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研 究 ノート 英 語 圏 サブサハラ アフリカ 4 か 国 の 中 等 教 育 段 階 における 数 学 教 科 書 分 析 Analysis of Mathematics Textbooks for the Secondary Level in Sub-Saharan African English-Speaking Four Countries Nagisa Nakawa and Jun Kawaguchi 要 約 南 東 部 アフリカ 諸 国 の 4 か 国 の 中 等 教 育 における 数 学 の 教 科 書 分 析 を 行 い,その 指 導 の 意 図 や 特 徴 を とらえることが 本 稿 の 目 的 である. 各 国 の 中 等 教 育 段 階 における 数 学 教 科 書 の 包 括 的 な 分 析 と, 第 9 学 年 の 代 数 に 関 わる 単 元 の 学 習 指 導 の 内 実 の 分 析 を 行 った. 結 果,ウガンダの 教 科 書 では 生 徒 たちが 数 学 的 な 活 動 や 思 考 を 行 う 項 目 が 他 国 の 教 科 書 よりも 多 く 含 まれていたものの, 概 して 3 か 国 の 教 科 書 では 概 念 や 定 義 の 説 明, 例, が 繰 り 返 されることが 判 明 した. 代 数 単 元 の 分 析 では 内 容 が 数 学 的 知 識 や 技 能 の 獲 得 に 重 点 がおかれ, 数 学 的 知 識 や 技 能 を 問 うだけの 多 くの 問 題 が 配 置 されていた. 知 識 や 技 能 を 習 得 することは 数 学 教 育 の 目 的 の 一 つの 重 要 な 側 面 であるが,このような 積 み 込 み 式 の 学 習 指 導 では,カリキュラムで 目 標 とされる 生 徒 たちが 疑 問 を 持 ったり 数 学 的 な 活 動 を 行 ったりすることは 難 しい.この 意 味 でこれらの 教 科 書 は 改 善 の 余 地 があると 結 論 づけた. キーワード 数 学 教 育 開 発, 英 語 圏 サブサハラ アフリカ 諸 国,カリキュラム 開 発, 教 科 書 分 析 1.はじめに 日 本 の 中 等 教 育 段 階 における 数 学 は 知 識 偏 重 だと 言 われており 批 判 も 多 い.そのため 日 本 では 数 学 的 活 動 を 行 う 課 題 学 習 が 必 須 となり, 高 等 学 校 の 数 学 授 業 を 変 えるという 転 換 点 にたたされている( 佐 藤,2012). 岩 崎 (2009)は 同 様 に 日 本 の 中 等 教 育 段 階 における 数 学 教 育 の 充 実 を 指 摘 している.これらが 示 すように 学 校 教 育 の 中 等 教 育 段 階 における 数 学 教 育 の 質 の 向 上 や 改 革 は, 先 進 国, 開 発 途 上 国 問 わず 求 められている. 本 稿 で 話 題 とする 経 済 発 展 で 注 目 されるアフリカ 諸 国 において, 産 業 発 展 のための 人 材 育 成 は 急 務 で あり, 科 学 技 術 の 向 上 にも 関 わる 数 学 教 育 の 質 の 向 上 は 国 をあげた 課 題 とされる( 国 際 協 力 機 構,2010). ただし 学 習 達 成 度 の 低 さ,それに 関 連 する 教 師 の 力 量 の 向 上 は 古 くて 新 しい 難 題 である.アフリカ 諸 国 の 教 師 たちの 指 導 は チョークアンドトーク 教 師 中 心 講 義 中 心 などと 揶 揄 され,それらの 教 授 法 の 変 更 が 求 められている. アフリカ 諸 国 の 教 室 では 教 科 書 を 使 った 学 習 指 導 が 概 して 行 われる.すべての 学 校 に 教 材 が 豊 富 にあ るわけではないため, 教 科 書 は 学 習 指 導 において 最 もよく 使 われる 身 近 な 重 要 な 教 育 リソースであろう. - 229 -

英 語 圏 サブサハラ アフリカ 4 か 国 の 中 等 教 育 段 階 における 数 学 教 科 書 分 析 つまり 教 科 書 の 内 実 をみることにより, 各 国 が 抱 える 教 授 の 課 題 に 接 近 することができるかもしれない. そこで 本 稿 の 目 的 は, 第 一 に 英 語 圏 のサハラ 以 南 のアフリカ 諸 国 の 4 か 国,ウガンダ 共 和 国,ケニア 共 和 国,ザンビア 共 和 国,ルワンダ 共 和 国 ( 以 下 よりそれぞれウガンダ,ケニア,ザンビア,ルワンダ)の 中 等 教 育 段 階 の 数 学 の 教 科 書 を 分 析 することで, 教 科 書 が 示 す 指 導 の 特 徴 の 一 端 を 明 らかにすることで ある. 教 科 書 は 各 国 のカリキュラムやシラバスに 準 じて 内 容 が 構 成, 発 行 されるため, 安 易 に 数 学 教 育 の 質 の 優 劣 を 比 較 することはできない. 本 稿 はそのような 意 味 の 比 較 ではなく, 各 国 の 特 徴 や 特 質, 共 通 点 を 抽 出 し,これらの 国 々が 抱 える 根 本 的 な 課 題 点 を 掘 り 下 げる. 一 方 で 教 師 たちは 教 科 書 で 提 示 さ れた 内 容 と 相 違 なく 教 えていることはなく, 授 業 は 多 様 であることは 言 うまでもない. 本 稿 ではそれら の 限 界 を 意 識 しつつ,あくまでもカリキュラムや 教 科 書 に 分 析 の 対 象 を 限 定 して 論 じる. 2. 