目 次 はじめに 1 Ⅰ 現 状 とこれまでの 取 組 1 1 全 国 の 自 治 体 における 状 況 1 2 民 間 企 業 における 状 況 2 3 メンタルヘルス 対 策 の 基 本 的 な 考 え 方 3 (1) 仕 事 とストレス (2) 職 場 のストレス 要 因 (3) 職 場 のメ

Similar documents
公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

●電力自由化推進法案

m07 北見工業大学 様式①

1 リーダーシップと 意 思 決 定 1-1 事 業 所 が 目 指 していることの 実 現 に 向 けて 一 丸 となっている 評 価 項 目 事 業 所 が 目 指 していること( 理 念 基 本 方 針 )を 明 確 化 周 知 している 1. 事 業 所 が 目 指 していること

伊勢崎市職員職場復帰支援制度

●幼児教育振興法案

新 行 財 政 改 革 推 進 大 綱 実 施 計 画 個 票 取 組 施 策 国 や 研 究 機 関 への 派 遣 研 修 による 資 質 向 上 の 推 進 鳥 インフルエンザ 等 新 たな 感 染 症 等 に 対 する 検 査 技 術 の 習 得 など 職 員 の 専 門

18 国立高等専門学校機構

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

16 日本学生支援機構

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

Microsoft Word - 目次.doc

02【発出】280328福島県警察職員男女共同参画推進行動計画(公表版)

3 体 制 整 備 等 (1) 全 ての 特 定 事 業 主 が 共 同 して 取 組 むものとする () 総 務 部 人 事 管 理 室 人 事 課 を 計 画 推 進 の 主 管 課 とし 全 ての 市 職 員 により 推 進 する (3) 実 施 状 況 を 把 握 し 計 画 期 間 中 で

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

公表表紙

(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

Microsoft Word - 通達(参考).doc

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

スライド 1

 

17 外 国 人 看 護 師 候 補 者 就 労 研 修 支 援 18 看 護 職 員 の 就 労 環 境 改 善 運 動 推 進 特 別 20 歯 科 医 療 安 全 管 理 体 制 推 進 特 別 21 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 整 備 22 地 域 災 害 拠 点 病

通 知 カード と 個 人 番 号 カード の 違 い 2 通 知 カード ( 紙 )/H27.10 個 人 番 号 カード (ICカード)/H28.1 様 式 (おもて) (うら) 作 成 交 付 主 な 記 載 事 項 全 国 ( 外 国 人 含 む)に 郵 送 で 配 布 希 望 者 に 交

スライド 1

波佐見町の給与・定員管理等について


就 学 前 教 育 保 育 の 実 施 状 況 ( 平 成 23 年 度 ) 3 歳 以 上 児 の 多 く(4 歳 以 上 児 はほとんど)が 保 育 所 又 は 幼 稚 園 に 入 所 3 歳 未 満 児 (0~2 歳 児 )で 保 育 所 に 入 所 している 割 合 は 約 2 割 就 学

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

とする (1) 多 重 債 務 や 過 剰 債 務 を 抱 え 返 済 が 困 難 になっている 人 (2) 債 務 整 理 を 法 律 専 門 家 に 依 頼 した 直 後 や 債 務 整 理 途 上 の 人 (3) 収 入 よりも 生 活 費 が 多 くお 金 が 不 足 がちで 借 金 に 頼


スライド 1

Ⅶ 東 海 地 震 に 関 して 注 意 情 報 発 表 時 及 び 警 戒 宣 言 発 令 時 の 対 応 大 規 模 地 震 対 策 特 別 措 置 法 第 6 条 の 規 定 に 基 づき 本 県 の 東 海 地 震 に 係 る 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 において 東 海 地 震

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

1 物品管理の内部統制について

1

Microsoft Word - 02第3期計画(元データ).doc

■認知症高齢者の状況

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc


Taro-01 議案概要.jtd

Microsoft PowerPoint - 【資料5】社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し(案)について

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

有 料 老 ホーム ( ) ( 主 として 要 介 護 状 態 にある を 入 居 させるも のに 限 る ) 第 29 条 ( 届 出 等 ) 第 二 十 九 条 有 料 老 ホーム( 老 を 入 居 させ 入 浴 排 せつ 若 しくは 食 事 の 介 護 食 事 の 提 供 又 はその 他 の

<8BB388F58F5A91EE82A082E895FB8AEE967B95FB906A>

社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

<81696D373188A E58A77816A E93788D9191E5834B C8EAE82502E786C73>

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程

<4D F736F F D2090BC8BBB959491BA8F5A91EE8A C52E646F63>

2 積 極 的 な 接 種 勧 奨 の 差 し 控 え 国 は 平 成 25 年 4 月 から 定 期 接 種 化 したが ワクチン 接 種 との 関 連 を 否 定 できない 持 続 的 な 痛 みなどの 症 状 が 接 種 後 に 見 られたことから 平 成 25 年 6 月 定 期 接 種 と

東久留米市訓令乙第   号

平 均 賃 金 を 支 払 わなければならない この 予 告 日 数 は 平 均 賃 金 を 支 払 った 日 数 分 短 縮 される( 労 基 法 20 条 ) 3 試 用 期 間 中 の 労 働 者 であっても 14 日 を 超 えて 雇 用 された 場 合 は 上 記 2の 予 告 の 手 続

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

(2) 就 業 規 則 の 状 況 就 業 規 則 は 90.0%の 事 業 所 が 整 備 している このうち 就 業 規 則 を 周 知 している 事 業 所 は 84.0%で 周 知 の 方 法 ( 複 数 回 答 )については 常 時 掲 示 または 備 え 付 け が 最 も 多 く 64

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

Taro-07-1提言概要.jtd

学校安全の推進に関する計画の取組事例

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

Microsoft Word - (課×県・指定)【頭紙】「精神障害者保健福祉手帳の診断書の記入に当たって留意すべき事項について」等の一部改正について.rtf

< E95FB8CF689638AE98BC689FC90B390A CC8CA992BC82B582C982C282A282C E90E096BE8E9E8E9197BF2E786477>

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

< F2D8E968BC6895E89638E77906A816988C4816A2E6A7464>

母 子 医 療 対 策 費 462 (313,289) 国 4,479 1 不 妊 治 療 助 成 事 業 8,600 不 妊 治 療 費 用 の 一 部 を 助 成 し 経 済 的 負 担 の 軽 減 を 図 る 230, ,608 不 妊 治 療 費 の 増 加 による 増 額 分

Microsoft Word - 諮問第82号答申(決裁後)

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)


社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

目 次 1. 社 会 保 障 分 野 でできること 1 1 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 制 度 の 改 善 2 保 険 証 機 能 の 一 元 化 3 自 己 診 療 情 報 の 活 用 4 給 付 可 能 サービスの 行 政 側 からの 通 知 2. 年 金 分 野 でできること 5

<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>

(Microsoft Word - \212\356\226{\225\373\220j _\217C\220\263\201j.doc)

( 新 ) 医 療 提 供 の 機 能 分 化 に 向 けたICT 医 療 連 携 導 入 支 援 事 業 費 事 業 の 目 的 医 療 政 策 課 予 算 額 58,011 千 円 医 療 分 野 において あじさいネットを 活 用 したICT したICT 導 入 により により 医 療 機 能

