IEA 水 力 実 施 協 定 ANNEX 水 力 発 電 設 備 の 更 新 と 増 強 第 二 次 事 例 収 集 ( 詳 細 情 報 ) Jp.3_ 神 一 神 二 仏 原 事 例 のカテゴリーとキーポイント Main: -c) 土 木 建 築 分 野 の 技 術 革 新, 適 用 拡 大, 新 材 料 プロジェクト 名 国 地 域 プロジェクトの 実 施 機 関 プロジェクトの 実 施 期 間 更 新 と 増 強 の 誘 因 キーワード : 神 一 (じんいち) 神 二 (じんに) 仏 原 (ほとけばら)ダムラジアル ゲート 取 替 工 事 : 日 本, 富 山 県 福 井 県 : 北 陸 電 力 株 式 会 社 :009 年 ~0 年 :(A) 老 巧 化 / 故 障 頻 発 :ラジアルゲート,ゲート 取 替, 設 計 基 準, 大 規 模 地 震 要 旨 ラジアルゲートの 設 計 について, 昭 和 8 年 にトラニオン 支 承 部 の 詳 細 な 強 度 計 算 法 が 民 間 基 準 として 初 めて 規 定 されたことを 受 け, 北 陸 電 力 ( 株 )では, 昭 和 8 年 以 前 に 建 設 されたラジア ルゲートについて, 腐 食 状 況 を 把 握 しながら 机 上 での 応 力 解 析, 現 地 での 実 応 力 測 定 等 を 行 い, 安 全 性 の 確 認 を 行 ってきた この 結 果 を 踏 まえ, 神 一 ダム 神 二 ダム 仏 原 ダムの 洪 水 吐 ゲー トについて, 扉 体 開 閉 装 置 の 取 替 を 実 施 することとした ゲート 取 替 に 際 して,ゲートの 安 全 性 を 確 保 しながら,いかに 効 率 的 な 設 備 形 成 を 行 うかと いう 観 点 から, 工 事 範 囲, 設 備 諸 元, 施 工 時 期, 大 規 模 地 震 への 対 応 等 について 検 討 した ). プロジェクト 地 点 の 概 要 ( 改 修 前 ) 富 山 県 の 一 級 河 川 神 通 川 の 中 流 域 に 位 置 する 神 一 ダム 神 二 ダムのラジアルゲートは 設 置 以 来 5 年 が 経 過 し,また, 福 井 県 の 一 級 河 川 九 頭 竜 川 の 上 流 域 に 位 置 する 仏 原 ダムのラジアルゲ ートは 0 年 が 経 過 していた これらのゲートについて 安 全 性 評 価 を 行 った 結 果, 扉 体 開 閉 装 置 の 取 替 が 必 要 であると 判 断 し,009 年 月 から 既 設 ゲート 撤 去 工 事 に 着 手 し,0 年 6 月 に 工 事 を 完 了 した ダムならびにラジアルゲートの 位 置 図, 諸 元, 写 真 を 図, 表, 写 真 ~3 に 示 す N 神 通 川 富 山 県 神 二 ダム 神 一 ダム 石 川 県 九 頭 竜 川 岐 阜 県 福 井 県 図 ダム 位 置 図 仏 原 ダム
ダム ゲート 河 川 名 表 ダム,ゲートの 諸 元 神 一 ダム 神 二 ダム 仏 原 ダム 神 通 川 水 系 神 通 川 神 通 川 水 系 神 通 川 九 頭 竜 川 水 系 九 頭 竜 川 流 域 面 積.960.00km.060.00km.9km タイプ コンクリート 重 力 式 コンクリート 重 力 式 コンクリート 重 力 式 高 さ 5.00m 0.00m 8.60m 堤 頂 長 3.0m 336.766m.0m 堤 体 積 08,000m 3 07,000m 3 50,000m 3 総 貯 水 容 量,36 0 3 m 3 有 効 貯 水 容 量 3,9 0 3 m 3 タイプ ラジアルゲート