資 料 1 公 共 建 築 物 長 寿 命 化 に 向 けた 実 施 方 針 2013( 平 成 25) 年 3 月 財 政 局 資 産 運 用 課
目 次 第 1 章 長 寿 命 化 の 目 的 と 方 向 性 1 背 景...3 2 長 寿 命 化 の 必 要 性...4 3 実 施 方 針 の 対 象...7 4 長 寿 命 化 の 方 向 性...8 5 目 標 耐 用 年 数...8 6 長 寿 命 化 による 資 産 債 務 改 革 の 効 果 額...8 7 ライフサイクルコストの 把 握...9 第 2 章 長 寿 命 化 に 向 けての 課 題 1 公 共 建 築 物 の 劣 化 状 況... 11 2 長 寿 命 化 に 向 けての 課 題... 11 (1) 部 位 に 応 じた 適 切 な 対 応... 11 (2) 劣 化 情 報 の 一 元 管 理... 12 第 3 章 中 長 期 保 全 計 画 1 中 長 期 保 全 計 画 策 定 対 象 となる 公 共 建 築 物... 13 2 中 長 期 保 全 計 画 の 策 定 管 理 上 の 留 意 点... 14 (1) 計 画 年 数 の 設 定... 14 (2) 中 長 期 保 全 計 画 の 基 本 情 報... 14 (3) 中 長 期 保 全 計 画 の 見 直 し... 14 第 4 章 施 設 の 点 検 1 施 設 の 適 切 な 維 持 管 理... 15 2 施 設 管 理 者 の 役 割... 15 3 点 検 の 必 要 性... 16 4 点 検 の 種 類... 16 (1) 法 定 点 検... 17 (2) 日 常 点 検... 17 5 点 検 チェックシート 点 検 マニュアルの 活 用... 20 (1) 点 検 チェックシート... 20 (2) 点 検 マニュアル... 20 (3) 活 用 方 法... 20 6 点 検 重 視 型 保 全... 22
第 5 章 保 全 の 実 施 の 考 え 方 1 部 位 ごとの 保 全 手 法 の 設 定... 23 (1) 建 築 部 位... 23 (2) 電 気 設 備... 24 (3) 機 械 設 備... 25 (4) まとめ... 28 2 建 築 部 位 等 の 更 新 周 期... 28 3 予 防 保 全 の 着 実 な 実 施 と 計 画 管 理... 29 (1) 点 検 等 に 関 する 技 術 的 支 援... 29 (2) 長 寿 命 化 工 事 の 推 進... 29 (3) 特 定 財 源 の 活 用... 29 (4) 長 寿 命 化 実 施 の 効 果 額 の 把 握... 30 2
第 1 章 長 寿 命 化 の 目 的 と 方 向 性 1 背 景 本 市 は 高 度 経 済 成 長 期 に 重 化 学 工 業 部 門 を 中 心 とした 京 浜 工 業 地 帯 の 一 翼 を 担 うなど 産 業 の 発 展 とともに 多 くの 若 い 世 代 が 流 入 して 人 口 が 急 増 し 1972 ( 昭 和 47) 年 7 月 に 政 令 指 定 都 市 に 移 行 しました こうした 本 市 の 地 方 自 治 体 としての 役 割 と 責 任 の 一 層 の 拡 大 に 伴 い 学 校 施 設 保 育 所 市 営 住 宅 などの 公 共 建 築 物 の 整 備 が 急 速 に 進 められるとともに 1970 年 代 以 降 の 社 会 経 済 状 況 や 市 民 生 活 の 多 様 化 を 背 景 に 福 祉 施 設 文 化 施 設 社 会 教 育 施 設 の 必 要 性 から さらに 整 備 が 集 中 しました また 1990 年 代 のバブル 経 済 期 には 多 様 化 増 大 化 する 市 民 ニーズに 的 確 に 対 応 するため 高 度 経 済 成 長 期 に 建 設 された 公 共 建 築 物 に 様 々な 機 能 を 付 加 し た 増 改 築 などの 整 備 が 進 められ 現 在 において 公 共 建 築 物 ( 企 業 会 計 を 除 く) は 総 延 床 面 積 約 350 万 m2を 有 するまでに 至 っています 図 表 1-1-1 公 共 建 築 物 の 建 設 年 別 延 床 面 積 ( 公 有 財 産 台 帳 ( 平 成 24 年 10 月 )) m2 200,000 180,000 160,000 旧 耐 震 基 準 等 (1981 年 度 以 前 と 仮 定 ) 1,358 千 m2(38.1%) 築 30 年 以 上 1,511 千 m2 42.4% 新 耐 震 基 準 (1982 年 度 以 降 と 仮 定 ) 2,201 千 m2(61.9%) 築 20~29 年 922 千 m2 25.9% 築 10~19 年 728 千 m2 20.5% 築 9 年 以 下 398 千 m2 11.2% 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 - ~1950 1953 1956 1959 1962 1965 1968 1971 1974 1977 1980 1983 1986 1989 1992 1995 1998 2001 2004 2007 2010 年 庁 舎 施 設 社 会 教 育 施 設 商 業 産 業 施 設 環 境 衛 生 施 設 老 人 福 祉 施 設 障 害 福 祉 施 設 児 童 福 祉 施 設 保 育 園 その 他 福 祉 施 設 自 転 車 対 策 施 設 等 事 務 所 事 業 所 等 清 掃 処 理 施 設 消 防 施 設 住 宅 学 校 施 設 普 通 財 産 3
図 表 1-1-1 は 普 通 財 産 を 含 む 本 市 公 共 建 築 物 ( 企 業 会 計 を 除 く)の 建 築 年 別 の 延 床 面 積 を 示 していますが 築 30 年 以 上 が 経 過 した 公 共 建 築 物 の 延 床 面 積 の 全 体 に 占 める 割 合 を 見 た 場 合 現 在 は 約 4 割 程 度 ですが 10 年 後 の 2022( 平 成 34) 年 には 約 7 割 にまで 増 加 し 施 設 老 朽 化 に 伴 う 今 後 の 大 規 模 修 繕 や 更 新 のための 財 政 負 担 の 増 大 集 中 が 懸 念 される 状 況 となっています 図 表 1-1-2 現 在 10 年 後 における 築 30 年 以 上 の 建 物 延 床 面 積 の 割 合 2012( 平 成 24) 年 2022( 平 成 34) 年 築 30 年 以 上 42.4% 築 30 年 未 満 31.7% 築 30 年 未 満 57.6% 築 30 年 以 上 68.3% 2 長 寿 命 化 の 必 要 性 建 築 物 は 屋 根 や 外 壁 などの 劣 化 や 破 損 への 対 応 を 対 症 療 法 的 に 行 うと 建 築 躯 体 や 電 気 機 械 設 備 の 損 傷 につながり 建 築 物 全 体 の 寿 命 を 縮 める 要 因 となり ます 従 来 本 市 では こうした 事 後 保 全 ( 注 1)が 通 常 であり その 結 果 として 本 市 公 共 建 築 物 の 使 用 年 数 は 平 均 約 35 年 となっています 一 方 で 中 長 期 保 全 計 画 の 策 定 や 日 々の 施 設 の 点 検 等 により 劣 化 破 損 あるい はその 拡 大 を 未 然 に 防 ぐ 予 防 保 全 ( 注 2) の 手 法 により 施 設 を 長 寿 命 化 することも 可 能 であり 既 に 本 市 でも 大 規 模 5 施 設 ( 市 役 所 第 3 庁 舎 高 津 区 役 所 多 摩 区 総 合 庁 舎 とどろきアリーナ 港 湾 振 興 会 館 )や 市 営 住 宅 において 長 寿 命 化 の 具 体 的 取 組 を 実 施 しているところです ( 注 1) 機 器 が 故 障 したり 建 築 物 の 機 能 や 性 能 の 異 常 がはっきり 目 に 見 えるような 段 階 になっ て 初 めて 修 繕 ( 建 築 物 等 の 劣 化 した 部 分 若 しくは 部 材 又 は 低 下 した 性 能 若 しくは 機 能 を 原 状 あるいは 実 用 上 支 障 のない 状 態 まで 回 復 させること)などの 処 置 を 施 す 方 法 をいう ( 注 2) 点 検 等 によって 建 築 物 の 機 能 や 性 能 の 劣 化 の 有 無 や 兆 候 状 態 を 常 に 把 握 し 現 状 では 異 常 が 見 当 たらなくても 時 間 の 経 過 とともに 劣 化 の 状 態 を 予 測 した 上 で 計 画 的 に 適 切 な 処 置 を 行 うことにより 機 能 停 止 などを 未 然 に 防 ぐ 方 法 をいう 4
また こうした 施 設 長 寿 命 化 により 経 年 の 保 全 コストは 事 後 保 全 より 多 額 と なるものの 建 替 えのサイクルを 延 長 することにより 例 えば 60 年 間 といった 一 定 期 間 内 での 施 設 整 備 コスト 総 額 を 大 幅 に 削 減 することが 可 能 となります 本 市 の 公 共 建 築 物 ( 普 通 会 計 施 設 )について 長 寿 命 化 を 行 わない 場 合 既 存 長 寿 命 化 計 画 を 反 映 した 場 合 全 公 共 建 築 物 について 長 寿 命 化 を 考 慮 する 場 合 のそれぞれの 修 繕 更 新 費 と これに 掛 かる 一 般 財 源 負 担 額 の 将 来 見 通 しは 図 表 1-2-1 から 図 表 1-2-3 のとおりです 図 表 1-2-1 公 共 建 築 物 の 修 繕 更 新 費 とこれに 掛 かる 一 般 財 源 負 担 額 の 将 来 見 通 し ( 非 長 寿 命 化 ) ( 単 位 億 円 /5 年 ) 2,500 2,000 905 億 円 786 億 円 1,500 1,000 500 0 2013~2017 2018~2022 2023~2027 2028~2032 2033~2037 2038~2042 修 繕 費 更 新 費 一 般 財 源 負 担 額 ( 将 来 ) 一 般 財 源 負 担 額 ( 将 来 平 均 ) 一 般 財 源 負 担 額 ( 過 年 度 平 均 ) 5
