第 1 章 資 本 金 等 利 益 積 立 金 21 20 利 益 または 剰 余 金 の 配 当 会 社 法 では 資 本 剰 余 金 の 分 配 をした 場 合 において も これを 配 当 とすることとされていますが 税 法 を みますと 受 取 配 当 の 益 金 不 算 入 のところでは 剰 余 金 の 配 当 は 利 益 の 配 当 に 限 定 しているのに 対 して 資 本 等 取 引 の 定 義 のところでは そのまま 剰 余 金 または 利 益 の 配 当 となって います これはどのような 理 由 によるのでしょうか いわゆる 利 益 の 配 当 には 資 本 剰 余 金 の 分 配 は 含 まれな いので 受 取 配 当 益 金 不 算 入 の 対 象 となる 配 当 からは こ の 資 本 の 払 戻 しによる 配 当 は 除 くこととしている これに 対 して この 払 戻 しによる 配 当 も 資 本 等 取 引 に 該 当 することになるの で そのまま 剰 余 金 または 利 益 の 配 当 としているものと 解 される 厳 格 にいえば この 場 合 の 資 本 の 払 戻 しは 資 本 取 引 の 定 義 規 定 ( 法 税 225)の 前 段 に 該 当 することになるので 後 段 は 利 益 の 配 当 に 限 定 す べきではないかと 考 える T&master 2009 年 11 月 2 日 号 328 21 配 当 を 資 本 等 取 引 とした 理 由 のでしょうか 税 法 上 の 資 本 等 取 引 は まず 資 本 金 等 の 額 に 増 減 を きたす 取 引 ですが 一 般 に 資 本 金 等 の 増 減 に 関 係 の ない 配 当 をこれに 付 け 加 えたのは どのような 理 由 な
22 第 1 章 資 本 金 等 利 益 積 立 金 貴 見 のとおり 資 本 等 取 引 は 本 来 は 増 資 とか 減 資 と か さらには 旧 資 本 積 立 金 額 の 増 加 または 減 少 をいうこと になる ただ 利 益 の 配 当 はいわゆる 資 本 金 等 取 引 である か 損 益 取 引 であるかは 明 らかでなく これに 対 する 規 定 がない 場 合 には これが 損 金 の 額 に 算 入 されるという 見 解 もあり 得 るのではない かという 疑 念 があった さりとて 支 払 配 当 は 損 金 の 額 に 算 入 しない ということを 定 めることも いわば 当 然 のことを 規 定 することになる ので むしろこれを 資 本 取 引 に 準 ずるものとして この 資 本 等 取 引 と して 含 ましめたという 経 緯 がある T&master 2011 年 7 月 25 日 号 412 22 譲 渡 損 益 の 非 計 上 と 資 本 金 等 の 額 へのチャ ージ グループ 法 人 課 税 において 親 会 社 が 子 会 社 へその 子 会 社 株 式 を 譲 渡 した 場 合 には その 譲 渡 損 益 はない ものとされることになっています( 法 税 61 の 216) この 場 合 に 実 際 に 生 じた 損 益 について 処 理 する 必 要 がありま すが これは 資 本 金 等 の 額 にチャージすることとされています ( 法 税 令 81 十 九 ) この 損 益 を 利 益 積 立 金 額 にチャージするということであれば 理 解 できますが 資 本 金 等 の 額 にチャージする 理 由 は どのような ものでしょうか 親 会 社 が 固 定 資 産 等 を 子 会 社 に 譲 渡 した 場 合 に 生 ずる 譲 渡 損 益 は 繰 り 延 べられることになるが これは 終 局 的 に は その 損 益 は 実 現 されることになる これに 対 して 完
