ヘルスケアマーケットの 概 観 と 病 院 の 鑑 定 評 価 立 地 評 価 研 究 所 大 阪 本 社 不 動 産 鑑 定 士 芳 賀 美 紀 子 0.はじめに 1. 病 院 についての 基 礎 的 事 項 2. 医 療 業 界 の 動 向 3. 医 療 機 関 に 関 する 法 制 度 の 制 約 4. 医 療 機 関 のマーケティング 5. 病 院 の 評 価 はじめに 2007 年 夏 頃 から 米 国 に 端 を 発 するサブプライムローン 問 題 が 深 刻 化 し 直 前 まで ミ ニバブル 状 態 と 表 現 されていた 日 本 経 済 も ここにきて 少 なからず 影 響 を 受 けているこ とは 疑 う 余 地 がない しかしながら ここ 数 年 来 活 発 化 してきた 日 本 における 不 動 産 投 資 や 事 業 再 生 の 動 きが 一 気 に 停 滞 し 悪 化 の 一 途 を 辿 っている という 状 況 ではないこと も 事 実 である むしろ 良 好 な 案 件 の 減 少 により 不 動 産 投 資 や 事 業 再 生 の 分 野 におけ る 新 たな 市 場 を 求 める 動 きについては 確 実 に 読 み 取 ることができ 最 後 に 残 された 不 良 債 権 分 野 としての 病 院 と 学 校 に 注 目 が 集 まっている とりわけ 病 院 については 安 定 収 益 の 割 に コスト 削 減 等 の 経 営 改 善 が 遅 れている ため 再 生 の 取 り 組 みにより 充 分 なリターンが 期 待 できる 可 能 性 が 高 いと 見 られている また 近 年 通 常 のレジデンスやオフィスでは 高 い 収 益 性 の 確 保 が 困 難 となってきたため 付 加 価 値 を 高 める 目 的 で 医 療 美 容 シニア 等 のヘルスケア 系 のテナント 導 入 施 設 が 脚 光 を 浴 びるようになってきている 同 時 に 病 院 経 営 の 視 点 からも 収 益 重 視 への 転 換 とキャッシュフロー 経 営 の 浸 透 及 び 資 産 の 流 動 化 ( 不 動 産 証 券 化 等 )によるオフバランスが 有 効 に 働 くことが 推 測 され 公 立 病 院 を 含 む 多 数 の 病 院 において 証 券 化 の 試 みやスクラップ アンド ビルド M&A が 加 速 化 していくことが 予 測 される また 地 域 の 中 核 医 療 施 設 にとっては 今 後 の 事 業 再 構 築 における 大 きな 関 心 事 のひとつが 赤 字 体 質 の 改 善 と 資 産 の 有 効 活 用 や 処 分 にあるこ ことは 想 像 に 難 くない そこで 本 稿 ではヘルスケアマーケットの 概 観 と 医 療 業 界 特 有 の 規 制 をふまえた 鑑 定 評 価 上 の 留 意 点 について 報 告 する
1. 病 院 についての 基 礎 的 事 項 病 院 経 営 は 人 命 に 関 する 公 共 性 社 会 性 が 強 い 事 業 であることから 法 律 上 行 政 上 さまざまな 制 約 がある 病 院 に 関 する 基 礎 的 事 項 は 以 下 の 通 りである (1) 病 院 の 定 義 一 般 的 に 医 療 施 設 のことを 病 院 と 呼 んでいるが 医 療 法 では 病 床 数 が 20 以 上 のものを 病 院 という 19 以 下 のものは 診 療 所 と 明 確 に 定 義 されている (2) 病 床 (ベッド)による 分 類 医 療 法 では 病 院 の 開 設 による 許 可 における 許 認 可 において 病 床 を 以 下 の 通 り 分 類 定 義 している 1 精 神 病 床 : 病 院 の 病 床 のうち 精 神 疾 患 を 有 する 者 を 入 院 させるためのものをいう 2 感 染 症 病 床 : 病 院 の 病 床 のうち 感 染 症 の 予 防 及 び 感 染 症 の 患 者 に 対 する 医 療 に 関 する 法 律 に 規 定 する 新 感 染 症 の 患 者 を 入 院 させるためのもの 3 結 核 病 床 : 病 院 の 病 床 のうち 結 核 の 患 者 を 入 院 させるためのもの 4 療 養 病 床 : 病 院 又 は 診 療 所 の 病 床 のうち 主 として 長 期 にわたり 療 養 を 必 要 とする 患 者 を 入 院 させるためのもの 5 一 般 病 床 : 病 院 の 病 床 のうち 前 各 号 に 掲 げる 病 床 以 外 のものをいう (3) 医 療 圏 と 病 床 規 制 一 次 医 療 圏 は 地 域 保 健 法 二 次 および 三 次 医 療 圏 は 医 療 法 において 以 下 の 通 り 定 めら れている 1 一 次 診 療 圏 : 健 康 管 理 予 防 一 般 的 な 疾 病 や 外 傷 等 に 対 処 して 住 民 の 日 常 生 活 に 密 着 した 医 療 保 健 福 祉 サービスを 提 供 する 区 域 を 言 い 一 般 的 には 市 町 村 がこれに 対 応 する 2 二 次 医 療 圏 : 入 院 治 療 を 主 体 とした 一 般 の 医 療 需 要 に 対 応 するために 設 定 する 区 域 であり 主 に 病 院 の 一 般 病 床 及 び 療 養 病 床 の 整 備 を 図 る 地 域 的 単 位 として 設 定 するよう 規 定 され ている 3 三 次 医 療 圏 : 一 次 医 療 圏 や 二 次 医 療 圏 で 対 応 することが 困 難 で 特 殊 な 医 療 需 要 に 対 応 し より 広
