情勢分析_明暗分かれる中東経済の見通し



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平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

定款  変更

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公表表紙

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

JAL Xxxxxxxx Xxxxxxxx

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1


Microsoft Word - J_ エンゲル.docx

別紙3

平成24年度 業務概況書

●電力自由化推進法案

Economic Trends    マクロ経済分析レポート

タイトル

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1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

Microsoft Word - 目次.doc

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

m07 北見工業大学 様式①

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Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 2 年 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制 措 置 を 行 う 前 のものです ( 単 位 : ) 3 職 員 の 平 均 給 与 月

2016年夏のボーナス見通し

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

2000 年 12 月 輸 出 の 減 速 によりテンポはやや 鈍 化 しているものの 緩 やかな 回 復 を 続 けている 2001 年 1 月 緩 やかな 回 復 を 続 けているが そのテンポは 輸 出 の 減 速 により 鈍 化 している 2001 年 2 月 緩 やかな 回 復 を 続 け

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

Microsoft Word - 奨学金相談Q&A.rtf

2

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

Microsoft Word - H25普通会計決算状況 .docx

16 日本学生支援機構

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

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私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

市 町 村 税 の 概 況 市 町 村 税 の 概 況 は 平 成 25 年 度 地 方 財 政 状 況 調 査 平 成 26 年 度 市 町 村 税 の 課 税 状 況 等 の 調 及 び 平 成 26 年 度 固 定 資 産 の 価 格 等 の 概 要 調 書 等 報 告 書 等 の 資 料 に

Taro-条文.jtd

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

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平 成 27 年 度 第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 の 運 用 資 産 額 は 2 兆 4,339 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +2.05%となりました 実 現 収 益 率 は +1.19%です

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 (H20.4.1) 96.7 (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.4.1), (H25.4.1) 参 考 値 98.3 (H25.7.1) (H20.4.1) (H25.4

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

Taro-H19退職金(修正版).jtd

Q IFRSの特徴について教えてください

Microsoft Word 第1章 定款.doc

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国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 25 年 4 月 1 日 現 在 ) 1) 一 般 行 政 職 福 島 県 国 類 似 団 体 平 均 年 齢 平

Microsoft Word 短信.doc


(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 例 ) ( 例 ) 15 (H2) (H2) (H24) (H24) (H25.4.1) (H25.4.1) (H24) (H24)

注 記 事 項 (1) 四 半 期 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 無 (2) 会 計 方 針 の 変 更 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 修 正 再 表 示 1 会 計 基 準 等 の 改 正 に 伴 う 会 計 方 針 の 変 更 : 無 2 1

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

記者発表資料

大 田 区 保 育 従 事 職 員 宿 舎 借 り 上 げ 支 援 事 業 Q&A 目 次 Ⅰ 補 助 事 業 全 般 について P3~P4 Ⅱ 補 助 対 象 施 設 について P5 Ⅲ 補 助 対 象 職 員 について P6~P10 Ⅳ 補 助 対 象 経 費 について P11~P13 2

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Microsoft PowerPoint - 基金制度

Microsoft Word - 07②-2 補足説明資料1.docx


職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

18 国立高等専門学校機構

能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

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4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

スライド 1

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

3 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 ( ベース) 43.7 歳 32, , ,321

(5) 給 与 改 定 の 状 況 該 当 なし ( 事 委 員 会 を 設 置 していないため) 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 ( 参 考 ) 民 間 給 与 公 務 員 給 与 較 差 勧 告 給 与 改 定 率 国 の 改 定 率 A B AB ( 改 定 率 ) 年 度 ( )

弁護士報酬規定(抜粋)

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

スライド 1

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注 記 事 項 (1) 四 半 期 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 P.3 2.サマリー 情 報 ( 注 記 事 項 )に 関 する 事 項 (1) 四 半 期 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

第 40 回 中 央 近 代 化 基 金 補 完 融 資 推 薦 申 込 み 公 募 要 綱 1 公 募 推 薦 総 枠 30 億 円 一 般 物 流 効 率 化 促 進 中 小 企 業 高 度 化 資 金 貸 付 対 象 事 業 の 合 計 枠 2 公 募 期 間 平 成 28 年 6 月 20

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (5 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 区 類 団 府 分 似 体 平 均 年 齢


No.7 アメリカ 合 衆 国 小 規 模 事 例 (そ4) 助 金 も 財 源 になっている しかし 小 規 模 事 業 体 では 連 邦 政 府 から 基 金 はもちろん 市 から 補 助 金 もまったくない が 実 状 である すなわち 給 人 口 が25 人 から100 人 規 模 小 規

ほかに パート 従 業 員 らの 厚 生 年 金 加 入 の 拡 大 を 促 す 従 業 員 五 百 人 以 下 の 企 業 を 対 象 に 労 使 が 合 意 すれば 今 年 十 月 から 短 時 間 で 働 く 人 も 加 入 できる 対 象 は 約 五 十 万 人 五 百 人 超 の 企 業

Transcription:

明 暗 分 かれる 中 東 経 済 の 見 通 し ( 一 財 ) 国 際 開 発 センター エネルギー 環 境 室 研 究 顧 問 畑 中 美 樹 2013 年,2014 年 の 世 界 経 済 の 見 通 しを 下 方 修 正 した 国 際 通 貨 基 金 国 際 通 貨 基 金 (IMF)は,2013 年 7 月 9 日, 4 月 に 発 表 した 世 界 経 済 見 通 し の 改 訂 版 を 公 表 した 改 定 見 通 しによれば,2013 年 及 び2014 年 の 世 界 経 済 の 実 質 経 済 成 長 率 はそれぞれ3.1 %,3.8%と 予 測 され,4 月 の 予 測 に 比 べてどち らも0.2% 下 方 修 正 された IMFは2013 年,2014 年 の 世 界 の 経 済 成 長 率 の 見 通 しを 引 き 下 げた 要 因 として 次 の3つを 挙 げ 1 中 国 をはじめとする 新 興 国 諸 国 の 経 済 の 伸 び 悩 み 2 ユーロ 圏 諸 国 における 景 気 後 退 の 深 刻 化 3 米 国 における 財 政 引 き 締 めの 下 押 し 圧 力 の 影 響 世 界 経 済 を 地 域 別 に 見 て4 月 の 見 通 しから 経 済 成 長 率 の 予 測 が 下 方 修 正 されなかったのは, 中 東 欧 諸 国 のみに 留 まった 下 方 修 正 の 最 も 大 きかったのはCIS 諸 国 (2013 年 0.6%,2014 年 0.4%)であった 中 東 諸 国 は,2013 年 は4 月 表 1 世 界 経 済 の 実 質 経 済 成 長 率 見 通 し ( 単 位 :%) 地 域 名 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 4 月 比 (2013 年 ) 4 月 比 (2014 年 ) 世 界 3.9 3.1 3.1 3.8 0.2 0.2 先 進 国 1.7 1.2 1.2 2.1 0.1 0.2 新 興 国 6.2 4.9 5.0 5.4 0.3 0.3 中 東 欧 諸 国 5.4 1.4 2.2 2.8 0.0 0.0 CIS 4.8 3.4 2.8 3.6 0.6 0.4 アジア 7.8 6.5 6.9 7.0 0.3 0.3 中 南 米 カリブ 4.6 3.0 3.0 3.4 0.4 0.5 MENA 4.0 4.5 3.0 3.7 0.1 +0.1 アフリカ 5.4 4.9 5.1 5.9 0.4 0.2 16 中 東 協 力 センターニュース

