< F31322D8CBE D F7582CC905F82C689A42E6A7464>



Similar documents
別 紙

4 教 科 に 関 する 調 査 結 果 の 概 況 校 種 学 年 小 学 校 2 年 生 3 年 生 4 年 生 5 年 生 6 年 生 教 科 平 均 到 達 度 目 標 値 差 達 成 率 国 語 77.8% 68.9% 8.9% 79.3% 算 数 92.0% 76.7% 15.3% 94

資 格 給 付 関 係 ( 問 1) 外 国 人 Aさん(76 歳 )は 在 留 期 間 が3ヶ 月 であることから 長 寿 医 療 の 被 保 険 者 ではない が 在 留 資 格 の 変 更 又 は 在 留 期 間 の 伸 長 により 長 寿 医 療 の 適 用 対 象 となる 場 合 には 国

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

神 戸 法 学 雑 誌 65 巻 1 号 45 神 戸 法 学 雑 誌 第 六 十 五 巻 第 一 号 二 〇 一 五 年 六 月 a b c d 2 a b c 3 a b 4 5 a b c

答申第585号

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

 

2 前 項 に 定 める 日 に 支 給 する 給 与 は 総 額 給 与 を12 分 割 した 額 ( 以 下 給 与 月 額 という ) 扶 養 手 当 住 居 手 当 通 勤 手 当 単 身 赴 任 手 当 寒 冷 地 手 当 及 び 業 績 手 当 並 びに 前 月 分 の 超 過 勤 務

目 標 を 達 成 するための 指 標 第 4 章 計 画 における 環 境 施 策 世 界 遺 産 への 登 録 早 期 登 録 の 実 現 史 跡 の 公 有 地 化 平 成 27 年 度 (2015 年 度 )までに 235,022.30m 2 施 策 の 体 系 1 歴 史 的 遺 産 とこ

0605調査用紙(公民)

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

<4D F736F F D DB8CAF88E397C38B408AD6816A2E646F63>

1.H26年エイズ発生動向年報ー概要

< E8BE08F6D2082C682B DD2E786C7378>

目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

PowerPoint プレゼンテーション

安 芸 太 田 町 学 校 適 正 配 置 基 本 方 針 の 一 部 修 正 について 1 議 会 学 校 適 正 配 置 調 査 特 別 委 員 会 調 査 報 告 書 について 安 芸 太 田 町 教 育 委 員 会 が 平 成 25 年 10 月 30 日 に 決 定 した 安 芸 太 田

4 調 査 の 対 話 内 容 (1) 調 査 対 象 財 産 の 土 地 建 物 等 を 活 用 して 展 開 できる 事 業 のアイディアをお 聞 かせく ださい 事 業 アイディアには, 次 の 可 能 性 も 含 めて 提 案 をお 願 いします ア 地 域 の 活 性 化 と 様 々な 世

固定資産評価審査申出とは

<4D F736F F D20328FCD5F8F5A82DC82A282DC82BF82C382AD82E882CC89DB91E8>

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

<4D F736F F D2095BD90AC E398C8E323793FA95D78BAD89EFDABCDEADD22E646F6378>

●電力自由化推進法案

 三郷市市街化調整区域の整備及び保全の方針(案)

- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

Microsoft Word 役員選挙規程.doc

平 成 34 年 4 月 1 日 から 平 成 37 年 3 月 31 日 まで 64 歳 第 2 章 労 働 契 約 ( 再 雇 用 希 望 の 申 出 ) 第 3 条 再 雇 用 職 員 として 継 続 して 雇 用 されることを 希 望 する 者 は 定 年 退 職 日 の3か 月 前 まで

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

はファクシミリ 装 置 を 用 いて 送 信 し 又 は 訪 問 する 方 法 により 当 該 債 務 を 弁 済 す ることを 要 求 し これに 対 し 債 務 者 等 から 直 接 要 求 しないよう 求 められたにもかか わらず 更 にこれらの 方 法 で 当 該 債 務 を 弁 済 するこ