域 なサービスを 提 供 する 区 域 として 定 められており 一 般 的 にはその 都 道 府 県 全 域 を 指 す 病 床 数 は 二 次 医 療 圏 ごとに 管 理 されているため 都 道 府 県 が 作 成 した 医 療 計 画 に 基 づき 既 存 病 床 数 が 基 準 病 床 数 を 超 えた 場 合 病 床 を 増 やすことが 出 来 ない 例 えば 大 阪 府 では 府 下 4エリアの 病 床 不 足 地 域 が 生 じている 反 面 大 阪 市 内 は 大 幅 な 病 床 過 剰 地 であり 新 規 参 入 は 困 難 であることがわかる 病 床 種 別 療 養 病 床 及 び 一 般 病 床 二 次 医 療 圏 基 準 病 床 数 既 存 病 床 数 過 剰 病 床 数 豊 能 9,392 7,680-1,712 三 島 6,701 6,265-436 北 河 内 9,964 9,366-598 中 河 内 6,385 6,027-358 南 河 内 7,137 7,350 213 堺 市 7,119 9,730 2,611 泉 州 7,822 9,602 1,780 大 阪 市 22,834 35,233 12,399 計 77,354 91,253 13,899 精 神 病 床 府 内 全 域 18,901 19,786 885 結 核 病 床 府 内 全 域 1,412 2,334 922 感 染 症 病 床 府 内 全 域 78 78 0 基 準 病 床 数 はH14.10.1 現 在 出 所 : 大 阪 府 H P 2. 医 療 業 界 の 動 向 (1) 国 民 医 療 費 の 推 移 厚 生 労 働 省 発 表 の 平 成 17 年 度 国 民 医 療 費 の 概 況 によると 2005 年 度 の 国 民 医 療 費 は 33 兆 1289 億 円 であり 20 年 前 (1985 年 )の 約 16 兆 円 からみて 約 2 倍 以 上 の 規 模 となっている これを 国 民 一 人 あたりで 見 てみると 1985 年 度 に 約 132 千 円 だった 一 人 当 たりの 医 療 費 は 2005 年 度 には 約 259 千 円 と 約 1.9 倍 の 伸 びになった また 国 民 医 療 費 の 国 民 所 得 に 対 する 割 合 でみると 6.13% 程 度 だった 負 担 が 9.01%の 負 担 と 一 割 に 迫 ってきている 医 療 保 険 制 度 は 国 民 所 得 が 伸 び 続 けることを 前 提 につくられて いるため 現 在 のように 国 民 医 療 費 の 伸 び 率 が 国 民 所 得 を 大 きく 上 回 っている 現 状 は 保 険 制 度 の 前 提 が 崩 壊 していることを 示 している この 医 療 費 増 加 の 主 たる 要 因 は 急 激 な 高 齢 化 の 進 行 による 老 人 医 療 費 は 1985 年 当 時 約 4 兆 円 規 模 であったものが 2005 年 度 には 約 13 兆 円 と 一 気 に 三 倍 になっ ていることからも 老 人 医 療 費 の 拡 大 が 医 療 費 増 加 の 主 因 であることが 窺 える 自 動 車 産 業 が 約 30 兆 円 の 規 模 であることを 考 えれば 自 動 車 産 業 を 凌 ぐ 医 療 業 界 の
拡 大 は 高 齢 化 社 会 が 作 り 出 していることがわかる 国 民 医 療 費 国 民 所 得 に 対 する 割 合 国 民 医 療 費 の 推 移 350,000 300,000 国 250,000 民 医 200,000 円 ) 療 費 150,000 ( 億 100,000 50,000 10 9 8 7 対 ( 6 国 民 % 5 ) 所 4 得 比 3 2 1 年 度 0 1985 年 1992 年 1993 年 1994 年 1995 年 1996 年 1997 年 1998 年 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 0 出 所 : 平 成 17 年 度 国 民 医 療 費 の 概 況 ( 厚 生 労 働 省 ) (2) 医 療 法 人 の 経 営 実 態 1 収 支 構 造 病 院 の 収 入 は 外 来 収 入 と 入 院 収 入 が 大 半 を 占 め また 入 院 収 入 は 有 床 診 療 所 と 500 床 以 上 の 病 院 で 比 較 すると 一 人 一 日 あたり 収 入 で 約 2.5 倍 入 院 1 件 あたり 収 入 は 約 3.1 倍 の 格 差 がある これは 施 設 規 模 が 大 きくなるほど 重 傷 度 が 高 い 患 者 の 比 率 が 高 くなり ま た 日 本 の 医 療 制 度 は 重 傷 度 が 高 くなれば 医 療 費 が 高 額 になることに 起 因 している 病 院 会 計 では 固 定 費 の 占 める 割 合 が 高 いことが 特 徴 として 挙 げられる 労 働 集 約 型 産 業 で あることから 給 与 費 ( 人 件 費 )は 収 入 の 半 分 程 度 を 占 める 次 に 大 きいのが 医 薬 品 費 と 診 療 材 料 費 で 概 ね 支 出 の 15%~25% 程 度 を 占 めており 医 務 材 料 費 の 管 理 だけでも 財 務 の 安 定 性 に 影 響 する また 減 価 償 却 費 が 高 い 点 も 特 徴 のひとつで これは 病 院 が 建 物 の 固 定 資 産 が 大 きいだ けではなく 医 療 機 器 も 高 額 なことが 理 由 として 挙 げられる また 目 に 見 える 有 形 の 資 産 項 目 だけではなく 社 会 的 に 名 声 のある 医 者 や 権 威 のある 医 師 や 優 秀 なスタッフ 等 無 形 の 資 産 価 値 によっても 高 い 収 益 性 を 得 られる 反 面 医 療 ミス が 発 生 すれば 病 院 の 存 在 を 脅 かすリスクとなる 以 下 は 療 養 型 病 院 と 一 般 病 院 の 収 支 状 況 を 示 したものである
