みずほインサイト 政 策 2014 年 3 月 6 日 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 者 が 増 加 懸 念 される 将 来 の 低 年 金 者 の 増 加 政 策 調 査 部 上 席 主 任 研 究 員 堀 江 奈 保 子 03-3591-1308 naoko.horie@mizuho-ri.co.jp 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 者 の 増 加 が 続 いており 2012 年 度 の 免 除 者 数 ( 一 部 免 除 も 含 む)は635 万 人 免 除 者 割 合 は34.6%と 過 去 最 高 となった 免 除 者 の 増 加 は 免 除 制 度 の 種 類 が 増 えた 影 響 や 免 除 申 請 の 勧 奨 を 進 めた 影 響 もあるが 平 均 所 得 の 低 い 非 正 規 雇 用 者 が 増 加 したことも 一 因 である 免 除 者 の 増 加 は 将 来 の 低 年 金 者 の 増 加 につながる 免 除 者 割 合 が 高 い 非 正 規 雇 用 者 のキャリア 形 成 の 推 進 や 厚 生 年 金 の 適 用 拡 大 等 により 免 除 者 の 増 加 に 歯 止 めを 掛 ける 施 策 が 必 要 である 1. 増 加 する 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 者 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 者 が 年 々 増 加 しており 国 民 年 金 の 第 1 号 被 保 険 者 1 に 占 める 保 険 料 免 除 者 の 割 合 ( 以 下 免 除 者 割 合 )が 高 まっている 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 については 法 定 免 除 と 申 請 免 除 がある 法 定 免 除 は 障 害 基 礎 年 金 の 受 給 者 生 活 保 護 法 の 生 活 扶 助 受 給 者 等 が 該 当 し 被 保 険 者 の 届 出 により 保 険 料 の 納 付 が 免 除 さ れる 一 方 申 請 免 除 は 被 保 険 者 からの 申 請 に 基 づいて 保 険 料 の 納 付 を 免 除 するものである その 種 類 は 学 生 以 外 が 対 象 となる 申 請 免 除 が 所 得 に 応 じて4 段 階 学 生 が 対 象 になる 学 生 納 付 特 例 制 度 30 歳 未 満 が 対 象 となる 若 年 者 納 付 猶 予 制 度 がある 免 除 の 種 類 別 の 所 得 基 準 は 図 表 1の 通 りである 2 このうち 若 年 者 納 付 猶 予 制 度 については 2016 年 7 月 より 対 象 者 を50 歳 未 満 に 拡 大 する 改 革 案 を 含 む 年 金 改 正 法 案 が2014 年 通 常 国 会 に 提 出 されている 3 1996 年 度 以 降 の 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 者 数 の 推 移 をみると 概 ね 増 加 傾 向 が 続 いているが 2002 年 度 に 免 除 者 数 が 大 幅 に 減 少 している これは 免 除 基 準 を 明 確 化 4 したことが 影 響 している このた め 2001 年 度 に 申 請 全 額 免 除 者 だった 者 のうち 2002 年 度 に 納 付 対 象 となった 者 が 多 く 国 民 年 金 保 険 料 の 納 付 率 ( 現 年 度 分 )も 2001 年 度 の70.9%から2002 年 度 の62.8%へ 大 幅 に 低 下 した 2005 年 度 以 降 の 免 除 者 数 は 再 び 2001 年 度 の 水 準 を 超 え 2008 年 度 以 降 は 増 加 を 続 けており 2012 年 度 は 過 去 最 高 の635 万 人 となった 2012 年 度 の 免 除 者 の 内 訳 をみると 法 定 免 除 者 数 が134 万 人 申 請 全 額 免 除 者 数 が239 万 人 一 部 免 除 者 数 が48 万 人 学 生 納 付 特 例 者 数 が172 万 人 若 年 者 納 付 猶 予 者 数 が42 万 人 である( 図 表 2) 1