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

役員退職金支給規程

Microsoft Word - 19年度(行情)答申第081号.doc

<4D F736F F D B3817A8E9096E291E D86939A905C>

住 民 監 査 請 求 に 係 る 監 査 結 果 第 1 請 求 の 受 付 1 請 求 の 受 付 日 平 成 25 年 10 月 15 日 2 請 求 人 ( 省 略 ) 3 請 求 の 趣 旨 ( 原 文 のまま 掲 載 ) 請 求 の 要 旨 阿 波 町 大 道 北 54 番 地 1 と

Microsoft PowerPoint - エントリー04_結婚TextVoice


千葉県高校受験 私立高校学費一覧

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

Microsoft Word - H28第2回瀬戸内海シラス予報(確定版)

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

役員退職手当規程

面 を 保 佐 人 又 は 補 助 人 の 同 意 を 要 する 場 合 は 同 意 を 証 する 書 面 を 提 出 する ものとする 前 項 の 場 合 代 理 人 は 代 理 人 自 身 の 本 人 であることを 証 する 書 面 を 保 佐 人 及 び 補 助 人 は 株 主 本 人 の 保

1. 商 品 ( 契 約 )の 概 要 一 般 外 貨 定 期 預 金 とは 外 貨 預 金 ( 本 邦 通 貨 以 外 の 外 貨 建 ての 預 金 )のうち あらかじめ 預 金 の 期 間 を 定 め 原 則 としてその 期 間 中 は 払 い 戻 しの 請 求 に 応 じないことを 条 件 と

<4D F736F F D2090BC8BBB959491BA8F5A91EE8A C52E646F63>

子ども手当見直しによる家計への影響~高所得者層の可処分所得は大幅減少に

m07 北見工業大学 様式①

<4D F736F F D D B696BD955C82A982E782DD82E98AE28EE88CA782C68CA793E08E7392AC91BA82CC95BD8BCF8EF596BD>

Microsoft Word - A04◆/P doc

1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

Microsoft Word - 19年度(行個)答申第94号.doc

3 体 制 整 備 等 (1) 全 ての 特 定 事 業 主 が 共 同 して 取 組 むものとする () 総 務 部 人 事 管 理 室 人 事 課 を 計 画 推 進 の 主 管 課 とし 全 ての 市 職 員 により 推 進 する (3) 実 施 状 況 を 把 握 し 計 画 期 間 中 で

退職手当とは

佐渡市都市計画区域の見直し

第1回

能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

一 時 払 いの 終 身 保 険 を 掛 ける 人 のデータ 一 時 払 いの 終 身 保 険 を 掛 ける 前 の 相 続 財 産 のデータから 課 税 される 相 続 税 をシミュレーションします 被 相 続 人 と 相 続 人 相 続 財 産 債 務 と 葬 式 費 用 のデータ 法 定 相


jissiyouryou

1 口 速 報 集 計 について 県 において 国 に 提 出 した 調 査 書 をもとに 速 報 値 として 集 計 したものである したがって 国 における 審 査 の 結 果 次 第 では 国 がこの2 月 に 公 表 する 予 定 の 口 速 報 集 計 値 と 一 致 しないことがある ま

158 高 校 講 座 習 モ 現 ラ 習 モ 距 離 置 示 終 向 据 示 唆 与 取 ょ 第 7576 回 第 :

後 にまで 及 んでおり(このような 外 部 研 究 資 金 を 以 下 契 約 理 由 研 究 という ) かつ その 者 が 退 職 後 も 引 き 続 き 研 究 代 表 者 となることを 研 究 所 が 認 める 場 合 とし 理 事 室 の 命 を 受 けて 発 議 書 ( 別 に 定 め

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

2 出 願 資 格 審 査 前 記 1の 出 願 資 格 (5) 又 は(6) により 出 願 を 希 望 する 者 には, 出 願 に 先 立 ち 出 願 資 格 審 査 を 行 いますので, 次 の 書 類 を 以 下 の 期 間 に 岡 山 大 学 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 等