各 国 の 教 育 制 度 とカリキュラム ウガンダの 教 育 制 度 は 初 等 教 育 7 年, 前 期 中 等 教 育 4 年, 後 期 中 等 教 育 2 年, 高 等 教 育 3 年 である. ケニアは 2030 年 までに 中 所 得 国 になることを 目 指 している.ケニアでは 国 際 協 力 機 構 (JICA: Japan International Cooperation Agency)の 理 数 科 教 育 に 関 するプロジェクトが 長 年 行 われ, 他 国 からの 研 修 員 を 受 け 入 れている 実 績 がある. 初 等 教 育 8 年, 中 等 教 育 4 年, 高 等 教 育 4 年 である.ザンビアでもケ ニア 同 様 2030 年 までに 中 所 得 国 になることを 目 指 して 教 育 開 発 に 注 力 している. 教 育 制 度 は 初 等 教 育 7 年, 中 等 教 育 5 年 (うち 前 期 中 等 教 育 2 年, 後 期 中 等 教 育 3 年 ), 高 等 教 育 4 年 である.ルワンダの 教 育 制 度 は 初 等 教 育 6 年, 前 期 中 等 教 育 3 年, 後 期 中 等 教 育 3 年, 高 等 教 育 4 年 である.これら 4 か 国 で 共 通 していることは 国 際 協 力 機 構 による 技 術 教 育 協 力 プロジェクトが 実 施 されたことがあり, 数 学 教 育 に 注 力 する 方 向 に 向 いている 点 である. 次 に 各 国 のシラバスやカリキュラム, 先 行 研 究 の 記 述 から, 数 学 学 習 において 重 要 とされている 目 標 について 概 観 する.ウガンダの 数 学 教 育 においては 生 徒 たちが 論 理 的 思 考 力 とそれを 育 む 態 度 を 育 てる こと, 日 常 生 活 に 関 連 した 数 学 を 解 釈 し 分 析 すること, 基 本 的 な 数 学 的 概 念 を 理 解 することなどが 目 標 として 掲 げられる(National Curriculum Development Centre, 2008).ケニアでは 生 徒 たちの 数 学 に 対 する 興 味 関 心, 数 学 的 な 考 え 方 を 育 てることを 強 調 している (Kanja, et al., 2001).そのほかにも 数 学 の 基 本 的 概 念 の 習 得 が 求 められている.ザンビアにおいては 生 徒 たちが 数 学 学 習 を 通 して 創 造 性 や 問 題 解 決 能 力 を 高 めること, 子 どもたちが 持 っている 数 学 的 な 能 力 を 高 め, 他 分 野 において 数 学 を 活 用 す ることができること, 身 の 回 りの 環 境 をよりよく 理 解 するために 数 学 的 な 概 念 を 理 解 すること, 子 ども たちを 取 り 巻 く 特 有 の 社 会 文 化 においても 数 学 への 評 価 や 前 向 きな 姿 勢 を 育 てることが 目 標 とされ ている(Curriculum Development Centre, 1983).ルワンダでは 数 学 における 基 本 的 な 概 念 である 記 号 を 正 確 に 使 用 すること, 日 常 生 活 で 出 会 う 問 題 を 解 決 するとき,もしくは 他 の 科 目 を 学 習 するときに 数 学 の 学 習 において 得 た 知 識 を 応 用 することが 重 要 な 目 的 として 設 定 される(Ministry of Education, 2006).これらのことから 各 国 の 数 学 教 育 では 数 学 の 基 本 的 事 項 や 能 力, 技 能 を 高 めることが, 文 言 や - 230 -

表 現 が 多 少 違 っていても 共 通 の 目 的 として 設 定 されているといえる. 他 方 で, 問 題 解 決 能 力, 興 味 関 心, 日 常 生 活 や 他 教 科 のつながりへの 意 識 といった 知 識 や 技 能 の 習 得 以 外 の 能 力 や 態 度 の 育 成 も 意 図 し ている 国 があることを 確 認 した. 3. 関 連 先 行 研 究 馬 場 (2010)はザンビアの 第 1 9 学 年 の 数 学 をカリキュラムと 教 科 書 の 両 側 面 から 構 造 を 観 点 として 分 析 した.その 結 果, 単 元 の 関 連 性 が 低 く, 図 形 や 統 計 の 分 量 の 少 なさ, 問 題 設 定 の 際 の 文 脈 の 無 さなど が 特 徴 として 提 出 された.そして, 今 後 のカリキュラム 開 発 についての 課 題 として 行 政 政 策 面, 授 業, 専 門 性 の 蓄 積 といった 課 題 が 示 された.Nakawa(2012)ではザンビアの 初 等 教 育 段 階 におけるシラバス と 教 科 書 の 関 連 性 が 言 及 された. 教 科 書 は 数 学 的 知 識 と 技 能 を 高 めるための 問 題 をより 多 く 設 定 し ており,シラバスで 大 切 だとされているコミュニケーションや 問 題 解 決 能 力 のための 場 面 は 少 なく, 両 者 の 内 容 には 乖 離 があることを Nakawa(2012)は 指 摘 した.ほかにケニアの 初 等 数 学 教 科 書 の 表 現 形 式 に 焦 点 を 当 てることにより, 学 習 活 動 の 質 的 分 析 を 実 施 した 松 永 (2009)によれば, 計 算 問 題 が 多 くあり, 立 式 に 至 るまでの 過 程 を 重 視 していない 学 習 活 動 が 散 見 された. 