2010 年 10 月 March 2007 はじめに 平 成 22 年 1 月 19 日 株 式 会 社 日 本 航 空 及 びその 子 会 社 2 社 ( 以 下 総 称 して JAL といいます )は 会 社 更 生 手 続 の 申 立 を 行 い 同 年 8 月 31 日 に 会 社 更 生 計 画 案 ( 以 下 更 生 計 画 案 といいます )が 東 京 地 方 裁 判 所 に 提 出 されました JAL の 会 社 更 生 手 続 の 申 立 は 数 か 月 前 までは 誰 も 予 想 だにしていなかったことから 世 間 の 注 目 を 集 めていますが 政 治 的 にも 重 要 な 問 題 となっており また 多 くの 権 利 関 係 が 錯 綜 しあって います 本 ブリーフィングにおいては まず 更 生 計 画 案 提 出 に 至 るまで の 経 緯 及 び 異 なる 種 類 の 債 権 が 更 生 手 続 でどのように 扱 われているかに ついて 解 説 致 します そして 最 後 に JAL のケースが 今 後 の 日 本 に おける 倒 産 手 続 にどのような 影 響 を 与 えるかについて 検 討 します 更 生 計 画 案 について 更 生 計 画 案 では 100% 減 資 と 企 業 再 生 支 援 機 構 ( 以 下 機 構 といい ます )による 約 3500 億 円 増 資 を 実 施 し 主 として 金 融 機 関 である 一 般 更 生 債 権 者 らに 約 5215 億 円 の 債 権 放 棄 を 要 請 することで 平 成 23 年 3 月 末 時 点 において 債 務 超 過 を 解 消 することを 目 指 しています 1 本 件 更 生 手 続 における 各 種 債 権 の 取 扱 い 本 件 更 生 手 続 において JAL に 対 する 債 権 は その 性 質 に 応 じて 異 なった 取 扱 いをされています まず 事 業 再 生 ADR 下 において JAL に 対 して 貸 付 けられた 貸 付 債 権 ( 以 下 プレ DIP ファイナンス といいます ) 及 び 日 々の 日 常 業 務 から 生 じる 商 取 引 債 権 (リース 料 債 権 も 商 取 引 債 権 に 含 まれます )については 裁 判 所 によって 特 別 な 優 先 的 取 扱 いが 認 められ ました それゆえ これらの 優 先 的 な 債 権 については 更 生 計 画 案 において はその 取 扱 いを 規 定 していません 他 方 で これまで 特 別 な 取 扱 いが なされていない 更 生 債 権 更 生 担 保 権 企 業 年 金 債 権 ( 以 下 更 生 債 権 等 といいます )については その 取 扱 いが 更 生 計 画 案 に 規 定 されて います 主 要 トピック はじめに 更 生 計 画 案 について 本 件 更 生 手 続 における 各 種 債 権 の 取 扱 い 更 生 計 画 の 決 議 終 わりに 掲 載 記 事 に 関 する 詳 細 またはその 他 の 分 野 の お 問 い 合 わせは 下 記 のものにご 連 絡 ください 鈴 木 秀 彦 (すずきひでひこ) 直 通 電 話 番 号 :+81 3 5561 6662 Hidehiko.Suzuki@cliffordchance.com Peter Kilner(ピーター キルナー) 直 通 電 話 番 号 :+81 3 5561 6619 Peter.Kilner@cliffordchance.com 梶 原 俊 史 (かじわらとしふみ) 直 通 電 話 番 号 :+81 3 5561 6311 Toshifumi.Kajiwara@cliffordchance.com 松 村 葉 子 (まつむらようこ) 直 通 電 話 番 号 :+81 3 5561 6647 Yoko.Matsumura@cliffordchance.com クリフォードチャンス 法 律 事 務 所 外 国 法 共 同 事 業 107-0052 東 京 都 港 区 赤 坂 2 丁 目 17 番 7 号 赤 坂 溜 池 タワー7 階 www.cliffordchance.com 1 更 生 計 画 案 の 具 体 的 な 内 容 については 以 下 を 参 照 のこと http://www.jal.co.jp/other/info2010_0831.html