申 請 免 除 申 請 免 除 ( 学 生 以 外 ) 学 生 納 付 特 例 制 度 若 年 者 納 付 猶 予 制 度 法 定 免 除 世 帯 構 成 図 表 1 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 の 種 類 と 所 得 基 準 本 人 世 帯 主 配 偶 者 の 所 得 に 応 じて 免 除 を 行 う 年 齢 制 限 なし 老 齢 年 金 給 付 の 際 に 国 庫 負 担 分 の 年 金 が 受 けられる 本 人 の 所 得 のみに 応 じて 納 付 を 猶 予 する 老 齢 年 金 給 付 への 反 映 なし 本 人 配 偶 者 の 所 得 に 応 じて 納 付 を 猶 予 する 30 歳 未 満 限 定 老 齢 年 金 給 付 への 反 映 なし 2005 年 7 月 から2025 年 6 月 までの 時 限 措 置 障 害 基 礎 年 金 の 受 給 者 生 活 保 護 法 による 生 活 扶 助 を 受 ける 者 等 老 齢 年 金 給 付 の 際 に 国 庫 負 担 分 の 年 金 が 受 けられる 所 得 基 準 下 記 A 以 下 全 額 免 除 B 以 下 4 分 の3 免 除 C 以 下 半 額 免 除 D 以 下 4 分 の1 免 除 C 以 下 A 以 下 2013 年 度 の 所 得 基 準 ( 目 安 ) 基 準 A B C D 4 人 世 帯 ( 夫 婦 + 子 2 人 ) 162 万 円 230 万 円 282 万 円 335 万 円 2 人 世 帯 ( 夫 婦 のみ) 92 万 円 142 万 円 195 万 円 247 万 円 単 身 世 帯 57 万 円 93 万 円 141 万 円 189 万 円 ( 注 ) 所 得 基 準 は 目 安 であり 所 得 控 除 額 により 変 動 する 所 得 額 だけではなく 天 災 や 失 業 による 特 例 免 除 がある ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 ( 万 人 ) 1200 1000 800 600 400 200 0 図 表 2 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 者 数 と 免 除 者 割 合 の 推 移 34.6 32.9 免 除 者 割 合 ( 右 目 盛 ) 31.3 27.4 28.0 28.5 29.1 29.8 23.7 24.0 21.2 21.6 22.9 25 19.9 635 18.6 19.7 592 595 614 17.6 584 571 573 582 34 37 37 37 37 38 39 42 524 20 505 477 500 135 148 176 53 56 54 52 47 44 46 154 168 173 170 166 165 163 166 169 172 443 435 400 15 48 334 359 248 271 310 350 38 41 10 34 274 277 144 165 176 216 207 202 204 215 221 230 239 5 87 87 90 93 96 99 103 106 109 113 114 113 114 120 126 131 134 0 法 定 免 除 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 ( 年 度 ) 40 35 30 若 年 納 付 猶 予 学 生 納 付 特 例 一 部 免 除 申 請 全 額 免 除 ( 注 )1.2000 年 度 に 学 生 納 付 特 例 制 度 を 導 入 2002 年 度 は 免 除 基 準 の 明 確 化 と 半 額 免 除 制 度 の 導 入 ( 図 表 の 一 部 免 除 に 該 当 )により 申 請 全 額 免 除 者 が 大 幅 に 減 少 した 2.2005 年 7 月 に 若 年 者 納 付 猶 予 制 度 を 導 入 2006 年 7 月 に4 分 の3 免 除 と4 分 の1 免 除 制 度 を 導 入 ( 図 表 の 一 部 免 除 に 該 当 ) 3. 免 除 者 数 は 任 意 加 入 被 保 険 者 を 除 く 免 除 者 割 合 は 国 民 年 金 第 1 号 被 保 険 者 に 占 める 全 ての 免 除 者 の 割 合 ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 厚 生 年 金 保 険 国 民 年 金 事 業 の 概 況 各 年 版 ほか 2