Microsoft Word - nagekomi栃木県特定医療費(指定難病)支給認定申請手続きのご案内 - コピー

自衛官俸給表の1等陸佐、1等海佐及び1等空佐の(一)欄又は(二)欄に定める額の俸給の支給を受ける職員の占める官職を定める訓令

東 京 電 力 ホールディングス 株 式 会 社 労 働 環 境 改 善 2016/9/29 在 分 野 名 括 り 5 内 容 これまで1ヶ 月 の 動 きと 今 後 1ヶ 月 の 予 定 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 備 考 員 の 確 保 状 況 と 地 元 雇 用 率 の 実

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

第 7 条 職 員 の 給 与 に 関 する 規 程 ( 以 下 給 与 規 程 という ) 第 21 条 第 1 項 に 規 定 す るそれぞれの 基 準 日 に 育 児 休 業 している 職 員 のうち 基 準 日 以 前 6 月 以 内 の 期 間 にお いて 在 職 した 期 間 がある 職

(2) 特 別 障 害 給 付 金 国 民 年 金 に 任 意 加 入 していなかったことにより 障 害 基 礎 年 金 等 を 受 給 していない 障 がい 者 の 方 に 対 し 福 祉 的 措 置 として 給 付 金 の 支 給 を 行 う 制 度 です 支 給 対 象 者 平 成 3 年 3

Q5 育 児 休 業 を 請 求 する 際 の 事 務 手 続 は? A5 育 児 休 業 を 請 求 しようとする 職 員 は, 育 児 休 業 承 認 請 求 書 ( 様 式 第 1 号 )に 子 の 氏 名 や 請 求 する 期 間 等 を 記 入 し, 育 児 休 業 を 始 めようとする1

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

別紙3

    平成11年度余市町私立幼稚園就園奨励費補助金交付要綱

Transcription:

平 成 23 年 度 調 査 研 究 レポート 他 県 の 先 進 取 組 事 例 に 学 ぶ 効 果 的 なメンタルヘルス 対 策 について ~ 新 規 採 用 職 員 や 異 動 者 には 他 の 職 員 より 入 念 なケアが 必 要 ~ 平 成 23 年 11 月 北 海 道 人 事 委 員 会

目 次 はじめに 1 Ⅰ 現 状 とこれまでの 取 組 1 1 全 国 の 自 治 体 における 状 況 1 2 民 間 企 業 における 状 況 2 3 メンタルヘルス 対 策 の 基 本 的 な 考 え 方 3 (1) 仕 事 とストレス (2) 職 場 のストレス 要 因 (3) 職 場 のメンタルヘルス 対 策 (4) 4つのケア (5) 復 職 のプロセスの 重 要 性 4 道 における 精 神 性 疾 患 による 長 期 療 養 者 の 現 状 6 5 道 において 行 われているメンタルヘルス 対 策 の 取 組 とその 問 題 点 6 (1) これまでの 取 組 (2) これまでの 取 組 に 関 する 検 証 Ⅱ 今 後 のメンタルヘルス 対 策 1 他 県 における 先 進 事 例 7 (1) 富 山 県 の 事 例 ~ 精 神 性 疾 患 による 長 期 療 養 者 の 割 合 は 全 国 平 均 の 半 分 程 度 を 維 持 (2) 鳥 取 県 の 事 例 ~ 精 神 性 疾 患 による 長 期 療 養 者 の 割 合 が 平 成 18 年 度 をピークに 減 少 (3) 愛 媛 県 の 事 例 ~ 精 神 性 疾 患 による 長 期 療 養 者 の 割 合 の 上 昇 傾 向 に 歯 止 め 2 今 後 のメンタルヘルス 対 策 の 取 組 に 必 要 な 視 点 10 視 点 1 ~ 職 員 による 定 期 的 な 自 己 診 断 の 機 会 を 確 保 すること 視 点 2 ~ 新 規 採 用 職 員 や 異 動 者 に 対 するケアが 必 要 であること 視 点 3 ~ 管 理 職 員 によるケアは 一 定 程 度 にとどめること 視 点 4 ~ 職 場 風 土 ( 環 境 )の 改 善 を 行 うこと 視 点 5 ~ 外 部 機 関 による 支 援 を 活 用 すること 視 点 6 ~ 人 事 部 門 と 健 康 管 理 部 門 が 付 かず 離 れず の 関 係 であること

はじめに 近 年 道 職 員 の 長 期 療 養 者 のうち 精 神 性 疾 患 *1 を 理 由 とする 者 の 割 合 は 全 国 平 均 よ りも 高 率 で 推 移 しており 公 務 の 運 営 に 多 大 な 影 響 を 与 えることが 懸 念 されている 行 政 課 題 がますます 複 雑 化 多 様 化 してきており 質 の 高 い 政 策 の 立 案 や 行 政 サービ スを 維 持 していくためには 職 員 が 心 身 共 に 健 康 であり 各 々が 能 力 を 最 大 限 に 発 揮 で きる 状 態 での 職 務 への 従 事 が 求 められることから 道 において メンタルヘルス 対 策 は 重 要 な 課 題 であり 早 期 に 効 果 的 な 取 組 を 行 い 職 員 の 心 の 健 康 の 維 持 増 進 が 図 られ る 必 要 がある メンタルヘルス 対 策 の 充 実 については 勤 務 環 境 の 整 備 という 側 面 もあるため 地 方 公 務 員 法 第 8 条 第 1 項 第 2 号 に 基 づく 調 査 研 究 を 行 ったものである Ⅰ 現 状 とこれまでの 取 組 1 全 国 の 自 治 体 における 状 況 財 団 法 人 社 会 経 済 生 産 性 本 部 が 平 成 19 年 7 月 に 発 表 した 自 治 体 に 対 するアンケート 調 査 結 果 *2 によると 約 半 数 の 自 治 体 において 心 の 病 が 増 加 傾 向 にあり 職 員 数 が1,000 名 を 超 える 規 模 の 自 治 体 では 増 加 傾 向 にあるものが 民 間 企 業 を 上 回 る 割 合 になってい る また 心 の 病 による 1ヶ 月 以 上 の 休 業 者 がいる 自 治 体 は53.4%で 規 模 が 大 きいほどその 割 合 は 高 くなっている 一 人 当 たりの 仕 事 量 が 増 えている(94.6%) 個 人 で 仕 事 をする 機 会 が 増 えている (71.8%) 職 場 のコミュニケーションの 機 会 が 減 っている(52.4%) 職 場 の 助 け 合 い が 少 なくなっている(48.8%)などが 特 徴 となっており 住 民 の 行 政 を 見 る 目 が 厳 しく なっている(97.6%)という 点 も 大 きい 職 場 での 助 け 合 いが 減 少 したという 自 治 体 においては 心 の 病 が 増 加 傾 向 にある 割 合 が 高 く(56.3%) 職 場 での 助 け 合 いが 減 少 していないという 自 治 体 との 差 が 顕 著 であ る また 職 場 でのコミュニケーションの 機 会 が 減 少 したという 自 治 体 においても 心 の 病 が 増 加 傾 向 にある 割 合 が 高 く(54.3%) 職 場 でのコミュニケーションの 機 会 が 減 少 していないという 自 治 体 との 差 が 大 きい この 調 査 結 果 においては 今 後 の 自 治 体 行 政 のあり 方 をどういう 方 向 で 地 域 住 民 と 創 り 上 げていくのか そのビジョンを 全 員 でしっかり 共 有 していくこと 組 織 内 外 の 人 の つながりの 構 築 と それを 含 めた 意 味 での 一 人 ひとりの 働 きがいに 焦 点 を 当 てた 活 力 あ る 風 土 づくりをいかに 進 めていくかが 喫 緊 の 課 題 である としている *1 いわゆる メンタル 職 員 について ( 財 ) 地 方 公 務 員 安 全 衛 生 推 進 協 会 及 び 知 事 部 局 ( 道 総 務 部 職 員 厚 生 課 )では WHOの 疾 病 分 類 表 に 基 づき 精 神 及 び 行 動 の 障 害 に 分 類 している 一 方 教 育 庁 では 文 部 科 学 省 の 指 示 により 精 神 神 経 系 疾 患 ( 精 神 及 び 行 動 の 障 害 対 象 者 - 自 律 神 経 失 調 症 対 象 者 ) に 分 類 しているが これらを 統 一 的 に 表 現 するための 慣 例 的 な 用 語 がないことから 便 宜 的 に 医 学 用 語 として 広 く 用 いられている 精 神 性 疾 患 と いう 用 語 を 用 いたものである 精 神 及 び 行 動 の 障 害 には 総 合 失 調 症 躁 病 躁 うつ 病 うつ 病 神 経 症 性 障 害 アルコール 依 存 症 などがあ る *2 メンタルヘルスの 取 り 組 み に 関 する 自 治 体 アンケート 調 査 結 果 1

