有 機 トランジスタとプラスチックアクチュエータを 集 積 化 した フレキシブルな 点 字 ディスプレイ 向 けの 回 路 技 術 川 口 博 1 高 宮 真 2 関 谷 毅 3 加 藤 祐 作 3 染 谷 隆 夫 3 桜 井 貴 康 4 1 神 戸 大 学 工 学 部 情 報 知 能 工 学 科 657-851 神 戸 市 灘 区 六 甲 台 町 1-1 2 東 京 大 学 大 規 模 集 積 システム 設 計 教 育 研 究 センター 153-855 東 京 都 目 黒 区 駒 場 4-6-1 3 東 京 大 学 大 学 院 工 学 系 研 究 科 量 子 相 エレクトロニクス 研 究 センター 113-8656 東 京 都 文 京 区 本 郷 7-3-1 4 東 京 大 学 国 際 産 学 共 同 研 究 センター 153-855 東 京 都 目 黒 区 駒 場 4-6-1 E-mail: mtaka@iis.u-tokyo.ac.jp あらまし 有 機 トランジスタとプラスチックアクチュエータを 集 積 化 したシステムを 提 案 し これをシート 型 の 点 字 ディスプレイに 応 用 した アクチュエータの 遷 移 時 間 の 遅 さを 隠 すため 世 界 初 の 有 機 トランジスタ を 開 発 した 5 トランジスタ セルによるセル 面 積 の 2% 削 減 書 き 込 み 動 作 のパイプライン 化 による 書 き 込 み 時 間 の 74% 短 縮 を 実 現 した また バックゲートを 用 いたしきい 電 圧 制 御 技 術 により のスタティッ クノイズマージンの 増 加 と 有 機 トランジスタの 製 造 後 15 日 間 の 化 学 劣 化 の 補 償 に 成 功 した さらに ドライバ トランジスタのオーバドライブ 技 術 により アクチュエータの 遷 移 時 間 を 34 s から 2 s に 短 縮 した これらの 回 路 技 術 により 3.1 s という 実 用 的 な 時 間 で 点 字 ディスプレイ 上 の 144 個 の 点 字 ドットすべてを 変 更 することに 成 功 した 今 回 開 発 した 回 路 技 術 は 有 機 トランジスタを 用 いた 大 面 積 エレクトロニクスを 実 現 する 上 で 必 須 の 技 術 になると 考 えられる キーワード 大 面 積 エレクトロニクス 有 機 トランジスタ アクチュエータ 点 字 Circuits Technologies for Flexible Braille Sheet Display with Organic FETs and Plastic Actuators Hiroshi KAWAGUCHI 1, Makoto TAKAMIYA 2, Tsuyoshi SEKITANI 3, Yusaku KATO 3, Takao SOMEYA 3, and Takayasu SAKURAI 4 1 Department of Computer and Systems Engineering, Kobe University, 1-1 Rokkodai, Nada-ku, Kobe 657-851, Japan 2 VLSI Design and Education Center, University of Tokyo, 4-6-1 Komaba, Meguro-ku, Tokyo 153-855, Japan 3 Quantum-Phase Electronics Center, School of Engineering, University of Tokyo, 7-3-1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8656, Japan 4 Center for Collaborative Research, University of Tokyo, 4-6-1 Komaba, Meguro-ku, Tokyo 153-855, Japan E-mail: mtaka@iis.u-tokyo.ac.jp Abstract Organic FETs () are integrated with actuators, and a Braille sheet display is demonstrated. A newly developed back-gated and the circuits technology for the Braille sheet display to enhance speed, yield and lifetime are presented, which will be essential for future large-area electronics made with. Key words Large-area electronics, Organic FET, Actuator, Braille,
