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Transcription:

ポライトネスから 見 る 行 為 要 求 に 対 する 断 り 表 現 楊 千 嬅 一 はじめ B&L のポライトネス 理 論 では 人 間 の 基 本 欲 求 として 他 者 に 邪 魔 された くないという 消 極 的 な 欲 求 と 他 者 に 認 められたいという 積 極 的 な 欲 求 が 二 つ ある その 二 つの 欲 求 を 満 足 するためのストラテジーとして それぞれ ポジ ティブ ポライトネスとネガティブ ポライトネスという 二 つの 枠 組 みを 提 示 している しかしながら 断 り 表 現 には あくまでも 如 何 にも 丁 寧 さの 高 い ストラテジーを 用 いても 他 者 に 認 められたいという 欲 求 が 満 たされないとい うことである 任 (2003)は 断 る 行 為 は 自 分 のネガティブ フェイスは 傷 付 かなくても 相 手 のポジティブ フェイスを 脅 かすことになる この 行 為 は いくら 間 接 的 で 丁 寧 な 言 い 方 であっても 断 る 行 為 そのものは FTA にほかなら ない と 指 摘 している B&L のポライトネス 理 論 には 主 要 なストラテジーが 五 つある 本 章 では 次 のように 三 つのストラテジーに 焦 点 を 置 き 意 味 公 式 とそのストラテジー の 関 わりを 明 らかにしようと 思 っている 1 FTA の 軽 減 行 為 を 行 わず 直 接 的 な 言 語 行 動 をとる(doing FTA) 2 ポジティブ ポライトネス(positive politeness) 3 ネガティブ ポライトネス(negative politeness) 前 篇 に 断 り 表 現 の 意 味 公 式 の 大 きな 枠 組 みは 直 接 的 な 断 り と 間 接 的 な 断 り に 分 けられる 間 接 的 な 断 り の 枠 組 みの 中 に 理 由 言 い 訳 回 避 責 任 転 嫁 などがある 直 接 的 な 断 り 表 現 とは 相 手 の 意 向 に 対 す る 話 者 の 否 定 的 な 意 図 を 明 確 に 相 手 に 伝 える 断 り 表 現 である 間 接 的 な 表 現 と は 受 け 入 れたくない 気 持 ちを 直 接 的 に 聞 き 手 に 伝 えない 本 稿 では 2000 年 から 2005 年 にかけてのドラマの 中 から 抜 き 出 す 断 り 部 分 を 考 察 対 象 とす る 調 査 した 要 求 に 対 する 断 り 表 現 の 会 話 数 には 全 部 で344 例 の 意 味 内 容 に より B&L のポライトネス 理 論 の 観 点 から 指 示 命 令 許 可 与 え 依 頼 忠 告 助 言 などのような 行 為 要 求 表 現 に 対 する 断 り 表 現 を 研 究 内 容 に する 二 ポライトネス ストラテジーと 意 味 公 式 との 関 わり 受 け 入 れない 意 図 を 明 瞭 簡 潔 的 に 伝 えることができるから 直 接 的 な 断 り 表 現 が 使 われている その 表 現 が 直 接 的 な 言 語 行 為 なので B&L のポライト ネス 理 論 における1の FTA の 軽 減 行 為 を 行 わないストラテジーであると 言 え る 間 接 断 り 表 現 は 対 人 関 係 と 円 滑 なコミュニケーションを 守 るために 直 接 的 な 断 り 表 現 を 避 けることである 断 り 表 現 が 基 本 的 に 相 手 のフェイスを 脅 か 1