ワイヤロープ 式,65 0 3 m 3 3,7 0 3 m 3 ラジアルゲート ワイヤロープ 式,00 0 3 m 3,650 0 3 m 3 ラジアルゲート ワイヤロープ 式 門 数 9 門 9 門 3 門 寸 法 幅 9.0m 高 さ.35m 幅 9.0m 高 さ.35m 幅 9.0m 高 さ.85m 扉 体 半 径 3.m 3.m.0m 上 流 より 望 む 写 真 神 一 ダム 下 流 より 望 む 上 流 より 望 む 写 真 神 二 ダム 下 流 より 望 む 上 流 より 望 む 写 真 3 仏 原 ダム 下 流 より 望 む
. プロジェクト( 更 新 / 増 強 )の 内 容. 誘 因 と 促 進 要 因 ( 具 体 的 なドライバー) 状 態 性 能 リスクの 影 響 度 等 (A)-(c),(d) 老 巧 化 / 故 障 頻 発 - 低 コスト 化 社 内 規 則 で 定 めている 洪 水 吐 ゲートの 安 全 性 評 価 指 針 に 基 づき 腐 食 状 況 調 査, 実 応 力 測 定 等 を 行 い 安 全 性 評 価 した 結 果, 応 力 値 がほぼ 維 持 管 理 基 準 に 近 づいている 状 態 に あり 取 替 を 計 画 した なお, 維 持 管 理 基 準 は,008 年 5 月 に 公 表 された 水 門 扉 等 鉄 鋼 構 造 物 の 維 持 管 理 基 準 ) を 参 考 にした 価 値 ( 機 能 )の 向 上 ( 該 当 なし) 3 市 場 における 必 要 性 ( 該 当 なし). 経 緯 当 プロジェクトの 経 緯 を 表 に 示 す 表 経 緯 項 目 神 一 ダム 神 二 ダム 仏 原 ダム 内 容 95. 全 ゲート 運 用 開 始 95. 全 ゲート 運 用 開 始 968.5 全 ゲート 運 用 開 始 007. プロジェクト 本 格 検 討 開 始 007. プロジェクト 本 格 検 討 開 始 007. プロジェクト 本 格 検 討 開 始 009.8 工 事 着 工 009.8 工 事 着 工 009.0 工 事 着 工 00.5 Ⅰ 期 (3 門 ) 工 事 完 了 00.5 Ⅰ 期 (3 門 ) 工 事 完 了 00. Ⅰ 期 ( 門 ) 工 事 完 了 00.0 Ⅱ 期 (3 門 ) 工 事 着 工 00.0 Ⅱ 期 (3 門 ) 工 事 着 工 00.0 Ⅱ 期 ( 門 ) 工 事 着 工 0.5 Ⅱ 期 工 事 完 了 0.5 Ⅱ 期 工 事 完 了 0. Ⅱ 期 工 事 完 了 0.0 Ⅲ 期 (3 門 ) 工 事 着 工 0.0 Ⅲ 期 (3 門 ) 工 事 着 工 0.0 Ⅲ 期 ( 門 ) 工 事 着 工 0.6 Ⅲ 期 工 事 完 了 0.6 Ⅲ 期 工 事 完 了 0. Ⅲ 期 工 事 完 了.3 内 容 ( 詳 細 ) -c) 土 木 建 築 分 野 の 技 術 革 新, 適 用 拡 大, 新 材 料 新 規 のゲートの 設 計 に 際 し, 常 時 荷 重 については 現 行 基 準 の 水 門 鉄 管 基 準 ( 水 門 扉 編 ) 3), ダム 堰 施 設 技 術 基 準 ( 案 )( 基 準 解 説 編 マニュアル 編 ) ) に 準 拠 した なお, 水 力 発 電 設 備 の 既 設 ラジアルゲートの 取 替 としては 全 国 で 初 めて 大 規 模 地 震 に 対 する 照 査 を 行 い, 安 全 性 を 確 認 した 照 査 に 際 しては, 大 規 模 地 震 に 対 するダムの 耐 震 性 能 照 査 指 針 ( 案 ) 同 解 説 5) を 参 考 として, 以 下 の 条 件 で 行 った () 設 計 荷 重 大 規 模 地 震 時 の 設 計 荷 重 は, 静 水 圧 荷 重, 地 震 時 動 水 圧 荷 重, 地 震 時 慣 性 力 を 見 込 むも のとした( 表 3)