一 般 病 院 ( 療 養 病 床 60% 未 満 ) 療 養 病 院 ( 療 養 病 床 60% 以 上 ) 金 額 ( 千 円 ) 構 成 比 率 金 額 ( 千 円 ) 構 成 比 率 Ⅰ 医 業 収 入 125,223 67,211 1 入 院 収 入 84,727 67.7% 54,591 43.6% 2 特 別 の 療 養 環 境 収 入 1,547 1.2% 764 0.6% 3 外 来 収 入 36,171 28.9% 10,028 8.0% 4 その 他 の 医 業 収 入 2,778 2.2% 1,828 1.5% Ⅱ 医 業 費 用 122,133 63,960 1 給 与 費 66,500 54.4% 39,664 32.5% 2 医 薬 品 費 13,804 11.3% 4,206 3.4% 3 給 食 用 材 料 費 1,389 1.1% 1,226 1.0% 4 診 療 材 料 費 医 療 消 耗 器 具 備 品 費 9,715 8.0% 2,237 1.8% 5 委 託 費 7,070 5.8% 3,641 3.0% 6 減 価 償 却 費 5,474 4.5% 2,541 2.1% 7 設 備 関 係 費 6,908 5.7% 3,474 2.8% 8 経 費 10,279 8.4% 6,210 5.1% 9 その 他 の 医 業 費 用 994 0.8% 761 0.6% Ⅲ 医 業 収 支 差 額 (Ⅰ-Ⅱ) 3,090 3,251 Ⅳ その 他 医 療 関 連 収 入 2,316 1.8% 1,434 2.1% Ⅴ その 他 医 療 関 連 費 用 2,674 2.1% 1,415 2.1% Ⅵ 経 常 利 益 (Ⅲ+Ⅳ-Ⅴ) 2,732 2.2% 3,270 4.9% 出 所 : 医 療 経 済 実 態 調 査 ( 平 成 19 年 6 月 ) 中 央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 2 経 営 状 態 全 国 公 私 病 院 連 盟 の 平 成 19 年 度 の 報 告 書 によると 黒 字 病 院 の 割 合 は 32.6% 赤 字 病 院 の 割 合 は 72.4%と 圧 倒 的 に 赤 字 病 院 の 割 合 が 多 く この 傾 向 は 過 去 10 年 間 以 上 続 いている 赤 字 病 院 が 多 いにも 関 わらず 病 院 が 存 続 している 理 由 として PL 上 赤 字 となっていても 病 院 は 固 定 資 産 が 大 きいため 減 価 償 却 費 が 大 きく キャッシュフロー 上 は 黒 字 となっているケースが 多 いこと かつては 高 度 成 長 期 に 設 立 されたものが 多 く 取 得 簿 価 と 比 較 して 固 定 資 産 の 時 価 が 高 いことから 銀 行 の 融 資 が 受 けやすかったこと 現 在 は 現 在 金 融 機 関 によ る 医 療 法 人 の 選 別 化 が 厳 しくなっているが 医 療 機 関 は 公 共 性 社 会 性 が 高 いた め 事 業 の 清 算 が 困 難 であること 売 掛 金 である 診 療 費 用 が 社 会 保 険 で 基 本 的 に 7 割 支 給 されることから 一 般 的 な 企 業 と 比 較 して 貸 し 倒 れリスクが 低 いこと 国 都 道 府 県 など 自 治 体 を 経 営 母 体 とする 公 立 病 院 は 補 助 金 や 補 填 などが 行 われ ていたこと( 但 し 2005 年 以 降 独 立 行 政 法 人 となり 独 立 採 算 が 義 務 付 けられた) などがあげられる
黒 字 病 院 赤 字 病 院 全 国 病 院 の 収 支 状 況 平 成 10 年 27.1 72.9 平 成 11 年 31.4 68.6 平 成 12 年 35.4 64.6 平 成 13 年 3 3.9 66.1 平 成 14 年 2 1.9 78.1 平 成 15 年 27.6 72.4 平 成 16 年 31.6 68.4 平 成 17 年 32.6 67.4 平 成 18 年 27.2 72.8 平 成 19 年 27.6 72.4 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 出 所 : 平 成 19 年 病 院 経 営 分 析 調 査 報 告 一 方 で 帝 国 データバンクによる 倒 産 件 数 は 以 下 の 通 りである 破 綻 の 原 因 は 規 模 ( 病 床 数 )や 地 域 によって 異 なる 大 規 模 (200 床 以 上 ) 病 院 では 都 心 部 地 方 を 問 わず 期 中 のキャッシュフローには 強 いが 過 去 の 多 大 な 設 備 投 資 により 金 利 負 担 が 重 いため 医 業 損 益 ベースで 黒 字 でも 支 払 利 息 後 の 経 常 損 益 で 赤 字 になり 破 綻 するケースが 大 半 で ある 小 規 模 (200 床 未 満 の 場 合 ) 都 心 部 では 診 療 所 歯 科 医 院 等 の 増 加 による 競 争 激 化 から 収 入 減 を 余 儀 なくされ 経 営 が 破 綻 