2 民 間 企 業 における 状 況 公 益 財 団 法 人 社 会 経 済 生 産 性 本 部 の 調 査 *3 (2008 年 8 月 以 下 2008 年 調 査 とい う )によると 半 数 以 上 (56.1%)の 企 業 で 直 近 3 年 間 の 心 の 病 は 増 加 傾 向 に あるとの 結 果 が 出 ていたが 2010 年 8 月 に 発 表 された 同 調 査 *4 ( 以 下 2010 年 調 査 という )によれば 横 ばいと 回 答 した 企 業 が 増 加 傾 向 と 回 答 した 企 業 を 上 回 る 結 果 と なっており 増 加 傾 向 に 一 定 の 歯 止 めがかかってきているものと 分 析 されている 過 去 の 同 調 査 と 比 較 しても 増 加 傾 向 にあると 回 答 した 企 業 の 割 合 は 減 少 傾 向 にあり 横 ばい 又 は 減 少 傾 向 にあると 回 答 した 企 業 の 割 合 が 増 加 している このことは 民 間 企 業 においては メンタルヘルス 対 策 が 一 定 の 効 果 を 上 げている ことを 示 していると 考 えられる 心 の 病 の 最 も 多 い 年 齢 層 については 30 歳 代 が 最 も 多 い(58.2%)が 40 歳 代 とす る 企 業 も 多 い(22.3%) *4 過 去 の 同 調 査 と 比 較 すると 30 歳 代 とした 企 業 の 割 合 が 減 少 し 40 歳 代 とした 企 業 の 割 合 が 増 加 している 心 の 病 の 発 症 年 齢 も 上 昇 している と 考 えられる 2008 年 調 査 における 職 場 の 状 況 の 変 化 と 心 の 病 の 傾 向 の 関 係 についての 分 析 に よると 人 を 育 てる 余 裕 が 職 場 になくなってきている 組 織 職 場 とのつながりを 感 じにくくなってきている 仕 事 の 全 体 像 や 意 味 を 考 える 余 裕 が 職 場 になくなって きている に 対 する 回 答 と 心 の 病 の 増 加 傾 向 との 間 に 統 計 的 に 有 意 な 関 係 がある とのことである まず 人 を 育 てる 余 裕 が 職 場 になくなってきている という 質 問 に 対 し 肯 定 した 企 業 においては 心 の 病 が 増 加 傾 向 にあるとした 企 業 が60.2%であるのに 対 し 否 定 した 企 業 においては 心 の 病 が 増 加 傾 向 にあるとした 企 業 は35.3%である 次 に 組 織 職 場 とのつながりを 感 じにくくなってきている という 質 問 に 対 し 肯 定 した 企 業 においては 心 の 病 が 増 加 傾 向 にあるとした 企 業 が63.5%であるのに 対 し 否 定 した 企 業 においては 心 の 病 が 増 加 傾 向 にあるとした 企 業 が43.8%であ る さらに 仕 事 の 全 体 像 や 意 味 を 考 える 余 裕 が 職 場 になくなってきている という 質 問 に 対 し 肯 定 した 企 業 においては 心 の 病 が 増 加 傾 向 にあるとした 企 業 が61.6% であるのに 対 し 否 定 した 企 業 においては 心 の 病 が 増 加 傾 向 にあるとした 企 業 が 42.9%である これらの3つの 変 化 が 見 られる 企 業 では 心 の 病 は 増 加 傾 向 にある 割 合 が 高 いこ とから メンタルヘルス 施 策 の 今 後 の 方 向 性 として メンタル 不 調 者 の 早 期 発 見 早 期 対 応 だけではなく 職 場 風 土 ( 職 場 環 境 )の 改 善 にもっと 目 を 向 けていく 必 要 があ ると 考 えられる 2010 年 調 査 によれば 今 後 の 動 向 は 現 状 の 取 組 継 続 と 質 の 向 上 との 結 果 であり 心 の 病 の 増 加 傾 向 に 歯 止 めがかからなかったことの 理 由 は 複 雑 な 要 素 が 絡 んでいる ため 明 らかではないが 三 次 予 防 の 見 直 しの 必 要 性 について 言 及 されている *3 第 4 回 メンタルヘルスの 取 り 組 み に 関 する 企 業 アンケート 調 査 結 果 ( 平 成 20 年 8 月 5 日 ) *4 第 5 回 メンタルヘルスの 取 り 組 み に 関 する 企 業 アンケート 調 査 結 果 ( 平 成 22 年 8 月 6 日 ) 2

3 メンタルヘルス 対 策 の 基 本 的 な 考 え 方 (1) 仕 事 とストレス 仕 事 とストレスの 相 関 関 係 は 図 表 1のように 仕 事 の コントロール( 自 由 度 )と 仕 事 の 要 求 度 の 相 関 関 係 によ り 増 減 することとなると 考 えられるが これに 周 囲 のサ ポートを 加 えた3つの 要 素 に より 高 ストレス 群 が 形 成 さ れる このうち 仕 事 の 要 求 度 は 業 務 の 複 雑 化 高 度 化 により 急 激 に 高 まっていると 考 えら れるから ストレスが 高 くな るリスクも 大 きい 図 表 1 仕 事 とストレスの 関 係 (2) 職 場 のストレス 要 因 1 職 場 の 人 間 関 係 厚 生 労 働 省 が 平 成 19 年 に 行 った 労 働 者 健 康 状 況 調 査 の 結 果 によると 最 も 多 いストレス 要 因 としては 職 場 の 人 間 関 係 が 挙 げられる 特 に 女 性 労 働 者 にお いてストレス 要 因 になると 考 えられ 男 性 労 働 者 に 比 して 顕 著 な 傾 向 が 出 ている 人 間 関 係 が 悪 くなると 職 場 での 居 心 地 も 悪 く 業 務 上 の 情 報 伝 達 や 共 同 作 業 に おいても 非 効 率 となり 業 務 の 成 果 に 影 響 が 出 るおそれもある 職 場 の 人 間 関 係 は 事 務 職 において 最 も 大 きなストレス 要 因 であり 専 門 技 術 研 究 職 においても 大 きなストレス 要 因 となっている 2 仕 事 の 質 と 量 業 務 の 複 雑 化 多 様 化 により 仕 事 の 内 容 が 高 度 になったこと 精 神 的 疲 労 を 伴 うクレーム 対 応 など 業 務 の 質 が 求 められる 業 務 や 膨 大 な 仕 事 量 のため 時 間 外 勤 務 が 慢 性 化 し 休 日 出 勤 が 恒 常 化 するなど 長 時 間 にわたる 労 働 によらなければこな せない 業 務 によるストレスが 大 きい 特 に 20 歳 代 及 び30 歳 代 の 労 働 者 については 性 別 を 問 わず 仕 事 の 質 の 問 題 が ストレス 要 因 になっていることに 加 え 40 歳 代 の 男 性 労 働 者 については 仕 事 の 質 に 関 するストレスが 最 も 大 きくなっており 職 場 の 人 間 関 係 よりもストレス 度 が 高 くなっている 仕 事 の 量 の 問 題 は 30 歳 代 の 労 働 者 について 性 別 を 問 わず ストレス 要 因 になっ ており 業 務 の 負 荷 が 大 きいと 考 えられる また 50 歳 代 の 女 性 労 働 者 についても 大 きなストレス 要 因 となっている 職 種 別 に 見 ると 仕 事 の 質 と 量 の 問 題 は 管 理 職 と 専 門 技 術 研 究 職 において 大 きなストレス 要 因 となっている 3