1. はじめに 1 cm 角 から 1 m 角 程 度 の 大 きな 柔 らかいシートの 上 に インテリジェントな 電 子 デバイスを 分 散 して 配 置 することにより 人 間 生 活 を 快 適 にサポートする 大 面 積 エレクトロニクスという 新 しいアプリケーションに 我 々は 注 目 している 曲 げることができ 面 積 あたりの コストが 低 い 有 機 トランジスタ(OFET)は 大 面 積 エレク トロニクスに 適 している しかし 有 機 トランジスタ 単 体 の 性 能 はシリコン MOSFET と 比 べると 格 段 に 低 い 表 1 に 本 研 究 で 用 いた 有 機 トランジスタと 最 近 の 9 nm ルールのシリコン MOSFET の 特 性 比 較 を 示 す MOSFET と 比 べると 有 機 トランジスタは 設 計 ルール が 約 5 倍 単 位 ゲート 幅 当 たりの 駆 動 電 流 が 4 万 分 の 1 倍 ゲート 遅 延 が 3 万 倍 である さらに 有 機 トランジスタは 製 造 技 術 が 未 熟 であるため 大 気 中 の 酸 素 と 水 分 による 化 学 劣 化 により デバイスの 寿 命 も 数 日 程 度 と 短 い そこで 動 作 速 度 が 遅 くて 信 頼 性 の 低 い 有 機 トランジスタの 欠 点 を 補 う 大 面 積 エレクトロニクス 向 けの 回 路 技 術 が 重 要 となる 我 々はこれまでに 大 面 積 エレクトロニクスのアプリ ケーションとして 有 機 トランジスタと 圧 力 センサを 集 積 化 した 人 工 皮 膚 [1]や 有 機 トランジスタと 光 センサ を 集 積 化 したシート 型 スキャナ[2]の 開 発 を 行 ってきた 今 回 は 新 たに 有 機 トランジスタとプラスチックアク チュエータを 集 積 化 したシステムを 提 案 し これをシー ト 型 の 点 字 ディスプレイに 応 用 した 点 字 ディスプレイ のプロセス デバイス 技 術 については[3]で 述 べた 本 論 文 では 点 字 ディスプレイの 回 路 技 術 について 報 告 す る[4] アクチュエータの 遷 移 時 間 の 遅 さを 隠 すため 有 機 トランジスタで 作 成 した を 搭 載 した に 関 して 5 トランジスタセルによる 小 面 積 化 書 き 込 み 動 作 のパイプライン 化 による 高 速 化 しきい 電 圧 のバックゲート 制 御 による 高 信 頼 化 を 達 成 した さら に ドライバトランジスタのオーバドライブ 技 術 による 高 速 化 を 実 現 した 表 1 本 研 究 で 用 いた 有 機 トランジスタと 最 近 のシリコン MOSFET の 比 較 Design rule Hardness Drive current Gate delay Cost / area Cost / transistor Lifetime Si MOSFETs 5 μm 9 nm Flexible Solid 25 na / μm @ 4 V 1 ma / μm @ 1 V.3 ms 1 ps Low High High Low Days Years 4 cm 図 1 シート 型 点 字 ディスプレイ Frame Actuator driver 2 章 でシート 型 点 字 ディスプレイの 概 要 を 示 し 3 章 で 開 発 した 回 路 技 術 と 試 作 評 価 結 果 を 示 す 4 章 で 回 路 技 術 による 点 字 ディスプレイの 高 速 化 を 整 理 し 最 後 に 5 章 でまとめる 2. シート 型 点 字 ディスプレイ 図 1 に 開 発 したシート 型 点 字 ディスプレイを 示 す 6 行 4 列 の 合 計 24 個 の 点 字 が 4 cm 4 cm のディスプレ イに 表 示 される それぞれの 点 字 は 3 行 2 列 の 合 計 6 個 のドットで 構 成 されているため 点 字 ディスプレイに は 全 部 で 144 個 のドットがある 入 力 データに 応 じて これらのドットをアクチュエータにより 上 下 させるこ とにより 点 字 を 変 化 させる 図 2 に 示 すように フレ ーム アクチュエータ 有 機 トランジスタドライバ 有 機 トランジスタ の 4 つのフィルムを 積 層 するこ とにより シート 型 点 字 ディスプレイを 実 現 している 今 回 用 いたアクチュエータの 遷 移 時 間 は 約 1 秒 である 仮 にこれらのアクチュエータを 1 つずつ 順 番 に 駆 動 し た 場 合 点 字 ディスプレイ 全 体 の 表 示 を 切 り 替 えるのに D S Pentacene G G D S Back gate 図 2 シート 型 点 字 ディスプレイのデバイス 構 造 4 枚 のフ ィルムが 積 層 されている