す 行 為 であるため できるだけ 断 り 表 現 に 伴 う 侵 害 を 軽 減 しようとする 従 っ て この 相 手 のフェイスを 配 慮 するので ポジティブ フェイスとネガティブ フェイスという 人 間 の 基 本 欲 求 を 維 持 するようにポジティブ ポライトネスと ネガティブ ポライトネスというストラテジーが 用 いられる 言 い 換 えれば 意 味 公 式 における 直 接 的 な 断 り 表 現 は1の FTA の 軽 減 行 為 を 行 わないストラ テジーに 相 当 するに 対 し 間 接 的 な 断 り 表 現 はポジティブ ポライトネスとネ ガティブ ポライトネスというストラテジーに 当 たると 言 える その 故 に 次 のように 間 接 的 な 断 りにおける 様 々な 意 味 公 式 をポライトネスの 観 点 からポ ジティブ ストラテジーに 分 類 しようと 思 っている しかも 断 り 表 現 におけ る 意 味 公 式 の 機 能 と B&L のポライトネス 理 論 のストラテジーの 選 択 要 因 をそ れぞれ 説 明 しながら この 二 つの 関 わりを 論 じろうとしている 表 1 ポライトネス ストラテジーと 意 味 公 式 との 関 わり ポライトネス ストラテジー 意 味 公 式 1 FTA の 軽 減 行 為 を 行 わず 直 接 的 直 接 的 な 断 り 表 な 言 語 行 動 をとる 現 2 ポジティブ ポライトネス 理 由 言 い 訳 回 避 の 共 感 3 ネガティブ ポライトネス 理 由 の 言 い 差 し 謝 罪 残 念 延 期 間 を 持 たせる 責 任 転 嫁 三 ポライトネス ストラテジーの 組 み 合 わせ 北 尾 (1988)は ポライトネスの 仕 組 みを 可 能 な 限 り 簡 素 化 して 説 明 した が 実 際 のコミュニケーションでは 個 人 差 もあり 人 間 関 係 をよく 維 持 するた めにポライトネスを 複 雑 に 組 み 合 わせて 使 用 しているうえに コミュニケーシ ョンの 流 れの 間 に 人 々は 敏 感 に 相 手 の 反 応 を 読 み 取 り ポライトネスの 使 用 方 法 を 変 化 させて 相 手 の 気 持 ちを 傷 つけずに 目 的 を 達 成 するよう 努 力 してい る と 指 摘 している 断 り 表 現 における 一 連 の 発 話 行 為 を 意 味 公 式 から 明 らかにするのに 対 し こ こでは その 表 現 の 構 造 をポライトネスの 観 点 から 捉 まえようとしている B&L のポライトネス 理 論 における 主 要 な 五 つのストラテジーのうちに FTA の 軽 減 行 為 を 行 わず 直 接 的 な 言 語 行 動 をとる( 以 下 B と 略 す) ポジテ ィブ ポライトネス( 以 下 P と 略 す) ネガティブ ポライトネス( 以 下 N と 略 す) という 三 つのストラテジーを 焦 点 に 置 くから B ストラテジー 先 行 型 P ストラテジー 先 行 型 N ストラテジー 先 行 型 を 分 け 日 本 人 2

の 断 り 表 現 におけるその 三 つポライトネス ストラテジーの 使 い 方 を 明 らかに する 次 に 各 先 行 型 の 組 み 合 わせの 種 類 と 実 例 をあげる B ストラテジー 先 行 型 B のみ 例 1 吉 見 そうだ 朝 食 食 いましょう! 岩 男 いや (2001:16) B+B 例 2 裕 司 ( 必 死 に 押 しながら)しっかり 漕 げよ! 佐 竹 もう 無 理 だ (2000:51) B+P 例 3 岩 男 君 昼 飯 食 ったら 将 棋 差 さんか 吉 見 いや 将 棋 駄 目 なんです (2001:18) B+N 例 4 沖 子 何 よ 返 してよ 口 を 挟 めず 成 り 行 きを 見 守 る 洋 子 渚 ダメ また 倒 れたら どうするの? (2003:164) P ストラテジー 先 行 型 P のみ 例 5 テッロー 少 し 外 とか 出 たほうがいいんじゃない ルミナの 声 人 に 自 分 のこと 見 られたくないから (2005:59) P+P 例 6 七 生 わーだから 言 ってるじゃないっ はきだしてよー! 七 子 大 丈 夫 ジュースでのみこんじゃう (2005:29) P+N 例 7 里 子 まだ 暑 いねぇ もう 帰 ろう 兄 さん 朋 子 あっちに 池 があるの 池 のところまで 行 ってみよう ね おじいちゃん (2001:142) N ストラテジー 先 行 型 N のみ 例 8 美 山 つきあってもらえませんか 杏 子 ごめんなさい (2000:213) N+B 例 9 サトル ええ~ 電 話 番 号 聞 いてもいいですか? 女 性 え~ それはダメ (2000:206) 3

