税 制 A to Z 2013 年 11 月 25 日 全 6 頁 復 興 特 別 法 人 税 の 前 倒 し 廃 止 の 検 討 民 間 投 資 活 性 化 等 のための 税 制 改 正 大 綱 の 解 説 その 4( 最 終 回 ) 金 融 調 査 部 研 究 員 是 枝 俊 悟 [ 要 約 ] 平 成 25 年 10 月 1 日 自 由 民 主 党 および 公 明 党 は 民 間 投 資 活 性 化 等 のための 税 制 改 正 大 綱 ( 以 下 大 綱 )を 発 表 した 本 稿 では 大 綱 にて 検 討 事 項 とされた 復 興 特 別 法 人 税 の 前 倒 し 廃 止 と 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げについて 解 説 する 大 綱 では (3 月 決 算 法 人 の 場 合 ) 現 在 の 法 律 上 平 成 26 年 度 まで 課 税 されることとな っている 復 興 特 別 法 人 税 について 1 年 前 倒 しで 平 成 25 年 度 をもって 廃 止 することに ついて 検 討 し 12 月 中 に 結 論 を 得 る としている もっとも 世 論 調 査 などによると 復 興 特 別 法 人 税 の 前 倒 し 廃 止 について 現 時 点 では 国 民 ( 特 に) 被 災 者 の 理 解 は 十 分 には 得 られていない 模 様 である 政 府 与 党 等 は 代 替 財 源 の 確 保 賃 金 上 昇 の 実 現 国 民 や 被 災 者 への 丁 寧 な 説 明 を 行 う 必 要 があるだろう 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げについて これまでの 政 府 の 方 針 は 平 成 27 年 度 以 降 検 討 することとされていたが 大 綱 では 今 後 速 やかに 検 討 を 開 始 する とされた 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げと 今 回 の 大 綱 により 拡 充 される 生 産 性 向 上 設 備 投 資 促 進 税 制 や 所 得 拡 大 促 進 税 制 の 縮 小 を 引 き 換 えにする 可 能 性 も 考 えられる [ 目 次 ] 税 制 改 正 大 綱 について 2 ページ 1. 復 興 特 別 法 人 税 の 前 倒 し 廃 止 の 検 討 2 ページ 2. 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げの 検 討 5 ページ 設 備 投 資 関 連 研 究 開 発 促 進 税 制 は 拙 稿 設 備 投 資 減 税 大 幅 拡 充 (2013 年 10 月 15 日 )を 参 照 http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/tax/20131015_007788.html 所 得 拡 大 促 進 税 制 は 拙 稿 所 得 拡 大 税 制 の 恩 恵 を 受 けられる 企 業 とは? (2013 年 10 月 25 日 )を 参 照 http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/tax/20131025_007830.html その 他 の 産 業 競 争 力 強 化 法 関 連 税 制 は 拙 稿 法 人 のベンチャー 投 資 事 業 再 編 の 優 遇 税 制 (2013 年 11 月 5 日 )を 参 照 http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/tax/20131105_007858.html 株 式 会 社 大 和 総 研 丸 の 内 オフィス 100-6756 東 京 都 千 代 田 区 丸 の 内 一 丁 目 9 番 1 号 グラントウキョウ ノースタワー このレポートは 投 資 勧 誘 を 意 図 して 提 供 するものではありません