2 1. プレ DIP ファイナンス 本 件 は 事 業 再 生 ADR が 会 社 更 生 手 続 に 移 行 した 初 の 事 例 です 事 業 再 生 ADR 手 続 は 主 要 な 債 権 者 の 合 意 によって 実 施 され その 他 の 債 権 者 には 影 響 を 与 えません また JAL の 経 営 再 建 のためプレ DIP ファイナンスが 実 施 され 事 業 再 生 ADR 手 続 において プレ DIP ファイナンスの 取 扱 いは 他 の 債 権 に 優 先 する 旨 主 要 な 債 権 者 の 間 で 合 意 されました それゆえ 裁 判 所 が 会 社 更 生 手 続 において プレ DIP ファイナンスをどのように 取 り 扱 うのかについて 注 目 されていました この 点 本 件 プレ DIP ファイナンスについては 更 生 債 権 開 始 決 定 後 に 和 解 契 約 による 共 益 債 権 化 が 図 られました 共 益 債 権 は 会 社 更 生 手 続 によらないで 随 時 弁 済 される 債 権 であり 更 生 債 権 等 に 先 だって 弁 済 を 受 けることができます 管 財 人 は 裁 判 所 の 許 可 を 得 て 一 定 の 更 生 債 権 等 を 共 益 債 権 として 承 認 する 権 限 を 有 しています また 裁 判 所 は 共 益 債 権 化 の 許 可 について 広 範 な 裁 量 を 有 していると 考 えられています 更 生 債 権 等 を 共 益 債 権 化 することについては 管 財 人 の 裁 量 で 債 権 者 の 優 先 順 位 を 容 易 に 変 更 できることから 批 判 が 多 いものの 実 務 的 には 多 くの 事 例 で 用 いられている 手 法 です 本 件 プレ DIP ファイナンスについては 事 業 再 生 ADR 手 続 においてその 借 入 が 承 認 されていたこと 及 び 本 件 プレ DIP ファイナンスが JAL の 事 業 価 値 確 保 に 必 要 不 可 欠 であったことが 裁 判 所 が 共 益 債 権 化 を 認 めた 要 因 となったと 考 えられます 2. 商 取 引 債 権 更 生 手 続 開 始 後 は 原 則 として 更 生 計 画 に 従 わなければ 債 権 者 に 対 する 弁 済 が 認 められません しかし 本 件 では 管 財 人 は 更 生 計 画 案 が 提 出 される 前 に JAL が 事 業 を 継 続 して 行 うために 商 取 引 債 権 について 弁 済 の 許 可 決 定 を 裁 判 所 に 求 めました 管 財 人 は 特 定 の 更 生 債 権 等 を 裁 判 所 の 許 可 を 得 て 更 生 手 続 外 で 弁 済 する 権 限 を 有 しており 裁 判 所 はかかる 弁 済 の 許 可 について 広 範 な 裁 量 を 有 していると 考 えられています もっとも そのような 弁 済 については 弁 済 許 可 の 範 囲 や 期 間 に 関 して 議 論 があったことから 管 財 人 はプレ DIP ファイナンスにおいてなされたのと 同 様 の 手 法 を 用 いて 商 取 引 債 権 を 共 益 債 権 化 しました 結 果 として 商 取 引 債 権 については 更 生 計 画 の 認 可 後 も 影 響 を 受 けることなく 支 払 いが 継 続 される ことになります 3. 一 般 更 生 債 権 一 般 更 生 債 権 については 更 生 計 画 案 において 確 定 更 生 権 額 の 87.5 パーセントが 更 生 計 画 認 可 決 定 日 の 翌 日 に 免 除 を 受 けることとされています( 弁 済 率 12.5 パーセント) そして 免 除 後 の 残 額 については 平 成 24 年 から 平 成 30 年 まで 年 1 回 の 均 等 分 割 弁 済 がなされます ただし 管 財 人 は 裁 判 所 の 許 可 を 得 て 一 括 弁 済 を 行 うことができます なお 繰 上 弁 済 を 受 けないことについて 管 財 人 と 合 意 した 一 般 更 生 債 権 者 については 当 該 更 生 債 権 者 についてのみ 繰 上 弁 済 を 行 わないこと ができます 4. 更 生 担 保 権 更 生 担 保 権 の 額 は 原 則 として 対 象 物 件 の 評 価 額 により 決 まります 本 件 では 更 生 担 保 権 の 権 利 変 更 の 内 容 及 び 弁 済 の 方 法 は 当 該 更 生 担 保 権 の 対 象 物 件 が 継 続 保 有 物 件 か 処 分 対 象 物 件 かで 扱 いが 異 なっています