N+P 例 10 渚 洋 子 さん 帰 りましょうよ 洋 子 悪 いけど もう 一 人 でいたいの (2003:167) N+N 例 11 四 谷 で 土 曜 日 これそう? 蒼 井 くん 仁 子 あぁ でもちょっと 先 約 が (2005:249) ポライトネス ストラテジーの 組 み 合 わせの 使 用 率 B ストラテジー 先 行 型 :80(23%) P ストラテジー 先 行 型 :91(26%) N ストラテジー 先 行 型 :173(50%) B のみ :29(36%) P のみ :67(74%) N のみ :59(34%) B+B :6(8%) P+B :0(0%) N+B :8(5%) B+P :26(33%) P+P :16(18%) N+P :40(23%) B+N :19(24%) P+N :8(9%) N+N :66(38%) B ストラテジー 先 行 型 : B のみ > B+P > B+N > B+B P ストラテジー 先 行 型 : P のみ > P+P > P+N > P+B N ストラテジー 先 行 型 : N+N > N のみ > N+P > N+B ここから 各 先 行 型 における 組 み 合 わせの 共 通 点 は ~+B の 使 用 率 が 一 番 下 位 になることがわかる もう 一 つの 共 通 点 は ~のみ の 利 用 率 が ~ +P より 高 いことが 窺 える 即 ち ~のみ > ~+P である 各 先 行 型 における ~+B は B&L のポライトネス 理 論 に 違 反 しているから その 利 用 率 は 一 番 低 い ~のみ > ~+P の 場 合 B ストラテジー P ストラテジー N ストラテジー がそれぞれ 実 質 的 な 断 り の 伝 達 機 能 を 果 たしているから 簡 潔 的 な 立 場 から 見 れば 各 先 行 型 における ~+P よ り ~のみ の 伝 達 効 果 が 現 れている 四 結 び 今 回 調 査 では 実 際 の 会 話 の 収 集 方 法 ではないと 言 える データの 例 数 は 多 くないから 説 得 力 を 欠 く 恐 れがある なお 地 位 性 別 年 令 相 手 との 親 しさなどという 社 会 的 変 数 などを 総 合 的 に 扱 わない 従 って 今 後 は 分 析 対 象 とする 場 面 を 広 げ もっと 様 々な 変 数 について 研 究 を 考 察 しようと 考 えてい る 4

参 考 文 献 任 炫 樹 (2003) 日 韓 両 言 語 における 断 りのストラテジー 言 語 表 現 の 違 い とストラテジー シフトを 中 心 に ことば NO23 Brown,P.,and Levinson,S.(1987)Politness. Cambridge University Press 用 例 出 典 テレビドラマ 代 表 作 選 集 2000 年 版 日 本 脚 本 家 連 盟 テレビドラマ 代 表 作 選 集 2001 年 版 日 本 脚 本 家 連 盟 テレビドラマ 代 表 作 選 集 2002 年 版 日 本 脚 本 家 連 盟 テレビドラマ 代 表 作 選 集 2003 年 版 日 本 脚 本 家 連 盟 テレビドラマ 代 表 作 選 集 2004 年 版 日 本 脚 本 家 連 盟 テレビドラマ 代 表 作 選 集 2005 年 版 日 本 脚 本 家 連 盟 楊 千 嬅 學 歷 : 東 吳 大 學 日 本 語 文 學 系 研 究 所 碩 士 ; 簡 歷 : 淡 江 大 學 休 閒 產 業 學 系 東 吳 大 學 推 廣 部 台 北 海 洋 技 術 學 院 餐 飲 管 理 系 德 霖 技 術 學 院 餐 旅 管 理 系 成 功 高 中 講 師 ; 專 長 : 日 本 語 學 日 語 教 育 5