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

2004年度第2回定期監査(学校)事情聴取事項

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

第4回税制調査会 総4-1

4-3-4共立蒲原総合病院組合職員の育児休業等に関する条例

異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県

1 ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 の 事 業 税 の 課 税 について ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 は 収 入 金 額 を 課 税 標 準 として 収 入 割 の 申 告 となります ( 法 72 条 の2 72 条 の 12 第 2 号 ) ガス 供 給 業 とその 他 の 事

四 勤 続 20 年 を 超 え30 年 までの 期 間 については 勤 続 1 年 につき100 分 の200 五 勤 続 30 年 を 超 える 期 間 については 勤 続 1 年 につき100 分 の100 2 基 礎 調 整 額 は 職 員 が 退 職 し 解 雇 され 又 は 死 亡 した

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

目 次 初 任 給 賃 上 げ 別 平 均 賃 金 退 職 金 役 員 報 酬 諸 手 当 の 実 態 年 の 初 任 給 賃 上 げはどうなるか 1 (1) 2015 年 賃 上 げ( 定 昇 含 む) 平 均 額 予 定 1 (2) 2015 年 初 任 給 平 均 額 ( 予 定

< F2D819A8B638E968E9197BF82528E968BC68C7689E68F C>

2014_06_04 相続税関係セミナー [互換モード]

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

< F2D91E F18BDF91E389BB955C8E D8E9689EF2E>

学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程


<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

本 校 の 沿 革 昭 和 21 年 昭 和 49 年 昭 和 54 年 昭 和 60 年 平 成 9 年 平 成 11 年 平 成 18 年 北 海 道 庁 立 農 業 講 習 所 として 発 足 北 海 道 立 農 業 大 学 校 に 改 組 修 業 年 限 を1 年 制 から2 年 制 に 改

< F31322D325F81798ED0984A8E6D817A944E8BE08D8E959E814593BE>

Taro-2220(修正).jtd

事 業 概 要 利 用 時 間 休 館 日 使 用 方 法 使 用 料 施 設 を 取 り 巻 く 状 況 や 課 題 < 松 山 駅 前 駐 輪 場 > JR 松 山 駅 を 利 用 する 人 の 自 転 車 原 付 を 収 容 する 施 設 として 設 置 され 有 料 駐 輪 場 の 利 用

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

長 は10 年 ) にすべきことを 求 める ⑸ 改 善 意 見 として 事 務 引 継 書 にかかる 個 別 フォルダーの 表 示 について 例 えば 服 務 休 暇 全 般 ( 事 務 引 継 書 を 含 む) といったように 又 は 独 立 した 個 別 フォルダーとして 説 明 を 加 え

寄 附 申 込 書 平 成 年 月 日 一 般 社 団 法 人 滋 賀 県 発 明 協 会 会 長 清 水 貴 之 様 ご 住 所 ご 芳 名 ( 会 社 名 ) 印 下 記 により 貴 協 会 に 寄 附 を 申 し 込 みます 記 1. 寄 附 金 額 金 円 也 1. 寄 付 金 の 種 類

既 存 建 築 物 の 建 替 市 街 化 調 整 区 域 で 許 可 を 不 要 とする 取 扱 いについて 既 存 建 築 物 の 建 替 は 以 下 の1)~3)をすべて 満 たしている 場 合 に 可 能 です 1) 建 替 前 の 建 築 物 ( 以 下 既 存 建 築 物 という )につ

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

34 県 立 鶴 岡 工 業 高 等 校 ( 全 日 制 ) 工 業 科 ( 機 械 科 電 気 電 子 科 情 報 通 信 科 建 築 科 環 境 化 科 ) 次 のいずれかに 該 当 する 1 文 化 的 活 動 や 体 育 的 活 動 において 地 区 大 会 を 経 て 県 大 会 に 出

答申書

事務連絡

区議会月報 平成19年4-5月

Transcription:

古 代 文 字 資 料 館 発 行 KOTONOHA 11 号 ( 2003 年 10 月 ) 武 丁 時 代 甲 骨 文 にみる 神 と 王 吉 池 孝 一 一 今 から 三 千 数 百 年 前 亀 の 甲 羅 や 牛 の 肩 胛 骨 などに 文 字 が 刻 み 込 まれた 古 代 殷 王 朝 の 甲 骨 文 字 史 料 です 王 もしくはそれに 準 ずる 人 が 農 業 耕 作 や 戦 争 の 正 否 などに つき 神 々の 意 志 を 問 うた 占 いの 記 録 で 私 たちはこれにより 神 と 王 との 関 係 はどの ようであったか すなわち 古 代 東 アジアにおける 宗 教 と 政 治 のありようはどのようであっ たか その 概 略 を 知 ることができます このような 文 化 という 面 からみれば 自 らの 遠 い 源 流 の 一 つと 言 ってもよい 古 代 の 殷 王 朝 は 東 アジアに 生 活 するものとって 気 になる 存 在 といえましょう 昨 年 この 方 面 についての 絶 好 の 研 究 書 が 文 庫 本 として 復 刊 されました 伊 藤 道 治 氏 の 古 代 殷 王 朝 の 謎 ( 講 談 社 学 術 文 庫 2002 年 もと 1967 年 )です 本 稿 では 古 代 殷 王 朝 の 謎 の 第 1 章 殷 の 神 々 を 中 心 に 甲 骨 文 第 一 期 武 丁 時 代 の 神 々と 殷 王 との 関 係 について 考 えてみます 殷 ( 商 ) 王 朝 時 代 区 分 早 期 ( 二 里 頭 期 ) 中 期 ( 二 里 岡 期 ) 晩 期 ( 小 屯 期 ) 第 一 期 19 盤 庚 20 小 辛 21 小 乙 22 武 丁 第 二 期 23 祖 庚 甲 24 祖 甲 骨 第 三 期 25 廩 辛 文 26 康 丁 有 第 四 期 27 武 乙 28 文 丁 り 第 五 期 29 帝 乙 30 帝 辛 図 1 図 1をご 覧 ください 殷 王 朝 の 文 化 は 早 期 ( 二 里 頭 期 ) 中 期 ( 二 里 岡 期 ) 晩 期 ( 小 屯 期 )の 三 つに 分 けられます 晩 期 ( 小 屯 期 )は 殷 が 安 陽 の 小 屯 付 近 に 都 を 置 いた 第 19 代 盤 庚 から 第 30 代 帝 辛 ( 紂 王 )までとなります 甲 骨 文 が 出 現 したのはこの 晩 期 であり 安 陽 からは 十 数 万 片 ともいわれる 甲 骨 文 の 断 片 が 出 土 しております これらの 断 片 は 中 国 の 董 作 賓 氏 に 端 を 発 した 研 究 により 第 一 期 から 第 五 期 までの 五 つの 時 代 に 分 けることが 可 能 となっております その 時 代 区 分 によりますと これまでに 発 見 されたものは 第 22 代 武 丁 以 後 のものということになります さて 甲 骨 文 は 穀 物 の 実 りの 善 し 悪 し 天 候 戦 争 の 行 方 祟 りの 有 無 10 日 毎 の 吉 凶 などさまざまな 内 容 につき 占 いを 通 して 神 々の 意 志 を 問 うた 記 録 です この 甲 骨 文 には 帝 自 然 神 祖 先 神 という 三 種 の 神 が 現 れます 今 回 は この 三 種 の 神 と 殷 王 殷 人 との 関 係 がどのようであるかを 問 題 とします 二 中 国 の 甲 骨 学 者 である 陳 夢 家 氏 は 殷 虚 ト 辞 綜 述 ( 1956 年 )で 神 々を 天 神 地 示 ( 地 祇 ) 人 鬼 の 三 種 に 分 類 しました 研 究 者 の 間 ではこの 陳 氏 の 分 類 が 広 くもちいられ ているようです 天 神 のなかに 最 高 神 である 帝 が 含 まれております おおむね 地 示 -11-