図 表 1-2-2 公 共 建 築 物 の 修 繕 更 新 費 とこれに 掛 かる 一 般 財 源 負 担 額 の 将 来 見 通 し ( 長 寿 命 化 ( 既 存 計 画 反 映 )) ( 単 位 億 円 /5 年 ) 2,500 2,000 867 億 円 786 億 円 1,500 1,000 500 0 2013~2017 2018~2022 2023~2027 2028~2032 2033~2037 2038~2042 修 繕 費 更 新 費 一 般 財 源 負 担 額 ( 将 来 ) 一 般 財 源 負 担 額 ( 将 来 平 均 ) 一 般 財 源 負 担 額 ( 過 年 度 平 均 ) 図 表 1-2-3 公 共 建 築 物 の 修 繕 更 新 費 とこれに 掛 かる 一 般 財 源 負 担 額 の 将 来 見 通 し ( 長 寿 命 化 ( 全 公 共 建 築 物 について 考 慮 )) ( 単 位 億 円 /5 年 ) 2,500 2,000 592 億 円 786 億 円 1,500 1,000 500 0 2013~2017 2018~2022 2023~2027 2028~2032 2033~2037 2038~2042 修 繕 費 更 新 費 一 般 財 源 負 担 額 ( 将 来 ) 一 般 財 源 負 担 額 ( 将 来 平 均 ) 一 般 財 源 負 担 額 ( 過 年 度 平 均 ) 6
将 来 見 通 し 作 成 の 前 提 図 表 1-2-1~1-2-3 共 通 1 一 般 財 源 負 担 額 には 修 繕 及 び 更 新 費 の 財 源 起 債 による 公 債 費 分 を 含 む 2 市 債 は 年 利 1.8% 償 還 期 間 30 年 (10 年 毎 償 還 )とする 3 過 年 度 一 般 財 源 負 担 額 786 億 円 /5 年 は 2007( 平 成 19)~2011( 平 成 23) 年 度 決 算 の 合 計 額 各 図 表 個 別 ( 更 新 サイクル 事 業 費 ) 図 表 1-2-1 長 寿 命 化 を 行 わない 場 合 これまでの 実 績 から 学 校 は 築 45 年 住 宅 は 築 50 年 その 他 公 共 建 築 物 ( 庁 舎 市 民 利 用 施 設 等 )は 築 35 年 で 更 新 するものと 仮 定 将 来 各 年 度 の 修 繕 更 新 費 は 過 年 度 実 績 額 等 に 基 づき 算 出 図 表 1-2-2 既 存 長 寿 命 化 計 画 を 反 映 した 場 合 第 3 次 川 崎 市 市 営 住 宅 等 ストック 総 合 活 用 計 画 (H23) 及 びまちづくり 局 施 設 保 全 担 当 策 定 の 67 施 設 ( 大 規 模 5 施 設 を 含 む )に 関 する 中 長 期 保 全 計 画 (H18~H22) 計 画 額 を 反 映 その 他 施 設 ( 学 校 等 )の 見 通 し 額 は 長 寿 命 化 を 行 わない 場 合 と 同 額 図 表 1-2-3 全 公 共 建 築 物 について 長 寿 命 化 を 考 慮 する 場 合 現 在 長 寿 命 化 計 画 のない 学 校 等 についても 長 寿 命 化 し 築 60 年 以 上 使 用 するもの と 仮 定 将 来 各 年 度 の 修 繕 更 新 費 は 過 年 度 実 績 額 のほか 平 成 17 年 度 建 築 物 のラ イフサイクルコスト ( 国 土 交 通 省 大 臣 官 房 官 庁 営 繕 部 監 修 ) 掲 載 のモデル 施 設 修 繕 単 価 等 に 基 づき 算 出 公 共 建 築 物 の 修 繕 更 新 に 掛 かる 一 般 財 源 負 担 額 で 見 ると 図 表 1-2-2 のとおり 既 存 長 寿 命 化 計 画 を 反 映 するだけでは 将 来 額 が 過 年 度 額 を 上 回 ってしまう 結 果 と なっており これを 過 年 度 額 の 範 囲 内 とするのであれば 図 表 1-2-3 のとおり 全 公 共 建 築 物 について 長 寿 命 化 を 考 慮 することが 必 要 となります このためには 市 営 住 宅 大 規 模 5 施 設 等 の 既 存 長 寿 命 化 計 画 を 着 実 に 実 施 して いくことに 加 えて 現 在 長 寿 命 化 計 画 がない 学 校 等 についても 効 果 的 な 長 寿 命 化 手 法 を 検 討 していくことが 必 要 となります 3 実 施 方 針 の 対 象 本 市 の 公 共 建 築 物 は 市 営 住 宅 ( 約 1,000 棟 約 1,330 千 m2) 学 校 施 設 ( 約 1,600 棟 約 1,107 千 m2) その 他 の 公 共 建 築 物 ( 庁 舎 市 民 利 用 施 設 等 )( 約 1,600 棟 約 1,100 千 m2) 企 業 会 計 施 設 の4つに 分 類 することができます 市 営 住 宅 や 企 業 会 計 施 設 については 市 営 住 宅 ストック 総 合 活 用 計 画 ほか 各 事 業 局 において 長 寿 命 化 を 含 む 画 一 的 な 施 設 整 備 計 画 等 を 策 定 しており 学 校 施 設 についても 教 育 委 員 会 事 務 局 において 劣 化 診 断 や 耐 震 診 断 を 含 む 総 合 的 な 調 査 7
を 実 施 し 施 設 ごとのカルテ 作 りを 進 めながら 再 生 整 備 の 手 法 等 も 取 り 入 れた 長 寿 命 化 に 向 けた 新 たな 計 画 策 定 を 進 めています したがって 本 実 施 方 針 は 上 記 4 分 類 のうち こうした 画 一 的 な 施 設 整 備 計 画 等 が 存 在 しない その 他 の 公 共 建 築 物 ( 庁 舎 市 民 利 用 施 設 等 ) を 対 象 とします 4 長 寿 命 化 の 方 向 性 これまで 本 市 では 事 後 保 全 を 中 心 に 施 設 整 備 を 行 ってきましたが 今 後 は 将 来 財 政 負 担 縮 減 の 観 点 から 上 記 対 象 施 設 の 全 てについて 予 防 保 全 による 長 寿 命 化 を 推 進 していきます 建 築 物 は 完 成 した 時 点 から 時 間 の 経 過 により 劣 化 が 進 行 し 機 能 や 資 産 価 値 が 低 下 します 劣 化 の 進 行 は 建 築 物 の 部 位 により 差 があり 構 造 に 重 大 な 影 響 を 与 える 場 合 もあるため 優 先 的 に 予 防 保 全 を 実 施 すべき 部 位 あるいは 事 後 保 全 でも 支 障 がない 部 位 等 部 位 ごとの 重 要 度 を 位 置 付 け 取 り 組 むことが 必 要 です また 予 防 保 全 を 行 うためには 全 ての 施 設 管 理 者 が 施 設 に 装 備 されている 機 器 や 部 材 点 検 に 基 づくこれらの 劣 化 状 況 や 状 態 の 変 化 を 把 握 していることが 大 前 提 であるとともに 部 位 等 に 応 じ どのような 工 事 が 予 防 保 全 に 適 しているかを 認 識 しておくことも 必 要 です 5 目 標 耐 用 年 数 一 般 に 耐 用 年 数 とは 建 築 物 またはその 部 分 が 使 用 に 耐 えなくなるまでの 年 数 をいいますが 施 設 長 寿 命 化 に 向 けては 目 標 耐 用 年 数 を 設 定 することに より 取 組 を 推 進 していく 必 要 があります 目 標 耐 用 年 数 は 建 築 物 の 用 途 や 躯 体 の 材 質 により 大 きく 異 なります 社 団 法 人 日 本 建 築 学 会 編 建 築 物 の 耐 久 計 画 に 関 する 考 え 方 によると 官 公 庁 施 設 の 躯 体 について 高 品 質 の 鉄 筋 コンクリ ート 造 の 場 合 は 100 年 以 上 ですが 普 通 の 品 質 の 場 合 は 60 年 以 上 が 望 ましいと されています これに 従 い 本 実 施 方 針 における 目 標 耐 用 年 数 は RC 造 鉄 骨 造 の 普 通 の 品 質 の 事 務 所 を 想 定 して 60 年 以 上 とします 6 長 寿 命 化 による 資 産 債 務 改 革 の 効 果 額 本 市 では 充 実 した 市 民 サービスをより 効 率 的 安 定 的 に 提 供 するため 行 政 サ ービスの 元 となる 流 動 資 産 を 増 やし 将 来 の 公 債 費 抑 制 をめざす 資 産 債 務 改 革 8
を 目 指 し PRE 戦 略 を 推 進 しています 公 共 建 築 物 の 長 寿 命 化 の 取 組 は その 重 要 な 戦 略 の 一 つであり PRE 戦 略 を 一 層 推 進 するためには 資 産 債 務 改 革 の 効 果 を 明 らかにする 必 要 があります 全 公 共 建 築 物 について 長 寿 命 化 を 考 慮 する 場 合 の 今 後 30 年 間 の 資 産 債 務 改 革 の 効 果 額 は 長 寿 命 化 を 行 わない 場 合 と 比 べ 保 健 福 祉 医 療 等 の 財 源 となる 金 融 資 産 ( 資 金 等 )を 2,366 億 円 増 加 させるとともに 将 来 世 代 の 負 担 軽 減 のため 負 債 ( 市 債 残 高 )を 332 億 円 削 減 する 効 果 があります( 図 表 1-6-1) 図 表 1-6-1 資 産 債 務 改 革 の 効 果 額 (2042 年 度 時 点 ) 基 準 モデルベース ( 全 公 共 建 築 物 を 長 寿 命 化 する 場 合 - 長 寿 命 化 を 行 わない 場 合 ) 資 産 の 部 負 債 純 資 産 の 部 保 健 福 祉 医 療 など の 財 源 へ 金 融 資 産 +2,366億 円 負 債 332 億 円 将 来 公 債 費 の 縮 減 ( 将 来 世 代 の 負 担 軽 減 )へ 事 業 用 資 産 純 資 産 2,184 億 円 4,882億 円 純 経 常 費 用 へ の 財 源 措 置 移 転 収 入 固 定 資 産 の 減 少 2,485 億 円 569 億 円 +870 億 円 7 ライフサイクルコストの 把 握 施 設 長 寿 命 化 の 費 用 対 効 果 を 把 握 する 方 法 として ライフサイクルコスト( 以 下 LCC という )の 比 較 による 検 証 手 法 があります LCCの 縮 減 と 修 繕 更 新 費 用 の 平 準 化 を 着 実 に 進 めるため 本 市 では 施 設 整 備 による 財 政 負 担 への 影 響 が 大 きい 施 設 などについては 劣 化 等 を 詳 細 に 調 査 することにより 現 況 を 把 握 し 各 設 備 の 耐 用 年 数 や 施 設 の 機 能 などを 考 慮 した 中 長 期 保 全 計 画 を 策 定 す ることとしています 図 表 1-7-1 は 中 長 期 保 全 計 画 を 策 定 した 麻 生 区 役 所 について 事 後 保 全 と 予 防 保 全 のLCCを 比 較 したグラフです なお 耐 用 年 数 については 事 後 保 全 の 場 合 を 35 年 予 防 保 全 の 場 合 を 60 年 としています これによると 築 35 年 を 経 過 した 時 点 から 建 替 えコストの 影 響 により 事 後 保 全 のコストが 予 防 保 全 のコストを 上 回 ることが 分 かります 9