の 予 測 に 比 べて 0.1%の 下 方 修 正 であったが 2014 年 は 逆 に+0.1%の 上 方 修 正 となった ま た,ここに 来 て 注 目 されるアフリカ 諸 国 は,2013 年 0.4%,2014 年 0.2%の 下 方 修 正 となった 因 みに, 注 目 される 原 油 価 格 については,2012 年 の 実 績 は 前 年 比 +1.0%の105.01ドル/バレル であったが,2013 年 の 予 測 は 4.7%の100.09ド ル/バレル,2014 年 の 予 測 も 4.7%の95.36ド ル/バレルであった 2013 年 の 原 油 価 格 について は4 月 に 比 べて 2.4%の 下 方 修 正 となったが, 2014 年 は4 月 比 +0.2%の 上 方 修 正 となった な お,ここでいう 原 油 価 格 は, 英 国 ブレント,ド バイ ファテハ, 米 国 WTI の 単 純 平 均 を 指 し 国 際 通 貨 基 金 (IMF)の 理 事 会 報 告 書 で 高 評 価 を 得 たサウジ 経 済 2013 年 7 月 8 日 に 明 らかにされた 国 際 通 貨 基 金 (IMF)の 理 事 会 報 告 書 は,サウジアラビア の 経 済 について 概 要, 表 2のように 述 べ,G20 表 2 サウジ 経 済 に 関 する 国 際 通 貨 基 金 (IMF)の 理 事 会 報 告 書 番 号 指 摘 事 項 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 2012 年 の 実 質 経 済 成 長 率 は, 高 油 価, 高 産 油 量, 好 調 な 民 間 部 門, 巨 額 の 政 府 支 出 に 支 えられ5.1% を 記 録 した 2013 年 5 月 時 点 の 前 年 比 で 見 たインフレ 率 は, 食 料 品 と 住 宅 の 価 格 が 高 止 まりしたことから3.8%と なった 高 油 価 と 高 産 油 量 は, 巨 額 の 財 政 黒 字 と 国 際 収 支 上 の 経 常 黒 字 を 生 み, 在 外 資 産 残 高 をさらに 増 加 させた 与 信 の 伸 びも 引 き 続 き 高 く, 銀 行 部 門 も2013 年 1 月 に 施 行 されたバーゼルⅢ 資 本 基 準 に 照 らしても 十 分 な 資 本 力 を 持 って 利 益 を 計 上 した 2011 年 の 拡 大 的 な 財 政 散 布 の 後,2012 年 の 財 政 支 出 の 伸 びは 鈍 化 したが 非 石 油 の 赤 字 は 縮 小 した 2013 年 の 実 質 経 済 成 長 率 も4.0%が 見 込 まれる 民 間 部 門 の 伸 びは 引 き 続 き 好 調 だが, 産 油 量 は2012 年 に 比 べて 低 下 し 政 府 歳 出 の 伸 びも 鈍 化 しよう インフレ 率 は 国 際 食 糧 価 格 の 低 下 に 伴 い2013 年 末 に 向 けて 緩 和 しよう 原 油 価 格 がやや 下 がり 産 油 量 も 低 下 するので, 財 政 黒 字 及 び 国 際 収 支 上 の 経 常 黒 字 は 依 然 巨 額 では あるものの 縮 小 するだろう 若 くて 益 々 良 質 な 教 育 を 受 けたサウジ 国 民 が 生 産 年 齢 人 口 入 りするので,さらなる 経 済 成 長 と 生 活 水 準 改 善 の 大 きな 機 会 が 生 まれよう こうしたことを 背 景 として,サウジ 政 府 は 国 民 の 雇 用 の 拡 大, 住 宅 供 給 の 増 加,インフラ, 特 に 運 輸 インフラの 改 善 や 中 小 企 業 の 開 発 を 促 すイニシアチブを 引 き 続 き 実 施 する IMF 理 事 会 は, 世 界 石 油 市 場 でサウジアラビアが 果 たしている 体 系 的 な 安 定 化 への 役 割 を 歓 迎 する またIMF 理 事 会 は,サウジアラビアが 多 くの 発 展 途 上 国 にとって 重 要 な 財 政 支 援 源 且 つ 送 金 源 であ ることを 認 め サウジ 経 済 の 将 来 は 前 向 きである マクロ 経 済 の 安 定 化 及 び 人 口 動 態 上 の 課 題 を 克 服 するためにも 諸 改 革 の 継 続 が 重 要 であることを 強 調 する 仮 にインフレ 化 の 兆 候 が 表 れれば 資 本 支 出 を 鈍 化 し 抑 制 的 なマクロ 政 策 を 実 行 することが 必 要 にな ろう 国 内 需 要 の 抑 制 のためにも 国 内 エネルギー 価 格 の 上 方 修 正 が 役 に 立 つだろう 但 し,その 実 施 はビジネス 界 と 家 計 が 調 整 できるように 時 間 をかけつつ, 段 階 的 且 つ 周 知 徹 底 しな がら 行 うことが 望 ましい 若 く 急 速 に 拡 大 するサウジ 人 口 は, 成 長 や 生 活 水 準 の 改 善 にとっては 好 機 でもあり 課 題 でもある この 点 からも, 雇 用 拡 大, 住 宅 市 場 発 展,インフラ 開 発, 中 小 企 業 育 成 のために 進 行 中 の 諸 改 革 は 課 題 の 克 服 を 助 けることになろう IMF 理 事 会 は,サウジ 国 民 の 技 量 の 向 上 を 目 指 した 教 育 への 巨 額 投 資 を 歓 迎 する 但 し,サウジ 人 雇 用 を 増 加 する 労 働 市 場 政 策 はマクロ 経 済 との 整 合 性 を 取 りながら 慎 重 に 実 施 されねばならない 17 中 東 協 力 センターニュース