一 方 でケニアの 数 学 カリキュラムでは 数 学 を 現 実 と 結 び 付 け, 現 実 において 数 学 を 活 用 することが 求 められていることから,カリキュラムと 教 科 書 の 内 容 の 齟 齬 があるとの 指 摘 がある ( 松 永,2009). 他 にも Kanja, et al. (2001)によれば, 生 徒 た ちの 興 味 関 心 を 高 めることが 目 標 としてあっても, 教 師 たちは 試 験 の 影 響 や 指 導 する 分 量 が 過 多 であ ることから 現 実 的 でない ととらえていることが 把 握 された. 先 行 研 究 よりケニアやザンビアの 数 学 教 科 書 はカリキュラムやシラバスの 記 述 とギャップがあることや, 数 学 の 計 算 やその 答 えが 重 視 されて いる 特 徴 があると 考 えられる. 4. 分 析 (1) 分 析 対 象 と 方 法 分 析 にはウガンダの 前 期 中 等 教 育 の 4 冊,ケニアの 中 等 教 育 の 4 冊,ザンビアの 中 等 教 育 の 5 册,ル ワンダは 前 期 中 等 教 育 の 3 冊 を 用 いて, 第 9 学 年 に 相 当 する 学 年 を 中 心 的 に 見 ていく.これらの 教 科 書 は 各 国 で 主 要 に 使 われているもので 表 1 に 示 した.ウガンダの 第 9 学 年 は 前 期 中 等 教 育 の 2 年 目 にあた り O-2 と 呼 ばれている.ケニアでは 中 等 教 育 の 最 初 の 学 年 で フォーム1 にあたる.ザンビアで は 第 9 学 年 は 前 期 中 等 教 育 の 最 終 年 にあたる.ルワンダでは 第 9 学 年 は 前 期 中 等 教 育 の 最 終 年 にあたる. このように 第 9 学 年 の 呼 称 は 各 国 で 異 なるが, 便 宜 上 この 表 現 に 統 一 する. まず 各 国 の 数 学 教 科 書 の 特 徴 を 析 出 するため, 全 体 的 な 特 徴 として 教 科 書 の 全 内 容 を 一 覧 にまとめ, 数 学 的 内 容 と 構 成 を 整 理 した. 次 に 第 9 学 年 教 科 書 で 扱 われる 代 数 単 元 に 着 目 し, 内 容 と 構 成 を 確 認 した. - 231 -

英 語 圏 サブサハラ アフリカ 4 か 国 の 中 等 教 育 段 階 における 数 学 教 科 書 分 析 (2) 中 等 教 育 における 教 科 書 の 包 括 的 分 析 (i) 中 等 教 育 における 基 本 構 造 と 内 容 表 1 は 数 学 の 教 科 書 の 総 頁 数 と 単 元 数 を 整 理 したものである. 各 国 の 教 科 書 のページ 数 は 250 頁 前 後 から 多 いもので 400 頁 近 くに 及 ぶ. 年 間 を 通 じて 学 習 単 元 は 多 いように 見 受 けられる. 教 科 書 では 数 学 の 各 領 域 に 分 かれておらず, 各 単 元 が 教 科 書 の 各 章 において 示 される. 教 科 書 はフルカラーではなく, 白 黒 もしくは 黒 と 赤 や 青 の 2 色 刷 りである. 国 によっては 数 学 の 内 容 が 単 元 で 示 されるのみとどまっており,また 単 元 名 はそれぞれで 独 特 なため, 次 に 数 と 計 算, 図 形 と 計 量, 統 計 といった 数 学 の 領 域 や 内 容 に 大 きく 分 類 して, 傾 向 を 見 ることにした( 表 2). 表 1: 各 国 の 中 等 教 育 段 階 における 数 学 教 科 書 情 報 ページ 数 や 単 元 数 国 名 中 等 教 育 の 学 年 8 9 10 11 9 10 11 12 8 9 10 11 12 7 8 9 教 科 書 会 社 名 ウガンダ ケニア ザンビア 教 育 制 度 7 4 8 4 7 5 MK Publisher (Rwanda) Kenya Literature Bureau (KLB) Macmillan Zambia ルワンダ 6 3 3 Fountain Publisher (Rwanda) School Secondary Macmillan Secondary MK Junior 教 科 書 Mathematics for Mathematics Mathematics for Secondary Uganda Students Book Zambia Mathematics ページ 数 348 339 372 256 270 328 353 283 389 266 389 372 345 289 304 306 単 元 数 21 17 16 10 23 20 15 10 16 21 15 16 9 16 20 13 ( 各 国 の 数 学 教 科 書 より 筆 者 作 成 ) 表 2: 各 国 の 中 等 教 育 段 階 の 数 学 教 科 書 の 領 域 に 含 まれる 単 元 数 ( 各 国 の 数 学 教 科 書 より 筆 者 作 成 ) 表 2 の 表 中 の 数 は 単 元 の 個 数 を 指 している 表 2 から 第 一 に 各 国 ではウガンダ,ザンビア,ルワンダ に 見 られるように 前 期 中 等 教 育 で 未 だ 集 合 を 学 習 していることがわかる.その 内 容 は 過 去 の 初 等 段 階 に おいて 学 んだ 内 容,たとえば 集 合 の 定 義,ベン 図, 集 合 の 要 素 といった 基 本 的 事 項 も 含 まれており, 内 容 は 下 の 学 年 と 多 くが 重 複 している.このことから 集 合 は 学 年 が 上 がっても 基 本 的 内 容 を 繰 り 返 して 学 - 232 -