38 第 2 章 再 編 ではないと 考 える 一 般 論 として 適 格 合 併 の 場 合 には 含 み 益 の 実 現 の 繰 延 べ 等 が 認 められることになるので メリットが 多 いように 思 われる しかし 含 み 損 を 有 する 資 産 を 有 している 場 合 には むしろ 非 適 格 合 併 等 の 方 が 直 ちに 損 失 が 計 上 できることになる これは 合 併 等 の 当 事 者 の 合 併 対 策 の 問 題 である この 点 からは 原 則 的 に 課 税 当 局 は 法 人 の 行 った 非 適 格 合 併 を 適 格 合 併 とすること( 逆 も 同 様 ) は 適 当 でないと 考 える したがって 合 併 交 付 金 等 による 金 銭 が 株 主 に 交 付 されている 実 態 があるのであれば それを 否 認 することはできないと 解 すべきであ る ましてや 欠 損 金 を 生 ぜしめることが 課 税 上 弊 害 があるというよ うなことはこれを 否 認 する 理 由 とならないと 考 える T&master 2011 年 9 月 19 日 号 419 38 非 適 格 合 併 としてのれんを 計 上 した 場 合 法 人 税 法 62 条 の 8 ののれんに 関 する 規 定 は 非 適 格 合 併 非 適 格 分 割 非 適 格 現 物 出 資 等 の 他 事 業 譲 渡 について 適 用 されることになっています 当 社 とし ては 合 併 をするに 際 して 資 産 等 の 他 のれんを 計 上 したいので すが この 合 併 を 故 意 に 非 適 格 合 併 とすることは 認 められないこ とになりますか たとえば 被 合 併 法 人 の 時 価 資 産 が 5 億 円 のれんを 3 億 円 とし 相 手 方 には 当 社 株 式 と 3 億 円 ののれん 代 を 交 付 した 場 合 に 相 手 方 被 合 併 法 人 では 3 億 円 の 利 益 が 生 じます ただ 欠 損 金 が 2 億 円 ありますので 1 億 円 の 課 税 と なります 別 に 非 適 格 として 弊 害 はないと 考 えますが いかが ですか
第 2 章 再 編 39 合 併 等 について 適 格 合 併 とするか 非 適 格 合 併 とするか は その 当 事 者 における 選 択 に 委 ねられているところであ って どちらが 適 当 かということになる それぞれ 適 格 非 適 格 のメリットを 考 慮 して 採 用 すべきことになる これによって たとえば 被 合 併 法 人 に 譲 渡 損 失 が 生 ずるとか あるいは 被 合 併 法 人 に 譲 渡 益 が 生 ずるか 合 併 法 人 では 資 産 に 係 る 調 整 勘 定 (のれん) が 生 じてこれを 5 年 間 で 償 却 できるメリットが 生 ずる 等 のことから 非 適 格 合 併 等 を 選 択 することは 自 由 である これを 課 税 当 局 が 否 認 で きるのは その 要 件 が 充 足 されていない 場 合 である そして 単 に 形 式 上 は 充 足 されていても 実 質 的 にみると 充 足 しているとは 認 めら れない 場 合 である したがって 単 に 譲 渡 損 が 生 ずるのは 適 当 でな いとか あるいは のれんが 生 ずるのは 適 当 でないというような 理 由 では 否 認 の 根 拠 とはなり 得 ない つまり その 譲 渡 損 の 額 が 適 当 か どうか また のれんの 価 額 が 妥 当 かどうかの 問 題 はあるが この 結 果 だけをみて 適 格 非 適 格 の 適 否 を 判 断 することは 妥 当 でないと 考 える T&master 2011 年 10 月 17 日 号 423
142 第 6 章 給 与 賞 与 載 していることからも 明 らかと 思 われる したがって この 事 例 では 5 人 のうち 社 長 を 除 く 4 人 に 対 して 事 前 確 定 届 出 給 与 相 当 額 を 支 払 っ ているのであれば その 金 額 は 損 金 算 入 が 認 められる この 点 は 定 期 同 額 給 与 についても 同 様 である T&master 2008 年 2 月 25 日 号 248 133 事 前 確 定 届 出 給 与 に 関 する 取 扱 い 事 前 確 定 届 出 給 与 については 当 該 給 与 と 異 なる 給 与 を 支 給 した 場 合 には その 支 給 額 の 全 額 が 損 金 不 算 入 となると 規 定 されています したがって 法 人 税 法 上 は 事 前 確 定 届 出 給 与 が 100 であって たとえば 10 しか 支 給 しなかった 場 合 には その 10 が 損 金 不 算 入 となると 解 されま す しかし この 場 合 には その 10 が 損 金 不 算 入 となる 点 につ いては 問 題 がありませんが その 残 りの 90 については いった ん 役 員 がこれを 受 けて 源 泉 徴 収 が 行 われ その 税 引 きの 