諸 国 の 中 で 近 年 の 経 済 が 最 も 好 調 で 世 界 石 油 市 場 の 安 定 に 貢 献 している 国 家 として 評 価 してい る 実 際,サウジ 経 済 の 過 去 4 年 間 の 平 均 実 質 成 長 率 は6.25%と G20の 中 で 中 国,インドに 次 ぐ 良 好 な 経 済 実 績 を 上 げサウジ 経 済 が 好 調 を 維 持 できたのは, 高 水 準 の 原 油 価 格 と 産 油 量 が 続 いたためであった 前 者 は, アラブの 春 や イラン 核 開 発 問 題 等 で 供 給 懸 念 が 高 まったことが 大 きく 影 響 してきた 後 者 では, 内 戦 によるリビア 産 油 量 の 一 時 的 な 低 下 や 米 欧 経 済 制 裁 によるイランの 産 油 量 の 落 ち 込 み 分 を, 余 剰 生 産 力 の 大 きいサウジアラビアが 増 産 で 補 う 形 となったためである しかし,IMFは 湾 岸 産 油 国 の 新 たな 経 済 ブー ムの 時 期 は 終 わるかもしれないと 見 IMF はその 理 由 として, 米 国 におけるシェー ル ガス,シェール オイルの 生 産 増 やリビア, イラクにおける 産 油 量 の 回 復 を 上 げ IMFはサウジアラビアの 実 質 経 済 成 長 率 につい て,2013 年 4.0%,2014 年 4.4%とサウジ 政 府 の 予 測 よりやや 厳 しい 見 方 を 打 ち 出 し 加 えて,IMFはサウジ 経 済 について, 急 増 す 筆 者 紹 介 慶 應 義 塾 大 学 経 済 学 部 卒 業 (1974 年 3 月 ),1974~1980 年 富 士 銀 行 勤 務 後,1980~1983 年 中 東 経 済 研 究 所 出 向 1983 年 富 士 銀 行 復 職 後 (1 月 ), 同 行 を 退 職 (10 月 ) 中 東 経 済 研 究 所 カイロ 事 務 所 長 を 経 て,1990 年 同 研 究 所 退 職 1990 年 12 月 ~2000 年 9 月 国 際 経 済 研 究 所 勤 務 ( 主 席 研 究 員 ),2000 年 10 月 ~2005 年 3 月 国 際 開 発 センター エネルギー 環 境 室 長,2005 年 4 月 よりエネ ルギー 環 境 室 研 究 顧 問 中 東 や 北 アフリカ 諸 国 の 王 族, 政 治 家, 政 府 関 係 者,ビジネスマンに 知 己 が 多 く, 中 東 全 域 に 豊 富 な 人 的 ネットワークを 有 する 専 門 領 域 は 中 東 経 済 論 著 書 イスラムマネー がわかると 経 済 の 動 きが 読 めてくる! (すばる 舎,2010 年 ) 中 東 のクール ジ ャパニーズ ( 同 友 館,2009 年 ) 中 東 湾 岸 ビジネス 最 新 事 情 ( 同 友 館,2009 年 ) 南 地 中 海 の 新 星 リビア ( 同 友 館,2009 年 ) 今 こそチャンスの 中 東 湾 岸 ビジネス ( 同 友 館,2009 年 ), オイルマネー ( 講 談 社 現 代 新 書, 2008 年 ), 石 油 地 政 学 ( 中 公 新 書 ラクレ,2003 年 ) る 若 年 層 を 吸 収 できるようなペースで 民 間 部 門 が 拡 大 しておらず, 同 時 に, 若 者 側 にも 民 間 部 門 で 奉 職 できるような 技 能 が 十 分 備 わっていな い 点 を 指 摘 し, 今 後, 体 制 の 安 定 を 図 る 上 から も 民 間 部 門 の 拡 大 とサウジ 人 の 若 者 を 民 間 部 門 で 如 何 に 吸 収 するのかが 重 要 になってくると 説 いサウジアラビアの 雇 用 者 は2010 年 か ら2012 年 にかけて 年 率 8.5%で 増 加 しているが, 表 3 サウジアラビアの 主 な 経 済 指 標 (2009~2013 年 ) 単 位 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 実 質 GDP 成 長 率 % 1.8 7.4 8.6 5.1 4.0 名 目 GDP 億 ドル 4,290 5,270 6,700 7,110 7,180 消 費 者 物 価 指 数 財 政 収 支 / GDP 経 常 収 支 / GDP 在 外 資 産 ( 純 計 ) % 4.1 3.8 3.7 2.9 4.0 % 29.8 3.6 11.2 12.4 7.1 % 4.9 12.7 23.7 23.2 18.1 億 ドル 4,053 4,404 5,352 6,476 7,293 出 所 :サウジ 政 府 及 び IMF 推 計 18 中 東 協 力 センターニュース