3 将 来 の 問 題 会 社 の 将 来 性 の 問 題 (20 歳 代 男 性 労 働 者 ) 定 年 後 の 仕 事 老 後 の 問 題 (50 歳 代 及 び60 歳 代 の 労 働 者 ( 男 女 とも))など 将 来 への 不 安 や 公 務 員 においては 様 々な 改 革 に 伴 う 将 来 の 不 透 明 感 スキルアップの 機 会 や 長 時 間 労 働 による 時 間 の 不 足 なども 大 きなストレス 要 因 となっている 財 団 法 人 日 本 生 産 性 本 部 の 調 査 *8 においても 将 来 への 不 安 が 倍 増 しているとの 結 果 が 出 ている (3) 職 場 のメンタルヘルス 対 策 労 働 者 の 心 の 健 康 の 保 持 増 進 のための 指 針 ( 平 成 18 年 3 月 厚 生 労 働 省 策 定 以 下 指 針 という )によれば 事 業 者 が1 心 の 健 康 づくり 計 画 の 策 定 2 関 係 者 に 対 する 教 育 研 修 情 報 提 供 3 4つのケア の3つを 推 進 することにより 職 場 環 境 等 の 改 善 メンタルヘルス 不 調 への 対 応 職 場 復 帰 のための 支 援 が 円 滑 に 行 われる 必 要 があるとされている また 事 業 者 は 心 の 健 康 問 題 の 特 性 個 人 の 健 康 情 報 の 保 護 への 配 慮 人 事 労 務 管 理 との 関 係 家 庭 個 人 生 活 等 の 職 場 以 外 の 問 題 等 との 関 係 に 留 意 する 必 要 がある とされている (4) 4つのケア 1 セルフケア 心 の 健 康 づくりを 推 進 するためには 労 働 者 自 身 がストレスに 気 づき これに 対 処 するための 知 識 方 法 を 身 につけ それを 実 施 することが 重 要 である スト レスに 気 づくためには 労 働 者 がストレス 要 因 に 対 するストレス 反 応 や 心 の 健 康 について 理 解 するとともに 自 らのストレスや 心 の 健 康 状 態 について 正 しく 認 識 できるようにする 必 要 がある( 指 針 ) 自 己 管 理 の 徹 底 すなわち 自 己 健 康 保 全 義 務 を 問 われるという 意 味 では 当 然 のことであるが 偏 見 や 病 気 に 対 する 知 識 の 問 題 などから 必 ずしも 本 人 の 自 覚 や 努 力 に 依 拠 することができないという 問 題 がある 2 ラインによるケア 管 理 監 督 者 は 部 下 である 労 働 者 の 状 況 を 日 常 的 に 把 握 しており また 個 々 の 職 場 における 具 体 的 なストレス 要 因 を 把 握 し その 改 善 を 図 ることができる 立 場 にあることから 職 場 環 境 等 の 把 握 と 改 善 労 働 者 からの 相 談 対 応 を 行 うこと が 必 要 である( 指 針 ) 職 場 のストレスの 程 度 は 管 理 監 督 者 によって 左 右 されることに 加 え メンタ ルヘルス 不 調 者 に 関 する 相 談 経 緯 として 上 司 からの 相 談 が 多 いことからも 管 理 監 督 者 は メンタルヘルス 不 調 者 の 早 期 発 見 のキーパーソンである ラインの 管 理 監 督 者 によるケアであり 職 場 のメンタルヘルスの 核 となるもの で 上 司 が 部 下 の 問 題 に 気 付 くこと 上 司 の 部 下 への 配 慮 支 援 が 重 要 であるこ とは 言 を 待 たない しかし 現 場 の 管 理 監 督 者 は 自 らも 業 務 を 担 当 していることが 多 く 短 時 間 の 研 修 を 受 けたとしても 部 下 に 対 して 長 期 間 にわたり 日 常 的 な 対 応 を 行 ってい くことは 困 難 である 実 際 の 現 場 においては 復 職 者 がいた 場 合 単 にその 復 職 者 に 配 慮 するだけでなく 他 の 部 下 が 復 職 者 にどのように 接 するかを 指 導 したり 社 内 や 社 外 との 関 係 にも 目 を 配 らなければならず 管 理 監 督 者 の 負 担 が 極 めて 大 4

きなものになってしまう 復 職 者 に 配 慮 することにより 管 理 監 督 者 自 身 が 疲 弊 してしまう 可 能 性 もあり ラインによるケアに 過 度 に 依 拠 するのは 現 実 的 ではな い( 管 理 監 督 者 もセルフケアの 対 象 とされている ) 管 理 監 督 者 に 過 重 な 負 担 となってしまうことなどを 勘 案 すると 管 理 監 督 者 に は 最 低 限 やってはいけないこと(パワーハラスメントなど)とメンタルヘル スの 不 調 又 は 再 発 の 兆 しがあった 場 合 には 早 期 に 報 告 することの2 点 に 限 定 し て 対 応 を 求 めていくことが 現 実 的 であると 考 える うつ 病 については 管 理 監 督 者 が2つのタイプ(メランコリー 親 和 型 ( 古 典 的 うつ 病 ) ディスチミア 型 ( 現 代 型 うつ 病 )) があることを 認 識 し 適 切 に 対 応 で きるよう 教 育 研 修 情 報 提 供 等 を 行 う 必 要 がある 3 産 業 保 健 スタッフ 等 によるケア セルフケア 及 びラインによるケアが 効 果 的 に 実 施 されるよう 労 働 者 及 び 管 理 監 督 者 に 対 する 支 援 を 行 うとともに 個 人 情 報 の 取 扱 い 事 業 場 外 資 源 とのネッ トワークの 形 成 やその 窓 口 となること 等 心 の 健 康 づくり 計 画 の 実 施 に 当 たり 中 心 的 な 役 割 を 果 たすものである( 指 針 ) 医 学 的 専 門 知 識 が 必 要 な 面 も 大 きく 特 に 主 治 医 との 連 絡 職 場 復 帰 の 判 断 ( 就 業 上 の 配 慮 など)について 重 要 な 役 割 を 担 ってもらう 必 要 がある 4 外 部 機 関 によるケア 事 業 場 が 抱 える 問 題 や 求 めるサービスに 応 じて メンタルヘルスケアに 関 する 専 門 的 な 知 識 を 有 する 各 種 の 外 部 機 関 の 支 援 を 活 用 することが 有 効 である( 指 針 ) ただし 事 業 者 がこれに 依 存 し 主 体 性 を 失 ってはならない リワークプログラムの 活 用 による 生 活 リズムの 形 成 など 職 場 復 帰 のための 準 備 に 有 用 であると 考 えられる ただし 地 域 的 な 資 源 の 格 差 がある (5) 復 職 のプロセスの 重 要 性 メンタルヘルス 対 策 は 一 次 予 防 *5 二 次 予 防 *6 三 次 予 防 *7 に 分 けられるが 財 団 法 人 日 本 生 産 性 本 部 の 調 査 *6 によると 復 職 プロセスを 成 功 させることが 心 の 病 の 未 然 防 止 につながる 可 能 性 があるとのことである つまり 三 次 予 防 が 最 も 重 要 である 同 調 査 によると 復 職 のプロセスと 心 の 病 の 増 減 傾 向 について 最 近 3 年 間 で 心 の 病 が 増 加 している 企 業 では 復 職 のプロセスでも まだまだ 問 題 が 多 い (59.8%) となっているが 最 近 3 年 間 で 心 の 病 が 減 少 している 企 業 では 復 職 のプロセスにつ いて 特 に 問 題 ない (50.0%)となっており メンタルヘルス 対 策 においては 復 職 のプロセスを 円 滑 に 行 うことが 重 要 であると 言 える *5 未 然 に 病 気 にならないように 全 員 の 健 康 度 をより 高 めていく 活 動 をいう *6 早 期 発 見 早 期 治 療 を 促 す 活 動 をいう *7 復 職 プロセスを 含 む 事 後 処 置 の 再 発 予 防 のことをいう *8 2009 年 版 産 業 人 メンタルヘルス 白 書 5

