 に 完 成 に 予 定 )がもとになる ものと 思 われる 本 稿 では このうち まず 現 行 の 国 際 会 計 基 準 の 収 益 認 識 基 準 がわが 国 で 採 用 された 場 合 にどのような 影 響 があるのかについて 業 種 別 に 概 観 した 2.わが 国 の 基 準 と 国 際 会 計 基 準 の 差 異 わが 国 では 企 業 会 計 原 則 において 収 益 の 認 識 は 実 現 主 義 によることが 示 されている すなわち 売 上 高 は 商 品 等 の 販 売 または 役 務 の 給 付 によって 実 現 したものに 限 り 計 上 することとされている ま た 収 益 とそれに 関 連 する 費 用 とを 損 益 計 算 書 上 で 対 応 させることにより 企 業 活 動 の 成 果 を 表 すこと が 求 められている 株 式 会 社 大 和 総 研 丸 の 内 オフィス 100-6756 東 京 都 千 代 田 区 丸 の 内 一 丁 目 9 番 1 号 グラントウキョウ ノースタワー このレポートは 投 資 の 参 考 となる 情 報 提 供 を 目 的 としたもので 投 資 勧 誘 を 意 図 するものではありません 投 資 の 決 定 はご 自 身 の 判 断 と 責 任 でなされますようお 願 い 申 し 上 げます レポートに 記 載 された 内 容 等 は 作 成 時 点 のものであり 正 確 性 完 全 性 を 保 証 するものではなく 今 後 予 告 なく 修 正 変 更 されることがあります 大 和 総 研 の 親 会 社 である 大 和 総 研 ホールディングスと 大 和 証 券 キャピタル マーケッツ 及 び 大 和 証 券 は 大 和 証 券 グループ 本 社 を 親 会 社 とする 大 和 証 券 グループの 会 社 です 内 容 に 関 する 一 切 の 権 利 は 大 和 総 研 にあります 事 前 の 了 承 なく 複 製 または 転 送 等 を 行 わないようお 願 いします

2 / 9 もっとも 収 益 認 識 に 関 する 包 括 的 な 会 計 基 準 は 存 在 せず 工 事 契 約 に 関 する 会 計 基 準 などが 収 益 認 識 に 関 する 会 計 基 準 を 提 供 している 一 方 国 際 会 計 基 準 では IAS18 収 益 において すべての 収 益 に 適 用 される 認 識 要 件 として 1 収 益 の 金 額 を 信 頼 をもって 測 定 できる 2 取 引 に 関 連 する 経 済 的 便 益 が 企 業 に 流 入 する 可 能 性 が 高 い の 2 点 を 求 めている さらに 取 引 形 態 別 に 以 下 の 収 益 認 識 基 準 を 定 めている 国 際 会 計 基 準 (IAS/IFRS)における 収 益 認 識 基 準 以 下 の 条 件 すべてが 達 成 されたときに 収 益 を 認 識 物 品 の 販 売 役 務 の 提 供 利 息 ロイヤル ティ 及 び 配 当 工 事 契 約 ポイント 等 (a) 物 品 の 所 有 に 伴 う 重 要 なリスク 及 び 経 済 価 値 の 買 手 への 移 転 (b) 販 売 された 物 品 に 対 して 所 有 と 通 常 結 び 付 けられる 程 度 の 継 続 的 な 管 理 上 の 関 与 も 有 効 な 支 配 も 企 業 が 保 持 していない (c) 収 益 の 額 を 信 頼 性 をもって 測 定 できる (d) その 取 引 に 関 する 経 済 的 便 益 が 企 業 に 流 入 する 可 能 性 が 高 い (e) その 取 引 に 関 して 発 生 したまたは 発 生 する 原 価 を 信 頼 性 をもって 測 定 できること 役 務 の 提 供 に 関 する 取 引 の 成 果 を 信 頼 性 をもって 見 積 もることができる 場 合 に 収 益 を 取 引 の 進 捗 度 に 応 じて 認 識 取 引 の 成 果 は 以 下 のすべての 条 件 が 満 たされる 場 合 には 信 頼 性 をもって 見 積 ることができる (a) 収 益 の 額 を 信 頼 性 をもって 測 定 できること (b) その 取 引 に 関 する 経 済 