するケースが 地 方 では 地 域 医 療 を 担 う 立 場 から 診 療 科 目 を 絞 ることが 出 来 ず 収 入 には 問 題 がないが 人 件 費 を 中 心 としたコスト 高 に より 破 綻 するケースが 多 くなる また 倒 産 態 様 としては 事 業 規 模 の 大 きい 病 院 は 民 事 再 生 法 小 さい 診 療 所 歯 科 医 院 は 破 産 を 選 択 する 傾 向 が 高 い 業 態 別 内 訳 倒 産 態 様 医 療 機 関 の 倒 産 件 数 病 院 診 療 所 歯 科 医 院 民 事 再 生 破 産 2001 年 17 3 10 4 7 10 2002 年 29 6 13 10 6 23 2003 年 26 7 11 8 11 15 2004 年 32 6 14 12 8 24 2005 年 28 8 11 9 8 20 2006 年 30 5 16 9 5 25 2007 年 28 10 9 9 8 20 計 190 45 84 61 53 137 出 所 : 帝 国 データバンク
3. 医 療 機 関 に 関 する 法 制 度 の 制 約 病 院 は 公 営 私 営 を 問 わず 医 療 法 医 療 行 政 の 管 理 下 にあるため 通 常 の 不 動 産 と 異 なり 以 下 のような 制 約 がある (1) 医 療 計 画 による 病 床 規 制 都 道 府 県 により 基 準 となる 病 床 数 が 定 められているため 病 床 過 剰 地 域 であれば 病 床 を 増 やすことができない このため 各 医 療 機 関 では 売 上 増 加 のためには 医 療 サービ スの 質 を 上 げることで 平 均 在 院 日 数 を 短 縮 し あわせて 新 入 院 患 者 を 確 保 して 病 床 稼 働 率 を 向 上 させることが 必 要 となる 見 方 を 変 えれば 病 床 過 剰 地 域 においては 既 存 の M&A 等 によって 医 療 機 関 の 事 業 を 承 継 する 以 外 に 参 入 は 難 しいため 新 規 参 入 リスクが 少 なく 既 存 病 床 が 既 得 権 化 している (2) 医 療 法 による 非 営 利 原 則 医 療 法 人 は 剰 余 金 の 配 当 ができない 点 で 通 常 の 営 利 法 人 とは 区 分 されている 注 意 すべ き 点 は 対 外 的 活 動 によって 利 益 を 得 ることは 営 利 法 人 であっても 非 営 利 法 人 であ っても 行 うことが 出 来 るが 得 た 利 益 を( 株 主 等 の) 構 成 員 に 分 配 するか 否 かが 営 利 と 非 営 利 の 分 岐 点 となる なお 医 療 法 人 は 原 則 非 課 税 となる 公 益 法 人 等 とはされてい ない そのため 医 療 法 人 は 非 営 利 法 人 であるのにもかかわらず 法 人 税 等 の 税 制 面 では 原 則 的 に 営 利 法 人 と 同 じ 扱 いを 受 け 更 に 行 える 事 業 の 種 類 が 非 常 に 限 定 されていること から 比 較 的 近 い 目 的 を 持 つ 社 会 福 祉 法 人 に 比 べ 著 しく 不 利 であるとの 意 見 もある 以 下 は 株 式 会 社 と 医 療 法 人 の 相 違 点 をまとめたものである 医 療 法 人 株 式 会 社 意 思 決 定 機 関 社 員 総 会 株 主 総 会 業 務 執 行 機 関 理 事 会 取 締 役 会 監 査 機 関 監 事 監 査 役 業 務 範 囲 医 療 法 により 制 限 営 利 業 務 全 般 利 益 配 当 禁 止 株 主 総 会 の 承 認 を 受 けて 配 当 可 能 医 療 機 関 を 不 動 産 投 資 の 視 点 からみると 医 療 法 による 非 営 利 原 則 等 による 諸 規 制 等 により 流 動 化 への 制 約 が 大 きい 医 療 法 による 主 たる 制 約 事 項 と 具 体 的 な 影 響 をまとめ ると 以 下 の 通 りとなる
制 約 事 項 影 響 例 1. 利 益 ( 内 部 保 留 ) 処 止 1 医 療 法 人 による 第 三 者 担 保 提 供 及 び 保 証 提 供 は みなし 利 益 処 分 と 解 釈 され 契 約 は 無 効 となる 2 収 益 連 動 型 の 金 利 設 定 は 不 可 能 2 収 益 連 動 型 の 賃 料 設 定 事 務 手 数 料 が 不 可 能 つまり 余 剰 金 の 配 当 が 禁 止 されているため 賃 料 の 設 定 方 法 を 医 療 機 関 の 収 益 にスライドさせ るものは 医 療 機 関 から 賃 貸 人 に 対 する 擬 似 配 当 行 為 とみなされ 契 約 が 無 効 となることなど 一 般 の 不 動 産 と 比 較 して アップサイドの 評 価 が 見 込 め ない 4 非 営 利 目 的 であるため 医 療 法 人 側 に 収 益 に 対 する 意 識 が 希 薄 2. 病 床 は 法 人 に 帰 属 1 施 設 に 帰 属 していないため 事 業 継 続 できなく なった 病 院 は 担 保 価 値 が 著 しく 低 くなる 2デフォルト 時 の 出 口 対 策 として 事 業 譲 渡 の 選 択 肢 は 煩 雑 となる 外 部 からの 病 院 経 営 への 関 与 に 関 する 規 制 があ るため 営 利 法 人 による 医 療 法 人 の 支 配 が 認 めら れない このため 営 業 法 人 の 間 接 支 配 を 誘 導 す る 仕 組 みを 利 用 することができない 3. 