習 する 内 容 構 成 であるといえる. 第 二 に 数 と 式 の 学 習 が 他 の 領 域 と 比 較 して 多 く 設 定 されており, その 傾 向 は 中 等 教 育 の 前 期 において 顕 著 である.この 領 域 における 内 容 は 主 に 正 負 の 数, 分 数, 小 数, 実 数, 無 理 数 といった 数 の 学 習 と, 式 の 展 開, 因 数 分 解, 代 入, 方 程 式, 不 等 式, 日 常 生 活 と 関 連 した 計 算 問 題 や 文 章 問 題 などがある. 数 と 式 に 次 いで 図 形 と 計 量 の 単 元 数 も 多 い. 図 形 と 計 量 に 含 まれる 内 容 は 中 等 教 育 段 階 前 半 では 平 面 図 形, 立 体 図 形, 面 積, 体 積, 速 さなどで, 後 半 になると 三 角 比, 合 同 と 相 似 などが 導 入 される.その 他 ベクトル, 行 列, 確 率 などはルワンダ 以 外 の 3 国 の 中 等 教 育 段 階 後 期 で 学 習 される.これは 表 2 に 示 すようにルワンダの 学 年 が 9 学 年 までしかないためであろう. 微 分 に 関 しては 基 本 の 内 容 がザンビアの 第 12 学 年 にあるのみで, 他 には 見 られなかった. (ii) 学 習 の 流 れ 次 に 各 国 の 教 科 書 の 構 成 や 構 造 ( 表 3)から, 各 国 の 類 似 点 と 相 違 点 を 指 摘 する.まず 教 科 書 の 学 習 指 導 の 流 れが 次 の 点 で 類 似 している.4 か 国 ともに 数 学 的 な 概 念, 定 義, 用 語 の 説 明 が 最 初 になされ,その 後 その 概 念 を 用 いた 問 題, 類 似 問 題 が として 示 される.この 構 成 が 繰 り 返 されるため, 基 本 的 には 概 念 や 定 義 の 説 明, 例, の 形 式 が 教 科 書 の 大 部 分 を 占 めている. 表 3: 各 国 の 教 科 書 の 章 の 構 成 国 ウガンダ ケニア ザンビア ルワンダ 章 の 冒 頭 数 学 史 なし 導 入 ( 注 意 点 ) ( 活 動 ) 学 習 の 流 れ クラスでの 活 動 ペアでの 活 動 グ ループでの 話 し 合 い クラスでの 話 し 合 いが 入 る 場 合 がある ( 注 意 点 ) ( 活 動 ) まとまりの 繰 り 返 し まとまりの 繰 り 返 し 章 末 のまとめ( 用 語 概 念 ) 章 末 に 活 動 まとめ( 用 語 概 念 ) 章 末 章 末 の 活 動 なし パズル 章 末 の 復 習 問 題 章 末 の 復 習 問 題 章 末 の 問 題 ( 各 国 の 数 学 教 科 書 より 筆 者 作 成 ) ケニア 以 外 の 3 国 に 共 通 しているのは 概 念 や 定 義 の 説 明, 例, の 合 間,もしくは 章 末 に 活 動 (Activity) が 示 されている 点 である.そのなかでも 特 徴 的 なものはウガンダの 教 科 書 である. (iii) ウガンダの 教 科 書 の 特 徴 章 冒 頭 の 数 学 史 ウガンダの 教 科 書 の 各 章 冒 頭 では 数 学 的 内 容 がどのように 数 学 史 のなかで 発 展 してきたのかを 簡 単 に 説 明 している( 図 1).ルワンダの 教 科 書 でも 冒 頭 に 学 習 する 数 学 的 内 容 について 若 干 の 説 明 があるが,ウ ガンダのそれの 方 がより 詳 しい.ケニアとザンビアの 教 科 書 にはこのような 記 載 はない. - 233 -

英 語 圏 サブサハラ アフリカ 4 か 国 の 中 等 教 育 段 階 における 数 学 教 科 書 分 析 ( 邦 訳 :Georg Cantor(1845-1918)はドイツ 人 数 学 者 で ドイツ 東 部 のハレ 大 学 の 数 学 の 教 授 であった.カント ールは 大 きな 数 に 興 味 を 持 っていた. 彼 はこれらの 数 を 考 える 方 策 を 思 いついた.そして 彼 は 集 合 論 を 発 展 させたのである) 図 1:ウガンダの 数 学 教 科 書 における 数 学 史 (Karugaba & Olley, 2012, p.1) 生 徒 たちの 活 動 や 話 し 合 い の 設 定 ウガンダの 活 動 においては 話 し 合 い(discussion) と 活 動 形 態 の 種 類 が 示 されている. クラス での 活 動 (class activity) ペア 活 動 (pair activity) クラスでの 話 し 合 い(class discussion) グループ での 話 し 合 い(group discussion) という 種 類 がある. 数 学 的 な 内 容 の 導 入 や 例 が クラスでの 話 し 合 い (class discussion) で 示 されることもある.これらの 活 動 や 話 し 合 い では 先 に 示 される 例 題 と 類 似 した 一 問 一 答 方 式 の 問 題 もあれば, 具 体 的 な 物 語 や 場 面 設 定 から 話 し 合 いをうながす 課 題 もあり, 一 様 ではない. 