こうした 試 算 結 果 を 踏 まえると LCCを 平 準 化 縮 減 するためには 事 後 保 全 やこれに 伴 う 短 期 間 での 建 て 替 えを 行 うのではなく 予 防 保 全 により 建 築 物 の 長 寿 命 化 に 取 り 組 むことが 必 要 です なお 施 設 の 規 模 や 状 態 により 試 算 結 果 が 異 なるため 施 設 ごとにLCCを 比 較 検 証 する 必 要 があります 2,000,000 事 後 保 全 予 防 保 全 事 後 保 全 累 計 予 防 保 全 累 計 1,800,000 1,600,000 1,400,000 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000-1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 6 年 7 年 8 年 9 年 10 年 11 年 12 年 13 年 14 年 15 年 16 年 17 年 18 年 19 年 20 年 21 年 22 年 23 年 24 年 25 年 26 年 27 年 28 年 29 年 30 年 31 年 32 年 33 年 34 年 35 年 36 年 37 年 38 年 39 年 40 年 41 年 42 年 43 年 44 年 45 年 46 年 47 年 48 年 49 年 50 年 51 年 52 年 53 年 54 年 55 年 56 年 57 年 図 表 1-7-1 年 度 別 コスト 累 計 コストの 比 較 ( 事 後 保 全 予 防 保 全 )< 麻 生 区 役 所 >( 単 位 : 千 円 ) 10
第 2 章 長 寿 命 化 に 向 けての 課 題 1 公 共 建 築 物 の 劣 化 状 況 建 築 年 別 の 公 共 建 築 物 の 状 況 は 図 表 1-1-2 で 示 したとおりですが 個 々の 施 設 の 老 朽 化 の 状 況 は 築 年 数 に 関 わらず 施 設 の 立 地 条 件 等 によっても 大 きく 異 なります 例 えば 築 24 年 の 庁 舎 の 外 壁 については 専 門 家 による 劣 化 診 断 の 結 果 から 次 のように 報 告 されています 図 表 2-1-1 外 壁 タイルの 剥 離 主 要 な 仕 上 である 炉 器 質 タイルは 概 ね 状 態 は 良 いが 浮 きは 各 方 位 に 小 面 積 ながら 確 認 されており 特 に 南 側 ドライエリア 上 部 の 浮 きは 剥 落 の 危 険 性 が 高 い しかし 施 設 利 用 者 等 が 通 行 する 場 所 からは 離 れている 他 の 部 位 は 浮 きの 程 度 が 少 なく 剥 落 の 可 能 性 が 低 いと 考 えられるが 定 期 的 に 経 過 を 観 察 することを 推 奨 する ( 中 略 ) 塔 屋 及 びバ ルコニー 等 の 吹 付 タイル 部 分 は 全 体 にひ び 割 れが 多 数 見 られ 南 側 側 面 には 貫 通 ク ラックも 確 認 された また 空 調 設 備 や 給 排 水 設 備 については 老 朽 化 に 伴 うサビや 腐 食 等 が 報 告 されて います 設 備 の 劣 化 が 進 むと 効 率 が 低 下 し 運 転 費 や 修 繕 費 の 増 大 につながります 図 表 2-1-2 冷 却 塔 の 充 填 剤 劣 化 2 長 寿 命 化 に 向 けての 課 題 (1) 部 位 に 応 じた 適 切 な 対 応 建 築 物 は 建 築 電 気 設 備 機 械 設 備 の 各 部 位 で 構 成 されます 長 寿 命 化 のた めには 建 築 部 位 の 保 全 が 重 要 です しかし 施 設 管 理 者 へのヒアリングを 行 っ たところ 設 備 の 修 繕 が 優 先 であり 建 築 部 位 には 手 をつけていない という 意 見 もあり 必 ずしも 全 ての 施 設 で 建 築 部 位 の 保 全 に 手 が 付 けられていない 状 況 11
です これは 建 築 部 位 が 劣 化 しても 施 設 利 用 上 の 問 題 が 表 面 化 しない 一 方 設 備 については 施 設 利 用 者 からの 要 望 や 社 会 環 境 の 変 化 などにより 早 期 に 改 善 を 迫 られ 問 題 が 表 面 化 しやすいことが 理 由 と 考 えられます また 施 設 管 理 者 からは 特 に 電 気 機 械 設 備 は 複 雑 かつ 専 門 的 な 構 造 となっ ているため どの 部 品 がどういう 機 能 を 発 揮 しているのかが 分 からない と い う 意 見 や 外 壁 に 傷 があったとしても どのくらいの 深 さで 建 築 物 に 影 響 を 与 える か 分 からない といった 意 見 がありました 長 寿 命 化 に 向 けた 予 防 保 全 実 施 のた めには 施 設 の 状 況 を 早 期 かつ 的 確 に 把 握 していくとともに 建 築 電 気 機 械 設 備 といった 部 位 別 に 適 切 な 対 応 を 行 っていく 必 要 があります (2) 劣 化 情 報 の 一 元 管 理 保 全 計 画 の 策 定 点 検 による 劣 化 状 況 の 把 握 その 対 応 などが 施 設 ごとに 行 わ れていても こうした 劣 化 情 報 は 施 設 管 理 者 のもとに 留 まっています このた め 川 崎 市 全 体 として 長 寿 命 化 の 進 捗 状 況 の 確 認 や 今 後 の 施 設 長 寿 命 化 における 方 向 性 の 決 定 ができないことが 課 題 です そこで 施 設 に 関 する 情 報 を 一 元 的 に 集 約 する 仕 組 についても 構 築 していく 必 要 があります 以 上 のような 施 設 長 寿 命 化 に 向 けての 課 題 に 的 確 に 対 応 していくため 本 実 施 方 針 では 中 長 期 保 全 計 画 ( 第 3 章 )や 施 設 管 理 者 の 知 識 向 上 のためのマニ ュアルの 更 新 等 を 通 じた 施 設 の 点 検 ( 第 4 章 ) 部 位 ごとの 保 全 手 法 ( 第 5 章 )を 記 しています 12
第 3 章 中 長 期 保 全 計 画 1 中 長 期 保 全 計 画 策 定 対 象 となる 公 共 建 築 物 中 長 期 保 全 計 画 とは 建 築 物 の 屋 根 外 壁 空 調 などの 熱 源 機 器 エレベータ などの 部 位 について 劣 化 診 断 調 査 を 行 い その 劣 化 度 を 鑑 み それぞれの 部 位 ご との 修 繕 更 新 周 期 や 工 事 推 定 単 価 等 を 中 長 期 的 にまとめた 保 全 計 画 をいいます 本 市 では 中 長 期 保 全 計 画 の 策 定 実 施 によるコストメリットの 観 点 から こ れまで 次 の2つの 要 件 を 共 に 充 たす 施 設 について 中 長 期 保 全 計 画 を 策 定 しまし た(2012( 平 成 24) 年 12 月 時 点 で 67 棟 について 策 定 済 み) なお 中 長 期 保 全 計 画 においては 各 部 位 ごとの 修 繕 更 新 周 期 や 工 事 推 定 単 価 は 平 成 17 年 版 建 築 物 のライフサイクルコスト ( 財 団 法 人 建 築 保 全 セン ター)に 基 づき 建 築 設 備 の 各 部 位 毎 に 修 繕 更 新 周 期 を 設 定 しています 要 件 1: 延 床 面 積 500 m2 以 上 かつ 階 数 3 以 上 であること 一 般 に 延 床 面 積 500 m2 未 満 の 小 規 模 な 建 築 物 は 法 定 の 設 備 も 比 較 的 少 なく 複 雑 な 機 能 を 持 つものは 希 少 です 一 方 で 規 模 の 大 きな 建 築 物 は 高 架 水 槽 等 の 給 水 設 備 ( 概 ね3 階 以 上 に 必 要 )や 非 常 用 照 明 設 備 (3 階 以 上 かつ 500 m2 以 上 ) など さまざまな 設 備 機 器 類 が 設 置 されることから 設 備 の 定 期 的 なメンテナン スが 重 要 となります 要 件 2:1981( 昭 和 56) 年 6 月 1 日 以 降 に 新 耐 震 設 計 基 準 を 適 用 した 施 設 である こと 予 防 保 全 により 今 後 長 期 にわたり 良 質 な 財 産 として 存 続 していくためには 現 時 点 で 一 定 程 度 の 品 質 が 保 たれていることが 必 要 です 目 安 として 1981( 昭 和 56) 年 6 月 1 日 以 降 の 新 耐 震 設 計 基 準 を 適 用 した 建 築 物 については 一 定 の 耐 震 性 能 を 持 ち 使 用 材 料 の 仕 様 等 から 見 ても 十 分 な 物 理 的 耐 久 性 を 備 えています また 現 在 でも 法 定 耐 用 年 数 の 過 半 を 残 しているこ とから 長 寿 命 化 の 効 果 を 期 待 できることに 加 え 建 築 設 備 各 部 位 の 修 繕 更 新 周 期 に 基 づき それぞれ1 回 以 上 の 更 新 を 行 うことにより 建 築 物 全 体 として 目 標 耐 用 年 数 まで 使 用 していくことが 可 能 となります 13