は 自 然 神 に 人 鬼 は 祖 先 神 にあたります この 内 人 鬼 の 扱 いが 問 題 となります 人 鬼 のなかには 殷 王 の 祖 先 が 含 まれ その 祖 先 は 大 きく 二 つに 分 かれます 一 つは 先 公 と 呼 ばれるもので 上 甲 ( 祖 先 名 ) 以 前 の 神 話 的 な 遠 い 祖 先 です いま 一 つは 先 王 と 呼 ば れるもので 上 甲 以 降 の 実 在 した 可 能 性 の 高 い 祖 先 です 陳 夢 家 1956 は 先 公 と 先 王 王 の 配 偶 者 即 位 していない 傍 系 の 先 祖 先 王 の 臣 をもって 一 グループにまとめ 人 鬼 としま す 一 方 伊 藤 2002 は 陳 氏 の 言 う 人 鬼 から 上 甲 以 前 の 先 公 ( 神 話 的 祖 先 )を 切 り 離 し ます そして その 先 公 と 地 示 を 併 せて自 然 神 とします 次 ぎに 先 公 ( 神 話 的 祖 先 )を 除 いた 人 鬼 の 残 りの 部 分 を祖 先 神 とします 三 つ 目 に 最 高 神 の帝 をたてます 最 高 神 帝 自 然 神 祖 先 A 神 B 神 C 神 殷 王 祖 先 祭 祀 殷 王 祭 祀 殷 族 A 族 B 族 C 族 殷 王 朝 の 人 々 図 2 帝 : 帝 の 働 きには 雨 や 旱 を 支 配 し 作 物 の 実 りを 左 右 するという 自 然 現 象 をつかさどる 面 と 戦 争 や 都 市 の 建 設 において 殷 の 人 々を 助 けたり 禍 を 降 したりする 面 すなわち 人 事 に 関 わ る 面 があったようです 自 然 現 象 : 丙 子 の 日 にトし 殼 ( 占 い 師 )がとう 翌 丁 丑 の 日 に 帝 がそれ 雨 ふることを 命 ずる か ( 合 14153) 人 事 : 丙 辰 の 日 にトし 殼 ( 占 い 師 )が 貞 ( と )う 帝 がこれこの 邑 ( 都 市 )を 終 しめんか( 合 14210) さて 陳 夢 家 1956 や 伊 藤 2002 や 池 田 末 利 1992( 商 末 上 帝 祭 祀 の 問 題 享 祀 説 の 批 判 と 不 享 祀 の 原 因 東 洋 学 報 第 72 巻 第 1 2 号 )によりますと 興 味 深 いことに 帝 は 殷 人 に 対 して 力 を 下 すのですが 祭 祀 を 受 けたことを 明 瞭 に 示 す 資 料 はないようです 自 然 神 や 祖 先 神 は 盛 んに 祭 祀 の 対 象 となっていることからすると より 高 位 の 帝 が 祭 祀 の 対 象 となら ないというのはなぜか 一 つの 謎 といえましょう 池 田 末 利 1992 は 帝 は 抽 象 的 理 論 的 存 在 であることから 儀 礼 が 欠 如 していたとの 仮 説 を 提 出 しております 伊 藤 2002 は 帝 は 祭 祀 などによってはその 意 思 を 左 右 できない 絶 対 的 な 神 として 考 えられていたためであろう としております 自 然 神 : 自 然 神 につきましては 農 作 物 の 実 りや 降 雨 など 自 然 現 象 にかかわる 甲 骨 文 が 多 数 を 占 めております これより 自 然 現 象 をつかさどっていたとみることができます 戊 午 の 日 にトし 賓 ( 占 い 師 )が 貞 ( と)う 祭 りて 年 ( みのり )を 岳 河 夒 ( 自 然 神 )に 求 めんか( 合 10076) -12-