サウジ 国 民 に 限 れば 増 加 率 は4.6%に 過 ぎない サウジ 政 府 の 統 計 でみる 限 り,サウジ 人 労 働 者 の 凡 そ10 人 に9 人 は 政 府 をはじめとする 公 的 部 門 で 働 い 働 くサウジ 人 の 公 的 部 門 への 過 度 の 依 存 を 低 めるには,サウジ 人 の 労 働 力 としての 競 争 力 を 高 めると 共 に,サウジ 人 に 技 量 も 身 につける 政 策 的 な 努 力 が 不 可 欠 となろう 不 安 定 な 情 勢 が 続 く 中 東 で 好 調 なドバイのホテ ル 業 界 米 大 手 会 計 事 務 所 のアーンスト アンド ヤ ング 社 の 最 新 調 査 結 果 によると,2013 年 第 1 四 半 期 のドバイにあるホテルの 平 均 宿 泊 料 金 が1 泊 300ドルを 超 えた(1,101ディルハム)ことが わかった(ArabianBusiness.com,7DAYS 2013 年 7 月 4 日 ) 同 社 による 最 近 のホテル 標 準 価 格 調 査 では ヨルダン,レバノンやエジプトなど 中 東 諸 国 の サービス 業 部 門 がシリア 内 戦 によって 大 きな 影 響 を 受 けた と 報 告 ししかも 同 調 査 は シリア 内 戦 は 近 隣 諸 国 へ 著 しい 悪 影 響 を 及 ぼ している 短 期 的 に 前 向 きな 見 通 しは 予 測 でき ない と 手 厳 しい 見 方 をし 湾 岸 協 力 会 議 (GCC) 諸 国 の 外 交 当 局 が 自 国 民 に 渡 航 注 意 勧 告 を 出 していることもあり,レ バノンの 首 都 ベイルートでは2013 年 第 1 四 半 期 の 客 室 平 均 稼 働 率 は58%と 前 年 同 期 比 8ポイン ト 低 下 し 平 均 宿 泊 料 金 も22.9% 減 の162ドルに まで 落 ち 込 んでいる ヨルダンのサービス 業 界 も,レバノン 同 様, 落 ち 込 みを 目 の 当 たりにし 同 国 の 場 合, 客 室 稼 働 率 は60%と 実 に 前 年 比 21ポイントも 低 下 し 但 し, 強 気 の 経 営 方 針 の 反 映 なのか 平 均 宿 泊 料 金 は8.9% 減 の158ドルに 留 まった エジプトの 首 都 カイロのサービス 業 界 も 政 情 不 安 から 政 変 の 発 生 する 以 前 の2013 年 第 1 四 半 期 の 段 階 で 下 落 傾 向 を 示 していた それでもエ ジプト 全 体 での1 日 当 たり 販 売 可 能 な 客 室 売 上 (RevPAR)は10%の 下 落 であったが,カイロの ホ テ ル の 1 日 当 た り 販 売 可 能 な 客 室 売 上 (RevPAR)は 前 年 比 36%も 落 ち 込 んでいる さ らに,カイロのホテルの 客 室 平 均 稼 働 率 も 前 年 同 期 比 20%も 下 落 し 上 記 のように,シリア 内 戦 により 近 隣 諸 国 が 苦 境 を 強 いられているなか, 安 全 な 避 難 先 であ るドバイのホテルの 総 客 室 数 は 過 去 1 年 で 新 規 開 業 が 相 次 いだこともあって3,500 室 も 増 えて いる それにもかかわらず, 宿 泊 客 の 増 加 が 新 規 参 入 による 客 室 数 の 供 給 増 を 吸 収 してしまい プラス 成 長 を 遂 げドバイのホテルの 平 均 宿 泊 料 金 は,2013 年 に 入 ってからだけでも298 ドルから313ドルに 跳 ね 上 がっ アラブ 首 長 国 連 邦 (UAE) 全 体 の 客 室 稼 働 率 も2013 年 は 力 強 いものとなっ 因 みに, ハイシーズンである 今 年 1 月 ~3 月 の 平 均 客 室 稼 働 率 は90%を 記 録 しUAE 全 体 の 客 室 稼 働 率 は4 月 になっても86%もの 高 率 を 維 持 し,1 日 当 たり 販 売 可 能 な 客 室 売 上 (RevPAR) も4ドル 上 昇 の269ドルとなっ 2001 年 9 月 11 日 に 起 こった 米 国 同 時 多 発 テロ 事 件 を 契 機 とする 巨 額 のアラブ 資 金 の 流 入 を 追 い 風 に 発 展 を 遂 げたドバイは,2008 年 9 月 の リーマン ショックによる 世 界 的 な 不 況 から 一 時 落 ち 込 んだ しかし, 中 東 北 アフリカの 政 情 が2010 年 12 月 以 降 の アラブの 春 により 不 安 定 化 するなか, 政 治 的 安 定 性 や 基 礎 インフラ の 整 備 度 合 等 が 改 めて 中 東 内 外 の 投 資 家 や 観 光 客 から 見 直 され, 逸 早 く 復 活 し 最 近 ではミニ ブーム 減 少 すら 起 き 依 然 解 決 の 目 途 の 立 たないシリア 内 戦,トル コにおける 反 政 府 デモの 発 生, 今 回 のエジプト での 政 変,その 政 変 の 余 波 から 再 び 政 情 不 安 に 襲 われるチュニジア 等 々, 中 東 の 老 舗 の 観 光 立 国 の 先 行 きには 不 透 明 感 が 漂 っそうし たなかでドバイは, 強 力 なリーダーシップと 安 19 中 東 協 力 センターニュース