ただし こうした 要 件 1 2は 原 則 であり 合 致 していない 場 合 でも コスト メリットが 認 められる 場 合 等 には 中 長 期 保 全 計 画 を 策 定 するとともに 小 規 模 な 施 設 も 簡 易 な 計 画 の 策 定 を 検 討 する 必 要 があります また 今 後 は 原 則 として 新 築 建 築 物 については 竣 工 時 に 中 長 期 保 全 計 画 を 策 定 することとします 2 中 長 期 保 全 計 画 の 策 定 管 理 上 の 留 意 点 中 長 期 保 全 計 画 の 策 定 管 理 にあたっての 留 意 点 は 次 のとおりです (1) 計 画 年 数 の 設 定 建 築 物 の 目 標 耐 用 年 数 については 建 築 物 の 耐 久 計 画 に 関 する 考 え 方 に 基 づ き 60 年 以 上 を 目 安 として 長 寿 命 化 に 取 り 組 む 必 要 がありますが 保 全 計 画 の 年 数 については 対 象 部 位 の 更 新 周 期 目 標 耐 用 年 数 まで 保 全 する 上 でのバランス 等 から 考 慮 し 計 画 年 数 を 30 年 とします また 劣 化 状 況 により 早 期 の 対 応 が 必 要 な 場 合 には より 短 期 的 かつ 具 体 的 な 計 画 を 策 定 していきます (2) 中 長 期 保 全 計 画 の 基 本 情 報 中 長 期 保 全 計 画 の 基 本 情 報 は 建 築 部 位 設 備 機 器 の 仕 様 数 量 設 置 年 数 新 築 時 工 事 費 修 繕 履 歴 ( 工 事 費 を 含 む) 点 検 履 歴 保 全 対 象 部 位 の 修 繕 更 新 周 期 及 び 更 新 費 用 等 とします (3) 中 長 期 保 全 計 画 の 見 直 し 中 長 期 保 全 計 画 は 一 般 的 なケースを 元 に 策 定 されたものであり 建 築 物 の 施 工 状 態 環 境 使 用 状 況 などの 違 いから 実 際 には 計 画 どおりに 工 事 が 実 施 され ないことがあります そのため 施 設 管 理 者 は 概 ね6 年 毎 に 劣 化 診 断 の 再 調 査 を 実 施 するとともに 毎 年 度 の 修 繕 更 新 等 の 実 施 状 況 や 点 検 による 建 築 物 の 劣 化 状 況 等 を 踏 まえ 中 長 期 保 全 計 画 を 見 直 すことにより 実 効 性 を 確 保 します また 資 産 マネジメントプランにおける 施 設 の 再 編 による 資 産 保 有 の 最 適 化 等 の 取 組 による 施 設 の 再 編 状 況 を 踏 まえ 計 画 を 見 直 す 必 要 もあります 14
第 4 章 施 設 の 点 検 1 施 設 の 適 切 な 維 持 管 理 予 防 保 全 を 効 果 的 に 推 進 するとともに 施 設 の 機 能 を 適 正 に 保 ち 十 分 に 発 揮 していくためには 施 設 の 劣 化 を 正 確 に 把 握 し それに 対 応 して 施 設 を 維 持 管 理 することが 必 要 です 施 設 の 維 持 管 理 とは 施 設 の 点 検 設 備 機 器 の 運 転 点 検 保 守 警 備 清 掃 保 全 などをいいます 施 設 の 維 持 管 理 は 供 用 開 始 から 供 用 完 了 までの 長 期 間 に わたります そのため 多 数 の 関 係 者 が 関 与 することから 施 設 に 関 する 情 報 を 体 系 的 継 続 的 に 引 き 継 ぐ 必 要 があります 施 設 の 管 理 に 必 要 となる 情 報 は 多 岐 にわたるため 現 在 の 施 設 管 理 者 が 維 持 管 理 に 必 要 な 情 報 を 把 握 できず 施 設 を 適 切 に 維 持 管 理 できていない 例 が 見 受 けら れます このような 維 持 管 理 を 続 けていくと 機 器 等 の 性 能 劣 化 に 伴 うランニングコスト が 増 大 し 損 傷 部 改 修 の 先 送 りによる 不 具 合 が 発 生 するだけではなく これらによ る 施 設 の 使 用 停 止 や 最 悪 の 場 合 には 劣 化 や 破 損 による 人 的 被 害 も 考 えられます これらを 防 ぐためには 維 持 管 理 の 中 でも 特 に 点 検 を 充 実 させていく 必 要 があります 2 施 設 管 理 者 の 役 割 川 崎 市 財 産 規 則 では 公 有 財 産 の 管 理 を 適 正 かつ 円 滑 に 行 うため 部 局 にそれ ぞれ 財 産 管 理 主 任 を 置 くものとし 所 管 に 属 する 公 有 財 産 の 状 況 を 調 査 し 帳 簿 その 他 必 要 な 資 料 を 整 備 することを 定 めています( 同 規 則 第 5 条 ) また 施 設 管 理 者 には 財 産 管 理 主 任 が 充 てられることが 一 般 的 です このように 施 設 管 理 者 には 財 産 管 理 の 責 任 者 として 建 築 物 を 定 期 に 点 検 を 実 施 し 劣 化 状 況 を 把 握 することも 施 設 管 理 者 の 重 要 な 役 割 です 施 設 管 理 者 は 施 設 の 建 築 年 月 日 構 造 規 模 及 び 保 全 履 歴 等 の 情 報 を 整 理 し 点 検 を 通 じ 施 設 の 劣 化 状 況 を 把 握 するとともに 各 種 点 検 の 結 果 について 記 録 した 点 検 記 録 簿 等 を 継 続 的 に 整 備 し 異 常 の 早 期 発 見 や 適 正 な 保 全 に 努 めるとと もに 中 長 期 保 全 計 画 等 の 見 直 しを 行 う 必 要 があります 15
また 指 定 管 理 者 による 管 理 を 行 っている 施 設 にあっては 劣 化 状 況 の 把 握 等 については 指 定 管 理 者 からの 報 告 聴 取 のみとせず 施 設 管 理 者 は 指 定 管 理 者 と ともに 現 地 確 認 をし 自 らも 建 築 物 の 劣 化 状 況 の 把 握 に 努 める 必 要 があります( 地 方 自 治 法 第 244 条 の 2 第 3 項 第 10 項 国 家 賠 償 法 第 2 条 参 照 ) 3 点 検 の 必 要 性 点 検 とは 建 築 物 の 機 能 性 能 を 適 切 に 保 つために 建 築 物 の 各 部 位 及 び 設 備 機 器 の 機 能 性 能 について 異 常 劣 化 損 傷 の 状 態 を 調 査 することをいい 機 能 に 異 常 劣 化 等 がある 場 合 必 要 に 応 じて 対 応 措 置 を 判 断 することを 含 みます 施 設 を 安 全 に かつ 安 心 して 利 用 するために 施 設 管 理 者 等 の 施 設 関 係 者 は 法 令 に 定 められた 点 検 を 行 うことはもちろんのこと 日 頃 から 施 設 の 不 具 合 等 の 早 期 発 見 や 記 録 に 努 め 施 設 を 適 正 に 維 持 管 理 していくことが 重 要 です 施 設 の 善 良 な 維 持 保 全 を 怠 るとその 後 の 維 持 管 理 には 多 大 な 時 間 労 力 経 費 が 必 要 です 日 常 的 に 目 に 触 れない 建 築 部 位 や 設 備 等 は 正 常 に 運 転 されている と 思 われがちですが 突 然 不 具 合 が 発 生 する 可 能 性 があります 劣 化 の 進 行 を 防 ぐことにより 長 寿 命 化 を 図 りつつ 公 共 施 設 利 用 者 の 安 全 確 保 や 安 定 した 市 民 サ ービスを 確 保 していくためには 法 定 点 検 日 常 点 検 が 重 要 な 役 割 を 担 うことと なります 4 点 検 の 種 類 建 築 基 準 法 では 建 築 物 等 の 維 持 保 全 義 務 について 建 築 物 の 所 有 者 管 理 者 又 は 占 有 者 は その 建 築 物 の 敷 地 構 造 及 び 建 築 設 備 を 常 時 適 法 な 状 態 に 維 持 す るように 努 めなければならない と 定 めています( 同 法 第 8 条 ) 点 検 には 法 律 によって 一 定 期 間 ごとに 行 うことを 義 務 付 けられている 法 定 点 検 と 施 設 管 理 者 等 が 行 う 設 備 の 運 転 監 視 と 並 行 して 建 築 物 の 異 常 劣 化 を 目 視 等 にて 調 査 する 日 常 点 検 があります 法 定 点 検 は 建 築 物 の 規 模 や 設 備 の 性 能 等 から 対 象 となるものを 規 定 しており 機 能 性 能 の 維 持 に 欠 かせないことから 計 画 的 に 実 施 する 必 要 があります また 日 常 点 検 についても 不 具 合 箇 所 の 早 期 発 見 が 重 要 であり 法 定 点 検 と 同 様 に 実 施 する 必 要 があります いずれも 不 具 合 箇 所 の 早 期 発 見 による 機 能 性 能 の 維 持 には 欠 かせないことから 計 画 的 か つ 着 実 に 実 施 する 必 要 があります なお 建 物 部 位 等 には 施 設 管 理 者 等 が 目 視 によって 機 能 の 状 態 を 判 断 できる 16