医 療 法 人 資 産 要 件 医 療 法 人 の 開 設 時 自 己 資 本 比 率 は 20% 以 上 となる ( 不 動 産 資 産 の 自 己 保 有 は 除 く) 4. 医 療 法 人 の 成 立 要 件 1 理 事 は3 人 以 上 3 理 事 長 は 医 師 である 理 事 から 選 任 経 営 者 は 医 師 となる 3 病 院 等 の 管 理 者 を 理 事 に 加 える 4 常 勤 医 師 は 一 人 以 上 法 人 に 対 する 外 部 からのコントロールは 不 可 能 である 一 方 法 人 支 配 は 医 師 に 限 定 される 5.その 他 医 療 法 人 の 許 認 可 には 一 般 的 に 半 年 程 度 かかるた め 流 動 化 等 で 新 しい 医 療 法 人 を 組 成 する 場 合 迅 速 な 対 応 が 出 来 ない 結 果 として 流 動 化 案 件 は 医 療 機 能 強 化 を 目 的 とした 大 規 模 設 備 投 資 案 件 或 いは 不 良 債 権 化 した 病 院 の 再 生 ファイナンス 事 業 などが 中 心 となる
(3) 診 療 報 酬 制 度 に 基 づく 価 格 の 硬 直 性 医 療 機 関 においては 収 入 の 約 95%を 保 険 収 入 に 依 存 しており 事 業 における 殆 どのサ ービス 価 格 は 診 療 報 酬 制 度 に 基 づく 公 定 価 格 ( 診 療 報 酬 点 数 )により 決 定 される 保 険 診 療 においては 個 別 の 医 療 機 関 における 独 自 の 価 格 設 定 は 出 来 ない そのため 価 格 競 争 にも 巻 き 込 まれずに 収 益 確 保 が 可 能 である ただし 以 下 については 特 別 な 規 定 はなく 個 別 の 医 療 機 関 の 裁 量 により 設 定 可 能 であ る 1 自 費 診 療 領 域 における 価 格 設 定 検 診 人 間 ドックや 産 婦 人 科 の 分 娩 不 妊 治 療 一 部 の 歯 科 治 療 などは 保 険 医 療 で はなく 自 由 診 療 であるため 患 者 が 全 額 を 自 己 負 担 し 価 格 は 各 医 療 機 関 が 自 由 に 設 定 することができる 需 要 を 喚 起 するためにキャンペーン 価 格 を 設 定 したり 競 合 医 療 機 関 からシェアを 獲 得 するために 相 対 的 に 低 い 価 格 を 設 定 することは 可 能 である 2 特 定 療 養 費 差 額 ベッドや 高 度 先 進 医 療 といった 特 定 医 療 費 についても 自 由 診 療 と 同 様 に 各 医 療 機 関 が 自 由 に 設 定 することができる そのため 聖 路 加 国 際 病 院 ( 東 京 都 中 央 区 )の ように 病 床 の 半 分 を 個 室 化 し 差 額 室 料 を 徴 収 することも 可 能 である 4. 医 療 機 関 のマーケティング (1) 外 部 環 境 調 査 医 療 機 関 にとって 収 益 とは 延 べ 患 者 数 患 者 一 人 一 日 あたりの 収 益 で 求 められるため 収 益 計 画 の 基 礎 となる 患 者 数 の 見 積 もりは 極 めて 重 要 となる 1 商 圏 ( 診 療 圏 ) 診 療 圏 については 医 療 サービスの 性 質 や 既 存 患 者 の 来 院 状 況 などをもとに 実 際 の 距 離 や 時 間 を 考 慮 して 設 定 を 行 う 診 療 科 や 病 院 の 規 模 競 合 医 療 機 関 の 立 地 状 況 によって 診 療 圏 の 範 囲 は 異 なってくるが 一 般 的 な 目 安 として 以 下 の 通 りとなる
第 1 次 診 療 圏 第 2 次 診 療 圏 第 3 次 診 療 圏 定 義 60% 以 上 の 患 者 が 来 20% 以 上 の 患 者 が 来 1 2 次 以 外 の 地 域 か 院 すると 見 込 まれる 院 すると 見 込 まれる ら 患 者 が 来 院 すると 地 域 地 域 見 込 まれる 地 域 特 定 機 能 病 院 ( 精 神 病 院 結 核 病 20~30km 30~50km 50km 以 上 院 感 染 症 病 院 ) 地 域 中 核 病 院 10~20km 20~30km 30km 以 上 中 規 模 病 院 10km 10~20km 20km 以 上 小 規 模 病 院 5km 5~10km 10km 以 上 専 門 病 院 中 規 模 病 院 に 匹 敵 出 所 : 医 療 マーケティング(パル 出 版 ) 2 診 療 圏 における 人 口 構 造 の 把 握 診 療 圏 が 設 定 された 後 は 過 去 の 人 口 推 移 や 地 域 の 将 来 の 開 発 動 向 などから 診 療 圏 の 将 来 人 口 を 予 測 する また 年 齢 別 の 人 口 構 成 や 出 生 率 の 状 況 オフィス 街 では 昼 夜 の 人 口 に 変 動 があるため 事 業 所 統 計 等 による 就 業 者 数 の 調 査 も 行 う 3 医 療 需 要 の 把 握 診 療 圏 内 の 人 口 に 患 者 の 年 齢 構 成 別 性 別 の 受 療 率 を 掛 け 合 わせることで 疾 病 別 の 患 者 数 を 推 計 する また 患 者 流 出 入 の 状 況 や 救 急 医 療 の 状 況 を 調 査 することで 診 療 圏 において 不 足 している 機 能 や 相 対 的 に 優 れている 機 能 を 把 握 する 4 医 療 供 給 体 制 の 分 析 地 域 医 療 計 画 における 必 要 病 床 数 医 療 施 設 数 病 院 病 床 数 診 療 圏 内 医 院 の 状 況 医 療 従 事 者 の 状 況 を 把 握 する 高 機 能 の 医 療 機 関 の 場 合 は 高 度 医 療 期 間 特 殊 診 療 設 備 の 設 置 動 向 についても 把 握 する 5 競 合 医 療 機 関 に 関 する 調 査 マーケティング 上 診 療 圏 における 競 合 医 療 機 関 の 状 況 を 調 査 することは 重 要 なポイント