先 ず 上 の 例 からも 分 かりますように 自 然 神 は 祭 祀 を 受 けます この 点 帝 とは 異 なります さ て 自 然 神 につき 注 意 すべき 点 が 二 つあります 第 一 点 目 は 自 然 神 の 名 と 同 じ 族 名 地 名 が 甲 骨 文 にみえるということです これに 拠 り 自 然 神 のあるものは もと 殷 王 朝 以 外 の 諸 族 によって 祭 られていた 神 であり 征 服 の 過 程 で 殷 の 祭 祀 にとり 入 れられたとみることが できます 己 卯 の 日 にトし 出 ( 占 い 師 )が 貞 ( と )う 今 日 王 それ 河 ( 地 名 )に 往 かんか( 合 23786) 丁 卯 の 日 に 婦 *( 女 性 名 )が 二 対 を 示 せり 岳 ( ト 骨 の 管 理 者 族 名 )( 合 13854) 第 二 点 目 は 自 然 神 に 対 して 帝 とよばれる 祭 祀 が 行 われているということです 伊 藤 2002 はこれにより 帝 の 機 能 が 自 然 神 と 同 じであった すなわち 帝 はもと 殷 の 自 然 神 であったとし ます もっとも この 儀 式 の 内 容 は 不 明 です 河 ( 自 然 神 )に 帝 せんか( 合 14531) 貞 ( と )う 王 亥 ( 自 然 神 )に 帝 せんか( 合 14748) 以 上 の 二 点 により 伊 藤 2002 は 殷 の 王 朝 が 発 展 し 各 地 を 征 服 するにつれて その 地 の 自 然 神 をも 祭 祀 のうちにとりいれ 異 族 との 間 に 連 帯 意 識 を 表 明 し 同 時 に 殷 の 自 然 神 である 帝 のもとに 諸 族 の 自 然 神 を 組 み 入 れ その 支 配 を 有 効 にしようとしたと 述 べます この 仮 説 自 体 に 異 を 唱 えるものではありませんが 第 二 の 論 拠 にはやや 無 理 がありように 思 え ます 帝 とよばれる 祭 祀 が 多 く 自 然 神 に 対 して 行 われるという 傾 向 は 確 かにあるので すが 次 ぎに 例 を 挙 げますように 第 一 期 武 丁 時 代 の 甲 骨 文 では 先 王 や 旧 臣 も 帝 祭 の 対 象 となっております 癸 未 の 日 に 下 乙 ( 先 王 )を 帝 せんか( 合 22088) 三 犬 をもって 黄 爽 ( 旧 臣 )を 帝 せんか( 合 3506) 祖 先 神 : 武 丁 期 の 祖 先 の 働 きの 特 色 は 王 をはじめ 生 人 に 対 する たたり ということ のようです 乙 亥 の 日 に 貞 ( と )う 大 庚 ( 祖 先 )がたたりせるか( 合 31981) 貞 ( と )う 歯 を 疾 めり 父 乙 ( 祖 先 )に 祭 らんか( 合 13652) 伊 藤 2002 によりますと 祖 先 神 について 注 意 すべき 点 は 王 などの 生 人 に 直 接 たたり をする 資 料 は 全 て 武 丁 時 代 のものであるとのことです 姚 孝 遂 1989( 殷 墟 甲 骨 刻 辞 類 纂 中 華 書 局 )の 索 引 に 拠 り 調 べてみますと 確 かにそのとおりであります このような 人 間 に た たり をする 武 丁 時 代 の 祖 先 の 霊 は 死 霊 に 近 いといえましょう 後 の 祖 甲 時 代 になると 祖 先 祭 祀 は 一 定 の 順 序 で 行 われます 祖 先 の 霊 を 祭 祀 によってあらかじめ 慰 撫 したい 又 それがで きると 考 えるようになった 表 れでしょう これにより 伊 藤 2002 は 祖 先 は 死 霊 から 祖 先 神 に 近 づいたとします 図 2ではこの 考 えにより 祖 先 神 とはせず 単 に 祖 先 とした 次 第 です なお 上 の 例 からも 分 かりますように 祖 先 神 は 自 然 神 と 同 様 に 祭 祀 を 受 けます 三 伊 藤 2002 では 武 丁 時 代 における 帝 と 祖 先 との 関 係 がはっきりしません 陳 夢 家 ( 1956.p.580)は 王 は 祖 先 やその 他 の 諸 神 を 通 して 雨 乞 いや 穀 物 の 実 りや 戦 争 の 勝 利 を 帝 に お 願 いした と 述 べております ただし 具 体 的 にどのようにお 願 いしたのか やはりはっき りしません この 点 について 池 澤 優 1999 ( 甲 骨 文 字 と 殷 の 祭 祀 月 刊 しにか 1999-4.Vol.10/No.4;pp.38-43 )に 興 味 深 い 見 解 があります それによりますと ト 辞 に -13-