部 分 もありますが そうでない 部 位 等 については 専 門 技 術 者 などにより 点 検 を 行 う 必 要 があります (1) 法 定 点 検 建 築 基 準 法 では 一 定 以 上 の 規 模 の 公 共 建 築 物 について 当 該 建 築 物 の 敷 地 構 造 昇 降 機 及 び 建 築 設 備 について 定 期 的 に 損 傷 腐 食 その 他 劣 化 の 状 況 の 点 検 を 実 施 することを 義 務 付 けています( 同 法 第 12 条 ) さらに 電 気 設 備 や 機 械 設 備 は 各 種 法 令 により 定 期 点 検 を 義 務 付 けています( 図 表 4-4-1 参 照 ) 法 定 点 検 の 主 な 内 容 は 次 のとおりです ア 建 築 建 築 物 の 外 壁 躯 体 外 装 仕 上 げ 材 等 及 び 屋 根 等 について 建 築 基 準 法 により 腐 食 その 他 の 劣 化 状 況 を3 年 以 内 ごとに 点 検 することを 義 務 付 けています イ 電 気 設 備 自 家 用 電 気 工 作 物 ( 受 変 電 設 備 自 家 用 発 電 設 備 他 )については 電 気 事 業 法 により 保 安 規 程 を 定 めることと 非 常 用 照 明 については 建 築 基 準 法 によ り 損 傷 腐 食 その 他 の 劣 化 の 状 況 を1 年 以 内 ごとに 点 検 また 消 防 設 備 に ついては 消 防 法 により 機 能 点 検 を6か 月 に1 回 総 合 点 検 を1 年 に1 回 す ることを 義 務 付 けています ウ 機 械 設 備 建 築 物 の 用 途 規 模 等 により 設 置 する 機 械 設 備 は 異 なりますが 例 えば 建 築 基 準 法 第 12 条 の 規 定 では 昇 降 機 (エレベーター 等 ) 及 び 建 築 設 備 ( 換 気 排 煙 等 )について 損 傷 腐 食 その 他 の 劣 化 の 状 況 を1 年 以 内 ごとに 点 検 する ことを 義 務 付 けています また その 他 の 機 械 設 備 についても 他 法 令 において 概 ね1 年 に1 回 の 点 検 を 義 務 付 けています (2) 日 常 点 検 施 設 の 運 営 に 支 障 を 来 たさないよう その 機 能 を 維 持 するために 行 う 点 検 及 び 不 具 合 の 早 期 発 見 のために 日 々 行 う 巡 回 や 確 認 の 行 為 をいいます 専 門 技 術 者 が 実 施 した 点 検 結 果 と 併 せて 施 設 の 状 態 を 簡 易 かつ 総 合 的 に 確 認 することで 日 々 の 維 持 管 理 や 予 防 保 全 実 施 の 判 断 にも 有 用 となります 今 後 実 施 が 必 要 な 日 常 点 検 の 主 な 内 容 は 次 のとおりです ア 建 築 法 定 点 検 では 劣 化 等 の 状 況 を3 年 以 内 ごとに 点 検 することを 義 務 付 けてい ますが 施 設 の 機 能 性 能 等 の 維 持 及 び 劣 化 等 による 危 険 障 害 等 の 早 期 発 見 17
に 努 めることが 必 要 なため 施 設 管 理 者 等 が 目 視 にて 屋 根 の 排 水 部 の 目 詰 ま り 清 掃 やコンクリート 打 継 ぎ 目 地 のシーリング 材 の 劣 化 状 況 外 壁 の 仕 上 げ 材 防 水 層 等 の 劣 化 状 況 を1 年 に1 回 実 施 することとします イ 電 気 設 備 法 令 に 基 づく 保 安 規 程 により 本 市 では 自 家 用 電 気 工 作 物 について 劣 化 等 の 状 況 を1 年 に1 回 点 検 することを 定 めていますが これとともに 定 期 的 に 運 転 及 び 動 作 の 確 認 を 行 う 必 要 がある 自 家 用 発 電 設 備 については 能 力 燃 料 の 供 給 等 及 び 負 荷 への 確 認 のため 法 定 点 検 を 待 たず1か 月 ごとに 実 施 するこ ととします ウ 機 械 設 備 法 定 点 検 では 劣 化 等 の 状 況 を1 年 に1 回 点 検 することを 義 務 付 けていま すが 空 調 設 備 は 熱 源 機 器 冷 却 塔 空 気 調 和 機 ファンコイルユニット 等 で 構 成 されており 各 機 器 が 故 障 すれば 空 調 全 体 に 影 響 を 及 ぼすため 個 別 の 点 検 が 必 要 であることから 冷 暖 房 の 切 換 え 時 及 び 運 転 時 の 中 間 期 において 腐 食 異 常 音 の 発 生 の 有 無 などの 確 認 を 年 4 回 実 施 することとします 18
図 表 4-4-1 法 定 点 検 の 抜 粋 点 検 等 の 対 象 関 係 法 令 等 具 体 的 施 設 設 備 点 検 等 の 内 容 及 び 頻 度 1 建 物 建 築 設 備 エレベータ( 昇 建 築 基 準 法 特 殊 建 築 物 及 び 階 数 5 以 上 で1,000 m2 超 の 事 務 所 敷 地 構 造 に 関 する 定 期 点 検 :3 年 に1 回 降 機 ) 等 の 建 築 物 上 記 建 築 物 の 昇 降 機 以 外 の 建 築 設 備 定 期 点 検 :1 年 に1 回 昇 降 機 定 期 点 検 :1 年 に1 回 2 空 調 用 給 湯 用 のボイラや 圧 力 容 器 労 働 安 全 衛 生 法 ボイラ 第 一 種 圧 力 容 器 小 型 ボイラ 第 二 種 圧 力 容 器 3 受 電 設 備 電 気 事 業 法 自 家 用 電 気 工 作 物 : 高 圧 受 配 電 設 備 低 圧 負 荷 設 備 自 家 用 発 電 設 備 等 4 消 防 用 設 備 消 防 法 消 防 用 設 備 等 : 消 火 設 備 警 報 設 備 避 難 設 備 非 常 電 源 5 危 険 物 貯 蔵 施 設 消 防 法 険 物 一 般 取 扱 所 地 下 タン ク 貯 蔵 所 等 6 飲 料 用 の 受 水 槽 水 道 法 簡 易 専 用 水 道 ( 水 槽 の 有 効 貯 水 量 10 超 ) 小 規 模 受 水 槽 水 道 ( 水 槽 の 有 効 貯 水 量 10 以 下 ) 7 室 内 の 環 境 建 築 物 における 衛 生 的 環 境 の 確 保 に 関 する 法 律 (ビル 管 理 法 ) 特 定 建 築 物 (3,000 m2 以 上 の 事 務 所 等 ) 性 能 検 査 :1 年 に1 回 定 期 自 主 検 査 :1 月 に1 回 定 期 自 主 検 査 :1 年 に1 回 電 気 主 任 技 術 者 選 任 保 安 規 程 の 策 定 ( 巡 視 点 検 :1 月 に1 回 定 期 点 検 :1 年 に1 回 ) 外 観 機 能 点 検 :6 か 月 に1 回 総 合 点 検 :1 年 に1 回 定 期 点 検 :1 年 に1 回 水 槽 清 掃 :1 年 に1 回 ( 水 槽 容 量 によらない) 管 理 状 況 の 検 査 :1 年 に 1 回 ( 有 効 容 量 8 以 下 の 受 水 槽 は 対 象 外 ) 空 気 環 境 測 定 :2 か 月 に1 回 ( 浮 遊 粉 じん 量 一 酸 化 炭 素 含 有 率 二 酸 化 炭 素 の 含 有 率 温 度 相 対 湿 度 気 流 ) 空 気 調 和 設 備 の 汚 れ 点 検 :1か 月 に1 回 ( 冷 却 塔 及 び 冷 却 水 加 湿 装 置 排 水 受 ) 冷 却 塔 冷 却 水 の 水 管 加 湿 装 置 の 清 掃 :1 年 に1 回 貯 水 槽 の 清 掃 :1 年 に1 回 水 質 検 査 :1 年 に1 回 6か 月 に1 回 遊 離 残 留 塩 素 の 検 査 :7 日 に1 回 排 水 設 備 清 掃 :6か 月 に 1 回 大 掃 除 :6か 月 に1 回 ねずみ 昆 虫 等 の 駆 除 ( 害 虫 駆 除 ):6か 月 に1 回 19
5 点 検 チェックシート 点 検 マニュアルの 活 用 施 設 管 理 者 等 の 点 検 実 施 の 効 率 化 のため また 技 術 職 員 の 配 置 状 況 によって 取 組 に 差 が 出 ないように 法 定 点 検 日 常 点 検 の 内 容 を 踏 まえた 点 検 チェックシ ート 及 び 点 検 マニュアルを 整 備 します (1) 点 検 チェックシート 法 令 ごとに 複 雑 に 分 かれている 点 検 項 目 を 一 元 化 し 簡 易 的 なチェックシート として 標 準 化 したものをいいます そのため 本 市 の 施 設 に 共 通 する 項 目 を 掲 載 していますが 施 設 によって 点 検 項 目 が 異 なる 場 合 もあります 施 設 管 理 者 等 は 定 期 的 にこのチェックシートを 活 用 することにより 施 設 の 点 検 を 効 率 的 に 実 施 することができます また このチェックシートを 保 管 する ことにより 過 去 に 遡 って 部 位 の 異 常 の 有 無 を 調 べることができ 保 全 業 務 の 引 継 ぎや 専 門 業 者 への 情 報 提 供 などを 効 率 的 に 行 うことが 可 能 となります なお 専 門 業 者 に 点 検 等 を 委 託 している 場 合 は 専 門 業 者 の 報 告 書 に 基 づき 点 検 チェックシートに 内 容 を 転 記 してください (2) 点 検 マニュアル 施 設 管 理 者 等 が 実 施 する 点 検 項 目 等 をとりまとめ 写 真 や 解 説 により それぞ れの 部 位 について 目 視 や 触 診 などによる 点 検 のポイントや 法 令 上 の 根 拠 を 解 説 したものです 施 設 長 寿 命 化 に 資 する 基 本 的 な 項 目 について 解 説 していますので 点 検 を 実 施 する 際 の 判 断 や 実 務 担 当 者 の 知 識 向 上 など 効 率 的 な 点 検 実 施 に 活 用 すること ができます なお 点 検 業 務 については 専 門 業 者 や 有 資 格 者 が 実 施 する 必 要 がある 場 合 が あります 有 資 格 者 による 検 査 や 点 検 整 備 などが 法 令 で 規 定 されている 場 合 は その 資 格 が 必 要 なため 注 意 が 必 要 です 詳 細 については 法 令 を 参 照 してくださ い (3) 活 用 方 法 財 政 局 資 産 運 用 課 は 劣 化 情 報 を 集 約 していくとともに 点 検 マニュアルに 基 づく 研 修 を 実 施 するなど 必 要 に 応 じて 技 術 的 視 点 からの 支 援 を 行 います また 施 設 ごとの 点 検 項 目 を 統 一 していることから 類 似 施 設 の 劣 化 情 報 を 比 較 するな ど 施 設 の 劣 化 状 況 を 一 元 的 に 把 握 することができます また この 点 検 結 果 を 劣 化 情 報 として 集 約 し 長 寿 命 化 のための 維 持 管 理 に 活 用 することはもとより 中 長 期 保 全 計 画 の 見 直 しにも 活 用 します 20