1 分 以 上 かかり 実 用 的 ではない そこで アクチュエ ータの 遷 移 時 間 の 遅 さを 隠 すため それぞれのドットに 有 機 トランジスタで 作 成 した セルが 1 つずつ 接 続 されている 点 字 ディスプレイへの 入 力 データがすべ ての セルに 書 き 込 まれた 後 で 各 セルに 保 持 されているデータに 応 じてドライバによりすべて のアクチュエータを 一 斉 に 駆 動 する このように を 内 蔵 することにより 144 個 のドット 全 体 を 変 更 する のに 必 要 な 時 間 を 短 縮 することができる 3. 回 路 技 術 3.1. 5 トランジスタ セルと 書 き 込 み 動 作 のパイプライン 化 図 3 にプラスチックアクチュエータ 1 つとそれに 付 随 する 有 機 トランジスタ と 有 機 トランジスタドラ イバの 回 路 図 を 示 す 一 般 に 有 機 トランジスタでは nmos よりも pmos の 性 能 が 高 いので 図 3 の 回 路 は pmos のみで 構 成 されている 用 の 有 機 トラン ジスタはしきい 電 圧 (VTH)を 制 御 するためにバックゲー ト[5]を 有 している 今 回 の 点 字 ディスプレイにおいて は アクチュエータは 保 持 されたデータ(, DA- TAb)に 応 じて 動 作 し の 読 み 出 し 動 作 は 不 要 で driver Actuator WL b 49/2 W/L = 4μm/5μm 1/5 V DD BIAS V SS V ACT Braille dot 4/5 V PH BL V BGATE pmos with back gate 図 3 アクチュエータ 1 つに 付 随 する 有 機 トランジスタ とドライバの 回 路 図 Drive Tr Load Tr Back Gate 3.7 mm Load Tr 5-μm design rule Drive Tr Access Tr 図 4 5 トランジスタ セルの 顕 微 鏡 写 真 2. mm Voltage (V) 15 1 5 (a) b (b) BL = low M1 b -5-1 2 ms -15-2 -25-3 5 1 15 2 Time (ms) 4 ms (1% 9%) あるため 書 き 込 み 動 作 のみの を 採 用 した 従 って フィルム 面 積 を 節 約 するため 5 トランジスタ セルを 開 発 した 従 来 の 6 トランジスタ セルと 比 べ 5 トランジスタ セルはビット 線 の 本 数 を 半 分 に セル 面 積 を 2% 削 減 することができる 図 4 に 5 トランジスタ セルの 顕 微 鏡 写 真 を 示 す セル 面 積 は 3.7 mm 2. mm である セル 全 体 がバッ クゲートで 覆 われている 5 トランジスタ セルでは b にアクセス トランジスタがないため b の 書 き 込 み 動 作 の 遅 さが 問 題 となる 全 体 (144 セル)の 書 き 込 み 時 間 の 設 計 ターゲットは 2 秒 以 内 である 図 5 に 書 き 込 み 動 作 における と b の 実 測 波 形 を 示 す 図 5(b) に 示 す BL が low の 場 合 b の 遷 移 時 間 は 2 ms と 小 さく 設 計 ターゲットを 満 たす これに 対 して 図 5(c)に 示 す BL が high の 場 合 図 5(a)の M1 の 駆 動 電 流 が 小 さいため b の 遷 移 時 間 は 4 ms と 大 きく 設 計 ターゲットを 満 たさない しかし 書 き 込 み 動 作 を パイプライン 化 することにより のシステムレ ベルでこの 遅 い 遷 移 時 間 を 隠 すことができる 図 6 に 書 き 込 み 動 作 のパイプライン 化 のタイミングチ ャートを 示 す パイプライン 化 により 全 体 (144 セル)に 対 するトータルの 