一 方 免 除 者 割 合 の 推 移 をみると 2002 年 度 には19.7%に 落 ち 込 んだが その 後 は 毎 年 上 昇 してお り 2012 年 度 には34.6%となった( 図 表 2) 2. 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 者 が 増 加 した 背 景 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 者 の 増 加 は 免 除 制 度 の 種 類 が 増 えたことや 低 所 得 の 保 険 料 未 納 者 に 対 し て 免 除 申 請 の 勧 奨 を 進 めた 影 響 もあるとみられるが 所 得 の 低 い 第 1 号 被 保 険 者 が 増 加 したこともその 一 因 である 第 1 号 被 保 険 者 の 平 均 所 得 は 減 少 傾 向 が 続 いており 1996 年 の145 万 円 から2011 年 には 108 万 円 となった 男 女 別 には 特 に 男 性 の 平 均 所 得 の 減 少 が 著 しく 1996 年 の227 万 円 から2011 年 の150 万 円 まで 落 ち 込 んだ( 図 表 3) 第 1 号 被 保 険 者 の 平 均 所 得 の 減 少 は 就 業 状 況 別 にみて 平 均 所 得 が 高 い 自 営 業 主 の 割 合 が 低 下 し 平 均 所 得 が 低 い 臨 時 パート と 無 職 の 割 合 が 高 まったことに よる( 図 表 4) 第 1 号 被 保 険 者 の 就 業 状 況 は もともと 自 営 業 者 世 帯 ( 自 営 業 主 と 家 族 従 業 者 )が その 代 名 詞 であったが 特 に 臨 時 パート の 割 合 拡 大 が 顕 著 であり 2011 年 時 点 で 図 表 3 国 民 年 金 第 1 号 被 保 険 者 の 平 均 所 得 の 推 移 ( 万 円 ) 250 227 215 197 200 182 185 145 150 142 150 136 133 126 男 性 108 総 数 100 74 75 80 68 69 65 女 性 50 0 96 99 2002 2005 2008 2011 ( 年 調 査 ) ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 国 民 年 金 被 保 険 者 実 態 調 査 2011 年 調 査 ほか 図 表 4 国 民 年 金 第 1 号 被 保 険 者 の 就 業 状 況 別 割 合 の 変 化 (1996 年 2011 年 ) 2011 年 平 均 所 得 自 営 業 主 家 族 従 業 者 常 用 雇 用 臨 時 パート 無 職 不 詳 249 万 円 130 万 円 200 万 円 59 万 円 36 万 円 ( 年 調 査 ) 総 1996 数 2011 14.4 24.9 7.8 7.7 14.4 11.1 28.3 13.8 38.9 31.4 4.2 3.1 男 性 1996 2011 23.7 42.9 5.3 10.9 7.0 21.9 15.1 7.2 34.8 22.7 5.1 3.4 女 性 1996 2011 6.3 9.5 9.9 20.8 4.9 7.7 33.8 19.5 39.0 42.4 3.5 2.8 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 国 民 年 金 被 保 険 者 実 態 調 査 1996 年 調 査 2011 年 調 査 3
は 自 営 業 者 世 帯 の 割 合 (22.2%)を 上 回 り 28.3%まで 拡 大 した( 図 表 4) これは 非 正 規 雇 用 者 が 雇 用 者 全 体 の3 分 の1を 超 えたこと 等 に 伴 い 厚 生 年 金 の 適 用 要 件 に 該 当 しない 働 き 方 をする 短 時 間 労 働 者 等 が 増 加 し 第 1 号 被 保 険 者 となる 被 用 者 が 増 加 したことによる 5 平 均 所 得 が 低 い 臨 時 パート や 無 職 の 全 額 免 除 者 比 率 は 高 く 2011 年 調 査 をみると 自 営 業 主 家 族 従 業 者 常 用 雇 用 の 全 額 免 除 者 比 率 は 一 桁 台 であるのに 対 し 臨 時 パー ト は28.7% 無 職 は35.7%に 上 る( 図 表 5) 3. 