的 便 益 が 企 業 に 流 入 する 可 能 性 が 高 いこと (c) その 取 引 の 進 捗 度 を 貸 借 対 照 表 日 において 信 頼 性 をもって 測 定 できること (d) その 取 引 について 発 生 した 原 価 及 び 取 引 の 完 了 に 要 する 原 価 を 信 頼 性 をもって 測 定 できること 以 下 の(a) (b)の 場 合 に 1~3に 示 された 基 準 で 認 識 しなければならない (a) 取 引 に 関 連 する 経 済 的 便 益 が 企 業 に 流 入 する 可 能 性 が 高 く かつ (b) 収 益 の 額 を 信 頼 性 をもって 測 定 できるとき 1 利 息 は 実 効 金 利 法 により 認 識 しなければならない 2 ロイヤルティは 関 連 する 契 約 の 実 質 に 従 って 発 生 基 準 で 認 識 しなければならない 3 配 当 は 支 払 を 受 ける 株 主 の 権 利 が 確 定 したときに 認 識 しなければならない 工 事 契 約 の 成 果 が 信 頼 性 を 持 って 見 積 もる( 役 務 の 提 供 とほぼ 同 様 の 要 件 )ことができる 場 合 は 進 捗 度 に 応 じて 収 益 と 原 価 を 認 識 する 工 事 契 約 の 成 果 が 信 頼 性 を 持 って 見 積 もることができない 場 合 は 収 益 は 発 生 した 工 事 原 価 のう ち 回 収 可 能 性 が 高 い 部 分 についてのみ 収 益 認 識 する 工 事 契 約 総 原 価 が 工 事 契 約 総 収 益 を 超 過 する 可 能 性 が 高 いとき 予 想 される 損 失 を 直 ちに 費 用 認 識 する 顧 客 から 受 け 取 った 対 価 のうち 商 品 に 関 する 部 分 は 販 売 時 点 で 収 益 計 上 し 特 典 に 関 する 部 分 は 下 記 の 時 点 まで 繰 延 処 理 ( 引 当 金 等 )をする ポイント 等 の 発 行 企 業 が 財 サービスを 直 接 提 供 する 場 合 は ポイント 等 の 使 用 時 に 収 益 を 認 識 ポイント 等 の 発 行 企 業 と 財 サービスの 提 供 企 業 が 異 なる 場 合 ポイント 等 発 行 企 業 が 対 価 を 自 社 のため 回 収 するときは ポイント 等 に 関 する 義 務 の 履 行 時 に 収 益 を 認 識 ポイント 等 の 発 行 企 業 が 財 サービス 提 供 企 業 のために 対 価 を 回 収 するときは 財 サービス 提 供 企 業 がポイント 等 に 関 する 義 務 の 履 行 を 引 き 受 けたときに 収 益 を 認 識

3 / 9 3. 影 響 を 受 ける 業 種 現 行 IFRS の 収 益 認 識 基 準 を 導 入 した 場 合 の 業 種 別 の 影 響 を 概 観 すると 下 記 の 通 りである (1) 製 造 業 全 般 Ⅰ. 出 荷 基 準 の 可 否 製 造 業 全 般 において わが 国 の 実 務 で 認 められている 出 荷 時 点 での 収 益 認 識 は 国 際 会 計 基 準 において も 認 められるのか すなわち 出 荷 基 準 ( 商 品 等 を 出 荷 した 時 点 で 売 上 を 計 上 する 基 準 )の 採 用 が 国 際 会 計 基 準 の 下 においても 可 能 かが 論 点 となる この 点 について 国 際 会 計 基 準 においては 通 常 は 出 荷 により 前 述 の 物 品 の 販 売 における 収 益 認 識 の 要 件 である 物 品 の 所 有 に 伴 う 重 要 なリスク 及 び 経 済 価 値 の 買 手 への 移 転 が 認 められない 場 合 が 多 いと 考 えられるため 出 荷 基 準 が 認 められないことが 多 いと 考 えられている もっとも 出 荷 時 点 でリスクと 経 済 的 便 益 が 移 転 すると 認 められる 契 約 であれば 国 際 会 計 基 準 の 下 に おいても 出 荷 基 準 が 認 められる 可 能 性 はある この 点 ついて 2010 年 4 月 に 金 融 庁 が 公 表 した 国 際 会 計 基 準 (IFRS)に 関 する 誤 解 1 において 取 引 の 形 態 によっては 着 荷 や 検 収 の 事 実 を 一 々 確 認 しなくても 出 荷 の 事 実 をベースに 配 送 に 要 する 期 間 等 を 考 慮 して 合 理 的 にリスクと 便 益 の 移 転 が 認 められる 場 合 その 時 点 で 売 上 の 計 上 ができる 場 合 がある ( 下 線 筆 者 )としており これを 読 む 限 り 国 際 会 計 基 準 のもとで 出 荷 基 準 を 採 用 すること が 直 ちに 否 定 されるわけではないものと 思 われる 実 際 欧 州 企 業 において 出 荷 基 準 で 収 益 認 識 している 例 はあるようである 契 約 条 項 において 出 荷 基 準 を 認 め かつ 出 荷 時 点 でリスクが 顧 客 に 移 転 しているのであれば 可 能 とされる 例 もある また 商 品 が 自 己 の 勘 定 において 取 引 する 配 送 者 に 買 い 手 への 引 き 渡 しの 指 示 とともに 委 託 されている 場 合 や 輸 送 のリスクが 保 険 によりカバーされている 場 合 などにおいて 出 荷 時 点 での 収 益 認 識 が 認 められてい る 模 様 である 本 船 甲 板 渡 条 件 (Free On Board FOB) 2 による 輸 出 取 引 に 係 る 会 計 処 理 については 国 際 会 計 基 準 に 従 っ た 場 合 においても わが 国 における 会 計 処 理 と 同 様 船 積 み 時 点 ( 在 庫 の 保 有 に 伴 う 費 用 及 びリスクが 買 手 に 移 転 する 時 点 )において 収 益 の 認 識 が 可 能 であると 考 えられる 1 http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100423-2/01.pdf 2 輸 出 入 契 約 における 貿 易 条 件 ( 交 易 条 件 )のひとつで 本 船 に 約 定 品 を 積 み 込 むまでの 費 用 を 売 り 手 が 負 担 する 取 引 条 件 のこと

4 / 9 郵 便 物 など 出 荷 から 到 着 までの 期 間 が 1 日 ~2 日 と 短 いものについて 出 荷 時 点 で 収 益 認 識 している 例 などもある また 工 場 へ 部 品 を 納 入 するなどの 取 引 が 行 われる 場 合 において 工 場 に 部 品 が 届 いた 時 点 で 収 益 認 識 が 必 要 な 場 合 に 出 荷 時 に 到 着 日 を 予 想 し 予 想 到 着 日 をもって 収 益 認 識 している 例 もある(みなし 着 荷 基 準 ) Ⅱ. 返 品 の 可 能 性 がある 取 引 形 態 の 場 合 の 収 益 認 識 時 点 わが 国 においては 将 来 の 返 品 の 額 を 合 理 的 に 見 積 もることができる 場 合 に 実 務 上 予 想 される 返 品 ( 売 価 )を 売 上 高 から 控 除 せず それに 対 する 返 品 調 整 引 当 金 ( 返 品 に 対 応 する 売 上 総 利 益 相 当 額 )を 計 上 した 上 で 販 売 当 初 時 点 で 収 益 ( 予 想 される 返 品 を 含 んだ 額 )を 認 識 することが 行 われているものと 思 われ る 他 方 現 行 の 国 際 会 計 基 準 においては 買 い 手 に 返 品 権 がある 場 合 将 来 の 返 品 が 合 理 的 に 予 測 できる のであれば 返 品 権 が 付 与 されている 場 合 でも 引 き 渡 し 時 点 で 将 来 の 返 品 の 額 を 控 除 した 金 額 で 収 益 を 認 識 できるものと 思 われる 将 来 の 返 品 が 合 理 的 に 予 測 できない 場 合 は 合 理 的 に 予 測 できるようにな った 時 点 もしくは 返 品 権 が 失 効 する 時 点 まで 収 益 の 認 識 が 繰 り 延 べられることになるものと 思 われる Ⅲ. 