このレポートの 掲 載 情 報 は 信 頼 できると 考 えられる 情 報 源 から 作 成 しておりますが その 正 確 性 完 全 性 を 保 証 する ものではありません また 記 載 された 意 見 や 予 測 等 は 作 成 時 点 のものであり 今 後 予 告 なく 変 更 されることがあります 大 和 総 研 の 親 会 社 である 大 和 総 研 ホールディングスと 大 和 証 券 は 大 和 証 券 グループ 本 社 を 親 会 社 とする 大 和 証 券 グループの 会 社 です 内 容 に 関 する 一 切 の 権 利 は 大 和 総 研 にあります 無 断 での 複 製 転 載 転 送 等 はご 遠 慮 ください
2 / 6 税 制 改 正 大 綱 について 平 成 25 年 10 月 1 日 安 倍 首 相 は 現 行 の 法 律 通 り 平 成 26 年 4 月 1 日 に 消 費 税 率 を 5%から 8% に 引 き 上 げることを 決 断 し 内 閣 は 消 費 税 率 及 び 地 方 消 費 税 率 の 引 上 げとそれに 伴 う 対 応 に ついて を 閣 議 決 定 した これとともに 同 日 自 由 民 主 党 および 公 明 党 は 民 間 投 資 活 性 化 等 のための 税 制 改 正 大 綱 を 発 表 した( 以 下 単 に 大 綱 と 述 べるときは 民 間 投 資 活 性 化 等 のための 税 制 改 正 大 綱 のことをいう) 例 年 与 党 1 の 税 制 改 正 大 綱 は 12 月 中 をめどに 発 表 される ただし 今 回 は 来 年 4 月 に 実 施 す る 消 費 税 率 引 き 上 げに 伴 う 経 済 対 策 と 成 長 力 強 化 のための 総 合 的 な 対 策 が 必 要 であることから 日 本 再 興 戦 略 に 盛 り 込 まれている 民 間 投 資 を 活 性 化 させるための 税 制 措 置 等 については 通 常 の 年 度 改 正 から 切 り 離 して 前 倒 しで 税 制 改 正 大 綱 が 決 定 されることとなった 今 後 年 末 にかけて 与 党 (および 政 府 ) 内 で 通 常 の 年 度 改 正 の 議 論 が 行 われ 12 月 中 をめど に 平 成 26 年 度 税 制 改 正 大 綱 が 発 表 されるものと 考 えられる 民 間 投 資 活 性 化 等 のための 税 制 改 正 大 綱 については 平 成 26 年 度 税 制 改 正 大 綱 と 併 せて 税 制 改 正 法 案 として 策 定 され 平 成 26 年 3 月 末 までに 国 会 提 出 され 成 立 するものと 考 えられる 1. 復 興 特 別 法 人 税 の 前 倒 し 廃 止 の 検 討 大 綱 では 復 興 特 別 法 人 税 および 法 人 実 効 税 率 についての 改 正 は 明 記 されず 今 後 の 検 討 事 項 として 扱 われた 復 興 特 別 法 人 税 導 入 の 経 緯 東 日 本 大 震 災 からの 復 興 のための 施 策 に 係 る 費 用 を 捻 出 するための 税 制 として 平 成 23 年 11 月 に 復 興 財 確 法 2 が 成 立 し 復 興 特 別 所 得 税 と 復 興 特 別 法 人 税 が 導 入 された 3 復 興 特 別 所 得 税 は 個 人 が 納 める 4 所 得 税 額 に 2.1%を 上 乗 せするもので 平 成 25 年 1 月 から 平 成 49 年 12 月 まで 25 年 間 課 税 するものである 復 興 特 別 法 人 税 は 法 人 が 納 める 法 人 税 額 ( 国 税 としての 法 人 税 額 で 法 人 住 民 税 等 を 含 め ない)に 10%を 上 乗 せするもので 平 成 24 年 4 月 1 日 以 後 開 始 事 業 年 度 から 原 則 3 年 間 (3 月 1 民 主 党 中 心 の 政 権 下 においては 税 制 改 正 大 綱 の 作 成 主 体 は 与 党 ではなく 政 府 であった 2 正 式 名 称 