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 者 の 増 加 は 将 来 の 低 年 金 者 の 増 加 へ 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 者 に 対 する 年 金 給 付 額 は 免 除 期 間 に 応 じて 満 額 の 老 齢 基 礎 年 金 (2014 年 度 は 月 額 6.4 万 円 )から 減 額 されるため 免 除 者 の 増 加 は 将 来 の 低 年 金 者 の 増 加 につながる 保 険 料 免 除 期 間 については 年 金 の 受 給 資 格 期 間 25 年 6 に 算 入 されるほか 免 除 期 間 中 に 怪 我 や 病 気 で 障 害 や 死 亡 といった 不 慮 の 事 態 が 発 生 し 一 定 の 条 件 を 満 たした 場 合 に 障 害 基 礎 年 金 や 遺 族 基 礎 年 金 を 受 け 取 ることができる しかし 全 額 免 除 期 間 に 係 る 給 付 は 国 庫 負 担 分 に 対 応 した 部 分 に 限 定 され 満 額 の2 分 の1のみの 給 付 となる また 一 部 免 除 期 間 に 係 る 給 付 は 国 庫 負 担 分 と 保 険 料 の 免 除 割 合 に 応 じた 給 付 となり 4 分 の1 免 除 は 満 額 の8 分 の7 半 額 免 除 は 同 4 分 の3 4 分 の3 免 除 は 同 8 分 の 5の 給 付 となる 仮 に 20 歳 から60 歳 になるまで40 年 間 保 険 料 の 納 付 状 況 が 全 て 同 じであった 場 合 の 将 来 の 年 金 月 額 ( 老 齢 基 礎 年 金 )は 保 険 料 の 全 額 納 付 で6.4 万 円 (2014 年 度 価 格 以 下 同 様 ) 半 額 免 除 で4.8 万 円 全 額 免 除 で3.2 万 円 等 となる( 図 表 6) なお 学 生 納 付 特 例 期 間 や 若 年 者 納 付 猶 予 期 間 については 他 の 免 除 と 異 なり 該 当 期 間 に 対 する 年 金 の 給 付 は 受 けられない 保 険 料 の 免 除 者 ( 学 生 納 付 特 例 者 若 年 者 納 付 猶 予 者 を 含 む)は 免 除 後 10 年 以 内 であれば 免 除 を 受 けた 期 間 に 係 る 保 険 料 を 後 から 納 付 ( 追 納 )することができる 追 納 すれば その 期 間 は 保 険 料 納 付 済 期 間 となり 将 来 保 険 料 を 全 納 した 場 合 と 同 じ 年 金 額 を 受 給 することができる 40 図 表 5 就 業 状 況 別 の 全 額 免 除 者 比 率 35.7 30 28.7 14.7 学 生 納 付 特 例 者 20 10 0 7.8 5.6 7.7 7.3 5.3 5.4 自 家 常 営 族 用 業 従 雇 主 業 用 者 1.5 12.0 2.9 13.8 臨 時 パ ー ト 3.1 17.9 無 職 若 年 者 納 付 猶 予 者 申 請 全 額 免 除 者 ( 注 ) 申 請 免 除 のみ ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 国 民 年 金 被 保 険 者 実 態 調 査 2011 年 調 査 4
しかし 保 険 料 の 追 納 については その 意 思 がある 免 除 者 の 割 合 は 高 くない 厚 生 労 働 省 の 調 査 に よると 保 険 料 の 免 除 期 間 がある 第 1 号 被 保 険 者 のうち 全 部 追 納 の 意 思 がある 者 の 割 合 は20.0%にと どまる 一 方 で 一 部 のみ 追 納 の 意 思 がある 者 の 割 合 は25.0% 追 納 する 意 思 がない 者 の 割 合 は27.5% に 上 る 保 険 料 の 納 付 状 況 別 にみると 学 生 納 付 特 例 者 は 全 部 追 納 の 意 思 がある 者 の 割 合 が35.1%と 高 いが 申 請 全 額 免 除 者 では 同 10.8%にとどまっている( 図 表 7) 学 生 納 付 特 例 者 は 全 部 追 納 の 意 思 がある 者 が 多 い 上 仮 に 追 納 しなくても 多 くの 学 生 は 卒 業 後 に 就 職 して 厚 生 年 金 の 被 保 険 者 となり 厚 生 年 金 保 険 料 を 納 付 することが 見 込 まれるため 学 生 納 付 特 例 者 が 増 加 しても 将 来 の 低 年 金 の 懸 念 は 限 定 的 である 一 方 で 学 生 納 付 特 例 者 以 外 の 免 除 者 の 増 加 は 所 得 状 況 が 改 善 しない 限 り 免 除 を 続 けることになる 上 追 納 の 意 思 がある 者 も 少 なく 将 来 の 低 年 金 につながる 可 能 性 が 高 い 図 表 6 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 制 度 別 の 年 金 額 (2014 年 度 価 格 ) 保 険 料 納 付 状 況 全 額 