4 道 における 精 神 性 疾 患 による 長 期 療 養 者 の 現 状 長 期 療 養 者 に 占 める 精 神 性 疾 患 を 理 由 とする 者 の 割 合 の 推 移 ( 過 去 10 年 間 ) 70.0% 60.0% 50.0% 40.0% 30.0% 20.0% 道 ( 知 事 部 局 ) 全 国 10.0% 0.0% H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 ( 年 度 ) 上 記 のグラフは 長 期 療 養 者 に 占 める 精 神 性 疾 患 を 理 由 とする 者 の 割 合 について 道 ( 知 事 部 局 )と 全 国 の 数 字 を 比 較 したものであるが 道 の 特 徴 として 次 の 点 を 指 摘 する ことができる 全 体 の 割 合 は 上 昇 傾 向 で 推 移 しており 全 国 平 均 よりも 高 率 である 平 成 15 年 度 と 平 成 18 年 度 に 特 に 顕 著 な 伸 びが 見 られる 5 道 において 行 われているメンタルヘルス 対 策 の 取 組 とその 問 題 点 (1) これまでの 取 組 1 知 事 部 局 精 神 保 健 医 の 配 置 ( 本 庁 支 庁 ) 心 の 健 康 相 談 の 実 施 月 開 設 回 数 等 を 拡 充 (H19.4~) 職 場 リハビリテーションの 実 施 ( 職 場 復 帰 対 策 ) 北 海 道 心 の 健 康 づくり 基 本 方 針 (H15.3) 及 び 北 海 道 職 員 健 康 づくり 計 画 (H15. 9 H21.6 改 訂 )の 策 定 メンタルヘルス 対 策 の 推 進 を 位 置 付 け 北 海 道 職 員 安 全 衛 生 管 理 規 程 の 改 正 (H17.1) 過 重 労 働 による 健 康 障 害 の 防 止 等 について 拡 充 管 理 監 督 者 のための 精 神 性 疾 患 等 職 員 への 対 応 に 関 する 手 引 きの 作 成 配 布 (H17.3 作 成 H21.6 改 訂 ) 職 場 のメンタルヘルス( 管 理 職 用 資 料 )の 作 成 配 布 (H18.3) メンタルヘルスサポート 事 業 (H17.4~ 地 共 済 事 業 ) 電 話 相 談 ( 年 中 無 休 ) 面 接 カウンセリング 職 業 性 ストレス 簡 易 調 査 の 実 施 (H18 年 度 H19 年 度 ) 各 職 場 におけるストレスの 実 態 や 要 因 分 析 を 行 い 必 要 な 対 策 を 講 ずるほか 簡 易 調 査 結 果 の 自 己 採 点 を 通 じ 個 々の 職 員 のセルフケアに 資 することを 目 的 心 とからだの 総 合 健 康 チェック 支 援 (H20.9~) 全 職 員 を 対 象 にチェック アドバイスシートの 送 付 電 話 による 相 談 職 場 環 境 の 分 析 の 実 施 指 導 6

2 教 育 庁 精 神 保 健 医 の 配 置 (H18.4~) 心 の 健 康 相 談 体 制 の 拡 充 (H20.7~) 健 康 電 話 相 談 職 場 復 帰 訓 練 制 度 の 実 施 ( 職 場 復 帰 対 策 ) 道 立 学 校 職 員 等 のメンタルヘルス 基 本 方 針 (H16.12) 及 び 計 画 (H17.7)の 策 定 管 理 監 督 者 のためのメンタルヘルスハンドブックの 作 成 配 布 (H17.7) 3 警 察 本 部 精 神 保 健 医 保 健 師 等 による 相 談 巡 回 健 康 相 談 心 の 健 康 管 理 要 領 の 策 定 (H15.8) 外 部 機 関 によるカウンセリング 全 職 員 を 対 象 として 心 の 健 康 診 断 (H15~H18) 職 場 復 帰 支 援 実 施 要 領 に 基 づく 支 援 (H18.8~) (2) これまでの 取 組 に 関 する 検 証 各 任 命 権 者 に 共 通 のものとして 挙 げられるのは 1 精 神 保 健 医 の 配 置 2 相 談 3 基 本 方 針 及 び 計 画 の 策 定 の3つである 他 に 複 数 の 任 命 権 者 で 行 われているのは 管 理 職 員 向 けのマニュアルの 作 成 職 員 を 対 象 としたストレス 分 析 調 査 である こうした 取 組 を 行 ってきたにもかかわらず 長 期 療 養 者 に 占 める 精 神 性 疾 患 を 理 由 とする 者 の 割 合 は 増 加 傾 向 に 歯 止 めがかかっておらず このことは 現 状 の 対 策 では 未 だ 不 十 分 であり 問 題 点 の 検 証 を 行 い 効 果 を 上 げられるよう 努 めていく 必 要 がある ことを 示 している また 平 成 20 年 度 の 知 事 部 局 における 精 神 性 疾 患 による 長 期 療 養 者 の 年 代 別 傾 向 を 見 ると 20 歳 代 が18 人 (7.8%) 30 歳 代 が76 人 (33.0%) 40 歳 代 が84 人 (36.5%) 50 歳 代 が52 人 (22.6%)となっている 現 在 の 道 職 員 の 年 齢 構 成 を 考 慮 すれば すべて の 年 代 において 高 い 率 となっており 今 後 職 員 を 対 象 としたストレス 分 析 調 査 の 結 果 を 参 考 に それぞれの 世 代 に 合 わせたメンタルヘルス 対 策 を 行 っていく 必 要 がある Ⅱ 今 後 のメンタルヘルス 対 策 1 他 県 における 先 進 事 例 他 県 において 先 進 的 な 取 組 を 行 い 一 定 の 効 果 を 上 げている 事 例 について 文 献 調 査 及 び 訪 問 又 はメール 等 による 聞 き 取 り 調 査 を 行 ったので 以 下 紹 介 する (1) 富 山 県 の 事 例 精 神 性 疾 患 による 長 期 療 養 者 は 増 加 傾 向 にあるが ここ 何 年 も 全 国 平 均 のほぼ 半 数 という 状 態 を 維 持 している *9 病 気 休 暇 取 得 者 の 状 況 から 特 に 壮 年 期 職 員 のセルフケアの 意 識 を 高 めること が 重 要 と 考 えている また 新 しい 環 境 に 対 しての 不 安 を 抱 えている 新 任 職 員 対 する 特 別 なケアが 配 慮 されている 一 次 予 防 及 び 二 次 予 防 に 力 を 入 れている 事 例 である *9 地 方 公 務 員 安 全 と 健 康 フォーラム (2009 年 4 月 )18 頁 以 下 7