図 2 に 一 例 として 示 すような 子 どもたちの 身 近 な 内 容 と 数 学 的 活 動 も 含 まれる. ( 邦 訳 :クラスでの 話 し 合 い1 プライマリヘルスケアは 病 気 を 防 ぐた めのものである. 衛 生 教 育 はその 重 要 な 位 置 づけである. 予 防 接 種 も 同 様 である.さてこのクラスの 全 員 は 予 防 接 種 を 受 けたことはありま すか.みなさんが 予 防 接 種 を 受 けたことがある 色 々な 病 気 のリストを 作 りなさい.あなたのクラスではどの 予 防 接 種 が 最 も 多 く 受 けられて いますか.なぜいくつかの 予 防 接 種 が 受 けられていないのかの 理 由 の リストも 作 成 しなさい.) (Karugaba & Olley, 2012, p.187) 図 2:ウガンダの 第 8 学 年 の 数 学 教 科 書 におけるクラスでの 話 し 合 いの 問 い ルワンダの 教 科 書 にも 活 動 が 示 されているが,ウガンダのものとは 異 なり, 活 動 形 態 の 種 類 は 指 定 されておらず, 内 容 が 問 題 と 相 違 ないものもある.ザンビアの 第 8,9 学 年 の 教 科 書 には 活 動 が 各 章 末 に 1 つ 示 されるが, 第 10 学 年 以 降 のものにはない.ケニアの 教 科 書 では 活 動 と 記 された 箇 所 はなく, 教 科 書 では 問 題 をひたすら 行 うドリルの 様 相 を 呈 している. さらにウガンダの 教 科 書 では 1 冊 の 教 科 書 の 3 ヶ 所 に 活 動 A-C と 設 定 されたパズルや 魔 方 陣, 虫 食 い 算, 作 図 など 発 展 的 な 問 題 や 応 用 問 題 が 設 定 されている.ザンビアの 教 科 書 にも 第 8, 9 学 年 の 教 科 - 234 -

書 の 各 章 末 にはパズルがあるが, 量 と 質 ともにウガンダのものの 方 が 充 実 している. 第 10 学 年 以 降 は ザンビアの 教 科 書 にも 設 定 されていない. 総 括 すれば 概 念 や 定 義 の 説 明, 例, 形 式 で 数 学 の 学 習 指 導 が 教 科 書 において 主 流 であること を 確 認 した.またウガンダの 教 科 書 が 他 の 3 か 国 とは 異 なり, 活 動 や 話 し 合 いといったものを 相 対 的 に 多 く 取 り 入 れていることが 示 された. (3) 第 9 学 年 における 代 数 に 関 連 した 単 元 の 分 析 単 元 の 分 析 にあたっては 第 9 学 年 の 代 数 に 関 連 する 単 元 の 学 習 指 導 の 流 れを 細 かく 確 認 する. 代 数 は 教 科 書 でも 多 く 扱 われていた 数 と 式 に 関 連 し かつ 数 学 的 にも 重 要 だからである.ウガンダでは 第 1 章 代 数 I: 記 号, 式, 代 入 (Algebra I: Symbols, formulae and substitution) (12 頁 分 ),ケニアでは 第 10 章 代 数 的 表 現 (Algebraic expressions) (16 頁 分 ),ザンビアでは 第 5 章 代 数 (Algebra) (16 頁 分 ),ルワンダでは 第 2 章 代 数 の 式 (Algebraic formulae) (12 頁 分 )が 分 析 対 象 箇 所 にあたる. 章 内 の 節, 説 明, 例, の 構 成 を 取 り 出 して, 各 国 に 共 通 の 特 徴 を 析 出 した. 学 習 指 導 の 流 れを 示 した 表 4 から 表 7 より, 学 習 指 導 の 大 きな 骨 組 みとしてどの 国 でも 数 学 的 事 項 や 定 義 を 説 明 した 前 後 に 問 題 の 例 が 示 され,その 例 に 類 した,もしくは 例 の 解 き 方 を 用 いた 応 用 的 な 数 多 くの が 示 される. では 計 算 問 題 だけではなく 文 章 問 題 でも 与 えられるものの, 式 の 操 作, 式 の 計 算 など 数 学 的 技 能 を 問 うものがほとんどである. 数 学 教 育 で 重 要 とされ,かつ 育 成 には 時 間 を 要 する 数 学 的 な 思 考 を 深 めるための 問 題 は 見 られない.すなわち, 少 なくとも 代 数 に 関 わる 単 元 において は 各 国 ともにまず が 示 され,それに 説 明 が 与 えられ,その 後, により 技 能 を 高 める 側 面 が 重 要 視 されていると 考 えてよい. 表 4:ウガンダの 第 9 学 年 における 代 数 に 関 連 する 単 元 の 学 習 指 導 節 のタイトル 小 節 問 題 数 内 容 や 問 題 例 1.1 数 学 的 説 明 公 式 の 成 り 立 ち( 数 学 史 ) 1.1.1 言 葉 での 説 明 1.1.2 記 号 の 使 用 1.2 式 例 1 1 l を 長 方 形 の 縦 の 長 さ b を 長 方 形 の 横 の 長 さとすると 面 積 A はA=lb と 表 す 例 2 1 列 車 の 走 行 距 離 d 時 間 t, 速 さ 50km/h の 関 係 を 表 すと d=50t 問 題 1a 20 問 題 文 に 示 される 式 を 文 字 で 示 す 1.2.2 式 の 主 題 A=lb ( 例 1の 公 式 )では A を 式 の 主 題 という 例 1 3 V は V=lbh という 式 の 主 題 である 例 2 3 c=πd の 主 題 を d として 式 の 変 形 をしなさい 問 題 1b 24 例 2 の 類 題 1.2.3 式 の 使 用 ( 代 入 ) 例 1 1 華 氏 (F)と 摂 氏 (D)の 関 係 を 示 した 式 F=9/5C+32 から 摂 氏 が 100 の 際 の 華 氏 を 求 める 問 題 例 2 1 A=1/2bh (A: 三 角 形 の 面 積 b: 三 角 形 の 底 辺 h: 三 角 形 の 高 さ) 問 題 1c 15 電 気 抵 抗 の 公 式 が 与 えられ 文 字 に 数 値 を 代 入 して 抵 抗 を 求 める 問 題 要 約 ( 章 のまとめ) 式 式 の 主 題 代 入 の 文 章 による 確 認 (Karugaba & Olley, 2010a より 筆 者 作 成 ) - 235 -