は 東 日 本 大 震 災 からの 復 興 のための 施 策 を 実 施 するために 必 要 な 財 源 の 確 保 に 関 する 特 別 措 置 法 3 同 時 期 に 成 立 した 東 日 本 大 震 災 からの 復 興 に 関 し 地 方 公 共 団 体 が 実 施 する 防 災 のための 施 策 に 必 要 な 財 源 の 確 保 に 係 る 地 方 税 の 臨 時 特 例 に 関 する 法 律 により 個 人 住 民 税 の 均 等 割 の 標 準 税 率 の 引 き 上 げが 平 成 26 年 6 月 から 行 われるが こちらは 復 興 特 別 所 得 税 や 復 興 特 別 法 人 税 と 異 なり 法 律 上 の 使 途 の 制 限 はない 4 源 泉 徴 収 の 所 得 税 については 法 人 も 支 払 うこともあるが その 額 は 原 則 として 法 人 税 額 等 から 控 除 されるた め 原 則 として 法 人 は 所 得 税 を 負 担 しない 復 興 特 別 所 得 税 についても 同 じである
3 / 6 決 算 法 人 の 場 合 平 成 24 年 度 ~ 平 成 26 年 度 の 3 年 間 ) 課 税 するものである 復 興 財 源 に 充 てられる 税 とその 実 施 期 間 税 収 等 の 当 初 ( 平 成 23 年 11 月 )の 見 込 み 額 をま とめたものが 次 の 図 表 1 である 図 表 1 復 興 財 源 に 充 てられる 税 収 ( 平 成 23 年 11 月 時 点 の 見 込 み) 当 初 の 見 込 み 額 ( 単 位 : 億 円 ) 1 年 あたり の 税 収 実 施 期 間 総 税 収 復 興 特 別 所 得 税 2,900 25 年 平 成 25 年 1 月 ~49 年 12 月 72,500 復 興 特 別 法 人 税 8,000 3 年 平 成 24 年 度 ~26 年 度 24,000 住 民 税 均 等 割 600 10 年 平 成 26 年 6 月 ~36 年 5 月 6,000 住 民 税 退 職 所 得 10% 税 額 控 除 廃 止 170 合 計 10 年 ( 平 成 25 年 1 月 ~)( 注 ) 1,700 104,200 ( 注 ) 住 民 税 退 職 所 得 10% 税 額 控 除 廃 止 については 恒 久 的 な 制 度 改 正 だが この 改 正 によって 得 られる 増 収 額 の10 年 分 の 金 額 について 復 興 財 源 ( 地 方 自 治 体 における 防 災 対 策 等 の 財 源 )に 充 てるものとされている ( 出 所 ) 大 和 総 研 作 成 なお 復 興 特 別 法 人 税 の 導 入 は 法 人 税 の 税 率 の 引 き 下 げ(および 課 税 ベースの 拡 大 )とセ ットで 行 われた 国 税 としての 法 人 税 の 税 率 は 平 成 24 年 4 月 1 日 以 後 開 始 事 業 年 度 より 30%か ら 25.5%に 引 下 げられた 法 人 所 得 に 対 して 課 される 税 は 他 に 住 民 税 事 業 税 地 方 法 人 特 別 税 があり これらを 含 めた 法 人 実 効 税 率 ( 法 人 所 得 に 対 して 国 税 地 方 税 の 計 で 何 %の 税 が 課 されるか)を 求 め ると 次 の 図 表 2 のようになる 図 表 2 法 人 実 効 税 率 の 推 移 ( 現 行 法 による) A B C D E F 事 業 税 標 準 税 率 地 方 法 人 特 別 税 税 率 復 興 特 別 法 人 税 率 法 人 税 率 住 民 税 率 事 業 税 率 法 人 実 効 税 率 事 業 税 等 法 人 税 額 の 所 得 の 所 得 の 所 得 D 控 除 後 所 得 の の 金 額 の 法 人 税 額 の 1 平 成 23 年 度 以 前 30.00% 20.70% 3.26% 2.90% 148.00% - 40.69% 2 平 成 24~26 年 度 25.50% 20.70% 3.26% 2.90% 148.00% 