複 数 要 素 取 引 わが 国 会 計 基 準 では 一 つの 契 約 の 中 に 研 究 開 発 委 託 取 引 無 形 資 産 取 引 ロイヤルティ 取 引 など 複 数 の 取 引 要 素 が 含 まれる 場 合 の 具 体 的 な 会 計 処 理 が 定 められていない 一 方 国 際 会 計 基 準 では このような 場 合 に 取 引 の 実 質 を 反 映 するために 単 一 取 引 の 個 別 に 識 別 可 能 な 構 成 部 分 ごとに 認 識 要 件 を 適 用 する 必 要 があるとされるため 個 々の 契 約 内 容 の 吟 味 および それ に 対 応 する 会 計 処 理 が 求 められる したがって わが 国 で 複 合 取 引 を 行 っている 企 業 では 個 別 に 識 別 可 能 な 構 成 部 分 ごとに 収 益 認 識 規 準 を 適 用 し これらの 構 成 部 分 に 収 益 額 を 配 分 することが 必 要 になるため 業 務 プロセスを 検 討 しなけれ ばならないものと 考 えられる Ⅳ.リベート わが 国 の 商 取 引 において メーカーや 卸 売 業 を 営 む 企 業 等 が 顧 客 企 業 に 対 して いわゆるリベート(ボリ ュームディスカウント 販 売 促 進 費 販 売 助 成 費 協 賛 金 などの 名 目 で 支 払 われる)を 様 々な 契 約 条 件 や 算 定 根 拠 に 基 づいて 支 払 うことがある このような 取 引 において わが 国 では リベートを 売 上 高 から 控 除 している 場 合 と 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 として 処 理 している 場 合 がある 他 方 国 際 会 計 基 準 においては 収 益 は 受 領 したまたは 受 領 可 能 な 公 正 価 値 ( 企 業 が 許 容 した 値 引 き 及 び

5 / 9 割 戻 しの 額 を 考 慮 後 )により 測 定 しなければならないとされている リベートが 販 売 価 額 の 一 部 減 額 売 上 代 金 の 一 部 返 金 という 性 格 を 有 することから リベートが 顧 客 における 販 売 促 進 費 等 の 経 費 の 補 填 で あることが 明 らかな 場 合 を 除 き リベートは 売 上 高 から 控 除 することが 適 切 とされている (2) 自 動 車 産 業 ( 新 車 売 上 の 収 益 認 識 時 点 ) わが 国 の 実 務 においては 自 動 車 販 売 会 社 が 陸 運 局 に 新 車 登 録 をした 時 点 で 収 益 を 認 識 する いわゆ る 登 録 基 準 が 採 用 されているが 国 際 会 計 基 準 においても 登 録 基 準 は 認 められるのであろうか この 点 について 国 際 会 計 基 準 のもとにおいては 物 品 の 所 有 に 伴 う 重 要 なリスク 及 び 経 済 価 値 が 新 車 の 登 録 時 点 で 移 転 していると 考 えることは 難 しいと 考 えられ 納 車 時 に 自 動 車 販 売 会 社 から ユーザ ーに 対 して 移 転 したと 考 えるのが 自 然 であると 思 われる (3) 小 売 消 費 財 産 業 Ⅰ. 消 化 仕 入 れ わが 国 の 百 貨 店 やスーパーマーケットなどの 小 売 業 の 慣 行 として 商 品 が 顧 客 に 販 売 されると 同 時 に 仕 入 れ 先 からの 商 品 仕 入 が 認 識 される(いわゆる 消 化 仕 入 )ケースがある 消 化 仕 入 に 関 しては 顧 客 への 販 売 代 金 を 売 上 高 として 認 識 し 仕 入 れ 先 からの 仕 入 れ 代 金 を 売 上 原 価 として 総 額 ( 物 品 の 販 売 価 額 + 手 数 料 相 当 額 ) 表 示 している 例 が 多 いと 思 われる 一 方 国 際 会 計 基 準 においては 消 化 仕 入 れについて 総 額 表 示 とするか 純 額 表 示 ( 手 数 料 相 当 額 のみ) とするかは 企 業 が 本 人 として 取 引 を 行 っているのか 代 理 人 として 行 っているのかで 判 断 される 消 化 仕 入 が 行 われる 場 合 百 貨 店 などは 商 品 の 価 格 変 動 リスクや 保 管 リスクにさらされていないので 代 理 人 取 引 と 判 断 される したがって 商 品 の 販 売 代 金 と 仕 入 れ 代 金 の 差 額 を 手 数 料 収 入 として 認 識 する 純 額 表 示 とすることが 適 切 と 考 えられている Ⅱ. 