書 き 込 み 時 間 を 5.76 s ( = 4 ms 144)から 1.47 s ( = 1 ms 143 + 4 ms)に 74% 短 縮 し 設 計 ターゲットを 満 たすことができた 15-5 -1-15 -2-25 -3 Voltage (V)1 5 WL BL (c) BL = high 1 ms b (1% 5% delay) 5 1 Time (ms) 図 5 (a) 測 定 した の 回 路 図 (b)(c) 書 き 込 み 動 作 の 実 測 波 形 (b) BL が low (c) BL が high (a) w/o pipelining 4ms (b) with pipelining 4ms 4ms 1 ms 144 cells 4ms Total write-time = 5.76 s 4ms 1.47 s 4ms 74% delay reduction 図 6 書 き 込 み 動 作 のタイミングチャート (a) パイ プライン 化 なし (b) パイプライン 化 あり
3.2. バックゲートによる スタティック ノイズマージンの 制 御 有 機 トランジスタでは VTH を 正 確 に 制 御 するプロセ ス 技 術 が 未 熟 である そこで 未 熟 な VTH 制 御 プロセス 技 術 を 補 い 高 信 頼 の 動 作 を 実 現 するために バックゲートを 用 いた VTH 制 御 技 術 を 開 発 した 図 7 に pmos 有 機 トランジスタのドレイン 電 流 のゲート 電 圧 依 存 の 実 測 結 果 を 示 す バックゲート 電 圧 (VBGATE)を 変 えることにより VTH を 変 化 させることができる 図 8 に バタフライカーブの VBGATE 依 存 の 実 測 結 果 を 示 す VBGATE を 大 きくすると スタティックノイズマ ージン(SNM)が 増 加 する この VTH 制 御 技 術 により 有 機 トランジスタの 化 学 劣 化 を 補 償 することもできる 図 9 に の 中 のイン バータの 入 出 力 特 性 の 経 時 変 化 の 実 測 結 果 を 示 す 測 定 時 以 外 は 有 機 トランジスタは 窒 素 雰 囲 気 中 に 保 管 した それにも 関 わらず 化 学 劣 化 により 有 機 トランジスタの Vth が 減 少 し インバータの 入 出 力 特 性 は 右 方 向 にシ フトする 図 1 に 図 9 から 計 算 した SNM の 経 時 変 化 を 示 す 製 造 から 15 日 たつと SNM は 6.2 V から 2. V に 減 少 する つまり 経 時 変 化 により 動 作 の マージンが 減 少 してしまう しかし 15 日 後 に バッ クゲートを 用 いて 化 学 劣 化 による VTH シフトを 補 償 す ると SNM を 2. V から 初 期 状 態 に 近 い 6.4 V に 復 元 することができた さらに バックゲートを 用 いて 常 に 適 応 的 に 化 学 劣 化 を 補 償 すれば SNM を 常 に 一 定 に 保 つことができる 化 学 劣 化 は 有 機 トランジスタの 本 質 的 な 課 題 であるため 今 回 開 発 したバックゲートによる 補 償 技 術 は 有 機 トランジスタの 実 用 化 に 重 要 な 役 割 を 果 たすと 考 えられる 3.3.ドライバトランジスタのオーバドライブ 技 術 アクチュエータの 遷 移 時 間 の 設 計 ターゲットは 2 秒 以 内 である しかし アクチュエータは 1 μf という 大 きな 容 量 を 持 つため これを 高 速 に 充 放 電 するために はドライバに 大 電 流 を 流 す 必 要 がある 図 11 にアクチ ュエータ 電 圧 (VACT)とアクチュエータの 変 位 の 実 測 波 形 を 示 す VPL のステップ 電 圧 高 さ(VX)を 変 化 させた 点 字 を 指 の 触 覚 で 読 み 取 るのに 必 要 な 変 位 は.2 mm で ある また アクチュエータの 耐 圧 は 3 V である VX が 耐 圧 と 等 しい-3 V の 場 合 アクチュエータの 遷 移 時 間 は 34 s であり 設 計 ターゲットを 満 たさない そこ で 遷 移 時 間 を 短 縮 するため VPH と VPL のオーバドラ イブ 技 術 を 開 発 した VX を-3 V から-1 V に 増 加 さ せることにより 遷 移 時 間 を 34 s から 2. s へ 短 縮 し 12 8 6 4 2 