10.00% 38.01% 3 平 成 27 年 度 以 後 25.50% 20.70% 3.26% 2.90% 148.00% - 35.64% ( 注 ) 各 税 率 は 東 京 都 外 形 標 準 課 税 法 人 の 場 合 である 表 示 単 位 未 満 四 捨 五 入 A A B C D E 法 人 実 効 税 率 = (1 3) 1 C D E A A B C D E A F 法 人 実 効 税 率 = (2) 1 C D E ( 出 所 ) 法 令 条 例 等 をもとに 大 和 総 研 作 成 各 税 の 法 人 実 効 税 率 相 当 の 税 率 をまとめたものが 次 の 図 表 3 である 復 興 特 別 法 人 税 は 法 人 実 効 税 率 換 算 で 2.37% 分 を 占 めている 現 行 法 では 平 成 27 年 度 以 後 復 興 特 別 法 人 税 が 廃 止 され 法 人 実 効 税 率 は 現 在 の 38.01%から 35.64%へと 引 き 下 げられ
4 / 6 る 予 定 となっている 図 表 3 各 税 目 の 法 人 実 効 税 率 相 当 の 税 率 ( 現 行 法 による) 法 人 税 地 方 法 人 復 興 特 別 法 人 実 効 住 民 税 事 業 税 特 別 税 法 人 税 税 率 平 成 23 年 度 以 前 27.89% 3.99% 5.77% 3.03% 40.69% 平 成 24~26 年 度 23.71% 3.99% 2.37% 4.91% 3.03% 38.01% 平 成 27 年 度 以 後 23.71% 3.99% 4.91% 3.03% 35.64% ( 注 ) 法 人 実 効 税 率 相 当 の 税 率 とは 各 税 の 税 率 が 法 人 実 効 税 率 に 換 算 して 何 %で あるかを 示 すものである 各 税 の 法 人 実 効 税 率 相 当 の 税 率 を 全 て 足 し 上 げたものが 法 人 実 効 税 率 である 表 示 単 位 未 満 四 捨 五 入 ( 出 所 ) 大 和 総 研 作 成 大 綱 における 記 述 と 実 現 への 道 筋 大 綱 における 復 興 特 別 法 人 税 に 関 する 記 述 は 下 記 の 通 りである 足 元 の 経 済 成 長 を 賃 金 上 昇 につなげることを 前 提 に 復 興 特 別 法 人 税 の 一 年 前 倒 しでの 廃 止 に ついて 検 討 する その 検 討 にあたっては 税 収 の 動 向 などを 見 極 めて 復 興 特 別 法 人 税 に 代 わる 復 興 財 源 を 確 保 すること 国 民 の 理 解 なかでも 被 災 地 の 方 々の 十 分 な 理 解 を 得 ること 及 び 復 興 特 別 法 人 税 の 廃 止 を 確 実 に 賃 金 上 昇 につなげられる 方 策 と 見 通 しを 確 認 すること 等 を 踏 まえたうえで 12 月 中 に 結 論 を 得 る ( 注 ) 下 線 は 筆 者 による ( 出 所 ) 大 綱 復 興 特 別 法 人 税 の 1 年 前 倒 しでの 廃 止 については 民 間 投 資 活 性 化 等 のための 税 制 改 正 大 綱 ではなく 通 常 の 年 度 改 正 での 平 成 26 年 度 税 制 改 正 大 綱 に 結 論 が 先 送 りされた 平 成 26 年 度 税 制 改 正 大 綱 の 決 定 時 において 復 興 特 別 法 人 税 を 1 年 前 倒 しで 廃 止 できる か 否 かは 1 代 替 財 源 を 確 保 できるか 2 賃 金 上 昇 につなげられる( 見 込 み)か 3 国 民 ( 特 に 被 災 地 )の 理 解 を 得 られるかの 3 点 が 重 要 となる 1については 経 済 産 業 省 は 法 人 税 収 の 上 振 れ 分 を 復 興 特 会 に 繰 り 入 れること 等 により 1 年 前 倒 しで 復 興 財 源 を 確 保 消 費 税 率 引 上 げ 分 を 法 人 減 税 に 使 うものでは 決 してない 5 とし ている 2については 年 末 の 賞 