新 聞 広 告 や WEB で 発 行 された 割 引 クーポン 等 が 使 用 された 場 合 割 引 クーポン 等 を 発 行 した 場 合 については 発 行 時 に 費 用 の 引 当 処 理 をするのではなく 当 該 クーポン の 機 能 性 質 が 売 価 値 引 きと 同 様 であれば クーポン 使 用 時 に 売 上 高 から 控 除 すべきものと 思 われる 他 方 商 品 の 無 償 提 供 を 内 容 とするものであれば 売 上 創 出 のコストとして 売 上 原 価 として 処 理 され るものと 思 われる Ⅲ.ポイント 制 度 小 売 業 においては ポイント 制 度 ( 顧 客 が 商 品 またはサービスを 購 入 した 際 に 企 業 が 顧 客 に 対 して 一 定 のポイントを 発 行 し 顧 客 が 一 定 の 条 件 を 満 たすことを 条 件 にそのポイントと 引 換 えに 商 品 またはサー ビスを 無 料 または 割 引 額 で 購 入 できる 制 度 )の 会 計 処 理 に 関 して 影 響 があるものと 思 われる ポイント 制 度 に 関 して わが 国 の 会 計 基 準 には 具 体 的 な 規 定 がない 実 務 上 顧 客 から 受 け 取 った 対 価 の 全 額 を 当 初 販 売 時 に 収 益 認 識 し 将 来 のポイントの 交 換 に 必 要 と 見 込 まれる 費 用 を 販 売 促 進 費 とし

6 / 9 て 負 債 計 上 している 例 が 多 いようである 他 方 国 際 会 計 基 準 においては 売 上 時 に 付 与 したポイントを 別 途 識 別 可 能 な 売 上 の 構 成 項 目 として 取 り 扱 うことを 要 求 している したがって 販 売 時 に 付 与 されるポイントは 顧 客 に 対 する 報 奨 であり 企 業 は 将 来 当 該 報 奨 を 引 き 渡 すまたは 提 供 する 義 務 であると 考 え 当 初 の 売 上 時 に 当 該 売 上 に 相 当 する 対 価 を 公 正 価 値 で 測 定 し 商 品 の 売 上 から 控 除 し 繰 延 べなければならないとされている (4) 製 薬 業 Ⅰ. 落 差 回 収 落 差 回 収 とは 医 薬 品 卸 企 業 が 医 療 機 関 等 へ 販 売 した 部 分 に 対 してのみ 代 金 回 収 請 求 を 行 うという わ が 国 製 薬 業 界 独 特 の 商 慣 行 である 製 薬 会 社 が 販 売 代 金 の 回 収 方 法 についていわゆる 落 差 回 収 している 場 合 医 薬 品 卸 業 者 への 製 品 の 引 渡 し 時 に 収 益 認 識 をすることは 可 能 かどうかが 論 点 となる この 点 について 製 薬 会 社 が 医 薬 品 卸 売 業 者 へ 製 品 を 引 き 渡 しただけでは 事 後 的 に 返 品 のリスクが 存 在 するため 代 金 回 収 の 確 実 性 が 担 保 されていないと 推 定 される 可 能 性 があるとして 医 薬 品 卸 業 者 が 医 療 機 関 へ 販 売 するまでは 物 品 の 所 有 に 伴 う 重 要 なリスクおよび 経 済 価 値 が 買 手 に 移 転 した とはいえ ない 可 能 性 がある したがって 国 際 会 計 基 準 においては 販 売 代 金 の 請 求 が 確 定 するまで 収 益 を 認 識 することはできな い 可 能 性 が 高 いと 思 われる Ⅱ.