表 3 ラジアルゲートの 大 規 模 地 震 時 の 設 計 荷 重 神 一 ダム 神 二 ダム 仏 原 ダム 静 水 圧 荷 重 ( 常 時 満 水 位 ) HWL8.0-EL70.5 =.5[m] HWL6.8-EL05.3 =.5[m] HWL335.0-EL30.96 =.08[m] 地 震 時 動 水 圧 荷 重 8. 0 3 kn 8. 0 3 kn.76 0 kn 地 震 時 慣 性 力 扉 体 自 重 0.9 扉 体 自 重 0.9 扉 体 自 重 0.9 静 水 圧 荷 重 は, 供 用 中 のダムにおいて 通 常 時 の 状 態 として 想 定 される 水 位 で, 地 震 が 発 生 した 場 合 にダムの 構 造 物 に 対 する 影 響 が 最 も 大 きくなる 常 時 満 水 位 の 荷 重 とした 地 震 時 動 水 圧 は, 堤 体 - 貯 水 池 連 成 系 での 次 元 線 形 時 刻 歴 地 震 応 答 解 析 を 行 い, 動 水 圧 荷 重 が 圧 縮 側 でピークとなる 時 刻 を 抽 出 した 更 に,この 時 刻 の 動 水 圧 分 布 をゲート 受 圧 面 で 積 分 し, 上 下 流 方 向 の 動 水 圧 荷 重 を 求 めた 入 力 地 震 動 は, 大 規 模 地 震 に 対 するダ ムの 耐 震 性 能 照 査 指 針 ( 案 ) 同 解 説 で 定 義 されている 照 査 用 下 限 応 答 スペクトル に 適 合 する 波 形 を 用 いた 地 震 時 慣 性 力 は, 取 替 前 のゲートの 安 全 性 評 価 に 用 いた 3 次 元 FEM 解 析 モデルを 保 有 していたため,このモデルを 利 用 し, 上 述 した 地 震 応 答 解 析 結 果 から 得 られたトラニオン ピン 位 置 の 上 下 流 方 向 応 答 加 速 度 波 形 を 用 いて 動 的 解 析 を 行 い,トラニオンピン 位 置 での 上 流 方 向 反 力 の 最 大 値 を 求 めた 本 検 討 は, 仏 原 ダムラジアルゲートについてのみ 行 い, 扉 体 自 重 に 対 する 地 震 時 動 水 圧 荷 重 の 比 率 を 求 め, 神 一 ダム 神 二 ダムでも 同 様 な 比 率 で 作 用 するものとした () 許 容 応 力 大 規 模 地 震 時 の 許 容 応 力 は, 降 伏 点 を 基 準 として 水 門 鉄 管 技 術 基 準 ( 水 門 扉 編 ) 3) 第 5 条 に 基 づき 設 定 した (3) 照 査 方 法 上 述 した 設 計 水 圧 を 用 い, 現 行 基 準 に 基 づく 設 計 計 算 結 果 と 許 容 応 力 とを 照 査 した なお, 照 査 に 際 してゲートの 状 態 は 全 閉 状 態 とした 上 記 ()~(3)に 基 づき 照 査 した 結 果, 今 回 の 場 合 は 常 時 荷 重 が 支 配 的 な 条 件 となり 部 材 形 状 を 決 定 した コストダウンと 今 後 の 維 持 管 理 に 対 して 配 慮 した 事 項 は, 以 下 のとおりである ()ゲート 形 状 の 変 更 平 面 構 造 を 門 型 から π 型 に 変 更 し, 据 付 及 び 維 持 管 理 時 等 のスペースの 配 慮 と 重 量 減 に 努 めた ( 図 ) 断 面 構 造 では, 脚 柱 を 不 静 定 構 造 である 3 本 脚 から 静 定 構 造 である 本 脚 に 変 更 し, 構 造 の 単 純 化 と 重 量 を 減 少 させ,コストダウンと 維 持 管 理 の 効 率 化 を 図 った また, 骨 組 構 造 は, 現 行 と 同 じ 縦 補 助 桁 横 主 桁 方 式 とした( 図 3)