与 妥 結 額 の 動 向 来 春 の 春 闘 に 向 けた 労 使 の 取 り 組 み 姿 勢 経 済 界 の 主 要 人 物 による 賃 上 げ 方 針 に 関 する 発 言 などから 総 合 的 に 判 断 することになるものと 思 われ 5 平 成 26 年 度 の 経 済 産 業 省 の 税 制 改 正 要 望 ( 大 綱 発 表 後 に 追 加 公 表 したもの)による http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2014/request/meti/index.htm
5 / 6 る 3については 世 論 調 査 の 中 には 復 興 特 別 法 人 税 の 廃 止 について 反 対 と 回 答 する 者 が 65%( 東 北 地 方 においては 74%)を 占 めているものもあり 6 現 時 点 では 国 民 ( 特 に 被 災 者 )の 理 解 は 十 分 に 得 られているとは 言 えないだろう 政 府 与 党 は まずは 1の 代 替 財 源 の 確 保 や2の 賃 金 上 昇 につなげられる 見 込 みを 得 て そのことを 国 民 や 被 災 者 に 丁 寧 に 説 明 を 行 うことにより 国 民 ( 特 に 被 災 者 )の 理 解 を 得 る 必 要 があるだろう 2. 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げの 検 討 これまで 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げについては 消 費 税 法 改 正 法 7 により 平 成 27 年 度 以 降 に 検 討 するものとされていた 法 人 課 税 については 平 成 27 年 度 以 降 において 雇 用 及 び 国 内 投 資 の 拡 大 の 観 点 から 実 効 税 率 の 引 下 げの 効 果 及 び 主 要 国 との 競 争 上 の 諸 条 件 等 を 検 証 しつつ その 在 り 方 について 検 討 す ること ( 注 ) 下 線 は 筆 者 による ( 出 所 ) 消 費 税 法 改 正 法 大 綱 における 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げについての 記 述 は 次 の 通 りである なお 法 人 課 税 については 企 業 の 国 際 競 争 力 や 立 地 競 争 力 の 強 化 のため 国 地 方 を 合 わせ た 表 面 税 率 である 法 人 実 効 税 率 を 引 き 下 げるべきとの 意 見 がある わが 国 が 直 面 する 産 業 構 造 や 事 業 環 境 の 変 化 の 中 で 法 人 実 効 税 率 引 下 げが 雇 用 や 国 内 投 資 に 確 実 につながっていくの か その 政 策 効 果 を 検 証 する 必 要 がある 表 面 税 率 を 引 き 下 げる 場 合 には 財 政 の 健 全 化 を 勘 案 し ヨーロッパ 諸 国 でも 行 われたように 政 策 減 税 の 大 幅 な 見 直 しなどによる 課 税 ベースの 拡 大 や 他 税 目 での 増 収 策 による 財 源 確 保 を 図 る 必 要 がある こうした 点 を 踏 まえつつ 法 人 実 効 税 率 の 在 り 方 について 今 後 速 やかに 検 討 を 開 始 することとする ( 注 ) 下 線 は 筆 者 による ( 出 所 ) 大 綱 6 10 月 1 日 ~2 日 に 実 施 した 共 同 通 信 社 による 世 論 調 査 10 月 3 日 付 岩 手 日 報 朝 刊 3 面 などに 掲 載 7 消 費 税 率 の 8% 10%への 2 段 階 の 引 き 上 げを 定 めた 法 律 正 確 には 社 会 保 障 の 安 定 財 源 の 確 保 等 を 図 る 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 を 行 うための 消 費 税 法 の 一 部 を 改 正 する 等 の 法 律