は 世 代 の 近 い 祖 先 が 遠 い 祖 先 に 賓 せられ 後 者 が 更 に 帝 に 賓 せられるという 例 がある ( p.9-40)ということです 庚 申 の 日 にトし 殻 が 貞 う 翌 乙 巳 の 日 に 父 乙 ( 小 乙 )を 祭 るに 羊 を 用 いんか 貞 う 咸 ( 大 乙 )は 帝 に 賓 せられるか 貞 う 大 甲 は 咸 ( 大 乙 )に 賓 せらるか 甲 辰 の 日 にトし 殻 が 貞 う 下 乙 ( 祖 乙 )は 咸 ( 大 乙 )に 賓 せらるか 貞 う 下 乙 ( 祖 乙 )は 帝 に 賓 せられるか 貞 う 大 甲 は 帝 に 賓 せられるか ( 以 上 合 1402 による 一 部 省 略 ) この A 賓 于 B という 表 現 を A( 近 い 祖 先 )をもってB( 遠 い 祖 先 )に 配 祭 する 即 ち Bを 祭 るさいに Aも 併 せて 祭 る と 解 釈 する 立 場 もありますが 池 澤 優 1999 は 賓 を 祭 祀 を 表 わす 動 詞 としてではなく AがBに 迎 え 入 れられる という ように 解 釈 します 後 者 の 解 釈 自 体 はこれまでにも 為 されておりますが 池 澤 氏 は 合 1402 という 実 例 に 即 して 一 歩 踏 み 込 んだ 解 釈 をします この 史 料 は 一 つの 亀 甲 に 記 されたもので 実 際 には 父 乙 ( 小 乙 )に 対 する 祭 祀 しか 挙 げられておりません そこで 父 乙 に 対 する 祈 りが 上 位 の 祖 先 を 経 由 して 帝 にまで 到 達 するか 否 かが 問 われているの だとみます そして このような 祭 祀 の 構 造 があったため 殷 王 の 祖 先 は 人 間 と 帝 の 間 を 繋 ぐ 唯 一 の 仲 介 者 であったのであり 殷 王 は 帝 との 回 路 を 自 らの 祖 先 祭 祀 と して 独 占 することにより 帝 に 由 来 する 権 威 の 正 当 性 を 主 張 したのである ( 池 澤 優 1999.p.42-43)ということになるとします もし 上 に 挙 げた 史 料 合 1402 につい て このような 解 釈 が 認 められるものとしますと 殷 王 は 自 らの 祖 先 を 祭 ることによ り 人 間 の 意 志 を 間 接 的 に 帝 に 伝 えることができたということになります その 模 式 図 の 構 造 は 図 3のように 比 較 的 均 整 のとれたものとなります 最 高 神 帝 祭 祀 ( 間 接 ) 自 然 神 祖 先 A 神 B 神 C 神 殷 王 祖 先 祭 祀 殷 王 祭 祀 ( 直 接 ) 殷 族 A 族 B 族 C 族 殷 王 朝 の 人 々 図 3 四 後 の 康 丁 武 乙 文 丁 時 代 には 祖 先 の 霊 を 帝 の 機 能 に 近 いものとして 考 えるように なったと 推 測 することができる 甲 骨 文 があらわれます また 帝 乙 帝 辛 時 代 になる と 祖 先 の 神 としての 地 位 が 確 立 し その 子 孫 である 殷 王 の 意 志 がすべてに 優 先 す るかのような 甲 骨 文 が 出 てきます ですから 武 丁 時 代 において 図 3のようであった とすると 神 と 王 との 関 係 につき 後 代 への 推 移 の 説 明 が 容 易 になります もっとも A 賓 于 帝 を 帝 に 対 する 配 祭 であるという 立 場 からすると 帝 は 祭 祀 を 受 けるわけ -14-

ですから 図 3とは 相 容 れない 結 論 となります 惜 しいことに A 賓 于 帝 の 例 は 合 1402 に 見 られる 一 例 のみのようです 謎 は 尽 きません -15-