納 付 1/4 免 除 半 額 免 除 3/4 免 除 全 額 免 除 老 齢 基 礎 年 金 月 額 6.4 万 円 5.6 万 円 4.8 万 円 4.0 万 円 3.2 万 円 ( 注 ) 同 じ 保 険 料 納 付 状 況 で40 年 間 加 入 した 場 合 の 年 金 月 額 ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 資 料 よりみずほ 総 合 研 究 所 作 成 図 表 7 保 険 料 納 付 状 況 別 の 追 納 に 対 する 意 識 全 部 追 納 一 部 追 納 追 納 せず その 他 不 詳 全 体 20.0 25.0 27.5 27.4 納 付 者 25.0 24.1 28.1 22.7 滞 納 者 14.3 29.7 25.3 30.8 申 請 全 額 免 除 者 10.8 26.2 29.0 33.9 学 生 納 付 特 例 者 35.1 15.7 29.1 20.0 若 年 者 納 付 猶 予 者 20.9 30.9 23.6 24.5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 ( 注 )1. 国 民 年 金 保 険 料 を 免 除 ( 法 定 免 除 申 請 全 額 免 除 学 生 納 付 特 例 若 年 者 納 付 猶 予 )された 期 間 がある 第 1 号 被 保 険 者 の 追 納 に 対 する 意 識 調 査 2. 全 部 追 納 は 全 部 追 納 したい 又 は 全 部 追 納 する 予 定 である と すでに 全 部 追 納 した の 合 計 3. 一 部 追 納 は 一 部 だけでも 追 納 したい 又 は 一 部 だけでも 追 納 する 予 定 である と 一 部 追 納 したが さらに 追 納 したい と 一 部 追 納 したが 残 りは 追 納 するつもりはない の 合 計 4. 追 納 せず は 追 納 するつもりはない 5. その 他 不 詳 は その 他 特 にない と 不 詳 の 合 計 6. 四 捨 五 入 の 関 係 で 合 計 は 100%にならない ( 資 料 ) 厚 生 労 働 省 国 民 年 金 被 保 険 者 実 態 調 査 2011 年 5
4. 保 険 料 免 除 者 の 増 加 に 歯 止 めを 掛 ける 対 策 が 必 要 国 民 年 金 に 関 しては これまで 保 険 料 の 納 付 率 が 約 6 割 と 低 いことが 注 目 されてきた このため 厚 生 労 働 省 は 国 民 年 金 保 険 料 の 強 制 徴 収 の 取 り 組 みを 強 化 しているほか 所 得 情 報 等 から 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 基 準 に 該 当 する 可 能 性 が 高 いと 判 定 できる 場 合 に 被 保 険 者 本 人 の 意 思 を 簡 便 な 方 法 で 確 認 できる 仕 組 みを 導 入 し 免 除 の 適 用 を 促 進 することで 未 納 者 を 減 少 させる 方 針 である 国 民 年 金 保 険 料 の 未 納 者 は 未 納 期 間 については 将 来 の 老 齢 基 礎 年 金 が 支 給 されないとともに 障 害 基 礎 年 金 や 遺 族 基 礎 年 金 も 受 給 できない したがって 将 来 の 無 年 金 等 を 防 止 するためにも 保 険 料 の 負 担 能 力 がない 低 所 得 者 に 対 しては 免 除 申 請 の 運 用 を 改 善 し 確 実 に 免 除 制 度 や 猶 予 制 度 を 適 用 する 必 要 がある しかし 免 除 者 を 増 やすことで 未 納 者 が 減 少 しても 年 金 制 度 全 体 では 保 険 料 収 入 への 影 響 は 限 定 的 である 上 無 年 金 者 が 減 少 する 代 わりに 低 年 金 者 の 増 加 につながる 今 後 は 免 除 者 の 増 加 に 歯 止 めを 掛 けるための 取 り 組 みが 課 題 となる そのための 取 り 組 みとしては まず 雇 用 所 得 環 境 の 改 善 が 必 要 である 前 述 の 通 り 国 民 年 金 の 第 1 号 被 保 険 者 のうち 免 除 者 比 率 が 高 い 就 業 状 況 は 臨 時 パート と 無 職 である このう ち 臨 時 パート を 含 む 非 正 規 雇 用 者 については 雇 用 が 不 安 定 賃 金 が 低 い 職 業 能 力 開 発 の 機 会 が 乏 しいといった 課 題 が 指 摘 されている また 職 業 能 力 開 発 の 機 会 が 乏 しいこと 等 