< 取 組 事 例 > 1 ストレスドック(メンタル 版 人 間 ドック ) 30 歳 40 歳 及 び50 歳 の 職 員 などを 対 象 にボディソニックやアルファ 波 誘 導 装 置 な どのリラックス 体 験 脳 波 測 定 心 理 テスト 精 神 科 医 の 面 接 によるストレスチェッ クなどを 行 う 2 メンタルヘルス 研 修 管 理 監 督 者 新 任 係 長 35 歳 職 員 25 歳 職 員 に 区 分 して 実 効 が 上 がるように 実 施 しており 管 理 監 督 者 対 象 の 研 修 においては 対 処 方 法 の 実 践 を 内 容 に 盛 り 込 んでい る 新 任 職 員 に 対 しては 採 用 時 の 研 修 において 健 康 に 関 する 意 識 付 けを 強 化 して いる 3 WEB 問 診 (セルフチェック) 庁 内 LANから 職 員 自 らがストレスをチェックでき( 年 4 回 実 施 ) 簡 単 なアドバ イスを 受 けることができる 毎 回 チェックする 内 容 を 変 えて 職 員 が 飽 きないように 工 夫 をしている 4 総 合 庁 舎 での 巡 回 相 談 本 人 家 族 上 司 等 を 対 象 に 定 期 的 に 相 談 日 を 設 定 している (2) 鳥 取 県 の 事 例 精 神 性 疾 患 により30 日 以 上 の 長 期 休 暇 を 取 得 する 職 員 が 増 加 傾 向 にあったが 平 成 18 年 度 をピークに 減 少 し 横 ばい 傾 向 にある 全 国 平 均 も 増 加 傾 向 にある 中 で メンタルヘルス 対 策 の 効 果 を 上 げている *10 早 期 発 見 早 期 介 入 初 期 からの 療 養 復 帰 支 援 への 関 与 復 帰 後 の 支 援 再 発 予 防 が 特 徴 的 な 事 例 である < 取 組 事 例 > 1 新 規 採 用 職 員 健 康 相 談 メンタルヘルス 不 調 に 陥 りやすい 新 規 採 用 職 員 全 員 を 対 象 に 入 庁 後 半 年 以 内 に 必 ず 行 う 新 規 採 用 職 員 の 健 康 状 態 やストレス 耐 性 の 有 無 を 把 握 し 対 処 するとともに 健 康 づくりに 対 する 意 識 も 養 う 2 メンタルヘルス 研 修 新 採 用 職 員 新 任 係 長 新 任 課 長 補 佐 及 び 新 任 課 長 を 対 象 として メンタルヘル ス 対 策 のみを 対 象 に90 分 の 研 修 を 実 施 している 3 ストレス 度 チェック 自 己 診 断 年 2 回 (6 月 と2 月 ) 庁 内 LANを 通 じて 配 信 する 職 員 が 各 自 でストレス 度 の 自 己 診 断 を 行 い 自 分 のストレスやその 要 因 に 気 づき セルフケアを 考 えるきっかけとして 活 用 すると 同 時 に 電 子 メールや 面 接 などによ る 相 談 を 受 けるきっかけとし 早 期 発 見 予 防 のツールとしている 4 出 前 講 座 職 場 から 要 請 があったときに 保 健 師 が 職 場 に 出 向 き メンタルヘルスや 健 康 管 理 ハラスメントなどテーマを 決 めて 話 をする 一 方 的 な 講 義 だけではなく 新 規 採 用 職 員 や 人 事 異 動 者 メンタル 不 調 を 感 じている 職 員 の 個 別 相 談 を 行 ったり 職 場 全 体 のケアを 図 るためにワークショップなど 実 践 的 な 内 容 も 取 り 入 れている *10 地 方 公 務 員 安 全 と 健 康 フォーラム (2009 年 4 月 )16 頁 以 下 地 方 公 務 員 月 報 ( 平 成 22 年 9 月 号 ) 8

5 療 養 円 滑 な 復 職 のための 支 援 及 び 復 職 後 の 対 応 (ア) 療 養 支 援 職 員 や 職 場 主 治 医 及 びセカンドオピニオン 等 と 連 携 し 療 養 計 画 等 を 支 援 し ている (イ) 職 場 リハビリテーションの 実 施 原 則 1か 月 ( 最 長 2か 月 ) 以 内 で 職 場 復 帰 前 に 必 ず 実 施 し 復 職 が 可 能 かど うか(1 日 8 時 間 勤 務 が 可 能 かどうか)を 確 認 している あくまで 治 療 の 一 環 と して 休 職 期 間 中 に 行 っているため 別 途 保 険 に 加 入 している (ウ) 健 康 管 理 審 査 会 による 復 職 可 否 の 審 査 及 び 復 職 後 の 再 審 査 4 名 の 精 神 科 医 産 業 医 人 事 担 当 部 局 職 員 及 び 健 康 管 理 担 当 部 局 職 員 の7 名 で 構 成 する 審 査 会 において 職 場 リハビリテーションにおける 勤 務 成 績 や 病 状 を 踏 まえ 職 員 と 面 談 することにより 県 庁 の 現 状 を 踏 まえて 本 人 に 見 合 う 業 務 を 与 えることができるかを 審 査 する 審 査 会 に 人 事 担 当 部 局 が 関 与 することで 配 置 換 えや 時 間 外 勤 務 制 限 等 健 康 レベルに 応 じた 職 場 環 境 調 整 が 可 能 となってい る また 復 職 6か 月 後 には 復 職 後 の 体 調 や 勤 務 成 績 を 評 価 し 審 査 会 による 経 過 観 察 の 再 審 査 を 実 施 している (エ) 長 期 療 養 者 全 員 に 対 する 面 談 人 事 担 当 部 局 から 病 気 休 暇 を 連 続 して30 日 以 上 取 得 した 職 員 の 情 報 を 得 て 対 象 職 員 全 員 と 面 談 を 実 施 している 休 暇 当 初 から 職 員 上 司 等 と 面 談 することに より 療 養 に 至 る 経 緯 や 精 神 疾 患 について 把 握 することができ 早 期 に 今 後 の 方 針 を 立 てることが 可 能 となっている (3) 愛 媛 県 の 事 例 長 期 休 業 している 職 員 の 約 4 割 が 精 神 性 疾 患 によるものであり その 割 合 も 増 加 傾 向 にある *11 が 平 成 18 年 度 以 降 上 昇 カーブに 一 定 の 歯 止 めがかかってきてい る 一 次 予 防 から 三 次 予 防 までバランスよく 一 貫 した 取 組 を 行 っている 事 例 であ る < 取 組 事 例 > 1 庁 内 LANにおけるストレスチェックの 活 用 早 期 発 見 を 目 的 として 職 員 自 らが ストレスチェック 票 による 自 己 診 断 を 行 うことができる 実 施 率 を 向 上 させ これを 円 滑 に 活 用 するため 管 理 職 員 が 部 下 職 員 に 対 して 行 う 個 別 面 接 ( 年 2 回 )の 前 に 各 職 員 にチェックさせ 管 理 職 員 から のコミュニケーションのきっかけとしている 管 理 職 員 の 側 からも 面 接 時 の 話 のきっかけとして 重 要 視 されており 稼 働 率 が 向 上 している 2 健 康 なんでも 相 談 こころの 悩 みなんでも 相 談 健 康 相 談 室 を 個 室 とし 職 員 が 相 談 しやすい 体 制 としている 平 成 22 年 3 月 末 ま でに6,000 件 以 上 の 相 談 があり うち1,300 件 ほどがメンタルに 関 する 相 談 であった 他 の 相 談 内 容 としては 業 務 に 関 することや 職 員 個 人 の 恋 愛 に 関 すること 職 員 の 家 庭 に 関 する 問 題 などのプライベートなものもあり 相 談 のしやすさが 利 用 件 数 に 表 れている *11 人 事 行 政 の 窓 (2009 年 5 月 )53 頁 以 下 9