英 語 圏 サブサハラ アフリカ 4 か 国 の 中 等 教 育 段 階 における 数 学 教 科 書 分 析 表 5:ケニアの 第 9 学 年 における 代 数 に 関 連 する 単 元 の 学 習 指 導 節 のタイトル 小 節 問 題 数 内 容 や 問 題 例 10.1 記 号 的 表 現 文 字 は 数 を 表 すことや 2n は2 n であることを 問 題 2 問 を 使 って 説 明 問 題 10.1 12 文 字 を 使 って m 週 間 の 日 数 を 表 しなさい 10.2 代 数 的 表 現 を 簡 潔 にする 同 類 項 とそうでない 項 同 類 項 の 説 明 代 数 的 表 現 を 簡 潔 にすることの 説 明 例 1 1 式 を 簡 単 にする 3x+4y-x+z+3y= 例 2 1 式 を 簡 単 にする 2x-6y-4x+5z-y= 注 意 -6y-y=-(6y+y) 例 3 1 1/2a-1/3b+1/4a= 例 4 1 (a+b)/2-(2a-b)/3 問 題 10.2 10 式 を 簡 単 にする 問 題 (9 問 ), 同 類 項 でないものを 見 つける(1 問 ) ( 説 明 ) 同 じ 文 字 は 同 類 項 であるが 累 乗 が 違 うと 同 類 項 でないことを 説 明 例 5 1 式 を 簡 単 にする( 累 乗 )5a+2a 例 6 1 式 を 簡 単 にする( 累 乗 ) 注 意 Wとw は 同 類 項 でない 問 題 10.3 6 1 つにつき 2 問 式 を 簡 単 にする( 累 乗 ) 10.3 括 弧 式 における 括 弧 の 役 割 の 説 明 10.4 まとまりごとの 因 数 分 解 4 例 7 5 式 を 簡 単 にする 2b+3{3-2(a-5)}= 問 題 10.4 10 式 を 簡 単 にする a{3(b+c)+4(c+a)}= ( 説 明 ) 4 展 開 と 因 数 分 解 の 説 明 3m+3n=3(m+n) 例 8 4 因 数 分 解 せよ 2a+4b+3a+6b 問 題 10.5 22 因 数 分 解 (10 問 ) 文 章 から 文 字 式 を 作 る 問 題 (12 問 ) 因 数 分 解 の 問 題 からまとまりごとの 因 数 分 解 を 説 明 ax+b+a+bx=a(x+1)+b(x+1) =(x+1)(a+b) (Ministry of Education in Kenya, 2012a より 筆 者 作 成 ) 表 6:ザンビアの 第 9 学 年 における 代 数 に 関 連 する 単 元 の 学 習 指 導 節 のタイトル 小 節 問 題 数 内 容 や 問 題 例 5.1 表 現 を 簡 単 にすること 同 類 項 の 説 明 例 1 4 同 類 項 にまとめる 問 題 例 えば 5x+3y-x+2y と 解 説 問 題 5.1A 37 交 換 法 則 結 合 法 則 分 配 法 則 の 説 明 例 2 2 式 を 簡 単 にする たとえば 5xy+7yx 問 題 5.1B 28 5.2 因 数 分 解 因 数 分 解 の 説 明 例 3 1 ax+ay を 因 数 分 解 しなさい 問 題 5.2A 18 因 数 分 解 しなさい ax+ay+az ( 説 明 ) 4つの 項 を 同 類 項 でまとめることの 説 明 例 4 1 4xy+6xz の 因 数 分 解 問 題 5.2B 12 因 数 分 解 しなさい 14ab+21bc ( 説 明 ) 累 乗 の 説 明 問 題 5.2C 12 因 数 分 解 しなさい 1/3mn+1/3m^2n^2 例 6 1 6xa+yb 3xb 2ay の 因 数 分 解 問 題 5.2D 11 因 数 分 解 しなさい ab+2b-3a-6 5.3. 式 式 をつくること 式 をつくることの 説 明 1. どの 式 表 現 が 等 しいか(14 問 ) a(b+c)とca+ba 2. 式 を 簡 単 にしなさい(14 問 ) 5(m-2n)-3(2m-3n) 例 7 1 文 章 問 題 から 式 をつくる 両 替 所 で K3240=$1 で 両 替 でき K6000 の 手 数 料 が 取 られる D ド ルをクワチャに 両 替 する 場 合 どのくらいのクワチャを 受 け 取 るか? 例 8 1 文 章 問 題 から 式 をつくる 両 替 所 で K3240=$1 で 両 替 でき 2 ドルの 手 数 料 が 取 られる D ド ルをクワチャに 両 替 する 場 合 どのくらいのクワチャを 受 け 取 るか? 