全 性 を 武 器 に 政 情 不 安 や 治 安 問 題 を 抱 える 近 隣 諸 国 の 避 難 場 所 として,まだまだ 堅 調 な 伸 びを 期 待 できるのではないだろうか ドバイの バブルの 再 発 と 高 債 務 は 要 注 意 と 警 告 した 国 際 通 貨 基 金 但 し, 国 際 通 貨 基 金 (IMF)は, 今 般 実 施 し たドバイ 経 済 の 診 断 の 結 果 について, 全 般 的 に は 好 調 と 評 価 しながらも 不 動 産 価 格 の 再 上 昇 によるバブルの 再 発 や 政 府 政 府 系 機 関 の 高 債 務 は 要 注 意 と 警 告 した 以 下 では,ドバ イ 経 済 に 関 するIMF 報 告 書 及 びハラルド フィ ンガーUAE 調 査 団 長 IMF の2013 年 7 月 下 旬 の 現 地 での 発 言 から, 要 点 を 箇 条 書 きに 整 理 し 紹 介 してみよう 表 4 ドバイ 経 済 に 関 する 国 際 通 貨 基 金 (IMF)の 指 摘 事 項 番 号 指 摘 事 項 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 ドバイ 経 済 及 びドバイ 不 動 産 市 場 は 今 や 復 調 しつつある しかし, 復 調 が 速 すぎるため 再 びブーム 後 のバブル 崩 壊 になることが 懸 念 される 何 故 ならば,ドバイの 債 務 は 依 然 増 加 を 続 けており, 再 度 のバブル 崩 壊 となれば 対 応 が 困 難 となる からだ 某 商 業 銀 行 の 推 計 では,ドバイ 不 動 産 の 価 格 は2013 年 6 月 までの1 年 間 で35%も 上 昇 し バブルを 口 にするのは 時 期 尚 早 かもしれないが,このペースで 不 動 産 価 格 の 上 昇 が 続 けばバブル 化 を 防 止 する 政 策 が 必 要 になってくる UAE 中 央 銀 行 は, 昨 年 商 業 銀 行 の 要 望 を 受 け 導 入 を 取 りやめた 貸 付 への 上 限 設 定 の 修 正 案 を 銀 行 側 と 交 渉 し だが UAE の 不 動 産 取 引 の 多 くが 現 金 決 済 であることを 考 えれば, 担 保 関 連 規 則 を 補 完 する 手 段 が 必 要 になってこよう 仮 に 不 動 産 価 格 の 上 昇 が 続 くならば, 適 切 な 手 段 は 不 動 産 市 場 での 取 引 に 料 金 を 導 入 することかも しれない ドバイ 政 府 高 官 と 不 動 産 取 引 料 金 の 導 入 について 議 論 したが, 彼 らは 必 要 性 は 認 めながらもドバイ の 競 争 力 が 失 われないよう UAE の 各 部 門 との 協 調 が 必 要 だと 説 明 していた ドバイ 政 府 系 機 関 が 依 然 巨 額 の 債 務 を 抱 えていることを 考 えれば, 大 規 模 なプロジェクトの 実 施 に は 慎 重 になるべきだろう 理 由 は 国 際 金 融 危 機 が 再 発 すればドバイの 不 動 産 市 場 を 襲 うことになる からだ ( 注 :UAE のアル バヤン 紙 の 推 計 では, 計 画 中 の 全 事 業 を 実 行 するには6,660 億 ディルハ ム 超 1,800 億 ドル 超 が 必 要 となる) こうした 事 業 はビジネスに 対 する 信 頼 感 を 増 すかもしれないが,ブームと 破 裂 のサイクルを 回 避 す るには 穏 やかな 経 済 政 策 も 必 要 になる ドバイ 政 府 及 びドバイ 政 府 関 連 機 関 の 債 務 は,2012 年 3 月 から2013 年 4 月 の 期 間 に130 億 ドル 増 加 し, 債 務 残 高 は GDP の102% 相 当 の1,420 億 ドルに 達 し ドバイ 政 府 の 同 期 間 の 債 務 は45 億 ドル 増 加 したが,ドバイ 最 大 の 銀 行 である 首 長 国 ドバイ 国 民 銀 行 (ENBD)が 貸 し 増 したためである 同 行 の 融 資 における 政 府 変 調 は 企 業 統 治 及 びリスク 管 理 の 点 か ら 懸 念 される ドバイ 政 府 の 同 期 間 の 債 務 は45 億 ドル 増 加 したが,ドバイ 最 大 の 銀 行 である 首 長 国 ドバイ 国 民 銀 行 (ENBD)が 貸 し 増 したためである 同 行 の 融 資 における 政 府 変 調 は 企 業 統 治 及 びリスク 管 理 の 点 か ら 懸 念 される ドバイ 政 府 及 び 政 府 系 機 関 の 総 債 務 のうち,640 億 ドルの 返 済 は2014 年 から2016 年 となっ ドバイの 環 境 は 大 きく 改 善 したが, 巨 額 の 借 り 換 え, 特 に 政 府 系 企 業 による 借 り 換 えは 依 然 大 きな 課 題 である 20 中 東 協 力 センターニュース