マイルストーン ペイメントなど 製 薬 業 界 では 企 業 間 の 研 究 提 携 により 研 究 開 発 の 一 部 または 相 当 部 分 を 他 社 に 委 託 するケースがある この 場 合 の 対 価 とし 製 薬 会 社 が 他 社 に 契 約 一 時 金 を 支 払 うことがある また 他 社 が 研 究 開 発 を 進 める にあたり 成 功 した 際 にマイルストーン ペイメント( 医 薬 品 の 開 発 の 進 捗 に 伴 って 発 生 する 発 明 企 業 への 支 払 金 など)を 支 払 うこともある さらに 将 来 における 売 上 の 実 績 に 対 して 一 定 のロイヤルティを 支 払 う 契 約 を 締 結 することもある この 点 に 関 して わが 国 では 一 般 的 な 収 益 認 識 基 準 がないため 契 約 一 時 金 マイルストーン ペイメ ント 売 上 げに 応 じたロイヤルティのそれぞれについて 会 計 処 理 が 統 一 されていない 国 際 会 計 基 準 において 契 約 一 時 金 についてはいったん 繰 延 収 益 として 負 債 認 識 し 契 約 期 間 にわたり 合 理 的 な 基 準 で 収 益 認 識 することが 一 般 的 なようである また マイルストーンが 定 められている 場 合

7 / 9 開 発 の 成 功 の 完 了 時 に 収 益 を 認 識 し ロイヤルティについては 製 品 の 販 売 時 に 収 益 を 認 識 するとされ ている (5) 商 社 ( 純 額 表 示 を 行 う 取 引 ) 現 行 のわが 国 会 計 基 準 では 収 益 を 総 額 表 示 あるいは 純 額 表 示 すべきかについての 具 体 的 な 規 定 はない 商 社 業 界 の 慣 行 として 契 約 上 取 引 の 当 事 者 として 行 われる 取 引 のみならず 代 理 人 として 行 われる 取 引 についても 収 益 を 総 額 で 表 示 している 場 合 がある 国 際 会 計 基 準 のもとでは 契 約 上 取 引 の 当 事 者 であっても 実 質 的 に 代 理 人 として 行 われた 取 引 であ ると 判 断 されるときには 純 額 表 示 が 求 められる (6)ソフトウェア エンターテインメント 産 業 Ⅰ. 受 注 請 負 製 作 のソフトウェア 販 売 にかかる 収 益 認 識 この 場 合 の 収 益 認 識 については 進 行 基 準 が 原 則 となる 契 約 の 成 果 を 信 頼 性 をもって 見 積 もること ができない 場 合 には わが 国 の 基 準 では 完 成 基 準 が 用 いられる 一 方 国 際 会 計 基 準 では 原 価 回 収 基 準 ( 発 生 した 原 価 のうち 回 収 可 能 と 見 込 まれる 範 囲 において 収 益 を 認 識 する)が 採 用 されている 国 際 会 計 基 準 においては 1 つの 取 引 にメンテナンスサービスや 機 器 の 納 入 など 複 数 の 要 素 が 含 まれる 場 合 について 識 別 可 能 な 単 位 に 分 けて それぞれの 別 個 の 収 益 認 識 基 準 を 適 用 することが 求 められる Ⅱ. 複 合 契 約 ソフトウェア 産 業 では ハードウェアの 販 売 価 格 にその 後 の 保 守 サービス 料 が 含 まれているなど 複 数 要 素 契 約 が 行 われているケースがある この 点 について ソフトウェア 取 引 の 収 益 の 会 計 処 理 に 関 する 実 務 上 の 取 扱 い において 複 数 要 素 契 約 の 収 益 認 識 に 関 する 一 定 の 考 え 方 が 示 されている 具 体 的 には 契 約 上 明 らかにされている 内 訳 金 額 によるほか 契 約 上 は 金 額 の 内 訳 が 明 らかにされていない 場 合 についても 管 理 上 の 適 切 な 区 分 に 基 づき 契 約 上 の 対 価 を 分 解 した 金 額 による 収 益 認 識 が 認 められるとされている 他 方 国 際 会 計 基 準 においては この 場 合 例 えば ハードウェアの 販 売 と 保 守 サービスの 提 供 につい て 別 々に 見 積 書 が 発 行 されており それぞれの 収 益 に 対 して 原 価 が 明 確 に 区 分 把 握 できるような 場 合 に は 保 守 サービスを 販 売 価 格 から 分 離 して 公 正 価 値 によって 測 定 し 販 売 時 には 繰 延 収 益 として 計 上 し サービス 提 供 期 間 にわたり 収 益 を 認 識 するものとされている したがって わが 国 の 管 理 上 の 適 切 な 区 分 に 基 づき 契 約 上 の 対 価 を 分 解 した 金 額 が 国 際 会 計 基 準 でいう 公 正 価 値 に 該 当 しない 場 合 には 国 際 会 計 基 準 と 相 違 が 生 ずることになるものと 思 われる