問 題 5.3A 12 文 章 問 題 から 式 を 作 るタクシーの 初 乗 り 料 金 は K1500 で1キロで K1000 追 加 となる k キ ロメートル 走 行 した 場 合 の 料 金 はいくらになるか 式 への 代 入 式 への 代 入 代 入 の 説 明 例 9 3 たとえば x=4 のときの 9 x2+x 問 題 5.3B 10 a=4 のときの 7a 3 の 値 を 求 めよ 式 の 着 目 をかえて 変 形 する ある 文 字 に 着 目 して 式 を 変 形 することの 説 明 例 10 3 y=2x-3 をx に 着 目 して x= の 式 で 表 しなさい 問 題 5.3C 22 ある 文 字 に 着 目 して 式 を 変 形 しなさい p=3-2q を q= に 変 形 しなさい ( 説 明 ) 着 目 する 文 字 の 項 が 2 つ 以 上 あるときの 説 明 例 11 1 ax+3=bx-5 例 12 1 y=(x+3)/(x-7) をx に 着 目 して 変 形 する 問 題 5.3D 例 12 に 類 する 問 題 20 問 5.4 代 数 的 な 分 数 文 字 式 と 分 数 式 を 簡 単 にすることの 説 明 例 13 2 式 を 簡 単 にする (x+3)/(xy+3) 問 題 5.4A 12 式 を 簡 単 にする( 累 乗 のものもあり)3x/6y ( 説 明 ) 代 数 の 乗 法 の 説 明 - 236 -

章 の 要 約 ( 説 明 ) 代 数 の 除 法 の 説 明 例 14 2 1 つの 分 数 にしなさい x/2 y/3 問 題 5.4B 21 分 数 を 簡 単 にする 乗 除 の 問 題 たとえば 1/(x+1) 1/x ( 説 明 ) 代 数 の 加 減 の 説 明 x/2+y/2=(x+y)/2 例 15 1 加 法 の 問 題 a/6-b/15 問 題 5.4C 9 1 つの 分 数 にしなさい (2x+3)/5+(3x-2)/4 ( 説 明 ) 分 母 が 文 字 の 分 数 同 士 の 通 分 についての 説 明 例 16 2 1 つの 分 数 にしなさい 1/a+1/b 問 題 5.4D 15 1 つの 分 数 にしなさい 1/(a-1)-1/a 箇 条 書 きで 8 点 ( 同 類 項 式 を 簡 単 にする 交 換 結 合 分 配 法 則 因 数 分 解 文 字 式 への 数 の 代 入 文 字 への 着 目 など) 活 動 5 1 なぜ 因 数 分 解 をするのか? まとめの 問 題 5 32 大 問 1 は5 問 大 問 2 は6 問 大 問 5 は3 問 大 問 6 は7 問 大 問 7 は9 問 で 他 は 1 問 ずつ パズル 5 1 (Shamapango, et al., 2003 より 筆 者 作 成 ) 表 7:ルワンダの 第 9 学 年 における 代 数 に 関 連 する 単 元 の 学 習 指 導 節 のタイトル 小 節 問 題 数 内 容 や 問 題 例 導 入 式 の 有 用 性 の 説 明 2.1 良 く 知 られた 図 形 の 式 三 角 形 の 面 積 の 公 式 や 円 柱 の 表 面 積 の 式 活 動 1 円 柱 の 側 面 を 展 開 図 で 見 ると 長 方 形 である 長 方 形 の 縦 の 長 さを h 円 柱 の 底 面 の 半 径 を r とするとき 長 方 形 の 横 の 長 さは 2πr で 表 すことができるか またこの 円 柱 の 表 面 積 は 2πrh で 表 すことができるか? 2.1.1 その 他 の 良 く 知 られた 公 式 1 長 方 形 の 面 積 直 方 体 の 体 積 三 角 錐 の 体 積 三 角 形 の 周 の 長 さ 台 形 の 面 積 活 動 1 台 形 の 上 底 a 下 底 b(a<b)で 下 底 の 上 底 よりも 長 い 部 分 を x で 表 すとき なぜ x=b-a となるのか 説 明 しなさい 2.2 公 式 を 組 み 立 てる 活 動 2 直 方 体 の 表 面 積 を 文 字 で 与 えられた 辺 の 長 さを 用 いて 表 す 問 題 2A 5 文 章 問 題 2.3 式 における 着 目 する 文 字 説 明 2 F=9/5C+32 をC=の 式 に 変 形 する 活 動 3 問 題 2B 5 b についての 式 に B+2xt=2xb 変 形 しなさい 2.4 式 のある 文 字 への 着 目 (2 乗 3 乗 の 文 字 を 含 む 場 合 ) 説 明 V=1/3 πr^2 をr についての 式 に 変 形 する 問 題 2C 4 T=2π (l/g) をl についての 式 に 変 形 する 2.5 式 から 答 えを 求 める 3 長 方 形 の 周 の 長 さを 求 める 問 題 2D 14 文 章 問 題 まとめの 問 題 に 相 当 (Kasirye, et al., 2010 より 筆 者 作 成 ) 5.まとめ 4 か 国 の 教 科 書 における 学 習 指 導 において, 概 念 や 定 義 の 説 明 がなされたあと, 例 題 が 与 えられ, 例 題 に 類 する 多 くの 問 題 が 与 えられる 流 れが 共 通 項 として 認 められた.これは 数 学 的 知 識 がすでにあ るものとして 提 示 され,それに 関 連 する 計 算 をはじめとした 問 題 を 解 く 技 能 を 高 める 構 成 であることか ら, 数 学 的 知 識 や 技 能 を 育 成 するという 各 国 の 目 標 の 一 つを 達 成 するには 有 効 な 教 科 書 構 成 であるとい える. 一 方 で 各 国 のカリキュラムやシラバスでは 数 学 的 な 興 味 関 心 を 持 ち, 前 向 きな 態 度 を 涵 養 する ことも 目 指 していた.これらの 態 度 面 の 醸 成 に 関 しては,これらの 教 科 書 の 構 成 や 特 徴 から 達 成 するこ とは 難 しい. 生 徒 たちが 時 間 をかけて 取 り 組 む 問 題 や 課 題, 活 動 がなければ, 数 学 は 既 にある 知 識 を 覚 えることで 学 び, によって 慣 れていくという 極 めて 受 動 的 な 学 習 となってしまう.すなわちこれら の 教 科 書 の 構 成 や 特 性 自 体 が 学 校 の 教 室 の チョークアンドトーク のグラスルーツになっていると 推 測 する. 各 国 の 数 学 教 育 の 目 的 が 絵 に 描 いた 餅 で 終 わらないように, 例 えばウガンダの 教 科 書 であったよ - 237 -