取 替 前 ( 門 型 ) 取 替 後 (π 型 ) 取 替 前 (3 本 脚 ) 取 替 後 ( 本 脚 ) 通 路 橋 通 路 橋 図 平 面 構 造 の 比 較 図 3 断 面 構 造 の 比 較 A A () 開 閉 装 置 電 動 機 出 力 の 変 更 設 置 時 の 電 動 機 出 力 は, 機 械 効 率 の 悪 いウォーム 減 速 機 を 採 用 していたことと, 冬 期 の 潤 滑 油 の 粘 度 を 考 慮 し 余 裕 を 持 たせていたことから, 大 きな 電 動 機 出 力 となっていた 今 回, 機 械 効 率 の 良 いヘリカル 減 速 機 を 採 用 したことと, 冬 期 はヒーターにより 潤 滑 油 の 粘 度 を 一 定 に 保 つこととし, 電 動 機 出 力 を 大 幅 に 小 さくする( 神 一 ダム 神 二 ダム kw 7.5kW, 仏 原 ダム 5kW kw)ことでコストダウンを 図 った (3) 通 路 橋 の 設 置 神 一 神 二 ダムでは, 扉 体 点 検 時 には,これまで 開 閉 装 置 のスラブ 上 からタラップを 昇 降 する 必 要 があったが,トラニオンガーダ 部 と 同 じ 高 さでピアー 間 の 通 行 が 可 能 な 点 検 歩 廊 ( 幅 0.98m 長 さ 06.m)をゲート 撤 去 前 に 設 置 し, 据 付 作 業 及 び 今 後 の 維 持 管 理 作 業 時 の 安 全 性 向 上 を 図 った( 図,3, 写 真 ) 通 路 橋 写 真 通 路 橋 設 置 状 況 ( 神 二 ダム)
() 固 定 部 戸 当 りの 流 用 固 定 部 については, 現 行 基 準 ( 水 門 鉄 管 基 準 ( 水 門 扉 編 ), ダム 堰 施 設 技 術 基 準 ( 案 ) ( 基 準 解 説 編 マニュアル 編 ) )に 基 づき 強 度 上 安 全 であることを 確 認 した また,ダムコ ンクリートについては,ピアー 部 のボーリングを 行 い 採 取 したコアを 用 いて,コンクリー ト 物 性 値 を 確 認 した ( 写 真 5) コンクリート 物 性 値 について, 圧 縮 強 度 試 験, 静 弾 性 係 数 試 験, 超 音 波 伝 播 速 度 試 験 等 を 行 い, 設 計 計 算 書 で 用 いる 許 容 値 ( 建 設 時 の 許 容 値 )で 問 題 がないことを 確 認 した 戸 当 りについては, 若 干 の 腐 食 は 生 じているが, 再 塗 装 により 使 用 可 能 であると 判 断 し, 既 設 を 流 用 しコスト 低 減 に 努 めた 流 用 部 分 取 替 前 写 真 5 固 定 部 の 状 況 ( 神 一 ダム) 取 替 後 3. プロジェクトの 特 徴 3. 好 事 例 としての 要 素 ( 注 目 点 ) 大 規 模 地 震 に 対 する 対 応 コストダウン 及 び 維 持 管 理 を 考 慮 した 設 備 形 成 3. 