図 表 4-5-1 点 検 チェックシート( 抜 粋 ) 点 検 チェックシート 点 検 日 年 月 日 点 検 者 ( ) 点 検 のポイント 1~3.< 建 築 > 1. 建 物 ( 敷 地 )の 点 検 1 敷 地 内 の 舗 装 などに 大 きなひび 割 れ 陥 没 傾 斜 損 傷 はないか 2 排 水 溝 などに 排 水 不 良 や 損 傷 はないか 3 塀 ( 補 強 コンクリートブロック 等 )や 擁 壁 に 著 しいひび 割 れ 破 損 傾 斜 等 はないか 4 門 やフェンスに 腐 食 ( 著 しい 錆 )や 変 形 はないか 2. 建 物 ( 外 部 )の 点 検 2-1 屋 上 屋 根 1 屋 上 床 面 に 歩 行 上 危 険 なひび 割 れ 反 りや 目 地 部 の 欠 落 や 防 水 層 等 の 膨 れ 等 はないか 2 排 水 溝 に 著 しいひび 割 れ 浮 きやゴミ 溜 まり 植 生 等 はないか 3 屋 根 ふき 材 に 割 れ 変 形 腐 食 ( 著 しい 錆 ) 等 がないか 対 象 部 位 非 該 当 点 検 結 果 劣 化 無 有 メモ 欄 4 屋 上 回 りのパラペットの 立 ち 上 がり 面 や 笠 木 に 著 しいひび 割 れ 白 華 や 破 損 はないか 5 屋 上 やバルコニーに 設 置 された 手 すり タラップに 腐 食 ( 著 しい 錆 )やがたつきはないか 6 雨 樋 のつまり がたつき 破 損 等 や 支 持 金 物 に 腐 食 ( 著 しい 錆 )はないか 7 煙 突 本 体 接 合 部 や 付 帯 金 物 に 著 しいひび 割 れ 肌 分 かれ 腐 食 ( 著 しい 錆 ) 等 はないか 8 設 備 機 器 や 広 告 塔 等 の 本 体 や 接 合 部 支 持 部 分 に 腐 食 ( 著 しい 錆 )や 損 傷 等 はないか 2-2 外 壁 外 壁 躯 体 に 異 常 はないか( 以 下 の 該 当 する 項 目 毎 に 点 検 ) 鉄 筋 コンクリート 造 : 鉄 筋 露 出 や 著 しい 白 華 ひび 割 れ 欠 損 等 がないか 1 鉄 骨 造 : 鋼 材 に 腐 食 ( 著 しい 錆 ) 等 はないか 木 造 : 木 材 の 著 しい 腐 朽 損 傷 や 虫 害 又 は 緊 結 金 物 に 腐 食 ( 著 しい 錆 )はないか その 他 の 構 造 :れんが 石 ブロック 等 に 割 れ ずれ 又 は 変 位 等 や 目 地 モルタルに 著 しい 欠 落 はない 外 装 仕 上 げ 材 (タイル モルタル 石 等 )に 剥 落 等 や 著 しい 白 華 ひび 割 れ 浮 き 錆 変 形 等 2 はないか 3 吹 付 け 等 の 塗 料 仕 上 げ 部 分 に 浮 き 剥 落 等 はないか 4 目 地 シーリング 材 にひび 割 れ 等 はないか 5 広 告 板 空 調 設 備 等 で 機 器 本 体 及 び 支 持 部 分 等 に 腐 食 ( 著 しい 錆 )や 損 傷 等 はないか 2-3 外 部 建 具 他 1 窓 やドア 本 体 に 腐 食 ( 著 しい 錆 ) ネジ 等 の 緩 みによる 変 形 はないか シーリング 材 にひび 割 れはないか 2 窓 ガラスに 亀 裂 その 他 の 損 傷 はないか 3 扉 の 開 閉 時 に 著 しいガタツキはないか 4 施 錠 解 錠 に 不 具 合 はないか 5 基 礎 コンクリートに 鉄 筋 露 出 や 著 しいひび 割 れ 欠 損 等 はないか 礎 石 部 にずれはないか 6 屋 外 階 段 に 歩 行 上 支 障 があるひび 割 れ 等 や 手 すりにがたつき 等 がないか 7 給 気 口 排 気 口 防 虫 網 等 に 通 気 不 良 となる 塵 埃 障 害 物 がないか 損 傷 はないか 8 土 台 が 木 造 の 場 合 は 木 材 の 著 しい 腐 朽 損 傷 や 虫 害 又 は 緊 結 金 物 に 腐 食 ( 著 しい 錆 ) 等 はないか 9 免 震 装 置 の 鋼 材 部 分 に 腐 食 ( 著 しい 錆 ) 等 はないか 3. 建 物 ( 内 部 )の 点 検 1 天 井 壁 床 の 仕 上 げ 材 に 浮 き たわみ 損 傷 剥 落 等 はないか 2 壁 や 天 井 にむやみに 物 を 取 り 付 けていないか 3 階 段 に 歩 行 上 支 障 があるひび 割 れ 腐 食 ( 著 しい 錆 ) 等 や 手 すり 滑 り 止 めに 損 傷 はないか 室 内 躯 体 に 異 常 はないか( 以 下 の 該 当 する 項 目 毎 に 点 検 ) 鉄 筋 コンクリート 造 : 鉄 筋 露 出 や 著 しい 白 華 ひび 割 れ 欠 損 等 がないか 4 鉄 骨 造 : 鋼 材 に 著 しい 錆 による 腐 食 等 はないか 木 造 : 木 材 の 著 しい 腐 朽 損 傷 や 虫 害 又 は 緊 結 金 物 に 腐 食 ( 著 しい 錆 )はないか その 他 の 構 造 :れんが 石 ブロック 等 に 割 れ ずれ 又 は 変 位 等 や 目 地 モルタルに 著 しい 欠 落 はない 5 躯 体 が 鉄 骨 造 の 場 合 は 耐 火 被 覆 の 剥 がれ 等 により 鉄 骨 が 露 出 していないか 防 火 設 備 ( 防 火 戸 シャッター ダンパー 等 )に 変 形 損 傷 はないか 6 防 火 設 備 の 建 具 の 動 作 に 支 障 がないか 廊 下 防 火 戸 避 難 ハシゴ 救 助 袋 等 避 難 経 路 上 を 物 品 でふさいでないか 7 防 煙 壁 に 亀 裂 破 損 変 形 等 はないか 8 トイレ 湯 沸 し 室 等 に 異 臭 水 漏 れはないか 9 トイレ 湯 沸 し 室 等 の 排 水 状 況 は 良 好 か 換 気 機 器 は 正 常 に 作 動 し 排 気 しているか 10 点 検 口 本 体 及 び 枠 にずれ 変 形 腐 食 等 がないか 11 石 綿 (アスベスト)の 表 面 の 毛 羽 立 ち 繊 維 のくずれ たれ 下 がり 等 がないか 12 石 綿 (アスベスト)を 囲 い 込 み 又 は 封 じ 込 めしている 部 材 に 亀 裂 剥 落 等 はないか 13 給 気 口 排 気 口 ドアガラリ 等 に 通 気 不 良 となる 塵 埃 障 害 物 がないか 14 給 気 口 排 気 口 ドアガラリ 等 に 損 傷 はないか 21
6 点 検 重 視 型 保 全 施 設 の 点 検 を 維 持 管 理 の 基 本 サイクルに 取 り 入 れることにより 部 位 により 最 適 な 保 全 手 法 を 選 択 し 建 築 物 の 機 能 や 性 能 を 維 持 向 上 させる 維 持 管 理 を 本 市 では 点 検 重 視 型 保 全 と 呼 びます 計 画 的 に 維 持 管 理 を 行 うには 点 検 を 実 施 し 点 検 結 果 を 活 用 しながら 保 全 の 必 要 性 と 適 切 な 保 全 手 法 を 判 断 することが 重 要 です この 際 に 中 長 期 保 全 計 画 や 点 検 結 果 に 基 づき 部 位 によって 予 防 保 全 と 事 後 保 全 の 手 法 を 選 択 していきます 点 検 を 活 用 し 建 築 物 の 各 部 位 及 び 設 備 機 器 の 機 能 性 能 とその 環 境 について 常 に 適 正 な 状 態 に 維 持 することによって 施 設 の 長 寿 命 化 も 図 られることとなります 22
第 5 章 保 全 の 実 施 の 考 え 方 1 部 位 ごとの 保 全 手 法 の 設 定 第 4 章 で 述 べたように 保 全 手 法 の 選 択 にあたっては 点 検 を 実 施 し その 結 果 を 活 用 しながら 保 全 の 必 要 性 や 対 応 を 判 断 することが 重 要 です そこで 部 位 ごとの 保 全 手 法 を 設 定 し 適 切 に 維 持 管 理 を 行 うことにより 施 設 の 機 能 性 能 を 長 期 に 維 持 向 上 させることとします 平 成 17 年 版 建 築 物 のライフサイクルコスト を 参 考 とした 部 位 ごとの 保 全 手 法 の 考 え 方 は 次 のとおりです (1) 建 築 部 位 ア 屋 根 ( 屋 上 防 水 層 屋 根 葺 材 等 ) 屋 根 を 支 えるコンクリートや 鉄 骨 は 雨 水 を 防 ぐことができないため 屋 上 防 水 層 や 屋 根 葺 材 等 により 水 の 浸 入 を 防 ぎます 防 水 層 等 の 寿 命 は 構 造 躯 体 の 寿 命 に 比 して 短 く 劣 化 すれば 防 水 効 果 が 薄 れて 漏 水 を 引 き 起 こし 構 造 躯 体 の 劣 化 損 傷 を 招 きます 代 表 的 な 例 として RC 造 ( 鉄 筋 コンクリート)において 躯 体 を 長 寿 命 化 するた めには コンクリート 中 の 鉄 筋 の 発 錆 による 躯 体 の 劣 化 を 防 止 することが 必 要 ですが 漏 水 によってコンクリート 中 の 鉄 筋 を 錆 びさせてしまう 危 険 がありま す 長 寿 命 化 を 図 るためには 漏 水 を 未 然 に 防 ぐなどの 早 期 対 応 が 必 要 です 特 に 高 層 の 建 築 物 になれば 屋 根 外 壁 改 修 工 事 に 外 部 足 場 などの 仮 設 が 必 要 となり 改 修 工 事 費 用 が 増 大 するため 漏 水 があって 初 めて 対 応 するといった ことは 難 しく 計 画 的 な 予 防 保 全 を 実 施 していくべきです イ 外 壁 (タイル 鋼 製 パネル シーリング 等 ) 外 壁 は 屋 根 と 同 様 に 雨 や 風 を 防 ぐという 機 能 がありますが 年 月 を 経 過 す るうちに 仕 上 げ 材 であるタイルのひび 割 れ 浮 き 金 属 パネルの 発 錆 及 び 目 地 部 シーリングの 劣 化 により 漏 水 し 躯 体 の 劣 化 や 室 内 の 仕 上 げ 材 及 び 設 備 機 器 の 損 傷 を 招 きます また 仕 上 げ 材 も 含 めた 外 壁 の 落 下 により 人 や 物 を 傷 つける 危 険 もあり 計 画 的 な 予 防 保 全 を 実 施 していくべきです ウ 外 部 建 具 (シャッター 窓 鋼 製 扉 ) 例 えば シャッターが 劣 化 すれば 開 閉 不 良 となり 無 理 な 開 閉 が 破 損 に 繋 が 23