3 (A) 継 続 保 有 物 件 について 処 分 予 定 のない 継 続 保 有 物 件 については 更 生 計 画 案 記 載 の 確 定 更 生 担 保 権 全 額 が 弁 済 され ます 弁 済 の 方 法 は 一 般 更 生 債 権 と 同 様 平 成 24 年 から 平 成 30 年 まで 年 1 回 の 均 等 分 割 弁 済 で 管 財 人 は 裁 判 所 の 許 可 を 得 て 一 括 弁 済 を 行 うことができます また 一 般 更 生 債 権 と 同 様 繰 上 弁 済 を 受 けないことについて 管 財 人 と 合 意 した 更 生 担 保 権 者 については 繰 上 弁 済 を 行 わないこともできます なお 管 財 人 は 更 生 担 保 権 者 と 協 議 のうえ 裁 判 所 の 許 可 を 得 て 継 続 保 有 物 件 を 売 却 する ことができます この 場 合 には 管 財 人 は 当 該 継 続 保 有 物 件 にかかる 確 定 更 生 担 保 権 相 当 額 を 管 財 人 名 義 の 定 期 預 金 に 入 れ 原 担 保 権 を 解 除 する 代 わりに 当 該 定 期 預 金 に 対 して 質 権 を 設 定 して 担 保 の 変 換 を 行 います この 場 合 でも 弁 済 は 平 成 24 年 から 平 成 30 年 までの 7 年 間 で 均 等 になされます (B) 処 分 対 象 物 件 について (ア) 平 成 23 年 3 月 10 日 までに 売 却 された 場 合 処 分 対 象 物 件 については 平 成 23 年 3 月 10 日 までに 当 該 物 件 について 売 買 契 約 等 が 締 結 された 場 合 には 処 分 価 格 連 動 方 式 が 適 用 されます 処 分 価 格 連 動 方 式 とは 確 定 更 生 担 保 権 額 ではなく 処 分 対 象 物 件 の 実 質 売 却 代 金 ( 売 却 価 格 から 売 却 費 用 を 控 除 したもの)を 弁 済 額 とするものです 実 質 売 却 代 金 が 更 生 担 保 権 額 を 上 回 った 場 合 には 更 生 担 保 権 額 を 全 額 弁 済 する 他 更 生 担 保 権 額 を 超 える 部 分 について その 全 額 が 当 該 更 生 担 保 権 者 が 有 する 一 般 更 生 債 権 への 弁 済 に 充 てられます 当 該 更 生 担 保 権 者 が 一 般 更 生 債 権 を 有 していなかった 場 合 には 当 該 更 生 担 保 権 額 を 超 える 部 分 は 更 生 会 社 財 産 に 組 み 込 まれます 他 方 で 実 質 売 却 代 金 が 更 生 担 保 権 額 を 下 回 った 場 合 には 当 該 下 回 った 部 分 の 更 生 担 保 権 については 一 般 更 生 債 権 と 同 様 87.5 パーセントが 免 除 されることになります 処 分 対 象 物 件 を 売 却 する 場 合 にも 管 財 人 は 当 該 処 分 対 象 物 件 にかかる 売 却 代 金 相 当 額 を 管 財 人 名 義 の 定 期 預 金 に 入 れ 原 担 保 権 を 解 除 する 代 わりに 当 該 定 期 預 金 に 対 して 質 権 を 設 定 して 担 保 の 変 換 を 行 います 処 分 対 象 物 件 が 売 却 された 場 合 に は 継 続 保 有 物 件 売 却 の 場 合 と 異 なり 弁 済 は 一 括 でなされます (イ) 平 成 23 年 3 月 10 日 までに 売 却 されなかった 場 合 5. 企 業 年 金 債 権 について 処 分 対 象 物 件 が 平 成 23 年 3 月 10 日 までに 売 却 されなかった 場 合 には 継 続 保 有 物 件 と 同 様 の 扱 いがなされることになります( 上 記 アをご 覧 ください ) JAL の 企 業 年 金 は 基 金 型 確 定 給 付 企 業 年 金 制 度 を 採 用 しています 基 金 型 確 定 給 付 企 業 年 金 は 確 定 給 付 企 業 年 金 法 によって 規 制 されています 企 業 年 金 制 度 の 実 施 主 体 は JAL 本 体 ではなく JAL 基 金 であり JAL 基 金 が 企 業 年 金 のファンド 資 産 を 運 用 します JAL は JAL 基 金 に 対 し 掛 金 支 払 債 務 を 負 っています 確 定 給 付 企 業 年 金 の 特 徴 は 受 給 者 への 給 付 水 準 が ファンド 資 産 の 運 用 結 果 に 関 係 なく 受 給 者 が 退 職 した 時 点 において 一 定 額 で 固 定 される 点 にあります