相 反 する 難 しい 政 策 目 標 の 同 時 実 現 を 迫 られる トルコ 中 央 銀 行 通 貨 安 の 防 止 資 本 流 出 の 抑 制 と 景 気 後 退 の 回 避 という 難 しい 政 策 目 標 の 同 時 実 現 を 迫 られるトルコ 中 央 銀 行 は,2013 年 7 月 23 日, 取 り 敢 えず 通 貨 安 の 防 止 資 本 流 出 の 抑 制 を 目 指 して 上 限 金 利 である 翌 日 貸 出 金 利 を6.5 %から0.75% 引 き 上 げて7.25%とすることを 決 定 した 但 し, 主 要 な 政 策 金 利 である1 週 間 物 レポの 金 利 及 び 下 限 金 利 である 翌 日 物 借 入 金 利 は,4.5%,3.5%にそれぞれ 据 え 置 いた トルコでは, 米 国 が 金 融 緩 和 を 早 期 に 縮 小 す るとの 見 方 が 台 頭 していたことから, 資 本 の 流 出 と 同 国 通 貨 リラ 安 の 動 きが 進 み 始 め こうしたことから,トルコ 中 央 銀 行 は,7 月 中 旬 に 大 規 模 な 為 替 介 入 を 実 施 し,トルコ 安 の 防 止 のために 多 額 の 外 貨 準 備 の 売 却 に 踏 み 切 って いた しかし, 既 にトルコ 中 央 銀 行 は,2013 年 に 入 って 以 降 の 合 計 で 保 有 する 外 貨 準 備 の 約 15% 相 当 の66 億 ドルを 売 却 してしまったため, 外 貨 売 却 を 通 じた 介 入 によるトルコ 安 の 防 止 策 には 限 界 が 出 ていた 因 みに,トルコ リラは2013 年 に 入 ってから 約 7%も 価 値 を 下 落 させ 但 し, 金 利 の 引 き 下 げは 減 速 が 顕 著 となった トルコ 経 済 にマイナスの 影 響 を 及 ぼすことにな る 2010,2011 年 と8% 超 の 高 成 長 を 記 録 した トルコの2012 年 の 成 長 率 は, 金 融 引 き 締 めや 主 要 輸 出 先 である 欧 州 の 景 気 低 迷 などから 僅 か 2.2%へと 大 きく 減 速 してしまった このため, トルコ 中 央 銀 行 は,2013 年 4 月 と5 月 に 開 いた 金 融 政 策 決 定 会 合 で, 景 気 刺 激 策 が 必 要 との 判 断 から 政 策 金 利 である1 週 間 物 レポ 金 利 を 連 続 して 引 き 下 げて4.5%にした 経 緯 がある つまり,2013 年 4 月,5 月 は 景 気 刺 激 のため に 金 利 の 引 き 下 げを 行 ったにもかかわらず,7 月 には 通 貨 安 の 防 止 資 本 流 出 の 抑 制 の 観 点 から 逆 に 金 利 の 引 き 上 げを 余 儀 なくされたわ けである トルコの2013 年 第 1 四 半 期 (1~3 月 )の 経 済 成 長 率 も, 潜 在 成 長 率 と 言 われる4 ~5%を 下 回 る 約 3%に 終 わっ トルコ 中 央 銀 行 は,インフレ 率 が 中 期 目 標 に 収 まるまで 慎 重 な 政 策 を 取 り 続 けると 公 言 ししかし,2013 年 6 月 のインフレ 率 も 8.3%と 年 末 時 点 での 目 標 5%を 大 きく 上 回 っ 矛 盾 する 政 策 目 標 の 中 で 今 後 どのよう な 金 融 政 策 を 打 ち 出 すことになるのか 公 園 の 再 開 発 計 画 を 発 端 として 国 民 のエルドアン 政 権 に 対 する 信 頼 が 揺 らぎ 始 めている 時 だけに, 難 しいかじ 取 りを 余 儀 なくされ 続 けよう 補 助 金 の20% 削 減 に 乗 り 出 すモロッコ モロッコのムハンマド ナジブ 総 務 統 治 相 は,2013 年 6 月 14 日, 国 際 通 貨 基 金 (IMF)の 承 認 したクレジット ラインを 維 持 するため 補 助 金 の20% 削 減 に 乗 り 出 すことを 明 らかにし た 国 際 通 貨 基 金 (IMF)は,2012 年 8 月,モ ロッコが 補 助 金 及 び 年 金 制 度 を 改 革 することを 条 件 として, 向 こう2 年 に 亘 り 予 備 的 なクレジ ット ラインとして62 億 ドルを 承 認 し 国 際 通 貨 基 金 (IMF)の 経 済 調 査 団 は2013 年 6 月 上 旬 の2 週 間,モロッコを 訪 問 し, 同 国 の 財 政 状 態 について 厳 格 に 調 査 し, 予 備 的 クレジ ット ラインの 承 認 時 に 約 束 した 基 準 を 同 国 が 順 守 しているか 否 か 精 査 して 廻 った モロッコの 国 営 通 信 は,ムハンマド ナジブ 総 務 統 治 相 が 我 々は 補 助 金 支 出 の 緩 和 で 合 意 し, 国 家 予 算 で 予 測 した400 億 ディルハム 乃 至 420 億 ディルハムを 上 限 とすることとした 但 し,2013 年 の 補 助 金 額 は, 国 際 市 場 における 価 格 動 向 及 び 国 内 需 要 の 変 動 次 第 ではある (ロイ ター 通 信 2013 年 6 月 15 日 )との 声 明 を 発 表 し こうしたモロッコ 政 府 の 姿 勢 についてラバト のハッサン 二 世 国 王 農 学 研 究 所 のエコノミスト であるナジブ アケスビ 氏 は, 次 のように 論 評 し 21 中 東 協 力 センターニュース