成 功 の 理 由 ラジアルゲートの 安 全 性 評 価 の 結 果, 応 力 値 が 維 持 管 理 基 準 に 近 づいていることから, できるだけ 早 い 段 階 での 更 新 が 必 要 であった しかし, 当 ゲートは 洪 水 流 量 を 流 下 させるための 洪 水 吐 ゲートであり, 神 一 ダム 神 二 ダムは 月 ~ 月, 仏 原 ダムは 月 ~3 月 の 非 洪 水 期 に 施 工 するよう, 河 川 管 理 者 から の 指 導 があった 神 一 ダム 神 二 ダムは 過 去 30 ヵ 年 の 工 事 期 間 中 の 既 往 最 大 流 量 を 調 査 し, 施 工 中 のゲー ト 以 外 での 放 流 能 力 から, 最 大 門 を 同 時 に 施 工 し,6 ヵ 月 で 3 門 を 更 新 する 計 画 とし,3 期 で 9 門 を 更 新 した 仏 原 ダムは,3 門 の 洪 水 吐 ゲートがあるが, 門 施 工 中 に 出 水 によりゲート 放 流 が 必 要 と なった 場 合 に, 門 がトラブルで 故 障 した 場 合 でも 他 の 門 でバックアップ 放 流 が 可 能 と なるよう 配 慮 し, ヵ 月 で 門 を 更 新 する 計 画 とし,3 期 で 3 門 を 更 新 した なお, 施 工 方 法 は,ダム 水 位 を 制 限 することなく,ラジアルゲート 上 流 側 に 仮 締 切 用 の 角 落 しを 挿 入 して 施 工 した
. 他 地 点 への 適 用 にあたっての 留 意 点 () 大 規 模 地 震 に 対 する 対 応 大 規 模 地 震 に 対 する 照 査 方 法 としては, 前 述 した 設 計 荷 重 を 用 い, 現 行 基 準 に 基 づく 設 計 計 算 結 果 と 許 容 応 力 とを 照 査 したが,FEM 解 析 に 基 づく 解 析 結 果 と 比 較 することも 可 能 である 設 計 荷 重 によっては FEM 解 析 で 行 った 方 が 経 済 的 な 設 計 となる 場 合 もあり,FEM 解 析 費 用 との 得 失 を 検 討 する 必 要 がある () 脚 柱 の 垂 直 曲 げ 応 力 後 述 する 5. 事 後 評 価 において, 脚 柱 のトラス 部 材 に 作 用 する 軸 力 が, 従 来 の 設 計 では 考 慮 していなかった 脚 柱 の 曲 げモーメントを 発 生 させることが 判 明 しており,ゲートの 構 造 によってはトラス 軸 力 を 加 味 した 設 計 を 行 う 必 要 がある (3) ゲートの 維 持 管 理 基 準 当 プロジェクトでは,ゲートの 維 持 管 理 基 準 として 水 門 扉 等 鉄 鋼 構 造 物 の 維 持 管 理 基 準 を 参 考 にしたが,その 後 も 日 本 国 内 で 維 持 管 理 基 準 の 検 討 が 進 められ, ダムゲートの 応 力 照 査 に 関 わる 不 確 実 性 と 管 理 基 準 値 の 検 討 6) が 公 表 されている 5. その 他 (モニタリング 事 後 評 価 ) Ⅰ 期,Ⅱ 期,Ⅲ 期 工 事 で 施 工 したうちのそれぞれ 門 について, 扉 体 の 安 全 性 の 確 認 と 今 後 の 維 持 管 理 のための 資 料 を 取 得 する 目 的 で, 扉 体 の 安 全 照 査 を 行 った 7) 安 全 性 照 査 として, 応 力 評 価, 振 動 評 価, 座 屈 評 価 を 行 い,いずれも 基 準 内 にあり 安 全 で あると 評 価 した 以 下 にそれぞれの 評 価 の 概 要 を 述 べる () 応 力 評 価 応 力 評 価 では, 静 的 及 び 動 的 応 力 測 定 を 行 い, 許 容 応 力 と 照 査 を 行 った また, 応 力 測 定 結 果 からトラニオンピンの 摩 擦 係 数 を 推 定 し, 設 計 値 との 照 