4 JAL 基 金 が 加 入 者 又 は 受 給 者 に 対 して 支 払 う 給 付 額 を 減 額 するためには JAL 基 金 の 規 約 変 更 を 確 定 給 付 企 業 年 金 法 に 基 づいて 行 う 必 要 があります すなわち 加 入 者 又 は 受 給 者 から 各 別 に 3 分 の 2 以 上 の 同 意 を 取 得 する 等 の 条 件 を 満 たした 上 で 厚 生 労 働 大 臣 の 認 可 ( 基 金 型 の 場 合 )を 得 る 必 要 が あります 報 道 によれば JAL 基 金 は 平 成 22 年 3 月 17 日 JAL 基 金 の 受 給 額 減 額 を 内 容 とする 規 約 変 更 の 認 可 を 厚 生 労 働 大 臣 から 受 け 受 給 者 の 給 付 は 平 均 で 約 3 割 加 入 者 は 平 均 で 約 5 割 程 度 減 額 されるようです 厚 生 労 働 大 臣 の 認 可 を 得 られていることから JAL 基 金 は 加 入 者 及 び 受 給 者 それぞれから 3 分 の 2 以 上 の 同 意 書 面 を 取 得 できたことになります 2 上 記 の JAL 基 金 の 規 約 変 更 を 受 けて 更 生 計 画 案 においても JAL が JAL 基 金 に 対 して 負 っている 債 務 について 一 定 額 減 額 する 旨 規 定 されています 更 生 計 画 の 決 議 本 件 の 更 生 計 画 案 の 決 議 は 更 生 債 権 者 と 更 生 担 保 権 者 との 2 組 に 分 けて 書 面 投 票 によって 決 議 がなされる こととされています 更 生 計 画 の 決 議 要 件 は 更 生 債 権 者 の 組 については 更 生 債 権 者 の 議 決 権 の 総 額 の 2 分 の 1 以 上 を 超 える 議 決 権 を 有 する 者 の 同 意 が 必 要 とされており 更 生 担 保 権 者 の 組 については (a) (b) 更 生 担 保 権 の 期 限 の 猶 予 を 定 めをする 更 生 計 画 案 については 議 決 権 を 行 使 することができる 更 生 担 保 権 者 の 総 額 の 3 分 の 2 以 上 に 当 たる 議 決 権 を 有 する 者 の 同 意 減 免 その 他 期 限 の 猶 予 以 外 の 定 めをする 更 生 計 画 案 については 議 決 権 を 行 使 することができる 更 生 担 保 権 者 の 総 額 の 4 分 の 3 以 上 に 当 たる 議 決 権 を 有 する 者 の 同 意 が 必 要 とされています 本 件 では 上 述 したように 更 生 担 保 権 につき 処 分 価 格 連 動 方 式 が 採 用 されていますので 更 生 計 画 案 に おいて 期 限 の 猶 予 以 外 の 定 めをしているといえ 更 生 担 保 権 者 の 組 の 決 議 要 件 は 4 分 の 3 以 上 となります なお 更 生 債 権 者 及 び 更 生 担 保 権 者 は 原 則 としてその 債 権 額 に 応 じた 議 決 権 を 有 することとされています 更 生 計 画 案 が 可 決 されなかった 場 合 には 裁 判 所 は 更 生 計 画 案 を 変 更 し 同 意 が 得 られなかった 種 類 の 権 利 を 有 する 者 のために 当 該 権 利 を 保 護 する 条 項 を 定 めて 認 可 決 定 するか 職 権 で 更 生 手 続 の 廃 止 決 定 をしなければならない とされています 2 2010 年 3 月 18 日 付 日 本 経 済 新 聞 9 頁
5 更 生 手 続 の 廃 止 決 定 が 確 定 した 場 合 には 原 則 として 更 生 手 続 は 破 産 手 続 に 移 行 することになります 更 生 手 続 における 共 益 債 権 として 扱 われていた 債 権 は 破 産 手 続 においては 財 団 債 権 として 扱 われ 共 益 債 権 と 同 様 に 手 続 外 で 随 時 弁 済 をうけることができます また 一 般 更 生 債 権 については 破 産 債 権 更 生 担 保 権 に ついては 別 除 権 として 扱 われることになります 別 除 権 は 更 生 担 保 権 と 異 なり 破 産 手 続 に 拘 束 される ことなく 行 使 することができます なお 破 産 手 続 においては 更 生 手 続 において 確 定 した 債 権 額 に 拘 束 されずに 別 途 債 権 届 出 をできるとされています 一 方 裁 判 所 が 更 生 計 画 案 の 認 可 の 決 定 をした 場 合 には 届 出 をした 更 生 債 権 者 及 び 更 生 担 保 権 者 の 権 利 は 更 生 計 画 に 従 い 変 更 されることになります 終 わりに JAL の 会 社 更 生 手 続 