Drain current (μa) 1 V GS 4V V V BGATE L = 5 μm W = 4 μm V BGATE = 5 1 15 2 25 3 35 4 V GS (V) 6V 4V 2V V 2 V 4 V 6 V 図 7 pmos 有 機 トランジスタの I D V GS 特 性 の V BGATE 依 存 の 実 測 結 果 b 4 V V 2V b, (V) 4 V BGATE V DD = V (Conv.) 35 3 25 2 15 V BGATE V DD = 4V (Proposed) 1 5 5 1 15 2 25 3 35 4, b (V) 図 8 バタフライカーブの V BGATE 依 存 の 実 測 結 果 In 2V 4 V V 4 V 4 V Out Out (V) 4 3 2 1 Chemical degradation after day 7 days 1 days 15 days 1 2 3 4 In (V) 図 9 の 中 のインバータの 入 出 力 特 性 の 経 時 変 化 の 実 測 結 果 Static noise margin (SNM) (V) 8 7 6 5 with compensation 4 3 2 w/o compensation 1 5 1 15 2 Time after fabrication (day) 図 1 SNM の 経 時 変 化 と 経 時 変 化 の 補 償
b (-2V) Driver b V ACT V PH V ACT Braille dot (V) V ACT (V) Displacement of actuator (mm) (a) Actuator V X -1 V X = 3V -2 1V 5V -3 2V -4.8 2V 1V.6 17x speeding up 5V.4.2 V X = 3V 5 1 15 2 25 3 35 4 Time (s) (b) 図 11 (a) 測 定 したドライバとアクチュエータの 回 路 図 (b) オーバドライブ 技 術 によるアクチュエータの 加 速 b 1 5 Voltage (V) Displacement of actuator (mm) -5-1.4.2 (a) VACT Braille dot is V PH Up -.2 1.6 s.74 s Down -.4 5 1 15 Time (s) 2 25 (b) 図 12 (a) 測 定 した 点 字 ディスプレイの 回 路 図 (b) 点 字 デ ィスプレイ 動 作 の 実 測 波 形 設 計 ターゲットを 満 たすことができた 但 し アクチュ エータの 過 電 圧 による 破 壊 を 防 止 するため VACT が±3 V 以 下 となるようにオーバドライブの 期 間 を 決 定 する 必 要 がある 最 後 に シート 型 点 字 ディスプレイの 動 作 を 実 証 する 図 12 に 有 機 トランジスタドライバの 電 圧 とプラスチッ クアクチュエータの 変 位 の 実 測 波 形 を 示 す 点 字 のドッ トを.2 mm 以 上 上 下 に 動 かせることを 実 証 した 開 発 した VPH と VPL のオーバドライブ 技 術 により 1.6 s のアクチュエータの 遷 移 時 間 を 達 成 し 設 計 ターゲット を 満 たすことができた 4. 開 発 した 回 路 技 術 による 点 字 ディス プレイの 高 速 化 のまとめ 図 13 に 144 個 の 点 字 ドットすべてを 変 更 するのに 必 要 な 時 間 が 開 発 した 回 路 技 術 によって 短 縮 される 過 程 を 示 す のない 初 期 設 計 では 144 個 のアクチ ュエータを 1 つずつ 順 番 に 駆 動 するので 4896 s かか る 次 に を 追 加 した 場 合 データを に Initial design is added Final design 1.47 s Sequential drive of actuators 34 s x 144 4896 s Write-time of Simultaneous drive 34 s 4 s 1/122 5.76 s Pipelining Overdrive 3.1 s 1.6 s 1/13 1/158 図 13 144 個 の 点 字 ドットすべてを 変 更 するのに 必 要 な 時 間 開 発 した 回 路 技 術 による 点 字 ディスプレイの 高 速 化 を 示 す 書 き 込 んだ 後 一 斉 に 144 個 のアクチュエータを 駆 動 す るので 4 s かかる 最 終 設 計 では 書 き 込 み 動 作 のパイプライン 化 とドライバトランジスタのオー バドライブ 技 術 により 3.1 s というシート 型 点 字 ディ スプレイにとって 実 用 的 な 時 間 を 達 成 した これは 初 期 設 計 と 比 べると 158 倍 高 速 である