査 を 行 った 静 的 応 力 は, 主 桁,スキンプレート, 脚 柱 間 トラスの 主 要 部 材 を 対 象 とし,ひずみゲージ を 貼 付 けて 静 水 圧 を 作 用 させ 測 定 を 行 った ( 図,5) 動 的 応 力 は, 主 桁, 脚 柱, 脚 柱 間 トラスに 発 生 する 応 力 変 化 とトラニオンピンの 摩 擦 係 数 を 推 定 するための 位 置 を 選 定 し,ひずみゲージを 貼 付 けてゲート 開 操 作 時 の 実 放 流 時 の 応 力 増 分 を 測 定 した ( 図 6,7) 凡 例 : 測 定 断 面 : 単 軸 ゲ-ジ :3 軸 ゲ-ジ : 水 圧 計 A A,A3,A T T D B~' 3 ML~MR MLW,MRW B ( 図 -3) 5 3 A,A3,B,B3 B',B3',B 3 A,A,B,B 3 D T,T 図 主 桁 の 静 的 応 力 測 定 位 置 図 図 5 脚 柱 脚 柱 間 トラスの 静 的 応 力 測 定 位 置 図
ML A A MC T MC ML,MR B B3 B MR 図 6 主 桁 の 動 的 応 力 位 置 図 7 脚 柱 の 動 的 応 力 測 定 位 置 図 測 定 した 結 果, 静 的 応 力, 動 的 応 力 のいずれの 応 力 も 許 容 応 力 を 下 回 っており, 安 全 上 問 題 がないことを 確 認 した また,トラニオンピンの 摩 擦 係 数 は, 最 大 で 0.6 と 設 計 値 の 0. を 満 足 したものの, 取 替 直 後 の 値 としては, 比 較 的 大 きな 値 となった これは, 冬 期 の 最 も 過 酷 な 低 温 条 件 下 で 測 定 を 行 っており,グリースの 固 化 の 影 響 等 によるものと 考 えられ, 今 後 の 運 転 においてもト ラニオン 軸 受 への 給 油 を 確 実 に 行 えば 安 全 であると 評 価 した () 振 動 評 価 動 的 応 力 測 定 に 合 せ, 加 速 度 計 を 設 置 し 放 流 に 伴 うゲートの 振 動 測 定 を 行 い,ペトリカッ ト 図 表 により 評 価 した 測 定 位 置 は 下 段 主 桁 中 央 部 で 3 方 向 ( 水 流 方 向, 左 右 方 向, 鉛 直 方 向 ), 最 下 端 補 助 桁 中 央 部 で 方 向 ( 鉛 直 方 向 )とした いずれの 測 定 位 置 でも,ペトリカット 図 表 では, 非 常 に 静 かな 領 域 で 構 造 物 に 影 響 を 及 ぼす 下 限 以 下 の 範 囲 であり, 安 全 であると 評 価 した( 図 8) 000 片 振 幅 :V( 鉛 直 方 向 ) 非 常 に 不 安 定 な 領 域 不 安 定 な 領 域 00 やや 不 安 定 な 領 域 大 体 安 定 な 領 域 振 動 変 位 (μm) 0 静 かな 領 域 非 常 に 静 かな 領 域 構 造 物 に 影 響 を 及 ぼす 下 限 0. 0 00 000 振 動 数 (Hz) 図 8 開 度 3 cm 放 流 ( 測 定 点 : 最 下 段 補 助 横 桁 ) 時 のペトリカット 図 表 による 振 動 評 価 神 通 川 第 一 号 ゲ-ト 開 度 3cm 放 流 ( 測 定 点 V~V3: 下 段 主 桁,V: 最 下 段 補 助 横 桁 )