には 以 下 の2つの 点 で 特 徴 的 といえます まず JAL の 会 社 更 生 手 続 は 更 生 計 画 の 内 容 の 大 部 分 が 主 要 な 債 権 者 と 管 財 人 との 話 し 合 いによって 決 められた プレパッケージ 型 の 更 生 手 続 であるという 点 です 事 業 再 生 ADR の 開 始 以 来 主 要 な 債 権 者 と 管 財 人 とは 交 渉 を 重 ね ようやく 今 回 の 更 生 計 画 案 が 裁 判 所 に 提 出 できる 運 びとなりました このような プレパッケージ 型 の 更 生 手 続 は これまで 前 例 がありません 次 に 会 社 更 生 手 続 は これまで 厳 格 な 手 続 きと 思 われていましたが JAL の 会 社 更 生 手 続 において 裁 判 所 は 必 ずしも 少 額 債 権 とは 言 えない 商 取 引 債 権 についても 弁 済 を 許 可 するなど 柔 軟 な 姿 勢 を 示 して います これは JAL が 航 空 機 を 運 航 をできなくなった 場 合 に 生 じうる 混 乱 や 損 害 を 避 けるためだと 考 えら れます このような 裁 判 所 の 柔 軟 な 対 応 は 今 後 債 務 者 が 会 社 更 生 手 続 を 利 用 するインセンティブになり 得 ますが 債 権 者 にとっては 特 に 債 務 者 が 知 名 度 の 高 い 会 社 の 場 合 には 自 らの 有 する 債 権 をどの 程 度 回 収 できるのかの 見 通 しがつきにくいという 欠 点 にもなり 得 ます 今 回 の 更 生 計 画 案 の 提 出 が JAL の 会 社 更 生 手 続 きにおける 一 つの 節 目 であることは 間 違 いありません しかし 銀 行 団 は 再 度 JAL に 融 資 をすることに 積 極 的 でないと 伝 えられていることから 更 生 計 画 案 に 定 め られた 更 生 債 権 等 や 機 構 からの 借 入 金 の 弁 済 資 金 をどのようにして 調 達 するのか 等 難 しい 問 題 が 残 されて います JAL の 更 生 への 道 のりは 険 しく まだ 時 間 がかかりそうです
6 更 生 計 画 案 提 出 に 至 るまでの 経 緯 及 び 今 後 の 予 定 は 次 のとおりです 日 付 出 来 事 平 成 21 年 10 月 29 日 機 構 に 対 する 事 前 相 談 開 始 平 成 21 年 11 月 13 日 事 業 再 生 ADR 申 請 平 成 22 年 1 月 19 日 会 社 更 生 申 立 即 日 更 生 手 続 開 始 決 定 管 財 人 選 任 ( 機 構 及 び 弁 護 士 ) 機 構 に 対 して 支 援 申 込 即 日 支 援 決 定 平 成 22 年 3 月 17 日 厚 生 労 働 大 臣 による JAL 年 金 基 金 規 約 変 更 の 認 可 平 成 22 年 8 月 31 日 JAL が 更 生 計 画 案 を 東 京 地 裁 に 提 出 平 成 22 年 9 月 10 日 ~ 平 成 22 年 11 月 19 日 更 生 計 画 案 に 対 する 書 面 投 票 の 期 間 平 成 22 年 11 月 末 日 裁 判 所 の 更 生 計 画 認 可 見 込 み 本 クライアント ブリーフィングはテーマとなる 題 材 に 関 して 一 般 的 な 解 説 を 行 うことを 目 的 としており 全 ての 側 面 を 網 羅 するものでは ありません 又 本 クライアント ブリーフィングは 法 律 その 他 の アドバイスを 行 うものではありません クリフォードチャンスは 本 クライアント ブリーフィングに 基 づく 行 為 により 生 じた 事 態 には 一 切 責 任 を 負 いません 無 断 複 写 複 製 転 載 を 禁 じます www.cliffordchance.com Abu Dhabi Amsterdam Bangkok Barcelona Beijing Brussels Bucharest Dubai Düsseldorf Frankfurt Hong Kong K yi v London Luxembourg Madrid Milan Moscow Munich New York Paris Prague Riyadh* Rome São Paulo Shanghai Singapore Tokyo W arsaw Washington, D.C. * Clifford Chance has a co-operation agreement with Al-Jadaan & Partners Law Firm