5. 結 論 有 機 トランジスタとプラスチックアクチュエータを 集 積 化 したシステムを 提 案 し これをシート 型 の 点 字 デ ィスプレイに 応 用 した アクチュエータの 遷 移 時 間 の 遅 さを 隠 すため 世 界 初 の 有 機 トランジスタ を 開 発 した 5 トランジスタ セルによるセル 面 積 の 2% 削 減 書 き 込 み 動 作 のパイプライン 化 による 書 き 込 み 時 間 の 74% 短 縮 を 実 現 した また バックゲー トを 用 いたしきい 電 圧 制 御 技 術 により のスタ ティックノイズマージンの 増 加 と 有 機 トランジスタの 製 造 後 15 日 間 の 化 学 劣 化 の 補 償 に 成 功 した さらに ドライバトランジスタのオーバドライブ 技 術 により ア クチュエータの 遷 移 時 間 を 34 s から 2 s に 短 縮 した これらの 回 路 技 術 により 3.1 s という 実 用 的 な 時 間 で 点 字 ディスプレイ 上 の 144 個 の 点 字 ドットすべてを 変 更 することに 成 功 した 今 回 開 発 した 回 路 技 術 は 有 機 トランジスタを 用 いた 大 面 積 エレクトロニクスを 実 現 する 上 で 必 須 の 技 術 に なると 考 えられる 参 考 文 献 [1] T. Someya, H. Kawaguchi, and T. Sakurai, "Cut-and-paste organic FET customized ICs for application to artificial skin," ISSCC Dig. of Tech. Papers, pp. 288-289, Feb. 24. [2] H. Kawaguchi, S. Iba, Y. Kato, T. Sekitani, T. Someya, and T. Sakurai, "A sheet-type scanner based on a 3D stacked organic-transistor circuit with double word-line and dou-ble bit-line structure," ISSCC Dig. of Tech. Papers, pp. 58-581, Feb. 25. [3] Y. Kato, S. Iba, T. Sekitani, Y. Noguchi, K. Hizu, X. Wang, K. Takenoshita, Y. Takamatsu, S. Nakano, K. Fukuda, K. Nakamura, T. Yamaue, M. Doi, K. Asaka, H. Kawaguchi, M. Takamiya, T. Sakurai, and T. Someya, "A flexible, lightweight Braille sheet display with plastic actuators driven by an organic field-effect transistor active matrix," IEDM Tech. Dig., pp. 15-18, Dec. 25. [4] M. Takamiya, T. Sekitani, Y. Kato, H. Kawaguchi, T. Someya, and T. Sakurai," An Organic FET for Braille sheet display with back gate to increase static noise margin," ISSCC Dig. of Tech. Papers, pp. 276-277, Feb. 26. [5] S. Iba, T. Sekitani, Y. Kato, T. Someya, H. Kawaguchi, M. Takamiya, T. Sakurai, and, S. Takagi, "Control of thresh-old voltage of organic field-effect transistors with double gate structure," Applied Physics Letters, 87, 2359, July 25.