6 / 6 法 人 実 効 税 率 の 在 り 方 について 平 成 27 年 度 以 降 ではなく 今 後 速 やかに 検 討 を 開 始 することとされた もっとも 法 人 実 効 税 率 を 引 き 下 げるにあたっては 1 雇 用 や 国 内 投 資 につながるか 2 財 源 を 確 保 できるのかの 2 点 が 重 要 な 検 討 事 項 となる 1の 雇 用 や 国 内 投 資 について 大 和 総 研 では 平 均 実 効 税 率 8 を 10% 引 き 下 げると 国 内 企 業 の 海 外 生 産 比 率 を 1.5% 低 下 させ 日 本 からの 輸 出 が 年 約 2.3 兆 円 増 加 するものと 推 計 している 9 また 慶 應 義 塾 大 学 経 済 学 部 の 土 居 丈 朗 教 授 の 論 文 では 法 人 税 の 負 担 は 短 期 的 (1 年 目 )に は 約 80~ 90% が 資 本 所 得 に 帰 着 するが 時 間 が 経 つにつれて 労 働 所 得 に 帰 着 する 割 合 が 高 ま り 長 期 的 には 100% 労 働 所 得 に 帰 着 する 試 算 結 果 が 示 されている 10 2の 財 源 については 今 回 の 大 綱 による 政 策 減 税 の 出 口 戦 略 としての 実 施 も 考 えられる 今 回 の 大 綱 による 改 正 で 政 策 減 税 が 大 きく 拡 大 され そのうち 主 に 法 人 税 に 関 するもの の 規 模 は 平 年 度 ベースで 8,900 億 円 程 度 である 11 大 綱 による 生 産 性 向 上 設 備 投 資 促 進 税 制 や 所 得 拡 大 促 進 税 制 は 企 業 に 設 備 投 資 や 賃 上 げのインセンティブを 与 えるものになっている しかし これらの 制 度 は 平 成 28 年 度 ~29 年 度 には 廃 止 される 時 限 的 な 措 置 とされている 廃 止 後 には 設 備 投 資 や 賃 上 げに 積 極 的 な 企 業 ほど 法 人 税 額 が 大 きく 増 えることにもなり 出 口 戦 略 が 難 しくなることも 考 えられる こうした 点 を 踏 まえ 大 綱 による 政 策 減 税 措 置 の 廃 止 縮 小 と 引 き 換 えに 法 人 実 効 税 率 を 引 き 下 げる 可 能 性 も 考 えられる 以 上 8 法 人 実 効 税 率 は 法 人 税 等 の 税 率 のみを 考 慮 したもので 租 税 特 別 措 置 等 の 政 策 減 税 の 影 響 を 考 慮 していな い 平 均 実 効 税 率 とは 租 税 特 別 措 置 等 の 政 策 減 税 の 影 響 も 考 慮 した 上 で 法 人 所 得 に 対 し 実 際 に 何 %の 法 人 税 等 がかかっているかを 示 すものである 9 齋 藤 勉 法 人 税 減 税 の 効 果 をどう 考 えるか (2013 年 10 月 2 日 ) 参 照 http://www.dir.co.jp/research/report/japan/sothers/20131002_007748.html 10 土 居 丈 朗 法 人 税 の 帰 着 に 関 する 動 学 的 分 析 簡 素 なモデルによる 分 析 RIETI Discussion Paper Series 01-J-034(2010 年 6 月 ) 参 照 http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/10j034.pdf 11 消 費 税 率 及 び 地 方 消 費 税 率 の 引 上 げとそれに 伴 う 対 応 について ( 平 成 25 年 10 月 1 日 閣 議 決 定 )による 8,900 億 円 の 中 には 個 人 事 業 主 に 係 る 所 得 税 や 固 定 資 産 税 や 登 録 免 許 税 の 減 税 措 置 の 減 収 見 込 み 額 も 含 まれて いるが 大 部 分 は 法 人 税 の 減 収 見 込 み 額 であろう