る 可 能 性 があります また 窓 についても 開 閉 不 良 による 無 理 な 開 閉 が 破 損 に 繋 がります ただ 施 設 におけるシャッターや 窓 等 が 全 て 破 損 すれば 多 大 な 費 用 がかかりますが 個 々の 破 損 であれば 速 やかな 対 応 が 可 能 なため 事 後 保 全 とします (2) 電 気 設 備 ア 受 変 電 設 備 ( 受 電 盤 変 圧 器 等 ) 受 変 電 設 備 は 電 気 事 業 法 の 規 定 により 工 事 維 持 及 び 運 用 に 関 する 保 安 の 監 督 をさせるため 主 任 技 術 者 を 選 任 することとなっています 本 市 の 施 設 では 日 常 点 検 ( 月 1 回 ) 図 表 5-1-1 受 変 電 設 備 (キュービクル) 定 期 点 検 ( 年 1 回 ) 精 密 点 検 (3 年 に 1 回 )を 実 施 しており 点 検 を 通 じて 受 変 電 設 備 の 不 具 合 が 明 らかになるた め 点 検 結 果 に 基 づいて 速 やかに 対 処 すれば 設 備 の 機 能 は 維 持 されると 考 えられます イ 発 電 静 止 型 電 源 ( 非 常 用 ガスタービン 発 電 熱 供 給 発 電 無 停 電 電 源 装 置 等 ) 自 家 用 発 電 装 置 非 常 電 源 ( 蓄 電 池 )は 劣 化 により 非 常 時 の 電 源 設 備 等 の バックアップ 機 能 を 損 なう 恐 れがあり 消 防 法 で 外 観 機 能 作 動 点 検 を6か 月 に1 回 総 合 点 検 を1 年 に1 回 実 施 すること 図 表 5-1-2 自 家 用 発 電 装 置 が 義 務 付 けられています 更 に 電 気 事 業 法 に より 受 変 電 設 備 と 同 じように 点 検 が 定 めら れています 消 防 法 電 気 事 業 法 による 頻 繁 な 点 検 により 不 具 合 が 明 らかになるため 点 検 結 果 に 基 づいて 速 やかに 対 処 すれば 設 備 の 機 能 は 維 持 されると 考 えられます 特 に 本 市 の 防 災 機 能 上 重 要 な 役 割 を 担 っている 市 役 所 区 役 所 等 の 施 設 では 発 電 静 止 型 電 源 は 非 常 に 重 要 な 設 備 であり 点 検 結 果 に 基 づいて 速 やかな 対 応 が 求 めら れます 24
ウ 中 央 監 視 ( 中 央 監 視 制 御 ) 中 央 監 視 制 御 は 主 に 設 備 機 器 について 運 転 監 視 等 を 行 う 装 置 です 制 御 機 器 等 が 劣 化 することにより 当 該 設 備 に 留 まらず システム 全 体 の 機 能 不 全 の 原 因 となる 恐 れがあります 中 央 監 視 制 御 には 法 定 点 検 は 定 められていないものの 日 常 に おける 操 作 により モニターに 数 字 が 表 示 さ れないなどの 不 具 合 を 確 認 することができ 機 能 が 完 全 に 停 止 する 前 に 措 置 を 講 ずるこ とが 可 能 です エ 通 信 情 報 図 表 5-1-3 中 央 監 視 装 置 通 信 情 報 設 備 は 映 像 音 響 インターホン テレビ 共 同 受 信 テレビ 電 波 障 害 防 御 をはじめとして 多 種 多 様 な 設 備 があります これらの 設 備 は 法 定 点 検 は 定 められていないものの 日 常 の 使 用 状 況 から 映 像 音 響 はノイズが 入 っ たり インターホンの 接 続 状 況 が 不 良 であったり テレビ 共 同 受 信 テレビ 電 波 障 害 防 御 は テレビの 映 りに 影 響 が 出 たりと 不 具 合 を 把 握 することが 可 能 と なります そのような 不 具 合 に 個 々に 対 応 すれば 設 備 機 能 の 維 持 が 図 れるため 原 則 として 事 後 保 全 とします オ 通 信 情 報 (( 防 災 ): 自 動 火 災 報 知 非 常 警 報 ) 通 信 情 報 ( 防 災 ) 設 備 が 劣 化 すれば 火 災 時 に 警 報 が 鳴 らないなど 確 実 に 機 能 を 発 揮 するとはいえません 災 害 時 の 安 全 を 確 保 するため 消 防 法 により 点 検 は 6か 月 に1 回 と1 年 に1 回 の 点 検 が 定 められています 点 検 によって 発 見 された 不 具 合 に 基 づいて 速 やかに 対 処 すれば 設 備 の 機 能 は 維 持 されると 考 えられます カ 避 雷 屋 外 ( 避 雷 針 外 灯 等 ) 避 雷 針 は 劣 化 すれば 落 雷 からの 保 護 機 能 を 損 なう 恐 れがあり 建 築 基 準 法 上 3 年 に1 回 の 法 定 点 検 が 定 められています この 点 検 に 加 えて 本 市 では 最 低 年 1 回 の 日 常 点 検 を 実 施 する 予 定 であり 建 築 基 準 法 よりも 点 検 頻 度 を 高 める ことで 対 応 し 不 具 合 が 生 じた 際 に 個 々に 対 応 すれば 設 備 機 能 の 維 持 が 図 れる ため 事 後 保 全 とします (3) 機 械 設 備 ア 空 調 25
施 設 のうち 特 に 市 民 利 用 施 設 においては 空 調 が 停 止 すれば 市 民 が 施 設 利 用 を 敬 遠 してしまうため 施 設 の 有 効 利 用 が 図 られなくなります 施 設 利 用 において 空 調 は 重 要 な 部 位 と 考 えられます 空 調 設 備 については 大 規 模 な 施 設 では 冷 暖 房 の 熱 源 機 器 ( 冷 温 水 発 生 機 等 ) 空 調 機 送 排 風 機 ダクト ポンプ 自 動 制 御 設 備 等 の 機 器 の 組 み 合 わせ を 基 本 として 空 調 設 備 が 設 置 されています 一 方 小 規 模 な 施 設 では ヒー トポンプエアコン 等 を 必 要 な 箇 所 に 設 置 されているケースが 多 いです また 施 設 の 規 模 や 用 途 により 様 々なシステムがあります 1 冷 温 水 発 生 機 等 冷 温 水 発 生 機 等 は 空 調 設 備 の 一 つとして 重 要 な 部 位 となっており 更 新 に 際 して 十 分 な 準 備 が 必 要 となります また 故 障 によって 建 物 全 体 の 空 調 が 機 能 停 止 することから 執 務 環 境 に 悪 影 響 を 及 ぼすため 点 検 結 果 に 基 づいて 速 やかな 対 応 が 求 められます 図 表 5-1-4 冷 温 水 発 生 機 ただし 一 律 に 何 年 経 ったから 更 新 するのではなく 機 器 の 運 転 時 間 や 機 器 が 数 台 ある 場 合 その 使 用 状 況 ( 例 えば 常 にフル 稼 働 しているか)を 施 設 ごとに 考 慮 して 更 新 時 期 を 決 定 すべきです その 決 定 にあたっては 冷 温 水 発 生 機 は 冷 暖 の 切 り 替 えや 運 転 管 理 を 通 じての 設 備 状 況 も 考 慮 していきます 2ヒートポンプエアコン 等 ヒートポンプエアコン 等 は 比 較 的 小 規 模 な 設 備 であり 室 内 機 の 空 調 範 囲 が 建 築 物 全 体 ではなく 一 部 の 諸 室 にとどまっています また 法 定 点 検 は 定 められていないものの 本 市 では 日 常 点 検 や 日 々の 動 作 確 認 を 組 み 合 わせ ることによってエアコンの 状 態 を 確 認 し 不 具 合 があれば 速 やかに 対 応 す るものとします イ 換 気 ( 送 風 機 ダクト 換 気 口 ) 排 煙 ( 排 煙 機 ダクト 排 煙 口 ) 換 気 については 室 内 の 環 境 確 保 を 目 的 とした 設 備 のため 設 備 が 壊 れても 窓 やドアを 開 けるなどして 代 替 措 置 が 可 能 なため 原 則 として 事 後 保 全 とし ます ウ 消 火 ( 消 火 ポンプ スプリンクラー) 消 火 設 備 が 劣 化 すると 火 災 時 にポンプ スプリンクラーが 使 用 できないな ど 確 実 に 機 能 を 発 揮 することができません 災 害 時 の 安 全 を 確 保 するため 26
消 防 法 により 6か 月 に1 回 と1 年 に1 回 の 点 検 が 定 められています 点 検 に よって 発 見 された 不 具 合 に 基 づいて 速 やかに 対 処 すれば 設 備 機 能 の 維 持 が 図 れると 考 えられます エ 給 排 水 衛 生 ( 屋 内 給 水 設 備 ポンプ 類 ) 屋 内 給 水 設 備 が 劣 化 すれば 職 場 生 活 に 支 障 を 及 ぼす 恐 れがあります 水 質 に 影 響 を 生 ずる 場 合 施 設 利 用 者 の 健 康 を 損 なう 恐 れがあります 漏 水 により 水 道 料 金 の 高 騰 や 室 内 周 辺 環 境 等 へ 悪 影 響 を 及 ぼす 恐 れがあります また ポンプ 類 が 劣 化 すれば 予 備 の 設 置 がない 場 合 断 水 の 恐 れがあります 法 定 点 検 として 建 築 物 における 衛 生 的 環 境 の 確 保 に 関 する 法 律 に 基 づき 貯 水 槽 の 清 掃 を 年 に1 回 排 水 に 関 する 設 備 の 掃 除 を6 月 以 内 に1 回 行 うことが 定 められており このような 点 検 の 機 会 で 不 具 合 を 確 認 し 個 々に 対 応 すれば 原 則 として 事 後 保 全 で 設 備 の 維 持 が 図 られます オ 昇 降 機 等 (エレベーター 等 ) エレベータが 劣 化 すれば 誤 作 動 閉 じ 込 め 等 による 事 故 が 発 生 する 恐 れが あります 機 能 停 止 した 場 合 特 に 高 層 階 の 移 動 高 齢 者 障 害 者 等 の 施 設 利 用 に 支 障 が 生 じます 昇 降 機 は 法 定 点 検 として 建 築 基 準 法 上 の 点 検 が 年 1 回 ありますが それに 加 えてエレベータの 安 全 性 を 確 保 するため 各 施 設 とも 月 に1 回 作 動 の 安 全 を 確 認 する 自 主 点 検 を 行 っています その 点 検 の 中 で 不 具 合 があれば 速 やかに 対 応 すれば 設 備 機 能 の 維 持 が 図 られます 27
