柴山 専門英語の教育とコーパスの利用 動詞の判定基準は省略するが 検索の都合で 同じ語 図1 介入の語彙リスト最上部 の同じ語形が動詞と他品詞の両方に使われている場 合は動詞とした ただし後の用例検索では他品詞を除 外した 表4 動詞 助動詞のリスト 上位20位まで 介入 図2 根拠の語彙リスト最上部 図1と図2で目に付くことがある 両図の5位まで に入っている語が全く同じで すべて機能語(冠詞 前 置詞 接続詞など)だ 英語の機能語は使用頻度が高く あらゆる場面で使用される 学習者が最後まで機能語 の用法に苦労する理由はここにある 介入のリストの6位にclient, 根拠の7位にmayが見 えるのも象徴的で面白い 介入の文章の目的はclient 患者 に対する働き掛けである 一方 根拠の文章の 目的は理由を述べることだが 保健医療の文献では理 根拠 TEACH 14 MAY 7 EXPLAIN 17 IS 9 AVOID 18 CAN 11 MONITOR 20 BE 14 ENCOURAGE 25 ARE 17 INSTRUCT 32 HELP 22 USE 43 INCREASES 24 PLAN 51 INCREASE 27 INCREASE 54 PREVENT 28 REPORT 55 REDUCE 33 PROVIDE 58 CAUSES 40 REFER 68 CAUSE 43 WEAR 69 WILL 48 ASSIST 70 HAS 50 DISCUSS 79 RESULT 52 MAINTAIN 87 CONTROL 57 TAKE 88 RESULTS 66 USING 89 INDICATE 70 REDUCE 93 DECREASE 81 BE 98 HELPS 82 註 各語の右の数字は図1 2のリストの順位 由を述べるときに 断定を避けて可能性のmayやcan がよく使われる 表4も介入と根拠の文章の目的と特徴をよく反映し コーパスの語彙リストは コーパスに取り込んだ言 ている 特に注目したい点をいくつか挙げてみよう 介入の動詞 助動詞 語や文章の特徴を反映する 1 teach, explain, encourage, instruct provide assist, 6 動詞 助動詞のリスト discussなど 患者に対する働きかけを表す単語の度 今回のコーパスはミニコーパスだが それでも図1 2 avoid, use, report, wear, take, maintain と図2のリストは介入が2504語種 根拠が2935語種 など 患者の行動に関する語の度数が高い でそれぞれかなり長い 両者をそのまま比較するのは 3 refer, monitorなど看護業務に関連する語の度数が 難しい ここでは動詞 助動詞に焦点を当てることに 高い 数が高い 根拠の動詞 助動詞 する 表4は動詞 助動詞のリストの一部である 動詞 助 17 1 断定的な言い方を避けるために使われるmayと
文化情報学 第 13 巻第 2 号 2006 canが最上位にある の中で語の用法を観察できる 語は文脈の中で始めて 2 help helpsの度数が高い 根拠の文脈におけるhelp 意味を持つので 文脈の中で観察できることの価値は の用法に注目したい 高い そのことを確かめるために ここではhelpの用 3 cause, causes, result, resultsなど因果関係を表す 例を検索してみる まず根拠のコーパス 次に介入の 動詞の度数が高い コーパスで検索を行う 表4では下に隠れているが なお介入と根拠に共通する点としては increase, helpは介入のコーパスにもある reduce, decreaseなど増減を表す語彙の度数が高い 図3と図4はhelpの用例検索で得られたそれぞれ の画面の1部である 動詞のhelpの用例は 別に検索し 7 用例検索 Concordance たhelpsの用例も加えると 根拠のコーパスに81例 介 コーパス分析ソフトの用例検索機能を使うと文脈 の画面を少し多く出してある 入のコーパスに11例ある したがって下の図でも根拠 図3 根拠のhelpの用例 総数81例の1部 図4 介入のhelpの用例 総数11例の1部 語法 help to-不定詞 2/81例 8 根拠のhelp 用例: Discussions help to determine whether まず目に付くのは図3 根拠のコーパス のhelpの 上記の用例 下線部 でもそうだが 根拠のコーパス 語法である 画面の10例はすべてが help 原型不定 では helpの主語はすべて 非生物 である ジーニア 詞 で占められている 根拠のhelpの総数81例の中に ス英和辞典 大修館 1998 はこのようなhelpの語義を はこの語法は64例ある また同類とされる help to- 物 事 が するのに役立つ の意であると定義 the client usually seeks. 不定詞 が2例あって 合計すると66例になる している 語法 help 原形不定詞 64/81例 help to-不定詞 に比べて help 原形不定詞 が 用例: Open, honest dialogue may help initiate 多いのは 資料が米国の英語で しかも看護ケアプラ ンの部分は日常語で書かれているからだと考えられ constructive problem solving. 18