英 語 圏 サブサハラ アフリカ 4 か 国 の 中 等 教 育 段 階 における 数 学 教 科 書 分 析 うな 数 学 史 を 紹 介 したり,クラスやグループ,ペアでの 話 し 合 いを 入 れたり, 数 学 的 なパズルや 活 動 を 随 所 に 設 定 することは 有 効 であるように 思 われる. 各 国 の 数 学 教 育 の 目 標 が 達 成 されるような 教 科 書 構 成,それにつながるカリキュラム 開 発,さらには 学 習 指 導 のあり 方 に 関 して 改 善 すべき 余 白 は 多 い. 謝 辞 アフリカ 各 国 の 教 科 書 を 提 供 して 下 さった JICA に 心 より 感 謝 の 意 を 申 し 上 げます. 引 用 参 考 文 献 Aludria, I., Kasamba., G., Kawesi, L., Kasamba A., and Kasirye, S. (2009). MK Junior Secondary Mathematics Students Book 2 Revised Edition, MK Publishers Ltd., Kigali, Rwanda. 馬 場 卓 也. (2010). ザンビア 国 算 数 数 学 カリキュラムの 構 造 分 析, アフリカ 教 育 研 究,1,41-51. Curriculum Development Centre. (1983). Basic Education Mathematics Syllabi Grade 1-7, Ministry of Education, Lusaka, Zambia. 岩 崎 秀 樹. (2009). リテラシーからみえる 数 学 教 育 学 の 課 題 : 中 等 教 育 段 階 における 背 景 的 理 念, 数 学 教 育 論 文 発 表 会 課 題 別 分 科 会 発 表 集 録 及 び 要 項, 42, 32-37. Kalimukwa, K. J., Mwanakatwe, L. M. J., Mambwe, L., Nkhalamo, S. L. J., Mukuyamba, A., Shamapango, B. L., Mumbula, Y., and Sichilima, M. J. (2008). Zambia Secondary School Syllabus Mathematics Pupil s Book Grade 10, Macmillan Publishers Zambia Ltd, Lusaka, Zambia. Kanja, C., Iwasaki, H., Baba, T., and Ueda, A. (2001). For the Reform of Mathematics Education in Kenyan Secondary Schools, Journal of International Development and Cooperation, 7(1), 67 75. Karugaba, J., and Olley, C. (2008). Mathematics for Secondary Schools Student s Book 4, Fountain Publishers, Kampala, Uganda. Karugaba, J., and Olley, C. (2010a). Mathematics for Secondary Schools Student s Book 2, Fountain Publishers, Kampala, Uganda. Karugaba, J., and Olley, C. (2010b). Mathematics for Secondary Schools Student s Book 3, Fountain Publishers, Kampala, Uganda. Karugaba, J., and Olley, C. (2012). Mathematics for Secondary Schools Student s Book 1, Fountain Publishers, Kampala, Uganda. Kasirye, S., Aludria I., Kaweesi, L., Kasamba, A., and Kasamba, G. (2010). MK Junior Secondary Mathematics Students Book 3 Revised Edition, MK Publishers Ltd., Kigali, Rwanda. Kasirye, S., Kaweesi, L., Kasamba, A., Aludria, I., and Kasamba, G. (2009) MK Junior Secondary Mathematics Student s Book 1 Revised Edition, MK Publishers Ltd., Kigali, Rwanda. - 238 -

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