金 額 が 会 社 に 贈 与 されたものとする 取 扱 いとなるとする 見 解 があるようで す この 見 解 は 正 当 かどうかについてご 教 示 ください ご 指 摘 のような 見 解 があるようであるが 法 人 税 法 34 条 の 規 定 からは 直 ちに このような 見 解 は 生 じないと 考 える つまり 同 条 は 貴 見 のように 事 前 確 定 届 出 給 与 と 異 なる 支 給 をした 場 合 には その 支 給 額 は 損 金 不 算 入 とするという ことだけを 定 めていると 解 すべきである したがって いったん 事 前 確 定 届 出 給 与 の 支 給 を 受 けて その 過 少 な 部 分 を 贈 与 したものとす るかどうかは 事 実 関 係 によることになる つまり その 対 象 となっ
第 6 章 給 与 賞 与 143 た 役 員 が 辞 退 したという 場 合 には 源 泉 課 税 部 分 を 控 除 した 残 りを 贈 与 したことになるであろう これに 対 して 取 締 役 会 等 において そ の 事 前 確 定 届 出 給 与 の 額 について 下 方 への 変 更 をした 場 合 において は 役 員 としては その 減 額 分 については 全 く 贈 与 の 意 思 を 有 してい ないのであるから これを 一 般 論 として 贈 与 として 取 り 扱 うことはで きないことになる 贈 与 したかどうかは その 個 別 事 情 によって 慎 重 に 判 断 すべきである T&master 2011 年 7 月 18 日 号 411 134 新 法 人 税 法 34 条 3 項 の 隠 ぺい 仮 装 による 役 員 給 与 法 人 税 法 の 新 34 条 3 項 においては 隠 ぺい 仮 装 に よる 役 員 給 与 は 損 金 の 額 に 算 入 しないと 規 定 されてい ます この 規 定 は 改 正 前 にもありましたが その 規 定 の 説 明 振 りとしては いわば 隠 れたる 利 益 処 分 であるとされて いましたが 平 成 18 年 度 税 制 改 正 では 利 益 処 分 という 観 念 は なくなったのですから これは 費 用 とみるべきだと 考 えます 隠 れた 収 益 を 表 に 出 すのですから 隠 れた 費 用 もすべて 表 へ 出 して それによって 生 じた 所 得 に 対 しては 重 加 算 税 を 課 することが 正 当 であると 考 えますが いかがでしょうか 課 税 所 得 の 計 算 において 収 益 であれ 損 費 であれ 隠 れているものはすべて 表 に 出 して その 課 税 所 得 が 表 面 に 現 れていない 場 合 には その 所 得 金 額 に 対 して 重 加 算 税 を 課 するのが 基 本 的 な 考 え 方 である 仮 に 収 益 が 100 洩 れており
212 第 9 章 交 際 費 202 代 替 的 課 税 とする 交 際 費 課 税 について 交 際 費 課 税 について これは 個 人 所 得 税 に 対 する 代 替 的 課 税 であるとする 考 え 方 があります たとえば 役 員 等 がゴルフを 行 ったという 場 合 に これを 交 際 費 等 ( 慰 安 のための 費 用 )とした 場 合 各 役 員 に 所 得 税 の 課 税 をし ない 場 合 は 代 替 課 税 ということもできますが これに 所 得 税 を 課 税 すると いわゆる 認 定 賞 与 となって 交 際 費 等 とすべきでは ないということになります 代 替 課 税 の 根 拠 についてご 教 示 下 さ い 交 際 費 等 の 課 税 についての 代 替 課 税 というのは 一 つの 考 え 方 ( 特 に 課 税 当 局 側 )を 示 したものに 過 ぎず したがっ て 法 的 な 根 拠 があるわけではない ただ 相 手 先 に 対 し て 課 税 されないもの(たとえば フリンジ ベネフィット 等 )につい て これを 交 際 費 等 に 含 めることの 理 由 としただけである この 点 は 法 人 では 交 際 費 等 として 個 人 段 階 では 所 得 税 を 課 税 するという 問 題 も 生 じており 代 替 課 税 というのは その 根 拠 もなく その 時 々 の 便 法 に 過 ぎないものとなっている T&master 2005 年 4 月 18 日 号 No.111