が 影 響 し 非 正 規 雇 用 の 平 均 賃 金 水 準 は 年 齢 が 上 がってもほとんど 増 えない 上 雇 用 が 不 安 定 であるため 離 職 リスクも 高 く 無 職 にもなりやすい 特 に 若 年 者 については 新 規 学 卒 後 の 最 初 の 雇 用 が 非 正 規 雇 用 であると その 後 も 非 正 規 雇 用 が 継 続 する 傾 向 が 確 認 されている 7 したがって まず 若 年 者 が 安 定 的 な 雇 用 に 就 き キャリア 形 成 が できるよう 新 規 学 卒 者 を 含 む 若 年 者 の 就 職 支 援 を 充 実 させることが 必 要 である また 2016 年 7 月 からは 前 述 の 通 り 若 年 者 納 付 猶 予 制 度 の 対 象 者 が30 歳 未 満 から50 歳 未 満 へ 拡 大 される 見 通 しであるが 若 年 者 納 付 猶 予 期 間 はその 期 間 に 応 じて 将 来 の 年 金 額 が 減 額 される 対 象 者 を 拡 大 するだけでは 将 来 の 低 年 金 者 を 増 加 させる 懸 念 が 残 り 根 本 的 な 解 決 にはならない 本 来 は 該 当 者 の 所 得 状 況 を 改 善 し 納 付 猶 予 からの 脱 出 を 目 指 した 雇 用 対 策 が 必 要 である 非 正 規 雇 用 を 継 続 し 職 業 能 力 開 発 の 機 会 が 乏 しかった 中 高 年 の 非 正 規 雇 用 者 に 対 しては 低 所 得 の 非 正 規 雇 用 の 固 定 化 から 脱 却 するため 職 業 能 力 開 発 の 機 会 を 提 供 するとともに より 安 定 した 雇 用 形 態 への 転 換 を 促 進 し キャリア 形 成 していくことができるよう 支 援 していくことが 課 題 である 企 業 が 非 正 規 雇 用 を 活 用 する 理 由 としては 賃 金 の 節 約 や 仕 事 の 繁 閑 に 対 応 するためといった 理 由 を 挙 げる 企 業 が 多 いが 一 定 の 短 時 間 労 働 者 を 雇 用 すれば 企 業 に 社 会 保 険 料 負 担 が 生 じないため 社 会 保 険 料 負 担 の 軽 減 など 賃 金 以 外 の 労 務 コストの 節 約 のために 非 正 規 雇 用 を 活 用 する 企 業 も 多 い 8 働 き 方 に 中 立 な 年 金 制 度 とするためにも 厚 生 年 金 の 適 用 範 囲 を 拡 大 する 必 要 があろう なお 2016 年 10 月 から 厚 生 年 金 の 適 用 範 囲 を 拡 大 することが 予 定 されており 新 たに 約 25 万 人 の 短 時 間 労 働 者 が 厚 生 年 金 に 加 入 する 見 通 しである 短 時 間 労 働 者 が 国 民 年 金 の 第 1 号 被 保 険 者 から 同 第 2 号 被 保 険 者 ( 厚 生 年 金 の 被 保 険 者 )になれば 保 険 料 は 労 使 折 半 となることから 概 ね 年 収 214 万 円 以 下 9 であれば 被 6
保 険 者 本 人 の 保 険 料 負 担 は 軽 減 される これまで 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 対 象 となっていた 者 も 厚 生 年 金 の 被 保 険 者 となることで 保 険 料 を 納 付 しやすくなる 上 将 来 は 基 礎 年 金 に 上 乗 せして 厚 生 年 金 も 受 給 できる 現 行 の 適 用 基 準 は 週 所 定 労 働 時 間 が 一 般 の 従 業 員 の 概 ね4 分 の3 以 上 であるが 新 たな 適 用 基 準 は 週 所 定 労 働 時 間 20 時 間 以 上 月 額 賃 金 8.8 万 円 以 上 ( 年 収 106 万 円 以 上 ) 勤 務 期 間 1 年 以 上 学 生 は 適 用 除 外 従 業 員 501 人 以 上 の 企 業 10 が 対 象 となり 適 用 拡 大 後 3 年 以 内 に 検 討 を 加 え その 結 果 に 基 づき 必 要 な 措 置 を 講 じることとされている 厚 生 労 働 省 によると 週 所 定 労 働 時 間 が 20 時 間 以 上 30 時 間 未 満 の 短 時 間 労 働 者 は 約 400 万 人 おり 更 なる 厚 生 年 金 の 適 用 拡 大 の 余 地 は 大 きい 極 端 に 労 働 時 間 が 短 い 労 働 者 は 厚 生 年 金 の 適 用 除 外 はやむを 得 ないが 少 なくとも 勤 務 先 の 従 業 員 数 により 厚 生 年 金 