1 国 際 市 場 の 商 品 価 格 が 安 定 していれば, 政 府 の 支 出 額 は 計 画 額 を 下 回 ろう 2 政 府 は 改 革 をしているのではなく 賭 けをし 補 助 金 基 金 の 役 員 会 は, 補 助 金 が2012 年 の 国 内 総 生 産 (GDP)の6.4% 相 当 の533 億 6,000 万 デ ィルハムに 達 したと 発 表 し 補 助 金 の 主 な 内 訳 は, 石 油 補 助 金 が324 億 ディルハム,ガス 補 助 金 が158 億 ディルハム, 砂 糖 補 助 金 が50 億 デ ィルハムである ハッサン 二 世 国 王 の 周 囲 にい る 政 治 家 たちは, 大 幅 な 補 助 金 の 削 減 により 国 民 の 生 活 水 準 が 低 下 し 再 び 政 治 経 済 改 革 を 要 求 する 路 上 抗 議 が 起 こることを 懸 念 し なお,イスラム 穏 健 派 の 公 正 発 展 党 (PJD) と 連 立 政 権 を 組 むその 他 与 党 政 党 は,アブデリ ラフ ベンキラーネ 首 相 が 食 料 及 びエネルギー の 補 助 金 削 減 計 画 を 下 方 修 正 しない 限 り, 連 立 から 離 脱 するとの 脅 しをかけてきた 実 際, 連 立 政 権 の 一 翼 を 担 ってきた 中 道 右 派 のイスティガル( 独 立 党 )が,2013 年 7 月 9 日, 離 脱 を 発 表 した イスティガル( 独 立 党 )は2011 年 11 月 25 日 に 行 われた 憲 法 改 正 後 初 の 議 会 ( 定 数 395 人 )の 選 挙 で, 穏 健 イスラム 政 党 公 正 発 展 党 (PJD) の107 議 席 に 次 ぐ60 議 席 を 獲 得 し 第 二 党 に 躍 進 していた モロッコ 議 会 は,それ から 約 2ヵ 月 後 の2012 年 1 月 26 日,イスラム 穏 健 政 党 の 公 正 発 展 党, 独 立 党 (イスティグラル), 人 民 運 動, 進 歩 社 会 主 義 党 ( 元 共 産 党 )の4 党 で 構 成 する 連 立 政 権 及 び 同 政 権 の 経 済 政 策 案 を 賛 成 218 票, 反 対 135 票 で 承 認 した イスティガル( 独 立 党 )のアディル ベンハ ムザ 報 道 官 は,2013 年 7 月 9 日,アブデリラ ベンキラーネ 首 相 が 国 民 を 代 表 する 連 立 政 権 の 代 表 としてではなく 政 党 の 党 首 として 振 る 舞 っ ていると 非 難 した 連 立 政 権 に 財 務 相 を 含 む6 閣 僚 を 送 り 込 むイスティガル( 独 立 党 )は,GDP の6.4%に 達 成 した 補 助 金 約 61.6 億 ドルの20%を ラマダン( 断 食 )の 終 了 と 共 に 削 減 するとの 政 府 案 を 特 に 強 く 批 判 し 上 述 したように,モロッコは 国 際 通 貨 基 金 (IMF)から62 億 ドルの 与 信 枠 を 得 るに 際 して, 歳 出 を 厳 格 に 管 理 し2012 年 には7.1%に 達 した 財 政 赤 字 の 対 GDP 比 率 を2017 年 までに3%に 引 き 下 げるよう 強 い 圧 力 を 受 け イスティガル( 独 立 党 )の 連 立 政 権 離 脱 を 受 けた 穏 健 イスラム 政 党 公 正 発 展 党 (PJD) に は 二 つの 選 択 肢 しかない 第 一 は 内 閣 の 改 造 で あり, 第 二 は 総 選 挙 の 実 施 である 公 正 発 展 党 (PJD) は7 月 14 日, 党 内 の 意 見 を 取 りまとめ るべく 会 議 を 開 催 したが, 多 くはイスティガル ( 独 立 党 )に 代 わる 政 党 を 連 立 政 権 に 迎 えて 同 党 が 占 めていた 閣 僚 を 改 めて 別 の 党 から 任 命 する との 考 えに 傾 い 新 たな 連 立 候 補 に 挙 げ られたのが, 前 回 の 議 会 選 挙 で52 議 席 を 獲 得 し た 独 立 国 民 集 合 (NRI)である 但 し, 独 立 国 民 集 合 (NRI)は 公 正 発 展 党 (PJD)が 中 心 となりまとめた 政 府 案 に 反 対 票 を 投 じた 経 緯 が あるので,2012 年 1 月 に 議 会 で 採 択 された 現 行 の 政 府 案 を 再 び 議 会 で 選 挙 に 付 す 必 要 が 出 てこ よう なお,イスティガル( 独 立 党 )のハミッド シャバト 党 首 は,エジプトのモルシ 大 統 領 の 解 任 を 受 け,アブデリラ ベンキラーネ 首 相 の 終 焉 を 望 みたいと 発 言 し, 穏 健 イスラム 政 党 の 公 正 発 展 党 (PJD)が 政 策 の 実 行 面 で 怠 惰 である 上 に 権 力 を 独 占 しようとしていると 非 難 してい る 22 中 東 協 力 センターニュース