(4) まとめ 部 位 ごとの 対 応 手 法 について 図 表 5-1-5 にまとめました 表 中 の 対 応 手 法 については 予 防 保 全 を 実 施 すべき 部 位 のうち 構 造 躯 体 への 影 響 が 大 きいこと に 鑑 み 使 用 年 数 や 立 地 条 件 等 をふまえ 計 画 的 に 対 応 するものを A 運 転 時 間 等 をふまえ 点 検 を 介 し 不 具 合 があれば 故 障 や 停 止 する 前 に 対 応 するものを B 事 後 保 全 を 実 施 していく 部 位 については C と 表 記 しています 図 表 5-1-5 部 位 ごとの 対 応 手 法 の 考 え 方 対 象 部 位 具 体 例 対 応 手 法 理 由 建 築 屋 根 屋 上 防 水 A 外 部 仕 上 げ 外 壁 シーリング A 外 部 建 具 シャッター 窓 鋼 製 扉 C 受 変 電 発 電 静 止 型 電 源 ( 非 常 用 電 源 ) 受 電 盤 変 圧 器 コンデ ンサ 非 常 用 ガスタービン 発 電 無 停 電 電 源 装 置 B B 屋 根 外 壁 の 劣 化 に 伴 い 漏 水 の 直 接 的 な 原 因 となる 可 能 性 があ るため また 鉄 筋 の 発 錆 による 構 造 躯 体 の 劣 化 の 原 因 のおそ れがあるため 建 築 基 準 法 による 点 検 ( 法 定 点 検 )が3 年 に1 回 定 められてお り また 日 常 の 使 用 で 不 具 合 が 発 見 できる 電 気 事 業 法 による 点 検 が 月 1 回 年 1 回 3 年 に1 回 定 められ 消 防 法 による 点 検 が6 月 に1 回 年 1 回 あり 頻 繁 な 点 検 により 不 具 合 が 発 見 できる 消 防 法 による 点 検 が6 月 に1 回 年 1 回 定 められ 点 検 により 不 具 合 が 発 見 できる 電 気 設 備 中 央 監 視 中 央 監 視 制 御 B 日 常 における 操 作 により 不 具 合 が 発 見 できる 通 信 情 報 映 像 音 響 インターホン C 日 常 における 操 作 により 不 具 合 が 発 見 でき 代 替 措 置 が 可 能 通 信 情 報 ( 防 災 ) 自 動 火 災 報 知 機 非 常 警 報 非 常 灯 B 消 防 法 による 点 検 が6 月 に1 回 年 1 回 定 められ 点 検 により 不 具 合 が 発 見 できる 避 雷 屋 外 避 雷 針 外 灯 C 建 築 基 準 法 による 点 検 が3 年 に1 回 定 められていることに 加 え 日 常 点 検 により 不 具 合 が 発 見 できる 空 調 冷 温 水 発 生 機 冷 却 塔 パッケージエアコン 屋 外 機 B B 冷 暖 の 切 り 替 え 時 や 運 転 管 理 により 不 具 合 が 発 見 できる 日 常 における 操 作 により 不 具 合 が 発 見 できる 機 械 設 備 換 気 排 煙 送 風 機 排 煙 機 C 窓 やドアを 開 けるなどして 代 替 措 置 が 可 能 給 排 水 衛 生 消 火 屋 内 給 水 設 備 ポンプ 消 火 ポンプ 消 火 栓 スプリンクラー C B 建 築 物 における 衛 生 的 環 境 の 確 保 に 関 する 法 律 により 貯 水 槽 の 清 掃 を 年 1 回 排 水 に 関 する 設 備 の 掃 除 を6 月 に1 回 実 施 が 定 められており 清 掃 に 併 せて 点 検 をし 不 具 合 が 発 見 できる 消 防 法 による 点 検 が6 月 に1 回 年 1 回 あり 点 検 を 通 じて 不 具 合 が 発 見 できる 昇 降 機 等 B 建 築 基 準 法 に 基 づく 点 検 が 年 1 回 加 えて 自 主 点 検 として 月 1 回 程 度 動 作 確 認 を 実 施 し 不 具 合 の 発 見 が 可 能 である 2 建 築 部 位 等 の 更 新 周 期 部 位 ごとの 対 応 手 法 を 図 表 5-1-5 に 示 しましたが 計 画 的 に 対 応 するもの と した 対 応 手 法 A の 屋 根 外 部 仕 上 げといった 建 築 部 位 については 更 新 周 期 の 設 定 が 必 要 となります 28
本 市 施 設 について 更 新 実 績 を 調 べたところ 概 ね 屋 根 の 露 出 防 水 (アスフ ァルト 防 水 )については 築 25 年 ~28 年 外 部 仕 上 げの 外 壁 仕 上 塗 装 については 築 26 年 ~28 年 程 度 で 更 新 を 行 っていました こうした 部 位 の 劣 化 は 施 設 が 海 側 に 所 在 している 場 合 や 幹 線 道 路 沿 いに 所 在 している 場 合 等 で 状 況 が 異 なります 定 期 的 な 点 検 により 外 見 上 確 認 できる 劣 化 損 傷 を 早 期 に 対 応 していくことを 前 提 に 目 標 耐 用 年 数 である 60 年 ( 以 上 ) の 中 間 の 築 30 年 程 度 を 目 安 に 更 新 していくことが 望 ましいといえます また 対 応 手 法 を B とした 電 気 設 備 機 械 設 備 についても 平 成 17 年 版 建 築 物 のライフサイクルコスト における 各 部 位 ごとの 更 新 周 期 等 を 参 考 に 可 能 な 限 り 計 画 的 に 更 新 していくことが 望 ましいといえます 3 予 防 保 全 の 着 実 な 実 施 と 計 画 管 理 (1) 点 検 等 に 関 する 技 術 的 支 援 ア 点 検 への 支 援 全 庁 で 共 通 の 判 断 基 準 に 基 づき 点 検 を 実 施 するため 財 政 局 資 産 運 用 課 で は 点 検 等 に 関 する 研 修 を 実 施 します 点 検 等 に 関 しその 前 提 となる 建 築 物 や 設 備 の 機 能 を 分 かりやすく 解 説 するなどの 研 修 を 開 催 することで 建 築 物 に 関 する 知 識 の 向 上 を 図 り より 適 正 な 点 検 をめざします 点 検 にあたり 専 門 的 判 断 を 要 する 場 合 には 専 門 業 者 等 による2 次 点 検 を 実 施 します イ 中 長 期 保 全 計 画 の 修 正 への 支 援 中 長 期 保 全 計 画 は 最 新 の 情 報 を 反 映 して 初 めて 計 画 としての 実 効 性 を 確 保 することができます そこで 点 検 を 介 した 計 画 修 正 の 手 法 についても 技 術 的 支 援 をします 施 設 管 理 者 はこの 修 正 した 計 画 を 利 用 して 各 部 位 におけ る 工 事 実 施 時 期 の 目 安 や 将 来 にわたる 工 事 概 算 額 を 把 握 できるようになり ます (2) 長 寿 命 化 工 事 の 推 進 全 施 設 の 劣 化 状 況 等 を 踏 まえた 工 事 の 優 先 順 位 については 全 庁 横 断 的 な 組 織 である 川 崎 版 PRE 戦 略 推 進 委 員 会 で 事 業 費 の 平 準 化 を 踏 まえて 評 価 分 析 し 調 整 を 実 施 します (3) 特 定 財 源 の 活 用 老 朽 化 したインフラ 公 共 建 築 物 の 対 応 は 全 国 的 な 課 題 であり 建 築 物 の 予 防 保 全 工 事 について 国 の 補 助 金 の 対 象 となることが 考 えられます 今 後 の 動 向 を 注 29
視 していく 必 要 があります また 長 寿 命 化 した 施 設 は 将 来 にわたり より 長 く 利 用 されることも 考 慮 す れば 市 債 を 発 行 することにより 施 設 を 使 用 する 将 来 の 住 民 にも 費 用 負 担 して もらうことも 財 源 確 保 の 一 つの 手 法 として 考 えられます もっとも 市 債 は 借 金 である 以 上 財 政 規 律 への 配 慮 将 来 にわたる 施 設 のあり 方 長 寿 命 化 による 費 用 対 効 果 を 十 分 に 検 討 した 上 で 活 用 することが 求 められます 起 債 による 工 事 実 施 は 財 政 局 資 金 課 との 調 整 が 必 要 となりますが その 条 件 は 概 ね 次 のとおりです 地 方 財 政 法 第 5 条 に 定 められている 建 設 事 業 費 ( 価 値 の 増 加 耐 用 年 数 の 増 加 を 伴 うもの)といえること 起 債 は 建 設 工 事 等 の 投 資 的 な 経 費 に 充 当 するもので 工 事 による 価 値 の 増 加 耐 用 年 数 の 増 加 ( 概 ね 10 年 以 上 )などを 伴 うものであること (このため 建 造 物 の 新 築 工 事 のみならず 大 規 模 改 修 なども 工 事 内 容 によって は 起 債 対 象 となり 得 ます ) (4) 長 寿 命 化 実 施 の 効 果 額 の 把 握 財 政 局 資 産 運 用 課 では 施 設 の 劣 化 情 報 や 施 設 所 管 課 における 予 算 額 や 工 事 の 実 施 状 況 のデータを 集 約 することにより 長 寿 命 化 工 事 の 全 体 的 な 効 果 額 を 把 握 します 図 表 5-3-1 長 寿 命 化 工 事 実 施 の 流 れ 施 設 所 管 課 点 検 ( 日 常 法 定 )の 実 施 通 年 施 設 所 管 課 劣 化 状 況 の 確 認 緊 急 性 なし 工 事 対 象 部 位 選 定 施 設 所 管 課 財 源 調 整 の 実 施 予 算 要 求 まちづくり 局 改 修 工 事 実 施 ( 受 託 工 事 ) 報 告 緊 急 性 あり 軽 易 工 事 等 で 当 該 年 度 に 実 施 調 整 財 政 局 資 産 運 用 課 実 施 方 針 に 基 づく 研 修 の 実 施 施 設 の 劣 化 情 報 を 一 元 化 報 告 専 門 業 者 による 点 検 支 援 中 長 期 保 全 計 画 の 修 正 支 援 大 規 模 な 施 設 の 中 で 優 先 すべき 工 事 を 抽 出 し 庁 内 委 員 会 で 評 価 分 析 30