3 職 場 復 帰 支 援 システム の 構 築 職 員 本 人 の 同 意 の 下 産 業 保 健 スタッフが 主 治 医 等 と 連 携 を 図 りながら きめ 細 かな 相 談 やケアを 実 施 する( 平 成 18 年 4 月 から) 職 場 復 帰 が 近 い 状 態 にある 職 員 について 復 帰 支 援 プラン を 作 成 することとし ており 休 職 者 の 不 安 軽 減 などを 目 的 として 試 し 出 勤 制 度 を 導 入 している( 希 望 者 のみ 県 において 傷 害 保 険 に 加 入 ) 復 職 後 も6か 月 程 度 は 産 業 保 健 スタッフによるフォローアップ( 定 期 的 な 面 談 等 の 実 施 )が 行 われている 2 今 後 のメンタルヘルス 対 策 の 取 組 に 必 要 な 視 点 道 における 今 後 の 取 組 においては 各 県 の 先 進 的 な 事 例 などを 踏 まえ 次 の 点 につい て 考 察 を 加 えた 取 組 が 必 要 となるであろう 視 点 1 ~ 職 員 による 定 期 的 な 自 己 診 断 の 機 会 を 確 保 すること 先 進 的 な 取 組 を 行 ってきた 県 においては 庁 内 LANを 活 用 し 定 期 的 に 職 員 に 自 己 診 断 を 行 うよう 働 きかけていることが 効 果 を 上 げている 点 が 共 通 している 富 山 県 では 年 に4 回 実 施 しており 質 問 内 容 もその 都 度 検 討 を 行 い 職 員 が 飽 き ないよう 工 夫 されている また 鳥 取 県 及 び 愛 媛 県 でも 年 に2 回 行 っており その 結 果 を 個 別 面 接 に 活 用 するなど 自 己 診 断 結 果 を 有 効 に 活 用 している 職 員 にセルフケアを 行 わせる 観 点 からも 定 期 的 に 自 己 診 断 を 行 わせることは 一 定 の 効 果 があると 言 える 視 点 2 ~ 新 規 採 用 職 員 や 異 動 者 に 対 するケアが 必 要 であること 先 進 的 な 取 組 を 行 ってきた 県 においては 新 規 採 用 者 や 新 しい 職 場 に 異 動 した 職 員 がメンタルヘルス 不 調 に 陥 りやすいということを 認 識 した 上 で そうした 職 員 に 対 象 を 絞 ったケアを 行 っており それが 奏 功 している 鳥 取 県 では 新 規 採 用 職 員 に 限 定 した 取 組 を 行 っているし 富 山 県 も25 歳 職 員 の 区 分 は そろそろ 職 場 にも 慣 れ 始 めるころ 事 務 職 の 場 合 三 年 程 度 で 異 動 がありますから 初 めての 異 動 直 後 の 職 員 もいるはず *12 という 理 由 に 基 づいて 重 点 的 なケアを 行 って いる 新 規 採 用 職 員 や 異 動 者 ( 特 に 昇 任 者 )については 他 の 職 員 よりも 重 点 的 入 念 的 なケアが 必 要 であろう 視 点 3 ~ 管 理 職 員 によるケアは 一 定 程 度 にとどめること 先 に 述 べたように 管 理 職 員 によるケアについては 管 理 職 員 の 固 有 の 業 務 との 兼 ね 合 い 専 門 的 知 識 等 の 不 足 などの 問 題 があることから 部 下 職 員 のメンタルヘルス 対 策 について 過 重 な 負 担 をかけることは 避 けた 方 がよいと 考 えられる 現 在 の 道 の 管 理 職 員 に 対 する 研 修 等 の 時 間 から 考 えると 管 理 職 員 によるケアは 過 度 な 期 待 をすることはできず 管 理 職 員 が 職 場 のメンタルヘルスに 関 するキーパー ソンであることに 違 いはないが 責 任 の 重 大 さから 管 理 職 員 自 身 がメンタルヘルス 不 調 者 になってしまうおそれもある *12 地 方 公 務 員 安 全 と 健 康 フォーラム (2009 年 4 月 )19 頁 10