(3) 座 屈 評 価 軸 方 向 力 と 曲 げモーメントを 同 時 に 受 ける 部 材 の 設 計 においては, 軸 方 向 力 と 曲 げモーメ ントの 組 み 合 わせに 対 して 座 屈 に 対 する 安 定 の 照 査 3),) を 行 う 必 要 があり, 脚 柱 を 対 象 と して 応 力 測 定 結 果 に 基 づき 照 査 を 行 った 照 査 する 式 としては, 全 体 座 屈 と 局 部 座 屈 の 式 があるが, 本 ケースでは 全 体 座 屈 の 式 の 方 が 危 険 側 の 値 となることから 全 体 座 屈 について 以 下 に 述 べる 全 体 座 屈 は() 式 で 表 され 左 辺 が 以 下 であれば 安 全 であるという 判 定 になる ここに, - σt σ ta + σbcy σ bagy + σbcz σ bao () σt: 照 査 する 断 面 に 作 用 する 軸 方 向 力 による 引 張 応 力 度 (N/mm ) σta: 許 容 軸 方 向 引 張 応 力 度 (N/mm ) σbcy,σbcz:それぞれ 強 軸 及 び 弱 軸 まわりに 作 用 する 曲 げモーメントによる 曲 げ 圧 縮 応 力 度 (N/mm ) σbagy: 局 部 座 位 を 考 慮 しない 強 軸 まわりの 許 容 曲 げ 圧 縮 応 力 度 (N/mm ) σbao: 局 部 座 位 を 考 慮 しない 許 容 曲 げ 圧 縮 応 力 度 の 上 限 値 (N/mm ) 照 査 に 際 して,トラニオンピンの 摩 擦 係 数 は 実 測 値 が 0.6 であったが, 今 後 のトラニオ ンピン 摩 擦 係 数 の 増 加 を 見 込 み, 設 計 値 の 0. を 用 いて 行 った その 結 果,() 式 左 辺 が 0.98 となり, 設 計 計 算 値 の 0.835 を 超 えたが, 以 下 を 満 足 しており, 安 全 であると 評 価 した 設 計 計 算 値 の 0.835 を 超 えた 原 因 は, 脚 柱 の 垂 直 曲 げ 応 力 が 大 きいことが 主 要 因 とし て 挙 げられるが, 製 作 施 工 上 の 誤 差 による 応 力 増 分 も 含 まれている 6. 参 考 情 報 6- 参 考 文 献 ) 和 泉 満 ; 白 石 徳 光 ; 大 坂 和 弘.ダム 洪 水 吐 ゲート 取 替 工 事 の 設 計 施 工 概 要 - 神 一 ダム. 神 二 ダム. 仏 原 ダムラジアルゲート 取 替 -. 電 力 土 木.No.39.00.9. ) 水 門 扉 等 鉄 鋼 構 造 物 の 維 持 管 理 基 準 に 関 する 検 討 会 の 成 果 報 告. 水 門 鉄 管.No.3. 008.6. 3) 水 門 鉄 管 技 術 基 準 ( 水 門 扉 編 ).( 社 ) 水 門 鉄 管 協 会.007.9. ) ダム 堰 施 設 技 術 基 準 ( 案 )( 基 準 解 説 編 マニュアル 編 ).( 社 )ダム 堰 施 設 技 術 協 会. 999.3. 5) 大 規 模 地 震 に 対 するダム 耐 震 性 能 調 査 指 針 ( 案 ) 同 解 説. 国 土 交 通 省.006.3. 6) 塩 竈 裕 三.ダムゲートの 応 力 照 査 に 関 わる 不 確 実 性 と 管 理 基 準 値 の 検 討. 電 力 中 央 研 究 所 報 告,0, 総 合 報 告 No.. 7) 和 泉 満 ; 白 石 徳 光 ; 神 藤 拓 也.ラジアルゲート 取 替 後 の 安 全 性 照 査 と 設 計 手 法 への 考 察 - 神 一 ダム 神 二 ダム 仏 原 ダムラジアルゲート 取 替 -. 電 力 土 木.No.363.03.. 6- 問 合 せ 先 会 社 名 : 北 陸 電 力 株 式 会 社 URL: http://www.rikuden.co.jp/