となる 競 合 病 院 の 診 療 体 制 特 色 などを 調 査 し 自 院 の 強 み 弱 みや 差 別 化 戦 略 について 分 析 が 可 能 となってくるからである 具 体 的 には 以 下 のような 調 査 が 必 要 となる 競 合 病 院 の 調 査 項 目 具 体 例 調 査 事 項 医 療 機 関 名 法 人 所 有 形 態 経 営 戦 略 組 織 経 営 と 組 織 所 有 の 関 係 情 報 ( 経 営 組 織 ) 開 示 事 務 管 理 体 制 グループ 会 社 など 特 に 病 院 のもつ 機 能 ( 急 性 期 療 養 予 防 医 療 など)を 把 握 す ることにより 診 療 圏 において 競 合 相 手 となるのか あるいは 相 互 補 完 関 係 が 図 れる 相 手 になるのかを 把 握 所 在 地 ターゲットとする 地 域 ( 患 者 住 民 が 多 く 存 在 する 地 域 )から の 交 通 アクセスや 時 間 距 離 を 把 握 許 可 病 床 一 般 病 床 療 養 病 床 の 数 医 療 提 携 体 制 診 療 科 病 棟 構 成 医 療 スタッフ 構 成 配 置 医 療 設 備 医 療 連 携 等 医 療 サービス 施 設 訪 問 介 護 予 防 接 種 人 間 ドックなど 付 帯 設 備 の 把 握 特 に 患 者 の 多 い 診 療 科 自 院 の 診 療 科 との 競 合 把 握 機 能 性 入 院 外 来 患 者 数 平 均 在 院 日 数 病 床 稼 働 率 等 その 他 特 色 ある 医 療 ( 東 洋 医 学 を 取 り 入 れている 等 ) 5. 病 院 の 評 価 病 院 の 評 価 にあたっては 以 下 の 方 法 が 考 えられる (1) 原 価 法 土 地 建 物 それぞれの 再 調 達 原 価 を 求 めて 全 体 の 再 調 達 原 価 を 求 め これに 減 価 の 要 因 に 基 づく 減 価 修 正 を 行 って 求 める (2) 取 引 事 例 比 較 法 同 様 の 売 買 ( 譲 渡 ) 取 引 がある 場 合 にその 取 引 価 格 を 比 較 して 対 象 病 院 の 価 格 を 求 める 病 院 の 売 買 は 一 般 に 非 公 式 であり また 個 別 性 が 高 いため 病 院 の 評 価 として 適 用 される ことはまれである (3) 収 益 価 格 病 院 は 他 のアセットと 異 なり 医 者 そのものが 集 客 力 の 源 泉 であり オペレーターの 代
替 が 困 難 であることから 土 地 建 物 の 価 値 というより 病 院 事 業 が 生 み 出 すキャッシュフ ローに 着 目 することになるため 収 益 価 格 が 主 手 法 となる 収 益 価 格 は 病 院 事 業 から 発 生 する EBITDA から 不 動 産 キャッシュフロー( 負 担 可 能 賃 料 )を 算 出 し さらに 利 回 りで 還 元 することによって 不 動 産 価 値 を 求 める 収 益 価 格 は 不 動 産 の 売 買 にあたって 最 も 重 視 される 手 法 となる 一 般 的 に 安 定 的 な 賃 料 負 担 能 力 は 一 般 的 なオペレーショナルアセットと 同 じく EBITDA の 60%~70% 程 度 が 目 安 となるが 収 支 状 態 や 病 院 形 態 によっては 70%~80% 程 度 の 負 担 も 可 能 となる 不 動 産 を 流 動 化 する 場 合 の 賃 料 設 定 の 場 合 以 下 の 点 に 留 意 が 必 要 である 1 賃 料 が 近 隣 の 類 似 物 件 と 比 較 して 著 しく 高 額 であってはならない 医 療 法 人 の 非 営 利 性 から 賃 料 が 近 隣 の 賃 料 相 場 に 比 して 著 しく 高 額 である 場 合 は 剰 余 金 禁 止 規 定 に 抵 触 す る 可 能 性 が 指 摘 されているからである 2 賃 料 は 医 療 機 関 収 入 の 一 定 割 合 というように 売 上 に 連 動 する 形 では 定 められないと されているため 定 額 である 必 要 がある このように 実 現 可 能 な 賃 料 設 定 か 否 かを 判 断 するためには 事 業 収 支 の 分 析 が 非 常 に 重 要 となるため 以 下 のような 点 に 注 意 が 必 要 となる 1 収 入 収 入 は 発 生 源 別 に 入 院 収 入 外 来 収 入 その 他 医 業 収 入 に 分 けられる 入 院 収 入 = 許 可 病 床 数 病 床 利 用 率 患 者 一 人 あたり 入 院 収 入 365 日 外 来 収 入 =1 日 当 り 外 来 患 者 数 外 来 患 者 1 人 1 日 当 り 診 療 収 入 診 療 日 数 として 計 算 される 一 般 的 な 病 院 の 収 入 源 は 保 険 収 入 とそれ 以 外 に 分 けられる 保 険 診 療 の 対 価 は 患 者 の 自 己 負 担 分 と 医 療 保 険 の 償 還 を 通 じて 行 われる 医 療 保 