よって 管 理 職 員 には 1 自 らが 部 下 職 員 のストレス 要 因 にならないこと(パワー ハラスメントを 行 わないことなど) 2 部 下 職 員 のメンタルヘルス 不 調 又 は 再 発 の 予 兆 があった 場 合 には 産 業 保 健 スタッフに 相 談 して 対 応 すること 3 復 職 者 に 対 しては メンタルヘルス 不 調 の 型 の 違 いにより 対 応 すべきことに 留 意 すること を 行 ってもら うことを 徹 底 し それ 以 外 のことについては 専 門 的 な 産 業 保 健 スタッフ 等 に 任 せる こととすべきである それ 以 上 の 負 担 を 管 理 職 員 に 要 求 すると 管 理 職 員 自 身 のセルフケアさえままなら ない 状 況 を 引 き 起 こし 職 場 全 体 に 悪 影 響 を 及 ぼすことになりかねない 視 点 4 ~ 職 場 風 土 ( 環 境 )の 改 善 を 行 うこと 道 ( 知 事 部 局 )において 平 成 20 年 度 に 実 施 した 調 査 の 結 果 によると 1 職 務 共 感 2 職 場 環 境 における 人 間 関 係 3 職 場 環 境 における 組 織 環 境 4 行 動 面 の 健 康 での 性 急 さ 5ストレス 対 応 力 6 性 格 傾 向 での 寛 容 性 7 性 格 傾 向 での 自 由 性 について 改 善 が 必 要 であるとされている 具 体 的 には ア 仕 事 への 意 欲 が 失 われがちであるため 仕 事 の 意 義 についての 共 通 認 識 を 深 めること イ 職 場 の 人 たちが 互 いに 協 力 し 合 う 風 土 づくりをすることにより 人 間 関 係 のストレスを 軽 減 すること ウ 仕 事 にせき 立 てられるなどの 雰 囲 気 があるた め 仕 事 に 適 度 な 余 裕 を 持 つこと エメンタルヘルス 研 修 等 を 通 じて 個 々の 職 員 の ストレス 対 応 力 を 高 めること オ 周 囲 の 人 への 関 心 や 思 いやりを 大 切 にする 風 土 づく りが 必 要 であること カ 自 由 に 自 分 の 意 見 を 言 える 雰 囲 気 づくりが 重 要 であること が 指 摘 されている Ⅰ-3(2)で 述 べたとおり 人 を 育 てる 余 裕 が 職 場 になくなってきている 組 織 職 場 とのつながりを 感 じにくくなってきている 仕 事 の 全 体 像 や 意 味 を 考 える 余 裕 が 職 場 になくなってきている といった 職 場 環 境 にある 企 業 は メンタルヘルス 不 調 者 が 増 加 傾 向 にある 割 合 が 高 いとのデータが 出 ていることから 道 においても 同 じ 状 況 にあることがうかがえる 現 在 の 道 職 員 の 年 齢 構 成 から 考 えると 若 手 職 員 層 が 非 常 に 少 ない 状 況 にあるが 将 来 的 には 道 行 政 の 中 核 を 担 っていく 人 材 であるから 上 司 はきちんと 仕 事 を 教 え 人 材 を 育 成 していく 必 要 がある また グループ 制 導 入 の 本 来 の 目 的 である 職 員 同 士 の 業 務 上 のサポートについても 個 人 の 担 当 業 務 のみに 固 執 した 業 務 の 執 行 体 制 が 常 態 化 しており 職 員 の 人 間 関 係 も 希 薄 な 状 態 であるから 効 果 が 十 分 に 発 揮 されていないと 考 えられる 今 後 は 職 員 の 意 識 改 革 が 必 要 であるとともに 余 裕 を 持 って 職 員 の 協 働 による 業 務 の 執 行 を 行 えるような 体 制 の 整 備 を 行 うことがメンタルヘルス 対 策 の 重 要 なポイ ントになる 視 点 5 ~ 外 部 機 関 による 支 援 を 活 用 すること メンタルヘルス 不 調 者 の 復 職 について 事 業 場 外 資 源 の 活 用 が 有 効 である メンタ ルヘルス 不 調 者 については 休 職 後 医 療 機 関 による 治 療 と 休 養 で 病 状 は 一 定 程 度 改 善 するものの それが 短 期 間 すなわち 休 職 を 認 められた 期 間 中 に 勤 務 可 能 のレベ ルにまで 達 することは 困 難 なことが 多 い 知 事 部 局 においても 取 組 により 現 在 は 一 定 程 度 改 善 されているものの 復 職 後 症 状 が 再 発 し 同 一 年 度 内 に 再 度 休 職 に 至 った 事 例 が 多 数 あったことが 報 告 されてい る 11

復 職 時 における 問 題 点 としては 主 治 医 による 職 場 復 帰 の 判 断 は 患 者 すなわち 休 職 者 側 に 偏 りがちであり もっぱら 病 状 の 消 退 又 は 回 復 のみをもって 職 場 復 帰 可 能 と の 判 断 が 行 われていることが 挙 げられる この 点 については 職 場 の 勤 務 実 態 を 熟 知 している 産 業 医 の 判 断 により 対 応 すべき であり 職 場 における 業 務 遂 行 能 力 が 回 復 しているか 否 かで 判 断 すべきである 既 に こうした 取 組 は 行 われており 短 期 間 の 再 発 は 減 少 していると 報 告 されている 1 産 業 医 の 活 用 復 職 時 における 産 業 医 の 関 与 については 一 定 程 度 なされているが 休 職 者 の 症 状 が 改 善 し 復 職 可 能 との 診 断 がなされた 場 合 であっても 元 の 業 務 と 同 程 度 の 作 業 が 可 能 か 時 間 外 勤 務 は 可 能 か( 一 部 制 限 か) 出 張 は 可 能 か 今 後 の 治 療 の 見 通 し(いつまで 服 薬 が 必 要 か)など 様 々な 観 点 からの 考 慮 が 必 要 と 考 えられるか ら 職 場 と 産 業 医 が 連 携 して 対 応 しなければならないものと 考 える 2 職 場 復 帰 支 援 先 に 述 べたとおり 仕 事 を 休 んだことにより 病 状 が 回 復 したというレベルに 比 べ 職 場 で 仕 事 ができるほどに 回 復 したというレベルの 方 がはるかに 高 い 回 復 度 合 い を 求 められることとなる 単 に 通 勤 が 可 能 などというレベルではなく 業 務 を 行 う ということは 定 められた 時 間 内 で 一 定 の 業 務 を 行 わなければならないレベルが 要 求 される 業 務 を 行 う 上 では 職 場 での 人 間 関 係 上 のストレス 職 場 外 の 人 との 人 間 関 係 上 のストレスなど 休 職 時 自 宅 療 養 時 とは 比 較 にならないほどの 身 体 的 心 理 的 ス トレスへの 対 応 力 が 必 要 となる 復 職 に 当 たっては 業 務 に 耐 え 得 る 体 力 作 業 能 力 などを 改 善 させなければなら ないが 医 療 機 関 における 医 療 行 為 だけでは これらの 改 善 を 望 むことは 困 難 であ る しかし こうした 復 職 の 準 備 のための 能 力 改 善 を 行 うことは 道 の 組 織 として 困 難 であることは 明 らかであるから 外 部 資 源 を 有 効 に 活 用 すべきであり この 中 で 特 筆 すべきものがリワークプログラム( 病 状 の 回 復 度 を 目 安 として 復 職 に 向 けた 準 備 を 行 うもの)である リワークプログラムを 行 っている 施 設 等 はまだ 少 ないものの 1 生 活 リズムを 整 えることができる 2 共 通 の 悩 みを 持 つ 仲 間 同 士 で 支 え 合 える 3 復 職 に 向 けた 準 備 が 整 う 4 相 談 できるスタッフがいる などのメリットがあるから 組 織 として は 直 接 活 用 できなくても 主 治 医 及 び 産 業 医 と 連 携 し 休 職 者 に 対 して 復 職 の 準 備 として 行 うよう 指 導 することが 効 果 を 上 げていくことも 考 えられる 12

視 点 6 ~ 人 事 部 門 と 健 康 管 理 部 門 が 付 かず 離 れず の 関 係 であること Ⅱ-1で 取 り 上 げた 先 進 的 な 取 組 が 功 を 奏 している3つの 県 に 共 通 していることは 人 事 部 門 と 健 康 管 理 部 門 の 連 携 が 取 れていることである 人 事 部 門 と 職 員 健 康 管 理 部 門 が 一 緒 になっていたら 職 員 は 相 談 しにくくなって しまう しかし 完 全 に 離 れてしまえば 職 員 厚 生 室 と 人 事 課 の 連 携 が 難 しくなり 必 要 な 情 報 共 有 がスムーズにいかなくなってしまう 恐 れがある だからこそ 今 の 職 員 厚 生 室 のような 人 事 課 内 の 独 立 した 組 織 という 付 かず 離 れず の 関 係 がやりやす い ( 愛 媛 県 ) *13 とか 人 事 管 理 を 担 当 する 職 員 課 と 健 康 管 理 を 担 当 する 福 利 厚 生 室 において 健 康 管 理 区 分 ( 病 気 休 暇 や 職 場 復 帰 など)の 情 報 の 連 動 化 や 復 職 に 向 けた 方 策 の 検 討 病 気 休 暇 制 度 の 整 備 等 を 行 うこととなりました ( 鳥 取 県 ) *14 という 指 摘 は 自 治 体 における 効 果 的 なメンタルヘルス 対 策 の 取 組 の 在 り 方 について 道 筋 を 示 しているものと 考 えられる *13 地 方 公 務 員 安 全 と 健 康 フォーラム (2007 年 10 月 )16 頁 *14 地 方 公 務 員 月 報 ( 平 成 22 年 9 月 ) 13