8 / 9 (7) 化 学 産 業 化 学 産 業 においては 販 売 時 に 販 売 単 価 を 確 定 しないまま 取 引 を 行 い 単 価 を 後 決 めする 方 式 を 採 用 し ているケースがある 例 えば 販 売 価 格 を 国 内 ナフサ 価 格 の 決 定 と 連 動 する 形 で 交 渉 によって ナ フサ 通 関 四 半 期 統 計 発 表 時 点 以 降 に 確 定 するなどの 場 合 である このような 場 合 現 行 のわが 国 会 計 基 準 では 売 上 認 識 時 には 仮 単 価 により 収 益 を 認 識 し 単 価 確 定 後 確 定 単 価 との 差 額 を 調 整 することが 認 められている 一 方 現 行 の 国 際 会 計 基 準 においては 化 学 品 メーカーが 顧 客 へ 製 品 等 を 引 き 渡 した 時 点 で 原 料 価 格 の 変 動 を 考 慮 した 後 の 販 売 価 格 につき 信 頼 性 をもって 測 定 できない 場 合 など 引 渡 時 で 価 格 が 合 理 的 に 予 測 できない 場 合 には 仮 単 価 による 売 上 認 識 が 認 められない 可 能 性 がある (8) 建 設 業 わが 国 の 建 設 業 における 長 期 請 負 工 事 に 関 する 収 益 の 計 上 については 原 則 として 工 事 進 行 基 準 が 適 用 されている このため わが 国 の 会 計 基 準 と 国 際 会 計 基 準 はほぼ 同 じとなっている すなわち 収 益 認 識 の 要 件 は 工 事 の 進 行 途 上 においてもその 進 捗 部 分 について 成 果 の 確 実 性 が 認 められること すなわ ち 以 下 の 各 要 素 について 信 頼 性 をもって 見 積 もることができることである 1 工 事 収 益 総 額 2 工 事 原 価 総 額 3 決 算 日 における 工 事 進 捗 度 ただし 工 事 の 成 果 を 信 頼 性 をもって 見 積 もることができない 場 合 国 際 会 計 基 準 においては 原 価 回 収 基 準 を 適 用 している( 発 生 した 工 事 契 約 原 価 のうち 回 収 可 能 性 が 高 い 部 分 についてのみ 収 益 を 認 識 ) 一 方 かかる 場 合 わが 国 の 基 準 では 工 事 完 成 基 準 を 適 用 している (9) 鉄 道 バス 航 空 業 界 鉄 道 バス 航 空 業 界 においては 国 際 会 計 基 準 を 導 入 した 場 合 ポイント 制 度 ( 顧 客 が 商 品 またはサー ビスを 購 入 した 際 に 企 業 が 顧 客 に 対 して 一 定 のポイントを 発 行 し 顧 客 が 一 定 の 条 件 を 満 たすことを 条 件 にそのポイントと 引 換 えに 商 品 またはサービスを 無 料 または 割 引 額 で 購 入 できる 制 度 )の 会 計 処 理 に 関 して 影 響 があるものと 思 われる( 小 売 業 参 照 ) 特 に 航 空 業 界 においては マイレージの 会 計 処 理 が 問 題 となる たとえば 航 空 券 の 購 入 者 が 航 空 会 社 のマイレージプログラムに 加 入 していれば 航 空 券 の 販 売 に 伴 い

9 / 9 搭 乗 した 区 間 等 に 応 じたマイルが 付 与 される この 場 合 航 空 券 の 販 売 代 金 の 総 額 には 航 空 券 自 体 の 対 価 と 付 与 されるマイルの 対 価 の 双 方 が 含 ま れるとみなされ それぞれを 区 分 して 公 正 価 値 で 処 理 される 付 与 されたマイルの 公 正 価 値 は 将 来 のマイルの 交 換 に 伴 い 提 供 されるサービスの 公 正 価 値 に 基 づき 測 定 され 繰 延 収 益 として 負 債 に 計 上 される