険 の 償 還 期 間 は 通 常 60 日 程 度 であり 他 方 病 院 が 負 担 する 医 療 材 料 費 等 の 買 掛 期 間 は 90 日 であることから 短 期 的 な 取 引 上 それほど 問 題 はなく 医 療 機 関 は 患 者 の 支 払 い 能 力 に 関 するリスクをあまり 負 担 する ことなく 現 金 回 収 が 可 能 となる 保 険 収 入 は 診 療 別 入 院 外 来 別 にわけ 患 者 一 人 1 日 あたり 診 療 単 価 と1 日 当 たり 患 者 数 について 調 査 する 保 険 外 収 入 として 差 額 ベッド 収 入 と 人 間 ドック 等 の 収 入 に 分 けら れ 単 価 水 準 は 競 合 病 院 の 料 金 設 定 状 況 や 稼 働 状 況 を 確 認 する 必 要 がある 2 費 用 医 業 費 用 は 大 別 して 人 件 費 材 料 費 一 般 経 費 に 区 分 される 人 件 費 については 医 師 看 護 師 など 有 資 格 者 が 大 半 を 占 める 上 に 労 働 集 約 型 事 業 で もあることから 人 件 費 の 占 める 割 合 は 過 半 を 占 めるため 構 造 的 な 分 析 が 必 要 となる 人 件 費 が 高 い 場 合 人 件 費 単 価 に 起 因 するのか 人 員 構 成 上 の 問 題 なのか 労 働 生 産 性 や 効 率 性 に 起 因 するのかを 把 握 する 必 要 がある
材 料 費 は 大 きく 薬 品 費 診 療 材 料 費 食 料 材 料 費 医 療 消 耗 備 品 費 にわけられる 一 般 的 に 食 事 材 料 費 以 外 は 医 業 収 入 の 一 定 割 合 で 比 較 することが 多 いため 全 国 公 私 連 盟 の 調 査 ( 下 図 参 照 )による 統 計 データ 等 と 比 較 して 適 正 かどうかを 判 断 する 一 般 経 費 については 減 価 償 却 費 を 除 けば 医 業 収 入 の 15% 程 度 が 標 準 的 と 言 われてい る 総 数 20 ~ 99 床 100~199 床 科 目 平 成 15 年 16 17 18 19 平 成 15 年 16 17 18 19 平 成 15 年 16 17 18 19 費 用 総 費 用 108.4 107.8 108.6 110.3 109.7 118.3 118.5 118.2 117.3 118.8 109.5 109.2 109.1 111.3 110.8 Ⅰ 医 業 費 用 105.2 104.5 105.3 107.1 106.5 115.1 114.6 115.5 114.8 116.1 106.4 105.9 106.3 108.5 108.0 1. 給 与 費 54.0 53.3 53.7 54.8 55.4 64.8 64.2 64.9 66.6 68.2 57.9 57.9 57.7 59.5 60.3 (1) 常 勤 職 員 給 33.8 33.4 33.3 33.8 34.2 39.1 39.0 39.2 40.1 40.3 35.8 35.8 35.6 36.4 36.7 (2) 非 常 勤 職 員 給 2.4 2.6 2.8 3.0 3.2 5.4 5.3 5.7 5.8 6.3 4.1 4.3 4.4 4.6 5.0 (3) 臨 時 給 与 費 9.7 9.1 9.0 9.0 9.0 10.8 10.3 10.2 10.0 10.5 9.8 9.4 8.9 9.1 9.1 (4) 退 職 給 付 費 用 2.5 2.5 2.3 2.5 2.5 3.0 3.0 2.6 2.9 3.2 2.5 2.5 2.2 2.6 2.6 (5) 法 定 福 利 費 5.6 5.7 6.3 6.5 6.5 6.5 6.7 7.2 7.7 7.9 5.8 5.9 6.5 6.8 6.9 2. 材 料 費 28.5 28.4 28.2 28.6 27.3 24.6 24.2 24.1 22.6 21.4 23.8 23.5 23.3 22.8 21.8 (1) 薬 品 費 18.0 17.7 17.4 17.4 16.4 18.2 17.8 17.3 16.2 15.4 15.3 15.2 14.6 14.4 13.8 (2) 診 療 材 料 費 9.3 9.5 9.7 10.0 9.6 4.9 5.0 5.3 5.1 4.8 7.2 7.0 7.2 7.0 6.6 (3) 食 事 材 料 費 0.8 0.8 0.7 0.7 0.7 1.0 1.0 0.8 0.8 0.8 0.9 0.8 0.8 0.8 0.7 (4) 医 療 消 耗 備 品 費 0.4 0.4 0.4 0.5 0.5 0.5 0.4 0.7 0.5 0.4 0.4 0.5 0.7 0.6 0.7 3. 経 費 15.1 15.4 15.8 15.9 16.1 18.0 18.3 18.9 18.5 19.5 17.1 17.0 17.6 17.9 18.1 うち 委 託 費 7.0 7.2 7.3 7.7 7.7 7.9 8.2 8.4 8.6 8.8 7.4 7.7 7.5 8.0 8.2 4. 減 価 償 却 費 6.3 6.2 6.4 6.6 6.5 5.9 6.1 5.9 5.7 5.5 6.0 6.1 6.2 6.9 6.3 5. 資 産 減 耗 損 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.4 0.4 0.2 0.1 0.1 0.2 0.1 0.2 0.2 6. 研 究 研 修 費 0.5 0.5 0.4 0.4 0.5 0.5 0.4 0.4 0.3 0.4 0.5 0.5 0.4 0.4 0.4 7. 