の 適 用 有 無 の 違 いが 出 る 制 度 は 見 直 す 必 要 があろう 1 日 本 在 住 の 20 歳 以 上 60 歳 未 満 の 者 は 全 て 国 民 年 金 に 加 入 する 国 民 年 金 では 加 入 者 を 3 種 類 に 分 けており 20 歳 以 上 60 歳 未 満 の 自 営 業 者 農 業 者 とその 家 族 学 生 無 職 の 人 等 が 第 1 号 被 保 険 者 である 保 険 料 は 定 額 で 2013 年 度 は 月 額 15,040 円 2014 年 度 は 同 15,250 円 である 厚 生 年 金 共 済 年 金 加 入 者 が 国 民 年 金 の 第 2 号 被 保 険 者 第 2 号 被 保 険 者 に 扶 養 され る 配 偶 者 が 第 3 号 被 保 険 者 である 2 学 生 納 付 特 例 と 若 年 者 納 付 猶 予 は 正 確 には 免 除 ではなく 保 険 料 納 付 の 猶 予 であるが 対 象 期 間 は 保 険 料 を 納 付 する 必 要 はないことから 本 稿 では 免 除 者 とする 3 政 府 管 掌 年 金 事 業 等 の 運 営 の 改 善 のための 国 民 年 金 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 2014 年 2 月 14 日 国 会 提 出 4 特 例 免 除 の 要 件 の 見 直 しが 実 施 された 2002 年 3 月 以 前 は 天 災 失 業 その 他 の 理 由 により 保 険 料 の 拠 出 が 困 難 と 認 め られる 場 合 ( 所 得 稼 得 能 力 生 活 程 度 等 を 考 慮 ) は 前 年 所 得 の 多 寡 にかかわらず 保 険 料 を 免 除 されていたが 2002 年 4 月 以 後 は 特 例 的 に 免 除 とする 事 由 が 天 災 失 業 等 に 限 定 された 5 被 用 者 であっても 厚 生 年 金 の 適 用 事 業 所 以 外 ( 従 業 員 4 人 以 下 の 個 人 事 務 所 等 )で 働 いている 場 合 や 適 用 事 業 所 で 働 い ていても 所 定 労 働 時 間 が 一 般 の 労 働 者 の 概 ね 4 分 の 3 未 満 の 短 時 間 労 働 者 等 は 厚 生 年 金 の 被 保 険 者 とはならず 第 1 号 被 保 険 者 または 第 3 号 被 保 険 者 となる 6 年 金 を 受 給 するためは 保 険 料 納 付 済 期 間 や 加 入 者 であった 期 間 等 の 合 計 が 一 定 期 間 以 上 必 要 であり これを 受 給 資 格 期 間 という 現 行 制 度 では 25 年 (300 カ 月 )だが 2015 年 10 月 から 10 年 (120 カ 月 )に 短 縮 することが 予 定 されている 7 厚 生 労 働 省 若 年 者 雇 用 実 態 調 査 (2009 年 )によると 在 学 していない 若 年 労 働 者 の 最 終 学 校 卒 業 から 1 年 間 の 状 況 と 現 在 の 就 業 形 態 をみると 正 社 員 として 就 職 した 若 年 労 働 者 のうち 現 在 正 社 員 は 81.3% 現 在 正 社 員 以 外 は 18.7%で あるのに 対 し 正 社 員 以 外 の 労 働 者 として 就 職 した 若 年 労 働 者 のうち 現 在 正 社 員 は 35.3% 現 在 正 社 員 以 外 は 64.7% となっている 8 厚 生 労 働 省 就 業 形 態 の 多 様 化 に 関 する 総 合 実 体 調 査 (2010 年 )によると 正 社 員 以 外 の 労 働 者 を 活 用 する 理 由 ( 事 業 所 割 合 複 数 回 答 )は 賃 金 の 節 約 のため 43.8% 仕 事 の 繁 閑 に 対 応 するため 33.9% 賃 金 以 外 の 労 務 コスト 節 約 のため 27.4%が 上 位 3 回 答 である 9 2014 年 4 月 現 在 の 保 険 料 負 担 で 計 算 した 場 合 10 現 行 の 適 用 基 準 で 適 用 となる 被 保 険 者 数 で 算 定 当 レポートは 情 報 提 供 のみを 目 的 として 作 成 されたものであり 商 品 の 勧 誘 を 目 的 としたものではありません 本 資 料 は 当 社 が 信 頼 できると 判 断 した 各 種 データに 基 づき 作 成 されておりますが その 正 確 性 確 実 性 を 保 証 するものではありません また 本 資 料 に 記 載 された 内 容 は 予 告 なしに 変 更 されることもあります 7