本 部 費 分 担 金 役 員 報 酬 0.5 0.6 0.6 0.6 0.6 1.1 1.0 1.0 1.0 1.0 0.8 0.8 1.0 0.9 1.0 Ⅱ 医 業 外 費 用 2.9 2.9 2.9 2.7 2.7 2.8 3.6 2.4 2.3 2.2 2.8 2.8 2.5 2.4 2.4 うち 支 払 利 息 2.1 2.1 1.9 1.9 1.8 2.3 2.6 2.0 1.8 1.8 2.3 2.3 2.0 2.0 2.0 うち 看 護 師 養 成 費 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 Ⅲ 特 別 損 失 0.3 0.4 0.5 0.5 0.5 0.4 0.3 0.3 0.2 0.4 0.3 0.4 0.3 0.4 0.4 納 付 消 費 税 ( 別 掲 ) 0.3 0.3 0.3 0.3 0.4 0.3 0.3 0.6 1.0 0.6 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 収 益 総 収 益 101.9 102.1 102.2 102.0 102.1 102.3 103.7 103.0 103.2 102.7 102.3 102.1 102.3 102.1 102.0 Ⅰ 医 業 収 益 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 1. 入 院 収 入 65.0 64.8 64.7 64.9 65.5 51.7 52.7 54.4 53.9 55.5 61.7 61.0 61.8 61.0 62.1 2. 室 料 差 額 収 入 1.4 1.4 1.5 1.5 1.5 1.1 1.0 1.1 1.1 1.2 1.5 1.4 1.6 1.5 1.5 3. 外 来 収 入 31.4 31.5 31.4 31.0 30.4 44.4 42.4 41.0 40.6 39.4 33.8 34.5 33.6 33.8 32.9 4. 公 衆 衛 生 活 動 収 入 0.7 0.7 0.8 0.8 0.8 1.0 1.6 1.4 1.5 1.5 1.3 1.0 1.1 1.1 1.3 5. 医 療 相 談 収 入 1.1 1.3 1.2 1.3 1.4 1.2 2.3 1.8 2.4 1.9 1.3 1.5 1.4 2.0 1.6 6.その 他 の 医 業 収 入 0.4 0.3 0.4 0.5 0.5 0.6 0.0 0.4 0.6 0.6 0.5 0.5 0.5 0.6 0.6 Ⅱ 医 業 外 収 益 1.5 1.8 1.8 1.6 1.7 2.0 3.4 2.6 2.8 2.1 1.8 1.8 1.9 1.8 1.7 Ⅲ 特 別 利 益 0.4 0.3 0.4 0.4 0.4 0.3 0.3 0.4 0.4 0.6 0.5 0.3 0.4 0.4 0.3 他 会 計 負 担 金 補 助 金 等 収 入 ( 別 掲 ) 7.4 7.4 6.2 6.2 5.8 13.0 14.1 12.2 11.7 11.5 6.7 7.3 6.1 6.4 6.6 なお 病 院 の 鑑 定 評 価 で 採 用 されているキャップレートは 病 院 の 業 態 ( 急 性 期 型 か 療 養 型 か)や 規 模 事 業 収 支 によって 個 別 性 が 高 く また 経 営 データの 整 備 の 良 否 によって も 精 度 が 変 わってくるが 7%~12% 程 度 の 広 いレンジ 内 で 採 用 されることが 多 い 高 齢 化 率 が 20%をこえている 日 本 において シニア ヘルスケア 市 場 は 今 後 も 成 長 が 見 込 まれる 中 でも 病 院 は 社 会 的 な 需 要 が 高 く 市 場 規 模 が 33 兆 円 を 超 える 巨 大 産 業 でもあ るが 病 院 の 内 70% 以 上 が 赤 字 経 営 である 中 政 府 による 医 療 支 出 抑 制 政 策 や 病 床 の 削 減 等 により 病 院 を 取 り 巻 く 経 営 環 境 は 一 層 厳 しさを 増 している 一 方 で 病 院 収 入 の 大 半 を 占 める 診 療 報 酬 債 権 が 基 金 等 であるため 貸 し 倒 れリスクのな い 優 良 債 権 であり また 診 療 報 酬 体 系 は 全 国 均 一 体 系 であるため 価 格 競 争 に 巻 き 込 ま れず 収 益 確 保 が 可 能 である また 増 床 規 制 により 新 規 参 入 リスクが 低 く 急 激 な 高 齢 化
が 進 んだ 結 果 療 養 型 ( 老 人 病 院 )の 経 営 は 今 後 も 安 定 しているなどの 安 定 的 な 収 益 が 見 込 める 業 界 でもあることから 病 院 経 営 の 改 善 により 収 益 改 善 の 余 地 が 高 い 業 界 であ るともいえる 近 年 では 不 良 債 権 化 した 病 院 の 再 生 案 件 のみならず 医 療 機 能 強 化 を 目 的 とした 大 規 模 設 備 投 資 案 件 や 医 療 法 人 を 新 たに 設 立 するために 流 動 化 する 事 案 が 見 られるようになっ てきた 病 院 の 評 価 にはこのような 特 殊 性 を 踏 まえたうえで 単 純 な 病 院 経 営 の 収 支 の 分 析 に 留 まらず 診 療 圏 の 正 確 な 把 握 やそれぞれの 病 院 の 持 つ 特 性 やリスクを 把 握 し 病 院 の 適 正 価 値 を 求 めることが 重 要 となる ( 以 上 )